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特許76345721-(4,4-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)エタノンを含むフレグランス混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】1-(4,4-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)エタノンを含むフレグランス混合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20250214BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250214BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20250214BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/35
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/37
A61Q13/00 101
C11B9/00 N
C11B9/00 C
C11B9/00 S
C11B9/00 D
C11B9/00 K
C11B9/00 T
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022577724
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2020067004
(87)【国際公開番号】W WO2021254628
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521397201
【氏名又は名称】シムライズ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェヤナンド・チャンドラセカラン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ヘルシャー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア・アモス
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/098901(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
C11B 1/00 - 15/00
C11C 1/00 - 5/02
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)式(I)
【化1】
の化合物と、
成分(b)グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスであって、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれた1種類以上のフレグランスと、
を含むかまたはそれらのみからなるフレグランス混合物。
【請求項2】
前記成分(a)は、成分(b)の総重量に対して0.01~30重量%の量で存在する、請求項1に記載のフレグランス混合物。
【請求項3】
前記フレグランス混合物は、1種類以上のさらなる成分を含み、および/または式(I)の化合物の量は、前記フレグランス混合物の総重量に対して0.01~10重量%の範囲である、請求項1又は2に記載のフレグランス混合物。
【請求項4】
前記フレグランス混合物が香油である、請求項1から3のいずれか一項に記載のフレグランス混合物。
【請求項5】
フレグランス混合物を製造するための方法であって、
(i)請求項1において定義される成分(a)を請求項1において定義される成分(b)と、および任意選択により場合によってさらなる成分と混合するステップ、
を含むかまたはそれのみからなる方法。
【請求項6】
前記フレグランス混合物が香油である、請求項5に記載のフレグランス混合物を製造するための方法。
【請求項7】
グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法であって、
(i)請求項1において定義される式(I)の化合物をグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合するステップであって、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する前記1種類以上のフレグランスは、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれるステップ、
を含む方法。
【請求項8】
式(I)の化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する前記1種類以上のフレグランスの総重量に対して0.01~30重量%でグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する前記1種類以上のフレグランスと混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~4の何れか一項に記載のフレグランス混合物を含む、着香製品。
【請求項10】
前記フレグランス混合物が香油である、請求項9に記載の着香製品。
【請求項11】
前記製品は、香料抽出物、オードパルファム、オードトワレット、アフターシェーブ、オーデコロン、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、着香ウェットワイプ、酸性、アルカリ性および中性クリーニング剤、テキスタイルリフレッシュナー、アイロンエイド、液体洗濯石鹸、洗濯石鹸粉剤、洗濯前処理剤、ファブリック柔軟剤、クリーニング石鹸、クリーニングタブ、殺菌剤、表面殺菌剤、空気改善剤、エアロゾルスプレー、ワックスおよび光沢剤、ボディーケア製品、ハンドクレームおよびローション、フットクレームおよびローション、脱毛クレームおよびローション、アフターシェーブクレームおよびローション、なめしクレームおよびローション、ヘアケア製品、デオドラントおよび制汗剤、装飾用化粧品、ロウソク、灯油、香料スティック、殺虫剤、防虫剤および発泡剤の製品からなる群から選ばれる、請求項9又は10に記載の着香製品。
【請求項12】
前記フレグランス混合物は、前記製品の総重量に対して0.01~10重量%の量で存在する、請求項9~11のいずれか一項に記載の着香製品。
【請求項13】
着香製品を製造する方法であって、以下のステップ:
(i)請求項1~4の何れか一項に記載のフレグランス混合物を準備するステップと、
(ii)前記着香製品のさらなる成分を準備するステップと、
(iii)ステップ(ii)において準備された前記着香製品のさらなる成分をステップ(i)において準備されたフレグランス混合物の官能的に有効な量と接触させるステップであって、式(I)の化合物の量は、成分(b)のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するのに十分であり、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、前記香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいは式(I)の化合物の量は、成分(b)のフレグランスのプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させるのに十分であるステップと、
を含むかあるいは、
(I)請求項1~4の何れか一項において定義される成分(a)または成分(b)またはフレグランス混合物ではない前記着香製品の成分を準備するステップと、
(II)ステップ(I)において準備される前記着香製品の成分を請求項1~4の何れか一項に定義される前記フレグランス混合物の成分(b)と混合し、それによって成分(b)が官能的に有効な量で存在する混合物を生じる結果となるステップと、
(III)ステップ(II)からの混合物を成分(b)のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するのに十分である量の式(I)の化合物と接触させるステップと、
を含み、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、前記香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいは成分(b)のフレグランスのプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させるのに十分である、着香製品を製造する方法。
【請求項14】
グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変する、請求項1において定義される式(I)の化合物の使用であって、前記1種類以上のフレグランスは、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれる、使用。
【請求項15】
式(I)の化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する前記1種類以上のフレグランスの総重量に対して0.01~30重量%の量で用いられる、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物と、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと、を含むかまたはそれらのみからなるフレグランス混合物に関する。本発明は、さらに、本発明によるフレグランス混合物を製造するための方法と、式(I)の化合物をグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合することによってグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法と、を提供する。さらに、本発明は、本発明のフレグランス混合物を含む着香製品と、着香製品を製造するための方法ならびにグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変する式(I)の化合物の使用と、を提供する。
【背景技術】
【0002】
香水産業およびフレグランス産業においては、多数の利用可能なフレグランス物質があるにもかかわらず、新規な化合物および化合物の組み合わせが絶えず求められている。顧客のニーズを満たすために、新しいフレグランスプロフィールおよび複雑な嗅覚印象が定期的に開発されなければならない。従って、当業界は、特別な官能特性を示し、新規な香水およびフレグランスの組成物のための土台として使用することができる新しい化合物を絶えず捜し求めている。そのような化合物は、自体が魅力的な嗅覚印象を提供するだけでなく、全体としての印象にさらなる複雑さを加えながら調和してフレグランス組成物中に一体化もしなければならない。さらに、自体はフレグランスを提供しないが他の物質の官能印象を増強または改変し得る量で用いることができる物質が特に興味深い。
【0003】
フレグランスおよび香水産業において強く追い求められているさらなる側面は、不快な嗅覚印象をマスクしおよび/または減少させるフレグランス化合物および化合物混合物の能力である。そのような不快な印象は、やり方を変えれば快い香りを提供する、特定のフレグランスの副次的なノートであるか、あるいはフレグランス混合物および製品中に普通に用いられる添加物によって生じることがある。
【0004】
しかし、適当な物質の探索は、非常に複雑である。一つには嗅覚の機構がまだ理解されておらず、そのため化学構造に基づいて官能印象を予測することが不可能である。他方、特定の物質がさまざまな量で加えられたとき他のフレグランスまたは複雑なフレグランスプロフィールにどのように影響を及ぼすかを予測することは可能ではない。従って、既知のフレグランス特性を有する成分をさまざまな割合で組み合わせても予想外の嗅覚プロフィールを有する混合物を生じる結果となることがあり得る。
【0005】
香水産業におけるさまざまな用途にとって特に望ましい嗅覚印象は、グリーンな香りおよびフラワリーな香りである。これらの香りは、全体としての快い印象に寄与すると一般に考えられている、フレッシュさ、フルーティさ、ソフトさおよびナチュラルさが変化し得る。他方で、人工的かつ不快であると知覚されるプラスチックな(plastic)副次的ノートまたはテクニカルな(technical)副次的ノートがグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りに伴うことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りが改善されたフレグランス混合物を提供することが本発明の目的であった。特に、プラスチックな側面またはテクニカルな側面がマスクされおよび/または減らされる一方で、グリーンなフレグランスおよび/またはフラワリーなフレグランスのフレッシュな側面、フルーティな側面、ソフトな側面およびナチュラルな側面が増強されなければならない。フレグランス混合物は、良好に一体化して香水組成物、特に香油とならなければならず、広い範囲の製品において適用可能でなければならない。
【0007】
上記目的は、
(a)式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
の化合物と、
(b)グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスであって、好ましくは、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスは、95~180g/モルの範囲の分子量を有するアルコールと、140~230g/モルの範囲の分子量を有するエステルと、135~230g/モルの範囲の分子量を有するアルデヒドおよびケトンと、からなる群から選ばれる1種類以上のフレグランスと、
を含むかまたはそれらのみからなるフレグランス混合物、好ましくは香油によって満たされる。
【0010】
本発明の状況において、式(I)の化合物(1-(4,4-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)-エタノン)は、フレグランスそれ自体を提供しない量で用いられたときでもグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスの嗅覚印象を増強および/または改変することができることが見いだされた。従って、グリーンなフレグランスおよびフラワリーなフレグランスは、それらの影響という点で改善され;かつフルーティな側面、ソフトな側面、フレッシュな側面およびナチュラルな側面が強調される。さらに、式(I)の化合物が存在すると、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスのプラスチックな側面およびテクニカルな側面を減らすことができる。
【0011】
式(I)の化合物は、テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、49巻6016~6018頁(2008年)に記載されているようにして得ることができる。
【0012】
本発明の状況において、「フレグランス」とは、香りを有する化合物を指すかまたは香りそれ自体を指す。フレグランスまたは香りは、いくつかの「ノート」または「側面」を含むことができ、これらの「ノート」または「側面」は、多かれ少なかれはっきりしている。ある香りのそれぞれのノートまたは側面は、個々に他のフレグランスとの相互作用によって強められるかまたは減らされる/マスクされることがある。
【0013】
好ましい実施形態において、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスは、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれる。
【0014】
上記化合物は、シス-3-ヘキセノール、シス-3-ヘキセニルアセテート、ディナスコン(Dynascone)、リグストラール(Ligustral)、リーフォバート(Leafovert)、シクロガバナート(Cyclogabanat)、フェニルエチルアルコール、ベンジルアセテート、ヘディオン(Hedion)、ムゲタノール(Mugetanol)、イラルデイン(Iraldein)ガンマ、フェノキサノールおよびマジャントール(Majantol)としても知られている。
【0015】
これらの化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスであり、それらのフレグランスは、表1に示される式(I)の化合物の存在によって好ましい方向に影響を受ける。それぞれのフレグランスの総重量に対する式(I)の化合物の用量が示されている。
【0016】
【表1A】
【表1B】
【0017】
本発明によるフレグランス混合物において、式(I)の化合物は、重量で、すなわちグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスまたはフレグランスの合計の重量に対して、成分(b)の最大約3分の1の量で用いられるが、はるかに低い量で用いられてもよい。この量において、式(I)の化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランス(すなわち成分(b))の官能印象を有利に促進または改変する。
【0018】
一実施形態において、上記に記載されたフレグランス混合物、好ましくは香油中で、成分(a)、すなわち式(I)の化合物は、成分(b)の総重量に対して0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、特に好ましくは1~10重量%の量で存在する。
【0019】
検討時に、これらの重量比は、特に有利であることが見いだされた。これらの重量比で、式(I)の化合物の本来の匂いは、通常、もはや認識することができないかまたはかろうじて認識できるが、式(I)の化合物の存在は、本発明によるフレグランス混合物の全体としてのノートに好ましい方向の影響を及ぼす。低い濃度においても、式(I)の化合物は、フルーティな匂いをもたらすかまたは有意に強調することなくフレグランス混合物のフレッシュさおよびオーラに影響を及ぼすことは特に驚くべきことである。
【0020】
本発明のフレグランス混合物または香油は、上記で定義された成分(a)および(b)の他にさらなる成分を含むことがある。詳しくは、混合物は、上記で定義されたグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスとは異なるさらなるフレグランスなどのさらなる成分を含むことがある。さらに、フレグランス混合物は、フレグランス混合物中に、特に香油中に典型的に用いられる溶媒、添加剤および賦形剤を含むことがある。
【0021】
一般に、本発明による式(I)の化合物および成分(b)のフレグランスは、アロマ組成物を創製するために複数のさらなるフレグランスと有利に組み合わせることができる。
【0022】
上記に記載されたフレグランス混合物の好ましい実施形態において、フレグランス混合物は、さらなる成分(c)を含む。成分(c)は、成分(b)のフレグランス以外のフレグランスから選ばれた1種類以上の化合物のことがある。
【0023】
成分(c)の化合物の例は、S.アークタンダー(Arctander)、「パフューム アンド フレーバー マテリアルズ(Perfume and Flavor Materials)」、I巻およびII巻、モンクレア(Montclair)、N.J.、アイゲンフェアラーク(Eigenverlag)、またはK.バウアー(Bauer)ら、1969年、「コモン フレグランス アンド フレーバー マテリアルズ(Common Fragrance and Flavor Materials)」、第4版、ワイリー(Wiley)-VCH、ヴァインハイム(Weinheim)、2001年から推測されることがある。
【0024】
詳しくは、精油、コンクリート、アブソルー、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキなどの天然原料からの抽出物、例えば、
【0025】
アンブラチンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;吉草油;バジル油;ツリーモスアブソルート;ベイ油;ヨモギ油;安息香樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソルー;バーチタール油;苦扁桃油;セイバリー油;ほお葉油;カブリューバ油;カデ油;カルムス油;樟脳油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;アカシアアブソルー;海狸香アブソルー;ニオイヒバ油;セダー油;システ油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コエンドロ油;コスタス根油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルハーブ油;ディル種子油;オーデブルーアブソルー;オークモスアブソルー;エレミ油;タラゴン油;ユーカリレモン油;ユーカリ油;ウイキョウ油;トウヒニードル油;ガルバヌム油;ガルバヌム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアヤクウッド油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ムギワラギクアブソルー;ムギワラギク油;ジンジャー油;イリス根アブソルー;イリス根油;ジャスミンアブソルー;ショウブ油;カモミール油ブルー;ロマンカモミール油;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;カラウェー油;ラブダナム油;ラブダナムアブソルー;ラブダナム樹脂;ラバンディンアブソルー;ラバンディン油;ラベンダーアブソルー;ラベンダー油;レモングラス油;ラビッジ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロエ油;アオモジ油;ベイリーフ油;メシ油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイ皮油;ミモザアブソルー;ムスク種子油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ニクズク油;ミルラアブソルー;ミルラ油;ミルテ油;丁子葉油;丁子花油;ネロリ油;オリバナムアブソルー;オリバナム油;オポパナックス油;オレンジ花アブソルー;オレンジ油;オリガヌム油;パルマローザ油;パッチュリ油;エノ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレン油;ハッカ油;コショウ油;ピメント油;パイン油;ポレイ油;ローズアブソルー;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;ダルマシアンセージ油;スパニッシュセージ油;ビャクダン油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;エゴノキ油;マリゴールド油;ファーニードル油;チャノキ油;テレビン油;タイム油;トルーバルサムバルサム;トンカアブソルー;ゲッカコウアブソルート;バニラ抽出物;スミレ葉アブソルート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;ワイン酵母油;ニガヨモギ油;ウインターグリーン油;イラン油;イソップ油;ジャコウネコアブソルー;シナモン葉油;桂皮油ならびにそれらの画分、あるいはそれらから単離された成分と;
【0026】
例えば3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シモール;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギフォレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンなどの炭化水素;
【0027】
例えばヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オールなどの脂肪族アルコール;
【0028】
例えばヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシ-プロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンなどの脂肪族アルデヒドおよびそれらのアセタール;
【0029】
例えば2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンなどの脂肪族ケトンおよびそれらのオキシム;
【0030】
例えば3-メチルチオヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオールなどの脂肪族硫黄含有化合物;
【0031】
例えば2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルなどの脂肪族ニトリル;
【0032】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えばギ酸(E)-および(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテニル;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-および(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;イソ酪酸(E)-および(Z)-3-ヘキセニル;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2-メチルペンタノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル-(E,Z)-2,4-デカジエノエート;メチル-2-オクチネート;メチル-2-ノニネート;アリル-2-イソアミルオキシアセテート;メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;クロトン酸4-メチル-2-ペンチル;
【0033】
例えばゲラニオール;ネロール;ラバドゥロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール 2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オールなどの非環式テルペンアルコール;ならびにそれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステルおよび3-メチル-2-ブテン酸エステル;
【0034】
例えばシトロネラール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトンなどの非環式テルペンアルデヒドおよびケトン;ならびにゲラニアール、ネラールのジメチルアセタールおよびジエチルアセタール;
【0035】
例えばメントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;リナロオールオキシド;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアイオールなどの環式テルペンアルコール;ならびにそれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸塩、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステルおよび3-メチル-2-ブテン酸エステル;
【0036】
例えばメントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンファー;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチルイオノン;α-イソメチルイオノン;β-イソメチル-イオノン;α鉄;β-ダマセノン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノ-ナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化セダー油(メチルセドリルケトン)などの環式テルペンアルデヒドおよびケトン;
【0037】
例えば4-tert.-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2、Z5、E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールなどの環式アルコール;
【0038】
例えばα,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペントタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールなどの脂環式アルコール;
【0039】
例えばシネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンなどの環式および脂環式エーテル;
【0040】
例えば4-tert.-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタ-デカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert.-ペンチルシクロ-ヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンなどの環状および大環状ケトン;
【0041】
例えば2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドなどの脂環式アルデヒド;
【0042】
例えば1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert.-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン1-イル)ケトなどの脂環式ケトンン;
【0043】
例えば酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカヒドロ-2-ナフチル;2-シクロ-ペンチルシクロペンチルクロトネート;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサ-ヒドロ-5または6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5または6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5または6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5または6-インデニルなどの環式アルコールのエステル;
【0044】
例えば1-シクロヘキシルエチルクロトネートなどの脂環式アルコールのエステル;
【0045】
例えばアリル-3-シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;cis-およびtrans-メチルジヒドロジャスモネート;cis-およびtrans-メチルジャスモネート;メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートなどの脂環式カルボン酸のエステル;
【0046】
例えばベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールなどの芳香脂肪族アルコール;
【0047】
例えばベンジルアセテート;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸α-トリクロロメチルベンジル;酢酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酪酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジルなどの芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステル;
【0048】
例えば2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル-1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロパアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシンなどの芳香脂肪族エーテル;
【0049】
例えばベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドラトロパアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert.-ブチル-フェニル)プロパナール;ケイ皮アルデヒド;α-ブチルケイ皮アルデヒド;α-ヘキシルケイ皮アルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールなどの芳香族アルデヒドおよび芳香脂肪族アルデヒド;
【0050】
例えばアセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert.-ブチル-2,6-ジメチルアセト-フェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタ-レニル)エタノン;2-ベンゾフラニルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジ-メチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセト-ナフトンなどの芳香族および芳香脂肪族ケトン;
【0051】
例えば安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香ヘキシル;安息香酸ベンジル;メチルフェニルアセテート;エチルフェニルアセテート;ゲラニルフェニルアセテート;フェニルエチルフェニルアセテート;ケイ皮酸メチル;ケイ皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;アリルフェノキシアセテート;サリチル酸メチル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;ベンジルサリチレート;サリチル酸フェニルエチル;2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル;エチル-3-フェニルグリシデート;エチル-3-メチル-3-フェニルグリシデートなどの芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそれらのエステル;
【0052】
例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert.ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert.-ブチルアセトフェノン;ケイ皮酸ニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;メチルアントラ-ニレート;メチ-N-メチルアントラニレート;メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert.-ブチル-フェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのシッフ塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec.-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンなどの窒素含有芳香族化合物;
【0053】
エストラゴール;アネトール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;β-ナフチル-メチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソ-ブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゾール;オイゲニルアセテート;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;p-クレシルフェニルアセテート(p-Kresylphenylacetate)などのフェノール、フェニルエーテルおよびフェニルエステル;
【0054】
例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンなどの複素環化合物;
【0055】
例えば1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカノリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタデカノリド;1,16-ヘキサデカ-ノリド;9-ヘキサデセン‐1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサ-デカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート;エチレン-1,13‐トリデカンジオエート;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンなどのラクトン、
の群からの単一のフレグランス物質が言及される。
【0056】
上記に記載されたフレグランス混合物、好ましくは香油の好ましい実施形態において、フレグランス混合物は、1種類以上のさらなる成分、特にさらなるフレグランス、溶媒、添加剤および賦形剤からなる群から選ばれた成分を含む。
【0057】
全体として、フレグランス混合物は、式(I)の化合物を小さな重量百分率しか含まない。詳しくは、式(I)の量は非常に小さいので、それ自体のフレグランスはフレグランス混合物内で知覚されず、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスに対するその効果だけが知覚され得る。
【0058】
上記の実施形態の何れかに記載されたフレグランス混合物の別の好ましい実施形態、好ましくは香油において、式(I)の化合物の量は、フレグランス混合物の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、特に好ましくは1~5重量%の範囲にある。
【0059】
本発明によるフレグランス混合物は、製品中のフレグランス物質の細かな分布と施用時の徐放とを確実にするキャリアーに吸着されることがある。そのようなキャリアーは、軽量硫酸塩、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、発泡コンクリート等などの多孔質無機材料あるいは木、セルロース系材料、糖、デキストリン(例えばマルトデキストリン)などの有機材料あるいはPVC、ポリ酢酸ビニルまたはポリウレタンなどのプラスチックのことがある。本発明による混合物およびキャリアーは、本発明による着香製品(下記に記載される)を表すことがある。
【0060】
本発明によるフレグランス混合物または製品は、マイクロカプセル化された形で、スプレー乾燥された形で、包接錯体として、または押し出し製品として存在することもあり、―フレグランス組成物の場合―着香されるためにこの形で製品に加えられる(下記に記載されるように)ことがある。
【0061】
適用可能な場合、そのような改変された混合物または製品の特性は、フレグランスの標的型放出の増加を考慮した適当な材料による、好ましくは例えばポリビニルアルコールなどのワックス状プラスチックを用いたいわゆる「コーティング」によってさらに最適化することができる。得られる製品は、順次、本発明による製品となる。
【0062】
マイクロカプセル化は、例えば、カプセル材料、例えばポリウレタン様物質またはソフトゼラチンの助けを借りたいわゆるコアセルベーションプロセスによって実現することができる。スプレー乾燥された製品は、好ましくはフレグランス組成物を含有するエマルジョンまたは分散物をスプレー乾燥させることによって製造され、それによって加工デンプン、タンパク質、デキストリンおよび植物ガムをキャリアーとして用いることができる。包接錯体は、例えばフレグランス組成物とシクロデキストリンまたは尿素誘導体との分散物を適当な溶媒、例えば水の中に組み込むことによって調製することができる。押し出し製品は、例えばフレグランス組成物と適当なワックス様物質との融合と、押し出しとそれに続く、適用可能な場合は適当な溶媒、例えばイソプロパノール中の固化と、によって得ることができる。
【0063】
本発明は、特に上記の実施形態の何れかに記載されている、フレグランス混合物、好ましくは香油を製造するための方法であって、
(i)成分(a)を上記で定義された成分(b)と混合するステップであって、好ましくは、成分(a)は、成分(b)の総重量に対して0.01~30重量%、好ましくは、0.1~20重量%、特に好ましくは1~10重量%の量で成分(b)と、および任意選択としてさらなる成分と、混合されるステップ、
を含むかまたはそれのみからなる方法も提供する。
【0064】
上記に記載されたように、式(I)の化合物は、利点として、フレグランス混合物中のグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスの官能印象を増強および改善することができる。グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有するフレグランスを式(I)の化合物と組み合わせることによって、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りは増強され、従って高くなったインパクトを提供し、フルーティなノート、ソフトなノート、フレッシュなノートおよびナチュラルなノートなどの快い側面を強調するように改変され、同時にプラスチックな側面およびテクニカルな側面が減らされる。これらの効果は、表1から推定することができる。
【0065】
従って、本発明は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法であって、特に、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、この香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいはプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させる方法にも関し、
(i)上記で定義された式(I)の化合物をグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合するステップであって、好ましくは、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスは、95~180g/モルの範囲の分子量を有するアルコールと、140~230g/モルの範囲の分子量を有するエステルと、135~230g/モルの範囲の分子量を有するアルデヒドおよびケトンとからなる群から選ばれるステップ、
を含む。
【0066】
上記に記載されたグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法の好ましい実施形態において、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスは、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれる。
【0067】
上記に記載された実施形態の何れかによるグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法のさらなる好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスの総重量に対して0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、特に好ましくは1~10重量%の量でグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合される。
【0068】
上記に記載された実施形態の何れかによる、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法は、特にさらなるフレグランス、ソレベント、添加剤および賦形剤からなる群から選ばれた、さらなる成分との混合をさらに含むことがある。さらなる成分は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合する前の式(I)の化合物に加えられることがあり、あるいはさらなる成分は、式(I)の化合物が加えられる前にグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスと混合されることがある。
【0069】
好ましい実施形態において、上記に記載された実施形態の何れかによる、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するための方法は、上記の実施形態の何れかに記載されたフレグランス混合物、特に香油を製造する。得られたフレグランス混合物において、式(I)の化合物の量は、フレグランス混合物の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、特に好ましくは1~5重量%の範囲にある。
【0070】
利点として、本発明によるフレグランス混合物、特に香油は、広い範囲の製品に統合することができ、下記にさらに記載されるように適当な量で存在する場合、快い官能印象を付与する。
【0071】
本発明は、上記に記載された実施形態の何れか一つによるフレグランス混合物、好ましくは香油を含む着香製品にも関する。
【0072】
好ましい実施形態によれば、着香製品は、香料抽出物、オーデパルファム、オーデトワレット、アフターシェーブ、オーデコロン、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、着香ウェットワイプ、酸性、アルカリ性および中性清浄剤、布地リフレッシュナー、アイロンエイド、液体洗濯石鹸、洗濯石鹸粉剤、洗濯前処理剤、生地柔軟剤、クリーニング石鹸、クリーニングタブ、殺菌剤、表面殺菌剤、空気向上剤、エアロゾルスプレー、ワックスおよび光沢剤、ボディーケア製品、ハンドクレームおよびローション、フットクレームおよびローション、脱毛クレームおよびローション、アフターシェーブクレームおよびローション、なめしクレームおよびローション、ヘアケア製品、デオドラントおよび制汗剤、装飾用化粧品、ロウソク、灯油、香料スティック、殺虫剤、防虫剤および発泡剤の製品からなる群から選ばれる。
【0073】
上記に記載された実施形態の何れかによる着香製品のさらなる好ましい実施形態において、フレグランス混合物、好ましくは香油は、製品の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、特に好ましくは1重量%~5重量%の量で存在する。
【0074】
本発明は、着香製品を製造する方法であって、
(i)上記に記載された実施形態の何れかによるフレグランス混合物を準備するステップと、
(ii)着香製品のさらなる成分を準備するステップと、
(iii)ステップ(ii)において準備された着香製品のさらなる成分をステップ(i)において準備されたフレグランス混合物の官能的に有効な量と接触させるステップであって、式(I)の化合物の量は、成分(b)のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するのに十分であり、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいは、式(I)の化合物の量は、成分(b)のフレグランスのプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させるのに十分であるステップと、
を含むか、あるいは、
(I)(a)または(b)または上記に記載された実施形態の何れか1つにおいて定義されたフレグランス混合物ではない、着香製品の成分を準備するステップと、
(II)ステップ(I)において準備された着香製品の成分を上記に記載された実施形態の何れか1つにおいて定義されたフレグランス混合物の成分(b)と混合し、それによって、成分(b)が官能的に有効な量で存在する混合物が得られるステップと、
(III)ステップ(II)からの混合物を成分(b)のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変するのに十分である量の式(I)の化合物と接触させるステップであって、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいは成分(b)のフレグランスのプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させるのに十分であるステップと、
を含む方法にも関する。
【0075】
官能的に有効な量とは、官能効果を及ぼす、本発明によるフレグランス混合物、好ましくは香油の総量を指す。従って、官能的に有効な量とは、本発明の化合物または化合物の混合物を含まない製品と比較して、使用者が製品においてフレグランス混合物の官能効果を知覚することができる量である。この効果をもたらす適当な量は、製品の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、特に好ましくは1重量%~5重量%である。
【0076】
本発明は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスのグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを増強および/または改変する、上記において定義される式(I)の化合物の使用であって、特に、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを改変することは、香りをよりフルーティにおよび/またはよりソフトにおよび/またはよりフレッシュにおよび/またはよりナチュラルにし、ならびに/あるいはグリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスのプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させ、好ましくは、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスは、95~180g/モルの範囲の分子量を有するアルコールと、140~230g/モルの範囲の分子量を有するエステルと、135~230g/モルの範囲内の分子量を有するアルデヒドおよびケトンと、からなる群から選ばれる方法にも関する。
【0077】
上記に記載された使用の好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール、酢酸(3Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル、1-(5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]メチルカーボネート、アリル-2-(シクロヘキソキシ)アセテート、2-フェニルエタノール、酢酸4-アセトキシベンジル、メチル-2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン、3-メチル-5-フェニル-ペンタン-1-オールおよび2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパン-1-オールからなる群から選ばれた1種類以上のフレグランスの香りを増強および/または改変するために、および/またはこれらのフレグランスの1種類以上におけるプラスチックなノートまたはテクニカルなノートをマスクするかまたは減少させるために用いられる。
【0078】
上記に記載された実施形態の何れかによる使用のさらなる好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、グリーンな香りおよび/またはフラワリーな香りを有する1種類以上のフレグランスの総重量に対して0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%に、特に好ましくは1~10重量%の量で用いられる。
【0079】
上記に記載された実施形態の何れかによる使用のさらに別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、上記に記載された実施形態の何れかに記載されたフレグランス混合物、好ましくは香油中で用いられる。この実施形態において、好ましくは式(I)の化合物は、総重量フレグランス混合物に対して0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、特に好ましくは1~5重量%の範囲で存在する。
【0080】
本発明は、以下の非限定的な実施例を用いて、より詳細に説明される。
【0081】
実施例1:香油1
【0082】
【表2A】
【表2B】
【0083】
香油1に2重量%の式(I)の化合物を加える。
【0084】
実施例2 香料2
【0085】
【表3A】
【表3B】
【0086】
香油2に3重量%の式(I)の化合物を加える。
【0087】
実施例3 香料3
【0088】
【表4A】
【表4B】
【0089】
香油3に5重量%の式(I)の化合物を加えられる。
【0090】
上に示した香油に式(I)の化合物を加えると、よりまろやかな、フローラルな、グリーンな、フルーティな香りを与え、用途において高い効果を及ぼした。