(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
H10F 39/18 20250101AFI20250214BHJP
H10F 77/00 20250101ALI20250214BHJP
【FI】
H10F39/18 A
H10F77/00
(21)【出願番号】P 2023111003
(22)【出願日】2023-07-05
【審査請求日】2023-07-05
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】郭信宏
(72)【発明者】
【氏名】張開昊
(72)【発明者】
【氏名】王柏翔
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼翰林
(72)【発明者】
【氏名】蔡鴻仁
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/013521(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/193857(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/013444(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/013393(WO,A1)
【文献】特開2019-192705(JP,A)
【文献】特表2020-537193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/18
H10F 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換層、
前記光電変換層の上に配置された下地層、
前記下地層の上に配置された反射防止層、及び
前記光電変換層の上方に配置された複数のメタユニットであって、前記複数のメタユニ
ットのそれぞれが上部及び底部を含み、前記底部の前記光電変換層の上への投射が、前記上部の前記光電変換層の上への投射の範囲内側となる複数のメタユニットと
を含
み、
前記複数のメタユニットの屈折率が前記下地層の屈折率よりも大きく、前記下地層の前記屈折率が前記反射防止層の屈折率よりも大きいことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部は前記反射防止層に埋め込まれ、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記底部は前記下地層に埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て、長方形を含み、前記複数のメタユニットの前記底部の形状が、側面方向から見て、長方形を含み、前記上部の上部幅が前記底部の底部幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記光電変換層への投射が、互いにスペースをもって離れていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記複数のメタユニットの前記上部が、連続した上部を形成するようにつながっていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項6】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の上部高さが、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記底部の底部高さより小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記複数のメタユニットのそれぞれの形状が、上面方向から見て、円形、正方形、又は長方形であり、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て、長方形又は台形であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記複数のメタユニットのそれぞれの形状が、上面方向から見て、T字形又は十字形であり、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部が、側面方向から見て台形であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項9】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て台形を含み、前記台形
の上部幅が前記台形の
底部幅より小さく、前記台形の底角が、30~90度の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項10】
前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て、台形を含み、前記台形
の上部幅が前記台形の
底部幅より大きく、前記台形の底角が90~135度の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項11】
前記光電変換層が、第1のフォトダイオード、第2のフォトダイオード、及び前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードの間に配置されたディープトレンチアイソレーションを含み、
前記メタユニットが、前記第1のフォトダイオードの上方に配置された第1のメタユニット、前記第2のフォトダイオードの上方に配置された第2のメタユニット、及び前記ディープトレンチアイソレーションの上方に配置された第3のメタユニットを含み、
前記第1のメタユニットの大きさ、前記第2のメタユニットの大きさ、及び前記第3のメタユニットの大きさが互いに異なり、
前記複数のメタユニットの前記屈折率が、1.4から6.5の範囲に入ることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項12】
前記メタユニットは、2次元遷移金属ジカルコゲナイドであるZrO
2、TiO
2、Si
xN
y、ITO、Si、a-Si、p-Si、III-V半導体化合物、又はこれらの組み合わせからなり、上記でのx及びyは正の整数で、xは1から3の範囲に、yは1から4の範囲に入ることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項13】
前記複数のメタユニットは、2つ又は3つの層になって配列され、前記メタユニットの最下層は前記下地層の中に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項14】
さらに、前記の光電変換層及び前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、
前記複数のメタユニットのそれぞれの底面が前記カラーフィルター層の上面に接することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項15】
さらに、前記光電変換層及び前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、
前記カラーフィルター層は、複数の格子及び複数のカラーフィルターを含み、前記複数のメタユニットの前記光電変換層上への投射が、前記複数の格子の前記光電変換層上への投射と部分的に重なることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項16】
さらに、前記光電変換層及び前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、
前記複数のメタユニットが前記カラーフィルター層に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項17】
さらに、前記光電変換層及び前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、
前記カラーフィルター層が、複数の格子、及び複数のカラーフィルターを含み、
前記複数のメタユニットの前記光電変換層上への投射が、前記複数の格子の前記光電変換層の上への投射からスペースをもって離れて存在することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置に関する。より具体的には、本開示は、T字形のメタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサー(CISとも呼ばれる)の分野において、光学装置の焦点距離及び光学収差は画質に影響を及ぼし得る。光の焦点距離は光学装置の大きさに影響し得る。もし、様々な波長から成る光が適切に同調されない場合、画質はよくない。それ故、光学装置の画質を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、複数のメタユニットを有する様々な光学装置を提供するものである。複数のメタユニットは光学装置のそれぞれに埋め込まれる。メタユニットのそれぞれは、上部及び底部とからなり、上部の表面面積は底部の表面面積よりも大きい。本開示のメタユニットはより良い光学収差を提供するものであり、光学装置の画質を改善できるものである。
【0004】
本開示の一側面は、光学装置を提供することである。前記光学装置は、光電変換層、下地層、反射防止層、及び複数のメタユニットを含む。前記下地層は前記光電変換層の上に配置される。前記反射防止層は前記下地層の上に配置される。前記メタユニットは前記光電変換層の上方に配置され、ここで、前記複数のメタユニットのそれぞれが上部及び底部を含み、前記底部の前記光電変換層の上への投射が、前記上部の前記光電変換層の上への投射の内側となる。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部は前記反射防止層に埋め込まれ、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記底部は前記下地層に埋め込まれる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て長方形を含み、前記複数のメタユニットのそれぞれの底部の形状が、側面方向から見て長方形を含み、前記上部の上部幅は前記底部の底部幅よりも大きい。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記光電変換層の上への投射が、互いにスペースをもって離れている。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットの前記上部が、連続した上部を形成するようにつながっている。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の上部高さが、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記底部の底部高さよりも小さい。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの形状が、上面方向から見て、円形、正方形、又は長方形であり、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て、長方形又は台形である。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの形状が、上面方向から見てT字形又は十字形で、側面方向から見て台形である。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの上部の形状が、側面方向から見て台形を含み、前記台形の第1の上部幅が、前記台形の第2の上部幅より小さく、前記台形の底角は30~90度の範囲である。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットのそれぞれの前記上部の形状が、側面方向から見て台形を含み、前記台形の第1の上部幅が、前記台形の第2の上部幅より大きく、前記台形の一つの底角が90~135度の範囲である。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光電変換層が第1のフォトダイオード、第2のフォトダイオード、及び第1のフォトダイオードと第2のフォトダイオードの間に配置されたデイープトレンチインシュレーションを含み、前記メタユニットが、前記第1のフォトダイオードの上方に配置された第1のメタユニット、前記第2のフォトダイオードの上方に配置された第2のメタユニット、及び前記ディープトレンチアイソレーションの上方に配置された第3のメタユニットを含み、前記第1のメタユニット、前記第2のメタユニット、及び前記第3のメタユニットのサイズが互いに異なる。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、前記メタユニットは、2次元遷移金属ジカルコゲナイドであるZrO2、TiO2、SixNy、ITO、Si、a-Si、p-Si、III-V半導体化合物、又はこれらの組み合わせからなり、上記でのx及びyは正の整数で、xは1から3の範囲に、yは1から4の範囲である。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットは、2つ又は3つの層になて配列され、前記メタユニットの最下層は完全に下地層に埋め込まれる。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、複数のメタユニットの配列は、マトリックス配列、多角形配列、同心円、又は、ランダムである。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光学装置は、さらに前記光電変換層と前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、前記複数のメタユニットのそれぞれの上部は反射防止層に埋め込まれ、複数のメタユニットのそれぞれの底部は下地層に埋め込まれる。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光学装置は、前記複数のメタユニットのそれぞれの底面は前記カラーフィルター層の上面に接する。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光学装置は、さらに、前記光電変換層と前下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、前記カラーフィルター層は、複数の格子及び複数のカラーフィルターを含み、前記複数のメタユニットの前記光電変換層の上への投射が、前記複数の格子の前記光電変換層の上への投射に部分的に重なる。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光学装置は、さらに、前記光電変換層と前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、前記複数のメタユニットが前記カラーフィルター層に埋め込まれている。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、前記光学装置は、さらに、前記光電変換層と前記下地層の間に配置されたカラーフィルター層を含み、前記カラーフィルター層が、複数の格子及び複数のカラーフィルターを含み、前記複数のメタユニットの前記光電変換層の上への投射が、前記複数の格子の前記光電変換層の上への投射からスペースをもって離れている。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、前記複数のメタユニットの屈折率が前記下地層の屈折率よりも大きく、前記下地層の屈折率が前記反射防止層の屈折率より大きく、前記複数のメタユニットの屈折率が1.4から6.5の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の態様は、添付図を見ることで以下の詳細な説明から最良の理解が得られる。業界の標準的な方法に従い、様々な特徴は、正確な比率ではないことに注意されたい。実際、様々な特性の大きさは、論点を明確にするために、任意に増加したり、減少したりしてもよい。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置の断面図である。
【
図2A】
図1の光学装置のメタユニットの立体図である。
【
図2B】
図2Aのメタユニットの側面方向からみたものである。
【
図3A】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図4A】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図5】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図6】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図7】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図8】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図9】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図10】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図11】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図12】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの立体図である。
【
図13】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの配列の断面図である。
【
図14】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの配列の断面図である。
【
図15】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの配列の断面図である。
【
図16】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの配列の断面図である。
【
図17】本開示の代替の実施形態に係るメタユニットの配列の断面図である。
【
図18】本開示の実施形態に係るメタユニットの配列の上面方向からの図である。
【
図19】本開示の実施形態に係るメタユニットの配列の上面方向からの図である。
【
図20】本開示の実施形態に係るメタユニットの配列の上面方向からの図である。
【
図21】本開示の実施形態に係るメタユニットの配列の上面方向からの図である。
【
図22】本開示の実施形態に係る光学装置の断面図である。
【
図23A】本開示の実施形態に係るカラーフィルター層の上面方向からの図である。
【
図23B】
図23Aのカラーフィルター層の上方にあるメタユニットの配列を上面方向から見た図である。
【
図24】本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置の断面図である。
【
図25】本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置の断面図である。
【
図26】本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態又は実施例を提供する。本開示を単純化するために構成要素及び配置の具体例を以下に記載する。これらは、もちろん、単なる例であり、限定することを意図するものではない。例えば、以下の説明における第2の構成の上方又は上の第1の構成の形成は、第1及び第2の構成が直接接触して形成される実施形態を含み得るし、第1及び第2の構成が直接接触しないように、追加の構成が第1及び第2の構成の間に形成され得る実施形態を含み得る。さらに、本開示は、様々な例において参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化及び明確化を目的としており、それ自体、説明される様々な実施形態及び/又は構成間の関係を示すものではない。いずれの要素及び構成の数も、単に説明するためのものであり、本開示を制限するためのものではないことを理解されたい。
【0026】
本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々な要素を説明しているが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のいずれか及びすべての組み合わせを含む。
【0027】
さらに、「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるように、ある要素又は構成と別の要素又は構成との関係を説明するためのものであり、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することを意図する。装置は他の方向を向いていてもよく(90度又は他の向きに回転してもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子も同様に解釈され得る。
【0028】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置100の断面図である。光学装置100は、光電変換層110、バッファー層120、下地層130、反射防止(ARC)層140、及び複数のメタユニット150を含む。光電変換層110は、複数のフォトダイオード112(フォトダイオード112a、112b、112cを含む)及びフォトダイオード112のそれぞれを分離している複数のディープトレンチアイソレーション(DTIs)114を含む。フォトダイオード112は、外部光(例えば光L)を検出するために構成されている。バッファー層120は光電変換層110の上に配置される。いくつかの実施形態では、バッファー層120は有機材料又は無機材料を含んでもよい。バッファー層120はシリコンの反射を減らすために構成される。下地層130は、バッファー層120の上に配置される。いくつかの実施形態では、下地層130は、樹脂、ポリイミド、アクリレート、ポリビニルアルコール、又はフォトレジストの材料を含んでもよい。反射防止層140は下地層130の上に配置され、反射を防ぐために構成される。いくつかの実施形態では、反射防止層140は有機マルチフィルム材料、又は、SiO
2、SiH、TiO
2、Ti
3O
5、Ta
2O
5、MgF
2、Al
2O
3、ZrO
2などの無機マルチフィルム材料、もしくは他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射防止層140は、モスアイ微細構造などの複数の微細構造を含んでもよい。
【0029】
図1に示すように、メタユニット150は光電変換層110の上方に配置される。具体的には、メタユニット150は下地層130と反射防止層140に埋め込まれる。メタユニット150のそれぞれはスペースを空けて配置されている。メタユニット150は、第1の方向D1に伸び、実質的に第1の方向及び垂直な第2の方向D2に沿って配置される。複数のメタユニット150は「メタ層」を形成する。メタユニット150は、メタユニット150の形状及び配列によって、集光、光分岐、散乱、フィルタリング、屈折、及び反射といった光学的機能を生むことができる。メタユニット150は、光Lの焦点を合わせる、焦点をぼかす、又は光学収差を補正するといった撮像機能に用いられる。いくつかの実施形態では、メタユニット150は、2次元遷移金属ジカルコゲナイド(2D TMDs)であるZrO
2、TiO
2、Si
xN
y(x及びyは正の整数で、xは1から3の範囲に、yは1から4の範囲に入る)、ITO、Si、a-Si、p-Si、III-V半導体化合物、又はこれらの組み合わせからなりからなってもよい。
【0030】
図1を参照されたい。下地層130の厚みTは、バッファー層120の上部表面120Sへのメタユニット150のそれぞれのボトム表面150Sとして定義される。下地層130の厚みTは 光Lが反射防止層140及びメタユニット150を通過した後の光Lの焦点距離によって決めてもよい。光Lの焦点距離は、異なるメタユニット150の設計及び配列に関係する。いくつかの実施形態では、下地層130の厚みは、500、1000、1300、1800、2500、3000、又は3500nmなど、0nmから4000nmの範囲でよい。下地層130の厚みTが4000nmよりも大きい場合は、光学装置100の画質には良い影響を与えないかもしれない。
【0031】
図2Aは、
図1の光学装置100におけるメタユニット150の立体図である。メタユニット150は上部TP及び上部TPとつながった底部BPを含む。上部TP及び底部BPはいずれも、第1の方向D1に伸びる。いくつかの実施形態では、上部TPは第1の方向D1に沿って連続して伸び、底部BPに直接接する。上部TPの表面積Atは底部BPの表面積よりも大きい。上部TPの材料は底部BPの材料と同一である。
図2Aに示すように、メタユニット150の形状は、上面方向又は下面方向から見てから見て円形である(D2-D3平面において、方向D3は実質的に方向D1及び方向D2に直行する)。上部TPの表面積Atは、底部BPの表面積よりも大きい。上部TPの材料は、底部BPの材料と同一である。
図2Aに示すように、メタユニット150の形状は、上面方向又は下面方向から見てから見て円形である(D2-D3平面において、方向D3は実質的に方向D1及び方向D2に直行する)
図1のように、メタユニット150のそれぞれの上部TPは反射防止層140に埋め込まれ、メタユニット150のそれぞれの底部は下地層130に埋め込まれる。
【0032】
図2Bは、
図2Aのメタユニット150の側面方向から見た図である。メタユニット150はT字形構造を有している。いくつかの実施形態では、メタユニット150の全高Hは、1、2.5、3.5、又は、4.5μmなど、0.05μmから5μmの範囲である。いくつかの実施形態では、上部TPの上部高htは底部BPのボトム高hbとは異なる。いくつかの実施形態では、上部TPの上部高htは、底部BPのボトム高よりも小さい。いくつかの実施形態では、ボトム高hbに対する上部高htの比は、1/15、1/10、1/5、1/4、又は1/2であり、1/20から1の範囲である。いくつかの実施形態では、この比が1/5又は1/4よりも小さいときは、光学装置100の画質に良い影響を与えないかもしれない。
図2Bに示されるように、メタユニット150のそれぞれの上部TPの形状は側面方向から見て長方形が含まれ、メタユニット150のそれぞれの底部BPの形状は、側面方向から見て長方形が含まれる。いくつかの実施形態では、上部TPの上部幅Wtは、底部BPのボトム幅Wbよりも大きい。いくつかの実施形態では、上部幅は、40nmから850nmの範囲である。いくつかの実施形態では、ボトム幅Wbは、20nmから800nmの範囲である。メタユニット150のサイズは、光学装置100.の設計及び要求により調整できると理解される。
【0033】
図1及び
図2Bを参照されたい。メタユニット150の上部TPは、反射防止層140の下部に埋め込まれ、メタユニット150の底部BPは下地層130の上部に埋め込まれています。上部TPの表面積Atは底部BPの表面積よりも大きく、底部BPの光電変換層110の上への投射Pbは、上部TPの光電変換層110の上への投射Ptの中に存在するので、
図1及び
図2Aを参照されたい。言い換えれば、投射Pbは投射Ptよりも小さい。
図1に示されたメタユニット150のそれぞれは、底部BPの光電変換層110の上への投射Pb及び上部TPの光電変換層110の上への投射Ptを有し、そこでは、異なるメタユニットの投射Pbが互いにスペースをもって離れており、異なるメタユニット150の投射Ptは互いにスペースをもって離れていると理解される。
【0034】
いくつかの実施形態では、メタユニット150の屈折率は下地層130の屈折率よりも大きく、下地層130の屈折率は反射防止層140の屈折率よりも大きい。異なる波長からなる光Lが、光学装置100に伝わる時、メタユニット150でエネルギー共鳴が発生する。具体的には、メタユニット150は、反射防止層140及び下地層130よりも屈折率が高いので、光Lはメタユニット150の中でエネルギー共鳴により同調される。さらに具体的には、メタユニット150の中で、エネルギー共鳴が起きるので、長い波長(例えば、赤色光)を有する光Lの屈折角は、短い波長(例えば青色光)を有する光Lの屈折角よりも大きくなる。それ故、光Lはメタユニット150を介し、光電変換層110に向けて分光される。加えて、メタユニット150はT字形構造(メタユニット150の上部TPのサイズはメタユニット150の底部BPよりも大きい)なので、分光の結果は円柱形のメタユニットよりもよい。結果として、本開示のメタユニット150は、光Lのより良い分光結果を提供することができ、光学装置100の画質を改善できる。
【0035】
いくつかの実施形態では、メタユニット150の屈折率は、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6など、1.4から6.5の範囲である。もし、メタユニット150の屈折率が1.4未満又は6.5超の場合は、上述の望ましい光学現象は得られないかもしれない。もし、メタユニット150の屈折率が下地層130の屈折率よりも小さい場合は、上述の望ましい光学現象は得られないかもしれない。メタユニット150の屈折率が反射防止層140の屈折率よりも小さいときは、反射防止層140は光Lの反射を増加させる。
【0036】
再度、
図1を参照されたい。メタユニット150のそれぞれのサイズは互いに異なってもよい。例えば、フォトダイオード112bの上方にあるメタユニット150のサイズは、112cの上方にあるメタユニット150よりも大きい(広い)。フォトダイオード112aの上方にあるメタユニット150のサイズは、フォトダイオード112cの上方にあるメタユニット150よりも大きい(広い)。フォトダイオード112aの上方にあるメタユニット150のサイズ、フォトダイオード112bの上方にあるメタユニット150のサイズ、DTI 114の上方にあるメタユニット150のサイズは、互いに異なる。
【0037】
任意の2つの隣接したメタユニット150の2つのセンターラインの間のスペースSは、
図1で示すように同一である。いくつかの実施形態では、スペースSは光Lの波長よりも小さい。他の実施形態では、任意の2つのメタユニット150の2つの中央線のスペースSは異なる。いくつかの実施形態では、フォトダイオード112a、112b、112cのいずれか一つの上方に、メタユニット150がなくてもよい。異なるメタユニット150の異なるサイズ及びメタユニット150の配列は、異なる光収差の原因となり、光学装置100の設計及び要求に応じて調整できるものである。
【0038】
図3A、
図4A、及び
図5から
図12はそれぞれ、本開示での代替の実施形態に係るメタユニット150aから150jの立体図である。メタユニット150aから150jのそれぞれが、
図1で示されたメタユニット150の代替の実施例になりえる。言い換えれば、
図1で示されるメタユニット150は、メタユニット150a~150jのいずれか一つで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、
図1で示すメタユニット(メタユニット150、150a~150jを含む)のそれぞれの形状は、上面方向(D2-D3平面)から見て、円形、正方形、長方形、又はこれらの組み合わせである。メタユニット150a~150jのいずれか一つの上部TPのそれぞれのサイズはメタユニット150a~150jのいずれの底部BPのそれぞれのサイズよりも大きいことに注意されたい。
【0039】
図3A及び
図3Bを参照されたい。
図3Bは
図3Aのメタユニット150aの側面方向からの図である。
図3Bで示されように、メタユニット150aの上部TPの形状は台形を含み、この台形の第1の上部幅Wt1は、この台形の第2の上部幅Wt2よりも小さい。具体的には、上部TPは上から下にかけて幅が徐々に増加する。いくつかの実施形態では、この台形の底角θ1は、45、60、又は75度であり、30度から90度の範囲である。
【0040】
図4A及び
図4Bを参照されたい。
図4Bは
図4Aのメタユニット150bの側面方向からの図である。
図4Bで示すように、メタユニット150bの上部TPの形状は台形を含み、この台形の第1の上部幅Wt1は、この台形の第2の上部幅Wt2よりも大きい。具体的には、上部TPは上から下にかけて幅は徐々に減少する。いくつかの実施形態では、この台形の底角θ2は、100、110、120、又は130度であり、90度から135度の範囲である。
図3A及び
図4Aで示すように、メタユニット150a、150bの形状は、上面方向又は底面方向から見て円形(D2-D3平面)である。
【0041】
図5で示すように、メタユニット150cの上部TP及び底部BPの形状はいずれも、上面方向又は下面方向から見て正方形である。
図6で示すように、メタユニット150dの上部TP及び底部BPの形状はいずれも、上面方向又は下面方向から見て正方形である。メタユニット150dは側面方向(D1-D2平面又はD1-D3平面)から見て台形を有している。
【0042】
図7で示すように、メタユニット150eの上部TP及び底部BPの形状はいずれも、上面方向又は下面方向から見て長方形である。
図8で示すように、メタユニット150fの上部TP及び底部BPの形状はいずれも、上面方向又は下面方向から見て長方形である。メタユニット150fは側面方向(D1-D2平面又はD1-D3平面)から見て台形を有している。言い換えれば、メタユニット150fは側面方向から見て台形を有している。
【0043】
図9で示すように、メタユニット150gの上部TP及び底部BPはいずれも、上面方向又は下面方向から見て、T字形を有し、上部TPのT字形は底部BPのT字形よりも大きい。
図10で示すように、メタユニット150hの上部TP及び底部BPはいずれも、上面方向又は下面方向から見てT字形であり、上部TPのT字形は底部BPのT字形よりも大きい。メタユニット150hは側面方向(D1-D2平面又はD1-D3平面)から見て台形を有している。
【0044】
図11で示すように、メタユニット150iの上部TP及び底部BPはいずれも、上面方向又は下面方向から見て、十字形を有し、上部TPの十字形は底部BPの十字形よりも大きい。
図12で示すように、メタユニット150jの上部TP及び底部BPはいずれも、上面方向又は下面方向から見て十字形を有している。メタユニット150jは側面方向(D1-D2平面又はD1-D3平面)から見て台形を有している。
【0045】
図13は、本開示の代替の実施形態に係るメタユニット150の配列の断面図である。メタユニット150のそれぞれのサイズは、互いに同じで、メタユニット150のそれぞれは互いにスペースをもって離れている。同様に、メタユニット150の上部TPは、反射防止層140の下部に埋め込まれ、メタユニット150の底部BPは、下地層130の上部に埋め込まれている。
【0046】
図14及び
図15は、本開示の代替の実施形態に係るメタユニット150の配列の断面図である。様々なメタユニットの上部TP(
図1を参照されたい)は、一つの連続した上部151を形成するように共に結合し、様々なメタユニットの底部BPは連続した上部151から突き出ている、その結果、メタユニット150は櫛形を有する。具体的には、連続した上部151は、下地層130及び反射防止層140の間に配置される。メタユニット150の底部のそれぞれの大きさは
図14に示すように互いに同じである。メタユニット150の底部BPのそれぞれの大きさは
図15に示すように互いに異なる。
【0047】
図16及び
図17は、本開示の代替の実施形態に係るメタユニット150の配列の断面図である。
図16に示すように、複数のメタユニットは2層(第1層L1及び第2層L2)に配列されており、第2層は完全に下地層130に埋め込まれている。
図17に示すように、複数のメタユニットは3層(第1層L1、第2層L2、及び第3層L3)に配列されており、第3層は完全に下地層130に埋め込まれている。
【0048】
図18から
図21は、本開示の代替の実施形態に係るメタユニット150の配列の上面方向からの図である。メタユニット150は、
図18に示すように、マトリックス配列を形成するように配列してもよい。メタユニット150は、
図19で示すように六角形配列など多角形配列を形成するように配列してもよい。メタユニット150は、
図20のように同心円を形成するよう形成するように配列してもよい。メタユニット150は、
図18で示すようにランダムに配列してもよい。メタユニット150の配列は、光学装置の設計及び要求に応じて調整できる。
【0049】
図22は、本開示でのいくつかの実施形態に係る光学装置100Aの断面図である。
図22の光学装置100A及び
図1の光学装置100の違いは、カラーフィルター層160である。ここでは、同じ特徴は同じ数値参照でラベルされており、同じ特徴の記載は繰り返されていない。メタユニット150は、メタユニット150-1、150-2、150-3、150-4、150-5、150-6、150-7を含む。カラーフィルター層160は、光電変換層110及び下地層130の間に配置されている。カラーフィルター層160はバッファー層120の上に配置されている。カラーフィルター層160は、複数の格子161及び複数のカラーフィルター162a、162b、162cを含む。格子161は、カラーフィルター162a、162b、162cを区切るものである。
【0050】
さらに、
図22を参照されたい。メタユニット150-2はカラーフィルター162a及びフォトダイオード112aに対応し、メタユニット150-4はカラーフィルター162b及びフォトダイオード112bに対応し、メタユニット150-6はカラーフィルター162c及びフォトダイオード112cに対応している。メタユニット150-1、150-3、150-5、150-7は、格子161及びDTIs114に対応する。それ故、メタユニット150(メタユニット150-1~150-7を含む)の光電変換層110の上への投射は、格子161の光電変換層110の上への投射と部分的に重なる。具体的には、メタユニット150-1、150-3、150-5、150-7の光電変換層110の上への投射は、グリッド161の光電変換層110の上への投射と重なる。カラーフィルター層160は一つの配列で並べられ、RGBフィルター、RGBWフィルター、RGBCフィルター、RYYBフィルター、CMYフィルター、又は他の組み合わせフィルターを含んでもよい。例えば、カラーフィルター162aは赤フィルターでもよく、カラーフィルター162bは緑フィルターでもよく、カラーフィルター162cは青フィルターでもよい。
【0051】
図23Aは、本開示のいくつかの実施形態に係るカラーフィルター層160aの上面方向からの図である。カラーフィルター層160aはRGBWフィルターの配列である。
図23Bは、
図23Aのカラーフィルター層160aの上方にあるメタユニット150の上面方向からの図であり、いくつかの要素は明確さのため図示されていない。
図23A及び
図23Bで示すように、メタユニット150はRGBフィルター上方にのみ配置され、Wフィルターの上方に配置されたメタユニット150はない。Rフィルター、Gフィルター、及びBフィルターのそれぞれにおいて、メタユニット150はランダムに配置されている。
【0052】
図24は、本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置100Bの断面図である。
図24の光学装置100B及び
図22の光学装置100Aの違いは、下地層130の厚みである。具体的には、メタユニット150のそれぞれのボトム表面150Sは、カラーフィルター層160の上部表面160Sに接する。
【0053】
図25は本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置100Cの断面図である。
図25の光学装置100C及び
図22の光学装置100Aの違いは、メタユニット150の位置及びメタユニット150の数である。具体的は、メタユニット150-2、150-4、150-6はカラーフィルター層160に埋め込まれる。より具体的には、メタユニット150-2はカラーフィルター162aに埋め込まれ、メタユニット150-4はカラーフィルター162bに埋め込まれ、メタユニット150-6はカラーフィルター162cに埋め込まれる。メタユニット150(メタユニット150-2、150-4、150-6)は格子161からスペースをもって離れており、メタユニット150(メタユニット150-2、150-4、150-6)の光電変換層110の上への投射は、格子161の光電変換層110の上への投射からスペースをとって離れている。
【0054】
図26は、本開示のいくつかの実施形態に係る光学装置100Dの断面図である。
図26の光学装置100D及び
図25の光学装置100Cの違いは、格子161及びメタユニット150の数である。具体的には、光学装置100Cにおけるカラーフィルター層160の格子161は、メタユニット150-1、150-3、150-5、150-7によって置き換えられている。メタユニット150-2は、カラーフィルター162aの中に残り、メタユニット150-4はカラーフィルター162bの中に残り、メタユニット150-6はカラーフィルター162cに残っている。メタユニット150-3はカラーフィルター162a及び162bの境界に配置され、メタユニット150-5はカラーフィルター162b及び162cの境界に配置される。
【0055】
本開示の光学装置は、内部に埋め込まれた複数のメタユニットを有している。メタユニットのそれぞれは、上部及び底部を有し、上部の表面積は底部の表面積よりも大きい。本開示のメタユニットは、よりよい光学収差を提供することができ、光学装置の画質を向上させるものである。
【0056】
本開示は以上の通りであるが、本開示は本開示を制限するために使われるものではない。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び改変を行うことができる。したがって、本開示の保護範囲は、本願に添付された特許請求の範囲及びその同等の構成に従うものである。