(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】車両電池セル整合性評価方法、装置、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01R 31/396 20190101AFI20250214BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20250214BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20250214BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20250214BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20250214BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20250214BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20250214BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20250214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G01R31/396
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
G01R31/382
G01R31/387
G01R31/389
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
(21)【出願番号】P 2023122042
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】202210903909.2
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523284985
【氏名又は名称】浙江極▲け▼智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG ZEEKR INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】523284996
【氏名又は名称】威睿電動汽車技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIRIDI E-MOBILITY TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 198, Yinwan East Rd., Hangzhou Bay New Zone, Ningbo, Zhejiang China
(73)【特許権者】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】牛 尚氷
(72)【発明者】
【氏名】張 正磊
(72)【発明者】
【氏名】顧 斌
(72)【発明者】
【氏名】趙 志偉
(72)【発明者】
【氏名】孫 哲
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼ 紫威
(72)【発明者】
【氏名】林 晨
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞天
(72)【発明者】
【氏名】牛 亜▲き▼
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第114114039(CN,A)
【文献】国際公開第2022/009696(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/004357(WO,A1)
【文献】WANG Qiushi, et al.,A Novel Consistency Evaluation Method for Series-Connected Battery Systems Based on Real-World Operation Data,IEEE TRANSACTIONS ON TRANSPORTATION ELECTRIFICATION,VOL.7, NO.2,2021年06月30日,p.437-p.451
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/42
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電池セル整合性評価方法であって、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出するステップと、
予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得るステップと、
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定するステップと、を含み、
前記セル整合性指標データを得る前記ステップは、
セル整合性指標に基づいて前記有効セルデータを分類して、各セル整合性初期データを得るステップと、
前記各セル整合性初期データに対応するセル整合性指標処理方法を取得し、前記セル整合性指標処理方法に従って、前記各セル整合性初期データをそれぞれ処理して、
前記セル整合性指標データとして使用可能である各セル整合性指標特徴ベクトルを得るステップと、
を含み、
前記セル整合性指標処理方法は、
各フレームのセル整合性初期データにおける前記セル整合性指標の中央値を算出し、各前記セル整合性指標から当該フレームのデータの前記セル整合性指標の中央値を差し引くことで、当該フレームのデータにおける各前記セル整合性指標と中央値との偏差を取得するステップ、および、
前記セル整合性指標の平均偏差を算出し、大きさがn×1であるセル整合性指標特徴ベクトルを取得するステップであって、nがセルの数であるステップ、
を含むことを特徴とする車両電池セル整合性評価方法。
【請求項2】
予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する前記ステップの前に、
前記車両運転データ内に異常データが存在するか否かを検出するステップと、
異常データがある場合、前記異常データを取り除いて、有効運転データを得るステップと、
をさらに含む請求項1に記載の車両電池セル整合性評価方法。
【請求項3】
予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する前記ステップは、
前記有効データ基準のうちの電流データ基準と充電状態基準とを取得するステップと、
前記電流データ基準と前記充電状態基準とを満たす有効運転データを、前記有効セルデータとして選出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の車両電池セル整合性評価方法。
【請求項4】
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求める前記ステップは、
前記各セル整合性指標特徴ベクトルをセル指標特徴行列として結合し、前記セル指標特徴行列の共分散行列を求めるステップと、
前記セル指標特徴行列と前記共分散行列とに基づいて、各電池セルのマハラノビス距離を求め、前記各電池セルのマハラノビス距離の総和を前記総指標偏差値とするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両電池セル整合性評価方法。
【請求項5】
前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する前記ステップの後に、
前記各電池セルのマハラノビス距離の平均値を求めるステップと、
各電池セルのうち、前記マハラノビス距離の平均値と予め設定された距離閾値を超えた電池セルを、整合性リスクのあるセルとして選出するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の車両電池セル整合性評価方法。
【請求項6】
偏差閾値補正パラメータを取得し、前記偏差閾値補正パラメータに従って前記偏差閾値を補正するステップ
をさらに含む請求項1から5の何れか一項に記載の車両電池セル整合性評価方法。
【請求項7】
車両電池セル整合性評価装置であって、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する取得モジュールと、
予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得る処理モジュールと、
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する判定モジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、
セル整合性指標に基づいて前記有効セルデータを分類して各セル整合性初期データを取得し、
前記各セル整合性初期データに対応するセル整合性指標処理方法を取得し、
前記セル整合性指標処理方法に従って、前記各セル整合性初期データをそれぞれ処理して、
前記セル整合性指標データとして使用可能である各セル整合性指標特徴ベクトルを
取得し、
前記セル整合性指標処理方法において、
各フレームのセル整合性初期データにおける前記セル整合性指標の中央値を算出し、各前記セル整合性指標から当該フレームのデータの前記セル整合性指標の中央値を差し引くことで、当該フレームのデータにおける各前記セル整合性指標と中央値との偏差を取得し、
前記セル整合性指標の平均偏差を算出し、大きさがn×1であるセル整合性指標特徴ベクトルを取得し、nがセルの数である
ことを特徴とする車両電池セル整合性評価装置。
【請求項8】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサ上で動作できる車両電池セル整合性評価プログラムとを含む電子機器であって、
前記車両電池セル整合性評価プログラムは、請求項1に記載の車両電池セル整合性評価方法のステップを実現するように構成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
車両電池セル整合性評価プログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記車両電池セル整合性評価プログラムがプロセッサにより実行された場合、請求項1に記載の車両電池セル整合性評価方法のステップを実現する
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新エネルギー車両の技術分野に関するものであり、特に、車両電池セル整合性評価方法、装置、機器及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車両には通常、電池の監視と制御を行うために、BMS(Battery Management System:電池管理システム)が搭載されている。電池セル(cell)は電池パック(pack)を構成する基本ユニットであり、電池セルの整合性とは各電池セルの重要な特徴パラメータの収束性である。車両電池パック内の電池セルの整合性が悪くなった場合、BMSの故障警報がトリガされ、BMSは車両の一部の性能を制限するため、使用者の車両の使用体験を低下させる。
【0003】
従来では、車両の電池セルに対して整合性監視を行う場合、通常の手段としては、車両側BMSで電池セルのSOC(State of Charge:充電状態)と温度とを検出し、最大値と最小値との差が設定閾値に達したことを検出したときに警報をトリガする。この方法は実行が簡単であるが、誤警報や警報漏れが極めて発生しやすく、整合性評価の正確度が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、電池セル整合性評価正確度が低いという問題を解決するための、車両電池セル整合性評価方法、装置、機器及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願は、車両電池セル整合性評価方法を提供し、前記方法は、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出するステップと、
予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得るステップと、
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定するステップと、を含む。
【0006】
あるいは、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する前記ステップの前に、
前記車両運転データ内に異常データが存在するか否かを検出するステップと、
異常データがある場合、前記異常データを取り除いて、有効運転データを得るステップと、をさらに含む。
【0007】
あるいは、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する前記ステップは、
前記有効データ基準のうちの電流データ基準と充電状態基準とを取得するステップと、
前記電流データ基準と前記充電状態基準とを満たす有効運転データを、前記有効セルデータとして選出するステップと、を含む。
【0008】
あるいは、予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得る前記ステップは、
前記有効セルデータを分類して、各セル整合性初期データを得るステップと、
前記各セル整合性初期データに対応するセル整合性指標処理方法を取得し、前記セル整合性指標処理方法に従って、前記各セル整合性初期データをそれぞれ処理して、各セル整合性指標特徴ベクトルを得るステップと、を含む。
【0009】
あるいは、前記各セル整合性指標偏差値に基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求める前記ステップは、
前記各セル整合性特徴ベクトルをセル指標特徴行列として結合し、前記セル指標特徴行列の共分散行列を求めるステップと、
前記セル指標特徴ベクトルと前記共分散行列とに基づいて、各電池セルのマハラノビス距離を求め、前記各電池セルのマハラノビス距離の総和を前記総指標偏差値とするステップと、を含む。
【0010】
あるいは、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する前記ステップの後に、
前記各電池セルのマハラノビス距離標準偏差を求めるステップと、
各電池セルのうち、前記マハラノビス距離標準偏差と予め設定された距離閾値を超えた電池セルを、整合性リスクのあるセルとして選出するステップと、をさらに含む。
【0011】
あるいは、前記車両電池セル整合性評価方法は、
偏差閾値補正パラメータを取得し、前記偏差閾値補正パラメータに従って前記偏差閾値を補正するステップをさらに含む。
【0012】
さらに、上記の目的を達成するために、本願は、車両電池セル整合性評価装置を提供し、前記車両電池セル整合性評価装置は、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する取得モジュールと、
予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得る処理モジュールと、
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する判定モジュールと、を含む。
【0013】
さらに、上記の目的を達成するために、本願は電子機器をさらに提供し、前記電子機器は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサ上で動作できる車両電池セル整合性評価プログラムとを含み、前記車両電池セル整合性評価プログラムは、上記の車両電池セル整合性評価方法のステップを実現するように構成されている。
【0014】
さらに、上記の目的を達成するために、本願は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体は車両電池セル整合性評価プログラムを記憶しており、前記車両電池セル整合性評価プログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両電池セル整合性評価方法のステップを実現する。
【0015】
本願によれば、車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出し、予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得て、前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定することにより、単一の整合性指標についてそれぞれ閾値の判定を行う方法に取って代わり、総指標偏差値により電池セルの各整合性指標の具合いを総合的に反映させるため、評価のプロシージャがより全面的になり、評価結果の正確度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願により提供される車両電池セル整合性評価シナリオの模式図である。
【
図2】本願の車両電池セルの整合性評価方法の第1の実施例の模式フローチャートである。
【
図3】本願の車両電池セルの整合性評価方法の第2の実施例の模式フローチャートである。
【
図4】本願の車両電池セル整合性評価装置の模式図である。
【
図5】本願の実施例の案にかかる、ハードウェア運転環境の電子機器構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0018】
ここで説明する具体的な実施例は本願を解釈するためだけに使われるものであって、本願を限定するために使われるものではないことは、理解しておくべきである。
【0019】
車両駆動用電池パックには通常、電池パックの電圧、電流、温度、電池充電状態などの指標の変化を監視するために、各種センサが搭載される。また、電源管理システムにおいても、異なる指標に対して、過熱警報、過・不足電圧警報、セルSOC差異過大警報など、多数の障害警報ポリシーが設定されている場合が多い。一部の警報がトリガされると、安全性などの理由から、BMSは、出力パワーの制限や電池使用可能残量の制限など、自動車の一部の性能を制限する。その中で、電池セルの整合性が悪いと電池セルのSOC同士の差が大きくなるため、電池パックの使用可能容量が低下したり(桶理論)、充放電時に電池セルの温度差が大きくなったり、電池性能に影響を与えることがある。電池セルの整合性は現在、業界及び使用者の間で注目されている。
【0020】
従来では、電池セル整合性の監視について、通常の案としては、車側BMSで電池セルのSOCと温度とを検出し、SOCの最大値とSOCの最小値との差が工場出荷時に設定された閾値を超えた場合、又は温度の最大値と温度の最小値との差が工場出荷時に設定された閾値を超えた場合、警報をトリガする。しかしながら、工場出荷時に設定された閾値のみで警報をトリガしては、設定閾値が小さければ誤警報、大きければ警報漏れが発生する可能性があり、また、閾値の調整にはOTA(Over-the-Air Technology:エアダウンロードテクノロジー)のバージョンアップや車両を修理所に入って新しいバージョンのソフトウェアに更新する必要があり、閾値の調整に要する時間が長く、操作が煩雑である。多くの車両側BMSは、電池セル指標の最大値、最小値及び平均値を計算するのみであり、各電池セルの変化状況を評価及び監視することはできず、また、セルの内部抵抗整合性を評価することは通常不可能である。
【0021】
中華人民共和国国家工業情報化部のGB/T 32960の要求に準じて、新エネルギー自動車は運転データを企業が設立したビッグデータプラットフォームに一定の頻度でアップロードする。
図1は、本アプリケーションにおける車両用バッテリーセルの整合性評価の場面の模式図です、
図1に示すように、車両とクラウドのビッグデータプラットフォームとの間で通信が可能である。車両がビッグデータプラットフォームに伝送するデータには、車両側の各種センサによる測定データが含まれてもよいため、車両の運転状況をより全面的に反映させることができる。ビッグデータプラットフォームは、収集したデータを利用して、車両電池セル整合性の評価を行うことができる。
【0022】
本願の実施例は、車両電池セル整合性評価方法を提供する。
図2を参照し、
図2は、本願の車両電池セル整合性評価方法の第1の実施例の模式フローチャートである。
【0023】
本実施例において、前記車両電池セル整合性評価方法は、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出するステップS10を含む。
【0024】
なお、本実施例は、
図1に示すビッグデータプラットフォームを実行の主体とする。ビッグデータプラットフォームは車両がアップロードした車両運転データを取得する。GB/T 32960の要求に準じて、ビッグデータプラットフォームは新エネルギー自動車の車両運転データを毎日収集してもよい。具体的には、車両運転データには、車台番号、メッセージ送信時刻、電池パックの総電圧、総電流、充電状態、絶縁抵抗、走行距離、電池の各セル電圧、電池の各温度プローブの測定温度、モータバスバー電圧等が含まれてもよい。
【0025】
車両運転データには、車両の運転状態を表す様々な種類のデータが含まれており、電池セル整合性評価に対し、車両運転データ内の有効セルデータを選出して、有効セルデータに基づいて分析及び評価を行うことができる。電池セルは車両電池パックを構成する基本ユニットであり、電池セルに設けられた温度測定プローブ及びセンサにより電池セルのセルデータを監視し、予め設定された有効データ基準に適合するセルデータを有効セルデータとすることができる。
【0026】
一例として、予め設定された有効データ基準に従って、車両運転データ内の有効セルデータを選出するステップの前に、
前記車両運転データ内に異常データが存在するか否かを検出するステップA1と、
異常データがある場合、前記異常データを取り除いて、有効運転データを得るステップA2と、をさらに含んでもよい。
【0027】
ビッグデータプラットフォームには膨大な量の車両運転データが存在し、その中には異常状況発生時の異常データが含まれている可能性があり、車両運転データに対してスクリーニング及びクレンジングを行い、正常状況に合致した有効運転データを残すことができる。
【0028】
異常データは、セル異常データと伝送異常データとに分けられてもよい。セル異常データは、車両駆動用電池パック内の各電池セルの状況に関連しており、電池セルの異常状況としては、セル電圧が有効値範囲外であること、プローブ温度が有効値範囲外であること、セル電圧が全て同じであること、プローブ温度が全て同じであること、センサが測定したセル数と実際のセル数とが異なることなどが挙げられる。セル電圧が有効値範囲外であることは、セルの電圧が過大又は過小であり、電池パックの正常な動作に影響する可能性があることを示す。プローブ温度が有効値範囲外であることは、セルの温度が高すぎ、又は低すぎて、充電電流が大きすぎて電解液が少なくなったり、プローブがうまく接続されなかったりする可能性があることを示す。通常では、センサが検出したセル電圧とセル温度には差異が存在し、全て同じである現象は発生しない。全てが同じであることは、セル電圧又はセル温度を測定するためのセンサに問題が発生した可能性があることを示し、セル数が異なることも、このような状況と似て、センサに問題が発生した可能性がある。異常データの伝送は、車両とビッグデータプラットフォームとの間のデータ伝送と関連する。一部の車両では、BMSがすでにスリープ状態に入っているが、T-BOX(Telematics BOX:遠隔情報処理ボックス)は依然としてスリープしていない状態にある状況が発生する可能性があり、このとき、車両の各センサはもはやデータを収集、更新しなくなったが、T-BOXは依然として、BMSがスリープ状態に入る前の最後の時刻のデータを繰り返して送信する。フィルタリングして異常データを除去すると、有効運転データが得られる。
【0029】
ビッグデータプラットフォームに含まれる車両運転データに対してスクリーニング及びクレンジングを行い、使用要求に合致する有効運転データを得ることで、後続のデータ処理の効率を高めることができる。
【0030】
一例として、予め設定された有効データ基準に従って、車両運転データ内の有効セルデータを選出するステップは、
前記有効データ基準のうちの電流データ基準と充電状態基準とを取得するステップB1と、
前記電流データ基準と前記充電状態基準とを満たす有効運転データを、前記有効セルデータとして選出するステップB2と、を含んでもよい。
【0031】
有効運転データは、データ選出前の原データと見なされてもよく、まず有効運転データ内のセルデータを抽出し、さらに、異なる有効データ基準に従って、セルデータに対して異なるスクリーニング操作を行うことにより、有効セルデータを得ることができる。予め設定された有効データ基準は、実際のデータ分析のニーズに合わせて調整されてもよい。本実施例で選択されるセル整合性指標は、セルSOC、セル温度、及びセル内部抵抗である。有効セルデータは、セル整合性指標に関連付けられ、各セル整合性指標に対応する有効データ基準は異なっていてもよい。電流データ基準には、電流閾値区間が含まれてもよい。なお、セル整合性指標に対応する有効セルデータが得られる前に、データ処理を行い、直接スクリーニングして得られたセルデータを中間量とすると、最終的に処理して得られたデータが有効セルデータとなる。
【0032】
以下では異なる有効データ基準について例を挙げて説明する。セル整合性指標がセルSOCである場合、電流データ基準は[-2,+2]Aであり、充電状態標準は「未充電」又は「充電完了」であり且つ30秒以上続くこととしてもよく、電池のメールが提供するOCV(Open Circuit Voltage:開回路電圧)-SOC曲線に基づいて、セル電圧U
iをセルSOC
iに変換し、ここで、iはセル番号を示す。セル整合性指標がセル温度である場合、電流データ基準は[-2,+2]Aであり、充電状態基準は「未充電」又は「充電完了」であり且つ30秒以上続くこととしてもよい。セル整合性指標がセル内部抵抗である場合、電流データ基準は、隣接する2つのフレームのセルデータの電流差ΔI=I
k-I
k-1≧0.2Cであってもよく、ここで、1Cの電流は、電池を1時間で満充電するのに必要な電流を表す。例えば、ある電池の公称容量が100Ahであるとすると、その電池を1時間で満充電するのに必要な電流は100Aであり、その電池について、0.2C=0.2×100=20Aであり、I
kは、kの時刻の電流を表し、I
k-1は、kの時刻の一つ前の時間ステップの電流を表し、さらに、
【数1】
に基づいて、全てのセルの内部抵抗値R
iを算出し、U
kはk番目の時刻のセル電圧を表し、I
kはk番目の時刻のセル電流を表し、iはセル番号を表す。
【0033】
有効運転データに対して、さらなるデータスクリーニングを行い、有効データ基準に適合しない有効運転データを取り除くことで、有効セルデータの参考の価値を高め、データ処理量を低減し、データ処理効率を向上させることができる。
【0034】
ステップS20において、予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得る。
【0035】
セル整合性指標データは、整合性指標における各セルの整合性パフォーマンスを表し、中央値又は平均値を有効セルデータの中心点とし、各有効セルデータと中心点との距離を算出してセル整合性指標データとすることができる。
【0036】
一例として、予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得るステップは、
前記有効セルデータを分類して、各セル整合性初期データを得るステップC1と、
前記各セル整合性初期データに対応するセル整合性指標処理方法を取得し、前記セル整合性指標処理方法に従って、前記各セル整合性初期データをそれぞれ処理して、各セル整合性指標特徴ベクトルを得るステップC2と、を含んでもよい。
【0037】
有効セルデータを選出する際、有効データ基準が同じ場合があり、例えば、上記のセルSOC指標とセル温度指標とは、データ処理を行って最終的な有効セルデータが得られる前に、両者の得られる中間量データは同じである。このとき、セル整合性指標に基づいて中間量データを分類し、セルSOC指標整合性初期データとセル温度指標整合性初期データとを得ることができる。各種類のセル整合性初期データは異なるセル整合性指標処理方法に対応し、最終的に各セル整合性指標特徴ベクトルを得ることができる。セル整合性指標特徴ベクトルをセル整合性指標データとして用いて、セル指標の整合性偏差を表すことができる。
【0038】
セル整合性指標がセルSOCである場合、その対応するセル整合性指標処理方法の流れは以下の通りとすることができる。各フレームのセル整合性初期データにおけるセルSOC中央値SOC
medianを算出し、各セルSOC
iから当該フレームのデータのセルSOC中央値SOC
medianを差し引いて、当該フレームのデータにおける各セルSOCと中央値との偏差、すなわちdiffSOC
i=SOC
i-SOC
medianを得て、さらに、各セルSOC平均偏差を求めて、大きさがn×1のセルSOC特徴ベクトルを得て、ここで、nは電池パック内の電池セルの数である。この特徴ベクトルはすなわちセルSOC整合性指標データである。
【数2】
、mは有効データ基準に適合するデータフレーム数である。
【0039】
featureSOCはセルSOC特性ベクトルを表す。
【0040】
セル整合性指標がセル温度である場合、その対応するセル整合性指標処理方法の流れは以下の通りとすることができる。各フレームのセル整合性初期データにおけるプローブ温度中央値T
medianを算出し、各セルT
iから当該フレームのデータのプローブ温度中央値T
medianを差し引いて、当該フレームのデータにおける各プローブ温度と中央値との偏差、すなわちdiffT
i=T
i-T
medianを得て、さらに、電池の各セル温度平均偏差を求めて、大きさがn×1のセル温度特徴ベクトルを得て、ここで、nは電池パック内の電池セルの数である。この特徴ベクトルはすなわちセル温度整合性指標データである。
【数3】
、mは有効データ基準に適合するデータフレーム数である。
【0041】
セル整合性指標がセル内部抵抗である場合、その対応するセル整合性指標処理方法の流れは以下の通りとすることができる。各フレームのセル整合性初期データにおけるセル内部抵抗中央値R
medianを算出し、各セルR
iから当該フレームのデータのセル内部抵抗中央値R
medianを差し引いて、当該フレームのデータにおける各セル内部抵抗と中央値との偏差、すなわちdiffR
i=R
i-R
medianを得て、さらに、電池各セル内部抵抗平均偏差を求めて、大きさがn×1のセル内部抵抗特徴ベクトルを得て、ここで、nは電池パック内の電池セルの数である。この特徴ベクトルはすなわちセル内部抵抗整合性指標データである。
【数4】
、mは有効データ基準に適合するデータフレーム数である。
【0042】
特徴ベクトルを用いてセル整合性指標データを表すことにより、各セル整合性指標データの後続の統合を容易にし、電池セル整合性評価の全面性を向上させる。
【0043】
ステップS30において、前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する。
【0044】
総指標偏差値は、各セル整合性指標の総合偏差値を表し、本実施例では、セルSOC指標、セル温度指標、及びセル内部抵抗指標を用いて、セルの整合性偏差パフォーマンスを総合的に評価する。予め設定された偏差閾値は、ビッグデータプラットフォームを介して調整されてもよい。実際の状況に基づいて、偏差閾値を調整する必要があると判定した場合、ビッグデータプラットフォームは、偏差閾値補正パラメータを取得し、偏差閾値補正パラメータに従って偏差閾値を補正してもよい。通常では、工場出荷時にセル指標データの最大値と最小値との偏差閾値を車両に設定する方式では、偏差閾値データを車両内部のチップなどのハードウェア部品に書き込む必要があり、閾値調整作業が煩雑で時間がかかる。一方、本実施例では、ビッグデータプラットフォームにより偏差閾値を補正するので、操作が容易である。
【0045】
一例として、各セル整合性指標偏差値に基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求めるステップは、
前記各セル整合性特徴ベクトルをセル指標特徴行列として結合し、前記セル指標特徴行列の共分散行列を求めるステップD1と、
前記セル指標特徴ベクトルと前記共分散行列とに基づいて、各電池セルのマハラノビス距離を求め、前記各電池セルのマハラノビス距離の総和を前記総指標偏差値とするステップD2と、を含んでもよい。
【0046】
セルSOC特徴ベクトル、セル温度特徴ベクトル、セル内部抵抗特徴ベクトルを多重パラメータ特徴ベクトルX=[featureSOC
T,featuretemp
T,featureR
T]として組み合わせ、3つの指標の平均μi値を算出して平均値ベクトルμ=[μ1,μ2,μ3]を構成し、行列Xの共分散行列Σを算出する。
【0047】
【数5】
式
【数6】
に従って、セルiのマハラノビス距離D(X
i)を算出する。
【0048】
全てのセルマハラノビス距離の総和
【数7】
を求め、総指標偏差値とする。総指標偏差値sumが閾値を超えると、セル有効データに対応する現在の車両に整合性リスクがあることを示す。ビッグデータプラットフォームは現在の車両に整合性リスク早期警告情報を送信し、車両BMSが車両の機能を制限する前に車両のメンテナンスを行うよう使用者に促し、電池セルの整合性が悪くなり警告することによる車両の使用体験への影響を回避できる。
【0049】
一例として、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、現在の車両に整合性リスクがあると判定する前記ステップの後に、
前記各電池セルのマハラノビス距離の平均値を求めるステップE1と、
各電池セルのうち、前記マハラノビス距離の平均値と予め設定された距離閾値を超えた電池セルを、整合性リスクのあるセルとして選出するステップE2と、をさらに含んでもよい。
【0050】
現在の車両内の全ての電池セルのマハラノビス距離D(X
i)の平均値
【数8】
を求め、さらに
【数9】
により標準偏差σを算出する。予め設定された距離閾値は3σでもよく、全てのセルのマハラノビス距離の平均値
【数10】
との差が3σを超えるセルを、整合性が悪く、整合性のリスクがあるセルとして選出する。ビッグデータプラットフォームはまた、現在の車両に電池セルの整合性リスク早期警告情報を送信し、車両メンテナンス時の問題セルの迅速な発見を容易にしてもよい。
【0051】
本実施例において、車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出し、予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得て、前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定することにより、単一の整合性指標についてそれぞれ閾値の判定を行う方法に取って代わり、総指標偏差値により電池セルの各整合性指標の具合いを総合的に反映させるため、評価のプロシージャがより全面的になり、評価結果の正確度が向上する。
【0052】
本願の車両電池セル整合性評価方法の第2の実施例において、
図3に示すように、ビッグデータプラットフォームは車両運転データを収集し、車両運転データに対してデータのスクリーニングとクレンジングとを行い、異常データを除去し、スクリーニング後のデータを用いて、それぞれセルSOC整合性指標、セル温度整合性指標、及びセル内部抵抗整合性指標を算出し、それぞれ特徴ベクトルでセル特徴指標を表し、特徴ベクトルを多重パラメータ特徴ベクトルとして組み合わせ、マハラノビス距離計算式に従って各セルのマハラノビス距離及びマハラノビス距離の総和を算出し、マハラノビス距離の総和が予め設定された偏差閾値より大きいか否かを判定する。マハラノビス距離の総和が予め設定された偏差閾値よりも大きい場合、現在の車両の運転データに対応する現在の車両には整合性のリスクがあり、リスク車両であることを示し、リスク車両内の、全てのセルのマハラノビス距離の平均値との差が標準偏差の3倍を超えるセルは問題セルである。マハラノビス距離の総和が予め設定された偏差閾値以下である場合、現在の車両に一致性のリスクが存在しないことを示し、ビッグデータプラットフォームは引き続き他の車両の電池セルの一致性の評価を行うことができる。
【0053】
本願の実施例は、車両電池セル整合性評価装置をさらに提供し、
図4に示すように、車両電池セル整合性評価装置は、
車両運転データを取得し、予め設定された有効データ基準に従って、前記車両運転データ内の有効セルデータを選出する取得モジュール101と、
予め設定されたセル整合性指標処理方法に従って、前記有効セルデータを処理して、セル整合性指標データを得る処理モジュール102と、
前記セル整合性指標データに基づいて、現在の車両内の全ての電池セルの総指標偏差値を求め、前記総指標偏差値が予め設定された偏差閾値を超えた場合、前記現在の車両に整合性リスクがあると判定する判定モジュール103と、を含む。
【0054】
あるいは、取得モジュール101はさらに、
前記車両運転データ内に異常データが存在するか否かを検出し、
異常データがある場合、前記異常データを取り除いて、有効運転データを得る。
【0055】
あるいは、取得モジュール101はさらに、
前記有効データ基準のうちの電流データ基準と充電状態基準とを取得し、
前記電流データ基準と前記充電状態基準とを満たす有効運転データを、前記有効セルデータとして選出する。
【0056】
あるいは、処理モジュール102はさらに、
前記有効セルデータを分類して、各セル整合性初期データを得て、
前記各セル整合性初期データに対応するセル整合性指標処理方法を取得し、前記セル整合性指標処理方法に従って、前記各セル整合性初期データをそれぞれ処理して、各セル整合性指標特徴ベクトルを得る。
【0057】
あるいは、判定モジュール103はさらに、
前記各セル整合性特徴ベクトルをセル指標特徴行列として結合し、前記セル指標特徴行列の共分散行列を求め、
前記セル指標特徴ベクトルと前記共分散行列とに基づいて、各電池セルのマハラノビス距離を求め、前記各電池セルのマハラノビス距離の総和を前記総指標偏差値とする。
【0058】
あるいは、車両電池セル整合性評価装置は選出モジュールをさらに含み、前記選出モジュールは、
前記各電池セルのマハラノビス距離標準偏差を求め、
各電池セルのうち、前記マハラノビス距離標準偏差と予め設定された距離閾値を超えた電池セルを、整合性リスクのあるセルとして選出する。
【0059】
あるいは、車両電池セル整合性評価装置は補正モジュールをさらに含み、前記補正モジュールは、
偏差閾値補正パラメータを取得し、前記偏差閾値補正パラメータに従って前記偏差閾値を補正する。
【0060】
図5は本願の実施例の案にかかる、ハードウェア運転環境の電子機器構造模式図である。
【0061】
図5に示すように、当該電子機器は、プロセッサ1001、例えば中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、通信バス1002と、ユーザインターフェース1003と、ネットワークインターフェース1004と、メモリ1005とを含んでもよい。通信バス1002はこれらの部品間の接続や通信を実現するためのものである。ユーザインターフェース1003はディスプレイ(Display)、入力手段(例えばキーボード(Keyboard))を含んでもよく、好ましくは、ユーザインターフェース1003はさらに標準の有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。あるいは、ネットワークインターフェース1004は、標準の有線インターフェース、無線インターフェース(例えばワイヤレスフィデリティ(Wi-FI:Wireless-Fidelity)インターフェース)を含んでもよい。メモリ1005としては高速ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)であってもよく、安定した不揮発性のメモリ(NVM:Non-Volatile Memory)、例えば磁気ディスクメモリであってもよい。好ましくは、メモリ1005は前記プロセッサ1001とは独立した記憶装置としてもよい。
【0062】
図5に示す構造は電子機器に対する限定を構成せず、図示より多い或いは少ない部品を含んでもよく、或いは一部の部品を組み合わせたり、異なる部品配置としたりしてもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。
【0063】
図5に示すように、一種の機記憶媒体としてのメモリ1005には、オペレーティングシステム、ネットワーク通信モジュール、ユーザインターフェースモジュール及び車両電池セル整合性評価プログラムが含まれてもよい。
【0064】
図5に示す電子機器において、ネットワークインターフェース1004は主に、他の機器とデータ通信を行い、ユーザインターフェース1003は主に、ユーザとデータをやりとりし、本願の電子機器におけるプロセッサ1001、メモリ1005は、電子機器内に設置されてもよく、前記電子機器はプロセッサ1001によりメモリ1005に記憶されている車両電池セル整合性評価プログラムを呼び出して、本願の実施例により提供される車両電池セル整合性評価方法を実行する。
【0065】
本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体は車両電池セル整合性評価プログラムを記憶しており、前記車両電池セル整合性評価プログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両電池セル整合性評価方法のステップを実現する。
【0066】
本文において、「含む」、「含める」といった用語或いは何れの他のバリエーションは非排他的な包含を意味することで、一連の要素の過程、方法、物品或いはシステムがそれらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、或いはこの種の過程、方法、物品或いはシステムに固有の要素を含むようにする。それ以上の制限がない状況で、「一つの…を含む」という文により限定される要素は、当該要素を含む過程、方法、物品或いはシステムの中に他の同じ要素がさらに存在することを除外しない。
【0067】
上記本願の実施例の番号は説明のためのものだけであって、実施例の優劣を表すものではない。
【0068】
以上の実施態様の説明を通して、当業者は、上記の実施例の方法はソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを加える方法(勿論ハードウェアによることも可能であるが、多くの場合では前者がより良い実施方法)で実現できることを明確に理解できる。このような理解に基づいて、本願の技術案は、本質としては、或いは先行技術に対し貢献する部分は、ソフトウェア製品の形式で体現できる。当該計算機ソフトウェア製品は上記のような記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)の中に記憶でき、一台の端末機器(携帯電話、計算機、サーバ、或いはネットワーク機器等でもよい)に本願の各実施例で説明する方法を実行させるいくつかの命令を含む。
【0069】
以上は本願の好ましい実施例にすぎず、それにより本願の保護範囲を制限するわけではない。本願の明細書及び図面の内容を利用してなされた均等構造或いは均等流れ変換、或いは直接または間接的な他の関連する技術分野への応用は、同じ理由で本願の特許の保護範囲に含まれる。