(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】形象物及び形象物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A63H 3/42 20060101AFI20250214BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20250214BHJP
A63H 3/44 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A63H3/42
A63H3/36 C
A63H3/44
(21)【出願番号】P 2023158478
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2021148897の分割
【原出願日】2016-03-23
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】井出 征秀
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-242914(JP,A)
【文献】特開平09-192356(JP,A)
【文献】特開昭62-068713(JP,A)
【文献】特開2007-301306(JP,A)
【文献】特開2002-273065(JP,A)
【文献】実開平05-033787(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼部品を顔面部品に組み付けて顔を形成する形象物であって、
前記眼部品は、眼基礎部品と、前記眼基礎部品の少なくとも一部を被覆する被覆部品とを含む眼表現部品とを備え、
前記顔面部品には、前記眼部品が組み付けられた際に、前記眼部品の一部が露出する孔部が形成されて
おり、
前記顔面部品は、表情部品と、前記表情部品の少なくとも一部を被覆する肌部品とを備え、
前記表情部品は、前記肌部品から露出することで、少なくともまつ毛または眉毛のいずれか一方を表現することを特徴とする形象物。
【請求項2】
前記眼部品は、前記眼基礎部品を含む1次成形品と前記眼基礎部品とは異なる少なくとも一種類の樹脂からなる前記被覆部品を含む成形品とすることを特徴とする請求項1に記載の形象物。
【請求項3】
前記眼部品は、複数種類の樹脂を使用してそれぞれ成形した複数の前記被覆部品を含めることで成形されることを特徴とする請求項2に記載の形象物。
【請求項4】
前記顔面部品は、表情部品の1次成形品を用いて、複数種類の樹脂を使用して成形した複数の部品を含めることで、前記表情部品及び前記肌部品を含む成形品として形成されることを特徴とする請求項
1乃至3の何れか1項に記載の形象物。
【請求項5】
前記顔面部品は、前段階成形により形成された前記表情部品と前記表情部品とは異なる少なくとも一種類の樹脂からなる前記肌部品を含む成形品として形成されていることを特徴とする請求項
1乃至3の何れか1項に記載の形象物。
【請求項6】
前記顔面部品は、前記前段階成形において、1次成形により形成された1次表情部品を用いて、複数種類の樹脂を使用して成形した複数の部品を含めることで成形されることを特徴とする請求項
5に記載の形象物。
【請求項7】
前記表情部品は、
少なくとも前記孔部の周縁の一部に配置され、まつ毛を表現するまつ毛部分と、
前記まつ毛部分からは離れて配置された眉毛部分と、
を含み、
前記まつ毛部分と前記眉毛部分とは異なる樹脂で成形されることを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の形象物。
【請求項8】
前記眼部品と前記顔面部品とは異なる光沢を有することを特徴とする請求項1に記載の形象物。
【請求項9】
眼基礎部品と前記眼基礎部品の少なくとも一部を被覆する被覆部品とを含む眼表現部品とを備える眼部品を、表情部品と前記表情部品と一体に成形された肌部品とを備える顔面部品に組み付けて顔を形成する形象物の製造方法であって、
前記眼基礎部品を成形する眼基礎部品成形工程と
前記眼基礎部品と前記眼基礎部品とは異なる少なくとも一種類の樹脂からなる前記被覆部品を成形して前記眼部品に含ませる眼部品成形工程と、
前記表情部品と前記表情部品とは異なる少なくとも一種類の樹脂からなる前記肌部品とを含む成形品として形成され、前記眼部品が組み付けられた際に前記眼部品の一部が露出する孔部が形成され、前記表情部品が前記肌部品から露出することで、少なくともまつ毛または眉毛のいずれか一方が表現された前記顔面部品を成形する顔面部品成形工程と、
を備えることを特徴とする形象物の製造方法。
【請求項10】
眼部品成形工程では、複数種類の樹脂を使用したインサート成形を繰り返すことを含むことを特徴とする請求項
9に記載の形象物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形象物及び形象物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばフィギュアの顔表現(眼やまつ毛等)は、フィギュアの表情を左右するとともにフィギュアの価値を決定する上で非常に重要な部位である。例えば、特許文献1には、人形用眼球の製造方法であって、印刷によって眼球の黒目を模した塗膜に弾力性のあるシリコン樹脂等の当接体を押し付けて、付着した塗膜を眼球を模した球面に転写する技術が記載されている。こうすることで、印刷によって形成した黒目の図柄を塗膜の転写によって眼球面に形成して、高い精度で黒目を表現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印刷により眼を表現しようとすると、眼球面に対してずれるおそれがある。フィギュアの顔のような、顔表現部材の位置が少しでもおかしくなると違和感を感じる商品においては、眼の位置がずれた眼球は商品の価値を損なうことになり兼ねない。
【0005】
またユーザに組み立ての一部を実行させるプラスチックモデルによるフィギュアの場合、従来からフィギュアの眼や顔の表現はシールで行なっていた。しかし、ユーザによるシール貼り工程に時間が掛かったり、シールずれが生じる場合もあり、ユーザにとっても違和感のない形でシールを貼るには技術が必要で満足のいく完成品とすることが難しかった。
【0006】
本発明は、高い精度で、容易に眼の表現を形成可能な形象物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、例えば、眼部品を顔面部品に組み付けて顔を形成する形象物であって、前記眼部品は、眼基礎部品と、前記眼基礎部品の少なくとも一部を被覆して前記眼基礎部品と一体に成形された眼表現部品とを備え、前記顔面部品には、前記眼部品が組み付けられた際に、前記眼部品の一部が露出する孔部が形成されている。
また、本発明の別態様によると、例えば、眼部品を顔面部品に組み付けて顔を形成する形象物であって、前記眼部品は、眼基礎部品と、前記眼基礎部品の少なくとも一部を被覆する被覆部品とを含む眼表現部品とを備え、前記顔面部品には、前記眼部品が組み付けられた際に、前記眼部品の一部が露出する孔部が形成されており、前記顔面部品は、表情部品と、前記表情部品の少なくとも一部を被覆する肌部品とを備え、前記表情部品は、前記肌部品から露出することで、少なくともまつ毛または眉毛のいずれか一方を表現することを特徴とする。
また、本発明の別態様によると、例えば、眼部品を顔面部品に組み付けて顔を形成する形象物であって、前記眼部品は、眼基礎部品と、前記眼基礎部品の少なくとも一部を被覆する被覆部品とを含む眼表現部品とを備え、前記顔面部品には、前記眼部品が組み付けられた際に、前記眼部品の一部が露出する孔部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い精度で、容易に眼の表現を形成可能な形象物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る形象物の(A)は表面、(B)は裏面の斜視図。
【
図3】眼部品の(A)は一次成形品、(B)は二次成形品、(C)は三次成形品の斜視図。
【
図4】顔面部品の(A)は表面、(B)は裏面の斜視図。
【
図5】表情部品の(A)は一次成形品、(B)は二次成形品、(C)は三次成形品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。また、各図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における装置の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態において成形素材として異なる色の樹脂材料を例示するがこれに限定されず、例えば異なる材質(ポリスチレン、ポリエチレン、ABS等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等)、異なる透明度の樹脂等の成形素材にも適用可能である。
【0011】
図1に本発明の実施形態に係る形象物Aを示す。以下に説明する形象物Aは、人の顔を模したフィギュアを例示するが、これに限定されず、特に眼を備える形象物であれば、例えば動物、昆虫、恐竜、魚類等の生き物や、目に相当する部分を備えるキャラクター等の形象物でもよい。
【0012】
形象物Aは、眼部品10を顔面部品20に組み付けて顔を形成する。
図1(A)は、形象物Aの表側を示し、
図1(B)は形象物Aの裏側を示す。なお本実施形態における形象物Aの裏側は、図示しない髪パーツ等によって覆われて、フィギュアが完成した後に外部に曝されることはない。
図2に眼部品10と顔面部品20とを分解した分解斜視図を示す。眼部品10は、顔面部品20の裏側から組み付けられ、顔面部品20に形成された孔部20aから眼部品10の一部で眼10aを構成する部分が露出する。
【0013】
<眼部品10>
本実施形態において眼部品10は、4色の樹脂を使用したインサート成形及び多色成形によって形成される。眼部品10は、眼基礎部品11と、眼基礎部品11の少なくとも一部を被覆して一体に成形された複数の眼表現部品12、13、14とを備える。
図3に眼部品10が形成されるまでの、成形工程における各段階の成形品を示す。
【0014】
図3(A)は、1次成形品E1としての眼基礎部品11を示す。
図3(B)は、眼基礎部品11を用いたインサート成形(眼基礎部品11をインサート部品としたインサート成形)で、眼基礎部品11と1種類の異なる樹脂材料からなる第1眼表現部品12とを一体の成形品とした2次成形品E2を示す。
図3(C)は、2次成形品E2に対して、2種類の異なる樹脂材料からなる第2眼表現部品13及び第3眼表現部品14を用いて同時に多色成形を行った3次成形品E3を示す。本実施形態においては、3次成形品E3が眼部品10の最終成形品となる。
【0015】
各図において図中上下方向3段にわたって各成形品の異なった方向から見た斜視図が示されており、最上段が成形品を略正面から見た斜視図、中段が斜め上方から見た斜視図、下段が下方から見た斜視図の斜視図である。なお正面とは、形象物Aの顔の正面であり、上方とは、形象物Aの上方(例えば頭部)、下方とは、形象物Aの下方(例えば顔の顎部分)から見た状態を示す。
【0016】
図3(A)は、眼部品10の眼基礎部品11を含む1次成形品E1を示す。本実施形態において眼基礎部品11は白色の樹脂材料で成形され、フィギュアの眼10aにおける白い部分を構成する。最終成形品において表面に露出する箇所を第1露出部11aで示す。
【0017】
図3(B)は、眼基礎部品11と、眼基礎部品11とは異なる1種類の樹脂材料からなる第1眼表現部品12とを一体の成形品とした2次成形品E2を示す。第1眼表現部品12を成形する樹脂材料としては、例えば黒色の樹脂材料を例示することができ、眼10aの瞳孔等を表現する。
【0018】
図3(B)に示す2次成形品E2を成形する際には、1次成形品E1を成形した後、1次成形品E1を成形した金型とは別の金型または同一の金型の別の部分へ1次成形品E1を移送し、上記黒色の樹脂材料で第1眼表現部品12を1次成形品E1に被覆するように成形する。したがって、1次成形品E1と第1眼表現部品12とを一体の成形品とした2次成形品E2は、1次成形品E1(眼基礎部品11)を用いたインサート成形(1次成形品E1をインサート部品としたインサート成形)により形成される。最終成形品において表面に露出する箇所を第2露出部12aで示す。
【0019】
図3(C)は、2次成形品E2と、眼基礎部品11とは異なる二種類の樹脂からなる第2眼表現部品13及び第3眼表現部品14とを一体に成形した3次成形品E3(最終成形品)を示す。第2眼表現部品13を成形する樹脂材料としては、例えば灰色の樹脂材料を例示することができ、フィギュアのまぶたによる白目部分の影を表現している。第3眼表現部品14を成形する樹脂材料としては、例えば紫色の樹脂材料を例示することができ、フィギュアの眼10aの虹彩の部分を表現している。
【0020】
図3(C)に示す3次成形品E3を成形する際には、2次成形品E2を成形した後、2次成形品E2を成形した金型とは別の金型または同一の金型の別の部分へ2次成形品E2を移送し、上記灰色の樹脂材料で第2眼表現部品13を及び上記紫色の樹脂材料で第3眼表現部品14を2次成形品E2に被覆するように成形する。なお第2眼表現部品13及び第3眼表現部品14を成形する際には、部品の配置等によって互いの樹脂が混ざり合うことがない場合、多色成形の技術を用いて同時にそれぞれの樹脂材料を射出成型することができる。したがって、2次成形品E2と、第2眼表現部品13及び第3眼表現部品14とを一体の成形品とした3次成形品E3は、2次成形品E2を用いたインサート成形及び多色成形により形成される。最終成形品において表面に露出する箇所を第3露出部13a及び第4露出部14aで示す。
【0021】
以上のように、眼部品10の眼10aは、複数種類の樹脂を使用したインサート成形を繰り返すことで成形される。したがって、従来、印刷やシールによって提供した眼の表現を高い精度で、容易に形成することができる。さらにプラスチックモデルのようにユーザに組み立ての一部を実行させる場合であっても、眼の表現としてユーザによるシール貼り工程をなくすことができ、シール貼りや塗装等の高い技術がなくても、ユーザにとっても違和感のない形で満足のいく完成品を作成することができる。
【0022】
<顔面部品20>
図4に顔面部品20の斜視図を示す。
図4(A)は、顔面部品20の表側を示し、
図4(B)は顔面部品20の裏側を示す。顔面部品20は、表情部品21と、表情部品21の少なくとも一部を被覆して表情部品21と一体に成形された肌部品25とを備えている。また、顔面部品20には、眼部品10の一部(眼10a)を露出させる孔部20aが形成される。表情部品21はその一部が、肌部品25から露出することで、少なくともまつ毛または眉毛のいずれか一方を表現し、まぶたの影を表現してもよい。肌部品25は、例えば肌色の樹脂材料で成形され、フィギュアの顔の肌の部分を形成する。
【0023】
本実施形態において表情部品21は、少なくとも孔部20aの周縁の一部に配置され、まつ毛を表現するまつ毛部分22aと、まつ毛部分からは離れて配置された眉毛部分23aと、まつ毛部分22aと眉毛部分23aとの間に、まぶたの影を表現するまぶた部分24aとを含む。まつ毛部分22aと眉毛部分23aとまぶた部分24aとは異なる樹脂材料で成形される。
【0024】
図5に示すように表情部品21は、3色の樹脂材料を使用したインサート成形によって形成される。表情部品21は、1次表情部品22と、1次表情部品22の少なくとも一部を被覆して1次表情部品22と一体に成形された2次表情部品23及び3次表情部品24とを備える。
図5に表情部品21が形成されるまでの、成形工程における各段階の成形品を示す。
【0025】
図5(A)は、1次成形品F1としての1次表情部品22を示す。
図5(B)は、1次表情部品22を用いたインサート成形(1次表情部品22をインサート部品としたインサート成形)により、1次表情部品22と1種類の異なる樹脂材料からなる2次表情部品23とを一体の成形品とした2次成形品F2を示す。
図5(C)は、2次成形品F2を用いたインサート成形(2次成形品F2をインサート部品としたインサート成形)により、2次成形品F2と1種類の異なる樹脂材料からなる3次表情部品24とを一体の成形品とした3次成形品F3を示す。本実施形態においては、3次成形品F3が表情部品21の最終成形品となる。
【0026】
各図において図中上下方向2段にわたって各成形品の異なった方向から見た斜視図が示されており、上段が成形品を略正面(表側)から見た斜視図、下段が裏側から見た斜視図である。なお正面とは、形象物Aの顔の正面である。
【0027】
図5(A)は、表情部品21の1次表情部品22を含む1次成形品F1を示す。本実施形態において1次表情部品22は黒色の樹脂材料で成形され、フィギュアの眼10aの周縁に配置されるまつ毛を表現する部分を含む。最終成形品において肌部品25から表面に露出する部分をまつ毛部分22aで示す。
【0028】
まつ毛部分22aは、1次表情部品22の底面から立ち上がって形成され、さらに表面に露出する部分は、細い線状部分または極小のRによって形成された角部分として形成されている場合がある。このようなまつ毛部分22aは、インサート成形に際して、1次成形品F1を金型から外す際、または次なる金型に埋没される際に、金型内で折れてしまったり、欠けてしまったりして損傷してしまう場合がある。このような損傷を防止するために、まつ毛部分22と1次表情部品22の底面との接合部分に肉盛り部を形成したり、1次表情部品22の底面からまつ毛部分22にわたってテーパ面を設ける等して補強してもよい。
【0029】
また1次表情部品22は、孔部22b、22c、切欠き部22dを備える。孔部22b、22c、切欠き部22dは、それぞれ射出形成後、型を開く際、1次成形品F1がコア側(突出しピンの有る側)と反対側の金型へ持って行かれないように、コア側の金型との接触面積を増やし、コア側へ引っ張るために設けられている。また孔部22b、22c、切欠き部22dは、後述する2次表情部品23、3次表情部品24によって埋められる。
【0030】
図5(B)は、1次成形品F1と、1次表情部品22とは異なる1種類の樹脂材料からなる2次表情部品23とを一体の成形品とした2次成形品F2を示す。2次表情部品23を成形する樹脂材料としては、例えば茶色の樹脂材料を例示することができ、フィギュアの眉毛を表現する。
【0031】
図5(B)に示す2次成形品F2を成形する際には、1次成形品F1を成形した後(前段階成形)、1次成形品F1を成形した金型とは別の金型または同一の金型の別の部分へ1次成形品F1を移送し、上記茶色の樹脂材料で2次表情部品23を1次成形品F1に被覆するように成形する。したがって、1次成形品F1と2次表情部品23とを一体の成形品とした2次成形品F2は、1次成形品F1を用いたインサート成形(1次成形品F1をインサート部品としたインサート成形)により形成される。最終成形品において肌部品25から表面に露出する部分を眉毛部分23aで示す。
【0032】
眉毛部分23aもまつ毛部分22aと同様に、その根元部分に肉盛り部やテーパ面が形成されていてもよい。また2次表情部品の一部23bは、1次表情部品22の孔部22bに埋設される。
【0033】
図5(C)は、2次成形品F2と、2次表情部品23とは異なる1種類の樹脂材料からなる3次表情部品24とを一体の成形品とした3次成形品F3(最終成形品)を示す。3次表情部品24を成形する樹脂材料としては、例えばうす茶色の樹脂材料を例示することができ、フィギュアのまぶたによって形成された肌の影を表現する。
【0034】
図5(C)に示す3次成形品F3を成形する際には、2次成形品F2を成形した後、2次成形品F2を成形した金型とは別の金型または同一の金型の別の部分へ2次成形品F2を移送し、上記うす茶色の樹脂材料で3次表情部品24を2次成形品F2に被覆するように成形する。したがって、2次成形品F2と3次表情部品24とを一体の成形品とした3次成形品F3は、2次成形品F2を用いたインサート成形(2次成形品F2をインサート部品としたインサート成形)により形成される。こうして表情部品21が成形される。最終成形品において肌部品25から表面に露出する部分をまぶた部分24aで示す。
【0035】
まぶた部分24aもまつ毛部分22aと同様に、その根元部分に肉盛り部やテーパ面が形成されていてもよい。また3次表情部品の一部24cは、1次表情部品22の孔部22c及び切欠き部22dに埋設される。
【0036】
さらに表情部品21(3次成形品F3)を用いたインサート成形(3時成形品F3をインサート部品としたインサート成形)により、例えば肌色の樹脂材料で肌部品25を表情部品21に被覆するように成形することで顔面部品20が成形される。以上のように、顔面部品20は、表情部品21の1次成形品F1を用いて(1次成形品F1をインサート部品として)、複数種類の樹脂を使用したインサート成形を繰り返すことで、表情部品21及び肌部品25が一体の成形品として成形されることにより形成される。
【0037】
なお、眼部品10と顔面部品20とは異なる光沢を有するように成形されていてもよい。例えば、眼部品10は、ポリスチレン樹脂等の透明性の高い樹脂材料で成形し、顔面部品20はポリスチレン樹脂にゴム等を配合してつやを抑え、肌の質感を出した樹脂で成形してもよい。
【0038】
以上説明してきたように、本実施形態においては、高い精度で、容易に眼の表現を可能とすることができる。さらにフィギュアの顔のような、顔表現部材の位置が少しでもおかしくなると違和感を感じる商品においても、各顔表現部材の位置を正確に配置することができる。したがって、プラスチックモデルによるフィギュアにおいて、ユーザにとっても違和感のない形で満足のいく完成品とすることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10 眼部品、20 顔面部品、21 表情部品、A 形象物