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  • 特許-電磁波シールドフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電磁波シールドフィルム
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20250214BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20250214BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20250214BHJP
【FI】
H05K9/00 W
H05K9/00 R
B32B15/08 D
B32B7/025
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023525905
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2022022433
(87)【国際公開番号】W WO2022255438
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2021093219
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】竹下 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】高見 晃司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-056906(JP,A)
【文献】特開2003-033994(JP,A)
【文献】国際公開第2011/121801(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/136247(WO,A1)
【文献】特開2020-024977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
B32B 15/08
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層、第1無機層、および導電性接着剤層がこの順に積層されており、
前記第1無機層の厚さは0.1~100nmであり、
前記導電性接着剤層は、バインダー成分および導電性粒子を含み、
前記導電性粒子のメディアン径に対する前記導電性接着剤層の厚さの比は0.2~3.5である、電磁波シールドフィルム。
【請求項2】
前記金属層における、前記第1無機層とは反対側の表面に絶縁保護層が直接積層されている、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項3】
前記絶縁保護層として前記金属層と直接積層した第2無機層を有する請求項2に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項4】
前記第2無機層の厚さは0.1~100nmである請求項3に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項5】
前記第2無機層は金属酸化物から構成される請求項3または4に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項6】
前記絶縁保護層として樹脂層を有する請求項2~5のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項7】
前記第1無機層は金属酸化物から構成される請求項1~6のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項8】
前記第1無機層は前記金属層と直接積層している請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項9】
前記導電性接着剤層は前記第1無機層と直接積層している請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムを備えたシールドプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドフィルムに関する。より詳細には、本発明は、プリント配線板に使用される電磁波シールドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、機構の中に回路を組み込むために多用されている。また、プリンタヘッドのような可動部と制御部との接続にも利用されている。これらの電子機器では、電磁波シールド対策が必須となっており、装置内で使用されるプリント配線板においても、電磁波シールド対策を施したシールドプリント配線板が用いられている。
【0003】
シールドプリント配線板には、電磁波シールドフィルム(以下、単に「シールドフィルム」と称する場合がある)が使用される。例えば、プリント配線板に接着して使用されるシールドフィルムは、金属層などのシールド層と当該シールド層の表面に設けられた導電性接着シートとを有する。
【0004】
導電性接着シートを有するシールドフィルムとしては、例えば、特許文献1および2に開示のものが知られている。上記シールドフィルムは、導電性接着シートが露出した表面が、プリント配線板表面、具体的にはプリント配線板の表面に設けられたカバーレイ表面と貼着するように貼り合わせて使用される。これらの導電性接着シートは、通常、高温・高圧条件下で熱圧着してプリント配線板に接着および積層される。このようにしてプリント配線板上に配置されたシールドフィルムは、プリント配線板の外部からの電磁波を遮蔽する性能(シールド性能)を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-110769号公報
【文献】特開2012-28334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、シールドフィルムは高温・高圧条件下で基板に貼り合わせて使用される。しかしながら、貼り合わせられる基板の種類によっては、高温・高圧条件に付すことができない場合がある。このため、高温・高圧条件下ではなく、比較的緩やかな条件でプリント配線板に接着することができるシールドフィルムが求められる傾向がある。しかしながら、従来のシールドフィルムは、比較的緩やかな条件で基板に貼り合わせた場合、密着強度や電気的接続の安定性に劣るという問題があった。
【0007】
また、近年、従来のシールドフィルムは、高温高湿環境において金属層が劣化してシールド性能が低下する、すなわち、耐環境性に劣るという問題があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡易に被着体に接着可能であり且つ密着性および電気的接続安定性に優れ、耐環境性に優れる電磁波シールドフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の層構成を有する電磁波シールドフィルムによれば、簡易に被着体に接着可能であり且つ密着性および電気的接続安定性に優れ、耐環境性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、金属層、第1無機層、および導電性接着剤層がこの順に積層されており、
上記第1無機層の厚さは0.1~100nmであり、
上記導電性接着剤層は、バインダー成分および導電性粒子を含み、
上記導電性粒子のメディアン径に対する上記導電性接着剤層の厚さの比は0.2~3.5である、電磁波シールドフィルムを提供する。
【0011】
上記金属層における、上記第1無機層とは反対側の表面に絶縁保護層が直接積層されていることが好ましい。
【0012】
上記絶縁保護層として上記金属層と直接積層した第2無機層を有することが好ましい。
【0013】
上記第2無機層の厚さは0.1~100nmであることが好ましい。
【0014】
上記第2無機層は金属酸化物から構成されることが好ましい。
【0015】
上記絶縁保護層として樹脂層を有することが好ましい。
【0016】
上記第1無機層は金属酸化物から構成されることが好ましい。
【0017】
上記第1無機層は上記金属層と直接積層していることが好ましい。
【0018】
上記導電性接着剤層は上記第1無機層と直接積層していることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、上記電磁波シールドフィルムを備えたシールドプリント配線板を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電磁波シールドフィルムは、簡易に被着体に接着可能であり、それでいて被着体に対する密着性に優れ、電気的接続安定性に優れ、耐環境性にも優れる。このため、本発明の電磁波シールドフィルムは、高温・高圧に対する耐性に劣る基板に対しても使用することができる。また、耐環境性が求められる環境下においても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の電磁波シールドフィルムの一実施形態を示す断面模式図である。
図2】本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[シールドフィルム]
本発明の電磁波シールドフィルム(シールドフィルム)は、金属層、第1無機層、および導電性接着剤層がこの順に積層された層構成を有する。
【0023】
上記金属層の上記導電性接着剤層を備える側の面をより充分に保護し、耐環境性により優れる観点から、上記第1無機層は上記金属層と直接積層していることが好ましい。また、比較的緩やかな条件でプリント配線板に接着した場合であっても接続安定性に優れることとする観点から、上記導電性接着剤層は上記第1無機層と直接積層していることが好ましい。
【0024】
また、上記金属層の上記導電性接着剤層を備える側とは反対側の面を充分に保護し、耐環境性により優れる観点から、上記金属層における、上記第1無機層とは反対側の面に絶縁保護層を備えることが好ましい。上記絶縁保護層は上記金属層と直接積層していることが好ましい。
【0025】
本発明のシールドフィルムの一実施形態について、以下に説明する。図1は、本発明のシールドフィルムの一実施形態を示す断面模式図である。図1に示すシールドフィルム1は、絶縁保護層2と、金属層3と、第1無機層4と、導電性接着剤層5とをこの順に有する。シールドフィルム1において、絶縁保護層2、金属層3、第1無機層4、および導電性接着剤層5は、それぞれ、隣接する層とは互いに直接積層している。
【0026】
(導電性接着剤層)
上記導電性接着剤層は、例えば本発明のシールドフィルムをプリント配線板に接着するための接着性や接着性と、上記金属層と電気的接続するための導電性を有する。また、上記金属層とともにシールド性能を発揮するシールド層としても機能し得る。上記導電性接着剤層は、単層であってもよく、複層であってもよい。
【0027】
上記導電性接着剤層は、バインダー成分および導電性粒子を含有する。
【0028】
上記バインダー成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、活性エネルギー線硬化型化合物などが挙げられる。上記バインダー成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0029】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ポリアミド系樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0030】
上記熱硬化型樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂(熱硬化性樹脂)および上記熱硬化性樹脂を硬化して得られる樹脂の両方が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。上記熱硬化型樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0031】
上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ系樹脂、スピロ環型エポキシ系樹脂、ナフタレン型エポキシ系樹脂、ビフェニル型エポキシ系樹脂、テルペン型エポキシ系樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂、グリシジルアミン型エポキシ系樹脂、ノボラック型エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0032】
上記ビスフェノール型エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。上記グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂としては、例えば、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどが挙げられる。上記グリシジルアミン型エポキシ系樹脂としては、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。上記ノボラック型エポキシ系樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0033】
上記活性エネルギー線硬化型化合物は、活性エネルギー線照射により硬化し得る化合物(活性エネルギー線硬化性化合物)および上記活性エネルギー線硬化性化合物を硬化して得られる化合物の両方が挙げられる。活性エネルギー線硬化性化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のラジカル反応性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)を有する重合性化合物などが挙げられる。上記活性エネルギー線硬化型化合物は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0034】
上記バインダー成分としては、中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。この場合、上記導電性接着剤層は粘着性を有し、本発明のシールドフィルムをプリント配線板等の被着体に貼り合わせて使用する際、高温・高圧条件下でなくても簡便に貼り合わせることができる。
【0035】
上記バインダー成分が熱硬化型樹脂を含む場合、上記バインダー成分を構成する成分として、熱硬化反応を促進するための硬化剤を含んでいてもよい。上記硬化剤は、上記熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。上記硬化剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0036】
上記導電性粒子としては、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子、金属繊維、カーボンフィラー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
【0037】
上記金属粒子および上記金属被覆樹脂粒子の被覆部を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、錫、鉛、ビスマス、これらの2以上を含む合金などが挙げられる。上記金属は一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0038】
上記金属粒子としては、具体的には、例えば、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、銀被覆銅粒子、インジウム粒子、錫粒子、鉛粒子、ビスマス粒子、金被覆銅粒子、銀被覆ニッケル粒子、金被覆ニッケル粒子、インジウム被覆銅粒子、錫被覆銅粒子、鉛被覆銅粒子、ビスマス被覆銅粒子、インジウム被覆ニッケル粒子、錫被覆ニッケル粒子、ビスマス被覆ニッケル粒子、銀被覆合金粒子などが挙げられる。上記銀被覆合金粒子としては、例えば、銅を含む合金粒子(例えば、銅とニッケルと亜鉛との合金からなる銅合金粒子)が銀により被覆された銀被覆銅合金粒子などが挙げられる。上記金属粒子は、電解法、アトマイズ法、還元法などにより作製することができる。
【0039】
上記金属粒子としては、中でも、銀粒子、銀被覆銅粒子、銀被覆銅合金粒子、ニッケル粒子、銀被覆ニッケル粒子が好ましい。導電性に優れ、金属粒子の酸化および凝集を抑制し、且つ金属粒子のコストを下げることができる観点から、特に、銀被覆銅粒子、銀被覆銅合金粒子が好ましい。
【0040】
上記金属被覆樹脂粒子としては、具体的には、銀被覆樹脂粒子、金被覆樹脂粒子、インジウム被覆樹脂粒子、錫被覆樹脂粒子、鉛被覆樹脂粒子、ビスマス被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0041】
上記導電性粒子の形状としては、球状、フレーク状(鱗片状)、樹枝状(デンドライト状)、繊維状(フィラメント状)、不定形(多面体)、スパイク状などが挙げられる。
【0042】
上記導電性粒子のメディアン径(D50)は、1~50μmであることが好ましく、より好ましくは3~40μmである。上記メディアン径が1μm以上であると、導電性粒子の分散性が良好で凝集が抑制できる。上記平均粒径が50μm以下であると、導電性が良好となる。上記メディアン径は、上記導電性接着剤層中の全ての導電性粒子のメディアン径であり、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径をいうものとする。上記メディアン径が上記範囲内であると、接続安定性により優れる。上記メディアン径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置(商品名「SALD-2200」、株式会社島津製作所製)により測定することができる。
【0043】
上記導電性接着剤層は、用途に必要に応じて等方導電性または異方導電性を有する層とすることができる。
【0044】
上記導電性接着剤層における上記導電性粒子の含有割合は、導電性接着剤層の総量100質量%に対して、3~95質量%であることが好ましく、より好ましくは5~90質量%である。等方導電性の導電性接着剤層とする場合には40~95質量%とすることができる。異方導電性の導電性接着剤層とする場合には3~40質量%とすることができる。
【0045】
上記導電性接着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述の各成分以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、公知乃至慣用の接着剤層に含まれる成分が挙げられる。上記その他の成分としては、例えば、硬化促進剤、可塑剤、難燃剤、消泡剤、粘度調整剤、酸化防止剤、希釈剤、沈降防止剤、充填剤、レベリング剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、ブロッキング防止剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0046】
上記導電性接着剤層の厚さは、特に限定されないが、3~20μmであることが好ましく、より好ましくは5~18μmである。上記厚さが3μm以上であると、被着体に対する密着性により優れる。また、耐環境性により優れる。上記厚さが20μm以下であると、比較的緩やかな条件でプリント配線板に接着した場合であっても接続安定性により優れる。
【0047】
上記導電性粒子のD50に対する上記導電性接着剤層の厚さの比[接着剤層厚さ/D50]は、0.2~3.5であり、好ましくは0.3~3.0である。上記比が0.2以上であることにより、プリント配線板等の被着体に対する密着性がより良好となる。上記比が3.5以下であることにより、導電性接着剤層表面から露出する導電性粒子の量が多くなり、比較的緩やかな条件でプリント配線板に接着した場合であっても接続安定性により優れる。
【0048】
(第1無機層)
上記第1無機層は、上記金属層を保護する層である。上記第1無機層が上記金属層と上記導電性接着剤層との間に介在することにより、上記金属層の上記導電性接着剤層を備える側の面を保護し、高温高湿環境において上記金属層が劣化して接続安定性が低下するのを抑制することができ、すなわち、耐環境性に優れる。上記接続安定性の低下は、上記導電性接着剤層中の水分等により上記金属層が劣化することに起因するものと推測される。上記第1無機層は、単層であってもよく、複層であってもよい。
【0049】
上記第1無機層を構成する無機物としては、例えば、金属酸化物、その他の無機酸化物などが挙げられる。上記無機物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0050】
上記無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム・スズ)等の金属酸化物や酸化ケイ素などが挙げられる。また、上記アルカリ土類金属塩としては、例えば、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどのフッ化物塩などが挙げられる。また、アルカリ土類金属塩以外の金属塩としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0051】
上記無機物としては、中でも、無機酸化物が好ましく、より好ましくは金属酸化物、耐環境性および経済性により優れる観点から、さらに好ましくは酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウムである。
【0052】
上記第1無機層の形成方法としては、電解、蒸着(例えば真空蒸着)、スパッタリング、CVD法、メタルオーガニック(MO)、メッキ、圧延加工などが挙げられる。中でも、製造容易性の観点から、蒸着、スパッタリング、またはメッキにより形成された無機層が好ましい。
【0053】
上記第1無機層の厚さは、0.1~100nmであり、好ましくは0.1~20nm、より好ましくは0.1~10nm、さらに好ましくは0.1~5nm、特に好ましくは0.1~2.2nmである。上記厚さが0.1nm以上であることにより、耐環境性に優れる。上記厚さが100nm以下であることにより、比較的緩やかな条件でプリント配線板に接着した場合であっても接続安定性に優れる。なお、上記第1無機層が複層構成である場合、上記第1無機層の厚さは、全ての層厚さの合計である。
【0054】
(金属層)
上記金属層は、本発明のシールドフィルムにおいてシールド層として機能する要素である。上記金属層は、単層であってもよいし、同種または異種の積層体であってもよい。
【0055】
上記金属層を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、リチウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、またはこれらの合金などが挙げられる。上記合金としては、例えば、銀/銅合金、マグネシウム/銅合金、マグネシウム/銀合金、マグネシウム/アルミニウム合金、マグネシウム/インジウム合金、リチウム/アルミニウム合金、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム・スズ)などが挙げられる。上記金属としては、中でも、電磁波シールド性能により優れる観点から、銅、銀が好ましく、耐マイグレーション性および耐硫化性により優れる観点から、銀/銅合金であることが好ましい。
【0056】
上記金属層の形成方法は特に限定されず、例えば、電解、蒸着(例えば真空蒸着)、スパッタリング、CVD法、メタルオーガニック(MO)、メッキ、圧延加工などが挙げられる。中でも、製造容易性の観点から、蒸着、メッキ、またはスパッタリングにより形成された金属層が好ましい。
【0057】
上記金属層の厚さは、特に限定されないが、例えば5nm~15μmであり、好ましくは5nm~13μmである。上記金属層が複層構成である場合、上記金属層の厚さは、全ての層厚さの合計である。
【0058】
(絶縁保護層)
上記絶縁保護層は、絶縁性を有し、且つ本発明のシールドフィルムにおける内部の各層を保護する。上記絶縁保護層を備えると、上記金属層の上記第1無機層が備えられていない側の面における耐環境性を向上させ、接続安定性の低下をより抑制することができる。上記絶縁保護層は、単層であってもよく、複層であってもよい。
【0059】
上記絶縁保護層は、主に樹脂から形成される樹脂層、または、無機物から形成される無機層が挙げられる。上記絶縁保護層が無機層である場合、耐環境性によりいっそう優れる。上記絶縁保護層が樹脂層である場合、本発明のシールドフィルムにおいて支持体として機能する。上記絶縁保護層は、単層であってもよいし、同種または異種の積層体であってもよい。
【0060】
上記絶縁保護層は、樹脂層および無機層を有することが好ましい。この場合、上記無機層が上記金属層側であることが好ましい。なお、本明細書において、上記絶縁保護層に含まれ得る無機層を「第2無機層」と称する場合がある。上記第2無機層は、耐環境性により優れる観点から、上記金属層に直接積層していることが好ましい。
【0061】
上記絶縁保護層が樹脂層および第2無機層を備える場合の本発明のシールドフィルムの一実施形態を図2に示す。図2に示すシールドフィルム1において、絶縁保護層2は、樹脂層21および第2無機層22の積層構造を有し、当該積層構造から構成される。第2無機層22は金属層3側、樹脂層21は最表面となるように配置されており、第2無機層22は金属層3と直接積層している。
【0062】
上記絶縁保護層における樹脂層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、活性エネルギー線化合物などが挙げられるが、耐環境性により優れる観点から、熱硬化型樹脂または活性エネルギー線硬化型化合物であることが好ましい。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0063】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート(PC);ポリイミド(PI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリアミドイミド;ポリフェニルスルフィド;ポリスルホン(PS);ポリエーテルスルホン(PES);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS);フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記熱可塑性樹脂としては、透明性に優れる観点から、中でも、ポリエステル、セルロース樹脂が好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースである。
【0064】
上記熱硬化型樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂(熱硬化性樹脂)および上記熱硬化性樹脂を硬化して得られる樹脂の両方が挙げられる。上記熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリフェニルスルフィド系樹脂、液晶ポリマー(LCP)、アクリル系樹脂などが挙げられる。上記熱硬化型樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0065】
上記活性エネルギー線硬化型化合物は、活性エネルギー線照射により硬化し得る化合物(活性エネルギー線硬化性化合物)および上記活性エネルギー線硬化性化合物を硬化して得られる化合物の両方が挙げられる。活性エネルギー線硬化性化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のラジカル反応性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)を有する重合性化合物などが挙げられる。上記活性エネルギー線硬化型化合物は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0066】
上記樹脂層の表面(特に、金属層側の表面)は、上記金属層などの隣接層との密着性、保持性等を高める目的で、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤)による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。密着性を高めるための表面処理は、上記樹脂層における金属層側の表面全体に施されていることが好ましい。
【0067】
上記樹脂層の厚さは、特に限定されないが、1~20μmであることが好ましく、より好ましくは1~4μmである。上記厚さが1μm以上であると、より充分にシールドフィルムを支持および金属層を保護することができる。上記厚さが20μm以下であると、透明性および柔軟性に優れ、また経済的にも有利である。なお、上記樹脂層が複層構成である場合、上記樹脂層の厚さは、全ての層厚さの合計である。
【0068】
上記第2無機層を構成する無機物としては、上述の第1無機層を構成する無機物として例示および説明されたものが挙げられる。上記無機物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0069】
上記無機物としては、中でも、無機酸化物が好ましく、より好ましくは金属酸化物、耐環境性および経済性により優れる観点から、さらに好ましくは酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウムである。
【0070】
上記第2無機層の形成方法としては、電解、蒸着(例えば真空蒸着)、スパッタリング、CVD法、メタルオーガニック(MO)、メッキ、圧延加工などが挙げられる。中でも、製造容易性の観点から、蒸着、メッキ、またはスパッタリングにより形成された無機層が好ましい。
【0071】
上記第2無機層の厚さは、0.1~100nmであり、好ましくは0.1~20nm、より好ましくは0.1~10nm、さらに好ましくは0.1~5nm、特に好ましくは0.1~2.2nmである。上記厚さが0.1nm以上であると、耐環境性により優れる。上記厚さが100nm以下であると、外部への接続安定性に優れる。なお、上記第2無機層が複層構成である場合、上記第2無機層の厚さは、全ての層厚さの合計である。
【0072】
本発明のシールドフィルムは、導電性接着剤層側にセパレータ(剥離フィルム)を有していてもよい。セパレータは、本発明のシールドフィルムから剥離可能なように積層される。セパレータは、導電性接着剤層を被覆して保護するための要素であり、本発明のシールドフィルムを使用する際には剥がされる。
【0073】
上記セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、フッ素系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙類などが挙げられる。
【0074】
上記セパレータの厚さは、10~200μmであることが好ましく、より好ましくは15~150μmである。上記厚さが10μm以上であると、保護性能により優れる。上記厚さが200μm以下であると、使用時にセパレータを剥離しやすい。
【0075】
本発明のシールドフィルムは、上述の各層以外のその他の層を有していてもよい。上記その他の層としては、例えば、その他の絶縁層、反射防止層、防眩層、防汚層、ハードコート層、紫外線吸収層、アンチニュートンリング層などが挙げられる。
【0076】
本発明のシールドフィルムは、簡易に被着体に接着可能であり、それでいて被着体に対する密着性に優れ、電気的接続安定性に優れ、耐環境性にも優れる。このため、本発明の電磁波シールドフィルムは、高温・高圧に対する耐性に劣る基板に対しても使用することができる。また、耐環境性が求められる環境下においても使用することができる。
【0077】
本発明のシールドフィルムは、プリント配線板用途であることが好ましく、フレキシブルプリント配線板(FPC)用途であることが特に好ましい。
【0078】
また、本発明のシールドフィルムは、耐環境性に優れる。このため、高温高湿環境、例えば自動車等の車両内などにおいて好ましく使用することができる。
【0079】
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明のシールドフィルムの製造方法の一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。図1に示すシールドフィルム1の作製においては、まず、絶縁保護層2上に金属層3を形成する。金属層3の形成は、上述した各種方法により行うことができる。
【0080】
図2に示すシールドフィルム1の作製においては、樹脂層21上に第2無機層22を真空蒸着やスパッタリング等によって形成し、絶縁保護層2を形成することができる。次いで、絶縁保護層2上に、真空蒸着やスパッタリング、メッキ等により金属層3を形成する。
【0081】
次に、形成された金属層3表面に、第1無機層4を真空蒸着やスパッタリング等によって形成することができる。
【0082】
次に、形成された第1無機層4表面に、導電性接着剤層5形成用の接着剤組成物を塗布(塗工)し、必要に応じて、脱溶媒および/または一部硬化させて形成することができる。上記接着剤組成物は、例えば、上述の導電性接着剤層に含まれる各成分に加え、溶剤(溶媒)を含む。溶剤としては、上述の絶縁保護層を形成するための組成物が含み得る溶剤として例示されたものが挙げられる。上記接着剤組成物の固形分濃度は、形成する導電性接着剤層の厚さなどに応じて適宜設定される。
【0083】
上記各組成物の塗布には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、リップコーターディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター、スロットダイコーターなどのコーターが用いられてもよい。
【0084】
なお、上述した製造方法では、主に、各層を順次形成して作製する方法(ダイレクトコート法)について説明したが、このような方法に限定されず、例えば、セパレートフィルムなどの仮基材または基材上に個別に形成した各層をラミネートして順次貼り合わせる方法(ラミネート法)により作製してもよい。
【0085】
本発明のシールドフィルムを用いてプリント配線板を作製することができる。例えば、本発明のシールドフィルムの導電性接着剤層をプリント配線板(例えば、カバーレイ)に貼り合わせることで、プリント配線板に本発明のシールドフィルムが貼り合わされたシールドプリント配線板を得ることができる。上記シールドプリント配線板において、上記導電性接着剤層は、熱硬化していてもよい。
【実施例
【0086】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0087】
実施例1
樹脂層であるPETフィルム(厚さ6μm)の表面に、第2無機層としてスパッタリングによりTiO2膜(厚さ2nm)を形成し、絶縁保護層を作製した。次に、上記TiO2膜表面に、金属層として真空蒸着により銀薄膜(厚さ10nm)を形成した。次に、上記銀薄膜表面に、第1無機層としてスパッタリングによりTiO2膜(厚さ1.5nm)を形成した。そして、導電性接着剤層として熱可塑性のアクリル系樹脂95質量部、銀コート銅粉(球状、メディアン径5μm)5質量部、およびトルエン400質量部(固形分が20質量%)を配合して混合して得られた接着剤組成物を、表面を離型処理したポリエステルフィルム表面に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分加熱することで導電性接着剤層(厚さ5μm)を形成し、上記第1無機層であるTiO2膜側に貼り合わせた。以上のようにして、実施例1のシールドフィルムを作製した。
【0088】
実施例2~4
第1無機層の厚さを表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、各実施例の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0089】
実施例5
エポキシ樹脂組成物を、表面に離型処理を施したPETフィルム基材に塗布し、100℃、3分の条件で加熱硬化して厚さが5μmのエポキシ樹脂からなる樹脂層を形成した。また、厚さ6μmの圧延銅箔の両側表面に、メッキによって酸化クロム(厚さ0.2nm)を形成し、第2無機層/金属層/第1無機層からなる積層体を得た。次に、上記樹脂層の表面に、上記積層体の第2無機層面を加熱ラミネートにより貼り合わせた。次に、上記第1無機層の表面に、導電性接着剤層として熱可塑性のアクリル系樹脂95質量部、ニッケル粒子(フィラメント状、メディアン径20μm)5質量部、およびトルエン400質量部(固形分が20質量%)を配合して混合して得られた接着剤組成物を、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間加熱することで導電性接着剤層(厚さ13μm)を形成して、実施例5の電磁波シールドフィルムを得た。
【0090】
実施例6~8
第1無機層の厚さ、第2無機層の厚さ、および導電性粒子の種類を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例5と同様にして、各実施例の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0091】
比較例1
第1無機層を作製せず、金属層と導電性接着剤層を直接貼り合わせた以外は実施例1と同様にして比較例1の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0092】
比較例2
第1無機層の厚さを150nmとした以外は実施例3と同様にして比較例2の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0093】
比較例3
導電性接着剤層の厚さを1μmとし、銀コート銅粉を球状、メディアン径7μmとした以外は実施例3と同様にして、比較例3の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0094】
比較例4
実施例1の銀コート銅紛に代えてメディアン径が1μmの球状銀コート銅紛を使用した以外は実施例3と同様にして、比較例4の電磁波シールドフィルムを作製した。
【0095】
[評価]
実施例及び比較例で得られた各シールドフィルムについて以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。なお、使用しなかった項目、及び正確に測定できなかった項目に関しては表中で「-」として表記した。
【0096】
(接続抵抗値測定)
幅5mm×長さ10mmの電極2つを間隔100mmになるように厚さ2mmのガラスエポキシ基板上に配置した。そして、電極の配置面に、実施例で得られたシールドフィルムを、幅5mm×長さ130mmに打ち抜き、常温常圧の条件下で、2kgローラーで1往復させ電極間を繋ぐように導電性接着剤層面を貼り合わせた。導電性接着剤層面を貼り合わせた後、2つの電極間の抵抗値を、4端子法テスター(商品名「RM3542」、日置電機株式会社製)を用いて、電磁波シールドフィルム作製直後、及び65℃90%RHの環境で72時間保管後にそれぞれ測定した。
【0097】
【表1】
【0098】
本発明のシールドフィルム(実施例1~8)は、高温高圧条件下ではない緩やかな条件で貼り合わせした場合であっても、接続抵抗値が低く優れたシールド性能を有することが確認された。一方で第1無機層を有さない場合、耐環境性に劣り(比較例1)、第1無機層が厚すぎる場合、接続安定性に劣る結果となった(比較例2)。また、導電性粒子のメディアン径に対する前記導電性接着剤層の厚さの比が小さ過ぎる場合、接着性を発揮することができず、抵抗値が測定できない結果となり(比較例3)、導電性粒子のメディアン径に対する前記導電性接着剤層の厚さの比が大きすぎる場合、接続安定性に劣る結果となった(比較例4)。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の電磁波シールドフィルムはプリント配線板に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 シールドフィルム
2 絶縁保護層
21 樹脂層
22 第2無機層
3 金属層
4 第1無機層
5 導電性接着剤層
図1
図2