(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】光ファイバテープ心線
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G02B6/44 371
(21)【出願番号】P 2023535143
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2022018749
(87)【国際公開番号】W WO2023286415
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2021115536
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】山下 典明
(72)【発明者】
【氏名】石田 格
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-202795(JP,A)
【文献】特開2020-030407(JP,A)
【文献】特開2020-181048(JP,A)
【文献】国際公開第2018/182670(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に垂直な配列方向に配列された5本以上の光ファイバと、
前記配列方向において隣接する2本の前記光ファイバの間に形成され、当該2本の光ファイバを連結する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部が前記長手方向および前記配列方向において間欠的に配置される光ファイバテープ心線であって、
前記光ファイバテープ心線は、前記長手方向において異なる位置に配置される
複数の第1高密度領域および少なくとも1つの第1低密度領域と、前記長手方向において異なる位置に配置される
複数の第2高密度領域および少なくとも1つの第2低密度領域と、を有し、
前記第1高密度領域には、前記複数の連結部のうち前記長手方向および前記配列方向における位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部が配置され、
前記第2高密度領域には、前記複数の連結部のうち前記長手方向および前記配列方向における位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部が配置され、
前記第1低密度領域における前記連結部の数密度は、前記第1高密度領域における前記連結部の数密度よりも低く、
前記第2低密度領域における前記連結部の数密度は、前記第2高密度領域における前記連結部の数密度よりも低く、
前記第1低密度領域と前記第2低密度領域とが前記配列方向において重なる部分の前記長手方向における寸法L9は、前記第1低密度領域の前記長手方向における寸法L6および前記第2低密度領域の前記長手方向における寸法L8よりも小さ
く、
前記長手方向における一方の向きを右方、前記右方とは反対の向きを左方と称し、
隣接する2本の前記光ファイバの間をファイバ間領域と称し、
前記第1高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々において、最も右方に位置する連結部を第1右端連結部と称し、
前記第1高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々において、最も左方に位置する連結部を第1左端連結部と称し、
前記第2高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々において、最も右方に位置する連結部を第2右端連結部と称し、
前記第2高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々において、最も左方に位置する連結部を第2左端連結部と称し、
前記第1高密度領域に含まれる複数の前記第1右端連結部のうち最も右方に位置する2個の第1右端連結部の右端を結んだ直線を第1右側直線と称し、
前記第1高密度領域に含まれる複数の前記第1左端連結部のうち最も左方に位置する2個の第1左端連結部の左端を結んだ直線を第1左側直線と称し、
前記第2高密度領域に含まれる複数の前記第2右端連結部のうち最も右方に位置する2個の第2右端連結部の右端を結んだ直線を第2右側直線と称し、
前記第2高密度領域に含まれる複数の前記第2左端連結部のうち最も左方に位置する2個の第2左端連結部の左端を結んだ直線を第2左側直線と称するとき、
前記第1高密度領域に含まれて前記第1右側直線と重なる連結部は、前記第2右側直線と重ならず、
前記第1高密度領域に含まれて前記第1左側直線と重なる連結部は、前記第2左側直線と重ならず、
前記第2高密度領域に含まれて前記第2右側直線と重なる連結部は、前記第1右側直線と重ならず、
前記第2高密度領域に含まれて前記第2左側直線と重なる連結部は、前記第1左側直線と重ならず、
前記第1低密度領域には、前記連結部が含まれず、
前記第2低密度領域には、前記連結部が含まれない、光ファイバテープ心線。
【請求項2】
前記第1低密度領域と前記第2低密度領域とが前記配列方向において重なる部分の前記長手方向における寸法L9は、前記第1高密度領域の前記長手方向における寸法L5および前記第2高密度領域の前記長手方向における寸法L7よりも小さい、請求項
1に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項3】
隣接する2本の前記光ファイバの間をファイバ間領域と称するとき、
前記第1高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々には、少なくとも1個ずつ前記連結部が配置されており、
前記第2高密度領域に含まれる複数の前記ファイバ間領域の各々には、少なくとも1個ずつ前記連結部が配置されている、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項4】
前記第1高密度領域の前記長手方向における両端縁には、少なくとも1個ずつ前記連結部が配置されており、
前記第2高密度領域の前記長手方向における両端縁には、少なくとも1個ずつ前記連結部が配置されている、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項5】
前記第1高密度領域および前記第1低密度領域を合わせた領域である第1領域と、前記第2高密度領域および前記第2低密度領域を合わせた領域である第2領域とは、前記配列方向において隣接している、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項6】
前記配列方向において、前記第1高密度領域の寸法L1と、前記第1低密度領域の寸法L2と、が互いに等しく、前記第2高密度領域の寸法L3と、前記第2低密度領域の寸法L4と、が互いに等しい、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項7】
前記配列方向において、前記第1高密度領域および前記第2高密度領域は互いに重ならない、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項8】
前記配列方向において、前記第1低密度領域および前記第2低密度領域は互いに重ならない、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線に関する。
本願は、2021年7月13日に、日本に出願された特願2021-115536号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に垂直な配列方向に配列された複数の光ファイバと、複数の連結部と、を備えた光ファイバテープ心線が開示されている。複数の連結部は、配列方向において隣接する2本の光ファイバの間に形成され、当該2本の光ファイバを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光ファイバテープ心線は、長手方向において交互に配置されている複数の高密度領域(連結領域)と複数の低密度領域(非連結領域)とを有する。複数の高密度領域の各々には少なくとも2個の連結部が配置されている。複数の低密度領域の各々においては、隣接する2本の光ファイバの間の配列ピッチを固定する連結部が配置されていない。一方、光ファイバテープ心線は、例えば、押さえ巻きやシース等に包まれて光ファイバケーブルとして利用されることがある。このような光ファイバケーブルの製造においては、光ファイバテープ心線を長手方向に沿って動かしながら、光ファイバテープ心線と他の構成部材(押さえ巻き、シース等)とを合流させる方法が採用されることが多い。
【0005】
ところで、光ファイバテープ心線のうち連結部が形成されている部分は、その他の部分に比べて剛性が大きくなる。したがって、各低密度領域における光ファイバテープ心線の剛性は、各高密度領域における光ファイバテープ心線の剛性よりも小さくなりやすい。例えば特許文献1の光ファイバテープ心線では、剛性の大きい高密度領域と剛性の小さい低密度領域とが長手方向において交互に配置されている。光ファイバケーブルを製造する際には、光ファイバテープ心線を動かした時に、当該剛性が低い部分において光ファイバテープ心線が波打ったり、ねじれたりする可能性があった。このような光ファイバテープ心線の波打ちやうねりは、円滑な光ファイバケーブルの製造を阻害する場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、剛性を向上させた光ファイバテープ心線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る光ファイバテープ心線は、長手方向に垂直な配列方向に配列された5本以上の光ファイバと、前記配列方向において隣接する2本の前記光ファイバの間に形成され、当該2本の光ファイバを連結する複数の連結部と、を備え、前記複数の連結部が前記長手方向および前記配列方向において間欠的に配置される光ファイバテープ心線であって、前記光ファイバテープ心線は、前記長手方向において異なる位置に配置される少なくとも1つの第1高密度領域および少なくとも1つの第1低密度領域と、前記長手方向において異なる位置に配置される少なくとも1つの第2高密度領域および少なくとも1つの第2低密度領域と、を有し、前記第1高密度領域には、前記複数の連結部のうち前記長手方向および前記配列方向における位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部が配置され、前記第2高密度領域には、前記複数の連結部のうち前記長手方向および前記配列方向における位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部が配置され、前記第1低密度領域における前記連結部の数密度は、前記第1高密度領域における前記連結部の数密度よりも低く、前記第2低密度領域における前記連結部の数密度は、前記第2高密度領域における前記連結部の数密度よりも低く、前記第1低密度領域と前記第2低密度領域とが前記配列方向において重なる部分の前記長手方向における寸法L9は、前記第1低密度領域の前記長手方向における寸法L6および前記第2低密度領域の前記長手方向における寸法L8よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、剛性を向上させた光ファイバテープ心線を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【
図5】本発明の第5実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【
図6】本発明の第6実施形態に係る光ファイバテープ心線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光ファイバテープ心線について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、光ファイバテープ心線1は複数の光ファイバ20を備える。複数の光ファイバ20は、各光ファイバ20の長手方向に垂直な方向に配列されている。光ファイバテープ心線1は、複数の光ファイバ20のうち互いに隣接する2本の光ファイバ20を連結する複数の連結部10をさらに備える。
図1の例では、光ファイバテープ心線1が備える光ファイバ20の数は25本である。ただし、光ファイバ20の本数は適宜変更可能であり、5本以上であれば、光ファイバ20の本数は限定されない。
【0011】
(方向定義)
ここで本実施形態では、光ファイバテープ心線の長手方向を単に長手方向Xと称する。長手方向Xにおける一方の向きを、+Xの向きまたは右方と称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きまたは左方と称する。複数の光ファイバ20が配列される方向を、配列方向Yと称する。配列方向Yは、長手方向Xに直交する。配列方向Yにおける一方の向きを、+Yの向きまたは上方と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向きまたは下方と称する。長手方向Xおよび配列方向Yに直交する方向を面直方向Zと称する。
【0012】
各光ファイバ20は、不図示の導波路および被覆部を有する。導波路は、例えばガラスで形成されている。導波路は、コアおよびクラッドを有する。被覆部は樹脂等によって形成されており、ガラス部を覆っている。被覆部の具体的な材質としては、例えばUV硬化型樹脂が挙げられる。
【0013】
各光ファイバ20は、長手方向Xに沿って延びている。複数の光ファイバ20は、配列方向Yにおいて配列されている。配列方向Yにおいて隣接する2本の光ファイバ20の間には隙間が設けられていてもよいし、当該2本の光ファイバ20は互いに接していてもよい。本実施形態に係る光ファイバテープ心線1において、複数の光ファイバ20は、配列方向Yにおいて略一定間隔(配列ピッチP5)で並べられている。以降、配列方向Yにおいて隣接する2本の光ファイバ20の間の隙間または接面を、ファイバ間領域Bと称する。
図1の例では、25本の光ファイバ20と、24箇所のファイバ間領域Bとが、配列方向Yにおいて交互に並ぶ。
【0014】
複数の連結部10は各々、ファイバ間領域Bに形成される。複数の連結部10は、長手方向Xおよび配列方向Yにおいて間欠的に配置される。本明細書において、複数の連結部10が「間欠的に配置される」ことには、連結部10の間の間隔が一定である場合および一定でない場合の双方を含む。各連結部10は、当該連結部10が配置されたファイバ間領域Bに隣接する2本の光ファイバ20を連結する。より詳しくは、各連結部10は、当該連結部10が配置されたファイバ間領域Bに隣接する2本の光ファイバ20の被覆部を連結する。つまり、本実施形態に係る光ファイバテープ心線1では、配列方向Yにおいて隣接する2本の光ファイバ20は、複数の連結部10によって、長手方向Xにおいて間欠的に互いに連結される。光ファイバテープ心線1は、間欠固定テープ心線1とも称される。連結部10としては、隣接する光ファイバ20の被覆部を連結可能な任意の材質を採用できる。例えば、連結部10としてUV硬化型樹脂を用いてもよい。
【0015】
本実施形態に係る光ファイバテープ心線1は、複数の第1高密度領域D1と、複数の第1低密度領域S1と、複数の第2高密度領域D2と、複数の第2低密度領域S2と、を有する。複数の第1高密度領域D1および複数の第1低密度領域S1は、長手方向Xにおいて交互に配置されている。複数の第2高密度領域D2および複数の第2低密度領域S2は、長手方向Xにおいて交互に配置されている。本実施形態において、第1高密度領域D1と、第2高密度領域D2とは、配列方向Yにおいて異なる位置に配置されている。
【0016】
本実施形態において、各第1高密度領域D1の配列方向Yにおける寸法L1と、各第1低密度領域S1の配列方向Yにおける寸法L2とは、互いに略等しい。各第2高密度領域D2の配列方向Yにおける寸法L3と、各第2低密度領域S2の配列方向Yにおける寸法L4とは、互いに略等しい。また、寸法L1と寸法L3とは、互いに略等しくてもよい。本実施形態において、各第1高密度領域D1の長手方向Xにおける寸法は、寸法L5で略一定である。各第1低密度領域S1の長手方向Xにおける寸法は、寸法L6で略一定である。各第2高密度領域D2の長手方向Xにおける寸法は、寸法L7で略一定である。各第2低密度領域S2の長手方向Xにおける寸法は、寸法L8で略一定である。ただし、寸法L5~L8の各々は略一定でなくてもよい。また、寸法L5と寸法L7とは互いに略等しくてもよい。寸法L6と寸法L8とは互いに略等しくてもよい。本実施形態において、各領域D1、D2、S1、S2には、13本の光ファイバ20と、12箇所のファイバ間領域Bとが含まれる。
【0017】
複数の第1高密度領域D1および複数の第1低密度領域S1を合わせた領域を第1領域A1と称する。複数の第2高密度領域D2および複数の第2低密度領域S2を合わせた領域を第2領域A2と称する。本実施形態において、第1領域A1と第2領域A2とは、配列方向Yにおいて互いに隣接する。なお、第1領域A1と第2領域A2とは、配列方向Yにおいて互いに隣接していなくてもよい。
【0018】
本実施形態において、複数の第1高密度領域D1の各々と、複数の第1低密度領域S1の各々と、複数の第2高密度領域D2の各々と、複数の第2低密度領域S2の各々とは、略長方形状に形成されている。以降、各第1高密度領域D1の右側の端縁を第1右側端縁D1REと称し、各第1高密度領域D1の左側の端縁を第1左側端縁D1LEと称することがある。同様に、各第2高密度領域D2の右側の端縁を第2右側端縁D2REと称し、各第2高密度領域D2の左側の端縁を第2左側端縁D2LEと称することがある。本実施形態において、各端縁D1RE、D1LE、D2RE、D2LEは、配列方向Yに平行な線分である。各端縁D1RE、D1LE、D2RE、D2LEには、それぞれ少なくとも1個の連結部10が接するように配置されている。
【0019】
本実施形態において、各第1高密度領域D1の第1右側端縁D1REは、当該第1高密度領域D1の右方に隣接する第1低密度領域S1の左側の端縁でもある。同様に、各第1高密度領域D1の第1左側端縁D1LEは、当該第1高密度領域D1の左方に隣接する第1低密度領域S1の右側の端縁でもある。つまり、各第1高密度領域D1と各第1低密度領域S1とは、各第1右側端縁D1REおよび各第1左側端縁D1LEによって区画される。本実施形態において、各第2高密度領域D2の第2右側端縁D2REは、当該第2高密度領域D2の右方に隣接する第2低密度領域S2の左側の端縁でもある。同様に、各第2高密度領域D2の第2左側端縁D2LEは、当該第2高密度領域D2の左方に隣接する第2低密度領域S2の右側の端縁でもある。つまり、各第2高密度領域D2と各第2低密度領域S2とは、各第2右側端縁D2REおよび各第2左側端縁D2LEによって区画される。
【0020】
以下、各第1高密度領域D1および各第1低密度領域S1の構成について説明する。
【0021】
各第1高密度領域D1には、複数の連結部10のうち長手方向Xおよび配列方向Yにおける位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部10が配置されている。
図1の例において、各第1高密度領域D1には、12個の連結部10が配置されている。
図1の例において、各第1高密度領域D1に含まれる12個の連結部10の配置パターンは、各第1高密度領域D1間において略同一である。より詳しくは、各第1高密度領域D1には3つの連結部群Gが配置されており、3つの連結部群Gは配列方向Yにおいて配列されている。各連結部群G内において、4個の連結部10が直線状に連なって配置されている。言い換えれば、各第1高密度領域D1内において、12個の連結部10が、4個の連結部10(連結部群G)を1単位として、配列方向Yにおいて周期的に配置されている。なお、各連結部群Gに含まれる連結部10の数は適宜変更可能であり、2個以上であれば、連結部10の数は限定されない。各連結部群G内において、複数の連結部が曲線状に連なって配置されていてもよい。また、各第1高密度領域D1に含まれる連結部群Gの数は適宜変更可能である。各第1高密度領域D1に含まれる連結部10の数は適宜変更可能であり、2個以上であれば、連結部10の数は限定されない。
【0022】
図1の例においては、各連結部群G内において、4個の連結部10は長手方向Xにおいて略一定のピッチP1で配されている。また、4個の連結部10は、長手方向Xにおいて略一定の間隔P2を空けて配されている。なお、4個の連結部10は長手方向Xにおいて間隔P2を空けずに配されていてもよい。つまり、各連結部10は配列方向Yにおいて互いに重なっていてもよい。また、各連結部群G内において、ある連結部10が配置されているファイバ間領域Bと、当該連結部10と最も近接する連結部10が配置されているファイバ間領域Bとは、配列方向Yにおいて隣接している。ここで、各連結部群Gにおいて、当該連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も上方に位置する連結部10を上端連結部と称する。各連結部群Gにおいて、当該連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も下方に位置する連結部10を下端連結部と称する。本実施形態において、3つの連結部群Gは、配列方向Yにおいて隣接している。例えば、3つの連結部群Gのうち中央に位置する連結部群Gにおける上端連結部が配置されているファイバ間領域Bと、3つの連結部群Gのうち上側に位置する連結部群Gにおける下端連結部が配置されているファイバ間領域Bとは、隣接している。同様に、3つの連結部群Gのうち中央に位置する連結部群Gにおける下端連結部が配置されているファイバ間領域Bと、3つの連結部群Gのうち下側に位置する連結部群Gにおける上端連結部が配置されているファイバ間領域Bとは、隣接している。各連結部群Gが配列方向Yにおいて隣接していることにより、各第1高密度領域D1に含まれる各ファイバ間領域Bには、1個ずつ連結部10が配置される。なお、各連結部群Gは、配列方向Yにおいて隣接していなくてもよい。
【0023】
図1の例においては、各第1高密度領域D1の各連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も右方に位置する3個の連結部10は、長手方向Xにおいて互いに略同じ位置に配置されている。これら3個の連結部10は、第1右側端縁D1REに接している。同様に、各連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も左方に位置する3個の連結部10は、長手方向Xにおいて互いに略同じ位置に配置されている。これら3個の連結部10は、第1左側端縁D1LEに接している。
【0024】
図1の例において、各第2高密度領域D2にも、第1高密度領域D1と同様の連結部群Gが配置されている(詳細は後述)。連結部群Gは、複数の第1高密度領域D1および複数の第2高密度領域D2のうちいずれか1つに包含されている。なお、第1高密度領域D1および第2高密度領域D2には、連結部群Gに属さない連結部10が含まれていてもよい。
【0025】
各第1低密度領域S1における連結部10の数密度は、各第1高密度領域D1における連結部10の数密度よりも低い。同様に、各第2低密度領域S2における連結部10の数密度は、各第2高密度領域D2における連結部10の数密度よりも低い。「第1低密度領域S1における連結部10の数密度」とは、第1低密度領域S1に含まれる連結部10の数を当該第1低密度領域S1の面積で割った値である。「第1高密度領域D1における連結部10の数密度」とは、第1高密度領域D1に含まれる連結部10の数を当該第1高密度領域D1の面積で割った値である。第2低密度領域S2、第2高密度領域D2の数密度も同様に定義する。
図1の例においては、各低密度領域S1、S2には連結部10が含まれていない。つまり、低密度領域S1、S2における連結部10の数密度はゼロである。ただし、低密度領域S1、S2に連結部10が含まれていてもよい。
【0026】
以下、各第2高密度領域D2および各第2低密度領域S2の構成について説明する。なお、本実施形態において、各第2高密度領域D2の構成は各第1高密度領域D1の構成と略同一である。同様に、各第2低密度領域S2の構成は各第1低密度領域S1の構成と略同一である。
【0027】
各第2高密度領域D2には、複数の連結部10のうち長手方向Xおよび配列方向Yにおける位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部10が配置されている。
図1の例において、各第2高密度領域D2には、12個の連結部10が配置されている。
図1の例において、各第2高密度領域D2に含まれる12個の連結部10の配置パターンは、各第2高密度領域D2間において略同一である。より詳しくは、各第2高密度領域D2には3つの連結部群Gが配置されており、3つの連結部群Gは配列方向Yにおいて配列されている。各連結部群G内において、4個の連結部10が直線状に連なって配置されている。言い換えれば、各第2高密度領域D2内において、12個の連結部10が、4個の連結部10(連結部群G)を1単位として、配列方向Yにおいて周期的に配置されている。なお、各連結部群Gに含まれる連結部10の数は適宜変更可能であり、2個以上であれば、連結部10の数は限定されない。各連結部群G内において、複数の連結部が曲線状に連なって配置されていてもよい。また、各第2高密度領域D2に含まれる連結部群Gの数は適宜変更可能である。各第2高密度領域D2に含まれる連結部10の数は適宜変更可能であり、2個以上であれば、連結部10の数は限定されない。
【0028】
図1の例においては、各連結部群G内において、4個の連結部10は長手方向Xにおいて略一定のピッチP3で配されている。また、4個の連結部10は、長手方向Xにおいて略一定の間隔P4を空けて配されている。なお、4個の連結部10は長手方向Xにおいて間隔P4を空けずに配されていてもよい。つまり、各連結部10は配列方向Yにおいて互いに重なっていてもよい。また、各連結部群G内において、ある連結部10が配置されているファイバ間領域Bと、当該連結部10と隣接する連結部10が配置されているファイバ間領域Bとは、配列方向Yにおいて隣接している。3つの連結部群Gは、配列方向Yにおいて隣接している。例えば、3つの連結部群Gのうち中央に位置する連結部群Gにおける上端連結部が配置されているファイバ間領域Bと、3つの連結部群Gのうち上側に位置する連結部群Gにおける下端連結部が配置されているファイバ間領域Bとは、隣接している。同様に、3つの連結部群Gのうち中央に位置する連結部群Gにおける下端連結部が配置されているファイバ間領域Bと、3つの連結部群Gのうち下側に位置する連結部群Gにおける上端連結部が配置されているファイバ間領域Bとは、隣接している。各連結部群Gが配列方向Yにおいて隣接していることにより、各第2高密度領域D2に含まれる各ファイバ間領域Bには、1個ずつ連結部10が配置される。なお、各連結部群Gは配列方向Yにおいて隣接していなくてもよい。
【0029】
図1の例においては、各第2高密度領域D2の各連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も右方に位置する3個の連結部10は、長手方向Xにおいて互いに略同じ位置に配置されている。これら3個の連結部10は、第2右側端縁D2REに接している。同様に、各連結部群Gに含まれる4個の連結部10のうち最も左方に位置する3個の連結部10は、長手方向Xにおいて互いに略同じ位置に配置されている。これら3個の連結部10は、第2左側端縁D2LEに接している。
【0030】
以下、各第1高密度領域D1、各第1低密度領域S1、各第2高密度領域D2、および各第2低密度領域S2の位置関係を説明する。
【0031】
本実施形態に係る各第1低密度領域S1には、配列方向Yにおいて重なる第2低密度領域S2が少なくとも1つ存在する。言い換えれば、各第1低密度領域S1と各第2低密度領域S2とは、配列方向Yにおいて互いに重なっている。当該重なる各部分の長手方向Xにおける寸法は、寸法L9で略一定である。
【0032】
本実施形態において、寸法L9は、各第1低密度領域S1の長手方向Xにおける寸法L6および各第2低密度領域S2の長手方向Xにおける寸法L8よりも小さい。すなわちL9<L6かつL9<L8を満たす。また、寸法L9は、各第1高密度領域D1の長手方向Xにおける寸法L5および各第2高密度領域D2の長手方向Xにおける寸法L7よりも小さい。すなわちL9<L5かつL9<L7を満たす。つまり、光ファイバテープ心線1の長手方向Xにおいて最も剛性が低くなる部分(すなわち、第1低密度領域S1と第2低密度領域S2とが配列方向Yにおいて重なる部分)の長手方向Xにおける寸法L9が、L5~L8よりも短くなる。これにより、光ファイバテープ心線1の長手方向Xにおいて最も剛性が低くなる部分(つまり寸法L9の部分)の面積を縮小し、光ファイバテープ心線1の剛性を全体として高めることができる。
【0033】
以降、各第1高密度領域D1に含まれる各ファイバ間領域Bにおいて、最も右方に位置する連結部10を第1右端連結部11Rと称する。各第1高密度領域D1に含まれる各ファイバ間領域Bにおいて、最も左方に位置する連結部10を第1左端連結部11Lと称する。各第2高密度領域D2に含まれる各ファイバ間領域Bにおいて、最も右方に位置する連結部10を第2右端連結部12Rと称する。各第2高密度領域D2に含まれる各ファイバ間領域Bにおいて、最も左方に位置する連結部10を第2左端連結部12Lと称する。なお、
図1の例においては、各第1高密度領域D1に含まれる各ファイバ間領域Bに含まれるすべての各ファイバ間領域Bについて、当該ファイバ間領域Bに配置されている連結部10は1個のみである。したがって、各第1高密度領域D1に含まれるすべての連結部10が、第1右端連結部11Rおよび第1左端連結部11Lの両方に該当する。同様に、
図1の例においては、各第2高密度領域D2に含まれるすべての連結部10が、第2右端連結部12Rおよび第2左端連結部12Lの両方に該当する。
【0034】
各第1高密度領域D1において、最も右方に位置する2個の第1右端連結部11Rの右端を結んだ直線を第1右側直線D1Rと称する。なお、各第1右端連結部11Rにおいて右端にあたる箇所(点)が複数存在する場合には、当該複数の箇所のうち配列方向Yにおいて両端に位置する2つの点の間の中点を結ぶように第1右側直線D1Rを定義する。次に定義する第1左側直線D1L、第2右側直線D2R、および第2左側直線D2Lについても同様である。各第1高密度領域D1において、最も左方に位置する2個の第1左端連結部11Lの左端を結んだ直線を第1左側直線D1Lと称する。各第2高密度領域D2において、最も右方に位置する2個の第2右端連結部12Rの右端を結んだ直線を第2右側直線D2Rと称する。各第2高密度領域D2において、最も左方に位置する2個の第2左端連結部12Lの左端を結んだ直線を第2左側直線D2Lと称する。なお、
図1の例においては、各第1右側直線D1Rは各第1右側端縁D1REと重なり、各第1左側直線D1Lは各第1左側端縁D1LEと重なる。同様に、各第2右側直線D2Rは各第2右側端縁D2REと重なる。
【0035】
本実施形態において、各第1高密度領域D1に含まれる複数の連結部10のうち第1右側直線D1Rと重なる連結部10の全て(
図1の例においては第1右側端縁D1REに接する3個の連結部10)は、複数の第2右側直線D2Rの各々と重ならない。同様に、各第1高密度領域D1に含まれる複数の連結部10のうち第1左側直線D1Lと重なる連結部10の全て(
図1の例においては第1左側端縁D1LEに接する3個の連結部10)は、複数の第2左側直線D2Lの各々と重ならない。各第2高密度領域D2に含まれる複数の連結部10のうち第2右側直線D2Rと重なる連結部10の全て(
図1の例においては第2右側端縁D2REに接する3個の連結部10)は、複数の第1右側直線D1Rの各々とも重ならない。各第2高密度領域D2に含まれる複数の連結部10のうち第2左側直線D2Lと重なる連結部10の全て(
図1の例においては第2左側端縁D2LEに接する3個の連結部10)は、複数の第1左側直線D1Lの各々と重ならない。
【0036】
次に、以上のように構成された光ファイバテープ心線1の作用について説明する。
【0037】
本実施形態に係る光ファイバテープ心線1は、連結部10が多く配置された複数の第1高密度領域D1および複数の第2高密度領域D2と、配置される連結部10が少ない(特に
図1の例においては連結部10が配置されていない)複数の第1低密度領域S1および複数の第2低密度領域S2を有する。ここで、各第1高密度領域D1および各第2高密度領域D2においては、複数の光ファイバ20は互いに連結され、一体となっている。また、連結部10は、隣接する2本の光ファイバ20の間の配列ピッチP5を固定する役割も有する。したがって、各第1高密度領域D1および各第2高密度領域D2において配列ピッチP5を安定させることができる。
【0038】
ところで、光ファイバテープ心線を他の光ファイバテープ心線に融着接続する際には、融着機が使用されるのが一般的である。融着機には、長手方向Xに沿って延びる複数の溝が形成されている。融着機の内部において、光ファイバテープ心線に含まれる各光ファイバ20は、位置合わせのために上記した複数の溝に対して1本ずつ挿通される。ここで、配列ピッチP5は連結部10によって固定される。このため、ある光ファイバテープ心線に対して融着作業を行う場合、従来は、当該光ファイバテープ心線における光ファイバの配列ピッチP5で配列された溝を有する融着機を用いていた。
【0039】
ところが、近年では光ファイバ20の小径化に向けた研究開発が盛んに行われており、それに伴って光ファイバ20の配列ピッチP5も縮小化が進んでいる。したがって、製造時期が互いに異なる光ファイバテープ心線を融着接続しようとした場合に、両光ファイバテープ心線における配列ピッチP5が互いに異なるために、融着機を用いて両光ファイバテープ心線を融着接続することが困難になるという問題が発生していた。
【0040】
これに対して本実施形態に係る光ファイバテープ心線1は、複数の第1低密度領域S1および複数の第2低密度領域S2を有する。各第1低密度領域S1および各第2低密度領域S2においては、隣接する2本の光ファイバ20の間の配列ピッチP5を固定する連結部10が配置されていないか、あるいは少ない。このため、使用者は、第1低密度領域S1または第2低密度領域S2において光ファイバテープ心線1を配列方向Yに引っ張る、あるいは圧縮することで、配列ピッチP5を変化させることができる。これにより、光ファイバテープ心線1を融着接続する際に、当該光ファイバテープ心線1とは異なる配列ピッチP5を有する融着機を用いることが可能となる。また、光ファイバテープ心線1を、当該光ファイバテープ心線1とは異なる配列ピッチP5を有する光ファイバテープ心線に対して融着接続することが可能となる。
【0041】
一方、光ファイバテープ心線1は、例えば、押さえ巻きやシース等に包まれて光ファイバケーブルとして利用されることがある。このような光ファイバケーブルの製造においては、光ファイバテープ心線1を長手方向Xに沿って動かしながら、光ファイバテープ心線1と他の構成部材(押さえ巻き、シース等)とを合流させる方法が採用されることが多い。
【0042】
ここで、光ファイバ20の間に連結部10が形成されている部分は、連結部10が無い部分と比べて剛性が大きくなる。したがって、各低密度領域S1、S2における光ファイバテープ心線1の剛性は、各高密度領域D1、D2における光ファイバテープ心線1の剛性よりも小さくなりやすい。例えば、単に複数の高密度領域と複数の低密度領域とが長手方向において交互に配置されている光ファイバテープ心線の場合(本実施形態における第1領域A1および第2領域A2のいずれか一方のみを有する光ファイバテープ心線の場合)、光ファイバテープ心線の長手方向において、剛性が極端に低い部分(各低密度領域)が存在する。このように剛性が極端に低い部分が存在する光ファイバテープ心線の場合、光ファイバテープ心線を動かした時に当該剛性が極端に低い部分において光ファイバテープ心線が波打ったり、ねじれたりする可能性があった。このような光ファイバテープ心線の波打ちやうねりは、円滑な光ファイバケーブルの製造を阻害していた。
【0043】
これに対して本実施形態に係る光ファイバテープ心線1は、第1領域A1および第2領域A2の両方を有し、さらに第1領域A1と第2領域A2とが長手方向Xにおいて互いにずれている。より詳しくは、各第1高密度領域D1と各第2高密度領域D2とが、長手方向Xにおいて互いにずれて配置されており、各第1低密度領域S1と各第2低密度領域S2とが、長手方向Xにおいて互いにずれて配置されている。これにより、光ファイバテープ心線1の長手方向Xにおいて最も剛性が低くなる部分(すなわち、第1低密度領域S1と第2低密度領域S2とが配列方向Yにおいて重なる部分)の長手方向Xにおける寸法L9が短くなる。つまり、光ファイバテープ心線1において剛性の特に低い部分の長手方向Xにおける寸法L9を短くすることができる。したがって、光ファイバテープ心線1の剛性を全体として高めることができ、光ファイバテープ心線1を動かした時における光ファイバテープ心線1の波打ちやねじれを抑制することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線1は、配列方向Yに配列された5本以上の光ファイバ20と、配列方向Yにおいて隣接する2本の光ファイバ20の間に形成され、当該2本の光ファイバ20を連結する複数の連結部10と、を備え、複数の連結部10が長手方向Xおよび配列方向Yにおいて間欠的に配置される光ファイバテープ心線1であって、光ファイバテープ心線1は、長手方向Xにおいて交互に配置される複数の第1高密度領域D1および複数の第1低密度領域S1と、長手方向Xにおいて交互に配置される複数の第2高密度領域D2および複数の第2低密度領域S2と、を有し、複数の第1高密度領域D1の各々には、複数の連結部10のうち長手方向Xおよび配列方向Yにおける位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部10が配置され、複数の第2高密度領域D2の各々には、複数の連結部10のうち長手方向Xおよび配列方向Yにおける位置が互いに異なる少なくとも2個の連結部10が配置され、複数の第1低密度領域S1の各々における連結部10の数密度は、複数の第1高密度領域D1の各々における連結部10の数密度よりも低く、複数の第2低密度領域S2の各々における連結部10の数密度は、複数の第2高密度領域D2の各々における連結部10の数密度よりも低く、複数の第1低密度領域S1の各々と複数の第2低密度領域S2の各々とが配列方向Yにおいて重なる各部分の長手方向Xにおける寸法L9は、複数の第1低密度領域S1の各々の長手方向Xにおける寸法L6および第2低密度領域S2の各々の長手方向Xにおける寸法L8よりも小さい。
【0045】
この構成により、第1高密度領域D1に比べて剛性が低い第1低密度領域S1と、第2高密度領域D2に比べて剛性が低い第2低密度領域S2とが、長手方向Xにおいてずれて配置される。これにより、例えば第1低密度領域S1と第2低密度領域S2とが長手方向Xにずれていない場合と比べて、光ファイバテープ心線1の長手方向Xにおいて最も剛性が低くなる部分(すなわち、第1低密度領域S1と第2低密度領域S2とが配列方向Yにおいて重なる部分)の長手方向Xにおける寸法L9が短くなる。したがって、光ファイバテープ心線1の剛性を全体として高めることができ、光ファイバテープ心線1を動かした時における光ファイバテープ心線1の波打ちやねじれを抑制することができる。
【0046】
また、複数の第1高密度領域D1の各々に含まれる複数の連結部10のうち第1右側直線D1Rと重なる連結部10は、複数の第2右側直線D2Rの各々と重ならず、複数の第1高密度領域D1の各々に含まれる複数の連結部10のうち第1左側直線D1Lと重なる連結部10は、複数の第2左側直線D2Lの各々と重ならず、複数の第2高密度領域D2の各々に含まれる複数の連結部10のうち第2右側直線D2Rと重なる連結部10は、複数の第1右側直線D1Rの各々と重ならず、複数の第2高密度領域D2の各々に含まれる複数の連結部10のうち第2左側直線D2Lと重なる連結部10は、複数の第1左側直線D1Lの各々と重ならない。この構成により、第1低密度領域S1および第2低密度領域S2の長手方向Xにおけるずれが、より大きくなる。言い換えれば、寸法L9がより短くなる。これにより、光ファイバテープ心線1の剛性をより高めることができる。
【0047】
また、複数の第1低密度領域S1の各々と第2低密度領域S2の各々とが配列方向Yにおいて重なる各部分の長手方向Xにおける寸法L9は、複数の第1高密度領域D1の各々の長手方向Xにおける寸法L5および複数の第2高密度領域D2の各々の長手方向Xにおける寸法L7よりも小さい。この構成により、光ファイバテープ心線1の長手方向Xにおいて剛性の特に低い部分よりも、剛性の大きい各高密度領域D1、D2のほうが、長手方向Xにおける寸法が大きくなる。したがって、光ファイバテープ心線1全体として剛性がさらに向上する。
【0048】
また、複数の第1高密度領域D1の各々に含まれる複数のファイバ間領域Bの各々には、少なくとも1個ずつ連結部10が配置されており、複数の第2高密度領域D2の各々に含まれる複数のファイバ間領域Bの各々には、少なくとも1個ずつ連結部10が配置されている。この構成により、第1高密度領域D1あるいは第2高密度領域D2において光ファイバテープ心線1が配列方向Yに分離することが抑制される。
【0049】
また、複数の第1右側端縁D1REの各々および複数の第1左側端縁D1LEの各々には、少なくとも1個ずつ連結部10が配置されており、複数の第2右側端縁D2REの各々および複数の第2左側端縁D2LEの各々には、少なくとも1個ずつ連結部10が配置されている。これにより、例えば各第1右側端縁D1REおよび各第1左側端縁D1LEに連結部10が配置されていない場合と比較して、各第1高密度領域D1の剛性を向上させることができる。同様に、各第2右側端縁D2REおよび各第2左側端縁D2LEに連結部10が配置されていない場合と比較して、各第2高密度領域D2の剛性を向上させることができる。したがって、光ファイバテープ心線1の剛性を全体として高めることができる。
【0050】
また、複数の第1高密度領域D1および複数の第1低密度領域S1を合わせた領域である第1領域A1と、複数の第2高密度領域D2および複数の第2低密度領域S2を合わせた領域である第2領域A2とは、配列方向Yにおいて隣接している。この構成により、例えば第1領域A1と第2領域A2とが配列方向Yにおいて隣接していない場合と比べて、光ファイバテープ心線1が長手方向Xを軸として折れ曲がることが抑制される。
【0051】
また、配列方向Yにおいて、複数の第1高密度領域D1の各々の寸法L1と、複数の第1低密度領域S1の各々の寸法L2と、が互いに等しく、複数の第2高密度領域D2の各々の寸法L3と、複数の第2低密度領域S2の各々の寸法L4と、が互いに等しい。これにより、例えば寸法L1が寸法L2より小さく、寸法L3が寸法L4よりも小さい場合と比較して、光ファイバテープ心線1の剛性を高めることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図2に示す本実施形態に係る光ファイバテープ心線2は、各領域D1、D2、S1、S2の位置関係が第1実施形態と異なる。
【0053】
図2に示すように、本実施形態では、配列方向Yにおいて、各第1高密度領域D1および各第2高密度領域D2は、互いに重ならない。また、各第1低密度領域S1と、当該第1低密度領域S1に最も近接する2つの第2低密度領域S2とは、それらの長手方向Xにおける端部が配列方向Yにおいて重なるように配されている。同様に、各第2低密度領域S2と、当該第2低密度領域S2に最も近接する2つの第1低密度領域S1とは、それらの長手方向Xにおける端部が配列方向Yにおいて重なるように配されている。
【0054】
この場合、第1高密度領域D1の長手方向Xにおける全体が、配列方向Yにおいて、第2低密度領域S2と隣接する。同様に、第2高密度領域D2の長手方向Xにおける全体が、配列方向Yにおいて、第1低密度領域S1と隣接する。このような配置によれば、第1高密度領域D1に比べて剛性の低い部分である第1低密度領域S1が、第2高密度領域D2によって補強される。同様に、第2高密度領域D2に比べて剛性の低い部分である第2低密度領域S2が、第1高密度領域D1によって補強される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線2は、複数の第1高密度領域D1の各々および複数の第2高密度領域D2の各々は、配列方向Yにおいて互いに重ならない。この構成により、剛性の高い高密度領域D1、D2によって、剛性の低い低密度領域S1、S2を補強することが可能となる。したがって、光ファイバテープ心線2の剛性を全体として向上させることができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示す本実施形態に係る光ファイバテープ心線3は、各領域D1、D2、S1、S2の位置関係が第1実施形態と異なる。
【0057】
図3に示すように、本実施形態では、配列方向Yにおいて、各第1低密度領域S1および各第2低密度領域S2は、互いに重ならない。また、各第1高密度領域D1と、当該第1高密度領域D1に最も近接する2つの第2高密度領域D2とは、それらの長手方向Xにおける端部が配列方向Yにおいて重なるように配されている。同様に、各第2高密度領域D2と、当該第2高密度領域D2に最も近接する2つの第1高密度領域D1とは、それらの長手方向Xにおける端部が配列方向Yにおいて重なるように配されている。
【0058】
この場合、光ファイバテープ心線3の長手方向Xにおけるいずれの位置においても、第1高密度領域D1または第2高密度領域D2が配置されている。したがって、光ファイバテープ心線3の長手方向Xにおけるいずれの位置においても、剛性の高い領域が配置される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線3は、複数の第1低密度領域S1の各々および複数の第2低密度領域S2の各々は互いに重ならない。この構成により、光ファイバテープ心線3の剛性をより確実に向上させることができる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示す本実施形態に係る光ファイバテープ心線4は、各高密度領域D1、D2の構成が第1実施形態と異なる。
【0061】
図4に示すように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線4において、各高密度領域D1、D2に含まれる複数(
図4では12箇所)のファイバ間領域Bには、各々連結部10が複数(
図4では2個)配置されている。
図4の例においては、各高密度領域D1、D2に24個の連結部10が配置されている。なお、各ファイバ間領域Bに、3個以上の連結部10が配置されていてもよい。ファイバ間領域Bごとに異なる数の連結部10が配置されていてもよい。
【0062】
このように、高密度領域D1、D2内の各ファイバ間領域Bに複数の連結部10が含まれる場合、各ファイバ間領域Bにおいて、第1右端連結部11Rに該当する連結部10と、第1左端連結部11Lに該当する連結部10とは、互いに異なる。
【0063】
本実施形態に係る光ファイバテープ心線4によれば、第1実施形態に係る光ファイバテープ心線1と同様の作用効果が得られる。また、各ファイバ間領域Bに配置される連結部10の数を増加させることで、各高密度領域D1、D2における光ファイバテープ心線4の剛性を向上させることができる。これにより、光ファイバテープ心線4の剛性を全体としてさらに向上させることができる。
【0064】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示す本実施形態に係る光ファイバテープ心線5は、各高密度領域D1、D2の構成が第1実施形態と異なる。
【0065】
図5に示すように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線5において、各高密度領域D1、D2には、1つの連結部群Gが配置されている。また、連結部群G内において、複数(
図5では12個)の連結部10は連なって配置されている。特に、
図5の例においては、12個の連結部が曲線状に連なっている。言い換えれば、各高密度領域D1、D2に含まれる連結部群G内において、連結部10が配列されるピッチP1、P3は一定でない。
【0066】
この場合、各第1高密度領域D1において、第1右側端縁D1REと第1右側直線D1Rとは重ならず、第1左側端縁D1LEと第1左側直線D1Lとは重ならない。同様に、各第2高密度領域D2において、第2右側端縁D2REと第2右側直線D2Rとは重ならず、第2左側端縁D2LEと第2左側直線D2Lとは重ならない。なお、本実施形態に係る光ファイバテープ心線5においても、各第1高密度領域D1に含まれる複数の連結部10のうち第1右側直線D1Rと重なる連結部10は、複数の第2右側直線D2Rの各々と重ならない。同様に、各第1高密度領域D1に含まれる複数の連結部10のうち第1左側直線D1Lと重なる連結部10は、複数の第2左側直線D2Lの各々と重ならない。各第2高密度領域D2に含まれる複数の連結部10のうち第2右側直線D2Rと重なる連結部10は、複数の第1右側直線D1Rの各々と重ならない。各第2高密度領域D2に含まれる複数の連結部10のうち第2左側直線D2Lと重なる連結部10は、複数の第1左側直線D1Lの各々と重ならない。
【0067】
本実施形態に係る光ファイバテープ心線5によれば、第1実施形態に係る光ファイバテープ心線1と同様の作用効果が得られる。また、各高密度領域D1、D2に含まれる複数の連結部10が1つの連結部群Gとして連なっているため、各高密度領域D1、D2に対して複数の連結部10を一筆書き(traversable figure, figure written in one stroke)のように配置することが可能となる。これにより、例えば光ファイバテープ心線5を製造する際に、連結部10となる樹脂を吐出するディスペンサーを移動させる場合には、ディスペンサーの移動距離が短くなり製造効率が向上する。
【0068】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示す本実施形態に係る光ファイバテープ心線6は、各低密度領域S1、S2の構成が第1実施形態と異なる。
【0069】
図6に示すように、本実施形態に係る光ファイバテープ心線6において、各低密度領域S1、S2には、連結部10が配置されている。なお、本実施形態に係る光ファイバテープ心線6においても、各第1低密度領域S1における連結部10の数密度は、各第1高密度領域D1における連結部10の数密度よりも低い。同様に、各第2低密度領域S2における連結部10の数密度は、各第2高密度領域D2における連結部10の数密度よりも低い。
【0070】
本実施形態に係る光ファイバテープ心線6によれば、第1実施形態に係る光ファイバテープ心線1と同様の作用効果が得られる。また、各低密度領域S1、S2にも連結部10が配置されているため、各低密度領域S1、S2における光ファイバテープ心線6の剛性を向上させることができる。これにより、光ファイバテープ心線6の剛性を全体として向上させることができる。また、光ファイバテープ心線6を融着接続する際には、低密度領域S1、S2に含まれる連結部10を剥離させて、光ファイバ20間のピッチを変更することができる。低密度領域S1、S2に含まれる連結部10の数は少ないため、剥離させることは容易である。
【0071】
なお、本明細書において、例えば、「略等しい」には、製造誤差を取り除けば等しいとみなせる場合も含まれる。その他の「略」を用いた表現も同様である。つまり、「略」を用いた表現には、製造誤差を取り除けば「略」に続く字句が示す意味内容が成立するとみなせる場合も含まれる。
【0072】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0073】
例えば、前記実施形態では、複数の第1高密度領域D1、複数の第1低密度領域S1、複数の第2高密度領域D2、および複数の第2低密度領域S2の各々について、L9<L6かつL9<L8を満足した。しかしながら、少なくとも1つの第1高密度領域D1、第1低密度領域S1、第2高密度領域D2、および第2低密度領域S2についてL9<L6かつL9<L8を満足することで、当該部分において剛性を向上させる効果は得られる。その他の寸法関係についても同様である。
【0074】
また、各第1高密度領域D1に含まれる複数の連結部10の配置パターンは、各第1高密度領域D1間において同一でなくてもよい。同様に、各第2高密度領域D2に含まれる複数の連結部10の配置パターンは、各第2高密度領域D2間において同一でなくてもよい。
【0075】
また、各連結部10の長手方向Xおよび配列方向Yにおける寸法は、各連結部10間において同一でなくてもよい。
【0076】
また、各高密度領域D1、D2に含まれる複数の連結部10は、連結部群Gをなしていなくてもよい。言い換えれば、各高密度領域D1、D2において、複数の連結部10はランダムに配置されていてもよい。同様に、各低密度領域S1、S2において、複数の連結部10はランダムに配置されていてもよい。
【0077】
また、第1高密度領域D1に含まれて第1右側直線D1Rと重なる連結部10が複数存在する場合には、当該複数の連結部10のうち一部が、第2右側直線D2Rと重なっていてもよい。ただし、当該複数の連結部10の全てが第2右側直線D2Rと重ならない構成のほうが、第1低密度領域S1および第2低密度領域S2の長手方向Xにおけるずれがより大きくなり、光ファイバテープ心線1の剛性をより確実に高めることができるため好適である。第1高密度領域D1に含まれて第1左側直線D1Lと重なる連結部10が複数存在する場合も同様である。第2高密度領域に含まれて第2右側直線D2Rと重なる連結部10が複数存在する場合も同様である。第2高密度領域に含まれて第2左側直線D2Lと重なる連結部10が複数存在する場合も同様である。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1~6…光ファイバテープ心線 10…連結部 11R…第1右端連結部 11L…第1左端連結部 12R…第2右端連結部 12L…第2左端連結部 20…光ファイバ D1…第1高密度領域 D1R…第1右側直線 D1RE…第1右側端縁(第1高密度領域の長手方向における端縁) D1L…第1左側直線 D1LE…第1左側端縁(第1高密度領域の長手方向における端縁) D2…第2高密度領域 D2R…第2右側直線 D2RE…第2右側端縁(第2高密度領域の長手方向における端縁) D2L…第2左側直線 D2LE…第2左側端縁(第2高密度領域の長手方向における端縁) S1…第1低密度領域 S2…第2低密度領域 A1…第1領域 A2…第2領域 X…長手方向 Y…配列方向