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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20250214BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250214BHJP
   G09G 3/30 20060101ALI20250214BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 624B
G09G3/20 641A
G09G3/20 641K
G09G3/20 641C
G09G3/20 611H
G09G3/20 611F
G09G3/30 K
G09F9/302 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023550420
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2022029622
(87)【国際公開番号】W WO2023053713
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2021160405
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205707(JP,A)
【文献】特開2008-287195(JP,A)
【文献】特開2010-276783(JP,A)
【文献】国際公開第2021/171921(WO,A1)
【文献】特開2005-338811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G09F 9/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に配列された複数の発光素子と、
複数の前記発光素子のそれぞれに接続された第1画素回路及び第2画素回路と、
前記第1画素回路に設けられ、前記発光素子に第1駆動電流を供給する第1駆動トランジスタと、
前記第2画素回路に設けられ、前記発光素子に第2駆動電流を供給する第2駆動トランジスタと、
前記第1駆動トランジスタ及び前記第2駆動トランジスタにそれぞれ映像信号を供給する駆動回路と、
前記第1駆動トランジスタと前記発光素子との間に設けられた第1接続切換トランジスタと、
前記第2駆動トランジスタと前記発光素子との間に設けられた第2接続切換トランジスタと、を有し、
前記第1接続切換トランジスタ及び前記第2接続切換トランジスタは、前記発光素子の非発光期間にオフとなり、
前記発光素子の非発光期間は、前記発光素子が前記第1画素回路及び前記第2画素回路と非接続となり、前記発光素子に前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流が供給されない期間であり、
前記第1画素回路に設けられた前記第1駆動トランジスタは、前記映像信号に応じて設定された前記第1駆動電流を前記発光素子に供給し、
前記第2画素回路に設けられた前記第2駆動トランジスタは、固定された前記第2駆動電流を前記発光素子に供給し、
制御回路は、前記第1画素回路による発光期間を所定期間に設定すると共に、前記第2画素回路による発光期間を変化させる
表示装置。
【請求項2】
前記第1駆動電流の最大値で規定される最大の階調値以下の低階調側の範囲では、前記第1駆動電流で前記発光素子が駆動され、
前記第1駆動電流の最大値で規定される最大の階調値よりも大きい高階調側の範囲では、少なくとも前記第2駆動電流で前記発光素子が駆動される
請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1駆動トランジスタ及び前記第2駆動トランジスタは、
共通の書込期間で、それぞれ前記映像信号が供給され、
時分割で、前記発光素子に前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流を供給する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1駆動トランジスタに接続され、前記第1駆動トランジスタにリセット電源電位を供給する第1リセットトランジスタと、
前記第2駆動トランジスタに接続され、前記第2駆動トランジスタに前記リセット電源電位を供給する第2リセットトランジスタと、を有し、
前記第1リセットトランジスタのゲート及び前記第2リセットトランジスタのゲートは、共通のリセット制御信号線に接続される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記リセット電源電位を供給するリセット電源線を有し、
前記第1画素回路の前記第1リセットトランジスタ及び前記第2画素回路の前記第2リセットトランジスタは、共通の前記リセット電源線に接続される
請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
第1方向に配列された複数の副画素を有し、
複数の前記副画素のそれぞれは、前記発光素子、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を有し、
前記第1方向に隣接する2つの前記副画素で、一方の前記副画素の前記第1画素回路及び前記第2画素回路と、他方の前記副画素の前記第1画素回路及び前記第2画素回路とは、前記第1方向と交差する第2方向に平行な対称軸に対して線対称に配置される
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
1つの前記副画素で、前記第1画素回路と、前記第2画素回路とは、前記第1方向に平行な対称軸に対して線対称に配置される
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の前記副画素は、第1副画素、第2副画素及び第3副画素を有し、
前記第1方向で、前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素、前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第3副画素の順に繰り返し配列され、
前記第2副画素及び前記第3副画素を挟む2つの前記第1副画素で、一方の前記第1副画素の前記第1画素回路及び前記第2画素回路と、他方の前記第1副画素の前記第1画素回路及び前記第2画素回路とは、前記第1方向と交差する第2方向に平行な対称軸に対して線対称に配置される
請求項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無機発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))や有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)等の発光素子を用いた表示装置が知られている。下記特許文献1では、発光素子の階調表現を行う駆動方式として、電流値を調整することで階調を表現する電流駆動方式と、点灯時間を制御することで階調を表現するパルス幅変調方式とを組合せて表示を行う階調制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-64159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電流駆動方式では、電流値を調整するトランジスタの性能に依存することとなり、当該電流値を調整するトランジスタの特性によっては所望の発光強度から変化してしまう場合がある。一方、パルス幅変調方式では、点灯時間に応じて画素回路のスイッチング素子のオン、オフを切り替える必要があると共に、所望の電流値に立ち上がるまでの駆動時間を要するため、高速な画素書込動作が困難となる。このため、細かい階調表現の制御が困難となる可能性がある。特許文献1には、電流駆動方式及びパルス幅変調方式を実現するための具体的な回路構成について記載されていない。
【0005】
本発明は、良好に階調制御を行うことができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の表示装置は、表示領域に配列された複数の発光素子と、複数の前記発光素子のそれぞれに接続された第1画素回路及び第2画素回路と、前記第1画素回路に設けられ、前記発光素子に第1駆動電流を供給する第1駆動トランジスタと、前記第2画素回路に設けられ、前記発光素子に第2駆動電流を供給する第2駆動トランジスタと、前記第1駆動トランジスタ及び前記第2駆動トランジスタにそれぞれ映像信号を供給する駆動回路と、前記第1駆動トランジスタと前記発光素子との間に設けられた第1接続切換トランジスタと、前記第2駆動トランジスタと前記発光素子との間に設けられた第2接続切換トランジスタと、を有し、前記第1接続切換トランジスタ及び前記第2接続切換トランジスタは、前記発光素子の非発光期間にオフとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る表示装置を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る表示装置の画素の一例を示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、画素回路の構成例を示す回路図である。
図5図5は、実施形態に係る表示装置の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図6図6は、図5に示す書込み期間の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図7図7は、表示輝度レベルごとの、電流駆動方式及びPWM駆動方式の組合せの一例を説明するための説明図である。
図8図8は、実施形態に係る複数の副画素の、第1画素回路及び第2画素回路の配置関係を説明するための説明図である。
図9図9は、実施形態に係る複数の副画素の構成例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置を示す平面図である。本実施形態の表示装置1は、マイクロLED(micro LED)を備えるマイクロLED表示装置である。図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、複数の画素PXと、走査線駆動回路12と、信号線駆動回路13と、発光制御回路14と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、を含む。
【0011】
アレイ基板2は、各画素PXを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21を基体として形成され、基板21上に複数の薄膜トランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。特に図示しないが、アレイ基板2上には、外部の制御基板から各種制御信号及び電力を入力するための配線基板(例えばフレキシブルプリント基板(FPC))等が接続されていてもよい。
【0012】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の法線方向である。また、「平面視」とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係をいう。
【0013】
走査線駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数の走査線(例えば、リセット制御信号線L5、書込制御走査線L7、初期化制御信号線L8(図4参照))を駆動する回路である。走査線駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択された走査線にゲート駆動信号を供給する。これにより、走査線駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素PXを選択する。
【0014】
信号線駆動回路13は、表示領域AAの信号線(映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4(図4参照))に電位(映像信号VSG、リセット電源電位Vrst、初期化電位Vini)を供給して複数の画素PXを駆動する駆動回路である。発光制御回路14は、表示領域AAの走査線(発光制御走査線L6及び接続制御走査線L9(図4参照))に信号を供給して複数の画素PXを駆動する駆動回路である。
【0015】
駆動IC210は、走査線駆動回路12、信号線駆動回路13及び発光制御回路14に制御信号を供給して、複数の画素PXの表示を制御する回路である。なお、走査線駆動回路12、信号線駆動回路13及び発光制御回路14の少なくとも一部は、駆動IC210と一体に形成されていてもよい。また、駆動IC210は、アレイ基板2上に設けられる。ただし、これに限定されず、駆動IC210はアレイ基板2に接続された配線基板に設けられてもよい。
【0016】
アレイ基板2は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AA内には、複数の画素PXが設けられている。複数の画素PXは、表示領域AAにマトリクス状に配列される。周辺領域GAは、表示領域AAの外側の領域であり、複数の画素PXが設けられない領域である。周辺領域GAには、走査線駆動回路12、信号線駆動回路13、発光制御回路14及び駆動IC210が設けられる。走査線駆動回路12及び発光制御回路14は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線駆動回路13及び駆動IC210は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられる。なお、走査線駆動回路12及び発光制御回路14は、周辺領域GAの同一辺に沿った領域に設けられていてもよい。
【0017】
なお、以下の説明では、表示領域AAを4分割して、第1部分表示領域AAs1、第2部分表示領域AAs2、第3部分表示領域AAs3及び第4部分表示領域AAs4ごとに表示装置1の表示動作を行う例を説明する(図5参照)。
【0018】
本実施形態では、説明を分かりやすくするために、表示領域AAを矩形状とし、周辺領域GAを、表示領域AAの周囲を囲む矩形の枠状としている。ただし、これに限定されず、表示領域AAは、多角形状でもよく、外周の一部に切り欠き(ノッチ)や曲線部を有する異形状であってもよい。周辺領域GAも、表示領域AAの形状に対応して種々の形状に異ならせることができる。
【0019】
図2は、実施形態に係る表示装置の画素の一例を示す平面図である。図2に示すように、画素PXは、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3を有する。第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3は、それぞれ、発光素子100を備える。発光素子100は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLEDと呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子100の大きさを限定するものではない。なお、以下の説明では、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3を区別して説明する必要が無い場合には、単に副画素SPXと表す。また、発光素子100は、各副画素SPXで中央に配置されているが、図2はあくまで模式的に示したものであり、発光素子100の各副画素SPXでの位置は適宜変更することができる。
【0020】
第1副画素SPX1は、例えば赤色(R)を表示する。第2副画素SPX2は、例えば緑色(G)を表示する。第3副画素SPX3は、例えば青色(B)を表示する。第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3は、第1方向Dxに並んで配置される。ただしこれに限定されず、画素PXは、他の配列であってもよい。例えば、第1副画素SPX1と第2副画素SPX2とが第2方向Dyに隣り合って配置され、1つの第3副画素SPX3が、第2方向Dyに隣り合う第1副画素SPX1及び第2副画素SPX2と第1方向Dxに隣り合って配置されていてもよい。また、画素PXは、いわゆるペンタイル配列で構成されてもよい。また、画素PXは、3つの副画素SPXに限定されず、4つ以上の副画素SPXで構成されてもよい。
【0021】
次に、表示装置1の階調制御について説明する。図3は、実施形態に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、表示装置1は、画素回路50と、画素回路50の駆動を制御する駆動信号制御部200と、を有する。画素回路50は、駆動信号(電流)を発光素子100に供給して、発光素子100を駆動する回路である。なお、図3では模式的に1つの画素回路50(発光素子100)を示しているが、複数の画素回路50及び複数の発光素子100は、副画素SPX(図2参照)ごとに設けられ、表示領域AAにマトリクス状に配列される。
【0022】
駆動信号制御部200は、階調値解析部201と、駆動階調生成部202と、タイミング信号生成部203と、を含む。階調値解析部201は、外部制御回路から入力された画像信号に基づいて、画素PX(副画素SPX)ごとの階調値(以下、目標輝度レベルと表す場合がある)を演算する回路である。
【0023】
駆動階調生成部202は、階調値解析部201から受け取った目標輝度レベルに基づいて、第1映像信号VSG1及び第2映像信号VSG2を生成する回路である。アレイ基板2の信号線駆動回路13は、駆動階調生成部202から供給された第1映像信号VSG1及び第2映像信号VSG2を画素回路50に出力して、複数の画素PXを目標輝度レベルで駆動する。なお、以下の説明では、第1映像信号VSG1及び第2映像信号VSG2を区別して説明する必要が無い場合には、単に映像信号VSGと表す場合がある。
【0024】
タイミング信号生成部203は、外部制御回路から入力された同期信号と、階調値解析部201から受け取った目標輝度レベルに基づいて、タイミング信号を生成する。走査線駆動回路12及び発光制御回路14は、タイミング信号生成部203から供給されたタイミング信号(制御信号)に基づいて、画素回路50に制御信号(書込制御信号SG、発光制御信号BG等)を出力する。
【0025】
第1映像信号VSG1及び第2映像信号VSG2は、発光素子100を点灯させるための所定の信号電位を有する。タイミング信号生成部203から供給されたタイミング信号(制御信号)は、発光制御回路14による発光素子100の点灯期間に関する情報を含む。表示装置1は、各副画素SPXの発光素子100に供給される電流値を制御して階調を表現する方式(以下、電流駆動方式又はアナログ駆動方式と表す)と、発光素子100に供給される電流値を一定としつつ、その点灯時間を制御して階調を表現する方式(以下、PWM駆動方式又はパルス幅変調方式と表す)とを組み合わせて、多階調表示を行うことができる。なお、駆動信号制御部200は、駆動IC210と一体に形成されてもよいし、外部制御回路に設けられていてもよい。
【0026】
図4は、画素回路の構成例を示す回路図である。図4に示すように画素回路50は、第1画素回路50aと、第2画素回路50bとを含む。第1画素回路50a及び第2画素回路50bは、1つの発光素子100に接続される。すなわち、第1画素回路50a及び第2画素回路50bは、副画素SPXのそれぞれに設けられる。第1画素回路50aは、電流駆動方式により発光素子100を駆動する回路である。なお、第1画素回路50aは、1画面の表示を行うフレーム期間の一部の期間で、PWM駆動方式により発光素子100を駆動する回路として共用することができる。第2画素回路50bは、PWM駆動方式により発光素子100を駆動する回路である。
【0027】
第1画素回路50aは、第1発光制御トランジスタBCT1、第1書込トランジスタSST1、第1駆動トランジスタDRT1、第1初期化トランジスタIST1、第1リセットトランジスタRST1及び第1接続切換トランジスタCNT1を含む。第1画素回路50aが有する複数の薄膜トランジスタは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、第1画素回路50aは、第1保持容量Cs1及び第1付加容量Cad1を含む。
【0028】
第1発光制御トランジスタBCT1のゲートは、第1発光制御走査線L6aに接続される。第1発光制御走査線L6aには、第1発光制御信号BG1が供給される。第1発光制御トランジスタBCT1のソース及びドレインの一方は第1アノード電源線L1aに接続され、第1アノード電源線L1aから電源電圧PVDDが供給される。第1発光制御トランジスタBCT1のソース及びドレインの他方は、第1駆動トランジスタDRT1に接続される。第1発光制御トランジスタBCT1がオン(導通状態)になると、第1駆動トランジスタDRT1に電源電圧PVDDが供給される。
【0029】
第1書込トランジスタSST1のゲートは、第1書込制御走査線L7aに接続される。第1書込制御走査線L7aには、第1書込制御信号SG1が供給される。第1書込トランジスタSST1のソース及びドレインの一方は、第1映像信号線L2aに接続される。第1書込トランジスタSST1のソース及びドレインの他方は、第1駆動トランジスタDRT1のゲートに接続される。第1書込トランジスタSST1がオン(導通状態)になると、第1映像信号VSG1が信号線駆動回路13から第1駆動トランジスタDRT1のゲートに供給される。
【0030】
ここで、第1映像信号VSG1の大きさに応じて駆動トランジスタDRTのオン状態が変化する。例えば、第1映像信号VSG1が発光素子100の最大輝度となる信号電位に対応するものであれば、駆動トランジスタDRTは第1映像信号VSG1の電位に応じてほぼ完全なオン状態となり、電源電圧PVDDからの電流(所定の固定電位)がほぼそのまま駆動トランジスタDRTを通過して発光素子100に供給される。他方、第1映像信号VSG1が発光素子100の最低輝度、すなわち黒となる信号電位に対応するものであれば、駆動トランジスタDRTはオフ状態となり、電源電圧PVDDからの電流は発光素子100に供給されない。
【0031】
このように、第1映像信号VSG1の信号電位に応じた大きさで駆動トランジスタDRTのオン状態が変化し、その結果、電源電圧PVDDからの電流は駆動トランジスタDRTのオン状態に応じた分のみが発光素子100に供給される。
【0032】
第1初期化トランジスタIST1のゲートは、第1初期化制御信号線L8aに接続される。第1初期化制御信号線L8aには、第1初期化制御信号IG1が供給される。第1初期化トランジスタIST1のソース及びドレインの一方は、第1初期化電源線L4aに接続される。第1初期化トランジスタIST1のソース及びドレインの他方は、第1駆動トランジスタDRT1のゲート、及び、第1書込トランジスタSST1のソース及びドレインの他方に接続される。第1初期化電源線L4aには、初期化電位Viniが供給される。すなわち、第1初期化トランジスタIST1がオン(導通状態)になると、駆動トランジスタDRTのゲートには、第1初期化トランジスタIST1を介して初期化電位Viniが供給される。
【0033】
第1リセットトランジスタRST1のゲートは、第1リセット制御信号線L5aに接続される。第1リセット制御信号線L5aには、第1リセット制御信号RG1が供給される。第1リセットトランジスタRST1のソース及びドレインの一方は、第1リセット電源線L3aに接続される。第1リセットトランジスタRST1のソース及びドレインの他方は、第1駆動トランジスタDRT1のソース(出力側のノードN1)に接続される。第1リセット電源線L3aには、リセット電源電位Vrstが供給される。すなわち、第1リセットトランジスタRST1がオン(導通状態)になると、駆動トランジスタDRTのソース(出力側のノードN1)は、第1リセットトランジスタRST1を介してリセット電源電位Vrstが供給される。
【0034】
第1接続切換トランジスタCNT1のゲートは、第1接続制御走査線L9aに接続される。第1接続制御走査線L9aには、第1接続制御信号PWM1が供給される。第1接続切換トランジスタCNT1のソース及びドレインの一方は、出力側のノードN1を介して第1駆動トランジスタDRT1のソース(出力側のノードN1)に接続される。第1接続切換トランジスタCNT1のソース及びドレインの他方は、発光素子100のアノード23に接続される。言い換えると、第1接続切換トランジスタCNT1は、第1駆動トランジスタDRT1と発光素子100との間に接続される。
【0035】
発光素子100のカソードには、カソード電源線L10を介して電源電圧PVSSが供給される。発光素子100は、理想的にはアノードに供給される電源電圧PVDDとカソードに供給される電源電圧PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。
【0036】
なお、第1書込制御走査線L7a、第1初期化制御信号線L8a及び第1リセット制御信号線L5aは、図3に示す走査線駆動回路12に接続される。走査線駆動回路12は、第1書込制御走査線L7a、第1初期化制御信号線L8a及び第1リセット制御信号線L5aに、各種制御信号を供給する。また、第1発光制御走査線L6a及び第1接続制御走査線L9aは、発光制御回路14に接続される。発光制御回路14は、第1発光制御走査線L6a及び第1接続制御走査線L9aにそれぞれ制御信号を供給する。
【0037】
また、第1画素回路50aが有する第1保持容量Cs1は、第1駆動トランジスタDRT1のゲートとソース(出力側のノードN1)との間に形成される容量である。第1付加容量Cad1は、出力側のノードN1と第1カソード電源線L10aと間に形成される容量である。
【0038】
第2画素回路50bは、第2発光制御トランジスタBCT2、第2書込トランジスタSST2、第2駆動トランジスタDRT2、第2初期化トランジスタIST2、第2リセットトランジスタRST2及び第2接続切換トランジスタCNT2を含む。第2画素回路50bは、第2アノード電源線L1b、第2映像信号線L2b、第2リセット電源線L3b、第2初期化電源線L4b、第2リセット制御信号線L5b、第2発光制御走査線L6b、第2書込制御走査線L7b、第2初期化制御信号線L8b、第2接続制御走査線L9b、第2カソード電源線L10bを含む。第2画素回路50bは、第1画素回路50aと類似した構成であり繰り返しの説明は省略する。第2画素回路50bでは、第2発光制御トランジスタBCT2がオン(導通状態)になると、第2駆動トランジスタDRT2に電源電圧PVDDが供給される。
【0039】
第2接続切換トランジスタCNT2のゲートは、第2接続制御走査線L9bに接続される。第2接続制御走査線L9bには、第2接続制御信号PWM2が供給される。第2接続切換トランジスタCNT2のソース及びドレインの一方は、第2駆動トランジスタDRT2に接続される。第2接続切換トランジスタCNT2のソース及びドレインの他方は、発光素子100のアノード23に接続される。言い換えると、第2接続切換トランジスタCNT2は、第2駆動トランジスタDRT2と発光素子100との間に接続される。
【0040】
また、第2画素回路50bは、第2保持容量Cs2及び第2付加容量Cad2を含む。第2保持容量Cs2は、第2駆動トランジスタDRT2のゲートとソース(出力側のノードN2)との間に形成される容量である。第2付加容量Cad2は、出力側のノードN2と第2カソード電源線L10bとの間に形成される容量である。
【0041】
図4では、理解を容易にするために、第1画素回路50aが有する各配線(第1アノード電源線L1aから第1カソード電源線L10a)と、第2画素回路50bが有する各配線(第2アノード電源線L1bから第2カソード電源線L10b)と、を回路ごとに分けて記載している。ただし、図9にて後述するように、第1画素回路50aと、第2画素回路50bとで、配線の一部を共有していてもよい。
【0042】
また、以下の説明では、第1画素回路50aが有する各薄膜トランジスタと、第2画素回路50bが有する各薄膜トランジスタとを区別して説明する必要が無い場合には、単に、発光制御トランジスタBCT、書込トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、初期化トランジスタIST、リセットトランジスタRST及び接続切換トランジスタCNTと表す場合がある。
【0043】
また、第1画素回路50aが有する各配線と、第2画素回路50bが有する各配線とを区別して説明する必要が無い場合には、単にアノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3、初期化電源線L4、リセット制御信号線L5、発光制御走査線L6、書込制御走査線L7、初期化制御信号線L8、接続制御走査線L9、カソード電源線L10と表す場合がある。
【0044】
また、第1画素回路50aに供給される各制御信号と、第2画素回路50bに供給される各制御信号とを区別して説明する必要が無い場合には、単に発光制御信号BG、書込制御信号SG、初期化制御信号IG、リセット制御信号RG、接続制御信号PWMと表す場合がある。
【0045】
図5は、実施形態に係る表示装置の動作例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図5では、第1部分表示領域AAs1及び第2部分表示領域AAs2の副画素SPXを駆動する動作を示しているが、第3部分表示領域AAs3以降、最終行の副画素SPXまで継続して駆動される。また、以下の説明では、1行目の副画素SPXから最終行の副画素SPXまでの駆動を行う期間をフレーム期間と表す。
【0046】
図5に示すように、期間t1は、第1部分表示領域AAs1の映像信号書込動作期間である。具体的には、期間t1では、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、第1発光制御走査線L6a及び第2発光制御走査線L6bの電位(第1発光制御信号BG1及び第2発光制御信号BG2)がLレベルとなり、書込制御走査線L7-1、L7-2、・・・、L7-270の電位(第1書込制御信号SG1及び第2書込制御信号SG2)がHレベルとなる。
【0047】
期間t1では、第1画素回路50aの第1発光制御トランジスタBCT1及び第2画素回路50bの第2発光制御トランジスタBCT2がオフになる。また、第1画素回路50aの第1書込トランジスタSST1及び第2画素回路50bの第2書込トランジスタSST2がオンになる。期間t1では、第1部分表示領域AAs1に属する書込制御走査線L7が順次走査される。書込制御走査線L7-1は、1行目の副画素SPXに接続された書込制御走査線L7であり、書込制御走査線L7-2は、2行目の副画素SPXに接続された書込制御走査線L7である。第1部分表示領域AAs1は、例えば、書込制御走査線L7-1から書込制御走査線L7-270までを含む領域である。
【0048】
以下、図6を参照しつつ、映像信号書込動作期間について詳細に説明する。図6は、図5に示す書込み期間の動作例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図6は、図5の期間t4に示す映像信号書込動作期間SWを拡大して示しているが、期間t4の映像信号書込動作期間SWについての説明は、期間t1の映像信号書込動作期間にも適用できる。なお、期間t1の前の期間では、副画素SPXは、前フレームの発光状態を継続している。
【0049】
図6に示すように、期間t11は、駆動トランジスタDRTのソース初期化期間である。具体的には、期間t1では、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、発光制御走査線L6の電位(第1発光制御信号BG1及び第2発光制御信号BG2)がLレベルとなり、リセット制御信号線L5の電位(第1リセット制御信号RG1及び第2リセット制御信号RG2)がHレベルとなる。これにより、発光制御トランジスタBCTがオフ(非導通状態)となり、リセットトランジスタRSTがオン(導通状態)となる。
【0050】
また、映像信号書込動作期間では、期間t11から期間t17に亘って、第1接続制御信号PWM1及び第2接続制御信号PWM2がLレベルとなり、接続切換トランジスタCNTがオフとなる。すなわち、発光素子100の非発光期間である映像信号書込動作期間で、発光素子100は、第1画素回路50a及び第2画素回路50bと非接続となる。これにより、映像信号書込動作期間で第1画素回路50aのノードN1及び第2画素回路50bのノードN2に生じた電位が、発光素子100に印加されることを抑制できる。発光素子100に意図しない逆バイアス電位が印加されることを抑制して、発光素子100の損傷が発生することを抑制できる。
【0051】
期間t11では、アノード電源線L1からの電流が発光制御トランジスタBCTにより遮断され、また、上述したように接続切換トランジスタCNTがオフとなる。発光素子100の発光が停止するとともに、副画素SPX内に残留していた電荷が、リセットトランジスタRSTを通じて外部に流れる。これにより、駆動トランジスタDRTのソースがリセット電源電位Vrstに固定される。
【0052】
次に期間t12は、駆動トランジスタDRTのゲート初期化期間である。具体的には、期間t12では、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、初期化制御信号線L8の電位(第1初期化制御信号IG1及び第2初期化制御信号IG2)がHレベルとなる。初期化トランジスタISTは、オンとなる。第1部分表示領域AAs1に属する副画素SPXにおいて、初期化トランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲートが初期化電位Viniに固定される。初期化電位Viniは、リセット電源電位Vrstに対して、駆動トランジスタDRTのしきい値よりも大きい電位を有している。このため、駆動トランジスタDRTはオンとなる。ただし、期間t12では、発光制御トランジスタBCTがオフの状態を維持しているので、駆動トランジスタDRTには電流が流れない。
【0053】
次に、期間t13は、オフセットキャンセル動作期間である。具体的には、期間t13では、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、発光制御走査線L6の電位(第1発光制御信号BG1及び第2発光制御信号BG2)がHレベルとなり、リセット制御信号線L5の電位(第1リセット制御信号RG1及び第2リセット制御信号RG2)がLレベルとなる。これにより、発光制御トランジスタBCTがオンとなり、リセットトランジスタRSTがオフとなる。
【0054】
駆動トランジスタDRTは、期間t12の動作によりオン状態となっている。このため、アノード電源線L1(電源電圧PVDD)から、発光制御トランジスタBCTを介して駆動トランジスタDRTに電流が供給される。
【0055】
この段階では、接続切換トランジスタCNTがオフであり、発光素子100側には電流が流れない。したがって、電源電圧PVDDによって駆動トランジスタDRTのソースが充電され、ソースの電位が上昇する。駆動トランジスタDRTのゲート電位は、初期化電位Viniとなっている。このため、駆動トランジスタDRTのソース電位が(Vini-Vth)となった段階で駆動トランジスタDRTがオフになり、電位の上昇が停止する。ここで、Vthは、駆動トランジスタDRTのしきい値電圧Vthである。
【0056】
しきい値電圧Vthは、副画素SPXごと(及び画素回路50ごと)にばらつきがある。このため、電位の上昇が停止したときの駆動トランジスタDRTのソースの電位は、副画素SPXごと(及び画素回路50ごと)に異なる。つまり、期間t13の動作によって、各副画素SPXで、駆動トランジスタDRTのしきい値電圧Vthに相当する電圧が取得される。
【0057】
次に、期間t14及び期間t15で、初期化トランジスタIST及び発光制御トランジスタBCTが順次オフとなる。次の期間t16はでは、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、書込制御走査線L7の電位(第1書込制御信号SG1及び第2書込制御信号SG2)がHレベルとなる。
【0058】
これにより、発光制御トランジスタBCTがオフになり、初期化トランジスタISTがオフになり、書込トランジスタSSTがオンになる。期間t16では、第1部分表示領域AAs1に属する副画素SPXにおいて、映像信号VSGが駆動トランジスタDRTのゲートに入力される。駆動トランジスタDRTのゲート電位は、初期化電位Viniから映像信号VSGの電位に変化する。一方、駆動トランジスタDRTのソースの電位は、(Vini-Vth)を維持している。この結果、駆動トランジスタDRTのゲートとソースとの間の電圧は、(VSG-(Vini-Vth))となり、副画素SPX間のしきい値電圧Vthのばらつきが反映されたものとなる。
【0059】
図5に戻って、上述した映像信号書込動作期間の動作により、期間t1では、Hレベルとなる書込制御走査線L7に属する副画素SPXにおいて、第1映像信号VSG1-1が第1画素回路50aの第1駆動トランジスタDRT1のゲートに入力される。期間t1の映像信号書込動作により、第1駆動トランジスタDRT1のゲート電位は、第1映像信号VSG1-1の電位に変化する。同じ期間に、第2映像信号VSG2-1が第2画素回路50bの第2駆動トランジスタDRT2のゲートに入力される。第2駆動トランジスタDRT2のゲート電位は、第2映像信号VSG2-1の電位に変化する。
【0060】
ここで、図5に示すように、当該期間t1の後に続く期間t1a、t1bは、第1映像信号VSG1-1及び第2映像信号VSG2-1に基づく表示がともに所謂PWM駆動方式による表示となる。
【0061】
次に、期間t1の後の、期間t1a、t1bは、発光動作期間である。期間t1a、t1bは、第1映像信号VSG1-1及び第2映像信号VSG2-1に基づいて、いわゆるPWM駆動方式による表示が実行される。PWM駆動方式は、発光制御回路14から各発光制御走査線L6に出力される発光制御信号BGのパルス幅の長さに応じてその発光素子100の階調を表現するものである。PWM駆動方式において発光素子100を点灯する場合、その明るさは当該発光素子100の最大輝度であることが好ましい。したがって、本実施例では、期間t1に入力される映像信号は、いずれも所謂当該発光素子100の最大輝度に対応した映像信号VSG(信号電位)である。このように、PWM駆動方式の期間においては、発光素子100の階調は最大輝度か輝度0で制御される。以下、このようにPWM駆動方式による表示期間に供給される映像信号VSGをデジタル信号と表現することがある。
【0062】
具体的には、期間t1aでは、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、第1発光制御走査線L6aに供給される第1発光制御信号BG1がHレベルとなり、第2発光制御走査線L6bに供給される第2発光制御信号BG2がLレベルとなる。また、第1部分表示領域AAs1の書込制御走査線L7-1、L7-2、・・・、L7-270はLレベルとなる。
【0063】
これにより、第1画素回路50aの第1発光制御トランジスタBCT1がオンになり、第1書込トランジスタSST1がオフになる。さらに、発光動作期間では、第1接続切換トランジスタCNT1がオンになる。第1発光制御トランジスタBCT1を介して第1駆動トランジスタDRT1に電源電圧PVDDが供給される。第1駆動トランジスタDRT1は、期間t1で設定されたゲート-ソース間の電圧に応じた電流を、発光素子100に供給する。すなわち、第1駆動トランジスタDRT1は、映像信号によってほぼ完全なオン状態となっており、発光素子100は、PVDD-PVSSの電位差による最大輝度で発光する。
【0064】
期間t1aで、第1発光制御トランジスタBCT1がオンになる期間(パルス幅)は、最大点灯輝度に対して12.5%の目標輝度レベルとなる期間に設定される。なお、期間t1aでは、第2画素回路50bの第2発光制御トランジスタBCT2がオフであるため、第2駆動トランジスタDRT2から発光素子100には電流が流れない。ただし、第2駆動トランジスタDRT2のゲートとソースとの間の電圧は、第2保持容量Cs2によって保持される。また、期間t1aでは、第2画素回路50bの第2接続切換トランジスタCNT2がオフであるため、第1駆動トランジスタDRT1からの電流による、第2駆動トランジスタDRT2のゲート-ソース間の電圧の変動が抑制される。
【0065】
次に、期間t1bでは、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、第1発光制御走査線L6aに供給される第1発光制御信号BG1はLレベルとなり、第2発光制御走査線L6bに供給される第2発光制御信号BG2はHレベルとなる。また、第1部分表示領域AAs1の書込制御走査線L7-1、L7-2、・・・、L7-270はLレベルを維持している。
【0066】
これにより、第2画素回路50bの第2発光制御トランジスタBCT2がオンになり、第2書込トランジスタSST2がオフになる。さらに、第2接続切換トランジスタCNT2がオンになる。第2発光制御トランジスタBCT2を介して第2駆動トランジスタDRT2に電源電圧PVDDが供給される。第2駆動トランジスタDRT2は、期間t1で設定されたゲート-ソース間の電圧に応じた電流を、発光素子100に供給する。すなわち、第2駆動トランジスタDRT2は、デジタル信号によってほぼ完全なオン状態となっており、発光素子100は、PVDD-PVSSの電位差に基づく最大輝度で発光する。
【0067】
期間t1bでは、第2発光制御トランジスタBCT2がオンになる期間(パルス幅)は、最大点灯輝度に対して50%の目標輝度レベルとなる期間に設定される。すなわち、期間t1bは、期間t1aよりも長い期間であって、本実施例では期間t1bは期間t1aの4倍に相当する。なお、期間t1bでは、第1画素回路50aの第1発光制御トランジスタBCT1がオフであるため、第1駆動トランジスタDRT1から発光素子100には電流が流れない。また、期間t1bでは、第1画素回路50aの第1接続切換トランジスタCNT1がオフであるため、第2駆動トランジスタDRT2からの電流による、第1駆動トランジスタDRT1のゲート-ソース間の電圧の変動が抑制される。
【0068】
発光期間となる期間t1a、期間t1bにおいては、いずれも発光素子100は最大輝度で点灯する。他方、期間t1aは期間1bよりも発光期間が短い。したがって、期間t1a、期間t1bにおける発光素子100のオン/オフを切り替えることによって発光素子100の輝度を変化させることができる。より具体的には、これら期間t1a、期間t1bにおいて、両方とも発光素子100が最大輝度で点灯していると、表示装置1の使用者は、人間の目の積分効果により、期間t1a、期間t1bに亘る期間に発光素子100は最も明るい輝度で点灯していると視認する(この時の輝度を輝度Aとする)。
【0069】
一方、これら期間t1a、期間t1bにおいて、期間t1bのみで発光素子100が点灯しているとすると、たとえ期間t1bにおいて発光素子100が最大輝度で点灯しているとしても、時間軸方向の積分効果により、期間t1a、期間t1bに亘る期間全体で見た場合には輝度Aよりも暗くなり、使用者は輝度Aよりも暗い輝度Bで発光素子100は点灯していると視認する。
【0070】
また、期間t1a、期間t1bにおいて、期間t1aのみで発光素子100が点灯しているとすると、たとえ期間t1aにおいて発光素子100が最大輝度で点灯しているとしても、時間軸方向の積分効果により、期間t1a、期間t1bに亘る期間全体で見た場合には輝度Bよりも暗くなり、使用者は輝度Bよりも暗い輝度Cで発光素子100は点灯していると視認する。このように、PWM駆動方式においては、発光素子100の点灯期間の長さに応じて輝度を変化させる。
【0071】
期間t1a、t1bと重なる期間t2から期間t3では、第2部分表示領域AAs2から第4部分表示領域AAs4の映像信号書込動作が順次実行される。また期間t2a、t2b、t5a、t5bでは、第2部分表示領域AAs2の発光動作が第1部分表示領域AAs1と同様に実行される。
【0072】
期間t4では、期間t1と同様に、第1部分表示領域AAs1の映像信号書込動作が実行される。期間t4の映像信号書込動作により、第1駆動トランジスタDRT1のゲート電位は、第1映像信号VSG1-2の電位に変化する。第2駆動トランジスタDRT2のゲート電位は、第2映像信号VSG2-2の電位に変化する。
【0073】
次に、期間t4aでは、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、第1発光制御走査線L6aに供給される第1発光制御信号BG1がLレベルとなり、第2発光制御走査線L6bに供給される第2発光制御信号BG2がHレベルとなる。また、第1部分表示領域AAs1の書込制御走査線L7-1、L7-2、・・・、L7-270がLレベルとなる。なお、期間t4aでの第2画素回路50bの各トランジスタの動作は、上述した期間t1bと同様であり繰り返しの説明は省略する。
【0074】
ここで、図5に示すように、期間t4の後に続く期間t4aはPWM駆動方式による表示の一期間である。一方、期間t4bはアナログ階調による表示期間である。アナログ階調による表示とは、点灯期間を所定期間に固定する一方、画素信号(映像信号VSG)はアナログ電位であって、アナログ電位に応じて駆動トランジスタDRTのゲートのオン状態が調整され、電源電圧PVDDから発光素子100に至る電流はゲートのオン状態に応じた大きさとなる。これによって、発光素子100の輝度が画素信号(映像信号VSG)のアナログ電位に応じた明るさとなる。より具体的には、アナログ電位の画素信号(映像信号VSG)に基づく発光素子100の明るさは、輝度0から所定の輝度まで明るさのうちのいずれかの明るさを有する。別言すると、当該期間をもしPWM駆動方式期間とすると当該期間に亘って最大輝度か輝度0でしか発光素子100は発光しないところ、アナログ階調による表示期間においては、発光素子100は、アナログ電位による階調表現によって輝度0から最大輝度の間のいずれかの輝度で発光する。以下、アナログ階調による表示をアナログ駆動方式という場合がある。
【0075】
なお、アナログ駆動方式による表示期間に画素回路50に供給される画素信号は所謂0~255の階調に対応したものが設定可能であるが、本実施例においては、当該アナログ電位基づく階調表現を行う期間が全体の点灯期間の12.5%であることを考慮すると、当該画素信号による輝度表現としては0~32階調程度である。
【0076】
期間t4aでは、第2発光制御トランジスタBCT2がオンになる期間(パルス幅)は、最大点灯輝度に対して25%の目標輝度レベルとなる期間に設定される。なお、期間t4aでは、第1画素回路50aの第1発光制御トランジスタBCT1がオフであるため、第1駆動トランジスタDRT1から発光素子100には電流が流れない。
【0077】
次に、期間t4bでは、走査線駆動回路12及び発光制御回路14から供給される各制御信号により、第1発光制御走査線L6aに供給される第1発光制御信号BG1がHレベルとなり、第2発光制御走査線L6bに供給される第2発光制御信号BG2がLレベルとなる。また、第1部分表示領域AAs1の書込制御走査線L7-1、L7-2、・・・、L7-270がLレベルを維持している。なお、期間t4bでの第1画素回路50aの各トランジスタの動作は、上述した期間t1aと同様であり繰り返しの説明は省略する。
【0078】
期間t4bでは、第1駆動トランジスタDRT1から、アナログ信号である第1映像信号VSG1-2に応じた電流(第1駆動電流)が発光素子100に供給される。また、第1発光制御トランジスタBCT1がオンになる期間(パルス幅)は、最大点灯輝度に対して12.5%の目標輝度レベルとなる期間に固定される。期間t4bでの第1映像信号VSG1-2の電位は、駆動信号制御部200により副画素SPXごとに設定される。なお、期間t4bでは、第2画素回路50bの第2発光制御トランジスタBCT2がオフであるため、第2駆動トランジスタDRT2から発光素子100には電流が流れない。
【0079】
以上の動作を第2部分表示領域AAs2から第4部分表示領域AAs4まで完了すると、1フレーム分の画像の表示が行われる。
【0080】
駆動信号制御部200(図3参照)は、期間t1a、t1b及び期間t4a、t4bの各発光動作期間の合計により、発光素子100の輝度(階調)を制御することができる。より具体的には、デジタル電位の映像信号(第1映像信号VSG1-1、第2映像信号VSG2-1、VSG2-2)に基づくPWM駆動方式による表示期間によって当該光学素子の輝度の87.5%が構成され、アナログ電位の映像信号(第1映像信号VSG1-2)によって残りの12.5%の輝度が構成される。また、アナログ電位に応じて当該12.5%の輝度は明るさをより細かく設定できる。このため、これらPWM駆動方式期間とアナログ駆動方式期間とを組み合わせることで、きわめて細やかな階調表現を実現できる。
【0081】
例えば、図5に示す例では、期間t1a、t1b及び期間t4a、t4bの全期間で発光素子100に電流が流れ、輝度100%を表示する場合を示す。ただし、駆動信号制御部200(図3参照)は、期間t1a、t1b及び期間t4a、t4bの点灯のオンオフを制御することで、映像信号VSGに応じた長さの期間で、固定電流を発光素子100に供給する。かつ、期間t4bでの電流(第1映像信号VSG1-2)を調整することで、適切に輝度(階調)を制御することができる。
【0082】
また、発光期間では、第1接続切換トランジスタCNT1は、第1発光制御トランジスタBCT1と同期してオンオフ制御がなされる。第2接続切換トランジスタCNT2は、第2発光制御トランジスタBCT2と同期してオンオフ制御がなされる。これにより、期間t1a、t1b及び期間t4a、t4bの各期間では、発光素子100は、第1画素回路50a及び第2画素回路50bの一方と接続され、第1画素回路50a及び第2画素回路50bの他方と非接続とされる。
【0083】
図7は、表示輝度レベルごとの、電流駆動方式及びPWM駆動方式の組合せの一例を説明するための説明図である。図7に示すように、目標輝度レベルが0%よりも大きく、12.5%以下の範囲では、駆動信号制御部200は、期間t4bで第1発光制御トランジスタBCT1をオンにして、電流(第1映像信号VSG1-2)を発光素子100に供給して、点灯輝度レベルに調整する。つまり、駆動信号制御部200は、期間t1a、t1b及び期間t4aで第1発光制御トランジスタBCT1及び第2発光制御トランジスタBCT2をオフにする。つまり、上記では、期間t1a、t1b及び期間t4aで、発光素子100がオフ(非発光)である。
【0084】
目標輝度レベルが12.5%よりも大きく、25%以下の範囲では、駆動信号制御部200は、期間t1aで第1発光制御トランジスタBCT1をオンにして、12.5%の目標輝度レベルに対応する長さの期間で、電流(第1映像信号VSG1-1)を発光素子100に供給する。また、駆動信号制御部200は、期間t4bで第1発光制御トランジスタBCT1をオンにして、電流(第1映像信号VSG1-2)を発光素子100に供給して、12.5%から25%以下の範囲の点灯輝度レベルを調整する。つまり、駆動信号制御部200は、期間t1b及び期間t4aで第1発光制御トランジスタBCT1及び第2発光制御トランジスタBCT2をオフにする。つまり、上記では、期間t1b及び期間t4aで、発光素子100がオフ(非発光)である。
【0085】
目標輝度レベルが25%よりも大きく、37.5%以下の範囲では、駆動信号制御部200は、期間t4aで第2発光制御トランジスタBCT2をオンにして、25%の目標輝度レベルに対応する長さの期間で、電流(第2映像信号VSG2-2)を発光素子100に供給する。また、駆動信号制御部200は、期間t4bで第1発光制御トランジスタBCT1をオンにして、電流(第1映像信号VSG1-2)を発光素子100に供給して、25%から37.5%以下の範囲の点灯輝度レベルを調整する。つまり、駆動信号制御部200は、期間t1a及び期間t1bで第1発光制御トランジスタBCT1及び第2発光制御トランジスタBCT2をオフにする。つまり、上記では、期間t1a、t1bで、発光素子100がオフ(非発光)である。
【0086】
目標輝度レベルが37.5%よりも大きく、50%以下の範囲では、駆動信号制御部200は、期間t1a及び期間t4aで、それぞれ第1発光制御トランジスタBCT1及び第2発光制御トランジスタBCT2をオンにして、12.5%の目標輝度レベルに対応する長さの期間及び25%の目標輝度レベルに対応する長さの期間で、電流(第1映像信号VSG1-1、第2映像信号VSG2-2)を発光素子100に供給する。また、駆動信号制御部200は、期間t4bで第1発光制御トランジスタBCT1をオンにして、電流(第1映像信号VSG1-2)を発光素子100に供給して、37.5%から50%以下の範囲の点灯輝度レベルを調整する。つまり、駆動信号制御部200は、期間t1bで第1発光制御トランジスタBCT1及び第2発光制御トランジスタBCT2をオフとする。つまり、上記では、期間t1bで、発光素子100がオフ(非発光)である。
【0087】
以下同様に、駆動信号制御部200は、電流(第1映像信号VSG1-1、第2映像信号VSG2-1、VSG2-2)と電流(第1映像信号VSG1-2)とを組み合わせて、点灯輝度レベルの表示を実現できる。
【0088】
次に、複数の副画素SPXでの、第1画素回路50a及び第2画素回路50bの構成例について説明する。図8は、実施形態に係る複数の副画素の、第1画素回路及び第2画素回路の配置関係を説明するための説明図である。なお、図8では、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3のそれぞれにハッチングを付けて示している。また、各副画素SPXに示すL字パターンは、複数の副画素SPXが有する各トランジスタ及び各配線の配置関係(配置の対称性)を模式的に説明するためのものであり、実際の各トランジスタ及び各配線の配置パターンや形状を表すものではない。
【0089】
図8に示すように、複数の画素PXは第1方向Dxに配列される。第1方向Dxで、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3の順に繰り返し配列される。また、各副画素SPXで、第1画素回路50a及び第2画素回路50bは、第2方向Dyに隣り合って配置される。
【0090】
L字パターンで模式的に示すように、1つの副画素SPXで、第1画素回路50aの各トランジスタ及び各配線の配置パターンは、第2画素回路50bの各トランジスタ及び各配線の配置パターンと、第1方向Dxに平行な対称軸で、線対称に配置される。図8に示す例では、1つの副画素SPXで、第1画素回路50aの各トランジスタ及び各配線の配置パターンは、第2画素回路50bの各トランジスタ及び各配線の配置パターンに対して上下反転された配置パターンとなる。
【0091】
第1方向Dxに隣接する2つの副画素SPX(例えば図8の最も左側の第1副画素SPX1と、これに隣接する第2副画素SPX2)で、一方の副画素SPX(第1副画素SPX1)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、他方の副画素SPX(第2副画素SPX2)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとは、第2方向Dyに平行な対称軸に対して線対称に配置される。図8に示す例では、隣接する2つの副画素SPXで、第1画素回路50a及び第2画素回路50bの各トランジスタ及び各配線の配置パターンは、左右反転された配置パターンとなる。
【0092】
また、第1方向Dxに隣接する2つの画素PXに着目すると、一方の画素PX(図8の左側の画素PX)の第1副画素SPX1と、他方の画素PX(図8の右側の画素PX)の第1副画素SPX1とは、左右反転された配置パターンとなる。すなわち、第1方向Dxで、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2、第3副画素SPX3、第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3の順に繰り返し配列され、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3を挟んで隣り合う2つの第1副画素SPX1で、一方の第1副画素SPX1の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、他方の第1副画素SPX1の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとは、第2方向Dyに平行な対称軸に対して線対称に配置される。
【0093】
このように、隣接する副画素SPXで各トランジスタ及び各配線の配置パターンを反転して形成することで、隣接する副画素SPXで配線を共有することができ、複数の副画素SPXの配置ピッチを小さくすることができる。また、第2方向Dyで隣接する第1画素回路50a及び第2画素回路50bで各トランジスタ及び各配線の配置パターンを反転して形成することで、隣接する第1画素回路50a及び第2画素回路50bで配線を共有することができ、1つの副画素SPXで効率よく第1画素回路50a及び第2画素回路50bを配置することができる。
【0094】
図9は、実施形態に係る複数の副画素の構成例を模式的に示す平面図である。図9では、第1方向Dxに配列された第1副画素SPX1、第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3の構成例を示す。なお、図9に示す第1画素回路50a及び第2画素回路50bの各トランジスタ及び各配線の電気的な接続関係は、図4にて上述した内容と同様であり、重複する説明は省略する。
【0095】
図9に示すように、1つの副画素SPX(例えば第1副画素SPX1)に着目すると、第1画素回路50aの各トランジスタと、第2画素回路50bの各トランジスタは、第1方向Dxに平行な対称軸Q1に対して、線対称に配置される。より詳細には、第1画素回路50aでは、対称軸Q1から第2方向Dyの一方(図9の上側)に向かって、第1リセットトランジスタRST1、第1接続切換トランジスタCNT1、第1駆動トランジスタDRT1、第1発光制御トランジスタBCT1、第1書込トランジスタSST1及び第1初期化トランジスタIST1の順に配列される。
【0096】
第2画素回路50bでは、対称軸Q1から第2方向Dyの他方(図9の下側)に向かって、第2リセットトランジスタRST2、第2接続切換トランジスタCNT2、第2駆動トランジスタDRT2、第2発光制御トランジスタBCT2、第2書込トランジスタSST2及び第2初期化トランジスタIST2の順に配列される。
【0097】
発光素子100(図9では図示を省略する)は、コンタクト部CH1を介して第1接続切換トランジスタCNT1に接続され、かつ、コンタクト部CH2を介して第2接続切換トランジスタCNT2に接続される。
【0098】
また、第1画素回路50aの各配線と、第2画素回路50bの各配線は、第1方向Dxに平行な対称軸Q1に対して、線対称に配置される。より詳細には、第1画素回路50aでは、対称軸Q1から第2方向Dyの一方(図9の上側)に向かって、リセット制御信号線L5、第1接続制御走査線L9a、第1発光制御走査線L6a、第1書込制御走査線L7a、第1初期化制御信号線L8aの順に配列される。
【0099】
第2画素回路50bでは、対称軸Q1から第2方向Dyの他方(図9の下側)に向かって、リセット制御信号線L5、第2接続制御走査線L9b、第2発光制御走査線L6b、第2書込制御走査線L7b、第2初期化制御信号線L8bの順に配列される。
【0100】
図9に示すように、1つのリセット制御信号線L5は、第1画素回路50aと第2画素回路50bとで共有される。すなわち、第1画素回路50aの第1リセットトランジスタRST1と、第2画素回路50bの第2リセットトランジスタRST2とは、リセット制御信号線L5を挟んで第2方向Dyに隣り合って配置される。第1画素回路50aの第1リセットトランジスタRST1のゲート、及び、第2画素回路50bの第2リセットトランジスタRST2のゲートは、共通のリセット制御信号線L5に接続される。
【0101】
次に、第1方向Dxに隣接する2つの副画素SPX(例えば第1副画素SPX1及び第2副画素SPX2)に着目すると、一方の副画素SPX(第1副画素SPX1)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、他方の副画素SPX(第2副画素SPX2)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとは、第2方向Dyに平行な対称軸Q2に対して線対称に配置される。すなわち、第1副画素SPX1の各トランジスタと、第2副画素SPX2の各トランジスタとは、対称軸Q2に対して線対称に配置される。なお、対称軸Q2は、第1副画素SPX1に接続された第1映像信号線L2aと、第2副画素SPX2に接続された第1映像信号線L2aとの間に位置する。
【0102】
すなわち、第2副画素SPX2のリセットトランジスタRST、接続切換トランジスタCNT、駆動トランジスタDRT、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及び書込トランジスタSSTと、第1副画素SPX1のリセットトランジスタRST、接続切換トランジスタCNT、駆動トランジスタDRT、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及び書込トランジスタSSTとは、対称軸Q2に対して左右反転された配置関係を有する。
【0103】
また、第1副画素SPX1は、リセット電源線L3、第2映像信号線L2b、アノード電源線L1及び第1映像信号線L2aを有する。リセット電源線L3、第2映像信号線L2b、アノード電源線L1及び第1映像信号線L2aは、この順で第1方向Dxに配列される。第1方向Dxに隣り合う第2映像信号線L2bとアノード電源線L1との間に、接続切換トランジスタCNT、駆動トランジスタDRT、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及び書込トランジスタSSTが配置される。また、リセットトランジスタRSTは、リセット電源線L3と第2映像信号線L2bとの間に配置される。
【0104】
リセット電源線L3は、第1副画素SPX1の第1画素回路50a及び第2画素回路50bで共有される。つまり、1つの第1副画素SPX1で、第1画素回路50aの第1リセットトランジスタRST1及び第2画素回路50bの第2リセットトランジスタRST2は、共通のリセット電源線L3に接続される。また、アノード電源線L1は、第1副画素SPX1の第1画素回路50a及び第2画素回路50bで共有される。つまり、1つの第1副画素SPX1で、第1画素回路50aの第1発光制御トランジスタBCT1及び第2画素回路50bの第2発光制御トランジスタBCT2は、共通のアノード電源線L1に接続される。また、第1映像信号線L2aは、第1副画素SPX1の第1画素回路50aに対応して設けられる。第2映像信号線L2bは、第1副画素SPX1の第2画素回路50bに対応して設けられる。
【0105】
第1副画素SPX1と第1方向Dxに隣接する第2副画素SPX2に着目すると、第2副画素SPX2は、第1映像信号線L2a、アノード電源線L1、第2映像信号線L2b及び初期化電源線L4を有する。第1映像信号線L2a、アノード電源線L1、第2映像信号線L2b及び初期化電源線L4は、この順で第1方向Dxに配列される。初期化電源線L4は、第1副画素SPX1の第1画素回路50a及び第2画素回路50bで共有される。また、アノード電源線L1は、第2副画素SPX2の第1画素回路50a及び第2画素回路50bで共有される。第1映像信号線L2aは、第2副画素SPX2の第1画素回路50aに対応して設けられる。第2映像信号線L2bは、第2副画素SPX2の第2画素回路50bに対応して設けられる。
【0106】
第1副画素SPX1及び第2副画素SPX2で、第1映像信号線L2a、アノード電源線L1及び第2映像信号線L2bは、対称軸Q2に対して線対称に配置される。一方で、第1副画素SPX1のリセット電源線L3及び第2副画素SPX2の初期化電源線L4は、対称軸Q2に対して非対称に配置される。
【0107】
第1副画素SPX1及び第2副画素SPX2で、一方の第1副画素SPX1は、リセット電源線L3を有し、初期化電源線L4を有さない。また、他方の第2副画素SPX2は、リセット電源線L3を有さず、初期化電源線L4を有する。本実施形態では、リセット電源線L3及び初期化電源線L4は、第1方向Dxに隣接する2つの副画素SPXで共有される。これにより、各副画素SPXにリセット電源線L3及び初期化電源線L4を設けた場合に比べて、複数の副画素SPXの第1方向Dxでの配置ピッチを小さくすることができる。
【0108】
第2副画素SPX2と第3副画素SPX3においても、一方の副画素SPX(第2副画素SPX2)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、他方の副画素SPX(第3副画素SPX3)の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとは、第2方向Dyに平行な対称軸Q3に対して線対称に配置される。つまり、第3副画素SPX3の各トランジスタ及び各配線は、第1副画素SPX1と相似となる配置関係を有する。なお、対称軸Q3は、第2副画素SPX2側に設けられた初期化電源線L4と、第3副画素SPX3側に設けられたリセット電源線L3との間に位置する。
【0109】
第2副画素SPX2及び第3副画素SPX3に着目すると、1つの初期化電源線L4は、第2副画素SPX2の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、第3副画素SPX3の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとに共有される。つまり、1つの初期化電源線L4は、4つの初期化トランジスタISTに接続される。
【0110】
また、1つのリセット電源線L3は、第2副画素SPX2の第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、第3副画素SPX3の第1画素回路50a及び第2画素回路50bとに共有される。つまり、1つのリセット電源線L3は、4つのリセットトランジスタRSTに接続される。
【0111】
以上のような構成により、複数の副画素SPXが、それぞれ2つの画素回路(第1画素回路50a及び第2画素回路50b)を有する構成であっても、各トランジスタ及び各配線を効率よく配置することができる。
【0112】
なお、図9は、あくまでも一例であり、各トランジスタ及び各配線の配置は適宜変更してもよい。例えば、各副画素SPXが有する各トランジスタのうち一部のトランジスタが非対称となるように配置されてもよい。
【0113】
以上説明したように、表示装置1は、表示領域AAに配列された複数の発光素子100と、複数の発光素子100のそれぞれに接続された第1画素回路50a及び第2画素回路50bと、第1画素回路50aに設けられ、発光素子100に第1駆動電流(第1映像信号VSG1-2に応じた電流)を供給する第1駆動トランジスタDRT1と、第2画素回路50bに設けられ、発光素子100に第2駆動電流(例えば、第2映像信号VSG2-2に応じた電流)を供給する第2駆動トランジスタDRT2と、第1駆動トランジスタDRT1及び第2駆動トランジスタDRT2にそれぞれ映像信号VSGを供給する駆動回路(信号線駆動回路13)と、第1駆動トランジスタDRT1と発光素子100との間に設けられた第1接続切換トランジスタCNT1と、第2駆動トランジスタDRT2と発光素子100との間に設けられた第2接続切換トランジスタCNT2と、を有する。第1接続切換トランジスタCNT1及び第2接続切換トランジスタCNT2は、発光素子100の非発光期間にオフとなる。
【0114】
これによれば、第1接続切換トランジスタCNT1及び第2接続切換トランジスタCNT2を設けているので、発光素子100の非発光期間(映像信号書込動作期間)で、発光素子100は、第1画素回路50a及び第2画素回路50bと非接続となる。これにより、非発光期間で第1画素回路50aのノードN1及び第2画素回路50bのノードN2に生じた電位が、発光素子100に印加されることを抑制できる。発光素子100に意図しない逆バイアス電位が印加されることを抑制して、発光素子100の損傷が発生することを抑制できる。
【0115】
また、表示装置1において、第1画素回路50aに設けられた第1駆動トランジスタDRT1は、映像信号VSGに応じて設定された第1駆動電流(第1映像信号VSG1-2に応じた電流)を発光素子100に供給し、第2画素回路50bに設けられた第2駆動トランジスタDRT2は、映像信号VSGに応じた長さの期間(期間t1b、t4a)で、固定された第2駆動電流(例えば、第2映像信号VSG2-1、VSG2-2に応じた固定電流)を発光素子100に供給する。制御回路(駆動信号制御部200)は、第1画素回路50aによる発光期間を所定期間に設定すると共に、第2画素回路50bによる発光期間を変化させる。
【0116】
これによれば、表示装置1は、発光期間の異なる期間t1a、t1b、t4aの組み合わせによって階調を表現するPWM駆動方式と、期間t4aにおける発光素子100への電流量(第1映像信号VSG1-2)を制御して階調を表現するアナログ駆動方式とを組み合わせて、良好に階調制御を実現できる。
【0117】
また、表示装置1において、第1駆動電流(第1映像信号VSG1-2に応じた電流)の最大値で規定される最大の低階調値以下の範囲(例えば図7の目標輝度レベル12.5%以下の範囲)では、第1駆動電流で発光素子100が駆動される。また、第1駆動電流の最大値で規定される最大の階調値よりも大きい高階調側の範囲(例えば図7の目標輝度レベル12.5%よりも大きい範囲)では、少なくとも第2駆動電流(例えば、第1映像信号VSG1-1、第2映像信号VSG2-1、VSG2-2に応じた電流の少なくとも1つ以上)で発光素子100が駆動される。
【0118】
これによれば、電流駆動方式で全ての階調を制御する場合に比べて、階調制御範囲を小さくすることができる。また、本実施形態では、高階調側では、PWM駆動方式の電流値が、電流駆動方式の電流値に比べて大きくなる。このため、電流値のばらつきに起因する発光色度の変化が生じることを抑制できる。
【0119】
また、表示装置1において、第1駆動トランジスタDRT1及び第2駆動トランジスタDRT2は、共通の書込期間(例えば期間t1、t4)で、それぞれ映像信号VSGが供給され、時分割で、発光素子100に第1駆動電流(第1映像信号VSG1-2に応じた電流)及び第2駆動電流(例えば、第2映像信号VSG2-1、VSG2-2に応じた電流)を供給する。
【0120】
表示装置1は、1つの発光素子100に、2つの第1画素回路50aと第2画素回路50bとが設けられるので、同じ書込期間(例えば期間t1)で、第1画素回路50a及び第2画素回路50bの映像信号書込動作を行うことができる。したがって、1つの画素回路で多階調表示を行う場合に比べて、映像信号書込動作に要する時間を短縮することができる。
【0121】
なお、図4から図7に示した、画素回路50及び駆動方法はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、表示装置1は、3つの異なる長さの期間t1a、t1b、t2a(パルス幅)を組み合わせてPWM駆動方式を実現しているが、これに限定されない。表示装置1は、例えば2つの異なる期間(パルス幅)あるいは4つ以上の異なる期間(パルス幅)を組み合わせてPWM駆動方式を実現してもよい。
【0122】
また、図5に示す如く、PWM駆動方式による表示期間を比較した場合、第1画素回路50a側での期間の方が第2画素回路50b側での期間よりも長い。したがって、第1保持容量Cs1を第2保持容量Cs2よりも大きいものとする構成も採用可能である。
【0123】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0124】
1 表示装置
2 アレイ基板
12 走査線駆動回路
13 信号線駆動回路
14 発光制御回路
50 画素回路
50a 第1画素回路
50b 第2画素回路
100 発光素子
200 駆動信号制御部
DRT 駆動トランジスタ
BCT 発光制御トランジスタ
CNT 接続切換トランジスタ
IST 初期化トランジスタ
RST リセットトランジスタ
SST 書込トランジスタ
SG 書込制御信号
BG 発光制御信号
VSG1 第1映像信号
VSG2 第2映像信号
IG 初期化制御信号
RG リセット制御信号
PWM 接続制御信号
L1 アノード電源線
L2 映像信号線
L3 リセット電源線
L5 リセット制御信号線
SPX 副画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9