(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250214BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2024227748
(22)【出願日】2024-12-24
【審査請求日】2024-12-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 高任
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-148112(JP,A)
【文献】特開2023-057477(JP,A)
【文献】特開2023-019564(JP,A)
【文献】特開2005-293321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の空間領域における構造物、移動体及び輝度状態を含む環境情報からなる観察情報を取得する観察情報取得手段と、
地域的利害関係者から提供される意見情報からなる聞取情報を取得する聞取情報取得手段と、
前記観察情報及び前記聞取情報に基づいて将来の複数期間後の地域環境特性を予測するための指示文を生成する指示文生成手段と、
前記指示文生成手段により生成された指示文を生成AIモデルに入力し、当該生成AIモデルから前記複数期間後の地域環境特性を示す予測情報を取得する予測情報取得手段と、
前記予測情報に基づいて資源配分方針又は事業計画策定に適用可能な指標情報を生成し、出力する指標情報出力手段
を含むシステム。
【請求項2】
前記指示文生成手段が、前記観察情報及び前記聞取情報を期間別に解析して地域環境変動傾向を抽出し、当該地域環境変動傾向の抽出結果に基づいて前記生成AIモデルへ入力するプロンプト文を動的に変更する手段をさらに備える請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記予測情報取得手段が、前記生成AIモデルから得られた予測情報を地域環境特性別に整理し、当該予測情報の整理結果に応じて資源配分方針又は事業計画策定用の複数のプロンプト文を連続的に生成する手段を備える請求項1記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも一つのプロセッサにより遂行される、ペルソナチャットボット制御方法であって、ユーザ発話を受信するステップと、前記ユーザ発話を、チャットボットのキャラクターに関する説明と関連した指示文を含むプロンプトに追加するステップと前記プロンプトをエンコードするステップと、前記エンコードしたプロンプトを言語モデルに入力して、前記ユーザ発話に応答するチャットボット発話を生成するステップ、を含む、方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、地域環境に関する将来予測は、公開されている限定的な統計情報や一部の指標に依存して行われていたため、表面的な要素のみを考慮するにとどまり、地域における実態を正確に反映できない問題があった。また、地域住民や関係者による非定量的な情報は十分に活用されず、中長期的な投資計画や戦略立案において的確な指針を提供することが困難であった。この結果、資源配分や事業展開を誤り、地域活性化や住民生活品質向上の実現を妨げる課題が存在したのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明では、サーバは、[多数の空間領域における構造物、移動体及び輝度状態を含む環境情報からなる観察情報を取得する観察情報取得手段]と、[地域的利害関係者から提供される意見情報からなる聞取情報を取得する聞取情報取得手段]と、[前記観察情報及び前記聞取情報に基づいて将来複数期間後の地域環境特性を予測するための指示文を生成し、生成AIモデルに入力する指示文生成手段及び予測情報取得手段]と、[前記予測情報に基づいて資源配分方針又は事業計画策定に適用可能な指標情報を出力する指標情報出力手段]と、を含む。これにより、地域環境の実態を的確に把握し、中長期的な視点で最適な戦略や投資計画を導出することが可能となる。
【0006】
「観察情報」とは、多数の空間領域における構造物、移動体及び輝度状態を含む環境情報であって、取得対象地域の実態を外観的・客観的に示す情報である。
「聞取情報」とは、地域的利害関係者から提供される意見情報であって、地域環境について主観的・経験的な知見を含む情報である。
「指示文」とは、前記観察情報及び前記聞取情報に基づいて生成AIモデルに入力される命令又は要請を表す文面であって、前記観察情報及び前記聞取情報から将来の地域環境特性を予測するための条件や指標を含むものである。
「生成AIモデル」とは、入力された指示文に対して地域環境特性を将来予測するための情報を生成する学習済み情報処理手段であって、自然言語処理を含む人工知能技術を用いて動作するモデルである。
「予測情報」とは、生成AIモデルにより前記指示文に対応して出力された、将来の地域環境特性を示す情報であって、資源配分方針や事業計画策定に資する指針を与えるものである。
「指標情報」とは、予測情報に基づいて資源配分方針又は事業計画策定の判断に用いるための定量的又は定性的な基準を示す情報である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態におけるシステムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係るシステムの実施形態の一例について説明する。
【0009】
<システム構成>
【0010】
以下に本発明を実施するための形態の一例を示す。なお、以下に示す構成は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0011】
本実施形態において、本発明は、観察情報及び聞取情報に基づいて地域環境の将来特性を予測し、資源配分方針又は事業計画策定のための指標情報を生成するシステムとして具現化される。このシステムは、少なくとも「サーバ」と「端末」を含む構成により実現される。
【0012】
サーバは、情報処理装置であり、プログラム実行環境として一般的なコンピュータ装置を利用できる。例えば、サーバは、複数の処理装置(CPU、GPU等)、主記憶装置、補助記憶装置及びネットワークインタフェースを備える構成が好ましい。サーバは、端末から提供される観察情報(複数空間領域における構造物、移動体及び輝度状態を含む環境情報)及び聞取情報(地域的利害関係者から得られた意見情報)を受領し、これらを蓄積するためのデータベースを有してもよい。サーバは、観察情報及び聞取情報に基づく指示文を生成し、当該指示文を生成AIモデルに入力することで、将来の地域環境特性に関する予測情報を取得する機能を有する。また、サーバは予測情報に基づいて資源配分方針又は事業計画策定に適用可能な指標情報を生成し、それを後述する端末へ送信する。サーバは、この一連の処理を実行するためのソフトウェアモジュールを備える。例えば、観察情報及び聞取情報を解析するために自然言語処理手段、画像解析手段、時系列解析手段、並びに生成AIモデルを活用するためのインタフェースモジュールが実装される。
【0013】
端末は、サーバとネットワークを介して通信可能な情報処理装置である。端末は、観察情報取得手段として、例えばカメラ、マイクロフォン、輝度センサ、移動体センサ、温湿度センサなどの複数の取得手段を備えることができる。端末は、これらの取得手段から得られた情報を前処理するためのプログラム(例えば、画像解析用ライブラリ、音声認識エンジン、センサ値整形用スクリプト)を実行する。端末は、観察情報を取得すると共に、地域的利害関係者へ直接接触し、その発言内容を録音・テキスト化することで聞取情報を取得する。テキスト化には一般的な音声認識エンジンを用いることができる。端末は、こうして得られた観察情報及び聞取情報をHTTP等のプロトコルでサーバへ送信する。また、端末は、サーバから送信される指標情報を受け取り、地図表示画面やダッシュボード形式のUI上に可視化してユーザへ提示する。端末は、例えばモバイルコンピューティング装置、タブレット端末、携帯情報端末、あるいは据置型の情報処理装置にディスプレイを付帯した構成で実施可能である。
【0014】
サーバと端末を接続する通信手段としては、有線・無線問わず、インターネット回線やローカルネットワーク環境を用いてもよい。サーバは端末から送信された観察情報及び聞取情報を記憶領域に格納し、該情報に対して前処理(欠損値補完、テキストからのキーワード抽出、画像内物体検出、時間軸解析など)を行う。そして、サーバは当該前処理結果を用いてプロンプト文(指示文)を生成し、生成AIモデルに入力することで、将来2~3年後を念頭においた地域環境特性を予測する予測情報を得る。サーバはさらに、この予測情報から地域別の投資優先度、インフラ整備必要性、投資回収期間の目安といった指標情報を生成する。端末はこの指標情報を受信すると、ユーザインタフェース上で視覚化することにより、ユーザ(地域行政担当者、民間事業者、インフラ事業関係者など)が当該情報に基づき効果的な資源配分方針や事業計画を立案できるようにする。
【0015】
このような構成により、本実施形態のシステムは、観察情報及び聞取情報を総合的に活用して将来の地域環境特性を精度良く予測することができ、それに基づいた判断材料をユーザに提供することが可能となるのである。
【0016】
<システム構成の具体例>
【0017】
以下に本実施形態において構成されるサーバ及び端末について、さらに詳細な説明を行う。
【0018】
(サーバの実施形態)
サーバは、地域環境に関する多種多様な情報を統合し、将来の地域環境特性を予測するための中核的な情報処理装置である。サーバは、一般的な情報処理装置として構成可能であり、例えば複数の演算処理装置(CPU、GPU)、主記憶装置(DRAM)、補助記憶装置(HDD、SSD)、及びネットワークインタフェースを備える。サーバ上には、オペレーティングシステム(UNIX(登録商標)系、または他の適宜なオペレーティングシステム)が稼働し、その上で複数のソフトウェアモジュールが実行される。
【0019】
サーバは、端末から受信した観察情報及び聞取情報を処理するための分析手段を備える。観察情報は、対象地域の空間領域における構造物(建物、施設等)、移動体(車両、自転車、歩行者等)及び輝度状態(夜間の照度、水平方向の光源密度等)を含む環境情報である。サーバは、この観察情報を蓄積するデータベースを有し、該データベース内には時系列データ、位置情報、カテゴリー情報等が関連付けられる。聞取情報は、地域的利害関係者から得られる主観的意見や経験知見を含む情報であり、サーバはこれをテキストデータとしてデータベースに格納する。サーバは、これらの観察情報及び聞取情報を統合的に処理し、目的とする将来予測を行うための前処理として、自然言語処理手段や画像解析手段、時系列解析手段を用いる。
【0020】
自然言語処理手段として、サーバは、テキストデータ(聞取情報)からキーワード抽出、感情分析、テーマ分類を行う。例えば、地域住民が「夜間営業する店舗が増えている」などの発言を行っていれば、そのテキストから「夜間営業」「増加」「店舗」などのキーワードを抽出し、地域環境変化を示唆する要素として扱う。また、画像解析手段として、サーバは観察情報に含まれる画像・映像データを用いて、街中の人流密度、建物老朽度、車両種類分布などを解析する。時系列解析手段は、これらのデータを時間軸上で変動分析するために使用され、例えば「過去6ヶ月間で若年層の深夜外出が増加傾向」などの変化を抽出できる。これら前処理結果は、サーバが生成AIモデルへ入力する指示文を生成するための素材として用いられる。
【0021】
サーバは、これらの分析結果をもとに、将来2~3年後の地域環境特性を予測するための指示文を生成する。指示文は、生成AIモデルへの入力情報であり、対象とする地域、時期、考慮すべき要因(若年層の行動パターン、インフラ整備状況、商業施設利用率、など)を包含するものである。サーバは、生成AIモデルに対してこの指示文を送信し、応答として予測情報を取得する。生成AIモデルは自然言語処理に基づく高度な学習済みモデルであり、入力された指示文に基づいて将来予測を行う。
【0022】
サーバは、得られた予測情報をさらに再処理し、資源配分方針又は事業計画策定に適用可能な指標情報を生成する。この指標情報としては、例えば特定地域におけるインフラ投資優先度、商業施設開発の有効性、若年層向け新規サービスの立地計画などが挙げられる。サーバは、この指標情報を端末へ送信し、端末における可視化及び提示を可能とする。
【0023】
(端末の実施形態)
端末は、地域環境における観察情報及び聞取情報を取得し、サーバへ送信する役割を担う情報処理装置である。端末は、カメラ、マイクロフォン、照度センサ、温湿度センサ、移動体検知用センサなど複数の外部センサを接続可能な構成を有してもよい。例えば、端末は可搬型の小型コンピュータ装置を利用でき、屋外・室内を問わず観察対象領域に配置可能である。カメラは対象地点や街並みの画像または動画を取得し、マイクロフォンは街頭の音声や人声を収集する。照度センサは夜間の明るさを数値化し、移動体検知用センサは通行人や車両の通過数を計測することができる。
【0024】
また、端末は、地域住民や利害関係者への聞取りを実施する際のインタフェースを備える。例えば、端末に接続されたマイクロフォンを用いてヒアリング対象者の音声を録音し、音声認識ソフトウェアを用いてテキスト化することができる。テキスト化された聞取情報は、端末内部で基本的な整形(JSON等のデータ形式への変換)が行われ、サーバへ送信される。端末は、通信回線(無線LAN、携帯通信網、有線回線など)を介してサーバと通信し、観察情報及び聞取情報を定期的または所定のトリガー(一定時間経過、特定イベント検出など)でサーバへアップロードする。
【0025】
端末は、サーバから受信した指標情報をユーザインタフェース上で可視化する機能を有してもよい。例えば、端末の表示画面上に地域地図を表示し、各地域に対する投資優先度やインフラ整備必須度合いを色分けマッピングする。また、テキストベースのレポートやグラフ表示を用いて、ユーザが得られた指標情報に基づいて戦略立案しやすいインタフェースを提供することができる。端末はタブレット、モバイルデバイス、ノート型パソコン、あるいは据置型ワークステーションとして構成でき、ユーザの操作性や表示画面の広さに応じて選択可能である。
【0026】
以上のように、端末とサーバが有機的に連携することにより、本実施形態においては、実際の地域環境を反映した観察情報及び聞取情報を効果的に活用して将来予測を行い、その結果を資源配分方針や事業計画策定に役立つ情報としてユーザに提供することが可能となる。
【0027】
<システムの作用>
【0028】
サーバは、Linux(登録商標)環境上で稼働するPython(登録商標) 3.8を用いて本システムのプログラムを実行するのである。サーバは、MySQL(登録商標)データベース管理システムを用いて観察情報および聞取情報を構造化形式で格納し、Nginx(登録商標)を用いて端末からのHTTPリクエストを受信するWebサーバとして機能するのである。サーバは、自然言語処理にspaCy(登録商標)、時系列解析にstatsmodels(登録商標)、画像解析にOpenCV(登録商標)などのソフトウェア群を用いて観察情報および聞取情報を解析し、その分析結果を用いて生成AIモデルへのプロンプト文を生成するのである。また、サーバは、OpenAI(登録商標) GPT-4(登録商標) APIなどの生成AIモデルを用いて将来予測を取得し、その予測情報から資源配分方針又は事業計画策定に資する指標情報を導出するのである。
【0029】
端末は、Raspberry Pi(登録商標)等の小型計算機やタブレット端末上でPythonスクリプトを実行し、Logitech(登録商標)製カメラやマイクロフォン、光センサ、温湿度センサなどを用いて観察情報を取得するのである。端末は、Whisper(登録商標)モデルなどの音声認識エンジンを用いてヒアリング内容をテキスト化し、観察情報および聞取情報をHTTPリクエストでサーバへ送信するのである。端末は、サーバから返却された指標情報をJSON形式で受領し、Leaflet(登録商標)やMapbox(登録商標)などの地図表示ツールやHTML/CSS/JavaScript(登録商標)を用いたユーザインタフェースを介してユーザに提示するのである。
【0030】
ユーザは、端末の画面上で地域別の投資優先度やインフラ整備必要性、回収期間などの指標情報を視覚的に参照するのである。ユーザはこれらの情報を参照しながら、資源配分方針や投資計画を策定することが可能である。
【0031】
(プロンプト文の例)
「以下は、ある地方地域における過去2年間にわたる観察データ(交通量増加率、夜間明るさ指数変動、若年層の深夜帯アクティビティ増加)および地域住民や事業者から得られた‘若者が深夜帯に集まるエリアが活性化している’という意見である。このデータに基づいて、2~3年後のこの地域における商業エリア拡大可能性、インフラ整備ニーズ、居住環境変化を総合的に予測し、要約せよ。」
【0032】
【0033】
ステップ1:
端末は、カメラ、マイクロフォン、光センサ、温湿度センサを用いて観察情報(映像データ、音声データ、輝度値、気象値)および聞取情報(地域的利害関係者からの音声意見)を取得するのである。端末は、入力として上記センサデバイスからの信号(カメラ画像、録音音声、センサ値)を受け取り、これらをPythonスクリプトでOpenCVによる画像解析、pyaudio(登録商標)による音声入出力、I2C通信による環境値取得などを行うことにより加工し、出力として整形済みの観察情報及び聞取情報(テキスト化された音声情報を含む)を生成するのである。これらの出力データは後段処理用のJSON形式に変換され、サーバへ送信されるのである。
【0034】
ステップ2:
サーバは、端末から送信された観察情報及び聞取情報(入力)をHTTPリクエスト経由でNginxをフロントエンドとして受領し、MySQLデータベースへ格納するのである。サーバは、入力されたJSON形式のデータを受け取り、pandas(登録商標)を用いて時系列データ整形、自然言語処理ツール(spaCy)によるテキスト抽出、OpenCVで解析した情報と関連付けるなどのデータ加工・データ演算を行い、出力として再整形された分析可能なデータセットを得るのである。
【0035】
ステップ3:
サーバは、整形済みのデータセット(入力)に対して、時系列解析(statsmodels(登録商標))を用いて過去から現在までの推移を分析し、変動傾向や特徴量を抽出するのである。サーバは、この入力データに対して交通量変動率の算出、若者出没時間帯の頻度分析、輝度値の時間的平均化などのデータ演算を実行し、出力として、将来予測に必要な特徴量群(交通増加率や夜間明るさ推移指標など)が付与された拡張データセットを得るのである。
【0036】
ステップ4:
サーバは、拡張データセット(入力)を用いて、生成AIモデルへのプロンプト文を自動生成するのである。ここでサーバは、テキスト化された聞取情報から抽出したキーワード(「夜間営業増加」「若年層深夜帯利用」など)や、画像解析により得られた街中の変化傾向を総合的に考慮するデータ演算を行い、出力として、生成AIモデルに入力可能な指示文(プロンプト文)を作成するのである。このプロンプト文の例として、「以下は、ある地方地域における過去2年間にわたる観察データ(交通量増加率、夜間明るさ指数変動、若年層の深夜帯アクティビティ増加)および地域住民や事業者から得られた意見である。このデータに基づいて、2~3年後のこの地域における商業エリア拡大可能性、インフラ整備ニーズ、居住環境変化を総合的に予測し、要約せよ。」が挙げられるのである。
【0037】
ステップ5:
サーバは、生成AIモデルに対して上記プロンプト文(入力)を送信し、生成AIモデルからの応答として将来予測情報(出力)を取得するのである。サーバは、OpenAI GPT-4 APIを介して生成AIモデルにアクセスし、入力となるプロンプト文を元に、将来2~3年後の地域環境特性を示すテキスト情報(例えば「A地区は商業投資優先度が高く、B地区はインフラ改善が中期的に必要」など)を応答として受信するのである。
【0038】
ステップ6:
サーバは、受信した将来予測情報(入力)を解析し、資源配分方針又は事業計画に有用な指標情報を抽出・生成するのである。サーバは、この入力情報に対してテキストマイニングやルールベースの分析を行い、出力として、具体的な投資計画指標(例えば「A地区:商業投資優先度高(回収期間5年)」、 「B地区:インフラ強化中期的必要(7年回収想定)」)を含むJSON形式の指標情報を得るのである。
【0039】
ステップ7:
端末は、サーバから受信した指標情報(入力)を、HTML/CSS/JavaScriptやLeaflet等の地図表示ツールを用いて可視化し、ユーザに提示するのである。端末は入力された指標情報を解析し、地図上に色分けした領域を表示したり、グラフやテキスト形式でのサマリ表示を行うなどのデータ加工を行い、出力として、ユーザが直接確認できる画面表示を生成するのである。ユーザは、この表示結果に基づいて地域資源の配分や投資戦略の決定を行うことが可能となるのである。
【要約】
【課題】システムを提供する。
【解決手段】多数の空間領域における構造物、移動体及び輝度状態を含む環境情報からなる観察情報を取得する観察情報取得手段と、
地域的利害関係者から提供される意見情報からなる聞取情報を取得する聞取情報取得手段と、
前記観察情報及び前記聞取情報に基づいて将来複数期間後の地域環境特性を予測するための指示文を生成する指示文生成手段と、
前記指示文生成手段により生成された指示文を生成AIモデルに入力し、当該生成AIモデルから前記複数期間後の地域環境特性を示す予測情報を取得する予測情報取得手段と、
前記予測情報に基づいて資源配分方針又は事業計画策定に適用可能な指標情報を生成し、出力する指標情報出力手段
を含むシステム。
【選択図】
図1