IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

特許7634775送信電力調整方法および装置、ならびにシステム
<>
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図1
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図2
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図3
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図4
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図5
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図6
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図7
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図8
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図9
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図10
  • 特許-送信電力調整方法および装置、ならびにシステム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】送信電力調整方法および装置、ならびにシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20250214BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20250214BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W88/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024503805
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 CN2022107195
(87)【国際公開番号】W WO2023001255
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】202110838502.1
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】周 宜▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】隋 ▲芸▼
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲倹▼▲軍▼
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0029644(US,A1)
【文献】特表2013-546258(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163375(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109219930(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111479011(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112740769(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0315592(US,A1)
【文献】米国特許第10812125(US,B1)
【文献】米国特許第10749248(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0091465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、1つまたは複数のプロセッサと、複数のアプリケーションと、1つまたは複数のプログラムとを含む電子デバイスであって、前記1つまたは複数のプログラムは、前記メモリに記憶され、前記1つまたは複数のプロセッサが、前記1つまたは複数のプログラムを実行すると、前記電子デバイスは、送信電力調整方法を実施することが可能にされ前記電子デバイスは、第1のアンテナと第2のアンテナとを含み、前記方法は、
前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の第1の距離を取得することと、
前記電子デバイスによって、前記第1の距離が第1の値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの第2の送信電力を決定することであって、
前記第1の距離が前記第1の値よりも大きい場合、前記第1の送信電力は、第1の制限電力以下であり、前記第2の送信電力は、第2の制限電力以下であり、前記第1の制限電力は、前記電子デバイスが前記第1のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の電磁放射規格を満たす最大送信電力であり、前記第2の制限電力は、前記電子デバイスが前記第2のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の前記電磁放射規格を満たす最大送信電力であり、
前記第1の距離が前記第1の値未満である場合、前記第1の送信電力に対応する第1の暴露率と前記第2の送信電力に対応する第2の暴露率との和は、1以下であり、前記第1の暴露率は、前記第1の制限電力に対する前記第1の送信電力の比率であり、前記第2の暴露率は、前記第2の制限電力に対する前記第2の送信電力の比率である、ことと、
前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナを通じて前記第1の送信電力で信号を送信し、同時に、前記電子デバイスによって、前記第2のアンテナを通じて前記第2の送信電力で信号を送信することと
を含む電子デバイス
【請求項2】
第1の時間期間内の前記第1のアンテナの平均送信電力は、前記第1の送信電力以下であり、前記第1の時間期間は、前記電磁放射規格において指定される時間期間以下である、請求項1に記載の電子デバイス
【請求項3】
1の時間期間内の前記第2のアンテナの平均送信電力は、前記第2の送信電力以下であり、前記第1の時間期間は、前記電磁放射規格において指定される時間期間以下である、請求項1または2に記載の電子デバイス
【請求項4】
前記電子デバイスは、第1の設定テーブルを記憶し、前記第1の設定テーブルは、前記第1の送信電力と前記第2の送信電力とを含み、前記第1の距離が前記第1の値よりも大きい場合、
前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、特に、
前記電子デバイスによって、前記第1の設定テーブルに基づいて、前記第1のアンテナの前記第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの前記第2の送信電力を決定することを含む、請求項1または2に記載の電子デバイス
【請求項5】
前記電子デバイスは、第2の設定テーブルを記憶し、前記第2の設定テーブルは、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを含み、前記第1の距離が前記第1の値よりも大きい場合、前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、特に、
前記電子デバイスによって、前記第1の基準暴露率に基づいて、前記第1のアンテナの前記第1の送信電力を決定し、前記第2の基準暴露率に基づいて、前記第2のアンテナの前記第2の送信電力を決定することであって、前記第1の送信電力は、前記第1の制限電力と前記第1の基準暴露率との積であり、前記第2の送信電力は、前記第2の制限電力と前記第2の基準暴露率との積である、ことを含む、請求項1または2に記載の電子デバイス
【請求項6】
前記第1の距離が前記第1の値未満である場合、前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、特に、
前記電子デバイスによって、暴露率配分方法に従って、前記第1の暴露率および前記第2の暴露率を決定することであって、前記暴露率配分方法は、均等配分、優先配分、サービスタイプに基づいた配分、信号強度に基づいた配分、または暴露率の比率に基づいた配分のうちの1つまたは複数を含む、ことと、
前記電子デバイスによって、前記第1の暴露率に基づいて、前記第1のアンテナの前記第1の送信電力を決定し、前記第2の暴露率に基づいて、前記第2のアンテナの前記第2の送信電力を決定することを含む、請求項1または2に記載の電子デバイス
【請求項7】
前記電子デバイスは、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの総暴露率を事前設定し、前記総暴露率は、前記第1の暴露率と前記第2の暴露率との和である、請求項6に記載の電子デバイス
【請求項8】
前記第1の距離が前記第1の値未満である場合、前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、前記第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、特に、
前記電子デバイスによって、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを取得することであって、前記第1の基準暴露率は、前記第1の制限電力に対する第1の基準電力の比率であり、前記第2の基準暴露率は、前記第2の制限電力に対する第2の基準電力の比率であり、前記第1の基準電力は、前記第1の制限電力以下であり、前記第2の基準電力は、前記第2の制限電力以下である、ことと、
前記第1の基準暴露率と前記第2の基準暴露率との和が1以下である場合、前記電子デバイスによって、前記第1の基準電力を前記第1の送信電力として決定し、前記電子デバイスによって、前記第2の基準電力を前記第2の送信電力として決定することとを含む、請求項1または2に記載の電子デバイス
【請求項9】
前記電子デバイスは、前記第1の基準電力、前記第2の基準電力、前記第1の基準暴露率、および前記第2の基準暴露率を記憶し、または、
前記電子デバイスは、前記第1の基準電力、前記第2の基準電力、前記第1の制限電力、および前記第2の制限電力を記憶し、または、
前記電子デバイスは、前記第1の基準暴露率、前記第2の基準暴露率、前記第1の制限電力、および前記第2の制限電力を記憶する、請求項8に記載の電子デバイス
【請求項10】
前記電子デバイスは、アンテナロケーション関係テーブルを予め記憶し、前記アンテナロケーション関係テーブルは、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の距離を決定するためのものであり、
前記電子デバイスによって、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の第1の距離を取得することは、特に、
前記電子デバイスによって、前記アンテナロケーション関係テーブルに基づいて、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の前記第1の距離を取得することを含む、請求項1または2に記載の電子デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、端末および通信技術の分野に関し、特に、送信電力調整方法および装置、ならびにシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
情報技術の発展に伴って、電子デバイスによってもたらされる様々な便宜を享受する際に、ユーザは、人間の健康に対する電子デバイスの電磁放射の影響について益々懸念を抱いている。この分野において、電磁放射は、通常、比吸収率(SAR)および最大許容暴露(MPE)などのインジケータを使用することによって測定される。例えば、電磁放射は、SARを低減することによって低減され得る。
【0004】
通常、当業者は、アンテナの送信電力を低減することによって、電子デバイスの電磁放射を低減する。しかしながら、アンテナの送信電力を低減することは、通信品質を劣化させ得る。そのため、送信電力を制御するためには、送信電力を低減することと通信品質を保証することとの間のバランスが考慮されることが必要である。
【0005】
携帯電話が例として使用される。強力な機能に起因して、既存の携帯電話は、複数のアンテナ、例えば、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)アンテナ、ブルートゥースアンテナ、および近距離無線通信(NFC)アンテナなどを含む。そのため、複数のアンテナが信号を同時に送信するシナリオにおいて、ユーザが安全な電磁放射範囲内におり、通信品質に影響が与えられないことを保証するために、アンテナの送信電力をどのように正確に制御するかは、現在解決されるべき緊急の問題である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、送信電力調整方法および装置、ならびにシステムを提供する。本方法によれば、複数のアンテナが信号を同時に送信する場合に、ユーザが安全な放射範囲内にいるとき、通信性能ができる限り改善されることを保証するために、各アンテナの送信電力は、アンテナ間のロケーション関係に基づいて調整されることが可能である。
【0007】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、送信電力調整方法を提供する。電子デバイスは、第1のアンテナと第2のアンテナとを含む。本方法は、以下を含む。電子デバイスは、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得する。電子デバイスは、第1の距離が第1の値よりも大きいかどうかを決定する。電子デバイスは、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。第1の距離が第1の値よりも大きい場合、第1の送信電力は、第1の制限電力以下であり、第2の送信電力は、第2の制限電力以下であり、第1の制限電力は、電子デバイスが第1のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の電磁放射規格を満たす最大送信電力であり、第2の制限電力は、電子デバイスが第2のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の電磁放射規格を満たす最大送信電力である。第1の距離が第1の値未満である場合、第1の送信電力に対応する第1の暴露率と第2の送信電力に対応する第2の暴露率との和は、1以下であり、第1の暴露率は、第1の制限電力に対する第1の送信電力の比率であり、第2の暴露率は、第2の制限電力に対する第2の送信電力の比率である。電子デバイスは、第1のアンテナを通じて第1の送信電力で信号を送信し、同時に、電子デバイスは、第2のアンテナを通じて第2の送信電力で信号を送信する。
【0008】
第1の態様において提供される方法によれば、電子デバイスは、アンテナ間のロケーション関係に基づいて、どのようにアンテナの送信電力を決定するかを決定することができる。2つのアンテナが互いから遠く離れている場合、電子デバイスは、2つのアンテナの放射の重畳効果を考慮する必要がないことがあるが、2つのアンテナの送信電力を、電磁放射規格を満たす、2つのアンテナの最大送信電力以下にすることのみを必要とする。このようにして、電子デバイスは、ユーザ安全性を保証しながら、アンテナの送信電力をできる限り増加させて、通信品質を保証することができる。2つのアンテナが互いに近くにある場合、2つのアンテナが信号を同時に送信する場合に生成される放射の重畳効果は明らかである。電子デバイスは、2つのアンテナの放射の重畳効果を考慮する必要がある。この場合において、電子デバイスは、2つのアンテナの暴露率の和が1以下であることを保証して、2つのアンテナの放射が依然として安全な範囲内にあることを保証する必要がある。電子デバイスは、アンテナ間の距離に基づいて、アンテナの送信電力を動的に調整して、電力調整の柔軟性を増加させることができることが分かる。
【0009】
第1の態様を参照して、可能な実装において、第1の時間期間内の第1のアンテナの平均送信電力は、第1の送信電力以下であり、第1の時間期間は、電磁放射規格において指定される時間期間以下である。
【0010】
言い換えれば、第1の送信電力は、電子デバイスによって決定される、第1のアンテナの最大送信電力であってよく、または、電子デバイスによって決定される、第1のアンテナの最大平均送信電力であってよい。第1の送信電力が、電子デバイスによって決定される、第1のアンテナの最大平均送信電力である場合、ある時間期間内に、すなわち、第1の時間期間内に、実際の送信電力の平均値が第1の送信電力を超えなければ、第1のアンテナの実際の送信電力は、第1の送信電力よりも大きくてよく、または第1の送信電力未満であってよい。このようにして、電子デバイスは、アンテナの実際の信号送信ステータスに基づいて、アンテナの送信電力を動的に調整することができる。アンテナの信号が弱い場合、例えば、アンテナが遮断される場合、電子デバイスは、短い持続期間におけるアンテナの送信電力を増加させて、アンテナの通信品質を保証することができる。
【0011】
第1の態様を参照して、可能な実装において、第1の時間期間内の第2のアンテナの平均送信電力は、第2の送信電力以下であり、第1の時間期間は、電磁放射規格において指定される時間期間以下である。
【0012】
言い換えれば、第2の送信電力は、電子デバイスによって決定される、第2のアンテナの最大送信電力であってよく、または、電子デバイスによって決定される、第2のアンテナの最大平均送信電力であってよい。第2の送信電力が、電子デバイスによって決定される、第2のアンテナの最大平均送信電力である場合、ある時間期間内に、すなわち、第1の時間期間内に、実際の送信電力の平均値が第2の送信電力を超えなければ、第2のアンテナの実際の送信電力は、第2の送信電力よりも大きくてよく、または第2の送信電力未満であってよい。このようにして、電子デバイスは、アンテナの実際の信号送信ステータスに基づいて、アンテナの送信電力を動的に調整することができる。アンテナの信号が弱い場合、例えば、アンテナが遮断される場合、電子デバイスは、短い持続期間におけるアンテナの送信電力を増加させて、アンテナの通信品質を保証することができる。
【0013】
第1の態様を参照して、可能な実装において、第2のアンテナの送信電力は、第2の送信電力以下であり、または、第1の時間期間内の第2のアンテナの平均送信電力は、第2の送信電力以下である。第1の時間期間は、電磁放射規格において指定される時間期間以下である。
【0014】
言い換えれば、第1のアンテナと同様に、第2の送信電力は、電子デバイスによって決定される、第2のアンテナの最大送信電力であってよく、または、電子デバイスによって決定される、第2のアンテナの最大平均送信電力であってよい。同様に、第2の送信電力が、第2のアンテナの最大平均送信電力である場合、電子デバイスは、アンテナの実際の信号送信ステータスに基づいて、アンテナの送信電力を動的に調整して、電力調整の自由度を増加させることができる。
【0015】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、時間平均アルゴリズムを使用することによって、第1の時間期間内の第1のアンテナの平均送信電力を第1の送信電力以下にし、時間平均アルゴリズムを使用することによって、第1の時間期間内の第2のアンテナの平均送信電力を第2の送信電力以下にし得る。
【0016】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、第1の設定テーブルを記憶し、第1の設定テーブルは、第1の送信電力と第2の送信電力とを含み、第1の距離が第1の値よりも大きい場合、電子デバイスが、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、以下を特に含む。電子デバイスは、第1の設定テーブルに基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。
【0017】
言い換えれば、電子デバイスは、単一アンテナ電力設定テーブルまたは制限送信電力設定テーブルを記憶し得る。単一アンテナ電力設定テーブルは、アンテナが信号を独立して送信する場合のアンテナの最大送信電力、すなわち、基準送信電力Pを予め記憶する。制限送信電力設定テーブルは、規制要件、すなわち、制限送信電力Pを満たす、アンテナの最大送信電力を予め記憶する。このようにして、マルチアンテナ送信シナリオにおいて、電子デバイスは、異なるアンテナ組み合わせがマルチアンテナ送信シナリオにおいて信号を送信する場合に、アンテナの送信電力を記憶する必要がなく、電子デバイスは、単一アンテナ送信シナリオにおけるアンテナの送信電力のみを記憶する必要があり、マルチアンテナ送信シナリオにおける送信電力設定ワードを低減し、システムによって占有されるメモリを低減する。
【0018】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、第2の設定テーブルを記憶し、第2の設定テーブルは、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを含み、第1の距離が第1の値よりも大きい場合、電子デバイスが、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、以下を特に含む。
【0019】
電子デバイスは、第1の基準暴露率に基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2の基準暴露率に基づいて、第2のアンテナの第2の送信電力を決定し、第1の送信電力は、第1の制限電力と第1の基準暴露率との積であり、第2の送信電力は、第2の制限電力と第2の基準暴露率との積である。
【0020】
言い換えれば、電子デバイスは、基準暴露率設定テーブルを予め記憶し、基準暴露率設定テーブルにおける基準暴露率に基づいて、第1のアンテナおよび第2のアンテナの送信電力を決定することができる。
【0021】
第1の態様を参照して、可能な実装において、第1の距離が第1の値未満である場合、電子デバイスが、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、以下を特に含む。電子デバイスは、暴露率配分方法に従って、第1の暴露率および第2の暴露率を決定し、暴露率配分方法は、均等配分、優先配分、サービスタイプに基づいた配分、信号強度に基づいた配分、または暴露率の比率に基づいた配分のうちの1つまたは複数を含み、電子デバイスは、第1の暴露率に基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2の暴露率に基づいて、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。
【0022】
アンテナが互いに近くにある場合、電子デバイスは、アンテナの暴露率を調整して、2つのアンテナが信号を送信する場合の放射の重畳効果を低減して、ユーザが安全な放射範囲にいることを保証する。
【0023】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、第1のアンテナと第2のアンテナとの総暴露率を事前設定し、総暴露率は、第1の暴露率と第2の暴露率との和である。
【0024】
言い換えれば、電子デバイスがアンテナの送信電力を調整する前に、電子デバイスは、アンテナの総暴露率を事前設定し得る。電子デバイスは、事前設定された総暴露率に基づいて、各アンテナの暴露率を配分して、各アンテナの送信電力をさらに計算し得る。
【0025】
第1の態様を参照して、可能な実装において、第1の距離が第1の値未満である場合、電子デバイスが、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定することは、以下を特に含む。電子デバイスは、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを取得し、第1の基準暴露率は、第1の制限電力に対する第1の基準電力の比率であり、第2の基準暴露率は、第2の制限電力に対する第2の基準電力の比率であり、第1の基準電力は、第1の制限電力以下であり、第2の基準電力は、第2の制限電力以下であり、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率との和が1以下である場合、電子デバイスは、第1の基準電力を第1の送信電力として決定し、電子デバイスは、第2の基準電力を第2の送信電力として決定する。
【0026】
言い換えれば、アンテナの送信電力が電子デバイスにおいて事前設定されており、アンテナの事前設定された送信電力に対応する暴露率の和が1以下である場合、それは、アンテナが事前設定された送信電力で信号を送信する場合、アンテナの重畳された放射が依然として安全な放射範囲にあることを示す。この場合において、電子デバイスは、閾値送信電力で信号を直接送信して、電子デバイスの計算量を低減し、アンテナの電力調整プロセスを加速させることができる。
【0027】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、第1の基準電力、第2の基準電力、第1の基準暴露率、および第2の基準暴露率を記憶し、または、電子デバイスは、第1の基準電力、第2の基準電力、第1の制限電力、および第2の制限電力を記憶し、または、電子デバイスは、第1の基準暴露率、第2の基準暴露率、第1の制限電力、および第2の制限電力を記憶する。
【0028】
言い換えれば、暴露率を参照してアンテナの送信電力を決定するために、電子デバイスは、単一アンテナ電力設定テーブル、制限送信電力設定テーブル、および基準暴露率設定テーブルのうちのいずれか2つを事前設定し得る。このようにして、電子デバイスは、事前設定された設定テーブルに基づいた計算を通じて、アンテナの送信電力を取得することができる。
【0029】
第1の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、アンテナロケーション関係テーブルを予め記憶し、アンテナロケーション関係テーブルは、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離を決定するためのものであり、電子デバイスが、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得することは、以下を特に含む。電子デバイスは、アンテナロケーション関係テーブルに基づいて、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得する。
【0030】
言い換えれば、電子デバイスは、アンテナロケーション関係テーブルを事前設定し得る。このようにして、電子デバイスは、アンテナロケーション関係テーブルにおけるアンテナ間のロケーション関係に基づいて、マルチアンテナ送信シナリオにおけるアンテナ間の距離を決定して、送信電力を調整するためにこれらのアンテナに対して使用されることが可能な方法を決定することができる。
【0031】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、識別モジュールと、調整モジュールと、計算モジュールとを含む。識別モジュールは、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得する。調整モジュールは、第1の距離が第1の値よりも大きいかどうかを決定する。計算モジュールは、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。第1の距離が第1の値よりも大きい場合、第1の送信電力は、第1の制限電力以下であり、第2の送信電力は、第2の制限電力以下であり、第1の制限電力は、電子デバイスが第1のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の電磁放射規格を満たす最大送信電力であり、第2の制限電力は、電子デバイスが第2のアンテナのみを通じて信号を送信する場合の電磁放射規格を満たす最大送信電力である。第1の距離が第1の値未満である場合、第1の送信電力に対応する第1の暴露率と第2の送信電力に対応する第2の暴露率との和は、1以下であり、第1の暴露率は、第1の制限電力に対する第1の送信電力の比率であり、第2の暴露率は、第2の制限電力に対する第2の送信電力の比率である。送信モジュールは、第1のアンテナを通じて第1の送信電力で信号を送信し、同時に、電子デバイスは、第2のアンテナを通じて第2の送信電力で信号を送信する。
【0032】
第2の態様を参照して、可能な実装において、第1のアンテナの送信電力は、第1の送信電力以下であり、または、第1の時間期間内の第1のアンテナの平均送信電力は、第1の送信電力以下である。第1の時間期間は、電磁放射規格において指定される時間期間以下である。
【0033】
第2の態様を参照して、可能な実装において、第2のアンテナの送信電力は、第2の送信電力以下であり、または、第1の時間期間内の第2のアンテナの平均送信電力は、第2の送信電力以下である。第1の時間期間は、電磁放射規格において指定される時間期間以下である。
【0034】
第2の態様を参照して、可能な実装において、記憶モジュールは、第1の設定テーブルを記憶し、第1の設定テーブルは、第1の送信電力と第2の送信電力とを含み、第1の距離が第1の値よりも大きい場合、調整モジュールは、第1の設定テーブルに基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。
【0035】
第2の態様を参照して、可能な実装において、電子デバイスは、第2の設定テーブルを記憶し、第2の設定テーブルは、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを含み、第1の距離が第1の値よりも大きい場合、調整モジュールは、第1の基準暴露率に基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2の基準暴露率に基づいて、第2のアンテナの第2の送信電力を決定し、第1の送信電力は、第1の制限電力と第1の基準暴露率との積であり、第2の送信電力は、第2の制限電力と第2の基準暴露率との積である。
【0036】
第2の態様を参照して、可能な実装において、第1の距離が第1の値未満である場合、調整モジュールは、暴露率配分方法に従って、第1の暴露率および第2の暴露率を決定し、暴露率配分方法は、均等配分、優先配分、サービスタイプに基づいた配分、信号強度に基づいた配分、または暴露率の比率に基づいた配分のうちの1つまたは複数を含み、調整モジュールは、第1の暴露率に基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2の暴露率に基づいて、第2のアンテナの第2の送信電力を決定する。
【0037】
第2の態様を参照して、可能な実装において、記憶モジュールは、第1のアンテナと第2のアンテナとの総暴露率を事前設定し、総暴露率は、第1の暴露率と第2の暴露率との和である。
【0038】
第2の態様を参照して、可能な実装において、第1の距離が第1の値未満である場合、調整モジュールは、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率とを取得し、第1の基準暴露率は、第1の制限電力に対する第1の基準電力の比率であり、第2の基準暴露率は、第2の制限電力に対する第2の基準電力の比率であり、第1の基準電力は、第1の制限電力以下であり、第2の基準電力は、第2の制限電力以下であり、第1の基準暴露率と第2の基準暴露率との和が1以下である場合、調整モジュールは、第1の基準電力を第1の送信電力として決定し、電子デバイスは、第2の基準電力を第2の送信電力として決定する。
【0039】
第2の態様を参照して、可能な実装において、記憶モジュールは、第1の基準電力、第2の基準電力、第1の基準暴露率、および第2の基準暴露率を記憶し、または、電子デバイスは、第1の基準電力、第2の基準電力、第1の制限電力、および第2の制限電力を記憶し、または、電子デバイスは、第1の基準暴露率、第2の基準暴露率、第1の制限電力、および第2の制限電力を記憶する。
【0040】
第2の態様を参照して、可能な実装において、記憶モジュールは、アンテナロケーション関係テーブルを予め記憶し、アンテナロケーション関係テーブルは、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離を決定するためのものであり、識別モジュールは、アンテナロケーション関係テーブルに基づいて、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得する。
【0041】
第3の態様によれば、本出願の一実施形態は、ディスプレイと、メモリと、1つまたは複数のプロセッサと、複数のアプリケーションと、1つまたは複数のプログラムとを含む電子デバイスを提供する。1つまたは複数のプログラムは、メモリに記憶されている。1つまたは複数のプロセッサが、1つまたは複数のプログラムを実行すると、電子デバイスは、第1の態様または第1の態様の実装のうちのいずれか1つによる方法を実施することを可能にされる。
【0042】
第4の態様によれば、本出願の一実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体は、命令を含む。命令が電子デバイスに対して実行されると、電子デバイスは、第1の態様または第1の態様の実装のうちのいずれか1つによる方法を行うことを可能にされる。
【0043】
第5の態様によれば、本出願の一実施形態は、コンピュータプログラム製品を提供し、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第1の態様または第1の態様の実装のうちのいずれか1つによる方法を行うことを可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本出願の一実施形態によるワイヤレス通信システム10の概略図である。
図2】本出願の一実施形態による、SARテストプロセスにおいて測定されたSARの分布図である。
図3】本出願の一実施形態による電子デバイス100のハードウェア構造の概略図である。
図4】本出願の一実施形態による電子デバイス100のアンテナ位置の概略図である。
図5】本出願の一実施形態による電子デバイス100のソフトウェア構造の概略図である。
図6】本出願の一実施形態による、アンテナが信号を送信する場合に、アンテナによって生成される電磁放射の分布の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による、電子デバイス100の実際の送信電力と調整された送信電力との間の関係の概略図である。
図8】本出願の一実施形態による、電子デバイスによって、距離に基づいて、2つのアンテナの送信電力を決定する原理の図である。
図9】本出願の一実施形態による送信電力調整方法の方法フローチャートである。
図10】本出願の一実施形態による送信電力調整方法の方法フローチャートである。
図11】本出願の一実施形態による送信電力調整装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策を説明する。本出願の実施形態の説明において、特に指定のない限り、「/」は、「または」を示す。例えば、A/Bは、AまたはBを示し得る。本明細書における「および/または」という用語は、関連付けられたオブジェクト間の関連付け関係を説明するに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを示す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つの場合、すなわち、Aのみが存在する、AとBとの両方が存在する、および、Bのみが存在する、を示し得る。また、本出願の実施形態の説明において、「複数の」は、2以上を意味する。
【0046】
「第1の」および「第2の」という以下の用語は、説明の目的のために意図されているものに過ぎず、示される技術的特徴の相対的重要度のインジケーションもしくは示唆、または、その数量の黙示的なインジケーションとして理解されるべきではない。そのため、「第1の」または「第2の」によって限定される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的にまたは黙示的に含み得る。本出願の実施形態の説明において、特に指定のない限り、「複数の」は、2つまたは3つ以上を意味する。
【0047】
理解を簡単にするために、以下は、まず、本出願の実施形態において使用される関連する用語および概念を説明する。
【0048】
ネットワークにアクセスする場合、携帯電話およびタブレットなどの電子デバイスは、現地の法律および規則に準拠する必要がある。例えば、製品は、中国においてネットワークにアクセスする場合、中国強制製品認証制度(China Compulsory Certification, CCC)に合格する必要があり、製品は、欧州市場に参入する場合、欧州適合性(Conformite Europeenne, CE)認証に合格する必要があり、製品は、米国市場に参入する場合、連邦通信委員会(Federal Communication Commission, FCC)認証に合格する必要がある。
【0049】
(1)比吸収率(Specific Absorption Rate, SAR)
【0050】
SARは、標準尺度であり、ヒト組織による、携帯電話のような電子デバイスによって生成された電磁エネルギーの吸収を測定するためのものである。SARの単位は、W/kg(ワット/キログラム)である。より大きなSARは、ユーザに対する電磁放射のより大きな影響を示し、より小さなSARは、より小さな影響を示す。現在、いくつかの規制機関が、電磁エネルギー吸収仕様を掲示しており、SAR制限値を設定している。SAR制限値は、6分間以内にヒト組織の1キログラム当たりに吸収されることが許容される電磁エネルギーの最大量である。例えば、連邦通信委員会(Federal Communication Commission, FCC)は、SAR制限値を1.6W/kgに設定しており、欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standard Institute, ESTI)は、SAR制限値を2.0W/kgに設定している。
【0051】
(2)最大許容暴露量(Maximum Permissive Exposure, MPE)
【0052】
SARと同様に、MPEも、人体に対する、携帯電話のような電子デバイスによって生成される電磁エネルギーの影響を示す。MPEの単位は、W/m (ワット/平方メートル)である。一般に、MPEの測定値は、電力密度(Power Density, PD)、すなわち、人体によって単位面積当たりに吸収される電磁エネルギーである。
【0053】
SARもMPEも、デバイスを使用することによって、人体モデルによって吸収される電磁エネルギーを測定するためのものであり、人体に対する電子デバイスの放射影響を測定する放射インジケータである。SARは、人体に対する低周波(6GHz未満の周波数)放射の影響を測定するためのものであり得、MPEは、人体に対する高周波(6GHzよりも高い周波数)放射の影響を測定するためのものであり得る。
【0054】
(3)総暴露率(Total Exposure Ratio, TER)
【0055】
通信システムが益々複雑になるにつれて、電子デバイスは、より多くのアンテナを含む。SARテストにおいて、端末デバイスに含まれる全ての送信アンテナおよび全ての可能なアンテナ組み合わせは、テストされることを必要とされる。単一のアンテナが信号を送信する場合、または複数のアンテナが信号を同時に送信する場合、規制要件が満たされる必要がある。複数のアンテナが信号を送信する場合、総暴露率は、TERによって測定される。
【0056】
TERは、複数のアンテナが信号を同時に送信する場合の、人体に対する電子デバイスの電磁放射の影響を測定するためのものであり得る。TERは、前述の放射インジケータに基づいて決定され得る。TERは、式1に従って示され得る。
【0057】
【数1】
【0058】
SARは、低周波信号を送信するn番目のアンテナが動作する場合の、アンテナの測定されたSAR値を示し、SARn,limitは、低周波信号を送信するn番目のアンテナのSAR制限値を示す。本明細書において、n=1、2、...、Nであり、ただし、Nは、低周波(6GHz未満の周波数)信号を送信するアンテナの数量を示す。PDは、高周波数信号を送信するm番目のアンテナが動作する場合の、アンテナの測定されたPD値を示し、PDm,limitは、高周波数信号を送信するm番目のアンテナのPD制限値を示す。本明細書において、n=1、2、...、Mであり、ただし、Mは、高周波(6GHzよりも高い周波数)信号を送信するアンテナの数量を示す。
【0059】
総暴露率は、信号を送信する全てのアンテナの暴露率の和であることが分かる。複数のアンテナが信号を同時に送信し、TER≦1である場合、人体に対する、電子デバイスによって生成される電磁エネルギーの影響は、安全な範囲内にある。
【0060】
SARおよびMPEは、異なる周波数帯域におけるアンテナによって生成される電磁放射を測定するためのものであり(SARは、人体に対する低周波(6GHzよりも通常低い周波数)放射の影響を説明するものであり、MPEは、一般に、人体に対する高周波(6GHzよりも高い周波数)放射の影響を説明するものである)、総暴露率は、代替として、
【0061】
【数2】
【0062】
、または
【0063】
【数3】
【0064】
として示され得ることが留意されるべきである。
【0065】
(4)時間平均アルゴリズム
【0066】
時間平均アルゴリズムは、ある時間期間内の電子デバイスの平均送信電力が、固定値に、または固定値未満に維持されるように制御するためのものであり得る。固定値は、放射インジケータの規制制限値に基づいて決定される制限送信電力であってよい。
【0067】
SARを使用することによって測定される電磁エネルギーは、ある時間期間内に人体によって吸収される。そのため、規則において、時間平均アルゴリズムは、ある時間期間内の平均SAR値を計算するために使用されることを許容されており、平均SAR値は、SAR制限値を超えない。電子デバイスが、単一のアンテナを通じて信号を送信する場合、電子デバイスの送信電力が規制要件を満たすかどうかは、式2に従って測定され得る。
【0068】
【数4】
【0069】
SAR(t)は、SARの瞬時値を示し、TSARは、規則によって許容される最大平均持続期間を示し、SARlimitは、規則におけるSAR制限値を示す。言い換えれば、測定された平均SAR値が、電子デバイスが信号を送信する時間期間におけるSAR制限値未満である場合、電子デバイスの送信電力は、規制要件を満たす。
【0070】
MPEと同様に、電子デバイスが、単一のアンテナを通じて信号を送信する場合、ある時間期間における平均MPE値は、時間平均アルゴリズムを使用することによって計算され得る。具体的には、電子デバイスの送信電力が規制要件を満たすかどうかは、式3に従って測定され得る。
【0071】
【数5】
【0072】
また、電子デバイスが、複数のアンテナを通じて信号を送信し、アンテナの動作周波数が、高周波数(6GHzよりも高い周波数)と低周波数数(6GHzよりも通常低い周波数)とを含む場合、電子デバイスの送信電力が規制要件を満たすかどうかは、式4に従って測定され得る。
【0073】
【数6】
【0074】
ある時間期間における複数のアンテナの平均放射インジケータ値の和が、放射インジケータの規制制限値以下である場合、電子デバイスの送信電力は、規制要件を満たすことが分かる。
【0075】
図1は、本出願におけるワイヤレス通信システム10を示す。
【0076】
図1は、本出願の一実施形態によるワイヤレス通信システム10の例を示す。ワイヤレス通信システム10は、複数のワイヤレス通信デバイスを含み得る。ワイヤレス通信接続は、複数のデバイス間で確立される。Android(登録商標)システム、Windows(登録商標)システム、iOS(登録商標)システム、macOS(登録商標)システム、Linux(登録商標)システム、HarmonyOS(登録商標)(HarmonyOS, HOS)、または別のタイプのオペレーティングシステムが、ワイヤレス通信システム10内のデバイス上で実行され得る。ワイヤレス通信システム10内のデバイスのオペレーティングシステムは、同じであってよく、または異なってよい。これは、本出願において限定されない。図1に示されるように、いくつかの実施形態において、ワイヤレス通信システム10は、電子デバイス100から107を含む。
【0077】
電子デバイス100は、無線信号を送るためのデバイスであり、電子デバイス101から107は、無線信号を受信するためのデバイスである。
【0078】
電子デバイス100は、ユーザに対して通信サービスを直接提供する端末デバイス、例えば、携帯電話、コンピュータ、ノート型コンピュータ、またはワイヤレスヘッドホンのようなデバイスであり得る。通信サービスは、通話サービス、ダウンロードサービス、デバイス接続サービス等を含み得る。電子デバイス101から107は、電子デバイス100に対してワイヤレス通信接続を確立する電子デバイス、例えば、携帯電話、コンピュータ、ノート型コンピュータ、スマートウォッチ、スマートバンド、スマートグラス、ルータ、衛星、および基地局であってよい。ワイヤレス通信接続は、Wi-Fi接続、NFC接続、ブルートゥース接続等であってよい。以下の実施形態において、端末デバイスは、略して端末とも称され得る。端末デバイスは、通常、ユーザインターフェースを提供すること、ユーザと対話すること、およびユーザに対してサービス機能を提供することができるインテリジェント電子デバイスである。
【0079】
対応して、電子デバイス100と電子デバイス101から107との間の通信を実装するために、モバイル通信モジュールおよびワイヤレス通信モジュールが、通信のために電子デバイス100から107において構成され得る。モバイル通信モジュールは、端末に対して適用されるワイヤレス通信解決策であって、第2世代モバイル通信技術(the 2nd generation mobile communication technology, 2G)、第3世代モバイル通信技術(the 3rd generation mobile communication technology, 3G)、第4世代モバイル通信技術(the 4th generation mobile communication technology, 4G)、第5世代モバイル通信技術(the 5th generation mobile communication technology, 5G)等を含むワイヤレス通信解決策を提供し得る。ワイヤレス通信モジュールは、ブルートゥース(Bluetooth, BT)モジュール、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network, WLAN)モジュール等を含み得る。ブルートゥースモジュールは、古典的なブルートゥース(Bluetooth 2.1)およびブルートゥース低エネルギー(Bluetooth low energy, BLE)のうちの1つまたは複数を含むブルートゥース通信解決策を提供することができる。WLANモジュールは、ワイヤレスフィデリティピアツーピア接続(wireless fidelity peer-to-peer, Wi-Fi P2P)、ワイヤレスフィデリティローカルエリアネットワーク(wireless fidelity local area network, Wi-Fi LAN)、およびワイヤレスフィデリティソフトウェアアクセスポイント(wireless fidelity software access point, Wi-Fi softAP)のうちの1つまたは複数を含むWLAN通信解決策を提供することができる。いくつかの実施形態において、Wi-Fi P2Pは、ワイヤレスネットワーク内のデバイスが、ワイヤレスルータを使用する必要なしに、ピアツーピア手法で互いに接続されることが可能であることを意味し、Android(登録商標)システムにおいては、ワイヤレスフィデリティダイレクト(wireless fidelity direct, Wi-Fi direct)とも称され得る。Wi-Fi P2P接続を確立するデバイスは、ネットワークまたはホットスポットに接続せずに、Wi-Fi(同じ周波数帯域にあることを必要とする)上で、データ(ファイル、画像、およびビデオなど)を交換することができる。ブルートゥースのそれと比較して、Wi-Fi P2Pは、より高速な検索速度、より高速な送信速度、および、より長い送信距離などの利点を有する。
【0080】
電子デバイス100が、ユーザに対して通信サービスを提供するプロセスにおいて、電子デバイス100は、アンテナを通じて別のデバイスへ信号を送る必要がある。この場合において、アンテナによって生成される電磁エネルギーは、電子デバイス100の近くにいる、または電子デバイス100と接触するユーザに影響を与え、人間の健康にさらに影響を与え得る。
【0081】
また、電子デバイス100は、複数のアンテナが、電子デバイス101から107のうちの複数の電子デバイスへ信号を送ることを同時に可能にし得る。例えば、電子デバイス100が、Wi-Fi技術を使用することによって電子デバイス103へのWi-Fi接続を確立する場合、電子デバイス100は、ブルートゥースを有効にして、電子デバイス10へのブルートゥース接続を確立する。この場合において、電子デバイス100は、信号を同時に送信するために、複数のアンテナ(Wi-Fiアンテナおよびブルートゥースアンテナ)を有効にする必要がある。本出願の本実施形態において、電子デバイス100が信号を同時に送信するために複数のアンテナを有効にするシナリオは、マルチアンテナ送信シナリオと称される。
【0082】
この場合において、ワイヤレス通信システム10内で、電子デバイス100が信号を送信するために複数のアンテナを有効にする場合、電子デバイス100は、複数のアンテナの送信電力を制御して、ユーザが安全な放射範囲内にいることを保証する必要がある。
【0083】
図1に示されるワイヤレス通信システム10は、本出願の実施形態において提供される技術的解決策を説明することを支援するためのものに過ぎず、本出願の実施形態に対する限定を構成しないことが留意されるべきである。実際のサービスシナリオにおいて、ワイヤレス通信システム10は、より多くの、またはより少ない電子デバイスを含んでよい。電子デバイスのタイプ、電子デバイスの数量、電子デバイス間の接続手法等は、本出願において限定されない。
【0084】
マルチアンテナ送信シナリオにおいて、電子デバイス100が信号を送信する場合に電子デバイス100によって生成される電磁放射が、安全な放射範囲内にあることを保証するために、電子デバイス100は、各アンテナの送信電力を制限して、送信電力が関連する規制要件を満たすことを保証する必要がある。特定の実装において、各アンテナの送信電力は、関連する規則において指定される放射インジケータに対応する送信電力未満になるように制限され得る。例えば、放射インジケータは、SAR、またはMPEであってよい。
【0085】
一実装において、電子デバイス100は、マルチアンテナ電力設定テーブルを用いて構成され得る。電子デバイス100が信号を送信する前に、電子デバイス100は、マルチアンテナ電力設定テーブル内の電力値に基づいて、送信電力を調整して、電子デバイス100の送信電力が電力値を超えないことを保証し得る。
【0086】
マルチアンテナ電力設定テーブルは、異なるアンテナおよび異なるシナリオにおける電子デバイス100の電力値を示す。電力値は、電子デバイス100の許容される最大送信電力であり、送信電力は、規制要件における電力値以下である。言い換えれば、電子デバイス100が、信号を送信するアンテナを決定し、これらのアンテナの送信電力がマルチアンテナ電力設定テーブル内の電力値を超えないことを可能にすれば、ユーザ安全性が保証されることが可能である。
【0087】
表1は、マルチアンテナシナリオにおいて電子デバイス100内に構成されるマルチアンテナ電力設定テーブルの例を示す。
【0088】
【表1】
【0089】
シナリオ1、シナリオ2、...、およびシナリオMは、電子デバイス100が人体の異なる部分の近くにある場合に電子デバイス100が信号を送信するシナリオを示し得る。アンテナX、Y、およびZは、電子デバイス100内に含まれるアンテナであり得る。マルチ電力設定テーブル内の電力値は、電子デバイス100によって、各アンテナが別々に信号を送信する場合に規制要件を満たす送信電力に基づいて、およびTER≦1を参照して計算することによって取得されてよく、またはシミュレーションテストを通じて取得されてよく、または実際のテストシナリオにおけるテストを通じて取得されてよい。
【0090】
言い換えれば、電子デバイス100は、通常、2つの設定テーブル、すなわち、単一アンテナ電力設定テーブルとマルチアンテナ電力設定テーブルとを用いて構成される。
【0091】
単一アンテナ電力設定テーブルは、各アンテナが信号を別々に送信する場合に規制要件を満たす送信電力、すなわち、基準送信電力Pを含む。単一アンテナ電力設定テーブルは、単一アンテナ送信シナリオにおける、異なるアンテナの異なる放射インジケータテストシナリオにおける電子デバイス100の基準送信電力Pを含む。基準送信電力Pは、電子デバイス100の許容される最大送信電力であり、基準送信電力Pは、規制要件における制限送信電力P以下である。単一アンテナ送信シナリオは、電子デバイス100が1つのアンテナを通じて信号を送信するシナリオである。制限送信電力Pは、単一アンテナ送信シナリオにおける、異なるアンテナの異なる放射インジケータテストシナリオにおける規制要件を満たす送信電力のうちの1つであることが、理解されるべきである。
【0092】
電子デバイス100の単一アンテナ電力設定テーブルを取得するために、電子デバイス100は、テストのための放射インジケータテスト環境内に置かれて、単一アンテナ電力設定テーブル内の各アンテナの基準送信電力Pを決定する必要がある。
【0093】
表2は、電子デバイス100がテストのためのSARテスト環境内に置かれる場合に、単一アンテナシナリオにおいて電子デバイス100内に構成される単一アンテナ電力設定テーブルの例を示す。
【0094】
【表2】
【0095】
本明細書において、Nは、電子デバイス100のアンテナの数量を示し、Mは、SARテストシナリオの数量を示す。ユーザの頭部、胴体、および四肢によって受信されることが可能な放射値は異なるので、SAR仕様においては、ユーザの異なる部分に対して、異なるSAR制限値が存在する。そのため、SARテストシナリオは、電子デバイス100が、異なる人体部分の近くにあるテストシナリオを含み得る。例えば、シナリオ1は、電子デバイス100がユーザの頭部の近くにある場合にSARが試験されるシナリオを示してよく、シナリオ2は、電子デバイス100がユーザの胴体の近くにある場合にSARが試験されるシナリオを示してよい。PXY(X=1、2、...、M、Y=1、2、...、N)は、電子デバイス100がシナリオYにおいてアンテナXを通じて信号を送信する場合に許容される、アンテナXの基準送信電力Pを示す。
【0096】
実際のSARテストプロセスにおいて、電子デバイス100は、人体モデルの近くに置かれてよく、電子デバイス100の送信電力がSAR仕様を満たすかどうかは、人体モデルのSAR値を測定することによって決定される。具体的には、ヒト組織液をシミュレーションするために、化学液体が測定液体として使用されてよい。例えば、測定液体が人体頭部モデル内に置かれる場合、電子デバイス100は、人体頭部モデルの近くに置かれる。これは、電子デバイス100がユーザの頭部の近くにあるテストシナリオをシミュレーションするために使用され得る。次いで、電子デバイス100がアンテナを通じて信号を送信する場合、測定液体を走査するためにプローブが使用され、測定液体のSAR値は、プローブを使用することによって測定されて、アンテナの送信電力がSAR仕様に準拠するかどうかが決定される。テストプロセスにおいて、送信電力はSAR値と正比例するので、テストプロセスにおいて使用される送信電力が規制要件を満たすかどうかは、送信電力を調整することによって、およびSARテスト結果を参照して決定されて、表2内の各基準送信電力Pが取得され得る。
【0097】
図2は、電子デバイス100がユーザの頭部の近くにある場合に生成されるテスト結果のSAR分布図の例であり、電子デバイス100は、アンテナ1を有効にし、その電力値がP11である送信電力で信号を送信する。図2から、色がより濃い領域は、その領域のより大きなSAR値およびより大きな放射を示すことが分かる。領域1におけるSAR値が最大である。SAR値がSAR仕様を超えない場合、電子デバイス100がユーザの頭部の近くにあるシナリオにおいて、電子デバイス100のアンテナ1が、その電力値がP11である送信電力で信号を送信することは、SAR規制要件を満たす。
【0098】
マルチアンテナ電力設定テーブルは、単一アンテナ電力設定テーブルに基づいて手動設定を通じて取得される。一般に、マルチアンテナ電力設定テーブル内の各アンテナの送信電力を取得するためには、複数のアンテナが電力を同時に送信する場合に、全てのアンテナの放射が重畳されるときにユーザが依然として安全な放射範囲内にいることが保証されるように、単一アンテナ設定テーブル内に記載されるアンテナの送信電力に基づいて、バックオフ電力が手動で導入される必要がある。本明細書において、マルチアンテナ電力設定テーブル内のアンテナの送信電力は、単一アンテナ電力設定テーブル内のアンテナの送信電力からバックオフ電力を減算したものである。例えば、電力1Xは、P11から第1のバックオフ電力を減算することによって取得されてよく、電力1Yは、P12から第2のバックオフ電力を減算することによって取得されてよく、ただし、第1のバックオフ電力は、第2のバックオフ電力と等しくてよく、または等しくなくてよい。
【0099】
電子デバイス100が、アンテナXおよびアンテナYを通じて信号を送信する場合、この場合における、異なるシナリオ(例えば、アンテナが頭部の近くにあるシナリオ、およびアンテナが身体の近くにあるシナリオ)におけるアンテナXおよびアンテナYの電力値が列挙される必要があることが分かる。電子デバイス100が、アンテナX、アンテナY、およびアンテナZを通じて信号を送信する場合、この場合における、異なるシナリオにおけるアンテナX、アンテナY、およびアンテナZの電力値が列挙される必要がある。類推によって、電子デバイス100が、アンテナX、Y、およびZを含む場合、2つのアンテナが同時に動作する場合は、アンテナXおよびYが同時に動作する、アンテナXおよびZが同時に動作する、ならびに、アンテナYおよびZが同時に動作する、を含み、3つのアンテナが同時に動作する場合は、アンテナX、YおよびZが同時に動作する、を含む。言い換えれば、電子デバイスが、3つのアンテナを含む場合、表1は、異なるシナリオにおいて、4つのアンテナ組み合わせにおける各アンテナの送信電力を含むべきである。
【0100】
言い換えれば、実際の信号送信プロセスにおいて、様々な可能な場合がマルチアンテナ電力設定テーブルに含まれることを保証するために、表1は、異なるシナリオにおいて、様々なアンテナ組み合わせにおける各アンテナの送信電力を含む必要がある。そのため、電子デバイス100が大量のアンテナを有する場合、マルチアンテナ電力設定テーブルの構造は複雑になることがある。これは、設定人員の設定作業負荷を増加させ、設定エラーを簡単に引き起こす。マルチアンテナ設定テーブルは、大きなメモリも占有する。
【0101】
また、マルチアンテナ電力設定テーブルにおいて、放射に対する複数のアンテナ間のロケーション関係の影響は考慮されない。実際の場合において、複数のアンテナが互いから遠く離れている場合、複数のアンテナによって生成される電磁放射の重畳度合いは小さく、重畳効果は弱い。そのため、複数のアンテナの送信電力は、TER≦1を参照して計算される必要がないことがあり得る。複数のアンテナが互いの近くにある場合にのみ、複数のアンテナによって生成される電磁放射の重畳度合いは大きく、複数のアンテナの放射が重畳されることが考慮され得る。しかしながら、マルチアンテナ電力設定テーブルにおいて、送信電力値は、複数のアンテナが互いの近くにある場合にバックオフ電力を導入することによって、複数のアンテナに対して単純に設定される。結果として、良好な通信性能が保証されることができない。通信品質は、バックオフ電力の導入に起因して劣化することがあり、例えば、信号フリーズのような現象が発生することがあり、結果として、良好な通信性能が保証されることができない。
【0102】
本出願の一実施形態は、マルチアンテナ送信シナリオにおける送信電力調整方法を提供する。本方法は、複数のアンテナを有して構成される電子デバイスに対して適用される。具体的には、暴露率は、送信アンテナのロケーション関係を決定することによって、および暴露率配分方法に従って、送信アンテナに対して配分される。
【0103】
複数のアンテナを通じて信号を送信するプロセスにおいて、電子デバイス100は、まず、複数のアンテナ間のロケーション関係を取得し、ロケーション関係に基づいて、異なる暴露率配分ポリシーを選択して、複数のアンテナの暴露率を設定し得る。暴露率配分方法は、以下の複数の手法、すなわち、アンテナに対して暴露率を均等に配分すること、特定の割合係数に基づいて暴露率を配分すること等を含み得るが、これらに限定されない。代替として、電子デバイスは、サービスタイプに基づいて暴露率を優先的に配分してよく、および/または、信号強度に基づいて暴露率を配分してよい。
【0104】
例えば、デュアルアンテナ放射シナリオにおいて、信号を同時に送信するアンテナ1とアンテナ2との間のロケーション関係は、距離レベル1(例えば、短距離)である。距離レベル1における2つのアンテナの放射の重畳度合いは大きく、2つのアンテナの送信電力を計算するために暴露率配分方法1が選択されることが考慮される。暴露率配分方法1は、アンテナに対して暴露率を均等に配分することであってよく、または、係数に基づいて暴露率を配分することであってよい。信号を同時に送信するアンテナ1とアンテナ2との間のロケーション関係が、距離レベル2(例えば、長距離電話)である場合、アンテナ1およびアンテナ2は、単一アンテナ暴露率に基づいて設定され得る。
【0105】
電子デバイスは、マルチアンテナ放射状態におけるアンテナ間のロケーション関係を予め決定し、異なる暴露率配分ポリシーを使用することによって、信号を送信するデュアルアンテナについての送信電力を設定する。これは、デュアルアンテナ放射シナリオにおいて、アンテナの送信電力を手動で設定することを回避することができ、放射インジケータが規制値を超えないことを保証しながら、通信品質を保証することができる。
【0106】
電子デバイスは、アンテナ信号強度、サービスタイプ、および異なる暴露率配分ポリシーに基づいて、暴露率を配分することができる。これは、通信品質を保証することができる。例えば、互いに近くにあるアンテナの場合、データサービスにおけるアンテナ1に対して、より大きな割合の暴露率が設定されてよく、または、強いアンテナ信号を有するアンテナ1に対して、より大きな割合の暴露率が設定されてよい。
【0107】
さらに、電子デバイス100がアンテナの送信電力を取得した後、電子デバイス100は、時間平均アルゴリズムを使用することによって、取得された送信電力をアンテナの平均電力に設定し得る。実際の信号送信プロセスにおいて、電子デバイス100は、ある時間期間内の送信電力の平均値を平均電力以下にし得る。言い換えれば、異なる瞬間におけるアンテナの瞬時電力値は、時間平均アルゴリズムを使用することによって計算され得る。
【0108】
本出願の一実施形態は、送信電力調整方法をさらに提供する。本方法は、複数のアンテナを有して構成される電子デバイスに対して適用される。互いから遠く離れているアンテナに対して、暴露率配分方法は使用されない。代わりに、暴露率配分方法は、互いに近くにあるアンテナに対して使用される。
【0109】
本出願の実施形態において提供される送信電力調整方法において、複数のアンテナを通じて信号を送信するプロセスにおいて、または複数のアンテナを通じて信号を送信する前に、電子デバイス100は、まず、複数のアンテナ間のロケーション関係を取得し、複数のアンテナ間のロケーション関係に基づいて、異なるアンテナに対して異なるポリシーを選択して、アンテナの送信電力を設定し得る。
【0110】
複数のアンテナにおいて、あるアンテナが別のアンテナから遠く離れている場合、電子デバイス100は、アンテナの基準送信電力、制限送信電力、事前設定された送信電力、または暴露率に基づいて計算された送信電力で、信号を送信し得る。
【0111】
例えば、電子デバイスは、複数のアンテナにおいて、別のアンテナへのその距離が第1の距離条件を満たす(例えば、距離レベル1を超える)アンテナは、遠隔のアンテナであり、複数のアンテナにおいて、別のアンテナへのその距離が第2の距離条件を満たす(例えば、距離レベル1を下回る)アンテナは、近くのアンテナであると決定し得る。いくつかの実施形態において、近くのアンテナは、少なくとも2つのアンテナを含む、いくつかのセットである。
【0112】
複数のアンテナにおいて、互いに近いアンテナがある場合、電子デバイス100は、互いに近くにあるアンテナの送信電力を調整して、互いに近くにあるアンテナの総暴露率TERが1以下になることを可能にする。特定の実装において、電子デバイス100は、互いに近くにあるこれらのアンテナのTERを事前設定し、次いで、暴露率配分方法に従って、互いに近くにあるこれらのアンテナの暴露率を調整して、これらのアンテナの送信電力をさらに計算し得る。
【0113】
暴露率配分方法は、以下の手法、すなわち、アンテナに対して暴露率を均等に配分すること、アンテナに対して暴露率を優先的に配分すること、サービスタイプに基づいて暴露率を配分すること、特定の係数に基づいて暴露率を配分すること、信号強度に基づいて暴露率を配分すること等も含み得るが、これらに限定されない。
【0114】
具体的には、電子デバイスは、各アンテナのサービスタイプをさらに決定し、異なるアンテナに対して異なる暴露率を配分し得る。電子デバイスは、代替として、異なるアンテナの信号強度を決定し、異なるアンテナに対して異なる暴露率を配分してよい。
【0115】
さらに、電子デバイス100が、アンテナの送信電力を取得した後、電子デバイス100は、時間平均アルゴリズムを使用することによって、取得された送信電力をアンテナの平均電力に設定し得る。実際の信号送信プロセスにおいて、電子デバイス100は、ある時間期間内の送信電力の平均値を平均電力以下にし得る。言い換えれば、異なる瞬間におけるアンテナの瞬時電力値は、時間平均アルゴリズムを使用することによって計算され得る。
【0116】
例えば、デュアルアンテナ放射シナリオにおいて、2つのアンテナが互いから遠く離れている場合、電子デバイス100は、2つのアンテナ間の放射影響を考慮せずに、大きい送信電力で信号を送信し得る。このようにして、ユーザ安全性が保証され、通信性能ができる限り保証される。2つのアンテナが互いに近くにある場合、電子デバイス100は、TER≦1の原理に基づいて、暴露率配分方法に従って各アンテナの暴露率を動的に配分して、調整された暴露率をさらに取得し、暴露率に基づいて、アンテナの送信電力を計算し、その結果、電子デバイス100は、各アンテナの送信電力を柔軟に調整することができる。このようにして、アンテナが互いから遠く離れている場合、アンテナの送信電力は、小さな振幅だけ低減され、アンテナが互いに近くにある場合、アンテナの送信電力は、大きい振幅だけ低減される。また、電子デバイス100は、基準送信電力P、基準暴露率ER、およびアンテナ間のロケーション関係のみを予め記憶する必要があり、マルチアンテナシナリオにおいて、各アンテナ組み合わせにおける各アンテナの送信電力を設定する必要がない。これは、マルチアンテナシナリオにおける送信電力設定作業を低減し、システムによって占有されるメモリを低減する。また、電子デバイス100によって計算を通じて取得される送信電力は、時間平均アルゴリズムを使用することによって、アンテナの平均電力として決定される。このようにして、実際の信号送信プロセスにおいて、電子デバイス100は、実際の場合に基づいて、アンテナの電力値を動的に調整し得る。これは、ユーザがある時間期間内に安全な放射範囲内にいることを保証するだけでなく、電子デバイス100の通信品質もできる限り保証する。
【0117】
基準送信電力Pは、規制に従って、電子デバイス100内に電子デバイス100によって予め設定される送信電力であり、電力値は、制限送信電力P以下である。制限送信電力Pは、規制要件を満たす最大送信電力である。アンテナの制限送信電力Pに対する、アンテナの基準送信電力Pの比率は、アンテナの基準暴露率ERである。
【0118】
電子デバイス100は、アンテナロケーション関係テーブルを予め記憶してよく、または単一アンテナ電力設定テーブル、基準暴露率設定テーブルおよび制限送信電力設定テーブルのうちのいずれか2つを予め記憶してよい。具体的には、単一アンテナ送信電力設定テーブルは、電子デバイス100の各アンテナが信号を別々に送信する場合に使用される基準送信電力Pを含み、アンテナロケーション関係テーブルは、電子デバイス100の複数のアンテナ間のロケーション関係を含み、制限送信電力設定テーブルは、各アンテナの制限送信電力Pを含み、基準暴露率設定テーブルは、各アンテナの基準暴露率ERを含む。
【0119】
単一アンテナ電力設定テーブル、基準暴露率設定テーブル、およびアンテナロケーション関係テーブルの具体的な説明については、以下の実施形態を参照されたい。
【0120】
本出願の一実施形態は、送信電力調整方法をさらに提供する。本方法は、2つのアンテナが信号を同時に送信するシナリオに対して適用される。電子デバイス100は、2つのアンテナ間の距離を取得し得る。2つのアンテナ間の距離が第1の値よりも大きい場合、電子デバイスは、2つのアンテナの送信電力を調整して、2つのアンテナの送信電力がそれぞれ、規制要件を満たす2つのアンテナの最大送信電力以下になることを可能にし得る。2つのアンテナ間の距離が第1の値未満である場合、電子デバイスは、2つのアンテナに対応する暴露率の和が1以下であるという前提で、2つのアンテナの送信電力を決定し得る。このようにして、電子デバイス100は、暴露率の和が1以下であるという情報に基づいてアンテナの送信電力を計算するべきかどうかを、2つのアンテナ間の距離に基づいて決定し得る。
【0121】
図1に示されるワイヤレス通信システム10において、電子デバイス100は、複数のアンテナを通じた、電子デバイス101から107における1つまたは複数の電子デバイスとの通信の前に、またはその通信期間中に、複数のアンテナ間のロケーション関係を同時に取得し得る。あるアンテナが別のアンテナから遠く離れている場合、電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブル内のアンテナの基準送信電力で信号を送信し、または事前設定された送信電力で信号を送信し得る。互いに近いアンテナがある場合、電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブル内のアンテナの基準送信電力と、基準暴露率設定テーブル内のアンテナの基準暴露率とを取得し、暴露率配分方法に従ってアンテナの暴露率を調整して、アンテナの送信電力を計算し、計算を通じて送信電力を取得して、信号を送信する。また、電子デバイス100は、代替として、時間平均アルゴリズムを使用することによって、ある時間期間内の電子デバイス100の送信電力の平均電力が、これらのアンテナの最終的に決定される送信電力を超えないようにしてよい。
【0122】
図3は、電子デバイス100のハードウェア構造の概略図である。
【0123】
電子デバイス100は、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ノート型コンピュータ、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(ultra-mobile personal computer, UMPC)、ネットブック、セルラー電話、または、携帯情報端末(personal digital assistant, PDA)、拡張現実(augmented reality, AR)デバイス、仮想現実(virtual reality, VR)デバイス、人工知能(artificial intelligence, AI)デバイス、ウェアラブルデバイス、車載デバイス、スマートホームデバイス、および/もしくはスマートシティデバイスであってよい。電子デバイスの具体的なタイプは、本出願の実施形態において限定されない。
【0124】
電子デバイス100は、プロセッサ110、外部メモリインターフェース120、内部メモリ121、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus, USB)ポート130、課金管理モジュール140、電力管理モジュール141、バッテリ142、アンテナ1、アンテナ2、モバイル通信モジュール150、ワイヤレス通信モジュール160、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信器170B、マイクロフォン170C、ヘッドホンジャック170D、センサモジュール180、ボタン190、モータ191、インジケータ192、カメラ193、ディスプレイ194、加入者識別モジュール(subscriber identity module, SIM)カードインターフェース195等を含み得る。センサモジュール180は、圧力センサ180A、ジャイロセンサ180B、気圧センサ180C、磁気センサ180D、加速度センサ180E、距離センサ180F、光学式近接センサ180G、指紋センサ180H、温度センサ180J、タッチセンサ180K、周囲光センサ180L、骨伝導センサ180M等を含み得る。
【0125】
本発明の本実施形態において示される構造は、電子デバイス100に対する具体的な限定を構成しないことが理解され得る。本出願のいくつかの他の実施形態において、電子デバイス100は、図に示される構成要素よりも多くのもしくは少ない構成要素を含んでよく、または、いくつかの構成要素は組み合わされてよく、または、いくつかの構成要素は分けられてよく、または、異なる構成要素配置が使用されてよい。図に示される構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装され得る。
【0126】
プロセッサ110は、1つまたは複数の処理ユニットを含み得る。例えば、プロセッサ110は、アプリケーションプロセッサ(application processor, AP)、モデムプロセッサ、グラフィック処理ユニット(graphics processing unit, GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor, ISP)、コントローラ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、ベースバンドプロセッサ、ニューラルネットワーク処理ユニット(neural-network processing unit, NPU)等を含んでよい。異なる処理ユニットは、独立した構成要素であってよく、または、1つもしくは複数のプロセッサに一体化されてよい。
【0127】
いくつかの実施形態において、プロセッサ110は、アンテナ間のロケーション関係に基づいて、電子デバイス100の各アンテナの送信電力を決定することができる。具体的には、あるアンテナが別のアンテナから遠く離れている場合、プロセッサ110は、アンテナの送信電力が基準送信電力であると決定し得る。互いに近いアンテナがある場合、プロセッサ110は、暴露率配分方法に従って、互いに近くにあるアンテナの暴露率を調整し、互いに近くにあるアンテナの送信電力を計算し得る。
【0128】
コントローラは、命令動作コードおよび時系列信号に基づいて、動作制御信号を生成して、命令読み取りおよび命令実行の制御を完了し得る。
【0129】
メモリは、プロセッサ110内にさらに配設されてよく、命令およびデータを記憶するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサ110内のメモリは、キャッシュメモリである。メモリは、プロセッサ110によって使用された、または周期的に使用された、命令またはデータを記憶し得る。プロセッサ110が、命令またはデータを再び使用する必要がある場合、プロセッサは、メモリから命令またはデータを直接呼び出し得る。これは、繰り返されるアクセスを回避し、プロセッサ110の待機時間を低減し、システム効率を改善する。
【0130】
いくつかの実施形態において、プロセッサ110は、1つまたは複数のインターフェースを含み得る。インターフェースは、集積回路間(inter-integrated circuit, I2C)インターフェース、集積回路間サウンド(inter-integrated circuit sound, I2S)インターフェース、パルス符号変調(pulse code modulation, PCM)インターフェース、ユニバーサル非同期受信器/送信器(universal asynchronous receiver/transmitter, UART)インターフェース、モバイル産業プロセッサインターフェース(mobile industry processor interface, MIPI)、汎用入力/出力(general-purpose input/output, GPIO)インターフェース、加入者識別モジュール(subscriber identity module, SIM)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus, USB)ポート等を含み得る。
【0131】
電子デバイス100のワイヤレス通信機能は、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3、モバイル通信モジュール150、ワイヤレス通信モジュール160、モデムプロセッサ、ベースバンドプロセッサ等を使用することによって実装され得る。
【0132】
アンテナ1、アンテナ2、およびアンテナ3は、電磁波信号を送信および受信するように構成される。電子デバイス100内の各アンテナは、1つまたは複数の通信周波数帯域をカバーするように構成され得る。異なるアンテナは、アンテナ利用率を改善するために、さらに多重化され得る。例えば、アンテナ1は、ワイヤレスローカルエリアネットワークのダイバーシティアンテナとして多重化されてよい。いくつかの他の実施形態において、アンテナは、チューニングスイッチと組み合わせて使用されてよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、異なるアンテナは、ワイヤレス通信技術に基づいて分割され得る。例えば、アンテナ1から3は、Wi-Fiアンテナ、ブルートゥースアンテナ、NFCアンテナ、GPSアンテナ等を含んでよい。代替として、異なるアンテナは、アンテナを通じて送信されるデータに基づいて分割されてよい。例えば、アンテナ1から3は、データアンテナ、音声アンテナ等を含んでよい。
【0134】
モバイル通信モジュール150は、2G/3G/4G/5G等を含むワイヤレス通信解決策であって、電子デバイス100に対して適用されるワイヤレス通信解決策を提供し得る。モバイル通信モジュール150は、少なくとも1つのフィルタ、スイッチ、電力増幅器、低雑音増幅器(low noise amplifier, LNA)等を含み得る。モバイル通信モジュール150は、アンテナ1を通じて電磁波を受信し、受信された電磁波に対してフィルタリングまたは増幅などの処理を行い、処理された電磁波を、復調のためにモデムプロセッサへ送信し得る。モバイル通信モジュール150は、モデムプロセッサによって変調された信号をさらに増幅し、増幅された信号を、アンテナ1を通じた放射のために電磁波に変換し得る。いくつかの実施形態において、モバイル通信モジュール150内の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内に配設されてよい。いくつかの実施形態において、モバイル通信モジュール150の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110の少なくともいくつかのモジュールと同じデバイス内に配設されてよい。
【0135】
モデムプロセッサは、変調器と復調器とを含み得る。変調器は、送信対象の低周波ベースバンド信号を中高周波信号へ変調するように構成される。復調器は、受信された電磁波信号を低周波ベースバンド信号へ復調するように構成される。次いで、復調器は、復調を通じて取得された低周波ベースバンド信号を、処理のためにベースバンドプロセッサへ送信する。低周波ベースバンド信号は、ベースバンドプロセッサによって処理され、次いで、アプリケーションプロセッサへ送信される。アプリケーションプロセッサは、オーディオデバイス(これは、スピーカ170A、受信器170B等に限定されない)を通じてサウンド信号を出力し、またはディスプレイ194上に画像もしくはビデオを表示する。いくつかの実施形態において、モデムプロセッサは、独立した構成要素であってよい。いくつかの他の実施形態において、モデムプロセッサは、プロセッサ110から独立していてよく、モバイル通信モジュール150または別の機能モジュールと同じデバイス内に配設される。
【0136】
いくつかの実施形態において、モデムプロセッサは、アンテナの送信電力を制御するように構成され得、電子デバイス100がマルチアンテナ送信シナリオ内にあるかどうかを識別するようにさらに構成され得る。
【0137】
ワイヤレス通信モジュール160は、電子デバイス100に対して適用されるワイヤレス通信解決策であって、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network, WLAN)(例えば、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity, Wi-Fi)ネットワーク)、ブルートゥース(Bluetooth, BT)、グローバルナビゲーション衛星システム(global navigation satellite system, GNSS)、周波数変調(frequency modulation, FM)、近距離無線通信(near field communication, NFC)技術、赤外線(infrared, IR)技術等を含むワイヤレス通信解決策を提供し得る。ワイヤレス通信モジュール160は、少なくとも1つの通信処理モジュールを一体化した、1つまたは複数の構成要素であり得る。ワイヤレス通信モジュール160は、アンテナ2またはアンテナ3を通じて電磁波を受信し、電磁波信号に対して復調およびフィルタリング処理を行い、処理された信号をプロセッサ110へ送る。ワイヤレス通信モジュール160は、プロセッサ110から送信対象の信号をさらに受信し、信号に対して周波数変調および増幅を行い、取得された信号を、アンテナ2またはアンテナ3を通じた放射のために電磁波に変換し得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、電子デバイス100内で、アンテナ1とモバイル通信モジュール150とが結合され、アンテナ2およびアンテナ3がワイヤレス通信モジュール160に結合され、その結果、電子デバイス100は、ワイヤレス通信技術を使用することによって、ネットワークおよび別のデバイスと通信することができる。ワイヤレス通信技術は、移動体通信用グローバルシステム(global system for mobile communications, GSM)、汎用パケット無線サービス(general packet radio service, GPRS)、符号分割多元接続(code division multiple access, CDMA)、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access, WCDMA)、時分割符号分割多元接続(time-division code division multiple access, TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(long term evolution, LTE)、BT、GNSS、WLAN、NFC、FM、IR技術等を含み得る。GNSSは、全地球測位システム(global positioning system, GPS)、グローバルナビゲーション衛星システム(global navigation satellite system, GLONASS)、BeiDou航法衛星システム(BeiDou navigation satellite system, BDS)、準天頂衛星システム(quasi-zenith satellite system, QZSS)、および/または衛星ベースの補強システム(satellite based augmentation systems, SBAS)を含み得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、電子デバイス100内のアンテナ1から3の実際のロケーションについては、図4に示される電子デバイスの構造を参照されたい。図4の(a)は、電子デバイス100のリアカバー側を示し、図4の(b)は、電子デバイス100のリアカバーが取り外された後の、電子デバイス100内のアンテナのロケーション関係を示す。図4の(b)から、アンテナ1は、電子デバイス100の最上部の近くにあり、かつ、アンテナ2およびアンテナ3から遠く離れており、アンテナ2およびアンテナ3は、互いに近くにあることが分かる。
【0140】
電子デバイス100は、より多くのまたはより少ないアンテナを含んでよいことが、理解され得る。図4に示されるアンテナロケーションは、説明のための例に過ぎず、本出願に対する限定を構成しない。
【0141】
電子デバイス100は、GPU、ディスプレイ194、アプリケーションプロセッサ等を通じて表示機能を実装し得る。GPUは、画像処理のためのマイクロプロセッサであり、ディスプレイ194およびアプリケーションプロセッサに接続される。GPUは、数学的計算および幾何学的計算を行い、画像をレンダリングするように構成される。プロセッサ110は、1つまたは複数のGPUを含んでよく、これは、プログラム命令を実行して、表示情報を生成または変更する。
【0142】
ディスプレイ194は、画像、ビデオ等を表示するように構成される。ディスプレイ194は、ディスプレイパネルを含む。ディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)、アクティブマトリクス型有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode, AMOLED)、フレキシブル発光ダイオード(flexible light-emitting diode, FLED)、ミニLED、マイクロLED、マイクロOLED、量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode, QLED)等であってよい。いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、1つまたはN個のディスプレイ194を含んでよく、ただし、Nは、1よりも大きい正の整数である。
【0143】
内部メモリ121は、1つまたは複数のランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)と、1つまたは複数の不揮発性メモリ(non-volatile memory, NVM)とを含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、内部メモリ121は、アンテナロケーション関係テーブルを記憶するように構成され得、単一アンテナ電力設定テーブル、制限送信電力設定テーブル、および基準暴露率設定テーブルのうちのいずれか2つを記憶するようにさらに構成され得る。単一アンテナ電力設定テーブル、基準暴露率設定テーブル、制限送信電力設定テーブル、およびアンテナロケーション関係テーブルの具体的な説明については、以下の実施形態を参照されたい。
【0145】
ランダムアクセスメモリは、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory, SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory, DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(synchronous dynamic random access memory, SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(double data rate synchronous dynamic random access memory, DDR SDRAM、例えば、第5世代DDR SDRAMは、一般にDDR5 SDRAMと称される)等を含み得る。不揮発性メモリは、磁気ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリ(flash memory)等を含み得る。
【0146】
フラッシュメモリは、動作原理に従って、NORフラッシュ、NANDフラッシュ、3D NANDフラッシュ等に分類され得、セルの電位レベルの数量に基づいて、シングルレベルセル(single-level cell, SLC)、マルチレベルセル(multi-level cell, MLC)、トリプルレベルセル(triple-level cell, TLC)、クアッドレベルセル(quad-level cell, QLC)等に分類され得、または、記憶仕様に従って、ユニバーサルフラッシュストレージ(英語: universal flash storage, UFS)、内蔵型マルチメディアカード(embedded multimedia Card, eMMC)等に分類され得る。
【0147】
ランダムアクセスメモリは、プロセッサ110を使用することによって、直接読み出され、書き込まれ得る。ランダムアクセスメモリは、オペレーティングシステム内の実行可能なプログラム(例えば、機械命令)または別の実行プログラムを記憶するように構成され得、ユーザのデータ、アプリケーションのデータ等を記憶するようにさらに構成され得る。
【0148】
不揮発性メモリも、実行可能なプログラム、ユーザのデータ、アプリケーションのデータ等を記憶し得、これは、プロセッサ110を使用することによって直接読み出し、書き込むために、ランダムアクセスメモリに前もってロードされ得る。
【0149】
電子デバイス100は、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信器170B、マイクロフォン170C、ヘッドホンジャック170D、アプリケーションプロセッサ等を通じて、オーディオ機能、例えば、音楽の再生および記録を実装し得る。
【0150】
電子デバイスは、iOS、Android、マイクロソフト、または別のオペレーティングシステムを搭載した携帯端末デバイスであってよい。例えば、携帯端末デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、またはウェアラブルデバイスであってよい。代替として、電子デバイスは、タッチセンシティブ画面もしくはタッチパネルを有するラップトップ(Laptop)のような非携帯端末デバイス、または、タッチセンシティブ画面もしくはタッチパネルを有するデスクトップコンピュータであってよい。電子デバイス100のソフトウェアシステムは、階層型アーキテクチャ、イベントドリブンアーキテクチャ、マイクロカーネルアーキテクチャ、マイクロサービスアーキテクチャ、またはクラウドアーキテクチャを使用し得る。本発明の本実施形態において、階層型アーキテクチャのAndroidシステムは、電子デバイス100のソフトウェア構造を例示するための例として使用される。
【0151】
図5は、本発明の一実施形態による電子デバイス100のソフトウェア構造のブロック図である。
【0152】
階層アーキテクチャでは、ソフトウェアは、いくつかの層に分割され、各層は、明確な役割およびタスクを有する。層は、ソフトウェアインターフェースを介して互いに通信する。いくつかの実施形態では、Androidシステムは、4つの層、すなわち、上から下へ、アプリケーション層、アプリケーションフレームワーク層、Androidランタイム(Android runtime)およびシステムライブラリ、ならびにカーネル層に分割される。
【0153】
アプリケーション層は、アプリケーションパッケージのシリーズを含み得る。
【0154】
図5に示されるように、アプリケーションパッケージは、カメラ、ギャラリ、カレンダ、電話、地図、ナビゲーション、WLAN、Bluetooth、音楽、動画、およびメッセージなどのアプリケーションを含み得る。
【0155】
アプリケーションフレームワーク層は、アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface,API)、およびアプリケーション層におけるアプリケーションのためのプログラミングフレームワークを提供する。プリケーションフレームワーク層は、いくつかの予め定められた機能を含む。
【0156】
図5に示されるように、アプリケーションフレームワーク層は、ウィンドウマネージャ、コンテンツプロバイダ、ビューシステム、電話マネージャ、リソースマネージャ、通知マネージャなどを含み得る。
【0157】
ウィンドウマネージャは、ウィンドウプログラムを管理するように構成される。ウィンドウマネージャは、ディスプレイのサイズを取得し、ステータスバーがあるかを決定し、スクリーンロックを実行し、スクリーンショットを撮るなどし得る。
【0158】
コンテンツプロバイダは、データを記憶および取得し、データがアプリケーションによってアクセスされることを可能にするように構成される。データは、動画、画像、オーディオ、発信および応答される通話、閲覧履歴およびブックマーク、アドレス帳などを含み得る。
【0159】
ビューシステムは、テキストを表示するための制御部、および画像を表示するための制御部などの視覚的制御部を含む。ビューシステムは、アプリケーションを構築するように構成され得る。表示インターフェースは、1つまたは複数のビューを含み得る。例えば、メッセージの通知アイコンを含む表示インターフェースは、テキスト表示ビューおよび画像表示ビューを含んでよい。
【0160】
電話マネージャは、電子デバイス100のための通信機能、例えば、(応答、拒否などを含む)通話ステータスの管理を提供するように構成される。
【0161】
リソースマネージャは、ローカライズされた文字列、アイコン、画像、レイアウトファイル、および動画ファイルなどの様々なリソースをアプリケーションに提供する。
【0162】
通知マネージャは、アプリケーションがステータスバーに通知情報を表示することを可能にし、通知メッセージを伝達するように構成され得る。通知マネージャは、ユーザインタラクションを必要とすることなく短い休止の後に自動的に消え得る。例えば、通知マネージャは、ダウンロード完了を通知する、メッセージ通知を与えるなどをするように構成される。通知マネージャは、代替として、グラフまたはスクロールバーテキストの形態でシステムのトップステータスバーに現れる通知、例えば、バックグラウンドで実行されるアプリケーションの通知であってよく、またはダイアログウィンドウの形態でスクリーン上に現れる通知であってよい。例えば、テキスト情報はステータスバーに表示される、アナウンスが与えられる、電子デバイスが振動する、またはインジケータの光が点滅する。
【0163】
Androidランタイムは、カーネルライブラリ、および仮想マシンを含む。Androidランタイムは、Androidシステムのスケジューリングおよび管理を担う。
【0164】
カーネルライブラリは、2つの部分、すなわち、Java言語で呼び出される必要がある関数と、Androidのカーネルライブラリとを含む。
【0165】
アプリケーション層およびアプリケーションフレームワーク層は、仮想マシン上で実行される。仮想マシンは、アプリケーション層およびアプリケーションフレームワーク層のjavaファイルをバイナリファイルとして実行する。仮想マシンは、オブジェクトライフサイクル管理、スタック管理、スレッド管理、セキュリティおよび例外管理、ならびにガベージコレクションなどの機能を実装するように構成される。
【0166】
システムライブラリは、複数の機能モジュールを、例えば、サーフェスマネージャ(surface manager)、メディアライブラリ(Media Library)、3次元グラフィック処理ライブラリ(例えば、OpenGL ES)、および2Dグラフィックスエンジン(例えば、SGL)を含み得る。
【0167】
サーフェスマネージャは、表示サブシステムを管理し、複数のアプリケーションのために2D層および3D層の融合を行うように構成される。
【0168】
メディアライブラリは、複数の一般的に使用されるオーディオフォーマットおよび動画フォーマットにおける再生および記録、ならびに静止画像ファイルをサポートする。メディアライブラリは、複数のオーディオおよび動画のエンコーディングフォーマット、例えば、MPEG-4、H.264、MP3、AAC、AMR、JPG、およびPNGをサポートし得る。
【0169】
3次元グラフィック処理ライブラリは、3次元グラフィックス描画、画像レンダリング、合成、層処理などを実装するように構成される。
【0170】
2Dグラフィックスエンジンは、2D描画のための描画エンジンである。
【0171】
カーネル層は、ハードウェアとソフトウェアとの間の層である。カーネル層は、少なくともディスプレイドライバ、カメラドライバ、オーディオドライバ、およびセンサドライバを含む。
【0172】
以下は、本出願の一実施形態において提供される送信電力調整方法を説明する。
【0173】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、単一アンテナ電力設定テーブルを含む。単一アンテナ電力設定テーブルの具体的な説明については、前述の関連内容を参照されたい。詳細は、本明細書で再び説明されない。
【0174】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、異なるアンテナに対応する制限送信電力データをさらに記憶する。いくつかの実施形態では、制限送信電力データは、設定テーブルの形態で電子デバイス100のメモリに記憶されてよい。
【0175】
制限送信電力設定テーブルは、異なるアンテナのものであり、単一アンテナ伝送シナリオにおける異なる放射試験シナリオでの法律および規則の要件を満たす制限送信電力Pを含む。表3は、電子デバイス100の制限送信電力設定テーブルの例を示す。ここで、Nは、電子デバイス100のアンテナの数量を示し、Mは、SAR試験シナリオの数量を示す。PXY(X=1、2、...、M、Y=1、2、...、N)は、電子デバイス100がシナリオYにおけるアンテナXを介して信号を送信するときに許容されるアンテナXの制限送信電力Pを示す。
【0176】
【表3】
【0177】
単一アンテナ電力設定テーブルと同様に、制限送信電力設定テーブルにおける電力も、試験するために電子デバイス100を放射インジケータ試験環境中に配置することによって取得され、例えば、表3では、電力は、電子デバイス100がSAR試験環境中に配置され、試験されるSAR値がSAR限界値に等しいときにアンテナによって使用される送信電力であり得る。SAR試験プロセスに関しての詳細については、単一アンテナ電力設定テーブルの関連説明を参照されたい。代替として、制限送信電力設定テーブルにおける電力は、シミュレーションの計算によって取得されてよい。制限送信電力設定テーブルにおける電力を計算するやり方は、本出願の実施形態において限定されない。
【0178】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、異なるアンテナの基準暴露率設定データを記憶し、基準暴露率設定データは、設定テーブルの形態で電子デバイスのメモリに記憶されてよい。
【0179】
基準暴露率設定テーブルは、異なるシナリオにおける異なるアンテナの基準暴露率ERを含む。表4は、電子デバイス100の基準暴露率設定テーブルの例を示す。
【0180】
【表4】
【0181】
アンテナの基準暴露率は、アンテナが単一アンテナ電力設定テーブルにおける基準送信電力Pで信号を送信するときに生成される実際のSARとSAR仕様におけるSAR限界値との比率である。暴露率が1以下である場合、アンテナの電力がSAR仕様における制限送信電力に近くなるほど、暴露率は大きくなる。電子デバイス100に構成される単一アンテナ電力設定テーブルでは、各基準送信電力Pは、SAR仕様における電力値を超えない。しかしながら、基準送信電力Pは、SAR仕様における制限送信電力との関係を表すことができず、基準暴露率設定テーブルにおける基準暴露率ERは、SAR仕様における基準送信電力Pと制限送信電力Pとの間の比率関係または値関係を明確に示すことができる。
【0182】
例えば、シナリオ1では、単一アンテナ電力設定テーブルに基づいて、アンテナ1の基準送信電力Pは150mWであり、基準暴露率設定テーブルに基づいて、アンテナ1の暴露率は0.6である。電力は、SARに正比例する。SAR仕様におけるアンテナ1の制限送信電力がPL1である場合、150:PL1=0.6であり、その結果、SAR仕様におけるアンテナ1の制限送信電力は、PL1=150/0.6=250mWである。
【0183】
アンテナのERは≦1であり、ER=1のとき、アンテナの許容基準送信電力Pは、SAR仕様における制限送信電力Pに等しいことが分かる。
【0184】
基準暴露率設定テーブルは、アンテナの単一アンテナ電力設定テーブルおよび制限送信電力設定テーブルに関連付けられることが分かる。アンテナの基準送信電力Pとアンテナの制限送信電力Pとの比率はアンテナの基準暴露率ERであるので、実際の場合には、電子デバイス100は、単一アンテナ電力設定テーブル、制限送信電力設定テーブル、および基準暴露率設定テーブルのいずれか2つを用いて構成することのみによって別の設定テーブルにおける値を取得し得る。例えば、電子デバイス100が単一アンテナ電力設定テーブルおよび基準暴露率設定テーブルを用いて構成されるとき、アンテナの制限送信電力P(P=P/ER)は、単一アンテナ電力設定テーブルにおけるアンテナの基準送信電力P、および基準暴露率設定テーブルにおけるアンテナの基準暴露率ERに基づいて計算によって取得され得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、アンテナ位置関係データをさらに記憶する。アンテナ位置関係データも、設定テーブルの形態で電子デバイスのメモリに記憶され得ることを理解されたい。
【0186】
マルチアンテナ伝送シナリオでは、電子デバイス100の電磁放射の大きさは、信号を送信するアンテナ間の位置関係にさらに関連付けられる。アンテナが互いに近くにあるとき、アンテナ間で生成される電磁放射は重畳される。アンテナが互いから遠く離れているとき、アンテナ間で生成される電磁放射は重畳されない。
【0187】
図6は、電子デバイス100の異なる位置におけるアンテナが無線信号を同時に送信するときのアンテナの電磁放射の分布の概略図の例である。アンテナが位置する領域の色が濃くなるほど、SARは大きくなる。図6の(a)は、互いから遠く離れている2つのアンテナ(アンテナ1およびアンテナ2)が無線信号を同時に送信するときに2つのアンテナによって生成される電磁放射の分布の概略図である。アンテナ1およびアンテナ2は互いから遠く離れているので、アンテナ1およびアンテナ2によって生成される電磁放射は、互いに重畳されない、または重畳後に生成される電磁放射は小さい(アンテナ1またはアンテナ2が無線信号を別々に送信するときに生成されるSAR中のより大きい値よりも小さい)ことが分かる。したがって、このシナリオでは、最大SAR値は、アンテナ1およびアンテナ2が無線信号を別々に送信するときに生成されるSAR中のより大きい値に相当する。図6の(b)は、互いに近い2つのアンテナ(アンテナ2およびアンテナ3)が同時に無線信号を送信するときに2つのアンテナによって生成される電磁放射の分布の概略図である。アンテナ2およびアンテナ3は互いに近いので、アンテナ2およびアンテナ3によって生成される電磁放射は重畳され、重畳された電磁放射は大きい(アンテナ3またはアンテナ2が無線信号を別々に送信するときに生成されるSAR中のより大きい値よりも大きい)ことが分かる。したがって、このシナリオでは、最大SAR値は、アンテナ3またはアンテナ2が無線信号を別々に送信するときに生成されるSAR中のより大きい値よりも大きく、アンテナ3およびアンテナ2が信号を同時に送信するときに生成されるSARの和よりも小さい。
【0188】
この場合には、マルチアンテナ伝送シナリオでは、電子デバイス100は、アンテナ間の位置関係を参照して、単一アンテナ設定シナリオにおいて各アンテナについて構成された基準送信電力Pを使用するか、または各アンテナの送信電力を減少させるかを決定し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、アンテナ位置関係テーブルは、アンテナ間の位置関係を含んでよく、位置関係は、「近く」てよく、または「遠く離れて」いてよい。代替として、位置関係は、異なる距離レベル、例えば、第1の距離および第2の距離であってよく、ただし、第1の距離は、第2の距離よりも大きい。代替として、アンテナ位置関係テーブルは、アンテナ間の距離、例えば、1センチメートルを含み得る。表5は、電子デバイス100のアンテナ位置関係テーブルの例を示す。
【0190】
【表5】
【0191】
表5は、電子デバイス100におけるアンテナ間の位置関係の例を示すにすぎないことが理解され得る。本出願の別の実施形態では、代替として、アンテナ間の位置関係は、別のやり方で表され得る。例えば、セットは、アンテナ間の位置関係を示す。セット1は、アンテナ2およびアンテナ3を含み、セット2は、アンテナ1を含む。同じセット内のアンテナ間の放射は、重畳効果を生成し、異なるセット内のアンテナ間の放射は、重畳効果を生成せず、すなわち、アンテナ2はアンテナ3に近く、アンテナ2とアンテナ3の両方はアンテナ1から遠く離れている。アンテナ間の位置関係の定義は、本出願の実施形態において限定されない。加えて、代替として、アンテナ位置関係テーブルは、放射ホットスポット位置関係テーブルとして表され得る。この名称は、本出願において限定されない。
【0192】
電子デバイスは、アンテナ間の位置関係に基づいて、異なる暴露率配分ポリシーを使用することによってアンテナの暴露率を配分することができる。
【0193】
暴露率配分方法は、以下のやり方を含み得るが、これらに限定されない。
【0194】
(1)アンテナに暴露率を均等に配分すること
【0195】
この場合には、アンテナの暴露率は等しい。具体的には、電子デバイス100のTERがXであり、複数のアンテナの数量がYである場合、アンテナの暴露率はX/Yである。
【0196】
(2)暴露率を優先的に配分すること
【0197】
電子デバイス100は、アンテナの通信品質が最適な状態にあることを確実するために、アンテナの暴露率が基準暴露率設定テーブルにおけるアンテナの基準暴露率に等しいまたはこれに近いことを優先的に確実にし、そして、残りの暴露率を別のアンテナに配分し得る。
【0198】
(3)サービスタイプに基づいて暴露率を配分すること
【0199】
サービスタイプは、音声サービス、データサービスなどを含み得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、電子デバイス100のデータ伝送の通信品質を確実にするために、データサービス信号を送信するためのアンテナの暴露率を優先的に満たしてもよい。
【0201】
(4)暴露率の比率に基づいて暴露率を配分すること
【0202】
電子デバイス100は、基準暴露率設定テーブルにおけるアンテナの基準暴露率の比率に基づいて、マルチアンテナ伝送シナリオにおける各アンテナの暴露率を決定し得る。
【0203】
例えば、アンテナ1から3は、マルチアンテナ伝送シナリオにおいて共に近く、基準暴露率設定テーブルにおけるアンテナの基準暴露率の比率は、a:b:cである。電子デバイス100のTERがXであるとき、アンテナ1の調整された暴露率は、X×a/(a+b+c)であり、アンテナ2の調整された暴露率は、X×b/(a+b+c)であり、アンテナ3の調整された暴露率は、X×c/(a+b+c)である。
【0204】
(5)信号強度に基づいて暴露率を配分すること
【0205】
具体的には、強い信号のアンテナに配分された暴露率は、弱い信号のアンテナに配分された暴露率よりも小さいものであり得る。このようにして、マルチアンテナ伝送シナリオでは、別の強い信号のアンテナと比較して、弱い信号のアンテナは、マルチアンテナ伝送シナリオにおける弱い信号のアンテナの信号途絶を避けるために、大きい送信電力を取得し得る。
【0206】
電子デバイス100がアンテナの暴露率を配分するとき、電子デバイス100は、1つまたは複数の暴露率配分ポリシーに従ってアンテナの暴露率を計算し得ることが理解され得る。例えば、電子デバイス100は、暴露率を優先的に配分する方法に従って、まず、アンテナの暴露率を優先的に配分してよく、次いで、別のアンテナが、アンテナの暴露率を均等に配分する配分方法に従って、残りの暴露率を均等に配分してよい。加えて、本出願の実施形態では、電子デバイス100は、別の暴露率配分方法をさらに含み得る。これは、本出願において限定されない。
【0207】
マルチアンテナ伝送プロセスでは、互いに近い複数のアンテナについて、電子デバイス100は、人体上の電子デバイス100の電磁放射の影響が安全な範囲内であることを確実にするために、アンテナの暴露率の合計TERが1以下であるように、暴露率配分方法に従って各アンテナの暴露率を調整し得る。互いから遠く離れている複数のアンテナについて、電子デバイス100は、暴露率配分方法に従って各アンテナの暴露率を調整してもよく、アンテナの暴露率の合計TERは、1以上であり得る。このようにして、電子デバイス100は、互いから遠く離れている複数のアンテナの送信電力を動的に調整することができる。例えば、アンテナ1およびアンテナ2が互いから遠く離れており、アンテナ1とアンテナ2との間の放射の重畳が小さいとき、電子デバイス100は、信号強度に基づいてアンテナ1とアンテナ2との暴露率を配分し得る。アンテナ1の信号がアンテナ2の信号よりも弱いとき、電子デバイス100は、アンテナ1の暴露率を、アンテナ2の暴露率よりも大きいように調整してよく、それによりアンテナ1は、アンテナの通信性能を確実にするように、大きい送信電力で信号を送信することができる。
【0208】
電子デバイス100が各アンテナの調整された暴露率ER’を取得した後、電子デバイス100は、調整された暴露率ER’、単一アンテナ電力設定テーブルにおける基準送信電力P、および基準暴露率設定テーブルにおける基準暴露率ERに基づいて、アンテナの送信電力Pを計算し得る。
【0209】
電力(単位:mW)は暴露率に正比例するので、電子デバイス100は、式5に従ってアンテナの送信電力Pを計算し得る。
【0210】
【数7】
【0211】
ここで、ERは、基準暴露率設定テーブルにおける基準暴露率であり。ER’は、暴露率配分方法に従って計算された調整された暴露率であり、Pは、単一アンテナ電力設定テーブルにおける基準送信電力であり、Pは、最終的に調整された送信電力である。
【0212】
マルチアンテナ伝送シナリオにおいて、単一アンテナが別のアンテナから遠く離れている場合、アンテナは、Pとしての単一アンテナ伝送シナリオにおける基準送信電力で信号を送信し得ることが理解され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、時間平均アルゴリズムを使用することによって、アンテナの調整された送信電力Pに基づいて、アンテナの瞬間送信電力をさらに計算し得る。
【0214】
計算により電子デバイス100によって取得された調整された送信電力Pは、アンテナの平均送信電力であり得る。この場合には、時間の期間(例えば、6分)以内の実際の送信電力の平均値が調整された送信電力Pを超えないならば、アンテナが信号を実際に送信するプロセスにおいて、実際の送信電力の瞬時値は、平均送信電力よりも大きくなり得る、または平均送信電力よりも小さくなり得る。
【0215】
図7は、電子デバイス100が時間平均アルゴリズムを使用することによって送信電力を制御するプロセスにおける実際の送信電力と調整された送信電力Pとの間の関係の概略図の例である。時間0からt1において、電子デバイス100の実際の送信電力の瞬時値はPmaxであることが図7から分かる。送信電力の平均値が送信電力P以下になるように制御するために、電子デバイス100は、実際の送信電力を特定の値だけ、例えば、3dBだけ減少させ、低い送信電力で信号を送信し得る。低い送信電力は、保存された電力Ppreserveであり得る。次いで、電子デバイス100は、送信電力を再び増加させ、高い送信電力で信号を送信し続け得る。このようにして、電子デバイスは、実際の送信電力の平均値が送信電力P以下であるように、変動する送信電力で信号を送信する。実際の送信電力の平均値が送信電力P以下であるときに、実際の電力面積は、平均電力面積以下であることが分かる。
【0216】
結論として、電子デバイス100が時間平均アルゴリズムを使用することによって送信電力を調整するとき、電子デバイス100は、保存された電力Ppreserveを設定する必要があり、ただし、保存された電力Ppreserveは送信電力Pよりも小さく、保存された電力Ppreserveと送信電力Pとの間の差は一定の値、例えば、3dBmである。保存された電力Ppreserveは、電子デバイス100が、高い送信電力で信号を送信した後に送信電力を減少させることを可能にすることができ、それにより実際の送信電力の平均値は、ユーザの安全を確実にするために、送信電力Pを超えない。
【0217】
実際の場合には、電子デバイスが、時間平均アルゴリズムを使用することによって送信電力を調整し、保存された電力Ppreserveを設定するとき、アンテナの送信電力の変動振幅は過度に大きく、通信プロセスにおける安定性は影響を受ける。この場合には、電子デバイス100は、保存された電力Ppreserveを設定するのではなく、実際の送信電力の最大値を制限してよく、過度に変動する送信電力で電子デバイス100が信号を送信しないことを確実にし、それにより通信の安定性を維持する。
【0218】
本出願のこの実施形態では、マルチアンテナ放射シナリオでは、アンテナ間の距離が異なるので、電子デバイス100は、異なるポリシーに基づいてアンテナの送信電力を決定し得る。
【0219】
具体的な実装では、電子デバイス100がマルチアンテナ伝送シナリオにあるとき、電子デバイス100は、任意の2つのアンテナ間の距離に基づいて、2つのアンテナが2つのアンテナの送信電力を調整する方法を決定し得る。
【0220】
この方法は、アンテナの送信電力を決定するためのものである。この方法は、以下の2つの場合を含み得るが、これらに限定されない。
【0221】
(1)設定テーブルまたは事前設定値に基づいて各アンテナの送信電力を直接決定する。
【0222】
設定テーブルは、単一アンテナ電力設定テーブルであり得る。この場合には、電子デバイス100は、単一アンテナ電力設定テーブルにおける基準送信電力Pに基づいて各アンテナの送信電力を決定し得る。代替として、設定テーブルは、制限送信電力設定テーブルであってよい。この場合には、電子デバイス100は、制限送信電力設定テーブルにおける制限送信電力Pに基づいて各アンテナの送信電力を決定し得る。代替として、設定テーブルは、単一アンテナの暴露率設定テーブルであってよい。電子デバイス100は、単一アンテナの暴露率設定テーブルにおける暴露率に基づいて各アンテナについての暴露率を設定し、暴露率と単一アンテナの制限送信電力とに基づいて各アンテナの送信電力を計算し得る。代替として、電子デバイス100は、電力値を事前設定してよく、ここで、事前設定された電力値はすべてのアンテナの制限送信電力P以下であり、電子デバイス100は、事前設定された電力値に基づいてアンテナの送信電力を決定し得る。設定テーブルまたは事前設定値に基づいてアンテナの送信電力を電子デバイス100によって直接決定することの具体的な説明については、以下の方法の実施形態における電力調整方法の関連説明を参照されたい。
【0223】
例えば、2つのアンテナ間の距離が距離レベル1以上であるとき、2つのアンテナの放射の重畳度が弱いと考えられてよく、電子デバイス100は、設定テーブルまたは事前設定値に基づいて各アンテナの送信電力を直接決定してよい。
【0224】
(2)暴露率配分方法に従ってアンテナの送信電力を計算すること
【0225】
電子デバイス100は、暴露率配分方法に従ってアンテナの暴露率を計算し得る。
【0226】
暴露率配分方法は、暴露率をアンテナに均等に配分すること、特定の比例係数に基づいて暴露率を配分することなどを含む。代替として、電子デバイスは、サービスタイプに基づいて暴露率を優先的に配分してよく、および/または信号強度に基づいて暴露率を配分してよい。
【0227】
例えば、2つのアンテナ間の距離が距離レベル1未満であるとき、2つのアンテナは互いに近く、2つのアンテナの放射の重畳度は大きいと考えられてよい。この場合には、アンテナの送信電力は、暴露率配分方法に従って計算され得る。
【0228】
電子デバイスは、デュアルアンテナ放射状態におけるアンテナ間の位置関係を予め決定し、異なるポリシーを使用することによって、信号を送信するデュアルアンテナのための送信電力を設定する。これにより、デュアルアンテナ放射シナリオにおけるアンテナの送信電力を手動で設定するのを避けることができ、放射インジケータが規制値を超えないことを確実にしつつ、通信品質を確実にすることができる。
【0229】
さらに、電子デバイス100が複数のアンテナ(3つ以上)を含み、マルチアンテナ伝送シナリオにあるとき、電子デバイス100は、2つのアンテナ間の距離に基づいて任意の2つのアンテナの電力値を決定し得る。最終的に、電子デバイス100は、アンテナの最小電力値をアンテナの送信電力として決定する。このようにして、アンテナが異なる距離で異なるポリシーに基づいて送信電力を調整することが確実にされ、アンテナの最終送信電力は、ユーザが安全な放射範囲内にいることを可能にすることができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、アンテナ間の距離が異なるとき、電子デバイス100は、異なる暴露率配分ポリシーに基づいてアンテナの送信電力を決定し得る。
【0231】
図8は、電子デバイス100によって、アンテナ間の距離に基づいて2つのアンテナの送信電力を決定する原理の例を示す。
【0232】
図8に示されるように、2つのアンテナ間の距離が距離レベル1にあるとき、電子デバイス100は、暴露率配分方法1に従って2つのアンテナの送信電力を計算し得る。2つのアンテナ間の距離が距離レベル2にあるとき、電子デバイス100は、暴露率配分方法2に従って2つのアンテナの送信電力を計算してよい。類推により、2つのアンテナ間の距離が距離レベルNにあるとき、電子デバイス100は、暴露率配分方法Nに従って2つのアンテナの送信電力を計算し得る。距離レベル1、2、...、Nは、2つのアンテナ間の異なる距離を示す。電子デバイス100は、アンテナ位置関係テーブルに基づいて2つのアンテナ間の距離を見てよい。暴露率配分ポリシー1、2、...、およびNは、異なる暴露率配分ポリシーを示す。
【0233】
暴露率配分ポリシーは、暴露率をアンテナに均等に配分すること、暴露率を優先的に配分すること、サービスタイプに基づいて暴露率を配分すること、特定の係数に基づいて暴露率を配分すること、信号強度に基づいて暴露率を配分することなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0234】
例えば、電子デバイス100が同時にアンテナ1およびアンテナ2を介して信号を送信するとき、電子デバイス100は、まず、総暴露率TERを事前設定し得る。アンテナ1とアンテナ2との間の距離が距離レベル1にあるとき、電子デバイス100は、信号強度に基づいて暴露率を配分する暴露率配分方法に従ってアンテナ1およびアンテナ2の暴露率を決定し得る。アンテナ1とアンテナ2との間の距離が距離レベル2にあるとき、電子デバイス100は、暴露率を均等に配分する方法に従ってアンテナ1およびアンテナ2の暴露率を決定し、次いで、暴露率に基づいて計算によってアンテナ1およびアンテナ2の送信電力を取得する。
【0235】
図9を参照すると、以下は、本出願の一実施形態による送信電力調整方法の方法フローチャートを説明する。
【0236】
図9に示されるように、方法は、以下のステップを含む。
【0237】
S101:マルチアンテナ伝送シナリオを識別する。
【0238】
複数のアンテナ伝送シナリオは、以下の場合を含む。
【0239】
(1)現在、電子デバイス100は、複数のアンテナを介して同時に信号を送信している。
【0240】
(2)電子デバイス100は、第1の時間期間内に複数のアンテナを介して信号を同時に送信しようとしている。
【0241】
電子デバイスが複数のアンテナを介して信号を同時に送信するとき、以下のいくつかの場合が含まれ得る。
【0242】
(1)電子デバイス100は、複数のアンテナを作動させるように指示するためのネットワークデバイスによって送られる命令を受信する。
【0243】
ネットワークデバイスは、基地局またはサーバのようなデバイスであり得る。例えば、ネットワークデバイスは、電子デバイス100によって送られる信号の強度に基づいて、複数のアンテナを作動させるように指示するための命令を電子デバイス100に送るかを決定し得る。
【0244】
(2)電子デバイス100は、異なるワイヤレス通信技術を使用することによってネットワークまたは別のデバイスと同時に通信する。
【0245】
ワイヤレス通信技術は、主に、Wi-Fi技術、Bluetooth技術、NFC技術、GNSS技術などを含む。電子デバイス100は、異なるワイヤレス通信技術に対応する複数のアンテナを含み得る。例えば、電子デバイス100のアンテナ1は、Wi-Fiアンテナであってよく、電子デバイス100のアンテナ2は、Bluetoothアンテナであってよい。
【0246】
電子デバイス100は、異なるワイヤレス通信技術を使用することによってネットワークまたは別のデバイスと直接通信してよい。例えば、電子デバイス100は、アンテナ1を介して電子デバイス1(例えば、モバイルフォンまたはコンピュータ)とのWi-Fi接続を確立し、アンテナ2を介して電子デバイス2(例えば、Bluetoothヘッドセット、スマートバンド、またはスマートウォッチ)とのBluetooth接続を確立してよい。
【0247】
代替として、電子デバイス100は、複数のアプリケーションを同時に実行するとき、複数のアンテナを介して信号を送信してよい。この場合には、異なるアプリケーションは、異なるワイヤレス通信技術を使用する。例えば、電子デバイス100がファイルをアップロードするためにオフィスアプリケーションを実行するプロセスにおいて、電子デバイス100は、電話をかけるために電話アプリケーションを実行する。この場合には、電子デバイス100は、別のデバイスとの通話サービスを実装するために、アンテナ1を介してオフィスアプリケーションに対応するサーバに信号を送り、アンテナ2を介して基地局に信号を送ってよい。
【0248】
具体的には、電子デバイス100は、モデム(modem)プロセッサを使用することによって、電子デバイス100が複数のアンテナを介して無線信号を送信するかを識別し得る。モデムプロセッサは、アンテナの信号伝送プロセスを制御し、アンテナの送信電力を調整するように構成される。モデムプロセッサが複数のアンテナの信号伝送を同時に制御するとき、電子デバイス100は、現在、電子デバイス100がマルチアンテナ伝送シナリオにあることを決定し得る。
【0249】
S102:複数のアンテナ間の位置関係を取得する。
【0250】
複数のアンテナは、信号を送信しているまたは信号を送信しようとしているアンテナを含み得る。
【0251】
具体的に、電子デバイス100は、アンテナ位置関係テーブルからアンテナ間の位置関係を取得してよい。アンテナの位置関係は、「近い」もしくは「遠く離れている」ことがあり、またはアンテナ間の具体的な距離であってよく、または位置関係は、異なる距離レベル、例えば、第1の距離および第2の距離であってよい。アンテナ位置関係テーブルの具体的な内容については、表5に示された内容を参照されたい。
【0252】
いくつかの実施形態では、アンテナ位置関係テーブルは、電子デバイス100の内部メモリ121(例えば、NVM)に記憶され得る。
【0253】
S103:異なるポリシーに従って異なるアンテナのための電力設定を実行する。
【0254】
電子デバイス100は、複数のアンテナ間の位置関係に基づいてアンテナ間の距離を決定する。
【0255】
アンテナが別のアンテナから遠く離れているとき、電子デバイス100は、電力調整方法に従って信号を送信してよい。
【0256】
アンテナが別のアンテナから遠く離れていることは、アンテナと別のアンテナとの間の位置関係が「遠く離れている」ことを意味し、またはアンテナと別のアンテナとの間の距離が閾値より大きいもしくは距離レベルを上回ることを意味し得る。この場合には、アンテナが信号を送信するとき、アンテナの電磁放射は、別のアンテナの電磁放射と重畳されない。
【0257】
電力調整方法は、アンテナの送信電力を取得するために電子デバイス100によって使用され得る。電力調整方法は、アンテナの送信電力を調整するために電子デバイス100によって使用されるポリシーの一部である。これらのポリシーは、アンテナの放射が別のアンテナの放射との重畳効果を有しないまたは弱い放射の重畳効果を有するアンテナに適用可能である。電力調整方法は、以下のいくつかのタイプを含むが、これらに限定されない。
【0258】
(1)電子デバイス100は、アンテナの基準送信電力Pで信号を送信する。
【0259】
具体的に言えば、電子デバイス100は、単一アンテナ電力設定テーブルにおける電力値で信号を送信し得る。電力値は、ユーザが安全な放射範囲内にいることを確実にするために、規制要件における制限送信電力Pを超えない。
【0260】
(2)電子デバイス100は、事前設定された電力値で信号を送信する。
【0261】
具体的に言えば、電子デバイス100は、事前設定された電力値を事前設定してよい。事前設定された電力値は、すべてのアンテナの制限送信電力P以下である。電力調整方法に従ってアンテナが信号を送信する必要があるとき、電子デバイス100は、アンテナの電力値について単一アンテナ電力設定テーブルを探す必要はない。これにより、電子デバイス100がアンテナの送信電力を決定するための時間期間を減少させ、アンテナの信号転送速度を増加させる。
【0262】
(3)電子デバイス100は、アンテナの制限送信電力Pで信号を送信する。
【0263】
具体的に言えば、電子デバイス100は、制限送信電力設定テーブルにおける電力値で信号を送信し得る。ユーザが安全な放射範囲内にいるときに送信電力ができる限り増加させられることを確実にするために、電力値は、規制要件における制限送信電力Pである。
【0264】
(4)電子デバイス100は、暴露率に基づいてアンテナの送信電力を調整する。
【0265】
具体的には、電子デバイス100は、単一のアンテナの暴露率および複数のアンテナの総暴露率が共に最大暴露率以下であるように、最大暴露率を事前設定してよい。この場合には、電子デバイス100は、事前設定された最大暴露率、アンテナの基準送信電力P、およびアンテナの基準暴露率ERに基づいてアンテナの送信電力を計算し、この送信電力で信号を送信することができる。このようにして、電子デバイス100は、電子デバイス100の設定要求を優先的に満たし得、その結果、アンテナは、事前設定された暴露率に基づいて信号を送信することができる。
【0266】
例えば、電子デバイス100によって事前設定された最大暴露率がR1であり、アンテナ1が別のアンテナから遠く離れており、アンテナ1の基準送信電力がP1であり、アンテナ1の基準暴露率がR2であるとき、アンテナ1の送信電力は、R2/R1×P1である。
【0267】
電力調整方法は、前述のいくつかのやり方に限定されないことが理解され得る。これは、本出願において限定されない。
【0268】
いくつかの実施形態では、別のアンテナから遠く離れている電子デバイス100内のアンテナの数量は限定されないことを理解されたい。例えば、電子デバイス100の3つのアンテナの放射シナリオでは、2つのアンテナごとの間の距離が距離閾値を超え、電力調整方法に従って3つのアンテナの各々について電力が構成される。
【0269】
互いに近いアンテナがあるとき、電子デバイスは、互いに近いアンテナ間の総基準暴露率TERが1以下であるかを決定する。
【0270】
互いに近いアンテナは、3つ以上のアンテナを含む。互いに近いアンテナは、これらのアンテナ間の位置関係が「近い」、またはこれらのアンテナ間の距離が閾値未満もしくは距離レベル未満であることを意味し得る。この場合には、これらのアンテナによって生成される電磁放射が重畳される。電子デバイス100は、総基準暴露率TERに基づいて、これらのアンテナが信号を同時に送信するときに電子デバイスの電磁放射が規格値を超えるかを測定する必要がある。いくつかの実施形態では、別のアンテナから遠く離れているアンテナが存在してもよく、別のアンテナに近いアンテナも存在してもよいことを理解されたい。例えば、電子デバイス100は3つのアンテナを介して信号を送信する。アンテナ1は、アンテナ2とアンテナ3との両方から遠く離れている。電子デバイスは、電力調整方法に従ってアンテナ1についての送信電力を構成する。アンテナ2は、アンテナ3に近い。電子デバイスは、アンテナ2およびアンテナ3についての送信電力を構成するために、アンテナ2とアンテナ3との間の総基準暴露率TERが1以下であるかを決定する。
【0271】
総基準暴露率TERは、互いに近いアンテナの基準暴露率ERの和である。具体的には、電子デバイス100は、基準暴露率設定テーブルからアンテナの基準暴露率ERを取得してよく、または単一アンテナ設定テーブルおよび制限送信電力設定テーブルに基づいてアンテナの基準暴露率ERを計算してよい。
【0272】
互いに近いアンテナ間の総基準暴露率TERが1以下である場合、電子デバイス100は、基準送信電力P、または事前設定された暴露率に基づいて決定された送信電力で信号を送信する。
【0273】
総基準暴露率が1以下であるとき、それは、電子デバイス100が基準送信電力Pで信号を送信するときに、電子デバイス100の電磁放射が規格値を超えないことを示す。したがって、電子デバイス100は、基準送信電力Pで信号を送信し得る。
【0274】
代替として、電子デバイス100は、総暴露率TERを事前設定してよく、ただし、総暴露率TER≦1である。電子デバイス100は、事前設定された総暴露率TERに基づいて、互いに近いこれらのアンテナの暴露率を配分してよく、次いで、アンテナに配分された暴露率に基づいてこれらのアンテナの送信電力を計算してよい。具体的に、電子デバイス100は、暴露率設定方法に従ってアンテナの暴露率を配分し得る。暴露率配分方法は、暴露率をアンテナに均等に配分すること、暴露率を優先的に配分すること、サービスタイプに基づいて暴露率を配分すること、特定の係数に基づいて暴露率を配分すること、信号強度に基づいて暴露率を配分することなどの方式を含み得るが、これらに限定されない。
【0275】
総基準暴露率TERが1よりも大きいとき、それは、電子デバイス100が基準送信電力で信号を送信するときに、電子デバイス100の電磁放射が規格値を超え、電子デバイス100が互いに近いアンテナの送信電力を調整する必要があることを示す。電子デバイス100は、互いに近いアンテナの総暴露率TERが1以下になるように、互いに近いアンテナの送信電力を調整してよく、アンテナは、調整された送信電力で信号を送信する。
【0276】
互いに近いこれらのアンテナについて、電子デバイス100は、暴露率配分方法に従って各アンテナの暴露率を調整してよく、次いで、電子デバイス100は、調整された暴露率ER’、基準暴露率ER、および基準送信電力Pに基づいて、調整された送信電力Pを取得する。暴露率配分方法の具体的な説明については、前述の内容を参照されたい。
【0277】
具体的には、電子デバイス100は、式5に従って、アンテナの基準送信電力P、暴露率ER、および調整された暴露率ER’を参照して、アンテナの送信電力Pを計算し得る。
【0278】
以下は、具体例を使用することによって、電子デバイス100がアンテナの位置関係に基づいて送信電力を調整するプロセスを説明する。電子デバイス100はアンテナ1から3が信号を同時に送信することを可能にすると仮定される。アンテナ1から3の基準送信電力Pがそれぞれ120mW、140mW、および160mWであり、基準暴露率ERがそれぞれ0.5、0.5、および0.8であり、アンテナ1とアンテナ2との間の位置関係が「遠く離れて」おり、アンテナ1とアンテナ3との間の位置関係が「遠く離れて」おり、アンテナ2とアンテナ3との間の位置関係が「近い」と仮定される。例えば、アンテナ1から3の間の位置関係については、図6(b)に示された内容を参照されたい。この場合には、電子デバイス100は、アンテナ1が他のアンテナから遠く離れていると決定し、電力調整方法に従って、アンテナ1の最終送信電力が基準送信電力P、すなわち、120mWであると決定し得る。電子デバイス100は、許容総暴露率を事前設定してもよい。例えば、電子デバイス100の許容総暴露率TERが0.8であり、アンテナ2とアンテナ3との間の位置関係が「近い」とき、電子デバイス100が、暴露率を均等に配分する暴露率配分方法に従って、アンテナ2およびアンテナ3の暴露率ER’をそれぞれ0.4および0.4に調整した後、電子デバイス100は、式5に従って、アンテナ2の最終送信電力が0.4/0.5×140=112mWであり、アンテナ3の最終送信電力が0.4/0.8×160=80mWであることを計算する。
【0279】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、送信電力Pを、対応するアンテナの最大送信電力として使用し得る。このようにして、電子デバイス100の実際の送信電力は、送信電力Pより小さくなり、その結果、ユーザの安全が確実にされ、マルチアンテナ伝送シナリオにおける各アンテナの通信性能が改善される。
【0280】
いくつかの他の実施形態では、電子デバイス100は、対応するアンテナの最大平均送信電力として送信電力Pを使用し得る。このようにして、電子デバイス100の実際の送信電力の瞬時値は、送信電力Pよりも大きくなり得るが、時間の期間における平均送信電力は、送信電力P以下である。具体的には、電子デバイス100は、時間平均アルゴリズムに従ってアンテナの送信電力を調整してよく、その結果、電子デバイス100が実際に信号を送信するプロセスにおいて、アンテナの実際の送信電力の平均値は、送信電力P以下である。このようにして、電子デバイス100は、実際の場合に基づいて送信電力を動的に調整し得る。例えば、アンテナの信号がユーザの手の遮断により瞬間的に弱い場合、電子デバイス100は、その時間期間においてアンテナの送信電力を増加させて、電子デバイス100の通信品質を可能な限り確実にし得る。次いで、電子デバイス100は、別の瞬間に送信電力を減少させる。このようにして、時間の期間において、電子デバイス100の放射が規格値を超える場合は起こらず、ユーザの安全がやはり確実にされる。
【0281】
単一アンテナ電力設定テーブル、制限送信電力設定テーブル、および基準暴露率設定テーブルのうちのいずれか2つが電子デバイス100のために構成され得ることが理解され得る。電子デバイス100がアンテナのパラメータ(例えば、基準送信電力P、制限送信電力P、または基準暴露率ER)を使用する必要があるとき、電子デバイス100は、記憶された設定テーブルからパラメータを取得することができ、または2つの記憶された設定テーブルに基づく計算によってパラメータを取得することができる。電子デバイス100は、電子デバイス100の内部メモリ121(例えば、NVM)に設定テーブルを記憶し得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、2つの構成された設定テーブルを1つの設定テーブルに統合してよい。例えば、電子デバイス100が単一アンテナ電力設定テーブルおよび基準暴露率設定テーブルを用いて構成されるとき、単一アンテナ電力設定テーブルおよび基準暴露率設定テーブルは、1つの設定テーブルに統合されてよく、設定テーブルは、アンテナの基準送信電力Pおよび基準暴露率ERを含んでよい。表6は、設定テーブルのいくつかの内容の例を示す。
【0283】
【表6】
【0284】
ここで、PXY(X=1、2、...、M、Y=1、2、...、N)は、シナリオYにおけるアンテナXの基準送信電力Pであり、RatioXY(X=1、2、...、M、Y=1、2、...、N)は、シナリオYにおけるアンテナXの基準暴露率ERである。
【0285】
図10は、本出願の一実施形態によるデュアルアンテナ伝送シナリオにおける送信電力調整方法の概略フローチャートである。
【0286】
S201:第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得する。
【0287】
例えば、図6(b)に示されるように、第1のアンテナおよび第2のアンテナは、電子デバイス100のアンテナ1、アンテナ2、およびアンテナ3のうちのいずれか2つであってよい。第1の距離は、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離である。
【0288】
いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、アンテナ位置関係テーブルを予め記憶してよく、アンテナ位置関係テーブルは、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離を決定するためのものである。具体的には、電子デバイス100は、アンテナ位置関係テーブルに基づいて、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の第1の距離を取得することができる。アンテナ位置関係テーブルの具体的な説明については、表5および表5の関連内容を参照されたい。
【0289】
S202:第1の距離が第1の値よりも大きいかを決定する。
【0290】
第1の値は、予め決定された値である。第1の距離が第1の値よりも大きいとき、電子デバイス100は、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離関係が遠く離れている、または比較的遠く離れていると決定し得る。この場合には、第1のアンテナおよび第2のアンテナの放射の重畳効果は弱い。第1の距離が第1の値より小さいとき、電子デバイス100は、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離関係が近い、または相対的に近いと決定し得る。この場合には、第1のアンテナおよび第2のアンテナの放射の重畳効果が強い。
【0291】
第1の距離が第1の値より大きいと電子デバイス100が決定するとき、電子デバイス100は、ステップS203を実行し、さもなければ、電子デバイス100は、ステップS204を実行する。
【0292】
S203:第1の距離が第1の値より大きい場合、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定し、第1の送信電力は第1の制限電力以下であり、第2の送信電力は第2の制限電力以下であり、第1の制限電力は、電子デバイスが第1のアンテナのみを介して信号を送信するときの電磁放射規格を満たす最大送信電力であり、第2の送信電力は、電子デバイスが第2のアンテナのみを介して信号を送信するときの電磁放射規格を満たす最大送信電力である。
【0293】
第1の制限電力は、第1のアンテナの制限送信電力Pであり、第2の制限電力は、第2のアンテナの制限送信電力Pである。
【0294】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、第1の設定テーブルを記憶し得る。第1の設定テーブルは、第1の送信電力および第2の送信電力を含む。電子デバイス100は、第1の設定テーブルに基づいて、第1のアンテナの第1の送信電力および第2のアンテナの第2の送信電力を決定し得る。
【0295】
第1の設定テーブルは、単一アンテナ電力設定テーブルであってよく、第1の送信電力および第2の送信電力は、それぞれ、第1のアンテナおよび第2のアンテナの基準送信電力Pである。単一アンテナ設定テーブルの具体的な説明については、表2および表2の関連内容を参照されたい。
【0296】
第1の設定テーブルは、制限送信電力設定テーブルであってよく、第1の送信電力および第2の送信電力は、それぞれ、第1のアンテナおよび第2のアンテナの制限送信電力Pである。制限送信電力設定テーブルの具体的な説明については、表3および表3の関連内容を参照されたい。
【0297】
言い換えれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離が長いとき、電子デバイス100は、電子デバイス100の予め記憶された電力値に基づいて第1のアンテナおよび第2のアンテナの送信電力を調整し得る。
【0298】
いくつかの他の実施形態では、電子デバイス100は、第2の設定テーブルを記憶し得る。第2の設定テーブルは、第1の基準暴露率および第2の基準暴露率を含む。電子デバイス100は、第1の基準暴露率に基づいて第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2の基準暴露率に基づいて第2のアンテナの第2の送信電力を決定し得る。第1の送信電力は、第1の制限電力と第1の基準暴露率との積であり、第2の送信電力は、第2の制限電力と第2の基準暴露率との積である。
【0299】
第2の設定テーブルは、基準暴露率設定テーブルであってよい。電子デバイス100は、基準暴露率設定テーブルに記憶された基準暴露率に基づく計算によって第1のアンテナおよび第2のアンテナの送信電力を取得し得る。基準暴露率は、アンテナの送信電力に正比例する。基準暴露率設定テーブルの具体的な説明については、表4および表4の関連内容を参照されたい。
【0300】
言い換えれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離が長いとき、電子デバイス100は、アンテナの予め記憶された暴露率に基づいて計算によって第1のアンテナおよび第2のアンテナの送信電力を取得し得る。
【0301】
いくつかの他の実施形態では、電子デバイス100がアンテナの送信電力および暴露率を予め記憶するとき、電子デバイス100は、代替として、暴露率配分方法に従って、第1のアンテナの暴露率および第2のアンテナの暴露率を調整してよく、次いで、暴露率と送信電力との間の正比例関係に基づいてアンテナの調整された送信電力を計算してよい。暴露率配分方法は、均等配分、優先配分、サービスタイプに基づく配分、信号強度に基づく配分、暴露率の比率に基づく配分などを含むが、これらに限定されない。
【0302】
言い換えれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離が長いとき、電子デバイス100は、予め記憶された電力値で信号を送信することができず、アンテナの送信電力を再調整し、その結果、アンテナは、実際の場合に基づいて送信電力を動的に調整することができ、例えば、信号強度またはサービスタイプに基づいて送信電力を調整することができる。
【0303】
S204:第1の距離が第1の値より小さい場合、第1のアンテナの第1の送信電力を決定し、第2のアンテナの第2の送信電力を決定し、第1の送信電力は第1の暴露率に対応し、第2の送信電力は第2の暴露率に対応し、第1の暴露率は第1の送信電力と第1の制限電力の比率であり、第2の暴露率は第2の送信電力と第2の制限電力の比率であり、第1の暴露率と第2の暴露率との和は1以下である。
【0304】
具体的には、電子デバイス100は、暴露率配分方法に従って第1の暴露率および第2の暴露率を決定してよく、暴露率配分方法は、均等配分、優先配分、サービスタイプに基づく配分、信号強度に基づく配分、暴露率の比率に基づく配分などのうちの1つまたは複数を含む。加えて、電子デバイス100は、第1のアンテナおよび第2のアンテナの総暴露率を事前設定し得る。総暴露率は、第1の暴露率と第2の暴露率との和である。
【0305】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、予め記憶された設定テーブルに基づいて第1の基準暴露率および第2の基準暴露率を決定し得る。第1の基準暴露率は第1の基準電力と第1の制限電力の比率であり、第2の基準暴露率は第2の基準電力と第2の制限電力の比率である。第1の基準暴露率と第2の基準暴露率との和が1以下である場合、電子デバイス100は、第1の基準電力を第1の送信電力として決定し、第2の基準電力を第2の送信電力として決定することができる。
【0306】
電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブルおよび制限送信電力設定テーブルを予め記憶し得る。このようにして、電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブルから第1の基準電力および第2の基準電力を取得し、制限送信電力設定テーブルから第1の制限電力および第2の制限電力を取得することができる。この場合には、電子デバイス100は、第1の基準電力と第1の制限電力の比率に基づいて第1の基準暴露率を決定し、第2の基準電力と第2の制限電力の比率に基づいて第2の基準暴露率を決定することができる。
【0307】
代替として、電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブルおよび基準暴露率設定テーブルを予め記憶してよい。このようにして、電子デバイス100は、単一アンテナ設定テーブルから第1の基準電力および第2の基準電力を取得し、基準暴露率設定テーブルから第1の基準暴露率および第2の基準暴露率を取得する。
【0308】
代替として、電子デバイス100は、制限送信電力設定テーブルおよび基準暴露率設定テーブルを予め記憶してよい。このようにして、電子デバイス100は、制限送信電力設定テーブルから第1の制限電力および第2の制限電力を取得し、基準暴露率設定テーブルから第1の基準暴露率および第2の基準暴露率を取得する。この場合には、電子デバイス100は、第1の制限電力と第1の基準暴露率との積に基づいて第1の基準電力を決定し、第2の制限電力と第2の基準暴露率との積に基づいて第2の基準電力を決定することができる。
【0309】
S205:第1のアンテナは、第1の送信電力で信号を送信し、第2のアンテナは、第2の送信電力で信号を送信する。
【0310】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100が第1のアンテナおよび第2のアンテナを介して信号を送信するとき、第1のアンテナの送信電力は第1の送信電力以下であり得、または第1の時間期間内の第1のアンテナの平均送信電力は第1の送信電力以下である。第1の時間期間は、電磁放射規格において特定された時間期間以下である。加えて、第2のアンテナの送信電力は、やはり第2の送信電力以下であり得、または第1の時間期間内の第2のアンテナの平均送信電力は、第2の送信電力以下である。第1の時間期間は、電磁放射規格において特定された時間期間以下である。
【0311】
言い換えれば、第1のアンテナの実際の送信電力および/または第2のアンテナの実際の送信電力は、それぞれ電子デバイス100によって決定される第1の送信電力および第2の送信電力を超えることはなく、または時間の期間内の第1のアンテナおよび/または第2のアンテナの平均送信電力は、それぞれ電子デバイス100によって決定される第1の送信電力および第2の送信電力を超えることはない。言い換えれば、第1の送信電力および第2の送信電力は、電子デバイス100によって決定されたアンテナの最大送信電力であってよく、または電子デバイス100によって決定されたアンテナの最大平均送信電力であってよい。
【0312】
電子デバイス100が、第1の送信電力および第2の送信電力が最大平均送信電力であると決定したとき、電子デバイス100は、時間平均アルゴリズムを使用することによって、時間の期間内の第1のアンテナの送信電力の平均値が第1の送信電力を超えないようにし、この時間の期間内の第2のアンテナの送信電力の平均値が第2の送信電力を超えないようにすることができる。
【0313】
図11を参照すると、以下は、本出願の一実施形態による送信電力調整装置の構造の概略図を説明する。
【0314】
図11に示されるように、送信電力調整装置は、識別モジュール301、記憶モジュール302、調整モジュール303、および送信モジュール304を含み得る。
【0315】
識別モジュール301は、マルチアンテナ伝送シナリオにおけるアンテナ間の距離を取得するように構成され得る。加えて、アンテナ間の距離を取得する前に、識別モジュール301は、電子デバイス100がマルチアンテナ伝送シナリオにあるか、すなわち、電子デバイス100が複数のアンテナを介して信号を送信するか、または第1の時間期間内に複数のアンテナを介して信号を送信しようとしているかを識別するようにさらに構成される。電子デバイス100がマルチアンテナ伝送シナリオにあると決定するとき、識別モジュール301は、信号を送信する必要があるアンテナまたは信号を送信しているアンテナに基づいて、記憶モジュール302からアンテナ間の距離を取得する。
【0316】
記憶モジュール302は、アンテナ位置関係テーブルと、単一アンテナ電力設定テーブル、基準暴露率設定テーブル、および制限送信電力設定テーブルのうちのいずれか2つとを記憶する。加えて、記憶モジュール302は、総暴露率をさらに記憶してよく、電子デバイス100は、各アンテナの送信電力を計算するために、総暴露率に基づいて各アンテナの暴露率を調整してよい。記憶モジュール302は、識別モジュール301によって送られたアンテナのインジケーション情報に基づいて、アンテナ位置関係テーブル、単一アンテナ電力設定テーブル、基準暴露率設定テーブル、および制限送信電力設定テーブルのうちのいずれか2つから、基準送信電力P、基準暴露率ER、およびアンテナの位置関係を取得し、取得された基準送信電力P、基準暴露率ER、およびアンテナの位置関係を調整モジュール303に送ることができる。
【0317】
調整モジュール303は、アンテナの位置関係とアンテナの基準暴露率ERとに基づいて、電子デバイス100がアンテナの暴露率を調整する必要があるかを決定することができる。具体的には、単一アンテナが別のアンテナから離れているとき、電子デバイス100は、電力調整方法に従って送信電力を調整してよく、例えば、アンテナの送信電力を基準送信電力Pに調整してよい。互いに近い複数のアンテナがあるとき、電子デバイス100は、これらのアンテナの総基準暴露TERが1未満であるかに基づいて、アンテナの暴露率を調整するかを決定してよい。TER≦1であるとき、電子デバイス100は、電力調整方法に従って送信電力を調整してよく、例えば、アンテナの送信電力を基準送信電力Pに調整してよい。TER>1であるとき、電子デバイス100は、暴露率配分方法に従って複数のアンテナの暴露率を調整し、調整された暴露率に基づいてアンテナの送信電力を計算する。次いで、電子デバイス100は、アンテナの決定された送信電力を送信モジュール304に送る。
【0318】
送信モジュール304は、各アンテナの最終的に決定された送信電力で信号を送信するように構成されてよく、または送信モジュール204は、実際の送信電力の平均値が時間の期間内に送信電力以下であることを確実にするために、各アンテナの最終的に決定された送信電力を平均送信電力として使用することによって時間平均アルゴリズムに従って信号を送信する。
【0319】
本出願の実装は、異なる技術的効果を実現するためにランダムに組み合わされてよい。
【0320】
前述の実施形態のすべてまたは一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せを使用することによって実装され得る。ソフトウェアが実施形態を実装するために使用されるとき、実施形態のすべてまたは一部は、コンピュータプログラム製品の形態で実装されてよい。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ、実行されると、本出願による手順または機能が、すべてまたは一部生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または別のプログラム可能な装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよく、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバー、またはデジタル加入者回線)、またはワイヤレス(例えば、赤外線、無線、またはマイクロ波)のやり方で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つもしくは複数の使用可能な媒体を統合するデータ記憶デバイス、例えば、サーバもしくはデータセンタであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(solid-state disk(SSD))などであり得る。
【0321】
当業者は、実施形態における方法のプロセスのすべてまたは一部が、関連するハードウェアを命令するコンピュータプログラムによって実装され得ることを理解し得る。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。プログラムが実行されると、実施形態における方法のプロセスが実行される。前述の記憶媒体は、ROM、ランダムアクセスメモリRAM、磁気ディスク、または光ディスクなどのプログラムコードを記憶することができる任意の媒体を含む。
【0322】
結論として、前述の説明は、本発明の技術的解決策の実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の開示に従ってなされる任意の修正、均等な置換、または改善は、本発明の保護範囲内に入るものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11