IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 香港時代新能源科技有限公司の特許一覧

特許7634780エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム
<>
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図1
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図2
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図3
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図4
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図5
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図6
  • 特許-エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20250214BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250214BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20250214BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H02J7/02 J
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024525289
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2021142589
(87)【国際公開番号】W WO2023123081
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】13/F., LKF29, 29 Wyndham Street, Central, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 程杰
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-198723(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161512(WO,A1)
【文献】特開2020-162271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
H02J 7/00
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法であって、前記エネルギー貯蔵システムは、並列接続された複数の電池クラスタを含み、
前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値と過電流能力を取得することと、
前記電流値と前記過電流能力に基づいて各電池クラスタの過電流値を確定することと、
前記複数の電池クラスタの前記過電流値のうちの最大過電流値を確定することと、
前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することとを含
各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値である、ことを特徴とするエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法。
【請求項2】
前記の、前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することは、
前記最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、前記総電流制限値を下げることを含み、ここで、前記第1の閾値は、ゼロよりも大きい予め設定される値である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の、前記総電流制限値を下げることは、
前記最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、前記総電流制限値を段階的に下げることを含み、ここで、前記第2の閾値は、前記第1の閾値の予め設定される値よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の閾値は0である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記の、前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することは、
前記最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、前記総電流制限値を上げることを含み、ここで、前記第3の閾値は、ゼロよりも小さい予め設定される値である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記の、前記総電流制限値を上げることは、
前記最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、前記総電流制限値を段階的に上げることを含み、ここで、前記第4の閾値は、前記第3の閾値よりも大きい、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第4の閾値は-2Aである、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エネルギー貯蔵システムであって、
並列接続された複数の電池クラスタと、
前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値をそれぞれ取得するための複数の電流センサと、
前記複数の電流センサから前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値を取得するための複数のサブ制御ユニットと、
前記複数の電池クラスタの過電流値のうちの最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節するためのメイン制御ユニットを含み、ここで、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値と各電池クラスタの過電流能力に基づいて確定されるものであ各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値である、ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、前記総電流制限値を下げるために用いられ、ここで、前記第1の閾値は、ゼロよりも大きい予め設定される値である、ことを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、前記総電流制限値を段階的に下げるために用いられ、ここで、前記第2の閾値は、前記第1の閾値の予め設定される値よりも小さい、ことを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記第2の閾値は0である、ことを特徴とする請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、前記総電流制限値を上げるために用いられ、ここで、前記第3の閾値は、ゼロよりも小さい予め設定される値である、ことを特徴とする請求項11のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、前記総電流制限値を段階的に上げるために用いられ、ここで、前記第4の閾値は、前記第3の閾値よりも大きい、ことを特徴とする請求項12に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
前記第4の閾値は-2Aである、ことを特徴とする請求項13に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
エネルギー貯蔵システムの過電流調節装置であって、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムを呼び出して、前記装置に請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実現させるためのプロセッサとを含む、ことを特徴とするエネルギー貯蔵システムの過電流調節装置。
【請求項16】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスにより実行される時、前記コンピューティングデバイスに請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実現させる、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー貯蔵技術分野に関し、特にエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システムにおいて、各電池クラスタが並列接続されるが、各電池クラスタの内部抵抗が異なるため、その充放電中の電流が異なる。深刻な電池クラスタの電流不平衡により、内部抵抗の小さい電池クラスタの電流が大きく、過電流をトリガーしやすく、且つ電池クラスタが長時間にわたって過電流状態で運行することにより、電池コアのリチウム析出のリスクが増加する。
【0003】
そのため、エネルギー貯蔵システムの過電流問題をどのように効果的に解決するかは現在早急な解決が待たれる問題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、エネルギー貯蔵システムの電流を動的に調節し、エネルギー貯蔵システムの過電流問題を効果的に解決することができるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法及びエネルギー貯蔵システムを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、並列接続された複数の電池クラスタを含むエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法を提供し、前記方法は、前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値と過電流能力を取得することと、前記電流値と前記過電流能力に基づいて各電池クラスタの過電流値を確定することと、前記複数の電池クラスタの前記過電流値のうちの最大過電流値を確定することと、前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することとを含む。
【0006】
本出願は、電池クラスタの電流値と過電流能力に基づいて電池クラスタの過電流値を確定し、複数の電池クラスタの過電流値のうちの最大値を最大過電流値とし、且つ最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することにより、このように最大過電流値が大きい時に、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値をタイムリーに調節し、エネルギー貯蔵システムの電池クラスタにおける過大な電流による過電流損傷を回避することができ、それによりエネルギー貯蔵システムの電池クラスタの安全運行を保護することができる。同時に、最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することにより過電流問題を解決するこの方式は、追加的なハードウェアで各分岐回路の電池クラスタをそれぞれ調節する必要がないため、システムの統合コストを削減し、それによりエネルギー貯蔵システムの過電流問題を効果的に解決することができる。
【0007】
一つの可能な実現方式において、前記の、前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することは、前記最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、前記総電流制限値を下げることを含み、ここで、前記第1の閾値は、ゼロよりも大きい予め設定される値である。
【0008】
第1の閾値の設定により、エネルギー貯蔵システムの最大過電流値が第1の閾値を超える時にエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げ始めることができ、それによりエネルギー貯蔵システムの過電流保護を実現する。
【0009】
一つの可能な実現方式において、前記の、前記総電流制限値を下げることは、前記最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、前記総電流制限値を段階的に下げることを含み、ここで、前記第2の閾値は、前記第1の閾値の予め設定される値よりも小さい。
【0010】
総電流制限値の下げ方式の中で、段階的下げ方法を採用し、このようにエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を徐々に下げ、総電流制限値の下げが速すぎることでエネルギー貯蔵システムの電流が迅速に変化して電池クラスタの性能を損傷することを回避することができる。総電流制限値が減少するにつれて、リアルタイムで計算する最大過電流値も徐々に減少するが、第2の閾値の設定により、最大過電流値が第2の閾値以下である時に、総電流制限値の下げを停止することができ、これにより、エネルギー貯蔵システムは、過電流がない場合、大きな作動電流を有し、高い電力を維持することができる。
【0011】
一つの可能な実現方式において、前記第2の閾値は0である。第2の閾値が0として設定され、即ち最大過電流値が0以下である場合、つまり、エネルギー貯蔵システムの各分岐回路の電池クラスタに過電流がない場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値の下げを停止し、このようにエネルギー貯蔵システムが過電流問題を解消した後に、大きな作動電流をタイムリーに維持することを保証できる。
【0012】
一つの可能な実現方式において、前記の、前記最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することは、前記最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、前記総電流制限値を上げることを含み、ここで、前記第3の閾値は、ゼロよりも小さい予め設定される値である。
【0013】
第3の閾値の設定により、エネルギー貯蔵システムの最大過電流値が第3の閾値よりも小さい時にエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げ始めることができ、これにより、エネルギー貯蔵システムは、過電流がない場合、大きな作動電流で運行することができる。
【0014】
一つの可能な実現方式において、前記の、前記総電流制限値を上げることは、前記最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、前記総電流制限値を段階的に上げることを含み、ここで、前記第4の閾値は、前記第3の閾値よりも大きい。
【0015】
総電流制限値の上げ方式の中で、段階的上げ方法を採用し、このようにエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を徐々に上げ、総電流制限値の上げが速すぎることでエネルギー貯蔵システムの電流が迅速に変化して電池クラスタの性能を損傷することを回避することができる。総電流制限値が増大するにつれて、リアルタイムで計算する最大過電流値も徐々に増大するが、第4の閾値の設定により、最大過電流値が第4の閾値以上である時に、総電流制限値の上げを停止することができ、このようにエネルギー貯蔵システムの上げた総電流制限値が多過ぎることで過電流が発生することを回避することができる。
【0016】
一つの可能な実現方式において、前記第4の閾値は-2Aである。第4の閾値が-2Aとして設定されることは、エネルギー貯蔵システムの上げた総電流制限値が多過ぎることを回避すると同時に、エネルギー貯蔵システムが高い作動電流を有することを保証することを目指す。
【0017】
一つの可能な実現方式において、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値である。
【0018】
第2の態様によれば、エネルギー貯蔵システムを提供し、このシステムは、並列接続された複数の電池クラスタと、前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値をそれぞれ取得するための複数の電流センサと、前記複数の電流センサから前記複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値を取得するための複数のサブ制御ユニットと、前記複数の電池クラスタの過電流値のうちの最大過電流値に基づいて前記エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節するためのメイン制御ユニットを含み、ここで、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値と各電池クラスタの過電流能力に基づいて確定されるものである。
【0019】
一つの可能な実現方式において、前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、前記総電流制限値を下げるために用いられ、ここで、前記第1の閾値は、ゼロよりも大きい予め設定される値である。
【0020】
一つの可能な実現方式において、前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、前記総電流制限値を段階的に下げるために用いられ、ここで、前記第2の閾値は、前記第1の閾値の予め設定される値よりも小さい。
【0021】
一つの可能な実現方式において、前記第2の閾値は0である。
【0022】
一つの可能な実現方式において、前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、前記総電流制限値を上げるために用いられ、ここで、前記第3の閾値は、ゼロよりも小さい予め設定される値である。
【0023】
一つの可能な実現方式において、前記メイン制御ユニットは、前記最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、前記総電流制限値を段階的に上げるために用いられ、ここで、前記第4の閾値は、前記第3の閾値よりも大きい。
【0024】
一つの可能な実現方式において、前記第4の閾値は-2Aである。
【0025】
一つの可能な実現方式において、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値である。
【0026】
第3の態様によれば、エネルギー貯蔵システムの過電流調節装置を提供し、この装置は、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムを呼び出して、前記装置に上記第1の態様又は第2の態様のいずれか一つの可能な実現方式に記載の方法を実現させるためのプロセッサとを含む。
【0027】
第4の態様によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスにより実行される時、前記コンピューティングデバイスに上記第1の態様又は第2の態様のいずれか一つの可能な実現方式に記載の方法を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかなように、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
図1】本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの概略図である。
図2】本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。
図3】本出願の別の実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。
図4】本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。
図5】本出願の別の実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。
図6】本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。
図7】本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの概略図である。 図面部分において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例の図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明確に説明する。説明される実施例は、本出願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0030】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に指摘しない限り、使用される全ての技術と科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じである。使用される用語は、具体的な実施例を説明することを目的とし、本出願を制限することを意図していない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。「複数」は二つ以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。
【0031】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置での該フレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に記述された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ暗示的に理解できる。
【0032】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0033】
本出願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本出願における文字「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0034】
現在、エネルギー貯蔵システムは、スマートグリッドを構築する重要な一環であり、ユーザ側の電気エネルギー管理を効果的に実現し、システム運行の信頼性と給電品質を向上させ、再生可能エネルギーの電力変動などを抑制することができる。各電池クラスタが並列接続されたエネルギー貯蔵システムにおいて、各電池クラスタの内部抵抗が異なるため、その充放電中の電流が異なる。深刻な電池クラスタの電流不平衡により、内部抵抗の小さい電池クラスタの電流が大きく、過電流をトリガーしやすく、且つ電池クラスタが長時間にわたって過電流状態で運行することにより、電池コアのリチウム析出のリスクが増加する。
【0035】
現在、エネルギー貯蔵システムにおける並列分岐回路の電池クラスタの電流調節方法としては、主に各分岐回路の電池クラスタの電流を独立して制御する直流コンバーター(direct current、DC/DC)が各分岐回路に設置されており、各分岐回路のフィードバック調整回路によって各分岐回路の電池クラスタの過電流状態をモニタリングし、過電流が発生した場合、この分岐回路のDC/DCによって電圧補償を行い、異なる分岐回路の総電圧を同じレベルに維持させることにより、各分岐回路の電池クラスタ間の電流不平衡問題を解決する。しかしながら、この方法には、DC/DCとフィードバック調整回路を増設する必要があるため、システムの統合コストを増加させ、且つシステムにおける並列分岐回路の数が増加するにつれて、並列分岐回路に対するシステムの協同処理能力への要求が高まっている。
【0036】
これに鑑み、本出願の実施例は、エネルギー貯蔵システムの過電流調節方法を提供し、エネルギー貯蔵システムにおける並列分岐回路の電池クラスタの最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節するが、最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節するこの方式は、追加的なハードウェアで各分岐回路の電池クラスタをそれぞれ調節する必要がないため、システムの統合コストを削減し、それによりエネルギー貯蔵システムの過電流問題を効果的に解決することができる。
【0037】
図1は、本出願によるエネルギー貯蔵システム100の概略図である。
【0038】
このエネルギー貯蔵システム100は、図1に示す電池クラスタ1~電池クラスタmのような複数の電池クラスタを含み、ここで、mは、1よりも大きい自然数であってもよく、即ち、実際の応用において、エネルギー貯蔵容量に基づいて電池クラスタの数を柔軟に調整することができ、エネルギー貯蔵容量が大きい場合、電池クラスタの数を適宜増加させることができ、エネルギー貯蔵容量が小さい場合、電池クラスタの数を適宜減少させることもできる。
【0039】
各電池クラスタは、図1に示すエネルギー貯蔵モジュール1~エネルギー貯蔵モジュールjのような少なくとも二つの電池用エネルギー貯蔵モジュール(energy storage system、ESS)を直列接続することにより構成され、ここで、jは、2以上の自然数であってもよい。各エネルギー貯蔵モジュールESSは、いくつかのエネルギー貯蔵素子を直列接続又は並列接続することにより構成され、最小のエネルギー貯蔵及び管理ユニットを形成する。エネルギー貯蔵システムの検出及び制御を実現するために、各エネルギー貯蔵モジュールと電池クラスタには、電池荷電状態(state of charge、SOC)、温度、電流などの電池情報をモニタリングし、上位層のエネルギー管理システム(energy management system、EMS)又は電力変換システム(power convert system、PCS)とリアルタイムで情報交換し、電池エネルギー貯蔵システム全体の効果的な管理及び制御を実現する電池管理システム(battery management system、BMS)が設計されている。
【0040】
図2は、本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。このエネルギー貯蔵システムは、並列接続された複数の電池クラスタを含み、例えば、このエネルギー貯蔵システムは、図1におけるエネルギー貯蔵システム100であってもよい。
【0041】
201、複数の電池クラスタのうちの各電池クラスタの電流値と過電流能力を取得する。
【0042】
電池クラスタの電流値は、電流センサによって取得されてもよい。各分岐回路の電池クラスタには対応する電流センサが設置され、例えば、各分岐回路の各電池クラスタには一つの電流センサが直列接続され、電流センサは、電池クラスタと一対一に対応し、各電池クラスタの電流値を取得する。
【0043】
電池クラスタの過電流能力は、電池クラスタ自体のパラメータに基づいて計算して取得されてもよく、例えば、電池クラスタの温度、SOC、電池健康度(state of health、SOH)などのパラメータに基づいて、テーブルルックアップ方式によって、上記パラメータがある具体的な数値である時の対応する電池クラスタの過電流能力を取得する。
【0044】
202、電流値と過電流能力に基づいて各電池クラスタの過電流値を確定する。
【0045】
各電池クラスタに対して、その電流値と過電流能力に基づいてその過電流値を確定する。例えば、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値であってもよい。
【0046】
203、複数の電池クラスタの過電流値のうちの最大過電流値を確定する。
【0047】
最大過電流値は、エネルギー貯蔵システムの複数の電池クラスタの過電流値のうちの最大値である。
【0048】
204、最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節する。
【0049】
最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することは、総電流制限値を下げることであってもよく、総電流制限値を上げることであってもよく、具体的には、最大過電流値の状況に応じて動的に調節することである。これに基づき、各電池クラスタの電流が対応して変化することにより、エネルギー貯蔵システムの総電流は、この総電流制限値に傾き、それにより各電池クラスタの電流を調節する目的を達成する。
【0050】
本出願の実施例において、電池クラスタの最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節し、このようにエネルギー貯蔵システムの電池クラスタに過電流が発生した時、総電流制限値を下げることができ、このように、各分岐回路の電池クラスタの電流も対応して低下し、それにより電池クラスタの過電流問題を解消する。同時に、エネルギー貯蔵システムの電流が小さい時に、総電流制限値を上げてもよく、それにより、過電流がない場合、エネルギー貯蔵システムは、大きな作動電流を有し、高い電力を維持する。最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節することにより過電流問題を解決するこの方式は、追加的なハードウェアで各分岐回路の電池クラスタをそれぞれ調節する必要がないため、システムの統合コストを削減し、それによりエネルギー貯蔵システムの過電流問題を効果的に解決することができる。
【0051】
図3は、本出願の別の実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。図3における301~303は、前述の実施例における201-203と同様であるため、前述の実施例を参照すればよく、簡潔さのために、ここでこれ以上説明しない。
【0052】
304、最大過電流値が第1の閾値よりも大きいかどうかを判断する。
【0053】
305、最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げる。
【0054】
第1の閾値は、エネルギー貯蔵システムにおける予め設定される第1の電流パラメータを指し、ゼロよりも大きい予め設定される値であってもよい。最大過電流値が第1の閾値を超える場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げる。第1の閾値の電流パラメータは、一定の数値、修正可能な数値、テーブルルックアップ方式によって確定された数値、相関関数によって確定された数値を含んでもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。第1の閾値は、エネルギー貯蔵システムにおける電池クラスタに過電流損傷が発生しない最大過電流値であってもよい。例えば、第1の閾値が2Aであってもよいため、エネルギー貯蔵システムにおける電池クラスタの最大過電流値は2A以下に制御されてもよい。
【0055】
最大過電流値が第1の閾値よりも大きいと判断する場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げる。最大過電流値が第1の閾値以下である場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げず、各電池クラスタの電流値のモニタリングを継続する。
【0056】
本出願の実施例において、最大過電流値と第1の閾値との間の大きさ関係に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げるが、エネルギー貯蔵システムの分岐回路の電池クラスタに過電流が発生しており、最大過電流値が第1の閾値を超える場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を下げてもよく、それによりエネルギー貯蔵システムの過電流保護を実現する。
【0057】
任意選択的に、本出願の一実施例において、段階的下げ方式で総電流制限値を下げてもよい。具体的には、最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、総電流制限値を段階的に下げてもよい。総電流制限値を段階的に下げることは、所定の速度で総電流制限値を徐々に下げるということである。図4を参照すると、図4は、本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。図4における401~404は、前述の実施例における301~304と同様であるため、前述の実施例を参照すればよく、簡潔さのために、ここでこれ以上説明しない。
【0058】
405、最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、I/秒の速度で総電流制限値を下げる。
【0059】
は、総電流制限値を段階的に下げる速度である。Iの値は、予め設定されてもよく、リアルタイムで調整されてもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0060】
406、最大過電流値が第2の閾値よりも大きいかどうかを判断する。
【0061】
総電流制限値を段階的に下げる過程において、エネルギー貯蔵システムの最大過電流値をリアルタイムでモニタリングする必要があり、第2の閾値を設定することにより、エネルギー貯蔵システムが総電流制限値の下げを継続する必要があるかどうかを判断する。即ち総電流制限値を下げるごとに、各電池クラスタの電流値と過電流能力を改めて取得し、且つ各電池クラスタの過電流値及び対応する最大過電流値を確定し、つまり、401~403を改めて実行する必要がある。その後、最大過電流値が第2の閾値よりも大きいかどうかを判断する。
【0062】
407、最大過電流値が第2の閾値よりも大きい場合、405に戻り、I/秒の速度で総電流制限値の下げを継続する。
【0063】
第2の閾値は、エネルギー貯蔵システムにおける予め設定される、第1の閾値よりも小さい第2の電流パラメータを指し、例えば、第2の閾値は0であってもよく、第2の閾値の電流パラメータは、一定の数値、修正可能な数値、テーブルルックアップ方式によって確定された数値、相関関数によって確定された数値を含んでもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。最大過電流値が第2の閾値以下である場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値の下げを停止する。
【0064】
本出願の実施例において、段階的下げ方法を採用し、このようにエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を徐々に下げ、総電流制限値の下げが速すぎることでエネルギー貯蔵システムの電流が迅速に変化して電池クラスタの性能を損傷することを回避することができる。総電流制限値が減少するにつれて、リアルタイムで計算する最大過電流値も徐々に減少するが、第2の閾値の設定により、最大過電流値が第2の閾値以下である時に、総電流制限値の下げを停止することができ、これにより、エネルギー貯蔵システムは、過電流がない場合、大きな作動電流を有し、高い電力を維持することができる。
【0065】
図5は、本出願の別の実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。図5における501~503は、前述の実施例における401~403と同様であるため、前述の実施例を参照すればよく、簡潔さのために、ここでこれ以上説明しない。
【0066】
504、最大過電流値が第3の閾値よりも小さいかどうかを判断する。
【0067】
506、最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げる。
【0068】
第3の閾値は、エネルギー貯蔵システムにおける予め設定される第3の電流パラメータを指し、ゼロよりも小さい予め設定される値であってもよい。最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げる。第3の閾値の電流パラメータは、一定の数値、修正可能な数値、テーブルルックアップ方式によって確定された数値、相関関数によって確定された数値を含んでもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0069】
最大過電流値が第3の閾値よりも小さいと判断する場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げる。最大過電流値が第3の閾値以上である場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げず、各電池クラスタの電流値のモニタリングを継続する。
【0070】
本出願の実施例において、最大過電流値と第3の閾値との間の大きさ関係に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げるが、エネルギー貯蔵システムの分岐回路の電池クラスタに過電流がなく、最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値を上げてもよく、それによりエネルギー貯蔵システムは、大きな作動電流を有し、高い電力を維持する。
【0071】
任意選択的に、本出願の一実施例において、段階的上げ方式で総電流制限値を上げてもよい。具体的には、最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、総電流制限値を段階的に上げてもよい。総電流制限値を段階的に上げることは、所定の速度で総電流制限値を徐々に上げるということである。図6を参照すると、図6は、本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法の概略的フローチャートである。図6における601~604は、前述の実施例における501~504と同様であるため、前述の実施例を参照すればよく、簡潔さのために、ここでこれ以上説明しない。
【0072】
605、最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、I/秒の速度で総電流制限値を上げる。
【0073】
は、総電流制限値を段階的に上げる速度である。Iの値は、予め設定されてもよく、リアルタイムで調整されてもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0074】
606、最大過電流値が第4の閾値以上であるかどうかを判断する。
【0075】
総電流制限値を段階的に上げる過程において、エネルギー貯蔵システムの最大過電流値をリアルタイムでモニタリングする必要があり、第4の閾値を設定することにより、エネルギー貯蔵システムが総電流制限値の上げを継続する必要があるかどうかを判断する。即ち総電流制限値を上げるごとに、各電池クラスタの電流値と過電流能力を改めて取得し、且つ各電池クラスタの過電流値及び対応する最大過電流値を確定し、つまり、601~603を改めて実行する必要がある。その後、最大過電流値が第4の閾値以上であるかどうかを判断する。
【0076】
607、最大過電流値が第4の閾値よりも小さい場合、605に戻り、I/秒の速度で総電流制限値を上げる。
【0077】
第4の閾値は、エネルギー貯蔵システムにおける予め設定される、第3の閾値よりも大きい第4の電流パラメータを指し、例えば、第4の閾値は-2Aであってもよく、第4の閾値の電流パラメータは、一定の数値、修正可能な数値、テーブルルックアップ方式によって確定された数値、相関関数によって確定された数値を含んでもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。最大過電流値が第4の閾値以上である場合、エネルギー貯蔵システムの総電流制限値の上げを停止する。
【0078】
本出願の実施例において、段階的上げ方法を採用し、このようにエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を徐々に上げ、総電流制限値の上げが速すぎることでエネルギー貯蔵システムの電流が迅速に変化して電池クラスタの性能を損傷することを回避することができる。総電流制限値が増大するにつれて、リアルタイムで計算する最大過電流値も徐々に増大するが、第4の閾値の設定により、最大過電流値が第4の閾値以上である時に、総電流制限値の上げを停止することができ、このようにエネルギー貯蔵システムの上げた総電流制限値が多過ぎることで過電流が発生することを回避することができる。
【0079】
以上は、本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムの過電流調節方法を説明した。以下は、本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムを説明する。ここで、詳細に説明されない部分は、前述の各実施例を参照することができる。
【0080】
図7は、本出願の一実施例によるエネルギー貯蔵システムの概略図であり、本出願の実施例において、エネルギー貯蔵システムは、複数の電池クラスタ701と、複数の電流センサ702と、複数のサブ制御ユニット703と、メイン制御ユニット704とを含んでもよい。
【0081】
複数の電池クラスタ701が並列接続される。
【0082】
複数の電流センサ702は、複数の電池クラスタ701のうちの各電池クラスタの電流値をそれぞれ取得するために用いられてもよい。
【0083】
複数のサブ制御ユニット703は、複数の電流センサ702から複数の電池クラスタ701のうちの各電池クラスタの電流値を取得するために用いられてもよい。
【0084】
メイン制御ユニット704は、複数の電池クラスタ701の過電流値のうちの最大過電流値に基づいてエネルギー貯蔵システムの総電流制限値を調節するために用いられてもよい。各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値と各電池クラスタの過電流能力に基づいて確定されるものである。例えば、各電池クラスタの過電流値は、各電池クラスタの電流値から各電池クラスタの過電流能力を減算する差分値であってもよい。
【0085】
本出願のいくつかの実施例において、メイン制御ユニット704は、最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、総電流制限値を下げ、第1の閾値は、ゼロよりも大きい予め設定される値である。例えば、第1の閾値は2Aであってもよい。
【0086】
本出願のいくつかの実施例において、メイン制御ユニット704は、最大過電流値が第1の閾値よりも大きい場合、最大過電流値が第2の閾値以下になるまで、総電流制限値を段階的に下げ、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さい。例えば、第2の閾値は0であってもよい。
【0087】
本出願のいくつかの実施例において、メイン制御ユニット704は、最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、総電流制限値を上げ、第3の閾値は、ゼロよりも小さい予め設定される値である。
【0088】
本出願のいくつかの実施例において、メイン制御ユニット704は、最大過電流値が第3の閾値よりも小さい場合、最大過電流値が第4の閾値以上になるまで、総電流制限値を段階的に上げ、第4の閾値は、第3の閾値よりも大きい。例えば、第4の閾値は-2Aであってもよい。
【0089】
本出願の実施例は、エネルギー貯蔵システムの過電流調節装置をさらに提供し、この装置は、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、コンピュータプログラムを呼び出して、装置に前述の本出願の各実施例の方法を実現させるためのプロセッサとを含む。
【0090】
本出願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスにより実行される時、コンピューティングデバイスに前述の本出願の各実施例の方法を実現させる。
【0091】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えてもよい。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7