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特許7634790フォトニック結晶メーザを使用した情報の通信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-13
(45)【発行日】2025-02-21
(54)【発明の名称】フォトニック結晶メーザを使用した情報の通信
(51)【国際特許分類】
   H01S 1/06 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H01S1/06
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2024544761
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 CA2022050303
(87)【国際公開番号】W WO2023150862
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-09-19
(31)【優先権主張番号】17/667,281
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521266918
【氏名又は名称】クオンタム ヴァリー アイデアズ ラボラトリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ペセン マーク
(72)【発明者】
【氏名】アマルロー ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ジェームズ ピー
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0286063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0285992(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0285993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0301075(US,A1)
【文献】特表2007-508585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0247241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 1/00 - 1/06
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
第1の局であり、
フォトニック結晶メーザで、
誘電体材料から形成されており、キャビティのアレイと、前記キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている細長いスロットとを有するフォトニック結晶構造、および
前記細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気を備え、
前記キャビティのアレイおよび前記細長いスロットは、放出されると、前記目標RF電磁放射をビームに成形するように構成されている導波路を画定し、前記目標RF電磁放射のビームは、前記通信システムの第2の局に送信される情報を表す、
フォトニック結晶メーザ、
レーザサブシステムで、
前記細長いスロットに光学的に結合されており、前記光信号を生成するように構成されているポンプレーザ、および
前記ポンプレーザと通信し、前記光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている信号処理電子機器で、前記光信号の前記1つまたは複数の特性は、前記光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、信号処理電子機器
を備える、レーザサブシステム、ならびに
前記フォトニック結晶メーザの向きを制御し、以て、前記目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるように構成されているトラッキングサブシステム
を備える、第1の局と、
前記目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを備える前記第2の局と
を備える、通信システム。
【請求項2】
前記目標ロケーションは、第1の目標ロケーションであり、
前記第2の局は、前記レシーバの向きを制御し、以て、前記レシーバを第2の目標ロケーションに向けるように構成されている第2のトラッキングサブシステムを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の局および前記第2の局は、それぞれ、前記第2の目標ロケーションおよび前記第1の目標ロケーションに配置されている、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されている中継局を備え、
前記第1の目標ロケーションおよび前記第2の目標ロケーションのうちの一方または両方は、前記中継ロケーションに対応する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記導波路は、前記細長いスロットの軸に平行な方向に沿った前記目標RF電磁放射の群速度を低減するように構成されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記フォトニック結晶メーザは、前記目標RF電磁放射のビームを前記フォトニック結晶メーザの周囲環境にインピーダンス整合させるように構成されている出力結合器を備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記出力結合器は前記フォトニック結晶構造の一体部分である、請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記出力結合器は、テーパ状端部において終端し、
前記テーパ状端部と位置整合されている狭窄部分と、
前記狭窄部分から外向きに延在し、それに沿って周期的な間隔を有する共平面セグメントのアレイであって、前記共平面セグメントのアレイは、前記目標RF電磁放射のビームの偏光をフィルタリングするように構成されている、共平面セグメントのアレイと
を備える、請求項6に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の局は、制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準RFサブシステムを備え、
前記フォトニック結晶メーザは、前記基準RF電磁放射を前記導波路に結合するように構成されている入力結合器を備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
前記入力結合器は前記フォトニック結晶構造の一体部分である、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記レシーバは、フォトニック結晶レシーバであり、前記フォトニック結晶レシーバは、
誘電体材料から形成されており、キャビティの第2のアレイと第2の細長いスロットとを有する第2のフォトニック結晶構造であって、前記第2の細長いスロットは、前記キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている、第2のフォトニック結晶構造と、
前記目標RF電磁放射のビームを、前記キャビティの第2のアレイおよび前記第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合するように構成されているアンテナ構造であって、前記第2の導波路は、結合された前記ビームを前記第2の細長いスロット内に集中させるように構成されている、アンテナ構造と、
前記第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気と
を備え、
前記第2の局は、
第2のレーザサブシステムを備え、前記第2のレーザサブシステムは、
前記第2の細長いスロットに光学的に結合されており、入力光信号をそれに提供するように構成されている1つまたは複数の入力レーザであって、前記入力光信号は、前記第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている、1つまたは複数の入力レーザと、
前記第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成するように構成されている光学サブシステムであって、前記分光分析データは、前記目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す、光学サブシステムと、
経時的な前記分光分析データに基づいて時系列データを生成するように構成されているデータ処理サブシステムであって、前記時系列データは、前記第1の局から送信される前記情報を表す、データ処理サブシステムと
を備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項12】
前記アンテナ構造は、前記第2のフォトニック結晶構造の一体部分である、請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記第2の導波路は、前記第2の細長いスロットの軸に平行な方向に沿った結合されている目標RF電磁放射のビーム群速度を低減するように構成されている、請求項11に記載の通信システム。
【請求項14】
前記目標RF電磁放射のビームの前記1つまたは複数の特性は、前記ビームの強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の通信システム。
【請求項15】
前記アンテナ構造は、前記目標RF電磁放射のビームの偏光をフィルタリングするように構成されている偏光子を備え、
前記目標RF電磁放射のビームの前記1つまたは複数の特性は、前記目標RF電磁放射のビームの偏光を含む、請求項11に記載の通信システム。
【請求項16】
前記第2の局は、第2の基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準アンテナを備え、前記第2のRF電磁放射は、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有し、
前記基準アンテナは、前記フォトニック結晶レシーバの前記アンテナ構造に電磁的に結合されている、請求項11に記載の通信システム。
【請求項17】
無線周波数(RF)電磁放射を使用して情報を通信する方法であって、
第1の局において、第2の局に送信される情報を表す目標RF電磁放射のビームを生成することであり、前記第1の局は、
フォトニック結晶メーザを備え、前記フォトニック結晶メーザは、
誘電体材料から形成されており、キャビティのアレイと細長いスロットとを有するフォトニック結晶構造で、前記細長いスロットは、前記キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている、フォトニック結晶構造、および
前記細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気を備え、
前記キャビティのアレイおよび前記細長いスロットは、放出されると、前記目標RF電磁放射を前記目標RF電磁放射のビームに成形するように構成されている導波路を画定する、
生成することと、
前記第2の局において前記目標RF電磁放射のビームを受信することであり、前記第2の局は、前記目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを備える、受信することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の局は、前記細長いスロットに光学的に結合されているポンプレーザを有するレーザサブシステムを備え、
前記目標RF電磁放射のビームを生成することは、前記ポンプレーザの動作によって前記光信号を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザサブシステムは、前記ポンプレーザと通信する信号処理電子機器を備え、
前記光信号を生成することは、前記信号処理電子機器の動作によって、前記光信号の1つまたは複数の特性を制御することを含み、前記光信号の前記1つまたは複数の特性は、前記光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の局のトラッキングサブシステムの動作によって、前記目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるように前記フォトニック結晶メーザの向きを改変することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記目標ロケーションは、第1の目標ロケーションであり、
前記方法は、前記第2の局のトラッキングサブシステムの動作によって、前記レシーバを第2の目標ロケーションに向けるように前記レシーバの向きを改変することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の局および前記第2の局は、それぞれ、前記第2の目標ロケーションおよび前記第1の目標ロケーションに配置されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の目標ロケーションおよび前記第2の目標ロケーションは、中継局のロケーションに対応し、
前記方法は、前記中継局の動作によって、前記第1の局からの前記目標RF電磁放射のビームの前記中継局における受信に応答して、目標RF電磁放射の第2のビームを前記第2の局に送信することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記目標RF電磁放射のビームを生成することは、前記細長いスロットの軸に平行な方向に沿った目標RF電磁放射の群速度を低減することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記フォトニック結晶メーザは、出力結合器を備え、
前記目標RF電磁放射のビームを生成することは、前記出力結合器の動作によって、前記目標RF電磁放射のビームを前記フォトニック結晶メーザの周囲環境にインピーダンス整合させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記フォトニック結晶メーザは、入力結合器を備え、
前記方法は、
制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成することと、
前記入力結合器の動作によって、前記基準RF電磁放射を前記導波路に結合することと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記レシーバは、フォトニック結晶レシーバであり、前記フォトニック結晶レシーバは、
誘電体材料から形成されており、キャビティの第2のアレイと第2の細長いスロットとを有する第2のフォトニック結晶構造であって、前記第2の細長いスロットは、前記キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている、第2のフォトニック結晶構造と、
前記細長いスロットと位置整合されているアンテナ構造と、
前記第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気と
を備え、
前記目標RF電磁放射のビームを受信することは、前記アンテナ構造の動作によって、前記目標RF電磁放射のビームを、前記キャビティの第2のアレイおよび前記第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記RF電磁放射のビームを受信することは、前記第2の導波路の動作によって、結合された前記ビームを前記第2の細長いスロット内に集中させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の局は、
第2のレーザサブシステムを備え、前記第2のレーザサブシステムは、
前記第2の細長いスロットに光学的に結合されている1つまたは複数の入力レーザと、
前記第2の細長いスロットに光学的に結合されている光学サブシステムと
を備え、
前記方法は、
前記1つまたは複数のポンプレーザの動作によって前記第2の蒸気の入力光信号を生成することであって、前記入力光信号は、前記第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている、入力光信号を生成することと、
前記光学サブシステムの動作によって、前記第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成することであって、前記分光分析データは、前記目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す、分光分析データを生成することと
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第2のレーザサブシステムは、前記光学サブシステムと通信するデータ処理サブシステムを備え、
前記方法は、
前記データ処理サブシステムの動作によって、経時的に前記光学サブシステムから受信される分光分析データに基づいて時系列データを生成することであって、前記時系列データは、前記第1の局から送信される前記情報を表す、時系列データを生成することを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、2022年2月8日に提出された米国特許出願第17/667,281号に対する優先権を主張する。
【0002】
以下の説明は、フォトニック結晶メーザを使用した情報の通信に関する。
【背景技術】
【0003】
通信システムは、情報を局間で移動させるためにワイヤレス信号を送受信する局を含み得る。伝搬中、ワイヤレス信号は、外向きに放射され得るか、または、代替的に、経路に沿ってビームに収束され得る。ビームは、通信システムの2つ以上の局がポイントツーポイントモードにおいて通信することを可能にし得る。ビームは傍受される傾向がより低いため、そのようなポイントツーポイント通信は、情報の安全な送信を可能にし得る。ビームはまた、広い球状放出よりも、2つの局間でのその伝搬に必要とする電力をより少なくすることができる。ポイントツーポイント通信には、ビーム様放出に起因して、従来、レーザが利用されてきた。しかしながら、レーザビームは、雲、雨、霧、雪、粉塵などのような一般的な大気現象による散乱の影響を受けやすい。この散乱は、レーザビームの強度を減衰させ、レーザビームが2つの局の間で信号を送達する能力を低減する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】衛星および水塊中に部分的に潜水した潜水艦を含む例示的な通信システムの概略図である。
図1B】衛星および水塊上に展開した複数の船舶を含む例示的な通信システムの概略図である。
図1C】一対の衛星を含む例示的な通信システムの概略図である。
図2A】第1の局および第2の局を含む例示的な通信システムの概略図である。
図2B図2Aの例示的な通信システムであるが、衛星が例示的な通信システムの中継局としての役割を果たす、例示的な通信システムの概略図である。
図3A】2つの光学窓に接合されている誘電体ボディを含む例示的なフォトニック結晶メーザの概略斜視図である。
図3B】無線周波数(RF)電磁放射のビームを検知するための例示的なフォトニック結晶レシーバの概略斜視図である。
図4】ポイントツーポイント通信システムの例示的な局のブロック図である。
図5図4の例示的な局へのRxデータフローおよび当該局からのTxデータフローをハンドリングするためにデータ処理サブシステムによって利用される例示的なアプリケーション層の概略図である。
図6】例示的な同期、信号、およびトラフィックパケットを含む例示的なメッセージフォーマットの概略図である。
図7】RF電磁放射の入力ビームを時系列データに変換するための例示的なプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一般的な態様において、通信システムは、第1の局および第2の局を備える。第1の局は、フォトニック結晶メーザ、レーザサブシステム、およびトラッキングサブシステムを含む。フォトニック結晶メーザは、誘電体材料から形成されるフォトニック結晶構造を含む。フォトニック結晶構造は、キャビティのアレイと、キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている細長いスロットとを有する。フォトニック結晶メーザはまた、細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気も含む。キャビティのアレイおよび細長いスロットは、放出されると、目標RF電磁放射をビームに成形するように構成されている導波路を画定する。目標RF電磁放射のビームは、通信システムの第2の局に送信される情報を表す。レーザサブシステムは、細長いスロットに光学的に結合されており、光信号を生成するように構成されているポンプレーザを含む。レーザサブシステムは、ポンプレーザと通信し、光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている信号処理電子機器も含む。光信号の1つまたは複数の特性は、光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む。トラッキングサブシステムは、フォトニック結晶メーザの向きを制御し、以て、目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるように構成されている。
【0006】
通信システムの第2の局は、目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを含む。いくつかの変形例において、レシーバは、誘電体材料から形成される第2のフォトニック結晶構造を含むフォトニック結晶レシーバである。第2のフォトニック結晶構造は、キャビティの第2のアレイと、キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている第2の細長いスロットとを有する。フォトニック結晶レシーバは、目標RF電磁放射のビームを、キャビティの第2のアレイおよび第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合するように構成されているアンテナ構造を含む。第2の導波路は、結合されたビームを第2の細長いスロット内に集中させるように構成されている。フォトニック結晶レシーバは、第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気を付加的に含む。これらの変形例において、第2の局は、第2の細長いスロットに光学的に結合されており、入力光信号をそれに提供するように構成されている1つまたは複数の入力レーザを有する第2のレーザサブシステムを含む。入力光信号は、第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている。第2の局は、第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成するように構成されている光学サブシステムも含む。分光分析データは、目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す。第2の局は、経時的な分光分析データに基づいて時系列データを生成するように構成されているデータ処理サブシステムを付加的に含む。時系列データは、第1の局から送信される情報を表す。
【0007】
いくつかの実施態様において、通信システムは、ポイントツーポイント通信システムである。これらの実施態様において、通信システムは、RF電磁放射のビームを、第1の局から第2の局へ(またはその逆に)情報を通信するための指向性手段として使用し得る。狭い帯域幅を使用したポイントツーポイント通信は、いくつかの理由から有用であり得る。例えば、ポイントツーポイント指向性通信は、妨害耐性通信を可能にすることができる。ポイントツーポイント通信はまた、敵対者がメッセージをリスンするためにビームを傍受する必要があるため、安全であり得る。その上、ポイントツーポイント通信は、指向性ビームが従来の無線周波数(RF)システムほど多くの干渉を生成しないため、周波数スペクトルのより良好な利用を可能にすることができる。
【0008】
特定の事例において、通信システムによって使用されるRF電磁放射のビームは、レーザによって放出される光ビームを使用するシステムにまさる利点を提供することができる。可視および近赤外線周波数範囲内のレーザは、レーザが、指向性の高い放出を生成し、標準的なRFシステムと比較したときに相対的に小型にすることができるため、ポイントツーポイント通信の主な主力製品であった。しかしながら、レーザベースのシステムの主な欠点は、雨、雪、粉塵、煙、霧、および雲翳(雲を通じた送信が必要とされる場合)などの、一般的な大気条件において良好に機能しないことである。特に、大気粒子(例えば、雨粒)は、レーザ波長よりも大きく、したがって、可視光および近赤外光のビームを散乱させる可能性がある。
【0009】
他方、無線周波数(RF)電磁放射は、雨、雪、粉塵、霧、および雲翳を貫通することができる。RF電磁放射は、対応するRFトランスミッタが指向性に乏しいため、ポイントツーポイント通信には一般的に使用されていない。例えば、RFアンテナは、典型的には、数度を超える角拡散を有するビームを放出する。対照的に、RFメーザは、高い指向性をもって放出することができる。しかしながら、これらのメーザは、かさばり、メーザ動作に関して伝導性である分子遷移と関連付けられるもの(例えば、アンモニア)などの、少数の周波数においてのみ機能する。RFポイントツーポイント指向性通信システムを作成するためには、関連する周波数において機能する小型メーザが必要とされる。通信システムのフォトニック結晶メーザは、そのようなデバイスである。リュードベリ原子メーザであってもよいフォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶レシーバ(または、例えばリュードベリ原子レシーバ)と対にして、同じ技術に基づくトランシーバを形成することができる。フォトニック結晶メーザは、トランシーバの送信構成要素(Tx)としての役割を果たすことができ、一方、フォトニック結晶レシーバは、受信構成要素(Rx)としての役割を果たすことができる。多くの実施態様において、フォトニック結晶メーザとフォトニック結晶レシーバの両方は、制御のための信号処理およびレーザシステムに結合されている全誘電体デバイスである。しかしながら、いくつかの実施態様において、レシーバ構成要素(Rx)は、従来のレシーバ(例えば、アンテナ)であってもよい。
【0010】
フォトニック結晶メーザをトランシーバから第2の局上のレシーバに向けることは、第1の局および第2の局のうちの一方または両方上のトラッキングシステムによって容易にすることができる。例えば、第1の局は衛星局であってもよく、第2の局は地上局であってもよい。第1の局上のトラッキングシステムは、フォトニック結晶メーザを地上局に向けるように動作し得る。別の例として、第1の局は月局であってもよく、第2の局は地球局であってもよい。この例において、第1の局および第2の局は、トランシーバを規定する1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを各々含んでもよい。第1の局および第2の局のトラッキングシステムは、第1の局のトランシーバを第2の局に向け、および、その逆を行うように動作可能であり得る。
【0011】
第1の局と第2の局との間の通信を符号化するための多くの異なるシステムが可能である。例えば、RF電磁放射のビームの強度を、第1の局、第2の局、または両方において変調することができる。オンオフキーイングおよびパルス位置変調が、使用することができる強度変調の2つの可能性のある方式である。位相シフトキーイング、差動位相シフトキーイング、周波数シフトキーイング、または偏光シフトキーイングを使用することもできる。これらの後者の方式は、フォトニック結晶メーザが基準RF発振器からのものなどの、安定したRF信号によってインジェクションシーディングされる場合に実施され得る。インジェクションシーディング(またはロック)は、メーザ出力の位相および周波数を固定し、いくつかの変形例において、それを安定したクロック信号にリンクさせる。偏光シフトキーイングを使用するために、異なる偏光を有する2つの直交するフォトニック結晶メーザを、偏光感度の高い2つのレシーバ(例えば、2つの直交するフォトニック結晶レシーバ)とともに使用することができる。各トランシーバにおいて同期されたフォトニック結晶メーザを使用するヘテロダイン式測定によって、位相および周波数(または一般的に、位相または角度)を決定することができる。
【0012】
第1の局および第2の局は、ポイントツーポイント通信システムの一部であってもよく、または、ポイントツーポイント通信システムを規定してもよい。ポイントツーポイント通信は、従来の通信システムよりも本質的に安全であり得、引き起こす干渉がより少ないものであり得る。なりすましているトランスミッタから、目標トランスミッタに向けられているレシーバへと放射を方向付けることがより困難であるため、ポイントツーポイント通信システムでは、なりすましもより困難である。ポイントツーポイント通信はまた、ステルスアプリケーションも可能にし得る。ステルスアプリケーションについて、RF電磁放射のビームの電力レベルは、無指向性放射(例えば、球状ブロードキャスト放射)に必要とされる電力レベルよりも低くすることができる。従来のRFシステムと比較して、サイズ、重量、および電力(SWaP)を低減することもできる。ポイントツーポイント通信システムのアンテナは、相対的に小さくすることができ、通信チャネルは、広範囲の周波数にわたって位置することができる。その上、ポイントツーポイント通信システムは、複数の周波数において動作することができる。
【0013】
レーザが、それらの可用性のために、衛星通信および他のポイントツーポイントシステムに従来利用されてきた。レーザは、指向性が高く、相対的に小型にすることができる。しかしながら、光と比較すると、無線周波数放射(例えば、1MHz~300GHz)が、通信には有利である。これは、無線周波数放射が、特に一部の無線周波数帯域において、雨、雪、粉塵、雲翳、および霧をより良好に貫通することができるためである。しかし、無線周波数システムは指向性に乏しい傾向があるため、無線周波数システムは一般的にポイントツーポイント通信に使用されない。多くの事例において、無線周波数アンテナは、数度以上の拡散にわたって放出する。無線周波数メーザは、その放出の高度の指向性に起因して、この拡散を低減するために使用することができる。しかしながら、今日、無線周波数メーザは、かさばり、極端に限られた数の周波数においてのみ機能し得る。したがって、実際的であり、レーザと同様の指向性を有する無線周波数ポイントツーポイント通信システムを作成するために、関連する周波数において動作する小型メーザをレシーバと対にして、指向性無線周波数トランシーバを構築することができる。
【0014】
多くの実施態様において、本明細書に記載されているフォトニック結晶メーザは、例えば、RF電磁放射のビームなどの、指向性RF電磁放射を放出するように構成されている。そのようなメーザは、ポイントツーポイント通信システムの局において使用することができる。フォトニック結晶メーザは、リュードベリ原子ベースの検知技術を使用して動作し得る。リュードベリ原子ベースの検知技術は、原子のリュードベリ状態を含む内部エネルギー状態の量子干渉を使用して電磁放射を検出する。この動作プロセスは、自己較正し、感度が高く、電磁的に透明であり、サブ波長のものである。他の利点が可能である。リュードベリ原子ベースの検知技術は、MHz~THzの周波数範囲にわたって機能することができ、実際的に任意のリュードベリ原子遷移に対して機能するメーザを生成するために使用することもできる。そうするために、メーザは、フォトニック結晶キャビティを使用して、遷移に対するメージングを促進することができる。フォトニック結晶キャビティは、超高感度レシーバ(またはフォトニック結晶レシーバ)を作成するために使用することもできる。このレシーバは、偏光とRF電場の両方に対して超高感度であり得る。フォトニック結晶レシーバは、自己較正かつ全誘電体でもあり得る。
【0015】
フォトニック結晶メーザは、レシーバ(例えば、従来のレシーバまたはフォトニック結晶レシーバ)と組み合わせて、リュードベリ原子ベースのトランシーバを構築することができる。トランシーバは、通信システムの局間のポイントツーポイント通信に使用することができる。複数のトランシーバ、または複数のレシーバおよび複数のフォトニック結晶メーザをともにグループ化して、マルチ周波数および/またはマルチ偏光および/またはマルチチャネル通信システムを形成することができる。トランシーバ内のフォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶メーザの位相および周波数を固定するように、位相および周波数安定RF波によってインジェクションシーディングすることができる。インジェクションシードは、信号を符号化するために、位相または周波数変調して、フォトニック結晶メーザの出力を周波数または位相変調させることができる。位相および周波数符号化は、差動位相シフトキーイング、位相シフトキーイング、または周波数シフトキーイングなどの方式を可能にすることができる。1つまたは複数のポンプレーザを使用して、フォトニック結晶メーザの強度を変調することができる。ポンプレーザの変調は、オンオフキーシフティングおよびパルス位置変調などの、強度変調符号化方式を実施するための1つの方法であり得る。インジェクションロックフォトニック結晶メーザまたは第2のインジェクションロックフォトニック結晶メーザを、ヘテロダインまたはホモダイン検出手法のためにレシーバとともに使用することができる。そのような手法は、通信システムの周波数または位相符号化を可能にすることができる。クロックに対して参照されるRF場も、ヘテロおよびホモダイン測定に使用することができる。
【0016】
いくつかの実施態様において、通信システムは、防衛または軍事用途向けに構成することができる。通信システムは、情報を送信するために、フォトニック結晶メーザからの非常に狭いコヒーレントなビームを使用するため、そのような送信は、通信システムの局(例えば、第1の局および第2の局)間のポイントツーポイント通信を可能にすることができる。送信および受信機能の高い指向性は、そのような通信を妨害耐性にし、安全にすることができる。通信リンクの指向性はまた、干渉も低減する。その上、無線周波数の使用は、霧、雲翳および他の形態の降水の、レーザによって生成される光よりも良好な貫通を可能にする。レーザ光システムは、地上とスペースボーンの両方のシステムについて実証されている。しかし、フォトニック結晶メーザの増幅によって、リュードベリ技術スペースボーン通信システムを作成することが可能であり得る。
【0017】
通信システムの指向性トランシーバはまた、GPSオープン領域とGPS拒絶領域との間で測位、ナビゲーション、およびタイミング(PNT)+情報を安全に送信または中継するために使用することもできるほか、GPS拒絶PNT用のビーコンシステムのバックボーンとしても役割を果たすことができる。トランシーバの利用の別の例は、特にトランスミッタの安全性および検出の低減が不可欠である軍事用途のための、悪天候における船舶間の通信である。例えば、通信システムは、空母群を形成する船舶間の内密の安全な通信を作成するために使用することができる。内域防御幕は約19kmであり、これは、ズムウォルト級駆逐艦の水平線(例えば、約22km)以内である。22~45kmの外域防御幕は、内域防御幕によるポイントツーポイント容量以内である。結果として、内域および外域防御幕は、空母群の主要部分を有する安全な通信システムを設定することができる。外側哨戒領域は、約370kmに位置付けられるため、ポイントツーポイント範囲外である。
【0018】
いくつかの変形例において、衛星通信を、防御幕、特に哨戒線に通信を中継するために使用することができる。図1A図1Cは、様々な環境に配備されるそれぞれの例示的な通信システムの概略図を提示する。図1A図1Bにおいて、例えば、悪天候に起因して通信チャネルを喪失する結果が許容不可能である状況において、無線周波数が光にまさる多くの利点を有することが容易に分かる。信号灯は、依然として海軍によって使用されることに留意されたい。通信システムは、悪天候をより良好に貫通し、はるかにより大きいデータレートを有するものによって、信号灯を確実に置き換えることができる。
【0019】
図1Aは、衛星および水塊中に部分的に潜水した潜水艦を含む例示的な通信システムの概略図を提示する。衛星および潜水艦は、それぞれ、例示的な通信システムの第1の局および第2の局としての役割を果たすことができる。しかしながら、衛星はまた、例示的な通信システムの中継局であってもよい。例示的な通信システムの周囲環境は、雲、降水(例えば、雨)、および潜水艦が部分的に潜水する水塊を含む。その上、衛星および潜水艦は、双方向ポイントツーポイント通信に参加し得る。図1Bは、衛星および水塊上に展開した複数の船舶を含む例示的な通信システムの概略図を提示する。衛星および船舶は、例示的な通信システムのそれぞれの局としての役割を果たすことができる。図1Aと同様に、図1Bの通信システムの周囲環境は、雲および降水(例えば、雨)を含む。衛星および艦隊の船舶は、互いとの双方向ポイントツーポイント通信に参加し得る。図1Cは、一対の衛星を含む例示的な通信システムの概略図を提示する。衛星対は、例示的な通信システムの第1の局および第2の局としての役割を果たすことができ、これは、例示的な通信システムの中継チェーンの一部であることを含んでもよい(例えば、第1の局および第2の局が各々、中継局である)。しかしながら、他のタイプの空中局が可能である。例えば、ドローンは、通信システムの衛星間のポイントツーポイント通信が有用であり得る、もう1つの分野である。いくつかの事例において、通信システムは、他の安全通信用途の中でも、ドローン制御、海軍通信、衛星通信、および一般的に軍事通信に用途があり得る。
【0020】
ポイントツーポイント通信システムは、複数の利点をもたらすことができる。上述したように、ポイントツーポイント通信は、従来の通信よりも傍受が困難であるため、本質的により安全である。ポイントツーポイント通信を使用することができるとき、そのような通信は、内密でステルス性のものとすることができる。ポイントツーポイント通信は、干渉を低減し、利用可能な電磁スペクトル(例えば、RFスペクトル)のより効率的な使用を可能にすることもできる。しかしながら、RFドメインにおいてポイントツーポイント通信を使用することに対する主なハードルは、指向性の高いRFトランスミッタを欠くことである。アンテナ、さらにはほとんどの多素子アンテナは、広い空間放出を有する。その上、従来のメーザを使用して、指向性の高いRFビームを生成することはできるが、これは限定された周波数向けにしか存在しない。加えて、既知のメーザシステムは、生成することができる周波数が限られている。他方、光は、レーザの可用性に起因して、ポイントツーポイント通信に大規模に使用されてきた。光を使用した安全で内密な用途のためのポイントツーポイント通信の広い導入は、降水、粉塵、および雲が光を効率的に散乱させ、これらの条件下での動作を実行不可能にするという事実によって妨げられている。しかしながら、RF電磁放射は、降水、粉塵および雲を光よりも良好に貫通することができる。その上、ポイントツーポイント通信に関するRF電磁放射の信頼性は、指向性レーザ源を使用することができる場合、光よりも優れ得る。
【0021】
晴天では、約1cm以下の波長の大気透過率は、近赤外線大気透過帯域に概ね等しい。ポイントツーポイント通信について、これらの波長の放射の選択において差はほとんどない。しかしながら、約0.25mm/時の降雨において、赤外線周波数の減衰は、無線周波数波長のそれを1桁超える。デシベル毎キロメートル単位で測定される減衰について、無線周波数波長は、約0.02dB/kmの損失を被り、一方、赤外線は約0.7dB/kmの損失を被る。0.1g/m3の霧について、この効果はさらにより劇的になり得る。無線周波数波長について、霧は減衰には無関係であるが、赤外線の減衰は、約200dB/kmまで4桁増大する。25mm/時の激しい雨について、無線周波数波長は、約1dB/km程度減衰され得、しかし、赤外線は、約10dB/kmとより大幅に減衰される。共通の天候条件における減衰のこれらの劇的な差は、リュードベリ原子メーザを中心として構築されるポイントツーポイント通信システムが、高忠実度通信が所望されるときに有用であることを示している。
【0022】
図2Aは、第1の局202および第2の局204を含む例示的な通信システム200の概略図を提示する。第1の局202は、フォトニック結晶メーザ202aを含み、図2Aに示すようないくつかの変形例においては、フォトニック結晶レシーバ202bも含む。フォトニック結晶メーザ202aおよびフォトニック結晶レシーバ202bは、第1の局202のトランシーバの一部であってもよく、または、当該トランシーバを規定してもよい。第2の局204は、目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを含んでもよい。レシーバは、従来のレシーバであってもよく、または、図2Aに示すように、フォトニック結晶レシーバ204bであってもよい。いくつかの変形例において、第2の局204は、フォトニック結晶メーザ204aも含む。これらの変形例において、フォトニック結晶メーザ204aおよびフォトニック結晶レシーバ204bは、第2の局204のトランシーバの一部であってもよく、または、当該トランシーバを規定してもよい。いくつかの変形例において、フォトニック結晶メーザ202a、204aおよびレシーバ202b、204bは、それぞれ、リュードベリ原子メーザおよびレシーバである。これらの変形例において、フォトニック結晶メーザ202a、204aおよびレシーバ202b、204bは、それぞれ、気体リュードベリ原子(例えば、RbおよびCsなどのIA族原子)によって規定されるそれぞれの蒸気を含んでもよい。
【0023】
これらの実施態様において、フォトニック結晶メーザ202a、204aは、誘電体材料から形成されるフォトニック結晶構造を各々含む。フォトニック結晶構造は、キャビティのアレイと、キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている細長いスロットとを有する。フォトニック結晶メーザ202a、204aは、細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気も各々含む。キャビティのアレイおよび細長いスロットは、放出されると、目標RF電磁放射をビームに成形するように構成されている導波路を画定する。目標RF電磁放射のビームは、通信システムの別の局(例えば、フォトニック結晶メーザ202aの場合は第2の局204、フォトニック結晶メーザ204aの場合は第1の局など)に送信される情報を表す。フォトニック結晶メーザ202a、204aの特徴は、図3Aに関連してさらに説明する。
【0024】
フォトニック結晶レシーバ(例えば、フォトニック結晶レシーバ202bまたは204b)を有する実施態様において、フォトニック結晶レシーバは、誘電体材料から形成され、第2のキャビティのアレイおよび第2の細長いスロットを有する第2のフォトニック結晶構造を含む。第2の細長いスロットは、キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている。フォトニック結晶レシーバは、目標RF電磁放射のビームを、キャビティの第2のアレイおよび第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合するように構成されているアンテナ構造も含む。アンテナ構造は、第2のフォトニック結晶構造の一体部分であってもよい。第2の導波路は、結合されたビームを第2の細長いスロット内に集中させるように構成されている。フォトニック結晶レシーバは、第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気を付加的に含む。いくつかの変形例において、アンテナ構造は、目標RF電磁放射のビームの偏光をフィルタリングするように構成されている偏光子を含む。フォトニック結晶レシーバの特徴は、図3Bに関連してさらに説明する。
【0025】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶メーザ202aは、第1の局202のトランシーバのトランスミッタ(またはTx構成要素)としての役割を果たすことができる。同様に、フォトニック結晶メーザ204aは、第2の局204のトランシーバのトランスミッタ(またはTx構成要素)としての役割を果たすことができる。いくつかの実施態様において、フォトニック結晶レシーバ202bは、第1の局202のトランシーバのレシーバ(またはRx構成要素)としての役割を果たすことができる。同様に、フォトニック結晶レシーバ204bは、第2の局204のトランシーバのレシーバ(またはRx構成要素)としての役割を果たすことができる。動作中、フォトニック結晶メーザ202a、204aおよびフォトニック結晶レシーバ202b、204bは、第1の局202および第2の局204が、RF電磁放射のビームを使用してポイントツーポイント通信モードにおいて動作することを可能にすることができる。例えば、第1の局202のフォトニック結晶メーザ202aは、RF電磁放射のビームを第2の局204に送信することができる。第2の局204のフォトニック結晶レシーバ204bは、そのアンテナ構造をRF電磁放射のビームに結合することによって、RF電磁放射のビームを受信することができる。
【0026】
多くの実施態様において、フォトニック結晶メーザ202a、204aは、リュードベリ原子メーザである。リュードベリ原子メーザは、MHz~THzに及ぶ実質的に任意の周波数において動作することができる。例えば、リュードベリ原子メーザは、Ryberg原子メーザのフォトニック結晶構造によって画定される導波路の導波路モードと共振することができる。この共振は、リュードベリ原子メーザが、特定の選択された周波数において機能することを可能にすることができ、誘電体ボディ内の蒸気セル構造は、リュードベリ原子メーザがこの範囲内のほぼあらゆる周波数において動作することを可能にするように変化させることができる。いくつかの実施態様において、フォトニック結晶レシーバ202b、204bは、リュードベリ原子レシーバである。これらの実施態様において、トランシーバのTxおよびRx構成要素を作動させるために、単一のレーザシステムが使用されてもよい。例えば、複数の周波数に切り替えることができ、または、複数の周波数において動作することができるアジャイルレーザシステムを使用して、通信システムの局内の複数のトランシーバをサポートすることができる。また、複数のレーザを使用して、複数のトランシーバを動作させることもできる。リュードベリ原子レシーバは、誘電体であること(そのため、レシーバを最小限の干渉でグループ化することができる)、感度が高いこと、および、トランシーバ内のリュードベリ原子メーザと同じレーザ、制御、および信号処理パッケージによって駆動されることなどの特性から受益することができる。いくつかの変形例において、リュードベリ原子メーザは、リュードベリ原子レシーバと同様の構造などのフォトニック結晶導波路蒸気セルまたは蒸気セル内で増幅することができる。
【0027】
いくつかの実施態様において、第1の局202は、ポンプレーザおよび信号処理電子機器を有するレーザサブシステム202cを含む。ポンプレーザは、(例えば、光ファイバを介して)フォトニック結晶メーザ204aの細長いスロットに光学的に結合されており、光信号を生成するように構成されている。いくつかの事例において、複数のポンプレーザが存在してもよい。信号処理電子機器は、ポンプレーザと通信し、光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている。光信号の1つまたは複数の特性は、光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む。さらなる事例において、光信号の1つまたは複数の特性は、光信号の偏光を含む。
【0028】
いくつかの実施態様において、レーザサブシステム202cは、フォトニック結晶レシーバ202bの第2の細長いスロットに光学的に結合されており、入力光信号をそれに提供するように構成されている1つまたは複数の入力レーザを含む。いくつかの事例において、1つまたは複数の入力レーザは、ポンプレーザを含む。入力光信号は、フォトニック結晶レシーバ202bの第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている。レーザサブシステム202cは、第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成するように構成されている光学サブシステムも含む。分光分析データは、通信システム200の別の局(例えば、第2の局204)からの目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す。いくつかの変形例において、目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性は、ビームの強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む。フォトニック結晶レシーバのアンテナ構造が偏光子(例えば、フォトニック結晶レシーバ202bまたは204b)を含む変形例について、1つまたは複数の特性は、ビームの偏光を含み得る。図2Aに示すものなどの多くの変形例において、第2の局204は、第1の局202に関連して説明したものに類似するレーザサブシステム204cを含む。
【0029】
いくつかの実施態様において、第1の局202は、経時的な分光分析データに基づいて時系列データを生成するように構成されているデータ処理サブシステム202d(またはアプリケーションサブシステム)を付加的に含む。時系列データは、通信システム200の別の局(例えば、第2の局204)から送信される情報を表す。いくつかの事例において、データ処理サブシステム202dは、レーザサブシステム202cの一部であってもよい。図2Aに示すものなどの多くの変形例において、第2の局204は、第1の局202に関連して説明したものに類似するデータ処理サブシステム204dを含む。
【0030】
いくつかの実施態様において、第1の局202および第2の局204のうちの一方または両方は、それぞれのトラッキングサブシステム202e、204eを含む。トラッキングサブシステム202e、204eは、慣性航法ユニット(INU)を含んでもよい。各トラッキングサブシステム202e、204eは、第1の局202または第2の局204と関連付けられるトランシーバの向きを制御するように構成されている。例えば、トラッキングサブシステム202eは、第1の局202のトランシーバの向きを制御し、以て、フォトニック結晶メーザ202aの向きを、そこから放出される目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるように制御することができる。いくつかの変形例において、目標ロケーションは、第1の目標ロケーションであり、第2の局204のトラッキングサブシステム204eは、そのトランシーバを第2の目標ロケーションに向ける。これらの変形例において、第1の局202および第2の局204は、それぞれ、第2のロケーションおよび第1のロケーションに配置されてもよい。したがって、第1の局202のトランシーバは第2の局に向き、および、その逆が行われる。しかしながら、他の向きが可能である。
【0031】
例えば、通信システム200は、中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されている中継局(例えば、衛星、ドローン、航空機、船舶、塔など)を含み得る。第1の目標ロケーションおよび第2の目標ロケーションのうちの一方または両方は、中継ロケーションに対応し得る。図2Bは、図2Aの例示的な通信システム200であるが、衛星206が例示的な通信システムの中継局としての役割を果たす、例示的な通信システムの概略図を提示する。第1の局202および第2の局204のトランシーバは、衛星206に向くように方向付けられる。その上、第1の局202および第2の局204は、衛星206との双方向ポイントツーポイント通信に参加する。したがって、衛星206は、第1の局202および第2の局204に類似して構成することができる(例えば、通信システム200の第3の局としての役割を果たす)。図2Bは中継局を示すが、衛星206は、ターミナルエンドなどの、中継局のチェーンの一部であってもよい。この場合、第1の局202は、衛星206に向いてもよく、第2の局204はチェーンの別の中継局に向いてもよい。
【0032】
トラッキングサブシステム202e、204eは、通信チャネルを固定するために第1の局202および第2の局204の方向付けを能動的にロックするように構成することができ、これは、目標ロケーション(例えば、飛行機、ドローンなど)を移動させることを含んでもよい。トラッキングサブシステム202e、204eは、方向付けを微調整するためにレシーバおよびトランスミッタならびに可動光学素子(例えば、3軸傾斜ステージ上のミラー)を独立して方向付けるためのジンバルマウントを含んでもよい。慣性航法ユニットが、トランシーバの方向付けを支援することができる。しかしながら、いくつかの変形例において、ビーコン、または一連のビーコンを使用して、通信リンクが確立され得るまでに方向付けを改善することができる。リンクが確立されると、方向付けおよびトラッキングを能動的にロックして、チャネルを維持することができる。
【0033】
フォトニック結晶メーザ202a、204aは、信号を符号化するために、周波数変調、位相変調、または振幅変調することができる。レシーバ信号は、ホモダインまたはヘテロダイン検出などの技法を使用したローカルメーザ放射を使用して復調することができる。異なる局におけるフォトニック結晶メーザは、原子時計またはGPSタイミング信号であってもよい、慣性航法ユニットからのクロック信号を使用することによって、互いにコヒーレントにすることができる。図2Aは、衛星が、タイミングおよび位置情報を含むGPS信号を提供するように動作可能である事例を示す。
【0034】
いくつかの実施態様において、第1の局202および第2の局204のうちの一方または両方は、制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準RFサブシステムを含む。いくつかの変形例において、基準RFサブシステムは、基準RF発振器(例えば、原子時計)を含み、第1の局202または第2の局204のクロックおよびタイミングサブシステム(例えば、クロックおよびタイミングサブシステム202f、204f)の一部であってもよい。クロックおよびタイミングサブシステムは、通信システム200のその局と他の局との間で通信信号を同期させるように構成されている。クロックおよびタイミングサブシステムはまた、(例えば、インジェクションロックを通じて)その局のフォトニック結晶メーザの安定した基準としての役割を果たすように構成されている。クロックおよびタイミングサブシステムは、通信システム200のその局と他の局との間に通信チャネルを確立するなどのために、その局のトラッキングサブシステムを支援するように構成することもできる。
【0035】
第1の局202が基準RFサブシステムを含む事例において、フォトニック結晶メーザ202aは、基準RF電磁放射をその導波路に結合するように構成されている入力結合器を含んでもよい。同様に、第2の局204が基準RFサブシステムを含む事例において、フォトニック結晶メーザ204aは、類似の入力結合器を含んでもよい。フォトニック結晶メーザ202a、204aの入力結合器は、それらのそれぞれのフォトニック結晶構造の一体部分であってもよい。基準RFサブシステムは、存在する場合、フォトニック結晶メーザ202a、204aがインジェクションロックされることを可能にすることができる。例えば、メーザは、クロックおよびタイミングサブシステムからのクロック信号に対して参照される小RF発振器信号によってインジェクションロックすることができる。いくつかの変形例において、約1千億分率(1 part in 1011)のタイミング正確度が可能である。しかしながら、さらなる変形例において、約1十兆分率(1 part in 1013)のタイミング正確度が可能である(例えば、ポータブルシステムの場合)。
【0036】
例えば、2つの直交偏光フォトニック結晶メーザおよび直交偏光を受信するように向けられている2つのフォトニック結晶レシーバを使用することによって、偏光変調も可能である。冗長性に加えて、第1の局202および第2の局204内で複数のトランシーバを使用して、通信システム200の帯域幅を増大させることができる。例えば、単一のフォトニック結晶メーザとレシーバとの対の帯域幅は、約20MB/秒であり得る。周波数コムに基づくものなどの単一のレーザシステムによって、そのようなシステムを駆動することが可能である。
【0037】
いくつかの実施態様において、第1の局202および第2の局204のうちの一方または両方は、第2の基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準アンテナを含む。第2の基準RF電磁放射は、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有する。基準アンテナは、レシーバ(例えば、従来のレシーバ、フォトニック結晶レシーバ202b、204bのアンテナ構造など)に電磁的に結合されている。動作中、基準アンテナは、第2の基準RF電磁放射を、レシーバによって受信されるRF電磁放射の入力ビームに重ね合わせることができる。そのような重ね合わせは、第2の基準RF電磁放射とRF電磁放射の入力ビームとの間の干渉を引き起こすことができ、したがって、RF電磁放射の入力ビームの位相および周波数が、基準場に対して決定されることを可能にする。
【0038】
いくつかの実施態様において、第1の局202および第2の局204は、通信インターフェース(例えば、通信インターフェース202g、204g)を各々含む。これらの実施態様において、データ処理サブシステム202d、204dは、それぞれの通信インターフェース202g、204gから信号(音声、ビデオ、コーデックなど)を取り込み、それを送信のためにフォーマット化し、レーザサブシステムの信号処理電子機器に送る。そのような動作を補助するために、信号処理電子機器は、変調電子機器を含むことができる。データ処理サブシステム202d、204d、は、同期を制御し、接続を維持し、これは、シグナリングパケットのハンドリングを含む。同様に、データ処理サブシステム202d、204dは、フォトニック結晶レシーバから生データを取り込み、生データを信号処理して、それぞれの通信インターフェース202g、204g向けに信号をフォーマット化することができる。いくつかの形態の復調は、部分的に、信号のヘテロダイン検出またはホモダイン検出など、フォトニック結晶レシーバ202b、204bにおいて行われ得る。受信信号は、処理されると、それぞれの通信インターフェース202g、204g.への出力のためにフォーマット化される。
【0039】
ここで、図3Aを参照すると、2つの光学窓304、306に接合されている誘電体ボディ302を含む例示的なフォトニック結晶メーザ300の概略図が、斜視において提示されている。例示的なフォトニック結晶メーザ300は、図2Aおよび図2Bに関連して説明したフォトニック結晶メーザ202a、204aに類似し得る。誘電体ボディ302は、誘電体ボディ302内にフォトニック結晶構造310を画定するように周期的に順序付けされたキャビティ308のアレイを含む。例えば、アレイのキャビティ308は、斜方格子、正方格子、矩形格子、六角格子、菱形格子などのような、二次元格子のそれぞれの部位に配置されてもよい。図3Aにおいて、各キャビティ308は、貫通孔によって画定される。しかしながら、複数の形状の組み合わせを含む、キャビティ308の他の形状(例えば、止まり穴、内部空隙など)が可能である。誘電体ボディ302はまた、フォトニック結晶構造310内の欠陥を画定する、キャビティ308のアレイ内の領域312(または欠陥領域)も含む。この領域は、二次元格子の2つ以上の連続する部位にキャビティ308を欠くことによって画定することができる。図3Aにおいて、領域312は、一行分のキャビティ308がない線形領域である。しかしながら、湾曲、円形、楕円形、蛇行、正方形、矩形、六角形などを含む、他の幾何形状が可能である。
【0040】
誘電体ボディ302は、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料から形成され得る。材料は、例えば、ρ>103Ω・cmの高い抵抗率を有する絶縁材料であってもよく、また、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料に対応してもよい。例えば、誘電体ボディ302は、シリコンから形成されてもよい。別の例において、誘電体ボディ302は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノケイ酸ガラスなどの、二酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスから形成されてもよい。いくつかの事例において、誘電体ボディ302の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、また、1つまたは複数の二元酸化物の組み合わせ(例えば、Y:ZrO2、LaAlO3など)であってもよい。特定の変形例において、組み合わせは、BaLn2Ti412に対応してもよく、Lnは、元素周期表のランタニド族からの1つまたは複数の元素を指す。他の事例において、誘電体ボディ302の材料は、ケイ素(Si)、ダイヤモンド(C)、窒化ガリウム(GaN)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。
【0041】
誘電体ボディ302は、誘電体ボディ302の表面内のスロット開口部から誘電体ボディを少なくとも部分的に通って延在する、領域312を通る細長いスロット314を付加的に含む。図3Aにおいて、細長いスロット314は、誘電体ボディ302を完全に貫通して第2のスロット開口部へと延在する。キャビティ308のアレイおよび細長いスロット314は、導波路モードを有する導波路を画定する。動作中、導波路は、無線周波数(RF)電磁放射(またはその波)を、領域312の軸に沿って、誘電体ボディ302の端部などに向けて誘導することができる。
【0042】
例示的なフォトニック結晶メーザ300はまた、細長いスロット314内の蒸気(または蒸気源)も含む。蒸気は、アルカリ金属原子のガス、希ガス、二原子ハロゲン分子のガス、または有機分子のガスなどの成分を含んでもよい。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子(例えば、K、Rb、Csなど)のガス、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Krなど)、または両方を含んでもよい。別の例において、蒸気は、二原子ハロゲン分子(例えば、F2、Cl2、Br2など)のガス、希ガス、または両方を含んでもよい。さらに別の例において、蒸気は、有機分子(例えば、アセチレン)のガス、希ガス、または両方を含んでもよい。他の成分を含む、蒸気の他の組み合わせが可能である。蒸気源は、熱、紫外線放射への曝露、レーザ光による照射などのようなエネルギー刺激に応答して蒸気を生成することができる。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子のガスに対応してもよく、蒸気源は、細長いスロット314内に配置されたときに固相または液相になるように十分に冷却されたアルカリ金属質量に対応してもよい。
【0043】
多くの実施態様において、蒸気は、電子エネルギー準位の対の間で規定される電子遷移(例えば、リュードベリ遷移、原子遷移、分子遷移など)を有する。特に、蒸気は、1つまたは複数の入力電子遷移および1つまたは複数の入力電子遷移に結合される出力電子遷移を含む。出力電子遷移は、目標RF電磁放射を放出するように動作可能であり、導波路の1つまたは複数の導波路モードと共振する。いくつかの実施態様において、例示的なフォトニック結晶メーザ300は、蒸気の1つまたは複数の入力電子遷移を励起することが可能な光信号を生成するように構成されているレーザ(例えば、レーザサブシステムのポンプレーザ)を含む。いくつかの実施態様において、出力電子遷移は、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する目標RF電磁放射を放出するように動作可能である。
【0044】
フォトニック結晶構造310は、導波路内の目標RF電磁放射のフォトニックバンドギャップを規定し得る。フォトニックバンドギャップは、導波路内の目標RF電磁放射の横磁場(TM)モード、横電場(TE)モード、または両方に関するものであり得る。フォトニックバンドギャップは、フォトニック結晶構造310が、目標RF電磁放射の特性に影響を及ぼすことを可能にし得る。例えば、フォトニック結晶構造310は、目標RF電磁放射を細長いスロット314内に集中させるように構成することができる。フォトニック結晶構造310は、細長いスロット314の方向に沿った(例えば、細長いスロット314の軸に沿った)目標RF電磁放射(またはその波)の群速度を低減するように構成することもできる。そのような影響は、フォトニック結晶構造310が、蒸気による光子の吸収および放出を制御するように構成することができる。
【0045】
いくつかの実施態様において、細長いスロット314は、部分的に誘電体ボディ302を通じて延在し、誘電体ボディ302は、細長いスロット314のスロット開口部を画定する表面を含む。これらの実施態様において、例示的なフォトニック結晶メーザ300は、細長いスロット314を被覆し、スロット開口部の周りにシールを形成するために表面に接合されている窓表面を有する光学窓(例えば、光学窓304)を含む。そのようなシールは、光学窓および誘電体ボディ302が、細長いスロット314内の蒸気(または蒸気源)をシールし、以て、領域312内に蒸気セルを画定するのを支援することができる。光学窓は、圧着、陽極接合、ガラスフリット接合などを使用して誘電体ボディ302に接合することができる。そのような接合は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる「Vapor Cells Having One or More Optical Windows Bonded to a Dielectric Body」と題する米国特許第10,859,981号に記載されている技法を使用して形成されてもよい。
【0046】
光学窓は、目標RF電磁放射を放出するために蒸気を刺激するために使用される電磁放射(例えば、レーザ光)に対して透明である材料から形成されてもよい。例えば、光学窓は、電磁放射の赤外線波長(例えば、700~5000nm)、電磁放射の可視波長(例えば、400~700nm)、または電磁放射の紫外線波長(例えば、10~400nm)に対して透明であってもよい。その上、光学窓の材料は、例えば、ρ>103Ω・cmの高い抵抗率を有する絶縁材料であってもよく、また、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料に対応してもよい。例えば、光学窓の材料は、石英、石英ガラス、またはホウケイ酸ガラス中に見出されるものなどの、二酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含んでもよい。別の例において、光学窓の材料は、サファイアまたはアルミノケイ酸ガラス中に見出されるものなどの、酸化アルミニウム(例えば、Al23、Alxyなど)を含んでもよい。いくつかの事例において、光学窓の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、また、1つまたは複数の二元酸化物の組み合わせであってもよい(例えば、Y:ZrO2、LaAlO3、BaLn2Ti412など)であってもよい。他の事例において、光学窓の材料は、ダイヤモンド(C)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。
【0047】
いくつかの実施態様において、誘電体ボディ302の表面は、キャビティ308のアレイの各々のキャビティ開口部を画定する。光学窓は、キャビティ開口部の各々を被覆してもよく、または被覆しなくてもよい。光学窓がキャビティ開口部の各々を被覆する実施態様において、光学窓の窓表面は、キャビティ開口部の各々の周りにシールを形成することができる。
【0048】
いくつかの実施態様において、細長いスロット314は、誘電体ボディ302を完全に貫通して延在する。例えば、図3Aに示すように、誘電体ボディ302は、第2の表面318の反対の第1の表面316を含むことができ、細長いスロット314は、第1の表面316から誘電体ボディ302を通じて第2の表面318へと延在する。第1の表面316は、細長いスロット314の第1のスロット開口部320を画定することができ、第2の表面318は、細長いスロット314の第2のスロット開口部(図示せず)を画定することができる。これらの実施態様において、例示的なフォトニック結晶メーザ300は、それぞれ細長いスロット314の第1のスロット開口部および第2のスロット開口部を被覆する第1の光学窓304および第2の光学窓306を含む。第1の光学窓304および第2の光学窓306は、誘電体ボディ302の表面に接合されている窓表面を各々有し、細長いスロット314内の蒸気(または蒸気源)をシールして蒸気セルを画定することができる。そのような事例において、第1の光学窓304は、第1のスロット開口部320を被覆することができ、誘電体ボディ302の第1の表面316に接合されて第1のスロット開口部320の周りにシールを形成する第1の窓表面322を有することができる。同様に、第2の光学窓306は、第2のスロット開口部を被覆することができ、誘電体ボディ302の第2の表面318に接合されて第2のスロット開口部の周りにシールを形成する第2の窓表面324を有することができる。
【0049】
例示的なフォトニック結晶メーザ300が第1の光学窓304および第2の光学窓306を含む実施態様において、誘電体ボディ302の第1の表面316および第2の表面318は、それぞれ、キャビティ308のアレイの各々の第1のキャビティ開口部および第2のキャビティ開口部を画定することができる。これらの実施態様において、第1の光学窓304および第2の光学窓306は、それぞれ第1のキャビティ開口部および第2のキャビティ開口部の各々を被覆してもよく、または、被覆しなくてもよい。光学窓がキャビティ開口部の各々を被覆する実施態様において、第1の光学窓322は、第1のキャビティ開口部の各々の周りにシールを形成することができ、第2の光学窓324は、第2のキャビティ開口部の各々の周りにシールを形成することができる。
【0050】
いくつかの実施態様において、例示的なフォトニック結晶メーザ300は、目標RF電磁放射をフォトニック結晶メーザ300の周囲環境にインピーダンス整合させるように構成されている出力結合器326を含む。出力結合器326は、導波路が、放出時に目標RF電磁放射をビームに成形するのを支援することができる。これらの実施態様において、キャビティ308のアレイ内の領域312は、軸328に沿って延在することができ、細長いスロット314は、軸328に平行に位置整合する(例えば、軸328と一致する)ことができる。誘電体ボディ302は、このとき、誘電体ボディ302の端部330から延在し、軸328と位置整合することができる、出力結合器326を含む。出力結合器326は、誘電体ボディ302(またはフォトニック結晶構造310)の一体部分であってもよいが、また、別個のボディであってもよい。別個である場合、出力結合器326は、誘電体材料から形成されてもよい。しかしながら、出力結合器326はまた、金属から形成される従来の結合器であってもよい。図3Aは、テーパにおいて終端する、誘電体ボディ302からの突出部としての出力結合器326を示す。しかしながら、出力結合器326の他の幾何形状が可能である。
【0051】
いくつかの実施態様において、出力結合器326は、出力ビームを、出力ビームが伝搬するように意図されている媒質(例えば、空気)にインピーダンス整合させるための、フォトニック結晶ミラー332などの出力ミラーに電磁的に結合されている。フォトニック結晶ミラー332は、アレイ内の理想的な周期的位置から空間的にオフセットされている1つまたは複数のオフセットキャビティによって規定することができる。1つまたは複数のオフセットキャビティは、細長いスロット314の端部(例えば、端部330)の最も近くに存在することができ、細長いスロット314の端部から外方へのそれぞれの空間オフセットを有することができる。1つまたは複数のオフセットキャビティはまた、細長いスロット314の側部の最も近くに存在することができ、細長いスロット314の側部から外方へのそれぞれの空間オフセットを有することができる。他のロケーションが可能である。出力ビームをコリメートするためのレンズを追加することもできる。いくつかの変形例において、細長いスロット314は、(例えば、その軸に沿った幅において)テーパ状にされてもよい。そのようなテーパリングは、フォトニック結晶ミラー332の形成を支援することができる。
【0052】
いくつかの実施態様において、出力ビームの偏光をフィルタリングするための偏光子を出力結合器326に追加することができる。例えば、出力結合器326は、テーパ状端部において終端することができ、テーパ状端部と位置整合されている狭窄部分を含むことができる。共平面セグメントのアレイは、狭窄部分から外向きに延在することができ、それに沿って周期的な間隔を有することができる。共平面セグメントのアレイは、目標RF電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成されている。
【0053】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶ミラー332は、細長いスロット314の一端または両端に配置される。図3Aは、フォトニック結晶ミラー332が細長いスロット314の両端に存在する事例を示す。フォトニック結晶ミラー332が存在することによって、出力電力を増大させることができ、メーザの利得閾値を低下させることができ、またはその両方が可能である。例えば、フォトニック結晶ミラー332は、動作中に領域312をトラバースする電磁放射(例えば、例示的なフォトニック結晶メーザ300の動作中に蒸気によって放出される目標RF電磁放射)を反射することができる。この容量において、領域312は、メーザキャビティの内部などの、メーザキャビティの一部としての役割を果たすことができる。その上、フォトニック結晶ミラー332は、キャビティ308のアレイおよび細長いスロット314が、蒸気によって放出される電磁放射のためのキャビティ構造(例えば、スロット導波路)を画定するのを支援することができる。存在する場合、細長いスロット314のテーパも、フォトニック結晶ミラー332が、蒸気によって放出される電磁放射のためのキャビティ構造を画定するのを支援することができる。
【0054】
多くの変形例において、フォトニック結晶ミラー332は、細長いスロット314の端部付近のフォトニック結晶構造310の寸法特性の改変に対応する。例えば、細長いスロット314の端部におけるフォトニック結晶構造310を通じた目標RF電磁放射の伝送は、アレイ内のキャビティ308の間隔、誘電体ボディ302の厚さ、アレイ内のキャビティ308の直径などを変化させることによって改変することができる。誘電体ボディ302内で、目標RF電磁放射(または共振波)に対する完璧なフォトニック結晶幾何形状は、完璧な反射体として作用することができ、一方、フォトニック結晶の不在は、完璧なトランスミッタとして作用することができる。
【0055】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶ミラー332は、フォトニック結晶構造310のキャビティ共振周波数ωcにおける、または、その付近における電磁放射の周波数に対して80%を超える反射率を有して構成される。この反射率は、フォトニック結晶構造310(またはその中の領域312)と関連付けられるキャビティ品質計数Qを増大させ、以て、メージングを行うための閾条件を低下させることができる。いくつかの変形例において、反射率は85%よりも大きい。いくつかの変形例において、反射率は90%よりも大きい。いくつかの変形例において、反射率は92%よりも大きい。いくつかの変形例において、反射率は94%よりも大きい。いくつかの変形例において、反射率は96%よりも大きい。
【0056】
いくつかの実施態様において、光学ミラー334が、細長いスロット314の一端または両端に配置される。光学ミラー334は、細長いスロット314によって画定される光路に対して角度付けされてもよく、または、光路に垂直に角度付けされてもよい。光学ミラー334は、軸328などの細長いスロットの長手方向軸に沿って光信号を案内する役割を果たすことができる。そうするために、光学ミラー334は、そのような光信号を反射するように構成されている表面を含むことができる。光信号は、レーザ(例えば、ポンプレーザ)から細長いスロット314内へと受信される光を含むことができる。
【0057】
いくつかの実施態様において、蒸気は、原子(例えば、リュードベリ原子)の蒸気であり、各原子が放出器として機能することができる。動作中、細長いスロット314を取り囲むフォトニック結晶構造310は、原子の原子遷移周波数における電磁波を減速させ、集中させることができる。原子は、レーザによってポンピングされ、結果、導波路の共振モード(または導波路モード)と共振する、原子遷移における反転分布が確立される。導波路の共振モードへの放射の放出は、電場がより強く、好都合な放出であるため、増強され得る。刺激された放出が優勢であり、自由空間伝搬のためにインピーダンス整合および成形することができる導波路に沿ったコヒーレントな指向性メーザビームを作成する。フォトニック結晶ミラーは、細長いスロット314の端部に実装することができ、そのため、放射は、細長いスロット314内で前後に伝搬することができ、さらに増幅することができる。細長いスロット314は、反転分布において蓄積されているエネルギーを取り込み、そのエネルギーが導波路の導波路モードに放出されるようにし、結果、コヒーレントな指向性放射ビームがもたらされる。類似の動作が、蒸気が分子の蒸気である例示的なフォトニック結晶メーザ300の実施態様について可能である。
【0058】
例示的なフォトニック結晶メーザ300は、大量生産に適するように構築することができる。例示的なフォトニック結晶メーザ300によって出力される電力の量は、レーザによって提供される光信号の強度を変化させることによって、非常に低いレベルまで制御することができる。その上、スイッチング時間は数ナノ秒であり得、これは、キャビティ寿命がこの程度であり得るためである。寿命がナノ秒単位であり、レーザをGHz帯域幅において変調することができるため、レーザは、ベースバンド変調を同じ周波数スケール(例えば、GHz)のキャリア周波数にインプリントすることができる。
【0059】
例示的なフォトニック結晶メーザ300は、リュードベリ原子レシーバ、リュードベリ原子蒸気セルセンサ、またはリュードベリ原子蒸気セルセンサと組み合わせて、RF電磁放射を受信および送信することができるデバイスを作成することもできる。例えば、図2Aおよび図2Bに示すように、フォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶レシーバと対にされて、トランシーバの一部または全部が規定される。
【0060】
ここで、図3Bを参照すると、無線周波数(RF)電磁放射のビームを検知するための例示的なフォトニック結晶レシーバ350の概略図が、斜視において提示される。例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、図2Aおよび図2Bに関連して説明したフォトニック結晶レシーバ202b、204bに類似し得る。例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、誘電体ボディ352を含み、誘電体ボディ352は、例示的なフォトニック結晶レシーバ350によって測定されるRF電場(またはRF電磁放射)に対して実質的に透明な材料から形成され得る。材料は、例えば、ρ>103Ω・cmの高い抵抗率を有する絶縁材料であってもよく、また、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料に対応してもよい。例えば、誘電体ボディ352は、シリコンから形成されてもよい。別の例において、誘電体ボディ352は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノケイ酸ガラスなどの、二酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスから形成されてもよい。いくつかの事例において、誘電体ボディ352の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、また、1つまたは複数の二元酸化物の組み合わせであってもよい(例えば、Y:ZrO2、LaAlO3など)であってもよい。特定の変形例において、組み合わせは、BaLn2Ti412に対応してもよく、Lnは、元素周期表のランタニド族からの1つまたは複数の元素を指す。他の事例において、誘電体ボディ352の材料は、ケイ素(Si)、ダイヤモンド(C)、窒化ガリウム(GaN)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。
【0061】
誘電体ボディ352は、誘電体ボディ352内にフォトニック結晶構造356を画定するように周期的に順序付けされたキャビティ354のアレイを含む(例えば、フォトニック結晶構造356は、誘電体材料から形成され、キャビティ354のアレイを含む)。キャビティ354のアレイは、誘電体ボディ352を通じて部分的にまたは完全に延在し得る。例えば、キャビティ354のアレイは、止まり穴のアレイであってもよく、または、図3Bに示すように、貫通孔のアレイであってもよい。キャビティ354のアレイはまた、誘電体ボディ352を通じて部分的にまたは完全に延在する部分に分割されてもよい。例えば、キャビティ354のアレイは、誘電体ボディ352を通じて部分的に延在する第1の部分(例えば、止まり穴)、および、誘電体ボディ352を通じて完全に延在する第2の部分(例えば、貫通孔)を含んでもよい。図3Bは、キャビティ354のアレイを、円形貫通孔のアレイであるものとして描写しているが、キャビティ354のアレイの他の形状が可能である(例えば、六角形、長円形など)。いくつかの変形例において、キャビティ354のアレイの各々は、0.5ミリメートル~10ミリメートルの範囲内の最大寸法を有する。最大寸法は、各キャビティについて同じであってもよい。いくつかの変形例において、キャビティ354のアレイは、0.9ミリメートル~15ミリメートルの範囲内の周期的な間隔を有する。いくつかの変形例において、誘電体ボディ352は、0.5ミリメートル~10ミリメートルの範囲内の厚さを有するプレートである。
【0062】
誘電体ボディ352は、フォトニック結晶構造356内の欠陥を画定する、キャビティ354のアレイ内の領域358も含む。多くの変形例において、領域358は、キャビティの不在によって画定されるキャビティ354のアレイ内の中実領域である。キャビティの不在は、フォトニック結晶構造356内の欠陥に対応し得る。例えば、欠陥は、「充填された」キャビティの行または列であってもよい。しかしながら、「充填された」キャビティの他のパターンが可能である。いくつかの変形例において、図3Bに示すように、領域358は、誘電体ボディ352の中心に配置されてもよい。誘電体ボディ352は、誘電体ボディ352の表面364内のスロット開口部362から誘電体ボディ352を少なくとも部分的に通って延在する、領域358を通る細長いスロット360を付加的に含む。細長いスロット360は、フォトニック結晶構造356の一部であってもよい。いくつかの変形例において、図3Bに示すように、細長いスロット360は、この領域の中心に配置され、誘電体ボディ352の長手方向軸に沿って位置整合される。例示的なフォトニック結晶レシーバ350の動作中、キャビティのアレイおよび細長いスロット360は、協働してRF電磁放射の導波路として機能することができることが諒解されよう。
【0063】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶構造356は、例示的なフォトニック結晶レシーバ350のフォトニックバンドギャップを規定し得る。例えば、フォトニック結晶構造356は、RF電磁放射の横磁場(TM)モードと関連付けられるフォトニックバンドギャップを規定し得る。別の例において、フォトニック結晶構造356は、RF電磁放射の横電場(TE)モードと関連付けられるフォトニックバンドギャップを規定し得る。RF電磁放射のTMモードとTEモードとの組み合わせも可能である。
【0064】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶構造356は、目標RF電磁放射(例えば、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する目標RF電磁放射)の群速度を低減するように構成されている。そのような構成は、キャビティ354のアレイ内の1つまたは複数のキャビティのサイズを選択すること、キャビティ354のアレイ内の1つまたは複数のキャビティの間隔を選択すること、キャビティ354のアレイの順序付けを選択すること、および/または、誘電体ボディ352の厚さを選択することを伴い得る。他の特性が可能である(例えば、誘電体ボディ352の材料を選択すること)。いくつかの事例において、フォトニック結晶構造356の構成は、数値モデリングを通じて決定されてもよい。
【0065】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶構造356は、目標RF電磁放射を細長いスロット360内に集中させるように構成されている。目標RF電磁放射は、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有してもよい。そのような構成は、キャビティ354のアレイ内の1つまたは複数のキャビティのサイズを選択すること、キャビティ354のアレイ内の1つまたは複数のキャビティの間隔を選択すること、キャビティ354のアレイの順序付けを選択すること、および/または、誘電体ボディ352の厚さを選択することを伴い得る。他の特性が可能である(例えば、誘電体ボディ352の材料を選択すること)。いくつかの事例において、フォトニック結晶構造356の構成は、数値モデリングを通じて決定されてもよい。
【0066】
いくつかの実施態様において、フォトニック結晶構造356は、目標RF電磁放射を方向転換(例えば、反射)するように構成されているフォトニック結晶ミラーを含んでもよい。例えば、キャビティ354のアレイは、アレイ354内の理想的な周期的位置から空間的にオフセットされている1つまたは複数のオフセットキャビティを含んでもよい。1つまたは複数のオフセットキャビティが、フォトニック結晶ミラーを画定することができる。いくつかの変形例において、1つまたは複数のオフセットキャビティは、細長いスロット360の端部の最も近くに存在し、細長いスロット360の端部から外方へのそれぞれの空間オフセットを有することができる。いくつかの変形例において、1つまたは複数のオフセットキャビティは、細長いスロット360の側部の最も近くに存在し、細長いスロット360の側部から外方へのそれぞれの空間オフセットを有する。
【0067】
例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、細長いスロット360内の蒸気または蒸気源も含むことができる。蒸気は、アルカリ金属原子のガス、希ガス、二原子ハロゲン分子のガス、または有機分子のガスなどの成分を含んでもよい。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子(例えば、K、Rb、Csなど)のガス、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Krなど)、または両方を含んでもよい。別の例において、蒸気は、二原子ハロゲン分子(例えば、F2、Cl2、Br2など)のガス、希ガス、または両方を含んでもよい。さらに別の例において、蒸気は、有機分子(例えば、アセチレン)のガス、希ガス、または両方を含んでもよい。他の成分を含む、蒸気の他の組み合わせが可能である。蒸気源は、熱、紫外線放射への曝露、レーザ光による照射などのようなエネルギー刺激に応答して蒸気を生成することができる。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子のガスに対応してもよく、蒸気源は、細長いスロット360内に配置されたときに固相または液相になるように十分に冷却されたアルカリ金属質量に対応してもよい。
【0068】
例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、細長いスロット360を被覆し、スロット開口部362の周りにシールを形成するために誘電体ボディ352の表面364に接合されている窓表面を有する光学窓366を付加的に含むことができる。光学窓366は、圧着、陽極接合、ガラスフリット接合などを使用して誘電体ボディ352に接合することができる。そのような接合は、「Vapor Cells Having One or More Optical Windows Bonded to a Dielectric Body」と題する以前に参照した米国特許第10,859,981号に記載されている技法を使用して形成されてもよい。光学窓366は、蒸気を探査するために使用される電磁放射(例えば、レーザ光)に対して透明である材料から形成されてもよい。例えば、光学窓366は、電磁放射の赤外線波長(例えば、700~5000nm)、電磁放射の可視波長(例えば、400~700nm)、または電磁放射の紫外線波長(例えば、10~400nm)に対して透明であってもよい。その上、光学窓366の材料は、例えば、ρ>103Ω・cmの高い抵抗率を有する絶縁材料であってもよく、また、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料に対応してもよい。例えば、光学窓366の材料は、石英、石英ガラス、またはホウケイ酸ガラス中に見出されるものなどの、二酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含んでもよい。別の例において、光学窓366の材料は、サファイアまたはアルミノケイ酸ガラス中に見出されるものなどの、酸化アルミニウム(例えば、Al23、Alxyなど)を含んでもよい。いくつかの事例において、光学窓366の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、また、1つまたは複数の二元酸化物の組み合わせであってもよい(例えば、Y:ZrO2、LaAlO3、BaLn2Ti412など)であってもよい。他の事例において、光学窓366の材料は、ダイヤモンド(C)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。
【0069】
いくつかの実施態様において、光学窓366は、細長いスロット360、および、細長いスロット360に直に隣接する誘電体ボディ352の表面364のみを被覆する(例えば、領域358またはその一部分)。しかしながら、いくつかの実施態様において、光学窓366はまた、フォトニック結晶構造356と関連付けられる誘電体ボディ352の表面364も被覆する。これらの実施態様において、図3Bに示すように、誘電体ボディ352の表面364は、キャビティ354のアレイの各々のキャビティ開口部を画定する。光学窓366は、キャビティ開口部の各々を被覆してもよい。その上、光学窓366の窓表面は、キャビティ開口部の各々の周りにシールを形成することができる。
【0070】
細長いスロット360が誘電体ボディ352を通じて部分的にのみ延在する実施態様においては、単一の光学窓が、細長いスロット360内の蒸気または蒸気源をシールするために誘電体ボディ352に接合されてもよい。しかしながら、いくつかの実施態様において、細長いスロット360は、誘電体ボディ352を通じて延在してもよい。これらの実施態様においては、2つの光学窓が、細長いスロット360内の蒸気または蒸気源をシールするために誘電体ボディ352に接合されてもよい。例えば、誘電体ボディ352の表面364は、第1の表面であってもよく、誘電体ボディ352は、第1の表面の反対の第2の表面を含んでもよい。このとき、細長いスロット360は、第1の表面から誘電体ボディ352を通じて第2の表面へと延在することができる。この事例において、スロット開口部362は、第1のスロット開口部であってもよく、誘電体ボディ352の第2の表面は、細長いスロット360の第2のスロット開口部を画定することができる。例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、図3Bに示すように、第2のスロット開口部を被覆する第2の光学窓368を含むことができる。第2の光学窓368は、誘電体ボディ352の第2の表面に接合されて第2のスロット開口部の周りにシールを形成する第2の窓表面を有する。
【0071】
いくつかの実施態様において、第2の光学窓368は、細長いスロット360、および、細長いスロット360に直に隣接する誘電体ボディ352の第2の表面のみを被覆する(例えば、領域358またはその一部分)。しかしながら、いくつかの実施態様において、第2の光学窓368はまた、フォトニック結晶構造356と関連付けられる誘電体ボディ352の第2の表面も被覆する。例えば、誘電体ボディ352の第1の表面および第2の表面は、それぞれ、キャビティ354のアレイの各々の第1のキャビティ開口部および第2のキャビティ開口部を画定することができる。この事例において、キャビティ354のアレイは、第1の表面から誘電体ボディ352を通じて第2の表面へと延在する。このとき、第2の光学窓368は、図3Bに示すように、第2のスロット開口部の各々をそれぞれ被覆することができる。その上、第2の窓表面は、第2のキャビティ開口部の各々の周りにシールを形成することができる。
【0072】
いくつかの実施態様において、誘電体ボディ352は、誘電体ボディ352の端部372から延在し、細長いスロット360と位置整合されるアンテナ構造370を含む。例えば、アンテナ構造370は、誘電体ボディ352の端部372から延在し、テーパにおいて終端する突出部であってもよい。アンテナ構造370は、目標RF電磁放射のビーム(例えば、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する目標RF電磁放射のビーム)に結合するように構成することができる。そのような構成は、目標RF電磁放射の数値シミュレーションによって決定することができる、アンテナ構造370の長さを選択することを伴い得る。例えば、厚さ、幅などの寸法の比、長さ対幅比、長さ対厚さ比などを含む、他の寸法も伴い得る。目標RF電磁放射のビームに結合するためのアンテナ構造370の構成は、アンテナ構造370の形状またはアンテナ構造370の湾曲の度合いを選択することも伴い得る。形状、湾曲の度合い、または両方もまた、数値シミュレーションによって決定することができる。
【0073】
いくつかの変形例において、アンテナ構造370は、アンテナ構造370と一体であってもよい偏光子を含む。例えば、アンテナ構造370は、細長いスロット360と位置整合されている狭窄部分を含むことができる。アンテナ構造370はまた、狭窄部分から外向きに延在することができ、それに沿って周期的な間隔を有する共平面セグメントのアレイも含むことができる。共平面セグメントのアレイは、目標RF電磁放射の偏光をフィルタリング(または選択)するように構成されている。
【0074】
いくつかの変形例において、アンテナ構造370は、アンテナ構造370の内部にテーパ376を画定する1つまたは複数のチャネル374を含む。テーパ376は、例えば、目標RF電磁放射のビームなどの、アンテナ構造370によって受信される電磁放射を、例示的なフォトニック結晶レシーバ350の導波路(例えば、細長いスロット360)に結合するように構成されている。そうするために、テーパ376は、細長いスロット360と位置整合されている頂点378を有することができる。例えば、アンテナ構造370は、誘電体ボディ352の端部372から延在する突出部であってもよい。この事例において、アンテナ構造370は、突出部の内部にテーパを画定するV字状チャネルを含むことができる。テーパは、それと位置整合されている細長いスロット360の端部からオフセットされている先端(または頂点)を有することができる。代替の事例において、図3Bに示すように、アンテナ構造370は、突出部内に、基部374aおよび2つの分岐部分374bを含むY字状チャネルを含んでもよい。基部374aは、細長いスロット360と位置整合され、細長いスロット360の端部からオフセットされている端部において終端する。2つの分岐部分374bは、基部374aから分かれて、突出部の内部にテーパ(例えば、テーパ376)を画定する。テーパ376の他の構成が可能である。
【0075】
動作時、例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、誘電体ボディ352のアンテナ構造370においてRF電磁放射を受信する。いくつかの事例において例示的なレシーバ350は、アンテナ構造の内部のテーパ376を使用して、受信RF電磁放射を細長いスロット360に結合する。例示的なフォトニック結晶レシーバ350はまた、受信RF電磁放射をフォトニック結晶構造356と相互作用させる。そのような相互作用において、フォトニック結晶構造356は、細長いスロット360(例えば、細長いスロット360の軸)に平行な方向に沿った受信RF電磁放射の群速度を低減するように構成することができる。フォトニック結晶構造356は、受信RF電磁放射を細長いスロット360内に集中させることもできる。例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、付加的に、入力光信号を細長いスロット360内の蒸気に通過させて、1つまたは複数の出力光信号を生成する。入力光信号は、1つまたは複数の入力レーザ(例えば、プローブレーザ、結合レーザなど)によって生成することができる。いくつかの変形例において、例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、RF電磁放射に対する例示的なレシーバ350の感度を改善するためのパラボラアンテナとともに使用することができる。
【0076】
いくつかの実施態様において、入力光信号を通過させることは、細長いスロット360によって画定される光路に沿って入力光信号を伝搬することを含む。いくつかの実施態様において、入力光信号を通過させることは、細長いスロットの端部に配置されているミラーから入力光信号を反射させることを含む。例えば、例示的なレシーバ350は、細長いスロット360の端部に配置されているミラー380を含んでもよい。ミラー380は、光路に対して角度付け(例えば、45°に角度付け)されてもよく、または、図3Bに示すように、光路に垂直であってもよい。そのような方向付けは、ミラー380が、光を細長いスロット360内に誘導し、光を細長いスロット360に沿って蒸気を通じて誘導し、および/または、光を細長いスロット360から外方に誘導することを可能にすることができる。
【0077】
いくつかの実施態様において、例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、裸の蒸気セルと比較して大幅な係数(例えば、約1000の係数、または別の係数)だけ増強される電場感度を有するリュードベリ原子ベースのレーダレシーバとして機能する。例示的なフォトニック結晶レシーバ350は、少なくとも従来のレシーバと同等の感度を有することができ、熱ノイズフロアに達することが可能であり得る。フォトニック結晶レシーバを作製する方法は、シリコンおよびガラスをレーザによって機械加工することを含み、以て、これらの材料内にμmの精度および10μm未満の特徴サイズを有する微細構造を形成することが可能になる。そのような精度および特徴スケールは、無線周波数場の波長が10μmよりもはるかに大きいため、無線周波数場と相互作用するフォトニック結晶フレームによく適している。目標放射の波長に関連する機械加工プロセスの高い正確度は、デバイスにおける損失を低減することもできる。
【0078】
ここで、図2Aおよび図2Bに戻って参照すると、通信システム200は、一方向通信チャネルを含むように構成されてもよい。例えば、第1の局202は、フォトニック結晶メーザ(例えば、フォトニック結晶メーザ202a)を含んでもよく、第2の局204は、レシーバ(例えば、金属アンテナまたはフォトニック結晶レシーバ204b)を含んでもよい。しかしながら、第1の局202および第2の局204のうちの一方または両方が、2つの主要構成要素を有するトランシーバを含んでもよい。これらの変形例において、第1の構成要素は、受信側デバイス(Rx構成要素)であり、第2の構成要素は、フォトニック結晶メーザに基づく送信側デバイス(Tx構成要素)である。例えば、トランシーバは、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを含むことができる。トランシーバは、通信システム200の第1の局202および第2の局204が、双方向通信チャネルを確立することを可能にすることができる。
【0079】
通信システムにおいて、および、時としてレーダシステムにおいて、受信構成要素と送信構成要素とを分離することが有利であり得る。この分離は、典型的には金属から形成される受信構成要素と送信構成要素との間の信号クロストークを軽減することができ、したがって、他の様態で達成することができるものよりも高いデータレートを可能にすることができる。分離は、各構成要素が、その特定の動作に対して最適化されることを可能にすることができる。しかしながら、全誘電体構築に起因して、通信システム200は、フォトニック結晶メーザとフォトニック結晶レシーバとを近接近して組み合わせることができるが、同時に、送信構成要素を受け入れる従来の金属によって達成されるよりも高い性能を可能にする。その上、フォトニック結晶メーザは、通信システム200がポイントツーポイント通信システムとして動作することを可能にすることができる、レーザのような指向性出力を生成する。局のトランシーバがフォトニック結晶メーザおよびフォトニック結晶レシーバを含む変形例において、これらの構成要素は、同じレーザシステムを使用して、部分的にリュードベリ状態にある原子を使用して無線周波数信号を生成または受信することができる。レーザサブシステムを共有することによって、局は、よりコンパクトにすることができる。他の利点が可能である。
【0080】
フォトニックレシーバは、蒸気が存在する領域において相互作用時間および局所電場強度を増大させるという着想に基づく。フォトニック結晶レシーバは、入射RF電磁放射を導波路へと結合するフォトニック結晶構造を含む。導波路は、入射RF電磁放射を集中させるためのスロットを含み、入射RF電磁放射を減速させて蒸気との相互作用時間を増大させるように構成されている。いくつかの事例において、入射RF電磁放射の場は、およそ千倍増強することができる。この増強は、熱ノイズフロアに対するフォトニック結晶レシーバの感度を増大させることができる。2光子または3光子準備および読み取り方法を、共線配置において実施することができる。しかしながら、より高次の光子プロセスが可能である。いくつかの変形例において、3光子プロセスが使用される。3光子プロセスは、レーザ場と相互作用する蒸気中の原子または分子の数を増大させることができるが、2つの代わりに、3つのレーザを必要とする。この理由から、いくつかの変形例は、リュードベリ原子ベースの検知に使用されるものなどの、2光子プロセスを使用するフォトニック結晶レシーバに依拠し得る。フォトニック結晶レシーバのための多光子プロセスは、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる「Photonic Crystal Receivers」と題する米国特許第11,137,432号にさらに記載されている。
【0081】
フォトニック結晶レシーバと同様に、フォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶構造およびその中の細長い蒸気セルを含む。反射性の高いキャビティ中のリュードベリ原子(例えば、原子の蒸気)は、原子蒸気圧が非常に低くても、極度に低い閾値においてメージングを生成することができる。その上、進行波導波路内の原子または分子もまた、メージングを呈するようにすることができる。フォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶構造(例えば、キャビティのアレイおよびその中の細長いスロット)によって画定される導波路などを通じて、蒸気との相互作用を増大させるように、目標RF電磁放射の場を操作することができる。したがって、蒸気は、それらが導波路の共振モードへと放出することを選好する改変された電磁環境を経験する。増強された放出が十分に大きい場合、蒸気はメージング閾値に達し、フォトニック結晶メーザは、放射をコヒーレントに放出する。増強がより低い場合、フォトニック結晶メーザは、光子結晶レシーバの動作レジームに達し得る。例えば、メージング遷移における蒸気の放出率Aに導波路またはキャビティの品質係数Qを乗算し、メージング周波数wで除算した値が1よりも大きい(すなわち、AQ/w>1)場合、メージングが発生し得る。AQ/wが1未満である場合、フォトニック結晶メーザは、フォトニック結晶レシーバとして動作し得る。フォトニック結晶メーザの動作特性は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる「Photonic Crystal Masers」と題する米国特許出願第17/514,819号にさらに記載されている。
【0082】
メーザとしての動作を保証するために、フォトニック結晶メーザのフォトニック結晶構造は、例えば、Qを増大させるように構成することができる。いくつかの変形例において、フォトニック結晶構造は、フォトニック結晶ミラーを含むように構成されている。これらのミラーは、最大98%の反射率を可能にすることができ、これは、閾値が低いため、メージングを達成するのに十分である。その上、10ナノワットを上回る出力電力を達成することができる。これらの電力は、地上ポイントツーポイント通信システムには十分であるが、スペースボーンシステムには小さい。電力を増大させるために、フォトニック結晶メーザは、導波路結合器によって効率的に結合することができる、フォトニック結晶メーザと同じ状態にポンピングされている蒸気セルまたは同じ状態にポンピングされている原子を有する別の導波路構造を使用して増幅することができる。多くの事例において、ミリワット単位の出力電力が可能である。
【0083】
いくつかの実施態様において、通信システム200は、ポイントツーポイント通信システムとして構成されている。ポイントツーポイント通信システムの範囲は、いくつかの要因によって影響を及ぼされ得る。例えば、目標RF電磁放射のビームは、その経路に沿って減衰され得る。目標RF電磁放射のビームは、経路に沿って拡散もされ得る(または、集束が低くなり得る)。しかしながら、フォトニック結晶レシーバは、RF電磁放射のビームの減衰が通信を中断しない十分な感度を有する。例えば、リュードベリ原子レシーバとして構成されているとき、フォトニック結晶レシーバは、20MHzの帯域幅において約-110dBmの信号を検出することができる。比較すると、多めに見積もってほとんどの用途について約30kmである水平線に対する減衰は、3dBm未満である。その上、-60dBmにおいて動作する増幅されていないフォトニック結晶メーザは、依然として、大きい信号対雑音比で動作する大きなリンクマージンを有する。大気のほとんどは約30kmにおいて終端する成層圏内に包含されるため、同様の分析が、衛星から大気を通じた伝送に適用される。
【0084】
しかしながら、目標RF電磁放射のビームの拡散は、通信チャネルの安定性に対してより強い影響を及ぼし得る。例えば、フォトニック結晶が80GHzにおいて約10ナノワットの電力を生成し、結果としてもたらされるビームが75cmの直径にコリメートされる場合、ビームの角拡散は約0.5度である。30kmの距離において、ビーム直径は、光学素子のみに基づいて約100mまで増大している(例えば、スポットサイズ内の電力の86%を仮定してガウスビーム)。同様であるフォトニック結晶レシーバの入口開口を仮定すると、フォトニック結晶レシーバにおける信号レベルは、20MHzの帯域幅を仮定して約-93dBmであると推定することができ、これは、レシーバの雑音レベルを17dBm上回る。
【0085】
いくつかの変形例において、フォトニック結晶メーザの出力は、ビーム拡散の悪影響を中和するまで(例えば、約1ミリワットまで)増大することができる。例えば、1ミリワットの出力電力において、局の開口は、用途に応じて大幅に低減することができる。局が約2000kmの地球低軌道(LEO)内に配置された(例えば、局が衛星である)場合、局によって送信されるものとしての地球上のスポットサイズは、6kmのサイズになる。同じ信号マージンを得るためには、軌道内の現行のRFシステムよりも大幅に低い、約100μmの電力が必要となる。しかしながら、2000kmの距離は、LEOの外側限界である。LEO内のほとんどの衛星は1000kmよりも下方にあり、一部の衛星は160km程度の低さにある。これらの距離において、局から通信は、フォトニック結晶メーザの増幅なしに確実に行うことができる。約35,000kmの対地同期軌道(GEO)において、数十ミリワットが必要とされるが、この事例においては、フォトニック結晶メーザは増幅され得る。レーザ通信と比較したときに、より大きいビームサイズはまた、ポイントツーポイント通信の利点の多くを依然として維持しながら、トラッキングサブシステムに対する正確度要件も低減し得ることが諒解されよう。
【0086】
ここで図4を参照すると、ポイントツーポイント通信システムの例示的な局のブロック図が提示される。例示的な局は、図2Aおよび図2Bに関連して説明した第1の局202および第2の局204に類似し得る。トランスミッタはフォトニック結晶メーザであり、レシーバは、従来のレシーバ(例えば、金属アンテナ)またはフォトニック結晶レシーバであってもよい。レシーバがフォトニック結晶レシーバである変形例において、トランスミッタおよびレシーバは、同じまたは異なるレーザサブシステムから作動させることができる。メーザ信号の変調および受信信号の復調は、部分的に物理層において、および、部分的にアプリケーション層において行うことができる。例えば、メーザ信号の一部を受信信号とビートすることによって、ヘテロダイン検出をレシーバ自体において行うことができる。受信信号が、検出器によってレシーバを通じて伝送される光を使用して電気信号に変換されると、データ処理サブシステムなどによって、さらなる処理をデジタルに行うことができる。
【0087】
いくつかの実施態様において、トランスミッタは、フォトニック結晶メーザ(例えば、リュードベリ原子メーザ)である。ポンプレーザをオンおよびオフに切り替えることによって、フォトニック結晶メーザの振幅を変調することができる。位相および周波数変調は、フォトニック結晶メーザを安定したRF源(例えば、基準RFサブシステムの基準RF発振器)にインジェクションロックすることによって達成することができる。インジェクションロックは、フォトニック結晶メーザの一方の側の出力結合器を使用することによって行うことができ、いくつかの変形例においては、出力結合器をアンテナまたは導波路に挿入することを含む。フォトニック結晶をインジェクションロックするために必要な電力は、少量のみであり得る。インジェクションロック信号に必要な大きさは、メージングを注入される波の位相および周波数にバイアスするのに十分な程度のみである。インジェクションロックの位相または周波数変調は、して、フォトニック結晶メーザの出力を周波数または位相変調させることができる。フォトニック結晶メーザは、別の局におけるフォトニック結晶メーザと、それら2つが同期される場合に、コヒーレントにすることができる。同期は、場合によっては慣性航法ユニットの一部である同期されたクロックに、注入されるRF波をロックすることによって、行うことができる。
【0088】
いくつかの実施態様において、レシーバは、フォトニック結晶レシーバ(例えば、リュードベリ原子レシーバ)である。フォトニック結晶レシーバのアンテナ構造は、偏光子を実装することができ、結果、それは、RF電磁放射の入力(または入射)ビームの偏光に対して感受性になる。2つのフォトニック結晶レシーバは、偏光変調信号を検出するために使用することができる。その上、複数のフォトニック結晶レシーバは、複数の周波数および偏光において入力ビームを受信するために、ともにグループ化することができる。フォトニック結晶レシーバは、入射RF電磁放射ビームの強度を増大させるためのパラボラアンテナを含むことができる。フォトニック結晶レシーバは、トラッキングサブシステム(例えば、3軸モータ駆動機械式ドライブおよびジンバルマウント)を使用して方向付けることができる。その上、ミラーなどの光学素子の3軸制御によって微調整を行うことができる。フォトニック結晶レシーバの蒸気セル内の蒸気は、(例えば、プローブレーザ、結合レーザなどによって)光学的に準備および読み取りすることができる。光信号は、光ファイバケーブルを介して蒸気セルに輸送されてもよい。また、感度がより低いブロードバンドリュードベリ原子レシーバおよび蒸気セルのアレイも、例示的な局に使用することが可能である。蒸気セルのアレイは、より大きい目標を提示し、これによって方向付けおよびトラッキングを容易にするため、有利であり得る。
【0089】
いくつかの変形例において、例示的な局は、位相および周波数を決定するためのアンテナまたはリュードベリ原子メーザなどの、基準構成要素を含むことができる。基準構成要素は、RF電磁放射の入力ビーム(例えば、フォトニック結晶レシーバに入射するビーム)に重ね合わせるための基準RF電磁放射を生成することができる。決定された位相および周波数は、例えば、送信メーザまたはインジェクションシーディング源を使用したヘテロダイン測定を介して使用することができる。リュードベリ原子メーザは、入射ビームに対する増幅器として使用することもでき、または、基準信号を提供するために使用することができる。リュードベリ原子メーザはまた、誘電体であり、フォトニック結晶レシーバの読み取りおよび準備に使用されるものと同じレーザタイプによって準備またはポンピングすることができる。フォトニック結晶レシーバは自己較正することができるため、方向付け安定性を改善するために、絶対振幅情報を、例示的な局によって使用することができる。
【0090】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、準備および読み取り信号を生成するための入力レーザを有するレーザサブシステムを含む。レーザサブシステムは、レーザ安定化デバイス(例えば、レーザロックおよびチューニング基準)および(単一のレーザ源を使用するマルチ周波数システムのために)レーザ周波数を切り替えるための電子機器も含むことができる。例示的な局は、光検出器などを介した信号取得のために構成されている光学サブシステムも含む。例示的な局は、レーザおよび光学サブシステムを制御するために必要とされる低レベル電子機器を付加的に含むことができる。複数のフォトニック結晶レシーバを有する例示的な局について、この例は、複数の入力レーザまたはスイッチを含むことができ、結果、低減された数の入力レーザが例示的な局を駆動することが可能である。電子機器は、ファブリペローキャビティ、基準蒸気セル、または波長計などの基準に対して入力レーザを周波数安定化させるためのレーザ強度安定化ユニットおよび必要なアクチュエータも含む。また、例示的な局は、フォトニック結晶メーザをインジェクションロックするための基準RF発振器(例えば、マイクロ波発振器)を有する基準RFサブシステムも含むことができる。この基準RF発振器は、慣性航法クロックまたはタイミングサブシステム(例えば、GPS)に対して参照することができる。いくつかの変形例において、基準RF発振器は、導波路またはアンテナを介してフォトニック結晶メーザに結合される。
【0091】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、慣性航法ユニットを含む。クロック信号は、信号検出の時間および位相を同期させるために使用することができるとともに、局を位置付けるための慣性航法ユニットの同期信号としての役割を果たすこともできる。クロック信号は、衛星通信が利用可能である場合(非GPS拒絶領域における動作)、GPS信号に由来し得る。しかしながら、いくつかの変形例において、例示的な局は、原子時計(例えば、CsまたはRbに基づく)、メーザ、または水晶振動子などのバックアップクロックを含む。チップスケール原子時計を使用することができる。これらのデバイスは、信号を再同期するためにGPSと組み合わせることができ、例えば、クロックはGPSステアリングすることができる。メーザクロックは、別の遠隔ロケーションに位置することができ、その同期化信号は、通信チャネルを介して例示的な局に送信することができる。同期信号は、図1および図2Aに示すように、クロックを同期させるために局間で送信することができる。クロック信号は、各局においてインジェクションシード周波数および位相を同期させることによって、各局においてフォトニック結晶メーザを同期させるために使用することもできる。
【0092】
慣性航法ユニットは、例示的な局とともに、その位置を決定するように位置することができる。いくつかの事例において、慣性航法ユニットおよびGPSは、ポイントツーポイント通信システム内の各局においてTx構成要素とRx構成要素との間のリンクを確立するための粗い方向付けに使用することができる。慣性航法ユニットは、タイミングのために使用されるクロック(またはいくつかのクロックおよびGPS)、加速度計、GPSレシーバ、およびジャイロスコープ、またはそれらの何らかの組み合わせを含んでもよい。いくつかの変形例において、例示的な局は、衛星との通信を維持する。これらの変形例において、GPS測位が使用されてもよい。衛星通信がある時間期間にわって拒絶される場合、慣性航法ユニットは、運動している場合に位置をトラッキングすることができる。慣性航法ユニットは、その後、GPS通信が回復したときに、それ自体を再初期化することができる。別の局との通信を使用して、タイミング情報を送信することによって他の局におけるクロックを更新することができることが可能である。フォトニック結晶レシーバは自己較正することができるため、ポイントツーポイント通信システムの局間でRF測距を使用して、位置を得ることができることも可能である。基地局のうちの1つがGPS拒絶環境内で動作しており、他方がそうでない(または、ポイントツーポイント通信システムのいくつかの局がGPS拒絶であり、他がそうでない)場合に、後者の点は特に有用である。
【0093】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、トラッキングサブシステムを含む。トラッキングサブシステムは、1つの局上のTxが他方の局上のRxと位置整合されるように、RxおよびTx構成要素を方向付けおよびトラッキングするように動作可能である。衛星通信が含まれる事例において、トラッキングサブシステムは、信号取得の複数の層をハンドリングすることができる。トラッキングサブシステムは、デバイス(例えば、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ)を方向付けるかまたはミラーの向きを制御するジンバルマウントを制御するためのアクチュエータを含むことができる。例えば、コースアクチュエータおよび制御システムは、広い視野を有することができ、結果、RxおよびTxのレベルにおいて通信チャネルがロックされるまで、RF電磁放射の入力ビームを、後続の改良を伴ってより容易に捕捉することができる。GPS測位を、慣性航法ユニットとともに、システムの最も粗いレベルにおいて使用することができる。その後、より広い視野を有するRFビーコンを使用することができる。RFアンテナまたは拡大メーザビームを使用して、通信リンクを確立するために使用することができる。位置決めは、移動している目標の位置を予測するために慣性航法システムを使用して調整することもできる。チャネルが確立されると、通信チャネルのアクティブロッキングを使用することができる。
【0094】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、変調電子機器を含む。変調電子機器は、フォトニック結晶メーザによって生成されるRF電磁放射のビーム(またはTx信号)(例えば、出射ビーム)の特性を制御する役割を果たすことができる。Tx信号の変調は、いくつかの異なる様式で達成することができる。例えば、Tx信号の振幅を変調するために、ポンプレーザをオンおよびオフにすることができる。パルス位置変調およびオンオフキーイングなどの通信方式を使用することができる。位相および周波数変調は、メーザを別のRF波によってインジェクションシーディングすることによって達成することができる。インジェクションシードは、メーザを、同相で、かつシードの周波数においてメージングするようにバイアスする。シードがポイントツーポイント通信システムの2つ以上の局においてクロックに対して位相ロックされる場合、コヒーレント検出戦略を使用することができる。これらの符号化メッセージ方式は、位相シフトキーイング、差動位相シフトキーイング、周波数シフトキーイングおよび偏光シフトキーイングなどの方法を可能にする。偏光シフトキーイングも可能であるが、異なるそれぞれの偏光を放出する2つのメーザが必要である。
【0095】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、復調電子機器を含む。復調電子機器は、フォトニック結晶レシーバによって受信されるRF電磁放射の入力ビーム(またはRx信号)(例えば、入来ビーム)の時変特性を決定する役割を果たすことができる。リュードベリ原子ベースの検知において、入射するRx信号が光学的に読み取られる。結果生じる光信号は、例えば、二乗検波器上で検出することができる。結果として、振幅検出が単純になるが、位相および周波数検出は、基準RF電磁放射(例えば、基準構成要素によって生成される)が入来信号と重なり合うことを伴い得る。基準RF電磁放射およびRF電磁放射の入力ビームの干渉を使用して、基準場に対する入射場の位相および周波数を決定することができる。これらの方法は、信号の「いわゆる」ホモダインまたはヘテロダイン検出を使用して実現することができる。いくつかの変形例において、Rx信号の復調は、インジェクションロックされたフォトニック結晶メーザからの信号の一部または全部を使用することによって達成することができる。信号は、部分的にまたは全体的に、基準RF電磁放射を提供することができる。アンテナからのシステムクロックに対して参照される信号を生成し、それを基準として使用することも可能である。レシーバが従来のアンテナである(ただし、インジェクションロックされたフォトニック結晶メーザにRF結合されている)場合、高速検出器およびスペクトル分析器を使用して、クロックに対する位相および周波数を得ることができる。
【0096】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、信号処理電子機器を含む。信号処理電子機器は、レーザサブシステムと通信して、ポンプレーザによってフォトニック結晶メーザに提供される光信号の特性を制御することができる。信号処理電子機器は、フォトニック結晶メーザに対する入力レーザによって提供される入力光信号の特性を制御することもできる。信号処理電子機器は、光学サブシステムと協働して、分光分析データを生成することができる。例えば、信号処理電子機器および光学サブシステムは、受信光信号(または出力光信号)を取り込み、分光分析データを生成する前に、信号から雑音を排除することができる。分光分析データは、その後、さらなる処理(例えば、図7に示すようなフォーマット化動作)のためにデータ処理サブシステムに送信することができる。信号処理サブシステムおよび光学サブシステムは、整合フィルタリングなどの方法を利用して、パルスまたは他の通信波形を抽出することができる。それらは、復調電子機器からビート信号を取り込み、ビート信号を周波数および位相データに変換することもできる。いくつかの事例において、信号処理電子機器は、特定の信号プロトコル向けに設計されたFPGA回路を含む。信号プロトコルが、例えば、振幅変調のための位相シフトキーイングを変化させる場合、FPGAは、オンザフライで再プログラムすることができる。
【0097】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、データ処理サブシステムを含む。データ処理サブシステムは、強度、位相または周波数(またはそれらの組み合わせ)を得、それを時系列データに変えるために光学サブシステムによって取得されるスペクトルを処理するアプリケーション層を確立するように動作することができる。図5は、図4の例示的な局へのRxデータフローおよび当該局からのTxデータフローをハンドリングするためにデータ処理サブシステムによって利用される例示的なアプリケーション層の概略図を提示する。時系列データは、情報を受信するためにタイミングシステムに相関付けることができる。情報を送信するために、データ処理サブシステムは、情報をパッケージングし、それを変調電子機器向けに準備する。変調電子機器は、情報を送信するために、フォトニック結晶メーザの出力(例えば、RF電磁放射のビーム)を変調する。データ処理サブシステムはまた、入来信号から振幅、周波数および位相情報を取り込み、それをパッケージングし、通信インターフェース向けに準備する。同様に、データ処理サブシステムは、通信インターフェースによって生成される信号を取り込み、それらをフォトニック結晶メーザを介して送出するために、変調電子機器向けに準備する。
【0098】
いくつかの変形例において、データ処理サブシステムは、システムオンチップ(SoC)から成る。SoCは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と組み合わされたCPUとすることができる。データ処理サブシステムは、時系列データを、通信インターフェースに送信される前に操作することができる。オンオフキーイングおよびパルス位置変調が、使用することができる2つの可能性のある強度変調方式である。位相シフトキーイング、差動位相シフトキーイング、周波数シフトキーイング、または偏光シフトキーイングもまた、すべて使用することができる。これらの後者の方式は、フォトニック結晶メーザが基準RF信号(または電磁放射)によってインジェクションシーディングされる場合に実施され得る。インジェクションロックは、位相および周波数を固定し、それを安定したクロック信号にリンクさせる。偏光シフトキーイングを使用するために、異なる偏光を有する2つの直交するフォトニック結晶メーザを、偏光感度の高い2つのレシーバ(例えば、2つの直交するフォトニック結晶レシーバ)とともに使用することができる。各トランシーバにおいて同期されたメーザを使用するヘテロダイン式測定によって、位相および周波数(一般的には位相または角度)を決定することができる。図6は、例示的な同期、信号、およびトラフィックパケットを含む例示的なメッセージフォーマットの概略図を提示する。例示的なメッセージフォーマットは、データ処理サブシステムによって、通信インターフェースに渡される前に生成されてもよく、または、代替的に、通信インターフェースからデータ処理サブシステムによって受信されてもよい。
【0099】
いくつかの実施態様において、例示的な局は、通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、データ処理サブシステムとデータを交換する。データは、アプリケーション層内で作動されるコンピュータプロセスの結果であってもよい。通信インターフェースもまた、SoC、または、一連の特化されたSoCとすることができる。SoCの構成は、通信チャネルの数およびそれらの性質に依存する。通信インターフェースは、有線、ワイヤレス、または光ファイバ通信手段およびこれらの何らかの組み合わせを介してデータ処理サブシステムに接続することができる。通信インターフェースのプロトコルは、チャネル、必要なデータレート、および必要なタイミングに特有のものであり得る。例えば、コーデック、音声、およびビデオを使用することができる。通信インターフェースは、例示的な局をチューニングするかまたはそのメンテナンスを行うとともに、データを入力および抽出するために使用することもできる。いくつかの事例において、例えば、音声からデジタルへのトランスデューサを伴うコンピュータが存在し得る。データは、キーボード、音声、または他のそのような媒体を介して入力することができる。データストレージもまた、通信インターフェースと関連付けられてもよい。
【0100】
ここで図7を参照すると、RF電磁放射の入力ビームを時系列データに変換するための例示的なプロセスの概略図が提示される。RF電磁放射の入力ビームは、例示的な局のフォトニック結晶レシーバによって受信される。特に、概略図は、フォトニック結晶レシーバの蒸気からの出力光信号が、どのように処理され、音声データ、コーデックデータ、ビデオデータなどを表すことができる時系列データに変換されるかを示す。データ処理サブシステムのアプリケーション層は、トラッキングシステムの慣性航法ユニットと通信して、通信チャネルがオープンであるか否かをスケジューリングし、判定することができる。これらのサブシステムはまた、協働して、通信チャネルを維持することもでき、そうする際に、慣性航法ユニットを通じて動作することができる。ローカルクロックのタイミング電子機器が、例示的な局のためのクロック信号を提供することができる。クロック信号は、例示的な局およびキュー管理のための同期信号をフォーマット化するために使用することができる。
【0101】
いくつかの実施態様において、通信システムは、複数のフォトニック結晶メーザおよびレシーバを含むそれぞれのトランシーバを有する第1の局および第2の局を含む。通信システムはポイントツーポイント通信システムであってもよい。その上、フォトニック結晶メーザは、図2Aおよび図2Bに関連して説明したフォトニック結晶メーザ202a、204aならびに図3Aに関連して説明した例示的なフォトニック結晶メーザ300に類似し得る。フォトニック結晶レシーバは、図2Aおよび図2Bに関連して説明したフォトニック結晶レシーバ202b、204bならびに図3Bに関連して説明した例示的なフォトニック結晶レシーバ350に類似し得る。
【0102】
通信システムの各局は、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを有するトランシーバを含む。特に、各フォトニック結晶メーザは、第1の入力光信号の受信に応答してRF電磁放射の出力ビームを生成するように構成されている。出力ビームは、通信システムの別の局に送信される情報を表す。その上、各フォトニック結晶レシーバは、RF電磁放射の入力ビームおよび第2の入力光信号の受信に応答して出力光信号を生成するように構成されている。入力ビームは、通信システムの別の局から受信される情報を表す。いくつかの変形例において、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザは、互いに直交する偏光を有するそれぞれのRF電磁放射の出力ビームを生成するように構成されている一対のフォトニック結晶メーザを含む。いくつかの変形例において、1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバは、互いに直交する偏光にあるそれぞれの入力RF電磁ビームを処理するように構成されている一対のフォトニック結晶レシーバを含む。
【0103】
第1の局および第2の局は、部分的にレーザ制御サブシステムとしての役割を果たすことができる制御サブシステムも各々含む。制御サブシステムは、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されている1つまたは複数のレーザを有する。1つまたは複数のレーザは、第1の入力光信号および第2の入力光信号を生成するように構成されている。制御サブシステムは、1つまたは複数のレーザと通信する変調電子機器も有する。変調電子機器は、第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている。第1の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第1の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む。制御サブシステムは、1つまたは複数のレーザと通信する復調電子機器を付加的に含む。復調電子機器は、第2の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている。第2の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第2の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む。
【0104】
いくつかの実施態様において、第1の局および第2の局は、トランシーバの向きを制御し、以て、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを目標ロケーションに向けるように構成されているトラッキングサブシステムを付加的に各々含む。いくつかの変形例において、第1の局は、第2の局の目標ロケーションに配置され、第2の局は、第1の局の目標ロケーションに配置される。いくつかの変形例において、通信局は、中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されている中継局を含む。中継ロケーションは、第1の局および第2の局のうちの一方または両方のトラッキングサブシステムの目標ロケーションとしての役割を果たす。
【0105】
いくつかの実施態様において、第1の通信システムおよび第2の通信システムは、制御サブシステムおよびトラッキングサブシステムと通信する航法サブシステムを含む。航法サブシステムは、第1の局または第2の局の位置を決定するように構成されている測位電子機器と、第1の局または第2の局のローカル基準パラメータを設定するように構成されているタイミング電子機器とを含むことができる。位置およびタイミング電子機器のうちの一方または両方は、慣性航法ユニットの一部または全部を規定することができる。ローカル基準パラメータは、ローカル基準時間、ローカル基準周波数、およびローカル基準位相などのパラメータを含んでもよい。さらなる実施態様において、通信システムは、少なくとも第1の局および第2の局の航法サブシステムと同期信号を交換するように構成されているグローバル基準局を含む。同期信号は、グローバル基準時間を含む通信システムのグローバル基準パラメータを表す。グローバル基準パラメータは、グローバル基準周波数およびグローバル基準位相のうちの一方または両方も含んでもよい。
【0106】
いくつかの実施態様において、第1の局および第2の局の制御サブシステムは、1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されており、各フォトニック結晶レシーバの分光分析データのセットを生成するように構成されている光学検出器を含む。分光分析データのセットは、フォトニック結晶レシーバからの出力光信号に基づき、RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性を表す。RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性は、RF電磁放射の入力ビームの強度、位相、周波数、または偏光のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0107】
制御システムが光学サブシステムを含む実施態様において、第1の局および第2の局は各々、制御サブシステムと通信するデータ処理サブシステムを含んでもよい。データ処理サブシステムは、経時的に光学検出器から受信される分光分析データのセットに基づいて第1の時系列のデータを生成することを含む動作を実施するように構成されている。第1の時系列のデータは、通信システムの別の局から送信される情報を表す。動作は、第1の局または第2の局の通信インターフェースから受信される第2の時系列のデータに基づいて変調電子機器のための制御信号を生成することも含む。制御信号は、経時的な第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を表す。第2の時系列のデータは、通信システムの別の局に送信される情報を表す。
【0108】
いくつかの実施態様において、第1の局および第2の局の制御サブシステムは、トランシーバの少なくとも1つのフォトニック結晶レシーバに電磁的に結合されている基準アンテナを含む。基準アンテナは、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている。動作中、基準アンテナは、基準RF電磁放射を、フォトニック結晶レシーバによって受信されるRF電磁放射の入力ビームに重ね合わせることができる。そのような重ね合わせは、基準RF電磁放射とRF電磁放射の入力ビームとの間の干渉を引き起こすことができ、したがって、RF電磁放射の入力ビームの位相および周波数が、基準RF電磁放射の基準場に対して決定されることを可能にする。
【0109】
記載されているもののいくつかの態様において、通信システムは、以下の実施例によって説明することができる。
実施例1.通信システムであって、
第1の局であり、
フォトニック結晶メーザで、
誘電体材料から形成されており、キャビティのアレイと、キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている細長いスロットとを有するフォトニック結晶構造、および
細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気を備え、
キャビティのアレイおよび細長いスロットは、放出されると、目標RF電磁放射をビームに成形するように構成されている導波路を画定し、目標RF電磁放射のビームは、通信システムの第2の局に送信される情報を表す、
フォトニック結晶メーザ、
レーザサブシステムで、
細長いスロットに光学的に結合されており、光信号を生成するように構成されているポンプレーザ、および
ポンプレーザと通信し、光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている信号処理電子機器で、光信号の1つまたは複数の特性は、光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、信号処理電子機器
を備える、レーザサブシステム、ならびに
フォトニック結晶メーザの向きを制御し、以て、目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるように構成されているトラッキングサブシステム
を備える、第1の局と、
目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを備える第2の局と
を備える、通信システム。
実施例2.
目標ロケーションは、第1の目標ロケーションであり、
第2の局は、レシーバの向きを制御し、以て、レシーバを第2の目標ロケーションに向けるように構成されている第2のトラッキングサブシステムを備える、実施例1に記載の通信システム。
実施例3.第1の局および第2の局は、それぞれ、第2の目標ロケーションおよび第1の目標ロケーションに配置されている、実施例2に記載の通信システム。
実施例4.
中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されている中継局を備え、
第1の目標ロケーションおよび第2の目標ロケーションのうちの一方または両方は、中継ロケーションに対応する、実施例2に記載の通信システム。
実施例5.導波路は、細長いスロットの軸に平行な方向に沿った目標RF電磁放射の群速度を低減するように構成されている、実施例1または実施例2~4のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例6.フォトニック結晶メーザは、目標RF電磁放射のビームをフォトニック結晶メーザの周囲環境にインピーダンス整合させるように構成されている出力結合器を備える、実施例1または実施例2~5のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例7.出力結合器はフォトニック結晶構造の一体部分である、実施例6に記載の通信システム。
実施例8.出力結合器は、テーパ状端部において終端し、
テーパ状端部と位置整合されている狭窄部分と、
狭窄部分から外向きに延在し、それに沿って周期的な間隔を有する共平面セグメントのアレイであって、共平面セグメントのアレイは、目標RF電磁放射のビームの偏光をフィルタリングするように構成されている、共平面セグメントのアレイと
を備える、実施例6または7に記載の通信システム。
実施例9.
第1の局は、制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準RFサブシステムを備え、
フォトニック結晶メーザは、基準RF電磁放射を導波路に結合するように構成されている入力結合器を備える、実施例1または実施例2~8のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例10.入力結合器はフォトニック結晶構造の一体部分である、実施例9に記載の通信システム。
実施例11.
レシーバは、フォトニック結晶レシーバであり、フォトニック結晶レシーバは、
誘電体材料から形成されており、キャビティの第2のアレイと第2の細長いスロットとを有する第2のフォトニック結晶構造であって、前記第2の細長いスロットは、キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている、第2のフォトニック結晶構造と、
目標RF電磁放射のビームを、キャビティの第2のアレイおよび第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合するように構成されているアンテナ構造であって、第2の導波路は、結合されたビームを第2の細長いスロット内に集中させるように構成されている、アンテナ構造と、
第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気と
を備え、
第2の局は、
第2のレーザサブシステムを備え、第2のレーザサブシステムは、
第2の細長いスロットに光学的に結合されており、入力光信号をそれに提供するように構成されている1つまたは複数の入力レーザであって、入力光信号は、第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている、1つまたは複数の入力レーザと、
第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成するように構成されている光学サブシステムであって、分光分析データは、目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す、光学サブシステムと、
経時的な分光分析データに基づいて時系列データを生成するように構成されているデータ処理サブシステムであって、時系列データは、第1の局から送信される情報を表す、データ処理サブシステムと
を備える、実施例1または実施例2~10のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例12.アンテナ構造は、第2のフォトニック結晶構造の一体部分である、実施例11に記載の通信システム。
実施例13.第2の導波路は、第2の細長いスロットの軸に平行な方向に沿った結合されている目標RF電磁放射のビーム群速度を低減するように構成されている、実施例11または12に記載の通信システム。
実施例14.目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性は、ビームの強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、実施例11または実施例12~13のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例15.
アンテナ構造は、目標RF電磁放射のビームの偏光をフィルタリングするように構成されている偏光子を備え、
目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性は、目標RF電磁放射のビームの偏光を含む、実施例11または実施例12~14のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例16.
第2の局は、第2の基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準アンテナを備え、第2のRF電磁放射は、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有し、
基準アンテナは、フォトニック結晶レシーバのアンテナ構造に電磁的に結合されている、実施例11または実施例12~15のいずれか1つに記載の通信システム。
【0110】
記載されているもののいくつかの態様において、無線周波数(RF)電磁放射を使用して情報を通信する方法は、以下の実施例によって説明することができる。
実施例17.無線周波数(RF)電磁放射を使用して情報を通信する方法であって、
第1の局において、第2の局に送信される情報を表す目標RF電磁放射のビームを生成することであり、第1の局は、
フォトニック結晶メーザを備え、フォトニック結晶メーザは、
誘電体材料から形成されており、キャビティのアレイと細長いスロットとを有するフォトニック結晶構造で、前記細長いスロットは、キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている、フォトニック結晶構造、および
細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気を備え、
キャビティのアレイおよび細長いスロットは、放出されると、目標RF電磁放射を目標RF電磁放射のビームに成形するように構成されている導波路を画定する、
生成することと、
第2の局において目標RF電磁放射のビームを受信することであり、第2の局は、目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを備える、受信することと
を含む、方法。
実施例18.
第1の局は、細長いスロットに光学的に結合されているポンプレーザを有するレーザサブシステムを備え、
目標RF電磁放射のビームを生成することは、ポンプレーザの動作によって光信号を生成することを含む、実施例17に記載の方法。
実施例19.
レーザサブシステムは、ポンプレーザと通信する信号処理電子機器を備え、
光信号を生成することは、信号処理電子機器の動作によって、光信号の1つまたは複数の特性を制御することを含み、光信号の1つまたは複数の特性は、光信号の強度、位相、または周波数のうちの少なくとも1つを含む、実施例18に記載の方法。
実施例20.
第1の局のトラッキングサブシステムの動作によって、目標RF電磁放射のビームを目標ロケーションに向けるようにフォトニック結晶メーザの向きを改変することを含む、実施例17または実施例18~19のいずれか1つに記載の方法。
実施例21.
目標ロケーションは、第1の目標ロケーションであり、
方法は、第2の局のトラッキングサブシステムの動作によって、レシーバを第2の目標ロケーションに向けるようにレシーバの向きを改変することを含む、実施例20に記載の方法。
実施例22.第1の局および第2の局は、それぞれ、第2の目標ロケーションおよび第1の目標ロケーションに配置されている、実施例21に記載の方法。
実施例23.
第1の目標ロケーションおよび第2の目標ロケーションは、中継局のロケーションに対応し、
方法は、中継局の動作によって、第1の局からの目標RF電磁放射のビームの中継局における受信に応答して、目標RF電磁放射の第2のビームを第2の局に送信することを含む、実施例21に記載の方法。
実施例24.目標RF電磁放射のビームを生成することは、細長いスロットの軸に平行な方向に沿った目標RF電磁放射の群速度を低減することを含む、実施例17または実施例18~23のいずれか1つに記載の方法。
実施例25.
フォトニック結晶メーザは、出力結合器を備え、
目標RF電磁放射のビームを生成することは、出力結合器の動作によって、目標RF電磁放射のビームをフォトニック結晶メーザの周囲環境にインピーダンス整合させることを含む、実施例17または実施例18~24のいずれか1つに記載の方法。
実施例26.
フォトニック結晶メーザは、入力結合器を備え、
方法は、
制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成することと、
入力結合器の動作によって、基準RF電磁放射を導波路に結合することと
を含む、実施例17または実施例18~25のいずれか1つに記載の方法。
実施例27.
レシーバは、フォトニック結晶レシーバであり、フォトニック結晶レシーバは、
誘電体材料から形成されており、キャビティの第2のアレイと第2の細長いスロットとを有する第2のフォトニック結晶構造であって、第2の細長いスロットは、キャビティの第2のアレイの欠陥領域内に配置されている、第2のフォトニック結晶構造と、
細長いスロットと位置整合されているアンテナ構造と、
第2の細長いスロット内に配置されている第2の蒸気と
を備え、
目標RF電磁放射のビームを受信することは、アンテナ構造の動作によって、目標RF電磁放射のビームを、キャビティの第2のアレイおよび第2の細長いスロットによって画定される第2の導波路に結合することを含む、実施例17または実施例18~26のいずれか1つに記載の方法。
実施例28.RF電磁放射のビームを受信することは、第2の導波路の動作によって、結合されたビームを第2の細長いスロット内に集中させることを含む、実施例27に記載の方法。
実施例29.
第2の局は、
第2のレーザサブシステムを備え、第2のレーザサブシステムは、
第2の細長いスロットに光学的に結合されている1つまたは複数の入力レーザと、
第2の細長いスロットに光学的に結合されている光学サブシステムと
を備え、
方法は、
1つまたは複数のポンプレーザの動作によって第2の蒸気の入力光信号を生成することであって、入力光信号は、第2の蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用するように適合されている、入力光信号を生成することと、
光学サブシステムの動作によって、第2の蒸気からの出力光信号に基づいて分光分析データを生成することであって、分光分析データは、目標RF電磁放射のビームの1つまたは複数の特性を表す、分光分析データを生成することと
を含む、実施例27または28に記載の方法。
実施例30.
第2のレーザサブシステムは、光学サブシステムと通信するデータ処理サブシステムを備え、
方法は、
データ処理サブシステムの動作によって、経時的に光学サブシステムから受信される分光分析データに基づいて時系列データを生成することであって、時系列データは、第1の局から送信される情報を表す、時系列データを生成することを含む、実施例29に記載の方法。
【0111】
記載されているもののいくつかの態様において、通信システムは、以下の実施例によって説明することができる。
実施例31.通信システムであって、
第1の局および第2の局を備え、第1の局および第2の局が、
1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを有するトランシーバで、
各フォトニック結晶メーザが、第1の入力光信号の受信に応答してRF電磁放射の出力ビームを生成するように構成されており、出力ビームは、通信システムの別の局に送信される情報を表し、
各フォトニック結晶レシーバは、RF電磁放射の入力ビームおよび第2の入力光信号の受信に応答して出力光信号を生成するように構成されており、入力ビームは、通信システムの別の局から受信される情報を表す、
トランシーバと、
制御サブシステムで、
1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されており、第1の入力光信号および第2の入力光信号を生成するように構成されている1つまたは複数のレーザ、
1つまたは複数のレーザと通信し、第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている変調電子機器で、第1の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第1の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む、変調電子機器、ならびに
1つまたは複数のレーザと通信し、第2の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御するように構成されている復調電子機器で、第2の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第2の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む、復調電子機器
を備える、制御サブシステムと、
トランシーバの向きを制御し、以て、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを目標ロケーションに向けるように構成されているトラッキングサブシステムと
各々を備える、通信システム。
実施例32.第1の局および第2の局は、
制御サブシステムおよびトラッキングサブシステムと通信する航法サブシステムを各々備え、航法サブシステムは、
第1の局または第2の局の位置を決定するように構成されている測位電子機器と、
第1の局または第2の局のローカル基準パラメータを設定するように構成されているタイミング電子機器であって、ローカル基準パラメータはローカル基準時間を含む、タイミング電子機器と
を備える、実施例31に記載の通信システム。
実施例33.ローカル基準パラメータは、ローカル基準周波数およびローカル基準位相のうちの一方または両方を含む、実施例32に記載の通信システム。
実施例34.
少なくとも第1の局および第2の局の航法サブシステムと同期信号を交換するように構成されているグローバル基準局を備え、同期信号は、グローバル基準時間を含む通信システムのグローバル基準パラメータを表す、実施例32または33に記載の通信システム。
実施例35.グローバル基準パラメータは、グローバル基準周波数およびグローバル基準位相のうちの一方または両方を含む、実施例34に記載の通信システム。
実施例36.制御サブシステムは、
1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されており、各フォトニック結晶レシーバの分光分析データのセットを生成するように構成されている光学検出器を備え、分光分析データのセットは、フォトニック結晶レシーバからの出力光信号に基づき、RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性を表す、実施例31または実施例32~35のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例37.RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性は、RF電磁放射の入力ビームの強度、位相、周波数、または偏光のうちの少なくとも1つを含む、実施例36に記載の通信システム。
実施例38.第1の局および第2の局は、
制御サブシステムと通信するデータ処理サブシステムを各々備え、データ処理サブシステムは、
経時的に光学検出器から受信される分光分析データのセットに基づいて第1の時系列のデータを生成することであって、第1の時系列のデータは、通信システムの別の局から送信される情報を表す、第1の時系列のデータを生成することと、
第1の局または第2の局の通信インターフェースから受信される第2の時系列のデータに基づいて変調電子機器のための制御信号を生成することであって、制御信号は、経時的な第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を表し、第2の時系列のデータは、通信システムの別の局に送信される情報を表す、制御信号を生成することと
を含む動作を実施するように構成されている、実施例36または37に記載の通信システム。
実施例39.制御サブシステムは、
少なくとも1つのフォトニック結晶メーザに電磁的に結合されており、制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準RF発振器を備える、実施例31または実施例32~38のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例40.制御サブシステムは、
トランシーバの少なくとも1つのフォトニック結晶レシーバに電磁的に結合されており、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有する基準RF電磁放射を生成するように構成されている基準アンテナを備える、実施例31または実施例32~39のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例41.1つまたは複数のフォトニック結晶メーザは、互いに直交する偏光を有するそれぞれのRF電磁放射の出力ビームを生成するように構成されている一対のフォトニック結晶メーザを含む、実施例31または実施例32~40のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例42.1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバは、互いに直交する偏光にあるそれぞれの入力RF電磁ビームを処理するように構成されている一対のフォトニック結晶レシーバを含む、実施例31または実施例32~41のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例43.第1の局は、第2の局の目標ロケーションに配置されており、第2の局は、第1の局の目標ロケーションに配置されている、実施例31または実施例32~42のいずれか1つに記載の通信システム。
実施例44.
中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されている中継局を備え、
中継ロケーションは、第1の局および第2の局のうちの一方または両方のトラッキングサブシステムの目標ロケーションとしての役割を果たす、実施例1または実施例32~43のいずれか1つに記載の通信システム。
【0112】
記載されているもののいくつかの態様において、無線周波数(RF)電磁放射を使用して情報を通信する方法は、以下の実施例によって説明することができる。
実施例45.無線周波数(RF)電磁放射を使用して情報を通信する方法であって、
通信システムの第1の局と第2の局との間でRF電磁放射のビームを送信することを含み、第1の局および第2の局は、
1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを有するトランシーバであり、
各フォトニック結晶メーザが、第1の入力光信号の受信に応答してRF電磁放射の出力ビームを生成するように構成されており、出力ビームは、通信システムの別の局に送信される情報を表し、
各フォトニック結晶レシーバは、RF電磁放射の入力ビームおよび第2の入力光信号の受信に応答して出力光信号を生成するように構成されており、入力ビームは、通信システムの別の局から受信される情報を表す、
トランシーバと、
1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されており、第1の入力光信号および第2の入力光信号を生成するように構成されている1つまたは複数のレーザを備える制御サブシステムと、
トランシーバの向きを制御し、以て、1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを目標ロケーションに向けるように構成されているトラッキングサブシステムと
を各々備える、方法。
実施例46.
第1の局または第2の局は、RF電磁放射のビームの発信局であり、
RF電磁放射のビームを送信することは、発信局における1つまたは複数のフォトニック結晶メーザの動作によって、1つまたは複数のそれぞれのRF電磁放射の出力ビームを生成することを含む、実施例45に記載の方法。
実施例47.RF電磁放射のビームを送信することは、
RF電磁放射の第1のビームを第1の局から第2の局に送信することと、
RF電磁放射の第2のビームを第2の局から第1の局に送信することであって、第2のビームは、少なくとも部分的に、第1のビームと同時に送信される、第2のビームを送信することと
を含む、実施例45または46に記載の方法。
実施例48.
第1の局および第2の局の各々の制御サブシステムは、1つまたは複数のレーザと通信する変調電子機器を備え、
第1の局または第2の局は、RF電磁放射のビームの発信局であり、
方法は、発信局の変調電子機器の動作によって、1つまたは複数のレーザによって生成される第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御することを含み、第1の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第1の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む、実施例45または実施例46~47のいずれか1つに記載の方法。
実施例49.
第1の局および第2の局の各々の制御サブシステムは、1つまたは複数のレーザと通信する復調電子機器を備え、
第1の局または第2の局は、RF電磁放射のビームの宛先局であり、
方法は、宛先局の復調電子機器の動作によって、1つまたは複数のレーザによって生成される第2の入力光信号の1つまたは複数の特性を制御することを含み、第2の入力光信号の1つまたは複数の特性は、第2の入力光信号の強度、周波数、または位相を含む、実施例45または実施例46~48のいずれか1つに記載の方法。
実施例50.
第1の局および第2の局の各々の制御サブシステムは、1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバに光学的に結合されている光学検出器を備え、
第1の局または第2の局は、RF電磁放射のビームの宛先局であり、
方法は、宛先局の光学検出器の動作によって、宛先局の各フォトニック結晶レシーバの分光分析データのセットを生成することを含み、分光分析データのセットは、フォトニック結晶レシーバからの出力光信号に基づき、RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性を表す、実施例45または実施例46~49のいずれか1つに記載の方法。
実施例51.RF電磁放射の入力ビームの1つまたは複数の特性は、RF電磁放射の入力ビームの強度、位相、周波数、または偏光のうちの少なくとも1つを含む、実施例50に記載の方法。
実施例52.
第1の局および第2の局は、制御サブシステムと通信するデータ処理サブシステムを各々備え、
方法は、宛先局のデータ処理サブシステムの動作によって、経時的に光学検出器から受信される分光分析データのセットに基づいて第1の時系列のデータを生成することを含み、第1の時系列のデータは、通信システムの別の局から送信される情報を表す、実施例50または51に記載の方法。
実施例53.
第1の局および第2の局は、
制御サブシステムと通信するデータ処理サブシステムと、
通信インターフェースとを各々備え、
方法は、宛先局のデータ処理サブシステムの動作によって、通信インターフェースから受信される第2の時系列のデータに基づいて制御サブシステムの変調電子機器のための制御信号を生成することを含み、制御信号は、経時的な第1の入力光信号の1つまたは複数の特性を表し、第2の時系列のデータは、通信システムの別の局に送信される情報を表す、実施例50または実施例51~52のいずれか1つに記載の方法。
実施例54.
第1の局および第2の局は、制御サブシステムおよびトラッキングサブシステムと通信する航法サブシステムを各々備え、航法サブシステムは、測位電子機器およびタイミング電子機器を有し、
方法は、
それぞれ第1の局または第2の局の測位電子機器の動作によって、第1の局または第2の局の位置を決定することと、
それぞれ第1の局または第2の局のタイミング電子機器の動作によって、第1の局または第2の局のローカル基準パラメータを設定することであって、ローカル基準パラメータは、ローカル基準時間を含む、設定することと
を含む、実施例45または実施例46~53のいずれか1つに記載の方法。
実施例55.ローカル基準パラメータは、ローカル基準周波数およびローカル基準位相のうちの一方または両方を含む、実施例54に記載の方法。
実施例56.
グローバル基準局と、少なくとも第1の局および第2の局の航法サブシステムとの間で同期信号を交換することを含み、同期信号は、グローバル基準時間を含む通信システムのグローバル基準パラメータを表す、実施例54または55に記載の方法。
実施例57.グローバル基準パラメータは、グローバル基準周波数およびグローバル基準位相のうちの一方または両方を含む、実施例56に記載の方法。
実施例58.
第1の局および第2の局の各々の制御サブシステムは、少なくとも1つのフォトニック結晶メーザに電磁的に結合されている基準RF発振器を備え、
方法は、
基準RF発振器の動作によって、制御された周波数および制御された位相のうちの一方または両方を有する基準RF電磁放射を生成することと、
少なくとも1つのフォトニック結晶メーザの入力結合器の動作によって、基準RF電磁放射を少なくとも1つのフォトニック結晶メーザの導波路に結合することと
を含む、実施例45または実施例46~57のいずれか1つに記載の方法。
実施例59.
第1の局および第2の局の各々の制御サブシステムは、トランシーバの少なくとも1つのフォトニック結晶レシーバに電磁的に結合されている基準アンテナを備え、
方法は、
基準アンテナの動作によって、制御された振幅、制御された周波数、または制御された位相のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の制御された特性を有する基準RF電磁放射を生成することと、
少なくとも1つのフォトニック結晶レシーバの入力結合器の動作によって、基準RF電磁放射を少なくとも1つのフォトニック結晶レシーバの導波路に結合することと
を含む、実施例45または実施例46~58のいずれか1つに記載の方法。
実施例60.
中継局が、中継ロケーションに配置されており、目標RF電磁放射のビームを受信および送信するように構成されており、
方法は、第1の局または第2の局のトラッキングサブシステムの動作によって、それぞれのトランシーバの1つまたは複数のフォトニック結晶メーザおよび1つまたは複数のフォトニック結晶レシーバを中継ロケーションに向けるようにそれぞれのトランシーバの向きを改変することを含む、実施例45または実施例46~59のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施例に特異的である特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施態様の文脈において本明細書に記載されているかまたは図面に示されている特定の特徴は、組み合わせることもできる。逆に、単一の実施態様の文脈において記載または図示されている様々な特徴はまた、複数の実施形態において別個にまたは任意の適切な部分組み合わせにおいて実装されてもよい。
【0114】
同様に、動作は特定の順序において図面に描写されているが、これは、そのような動作が図示されている特定の順序もしくは順次的な順序において実施されること、または、望ましい結果を達成するためにすべての例示されている動作が実施されることを要求するものとして理解されるべきではない。一定の環境状況において、マルチタスク処理および並列処理が有利である場合がある。さらに、上述した実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてかかる分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一の製品内にともに一体化されてもよく、または複数の製品にパッケージ化されてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態を説明した。それにもかかわらず、様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、他の実施形態は添付の特許請求項の範囲内に入る。
【要約】
一般的な態様において、通信システムは、第1の局および第2の局を備える。第1の局は、フォトニック結晶メーザ、レーザサブシステム、およびトラッキングサブシステムを含む。フォトニック結晶メーザのフォトニック結晶構造は、誘電体材料から形成され、キャビティのアレイと、細長いスロットとを有する。細長いスロットは、キャビティのアレイの欠陥領域内に配置されている。フォトニック結晶メーザは、細長いスロット内に配置されており、光信号の受信に応答して目標RF電磁放射を放出するように動作可能な蒸気も含む。キャビティのアレイおよび細長いスロットは、放出されると、目標RF電磁放射をビームに成形するように構成されている導波路を画定する。第2の局は、目標RF電磁放射のビームに結合するように構成されているレシーバを含む。
【選択図】図2A
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7