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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20250217BHJP
【FI】
A63F5/04 605C
A63F5/04 620
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023180079
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 健二
(72)【発明者】
【氏名】大貫 芳和
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 淳
(72)【発明者】
【氏名】青木 政英
(72)【発明者】
【氏名】本藤 恵子
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洸貴
(72)【発明者】
【氏名】土屋 匠
(72)【発明者】
【氏名】下田 隼杜
(72)【発明者】
【氏名】指崎 佑太
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-153999(JP,A)
【文献】特開2023-160280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技進行に応じて差枚数カウンタの値を管理する管理処理が実行可能であり、
前記管理処理において、遊技価値が投入されたことに応じて前記差枚数カウンタの値を第1方向に変化させる第1処理と、遊技価値が払い出されたことに応じて前記差枚数カウンタの値を前記第1方向とは反対の第2方向に変化させる処理とが実行可能であり、
前記第1処理において、遊技価値が投入されたことに応じて前記第1方向に変化させる際の前記差枚数カウンタの値が、前記差枚数カウンタにおける前記第1方向の第1限界値を前記第1方向に超える場合に、前記差枚数カウンタの値を前記第1限界値に維持する処理が実行可能である、遊技機。
【請求項2】
指示機能にかかる処理を行うことができる有利区間と、前記指示機能にかかる処理を行うことができない通常区間と、を含む遊技区間のうちのいずれかの遊技区間で遊技を進行する処理が実行可能であり、
前記第1処理を含む前記管理処理は、前記有利区間において実行することが可能である、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技進行中の前記有利区間を終了させる終了処理が実行可能であり、
前記差枚数カウンタの値が前記第1限界値に維持された場合に、前記終了処理が実行されない、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
遊技進行中の前記有利区間を終了させる終了処理が実行可能であり、
前記終了処理は、前記有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されない、請求項2又は3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記差枚数カウンタのバイト数は、2バイトである、請求項1~3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
メダルレス遊技機である、請求項1~3のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機は、遊技価値の投入数と払出数との差である差枚数を差枚数カウンタを用いて管理することが知られている(例えば、特許文献1の段落0146~0148参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-6007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、差枚数カウンタの適切な処理が実行可能な遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面は、遊技進行に応じて差枚数カウンタの値を管理する管理処理が実行可能であり、前記管理処理において、遊技価値が投入されたことに応じて前記差枚数カウンタの値を第1方向に変化させる第1処理と、遊技価値が払い出されたことに応じて前記差枚数カウンタの値を前記第1方向とは反対の第2方向に変化させる処理とが実行可能であり、前記第1処理において、遊技価値が投入されたことに応じて前記第1方向に変化させる際の前記差枚数カウンタの値が、前記差枚数カウンタにおける前記第1方向の第1限界値を前記第1方向に超える場合に、前記差枚数カウンタの値を前記第1限界値に維持する処理が実行可能である、遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、差枚数カウンタの適切な処理が実行可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンとカードユニットの各構成を模式的に示すブロック図である。
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図6】遊技区間の状態遷移を説明する図である。
図7】メイン制御基板、遊技価値制御基板およびサブ制御基板の接続/通信関係を説明する図である。
図8】本実施形態のスロットマシン1の1ゲームの流れを示すフローチャートである。
図9】全リール回胴停止共通処理を示すフローチャートである。
図10】本実施形態の差枚数カウンタの値に関する説明図である。
図11】差枚数カウンタの管理処理を示すフローチャートである。
図12】変形例の差枚数カウンタの値に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
本開示の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「接続」には、接続対象同士が直接的に接続される場合と、接続対象同士が他の基板や装置等を介して間接的に接続される場合とを含む。
【0009】
本実施形態では、スロットマシン1が、物理的に実在するメダルを用いずに、遊技価値の数量(メダル数)を電子データにて取り扱うタイプの回胴式遊技機である場合を例示する。従来のスロットマシンとは異なり、当該スロットマシン1では、実在するメダルを投入および払い出す必要がなく、電子データ化された疑似的な遊技媒体を遊技価値のデータとして用いて遊技進行が可能となっている。このようなスロットマシン1は、メダルレス機、スマスロ(登録商標)、封入式の回胴遊技機などと呼称される。
【0010】
疑似的な遊技媒体、すなわち遊技価値は、遊技の進行に応じて増減する。それ故、遊技者は、実在するメダルを手にすることなく遊技ができ、遊技中、所持中の遊技価値の数量がどの程度あるかを、スロットマシン1のクレジット表示にて確認することも可能である。
【0011】
図1は、上述したスロットマシン1の正面図である。このスロットマシン1は、図2に示すように、カードユニット9と通信可能に接続されている。以下では、まずカードユニット9について説明する。
【0012】
カードユニット9(外部装置に相当)は、遊技価値のスロットマシン1への貸出しおよびスロットマシン1からの返却に関する処理を実行可能な装置である。
【0013】
図示しないが、カードユニット9の外表面には、現金投入用開口部、カードの挿入/排出用開口部の他、暗証番号の入力指示や貸出残高等を表示可能な表示パネル、遊技価値の貸出ボタン、カード排出ボタンが設けられている。カードユニット9の内部には、スロットマシン1との通信用I/Fの他、図2に示すように、現金管理機構91、カード管理機構92、カードユニット側制御部93が設けられている。
【0014】
現金管理機構91は、現金投入用開口部から投入された紙幣をカードユニット9内部に導入且つ検出したり、蓄積したりする。
【0015】
カード管理機構92は、カードの挿入/排出用開口部から挿入されたカードを導入して収容したり、カード排出ボタンが操作された場合はカードを当該挿入/排出用開口部から排出したりする。
【0016】
カードユニット側制御部93は、CPU、RAMおよびROMなどで構成されている。カードユニット側制御部93は、現金管理機構91およびカード管理機構92それぞれの動作制御、遊技価値の貸出処理、カードの認証処理、カードからのデータ読み出し処理および書き込み処理などを行う。
【0017】
現金管理機構91の動作処理には、投入された紙幣がカードユニット9内部に導入されるように現金管理機構91を動作させる処理、投入された紙幣が現金管理機構91内で詰まった場合はその旨のエラー報知を行う処理、投入された紙幣に応じた遊技価値を現在の貸出残高に加算してRAMに一時的に記憶する処理などが含まれる。
【0018】
カード管理機構92の動作処理には、挿入されたカードがカードユニット9内部に導入されるようにカード管理機構92を動作される処理、カード排出ボタンの操作に伴ってカードが排出されるようにカード管理機構92を動作される処理、などが含まれる。
【0019】
遊技価値の貸出処理には、貸出ボタンの操作に伴って貸し出す分の遊技価値のデータをスロットマシン1に送信する処理が含まれる。この送信の際、カードユニット9においてRAMに一時的に記憶された貸出残高の遊技価値のデータから、貸し出す分の遊技価値分を減算する処理も行われる。
【0020】
カードの認証処理には、挿入/排出用開口部にカードが挿入された際に表示パネルを介して暗証番号の入力がなされた場合、入力された暗証番号とカードに書きこまれている暗証番号とが一致するか否か判断する処理が含まれる。カードユニット側制御部93は、一致するとの判断を行った場合、認証対象となったカードを引き続き使用することを許容するが、不一致との判断を行った場合、認証対象となったカードを引き続き使用することを許容しない(使用を制限する)ことがある。
【0021】
カードからのデータ読み出し処理には、カードに遊技価値のデータが書きこまれている場合はこれを読み出して、貸出残高としてRAM一に時的に記憶する処理などが含まれる。
【0022】
カードへの書き込み処理には、スロットマシン1の計数ボタン46(後述)の操作に伴って遊技価値のデータがカードユニット9へと転送されてきた場合、当該データを受信してRAMに一時的に記憶しておき、その後カード排出ボタンの操作に伴ってカードに当該データを書きこむ処理、が含まれる。カード排出ボタンが操作された際に、カードに既に遊技価値のデータが書きこまれている場合、カードユニット側制御部93は、当該データに、スロットマシン1から受信した遊技価値分を加算してカードに書きこむ処理(更新処理)を行う。
【0023】
これにより、カードユニット9にてカード排出ボタンが操作された際、遊技者が所有している遊技価値および貸出残高のデータの少なくとも1つが書きこまれたカードが、カードの挿入/排出用開口部から排出される。
【0024】
また、カードユニット9は、スロットマシン1以外の装置である、図示しないホールコンピュータ、ユニット管理コンピュータなどとも通信可能に接続されている。ホールコンピュータおよびユニット管理コンピュータへは、例えば、有利遊技状態(AT、CZ、特別役(ボーナス)実施状態等)での遊技回数を含む有利遊技状態に関する情報、遊技価値の数量の推移、消化ゲーム数、役物比率などのスロットマシン1にかかる各種情報が、カードユニット9から送られる。
【0025】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、メダルレス機であるスロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0026】
前面扉100のうち、正面視における前面扉100の右端部付近には、鍵穴が設けられている。鍵穴は、前面扉100と筐体10とを施錠または解錠するための鍵が差し込まれることが可能となっている。遊技中は前面扉100および筐体10の施錠状態が維持されるため、遊技者は筐体10内部にアクセスすることができない。また、スロットマシン1はメダルレス機のため、筐体10内部にはセレクタやホッパー装置を設ける必要がなく、店舗スタッフによる、実在のメダルを遊技中に補給する動作が省略されている。それ故、遊技中は、スロットマシン1でエラーが生じた場合を除き、店舗スタッフが前面扉100と筐体10を解錠する場面は原則発生し得ない。店舗スタッフが設定変更作業、設定値確認作業、メンテナンス作業等を行う場合、前面扉100および筐体10は解錠され、前面扉100は筐体10に対して回動可能となる。これにより、店舗スタッフは、筐体10内部にアクセスすることができる。
【0027】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20a,20b,20cそれぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0028】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部103が設けられている。液晶画面3、スピーカ102および電飾部103は、報知部に相当する。
【0029】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0030】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0031】
電飾部103は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0032】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、遊技者が視認可能かつ触れることができる位置に設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40a,40b,40c、ベットスイッチ41、レバー42、媒体表示部43、遊技情報表示部44、キャンセルボタン45、計数ボタン46、および演出ボタン47などを含む。
【0033】
各ストップスイッチ40a,40b,40cは、各回転リール20a,20b,20cに対応して設けられている。各ストップスイッチ40a,40b,40cは、回転リール20a,20b,20cが回転している間に、各回転リール20a,20b,20cの回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0034】
各ストップスイッチ40a,40b,40cの内部には、ランプが設けられていてもよい。ランプは、例えばレバー42が操作されてから各回転リール20a,20b,20cが定常回転状態に至るまでの間、ストップスイッチ40a,40b,40cが操作無効な状態である旨を発色で示すことができる。また、ランプは、各回転リール20a,20b,20cが定常回転状態に至ってからストップスイッチ40a,40b,40cが操作されるまでの間、ストップスイッチ40a,40b,40cが操作有効な状態である旨を、上記の発色とは異なる発色で示すことができる。
【0035】
ベットスイッチ41は、遊技価値をベットする際に用いられる。本実施形態では、ベットスイッチ41を1回押すことで、1回遊技できる遊技価値の所定数(例えば3枚分)が自動でベットされる場合を例示する。
【0036】
レバー42は、各回転リール20a,20b,20cを回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。なお、回転リール20a,20b,20cの始動については、前遊技での回転リール20a,20b,20cの始動から次遊技での回転リール20a,20b,20cの始動まで、少なくとも最小遊技時間(約4.1秒)の間隔があいている“ウェイト条件”を満たす必要がある。そのため、レバー42を操作した際、このウェイト条件が満たされた以降に各回転リール20a,20b,20cは始動する。
【0037】
媒体表示部43は、スロットマシン1の媒体管理部620が管理している遊技価値の数量(以下、クレジット数ともいう)、遊技価値の払い出し数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。
【0038】
本実施形態における「遊技価値の払い出し数」とは、実在のメダルがスロットマシン1の外部へ払い出される動作ではなく、内部抽せんによって成立した役に基づき、当該役に応じた分の遊技価値が増加すること、を意味する。換言すれば、遊技価値の払い出し数とは、電子データ化された疑似的な遊技媒体の数値が増加すること、である。
【0039】
なお、本実施形態の上記クレジット数には、クレジット上限値が設けられている。このクレジット上限値は、後述するコンプリート機能の作動処理とは関係がなく、管理中の遊技価値の数量が比較的多い場合に、カードユニット9への遊技価値の転送を遊技者に促すための報知処理にて用いられる。この報知処理については、“-媒体管理部-”にて後述する。
【0040】
遊技情報表示部44は、媒体表示部43に表示される情報以外の遊技に関する情報を表示するものであって、LED、ランプ、7セグメントなどで構成される。遊技情報表示部44が表示する情報には、1回の遊技における遊技価値のベット数、特別役実施状態か否か、リプレイ(再遊技)入賞の旨、ATやART中に操作態様役が当選した場合は当該操作態様役の正解操作態様に対応するコード、等が含まれる。
【0041】
キャンセルボタン45は、ベットされている状態の遊技価値を、ベットされていない状態にするための操作を受け付けることができる。例えば、ベット中の遊技価値が1以上である状態にてキャンセルボタン45が操作されると、後述の媒体管理部620は、ベット中の遊技価値を“0”に更新するとともに、“0”になる直前のベットされていた遊技価値分を、管理中の遊技価値に加算する。これにより、媒体表示部43が表示するクレジット数は、ベットされていた遊技価値の分だけ増加する。換言すると、キャンセルボタン45は、ベット状態を非ベット状態へと遷移させることでベット中の遊技価値をクレジット数に戻すベット解除処理、を媒体管理部620に実行させるためのボタンと云える。
【0042】
なお、キャンセルボタン45の操作に基づくベット解除処理は、ベットされている状態だがレバー42が未だ操作されていない状態下にて有効であって、レバー42が操作されてから当該レバー42の操作に基づく遊技が終了するまでは無効となる。本実施形態では、キャンセルボタン45は、ベットスイッチ41の近くに配置されている。
【0043】
計数ボタン46は、スロットマシン1の媒体管理部620にて管理している遊技価値のデータを、媒体管理部620からカードユニット9に転送するための操作を受け付けることができる。例えば、管理中の遊技価値が1以上である状態にて計数ボタン46が操作されると、媒体管理部620は、管理中の遊技価値を0に向けて減算する。減算分の遊技価値のデータは、カードユニット9に送信される。
【0044】
なお、計数ボタン46を1回操作した際の管理中の遊技価値の減算量は、例えば“1”や“50”のように、予め決定されていてもよい。また、計数ボタン46を連続して操作されている間は、管理中の遊技価値が減算し続けられてもよい。
【0045】
本実施形態では、計数ボタン46は、操作部4のうち、スロットマシン1の正面視においてカードユニット9に近い側に配置されている。これにより、計数ボタン46がカードユニット9に関係するボタンである旨が遊技者に伝わりやすくなるとともに、計数ボタン46を押した後にカードユニット9からカードが排出されるまでの操作の流れがスムーズになる。
【0046】
また、計数ボタン46には、当該ボタン46内部または周辺に、操作する前と後とで発光色を変化させるようなランプが設けられていてもよい。
【0047】
演出ボタン47は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認、その他遊技に関する各種メニュー設定などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン47は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン47が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0048】
また、演出ボタン47内部には、様々な色やパターンで発光することが可能なランプが設けられていてもよい。当該ランプは、演出ボタン47が操作有効な状態の場合は点灯し、操作無効な状態の場合には非点灯となる。また、演出ボタン47の操作を契機として特別役やATなどの有利遊技状態の当選告知演出を出力する場合、当該ランプは、赤色や虹色等の、通常点灯時とは異なる発色で高速点滅することも可能である。
【0049】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0050】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、リセットボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、リセットボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0051】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すように、3つの回転リール20a,20b,20cと、3つのステッピングモータ21a,21b,21cとを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20a,20b,20cそれぞれには、図3に示すように、複数の図柄(シンボル)が、当該回転リール20a,20b,20cの周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21a,21b,21cは、各回転リール20a,20b,20cに対応して設けられており、対応する回転リール20a,20b,20cを駆動させる。
【0052】
ステッピングモータ21a,21b,21cは、回転リール20a,20b,20cの回転中にストップスイッチ40a,40b,40cが操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる。ステッピングモータ21a,21b,21cは、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20a,20b,20cは、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0053】
これらの回転リール20a,20b,20cおよびステッピングモータ21a,21b,21cは、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0054】
リセットボタン71は、各種エラーの解除や制御部6を構成するRAMの初期化の際に操作される。例えば、リセットボタン71が押されたままスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、スロットマシン1の媒体管理部620が管理している遊技価値の数量が“0”にクリアされるとともに、スロットマシン1の第2遊技状態は“一般遊技状態”に、遊技区間は“通常区間”に設定される。
【0055】
設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。例えば、スロットマシン1を設定変更モードに設定した状態でスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、設定変更ボタン72は操作有効な状態となり、この状態で設定変更ボタン72を操作することで設定値の設定が可能となる。
【0056】
遊技進行中や遊技待機中は、筐体10と前面扉100とが施錠されているため、リセットボタン71および設定変更ボタン72への接触は、解錠する権利を有する者(例えば鍵を所有している店舗スタッフ)以外は不可能である。解錠される場面は、原則、スロットマシン1にエラーが生じた場合と限られる。それ故、遊技者は、リセットボタン71および設定変更ボタン72に接触することはできない。
【0057】
設定値とは、スロットマシン1に投入された遊技価値の投入総数に対する、払い出された遊技価値の払出総数の割合を示す出玉率、を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、当せん候補となる役のうち少なくとも一部の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
【0058】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン47を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0059】
遊技者は、カードユニット9の貸出ボタンを操作して遊技価値のデータをスロットマシン1に転送させた後、ベットスイッチ41を操作することにより、媒体管理部620で管理中の遊技価値を使用して、スロットマシン1に遊技価値をベットする。スロットマシン1に所定数の遊技価値がベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー42の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0060】
図1では、有効ラインLが、右上がりラインの1本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、有効ラインLが有効化される。
【0061】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、特別役(ボーナス)などの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0062】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ41、レバー42およびストップスイッチ40a,40b,40cを操作して、内部抽せん、入賞判定処理、遊技価値の増減処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0063】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー42が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20a,20b,20cの回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40a,40b,40cのいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cが停止する。すべての回転リール20a,20b,20cが停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定数の遊技価値の払い出し処理が行われる。これにより、1ゲームが終了する。
【0064】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力、電飾部103の発光は、遊技進行に応じて変化していく。
【0065】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図4および図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0066】
第1遊技状態は、図4に示すように、特別役非持ち越し状態(ボーナス非内部状態)、特別役持ち越し状態(ボーナス内部中)および特別役実施状態(ボーナス中)を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0067】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより特別役(一種 BBおよび二種 BB)が当せんしておらず、かつ、特別役の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、設定値が変更された場合、RAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから遊技価値の払い出しが所定数を超えた場合などの条件Aが満たされた場合に設定される。
【0068】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0069】
ここで、一種 BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、二種 BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置である。例えば、一種 BBはベット数が最大数“3”の際に当せん候補となり、二種 BBはベット数が最大数よりも少ない場合に当せん候補となるように、一種 BBと二種 BBとで、当せん候補となる際の遊技価値のベット数が異なっていてもよい。また、特別役は一種 BBのみであってもよい。また、一種 BBの持ち越し中に、更に一種 BBが当せんすることはない。
【0070】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0071】
当せんした特別役が入賞すると(条件B)、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から特別役実施状態に移行する。特別役実施状態は、内部抽せんにより当選した特別役(ボーナス)が入賞した状態であって、所定数を超える遊技価値の払い出しが完了していない状態をいう。例えば、一種 BBまたは二種 BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種 BBまたは二種 BBによる遊技価値の払い出し枚数が所定数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0072】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種 BB実施状態、二種 BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種 BBが実施されている一種 BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種 BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種 BB実施状態に移行する。
【0073】
第2遊技状態は、図5に示すように、一般遊技状態、チャンスゾーン(以下、CZと表記する場合がある)および特別遊技状態としてのAT状態を含む。特別遊技状態には、AT状態および特別役実施状態が含まれる。一般遊技状態とCZとAT状態(特別遊技状態)とは、排他的に成立する関係にある。
【0074】
一般遊技状態とは、AT状態および特別役実施状態などの特別遊技状態でない状態であって且つCZでもない状態、つまりアシスト機能(指示機能)が発生しない状態(または発生しにくい状態)である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0075】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40a,40b,40cの正解となる操作態様を、液晶画面3やスピーカ102、電飾部103を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からAT状態へと移行する。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、AT状態にて遊技が開始されてからの遊技価値の払い出し総数が所定数に達した場合、AT状態の継続抽せんにてATを継続しない決定がされた場合、AT状態から一般遊技状態への転落抽選にて一般遊技状態に移行する旨が決定された場合などに、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0076】
CZとは、AT状態(特別遊技状態)への移行期待度が一般遊技状態よりも高い第2遊技状態である。AT状態への移行期待度が高いとは、CZからのAT状態への移行抽せん確率が高いといった直接的なものや、その後のAT状態への移行抽せん確率を高めていくような間接的なものも含む。したがって、CZは、一般遊技状態よりも遊技者にとって遊技が有利となる状態、といえる。一般遊技状態よりも遊技者にとって遊技が有利な状態という点では、CZおよびAT状態は共通しているが、CZよりも、AT状態の方がさらに有利度合が大きいといえる。CZは、内部抽せんにて当せんした役に基づいて行われるCZ抽せんに当せんした場合、有利区間での消化ゲーム数が所定ゲーム数に到達した場合、遊技の進行に応じて蓄積したポイントが所定値に到達した場合などの、何らかの条件が成立したときに突入可能である。
【0077】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための区間である。図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0078】
ここで、指示機能に係る処理とは、指示機能を発揮させる(アシストを行う)処理、ATの当せん確率が定められたモードの抽せん処理、当該モードに移行させる処理、CZ抽せん処理、CZ処理、AT抽せん処理、AT継続処理、AT上乗せ処理(AT継続ゲーム数の上乗せ、差枚上乗せ、セット数上乗せを含む)、AT状態から一般遊技状態への転落処理、AT処理、有利区間から通常区間への移行処理、などを含む。
【0079】
通常区間とは、指示機能に係る処理は実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて、有利区間に移行するための何らかの条件が満たされると、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0080】
有利区間は、指示機能に係る処理を実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、CZで進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。所定の終了条件については、“―区間制御部―”にて後述する。
【0081】
ここで、上記のまとめとして、スロットマシン1にて取り得る、遊技区間と第2遊技状態との組み合わせパターンを列挙する。
・遊技区間は通常区間、第2遊技状態は一般遊技状態であるパターン 1
・遊技区間は有利区間、第2遊技状態は一般遊技状態であるパターン 2
・遊技区間は有利区間、第2遊技状態はCZであるパターン 3
・遊技区間は有利区間、第2遊技状態はAT状態であるパターン 4
上述のように、遊技区間が通常区間の場合は、指示機能に係る処理が何ら実施できないため、遊技者にとっては利点が乏しいと言える。一方、遊技区間が有利区間の場合は、指示機能に係る処理が実施可能となるため、遊技進行の幅が広がり、通常区間に比べて遊技者にとっては利点がある、と言える。
【0082】
<各制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61、遊技価値数制御部62、およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、タイマ割込みなどの割込み処理や、内部抽せんや回転リール20a,20b,20cの制御など、遊技を進行させるための制御を行う。遊技価値数制御部62は、遊技価値に関する管理や処理、カードユニット9との通信制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン47が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。
【0083】
メイン制御部61、遊技価値数制御部62、サブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61のROMには、遊技進行に必要なプログラムなどが記憶され、メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータ、設定値などが含まれる。遊技価値数制御部62のROMには、遊技価値の管理やカードユニット9との通信に必要なプログラムなどが記憶され、遊技価値数制御部62のRAMには、管理中の遊技価値の総数などが記憶されている。サブ制御部63のROMには、演出の制御に必要なプログラムなどが記憶され、サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0084】
ここで、メイン制御部61,遊技価値数制御部62,サブ制御部63の接続関係と通信処理について、図7を用いて説明する。本実施形態では、メイン制御部61、遊技価値数制御部62およびサブ制御部63それぞれは、異なる基板上に実装されている。
【0085】
メイン制御部61が実装されたメイン制御基板P1と、遊技価値数制御部62が実装された遊技価値制御基板P2は、ハーネスによって電気的に接続されており、双方向のシリアル通信が実行可能である。メイン制御基板P1から遊技価値制御基板P2へ送信される情報およびコマンドには、外端情報、設定変更中か否か、各種エラーに関するコマンド、ベットスイッチ41が操作されたことによる遊技価値のベット要求信号、当せん役に対応した遊技価値の払い出し要求信号、キャンセルボタン45が操作されたことによるベット解除処理の要求信号、計数ボタン46が操作されたことによる遊技価値の転送要求、などがある。遊技価値制御基板P2からメイン制御基板P1へ送信される情報およびコマンドには、コンプリート機能が作動した旨の情報、クレジット数が上限値に達した旨の情報、カードユニット9とスロットマシン1間の通信異常の有無に関する情報、メイン制御部61からの要求に対する各種応答、などがある。
【0086】
メイン制御基板P1と、サブ制御部63が実装されたサブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、メイン制御基板P1からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信のみが行われる。メイン制御基板P1からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、遊技価値に関する情報(例えば遊技価値のベット/払い出し情報、AT中の遊技価値の獲得総数)、遊技開始/終了の旨の情報、役物作動開始/終了情報、各種エラーに関する情報、などがある。
【0087】
遊技価値制御基板P2とサブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信のみが行われる。遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、後述するMY値、コンプリート機能の作動を示す情報、コンプリート機能作動前の事前通知に関するコマンド、遊技価値の転送に関する情報(例えば転送開始の旨、転送中、転送完了等)、クレジット数や獲得枚数などを示す情報、クレジット数が上限に到達した旨の情報、クレジット数のバックアップエラーが発生している場合はそのエラー情報、などがある。
【0088】
<メイン制御部>
図2に戻る。CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、遊技進行制御部614、区間制御部615、遊技状態制御部616、エラー判定部617、として機能する。
【0089】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー42の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的に、内部抽せん部610は、レバー42が操作された時、内部抽せんテーブル(図示せず)およびレバー42が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、回転リール制御部611および遊技進行制御部614などにて用いられることが可能となっている。
【0090】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー42操作時のRT状態(図示せず)、特定役実施状態(ボーナス中)であれば特別役の種類、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、遊技価値の払い出しが行われないはずれ役の他、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作態様が正解の操作態様である場合に遊技価値が払い出される操作態様役、レア役などが含まれる。
【0091】
操作態様役には、正解の操作態様がストップスイッチ40a,40b,40cの押し順のみで定められた押し順役、押し順に加えて所定図柄の停止タイミングが定められた目押しを要する押し順役、正解の操作態様が所定図柄の停止タイミングのみで定められた目押し役、が含まれる。
【0092】
例えば、押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40a,40b,40cが押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数(例えば8枚)の遊技価値が払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40a,40b,40cが押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0093】
なお、押し順役などの操作態様役は、AT状態のみならず、一般遊技状態中、CZ中にも当せんしている。一般遊技状態中に操作態様役が成立した場合、正解の操作態様の報知はされないため、操作態様役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解の操作態様が報知されるため、複数(例えば8枚)の遊技価値が払い出される。
【0094】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー42または各ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて、ステッピングモータ21a,21b,21cの駆動を制御し、各回転リール20a,20b,20cの回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0095】
具体的には、回転リール20a,20b,20c全ての回転が停止している状態にて、レバー42が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20a,20b,20c全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20a,20b,20cの回転中に、回転中の回転リール20a,20b,20cに対応するストップスイッチ40a,40b,40cが操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる。
【0096】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20a,20b,20cの有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させることができる。
【0097】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40a,40b,40c操作時の回転リール20a,20b,20cの位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる制御である。
【0098】
なお、特別役持ち越し中(ボーナス内部中)、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて回転リール20a,20b,20cを停止はさせるものの、特別役の入賞許可条件が未成立の場合、当せんしている特別役(ボーナス)が入賞しないように制御することが可能である。
【0099】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20a,20b,20cの回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0100】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0101】
また、遊技進行制御部614は、リセットボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、第1および第2遊技状態や遊技区間などの遊技データをクリアする。遊技進行制御部614は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更する。
【0102】
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0103】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間の際に、有利区間への移行条件が満たされると、遊技区間を通常区間から有利区間に設定(移行)する。
【0104】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行したなどの所定条件が満たされた場合、後述する強制終了条件が満たされていなくても、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0105】
また、区間制御部615は、有利区間突入時の遊技価値の数量を基準とした当該有利区間中の遊技価値の差数が例えば2400枚に達した場合を含む強制終了条件が満たされた場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。区間制御部615は、有利区間において終了判定処理(図9のステップST105参照)を毎回のゲームにおいて実行する。終了判定処理は、強制終了条件が成立したか否かを判定する処理である。終了処理(図9のステップST106参照)は、強制終了条件が成立することを契機として、遊技進行中の有利区間を終了させる処理である。有利区間中の遊技価値の差数は、有利区間での遊技を進行することによって変化し、強制終了条件の判定に用いられている。本実施形態における強制終了条件には、有利区間において消化したゲーム数を用いた制限がない。よって、本実施形態の遊技機には、有利区間における消化ゲーム数を管理する処理が実装されていない。
【0106】
本実施形態では、有利区間で得られる遊技価値の差数の制限値が設けられている。差数は、遊技価値の払い出し数からベット数を差し引いた数の累積値である。有利区間で得られる遊技価値の差数の制限値は、上記有利区間の強制終了条件の一例の通り、有利区間突入時の遊技価値の数量を基準とした当該有利区間中の遊技価値の差数が例えば2400枚(所定制限値)に到達することである。有利区間突入時の遊技価値の数量を基準(例えば差数が「0」と表記)としているので、所定制限値(2400枚)は、有利区間突入時から継続して遊技している遊技者にとって遊技価値がプラスになる増加分の制限値ともいえる。
具体的な一例として、第1の例および第2の例を挙げて説明する。第1の例において、有利区間突入時から負け状態(ベットした遊技価値の枚数が払い出し枚数よりも大きい状態)が続いて、差数がマイナスの値になり底値(例えば、-1000枚)を付けたとする。その後、勝ち状態(ベットした遊技価値の枚数が払い出し枚数よりも小さい状態)が継続し、有利区間突入時からの遊技価値の差数が0に戻ったとする。更に、勝ち状態が継続した場合、有利区間突入時からの遊技価値の差数が上記所定制限値の2400枚に到達して有利区間が強制終了となる時点は、底値を付けたときからの遊技価値の差数が3400枚に到達した時点となる。遊技者の遊技価値の残高は、一次的に-1000枚となり、その後+3400枚となり、トータルとして+2400枚となる時点で有利区間の強制終了条件が成立する。一方、第2の例において、有利区間突入時から勝ち状態が続いた場合、有利区間突入時からの遊技価値の差数が2400枚に到達して有利区間が強制終了となる。遊技者の遊技価値の残高は、一度もマイナスにならずに、+2400枚となる時点で有利区間の強制終了条件が成立する。
【0107】
なお、本明細書において、遊技価値の数量(例えば、メダル数)を「枚数」と表記する場合があり、また、ベットした遊技価値の数量と遊技の結果得られた遊技価値の数量との差数を「差枚数」と表記する場合があるが、これらの表記は、メダル等の遊技媒体を使用する遊技機に限定される意味ではなく、電子データ化された疑似的な遊技媒体の数量を遊技価値の数量として用いる遊技機においても、説明の便宜上、「枚数」と表記している。
【0108】
また、区間制御部615は、設定値の変更がされた場合や遊技データがクリアされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0109】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0110】
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態、CZ、AT状態のいずれかに設定する。
【0111】
一例として、図4に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアや設定変更などの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0112】
また、図5に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を一般遊技状態やCZに設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態やCZに移行させることができる。
【0113】
図示していないが、遊技状態制御部616は、RT状態の移行制御をすることができる。RT状態は、リプレイのフラグの当せん確率が予め定められた遊技の内部状態である。スロットマシン1には、リプレイのフラグの当せん確率が互いに異なる複数のRT状態が用意されており、任意のRT状態において、RTの移行条件が満たされると、当該RT状態から他のRT状態へと遷移される。例えば、ATが実行され得る特別役持ち越し状態中は、RT状態の移行は行われず、1つのRT状態が維持される。特別役持ち越し状態以外では、RT状態の移行が行われ得る。
【0114】
―エラー判定部―
エラー判定部617は、各種エラーの有無を判定する。各種エラーとしては、バックアップ異常、メイン制御基板P1と遊技価値制御基板P2との間の通信異常、スロットマシン1とカードユニット9との間の接続異常、クレジット数の上限値到達、などが挙げられる。
【0115】
エラー判定部617が、これらのエラーのうち少なくとも1つが発生したと判定した場合、発生したエラーを示すコマンドが、エラーに関する情報としてメイン制御部61から遊技価値数制御部62およびサブ制御部63それぞれに送信される。これにより、遊技価値数制御部62は、管理中の遊技価値のバックアップ処理などのエラーの内容に応じた処理を行い、サブ制御部63は、発生したエラーの内容を液晶画面3やスピーカ102に報知させる処理を行うことができる。
【0116】
<遊技価値数制御部>
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、遊技価値数制御部62は、媒体管理部620、コンプリート作動制御部621として機能する。
【0117】
―媒体管理部―
媒体管理部620は、遊技価値(クレジット数)の増減処理および管理処理を行う。
例えば、媒体管理部620は、カードユニット9から遊技価値が転送されてきたことに応じて、管理中の遊技価値を増加させる。メイン制御部61から遊技価値のベット要求を受信した場合、媒体管理部620は、管理中の遊技価値とベット要求とに基づき、ベット処理が可能か否かを判断する。媒体管理部620は、管理中の遊技価値がベット数以上の場合、“ベット可能”と判断し、管理中の遊技価値からベット分を減算する。媒体管理部620は、管理中の遊技価値がベット数未満の場合、“ベット不可”と判断し、その旨をメイン制御部61に送信するための処理を行う。ベット不可の場合は、管理中の遊技価値の数量が維持される。
【0118】
内部抽せんによって払い出しのある役が当せんし、その役が入賞した場合、媒体管理部620は、管理中の遊技価値を、入賞した役の種類に応じた分だけ増加させる処理を行う。
【0119】
また、キャンセルボタン45が操作された場合、媒体管理部620は、管理中の遊技価値を、ベットされていた分だけ増加させる。計数ボタン46が操作された場合、媒体管理部620は、管理中の遊技価値のデータを、カードユニット9に転送する。
【0120】
更に、媒体管理部620は、遊技価値の払い出し数からベット数を差し引いた数の累積値である遊技価値の差数を算出する。この差数を用いて、媒体管理部620は、以下を算出する。
(A)有利区間ごとの、有利区間中における遊技価値の差数
(B)スロットマシン1の電源がオンされた状態以降の、差数の最大値と最小値との差であるレンジ(以下、MY値)
【0121】
上記(A)は、有利区間の強制終了条件の成立可否判定に用いられる。上記(A)は、遊技区間が通常区間から有利区間に移行してから再度通常区間に移行するまでの間、継続して算出される。従って、上記(A)は、通常区間に移行した際にクリアされ、再び有利区間に移行した際に算出が開始される。
【0122】
上記(B)は、以下のコンプリート機能の作動制御に用いられる。上記(B)は、遊技区間や各種遊技状態いかんにかかわらず、スロットマシン1の電源がオンである限り算出し続けられる。上記(B)は、スロットマシン1の電源がオフされた際にクリアされ、再びオンとなった際に算出が開始される。
【0123】
また、媒体管理部620は、管理中の遊技価値、つまりクレジット数がクレジット上限値に到達したか否かを判定する。クレジット数がクレジット上限値に到達した場合、その旨がメイン制御部61およびサブ制御部63に出力される。これにより、サブ制御部63では、液晶画面3、スピーカ102および電飾部103を用いて、計数ボタン46を操作してクレジット数のデータのカードユニット9への転送を促す報知処理が行われる。この報知処理が行われている間、メイン制御部61では、ベットスイッチ41やレバー42が操作無効の状態とするなどの遊技の進行を停止する遊技停止処理が行われる。この報知処理および遊技停止処理が行われている状態は、計数ボタン46の操作によりクレジット数のデータ転送が行われることで、クレジット数がクレジット上限値を下回った場合に解除され得る。
【0124】
なお、クレジット数がクレジット上限よりも低く且つクレジット上限値に近い値に到達した場合から、遊技進行停止処理は行われずに計数ボタン46の操作を促す報知処理が行われてもよい。
【0125】
―コンプリート作動制御部―
コンプリート作動制御部621は、上述したMY値がMY上限値以上(例えば19000以上)となった場合、コンプリート機能の作動制御を行う。
【0126】
コンプリート機能とは、打ち止め機能であって、スロットマシン1を遊技不可な状態にする機能である。コンプリート機能が作動中のスロットマシン1では、ベットスイッチ41、レバー42、ストップスイッチ40a,40b,40cなどの遊技を消化するのに必要な操作部分は、操作の受け付け不可の状態となる。それ故、例えばコンプリート機能の作動中のスロットマシン1においていくらベットスイッチ41が操作されたとしても、ベット処理はなされない。このコンプリート機能の作動は、店舗スタッフによってスロットマシン1の電源が一度オンからオフにされない限り、維持される。スロットマシン1の電源が再びオンにされた後は、コンプリート機能の作動は解除された状態(コンプリート機能は非作動の状態)となっている。
【0127】
また、コンプリート作動制御部621は、MY値がMY上限値よりも低いがMY上限値に近い値以上(例えば18500以上)となった場合、コンプリート機能の作動が近い旨を示す事前通知のコマンドを、サブ制御部63に送信するための処理を行う。
【0128】
<サブ制御部>
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、サブ制御部63は、演出制御部630(報知制御部に相当)として機能する。
【0129】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させ、その演出映像に応じた発光パターンで電飾部103を発行させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御、スピーカ102の音声出力制御、および電飾部103の発光制御を行う。
【0130】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする操作態様役の正解操作態様の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能、即ち指示機能)。
【0131】
また、遊技中に、設定値を示唆する演出の報知条件が満たされた場合、演出制御部630は、当該演出の報知を、液晶画面3、スピーカ102および電飾部103の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、レア役当せん時、特別役(ボーナス)実施状態の終了時、AT終了時、などが挙げられる。
【0132】
―1ゲーム(遊技)の流れ―
図8は、本実施形態のスロットマシン1の1ゲームの流れを示すフローチャートである。1ゲームの流れの一部について上記で述べているが、ここで、図8を用いて再度説明する。図8に示すように、まず、ステップST1において、ベット受付処理を実行する。ベット受付処理は、メイン制御部61および遊技価値数制御部62が協働して遊技価値のベットを受付可能な状態にすると共に、ベット操作がなされた際に遊技価値数制御部62がベットに関する処理(保有する遊技価値からベットされた枚数を減算する等の処理)を実行する。遊技を開始可能な枚数の遊技価値がベットされると、ステップST2において、メイン制御部61は、レバー42の操作を受付可能なレバー待機処理を実行する。レバー42が操作されると、ステップST3において、メイン制御部61は、全ての回転リール20a,20b,20cの回胴を開始する処理を実行する。また、レバー42の操作に起因して、メイン制御部61は、内部抽せん処理を実行する(非図示)。次のステップST4において、メイン制御部61は、回胴中の回転リールに対応するストップスイッチ40a,40b,40cを操作可能にする待機処理を実行する。ストップスイッチが操作されると、次のステップST5において、メイン制御部61は、当せん役とストップスイッチの操作のタイミングとに基づいて、操作されたストップスイッチに対応するリールの回胴を停止する処理を実行する。ステップST4,5の処理は、全てのリールが停止するまで繰り返し実行される。全てのリールが停止すると、ステップST6において、全リール回胴停止共通処理を実行する。全リール回胴停止共通処理の実行が終了すると、1ゲームが終了したことになり、図8に示すステップST1に移行する。
【0133】
―全リール回胴停止共通処理―
図9は、全リール回胴停止共通処理を示すフローチャートである。図9に示すように、全リール回胴停止共通処理に移行すると、ステップST101において、メイン制御部61は、上述した入賞判定処理を実行する。次のステップST102において、遊技価値数制御部62は、入賞判定処理の判定結果に基づいて、遊技者の遊技価値の増減処理を実行する。遊技者の遊技価値の増減処理は、遊技者の所有するメダルであるクレジット数を増減させる処理であり、例えば、遊技者にクレジットが払い出されたり、遊技者の所持中のメダル(クレジット)が減ったりする処理である。次のステップST103において、メイン制御部61は、有利区間に滞在中であるか否かを判定する。有利区間に滞在中であると判定された場合(ST103:YES)には、メイン制御部61は、次のステップST104において、差枚数カウンタの管理処理を実行する。差枚数カウンタは、終了判定処理(図9のST105参照)において上述した強制終了条件が成立しているかを判定するために用いられる。差枚数カウンタの管理処理および差枚数カウンタについては後述する。ステップST104における差枚数カウンタの管理処理が終了すると、メイン制御部61は、ステップST105の終了判定処理において強制終了条件が成立するか否かを判定する。強制終了条件が成立したと判定された場合(ステップST105:YES)には、ステップST106において、メイン制御部61は、遊技進行中の有利区間を終了する終了処理を実行し、全リール回胴停止共通処理を終了する。ステップST105において強制終了条件が成立していないと判定された場合(ステップST105:NO)には、全リール回胴停止共通処理を終了する。
一方、ステップST103において有利区間に滞在中でないと判定された場合(ST103:NO)には、ステップST107において、メイン制御部61は、有利区間への移行条件が成立しているかを判定する。ステップST107において、有利区間への移行条件が成立していると判定された場合(ステップST107:YES)には、ステップST108において、メイン制御部61は、通常区間から有利区間を移行する処理を実行する。その際に、差枚数カウンタの値を初期値に設定し、全リール回胴停止共通処理を終了する。ステップST107において、有利区間への移行条件が成立していないと判定された場合(ステップST107:NO)には、全リール回胴停止共通処理を終了する。
【0134】
―差枚数カウンタ―
図10は、本実施形態の差枚数カウンタの値に関する説明図である。差枚数カウンタの値は、有利区間に移行した時点を基準とした遊技価値の変化量をカウントした値であり、上記コンプリート機能に使用するMY値(MYカウンタ)とは別個に設けられたカウンタである。通常区間から有利区間に移行した際に差枚数カウンタの値が初期値の状態である。差枚数カウンタの値は、遊技価値の投入数と獲得数との差値を差枚数カウンタの値に加えて計算され、更新される。本実施形態の差枚数カウンタのバイト数は2バイトである。差枚数カウンタの値の範囲は有限であり、1バイトで0から255までの256個の数値を取り得、2バイトなので255×255=65535までしかカウントできない。図10に示すように、差枚数カウンタの値は0から65535まで連続して変化する。通常区間から有利区間に移行した際に差枚数カウンタの値が初期値に設定される(図9のステップST108参照)。初期値は2401である。
【0135】
遊技価値が投入されることに応じて差枚数カウンタの値が第1方向に変化する。例えば、有利区間移行直後に遊技価値が3枚投入された場合、差枚数カウンタの値が2401から2404に変化する。同図に示すように、差枚数カウンタの値において第1方向の限界値(第1限界値)は65535である。
【0136】
一方、内部当せん役に入賞して遊技価値が払い出される(遊技者が遊技価値を獲得する)と、差枚数カウンタの値が第1方向とは反対の第2方向に変化する。例えば、差枚数カウンタの値が2404のときに、5枚役に入賞して5枚の遊技価値を獲得して払い出された場合、差枚数カウンタの値が2404から2399に変化する。同図に示すように、差枚数カウンタの値において第2方向の限界値(第2限界値)は0である。
【0137】
第2限界値を0とし、第1限界値を65535とした場合に、これら2つの限界値からなるカウンタの範囲内に初期値を配置している。ベット(投入枚数)が払出枚数よりも大きい場合と、払出枚数がベット(投入枚数)よりも大きい場合とがあり、カウンタの値がカウントアップされる場合と、カウントダウンされる場合があるためである。
【0138】
上述した通り、有利区間の強制終了条件は、有利区間における差枚数が+2400枚である。初期値から第2方向へ2400枚、差枚数カウンタの値が変化することを意味する。差枚数カウンタの数値範囲を有効利用するために、初期値と第2限界値(0)との間を2400枚としている。強制終了条件となる差枚数が+2400枚で有利区間を切る必要があるので、+2400枚以上をカウントする必要性は薄い。よって、差枚数がプラスとなる側(第2限界値に向けてカウント値が変動する場合)のカウントの限界値(第2限界値)が、ちょうど有利区間の強制終了条件の差枚数となるように、初期値を2401とし、第2限界値を0と定めている。このようにすることで、0~65535の範囲のうち、差枚数がマイナスとなる側(第1限界値に向けてカウント値が変動する場合)の範囲に、2401から65535まで割り当てられるようになる。これにより、初期値から第1限界値までに利用可能なカウント数を最大にすることができ、差枚数カウンタのバイト数を有効利用可能となる。
【0139】
図9のステップST102の遊技価値の増減処理によって増減する遊技者の所有の遊技価値(クレジット数)は、媒体管理部620からカートユニット9へ転送されると、値が0になる。基本的に遊技者が入れ替わるごとに値がリセットされる。クレジット数は表示されるため、遊技者が視認可能な値である。遊技区間が有利区間から通常区間に移行してもクレジット数はクリアされない。
一方、差枚数カウンタの値は、媒体管理部620からカートユニット9へ遊技価値(クレジット数)が転送されても0にならず、遊技者が切れ替わっても、有利区間である限りクリアされずにカウントが継続される。差枚数カウンタの値は、表示されないので、遊技者が認識することが難しい内部的な値といえる。
【0140】
―差枚数カウンタの管理処理―
図9のステップST104に示す差枚数カウンタの管理処理の詳細を説明する。図11は、差枚数カウンタの管理処理を示すフローチャートである。図11に示していないが、入賞役がリプレイである場合には、払出枚数が確定しておらず、次のゲーム以降のゲームで払出枚数が確定するため、図11に示す差枚数カウンタの管理処理は実行しない。図11に示す差枚数カウンタの管理処理は、投入枚数および払出枚数のセットが確定したことを契機として実行される。
差枚数カウンタの管理処理に移行すると、図11に示すように、ステップST201において、メイン制御部61は、投入された遊技価値の枚数(投入枚数)を取得する。次のステップST202において、差枚数カウンタの値を第1方向に変化させる第1処理を実行する。本実施形態において第1処理は、差枚数カウンタの値を第1方向に1変化させる(加算する)第1種の命令をコールする。第1種の命令がコールされると、原則として、差枚数カウンタの値が第1方向に1変化する。例えば、差枚数カウンタの値が2401である際に上記第1種の命令がコールされると、差枚数カウンタの値が2401から2402に変化する。例外として、差枚数カウンタの値が第1限界値(65535)である際に第1種の命令がコールされ、第1方向に変化させる際の差枚数カウンタの値が第1限界値(65535)を第1方向に超える場合(例えば、加算の結果、65536となる場合など)に、差枚数カウンタの値は第1限界値(65535)に維持される。次のステップST203において、メイン制御部61は、第1処理を投入枚数分実行したか否かを判定する。第1処理が投入枚数分実行されていないと判定された場合(ステップST203:NO)、ステップST202に示す第1処理が繰り返し実行される。例えば、1ゲームに対する遊技価値の投入枚数が3枚の場合、ステップST202に示す第1処理が3回実行される。
【0141】
一方、ステップST203において、第1処理が投入枚数分実行されたと判定された場合(ステップST203:YES)、メイン制御部61は、ステップST204において、遊技進行中のゲームにおいて払い出された遊技価値の枚数(払出枚数)を取得する。次のステップST205において、メイン制御部61は、払出枚数が0枚であるか否か(払出枚数が存在するか否か)を判定する。ステップST205において、払出枚数が0枚であると判定した場合(ステップST205:YES)、メイン制御部61は、差枚数カウンタの管理処理を終了し、図9に示すステップST105の処理に移行する。一方、ステップST205において、払出枚数が0枚でないと判定した場合(ステップST205:NO)、メイン制御部61は、ステップST206において、差枚数カウンタの値を第2方向に変化させる第2処理を実行する。本実施形態において第2処理は、差枚数カウンタの値を第2方向に1変化させる(減算する)第2種の命令をコールする。
第2種の命令がコールされると、原則として、差枚数カウンタの値が第2方向に1変化する。例えば、差枚数カウンタの値が2401である際に上記第2種の命令がコールされると、差枚数カウンタの値が2401から2400に変化する。例外として、差枚数カウンタの値が第2限界値(0)である際に第2種の命令がコールされ、第2方向に変化させる際の差枚数カウンタの値が第2限界値(0)を第2方向に超える場合(例えば、減算の結果、-1となる場合など)に、差枚数カウンタの値は第2限界値(0)に維持される。次のステップST207において、メイン制御部61は、第2処理を払出枚数分実行したか否かを判定する。第2処理が払出投入枚数分実行されていない場合(ステップST207:NO)、ステップST206に示す第2処理が繰り返し実行される。例えば、入賞に基づいて付与された遊技価値の枚数(払出枚数)が5枚の場合、ステップST206に示す第2処理が5回実行される。
【0142】
有利区間の強制終了条件に、有利区間において消化したゲーム数が含まれている機種においては、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達する前に、有利区間において消費したゲーム数が制限ゲーム数に到達して有利区間が終了する場合が多いため、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達することを考慮する必要がなかった。しかしながら、本実施形態のように、有利区間の強制終了条件に有利区間において消化したゲーム数が含まれておらず、有利区間の終了処理が、有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されない機種(例えば、メダルレス遊技機)の場合には、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達して第1限界値を超えてしまうおそれを想定する必要がある。そのため、上記のように第1処理において、差枚数カウンタの値が第1限界値を第1方向に超える場合に、差枚数カウンタの値を第1限界値に維持する処理を施して、差枚数カウンタのバッファオーバーフローの発生を防止可能にしている。
【0143】
上記実施形態の遊技機において、差枚数カウンタの値が第1限界値(655354)に到達しても、有利区間は継続するが、差枚数カウンタの値が第2限界値(0)に到達すると、有利区間は強制終了となる。
差枚数カウンタの値が第1限界値に到達しても有利区間が継続する理由は、次の通りである。
差枚数カウンタの値が第1方向に変化することは、払出よりもベット枚数が多く、遊技者の遊技価値は有利区間においてマイナスの状態が継続する。差枚数カウンタの値が第1限界値に到達したということは、遊技者の遊技価値は相当なマイナス状態となる。
そもそも、第1限界値は、有利区間において消費したゲーム数に応じて有利区間を終了するという強制終了条件を無くしたことと、差枚数カウンタが2バイトという有限であることによって、マイナスの差数の管理の必要性が生じて、設けられた限界値である。
第2限界値での挙動と同様に、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達したからといって有利区間を強制終了してしまうと、投資が嵩んだ場合にも有利区間を強制終了するというゲーム性になってしまい、遊技者にとって多大な不利益となり、遊技をしてもらえなくなる可能性がある。
遊技者は、有利区間において、差枚数がマイナスになっている分に2400枚足した枚数を獲得可能であると期待して遊技を継続している。差枚数カウンタの値は遊技者からしたら見えない値なので、遊技機の内部で差枚数カウンタの値が第1限界値に到達することに起因して有利区間を強制終了してしまうと、上記遊技者の期待に反してしまい、遊技離れの要因となる。
よって、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達した場合、2バイトといった物理的な限界値のために数値は丸め込むしかないものの有利区間は継続させ、差枚がマイナスとなった分プラス2400の枚数を獲得できる可能性を確保している。
【0144】
[1]
本実施形態のように、スロットマシン1(遊技機)は、遊技進行に応じて差枚数カウンタの値を管理する管理処理が実行可能であり、管理処理において、遊技価値が投入されたことに応じて差枚数カウンタの値を第1方向に変化させる第1処理と、遊技価値が払い出されたことに応じて差枚数カウンタの値を第1方向とは反対の第2方向に変化させる第2処理とが実行可能であり、第1処理において、遊技価値が投入されたことに応じて第1方向に変化させる際の差枚数カウンタの値が、差枚数カウンタにおける第1方向の第1限界値を第1方向に超える場合に、差枚数カウンタの値を第1限界値に維持する処理が実行可能である、としてもよい。
【0145】
<発明の効果>
本実施形態によれば、遊技者による遊技価値の投入が継続して、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達し得る場合であっても、差枚数カウンタの値が第1限界値に維持される。よって、差枚数カウンタのバッファオーバーフロー等の不具合の発生を抑制でき、差枚数カウンタの適切な処理が実行可能な遊技機を提供することができる。
【0146】
[2]
上記[1]に記載の遊技機において、指示機能にかかる処理を行うことができる有利区間と、指示機能にかかる処理を行うことができない通常区間と、を含む遊技区間のうちのいずれかの遊技区間で遊技を進行する処理が実行可能であり、第1処理を含む管理処理は、有利区間において実行することが可能である、としてもよい。
この構成によれば、有利区間における差枚数を適切に管理可能となる。
【0147】
[3]
上記[2]に記載の遊技機において、遊技進行中の有利区間を終了させる終了処理が実行可能であり、差枚数カウンタの値が第1限界値に維持された場合に、終了処理が実行されない、としてもよい。
差枚数カウンタの値が第1限界値に維持された場合は、払出枚数よりもベット枚数(投入枚数)が多く、遊技者は有利区間において相当なマイナス状態となっているものの、遊技者は、有利区間において、差枚数がマイナスになっている分に2400枚足した枚数を獲得可能であると期待して遊技を継続している。しかし、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達した際に、有利区間を終了してしまうと、上記遊技者の期待に反してしまい、遊技離れの要因となる。したがって、差枚数カウンタの値が第1限界値に維持された場合に、終了処理が実行されないようにすることで、上記遊技離れとなる事態を回避可能となる。
【0148】
[4]
上記[2]または[3]に記載の遊技機において、遊技進行中の有利区間を終了させる終了処理が実行可能であり、終了処理は、有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されない、としてもよい。
この構成によれば、終了処理が有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されないので、差枚数カウンタの値が第1限界値に到達する可能性が生じ、その場合でも差枚数カウンタの値の管理を適切に実行可能となる。
【0149】
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の遊技機において、差枚数カウンタのバイト数は、2バイトである、としてもよい。
【0150】
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の遊技機において、メダルレス遊技機である、としてもよい。
【0151】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0152】
(A)上記実施形態の差枚数カウンタのバイト数は2バイトであるが、これに限定されず、バイト数は適宜変更可能である。
【0153】
(B)上記実施形態では、有利区間を終了させる終了処理は、有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されないが、これに限定されない。有利区間を終了させる終了処理が、有利区間で消費したゲーム数を条件として実行されていてもよい。例えば、有利区間で消費したゲーム数が所定ゲーム数に到達することを条件として有利区間を終了する場合に、前記所定ゲーム数が大きい場合には、有利区間で消費したゲーム数が所定ゲーム数に達するよりも前に差枚数カウンタの値が第1限界値に到達する可能性がある。
【0154】
―差枚数カウンタの変形例―
(C)図10に示す実施形態では、差枚数カウンタの値は、遊技価値の払出(獲得、付与)に応じて減算されるが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、差枚数カウンタの値が、遊技価値の払出に応じて加算されるようにしてもよい。図12は、変形例の差枚数カウンタの値に関する説明図である。次に具体的に説明する。
図12に示す差枚数カウンタのバイト数は2バイトであり、差枚数カウンタの値は、2402から65535まで連続して変化し、0から2401まで連続して変化する。65535の一つ大きい値は0であり、0の一つ小さい値は65535である。通常区間から有利区間に移行した際に差枚数カウンタの値が初期値(0)に設定される。
遊技価値が投入されることに応じて差枚数カウンタの値が第1方向に変化する。例えば、有利区間移行直後に遊技価値が3枚投入された場合、差枚数カウンタの値が0から65533に変化する。同図に示すように、差枚数カウンタの値において第1方向の限界値(第1限界値)は2402である。
一方、内部当せん役に入賞して遊技価値が払い出される(遊技者が遊技価値を獲得する)と、差枚数カウンタの値が第1方向とは反対の第2方向に変化する。例えば、差枚数カウンタの値が65533のときに、5枚役に入賞して5枚の遊技価値を獲得して払い出された場合、差枚数カウンタの値が65533から2に変化する。同図に示すように、差枚数カウンタの値において第2方向の限界値(第2限界値)は2401である。
上述した通り、有利区間の強制終了条件は、有利区間における差枚数が+2400枚である。初期値から第2方向へ2400枚、差枚数カウンタの値が変化することを意味する。差枚数カウンタの数値範囲を有効利用するために、初期値と第2限界値(2401)との間を2400枚としている。
図12に示す変形例の差枚数カウンタでも図11に示す差枚数カウンタの管理処理を示すフローチャートと処理が同じ。
図10に示す例では、払い出しが増えるのに伴って差枚数カウンタの値が減っている例であるが、図12に示す例では、払い出しが増えるのに伴って差枚数カウンタの値も増加する例である。図12に示す例では、差枚数カウンタの値が2401で有利区間が強制終了となるようにするために、初期値をあえて0にしている。
図12に示す例では、差枚数カウンタの値がマイナスとなる場合(差数がマイナス)は、図10に示す例とは逆に、差枚数カウンタの値が65535から2402に向けて減少していく。
差枚数カウンタの値が増加していき、2401に到達した場合は、有利区間での差数が強制終了条件である+2400に到達したことを意味するので、有利区間は強制終了となる。一方、差枚数カウンタの値が減少していき、2402に到達した場合は、有利区間は強制終了とならずに継続する。
なお、差枚数カウンタの値が限界値(第1限界値、第2限界値)に到達した際の差枚数カウンタの値の挙動は、図10に示す例と同じである。差枚数カウンタの値が第2限界値(2401)よりも第2方向に向けて変化(増加)しようとしても、第2限界値(2401)に維持される。差枚数カウンタの値が第1限界値(2402)よりも第1方向に向けて変化(減少)しようとしても、第1限界値(2402)に維持される。
【0155】
(D)図9に示すステップST103における有利区間に滞在中であるか否かの判定処理は、図9に示すステップST101の入賞判定処理よりも前で実行しておいてもよい。具体的には、レバー24の操作時に実行してもよい。
【0156】
(E)遊技価値数制御部62が実行する図9に示すステップST102の遊技価値の増減処理と、メイン制御部61が実行する図9に示すステップST104の差枚数カウンタの管理処理とを、図9に示す時系列順ではなく、同時に実行してもよい。
【0157】
(F)上記実施形態において、メイン制御61と遊技価値数制御部62は、別々の基板に実装されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば、メイン制御部61と遊技価値数制御部62は、ともにメイン基板上に実装されていてもよい。この場合、遊技価値数制御部62と、メイン制御部61とは、別々のチップで構成されていることができ、互い双方向通信が可能となっている、としてもよい。
遊技価値数制御部62をメイン制御部61とは別に設ける代わりに、メイン制御部61が遊技価値数制御部62の機能を担ってもよい。この場合は、遊技価値数制御部62とメイン制御部61が1チップに実装されるので、メイン制御部61と遊技価値数制御部62との間の通信はなく、遊技価値の管理と差枚カウンタの管理は、全てメイン制御部61が実行可能となる、としてもよい。
【0158】
ベットスイッチ41には、上記所定枚数(例えば3枚)の遊技価値を自動でベットするためのMAXベットスイッチと、上記所定枚数未満の遊技価値(例えば1枚または2枚)をベットするためのベットスイッチとが、別々に設けられていてもよい。
【0159】
前記実施形態では、ベットスイッチ41とレバー42が別々に設けられている場合を例示したが、レバー42がベットスイッチ41の機能を兼ねていてもよい。
【0160】
前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、操作態様役の正解操作態様を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0161】
設定値を示唆する演出には、画像によるものの他、回転リール20a,20b,20cの回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、更に含まれてもよい。
【0162】
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。また、遊技機は、スロットマシンに限定されることはなく、パチンコなどの弾球遊技機であっても実現可能である。
弾球遊技機の場合、射出および/またはアタッカーに入賞した球を上記でいうベットとし、払い出された球を上記でいう払い出しと捉えることができる。また、弾球遊技機において、上記有利区間に相当するような特定期間における一連での出玉に所定数(例えば3万発など)までの制限が設けられた場合、上記実施形態の適用が有用となり得る。
【0163】
前記実施形態では、遊技機がメダルレス機である場合を例示した。しかし、遊技機は、メダルレス機に限定されることなく、実在のメダルを用いて遊技される従来のスロットマシンであっても実現可能である。
【0164】
前記実施形態では、カードユニット9とスロットマシン1が別々である場合を例示した。しかし、カードユニット9の機能の少なくとも一部がスロットマシン1に搭載されてもよい。
【0165】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0166】
61 :メイン制御部
62 :遊技価値数制御部
【要約】
【課題】差枚数カウンタの適切な処理が実行可能な遊技機を提供する。
【解決手段】スロットマシン1は、遊技進行に応じて差枚数カウンタの値を管理する管理処理が実行可能であり、管理処理において、遊技価値が投入されたことに応じて差枚数カウンタの値を第1方向に変化させる第1処理と、遊技価値が払い出されたことに応じて差枚数カウンタの値を第1方向とは反対の第2方向に変化させる第2処理とが実行可能であり、第1処理において、遊技価値が投入されたことに応じて第1方向に変化させる際の差枚数カウンタの値が、差枚数カウンタにおける第1方向の第1限界値を第1方向に超える場合に、差枚数カウンタの値を第1限界値に維持する処理が実行可能である。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12