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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20250217BHJP
【FI】
A61L2/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022048262
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2023141775
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394001087
【氏名又は名称】株式会社京都プラテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 崇
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】前川 元貴
(72)【発明者】
【氏名】倉本 興一
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0061223(US,A1)
【文献】特開2022-170807(JP,A)
【文献】特開2022-041564(JP,A)
【文献】特開2000-217902(JP,A)
【文献】特開2010-201038(JP,A)
【文献】特開2012-254673(JP,A)
【文献】国際公開第2022/011046(WO,A1)
【文献】特開2022-039953(JP,A)
【文献】特開2023-61444(JP,A)
【文献】特開2017-98154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61L 9/20
B60R 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内の取付面に取り付けられて前記室内に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置であって、
前記取付面に沿って配される基板と、
前記基板の板面に沿った方向から車両の乗員検出信号が信号線により入力されるコネクタ部と、を備え、
前記コネクタ部のうち前記取付面と対向する対向面の反対側の反対面側に、導電性を有する板状の導電板部が重畳して配置されている紫外線照射装置。
【請求項2】
前記コネクタ部は、前記基板のうち前記取付面と対向する基板側対向面上に配置されており、
前記導電板部は、前記基板側対向面の反対側の基板側反対面側に配置され、前記基板に向けて立ち上がって前記基板に設けられた挿通孔に挿通されるとともに、前記コネクタ部の周囲を覆う導電延設部を備えている、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記導電延設部は、前記基板に設けられた放電回路と導通接続されている請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記基板のうち前記取付面と対向する基板側対向面の反対側の基板側反対面を覆う導電性を有する基板シールド部を備え、前記導電板部は前記基板シールド部と一体に連なっている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を照射する照射装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1の室内灯は車両に取り付けられるものであって、灯具ボディ内に外部に向けて紫外光を発光するダイオードを備えている。このような車両用室内灯によれば、紫外光によって車室内の照射部位を除菌することができる、とのことである。
【0003】
またこの室内灯は、車室内の乗員に誤って紫外光が照射されることを防ぐために、車室内の乗員の有無を検出する、例えばエンジンのイグニッションを検出するイグニッションセンサや、ドアのロックまたはアンロックを検出するロックセンサ等の乗員検出センサを備えている。紫外光源は、乗員検出センサから乗員が車室内にいない旨の信号が入力されたことに応じて点灯されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-254673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、除菌ニーズの更なる高まりにより、紫外光源を備えない車両に対して、後付けタイプの紫外線照射装置を取り付けたいという要望が高まっている。そしてこのような紫外線照射装置に対しても、車室内の乗員に誤って紫外光が照射されることを防ぐために、乗員検出センサが連結される。
【0006】
具体的には、乗員検出センサにより検出された信号は、インパネに設けられた出力部からケーブルにより引き出され、例えば車両の天井部に取り付けられた紫外線照射装置の入力部から入力される。
【0007】
しかし、このような構成によればケーブルが天井まで届くように1~3mと長くなるため、乗員が車両に持ち込むスマートフォンや電子機器等が発する電磁波の影響を受け易く、ノイズが誤動作の原因となる虞がある。
【0008】
本明細書に開示される技術は上記事情に鑑みてなされたものであって、車両から出力される乗員検出信号の、外部電磁波によるノイズを低減させることができる紫外線照射装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本明細書に開示の技術は、車両の室内の取付面に取り付けられて前記室内に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置であって、前記取付面に沿って配される基板と、前記基板の板面に沿った方向から車両の乗員検出信号が信号線により入力されるコネクタ部と、を備え、前記コネクタ部のうち前記取付面と対向する対向面の反対側の反対面側に、導電性を有する板状の導電板部が重畳して配置されている。
【0010】
上記構成によれば、コネクタ部の反対面側からコネクタ部内の配線に影響を及ぼす電磁波を、導電板部により抑制することができる。しかも、コネクタ部内に配置された信号線と導電板部との間に疑似コンデンサが形成されるから、この疑似コンデンサにより乗員検出信号のノイズを低減させ、紫外線照射装置に精度が高い乗員検出信号を入力することができる。
【0011】
前記コネクタ部は、前記基板のうち前記取付面と対向する基板側対向面上に配置されており、前記導電板部は、前記基板側対向面の反対側の基板側反対面側に配置され、前記基板に向けて立ち上がって前記基板に設けられた挿通孔に挿通されるとともに、前記コネクタ部の周囲を覆う導電延設部を備えていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、導電板部がコネクタ部の周囲を取り囲むことで疑似コンデンサの容量が増加するから、紫外線照射装置に入力される乗員検出信号のノイズをより低減することができる。
【0013】
前記導電延設部は、前記基板に設けられた放電回路と導通接続されていてもよい。上記構成によれば、導電延設部を利用して紫外線照射装置の放電路を形成することができる。
【0014】
前記基板のうち前記取付面と対向する基板側対向面の反対側の基板側反対面を覆う導電性を有する基板シールド部を備え、前記導電板部は前記基板シールド部と一体に連なっていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、基板の基板側反対面側から基板に影響を及ぼす電磁波を、導電性を有する基板シールド部により抑制することができる。また、基板シールド部と導電板部とは一体に連なっているから、基板シールド部と導電板部とを別部品とする構成と比較して、部品点数を減らし、簡易な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示される技術によれば、車両から出力される乗員検出信号の、外部電磁波によるノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の深紫外線照射装置の斜視図
図2】深紫外線照射装置の分解斜視図
図3】深紫外線照射装置の内部の斜視図
図4】板金シールドの斜視図
図5】深紫外線照射装置の平面図
図6図5のI-I断面図
図7】実施形態2の深紫外線照射装置の一部拡大斜視図
図8】他の実施形態の深紫外線照射装置の一部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本明細書に開示の紫外線照射装置を、深紫外線を発光する深紫外線照射装置10に適用した第1実施形態を図1から図6によって説明する。各図面には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。以下、X軸方向を右方向または幅方向、Y軸方向を前方、Z軸方向を上方として説明するが、方向については本実施形態に限定されるものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して他の部材の符号は省略することがある。
【0019】
深紫外線照射装置10は、深紫外線LEDが実装された第1基板55と、可視光LED80が実装された第2基板(基板の一例)70と、全体として扁平な箱状をなして第1基板55および第2基板70を内部に収容するハウジング11と、を備えて構成されている。
【0020】
ハウジング11は樹脂製であって、図2に示すように、略矩形の保持部材40の板面を表裏(上下)の両側から覆う2つのカバー12,32を備えて構成されている。詳細には、保持部材40は樹脂製であって、略矩形の板状の保持板部41と、保持板部41の周縁部から上下方向(Z方向)に向けて立ち上がる枠状の枠状部42と、を備えており、ハウジング11は、保持板部41の上面を覆うとともに枠状部42の内側に嵌め入れられる全体として浅皿状の上側カバー12と、保持板部41の下面を覆うとともに枠状部42の内側に嵌め入れられる板状の下側カバー32との2つのカバーを備えて構成されている。深紫外線照射装置10は、上側カバー12が車両の例えば天井等の取付面に対向する向きで、車両に対して取り付けられる。
【0021】
ハウジング11の上側カバー12のうち保持板部41の上面と対向して配される天井壁13は、その前端から後方かつ上方に向けて傾く傾斜状とされて保持板部41の前方部分約1/3を覆う前天井壁14と、前天井壁14から連なって水平方向に延在し、保持板部41の後方部分約2/3を保持板部41に対して平行な状態で覆う後天井壁15とから構成されている(図1参照)。
【0022】
上側カバー12の天井壁13の周縁部には、下方かつ外側に向けて斜めに立ち上がるカバー側周壁16が設けられている。このカバー側周壁16の立ち上がり方向における先端(下端)の外周寸法は、上述した保持部材40の枠状部42の内側に嵌め入れられる寸法に設定されている。
【0023】
カバー側周壁16のうち、前天井壁14の前端に連なって延びる前壁17には、上下に延びる複数のスリット状の排気口18が前天井壁14に跨って設けられている(図5参照)。また、カバー側周壁16のうち、後天井壁15の後端に連なって延びる後壁21には、コネクタジャック用開口22と、リモコンジャック用開口23と、スライドスイッチタイマー用開口24とが並んで設けられている(図1参照)。
【0024】
上側カバー12は、保持部材40の保持板部41から立ち上がる複数の円柱状の上側カバー被締結部46(図2および図3参照)に対してボルトB1を締結することにより、保持部材40に対して固定されている。上側カバー12が保持部材40に対して固定された状態において、上側カバー12の天井壁13と保持板部41との間には空間が形成されている。
【0025】
また、上側カバー12が保持部材40に対して固定された状態において、カバー側周壁16のうち上述した前壁17以外の部分の下端部は、保持部材40の保持板部41との間に隙間を有するように設定されており、この隙間からハウジング11の内部空間に空気を吸入可能とされている。以下の説明において、ハウジング11の内部空間のうち、前天井壁14の下方の空間を前方空間R1(図示せず)とし、後天井壁15の下方の空間を後方空間R2とし(図6参照)、カバー側周壁16と保持板部41との間の隙間を吸気口と称することとする。吸気口全体の開口面積は、上述した排気口18全体の開口面積より大きい面積となるように設定されている。
【0026】
一方、ハウジング11の下側カバー32は略矩形の板状をなしており、中央部分が下方に向けて僅かに膨出するように全体的にやや湾曲している。下側カバー32の外周寸法は、上述した保持部材40の枠状部42の内側に嵌め入れられる寸法に設定されている。
【0027】
図2に示すように、下側カバー32の4つの辺(端縁部)の各中央部には、外側に向けて係止部33が突出している。下側カバー32は、これら係止部33が上述した保持部材40の保持板部41に設けられた係止孔47の孔縁部に係止することにより、保持部材40に対して固定されている。
【0028】
下側カバー32のうち、上述した上側カバー12の前天井壁14に対応する部分の一部(前方空間R1に対応する部分の一部)には、幅方向(左右方向)に長い長方形状とされて板面を貫通するハウジング側開口35が設けられている。
【0029】
一方、下側カバー32と組み付けられた状態の保持部材40において、保持板部41のハウジング側開口35に対向する位置には、保持部材側開口(図示せず)が板面を貫通して設けられている。つまり、下側カバー32および保持部材40が組み付けられた状態において、ハウジング側開口35および保持部材側開口は、上下方向に連通した状態とされる。これらの連通した状態の開口には、放熱部材50が嵌め入れられている。
【0030】
放熱部材50はアルミニウム製またはアルミ合金製とされ、後述するようにハウジング11の内部に配置される2つの深紫外線LEDから発光される光をハウジング11の外部に透過させるための2つの円形の透光孔(図示せず)を備えている。放熱部材50は、下面がハウジング11の外部に露出し、上面がハウジング11の内部(前方空間R1内)に露出する状態で、保持部材40および下側カバー32に対して位置決めされている。
【0031】
保持部材40および下側カバー32に位置決めされた放熱部材50には、2枚の第1基板55がボルトB2を締結することにより取り付けられている。2枚の第1基板55は、正面視扁平なV字形状となるように互いに交差した状態で左右方向に並んで、放熱部材50に取り付けられている。
【0032】
第1基板55はアルミニウム製またはアルミ合金製とされている。第1基板55が放熱部材50に取り付けられた状態において、当該第1基板55の下面のうち上述した放熱部材50の透光孔に対向する位置には、深紫外線LED(図示せず)が実装されている。上述したように、2枚の第1基板55は、正面視扁平なV字形状となるように互いに交差した状態で配されているため、各深紫外線LEDは、頂面が下方からやや外側(左右方向)を向いた状態とされている。
【0033】
深紫外線LEDは、紫外線の中でも波長が短い深紫外線(100~280nm)を照射する深紫外線LEDである。これらの深紫外線LEDが照射する深紫外線の波長は、200~280nmの範囲内であることが好ましい。
【0034】
深紫外線LEDは、第1基板55に実装した際に、第1基板55と反対側の端面(頂面)から照射を行う頂面照射型深紫外線LEDを採用している。これら深紫外線LEDの指向角は、頂面に対して垂直な軸を中心とした120度の範囲内とされている。
【0035】
ハウジング11の後方空間R2には、冷却ファン60が収容されている。冷却ファン60は、第1基板55に対して天井壁13に沿う方向に横並びとされた状態で、保持部材40に対してボルトB3により締結されている。なお、横並びとは、深紫外線照射装置10を平面視した際に、第1基板55の板面と冷却ファン60とが重畳しない配置とされていることを指しており、上下方向の高さがずれている場合を含むこととする。本実施形態では、冷却ファン60は、第1基板55よりやや上方に配されている。
【0036】
冷却ファン60は、下方から吸い上げた空気を前方に向けて送風する構成とされており、円筒状の本体部61から前方に向けて扁平な角筒状に突出する送風口62は、2枚の第1基板55の上面から上方に離隔した位置に配されている。このような構成により、各第1基板55の上面と、ハウジング11の天井面との間が、冷却ファン60の送風口62からハウジング11の排気口18までの排気路とされている。
【0037】
吸気口からハウジング11の後方空間R2に吸い込まれた空気の一部は、冷却ファン60に吸い込まれる。そして、冷却ファン60を通過するとともに当該冷却ファン60の送風口62から前方に向けて放出され、第1基板55の上面(排気路)を通過して、排気口18からハウジング11の外部に排気される。つまり、第1基板55を上面側から冷却ファン60の風により効率的に冷却することができる。
【0038】
また、吸気口からハウジング11の後方空間R2に吸い込まれた空気の一部は、ハウジング11の内壁(カバー側周壁16)に沿って前方に向けて進んで前方空間R1に流れ込み、排気口18からハウジング11の外部に排気される。
【0039】
図3に示すように、ハウジング11の後方空間R2には、第2基板70が収容されている。第2基板70は絶縁材料からなり、冷却ファン60より下方(保持部材40側)に配されて、保持部材40に対してボルトB4により締結されている。
【0040】
冷却ファン60の左右側方には、可視光LED80が配置されている。可視光LED80は、ハウジング11の左右側方(外側)に向けて発光可能な形で第2基板70に実装されている。なお、ハウジング11の上側カバー12のカバー側周壁16うち、可視光LED80に対応する部分(側壁26)には、可視光LED80から発せられる光を外部に透過させるための貫通孔27が設けられている(図1参照)。
【0041】
第2基板70と保持部材40(保持板部41)との間には、シールド板金(基板シールド部の一例)100が配置されている。シールド板金100は導電材料からなり、図3および図4に示すように、第2基板70と対向して配置される本体部101と、本体部101の左右の両側縁部の概ね全体から上方に向けて立ち上がる側立壁102と、本体部101の後縁部のうち幅方向(X方向)における右側の部分から上方に向けて立ち上がる後立壁106と、を備えている。なお、図2および図3においては、シールド板金100を見分け易くするために、シールド板金100に濃い網掛けを付すこととする。
【0042】
各側立壁102の前端寄りおよび後端寄りの位置には、側立壁102から上方に突出するように片状に延び出す左右一対の係止片104がそれぞれ設けられている。また、右側の側立壁102Rの前方には、該側立壁102Rよりも幅方向(X方向)の内側において上方に立ち上がる前方グランド接続部103Fが設けられている。さらに、左側の側立壁102Lの後方には、該側立壁102Lよりも幅方向の内側において上方に向けて立ち上がる後方グランド接続部103Rが設けられている。
【0043】
シールド板金100は、第2基板70や冷却ファン60の保持部材40に対するボルト締結部に対応する部分に設けられた複数の孔部107によって保持部材40に対して位置決めされる。また、上述した係止片104に切り起こした係止爪105を第2基板70の上面に係止させることにより、第2基板70と係止されている。
【0044】
シールド板金100および第2基板70が保持部材40に対して位置決めされた状態において、上述したシールド板金100の前方グランド接続部103Fおよび後方グランド接続部103Rは、第2基板70に設けられた接続孔71に貫通されるとともに、第2基板70に形成された図示しない放電回路とはんだ接続されている(図3参照)。
【0045】
このように、シールド板金100が第2基板70の下面(基板側反対面の一例)70Bを覆うように第2基板70に対して重畳配置されることにより、第2基板70の下面70B側から第2基板70や実装部品に影響を及ぼす電磁波を抑制することができる。
【0046】
第2基板70の上面(基板側対向面の一例)70Aの後端部には、図3に示すように、左側からコネクタジャック(コネクタ部の一例)75と、リモコンジャック76と、スライドスイッチタイマー77とが並んで配置されている。リモコンジャック76およびスライドスイッチタイマー77の後端部は、第2基板70から後方に延び出している。
【0047】
上述したシールド板金100の後立壁106は、リモコンジャック76およびスライドスイッチタイマー77に対応する部分に立ち上がっており、これらリモコンジャック76およびスライドスイッチタイマー77を貫通させるための開口108を備えている。上述した上側カバー12の後壁21に設けられたコネクタジャック用開口22と、リモコンジャック用開口23と、スライドスイッチタイマー用開口24とは、これらに対応する位置に設けられている。
【0048】
コネクタジャック75は、後面が開口された箱型をなして第2基板70の上面70Aに例えば接着剤等の固定手段により固定されている。コネクタジャック75は、車両のインパネから引き出された電源、イグニッション信号、および、グランド接続用の配線の端部に設けられた車両側コネクタ(図示せず)を後方から前方に向けて、すなわち、第2基板70の板面に沿う方向に嵌入させ、第2基板70上の回路と導通させる部分である。コネクタジャック75内に車両側コネクタが嵌合された状態において、電源、イグニッション信号、および、グランド接続用の配線は、第2基板70の板面に沿って配される。
【0049】
上述したシールド板金100は、平面視においてコネクタジャック75に重畳する範囲まで延在している。つまり、シールド板金100のうちコネクタジャック75に重畳する領域(図4において点線で囲まれた領域であって、以下コネクタ重畳部(導電板部の一例)109とする)は、第2基板70の下面70B側からコネクタジャック75内において車両から送信される信号に対して影響を及ぼす電磁波を抑制する。また、このコネクタ重畳部109は、コネクタジャック75内において、車両から延びる配線(信号線)との間に疑似コンデンサを形成するから、車両から送信される信号のノイズを低減させることができる。
【0050】
上述した本実施形態の深紫外線照射装置10は、例えば、タクシー等の車両の客室(室内の一例)の除菌を目的として使用することができる。本実施形態の深紫外線照射装置10をタクシー等の車両の客室(後部座席)の天井に取り付けた場合には、2つの深紫外線LEDは互いに水平方向から外側に向けて傾いた状態とされるから、車室側面の高い位置まで照射して除菌を行うことができる。このような深紫外線の照射は、例えば、運航後に格納庫で行ったり、前部座席と後部座席の間に深紫外線カットフィルム付きセパレータ等が設けられている場合であれば、運行中、客待ち時間や回送時間に行うことができる。
【0051】
次に、作用効果について説明する。本実施形態の深紫外線照射装置10は、車両の取付面に沿って配される第2基板70と、第2基板70の板面に沿った方向から車両のイグニッション信号(乗員検出信号)が信号線により入力されるコネクタジャック75と、を備え、コネクタジャック75のうち取付面と対向する上面(対向面の一例)75Aの反対側の下面(反対面の一例)75B側に、導電性を有する板状のコネクタ重畳部109が重畳して配置されている。
【0052】
上記構成によれば、コネクタジャック75の下面75B側からコネクタジャック75内に配置された信号線(配線)に影響を及ぼす電磁波を、シールド板金100のコネクタ重畳部109により抑制することができる。しかも、コネクタジャック75内に配置された信号線とコネクタ重畳部109との間に疑似コンデンサが形成されるから、この疑似コンデンサによりイグニッション信号のノイズを低減させ、深紫外線照射装置10に精度が高いイグニッション信号を入力することができる。
【0053】
第2基板70のうち車両の取付面と対向する上面70Aの反対側の下面70Bを覆う導電性を有するシールド板金100を備え、シールド板金100はコネクタ重畳部109を含むように(一体に)構成されている。
【0054】
上記構成によれば、第2基板70の下面70B側から第2基板70に影響を及ぼす電磁波を、導電性を有するシールド板金100により抑制することができる。また、シールド板金100はコネクタ重畳部109と一体に構成されているから、コネクタ重畳部109を別部品とする構成と比較して、部品点数を減らし、簡易な構成とすることができる。
【0055】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図7によって説明する。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0056】
上記実施形態1では、コネクタジャック75の下面75B側に導電性を有するシールド板金100のコネクタ重畳部109を重畳配置する構成を示したが、本実施形態の深紫外線照射装置は、シールド板金110をコネクタジャック75の周囲を取り囲む構成としたところが、上記実施形態1と相違する。
【0057】
具体的には、シールド板金110は、コネクタ重畳部119の左側の端部から第2基板170に向けて立ち上げられ、第2基板170にコネクタジャック75の左端に沿うように設けられたスリット(挿通孔の一例)178に挿通されるとともに、コネクタジャック75の左側面75C、上面75A、および右側面(図示せず)を覆うように、コネクタジャック75の外面に沿って折り曲げられた導電延設部111を備えている。またこの導電延設部111のうち、スリット178に挿通された部分は、第2基板170に設けられた図示しない放電回路にはんだ接続されている。
【0058】
上記構成によれば、シールド板金110の一部がコネクタジャック75の周囲を取り囲むことで、シールド板金110のコネクタ重畳部119および導電延設部111とコネクタジャック75内に配置された信号線(配線)との間に形成される疑似コンデンサの容量が増加するから、紫外線照射装置に入力されるイグニッション信号のノイズをより低減することができる。
【0059】
また上記構成によれば、導電延設部111を利用して、紫外線照射装置の放電路を形成することができる。
【0060】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態では、コネクタジャック75が第2基板70の上面70Aに配置され、シールド板金100(コネクタ重畳部109)が第2基板70の下方に重畳配置される構成を示したが、コネクタ部は、基板と並ぶように配置されてもよい。その場合、導電板部が基板シールド部と別体で設けられてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態では、深紫外線照射装置10が車両のイグニッション信号に基づいて作動される構成を示したが、イグニッション信号以外にも、ドアロック信号等、乗員検出信号の種類は上記実施形態に限るものではない。
【0063】
(3)上記実施形態では、第2基板70,170の下面全体を覆うシールド板金100,110を設ける構成を示したが、基板の下面が基板シールド部により覆われていない構成も技術的範囲に含まれる。要は、コネクタ部の対向面が導電板部により覆われていればよい。
【0064】
(4)上記実施形態2では、導電延設部111を利用してシールド板金110と第2基板170の放電回路の導通接続を行う構成としたが、導電延設部111を利用せず、実施形態1のように、別途グランド接続部を設ける構成としてもよい。
【0065】
(5)上記実施形態2では、導電延設部111がシールド板金110(コネクタ重畳部119)から一体に連なって延出される構成を示したが、例えば図8に示すように、コネクタ部の周囲(側面および上面)を、別体の導電板部120で囲む構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0066】
10:深紫外線照射装置(紫外線照射装置)、11:ハウジング、70,170:第2基板(基板)、70A:上面(基板側対向面)、70B:下面(基板側反対面)、75:コネクタジャック(コネクタ部)、75A:上面(対向面)、75B:下面(反対面)、100,110:シールド板金(基板シールド部)、109,119:コネクタ重畳部(導電板部)、111:導電延設部、178:スリット(挿通孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8