(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】ドア用装置、及び設置具
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20250217BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20250217BHJP
E05B 47/00 20060101ALN20250217BHJP
【FI】
E05B49/00 R
E05B49/00 J
H04B5/02
E05B47/00 J
(21)【出願番号】P 2022184359
(22)【出願日】2022-11-17
【審査請求日】2023-05-02
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506359288
【氏名又は名称】株式会社アスタリスク
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】大隅 昌豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規之
【合議体】
【審判長】小林 俊久
【審判官】蔵野 いづみ
【審判官】長井 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-000910(JP,A)
【文献】特開2015-068007(JP,A)
【文献】特許第3987570(JP,B2)
【文献】特開平09-217530(JP,A)
【文献】特開2011-94468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B47/00-49/04
H04B5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに設置されて用いられ、当該ドアに設けられた既設のサムターンを施解錠する後付の施解錠装置を制御するドア用装置であって、
前記ドアに出入りする人を認証する認証部と、
前記認証部を前記ドアに設置する設置部と、
前記認証部を前記設置部に取り付ける取付構造と、
前記認証部に対して接続される電線と、
を備え、
前記設置部は、
前記ドアを構成する戸と枠のすき間に介在する介在部と、
前記戸の外側に配され、前記介在部から当該戸の面方向に延在する第一延在部と、
前記戸の内側に配され、前記介在部から前記面方向に延在する第二延在部と、
を有し、
前記第一延在部と前記第二延在部の一方に
は、前記認証部が配置され、
前記電線を収容する溝が形成されており、
前記取付構造は、前記戸側から前記設置部に向かって取付操作する構造であることを特徴とする、ドア用装置。
【請求項2】
ドアに設置されて用いられ、当該ドアに設けられた既設のサムターンを施解錠する後付の施解錠装置を制御するドア用装置であって、
前記ドアに出入りする人を認証する認証部と、
前記認証部を前記ドアに設置する設置部と、
前記認証部を前記設置部に取り付ける取付構造と、
を備え、
前記設置部は、
前記ドアを構成する戸と枠のすき間に介在する介在部と、
前記戸の外側に配され、前記介在部から当該戸の面方向に延在する第一延在部と、
前記戸の内側に配され、前記介在部から前記面方向に延在する第二延在部と、
前記第二延在部と戸の間に配置されるスペーサと、
を有し、
前記第一延在部と前記第二延在部の一方に前記認証部が配置されており、
前記取付構造は、前記戸側から前記設置部に向かって取付操作する構造であることを特徴とする、ドア用装置。
【請求項3】
前記第一延在部と第二延在部の一方は、前記認証部の配置位置を調整する調整部を備える、請求項1
または請求項2に記載のドア用装置。
【請求項4】
前記認証部は前記人の生体情報に基づいて認証する機能を備える、請求項1
または請求項2に記載のドア用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア用装置、及び設置具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キーレス化に伴って、ドアに設けられた鍵を電気的に施解錠する電気錠や電子錠(以下、電気錠や電子錠をまとめて「電気錠等」という。)の普及が進んでいる。当該電気錠等は、戸の外面側や内面側に設置された装置によって取得された情報に基づいて施解錠操作を行うものである。なお、当該装置としては、戸の外面側に設置され、施解錠を制御するためのコードを入力するための入力装置や、戸の内面側に設置され、施解錠を制御するための情報をスマートフォンから取得する施解錠装置などが用いられている。
【0003】
ここで、特許文献1には、ドア付近の外壁に設置された受光装置を備える電子錠システムが記載されている。この電子錠システムでは、ユーザの携帯端末において入力された認証用コードが当該携帯端末から光信号として受光装置に送信され、受光装置が当該認証用コードを受信することで鍵の施解錠が制御される。
【0004】
また、特許文献2には、戸の外面に設置されたテンキーを備える暗証番号式電子錠が記載されている。この暗証番号式電子錠では、テンキーによって入力された数字を照合することで電子錠における施解錠が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-213994号公報
【文献】特開2003-000000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の受光装置や特許文献2のテンキーはドア周辺の外壁や戸の外面に設置されるものであるが、これらの機器を既設の建物に対して設置する場合には、機器が容易に取り外れることの無いよう、外壁や戸に対してネジなどを打ち込む工事が必要となるため、設置やその取り外しに手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、既設のドアに対して機器を着脱し易く、且つ設置後は容易に取り外れることがないドア用装置、及び設置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、ドアに設置されて用いられるドア用装置であって、所定の機能を有する機能部と、前記機能部を前記ドアに設置する設置部と、を備え、前記設置部は、前記ドアを構成する戸と枠のすき間に介在する介在部と、前記戸の外側に配され、前記介在部から当該戸の面方向に延在する第一延在部と、前記戸の内側に配され、前記介在部から前記面方向に延在する第二延在部と、を有し、前記第一延在部と前記第二延在部の一方または両方に前記機能部が配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のドア用装置は、前記機能部を設置部に取り付ける取付構造を備え、前記取付構造は、前記戸側から前記設置部に向かって前記取付操作する構造であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のドア用装置は、前記第一延在部と第二延在部の一方または両方は、前記機能部の配置位置を調整する調整部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のドア用装置は、前記機能部に対して接続される電線を有し、前記第一延在部と前記第二延在部の一方または両方には、前記電線を収容する溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のドア用装置は、前記設置部が、前記第二延在部と戸の間に配置されるスペーサを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のドア用装置は、前記機能部が生体情報を検出する機能を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のドア用装置は、前記機能部が前記ドアの鍵を施解錠する施解錠機能を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の設置具は、機器をドアに設置する設置具であって、前記ドアを構成する戸と枠のすき間に介在する介在部と、前記戸の外側に配され、前記介在部から前記戸の面方向に延在する第一延在部と、前記戸の内側に配され、前記介在部から前記面方向に延在する第二延在部と、を有し、前記第一延在部と前記第二延在部の一方または両方に前記機器が取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のドア用装置および設置具によれば、既設のドアに対して機器を着脱し易く、且つ設置後は閉戸した状態で容易に取り外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明の第1実施形態に係るドア用装置の設置態様を示す正面図および一部拡大平面図、(b)当該ドア用装置が設置された戸の背面図。
【
図4】(a)本発明の第2実施形態の設置具の第一延在部の正面図、(b)当該第一延在部のA-A断面図、(c)当該第一延在部のB-B断面図。
【
図5】(a)第2実施形態の設置具の平面図、(b)介在部のA-A断面図、(c)介在部および第二延在部のB-B断面図。
【
図6】(a)第3実施形態のドア用装置の側面図、(b)スペーサの平面図、(c)当該ドア用装置の第二延在部の背面図。
【
図7】(a)第4実施形態のドア用装置の正面図、(b)当該ドア用装置が設置された戸の背面図
【
図8】(a)第5実施形態のドア用装置の正面図、(b)当該ドア用装置が設置された戸の背面図
【
図9】(a)変形例9に係る設置具の側面図、(b)当該設置具の平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、
図1乃至
図2に基づいて、本発明の第1実施形態に係るドア用装置について説明する。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態に係るドア用装置100は、既設の建物のドア10に設置されて用いられる装置である。当該ドア10は、戸11と枠12により構成されている。戸11は、枠12の面外に移動する開閉形式の扉である。枠12は、戸11を取り付ける建物の開口壁材に接するものである。当該ドア10の戸11には、錠を解錠または施錠するためのサムターン13が設けられており、当該サムターン13を駆動する施解錠装置20が戸11の室内側面11bに設置されている。
【0020】
上記施解錠装置20は、
図2に示すように、既設の戸11に対して後付された装置であり、戸11の室内側面11bに設置される筐体21と、サムターン13を挟持する挟持部22と、を備えている。筐体21は、戸11の室内側面11bに対して両面テープにより固定されており、その内部には、制御基板と、モータと、動力伝達機構と、が収容されている。制御基板には、Bluetooth(登録商標)モジュール、マイコン、ドライバ回路、及びこれらの部品に対して電力を供給する電源回路が実装されている。当該Bluetoothモジュールは、近距離無線通信部として機能するモジュールであり、本実施形態のドア用装置100が備える認証装置110(
図1)と無線通信が可能となっている。マイコンは、CPUとメモリが内蔵されたものであり、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することで、Bluetoothモジュールが受信した解錠コマンドに従って、モータの回転方向及び回転ステップを制御する制御信号をドライブ回路へと出力する。このようにマイコンはモータの回転を制御する制御部として機能する。ドライブ回路は、モータを駆動する回路であり、マイコンから入力された制御信号に基づいて、駆動電力をモータに出力する。モータは、ドライブ回路から入力された電力に基づいて回転する。当該モータのシャフトは、複数のギアによって構成される動力伝達機構に接続されており、当該動力伝達機構の出力シャフトは挟持部22に接続されている。これにより、モータの回転に応じて挟持部22が回転し、当該挟持部が回転することでサムターン13が回転することとなる。
【0021】
図1に戻り、本実施形態のドア用装置100は、上記施解錠装置20と通信可能な認証装置110と、当該認証装置110をドア10に設置する設置具130と、を備えている。
【0022】
認証装置110は、ドア10を介して建物に出入りする人物を認証する装置であり、本実施形態では、認証アプリケーション(以下、「認証アプリ」という。)がインストールされた公知のスマートデバイス111と、当該スマートデバイス111を収容する筐体112と、により構成されている。
【0023】
スマートデバイス111は、スマートフォンやタブレット端末であり、タッチパネルディスプレイ、カメラモジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、及びスピーカーを有する。タッチパネルディスプレイは、スマートデバイス111のCPUから入力された情報を表示する表示部として機能する。また、タッチパネルディスプレイは、ユーザによるタッチ操作が生じた場合に、タッチ位置をCPUに入力する位置入力部として機能する。カメラモジュールは、CPUから入力された撮像コマンドに基づいて、スマートデバイス111の正面側を撮像し、生成した画像情報をCPUへと入力する撮像部として機能する。Bluetoothモジュールは、施解錠装置20と無線通信を行う近距離無線通信部として機能する。スピーカーは、CPUから入力された音声を発生させる音出力部として機能する。
【0024】
CPUは、認証アプリを実行することで、カメラモジュールに対して撮像コマンドを入力する処理、カメラモジュールから入力された画像から人物を検出する処理、検出した人物の顔に基づいて顔認証する処理、顔認証が成功した場合にBluetoothモジュールを介して解錠コマンドを施解錠装置20に送信する処理、を実行する。すなわち、CPUは、撮像コマンドをカメラモジュールに入力してカメラモジュールを制御するカメラ制御部、画像から人物を検出する検出部、検出した人物を認証する認証部、解錠コマンドを施解錠装置20に送信して施解錠装置20を制御する施解錠制御部として機能する。
【0025】
上記スマートデバイス111は、タッチパネルディスプレイおよびカメラモジュールが露出するように筐体112に収容されている。
図3に示すように、筐体112の背面には複数のネジ穴113が形成されている。
【0026】
図1および
図3に示すように、ドア用装置100の設置具130は、介在部131、第一延在部132、及び第二延在部133を備えており、これらの各構成が金属材により形成されている。介在部131は、戸11と枠12のすき間Sに介在する部分であり、当該すき間Sよりも薄い厚みの板状に形成されている。当該介在部131は、戸11の上面11cに沿って配置され、横方向に延びる帯状に形成されている。具体的には、当該上面11cの幅(戸11の厚み)寸法と同一の幅であり、且つ、上面11cの長さ(戸11の幅)に延びる帯状に形成されている。介在部131において室外側に位置する端には第一延在部132が接続されており、介在部131において室内側に位置する端には第二延在部133が接続されている。
【0027】
第一延在部132は、戸11の上縁から下方に延びる帯状に形成された部分であり、戸11の室外側面11aに沿って配置される。第一延在部132の上端は、介在部131に接続されている。第一延在部132は、その下端が戸11の中ほど(取っ手の近傍)に位置している。第一延在部132の下端部には、複数の取付穴134が形成されている。当該取付穴134の各々は、上記認証装置110の筐体112のネジ穴113に対応する位置に形成されている。これらの取付穴134を通じて、複数のネジ140が認証装置110のネジ穴113にネジ止めされることで、認証装置110が第一延在部132に取り付けられることとなる。
【0028】
第二延在部133は、戸11の上縁から戸11の室内側面11bに沿って配置される板状の部分である。当該第二延在部133の厚みは特に限定されないが、本実施形態では介在部131の厚みと同一に形成されている。
【0029】
上記のように構成される設置具130は、第一延在部132の上部、介在部131、及び第二延在部133によってコ字状部が形成される。当該コ字状部に戸11の上部が嵌まり込むことで、設置具130が戸11に取り付けられる。なお、当該設置具130の取り付けは、先ず認証装置110が第一延在部132に取り付けられたうえで、戸11が開放された状態で実施される。ドア用装置100が戸11に設置されると、上記コ字状部に戸11が嵌まり込んだ状態となり、且つ介在部131が枠12と戸11のすき間Sに介在することとなるので、ドア用装置100は閉戸すると取り外すことができない状態となる。このように、本実施形態のドア用装置100によれば、ドア10の戸11を設置具130に嵌め込むだけで認証装置110をドア10に設置することができる。このように、既設のドア10に穴を開けるなどの工事が不要となり、認証装置110を容易に着脱することがきる。また、このように、既設のドア10に対する工事や加工が不要であるため、賃貸物件の退去時に修繕する必要がない、よって既設の賃貸物件にも導入することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、認証装置110を設置具130に取り付ける取付構造として、認証装置110の筐体背面のネジ穴113と、第一延在部132の取付穴134と、当該取付穴134を通じてネジ穴113に止められるネジ140を、を採用しており、当該取付構造は、前記第一延在部132の前記戸11側から認証装置110に対して前記取付操作する構造であるため、戸11から設置具130を取り外さなければ認証装置110を設置具130から取り外すことができない。すなわち、ドア用装置100がドア10に設置された状態において認証装置110を取り外すことができないので、認証装置110の盗難を防止することができる。
【0031】
[第2実施形態]
【0032】
図4および
図5に示すように、第2実施形態に係るドア用装置は、認証装置110(不図示)と、設置具130aと、を備える点で第1実施形態と共通する。しかし、本実施形態のドア用装置は、設置具130aに対する認証装置110の取付位置が調整可能である点で第1実施形態と異なっている。また、本実施形態のドア用装置は、認証装置110が電線を備えており、当該電線を配線できる溝が設置具130aに形成されている点で異なっている。以下、本実施形態において第1実施形態と異なる構成を中心に説明することとし、第1実施形態と共通する点の説明は適宜省略する。
【0033】
本実施形態の設置具130aは、第1実施形態と同様に、介在部131aと、第一延在部132aと、第二延在部133aと、を備えており、第一延在部132aの下端部に認証装置110が取り付けられる。ここで、上記の通り本実施形態では、認証装置110を第一延在部132aに取り付ける位置を調整することが可能となっている。具体的には、第一延在部132aの下端部には複数の取付穴134が形成されている。当該複数の取付穴134の数は、認証装置110のネジ穴113よりも多く設けられている。当該複数の取付穴134の何れかを介して、ネジ140が認証装置110のネジ穴113へとネジ止めされる。このように、本実施形態の第一延在部132aは、その下端部において複数の取付穴134が形成されており、当該取付穴134は、第一延在部132aにおいて下端部から上方に向かって等間隔になるように複数箇所に設けられているので、認証装置110の取付位置を調整することができる。このように複数の取付穴134は、認証装置110の取付位置を調整する調整部として機能する。
【0034】
また、上記の通り本実施形態の認証装置110は電線を備えている。当該電線は、認証装置110に対して電力を供給する電力供給線、及び/又は認証装置110と通信を行う通信線を含んでおり、認証装置110が備えるスマートデバイス111のコネクタに接続されている。当該電線を室内側へと配線するために、設置具130aには溝135が形成されている。具体的には、第一延在部132aの裏面には、上下に延びる溝135が形成されている。また、当該溝135へと電線を導くために、第一延在部132aの下端部には縦長の開口136が形成されている。当該開口136を通じて第一延在部132aの裏側に出された電線は、溝135内に這わされた状態で、介在部131a及び第二延在部133aへと配線される。
【0035】
介在部131a及び第二延在部133aには、
図5に示すように溝137,138が形成されている。介在部131aの溝137は、介在部131aの下面側に形成されている。また、第二延在部133aの溝138第二延在部133aの裏側面に形成されている。このように電線が設置具130aの裏側の溝135,137,138に這わされた状態で室内へと導かれるので、電線が外側に露出し、ドア用装置の外観を損ねることを防止することができる。
【0036】
[第3実施形態]
【0037】
第3実施形態に係るドア用装置100bは、
図6に示すように、第1実施形態および第2実施形態と同様に、認証装置110と、設置具130bと、備えている。しかし、本実施形態のドア用装置100bは、設置具130bの介在部131bが、戸11の厚み方向に長く延在している点で第1実施形態および第2実施形態と異なっている。このように、介在部131bが戸11の厚み方向に長く延在しているため、第二延在部133bと戸11の間にはスペースが形成される。そこで、本実施形態の設置具は、第二延在部133bと戸11の間に配置されるスペーサ142を備えている。
【0038】
具体的には、第二延在部133bの下端部にはネジ穴143が形成されており、当該ネジ穴143にスペーサ142が固定される。スペーサ142は、第二延在部のネジ穴143に螺挿されるネジ軸部142aと、ネジ軸部142aの先端に設けられ、戸11の室内側面11bに当接する当接部142bと、前記ネジ軸部142aの後端に設けられるつまみ部142cと、を備えている。当該つまみ部142cをネジ締め方向に回転させると、当接部142bが戸11に向かって直動して戸11の室内側面11bと当接することとなる。このように当接部142bが戸11の室内側面11bと当接することにより、第二延在部133bがスペーサ142によって支持される。本実施形態では、第二延在部133bの下端部の左右にスペーサ142が配置されている。
【0039】
本実施形態のドア用装置100bは、介在部131bが戸11の厚み方向に長く延在しているので、様々な厚みの戸11に取り付けることが可能となる。また、スペーサ142によって第二延在部133bが支持されるので、設置具130bを安定して戸11に取り付けることができる。
【0040】
[第4実施形態]
【0041】
図7に示すように、第4実施形態に係るドア用装置100cが備える設置具130cは、ドア10の上部において枠12と戸11のすき間Sに介在する上介在部131cと、ドア10の下部において枠12と戸11のすき間Sに介在する下介在部144と、戸11の外側に配され、上介在部131cから下介在部144に向かって延在する第一延在部132cと、戸11の内側に配され、上介在部131cから下方に向かって延在する第二延在部133cと、戸11の内側に配され、下介在部144から上方に向かって延在する第三延在部145と、を備えている。
【0042】
本実施形態における上介在部131cは第1実施形態の介在部131と同様の構成であるが、第2実施形態または第3実施形態の介在部131a,131bと同様の構成であっても構わない。また、本実施形態における第二延在部133cは第1実施形態の第二延在部133と同様の構成であるが、第2実施形態または第3実施形態の第二延在部133a,133bと同様の構成であっても構わない。
【0043】
本実施形態における第一延在部132cは、戸11の上端から下端にかけて延在している点が第1実施形態と異なっているが、その他については第1実施形態と同様の構成である。また、本実施形態の第一延在部132cは、第2実施形態の第一延在部132aのように、複数の取付穴134を備えることで、認識装置110の取付位置を調整可能であっても構わない。また、本実施形態の第一延在部132cは、第2実施形態の第一延在部132aのように、認識装置110の電線を挿通可能な開口136が設けられ、その裏面に溝135が形成されたものであっても構わない。
【0044】
本実施形態における下介在部144は上介在部131cと同様の構成である。また、第三延在部145は、第二延在部133cを上下逆さまにした態様である。
【0045】
[第5実施形態]
【0046】
図8に示すように、第5実施形態に係るドア用装置100dが備える設置具130dは、ドア10の両側部において枠12(縦枠)と戸11のすき間Sに介在する一対の介在部146,147と、戸11の外側に配され、介在部の一方146と他方147の間で左右に延在する第一延在部132dと、戸11の内側に配され、介在部の一方146から戸11の室内側面11bに沿って延在する第二延在部133dと、介在部の他方147から戸11の室内側面11bに沿って延在する第三延在部145dと、を備えており、これらの構成は、上記第4実施形態の各構成を回転させた構成に相当する。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、下記のような変形を加えたものであっても構わない。
【0048】
[変形例1]
介在部、第一延在部、及び第二延在部は、一枚の金属板をプレス加工(曲げ加工)によって形成されたものであるが、これらの構成は別々の金属板を溶接によって接合したものであっても構わない。
【0049】
[変形例2]
第1実施形態から第3実施形態において、第一延在部は、戸11の上縁から戸11の中ほどの位置まで延在しているが、戸11の上部にのみ延在している態様であっても構わない。
【0050】
[変形例3]
第1実施形態から第3実施形態において、第二延在部は、戸11の上縁から下方に向かって延在しているが、下方に向かって延在する長さは特に限定されず、戸11の上部にのみ延在する態様であっても構わないし、戸の11の中程の位置まで延在しても構わない。また、第二延在部は、第4実施形態の第一延在部132cと同様に戸11の下端まで延在し、下介在部144に接続されても構わない。
【0051】
[変形例4]
上記の各実施形態では、認証装置110は第一延在部に取り付けられているが、認証装置110を第二延在部に取り付けてもよい。また、認証装置110は第三延在部に取り付けても構わない。
【0052】
[変形例5]
第一延在部は、戸11の上下方向(第1実施形態乃至第4実施形態)や左右方向(第5実施形態)に延在する態様に限定されず、戸11の面方向に延在するものであればよい。また、第二延在部および第三延在部も同様に戸11の面方向に延在するものであればよい。
【0053】
[変形例5]
上記実施形態の認証装置110は、人物の顔認証を実施するものであるが、画像に含まれる人物の虹彩や他の特徴に基づいて認証を実施する機器であってもよい。また、人物の顔や虹彩に限定されず、人物の生体情報を検出する検出部を備え、検出した生体情報に基づいて認証を実施する機器であっても構わない。また、生体情報に限定されず、入力されたパスワードに基づいて認証を実施する機器であっても構わない。
【0054】
[変形例6]
上記実施形態の設置具130,130a,130b,130cは認証装置110をドア10に設置するものであるが、ドア10にインターホンを設置するものであっても構わない。また、ドア10に照明を設置するものであっても構わない。すなわち、設置具130,130a,130b,130cは、ドア10に用いられ得る機器をドア10に設置するものであればよい。
【0055】
[変形例7]
上記実施形態では、第一延在部に機器である認証装置が取り付けられているが、第二延在部に機器が取り付けられる態様であっても構わない。例えば、第二延在部は、戸11の上縁からサムターン付近まで延在するものであり、鍵を施解錠する施解錠装置を当該第二延在部に取り付けても構わない。
【0056】
[変形例8]
上記実施形態のドア用装置は、ドアに用いられる機器と、当該機器をドアに設置する設置具と、を備えているが、ドアに用いられることで機能する機能部と、当該機能部をドアに設置する設置部を備えるドア用装置であればよい。すなわち、本発明は、各実施形態に示されているように、機器というユニットと設置具という器具を備えるものに限定されず、ハードウェアとして一体化された機能部と設置部とを備えるものであればよい。
【0057】
[変形例9]
介在部は、戸の厚みに応じて、戸との接触部分の幅が調節可能であっても構わない。例えば、
図9に示すように、介在部131dは、戸の室外側に向かって突出しており、当該突出方向に細長いスリット148が設けられたものであっても構わない。当該態様においては、第一延在部132dは、当該介在部131dと重なるように形成されたフランジ部149を有する。そして、介在部131dのスリット148を介してフランジ部149に対してネジ150がネジ止めされることで、介在部131dと第一延在部132dが固定されることとなる。本変形例9によれば、介在部131dに対する第一延在部132dの固定位置をスリット148内において調節することができるので、種々の厚みの戸11に対応することができる。
【0058】
[変形例10]
上記実施形態では、各図に示される片開き式に限定されず、両開き式であっても構わない。当該態様においては、当該両開き式のドアが有する2つの戸の何れか一方または両方に本発明のドア用装置を設置することができる。また、ドアは、両開き式のドアであって、枠の面外に開閉する親戸と、枠に固定する固定部を有する子戸と、を備えてドアであっても構わない。当該態様においては、親戸と子戸の一方または両方に本発明のドア用装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
100 ドア用装置
110 認証装置(機器)
130 設置具
131 介在部
132 第一延在部
133 第二延在部