(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】アノードフリー固体電池の界面接合層
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20250217BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20250217BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250217BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250217BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20250217BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20250217BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20250217BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20250217BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M10/052
H01M10/058
H01M50/105
H01M50/403 A
H01M50/403 D
H01M50/403 Z
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2022506092
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 US2020043409
(87)【国際公開番号】W WO2021021600
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521240527
【氏名又は名称】テラワット テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】星 肇
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅継
(72)【発明者】
【氏名】井本 浩
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-504741(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004699(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/045399(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052-0587
H01M 50/40-497
H01M 50/105
H01M 4/134
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードフリー固体電池であって、
カソード層と、
銅を含むアノード電流コレクタ層と、
前記カソード層と前記アノード電流コレクタ層との間のセパレータ層と、
前記セパレータ層と前記アノード電流コレクタ層との間に配置された耐デンドライト層であって、前記耐デンドライト層はデンドライト形成を抑制
し、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む耐デンドライト層と、
前記耐デンドライト層と前記アノード電流コレクタ層との間に配置され
、フッ化ポリビニリデン(PVDF)及びケッチェンブラックを含む界面接合層と、
を備え、
前記界面接合層は、前記アノードフリー固体電池の充電中、前記アノード電流コレクタ層と前記界面接合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させ、
前記界面接合層と前記アノード電流コレクタ層との
界面の第1の接着量は、前記耐デンドライト層と前記界面接合層との
界面の第2の接着量よりも大きい、アノードフリー固体電池。
【請求項2】
前記界面接合層の存在は、前記アノードフリー固体電池のインピーダンスを低下させる、請求項1に記載のアノードフリー固体電池
。
【請求項3】
前記セパレータ層は、骨格材料、塩、溶媒、及び添加剤を含む、請求項1に記載のアノードフリー固体電池。
【請求項4】
前記塩及び前記添加剤は、前記溶媒中に溶解して液体電解質を形成し、
前記液体電解質は、前記骨格材料全体に分散し、
前記液体電解質は、前記骨格材料全体に分散した後、ゲルに変換される、請求項
3に記載のアノードフリー固体電池。
【請求項5】
前記界面接合層は0.05μm~5μmであり、
前記耐デンドライト層は厚さ0.05μm~10μmである、請求項1に記載のアノードフリー固体電池。
【請求項6】
アノードフリー固体電池を作成する方法であって、
フッ化ポリビニリデン(PVDF)及びケッチェンブラックを含む界面接合層を
、銅を含むアノード電流コレクタ層上に堆積させることと、
カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む耐デンドライト層をリチウムゲルセパレータ層上に堆積させることと、
カソード及びカソード電流コレクタを前記リチウムゲルセパレータ層上に積層させることと、
前記耐デンドライト層を前記界面接合層上に積層させることと、
を含み
、
前記界面接合層と
前記アノード電流コレクタ層との
界面の第1の接着量は、
前記耐デンドライト層と前記界面接合層
との界面の第2の接着量よりも
大きく、
前記界面接合層は、前記アノード電流コレクタ層と前記界面接合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させる、アノードフリー固体電池を作成する方法。
【請求項7】
前記界面接合層の存在は、前記アノードフリー固体電池のインピーダンスを低下させる、請求項
6に記載のアノードフリー固体電池を作成する方法
。
【請求項8】
リチウムゲルセパレータ層を作成することを更に含む請求項
6に記載のアノードフリー固体電池を作成する方法。
【請求項9】
リチウムゲルセパレータ層を作成することは、
第1の接着層を骨格材料に取り付けることであって、前記骨格材料は前記骨格材料内に空隙を画定す
ることと、
第2の接着層を前記骨格材料に取り付けることと、
液体電解質を前記骨格材料内の前記空隙に充満させることと、
を含む、請求項
8に記載のアノードフリー固体電池を作成する方法。
【請求項10】
前記耐デンドライト層は、前記液体電解質が前記骨格材料内の前記空隙に充満する前、前記リチウムゲルセパレータ層上に堆積する、請求項
9に記載のアノードフリー固体電池を作成する方法。
【請求項11】
前記リチウムゲルセパレータ層を作成することは、
前記液体電解質を前記骨格材料内の前記空隙に充満させた後、前記液体電解質をゲル電解質にさせる熱を前記リチウムゲルセパレータ層に印加することを更に含む、請求項
9に記載のアノードフリー固体電池を作成する方法
。
【請求項12】
パウチ式アノードフリー固体電池であって、
可撓性パウチと、
カソード層と、
銅を含むアノード電流コレクタ層と、
前記カソード層と前記アノード電流コレクタ層との間のセパレータ層と、
前記セパレータ層と前記アノード電流コレクタ層との間に配置され
、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む耐デンドライト層であって、前記耐デンドライト層はデンドライト形成を抑制する、耐デンドライト層と、
前記耐デンドライト層と前記アノード電流コレクタ層との間に配置され
、フッ化ポリビニリデン(PVDF)及びケッチェンブラックを含む界面結合層と、
を備え、
前記界面結合層は、前記アノード電流コレクタ層と前記界面結合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させ、
前記界面接合層と前記アノード電流コレクタ層との
界面の第1の接着量は、前記耐デンドライト層と前記界面接合層との
界面の第2の接着量よりも大きく、
前記カソード層、前記アノード電流コレクタ層、前記セパレータ層、前記耐デンドライト層、及び前記界面接合層は、前記可撓性パウチ内に挿入される、パウチ式アノードフリー固体電池。
【請求項13】
熱に露出されるとゲルになる液体電解質を更に含む請求項1
2に記載のパウチ式アノードフリー固体電池
。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] リチウムイオン電池の充電中、リチウムイオンは電池のカソードから電池のアノードに、カソードとアノードとの間に配置されるセパレータを通して移動する。インターカレーションと呼ばれるプロセスを通して、リチウムイオンは、アノードとして機能している材料中に挿入されることになる。この充電プロセス中、リチウムイオンは、セパレータに面するアノードの表面上にも付着し得る。アノードに関連する核形成エネルギーは、リチウムイオンが、アノード上に既に付着した他のリチウムの上部に付着する(アノードの表面にわたり概ね均等な薄膜で付着するのではなく)のを促進し得る。リチウムのこれらのプールはデンドライトを形成し得る。デンドライトは、アノードの表面から離れてセパレータに向かって延びるリチウム金属の突起部であることができる。時間の経過に伴い(例えば、多数の充電及び放電サイクルを通して)、デンドライトは、セパレータを貫通し、アノードとカソードとを電気的に直接接続する(すなわち短絡回路)ような長さまで成長し得る。そのような電気接続は、電池の破壊、恐らくは過熱及び発火等の深刻な副作用を生じさせる恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
[0002] 種々の実施形態がアノードフリー固体電池に関連して説明される。幾つかの実施形態では、アノードフリー固体電池が記載される。本電池はカソード層を備え得る。本電池はアノード電流コレクタ層を備え得る。本電池は、カソード層とアノード電流コレクタ層との間にセパレータ層を備え得る。本電池は、セパレータ層とアノード電流コレクタ層との間に配置された耐デンドライト層を備え得る。耐デンドライト層はデンドライト形成を抑制し得る。本電池は、耐デンドライト層とアノード電流コレクタ層との間に配置された界面接合層を備え得る。界面接合層は、アノードフリー固体電池の充電中、アノード電流コレクタ層と界面接合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させ得る。界面接合層とアノード電流コレクタ層との間の第1の接着量は、耐デンドライト層と界面接合層との間の第2の接着量よりも大きい量であり得る。
【0003】
[0003] そのような方法の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。界面接合層の存在は、アノードフリー固体電池のインピーダンスを低下させ得る。界面接合層はアセチレンブラックを含み得る。耐デンドライト層は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含み得る。セパレータ層は、骨格材料、塩、溶媒、及び添加剤を含み得る。塩及び添加剤は、溶媒中に溶解して液体電解質を形成し得る。液体電解質は、骨格材料全体に分散し得る。液体電解質は、骨格材料全体に分散した後、ゲルに変換し得る。界面接合層は0.05μm~5μmであり得る。耐デンドライト層は厚さ0.05μm~10μmであり得る。
【0004】
[0004] 幾つかの実施形態では、アノードフリー固体電池を作成する方法が記載される。本方法は、界面接合層をアノード電流コレクタ層上に堆積させることを含み得る。本方法は、耐デンドライト層をリチウムゲルセパレータ層上に堆積させることを含み得る。本方法は、カソード及びカソード電流コレクタをリチウムゲルセパレータ層上に積層させることを含み得る。本方法は、耐デンドライト層を界面接合層上に積層させることを含み得る。耐デンドライト層と界面接合層との間の第1の接着量は、界面接合層とアノード電流コレクタ層との間の第2の接着量よりも少ない量であり得る。界面接合層は、アノード電流コレクタ層と界面接合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させ得る。
【0005】
[0005] そのような方法の実施形態は以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。界面接合層の存在は、アノードフリー固体電池のインピーダンスを低下させ得る。界面接合層はアセチレンブラックを含み得る。本方法は、リチウムゲルセパレータ層を作成することを更に含み得る。リチウムゲルセパレータ層を作成することは、第1の接着層を骨格材料に取り付けることを含み得る。骨格材料は骨格材料内に空隙を画定し得る。本方法は、第2の接着層を骨格材料に取り付けることを含み得る。本方法は、液体電解質を骨格材料内の空隙に充満させることを含み得る。耐デンドライト層は、液体電解質が骨格材料内の空隙に充満する前、リチウムゲルセパレータ層上に堆積し得る。リチウムゲルセパレータ層を作成することは、液体電解質を骨格材料内の空隙に充満させた後、液体電解質をゲル電解質にさせ得る熱をリチウムゲルセパレータ層に印加することを更に含み得る。界面接合層は、バインダ材料及び導電材料を含み得る。バインダ材料はPVDFであり得、導電材料はケッチェンブラックであり得る。耐デンドライト層は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含み得る。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、パウチ式アノードフリー固体電池が記載される。本電池は、可撓性パウチを備え得る。本電池は、カソード層を備え得る。本電池は、アノード電流コレクタ層を備え得る。本電池は、カソード層とアノード電流コレクタ層との間のセパレータ層を備え得る。本電池は、セパレータ層とアノード電流コレクタ層との間に配置される耐デンドライト層を備え得る。耐デンドライト層はデンドライト形成を抑制し得る。本電池は、耐デンドライト層とアノード電流コレクタ層との間に配置される界面接合層を備え得る。界面接合層は、アノード電流コレクタ層と界面接合層上に堆積したリチウムとの間の電気接続量を増大させ得る。界面接合層とアノード電流コレクタ層との間の第1の接着量は、耐デンドライト層と界面接合層との間の第2の接着量よりも大きい量であり得る。カソード層、アノード電流コレクタ層、セパレータ層、耐デンドライト層、及び界面接合層は、可撓性パウチ内に挿入し得る。
【0007】
[0007] そのような装置の実施形態は以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。本電池は、熱に露出されるとゲルになる液体電解質を含み得る。界面接合層はアセチレンブラックを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池の積層の一実施形態を示す。
【
図2】[0009]リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池の積層の別の実施形態を示す。
【
図3A】[0010]熱を使用して形成されているリチウムゲルセパレータ層の一実施形態を示す。
【
図3B】[0011]リチウムゲルセパレータ層を作成する方法の一実施形態を示す。
【
図4】[0012]リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池を含むパウチ式電池セルを製造する方法の一実施形態を示す。
【
図5】[0013]円筒形電池プレスシステムの一実施形態を示す。
【
図6A】[0014]円柱形耐デンドライトアノードフリー固体電池を作成する方法の一実施形態を示す。
【
図6B】[0014]円柱形耐デンドライトアノードフリー固体電池を作成する方法の一実施形態を示す。
【
図7】[0015]リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層と、界面接合層とを有するアノードフリー固体電池の積層の一実施形態を示す。
【
図8】[0016]種々の層間の相対接着量を示すアノードフリー固体電池の積層の一実施形態を示す。
【
図9】[0017]リチウムが界面接合層上に堆積している充電中のアノードフリー固体電池の積層の一実施形態を示す。
【
図10】[0018]リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層と、界面接合層とを有する固体電池を含むパウチ式電池セルを製造する方法の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0019] リチウムゲルセパレータ層と組み合わせた耐デンドライト層の導入は、電池セルの厚さを大きく増大させずに、デンドライトの成長を阻止することができる。耐デンドライト層は、アノードフリー固体電池(SSB)のアノード電流コレクタ上に直接成膜し得る。アノードフリーSSBでは、アノード電流コレクタは、銅箔であることができ、アノード及びアノード電流コレクタの両方として効果的に機能し得る。耐デンドライト層は、耐デンドライト層と接触するアノード電流コレクタの表面上にリチウムイオンがリチウム金属として堆積するために必要な核形成エネルギーを下げ得る。リチウムイオンは、アノード電流コレクタの表面上に既に付着したリチウム金属の上部に付着する(したがって、デンドライトに繋がり得るプールを生じさせる)傾向を有するのではなく、リチウムはアノード電流コレクタの表面にわたり概ね均一な薄膜で堆積する傾向を有し得る。
【0010】
[0020] 耐デンドライト層は、リチウムゲルセパレータ層と直接接触し得る。リチウムゲルセパレータ層は複数の機能を果たし得る。第1に、リチウムゲルセパレータ層は、カソードとアノードとの間のリチウムイオンの移動を促進する固体電解質として機能することができる。リチウムゲルセパレータ層は、カソードとアノードとの直接電気接続を防ぐセパレータとしても機能する。リチウムゲルセパレータ層は更に、デンドライトの成長を更に阻止する特性を有することができる。
【0011】
[0021] 図に関連して、そのような実施形態及び追加の実施形態に関する更なる詳細を提供する。
図1は、リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池の積層100の一実施形態を示す。積層100は、カソード電流コレクタ110、カソード120、リチウムゲルセパレータ層130、耐デンドライト層140、及びアノード電流コレクタ150を含むことができる。
【0012】
[0022] カソード電流コレクタ110は、カソード120と積層された導電性薄膜であり得る。カソード電流コレクタ110は、例えばアルミニウム箔であり得る。他の形態の導電箔も可能である。カソード120は例えば、NCA(ニッケル-コバルト-酸化アルミニウム)又はNCM(ニッケル-マンガン-コバルト)であり得る。
【0013】
[0023] カソード120は、カソード電流コレクタ110と直接接触する第1の表面を有し得、カソード120の反対の表面はリチウムゲルセパレータ層130と直接接触することができる。リチウムゲルセパレータ層130は、カソード120とアノード電流コレクタ150との間のリチウムイオンの移動を促進する固体電解質(ゲルの形態で)として機能することができる。リチウムゲルセパレータ層130はまた、カソード120とアノード電流コレクタ150との直接電気接続を防ぐセパレータとしても機能する。リチウムゲルセパレータ層130は、デンドライトの成長を更に阻止する特性を有することができる。リチウムゲルセパレータ層130は最初、少なくとも部分的に液体の形態であり得る。組み立て後、プロセスを適用して、液体をゲル形態に変換し得る。そのようなプロセスは、圧力、熱、又は両方の印加を含み得る。リチウムゲルセパレータ層130に関する更なる詳細は、
図3Aに関連して提供される。
【0014】
[0024] リチウムゲルセパレータ層130は、カソード120と直接接触する第1の表面を有し得る。リチウムゲルセパレータ層130の第1の表面とは逆の第2の表面は、耐デンドライト層140と直接接触し得る。耐デンドライト層140は幾つかの主要特性を有し得る。第1に、耐デンドライト層140は、耐デンドライト層140と直接接触したアノード電流コレクタ150の表面上にリチウムイオンがリチウム金属として付着するために必要な核形成エネルギーを下げ得る。核形成エネルギーを下げることにより、リチウムイオンが、アノード電流コレクタ150上に既に付着したリチウム金属上に「プールを形成する」又は堆積するのではなく、アノード電流コレクタ150上に直接堆積する傾向が強まり得る。
【0015】
[0025] 耐デンドライト層140の第2の主要特性は、耐デンドライト層140とアノード電流コレクタ150との間の接着量が、耐デンドライト層140とリチウムゲルセパレータ層130との間の接着量よりも少ないことである。接着が耐デンドライト層140の表面とアノード電流コレクタ150の表面との間よりも少ないことにより、リチウムは、リチウムゲルセパレータ層130と耐デンドライト層140との間とは対照的に、耐デンドライト層140とアノード電流コレクタ150との間に付着するよう促進される。
【0016】
[0026] 耐デンドライト層140は比較的薄い層であり得る。例えば、耐デンドライト層140は0.05μm~10μmであり得る。幾つかの実施形態では、耐デンドライト層140は、アノード電流コレクタ150の表面上に薄膜として堆積し得る。耐デンドライト層140は以下の材料の1つ又は複数で作られ得る:カーボンブラック、アセチレンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PvDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)。耐デンドライト層140は、銀、亜鉛、金、ビスマス、及びスズの合金を使用して形成することもできる。耐デンドライト層140は1種類の材料から形成し得るが、示される複数の材料を使用して耐デンドライト層140を形成してもよい。
【0017】
[0027] アノード電流コレクタ150は、耐デンドライト層140と接触する第1の表面を有し得る。アノード電流コレクタ150は、アノード及びアノード電流コレクタの両方として機能することができる。幾つかの実施形態では、アノード電流コレクタ150は、銅箔等の導電箔である。耐デンドライト層140が存在しない場合、アノード電流コレクタ150はより高い核形成エネルギーを示し得、これは、電池セルの充電中、リチウムに薄膜として堆積させるのではなくプールを形成させる傾向を有する。
【0018】
[0028]
図2は、リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池の積層200の別の実施形態を示す。幾つかの実施形態では、複数の組の層を一緒に積層して、電池セルの充電容量を上げ得る。
図2に示す実施形態では、層110~150は、
図1に関連して詳述したようなものである。更に、耐デンドライト層210は、耐デンドライト層140からアノード電流コレクタ150の逆側に積層する。第2のリチウムゲルセパレータ層220が耐デンドライト層210と直接接触する。更に、カソード230及びカソード電流コレクタ240がリチウムゲルセパレータ層220に積層する。
図2に関連して詳述したように、追加の層を同じようにして追加し得る。例えば、カソード電流コレクタ240の下に別のカソードがあり得、その後に別のリチウムゲルセパレータ層が続く等であり得る。例えば、多くの組の層を追加して、電池セルの充電容量を上げ得る。
図1は単一層セットを示し、
図2はダブルスタックセットを示すが、他の実施形態は16以上等のより多くのスタックを含み得る。そのような層は一緒になると、パウチ式電池セルの一部として封止し得る。
【0019】
[0029]
図3Aは、熱を使用して形成されているリチウムゲルセパレータ層の一実施形態を示す。
図3Bは、本明細書では
図3Aと並行して詳述され、リチウムゲルセパレータ層を作成する方法の一実施形態を示す。リチウムゲルセパレータ層は、固体電池で使用することができる相変化電解質として機能し得る。リチウムゲルセパレータ層130等のリチウムゲルセパレータ層は、複数のサブ層を含むことができ、熱を使用して作成し得る。リチウムゲルセパレータ層の層間の界面の表面積を増やすために、圧力を使用することもできる。まず、ブロック350において、非反応性足場を形成し得る。例えば、骨格材料305はポリエチレン(PE)又はポリエチレンオキシド(PEO)であり得る。骨格材料305は、液体電解質等の液体を浸透、注入、又は他の方法で骨格材料305に導入することができるような浸透性を有し得る。骨格材料305の物理的構造は、液体を充填することができるギャップを作成し得る。例えば、骨格材料305は、10%~90%の多孔性を有し得、そこに液体を導入することができる。具体的な物理的構造は、蜂の巣構造、蜘蛛の巣構造、又は骨格材料305内の空の空間に液体を充填することができる何らかの他のパターン若しくはランダム多孔性物理的構造であり得る。足場層は厚さ1μm~100μmであり得る。幾つかの実施形態では、足場層は厚さ15μmである。
【0020】
[0030] ブロック355において、第1の接着層を非反応性足場に取り付け得る。ブロック360において、第2の接着層を非反応性足場の逆の面に取り付け得る。したがって、骨格材料305は2つの接着層310の間に配置し得る。これらの3つの層は一緒に、電解質がまだ導入されていないドライセパレータ層300を形成し得る。接着層310の各々はPvDF、PI、PAA、又はCMC-SBRの何れかを含み得る。そのような材料は接着性ボンダとして機能することができる。したがって、接着層310は、骨格材料305、カソード120、及び耐デンドライト層140の間の接着量を増大させるように働くことができる。リチウムゲルセパレータ層130と耐デンドライト層140との間の接着量は、少なくとも部分的に接着層に起因して、耐デンドライト層140とアノード電流コレクタ150との間の接着量よりも大きい量であり得る。
【0021】
[0031] 幾つかの実施形態では、リチウムイオンの移動を改善し、デンドライト形成防止に役立つことができるセラミックを一方又は両方の接着層に添加し得る。そのようなセラミックには、MgO、PZT、BaTiO3、SBT、BFO、LATSPO、LISICON、LICGC、LAGP、LLZO、LZO、LAGTP、LiBETI、LiBOB、LiTf、LiTF、LLTO、LLZP、LTASP、及びLTZPがあり得る。接着層310の各々は厚さ1~500umであり得る。接着層内にセラミックを使用することは、イオン導電性を下げ得る。Liイオン導電体セラミックの使用もやはり、イオン導電性を下げ得る(液体と比較して)が、他のセラミックと比較して高いイオン導電性を獲得することができる。しかしながら、短絡回路を回避し、全体セル故障率を下げることが可能なセラミックの利点は、イオン導電性の低下という欠点よりも価値があり得る。
【0022】
[0032] ブロック365において、液体電解質混合物を作成し得る。液体電解質混合物は、リチウム塩、溶媒、及び添加剤を含み得る。塩はLIFSI、LITFSI、又はLiPF6であり得る。塩の濃度は1.0~4.0モル/リットルであり得る。リチウム塩は、リチウム液が電解質として機能できるようにし得る。溶媒は、炭酸ジメチル(DMC)、ジメトキシエタン(DME)、炭酸ジエチル(DEC)、ジオキソラン(DOL)、ビストリフルオロエチルエーテル(BTFE)、エチルメチルカーボネート(EMC)、又はエチレンカーボネート(EC)であり得る。溶媒は塩を溶解させるように機能し得る。
【0023】
[0033] 添加剤は、熱が印加されたとき、液体からゲルに遷移させる、リチウム液中の化合物を含み得る。一般に、添加剤はポリマー及び架橋剤を含む。例えば60℃~150℃の熱が添加剤に印加されると、架橋剤は高度に熱せられ、ポリマー及び溶媒を更に重合化させる。リチウム塩は溶媒全体に均一に分布するため、ゲルが形成されるとき、リチウム塩はゲル全体に均一に分布することになる。1つ又は複数の添加剤は、CsPF6、FEC(フルオロエチレンカーボネート)、ポリカーボネート(PC)、又はLiNO3を含み得る。添加剤は濃度0.01~4.0モル/リットルを有し得る。添加剤はポリマー添加剤を含み、架橋添加剤は、リチウム液が非反応性足場全体を通して浸透する前、リチウム液中に混合し得る。
【0024】
[0034] リチウム塩と溶媒との1つの可能な組合せは、DME中に溶解した4MのLiFSIであり得、これに添加剤を添加することができる。表1は、ポリマー添加剤、架橋添加剤、及びポリマー添加剤及び架橋添加剤を使用することができる相対濃度の組合せを示す。
【0025】
【0026】
[0035] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数の追加の添加剤が、副反応を低減するように機能することもできる。添加剤を添加する目的は、Li金属が種々の副反応を有することを防ぐことができるLiF、すなわち固体電解質界面(SEI)の形成を助けることができる。
【0027】
[0036] リチウムゲルセパレータ層はドライセパレータ層300の形態であるが、ドライセパレータ層300は、リチウムゲルセパレータ層130の代わりに他の電池セル層と積層してもよい。電池セルの層の組み立てが完了し、電池セルが筐体(例えばパウチ)に挿入されると、液体電解質を添加し得、次いで熱及び圧力を印加し得る。
【0028】
[0037] ブロック370において、液体電解質混合物を非反応性足場に浸透させ得る。矢印315は、リチウム液が骨格材料305全体を浸透して、リチウム液浸透性骨格材料320を作成することを表す。リチウム液は、6時間~24時間等のある持続時間にわたって大気圧で浸漬されたままであるとき、骨格材料を浸透し得る。このステップは、ドライセパレータ層が電池セルの一部として組み立てられた後、実行し得る。液体電解質は、リチウム液であることができ、骨格材料内の空隙中に浸透し、次いで熱を受けた後、リチウム液をゲル化等、少なくとも部分的に固化させる材料で構成し得る。そのような構成は、リチウムゲルセパレータ層をまずドライセパレータ層として作成し、電池セルが筐体(例えばパウチセル)内に収容された後、次いでリチウム液を骨格材料全体に浸透させ、ゲルに遷移させられるようにする。幾つかの実施形態では、圧力も印加され、圧力の目的は、積層内の種々の界面での接触量を増加させることであり得る。
【0029】
[0038] リチウム液が骨格材料305全体に浸透して、リチウム液浸透骨格材料320を作成した後、ブロック375を実行し得、矢印325によって示されるように、圧力、熱、又は両方を印加し得る。例えば、幾つかの実施形態では、圧力がまず、室温において100N/cm2の力で60~120秒の持続時間にわたって印加し得る。次いで熱プレスプロセスを温度100℃~110℃、力100~500N/cm2で60~120秒の持続時間にわたって実行し得る。リチウムゲルセパレータ層301に印加された熱は、リチウム液浸透骨格材料320を疑似固体リチウムゲル層330に遷移させ得る。幾つかの実施形態では、圧力は、プロセスを支援し得、又はリチウムゲルセパレータ層の層間及び/又は電池セルの他の層間の界面の表面積増大に役立ち得る。次いでリチウムゲルセパレータ層302が最終的に形成され得る。
【0030】
[0039] そのような電池セルを作成するために、種々の方法を実行し得る。
図4は、リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層とを有するアノードフリー固体電池を含むパウチ式電池セルを製造する方法400の一実施形態を示す。ブロック405において、耐デンドライト層をアノード電流コレクタ上に積層し得る。耐デンドライト層は、
図1の耐デンドライト層140に関連して詳述したようなものであり得る。アノード電流コレクタは、
図1のアノード電流コレクタ150に関連して詳述したようなものであり得る。
【0031】
[0040] ブロック410において、3部リチウムゲルセパレータ層を作成し得る。まず、リチウムゲルセパレータ層はドライセパレータ層の形態であり得る。すなわち、リチウム液等の液体電解質はまだ、
図3Aに関連して詳述したように足場層に注入されていない。他の実施形態では、ブロック410における骨格材料には液体が浸透している。ブロック415において、リチウム液が存在してもよく、又はまだ導入されていなくてもよいリチウムゲルセパレータ層を耐デンドライト層上に積層し得る。リチウムゲルセパレータ層と耐デンドライト層との間の接着量は、耐デンドライト層とアノード電流コレクタとの間の接着量よりも大きい量であり得る。幾つかの場合、リチウムゲルセパレータ層と耐デンドライト層との間の接着量は、ブロック430の加熱及び押力後、耐デンドライト層とアノード電流コレクタとの間の接着量よりも大きい量であり得る。
【0032】
[0041] ブロック420において、カソード層をリチウムゲルセパレータ層(リチウムゲルセパレータ層のゲルはまだ液体の形態であり、又は骨格材料にまだ導入されていない)に積層し得る。ブロック425において、カソードコレクタ層をカソード層上に積層し得る。幾つかの実施形態では、ブロック425を実行し得、次いでブロック420において、結合されたカソード及びカソード電流コレクタ層をリチウムゲルセパレータ層(リチウムゲルセパレータ層のゲルはまだ液体の形態であり、又は骨格材料にまだ導入されていない)上に積層し得る。
【0033】
[0042] ブロック405~425を複数回繰り返して、固体電池セルの多積層を作成し得ることを理解されたい。例えば、
図2に関連して詳述したのと同様のスタックセットで16組の層を作成し得る。そのような構成では、アノード電流コレクタ及びカソード電流コレクタを耐デンドライト層及びカソードにそれぞれ反対側で接触させることができる。
【0034】
[0043] ブロック430において、1つ又は複数の積層をパウチセルにパッケージし得る。このブロックにおいて、リチウム液(又は他の形態の液体電解質)は、ブロック410において導入されたと仮定して、まだ液体形態であり得る。積層はパウチセル内に真空封止されて、過剰空気を除去し得る。パウチセルは、パウチが伸び縮みできるようにすることができる、プラスチック等の可撓性材料で作られ得る。リチウム液がブロック410において足場層全体に浸透していなかった場合、パッケージングが実行されているとき(又はその前又は後)、ブロック432において、リチウム液をパウチセル内に導入し得る。次いでリチウム液は、ドライセパレータ層の足場層に浸透し得る。
【0035】
[0044] ブロック435において、パッケージされたパウチセルに熱、圧力、又は両方の1つ又は複数のプロセスを適用し得る。このプロセスは多数の機能を実行することができる:1)ブロック435は、電池セルの隣接層間の物理的な接触量を増大させ得、2)ブロック435は、リチウム液をリチウムゲルに変換させ得、3)ブロック435は、耐デンドライト層とアノード電流コレクタとの間の接着量よりも大きな、耐デンドライト層とリチウムゲル層との間の接着を生み出し得る。例えば、幾つかの実施形態では、圧力をまず、室温において80~120N/cm2の力で60~120秒の持続時間にわたって印加し得る。次いで熱プレスプロセスを温度80℃~130℃において100~500N/cm2の力で60~120秒の持続時間にわたって実行し得る。
【0036】
[0045] ブロック440において、パウチセルをジグプレス(又は圧力をパウチセルに印加する何らかの他の機械装置)内に設置し得る。ジグプレスを使用して、長期圧力をSSBパウチセルに印加し得る。幾つかの実施形態では、多数のSSBパウチセルを積層し、次いでジグプレスを使用して圧縮する。ジグプレスにある間、SSBパウチセルを繰り返し充電及び放電し得る。SSBパウチセルは、車両又は何らかの他の形態の電動装置への給電に使用し得る。
【0037】
[0046]
図2による且つ方法400に従って製造し得るSSBの一例として、16層セットを含み、概ね65mm×65mmであるSSBパウチセルを作成し得る。所与の層について、0%SOC(充電段階)において、3.3mmの厚さが存在する。100%SOCでは、3.64mmの厚さが存在し、膨張によって生じた概ね10%の増大を表す。全体セルの性能は4520mAhであり得、平均電圧は3.79Vであり得る。100%SOCでは、エネルギー密度(容量による)は1122Wh/Lであり得、エネルギー密度(重量による)は432Wh/Kgであり得る。
【0038】
[0047] 上記実施形態は電池セルの平坦層の作成にフォーカスしている。そのような層はパウチ式電池セルで使用し得る。他の実施形態では、
図5及び
図6に関連して詳述する等の円柱形電池セルを作成し得る。そのような円柱形電池セルは、
図1~
図3に関連して詳述したものと同じ積層を有することができるが、円柱形セルを作成するプロセスは異なり得る。そのような実施形態に関する更なる詳細を
図5及び
図6に関連して提供する。
【0039】
[0048]
図5は、円筒形電池プレスシステム500の一実施形態を示す。円筒形電池プレスシステム500は、圧縮機構510、加熱要素520、緩衝材料530、円柱形パウチ電池セル(「電池セル」とも呼ばれる)540、温度センサ550、サポート構造560、及びプラットフォーム570を含むことができる。円筒形電池プレスシステム及び関連するシステムの実施形態は、2019年5月14日付けで出願された「Isostatic Press Devices and Processes for Cylindrical Solid-State Batteries」と題する米国特許出願第16/412,338号に詳述されており、この開示全体はあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。円柱形電池セルを等方的に押圧するシステムに関連する他の実施形態は、2018年12月11日付けで出願された「Hydraulic Isostatic Press Processes for Solid-State Batteries」と題する米国特許出願第16/217,010号に詳述されており、この開示全体もあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0040】
[0049] 圧縮機構510は概ね円筒形であり得、ハローと同様の断面を有し得る。圧縮機構510の湾曲側壁に沿ったギャップが存在し得る。このギャップの左右にエッジ511及びエッジ512がある。エッジ511がエッジ512に向かって移動することにより、圧縮機構510内の容積を低減し得る。したがって、エッジ511がエッジ512から離れているとき、圧縮機構内の容積はより大きく、緩衝材料及び/又は電池セル540を設置できるようにする。エッジ511がエッジ512に向かうとき、圧縮機構510内の容積はより小さく、したがって、圧力を緩衝材料530に印加し、そして緩衝材料530を通して電池セル540に印加する。
【0041】
[0050] 電池セル540は、
図1~
図3の実施形態と同様のもの等の円柱形ゼリーロール式電池セルであり得る。円柱形ゼリーロール式電池セルは、(最初)パウチ内部に格納し得、パウチは円筒形電池プレスシステム500を使用して圧縮することができる。円筒形電池プレスシステム500を使用して圧縮され加熱された後、円柱形ゼリーロール式電池セルをパウチから取り出し、
図6の方法600に詳述する等の円筒形キャニスタ内に設置し得る。
【0042】
[0051] 圧縮機構510は、硬質ゴム、プラスチック、又は金属層等の半剛性材料から形成し得る。圧縮機構510は、エッジ511がエッジ512に向けて押されるか、又は引っ張られることによって部分的に変形し得る。幾つかの実施形態では、エッジ512はサポート構造560に固定し得る。エッジ511は、ユーザが手動で金属バーを押すか、又は引っ張り、エッジ511をエッジ512に向けて動かせるようにする、金属バー等の延長部に接続し得る。他の実施形態では、油圧ポンプ又は電気モータを使用して、エッジ511をエッジ512に向けて移動させ得る。
【0043】
[0052] 緩衝材料530で電池セル540の周りを包み得る。緩衝材料530は、耐熱ゴム等の半剛性材料であり得る。幾つかの実施形態では、緩衝材料530は、液体が充填されたゴム又は他の形態の可撓性スキンであり得る。緩衝材料530は、断面として見た場合、概してハロー形であり得る。このハロー形は、その中心内に空隙を画定し、空隙内に電池セルを配置することができる。緩衝材料530は、圧縮機構510によって電池セル540に印加された圧力を伝達するように働き得る。緩衝材料530は、電池セル540の湾曲側壁に印加された圧力が均一又は略均一であるように、圧縮機構510によって印加された圧力を分散させるのに役立ち得る。幾つかの実施形態では、緩衝材料530はまず、電池セル540の周りに巻かれる。幾つかの実施形態では、緩衝材料530は、電池セルに巻かれる緩衝材料のシートであり得る。したがって、ゼリーロール式電池セルは緩衝材料のゼリーロール内にあり得る。緩衝材料530は圧縮機構510を用いて設置し得る。
【0044】
[0053] 緩衝材料530と圧縮機構510との間に、加熱要素520が存在し得る。加熱要素520は概して円柱形であり得、圧縮機構510のギャップに一致するギャップを湾曲側壁に沿って有し得る。加熱要素520は、電流が加熱要素520に印加されると発熱するような抵抗ヒータであり得る。幾つかの実施形態では、加熱要素520は250℃まで加熱することが可能である。加熱要素520によって出力される熱の量は、温度センサ550の出力に基づいて制御し得る。温度センサ550は、電池セル540と緩衝材料530との間に配置し得る。したがって、温度センサ550は、電池セル540の外面の温度を示し得る。幾つかの実施形態では、電池セル540を80℃~120℃に加熱することが望ましいことがある。加熱要素520を使用してより高い温度を印加することにより、電池セル540の表面を80℃~120℃により素早く加熱することが可能であり得る。外部加熱コントローラ(図示せず)が、温度センサ550から温度測定値を受信し、加熱要素520によって生成される熱の量を制御し得る。
【0045】
[0054] エッジ512は、プラットフォーム570に固定されたサポート構造560に固定されるが、エッジ511は自由なままであり得る。エッジ511がサポート構造560及びプラットフォーム570から自由なままであることにより、エッジ511をエッジ512に向けて移動させ得、それにより、圧縮機構510をわずかに変形させる。エッジ511に印加される力が止まると、圧縮機構510は膨張して自然な形に戻り得、電池セル540に印加される圧力は止まり得る。エッジ511に印加される力が、必ずしも厳密にエッジ511に対してではなく、エッジ511の近傍に印加され得ることを理解されたい。しかしながら、そのような力がエッジ511の近くに印加されるほど、緩衝材料530に印加された圧力はより均等に分布し得る。同様に、エッジ512はサポート構造560に直接固定することができるが、むしろ、エッジ512の近傍における圧縮機構510の一部がサポート構造560に固定されてもよいことを理解されたい。ここでも、サポート構造560に固定されるエッジ512への圧縮機構510の部分、緩衝材料530に印加された力はより均等に分布し得る。
【0046】
[0055] 円柱形電池セルを作成するために、種々の方法を実行し得る。
図6A及び
図6Bは、円柱形耐デンドライトアノードフリー固体電池を作成する方法の一実施形態を示す。ブロック605~620において、種々のステップを実行して、
図1に関連して提示し説明したものと同様の積層を作成し得る。他の実施形態では、ブロック605~620を実行して、
図2に関連して詳述したようにスタックセットを作成し得る。すなわち、ブロック605~620を複数回実行して、2つ以上(例えば3~20)の組の層を作成し得る。
【0047】
[0056] ブロック605~620は、複数の層をいかに一緒に積層し得るかの可能な一実施形態を表している。他の実施形態では、ブロック605~620の順序は異なり得る。ブロック605において、カソード層にカソード電流コレクタ層を取り付け得る。カソード電流コレクタ層はアルミニウム箔であり得、カソードは例えば、NCA(ニッケル-コバルト-酸化アルミニウム)又はNCM(ニッケル-マンガン-コバルト)であり得る。カソード層はカソード電流コレクタ層上に堆積し得、又はカソード電流コレクタ層はカソード層上に堆積し得る。
【0048】
[0057] ブロック610において、耐デンドライト層をアノード電流コレクタ層に堆積又は他の方法で付着させ得る。アノード電流コレクタ層は銅であり得、耐デンドライト層はカーボンブラック、アセチレンブラック、銀、亜鉛、金、ビスマス、スズ、フッ化ポリビニリデン(PvDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)、及びカルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム(CMC-SBR)であり得る。耐デンドライト層は、銀、亜鉛、金、ビスマス、及びスズの合金を使用して形成することもできる。耐デンドライト層は、リチウムイオンがアノード電流コレクタ層の表面上に堆積するための核形成エネルギーを低減するように働き得る。
【0049】
[0058] ブロック615において、ドライセパレータ層300等のドライセパレータ層をカソード層若しくは耐デンドライト層の何れかに取り付け得、又は他の方法でカソード層と耐デンドライト層との間に位置し得る。ドライセパレータ層は、ドライセパレータ層300に関連して詳述したように、2つの接着層及び骨格材料を含むことができる。ブロック620において、カソードと耐デンドライト層との間に積層されたドライセパレータ層を含む積層を作成し得る。
図1に示されるように、積層は少なくとも、ドライセパレータ層、耐デンドライト層、アノード電流コレクタ層、カソード層、及びカソード電流コレクタ層を含み得る(リチウムゲルセパレータ層の代わりにドライセパレータ層を有する)。
【0050】
[0059] ブロック625において、積層をそれ自体で複数回巻き、ゼリーロール式電池セルを作成し得る。層が一緒に巻かれると、大まかに円柱形に巻かれた積層を作成することができる。ブロック630において、巻かれた積層を圧縮可能な可撓性パウチ内に挿入し得る。パウチは、製造プロセスの一部中、電池セルの一時的な筐体として働き得る。パウチの封止に先立って、電解質溶液をパウチに注入又は追加し得る。電解質溶液は、
図3Aに関連して詳述したように、リチウム液であり得る。リチウム液の注入は、ドライセパレータ層の骨格材料にリチウム液を浸透させて、リチウム液浸透骨格材料320等のリチウム液浸透骨格材料にさせ得る。ブロック635の一環として、パウチに存在する任意の空気を除去し得、パウチを封止し得る。
【0051】
[0060] ブロック640において、圧力をパウチに印加し得る。圧力は、円筒形電池プレスシステム500と同様のシステムを使用して印加し得る。圧力印加に先立って、温度プローブが円筒形電池プレスシステム内でパウチの外面に隣接するように、温度プローブを挿入し得る。次いで、円柱形電池プレスシステムにより手動で又は電動若しくは油圧実施形態を使用して圧力を印加し得る。印加される圧力は100kPa~100MPaであり得る。幾つかの実施形態では、圧力は30秒~1時間にわたって印加される。
【0052】
[0061] ブロック640と同時に実行してもよく、又はブロック640と少なくとも部分的に時間的に重複してもよいブロック645において、熱を印加し得る。印加される熱の量は150℃~250℃であり得る。パウチの温度は温度プローブを使用してモニタし得る。熱は、電池セルが30秒~1時間等の時間期間にわたり60℃~150℃であるまで印加し得る。圧力、熱、又は両方は、足場層に浸透したリチウム液を疑似固体リチウムゲル層に遷移させ得る。したがって、パウチ内に液体は残らない。したがって、電池セルは固体電池セル(ゲルを含む)である。
【0053】
[0062] ブロック640及び645において印加される熱及び圧力は追加又は代替として、電池セルの層の1つ又は複数間の表面積接触量を増大させ得る。追加又は代替として、熱及び圧力は、電池セルの層の2つ以上間の接着を増大させ得る。
【0054】
[0063] ブロック650において、熱及び圧力を受けた円柱形ゼリーロールをパウチから取り出し得る。液体は足場層内でゲルに遷移したため、液体は存在しない。円柱形ゼリーロールは円筒形電池セルキャニスタに挿入し得る。円筒形電池セルキャニスタは剛性又は半剛性であり得る。幾つかの実施形態では、円筒形電池セルキャニスタは金属であり得る。円筒形電池セルキャニスタは、円柱形ゼリーロールが膨張したとき、円柱形ゼリーロールに圧力を及ぼし得る。例えば、電池セルがブロック660において充電されるとき、アノード電流コレクタへのリチウム堆積は、電池を直径で0.5%~3%膨張させ得る。円筒形電池セルキャニスタの側壁によって及ぼされた圧力は、膨張量の制御に役立つことができるとともに、電池セルの層を互いと接触した状態に保つのに役立つことができる。ブロック660において、電池セルを繰り返し充電及び放電して、電気自動車(EV)等の電気装置に給電し得る。方法600に従って製造された円柱形電池は、7559Ahまで充電し得、6229Ahを放電し得、したがって、初期クーロン効率82.4%を示し得る。
【0055】
[0064] 充電中、リチウムは、アノード電流コレクタ上に堆積するとき、概ね平坦な薄膜ではなくプールで堆積する傾向を有し得る。堆積したリチウムとアノード電流コレクタとの間に存在する接触量は小さい量であり得るため、堆積したリチウムとアノード電流コレクタとの間の電気接続は小さい値であり得る。堆積したリチウムとアノード電流コレクタとの間に小さな又は弱い電気接続を有すると、電池セルのインピーダンスが高くなり得る。高インピーダンスは電池セルの性能低下に繋がり得、すなわち、低い内部抵抗を有する電池は、需要に応じて大きな量の電流を送ることが可能であり得る。電気自動車(EV)での使用のような用途によっては、電流を素早く送る能力は、EVが加速する能力等の性能に大きく影響することができる。電池セルが高い内部抵抗を有する場合、電池セルを流れる電流は電池の温度を上昇させ得、温度上昇は電池セルを破損させ得る。
【0056】
[0065] 幾つかの実施形態では、アノードフリー固体電池の積層内に追加の層が存在し得る。追加の層は、耐デンドライト層とアノード電流コレクタとの間に置かれ得る。この層は界面接合層と呼ぶことができる。界面接合層は、界面接合層とリチウム堆積との間に高度の表面接触を有するリチウム堆積の形成を促進し得る。界面接合層は、アノード電流コレクタ及び堆積したリチウムの両方と大きな量の接触を有するため、電池セルの内部抵抗を低減することができる。そのような界面接合層は、
図1~
図6に関連して詳述した又は
図7~
図10に関連して詳述する実施形態の何れにも追加し得る。
【0057】
[0066] 界面層は導電剤及びバインダから作られ得る。幾つかの実施形態では、界面層は30%~99%導電剤であり得、界面接合層の残りはバインダであり得る(1%~70%)。
図7は、リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層と、界面接合層とを有するアノードフリー固体電池の積層700の一実施形態を示す。積層700は
図1に関連して詳述したようなものであり得るが、界面接合層710がアノード電流コレクタ150と耐デンドライト層140との間に存在し得る。界面接合層710は、第1の面において耐デンドライト層140と直接接触し得、逆の第2の面においてアノード電流コレクタ150と直接接触し得る。
【0058】
[0067] 界面接合層710へのリチウム金属の堆積を促進するために、界面接合層710は、耐デンドライト層140と界面接合層710との間の第2の接着量又は耐デンドライト層140とリチウムゲルセパレータ層130との間の第3の接着量よりも大きい、アノード電流コレクタ150との第1の接着量を有し得る。界面接合層710の厚さは0.05μm~5μmであり得る。界面接合層の密度は0.1~2.0g/cm3であり得る。
【0059】
[0068] 界面接合層710は、バインダ(PvDF、SBR-CMC、PAA)及びBi、Sn、Ag、Au、Pt等の金属粒子と混合された導電剤としてカーボンを使用し得る。より具体的には、アセチレンブラック又はカーボンブラックを導電剤として使用し得る。個々の炭素粒子は3nm~20nmの球形粒子であり得る。可能なタイプのボンダには、PvDF、SBR-CMC、及びPAAがある。
【0060】
[0069] 端子720と端子730との間で測定される
図7の電池セルのインピーダンス又は抵抗は、界面接合層710が存在しない
図1等の実施形態と比較して、界面接合層710の存在によって大幅に低下し得る。一例として、界面接合層がない電池セルの一実施形態はインピーダンス0.85オームを有し得るが、アノード電流コレクタと耐デンドライト層との間に界面接合層が存在する場合、インピーダンスは0.05オームであり得る。
【0061】
[0070]
図8は、種々の層間の相対接着量を示すアノードフリー固体電池の積層800の一実施形態を示す。
図7の積層700の主要態様の1つは、層間の相対接着量が、充電プロセス中、耐デンドライト層140と界面接合層710との間にリチウム金属が付着するのを促進することであり得る。
【0062】
[0071] リチウムゲルセパレータ層130と耐デンドライト層140との間の界面801は、第1の接着量を有し得る。耐デンドライト層140と界面接合層710との間の界面802は、第2の接着量を有し得る。界面接合層710とアノード電流コレクタ150との間の界面803は、第3の接着量を有し得る。界面802が界面801又は界面803よりも少ない接着を有することにより、リチウムが界面802に付着するのを促進し得る。別の言い方をすれば、第2の接着量は、第1の接着量又は第3の接着量よりも小さい量であり得る。
【0063】
[0072]
図9は、リチウムイオンが移動し、界面接合層上に堆積するアノードフリー固体の積層の一実施形態900を示す。実施形態900では、電池セルは充電中である。充電は、矢印905によって示されるように、リチウムイオンをカソード120からリチウムゲルセパレータ層130、耐デンドライト層140を通して移動させ、リチウム金属層910として耐デンドライト層140と界面接合層710との間に付着させる。耐デンドライト層140は、リチウムゲルセパレータ層130を貫通し得るデンドライトの成長の阻止に役立ち得る。したがって、界面接合層710は耐デンドライト層140と併せて使用し得る。
【0064】
[0073] リチウム金属層910の存在は、電池セルを膨張させ得る。放電サイクル中、リチウムイオンはリチウム金属層910からカソード120に移動し得る。電池セル内の膨張は、電池セルが放電し、リチウムイオンがカソード層120に移動するにつれて低減し得る。
【0065】
[0074]
図10は、リチウムゲルセパレータ層と、耐デンドライト層と、界面接合層とを有する固体電池を含むパウチ式電池セルを製造する方法1000の一実施形態を示す。界面接合層を円柱形電池セルの一部として製造することができるように、
図6A及び
図6Bの方法600のブロックに従って方法1000を適合することができることを理解されたい。
【0066】
[0075] ブロック1005において、界面接合層をアノード電流コレクタ上に堆積させることができる。アノード電流コレクタは、
図1のアノード電流コレクタ150に関連して詳述したようなものであり得る。ブロック1005は、ボンダと混合されてアノード電流コレクタ上に堆積する、アセチレンブラック等の導電材料を含むことができる。
【0067】
[0076] ブロック1010において、3部リチウムゲルセパレータ層を作成し得る。まず、リチウムゲルセパレータ層はドライセパレータ層の形態であり得る。すなわち、リチウム液等の液体電解質はまだ、
図3Aに関連して詳述したように足場層全体に注入されておらず、又は浸透していない。他の実施形態では、骨格材料には液体が浸透している。ブロック1020において、耐デンドライト層は、リチウム液(又は別の液体電解質)が存在してもよく、又はまだ導入されていなくてもよいリチウムゲルセパレータ層上に積層し得る。耐デンドライト層は、
図1の耐デンドライト層140に関連して詳述したようなものであり得る。幾つかの場合、リチウムゲルセパレータ層と耐デンドライト層との間の接着量は、耐デンドライト層と界面接合層との間の接着量よりも大きい量であり得る。
【0068】
[0077] ブロック1025において、カソード層をリチウムゲルセパレータ層(リチウムゲルセパレータ層のゲルはまだ液体の形態であるか、又はまだ存在していない)上に積層し得る。ブロック1030において、カソードコレクタ層をカソード層上に積層し得る。幾つかの実施形態では、ブロック1030を実行し得、次いでブロック1025において、結合されたカソード及びカソード電流コレクタ層をリチウムゲルセパレータ層上に積層し得る。
【0069】
[0078] ブロック1032において、リチウムゲルセパレータ層上に前に積層した耐デンドライト層は、界面接合層上に積層された逆側層を有し得る。耐デンドライト層及び界面接合層を積層させると、層間に存在する接着は比較的わずかになり得る。耐デンドライト層は、界面接合層がアノード電流コレクタと形成するよりも小さな接着を有する界面接合層との界面を作成し得る。接着量は、界面接合層のバインダと活性導電材料の比率を変えることによって制御することができる。例えば、3%PvDF:97%ケッチェンブラックの比率で、PvDFはバインダとして使用し得、ケッチェンブラックは活性材料として使用し得る。他の実施形態では、ケッチェンブラックの割り当ては95%~98%である。
【0070】
[0079] ブロック1005~1030を複数回繰り返して、固体電池セルの多積層を作成し得ることを理解されたい。例えば、界面接合層が追加された
図2に関連して詳述したのと同様のスタックセットで16組の層を作成し得る。そのような構成では、アノード電流コレクタ及びカソード電流コレクタを耐デンドライト層及びカソードにそれぞれ反対側で接触させることができる。
【0071】
[0080] ブロック1035において、1つ又は複数の積層をパウチセルにパッケージし得る。このブロックにおいて、リチウム液(又は他の形態の液体電解質)は、ブロック1015において導入されたと仮定して、まだ液体形態であり得る。積層はパウチセル内に真空封止されて、過剰空気を除去し得る。パウチセルは、パウチが伸び縮みすることができるようにする、プラスチック等の可撓性材料で作られ得る。リチウム液等の液体電解質がブロック1015において足場層全体に浸透していなかった場合、パッケージングが実行されているとき(又はその前又は後)、ブロック1040において、液体電解質をパウチセル内に導入し得る。次いでリチウム液は、ドライセパレータ層の足場層に浸透し得る。
【0072】
[0081] ブロック1045において、パッケージされたパウチセルに熱、圧力、又は両方の1つ又は複数のプロセスを適用し得る。このプロセスは多数の機能を実行することができる:1)ブロック1045は、電池セルの隣接層間の物理的な接触量を増大させ得、2)ブロック1045は、液体電解質(例えばリチウム液)をリチウムゲルに変換させ得、3)ブロック1045は、耐デンドライト層と界面接合層との間の接着量よりも大きな、界面接合層とアノード電流コレクタとの間の接着を生み出すのに役立ち得る。例えば、幾つかの実施形態では、圧力をまず、室温において80~120N/cm2の力で60~120秒の持続時間にわたって印加し得る。プロセスのこの部分は、電池セルの層の1つ又は複数の界面に存在する接触量を増大させ得る。次いで熱プレスプロセスを温度50℃~130℃において100~1000N/cm2の力で60~2400秒の持続時間にわたって実行し得る。
【0073】
[0082] ブロック1050において、パウチセルをジグプレス(又は圧力をパウチセルに印加する何らかの他の機械装置)内に設置し得る。ジグプレスを使用して、長期圧力をSSBパウチセルに印加し得る。幾つかの実施形態では、多数のSSBパウチセルを積層し、次いでジグプレスを使用して圧縮する。ジグプレスにある間、SSBパウチセルを繰り返し充電及び放電し得る。SSBパウチセルは、車両又は何らかの他の形態の電動装置への給電に使用し得る。
【0074】
[0083] 上述した方法、システム、及び装置は例である。種々の構成を適宜省略、置換し得、又は種々の手順又は構成要素を追加し得る。例えば、代替の構成では、方法は、記載とは異なる順序で実行し得、及び/又は種々の段階を追加、省略、及び/又は結合し得る。また、特定の構成に関して説明した特徴は、種々の他の構成において組み合わせ得る。構成の異なる態様及び要素も同様に結合し得る。また、技術は進化し、したがって、要素の多くは例であり、本開示又は特許請求の範囲を限定しない。
【0075】
[0084] 構成例(実装を含む)の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が説明に与えられている。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細なしで実施し得る。例えば、周知のプロセス、構造、及び技法は、構成を曖昧にしないように、不必要な詳細なしで示されてきた。この説明は構成例のみを提供し、特許請求の範囲の範囲、適用可能性、又は構成を限定しない。むしろ、構成の先の説明は、記載された技法を実施できるようにするための説明を当業者に提供する。本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、種々の変更を要素の機能及び配置に対して行い得る。
【0076】
[0085] また、構成は、流れ図又はブロック図として示されるプロセスとして説明し得る。各々は順次プロセスとして動作を説明し得るが、動作の多くは並行又は同時に実行することができる。加えて、動作の順序は再配置し得る。プロセスは、図に含まれていない追加のステップを有し得る。
【0077】
[0086] 幾つかの構成例を説明したが、本開示の趣旨から逸脱せずに、種々の変更、代替、構築、及び均等物が使用可能である。例えば、上記要素はより大きなシステムの構成要素であってもよく、その場合、他のルールが本発明の適用よりも優先されてもよく、又は他の方法で本発明の適用を変更してもよい。また、上記要素を検討する前、間、又は後、幾つかのステップを行ってもよい。