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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】屋上パラペット構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20250217BHJP
   E04D 11/00 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
E04D13/15 Z
E04D11/00 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021093768
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185873
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-193609(JP,A)
【文献】特開2009-079400(JP,A)
【文献】特開2014-194129(JP,A)
【文献】特開2018-197431(JP,A)
【文献】特開平8-21000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/15
E04D 11/00
E04G 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周鉄骨梁と、
前記外周鉄骨梁に支持される屋上スラブと、
前記外周鉄骨梁に取り付けられ、前記屋上スラブの外側を通って該屋上スラブよりも上方へ延出するとともに前記屋上スラブの型枠となる鋼製パラペットと、
前記屋上スラブの上面と前記鋼製パラペットの内壁面とに渡る防水層と、
を備える屋上パラペット構造。
【請求項2】
前記鋼製パラペットの上端部に設けられ、前記防水層の上端部を覆う笠木材を備える、
請求項1に記載の屋上パラペット構造。
【請求項3】
前記外周鉄骨梁から外側へ延出する受け部材と、
前記鋼製パラペットの下側又は外側に配置される外装材と、
を備え、
前記鋼製パラペットは、前記受け部材を介して前記外周鉄骨梁に取り付けられ、
前記外装材は、前記鋼製パラペット及び前記受け部材の少なくとも一方に取り付けられる、
請求項1又は請求項2に記載の屋上パラペット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上パラペット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリート(ALC)製や、プレキャストコンクリート製の外壁パネルによって形成されたプレキャストパラペットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、プレキャストパラペットの内壁面に沿って配置された下地鋼板(防水下地部材)上に、防水シート等の防水層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-079400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、プレキャストパラペットによってパラペットを形成することにより、現場における型枠の仮設や撤去作業が不要になるため、工期を短縮することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、防水層の連続性を確保するために、隣り合う下地鋼板を隙間なく施工する必要があるため、施工に手間がかかる。
【0007】
本発明は、上記の事実を考慮し、防水層の連続性を確保しつつ、屋上パラペットの施工性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る屋上パラペット構造は、外周鉄骨梁と、前記外周鉄骨梁に支持される屋上スラブと、前記外周鉄骨梁に取り付けられ、前記屋上スラブの外側を通って該屋上スラブよりも上方へ延出する鋼製パラペットと、前記屋上スラブの上面と前記鋼製パラペットの内壁面とに渡る防水層と、を備える。
【0009】
第1態様に係る屋上パラペット構造によれば、屋上スラブは、外周鉄骨梁に支持される。この外周鉄骨梁には、鋼製パラペットが取り付けられる。鋼製パラペットは、屋上スラブの外側を通って、当該屋上スラブよりも上方へ延出する。この鋼製パラペットの内壁面と屋上スラブの上面とに渡って防水層が設けられる。
【0010】
このように鋼製パラペットによって屋上パラペットを形成することにより、現場における型枠の仮設や撤去作業等が不要になる。したがって、本発明では、現場打ち工法によって屋上パラペットを施工する場合と比較して、工期を短縮することができる。
【0011】
また、鋼製パラペットは、屋上スラブの型枠としても使用することができる。したがって、屋上スラブの型枠の仮設や撤去作業等が不要になるため、工期をさらに短縮することができる。
【0012】
さらに、隣り合う鋼製パラペットは、溶接等によって容易に接合することができる。これにより、隣り合う鋼製パラペットの内壁面を容易に連続させることができる。したがって、防水層の連続性を確保しつつ、鋼製パラペットの施工性を向上することができる。
【0013】
第2態様に係る屋上パラペット構造は、第1態様に係る屋上パラペット構造において、前記鋼製パラペットの上端部に設けられ、前記防水層の上端部を覆う笠木材を備える。
【0014】
第2態様に係る屋上パラペット構造によれば、鋼製パラペットの上端部には、笠木材が設けられる。この笠木材によって防水層の上端部を覆うことにより、鋼製パラペットの内壁面と防水層の上端部との間に雨水が浸入することが抑制される。
【0015】
また、鋼製パラペットには、溶接等によって笠木材を容易に取り付けることができるとともに、鋼製パラペットに笠木材を予め一体化することができる。したがって、工期をさらに短縮することができる。
【0016】
第3態様に係る屋上パラペット構造は、第1態様1又は第2態様に係る屋上パラペット構造において、前記外周鉄骨梁から外側へ延出する受け部材と、前記鋼製パラペットの下側又は外側に配置される外装材と、を備え、前記鋼製パラペットは、前記受け部材を介して前記外周鉄骨梁に取り付けられ、前記外装材は、前記鋼製パラペット及び前記受け部材の少なくとも一方に取り付けられる。
【0017】
第3態様に係る屋上パラペット構造によれば、鋼製パラペットは、外周鉄骨梁から外側へ延出する受け部材を介して外周鉄骨梁に取り付けられる。また、鋼製パラペットの下側又は外側には、外装材が配置される。この外装材を、鋼製パラペット及び受け部材の少なくとも一方に取り付けることにより、外装材を容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、防水層の連続性を確保しつつ、施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態に係る屋上パラペット構造が適用された構造物の屋上を示す立断面図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3図1に示される外周鉄骨梁及び鋼製パラペットを外側から見た立面図である。
図4図1に示される外周鉄骨梁に取り付けられた鋼製パラペットと、外周鉄骨柱に取り付けられた鋼製パラペットとの連結部を外側から見た立面図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6】第二実施形態に係る屋上パラペット構造が適用された構造物の屋上を示す立断面図である。
図7】第二実施形態に係る屋上パラペット構造の変形例が適用された構造物の屋上を示す立断面図である。
図8図7の8-8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0021】
(屋上パラペット構造)
図1には、第一実施形態に係る屋上パラペット構造が適用された構造物10の屋上が示されている。この屋上パラペット構造は、外周鉄骨梁20と、屋上スラブ30と、鋼製パラペット50と、防水層90とを備えている。
【0022】
(外周鉄骨梁)
外周鉄骨梁20は、構造物10の最上階における上側の外周梁を構成している。この外周鉄骨梁20は、構造物10の外周に沿って配置されており、後述する外周鉄骨柱100(図4参照)に架設されている。
【0023】
外周鉄骨梁20は、H形鋼によって形成されている。この外周鉄骨梁20は、上下方向に互いに対向する上側フランジ22及び下側フランジ24と、上側フランジ22及び下側フランジ24を接続するウェブ26とを有している。この外周鉄骨梁20は、屋上スラブ30の端部30Eを支持している。
【0024】
(屋上スラブ)
屋上スラブ30は、構造物10の屋上の床を構成している。この屋上スラブ30は、鉄筋コンクリート造とされており、その内部に図示しないスラブ筋が埋設されている。また、屋上スラブ30の端部30Eは、外周鉄骨梁20の上側フランジ22の上面22Uに載置されている。この屋上スラブ30の端部30Eによって、外周鉄骨梁20の上面22Uが耐火被覆されている。
【0025】
屋上スラブ30の端部には、外周鉄骨梁20の上面22Uに設けられた図示しないスタッドが埋設されている。このスタッドを介して、屋上スラブ30の端部と外周鉄骨梁20とが接合されている。また、屋上スラブ30の端部の外側には、鋼製パラペット50が設けられている。
【0026】
(鋼製パラペット)
鋼製パラペット50は、構造物10の屋上パラペットを構成している。この鋼製パラペット50は、屋上スラブ30の端部30Eの外側に、当該端部30Eに沿って壁状に設けられている。また、鋼製パラペット50は、複数の受けリブ40を介して、外周鉄骨梁20に取り付けられている。なお、受けリブ40は、受け部材の一例である。
【0027】
複数の受けリブ40は、外周鉄骨梁20の外側に設けられている。複数の受けリブ40は、鋼板によって形成されており、外周鉄骨梁20の材軸方向の間隔を空けて配置されている。また、複数の受けリブ40は、外周鉄骨梁20のウェブ26の上部から外側へ延出している。各受けリブ40の一端側は、外周鉄骨梁20のウェブ26の表面、及び上側フランジ22の下面に突き当てられた状態で溶接等によって接合されている。
【0028】
受けリブ40は、外周鉄骨梁20の上側フランジ22よりも外側へ延出している。これらの受けリブ40の上に、鋼製パラペット50が設けられている。鋼製パラペット50は、複数の受けリブ40から屋上スラブ30の端部30Eの外側を通って、屋上スラブ30よりも上方へ延出している。この鋼製パラペット50は、壁体60と、笠木材70とを有している。
【0029】
壁体60は、外周鉄骨梁20の材軸方向(矢印Y方向)から見て、断面矩形の筒状に形成されている。この壁体60は、底鋼板62と、内側鋼板64と、外側鋼板66と、連結リブ68とを有している。
【0030】
底鋼板62は、複数の受けリブ40の上に略水平に配置されており、溶接等によって複数の受けリブ40に接合されている。この底鋼板62の内側の端部には、内側鋼板64が設けられている。内側鋼板64は、底鋼板62の内側の端部から上方へ延出しており、鋼製パラペット50の内壁面50Aを形成している。
【0031】
一方、底鋼板62の外側の端部には、外側鋼板66が設けられている。外側鋼板66は、底鋼板62の外側の端部から上方へ延出しており、鋼製パラペット50の外壁面50Bを形成している。
【0032】
鋼製パラペット50の内壁面50Aの下端側は、屋上スラブ30の端部30Eの型枠としても機能する。また、鋼製パラペット50の内壁面50Aの下端側には、複数のスタッド32が設けられている。
【0033】
複数のスタッド32は、鋼製パラペット50の横幅方向に間隔を空けて配置されている。また、複数のスタッド32は、鋼製パラペット50の内壁面50Aから内側へ突出し、屋上スラブ30の端部30Eに埋設されている。これらのスタッド32を介して、鋼製パラペット50と屋上スラブ30の端部30Eとが接合されている。
【0034】
なお、スタッド32は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能であり、又は別のものに置換可能である。
【0035】
内側鋼板64は、壁体60の厚み方向から見て、矩形状に形成されている。図2に示されるように、内側鋼板64は、壁体60の幅方向(矢印Y方向)に配列されている。また、隣接する内側鋼板64の端部同士は、溶接部Wを介して接合されている。これにより、隣り合う鋼製パラペット50の内壁面50Aが横幅方向に連続している。
【0036】
複数の内側鋼板64の外側には、複数の外側鋼板66が配置されている。複数の外側鋼板66は、壁体60の厚み方向(矢印X方向)から見て、矩形状に形成されている。また、複数の外側鋼板66は、壁体60の幅方向に配列されており、複数の内側鋼板64と壁体60の厚み方向にそれぞれ対向している。
【0037】
隣接する外側鋼板66の端部同士は、溶接部Wを介して接合されている。これらの内側鋼板64と外側鋼板66とは、複数の連結リブ68を介して連結されている。なお、連結リブ68は、連結部材の一例である。
【0038】
連結リブ68は、鋼板によって形成されている。また、連結リブ68は、内側鋼板64と外側鋼板66との間に、壁体60の厚み方向(矢印X方向)に沿って配置されている。この連結リブ68は、隣接する内側鋼板64の溶接部Wと、隣接する外側鋼板66の溶接部Wとに渡って配置されており、その両端部が溶接部(充填隅肉溶接部)Wを介して内側鋼板64及び外側鋼板66と接合されている。
【0039】
なお、内側鋼板64及び外側鋼板66の内面には、溶接用の裏当て鋼板69が設けられている。また、図3に示されるように、複数の連結リブ68は、複数の受けリブ40の上方にそれぞれ配置されている。
【0040】
図1に示されるように、内側鋼板64及び外側鋼板66の上には、笠木材70が設けられている。笠木材70は、鋼板によって形成されている。また、笠木材70は、略水平に配置されており、内側鋼板64の上端部と外側鋼板66の上端部に渡っている。この笠木材70は、内側鋼板64の上端部、及び外側鋼板66の上端部にそれぞれ溶接されている。
【0041】
笠木材70は、内側鋼板64の上端部から内側に張り出す内側張出し部70Aを有している。この内側張出し部70Aは、後述する防水層90の上端部90Eを上側から覆っている。
【0042】
鋼製パラペット50の下には、構造物10の外壁を構成する外装材80が配置されている。外装材80は、隣り合う受けリブ40の間に配置されており、ブラケット82を介して、鋼製パラペット50の底鋼板62に取り付けられている。
【0043】
(防水層)
防水層90は、例えば、防水シートによって形成されている。この防水層90は、屋上スラブ30の上面30Uと鋼製パラペット50の内壁面50Aとに渡って設けられており、屋上スラブ30の上面30U及び鋼製パラペット50の内壁面50Aを防水している。
【0044】
より具体的には、防水層90は、屋上スラブ30の上面30Uに沿って設けられており、屋上スラブ30の上面30Uを被覆している。また、防水層90は、屋上スラブ30の端部30Eと鋼製パラペット50との隅部に沿って上方へ屈曲されている。この防水層90は、鋼製パラペット50の内壁面50Aに沿って配置されており、鋼製パラペット50の内壁面50Aを被覆している。
【0045】
防水層90の上端部90Eは、笠木材70の内側張出し部70Aの直下に達しており、内側張出し部70Aによって上側から覆われている。この内側張出し部70Aによって、防水層90の上端部90Eと鋼製パラペット50の内壁面50Aとの隙間に雨水が浸入することが抑制されている。
【0046】
(補足)
次に、外周鉄骨柱上の鋼製パラペットについて補足する。
【0047】
図4に示されるように、外周鉄骨柱100は、例えば、角形鋼管によって形成されている。また、外周鉄骨柱100の柱頭部(柱梁仕口部)には、外周鉄骨梁20の端部が接合されている。外周鉄骨梁20には、前述した鋼製パラペット50が取り付けられている。
【0048】
外周鉄骨柱100の柱頭部100Hの上端には、通しダイアフラム102が設けられている。この通しダイアフラム102の上には、鋼製パラペット50Rが設けられている。鋼製パラペット50Rは、鋼製パラペット50と同様の構成とされている。
【0049】
隣り合う鋼製パラペット50,50Rは、連結ピース120を介して連結されている。また、隣り合う鋼製パラペット50,50Rの連結部には、連結ピース120を覆う連結カバー122が被せられている。
【0050】
図5に示されるように、連結ピース120は、例えば、角形鋼管によって形成されており、軸方向を鋼製パラペット50の幅方向として配置されている。この連結ピース120の両側の端部は、鋼製パラペット50,50Rの内部にそれぞれ挿入されている。
【0051】
また、連結ピース120の両側の端部における外周面には、環状のシール材124が設けられている。このシール材124によって、連結ピース120の外周面と、各鋼製パラペット50,50Rの内側鋼板64及び外側鋼板66との隙間がシールされている。
【0052】
(作用)
次に、第一実施形態の作用について説明する。
【0053】
図1に示されるように、本実施形態によれば、屋上スラブ30の端部30Eは、外周鉄骨梁20に支持されている。この外周鉄骨梁20には、鋼製パラペット50が取り付けられている。鋼製パラペット50は、屋上スラブ30の外側を通って、当該屋上スラブ30よりも上方へ延出している。この鋼製パラペット50の内壁面50Aと屋上スラブ30の上面30Uとに渡って防水層90が設けられている。
【0054】
このように鋼製パラペット50によって屋上パラペットを形成することにより、現場における型枠の仮設や撤去作業等が不要になるため、現場(作業所)での工数が削減される。したがって、本実施形態では、現場打ち工法によって屋上パラペットを施工する場合と比較して、工期を短縮することができるとともに、コストを削減することができる。
【0055】
また、鋼製パラペット50は、屋上スラブ30の型枠としても使用することができる。したがって、屋上スラブ30の型枠の仮設や撤去作業等が不要になるため、現場(作業所)での工数が削減される。したがって、工期をさらに短縮することができる。
【0056】
さらに、隣り合う鋼製パラペット50は、溶接等によって容易に接合することができる。より具体的には、図2に示されるように、隣り合う鋼製パラペット50の内側鋼板64は、溶接部Wを介して接合されている。これにより、隣り合う鋼製パラペット50の内壁面50Aを横幅方向に容易に連続させることができる。したがって、鋼製パラペット50の横幅方向において、防水層90の連続性を確保しつつ、鋼製パラペット50の施工性を向上することができる。
【0057】
また、鋼製パラペット50の上端部には、笠木材70が設けられている。この笠木材70の内側張出し部70Aによって、防水層90の上端部90Eを上側から覆うことにより、鋼製パラペット50の内壁面50Aと防水層90の上端部90Eとの間に雨水が浸入することが抑制される。
【0058】
さらに、鋼製パラペット50には、溶接等によって笠木材70を容易に取り付けることができるとともに、鋼製パラペット50に笠木材70を予め一体化することができる。したがって、工期をさらに短縮することができる。
【0059】
また、鋼製パラペット50の下側には、外装材80が配置されている。この外装材80を鋼製パラペット50の底鋼板62に取り付けることにより、外装材80を容易に設置することができる。
【0060】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0061】
図6には、第二実施形態に係る屋上パラペット構造が適用された構造物10の屋上が示されている。この屋上パラペット構造では、鋼製パラペット50が、複数の受け鉄骨130を介して外周鉄骨梁20に取り付けられている。なお、受け鉄骨130は、受け部材の一例である。
【0062】
複数の受け鉄骨130は、外周鉄骨梁20の外側に設けられている。また、複数の受け鉄骨130は、例えば、T形鋼によって形成されており、複数の外周鉄骨梁20の材軸方向の間隔を空けて配置されている。各受け鉄骨130は、外周鉄骨梁20のウェブ26の上部から外側へ延出している。
【0063】
受け鉄骨130は、下側フランジ132と、下側フランジ132の上面から上方へ延出するウェブ134とを有している。この受け鉄骨130は、外周鉄骨梁20と直交する方向に沿って配置されており、その一端部が外周鉄骨梁20のウェブ26に突き当てられた状態で溶接等によって接合されている。
【0064】
受け鉄骨130は、外周鉄骨梁20の上側フランジ22よりも外側へ延出している。これらの受け鉄骨130の先端側には、鋼製パラペット50が設けられている。鋼製パラペット50の底鋼板62は、受け鉄骨130のウェブ134の上端部に溶接等によって接合されている。この鋼製パラペット50は、複数の受け鉄骨130の先端側から屋上スラブ30の端部30Eの外側を通って、屋上スラブ30よりも上方へ延出している。
【0065】
また、鋼製パラペット50は、外周鉄骨梁20から外側へ延出する受け鉄骨130の延出量に応じて、外周鉄骨梁20から外側に離れた位置に配置されている。これにより、屋上スラブ30の端部30Eが外周鉄骨梁20よりも外側へ張り出し、鋼製パラペット50の内壁面50Aに達している。なお、鋼製パラペット50の底鋼板62は、鋼製パラペット50の下端部から内側へ延出し、外周鉄骨梁20の上側フランジ22に達している。
【0066】
鋼製パラペット50の外側には、外装材80が配置されている。外装材80は、構造物10の外壁を構成している。この鋼製パラペット50は、ブラケット82を介して受け鉄骨130の下側フランジ132に取り付けられている。
【0067】
鋼製パラペット50の笠木材70は、壁体60の上端部から外側へ張り出す外側張出し部70Bが設けられている。外側張出し部70Bは、外装材80の上端部80Eを上側から覆っている。この外側張出し部70Bによって、鋼製パラペット50の外壁面50Bと外装材80の上端部80Eとの間に、雨水が浸入することが抑制される。
【0068】
(作用)
次に、第二実施形態の作用について説明する。
【0069】
本実施形態によれば、鋼製パラペット50の外側には、外装材80が配置されている。この外装材80を、ブラケット82を介して受け鉄骨130に取り付けることにより、外装材80を容易に設置することができる。
【0070】
また、外周鉄骨梁20から外側へ延出する受け鉄骨130の延出量を、外装材80の位置に応じて増減することにより、鋼製パラペット50及び受け鉄骨130の少なくとも一方に、外装材80を容易に取り付けることができる。
【0071】
さらに、鋼製パラペット50の上端部には、笠木材70が設けられている。この笠木材70の外側張出し部70Bによって、外装材80の上端部80Eを上側から覆うことにより、外装材80の上端部80Eと鋼製パラペット50の外壁面50Bとの間に雨水が浸入することが抑制される。
【0072】
なお、本実施形態では、鋼製パラペット50の内側鋼板64と外側鋼板66とが連結リブ68を介して連結されている。しかし、内側鋼板64と外側鋼板66とは、例えば、連結部材としての形鋼を介して連結しても良い。
【0073】
例えば、図7及び図8に示される変形例では、内側鋼板64と外側鋼板66とが複数の溝形鋼(C形鋼)140を介して連結されている。図8に示されるように、溝形鋼140は、鋼製パラペット50の厚み方向に互いに対向する一対のフランジ142と、一対のフランジ142を接続するウェブ144とを有している。なお、溝形鋼140は、連結部材の一例である。
【0074】
溝形鋼140は、隣接する内側鋼板64の溶接部Wと、隣接する外側鋼板66の溶接部Wとに渡って配置されており、一対のフランジ142が溶接部(充填隅肉溶接部)Wを介して内側鋼板64及び外側鋼板66と接合されている。
【0075】
このように溝形鋼140によって内側鋼板64と外側鋼板66と連結することにより、裏当て鋼板69(図2参照)を省略することができる。
【0076】
(変形例)
次に、上記第一実施形態、及び第二実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は、第二実施形態にも適宜適用可能である。
【0077】
上記第一実施形態では、鋼製パラペット50が複数の受けリブ40を介して外周鉄骨梁20に取り付けられている。しかし、鋼製パラペット50は、外周鉄骨梁20に直接取り付けても良い。つまり、鋼製パラペット50は、外周鉄骨梁20に直接的又は間接的に取り付けることができる。
【0078】
また、上記第一実施形態では、鋼製パラペット50の上端部に笠木材70が設けられている。しかし、笠木材70は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。なお、笠木材70を省略した場合は、笠木材70に替えて、鋼製パラペット50の内側鋼板64と外側鋼板66との間の空間を塞ぐ天鋼板を設けることができる。
【0079】
また、上記第一実施形態では、外装材80が鋼製パラペット50に取り付けられている。しかし、外装材80は、鋼製パラペット50及び受けリブ40の少なくとも一方に取り付けることができる。つまり、外装材は、鋼製パラペット及び受け部材の少なくとも一方に取り付けることができる。
【0080】
また、上記第一実施形態では、防水層90が防水シートによって形成されている。しかし、防水層90は、防水シートに限らず、例えば、アスファルト防水や、ウレタン防水によって形成しても良いし、これらの防水シート(シート防水)、アスファルト防水、及びウレタン防水を適宜組み合わせて形成しても良い。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
20 外周鉄骨梁
30 屋上スラブ
30U 上面(屋上スラブの上面)
40 受けリブ(受け部材)
50 鋼製パラペット
50A 内壁面(鋼製パラペットの内壁面)
50R 鋼製パラペット
70 笠木材
80 外装材
90 防水層
130 受け鉄骨(受け部材)
140 溝形鋼(受け部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8