(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】熱回収システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20250217BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20250217BHJP
F24H 4/04 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
F24H1/00 631Z
F24H4/02 Z
F24H4/04
(21)【出願番号】P 2021103528
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】山岡 正洋
(72)【発明者】
【氏名】廣江 誠人
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 宣之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 厚志
(72)【発明者】
【氏名】宮島 光希
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-247750(JP,A)
【文献】実開平06-030401(JP,U)
【文献】国際公開第2015/071533(WO,A1)
【文献】特開2000-274307(JP,A)
【文献】特開2002-277053(JP,A)
【文献】特開2007-263419(JP,A)
【文献】特開2012-117790(JP,A)
【文献】特開2007-333289(JP,A)
【文献】特開2017-096620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 4/02
F24H 4/04
F24D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源で発生した熱と熱媒とを熱交換させる熱源側熱交換器と、
前記熱源側熱交換器から前記熱媒が供給される利用側熱交換器と、
前記熱源側熱交換器から前記利用側熱交換器に供給される前記熱媒を貯留する蓄熱タンクと、
前記熱源側熱交換器、前記蓄熱タンク、及び前記利用側熱交換器の間で前記熱媒を循環させる稼働モードと、前記利用側熱交換器を迂回して、前記熱源側熱交換器と前記蓄熱タンクとの間で前記熱媒を循環させる立ち上げモードと、を切り替える切替手段と、
前記熱源側熱交換器、前記蓄熱タンク、及び前記利用側熱交換器の間で前記熱媒を循環させる循環配管と、
前記利用側熱交換器を迂回して、前記循環配管における前記蓄熱タンクの下流側と前記利用側熱交換器の下流側とを接続する第一バイパス配管と、
前記第一バイパス配管よりも前記利用側熱交換器側において、前記利用側熱交換器を迂回して、前記循環配管における前記蓄熱タンクの下流側と前記利用側熱交換器の下流側とを接続する第二バイパス配管と、
を備え、
前記切替手段は、前記立ち上げモードにおいて、前記第一バイパス配管によって前記利用側熱交換器を迂回させた後、前記第二バイパス配管によって前記利用側熱交換器を迂回させる、
熱回収システム。
【請求項2】
前記蓄熱タンク内の前記熱媒の温度を検出する第一温度検出部と、
前記蓄熱タンクから前記利用側熱交換器に供給される前記熱媒の温度を検出する第二温度検出部と、
前記第一温度検出部で検出された前記熱媒の温度が基準値未満の場合に、前記立ち上げモードとし、前記第二温度検出部で検出された前記熱媒の温度が基準値以上の場合に、前記稼働モードとなるように、前記切替手段を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排熱を回収し、回収した熱を利用設備に供給する熱回収システム(排熱回収装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された熱回収システムは、排熱との熱交換によって排熱を回収した熱媒を貯留する蓄熱タンク(システムタンク)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱回収システムの立ち上げ時には、熱媒の温度が低いため、利用施設に所定の熱量を供給することが難しい。そのため、熱回収システムの立ち上げ時には、熱媒の温度を所定温度に速やかに上昇させる必要がある。
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1のように、蓄熱タンクを備える熱回収システムでは、蓄熱タンク内の熱媒の温度を所定温度に上昇させるために時間を要する。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、熱回収システムにおいて、蓄熱タンク内の熱媒の温度を所定温度に早期に上昇させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る熱回収システムは、熱源で発生した熱と熱媒とを熱交換させる熱源側熱交換器と、前記熱源側熱交換器から前記熱媒が供給される利用側熱交換器と、前記熱源側熱交換器から前記利用側熱交換器に供給される前記熱媒を貯留する蓄熱タンクと、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱タンク、及び前記利用側熱交換器の間で前記熱媒を循環させる稼働モードと、前記利用側熱交換器を迂回して、前記熱源側熱交換器と前記蓄熱タンクとの間で前記熱媒を循環させる立ち上げモードと、を切り替える切替手段と、を備える。
【0008】
第1態様に係る熱回収システムによれば、熱源側熱交換器は、熱源で発生した熱と熱媒とを熱交換させる。この熱媒は、熱源側熱交換器から熱媒が供給される。また、熱源側熱交換器から利用側熱交換器に供給される熱媒は、蓄熱タンクに貯留される。この蓄熱タンクにおいて、熱源側熱交換器から供給される熱媒と、蓄熱タンク内の熱媒を熱交換とさせることにより、熱媒の温度変化量が緩和される。
【0009】
また、切替手段は、稼働モードと立ち上げモードとを切り替える。稼働モードでは、熱源側熱交換器、蓄熱タンク、及び利用側熱交換器の間で熱媒が循環される。これにより、熱源側熱交換器で回収された熱を、利用側熱交換器の熱源として利用することができる。
【0010】
一方、例えば、熱回収システムの立ち上げ時のように、熱媒の温度が低い場合、切替手段は、立ち上げモードに切り替える。立ち上げモードでは、利用側熱交換器を迂回して、熱源側熱交換器と蓄熱タンクとの間で熱媒が循環される。これにより、熱媒が利用側熱交換器を迂回する分、蓄熱タンク内の熱媒の温度を所定温度に早期に上昇させることができる。
【0011】
第2態様に係る熱回収システムは、第1態様に係る熱回収システムにおいて、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱タンク、及び前記利用側熱交換器の間で前記熱媒を循環させる循環配管と、前記利用側熱交換器を迂回して、前記循環配管における前記蓄熱タンクの下流側と前記利用側熱交換器の下流側とを接続する第一バイパス配管と、前記第一バイパス配管よりも前記利用側熱交換器側において、前記利用側熱交換器を迂回して、前記循環配管における前記蓄熱タンクの下流側と前記利用側熱交換器の下流側とを接続する第二バイパス配管と、を備え、前記切替手段は、前記立ち上げモードにおいて、前記第一バイパス配管によって前記利用側熱交換器を迂回させた後、前記第二バイパス配管によって前記利用側熱交換器を迂回させる。
【0012】
第2態様に係る熱回収システムによれば、循環配管、第一バイパス配管、及び第二バイパス配管を備える。循環配管は、熱源側熱交換器、蓄熱タンク、及び利用側熱交換器の間で熱媒を循環させる。
【0013】
第一バイパス配管は、利用側熱交換器を迂回して、循環配管における蓄熱タンクの下流側と利用側熱交換器の下流側とを接続する。また、第二バイパス配管は、第一バイパス配管よりも利用側熱交換器側において、利用側熱交換器を迂回して、循環配管における蓄熱タンクの下流側と利用側熱交換器の下流側とを接続する。
【0014】
ここで、切替手段は、立ち上げモードにおいて、第一バイパス配管によって利用側熱交換器を迂回させた後、第二バイパス配管によって利用側熱交換器を迂回させる。
【0015】
このように第一バイパス配管、及び第二バイパス配管によって、熱媒の循環経路を段階的に長くすることにより、熱媒の温度を効率的に昇温することができる。
【0016】
第3態様に係る熱回収システムは、第1態様又は第2態様に係る熱回収システムにおいて、前記蓄熱タンク内の前記熱媒の温度を検出する第一温度検出部と、前記蓄熱タンクから前記利用側熱交換器に供給される前記熱媒の温度を検出する第二温度検出部と、前記第一温度検出部で検出された前記熱媒の温度が基準値未満の場合に、前記立ち上げモードとし、前記第二温度検出部で検出された前記熱媒の温度が基準値以上の場合に、前記稼働モードとなるように、前記切替手段を制御する制御部と、を備える。
【0017】
第3態様に係る熱回収システムによれば、第一温度検出部は、蓄熱タンク内の熱媒の温度を検出する。また、第二温度検出部は、蓄熱タンクから利用側熱交換器に供給される熱媒の温度を検出する。そして、制御部は、第一温度検出部及び第二温度検出部で検出された熱媒の温度に基づいて、切替手段を制御する。
【0018】
具体的には、制御部は、第一温度検出部で検出された熱媒の温度が基準値未満の場合に、切替手段を制御し、立ち上げモードにする、これにより、蓄熱タンク内の熱媒の温度を早期に上昇させることができる。
【0019】
また、制御部は、第二温度検出部で検出された熱媒の温度が基準値以上の場合に、切替手段を制御し、稼働モードにする。これにより、温度が基準値以上の熱媒を、利用側熱交換器に供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、熱回収システムにおいて、蓄熱タンク内の熱媒の温度を所定温度に早期に上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第一実施形態に係る熱回収システムを示す回路図である。
【
図2】第一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成図である。
【
図3】第一実施形態に係る立ち上げ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第二実施形態に係る熱回収システムを示す回路図である。
【
図5】
図4に示される熱回収システムの稼働モードと熱媒の温度との関係を示す説明図である。
【
図6】
図4に示される加熱用熱交換器の制御方法の変形例を示す
図5に対応する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0023】
(熱回収システム)
図1には、第一実施形態に係る熱回収システム130が示されている。熱回収システム130は、一例として、製造業等における生産設備等の利用設備10から回収した低温排熱(低温廃熱)をヒートポンプ50で昇温し、利用設備10に供給する排熱回収システム(排熱再利用システム)とされる。なお、利用設備10は、熱源の一例である。
【0024】
熱回収システム20は、熱源側熱交換器40と、複数のヒートポンプ50と、補助熱源60と、蓄熱タンク70と、貯留熱媒用温度センサ72と、循環熱媒用温度センサ38と、第一立ち上げ用バイパス配管BP1と、第二立ち上げ用バイパス配管BP2と、切替手段(バルブVH、第一立ち上げ用バルブV1、第二立ち上げ用バルブV2)と、排熱供給状況検出器110と、制御装置100(
図2参照)とを備えている。
【0025】
(熱源側熱交換器)
熱源側熱交換器40は、利用設備10で発生した排熱を回収する排熱回収器とされている。また、熱源側熱交換器40は、排熱配管12を介して利用設備10と接続されている。この熱源側熱交換器40には、利用設備10で発生した排ガスや排温水等の排熱が、排熱配管12を介して供給される。
【0026】
また、熱源側熱交換器40は、循環配管30を介して後述する複数のヒートポンプ50と接続されている。循環配管30は、全体として環状に形成されている。また、循環配管30は、熱源側熱交換器40から複数のヒートポンプ50に熱媒を供給する送り管部30Sと、複数のヒートポンプから熱源側熱交換器40に熱媒を戻す戻り管部30Rとを有している。この循環配管30には、循環ポンプ32が設けられている。
【0027】
循環ポンプ32は、循環配管30における熱源側熱交換器40の下流側で、かつ、ヒートポンプ50の上流側に設けられている。この循環ポンプ32が作動することにより、循環配管30内を流れる熱媒が、熱源側熱交換器40とヒートポンプ50との間で循環される。なお、熱媒は、例えば、水や油等とされる。
【0028】
熱源側熱交換器40は、循環配管30の本管部30Aを迂回するバイパス管部30Bに設けられている。循環配管30の本管部30A、及びバイパス管部30Bには、一対のバルブ42が設けられている。
【0029】
一対のバルブ42は、循環配管30の本管部30A、及びバイパス管部30Bをそれぞれ開閉可能に構成されている。この一対のバルブ42によって、本管部30Aを閉じるとともに、バイパス管部30Bを開けることにより、熱媒が熱源側熱交換器40を経由して循環配管30を循環する。
【0030】
一方、一対のバルブ42によって、循環配管30の本管部30Aを開けるとともに、バイパス管部30Bを閉じることにより、熱媒が熱源側熱交換器40を経由せずに循環配管30を循環する。
【0031】
熱源側熱交換器40は、利用設備10から排熱配管12を介して供給された排熱と、循環配管30のバイパス管部30Bを流れる熱媒とを熱交換させることにより、当該熱媒を加熱する。なお、熱源側熱交換器40を通過した排熱は、例えば、排水や排気として処理される。
【0032】
(ヒートポンプ)
複数のヒートポンプ50は、熱源側熱交換器40から循環配管30を介して供給される熱媒から熱を汲み上げることにより、利用設備10、及び後述する加熱用熱交換器80に供給する温水(高温水)を生成する熱供給器とされる。
【0033】
複数のヒートポンプ50は、循環配管30から並列に分岐した後、合流する複数の分岐管部30Cにそれぞれ設けられている。各分岐管部30Cにおけるヒートポンプ50の上流側には、バルブVHがそれぞれ設けられている。各バルブVHは、各分岐管部30Cを開閉可能に構成されている。
【0034】
各バルブVHによって分岐管部30Cを開けることにより、循環配管30からヒートポンプ50に熱媒が供給される。一方、各バルブVHによって分岐管部30Cを閉じることにより、循環配管30からヒートポンプ50への熱媒の供給が停止される。
【0035】
各ヒートポンプ50は、図示しない低温側熱交換器(吸熱側熱交換器)と、圧縮機と、高温側熱交換器(放熱側熱交換器)と、膨張機と、これらの低温側熱交換器、圧縮機、高温側熱交換器、及び膨張機の間で熱媒を循環させる循環配管とを有している。なお、低温側熱交換器は、利用側熱交換器の一例である。
【0036】
低温側熱交換器は、熱回収システム20の循環配管30(分岐管部30C)を流れる熱媒と、ヒートポンプ50の循環配管を流れる熱媒とを熱交換させることにより、当該熱媒を加熱する。圧縮機は、低温側熱交換器から供給された熱媒を圧縮し、当該熱媒の温度を上昇させる。
【0037】
高温側熱交換器は、圧縮機から供給された熱媒と、後述する戻り配管54から供給された温水とを熱交換させることにより、当該温水を加熱する。膨張機は、高温側熱交換器から供給された熱媒を膨張させ、当該熱媒の温度を低下させる。低下した熱媒は、低温側熱交換器に供給され、当該低温側熱交換器において再加熱される。
【0038】
各ヒートポンプ50において、上記サイクルを繰り返すことにより、高温側熱交換器にて温水(高温水)が生成される。この高温側熱交換器には、送り配管52を介して温水往ヘッダ22が接続されている。また、高温側熱交換器には、戻り配管54を介して温水還ヘッダ28が接続されている。
【0039】
戻り配管54には、ポンプ56が設けられている。このポンプ56が作動することにより、温水還ヘッダ28からヒートポンプ50の高温側熱交換器に温水が供給される。また、高温側熱交換器で生成された温水が、送り配管52を介して温水往ヘッダ22に供給される。
【0040】
温水往ヘッダ22には、送り配管24を介して利用設備10が接続されている。送り配管24には、ポンプ25が設けられている。このポンプ25が作動することにより、温水往ヘッダ22から利用設備10に温水が供給され、利用設備10で利用される。この際、利用設備10で発生した排熱は、排熱配管12を介して、熱源側熱交換器40に供給される。
【0041】
利用設備10には、戻り配管26を介して温水還ヘッダ28が接続されている。利用設備10で利用された温水は、戻り配管26を介して温水還ヘッダ28に排出される。温水還ヘッダ28には、前述した戻り配管54を介して複数のヒートポンプ50がそれぞれ接続されている。
【0042】
なお、ヒートポンプ50は、複数に限らず、少なくとも1つあれば良い。また、ヒートポンプ50は、温水を生成する温水ヒートポンプに限らず、例えば、蒸気を生成する蒸気ヒートポンプや、熱風を生成する熱風ヒートポンプ等のヒートポンプ(産業用ヒートポンプ)でも良い。
【0043】
(補助熱源)
補助熱源60は、例えば、化石燃料等を燃焼させることにより発生する一次エネルギーを熱源とするボイラ等の加熱器とされる。この補助熱源60は、利用設備10、及び加熱用熱交換器80に供給するための温水を生成する。
【0044】
補助熱源60には、送り配管62を介して温水往ヘッダ22が接続されている。また、補助熱源60には、戻り配管64を介して温水還ヘッダ28が接続されている。戻り配管64には、ポンプ66が設けられている。このポンプ66が作動することにより、温水還ヘッダ28から補助熱源60に温水が供給されるとともに、補助熱源60で生成された温水が送り配管62を介して温水往ヘッダ22に供給される。
【0045】
なお、補助熱源60は、一次エネルギーを熱源とするボイラ等の加熱器に限らず、例えば、ヒートポンプ等でも良い。
【0046】
(蓄熱タンク)
循環配管30における熱源側熱交換器40の下流側で、かつ、ヒートポンプ50の上流側には、蓄熱タンク70が設けられている。蓄熱タンク70は、熱源側熱交換器40からヒートポンプ50に供給される熱媒を、保温しながら貯留する保温タンクとされる。この蓄熱タンク70を介して熱源側熱交換器40からヒートポンプ50に熱媒を供給することにより、熱媒の温度変化量が緩和される。
【0047】
(貯留熱媒用温度センサ)
蓄熱タンク70には、貯留熱媒用温度センサ72が設けられている。貯留熱媒用温度センサ72は、蓄熱タンク70に貯留された熱媒の温度を検出し、後述する制御装置100に出力する。なお、貯留熱媒用温度センサ72は、第一温度検出部の一例である。
【0048】
(循環熱媒用温度センサ)
循環配管30における複数のヒートポンプ50の上流側で、かつ、蓄熱タンク70の下流側には、循環熱媒用温度センサ38が設けられている。循環熱媒用温度センサ38は、循環配管30を流れる熱媒の温度を検出し、検出した温度情報を後述する制御装置100に出力する。なお、循環熱媒用温度センサ38は、第二温度検出部の一例である。
【0049】
(第一立ち上げ用バイパス配管)
循環配管30には、複数のヒートポンプ50を迂回して、蓄熱タンク70の下流側の熱媒を、熱源側熱交換器40に供給する第一立ち上げ用バイパス配管BP1が設けられている。なお、第一立ち上げ用バイパス配管は、第一バイパス配管の一例である。
【0050】
第一立ち上げ用バイパス配管BP1は、循環配管30における蓄熱タンク70の下流側で、かつ複数のヒートポンプ50の上流側から分岐し、循環配管30における複数のヒートポンプ50の下流側で、かつ、熱源側熱交換器40の上流側に接続されている。
【0051】
より具体的には、第一立ち上げ用バイパス配管BP1の一端部は、循環配管30における蓄熱タンク70、及び循環熱媒用温度センサ38の下流側で、かつ、複数のヒートポンプ50の上流側に接続されている。また、第一立ち上げ用バイパス配管BP1の他端部は、循環配管30における複数のヒートポンプ50の下流側で、かつ、熱源側熱交換器40の上流側に接続されている。
【0052】
第一立ち上げ用バイパス配管BP1には、第一立ち上げ用バルブV1が設けられている。第一立ち上げ用バルブV1は、第一立ち上げ用バイパス配管BP1を開閉可能に構成されている。
【0053】
(第二立ち上げ用バイパス配管)
循環配管30には、第一立ち上げ用バイパス配管BP1よりも複数のヒートポンプ50側において、複数のヒートポンプ50を迂回して、蓄熱タンク70の下流側の熱媒を、熱源側熱交換器40に供給する第二立ち上げ用バイパス配管BP2が設けられている。なお、第二立ち上げ用バイパス配管は、第二バイパス配管の一例である。
【0054】
第二立ち上げ用バイパス配管BP2は、複数のヒートポンプ50を迂回するように、循環配管30を延長する延長配管とされている。より具体的には、第二立ち上げ用バイパス配管BP2は、複数のヒートポンプ50に熱媒を送る循環配管30の送り管部30Sの端部と、複数のヒートポンプ50から排出された熱媒を熱源側熱交換器40に戻す戻り管部30Rの端部とを接続している。
【0055】
第二立ち上げ用バイパス配管BP2には、第二立ち上げ用バルブV2が設けられている。第二立ち上げ用バルブV2は、第二立ち上げ用バイパス配管BP2を開閉可能に構成されている。
【0056】
(切替手段)
切替手段は、循環配管30の複数の分岐管部30C、第一立ち上げ用バイパス配管BP1、及び第二立ち上げ用バイパス配管BP2を開閉し、熱媒が流れる流路を切り替えることにより、熱回収システム130の動作モードを、立ち上げモード又は稼働モードに切り替える。この切替手段は、前述した各ヒートポンプ50用のバルブVHと、第一立ち上げ用バルブV1と、第二立ち上げ用バルブV2とを有している。
【0057】
(排熱供給状況検出器)
排熱供給状況検出器110は、利用設備10から熱源側熱交換器40への排熱供給の有無を検出し、検出した排熱供給情報を制御装置100に出力する。この排熱供給状況検出器110は、例えば、利用設備10から熱源側熱交換器40に排熱を送る排水ポンプや排気ファンの作動状況を検出することにより、排熱供給情報を検出する。
【0058】
(制御装置)
図2に示されるように、制御装置100は、熱回収システム130(
図1参照)の全体の動作を制御する。この制御装置100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)によって構成される。
【0059】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)102と、一時記憶領域としてのメモリ104と、不揮発性の記憶部106とを備えている。また、制御装置100は、入出力装置108を備えている。これらのCPU102、メモリ104、記憶部106、及び入出力装置108は、バス109介して互いに接続されている。なお、CPU102は、制御部の一例である。
【0060】
記憶部106は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記録媒体としての記憶部106には、熱回収システム130の動作を制御する立ち上げ制御プログラムが予め記憶されている。
【0061】
CPU102は、記憶部106から立ち上げ制御プログラムを読み出してメモリ104に展開し、立ち上げ制御プログラムが有する各ステップを順次実行する。また、記憶部106には、熱媒の基準値Tが予め記憶されている。
【0062】
なお、熱媒温度制御プログラムを実行するCPU102は、ハードウェアである。また、熱媒温度制御プログラムによって実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
【0063】
制御装置100には、ポンプ25、循環ポンプ32、循環熱媒用温度センサ38、熱源側熱交換器40用の一対のバルブ42、ヒートポンプ50、各ヒートポンプ50用のバルブVH、ポンプ56,66、及び補助熱源60が電気的に接続されている。さらに、制御装置100には、第一立ち上げ用バルブV1、第二立ち上げ用バルブV2、貯留熱媒用温度センサ72、及び排熱供給状況検出器110が電気的に接続されている。
【0064】
(熱回収システムの制御方法)
次に、制御装置100の動作を説明しつつ、熱回収システム130の制御方法の一例について説明する。
【0065】
熱回収システム130の立ち上げ時には、熱媒の温度が低いため、利用設備10に所定の熱量を供給することが難しい。そのため、熱回収システム130の立ち上げ時には、熱媒の温度を所定温度に速やかに上昇させる必要がある。しかしながら、蓄熱タンク70内の熱媒の温度を所定温度に上昇させるためには、時間を要する。
【0066】
この対策として本実施形態の熱回収システム130は、立ち上げモードと、稼働モードとを有している。そして、制御装置100のCPU102は、貯留熱媒用温度センサ72、及び循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度t1,t2に基づいて、切替手段(バルブVH、第一立ち上げ用バルブV1、第二立ち上げ用バルブV2)を制御し、熱回収システム130の動作モードを切り替える。
【0067】
具体的には、熱回収システム130の立ち上げ時に、制御装置100において、
図3に示される立ち上げ制御処理が実行される。なお、立ち上げ制御処理は、立ち上げ制御方法の一例である。また、熱回収システム130の停止時は、第一立ち上げ用バルブV1、第二立ち上げ用バルブV2、及び各ヒートポンプ50用のバルブVHが閉じられている。また、循環ポンプ32が停止している。
【0068】
この状態から、CPU102は、先ず、ステップS10において、排熱供給状況検出器110で検出された排熱の供給状況に基づき、利用設備10から熱源側熱交換器40への排熱の供給の有無を判定する。そして、利用設備10から熱源側熱交換器40に排熱が供給されていないと判定した場合、CPU102は、所定時間の経過後、ステップS10を再び実行する。
【0069】
一方、利用設備10から熱源側熱交換器40に排熱が供給されていると判定した場合、CPU102は、ステップS12に移行する。
【0070】
ステップS12において、CPU102は、貯留熱媒用温度センサ72で検出された蓄熱タンク70内の熱媒の温度t1と基準値Tとを比較する。そして、温度t1が基準値T以上の場合(t1≧T)、CPU102は、切替手段を制御し、熱回収システム130を稼働モードで作動させる。
【0071】
すなわち、ステップS14において、CPU102は、各ヒートポンプ50用のバルブVHを作動し、循環配管30の各分岐管部30Cを開ける。次に、ステップS16において、CPU102は、循環ポンプ32を作動させる。次に、ステップS30において、CPU102は、ヒートポンプ50を作動させる。
【0072】
これにより、
図1に矢印aで示されるように、循環配管30を介して、熱源側熱交換器40、蓄熱タンク70、及び複数のヒートポンプ50の間で熱媒が循環される。この結果、各ヒートポンプ50から、送り配管52、温水往ヘッダ22、及び送り配管24を介して利用設備10に温水が供給される。
【0073】
一方、ステップS12において、温度t1が基準値T未満の場合(t1<T)、CPU102は、切替手段を制御し、熱回収システム130を立ち上げモードで作動させる。つまり、CPU102は、ステップS18において、第一立ち上げ用バルブV1を作動し、第一立ち上げ用バイパス配管BP1を開ける。次に、ステップS20において、CPU102は、循環ポンプ32を作動させる。
【0074】
これにより、
図1に矢印f1で示されるように、循環配管30における蓄熱タンク70の下流側の熱媒が、第一立ち上げ用バイパス配管BP1を介して熱源側熱交換器40に供給される。つまり、複数のヒートポンプ50を迂回して、熱源側熱交換器40と蓄熱タンク70との間で熱媒が循環される。これにより、蓄熱タンク70内の熱媒の温度が早期に上昇する。
【0075】
次に、CPU102は、ステップS22において、所定時間、待機する。この所定時間は、例えば、熱媒の流速等に基づいて、蓄熱タンク70内に予め貯留された熱媒を、熱源側熱交換器40で加熱された熱媒で置換可能な時間に設定される。
【0076】
次に、ステップS24において、CPU102は、第一立ち上げ用バルブV1、及び第二立ち上げ用バルブV2を作動し、第一立ち上げ用バイパス配管BP1を閉じるとともに、第二立ち上げ用バイパス配管BP2を開ける。
【0077】
これにより、
図1に矢印f2で示されるように、第一立ち上げ用バイパス配管BP1よりも複数のヒートポンプ50側において、循環配管30の送り管部30S及び戻り管部30R内に滞留した熱媒が流動し、熱源側熱交換器40に供給される。
【0078】
次に、ステップS26において、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された循環配管30内の熱媒の温度t2と基準値Tとを比較する。そして、温度t2が基準値T未満の場合(t2<T)、CPU102は、ステップS26を再び実行する。
【0079】
一方、ステップS26において、温度t2が基準値T以上の場合(t2≧T)、CPU102は、切替手段を制御し、熱回収システム130の動作モードを立ち上げモードから稼働モードに切り替える。
【0080】
すなわち、ステップS28において、CPU102は、第二立ち上げ用バルブV2を作動し、第二立ち上げ用バイパス配管BP2を閉じる。また、CPU102は、各ヒートポンプ50用のバルブVHを作動し、循環配管30の各分岐管部30Cを開ける。
【0081】
これにより、循環配管30を介して、熱源側熱交換器40、蓄熱タンク70、及び複数のヒートポンプ50の間で熱媒が循環される。この結果、各ヒートポンプ50から、送り配管52、温水往ヘッダ22、及び送り配管24を介して利用設備10に温水が供給される。
【0082】
(作用及び効果)
次に、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0083】
前述したように、切替手段(バルブVH、第一立ち上げ用バルブV1、第二立ち上げ用バルブV2)は、熱回収システム130の動作モードを、稼働モード、及び立ち上げモードに切り替え可能とされる。稼働モードでは、熱源側熱交換器40、蓄熱タンク70、及び複数のヒートポンプ50の間で熱媒が循環される。これにより、熱源側熱交換器40で回収された熱を、複数のヒートポンプ50の熱源として利用することができる。
【0084】
一方、例えば、熱回収システム130の立ち上げ時のように、熱媒の温度が低い場合、切替手段は、熱回収システム130の動作モードを立ち上げモードにする。立ち上げモードでは、複数のヒートポンプ50を迂回して、熱源側熱交換器40と蓄熱タンク70との間で熱媒が循環される。これにより、熱媒が複数のヒートポンプ50を迂回する分、蓄熱タンク70内の熱媒の温度を所定温度に早期に上昇させることができる。また、熱源側熱交換器40と蓄熱タンク70との間で熱媒を循環させる循環配管30内の熱媒の温度も、所定温度に早期に上昇させることができる。
【0085】
また、循環配管30には、第一立ち上げ用バイパス配管BP1、及び第二立ち上げ用バイパス配管BP2が設けられている。循環配管30は、熱源側熱交換器40、蓄熱タンク70、及び複数のヒートポンプ50の間で熱媒を循環させる。
【0086】
第一立ち上げ用バイパス配管BP1は、複数のヒートポンプ50を迂回して、循環配管30における蓄熱タンク70の下流側と複数のヒートポンプ50の下流側とを接続する。また、第二立ち上げ用バイパス配管BP2は、第一立ち上げ用バイパス配管BP1よりも複数のヒートポンプ50側において、複数のヒートポンプ50を迂回して、循環配管30における蓄熱タンク70の下流側と複数のヒートポンプ50の下流側とを接続する。
【0087】
ここで、切替手段は、立ち上げモードにおいて、第一立ち上げ用バイパス配管BP1によって複数のヒートポンプ50を迂回させた後、第二立ち上げ用バイパス配管BP2によって複数のヒートポンプ50を迂回させる。
【0088】
このように第一立ち上げ用バイパス配管BP1、及び第二立ち上げ用バイパス配管BP2によって、熱媒の循環経路を段階的に長くすることにより、熱媒の温度を効率的に上昇させることができる。
【0089】
また、貯留熱媒用温度センサ72は、蓄熱タンク70内の熱媒の温度を検出する。また、循環熱媒用温度センサ38は、蓄熱タンク70から複数のヒートポンプ50に供給される熱媒の温度を検出する。そして、CPU102は、貯留熱媒用温度センサ72及び循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度t1,t2に基づいて、切替手段を制御する。
【0090】
具体的には、CPU102は、貯留熱媒用温度センサ72で検出された熱媒の温度t1が基準値T未満の場合に、切替手段を制御し、熱回収システム130の動作モードを立ち上げモードにする。これにより、蓄熱タンク70内の熱媒の温度が上昇する。
【0091】
また、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度t2が基準値T以上の場合に、切替手段を制御し、熱回収システム130の動作モードを、立ち上げモードから稼働モードに切り替える。これにより、温度が基準値T以上の熱媒を、複数のヒートポンプ50に供給することができる。
【0092】
このように制御装置100のCPU102によって切替手段を制御することにより、熱回収システム130の立ち上げ時に、蓄熱タンク70内の熱媒の温度を効率的に上昇させることができる。
【0093】
(第一実施形態の変形例)
次に、第一実施形態の変形例について説明する。
【0094】
上記第一実施形態では、立ち上げモードにおいて、循環配管30を流れる熱媒を熱源側熱交換器40によって加熱される。しかし、例えば、立ち上げモードにおいて、循環配管30を流れる熱媒を、熱源側熱交換器40、及び後述する加熱用熱交換器80(
図4参照)及び少なくとも一方によって加熱しても良い。
【0095】
この場合、例えば、
図3に示されるフローチャートのステップS18において、CPU102は、加熱用熱交換器80用の一対のバルブ82を作動し、循環配管30の本管部30Aを閉じるとともに、加熱用バイパス管部30Dを開ける。
【0096】
また、ステップS18において、CPU102は、ポンプ88を作動し、矢印b(
図1参照)で示されるように、温水往ヘッダ22から送り配管84を介して加熱用熱交換器80に温水を供給する。これにより、加熱用熱交換器80において、温水と熱媒とが熱交換され、熱媒が加熱される。この結果、蓄熱タンク70内に熱媒の温度を早期に上昇させることができる。
【0097】
なお、立ち上げモードでは、ヒートポンプ50が作動していないため、加熱用熱交換器80の熱源は、補助熱源60となる。
【0098】
また、上記第一実施形態では、CPU102が、循環熱媒用温度センサ38、及び貯留熱媒用温度センサ72で検出された熱媒の温度に基づいて、切替手段を制御した。しかし、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38、及び貯留熱媒用温度センサ72の各々で検出された熱媒の温度に基づいて基準値に対する熱媒の単位時間(例えば1分)当たりの温度変化量をそれぞれ算出し、これらの温度変化量に基づいて、切替手段を制御しても良い。また、CPU102は、例えば、循環熱媒用温度センサ38、及び貯留熱媒用温度センサ72の少なくとも一方で検出された熱媒の温度に基づいて、切替手段を制御しても良い。
【0099】
また、上記第一実施形態における切替手段は、バルブVHと、第一立ち上げ用バルブV1と、第二立ち上げ用バルブV2を含んで構成されている。しかし、切替手段の構成は、適宜変更である。例えば、バルブVHに替えて、三方弁を用いても良い。これと同様に、第一立ち上げ用バルブV1、及び第二立ち上げ用バルブV2に替えて三方弁を用いても良い。
【0100】
また、上記第一実施形態では、循環配管30に、第一立ち上げ用バイパス配管BP1、及び第二立ち上げ用バイパス配管BP2が接続されている。しかし、第二立ち上げ用バイパス配管BP2は、適宜省略可能である。
【0101】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0102】
図4には、第二実施形態に係る熱回収システム20が示されている。熱回収システム20は、加熱用熱交換器80と、降温用バイパス配管34と、切替手段(一対のバルブ82、三方弁36)と、制御装置100とを備えている。
【0103】
(加熱用熱交換器)
循環配管30における蓄熱タンク70の下流側で、かつ、ヒートポンプ50の上流側には、加熱用熱交換器80が設けられている。加熱用熱交換器80は、循環配管30を流れる熱媒を加熱する加熱器とされる。なお、加熱用熱交換器80は、加熱器の一例である。また、加熱用熱交換器80は、循環ポンプ32、及び循環熱媒用温度センサ38の上流側に設けられている。
【0104】
加熱用熱交換器80は、循環配管30の本管部30Aを迂回する加熱用バイパス管部30Dに設けられている。循環配管30の本管部30A、及び加熱用バイパス管部30Dには、一対のバルブ82が設けられている。
【0105】
一対のバルブ82は、循環配管30の本管部30A、及び加熱用バイパス管部30Dをそれぞれ開閉可能に構成されている。この一対のバルブ82によって、加熱用バイパス管部30Dを開けるとともに、循環配管30の本管部30Aを閉じることにより、熱媒が加熱用熱交換器80を経由して循環配管30を循環する。
【0106】
一方、一対のバルブ82によって、加熱用バイパス管部30Dを閉じるとともに、循環配管30の本管部30Aを開けることにより、熱媒が加熱用熱交換器80を経由せずに循環配管30を循環する。
【0107】
加熱用熱交換器80には、送り配管84を介して温水往ヘッダ22が接続されている。また、加熱用熱交換器80には、戻り配管86を介して温水還ヘッダ28が接続されている。送り配管84には、ポンプ88が設けられている。このポンプ88が作動することにより、温水往ヘッダ22から加熱用熱交換器80に温水が供給されるとともに、加熱用熱交換器80から戻り配管86を介して温水還ヘッダ28に温水が排出される。
【0108】
加熱用熱交換器80は、温水往ヘッダ22から送り配管84を介して供給された温水と、加熱用バイパス管部30Dを流れる熱媒とを熱交換させることにより、当該熱媒を加熱する。つまり、加熱用熱交換器80は、ヒートポンプ50及び補助熱源60の少なくとも一方を熱源として、循環配管30を流れる熱媒を加熱する。
【0109】
また、送り配管84には、流量調整弁89が設けられている。この流量調整弁89によって送り配管84の開度を増減することにより、送り配管84から加熱用熱交換器80に供給される温水の流量が調整される。
【0110】
(降温用バイパス配管)
循環配管30には、熱源側熱交換器40、及び蓄熱タンク70を迂回して、ヒートポンプ50の下流側の熱媒をヒートポンプ50に供給する降温用バイパス配管34が設けられている。降温用バイパス配管34は、循環配管30における複数のヒートポンプ50の下流側で、かつ熱源側熱交換器40の上流側に設けられた三方弁36から分岐し、循環配管30における複数のヒートポンプ50の上流側で、かつ、蓄熱タンク70の下流側に接続されている。
【0111】
より具体的には、降温用バイパス配管34の一端部は、循環配管30における複数のヒートポンプ50の下流側で、かつ、熱源側熱交換器40の上流側に設けられた三方弁36に接続されている。また、降温用バイパス配管34の他端部は、循環配管30における複数のヒートポンプ50、循環ポンプ32、循環熱媒用温度センサ38、及び加熱用熱交換器80の上流側で、かつ、蓄熱タンク70の下流側に接続されている。
【0112】
この降温用バイパス配管34、及び循環配管30によって、熱源側熱交換器40、及び蓄熱タンク70を迂回して、複数のヒートポンプ50に熱媒を循環させる降温用循環流路が形成されている。なお、循環ポンプ32、及び循環熱媒用温度センサ38は、降温用循環流路に設けられている。また、降温用バイパス配管34は、第一立ち上げ用バイパス配管BP1、及び第二立ち上げ用バイパス配管BP2よりも熱源側熱交換器40側において、循環配管30に接続されている。
【0113】
三方弁36は、循環配管30、及び降温用バイパス配管34をそれぞれ開閉可能に構成にされている。この三方弁36によって、循環配管30を開けるととともに、降温用バイパス配管34を閉じることにより、複数のヒートポンプ50から循環配管30を介して熱源側熱交換器40に熱媒が供給される。
【0114】
一方、三方弁36によって、循環配管30を閉じるとともに、降温用バイパス配管34を開けることにより、複数のヒートポンプ50の下流側の熱媒が降温用バイパス配管34を介して複数のヒートポンプ50の上流側に供給される。
【0115】
また、三方弁36は、循環配管30及び降温用バイパス配管34を独立して開閉可能に構成されている。この三方弁36によって、循環配管30、及び降温用バイパス配管34の開度をそれぞれ増減することにより、三方弁36から熱源側熱交換器40に流れる熱媒の流量、及び降温用バイパス配管34に流れる熱媒の流量がそれぞれ調整可能とされている。
【0116】
(切替手段)
切替手段は、循環配管30、加熱用バイパス管部30D、及び降温用バイパス配管34を開閉し、熱媒が流れる流路を切り替えることにより、熱回収システム20の稼働モードを、通常モード、昇温モード、及び降温モードの間で切り替える。この切替手段は、前述した加熱用熱交換器80用の一対のバルブ82と、降温用バイパス配管34用の三方弁36を有している。
【0117】
(制御装置)
制御装置100には、三方弁36、加熱用熱交換器80用の一対のバルブ82、ポンプ88、及び流量調整弁89が電気的に接続されている。
【0118】
図2に示されるように、記憶部106には、熱回収システム20の動作を制御する熱媒温度制御プログラムが予め記憶されている。CPU102は、記憶部106から熱媒温度制御プログラムを読み出してメモリ104に展開し、熱媒温度制御プログラムの各ステップを実行する。また、記憶部106には、熱媒の下限値T
min、第一閾値T
1、第二閾値T
2、及び上限値T
maxが予め記憶されている(T
min<T
1<T
2<T
max)。
【0119】
(熱回収システムの制御方法)
次に、制御装置100の動作を説明しつつ、熱回収システム20の制御方法の一例について説明する。
【0120】
本実施形態に係る熱回収システム20は、前述したように、利用設備10から回収した低温排熱を複数のヒートポンプ50で昇温し、利用設備10に供給する排熱回収システム(排熱再利用システム)とされる。
【0121】
ここで、利用設備10では、稼働状況等に応じて発生する排熱量が変動する。そのため、利用設備10の稼働状況等によって、利用設備10から排熱配管12を介して熱源側熱交換器40に供給される排熱量が変動する。これにより、熱源側熱交換器40で回収される排熱の回収量も変動するため、循環配管30を流れる熱媒の温度が変動する可能性がある。
【0122】
熱媒の温度が変動すると、各ヒートポンプ50で汲み上げられる熱量も変動するため、所定温度の温水を利用設備10に供給することができない可能性がある。また、熱媒の温度が急激に変動すると、各ヒートポンプ50の膨張弁や圧縮機が動作不良を起こし、各ヒートポンプ50が停止又は故障する可能性がある。
【0123】
この対策として本実施形態の熱回収システム20は、
図4に示されるように、通常モード、昇温モード、及び降温モードの3つの稼働モードを有している。そして、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T
1以上、かつ、第二閾値T
2以下の場合に、通常モードとし、当該熱媒の温度が、第一閾値T
1未満の場合に、昇温モードとし、当該熱媒の温度が、第二閾値T
2を超えた場合に、降温モードとなるように、切替手段(一対のバルブ82、三方弁36)を制御する。
【0124】
また、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、下限値Tmin未満の場合、及び上限値Tmaxを超えた場合に、熱回収システム20を停止する。
【0125】
なお、熱回収システム20の稼働時は、稼働モードに関わらず、熱源側熱交換器40に熱媒が供給されるように、一対のバルブ42が開閉されるとともに、複数のヒートポンプ50に熱媒が供給されるように、バルブVHが開かれる。また、第一立ち上げ用バルブV1、及び第二立ち上げ用バルブV2が閉じられる。さらに、各ポンプ25,56,66、循環ポンプ32、及び補助熱源60が作動される。
【0126】
一方、熱回収システム20の停止時は、熱源側熱交換器40に熱媒が供給されないように、一対のバルブ42が開閉されるとともに、複数のヒートポンプ50に熱媒が供給されないように、バルブVHが閉じられる。また、各ポンプ25,56,66、循環ポンプ32、及び補助熱源60が停止される。なお、補助熱源60は、熱回収システム20の稼働及び停止に関わらず、作動させても良い。
【0127】
(通常モード)
先ず、通常モードについて説明する。通常モードは、例えば、利用設備10(熱源)から熱源側熱交換器40に供給される排熱量が所定範囲内で安定している場合の稼働モードである。CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出される熱媒の温度が、第一閾値T1以上、かつ、第二閾値T2以下の場合に、切替手段を制御し、熱回収システム20の稼働モードを通常モードとする。
【0128】
具体的には、CPU102は、加熱用熱交換器80用の一対のバルブ82を作動し、循環配管30の本管部30Aを開けるとともに、加熱用バイパス管部30Dを閉じる。また、CPU102は、三方弁36を作動し、循環配管30を開けるとともに、降温用バイパス配管34を閉じる。
【0129】
これにより、
図4に矢印aで示されるように、循環配管30を介して熱源側熱交換器40と複数のヒートポンプ50との間で熱媒が循環される。この結果、熱源側熱交換器40で加熱された熱媒が、複数のヒートポンプ50にそれぞれ供給される。各ヒートポンプ50は、熱媒から汲み上げた熱と、戻り配管54から供給された温水とを熱交換させることにより温水を生成する。
【0130】
各ヒートポンプ50で生成された温水は、送り配管52、温水往ヘッダ22、及び送り配管24を介して利用設備10に供給される。また、利用設備10で利用された温水は、戻り配管26、温水還ヘッダ28、及び戻り配管54を介して各ヒートポンプ50に供給され、各ヒートポンプ50において再加熱される。
【0131】
また、利用設備10において温水が利用されると、排熱が発生する。この排熱は、排熱配管12を介して熱源側熱交換器40に供給され、熱媒を加熱する熱源として再利用される。
【0132】
なお、熱回収システム20の稼働時は、先ず、通常モードとされる。
【0133】
(昇温モード)
次に、昇温モードについて説明する。昇温モードは、例えば、利用設備10(熱源)から熱源側熱交換器40に供給される排熱量が減少した場合の稼働モードとされ、通常モードから切り替えられる。すなわち、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、下限値Tmin以上、かつ、第一閾値T1未満の場合に、CPU102は、切替手段を制御し、通常モードから昇温モードに切り替える。
【0134】
具体的には、CPU102は、加熱用熱交換器80用の一対のバルブ82を作動し、循環配管30の本管部30Aを閉じるとともに、加熱用バイパス管部30Dを開ける。これにより、矢印bで示されるように、循環配管30から加熱用バイパス管部30Dを介して加熱用熱交換器80に熱媒が供給される。
【0135】
また、CPU102は、ポンプ88を作動し、温水往ヘッダ22から送り配管84を介して加熱用熱交換器80に温水を供給する。これにより、加熱用熱交換器80において、加熱用バイパス管部30Dから供給された熱媒と、送り配管84から供給された温水とが熱交換され、熱媒が加熱される。この結果、循環配管30を介して複数のヒートポンプ50に供給される熱媒の温度が上昇する。
【0136】
この際、CPU102は、
図5に示されるグラフG2のように、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T
1から下限値T
minに向かうに従って、温水往ヘッダ22から加熱用熱交換器80に供給される温水の流量が増加するように、流量調整弁89の開度を制御し、送り配管84を徐々に開く。これにより、加熱用熱交換器80において、加熱用バイパス管部30Dから供給された熱媒の温度を効率的に上昇させることができる。
【0137】
なお、
図5に示されるグラフG1は、循環配管30から加熱用バイパス管部30Dを介して加熱用熱交換器80に供給される熱媒の供給量と、熱媒の温度との関係を示している。
【0138】
そして、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T1以上、かつ、第二閾値T2以下になると、CPU102は、切替手段(一対のバルブ82、三方弁36)を制御し、昇温モードから通常モードに切り替える。
【0139】
一方、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が下限値T
min未満になると、CPU102は、熱回収システム20を停止する(
図5のグラフG4参照)。
【0140】
(降温モード)
次に、降温モードについて説明する。降温モードは、例えば、利用設備10(熱源)から熱源側熱交換器40に供給される排熱量が増加した場合の稼働モードであり、通常モードから切り替えられる。すなわち、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第二閾値T2を超え、かつ、上限値Tmax以下の場合、CPU102は、切替手段(三方弁36)を制御し、通常モードから降温モードに切り替える。
【0141】
具体的には、CPU102は、三方弁36を作動し、循環配管30を閉じるとともに、降温用バイパス配管34を開ける。これにより、
図4に矢印cで示されるように、複数のヒートポンプ50の下流側の熱媒が、降温用バイパス配管34を介して複数のヒートポンプ50の上流側に供給される。つまり、複数のヒートポンプ50の下流側の熱媒が、熱源側熱交換器40、及び蓄熱タンク70を迂回して、複数のヒートポンプ50の上流側に供給される。
【0142】
したがって、熱媒が熱源側熱交換器40を迂回する分、熱媒の温度が低下する。また、蓄熱タンク70を迂回させることにより、ヒートポンプ50に供給する熱媒の温度を早期に低下させることができる。
【0143】
この際、CPU102は、
図5に示されるグラフG3のように、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第二閾値T
2から上限値T
maxに向かうに従って、降温用バイパス配管34に流れる熱媒の流量が増加するように、三方弁36の開度を制御し、循環配管30が徐々に閉じるとともに、降温用バイパス配管34を徐々に開く。これにより、熱媒の温度を効率的に低下させることができる。
【0144】
そして、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T1以上、かつ、第二閾値T2以下になると、CPU102は、切替手段(三方弁36)を制御し、昇温モードから通常モードに切り替える。
【0145】
一方、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が上限値T
maxを超えると、CPU102は、熱回収システム20を停止する(
図5のグラフG4参照)。
【0146】
(作用及び効果)
次に、第二実施形態の作用及び効果について説明する。
【0147】
前述したように、切替手段(一対のバルブ82、三方弁36)は、熱回収システム20の稼働モードを、通常モード、昇温モード、及び降温モードに切り替える。通常モードでは、熱源側熱交換器40とヒートポンプ50との間で熱媒が循環される。これにより、熱源側熱交換器40で回収された熱を、ヒートポンプ50の熱源として利用することができる。
【0148】
また、昇温モードでは、熱源側熱交換器40とヒートポンプ50との間で熱媒を循環させるとともに、加熱用熱交換器80に熱媒を加熱させる。そのため、例えば、熱媒の温度が低い場合に、切替手段によって通常モードから昇温モードに切り替えることにより、熱媒の温度を上昇させることができる。
【0149】
一方、降温モードでは、ヒートポンプ50の下流側の熱媒を、熱源側熱交換器40を迂回してヒートポンプ50に供給させる。これにより、例えば、熱媒の温度が高い場合に、切替手段によって通常モードから降温モードに切り替えることにより、熱媒の温度を低下させることができる。
【0150】
このように切替手段(一対のバルブ82、三方弁36)によって、通常モード、昇温モード、及び降温モードを切り替えることにより、熱媒の温度変化が抑制される。この結果、ヒートポンプ50に供給される熱媒の温度が安定する。したがって、ヒートポンプ50から、例えば、利用設備10に安定的に熱を供給することができる。
【0151】
また、蓄熱タンク70は、熱源側熱交換器40から供給される熱媒を貯留する。この蓄熱タンク70において、熱源側熱交換器40から供給される熱媒と、蓄熱タンク70内の熱媒とを熱交換させることにより、熱媒の温度変化量を緩和することができる。
【0152】
さらに、切替手段は、降温モードにおいて、ヒートポンプ50の下流側の熱媒を、熱源側熱交換器40及び蓄熱タンク70を迂回してヒートポンプ50に供給させる。これにより、蓄熱タンク70に貯留された熱媒の影響を受けずに、熱媒の温度を低下させることができる。したがって、熱媒の温度を効率的に低下させることができる。
【0153】
また、昇温モードにおいて、加熱用熱交換器80は、複数のヒートポンプ50、及び補助熱源60の少なくとも一方を熱源として熱媒を加熱する。
【0154】
このようにヒートポンプ50を加熱用熱交換器80の熱源とすることにより、省エネルギー化を図ることができる。また、補助熱源60を加熱用熱交換器80の熱源とすることにより、ヒートポンプ50から十分な熱量が得られない場合であっても、昇温モードにおいて、熱媒の温度を上昇させることができる。
【0155】
さらに、本実施形態では、前述したように、制御装置100のCPU102が、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度に基づいて、切替手段を制御する。このように制御装置100のCPU102によって切替手段を制御することにより、熱媒の温度変化を効率的に抑制することができる。
【0156】
(第二実施形態の変形例)
次に、上記第二実施形態の変形例について説明する。
【0157】
上記第二実施形態では、昇温モードにおいて、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T1から下限値Tminに向かうに従って、温水往ヘッダ22から加熱用熱交換器80に供給される温水の流量が増加するように、流量調整弁89の開度を制御した。
【0158】
しかし、例えば、
図6に示される変形例のグラフG1のように、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T
1から下限値T
minに向かうに従って、循環配管30から加熱用熱交換器80に供給される熱媒の流量が増加するように、一対のバルブ82の開度を制御しても良い。
【0159】
また、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T1未満になった場合に、流量調整弁89の開度を全開にすることも可能である。これと同様に、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度が、第一閾値T2を超えた場合に、三方弁36を制御し、循環配管30を閉じるとともに、降温用バイパス配管34を全開にすることも可能である。
【0160】
また、上記第二実施形態では、CPU102が、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度に基づいて、切替手段を制御した。しかし、CPU102は、循環熱媒用温度センサ38で検出された熱媒の温度に基づいて基準値に対する熱媒の単位時間(例えば1分)当たりの温度変化量を算出し、この温度変化量に基づいて、切替手段を制御しても良い。
【0161】
また、上記第二実施形態における切替手段は、一対のバルブ82、及び三方弁36を含んで構成されている。しかし、切替手段の構成は、適宜変更である。例えば、一対のバルブ82に替えて、三方弁を用いても良い。また、例えば、三方弁36に替えて、一対のバルブを用いても良いし、サーモスタッド等を用いても良い。
【0162】
また、上記第二実施形態では、加熱器が加熱用熱交換器80とされている。しかし、加熱器は、熱交換器に限らず、例えば、冷媒を加熱するヒータ等でも良い。
【0163】
また、上記第二実施形態では、循環配管30に蓄熱タンク70が設けられているが、蓄熱タンク70は、適宜省略可能である。
【0164】
(第一実施形態及び第二実施形態の変形例)
次に、上記第一実施形態、及び上記第二実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は、上記第二実施形態にも適宜適用可能である。
【0165】
上記第一実施形態では、温水往ヘッダ22、及び温水還ヘッダ28等を介して、ヒートポンプ50と利用設備10との間で温水が循環される。しかし、温水往ヘッダ22、及び温水還ヘッダ28等の構成は、適宜変更可能である。
【0166】
また、上記第一実施形態では、CPU100によって切替手段が制御される。しかし、例えば、作業者が、操作ボタン等によって切替手段を制御しても良い。
【0167】
また、上記第一実施形態に係る熱回収システム130は、利用設備10から回収した低温排熱(低温廃熱)をヒートポンプ50で昇温し、利用設備10に再び供給した。しかし、上記第一実施形態に係る熱回収システム20は、利用設備10から回収した低温排熱(低温廃熱)をヒートポンプ50で昇温し、利用設備10とは異なる利用施設に供給しても良い。
【0168】
また、熱源側熱交換器40の熱源、及び利用設備10は、製造業等における生産設備等に限らず、他の設備等であっても良い。
【0169】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0170】
10 利用設備(熱源)
20 熱回収システム
30 循環配管
38 循環熱媒用温度センサ(第二温度検出部)
40 熱源側熱交換器
50 ヒートポンプ(利用側熱交換器)
70 蓄熱タンク
72 貯留熱媒用温度センサ(第一温度検出部)
102 CPU(制御部)
130 熱回収システム
BP1 第一立ち上げ用バイパス配管(第一バイパス配管)
BP2 第二立ち上げ用バイパス配管(第二バイパス配管)
V1 第一立ち上げ用バルブV1(切替手段)
V2 第二立ち上げ用バルブV1(切替手段)
VH バルブ(切替手段)