(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】航空モビリティのランディングギア制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B64C 25/50 20060101AFI20250217BHJP
B64C 25/60 20060101ALI20250217BHJP
F16F 9/53 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
B64C25/50
B64C25/60
F16F9/53
(21)【出願番号】P 2021137388
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0175427
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョンヒョン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1942366(KR,B1)
【文献】米国特許第06752425(US,B2)
【文献】米国特許第06019201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/50
B64C 25/60
F16F 9/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空モビリティの着陸または走行時に展開されるランディングギア制御システムのシャフトと、
シャフトの一端部に設置されたタイヤと、
シャフトの長さ方向と交差する方向にシャフトに結合され、シャフトを回転させることによりタイヤを操舵するステアリングロッドと、
ステアリングロッドに装着され、ステアリングロッドに印加される荷重をセンシングする回転荷重センサーと、
シャフトを包み込むように結合され、内部にMR流体が充填され、MR流体に印加される電流に応じてシャフトの回転に対する減衰力が変更されるMRダンパーと、
回転荷重センサーでセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御する制御部と、を含
み、
シャフトは、上下方向に延び、シリンダー、および一端部がシリンダーの内部に挿入されるロッドで形成され、シリンダーの内部に流体が充填されることにより、ロッドが長さ方向に移動して衝撃を吸収するダンピング装置であり、
一端部がシリンダーの下端部に回転可能に結合された上部リンクと、一端部が上部リンクの他端部に回転可能に結合され、他端部がロッドの他端部に回転可能に結合された下部リンクとから構成され、ロッドの垂直移動の方向を維持させるトルクリンクをさらに含み、
上部リンクと下部リンクとの夾角を測定してロッドのストロークをセンシングするリンク角度センサーをさらに含み、
制御部は、リンク角度センサーで測定したトルクリンクの回転角度に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御することを特徴とする、航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項2】
制御部は、リンク角度センサーでロッドのストロークが所定の範囲以上であると検知すると、MRダンパーに印加される電流を基準値に制御することを特徴とする、請求項
1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項3】
制御部は、リンク角度センサーでロッドのストロークが所定の範囲未満であると検知し、回転荷重センサーでセンシングした回転荷重を所定の値以上と検知したときにMRダンパーに印加される電流が上昇するように制御することを特徴とする、請求項
1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項4】
一端部がロッドの他端部に結合され、他端部がタイヤと回転可能に結合された連結装置をさらに含み、
下部リンクは、他端部が連結装置の一端部に回転可能に連結されることを特徴とする、請求項
1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項5】
一側がシャフトの上端部に結合され且つ他側が航空モビリティの胴体に結合されるブラケット、および
ブラケットに結合されて回転するように作動する駆動装置をさらに含み、
ステアリングロッドは、駆動装置の回転軸に連結された第1リンク、第1リンクが端部に連結された第2リンク、および一端部が第2リンクの端部に連結され且つ他端部がシャフトの中心軸を基準にシャフトと一体に回転するように連結された第3リンクを含み、
シャフトは、駆動装置の作動によってステアリングロッドの変位が変更されながら回転することを特徴とする、請求項1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項6】
シャフトの上部に位置し、シャフトを包み込むように結合されてシャフトの回転荷重を減衰するベアリングをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項7】
MRダンパーは、シャフトを包み込むハウジング、ハウジングの内部にコイルが位置し、電力を印加する電気信号伝達部、および電気信号伝達部の内側にシャフトと接しながら充填されたMR流体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システム。
【請求項8】
請求項1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法であって、
回転荷重センサーで、ステアリングロッドに印加される荷重をセンシングするステップと、
回転荷重センサーでセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御するステップと、
MR流体に印加される電流に応じて、シャフトの回転に対する減衰力が変更されるステップと、を含む、航空モビリティのランディングギア制御方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法であって、
トルクリンク角度センサーでトルクリンクの回転角度をセンシングするステップと、
回転荷重センサーで、ステアリングロッドに印加される荷重をセンシングするステップと、
回転荷重センサーでセンシングした回転荷重、およびトルクリンク角度センサーで測定したトルクリンクの回転角度に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御するステップと、
MR流体に印加される電流に応じてシャフトの回転に対する減衰力が変更されるステップと、を含む、航空モビリティのランディングギア制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空モビリティのランディングギア制御システムおよび制御方法に係り、具体的には、ランディングギアに発生するシミー現象を防止して航空モビリティを安定的に着陸させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機の着陸装置に使用されるオレオ式緩衝装置の減衰力調節方法は、オリフィスとメータリングピンを用いて有効オリフィス断面積を変化させることにより減衰力を調節する方式である。
【0003】
しかし、この方法は、特定の着陸条件に対して行程(stroke)によるメータリングピンの形状最適設計を介してメータリングピンが加工されるため、様々な着陸条件で着陸性能を満足させることができないという問題がある。
【0004】
最近では、MRダンパー(magneto-rheological)を航空機の着陸装置に適用する試みが増加している。MRダンパー(magneto-rheological)は、外部から印加される電流によって電磁場を発生させ、MR流体の粘性を変化させて減衰力を可変させることができる装置をいう。電流が伝達される状態では電磁場が形成され、これは流路内に存在するMR流体の粘度を高くする。このとき、ピストンが高粘度の流体を摺動しながら高い減衰力を発生させる。
【0005】
しかし、従来のランディングギアは、オレオ式緩衝装置の垂直変位を検知し、垂直変位が大きく発生するときにMRダンパーを作動させる技術が開示されたが、航空機の着陸時に、ホイールが、オレオ式緩衝装置の軸方向にタイヤが回転するシミー(Shimmy)現象に備えていないという問題点があった。
【0006】
前述の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け止められてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ダンピング装置のストローク変化をモニタリングし、ストロークの変化が相対的に小さい区間でダンピング装置の軸方向に回転するシミー(Shimmy)現象を検知し、シミー現象の発生時にMRダンパーの電流を増加させてダンピング装置の減衰力を増加させることによりシミー現象に備えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある観点によれば、航空モビリティの着陸または走行時に展開されるランディングギア制御システムのシャフトと、シャフトの一端部に設置されたタイヤと、シャフトの長さ方向と交差する方向にシャフトに結合され、シャフトを回転させることによりタイヤを操舵するステアリングロッドと、ステアリングロッドに装着され、ステアリングロッドに印加される荷重をセンシングする回転荷重センサーと、シャフトを包み込むように結合され、内部にMR流体が充填され、MR流体に印加される電流に応じてシャフトの回転に対する減衰力が変更されるMRダンパーと、回転荷重センサーでセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御する制御部と、を含む、航空モビリティのランディングギア制御システムを提供する。
【0010】
シャフトは、上下方向に延び、シリンダー、および一端部がシリンダーの内部に挿入されるロッドで形成され、シリンダーの内部に流体が充填されることにより、ロッドが長さ方向に移動して衝撃を吸収するダンピング装置である。
【0011】
一端部がシリンダーの下端部に回転可能に結合された上部リンクと、一端部が上部リンクの他端部に回転可能に結合され、他端部がロッドの他端部に回転可能に結合された下部リンクとから構成され、ロッドの垂直移動の方向を維持させるトークリンクをさらに含むことができる。
【0012】
上部リンクと下部リンクとの夾角を測定してロッドのストロークをセンシングするリンク角度センサーをさらに含み、制御部は、リンク角度センサーで測定したトルクリンクの回転角度に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御することができる。
【0013】
制御部は、リンク角度センサーでロッドのストロークが所定の範囲以上であると検知すると、MRダンパーに印加される電流を基準値に制御することができる。
【0014】
制御部は、リンク角度センサーでロッドのストロークが所定の範囲未満であると検知し、回転荷重センサーでセンシングした回転荷重を所定の値以上と検知したとき、MRダンパーに印加される電流が上昇するように制御することができる。
【0015】
一端部がロッドの他端部に結合され、他端部がタイヤと回転可能に結合された連結装置をさらに含み、下部リンクは、他端部が連結装置の一端部に回転可能に連結できる。
【0016】
一側がシャフトの上端部に結合され且つ他側が航空モビリティの胴体に結合されるブラケット、およびブラケットに結合されて回転するように作動する駆動装置をさらに含み、ステアリングロッドは、駆動装置の回転軸に連結された第1リンク、第1リンクが端部に連結された第2リンク、および一端部が第2リンクの端部に連結され且つ他端部がシャフトの中心軸を基準にシャフトと一体に回転するように連結された第3リンクを含み、シャフトは、駆動装置の作動によってステアリングロッドの変位が変更されながら回転することができる。
【0017】
シャフトの上部に位置し、シャフトを包み込むように結合されてシャフトの回転荷重を減衰するベアリングをさらに含むことができる。
【0018】
MRダンパーは、シャフトを包み込むハウジング、ハウジングの内部にコイルが位置して電力を印加する電気信号伝達部、および電気信号伝達部の内側にシャフトと接しながら充填されたMR流体を含むことができる。
【0019】
本発明の他の観点によれば、回転荷重センサーでステアリングロッドに印加される荷重をセンシングするステップと、回転荷重センサーでセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御するステップと、MR流体に印加される電流に応じて、シャフトの回転に対する減衰力が変更されるステップとを含む、航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法を提供する。
【0020】
本発明の別の観点によれば、トルクリンク角度センサーでトルクリンクの回転角度をセンシングするステップと、回転荷重センサーで、ステアリングロッドに印加される荷重をセンシングするステップと、回転荷重センサーでセンシングした回転荷重、およびトルクリンク角度センサーで測定したトルクリンクの回転角度に基づいて、MRダンパーに印加される電流を制御するステップと、MR流体に印加される電流に応じてシャフトの回転に対する減衰力が変更されるステップとを含む、航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムは、ダンピング装置のストロークの変化を検知してダンピング装置のストロークの変化が小さい区間でダンピング装置の軸方向の回転を検知し、制御部は、MRダンパーに印加される電流の強さを増加させて、ダンピング装置に適用される減衰力を向上させることにより、タイヤから発生するシミー現象を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第1フローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書または出願に開示されている本発明の実施形態に対して、特定の構造的または機能的説明は単に本発明に係る実施形態を説明するために例示されたものに過ぎず、本発明に係る実施形態は、様々な形態で実施でき、本明細書または出願に説明された実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本発明に係る実施形態は、多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示して本明細書および出願に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明の概念による実施形態を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むと理解されるべきである。
【0025】
本明細書において、「第1」および/または「第2」等の用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこのような用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名でき、同様に第2構成要素も第1構成要素とも命名できる。
【0026】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いると言及された場合には、該他の構成要素に直接連結または接続されていることも意味するが、それらの間に別の構成要素が介在する場合も含むと理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いると言及された場合には、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「~間に」と「すぐに~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0027】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0028】
また、別に定義しない限り、技術的或いは科学的用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。 一般に使用される辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上において有する意味と一致する意味であると解釈されるべきであり、本明細書において明白に定義しない限りは、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明することにより、本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0030】
本発明の例示的な実施形態による制御部10は、車両の様々な構成要素の動作を制御するように構成されたアルゴリズム、または前記アルゴリズムを再生するためのソフトウェアコマンドに関するデータを格納するように構成された不揮発性メモリー(図示せず)と、当該メモリーに格納されたデータを用いて、以下に説明される動作を行うように構成されたプロセッサ(図示せず)を介して実現できる。ここで、メモリーおよびプロセッサは個別チップで実現できる。代案的には、メモリーおよびプロセッサは、互いに統合された単一チップで実現できる。プロセッサは一つ以上のプロセッサの形態を取ることができる。
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの斜視図、
図2は本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの正面図、
図3は
図2のA-A線に沿った断面図、
図4はMRダンパーの作動を示す図である。
【0032】
次に、
図1乃至
図4を参照して、本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの好適な実施形態について説明する。
【0033】
本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムは、航空モビリティの着陸時に発生する振動または衝撃によって航空モビリティのタイヤ200が様々な方向に揺れるのを防止することにより、着陸時に安定的に着陸させることができる。
【0034】
本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムは、航空モビリティの着陸または走行時に展開されるランディングギア制御システムのシャフト100と、シャフト100の一端部に設置されたタイヤ200と、シャフト100の長さ方向と交差する方向にシャフト100に結合され、シャフト100を回転させることによりタイヤ200を操舵するステアリングロッド300と、ステアリングロッド300に装着され、ステアリングロッド300に印加される荷重をセンシングする回転荷重センサー400と、シャフト100を包み込むように結合され、内部にMR流体530が充填され、MR流体530に印加される電流に応じてシャフト100の回転に対する減衰力が変更されるMRダンパー500と、回転荷重センサー400でセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパー500に印加される電流を制御する制御部10とを含む。
【0035】
シャフト100は、航空モビリティの胴体から延び、一端部にはタイヤ200が装着されることにより、着陸および地面でタイヤ200を介して走行することができる。
【0036】
ステアリングロッド300は、一端部がシャフト100に連結され、シャフト100の長さ方向と交差する方向に延び、変位が変更されるにつれてシャフト100を回転させることにより、航空モビリティが地面上に位置して走行が航空モビリティの走行方向を操舵することができる。
【0037】
回転荷重センサー400は、ステアリングロッド300に装着され、ステアリングロッド300が作動しない状態で外力がタイヤ200に作用してシャフト100が回転するときにシャフト100に作用する回転荷重を検知することができる。
【0038】
航空モビリティの着陸時に発生する外力によって、タイヤ200は、航空機の前後方またはシャフト100を中心に回転するか、或いはタイヤ200の回転軸方向に移動して、着陸時に不安定に着陸できる。
【0039】
このように航空モビリティの着陸時にタイヤ200が外力によって様々な方向に揺れる現象をシミー(Shimmy)現象と呼ぶ。シミー(Shimmy)は、滑走の際にタイヤ200と着陸装置構造の動的相互作用によって発生し、着陸装置のヨー(Yaw)運動に結合された振動現象である。
【0040】
シミー現象が発生すると、シャフト100が回転し、回転荷重センサー400を介してシミー現象を検知することができる。
【0041】
MRダンパー500は、電気的に接続され、電力の印加時に、電力の電流強さに応じて、内部に充填されたMR流体530の減衰力が変更されることにより、シャフト100が回転することを制御することができる。
【0042】
制御部10は、回転荷重センサー400およびMRダンパー500に連結され、回転荷重センサー400によって、シミー現象が発生してシャフト100が回転することを検知すると、MRダンパー500の電流強さを上昇させてシャフト100に対する減衰力を向上させることによりシミー現象を減少させることができる。
【0043】
これにより、航空モビリティの着陸時に安定的に着陸させることができ、着陸時に発生しうる着陸事故確率を減少させることができるという効果がある。
【0044】
シャフト100は、上下方向に延び、シリンダー110、および一端部がシリンダー110の内部に挿入されるロッド120で形成され、シリンダー110の内部に流体が充填されることにより、ロッド120が長さ方向に移動して衝撃を吸収するダンピング装置100である。
【0045】
シャフト100は、航空モビリティの着陸時に発生する衝撃を吸収するために、内部に流体が充填されたシリンダー110と、一端部がシリンダー110の内部に挿入され、長さ方向にシリンダー110の内部で外力によってシリンダー110内の流体が圧縮されて移動するロッド120とから構成されたダンピング装置100で実現できる。
【0046】
ダンピング装置100は、オレオ式緩衝装置(Oleo-Pneumatic Shock Absorber)であって、着陸時に高いエネルギー吸収効率を有するが、その構造は比較的単純であって航空モビリティの着陸装置に多く使用できる。
【0047】
一端部がシリンダー110の下端部に回転可能に結合された上部リンク610と、一端部が上部リンク610の他端部に回転可能に結合され、他端部がロッド120の他端部に回転可能に結合された下部リンク620とから構成され、ロッド120の垂直移動の方向を維持させるトルクリンク600をさらに含むことができる。
【0048】
上部リンク610は、一端部がシリンダー110の下端部の外側面に上下方向に回転可能に結合され、下部リンク620の他端部はロッド120の他端部と上下方向に回転可能に結合され、上部リンク610の他端部と下部リンク620の一端部は互いに上下方向に回転可能に結合される。
【0049】
上部リンク610と下部リンク620で形成されたトルクリンク600は、上下方向に移動するロッド120が、長さ方向と交差する方向に外力が印加されて上下方向に正常的にスライドしないことを防止することができる。
【0050】
上部リンク610と下部リンク620との夾角を測定してロッド120のストロークをセンシングするリンク角度センサー700をさらに含み、制御部10は、リンク角度センサー700で測定したトルクリンク600の回転角度に基づいて、MRダンパー500に印加される電流を制御することができる。
【0051】
航空モビリティのランディング時に大きい衝撃が発生し、ロッド120は上下方向にスライドし、これにより、トルクリンク600の上部リンク610と下部リンク620は回転する。このとき、上部リンク610と下部リンク620との夾角を検知するリンク角度センサー700が装着され、リンク角度センサー700が検知した上部リンク610と下部リンク620との夾角を介して、ロッド120が上下方向にスライドするストロークの大きさを検知することができる。
【0052】
制御部10は、リンク角度センサー700でロッド120のストロークが所定の範囲以上であることを検知すると、MRダンパー500に印加される電流を基準値に制御することができる。
【0053】
リンク角度センサー700でロッド120のストロークの大きさの変化が所定の範囲以上であると検知すると、航空モビリティが着陸するものと判断する。このとき、制御部10は、MR流体530に印加される電流を基準値に制御して、着陸時に発生する衝撃を緩和させることができる。
【0054】
制御部10は、リンク角度センサー700でロッド120のストロークが所定の範囲未満であると検知し、回転荷重センサー400でセンシングした回転荷重を所定の値以上と検知する場合、MRダンパー500に印加される電流が上昇するように制御することができる。
【0055】
シミー現象は、航空モビリティがランディングの後に走行し、停止時に発生する。この時、ロッド120のストロークは、所定の範囲未満の大きさと検知できる。シミー現象が発生するとき、回転荷重センサー400によって、シャフト100が回転することが検知できる。
【0056】
これにより、制御部10は、回転荷重センサー400に連結され、回転荷重センサー400でシャフト100の回転を検知すると、MRダンパー500に印加される電流値を基準値よりも向上させて、シャフト100に対する減衰力を向上させることができる。
【0057】
これにより、シミー現象を予防し、安定的に航空モビリティが着陸することができる。
【0058】
一端部がロッド120の他端部に結合され、他端部がタイヤ200に回転可能に結合された連結装置210をさらに含み、下部リンク620は、他端部が連結装置210の一端部に回転可能に連結できる。
【0059】
ロッド120の他端部には、タイヤ200が回転するように装着された連結装置210が結合され、下部リンク620は、連結装置210に上下方向に回転可能に連結され得る。
【0060】
これにより、航空モビリティのランディング時にタイヤ200で受ける衝撃がロッド120に伝えられてダンピング装置100を介して衝撃を緩和させることができる。
【0061】
一側がシャフト100の上端部に結合され且つ他側が航空モビリティの胴体に結合されるブラケット800と、ブラケット800に結合され、回転するように作動する駆動装置310とをさらに含み、ステアリングロッド300は、駆動装置310の回転軸に連結された第1リンク320、第1リンク320が端部に連結された第2リンク330、および一端部が第2リンク330の端部に連結され且つ他端部がシャフト100の中心軸を基準にシャフト100と一体に回転するように連結された第3リンク340を含み、シャフト100は、駆動装置310の作動によってステアリングロッド300の変位が変更されて回転することができる。
【0062】
シャフト100の上側には、胴体に連結されるブラケット800が結合され、ブラケット800は、ベアリング900およびMRダンパー500に結合されることができる。
【0063】
ステアリングロッド300は、ブラケット800とシャフト100とを連結するように装着できる。駆動装置310は、ブラケット800に装着されて回転軸を回転させるように駆動され、第1リンク320は、駆動装置310の駆動軸に連結され、第2リンク330は、第1リンク320の端部に連結され、シャフト100側に延び、第3リンク340は、第2リンク330の端部とシャフト100とを連結させることができる。
【0064】
これにより、駆動装置310の作動によってシャフト100が回転し、航空モビリティの走行時にシャフト100を回転させて走行方向を操舵することができるという効果がある。
【0065】
シャフト100の上部に位置し、シャフト100を包み込むように結合されてシャフト100の回転荷重を減衰するベアリング900をさらに含むことができる。
【0066】
シャフト100の上端部には、シャフトを包み込むように結合されたベアリング900が位置することができる。
【0067】
ベアリング900は、一般的な回転荷重または自重を制御することができる。ベアリング900は、ボールベアリング900またはローラーベアリング900であり得る。
【0068】
MRダンパー500は、シャフト100を包み込むハウジング510、ハウジング510の内部にコイルが位置して電力を印加する電気信号伝達部520、および電気信号伝達部520の内側にシャフト100と接触しながら充填されたMR流体530を含むことができる。
【0069】
図4に示すように、MRダンパー500は、外部のハウジング510がシャフト100を包み込んで結合され、シャフト100の内側に巻線されたコイルが巻かれ、電気的に接続された電気信号伝達部520が位置し、電気信号伝達部520の内側には、鉄粒子と流体が混合されてMR流体530が充填されている。
【0070】
MR流体530は、電気信号伝達部520に巻かれたコイルに電流が流れると磁場が形成され、磁場に応じてMR流体530の鉄粒子の配列が変更され、シャフト100に加えられる減衰力が電流の強さに応じて変更され得る。
【0071】
これにより、制御部10は、シミー現象の強さに応じて、MRダンパー500に印加される電流の強さを調節して、シャフト100に加えられる減衰力を調節することができるという効果がある。
【0072】
図5は本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第1フローチャートである。
【0073】
次に、
図5を参照して、本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第1実施形態について説明する。
【0074】
本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法は、回転荷重センサー400で、ステアリングロッド300に印加される荷重をセンシングするステップ(S100)と、回転荷重センサー400でセンシングした回転荷重に基づいて、MRダンパー500に印加される電流を制御するステップ(S300)と、MR流体530に印加される電流に応じてシャフト100の回転に対する減衰力が変更されるステップ(S400)とを含む。
【0075】
図6は本発明の一実施形態に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第2フローチャートである。
【0076】
次に、
図6を参照して、本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御方法の第2実施形態について説明する。
【0077】
本発明に係る航空モビリティのランディングギア制御システムの制御方法は、トルクリンク角度センサーでトルクリンク600の回転角度をセンシングするステップ(S100’)と、回転荷重センサー400で、ステアリングロッド300に印加される荷重をセンシングするステップ(S200’)と、回転荷重センサー400でセンシングした回転荷重、およびトルクリンク角度センサーで測定したトルクリンク600の回転角度に基づいて、MRダンパー500に印加される電流を制御するステップ(S300’)と、MR流体530に印加される電流に応じてシャフト100の回転に対する減衰力が変更されるステップ(S400’)と、を含む。
【0078】
本発明の特定の実施形態に関連して図示および説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想を逸脱することなく、本発明に多様な改良及び変化を加え得るのは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0079】
10 制御部
100 シャフト(ダンピング装置)
110 シリンダー
120 ロッド
200 タイヤ
210 連結装置
300 ステアリングロッド
310 駆動装置
320 第1リンク
330 第2リンク
340 第3リンク
400 回転荷重センサー
500 MRダンパー
510 ハウジング
520 電気信号伝達部
530 MR流体
600 トルクリンク
610 上部リンク
620 下部リンク
700 リンク角度センサー
800 ブラケット
900 ベアリング