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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20250217BHJP
   B65D 53/02 20060101ALI20250217BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D53/02
B65D47/20 111
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021177498
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2022171534
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2021077320
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0295767(US,A1)
【文献】特開2017-132531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0054027(US,A1)
【文献】特開2018-132531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 53/02
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、
前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒と、を備え
前記垂下筒は、前記整流筒よりも大径であり、
前記垂下筒において前記第1方向の反対方向に位置する一部は、前記整流筒と一体であり、
前記横穴は、前記垂下筒内に開口し、
前記垂下筒は、下方に向けて開口し、
前記垂下筒には、前記第1方向に開口する切欠きが設けられている、キャップ。
【請求項2】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、
前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒と、を備え
前記垂下筒には、前記第1方向に開口する切欠きが設けられ、
前記垂下筒の側面視において、前記垂下筒における前記切欠きの周縁は、上方に向けて突となる円弧状である、キャップ。
【請求項3】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、
前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記横穴と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材と、
前記頂壁から下方に延びるとともに内部に前記整流筒が配置され、前記弁部材が装着される装着筒と、を備え
前記キャップ本体の周壁は、前記装着筒を径方向の外側から囲うとともに前記口部内に嵌合されるインナーリングを備え、
前記弁部材は、前記装着筒と前記インナーリングとの間の空間を閉塞するシール片を更に備えている、キャップ。
【請求項4】
前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記横穴と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材を更に備えている、請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒を備えている、請求項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記横穴は、前記横穴を正面視したときに、
上下方向に延びる2本の縦辺と、
前記2本の縦辺の上端同士を繋ぐ上側の横辺と、
前記2本の縦辺の下端同士を繋ぐ下側の連結部と、によって形成され、
前記2本の縦辺それぞれと、前記上側の横辺と、の間に形成される角は、曲線状である、請求項1から5のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項7】
前記横穴の正面視形状は、前記2本の縦辺と、前記上側の横辺と、前記下側の連結部としての下側の横辺と、によって形成される矩形状である、請求項に記載のキャップ。
【請求項8】
前記注出口の流路断面積は、前記横穴の流路断面積以上である、請求項1からのいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項9】
前記整流筒の底壁の上面は、前記整流筒の軸線を挟んで、前記横穴の反対側から前記横穴側に向かうに従い下方に傾斜している、請求項1からのいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載されたキャップが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-088536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のキャップでは、例えば容器本体をスクイズ変形して内容物を注出口から注出する場合であって、容器本体を強くスクイズ変形したとき、内容物の流れが乱れた状態で注出口から内容物が勢いよく注出されることがある。このとき、内容物の流れが乱れていることから、内容物が意図しない方向に注出されることがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容物を所望の方向に注出し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係るキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒と、を備え、前記垂下筒は、前記整流筒よりも大径であり、前記垂下筒において前記第1方向の反対方向に位置する一部は、前記整流筒と一体であり、前記横穴は、前記垂下筒内に開口し、前記垂下筒は、下方に向けて開口し、前記垂下筒には、前記第1方向に開口する切欠きが設けられている
<2>本発明の一態様に係るキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒と、を備え、前記垂下筒には、前記第1方向に開口する切欠きが設けられ、前記垂下筒の側面視において、前記垂下筒における前記切欠きの周縁は、上方に向けて突となる円弧状である。
<3>本発明の一態様に係るキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記横穴と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材と、前記頂壁から下方に延びるとともに内部に前記整流筒が配置され、前記弁部材が装着される装着筒と、を備え、前記キャップ本体の周壁は、前記装着筒を径方向の外側から囲うとともに前記口部内に嵌合されるインナーリングを備え、前記弁部材は、前記装着筒と前記インナーリングとの間の空間を閉塞するシール片を更に備えている。
<4>上記<1>または<2>に係るキャップでは、前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記横穴と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材を更に備えている構成を採用してもよい。
<5>上記<3>に係るキャップでは、前記整流筒に対して、前記整流筒から前記横穴が開口する第1方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する垂下筒を備えている構成を採用してもよい。
【0007】
例えば、容器本体がスクイズ変形されたとき、容器本体内の内容物は、整流筒の横穴、および整流筒の内部を通過して注出口に到達し、その後、注出口から注出される。この過程で、内容物は、整流筒の横穴を通過することで、一度、上下方向に交差する方向に流れるものの、その後、整流筒の内部を通過することで、上下方向に流れを整えられる。そのため、例えば、容器本体を強くスクイズ変形する等しても、内容物の流れが乱れることが抑制される。よって、内容物を所望の方向に注出し易くすることができる。
上記<1>、<2>、<5>に係るキャップでは、例えば、容器本体がスクイズ変形されたとき、容器本体内の内容物が整流筒の横穴に到達する前に、垂下筒内を通過する。よって、内容物の流れが乱れることが一層抑制される。
上記<2>に係るキャップでは、垂下筒の側面視において、垂下筒における切欠きの周縁が、上方に向けて突となる円弧状である。よって、仮に容器本体内の内容物が発泡していたとしても、内容物が切欠きを通過するときに、垂下筒における切欠きの周縁によって泡切りできる。
上記<3>、<4>に係るキャップでは、弁部材が、容器本体の内部と、横穴と、の連通およびその遮断を切り替える。よって、不用意な内容物の吐出を抑制することができる。なお、キャップが弁部材を備える場合、弁部材を起因として内容物が発泡し易くなるおそれがある。この場合には、キャップが前述のような垂下筒を備えることで、内容物の発泡を抑制することができる。
キャップが弁部材を備える場合、キャップが弁部材を備えない場合に比べて、内容物がキャップから注出され難くなり、容器本体における内容物の残量が増えるおそれがある。また、内容物を注出するために容器本体を傾けるとき、装着筒とインナーリングの間の空間に内容物が流入すると、内容物の残量が更に増えるおそれがある。そこで、上記<3>に係るキャップでは、弁部材が、装着筒とインナーリングとの間の空間を閉塞するシール片を備えている。これにより、内容物を注出するために容器本体を傾けるとき、装着筒とインナーリングとの間の空間に内容物が流入することが規制される。その結果、容器本体における内容物の残量を低減させることができる。
【0008】
>上記<1>から<5>のいずれか1項に係るキャップでは、前記横穴は、前記横穴を正面視したときに、
上下方向に延びる2本の縦辺と、前記2本の縦辺の上端同士を繋ぐ上側の横辺と、前記2本の縦辺の下端同士を繋ぐ下側の連結部と、によって形成され、前記2本の縦辺それぞれと、前記上側の横辺と、の間に形成される角は、曲線状である構成を採用してもよい。
>上記<>に係るキャップでは、前記横穴の正面視形状は、前記2本の縦辺と、前記上側の横辺と、前記下側の連結部としての下側の横辺と、によって形成される矩形状である構成を採用してもよい。
【0009】
2本の縦辺それぞれと、上側の横辺と、の間に形成される角が、曲線状である。これにより、内容物が横穴を通過するときに内容物の流れが乱れることを効果的に抑制することができる。なお例えば、前記角が、縦辺と横辺とが交差することで形成される角形状である場合、内容物が注出口を通過するとき、内容物が注出口から、横辺が延びる方向に向けて意図せず拡散するおそれがある。
【0010】
>上記<1>から<>のいずれか1項に係るキャップでは、前記注出口の流路断面積は、前記横穴の流路断面積以上である構成を採用してもよい。
【0011】
注出口の流路断面積が横穴の流路断面積以上であり、横穴の流路断面積が小さい。これにより、内容物が横穴を通過することで内容物の流れが整えられることによる作用効果が、顕著に奏功される。
【0016】
>上記<1>から<>のいずれか1項に係るキャップでは、前記整流筒の底壁の上面は、前記整流筒の軸線を挟んで、前記横穴の反対側から前記横穴側に向かうに従い下方に傾斜している構成を採用してもよい。
【0017】
整流筒の底壁の上面が、整流筒の軸線を挟んで、横穴の反対側から横穴側に向かうに従い下方に傾斜している。これにより、内容物の注出後、内容物が整流筒の内部に溜まることが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内容物を所望の方向に注出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャップの縦断面図である。
図2図1に示すキャップを展開した状態を示す上面図である。
図3図1に示すキャップを構成するキャップ本体における要部の下面図である。
図4図1に示すIV矢視図である。
図5図2に示すV-V断面矢視図である。
図6図2に示すVI-VI断面矢視図である。
図7図2に示すVII-VII断面矢視図である。
図8図2に示すVIII-VIII断面矢視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るキャップの縦断面図である。
図10図9に示すキャップを構成する弁部材の下面図であって、整流筒および垂下筒を破線で示した図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るキャップの縦断面図である。
図12図11に示すキャップの要部の縦断面図である。
図13】本発明の第2実施形態および第3実施形態の第1変形例として採用可能な弁部材の下面図である。
図14】本発明の第2実施形態および第3実施形態の第2変形例として採用可能な弁部材の下面図である。
図15】本発明の第2実施形態および第3実施形態の第3変形例として採用可能な弁部材の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、図1から図8を参照し、本発明の第1実施形態に係るキャップ50を説明する。
キャップ50は、容器本体Aの口部1に取り付けられる。容器本体Aは、内容物(内容液)を収容する。容器本体Aは、スクイズ変形可能であることが好ましい。容器本体Aは、上部に口部1を有する。口部1の外周面の上部には、嵌合突条2が設けられている。嵌合突条2の外周の上部は傾斜面2aとなっている。
【0025】
キャップ50は、有頂筒状のキャップ本体Bと、有頂筒状の蓋体Dと、有底筒状の整流筒80と、垂下筒90と、を備えている。蓋体Dは、キャップ本体BにヒンジCを介して開閉可能に取り付けられている。本実施形態では、キャップ50は、いわゆるヒンジキャップである。
【0026】
以下では、キャップ本体Bの中心軸線をキャップ軸Oという。キャップ軸O方向を上下方向という。上下方向に沿ってキャップ本体Bに対する蓋体D側を上側といい、蓋体Dに対するキャップ本体B側を下側という。キャップ軸Oに直交する方向を径方向という。径方向に沿って、キャップ軸Oに対してヒンジCが位置する側を背面側(後側)といい、キャップ軸Oに対してヒンジCの反対側を注出側(前側)という。キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。キャップ本体Bの上面視において周方向に沿う時計回り側を、単に時計回り側という。キャップ本体Bの上面視において周方向に沿う反時計回り側を、単に反時計回り側という。
【0027】
キャップ本体Bは、図1および図2に示すように、容器本体Aの口部1に嵌着される周壁3(装着部)と、周壁3の内縁から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する頂壁4(上壁)と、頂壁4を貫通する注出口4aと、注出口4aから僅かに拡径した径で頂壁4の上面に立設される注出筒5と、を備えている。
【0028】
周壁3は、2重の筒状である。周壁3は、蓋体Dと係合する環状の蓋係合部6と、蓋係合部6の内周側から垂設される内筒7と、蓋係合部6の外周側から垂設される外周壁部8と、を備えている。
外周壁部8において背面側に位置する部分の上端には、ヒンジCが連設されている。外周壁部8における内周の下部には、嵌合突条2と係合する係合突部9が設けられている。
【0029】
図2に示すように、外周壁部8の上部において注出側に位置する部分には、キャップ軸回りにほぼ180°の範囲で円弧状に外周から凹設された段凹部15が設けられている。外周壁部8の上部における残りの部分(背面側に位置する部分)の上面8aは、頂壁4の上面と面一の高さとなる。前記残りの部分の外周の上端には、ヒンジCが連設される。
段凹部15は、上面8aから距離α下がった平坦面15aと、平坦面15aの内周縁から径方向の内側かつ上方に傾斜する傾斜面15bと、平坦面15aの周端から周方向に延び上面8aに向かって上方に傾斜する傾斜側面15cと、によって形成されている。
【0030】
蓋係合部6は、円環状に蓋係合突部11が立設されている。蓋係合突部11の外周には、係止突条13が設けられている。
なお、内筒7と外周壁部8とを連設する構成は、蓋係合部6に限らない。例えば、この構成が、リング状の基壁部であってもよい。この場合、蓋係合部6は、例えば、頂壁4の周縁部に設けることができる。
【0031】
ここで図2に示すように、外周壁部8のヒンジCに対して時計回り側の近傍に位置する部分には、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部16が設けられている。外周切り込み部16は、外周壁部8の下端部に薄肉底壁を残して上面8aから下方に向けて切り込まれている。外周壁部8の内周において外周切り込み部16に対応する位置には、図示しない内周切り込み部が縦方向に刻設されている。これにより、この位置は、内外から切り込まれ薄肉となっている。この位置は、縦方向引き裂きラインを構成する縦弱化部17となっている。
【0032】
外周壁部8の上面8aのうち、背面側において外周切り込み部16よりヒンジC側(反時計回り側)に位置する部分では、スリット溝18が下方に凹設されている。スリット溝18は、外周切り込み部16における反時計回り側の端面16aにおいて、内周側(径方向の内側)の上部を起点として周方向(反時計回り側)に延びる。スリット溝18は、段凹部15まで延びている。段凹部15は、上面8aにおける反時計回り側の端に位置している。
外周壁部8の上面8aのうち、外周切り込み部16よりヒンジCと反対側(時計回り側)に位置する部分は、外周壁部8上部と蓋係合部6下部とが一体に連結した肉厚部19となっている。
【0033】
図5から図8に示すように、スリット溝18の底面20は、端面16a側からヒンジCの中央部(図5に示す断面)までが底面20aとして、上面8aから距離βと一番深く凹設されている。底面20は、ヒンジCの中央部から反時計回り側に向かって、45°付近(図6に示す断面)、60°付近(図7に示す断面)で、それぞれが底面20b、20cとなり、上面8aからの高さが距離βから徐々に浅くなっている。最後は、ヒンジCの中央部から反時計回り側に向かって90°付近(図8に示す断面)の段凹部15の傾斜側面15cを切り欠いて距離αの平坦面15a端部まで連なる。
【0034】
底面20の内周側は、図5に示すような端面16a側からヒンジCの中央部まででは、外周壁部8と蓋係合部6の下方の壁部分を連結する薄肉の下横弱化部21となる。底面20の内周側は、図6から図8に示すような、ヒンジCの中央部から90°付近まででは、上方に傾斜する底面20の内周縁から径方向の内側かつ上方に向かって傾斜する円弧状の連結部22となる。
図5から図8に示すように、外周壁部8の背面側においてスリット溝18より径方向の外側に位置する部分は、スリット溝18の底面20から上面8aまで立設する背面外壁部23となる。背面外壁部23の外周の上端の所定の位置にヒンジCが連設される。
【0035】
図5に示すように、外周壁部8において背面側の中央に位置する部分の内周の上部には、下横弱化部21より上部から径方向の内側かつ上方に傾斜して、容器本体Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aに当接する当接面部24が形成されている。
図6および図7に示すように、外周壁部8において背面側の中央よりも反時計回り側に位置する部分の内周の上部には、傾斜する底面20の高さから上に、外側の連結部22の外側面と平行に内側上方に傾斜する平行面25が設けられている。平行面25は、容器本体Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aから離れるように形成される。平行面25と連結部22外面との間は薄肉となって傾斜連結弱化部26が形成されている。
【0036】
図8に示すように、外周壁部8において注出側に位置する部分(段凹部15の範囲)には、蓋係合部6の下面外周縁に下から上向き凹部27が凹設されている。上向き凹部27と段凹部15の傾斜面15bとの間は薄肉となって上横弱化部28が形成される。
下横弱化部21、傾斜連結弱化部26および上横弱化部28は、順に連続するように形成され、周方向引き裂きラインを構成している。
【0037】
注出口4aは、キャップ軸Oに対して径方向にずらされている。本実施形態では、注出口4aは、キャップ軸Oに対して注出側にずらされている。なお注出口4aは、頂壁4に形成された穴である。
注出筒5のうち、注出側に位置する部分は、背面側(ヒンジC側)に位置する部分よりも高い。これにより、内容物が注ぎ易くなっている。注出筒5の上端には、リップ部5aが設けられている。リップ部5aは、ラッパ状に広がっている。
なお、注出口4aの内周面のうちの背面側に位置する部分と、注出筒5の内周面のうちの背面側に位置する部分と、は、キャップ軸Oに沿う縦断面視において、キャップ軸Oに平行な同一の直線(以下、第1直線とも言う)上に位置している。
【0038】
図1に示すように、整流筒80は、頂壁4から下方に延びている。整流筒80の内部は注出口4aに連通する。整流筒80は、注出口4aと同軸に配置されている。
整流筒80の底壁83の上面83aは、整流筒80の軸線を挟んで、横穴82の反対側から横穴82側に向かうに従い下方に傾斜している。底壁83の上面83aは、注出側から背面側に向けて下方に傾斜する傾斜面である。
【0039】
整流筒80の周壁81には、横穴82が形成されている。横穴82は、周壁81を貫通している。横穴82は、整流筒80から背面側に向けて開口している。背面側は、整流筒80から横穴82が開口する方向(第1方向)である。横穴82は、周壁81における上下方向の全長にわたって配置されている。横穴82の下端縁の前記注出側に位置する部分は、整流筒80の底壁83の上面83aに連なっている。横穴82の下端縁のうちの前記背面側に位置する部分は、前述の縦断面視において、前記第1直線上に位置している。
【0040】
図4に示すように、横穴82の正面視形状は、矩形状である。横穴82の正面視形状とは、横穴82を、横穴82が開口する方向から見た場合における横穴82の形状である。横穴82の正面視形状がなす矩形状は、上下方向に延びる2本の縦辺82aと、2本の縦辺82aの上端同士を繋ぐ上側の横辺82bと、2本の縦辺82aの下端同士を繋ぐ下側の横辺82c(連結部)と、によって形成されている。2本の縦辺82aそれぞれと、上側の横辺82bと、の間に形成される角82dは、曲線状である。なお図示の例では、2本の縦辺82aそれぞれと、下側の横辺82cと、の間に形成される角82eは、縦辺82aと横辺82cとが交差することで形成される角形状である。
【0041】
注出口4aの流路断面積は、横穴82の流路断面積以上である。注出口4aの正面視形状は、例えば円形状である。注出口4aの直径は、例えば3mmである。注出口4aの流路断面積は、例えば約7mm(π×1.5mm)である。横穴82の高さは、例えば1mmから5mm、好ましくは2mmである。横穴82の幅は、例えば1mmから3mm、好ましくは2.5mmである。横穴82の流路断面積は、例えば約5mm(2mm×2.5mm)である。
【0042】
垂下筒90は、整流筒80に対して背面側に並んで配置される。垂下筒90は、頂壁4から下方に延びる。垂下筒90は、整流筒80よりも大径である。垂下筒90の軸線は、キャップ軸Oに対して注出側に配置されている。整流筒80の軸線、垂下筒90の軸線およびキャップ軸Oは、同一直線上に配置されている。垂下筒90の上下方向の大きさは、整流筒80の上下方向の大きさよりも大きい。垂下筒90の下端は、整流筒80の下端よりも下方に位置している。
【0043】
垂下筒90の内部は、横穴82に連通する。垂下筒90において注出側に位置する一部は、整流筒80と一体である。横穴82は、垂下筒90内に開口している。垂下筒90の内周面のうちの注出側に位置する部分は、前記縦断面視において、前記第1直線上に位置している。
垂下筒90は、底部を備えていない。垂下筒90は、下方に向けて開口している。
垂下筒90には、背面側に開口する切欠き91が設けられている。切欠き91は、垂下筒90における背面側の半周にわたって形成されている。切欠き91は、垂下筒90の下端を切り欠いている。切欠き91は、注出側から背面側に向かうに従い、上下方向に大きくなっている。垂下筒90における背面側の端において、切欠き91は、垂下筒90の上下方向の全長にわたって延びている。
【0044】
垂下筒90の側面視において、垂下筒90における切欠き91の周縁91aは、上方および注出側に向けて突となる円弧状である。垂下筒90の側面視することは、垂下筒90を左右方向から見ることである。左右方向とは、上下方向および前後方向に直交する方向である。前後方向とは、キャップ軸Oに直交しヒンジCの中央を通る方向である。
【0045】
蓋体Dは、キャップ本体Bの外周壁部8の外周の上端に、ヒンジCを介して回動自在に取り付けられている。蓋体Dは、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の裏面から垂設され、閉蓋時に注出筒5の内周面に挿入されて注出筒5を密封する密封筒32と、を備えている。
頂壁30において密封筒32の外周側に位置する部分には、変形可能な薄肉部33が周設されている。図2に示すように、薄肉部33は、密封筒32を囲う環状である。
【0046】
図1に示すように、側周壁31の下端部の内周には、蓋係合部6の蓋係合突部11と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部35が周設されている。
係合凹部35における内向き面には、蓋係合突部11の係止突条13と係合する係止部36が設けられている。係合凹部35における下向き面は、蓋係合突部11の上面と当接する。
【0047】
図2に示すように、側周壁31において注出側の中央部および背面側の中央部を除いた部分には、閉蓋時に蓋係合突部11の内周上部と当接して側周壁31が外側に広がらないようにする係止凸片37が複数配設されている。側周壁31の外周において注出側の下部に位置する部分には、周方向に円弧状の摘み部38が形成されている。側周壁31の外周における背面側の下端部には、ヒンジCが連設されている。
図1に示すように、側周壁31の下面において注出側に位置する部分の外周縁には、閉蓋時にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を覆うように形成された円弧状の被覆壁39が垂設されている。被覆壁39の下端は、段凹部15の平坦面15aに、近接あるいは当接する。
【0048】
次に、本実施形態の使用態様と作用効果について説明する。
本実施形態のキャップ50は、最初に、図2に示す状態で一体成形され、ヒンジCを介して蓋体Dを回動し、キャップ本体Bに被せ、図1に示すように閉蓋する。その際、蓋体Dの密封筒32の下部の外周面が、キャップ本体Bの注出筒5の下部の内周面に密着する。また、蓋体Dの側周壁31の係合凹部35とキャップ本体Bの蓋係合部6の蓋係合突部11が係合し、閉蓋が維持される。
【0049】
次に、図1に示すように、閉蓋したキャップ50は、内容物が充填された容器本体Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程では、周壁3の内筒7と外周壁部8との間に形成された環状溝に容器本体Aの口部1を当てがう。蓋体Dに上から押圧力が加えられると、外周壁部8の係合突部9が口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合する。容器本体Aの口部1が内筒7の外周と外周壁部8の内周、および蓋係合部6とによって挟持されることで、キャップ50が容器本体Aに装着される。
【0050】
ところで、内容物が高温充填された容器本体Aに打栓された場合、容器本体A内の圧力が上昇する。ここで、頂壁30には密封筒32の外側に変形可能な薄肉部33が形成されているので、頂壁30は、薄肉部33の内周側のみが上昇して圧力を注出筒5より外側に逃がす。これにより、蓋体Dの側周壁31の係合凹部35とキャップ本体Bの蓋係合部6との係合に支障がなく、閉蓋が維持される。よって、内容物が高温だったときの内圧上昇により蓋体Dが開蓋してしまうことを防止できる。
【0051】
また、閉蓋した状態で、キャップ50が倒立落下した際に、蓋体Dの頂壁30に衝撃力が加えられた場合でも、蓋体Dが受ける衝撃を薄肉部33が吸収し、密封筒32を注出筒5に対して押し込んだり、引き離したりしない。よって、密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5との密着に影響を及ぼさず、密封筒32と注出筒5との密着が外れたり、密封筒32と注出筒5が互いに傷付け合ったりすることを防止できる。
【0052】
容器本体A内の内容物を使用する際には、蓋体Dの摘み部38に手指を掛けて持ち上げると、蓋体Dの密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5とのシールが外れるとともに蓋体Dの側周壁31とキャップ本体Bの蓋係合部6との係合が外され、蓋体Dが開蓋される。
蓋体Dが開蓋された状態で、容器本体Aがスクイズ変形されたとき、容器本体A内の内容物は、垂下筒90の内部、整流筒80の横穴82、および整流筒80の内部を通過して注出口4aに到達し、その後、注出口4aを通過して注出筒5から注出される。
【0053】
本実施形態のキャップ50は、蓋体Dの側周壁31の下面の注出側の外周縁に被覆壁39が設けられている。よって、閉蓋中にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を隠すことができる。また、開蓋の際には摘み部38の下に掛けた手指が被覆壁39にぶつかり、蓋体Dの内方に接触することを防止している。よっ、キャップ50内が清潔に保たれる。
【0054】
蓋体Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、蓋体Dの密封筒32の外周がキャップ本体Bの注出筒5の内周に密着してシールが形成され、容器本体A内を密封することができる。キャップ50は、繰り返し蓋体Dを開閉して使用することができる。
【0055】
本実施形態のキャップ50は、キャップ本体Bの外周壁部8の注出側に平坦面15aおよび傾斜面15bを形成した段凹部15を設けている。よって、内容物の使用中に注出筒5のリップ部5aから内容物が段凹部15に垂れても、傾斜面15bの傾斜により平坦面15aに流れる。また、平坦面15aが凹凸のない平面であることで、ティッシュ等で簡単に汚れを拭き取ることができる。
【0056】
次に、容器本体A内の内容物を全部使用した後、キャップ50を分別廃棄する態様について説明する。
その際には、キャップ50を開蓋し、蓋体Dを指で把持して例えば径方向の外方に引っ張ると、外周壁部8のヒンジCとの連設部となる背面外壁部23がヒンジCを介して引っ張られる。その結果、背面外壁部23に連なる外周壁部8の背面側が引っ張られ、変形していく。これにより、外周切り込み部16で形成される縦弱化部17が破断されていく。
【0057】
さらに蓋体Dを引っ張ると、縦弱化部17に連設する端面16a側から下横弱化部21が周方向に切断されていき、次いで連続する傾斜連結弱化部26が破断し始める。傾斜連結弱化部26の破断が進行すると、蓋体Dおよびそれに連なるキャップ本体Bの下横弱化部21および傾斜連結弱化部26で区画され、破断された外周壁部8の下側がキャップ本体Bから離されていく。
【0058】
次に、傾斜連結弱化部26が完全に破断すると、連続する上横弱化部28が破断されていく。この破断は、段凹部15を通過して、例えば、肉厚部19で止められる。
さらに、破断された外周壁部8を引っ張ると、連結している外周壁部8の肉厚部19が例えば径方向の外側に引っ張られ、キャップ本体Bの外周壁部8の係合突部9と容器本体Aの口部1の嵌合突条2との嵌合が外される。蓋体Dをそのまま上方に上げると、肉厚部19で連設されている外周壁部8の上側が持ち上げられキャップ本体Bが容器本体Aの口部1から外される。これにより、キャップ50と容器本体Aとを分別廃棄することができる。
【0059】
本実施形態のキャップ50は、傾斜連結弱化部26を切断する際に、底面20の傾斜に合わせて下から上の傾斜がついているので、外周壁部8の下部を引っ張る力が上向きとなって力が掛かり易い。また、傾斜連結弱化部26を形成する内周の平行面25が容器本体Aの嵌合突条2の傾斜面2aより離れていくので、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
また、注出側の上横弱化部28を切断する際に、上横弱化部28の内周面の上向き凹部27が容器本体Aの嵌合突条2の傾斜面2aより完全に離れるので、さらに、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るキャップ50によれば、蓋体Dが開蓋された状態で、容器本体Aがスクイズ変形されたとき、容器本体A内の内容物は、垂下筒90の内部、整流筒80の横穴82、および整流筒80の内部を通過して注出口4aに到達し、その後、注出口4aから注出される。この過程で、内容物は、整流筒80の横穴82を通過することで、一度、上下方向に交差する方向に流れるものの、その後、整流筒80の内部を通過することで、上下方向に流れを整えられる。しかも本実施形態では、容器本体A内の内容物が整流筒80の横穴82に到達する前に、垂下筒90内を通過する。そのため、例えば、容器本体Aを強くスクイズ変形する等しても、内容物の流れが乱れることが抑制される。よって、内容物を所望の方向に注出し易くすることができる。
【0061】
注出口4aの流路断面積が横穴82の流路断面積以上であり、横穴82の流路断面積が小さい。これにより、内容物が横穴82を通過することで内容物の流れが整えられることによる作用効果が、顕著に奏功される。
垂下筒90の側面視において、垂下筒90における切欠きの周縁91aが、上方に向けて突となる円弧状である。よって、仮に容器本体A内の内容物が発泡していたとしても、内容物が切欠きを通過するときに、垂下筒90における切欠きの周縁91aによって泡切りできる。
【0062】
2本の縦辺82aそれぞれと、上側の横辺82bと、の間に形成される角82dが、曲線状である。これにより、内容物が横穴82を通過するときに内容物の流れが乱れることを効果的に抑制することができる。なお例えば、前記角82dが、縦辺82aと横辺82bとが交差することで形成される角形状である場合、内容物が注出口4aを通過するとき、内容物が注出口4aから、横辺82bが延びる方向である左右方向に向けて意図せず拡散するおそれがある。
整流筒80の底壁83の上面8aが傾斜している。これにより、内容物の注出後、内容物が整流筒80の内部に溜まることが抑制される。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るキャップを、図9および図10を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0064】
図9に示すように、本実施形態に係るキャップ50Aでは、垂下筒90の下端が、周壁3の内筒7の下端よりも上方に位置している。なおこれに対し、図1に示すような第1実施形態に係るキャップ50では、垂下筒90の下端が、周壁3の内筒7(インナーリング)の下端よりも下方に位置している。内筒7は、口部1内に嵌合されている。
【0065】
さらに本実施形態では、キャップ50Aが、装着筒95と、弁部材60と、を更に備えている。
【0066】
装着筒95は、キャップ本体Bの頂壁4から下方に延びる。装着筒95は、頂壁4と一体である。装着筒95は、キャップ軸Oに対して背面側に偏心している。装着筒95の内部には、整流筒80および垂下筒90が配置されている。本実施形態では、整流筒80の周壁81のうち、注出側に位置する一部が、装着筒95と一体となっている。整流筒80のうち、前記一部以外の残部は、装着筒95の内部に配置されている。垂下筒90についてはその全体が、装着筒95の内部に配置されている。
【0067】
装着筒95の下端は、整流筒80の下端および垂下筒90の下端よりも下方に位置している。装着筒95の下端は、内筒7の下端よりも上方に位置している。内筒7は、装着筒95を径方向の外側から囲っている。装着筒95と内筒7との間には、環状の空間Sが形成されている。空間Sは、下方に向けて開口している。
【0068】
弁部材60は、装着筒95に装着される。弁部材60は、頂壁4の下方に配置されている。弁部材60は、容器本体Aの内部と、横穴82と、の連通およびその遮断を切り替える。弁部材60は、例えば、容器本体Aがスクイズ変形して容器本体Aの内圧が上昇したときに開弁する。弁部材60は、例えば、容器本体A内の内容物からの圧力を受けて開弁する。
【0069】
弁部材60は、弁筒61と、弁部62と、外側筒63と、を備えている。弁筒61は、上下方向に延びる。弁筒61の上端部は、装着筒95の内部に嵌合される。弁部62は、弾性変形可能な膜(弾性膜)である。弁部62は、弁筒61内を閉塞している。外側筒63は、上下方向に延びる。外側筒63は、装着筒95を径方向の外側から覆う。外側筒63は、空間Sに配置されている。外側筒63の下端は、弁筒61の上下方向の中央に連結されている。なお、外側筒63はなくてもよい。
【0070】
図10に示すように、弁部62には、スリット64が形成されている。本実施形態では、スリット64は、弁部62の平面視において十字状に形成されている。弁部材60に外部から圧力が作用したとき、弁部62におけるスリット64の周縁部が弾性変形し、スリット64が拡開することで、弁部材60が開弁する。
【0071】
なお図示の例では、弁部62には、厚肉部65が部分的に設けられている。厚肉部65は、弁部62における他の部分に比べて、わずかに厚肉となっている。例えば、厚肉部65の肉厚は、前記他の部分に比べて2倍以内である。厚肉部65は、弁部62においてスリット64と対応する位置に設けられている。ただし、厚肉部65は、弁部62において、スリット64の端部が位置する部分には設けられてない。厚肉部65は、弁部62にスリット64の形成を容易にするための構成である。なお、厚肉部65はなくてもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るキャップ50Aによれば、弁部材60が、容器本体Aの内部と、横穴82と、の連通およびその遮断を切り替える。よって、不用意な内容物の吐出を抑制することができる。
なお、キャップ50Aが弁部材60を備える場合、弁部材60を起因として内容物が発泡し易くなるおそれがある。この場合には、本実施形態のように、キャップ50Aが前述のような垂下筒90を備えることで、内容物の発泡を抑制することができる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るキャップを、図11および図12を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0074】
図11に示すように、本実施形態に係るキャップ50Bでは、弁部材60Bが、外側筒63に代えてシール片66を備えている。すなわち、弁部材60Bは、弁筒61と、弁部62と、シール片66と、を備えている。
シール片66は、空間Sを閉塞する。シール片66は、弁筒61から径方向の外側に突出する。シール片66は、環状である。シール片66は、内筒7の下端部に当接することで、空間Sを閉塞する。
【0075】
シール片66は、基部66aと、当接部66bと、連結部66cと、を備えている。基部66aは、弁筒61における上下方向の中央の外周面に連結されている。基部66aは、キャップ軸Oに直交する方向に延びている。当接部66bは、基部66aの外縁から径方向の外側に延びている。当接部66bは、径方向の外側に向かうに従い下方に延びている。当接部66bの上面は、内筒7の下端部に当接する。連結部66cは、基部66aと当接部66bとを連結する。連結部66cは、基部66aおよび当接部66bに比べて薄肉である。その結果、当接部66bは、連結部66cを起点として上下方向に弾性変形可能である。
【0076】
本実施形態のように、キャップ50Bが弁部材60Bを備える場合、キャップ50Bが弁部材60Bを備えない場合に比べて、内容物がキャップ50Bから注出され難くなり、容器本体Aにおける内容物の残量が増えるおそれがある。
また、内容物を注出するために容器本体Aを傾けるとき、装着筒95と内筒7との間の空間Sに内容物が流入すると、内容物の残量が更に増えるおそれがある。
そこで、このキャップ50Bでは、弁部材60Bが、空間Sを閉塞するシール片を備えている。これにより、内容物を注出するために容器本体Aを傾けるとき、空間Sに内容物が流入することが規制される。その結果、容器本体Aにおける内容物の残量を低減させることができる。
【0077】
(第2実施形態および第3実施形態の変形例)
なお第2実施形態に係る弁部材60や第3実施形態に係る弁部材60Bに代えて、図13から図15に示す弁部材60C、60D、60Eを採用することも可能である。これらの各弁部材60C、60D、60Eでは、スリット64の形状が異なっている。
例えば、図13に示す弁部材60Cのように、スリット64がT字状であってもよい。
例えば、図14に示す弁部材60Dのように、スリット64がI字状であってもよい。
例えば、図15に示す弁部材60Eのように、スリット64が、周方向に間隔をあけて複数配置されていてもよい。この弁部材60Eでは、弁部62のうち、周方向に隣り合うスリット64の間に位置する部分が、弾性片67として機能する。その結果、弁部62が、いわゆる三点弁のように作用する。
【0078】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0079】
例えば、切欠き、垂下筒90、蓋体D、注出筒5がなくてもよい。キャップ50が、廃棄時に破断可能でなくてもよい。
横穴82の正面視形状が、矩形状でなくてもよい。例えば、横穴82の正面視形状が、正方形状や等脚台形状であってもよい。さらに、下方に向けて突となる三角形状であってもよい(この場合、2本の縦辺82aの下端は、下方に向けて突となる角(連結部)によって連結される)。また、横穴82の正面視形状が、横穴82の上端に横辺82bがあり、横辺82bの両端の角82dが曲線状であれば、横穴82の下方部分の形状は、前述したような各種の角形状(長方形状、正方形状、三角形状)に限られない。例えば、横穴82の下方部分の形状が円形状(楕円状等)であってもよい。
また、横穴82の正面視形状がこれらの各種形状であっても、2本の縦辺82aそれぞれと、上側の横辺82bと、の間に形成される角82dが、曲線状でなくてもよい。
注出口4aの流路断面積が、横穴82の流路断面積未満であってもよい。
整流筒80の底壁83の上面8aが傾斜していなくてもよい。
キャップ50に、使用前の不正開封を防止するために、キャップ本体Bと蓋体Dとの間に図示しないシュリンクラベルや封緘部材等が設けられていてもよい。
【0080】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 口部
4a 注出口
50、50A、50B キャップ
60、60B、60C、60D、60E 弁部材
80 整流筒
81 周壁
82 横穴
82a 縦辺
82b 上側の横辺
82c 下側の横辺(連結部)
82d 角
83 底壁
83a 上面
90 垂下筒
91 切欠き
91a 周縁
A 容器本体
B キャップ本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15