(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】半導体装置、固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10F 39/18 20250101AFI20250217BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20250217BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2021558200
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2020037338
(87)【国際公開番号】W WO2021100332
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2019208612
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】堀越 浩
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050463(JP,A)
【文献】特開2018-117102(JP,A)
【文献】特開2013-207321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に積層されるとともに、前記第1基板に接合された第2基板と、
前記第1基板内
の前記第2基板側の最外層を形成する第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜内の前記第2基板から遠い側に設けられた第1多層配線層と、
前記第1層間絶縁膜内の前記第2基板側に設けられ、一方の表面が前記第1基板と前記第2基板との接合面と同一面上に位置する
第1電極パッド、及び前記第1電極パッドの他方の表面から前記第1多層配線側に伸びている第1ビアを有する第1電極と、
前記第2基板内
の前記第1基板側の最外層を形成する第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜内の前記第1基板から遠い側に設けられた第2多層配線層と、
前記第2層間絶縁膜内の前記第1基板側に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記
第1電極パッドの一方の表面に接合された
第2電極パッド、及び前記第2電極パッドの他方の表面から前記第2多層配線側に伸びている第2ビアを有する第2電極と、
前記第1多層配線層と前記第1ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第1ビアに接続された第1キャパシタ、及び
前記第2多層配線層と前記第2ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第2ビアに接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極は、純銅製又は銅合金製の銅電極である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれを複数備え、
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方を複数備え、
複数の前記第1キャパシタの2つ以上、又は複数の前記第2キャパシタの2つ以上が同一の配線に電気的に接続されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、互いに対向している2つの電極、及びそれら2つの電極間に配置された絶縁膜を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、電極と絶縁膜とが交互に繰り返し配置された多層構造を形成している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、底部と、前記底部の縁部から前記底部と交差する方向に伸びている側壁部とを備えている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの電極の材料は、タンタル、タンタルナイトライド、チタン、チタンナイトライド、タングステンナイトライド、ジルコニウムナイトライド又はコバルトである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの絶縁膜は、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン及び酸化ジルコニウムの何れかからなる単層膜、又はこれらを組み合わせてなる多層膜である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、
前記センサ基板に積層されるとともに前記センサ基板に接合され、前記光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、
前記センサ基板内
の前記ロジック基板側の最外層を形成する第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜内の前記ロジック基板から遠い側に設けられた第1多層配線層と、
前記第1層間絶縁膜内の前記ロジック基板側に設けられ、一方の表面が前記センサ基板と前記ロジック基板との接合面と同一面上に位置する
第1電極パッド、及び前記第1電極パッドの他方の表面から前記第1多層配線層側に伸びている第1ビアを有する第1電極と、
前記ロジック基板内
の前記センサ基板側の最外層を形成する第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜内の前記センサ基板から遠い側に設けられた第2多層配線層と、
前記第2層間絶縁膜内の前記センサ基板側に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記
第1電極パッドの一方の表面に接合された
第2電極パッド、及び前記第2電極パッドの他方の表面から前記第2多層配線側に伸びている第2ビアを有する第2電極と、
前記第1多層配線層と前記第1ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第1ビアに接続された第1キャパシタ、及び
前記第2多層配線層と前記第2ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第2ビアに接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える
固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方が、グローバルシャッター動作の実行時に前記光電変換部で生成される信号電荷を蓄積するための電荷蓄積容量部を構成する
請求項
9に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、
前記センサ基板に積層されるとともに前記センサ基板に接合され、前記光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、前記センサ基板内
の前記ロジック基板側の最外層を形成する第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜内の前記ロジック基板から遠い側に設けられた第1多層配線層と、前記第1層間絶縁膜内の前記ロジック基板側に設けられ、一方の表面が前記センサ基板と前記ロジック基板との接合面と同一面上に位置する
第1電極パッド、及び前記第1電極パッドの他方の表面から前記第1多層配線層側に伸びている第1ビアを有する第1電極と、前記ロジック基板内
の前記センサ基板側の最外層を形成する第2層間絶縁膜と、前記第2層間絶縁膜内の前記センサ基板から遠い側に設けられた第2多層配線層と、前記第2層間絶縁膜内の前記センサ基板側に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記
第1電極パッドの一方の表面に接合された
第2電極パッド、及び前記第2電極パッドの他方の表面から前記第2多層配線側に伸びている第2ビアを有する第2電極と、
前記第1多層配線層と前記第1ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第1ビアに接続された第1キャパシタ、及び
前記第2多層配線層と前記第2ビアとの間に設けられ、一方の電極が前記
第2ビアに接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、を備える
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体装置、固体撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1基板と、第1基板に接合された第2基板とを有し、それら第1基板と第2基板との接合面において、第1基板に形成されている第1接続電極と、第2基板に形成されている第2接続電極とが電気的に接続されてなる半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の半導体装置では、第2接続電極と、第2基板内に設けられた金属配線との間に、絶縁膜が配置されてキャパシタを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、第1基板と第2基板との接合時には、第1基板や第2基板にそり矯正が行われるが、そり矯正によってキャパシタにストレスが印加される。また、第2接続電極と絶縁膜との熱膨張係数の差によっても、キャパシタにストレスが印加される。ここで、特許文献1に記載の半導体装置では、キャパシタの位置が接合面に近く、また、キャパシタを構成する絶縁膜と金属配線との接触面積が大きいため、接合プロセスによるストレスは、キャパシタにダイレクトに印加される。そのため、例えば、絶縁膜クラックや、絶縁膜の分極状態のばらつき等を生じ、キャパシタの性能が劣化する可能性がある。
【0005】
本開示は、接合プロセスによるキャパシタの性能劣化を抑制可能な半導体装置、固体撮像装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、(a)第1基板と、(b)第1基板に接合された第2基板と、(c)第1基板内に設けられ、一方の表面が第1基板と第2基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、(d)第2基板内に設けられ、一方の表面が接合面と同一面上に位置し且つ第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、(e)第1基板内に設けられ、一方の電極が第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及び第2基板内に設けられ、一方の電極が第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方とを備える。
【0007】
本開示の固体撮像装置は、複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、センサ基板に接合され、光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、センサ基板内に設けられ、一方の表面がセンサ基板とロジック基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、ロジック基板内に設けられ、一方の表面が接合面と同一面上に位置し且つ第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、センサ基板内に設けられ、一方の電極が第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及びロジック基板内に設けられ、一方の電極が第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方とを備える。
【0008】
本開示の電子機器は、複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、センサ基板に接合され、光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、センサ基板内に設けられ、一方の表面がセンサ基板とロジック基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、ロジック基板内に設けられ、一方の表面が接合面と同一面上に位置し且つ第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、センサ基板内に設けられ、一方の電極が第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及びロジック基板内に設けられ、一方の電極が第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える固体撮像装置と、被写体からの像光を固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【
図6】接合された第1電極と第2電極とを示す断面図である。
【
図7】接合された第1電極と第2電極とを示す断面図である。
【
図8】接合された第1電極と第2電極とを示す断面図である。
【
図9】接合された第1電極と第2電極とを示す断面図である。
【
図10A】基板接続用領域形成前の第1基板を示す断面図である。
【
図10B】基板接続用領域形成前の第2基板を示す断面図である。
【
図11A】基板接続用領域形成後の第1基板を示す断面図である。
【
図11B】基板接続用領域形成後の第2基板を示す断面図である。
【
図12】接合後の第1基板と第2基板とを示す断面図である。
【
図13】薄肉化後の第1基板と第2基板とを示す断面図である。
【
図14】センサ基板の全体構成を示す平面図である。
【
図15】変形例に係る第2電極を示す断面図である。
【
図16】変形例に係る第2キャパシタを示す断面図である。
【
図17】変形例に係る基板接続用領域を示す断面図である。
【
図18A】変形例に係る第2キャパシタを示す断面図である。
【
図19】変形例に係る第2キャパシタを示す断面図である。
【
図20】固体撮像装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】固体撮像装置の1画素分の断面を示す断面図である。
【
図22】固体撮像装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図24】固体撮像装置の1画素分の回路構成を示す回路図である。
【
図25】固体撮像装置の2行2列の4画素分の回路構成を示す回路図である。
【
図26】固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【
図27】電子機器の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図28】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図29】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図30】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図31】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態に係る半導体装置の一例を、
図1~
図31を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0011】
1.第1の実施形態:半導体装置
1-1 半導体装置の構成
1-2 半導体装置の製造方法
1-3 変形例
2.固体撮像装置への適用例
2-1 固体撮像装置の構成
2-2 要部の構成
2-3 変形例
3.電子機器への適用例
4.移動体への適用例
5.内視鏡手術システムへの適用例
【0012】
〈1.第1の実施形態〉
[1-1 半導体装置の構成]
第1の実施形態に係る半導体装置1は、
図1に示すように、第1基板2と、第1基板2に接合された第2基板3とを備えている。第1基板2としては、例えば、複数の光電変換部が配列されたセンサ基板を採用できる。また、第2基板3としては、例えば、光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板を採用できる。また、第1基板2と第2基板3との接合方法としては、例えばプラズマ接合を採用できる。
第1基板2の第2基板3側(
図1では、下側)には、層間絶縁膜4が設けられている。層間絶縁膜4は、複数の配線層を内部に有している。
図1では、複数の配線層として、第1配線層5a、第2配線層5b、第3配線層5c及び第4配線層5dの4層を含む場合を例示している。即ち、
図1では、層間絶縁膜4と、第1配線層5a、第2配線層5b、第3配線層5c及び第4配線層5dとで多層配線層を構成している。なお、
図1に示した配線層の数は一例であり、層間絶縁膜4に含まれる配線層の数は4層以外であってもよい。
詳細の図示を省略するが、第1配線層5a、第2配線層5b、第3配線層5c及び第4配線層5dのそれぞれは第1基板2に設けられている素子等に電気的に接続されている。
【0013】
また、層間絶縁膜4の第2基板3側(
図1では、下側)の表面には、層間絶縁膜6が設けられている。層間絶縁膜6には、
図2及び
図3に示すように、層間絶縁膜6内に設けられ、一方の表面(以下、「露出面S1」とも呼ぶ)が第1基板2と第2基板3との接合面S2と同一面上に位置する複数の第1電極7が配設されている。即ち、第1電極7の露出面S1は、層間絶縁膜6の第2基板3側の表面(接合面S2)から露出している。第1電極7としては、例えば、純銅製又は銅合金製の銅電極を採用することができる。
第1電極7は、
図1、
図2及び
図3に示すように、一方の表面(
図1~
図3では、下側の表面)が接合面S2と同一面上に位置する平板状の第1電極パッド8と、第1電極パッド8の他方の表面(
図1~
図3では、上側の表面)から第1基板2の厚さ方向(
図1~
図2では、上方向)に伸びている柱状の第1ビア9とを含んで構成されている。
【0014】
また、
図2に示すように、複数の第1電極7のうちの、一部の第1電極7(以下、「第1電極7a」とも呼ぶ)の他方の表面(以下、「非露出面S3」とも呼ぶ)には、第4配線層5dの配線、つまり、最も第2基板3側(
図2では、下側)の配線層の配線が電気的に接続されている。また、
図3に示すように、複数の第1電極7のうちの、一部の第1電極7(第1電極7a以外の第1電極7の一部又は全部。以下、「第1電極7b」とも呼ぶ)の他方の表面(非露出面S3)には、層間絶縁膜6内に設けられた第1キャパシタ10を介して、第4配線層5dの配線が電気的に接続されている。
【0015】
第1キャパシタ10は、互いに対向している平板状の2つの電極11、12と、それら2つの電極11、12間に配置された絶縁膜13とを備えている。電極11は、第2基板3側(
図3では、下側)に配置され、第1電極7bが電気的に接続されている。また、電極12は、第2基板3側と反対側(
図3では、上側)に配置され、第4配線層5dの配線が電気的に接続されている。また、電極11、12の材料としては、銅が拡散し難く、また、絶縁膜13に拡散し難い導電体が用いられる。例えば、タンタル(Ta)、タンタルナイトライド(TaN)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、タングステンナイトライド(WN)、ジルコニウムナイトライド(ZnN)、コバルト(Co)等の高融点金属及び窒化高融点金属が挙げられる。また、絶縁膜13としては、例えば、酸化タンタル(TaO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AlO)、窒化シリコン(SiN)及び酸化ジルコニウム(ZnO)等の高誘電率絶縁材料の何れかからなる単層膜、又はこれらを組み合わせてなる多層膜が用いられる。
【0016】
図1に戻り、第2基板3の第1基板2側(
図1では、上側)には、層間絶縁膜14が設けられている。層間絶縁膜14は、複数の配線層を内部に有している。
図1では、複数の配線層として、第1配線層15a、第2配線層15b、第3配線層15c、第4配線層15d、第5配線層15e及び第6配線層15fを含む場合を例示している。即ち、
図1では、層間絶縁膜14と、第1配線層15a~第6配線層15fとで多層配線層を構成している。なお、
図1に示した配線層の数は一例であり、層間絶縁膜14に含まれる配線層の数は6層以外であってもよい。詳細の図示を省略するが、第1配線層15a~第6配線層15fのそれぞれは、第2基板3に設けられている素子等に電気的に接続されている。
【0017】
また、層間絶縁膜14の第1基板2側(
図1では、上側)の表面には、層間絶縁膜16が設けられている。層間絶縁膜16には、
図4及び
図5に示すように、層間絶縁膜16内に設けられ、一方の表面(以下、「露出面S4」とも呼ぶ)が接合面S2と同一面上に位置する複数の第2電極17が配設されている。即ち、第2電極17の露出面S4は、層間絶縁膜16の第1基板2側の表面(接合面S2)から露出している。第2電極17としては、例えば、純銅製又は銅合金製の銅電極を採用することができる。
第2電極17は、
図1、
図4及び
図5に示すように、一方の表面(
図1、
図4及び
図5では上側の表面)が接合面S2と同一面上に位置する平板状の第2電極パッド18と、第2電極パッド18の他方の表面(
図1、
図4及び
図5では、下側の表面)から第2基板3の厚さ方向(
図1、
図4及び
図5では、下方向)に伸びている柱状の第2ビア19とを含んで構成されている。第2電極パッド18は、第1電極パッド8と接合面S2を挟んで面対象に配置されている。即ち、接合面S2では、第1電極パッド8と第2電極パッド18とが接合され、層間絶縁膜6と層間絶縁膜16とが接合されている。
【0018】
また、
図4に示すように、複数の第2電極17のうちの、一部の第2電極17(以下、「第2電極17a」とも呼ぶ)の他方の表面(以下、「非露出面S5」とも呼ぶ)には、第6配線層15fの配線、つまり、最も第1基板2側(
図4では上側)の配線層の配線が電気的に接続されている。第2電極17aは、第4配線層5dの配線と接続されている第1電極7a、又は第4配線層5dの配線と第1キャパシタ10を介して接続されている第1電極7bと接続されている。第2電極17aと第1電極7aとの接続箇所では、
図6に示すように、第1電極7a及び第2電極17aを介して、第1基板2の第4配線層5dの配線と第2基板3の第6配線層15fの配線とが電気的に接続されている。それゆえ、第1基板2の第4配線層5dの配線と第2基板3の第6配線層15fの配線と間で直流信号を伝達したり、直流電源を供給したりすることが可能となっている。
一方、第2電極17aと第1電極7bとの接続箇所では、
図7に示すように、第1電極7b及び第2電極17aに加え第1キャパシタ10を介して、第1基板2の第4配線層5dの配線と第2基板3の第6配線層15fの配線とが電気的に接続されている。そして、これらの配線の電荷を第1キャパシタ10で蓄積可能となっている。
図7に示した接続箇所の構成を実現する場合、例えば、第1キャパシタ10に電気的に接続される第4配線層5dの配線と第6配線層15fの配線との何れかをグランド配線としてもよい。
【0019】
また、
図5に示すように、複数の第2電極17のうちの、一部の第2電極17(第2電極17a以外の第2電極17の一部又は全部。以下「第2電極17b」とも呼ぶ)の他方の表面(非露出面S5)には、層間絶縁膜16内に設けられた第2キャパシタ20を介して第6配線層15fの配線が電気的に接続されている。第2電極17bは、第2電極17aと同様に、第4配線層5dの配線と接続されている第1電極7a、又は第4配線層5dの配線と第1キャパシタ10を介して接続されている第1電極7bと接続されている。第2電極17bと第1電極7aとの接続箇所では、
図8に示すように、第1電極7a、第2電極17b及び第2キャパシタ20を介して、第1基板2の第4配線層5dの配線と第2基板3の第6配線層15fの配線とが電気的に接続されている。そして、これらの配線の電荷を第2キャパシタ20で蓄積可能となっている。
一方、第2電極17bと第1電極7bとの接続箇所では、
図9に示すように、第1電極7b、第2電極17b及び第2キャパシタ20に加え第1キャパシタ10を介して、第1基板2の第4配線層5dの配線と第2基板3の第6配線層15fの配線とが電気的に接続されている。そして、これらの配線の電荷を第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20で蓄積可能となっている。なお、
図8及び
図9に示した接続箇所の構成を実現する場合、例えば、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20に電気的に接続される第4配線層5dの配線と第6配線層15fの配線との何れかをグランド配線としてもよい。
【0020】
第2キャパシタ20は、互いに対向している平板状の2つの電極21、22と、それら2つの電極21、22間に配置された絶縁膜23とを備えている。電極21は、第1基板2側(
図5では、上側)に配置され、第2電極17bが電気的に接続されている。また、電極22は、第1基板2側と反対側(
図5では、下側)に配置され、第6配線層15fの配線が電気的に接続されている。また、電極21、22及び絶縁膜23の材料としては、例えば第1基板2の電極11、12及び絶縁膜13と同じものを用いることができる。
ここで、第1基板2の第4配線層5dと第2基板3の第6配線層15fとの間の領域を基板接続用領域24と規定する。即ち、基板接続用領域24は、第1基板2の層間絶縁膜6と第2基板3の層間絶縁膜16とが設けられている領域である。第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20のそれぞれは、基板接続用領域24の最外層に配置されている。
【0021】
このような構成により、基板接続用領域24は、
図6に示すように、第1電極7a及び第2電極17aを介して第4配線層5dの配線と第6配線層15fの配線とを電気的に接続することで、第1基板2と第2基板3との間で信号の伝達や電源の供給を行うようになっている。また
図7、
図8及び
図9に示すように、第1電極7b及び第2電極17aに加えて第1キャパシタ10や第2キャパシタ20を介して、第4配線層5dの配線と第6配線層15fの配線とを電気的に接続することで、第4配線層5dの配線の電荷や第6配線層15fの配線の電荷を蓄積するキャパシタ機能を実現するようになっている。
【0022】
[1-2 半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施形態の半導体装置1の製造方法について説明する。
図10A、
図10B、
図11A、
図11B、
図12、
図13は、第1の実施形態の半導体装置1の製造工程を示す図である。
まず、
図10A及び
図10Bに示すように、基板接続用領域24、カラーフィルタ36、マイクロレンズ37を形成前の第1基板2(例えば、センサ基板)と、基板接続用領域24を形成前の第2基板3(例えば、ロジック基板)とを用意する。
続いて、
図11Aに示すように、用意した第1基板2に、第1キャパシタ10、層間絶縁膜6、第1ビア9及び第1電極パッド8をこの順に形成する。これにより、第1基板2に基板接続用領域24を形成する。また同様に、
図11Bに示すように、用意した第2基板3に、第2キャパシタ20、層間絶縁膜16、第2ビア19及び第2電極パッド18をこの順に形成する。これにより、第2基板3に基板接続用領域24を形成する。
続いて、
図12に示すように、第1基板2の基板接続用領域24と第2基板3の基板接続用領域24とが重なるように、第1基板2と第2基板3とを接合する。第1基板2と第2基板3との接合方法としては、例えば、プラズマ接合を採用することができる。
続いて、
図13に示すように、第1基板2を薄肉化させる。
続いて、
図1に示すように、第1基板2の光入射側に、カラーフィルタ36、マイクロレンズ37等を形成する。これにより第1の実施形態の半導体装置1が形成される。
【0023】
以上説明したように、第1の実施形態の半導体装置1では、
図1~
図5に示すように、第1基板2内に設けられ、一方の電極11が第1電極7(7b)の非露出面S3に電気的に接続された第1キャパシタ10、及び第2基板3内に設けられ、一方の電極21が第2電極17(17b)の非露出面S5に電気的に接続された第2キャパシタ20の少なくとも一方を備えるようにした。それゆえ、例えば、第1電極7(7b)を第1キャパシタ10の電極11とし、第2電極17(17b)を第2キャパシタ20の電極21とする方法に比べ、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20の位置が接合面S2から遠いため、接合プロセスによるストレスが、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20にダイレクトに印加されない。それゆえ、接合プロセスによる第1キャパシタ10や第2キャパシタ20(キャパシタ)の性能劣化を抑制可能な半導体装置1を提供することができる。
【0024】
また、第1電極7(7b)や第2電極17(17b)が第1キャパシタ10の絶縁膜13や第2キャパシタ20の絶縁膜23に接触しないため、例えば第1電極7(7b)や第2電極17(17b)を純銅製又は銅合金製の銅電極としても、第1電極7(7b)や第2電極17(17b)に含まれる銅が絶縁膜13、23内に拡散することを防止できる。
また、例えば、第1電極7や第2電極17を第1キャパシタ10や第2キャパシタ20の電極11、21として用いる方法と比べ、電極11、21の材料の自由度を高めることができ、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20の特性を高めることができる。
【0025】
また、例えば、第1基板2の第4配線層5dや第2基板3の第6配線層15fに第1キャパシタ10や第2キャパシタ20を設ける方法と異なり、第1キャパシタ10が第4配線層5d内の領域を使用することや、第2キャパシタ20が第6配線層15f内の領域を使用することを防止でき、第4配線層5dや第6配線層15fが大きくなることを抑制でき、半導体装置1のサイズが大きくなることを抑制することができる。また第4配線層5dや第6配線層15fの配線密度の増加を防止でき、歩留まりを向上することができる。
即ち、第1の実施形態の半導体装置1は、第1基板2と第2基板3との間の基板接続用領域24は、第1基板2の第1配線層5a~第4配線層5dや第2基板3の第1配線層15a~第6配線層15fのようにメタル密度が逼迫した領域ではないことに注目してなされたものである。第1の実施形態の半導体装置1によれば、基板接続用領域24に第1キャパシタ10や第2キャパシタ20を設けることにより、基板接続用領域24を有効活用可能である。
【0026】
また、第1の実施形態の半導体装置1では、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20を用いることで、電源やアナログ回路で発生するノイズのカットオフ機能や、一時的に電荷を保持しておくストレージ機能を実現できる。例えば、電源にノイズが含まれていると、ノイズを含んだ電源で半導体装置1が動くため、半導体装置1が適切に動作しない可能性がある。これに対し、ノイズのカットオフ機能を実現することで、ノイズが除去された電源が半導体装置1に供給されるため、半導体装置1を適切に動作させることができる。特に、第1基板2及び第2基板3のそれぞれにキャパシタ(第1キャパシタ10、第2キャパシタ20)を搭載することで、ノイズの除去性能を2倍以上にすることができる。
【0027】
ここで、第1基板2としてセンサ基板を用い、第2基板3としてロジック基板を用いて、半導体装置1として固体撮像装置を構成する場合について考える。このような固体撮像装置(半導体装置1)では、
図14に示すように、センサ基板(第1基板2)のチップ中央部に、光電変換部等が設けられた画素領域25が配置され、チップ外周部に、I/Oパッド等が設けられたI/O部26が配置され、画素領域25とI/O部26との間に、光電変換された信号の伝達経路となるドライバ27が配置される。ドライバ27は、第2電極17a(
図4参照)と接合された第1電極7a(
図2参照)がアレイ状に配列されて構成される。そして、固体撮像装置(半導体装置1)は、イメージセンサ(第1基板2)の画素領域25で光電変換した信号をドライバ27を介してロジック基板(第2基板3)に伝達し、伝達された信号を基にロジック基板(第2基板3)で演算を行い、I/O部26を介して演算結果を外部のディスプレイ等に出力する。
【0028】
図14に示すような固体撮像装置(半導体装置1)では、一般に、ドライバ27が占める領域以外の領域、つまり、センサ基板(第1基板2)の殆どの領域には、第1基板2と第2基板3とをロバストに接合するためのダミー電極がレイアウトされる。ダミー電極とは、第1電極7や第2電極17と同様に電極パッドやビア等を有するが、第1基板2及び第2基板3の何れとも電気的に接続されていない電極である。それゆえ、ダミー電極がレイアウトされる領域は、第1基板2及び第2基板3を電気的に接続する機能がないので、第1の実施形態の第1電極7aや第2電極17a、つまり、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20と電気的に接続されている電極のレイアウトに用いることができる。そのため、
図14に示すような固体撮像装置(半導体装置1)を構成した場合、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20をレイアウトできる領域として広い領域を用意でき、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20のレイアウトの自由度を高めることができ、固体撮像装置(半導体装置1)の設計の難易度を低下することができる。
【0029】
また、
図14に示すような固体撮像装置(半導体装置1)では、電源にノイズが含まれていると、ノイズを含んだ電源で固体撮像装置(半導体装置1)が動くため、固体撮像装置(半導体装置1)で作られる画がノイズに敏感に反応し、酷い場合には画に筋が入る可能性がある。ここで、電源は、固体撮像装置(半導体装置1)が搭載されるスマートフォン、カメラ、監視機器等のシステム内部のAC-DC変換部で作られ、I/O部26に設けられた複数の端子から供給される。これに対し、
図14に示すような固体撮像装置(半導体装置1)を構成した場合、I/O部26の周囲には第1キャパシタ10や第2キャパシタ20をレイアウトできる領域として広い領域がある。そのため、I/O部26の近傍に第1キャパシタ10や第2キャパシタ20をレイアウトしてノイズのカットオフ機能を実現でき、ノイズが除去された電源を固体撮像装置(半導体装置1)に供給することができ、固体撮像装置(半導体装置1)によってより鮮明な画作りを行うことができる。
【0030】
また、I/O部26の近傍に第1キャパシタ10や第2キャパシタ20をレイアウトしてノイズのカットオフ機能を実現することで、例えば、I/O部26を介してディスプレイへ出力される信号からノイズを除去することもでき、ディスプレイの電気的な負荷を低減することができ、さらに、ディスプレイにノイズが少ない画を映し出すこともできる。
【0031】
なお、ここまでは、マクロなレベルでのノイズのカットオフ機能を実現した場合について述べてきたが、ミクロなレベルでのノイズのカットオフ機能を実現した場合についても、同様な効果を得ることができる。例えば、
図14に示すような固体撮像装置(半導体装置1)では、画素トランジスタ等のアナログ回路で光電変換部からの信号にノイズが重畳すると、画素単位やエリア単位のA/Dコンバータでデジタル化しても、信号品質の低下を防ぐことは困難である。これに対し、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20を用いて画素単位やエリア単位でノイズカット機能を実現することができれば、信号品質の低下を防止でき、固体撮像装置(半導体装置1)によって鮮明な画作りを行うことができる。
また、第1キャパシタ10や第2キャパシタ20をレイアウトしてストレージ機能を実現することで、グローバルシャッターの電荷蓄積にも活用することができる。電荷蓄積に活用することにより、高速に動作する被写体を歪みのない画像で撮影することができる。
【0032】
また、第1の実施形態の半導体装置1では、第1電極7が、一方の表面が接合面S2と同一面上に位置する第1電極パッド8と、第1電極パッド8の他方の表面から伸びている第1ビア9とを備えるようにした。また、第2電極17が、一方の表面が接合面S2と同一面上に位置する第2電極パッド18と、第2電極パッド18の他方の表面から伸びている第2ビア19とを備えるようにした。それゆえ、第1電極7及び第2電極17による銅の使用量を低減して、製造コストを低減するとともに、第1電極7及び第2電極17の接合面S2を大きくすることができる。
【0033】
また、第1の実施形態の半導体装置1では、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20の少なくとも何れかが、互いに対向している2つの電極11、12、及びそれら2つの電極11、12間に配置された絶縁膜13を含むようにした。それゆえ、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20をMIM(metal-insulator-metal)構造とするができ、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20を高容量密度化することができる。
【0034】
[1-3 変形例]
(1)なお、第1の実施形態では、第2電極17を、第2電極パッド18と第2ビア19とによって構成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図15に示すように、第2ビア19を省略し、第2電極パッド18のみで構成してもよい。また同様に、第1電極7を、第1電極パッド8のみで構成してもよい。
【0035】
(2)また、第1の実施形態では、第2キャパシタ20の電極22を、第6配線層15fの配線に接続する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図16に示すように、電極21に接続された第2電極17とは別の第2電極17に電気的に接続する構成としてもよい。
図16では、電極22と第6配線層15fの配線とが電気的に接続しないように、それらの間に絶縁膜28が配置されている。また、電極22と接続された第2電極17の第2ビア19の周囲は、電極21と電気的に接続しないように絶縁膜29で覆われている。また同様に、第1キャパシタ10の電極12を、電極11に接続した第1電極7とは別の第1電極7に電気的に接続する構成としてもよい。
【0036】
(3)ここで、一般に、キャパシタの容量Cは、比誘電率εr、真空の誘電率ε0、電極面積S、電極間の距離dを用いて、下記(1)式によって規定される。
C=εr・ε0・S/d ………(1)
上記(1)式によれば、キャパシタの容量Cは、電極間の距離dの縮小、電極面積Sの拡大、及び比誘電率εrの増加の何れかを行うことで増加できる。しかし、電極間の距離dの縮小は、電極間に配置される絶縁膜を薄膜化しなければならず、電極同士がショートする可能性が高くなる。特に、プレーナー技術を用い、積み上げることでキャパシタを形成する場合、平坦化の観点から、キャパシタが形成された領域が他の領域よりも高くならないように、比誘電率εrが大きい材料を薄膜化したものを絶縁膜として用いることが一般的である。そのため、電極同士がショートする可能性がより高くなる。また、電極同士のショートの発生確率は、ダスト等で生じる絶縁膜の欠陥の影響が大きく、絶縁膜の欠陥密度で規定される。絶縁膜の欠陥密度は、半導体装置1の製造に用いられる装置やプロセス等を工夫することで、ある程度までは低減可能であるが、ゼロにすることはできない。
【0037】
これに対し、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20のレイアウトの自由度の高さを利用して、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20の少なくとも何れかを分割してレイアウトする構成としてもよい。この場合、
図17に示すように、複数の第1キャパシタ10の2つ以上、又は複数の第2キャパシタ20の2つ以上が同一の配線に接続されている構成とする。
図17は、2以上の第2キャパシタ20が第1基板2内の同一の配線(第4配線層5dの配線)に接続されている構成を例示している。
図17に示した構成とすることで、2以上の第2キャパシタ20を並列接続でき、並列接続された第2キャパシタ20の合計面積と同じ面積の大きなキャパシタと同じ容量を実現することができる。即ち、大きな容量を小さなキャパシタ(第2キャパシタ20)で実現できるため、半導体装置1の歩留まりを向上できる。さらに、分割されたキャパシタ(第2キャパシタ20)を冗長レイアウトすることで、半導体装置1の歩留まりをさらに向上することができる。なお、複数の第2キャパシタ20の2つ以上を同一の配線に接続した例を説明したが、複数の第1キャパシタ10の2つ以上を同一の配線に接続した場合にも同様の効果が得られる。
【0038】
(4)また、第1の実施形態では、第1キャパシタ10を2つの電極11、12間に絶縁膜13を配置した構成とし、第2キャパシタ20を2つの電極21、22間に絶縁膜23を配置した構成とする例を示したが、他の構成を採用することができる。例えば、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20の少なくとも一方は、
図18A及び
図18Bに示すように、電極30と絶縁膜31とが交互に繰り返し配置された多層構造としてもよい。
図18A、
図18Bは、第2キャパシタ20を多層構造とした構成を例示している。
図18A、
図18Bでは、多層構造を形成する電極30のうち、最も第6配線層15f側の電極30(以下、「電極30a」とも呼ぶ)は第6配線層15fに電気的に接続され、その他の電極30(以下、「電極30b」「電極30c」「電極30d」「電極30e」とも呼ぶ)は互いに異なる第2電極17に電気的に接続されている。即ち、電極30b~30eのそれぞれが第1の実施形態の「一方の電極21」に対応している。第2電極17の第2ビア19の周囲は、接続対象外の電極30と電気的に接続しないように、絶縁膜32で覆われている。
図18A、
図18Bに示した第2キャパシタ20は、電極30a、30bと絶縁膜31とでキャパシタを形成し、電極30b、30cと絶縁膜31とでキャパシタを形成し、電極30c、30dと絶縁膜31とでキャパシタを形成し、電極30d、30eと絶縁膜31とでキャパシタを形成して、合計4つのキャパシタを形成している。
図18A、
図18Bに示した構成とすることで、例えば、画素毎にキャパシタ(第2キャパシタ20)を設ける場合等、キャパシタをレイアウトできる領域に制約がある場合にもキャパシタを適切にレイアウトできる。なお、第2キャパシタ20を多層構造とした例を説明したが、第1キャパシタ10を多層構造とした場合にも、同様の効果が得られる。
【0039】
(5)また、第1の実施形態では、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20を平板状とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図19に示すように、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20の電極11、12、21、22の面積が大きくなるように、第1キャパシタ10及び第2キャパシタ20を三次元形状としてもよい。
図19は、第2キャパシタ20を三次元形状とした構成を例示している。
図19では、第2キャパシタ20は、底部33と、底部33の縁部から底部33と交差する方向に伸びている側壁部34、35とを備えている。また、第2キャパシタ20は、第6配線層15fに設けられ、側壁部34、35の第1基板2側の端面が接合面S2と同一面上に位置している。
図19に示した構成とすることで、第2キャパシタ20の電極21、22の面積を大きくすることができ、第2キャパシタ20の容量を大きくすることができる。さらに、容量を大きくした第2キャパシタ20を並列接続することで、並列接続された第2キャパシタ20の合計面積と等しい面積を有するキャパシタと同じ容量を実現できる。この場合、第2キャパシタ20が設けられる第6配線層15fの配線としては、アルミニウム(Al)を用いることで、加工を容易に行うことができ、プロセスコストを低減できる。
なお、第2キャパシタ20を底部33と側壁部34、35とで構成する例を説明したが、第1キャパシタ10を底部と側壁部とで構成した場合にも、同様の効果が得られる。
【0040】
<2.固体撮像装置への適用例>
[2-1 固体撮像装置の構成]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、固体撮像装置に適用されてもよい。
図20は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る固体撮像装置の概略的な構成の一例を示す図である。
図20に示すように、固体撮像装置101は、シリコンからなる基板111上に配列された複数の画素102から構成される画素部103と、垂直駆動回路104と、カラム信号処理回路105と、水平駆動回路106と、出力回路107と、制御回路108等を有して構成される。
【0041】
画素102は、フォトダイオードからなる光電変換部と、電荷蓄積容量部と、複数のMOSトランジスタとから構成され、基板111上に、2次元アレイ状に規則的に複数配列される。画素102を構成するMOSトランジスタは、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、アンプトランジスタで構成される4つのMOSトランジスタであってもよく、また、選択トランジスタを除いた3つのMOSトランジスタであってもよい。
【0042】
画素部103は、2次元アレイ状に規則的に複数配列された画素102から構成される。画素部103は、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を増幅してカラム信号処理回路105に読み出す有効画素領域と、黒レベルの基準になる光学的黒を出力するための黒基準画素領域(図示せず)とから構成されている。黒基準画素領域は、通常は、有効画素領域の外周部に形成されるものである。
【0043】
制御回路108は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路104、カラム信号処理回路105、及び水平駆動回路106等の動作の基準となるクロック信号や制御信号等を生成する。そして、制御回路108で生成されたクロック信号や制御信号等は、垂直駆動回路104、カラム信号処理回路105及び水平駆動回路106等に入力される。
【0044】
垂直駆動回路104は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素部103の各画素102を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各画素102のフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線109を通してカラム信号処理回路105に供給する。
【0045】
カラム信号処理回路105は、例えば、画素102の列毎に配置されており、1行分の画素102から出力される信号を画素列毎に黒基準画素領域(図示しないが、有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路105の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線110とのあいだに設けられている。
【0046】
水平駆動回路106は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路105の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路105の各々から画素信号を水平信号線110に出力させる。
【0047】
出力回路107は、カラム信号処理回路105の各々から水平信号線110を通して、順次に供給される信号に対し信号処理を行い出力する。
【0048】
[2-2 センサ基板の構成]
次に、固体撮像装置101を構成するセンサ基板の概略構成について説明する。
図21は、センサ基板20000の1画素分の断面を示す断面図である。
図21に示すように、センサ基板20000では、PD(フォトダイオード)20019が、半導体基板20018の裏面(図では上面)側から入射する入射光20001を受光する。PD20019の上方には、平坦化膜20013、CF(カラーフィルタ)20012、マイクロレンズ20011が設けられており、各部を順次介して入射した入射光20001を、受光面20017で受光して光電変換が行われる。
【0049】
例えば、PD20019は、n型半導体領域20020が、電荷(電子)を蓄積する電荷蓄積領域として形成されている。PD20019においては、n型半導体領域20020は、半導体基板20018のp型半導体領域20016、20041の内部に設けられている。n型半導体領域20020の、半導体基板20018の表面(下面)側には、裏面(上面)側よりも不純物濃度が高いp型半導体領域20041が設けられている。つまり、PD20019は、HAD(Hole-Accumulation Diode)構造になっており、n型半導体領域20020の上面側と下面側との各界面において、暗電流が発生することを抑制するように、p型半導体領域20016、20041が形成されている。
【0050】
半導体基板20018の内部には、複数の画素20010の間を電気的に分離する画素分離部20030が設けられており、この画素分離部20030で区画された領域に、PD20019が設けられている。図中、上面側から、固体撮像装置を見た場合、画素分離部20030は、例えば、複数の画素20010の間に介在するように格子状に形成されており、PD20019は、この画素分離部20030で区画された領域内に形成されている。
【0051】
各PD20019では、アノードが接地されており、固体撮像装置において、PD20019が蓄積した信号電荷(例えば、電子)は、図示せぬ転送Tr(MOS FET)等を介して読み出され、電気信号として、図示せぬVSL(垂直信号線)へ出力される。
【0052】
配線層20050は、半導体基板20018のうち、遮光膜20014、CF20012、マイクロレンズ20011等の各部が設けられた裏面(上面)とは反対側の表面(下面)に設けられている。
【0053】
配線層20050は、配線20051と絶縁層20052とを含み、絶縁層20052内において、配線20051が各素子に電気的に接続するように形成されている。配線層20050は、いわゆる多層配線の層になっており、絶縁層20052を構成する層間絶縁膜と配線20051とが交互に複数回積層されて形成されている。ここでは、配線20051としては、転送Tr等のPD20019から電荷を読み出すためのTrへの配線や、VSL等の各配線が、絶縁層20052を介して積層されている。
【0054】
配線層20050の、PD20019が設けられている側に対して反対側の面には、基板接続用領域20061が設けられている。基板接続用領域20061は、キャパシタ20062と、電極20063と、層間絶縁膜20064とを含み、層間絶縁膜20064内において、キャパシタ20062の一方の電極が配線層20050の配線20051に電気的に接続するように構成されている。また、キャパシタ20062の他方の電極が電極20063に電気的に接続し、電極20063が基板接続用領域20061の裏面(図では下面)から露出するように構成されている。
図21では、電極20063として、基板接続用領域20061の裏面と同一面上に位置する平板状の電極パッド20065と、電極パッド20065の裏面(図では上面)からセンサ基板20000の厚さ方向(
図21の上方向)に伸びている柱状のビア20066とを含む場合を例示している。基板接続用領域20061は、ロジックジッチップの電極(図示せず)と電極20063とが重なるように、ロジック基板の基板接続用領域(図示せず)と接合されている。
【0055】
遮光膜20014は、半導体基板20018の裏面(図では上面)の側に設けられている。
【0056】
遮光膜20014は、半導体基板20018の上方から半導体基板20018の裏面へ向かう入射光20001の一部を、遮光するように構成されている。
【0057】
遮光膜20014は、半導体基板20018の内部に設けられた画素分離部20030の上方に設けられている。ここでは、遮光膜20014は、半導体基板20018の裏面(上面)上において、シリコン酸化膜等の絶縁膜20015を介して、凸形状に突き出るように設けられている。これに対して、半導体基板20018の内部に設けられたPD20019の上方においては、PD20019に入射光20001が入射するように、遮光膜20014は、設けられておらず、開口している。
【0058】
つまり、図中、上面側から、固体撮像装置を見た場合、遮光膜20014の平面形状は、格子状になっており、入射光20001が受光面20017へ通過する開口が形成されている。
【0059】
遮光膜20014は、光を遮光する遮光材料で形成されている。例えば、チタン(Ti)膜とタングステン(W)膜とを、順次、積層することで、遮光膜20014が形成されている。この他に、遮光膜20014は、例えば、窒化チタン(TiN)膜とタングステン(W)膜とを、順次、積層することで形成することができる。
【0060】
遮光膜20014は、平坦化膜20013によって被覆されている。平坦化膜20013は、光を透過する絶縁材料を用いて形成されている。
画素分離部20030は、溝部20031、固定電荷膜20032、及び、絶縁膜20033を有する。
【0061】
固定電荷膜20032は、半導体基板20018の裏面(上面)の側において、複数の画素20010の間を区画している溝部20031を覆うように形成されている。
【0062】
具体的には、固定電荷膜20032は、半導体基板20018において裏面(上面)側に形成された溝部20031の内側の面を一定の厚みで被覆するように設けられている。そして、その固定電荷膜20032で被覆された溝部20031の内部を埋め込むように、絶縁膜20033が設けられている(充填されている)。
【0063】
ここでは、固定電荷膜20032は、半導体基板20018との界面部分において正電荷(ホール)蓄積領域が形成されて暗電流の発生が抑制されるように、負の固定電荷を有する高誘電体を用いて形成されている。固定電荷膜20032が負の固定電荷を有するように形成されていることで、その負の固定電荷によって、半導体基板20018との界面に電界が加わり、正電荷(ホール)蓄積領域が形成される。
【0064】
固定電荷膜20032は、例えば、ハフニウム酸化膜(HfO2膜)で形成することができる。また、固定電荷膜20032は、その他、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、チタン、マグネシウム、イットリウム、ランタノイド元素等の酸化物の少なくとも1つを含むように形成することができる。
【0065】
以上、本開示に係る技術が適用され得る固体撮像装置の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、センサ基板20000に適用され得る。具体的には、
図1の第1キャパシタ10は
図21のキャパシタ20062に適用でき、
図1の第1電極7は
図21の電極20063に適用できる。センサ基板20000に本開示に係る技術を適用することにより、接合プロセスによるキャパシタの性能劣化を抑制できるため、より良好な撮影画像を得ることができる。
【0066】
[2-3 変形例]
また、本技術は、グローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置に適用されてもよい。本変形例に係る固体撮像装置の全体構成は、
図20と同様であるから図示を省略する。
図22は、本変形例に係る固体撮像装置101の1画素分の断面図である。
図22に示すように、固体撮像装置101は、光電変換部PDが形成された第1基板180と、電荷蓄積容量部153及び複数のMOSトランジスタが形成された第2基板181とを有して構成されている。そして、第1基板180及び第2基板181は、積層して張り合わされた構成とされている。また、光電変換部PDが形成された第1基板180側が、光Lが入射される光入射面を構成しており、第1基板180の光入射面上には、カラーフィルタ159、及びオンチップレンズ160が形成されている。
【0067】
図23A及び
図23Bを用いて、第1基板180及び第2基板181の構成について詳述する。
まず、第1基板180について説明する。
第1基板180は、
図23Aに示すように、光電変換部PDと、第1転送トランジスタTr1のドレインとされる不純物領域116が形成された半導体基板112と、その半導体基板112上部に形成された、多層配線層117と、その多層配線層117上部に形成された基板接続用領域190とから構成されている。
【0068】
半導体基板112は、N型のシリコン基板により形成され、その半導体基板112上部には、P型ウェル層113が形成されている。P型ウェル層113は半導体基板112にP型の不純物をイオン注入することにより形成することができる。
【0069】
光電変換部PDは、P型ウェル層113に形成されたN型ウェル層114と、N型ウェル層114に接する領域であって、P型ウェル層113の表面側に形成されたP+型不純物領域115により構成されている。N型ウェル層114は、P型ウェル層113の所望の領域にN型の不純物をイオン注入することにより形成されている。また、P+型不純物領域115は、P型ウェル層113の所望の領域にP型の不純物を高濃度にイオン注入することにより形成されている。この光電変換部PDにおいては、P+型不純物領域115とN型ウェル層114とのpn接合、及びN型ウェル層114とP型ウェル層113とのpn接合の効果によりHAD(Hole Accumulation Diode:登録商標)構造が構成される。
このような構成を有する光電変換部PDでは、入射した光Lの光量に応じた信号電荷が生成され、P+型不純物領域115とN型ウェル層114との間に形成された空乏層に光電変換された信号電荷が蓄積される。
【0070】
不純物領域116は、P型ウェル層113表面側であって、光電変換部PDから所定の距離だけ離した領域に形成されており、光電変換部PDから転送されてくる信号電荷を一時的に蓄積する領域とされる。この不純物領域116は、P型ウェル層113の所望の領域にN型の不純物を高濃度にイオン注入することにより形成される。
本変形例では、光電変換部PDと不純物領域116との間の領域が、第1転送トランジスタTr1のチャネル部とされる。
【0071】
多層配線層117は、半導体基板112の、光電変換部PDや不純物領域116が形成されたP型ウェル層113上部に形成されている。多層配線層117では、第1転送トランジスタTr1を構成するゲート電極119と、ゲート電極119上部に形成される第1配線層M1とが、層間絶縁膜118を介して積層されて構成されている。
ゲート電極119は、P型ウェル層113に形成された光電変換部PDと不純物領域116との間のチャネル部上部に、図示しないゲート絶縁膜を介して形成されている。
第1配線層M1では、第1接続配線123と第2接続配線122とがそれぞれ構成されている。第1接続配線123は、層間絶縁膜118に形成されたコンタクト部121を介して不純物領域116に接続されている。また、第2接続配線122は、層間絶縁膜118に形成されたコンタクト部120を介してゲート電極119に接続されている。
【0072】
基板接続用領域190は、多層配線層117の、第1配線層M1上部に形成されている。基板接続用領域190では、第1配線層M1上部に第2配線層M2が層間絶縁膜191を介して積層されて構成されている。
第2配線層M2では、第1接続電極127と第2接続電極126とがそれぞれ構成されており、第1接続電極127及び第2接続電極126は、多層配線層117表面に露出して形成されている。第1接続電極127は、層間絶縁膜191に形成されたコンタクト部124を介して、第1配線層M1からなる第1接続配線123に接続されている。また、第2接続電極126は、層間絶縁膜191に形成されたコンタクト部125を介して、第1配線層M1からなる第2接続配線122に接続されている。
【0073】
以上の構成を有する第1基板180においては、半導体基板112の第1接続電極127、第2接続電極126が形成される側とは反対側が光入射側とされる。
【0074】
次に、第2基板181について説明する。
第2基板181は、
図23Bに示すように、複数のMOSトランジスタのソース・ドレインとされる不純物領域130、131、132、134、135が形成された半導体基板128と、その半導体基板128上部に形成された多層配線層136と、その多層配線層136の上部に形成された基板接続用領域195とから構成されている。そして、基板接続用領域195には、電荷蓄積容量部153が形成されている。本変形例において、第2基板181において形成される複数のMOSトランジスタは、第2転送トランジスタTr2と、リセットトランジスタTr3と、増幅トランジスタTr4と、選択トランジスタTr5である。
【0075】
半導体基板128は、N型のシリコン基板により形成され、この半導体基板128上部には、P型ウェル層129が形成されている。P型ウェル層129は半導体基板128にP型の不純物をイオン注入することにより形成することができる。
第2転送トランジスタTr2、リセットトランジスタTr3、増幅トランジスタTr4、選択トランジスタTr5を構成する各不純物領域130、131、132、134、135は、P型ウェル層129表面側の所望の領域に、それぞれ形成されている。これらの不純物領域130、131、132、134、135は、P型ウェル層129の所望の領域にN型の不純物を高濃度にイオン注入することにより形成されるものである。
【0076】
不純物領域130は、第2転送トランジスタTr2のソースとされる。また、不純物領域131は、第2転送トランジスタTr2のドレインと、リセットトランジスタTr3のソースに共用され、信号電荷が読み出されるフローティングディフュージョン領域として用いられる。また、不純物領域132は、リセットトランジスタTr3のドレインと、増幅トランジスタTr4のソースに共用される。また、不純物領域134は、増幅トランジスタTr4のドレインと、選択トランジスタTr5のソースに共用される。また、不純物領域135は、選択トランジスタTr5のドレインとされる。そして、各不純物領域130、131、132、134、135間のP型ウェル層129領域は、各MOSトランジスタを構成するチャネル部とされる。
【0077】
多層配線層136は、半導体基板128の、不純物領域130、131、132、134、135が形成されたP型ウェル層129上部に形成されている。多層配線層136では、各MOSトランジスタを構成するゲート電極138、139、140、141と、第1配線層M1’と、第2配線層M2’とが、層間絶縁膜137を介して積層されて構成されている。
【0078】
各ゲート電極138、139、140、141は、各MOSトランジスタを構成するチャネル部上に、図示しないゲート絶縁膜を介して形成されている。不純物領域130と不純物領域131間のP型ウェル層129上部に形成されるゲート電極138は、第2転送トランジスタTr2のゲート電極138とされる。また、不純物領域131と不純物領域132間のP型ウェル層129上部に形成されるゲート電極139は、リセットトランジスタTr3のゲート電極とされる。また、不純物領域132と不純物領域134間のP型ウェル層129上部に形成されるゲート電極140は、増幅トランジスタTr4のゲート電極とされる。また、不純物領域134と不純物領域135間のP型ウェル層129上部に形成されるゲート電極141は、選択トランジスタTr5のゲート電極とされる。
【0079】
第1配線層M1’は、ゲート電極138、139、140、141上部に層間絶縁膜137を介して形成されており、この第1配線層M1’では第1接続配線150、第2接続配線149、選択配線148、及び垂直信号線109(
図20参照)がそれぞれ構成されている。第1接続配線150は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクト部142を介して、第2転送トランジスタTr2のソースとされる不純物領域130に接続されている。第2接続配線149は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクト部143、144を介して、それぞれ不純物領域131及び増幅トランジスタTr4のゲート電極140に接続されている。すなわち、第2接続配線149により、フローティングディフュージョン領域である不純物領域131と増幅トランジスタTr4のゲート電極140は電気的に接続されている。また、選択配線148は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクト部145を介して選択トランジスタTr5のゲート電極141に接続されている。そして、選択トランジスタTr5のゲート電極141には、選択配線148から、選択パルスが供給される。また、垂直信号線109(
図20参照)は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクト部146を介して、選択トランジスタTr5のドレインである不純物領域135に接続されている。
【0080】
第2配線層M2’では、第3接続配線152、及び第4接続配線151が構成されている。第3接続配線152は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクト部147を介して第1接続配線150に接続されている。また、第4接続配線151は、所定の領域に延在して形成されている。また、この第4接続配線151には、図示しない第2基板181の多層配線層136に形成された第1転送配線が接続されており、第1転送配線から第4接続配線151には、第1転送パルスが供給される。
【0081】
基板接続用領域195は、多層配線層136の、第3接続配線152及び第4接続配線151上部に形成されている。基板接続用領域195では、第2配線層M2’の第3接続配線152及び第4接続配線151上部には、電荷蓄積容量部153が形成され、第3配線層M3’は、電荷蓄積容量部153を介して第2配線層M2’上部に形成されている。すなわち、電荷蓄積容量部153は、第2配線層M2’と第3配線層M3’の間に挟まれて構成されている。この電荷蓄積容量部153としては、MIM構造のキャパシタを用いることができる。
【0082】
第3配線層M3’では、第1接続電極156と第2接続電極157とがそれぞれ構成されており、第1接続電極156及び第2接続電極157は、基板接続用領域195表面に露出して形成されている。第1接続電極156は、層間絶縁膜196に形成されたコンタクト部155を介して、第2配線層M2’からなる第3接続配線152に接続され、また、電荷蓄積容量部153を介して、第2配線層M2’からなる第4接続配線151上部に延在して形成されている。また、第2接続電極157は、層間絶縁膜196に形成されたコンタクト部154を介して、第2配線層M2’からなる第4接続配線151に接続されている。
【0083】
なお、
図23Bにおいては図示を省略するが、第2転送トランジスタTr2のゲート電極138には、第2転送パルスを供給するための第2転送配線が接続されている。同じく、リセットトランジスタTr3のゲート電極139にも、リセットパルスを供給するためのリセット配線が接続されている。そして、これらの第2転送配線及びリセット配線は多層配線層136に形成されている所望の配線層によって形成されている。
【0084】
そして、本変形例の固体撮像装置101は、第2基板181上部に、第1基板180及び第2基板181の互いの第1接続電極156、127、及び第2接続電極157、126同士が接続されるように第1基板180が積層された構成とされている。そして、第1基板180と第2基板181が張り合わされることにより、第1転送トランジスタTr1を構成する不純物領域116と、電荷蓄積容量部153と、第2転送トランジスタTr2を構成する不純物領域130が電気的に接続される。また、本変形例の固体撮像装置101では、第1基板180と第2基板181が積層されて張り合わされることにより、光電変換部PDと電荷蓄積容量部153が立体的に積層される。
【0085】
また、本変形例の固体撮像装置101では、第1接続電極156は遮光膜を兼ねるものであり、第2転送トランジスタTr2のソースとなる不純物領域130は第1接続電極156に遮光されている。このため、不純物領域130への光の入射が抑制され、不要な信号電荷の発生が抑制されるので、混色が低減される。そしてこの場合、光電変換部PDの開口部分を除く全ての領域が遮光されることが好ましい。
【0086】
次に、
図24を用いて、本変形例の固体撮像装置101の駆動方法について説明する。
図24は、本変形例の固体撮像装置101の1画素分の回路構成であり、
図25は、隣接する2行2列、4画素分の回路構成である。
【0087】
図24の線aは、第1基板180に形成された第1接続電極127及び第2接続電極126と、第2基板181に形成された第1接続電極156と第2接続電極157との電極接続面である。
【0088】
光電変換部PDであるフォトダイオードのアノード側は接地され、カソード側は、第1転送トランジスタTr1のソースに接続されている。また、
図22では図示を省略しているが、
図24、
図25に示すように、第1基板180には、光電変換部用リセットトランジスタTr6が構成されており、光電変換部PDのカソード側には、光電変換部用リセットトランジスタTr6のドレインが接続されている。光電変換部用リセットトランジスタTr6のソースには電源電圧VDDを印加するための電源電圧配線185が接続されている。また、光電変換部用リセットトランジスタTr6のゲート電極162にはリセットパルスφPDRSTを供給するためのリセット配線175が接続されている。
【0089】
第1転送トランジスタTr1のドレインは、電荷蓄積容量部153の一方の電極に接続された第1接続電極156を介して、第2転送トランジスタTr2のソースに接続されている。第1転送トランジスタTr1のゲート電極119には、第1転送パルスφTRG1が供給される第1転送配線184が接続されている。また、第1転送配線184は、電荷蓄積容量部153の他方の電極に接続された第4接続配線151に接続されている。
【0090】
第2転送トランジスタTr2のドレインは、リセットトランジスタTr3のソースに接続されるとともに、増幅トランジスタTr4のゲート電極140に接続されている。第2転送トランジスタTr2のゲート電極138には第2転送パルスφTRG2が供給するための第2転送配線163が接続されている。
【0091】
リセットトランジスタTr3のドレインには電源電圧VDDを印加するための電源電圧配線188が接続されており、リセットトランジスタTr3のゲート電極139にはリセットパルスφRSTを供給するためのリセット配線164が接続されている。
【0092】
増幅トランジスタTr4のソースには電源電圧VDDを印加するための電源電圧配線188が接続されており、増幅トランジスタTr4のドレインは選択トランジスタTr5のソースに接続されている。
【0093】
選択トランジスタTr5のゲート電極141には選択パルスφSELを供給するための選択配線148が接続されており、選択トランジスタTr5のドレインは垂直信号線109(
図20参照)に接続されている。
【0094】
そして、
図25に示すように、画素102が二次元マトリクス状に配列される固体撮像装置101においては、各ゲート電極138、139、141に行毎に共通の第2転送配線163、リセット配線164、選択配線148が接続される。そして、各ゲート電極138、139、141に入力される第2転送パルスφTRG2、リセットパルスφRST、選択パルスφSELは、垂直駆動回路104から供給されている。また、図示しないが光電変換部用リセットトランジスタTr6のゲート電極162に供給されるリセットパルスφPDRST、第1転送トランジスタTr1のゲート電極119に供給される第1転送パルスφTRG1も垂直駆動回路104により供給される。
【0095】
また、選択トランジスタTr5のドレインには列ごとに共通の垂直信号線109(
図20参照)が接続される。
垂直信号線109の後段には、列ごとに設けられたカラム信号処理回路105が接続されている。そして、カラム信号処理回路105の後段には水平駆動回路106からの水平選択パルスが入力される水平トランジスタTr7が接続されている。
【0096】
次に、以上の回路構成を有する固体撮像装置101における駆動方法を、
図26に示すタイミングチャート及び、
図25の回路構成を用いて説明する。
【0097】
まず、リセットパルスφPDRSTをハイにして、全画素の光電変換部用リセットトランジスタTr6を同時にオンすることにより、全画素の光電変換部PDの電位を電源電圧VDDと同電位になるようにリセットする。すなわち、この動作により、全画素の光電変換部PDに貯まっていた不要な電荷が排出され、光電変換部PDの電位が一定値(VDD)にリセットされる。
【0098】
次に、リセットパルスφPDRSTをローにして、全画素の光電変換部用リセットトランジスタTr6を同時にオフし、全画素の光電変換部PDにおいて信号電荷の生成・蓄積を開始する。信号電荷は、光電変換部PDに入射した光の光量に応じて生成され、生成された信号電荷は、光電変換部PDにおけるpn接合の効果によりできる電位の井戸に蓄積される。このとき、電荷蓄積容量部153に貯まっていた信号電荷は、前の読み出し時に順次読み出されて電荷蓄積容量部153は空になっていると仮定するが、別途、電荷蓄積容量部153をリセットするタイミングを設けてもよい。
【0099】
次いで、リセットパルスφPDRSTをローにしてから所定の蓄積時間を経過する前に、第1転送パルスφTRG1をハイにして、全画素の第1転送トランジスタTr1を同時にオンして、光電変換部PDに貯まっている信号電荷を不純物領域116に転送する。そうすると、不純物領域116、不純物領域130、及び電荷蓄積容量部153は電気的に接続されているので、信号電荷は第1基板180に形成された不純物領域116、不純物領域130、及び電荷蓄積容量部153に一時的に蓄積される。また、このように第1転送パルスφTRG1がハイになっている間は、信号電荷は、電荷蓄積容量部153に主に蓄積されている。
【0100】
その後、第1転送パルスφTRG1をローにして全画素の第1転送トランジスタTr1をオフすることにより、主に電荷蓄積容量部153に蓄積されていた信号電荷が、不純物領域116及び不純物領域130の空乏層に転送される。
図26に示すように、リセットパルスφPDRSTをローにしてから第1転送パルスφTRG1を再度ローにするまでの時間が蓄積露光時間(電子シャッタの時間)となる。なお、第1転送パルスφTRG1をハイにして、光電変換部PDから電荷蓄積容量部153へ信号電荷を転送する際には、第1転送パルスφTRG1の電位は、光電変換部PDからの信号電荷を完全転送できる電位にする。
【0101】
次に、リセットパルスφPDRSTをハイにして、全画素の光電変換部用リセットトランジスタTr6をオンして光電変換部PDをリセットする。これにより、電荷蓄積容量部153に貯まっている信号電荷を読み出す間に、光電変換部PDに蓄積され、光電変換部PDの最大蓄積電荷量を超えた分の信号電荷が、電荷蓄積容量部153へ溢れてしまうのを防ぐ。あるいは、次の信号電荷の蓄積に備えて、光電変換部PDを電源電圧VDDと同電位にリセットする。電荷蓄積容量部153や、不純物領域116、130に信号電荷を蓄積している間は、第1転送パルスφTRG1の電位として、電荷蓄積容量部153の表面に反転層を形成するような電位を加えてもよい。これにより、信号電荷の蓄積中に、暗電流の発生を抑制することができる。
【0102】
その後、選択パルスφSEL(1)をハイにして、1行目の選択トランジスタTr5をオンし、1行目の画素102を選択する。この1行目の選択パルスφSEL(1)をハイにした状態において、リセットパルスφRST(1)をハイにして、1行目のリセットトランジスタTr3をオンする。これにより、増幅トランジスタTr4のゲート電極140に接続されているフローティングディフュージョン領域となる不純物領域131の電位が電源電圧VDDと同電位にリセットされる。このとき、増幅トランジスタTr4のリセット時出力は、垂直信号線109(
図20参照)を介してカラム信号処理回路105に保存される。
【0103】
次いで、第2転送パルスφTRG2(1)をハイにして、1行目の画素102の第2転送トランジスタTr2をオンし、1行目の画素102の不純物領域130、及び不純物領域116にある信号電荷をフローティングディフュージョン領域である不純物領域131に転送する。このとき、第2転送パルスφTRG2(1)の電位は、不純物領域130、及び不純物領域116から不純物領域131へ信号電荷を完全転送できる電位にする。不純物領域131に信号電荷が読み出されることにより、フローティングディフュージョン領域である不純物領域131の電位が変化し、その電位変化に応じた信号電圧が増幅トランジスタTr4のゲート電極140に印加される。そして、増幅トランジスタTr4により増幅された信号電圧が、垂直信号線109(
図20参照)に出力される。
【0104】
そして、垂直信号線109(
図20参照)に出力された信号電圧は、カラム信号処理回路105へ送られる。カラム信号処理回路105では、先ほど保存されたリセット時出力と、増幅された信号電圧との差を1行目の画素102の画素信号として出力する。そして、これらの1行目の画素102の画素信号は、水平駆動回路106により水平トランジスタTr7を順次オンすることにより、出力回路107(
図20参照)を経て出力端子Voutからシリアルに出力される。
【0105】
その後、選択パルスφSEL(1)をローにした後、選択パルスφSEL(2)をハイにして、2行目の選択トランジスタTr5をオンし、2行目の画素102を選択する。この2行目の選択トランジスタTr5の選択パルスφSEL(2)をハイにした状態において第2転送パルスφTRG2(2)、リセットパルスφRST(2)の状態を、1行目の第2転送パルスφTRG2(1)、リセットパルスφRST(1)と同様に駆動する。これにより、2行目の画素102に関して、先に説明した1行面と同様の読み出し動作が行われる。
【0106】
以上の説明からわかるように、本変形例の固体撮像装置101では、光電変換部PDにおいて信号電荷を生成、蓄積する蓄積露光時間は全画素同時刻に行われる。すなわち、各画素102が、電荷蓄積容量部153を保有することで、全画素同時の電子シャッタ動作(グローバルシャッタ動作)を行うことができる。そして、全画素同時刻に蓄積された信号電荷は、それぞれの電荷蓄積容量部153で蓄積保持され、ライン順次で、不純物領域131に読み出され、信号電荷の電位に応じて増幅された信号電圧が垂直信号線109(
図20参照)を介して出力される。
【0107】
以上、本開示に係る技術が適用され得る固体撮像装置の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、第1基板180、第2基板181、第1接続電極127、第1接続電極156及び電荷蓄積容量部153に適用され得る。具体的には、
図1の第1基板2は
図22の第1基板180に適用でき、
図1の第2基板3は第2基板181に適用でき、
図1の第1電極パッド8は
図22の第1接続電極127に適用でき、
図1の第2電極17は
図22の第1接続電極156に適用でき、
図1の第2キャパシタ20は
図22の電荷蓄積容量部153に適用することができる。これにより、
図1の第2キャパシタ20によって、グローバルシャッター動作の実行時に光電変換部PDで生成される信号電荷を蓄積するための電荷蓄積容量部153を構成することができる。第1基板180、第2基板181、第1接続電極127、第1接続電極156及び電荷蓄積容量部153に本開示に係る技術を適用することにより、接合プロセスによるキャパシタ(電荷蓄積容量部153)の性能劣化を抑制できるため、より良好な撮影画像を得ることができる。
【0108】
なお、本変形例では、電荷蓄積容量部153を第2基板181の基板接続用領域195に形成する例を示したが他の構成を採用することもできる。例えば、第1基板180の基板接続用領域190に形成してもよい。基板接続用領域190に形成する場合には、
図1の第1キャパシタ10を電荷蓄積容量部153に適用することができる。これにより、
図1の第1キャパシタ10によって、グローバルシャッター動作の実行時に光電変換部PDで生成される信号電荷を蓄積するための電荷蓄積容量部153を構成することができる。
【0109】
<3.電子機器への適用例>
本開示に係る技術(本技術)は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、又は、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用されてもよい。
図27は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る電子機器としての撮像装置の概略的な構成の一例を示す図である。
図27に示すように、撮像装置201は、光学系202、シャッタ装置203、固体撮像素子204、駆動回路205、信号処理回路206、モニタ207、及びメモリ208を備えて構成され、静止画像及び動画像を撮像可能である。
光学系202は、1枚又は複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの光(入射光)を固体撮像素子204に導き、固体撮像素子204の受光面に結像させる。
シャッタ装置203は、光学系202及び固体撮像素子204の間に配置され、駆動回路205の制御に従って、固体撮像素子204への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0110】
固体撮像素子204は、上述の固体撮像素子204を含むパッケージにより構成される。固体撮像素子204は、光学系202及びシャッタ装置203を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間信号電荷を蓄積する。固体撮像素子204に蓄積された信号電荷は、駆動回路205から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
駆動回路205は、固体撮像素子204の転送動作、及びシャッタ装置203のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、固体撮像素子204及びシャッタ装置203を駆動する。
信号処理回路206は、固体撮像素子204から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路206が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ207に供給されて表示されたり、メモリ208に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0111】
以上、本開示に係る技術が適用され得る電子機器(撮像装置)の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、固体撮像素子204に適用され得る。具体的には、
図21及び
図22のイメージセンサは、固体撮像素子204に適用できる。固体撮像素子204に本開示に係る技術を適用することにより、接合プロセスによるキャパシタの性能劣化を抑制できるため、より良好な撮影画像を得ることができる。
【0112】
<4.移動体への適用例>
本開示に係る技術(本技術)は、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置に適用されてもよい。
【0113】
図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0114】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図28に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0115】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0116】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0117】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0118】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0119】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0120】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0121】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0122】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0123】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図28の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0124】
図29は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0125】
図29では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0126】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0127】
なお、
図29には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112、12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102、12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0128】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0129】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0130】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0131】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0132】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、
図21及び
図22のイメージセンサは、撮像部12031に適用できる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、接合プロセスによるキャパシタの性能劣化を抑制できるため、より良好な撮影画像を得ることができ、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0133】
<5.内視鏡手術システムへの適用例>
本開示に係る技術(本技術)は、例えば、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0134】
図30は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0135】
図30では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0136】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0137】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0138】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0139】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0140】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0141】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0142】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0143】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0144】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0145】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0146】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0147】
図31は、
図30に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0148】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0149】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0150】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0151】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0152】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0153】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0154】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0155】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0156】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0157】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0158】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0159】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0160】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0161】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0162】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0163】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0164】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。具体的には、
図21及び
図22のイメージセンサは、撮像部11402に適用できる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、接合プロセスによるキャパシタの性能劣化を抑制できるため、より鮮明な術部画像を得ることができ、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0165】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0166】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)
第1基板と、
前記第1基板に接合された第2基板と、
前記第1基板内に設けられ、一方の表面が前記第1基板と前記第2基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、
前記第2基板内に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、
前記第1基板内に設けられ、一方の電極が前記第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及び前記第2基板内に設けられ、一方の電極が前記第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方とを備える
半導体装置。
(2)
前記第1電極及び前記第2電極は、純銅製又は銅合金製の銅電極である
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記第1電極は、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置する第1電極パッドと、前記第1電極パッドの他方の表面から伸びている第1ビアとを備え、
前記第2電極は、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置する第2電極パッドと、前記第2電極パッドの他方の表面から伸びている第2ビアとを備える
前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれを複数備え、
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方を複数備え、
複数の前記第1キャパシタの2つ以上、又は複数の前記第2キャパシタの2つ以上が同一の配線に電気的に接続されている
前記(1)から(3)の何れかに記載の半導体装置。
(5)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、互いに対向している2つの電極、及びそれら2つの電極間に配置された絶縁膜を含む
前記(1)から(4)の何れかに記載の半導体装置。
(6)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、前記電極と前記絶縁膜とが交互に繰り返し配置された多層構造を形成している
前記(1)から(4)の何れかに記載の半導体装置。
(7)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくとも一方は、底部と、前記底部の縁部から前記底部と交差する方向に伸びている側壁部とを備えている
前記(1)から(4)の何れかに記載の半導体装置。
(8)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの電極の材料は、タンタル、タンタルナイトライド、チタン、チタンナイトライド、タングステンナイトライド、ジルコニウムナイトライド又はコバルトである
前記(1)から(7)の何れかに記載の半導体装置。
(9)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの絶縁膜は、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン及び酸化ジルコニウムの何れかからなる単層膜、又はこれらを組み合わせてなる多層膜である
前記(1)から(8)の何れかに記載の半導体装置。
(10)
複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、
前記センサ基板に接合され、前記光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、
前記センサ基板内に設けられ、一方の表面が前記センサ基板と前記ロジック基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、
前記ロジック基板内に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、
前記センサ基板内に設けられ、一方の電極が前記第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及び前記ロジック基板内に設けられ、一方の電極が前記第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える
固体撮像装置。
(11)
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの少なくと一方が、グローバルシャッター動作の実行時に前記光電変換部で生成される信号電荷を蓄積するための電荷蓄積容量部を構成する
前記(10)に記載の固体撮像装置。
(12)
複数の光電変換部が配列されたセンサ基板と、前記センサ基板に接合され、前記光電変換部からの電気信号を処理する回路を集積したロジック基板と、前記センサ基板内に設けられ、一方の表面が前記センサ基板と前記ロジック基板との接合面と同一面上に位置する第1電極と、前記ロジック基板内に設けられ、一方の表面が前記接合面と同一面上に位置し且つ前記第1電極の一方の表面に接合された第2電極と、前記センサ基板内に設けられ、一方の電極が前記第1電極の他方の表面に電気的に接続された第1キャパシタ、及び前記ロジック基板内に設けられ、一方の電極が前記第2電極の他方の表面に電気的に接続された第2キャパシタの少なくとも一方と、を備える固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、を備える
電子機器。
【符号の説明】
【0167】
1…半導体装置、2…第1基板、3…第2基板、4…層間絶縁膜、5a…第1配線層、5b…第2配線層、5c…第3配線層、5d…第4配線層、6…層間絶縁膜、7、7a、7b…第1電極、8…第1電極パッド、9…第1ビア、10…第1キャパシタ、11…電極、12…電極、13…絶縁膜、14…層間絶縁膜、15a…第1配線層、15b…第2配線層、15c…第3配線層、15d…第4配線層、15e…第5配線層、15f…第6配線層、16…層間絶縁膜、17、17a、17b…第2電極、18…第2電極パッド、19…第2ビア、20…第2キャパシタ、21…電極、22…電極、23…絶縁膜、24…基板接続用領域、25…画素領域、26…I/O部、27…ドライバ、28、29…絶縁膜、30、30a~30e…電極、31、32…絶縁膜、33…底部、34、35…側壁部、36…カラーフィルタ、37…マイクロレンズ