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  • 特許-管内落下防止装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】管内落下防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20250217BHJP
   E04G 3/24 20060101ALI20250217BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
E04G5/00 301Z
E04G3/24 301Z
E04G21/32 A
E04G21/32 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022068909
(22)【出願日】2022-04-19
(65)【公開番号】P2023158875
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2024-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000178011
【氏名又は名称】山九株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591267143
【氏名又は名称】株式会社カシワバラ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】片重 竜生
【審査官】眞壁 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-29016(JP,A)
【文献】実開昭61-141458(JP,U)
【文献】特開平8-145331(JP,A)
【文献】実開昭55-109739(JP,U)
【文献】米国特許第5167299(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 3/24 - 3/30
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜して配置される管路の内部での作業時に、作業位置より下流側の位置で前記管路の内部に着脱可能に固定される管内落下防止装置であって、
本体フレームと、該本体フレームの半径方向外側の円周上に配置され前記管路の内周面に接地する複数の移動輪と、前記本体フレームに放射状に取付けられ、先側が該本体フレームの半径方向外側に突出して前記管路の内周面に当接する複数のストッパー部と、使用時に前記管路の上流側となる前記本体フレームの正面側に取付けられたカバー部と、前記本体フレームの正面側に取付けられ、一端部が前記管路の上流側に固定される吊り下げ兼移動用連結材の他端部が連結される複数の連結具とを備えたことを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の管内落下防止装置において、前記本体フレームの半径方向外側に突出する前記各ストッパー部の先側の突出量が可変であることを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項3】
請求項1記載の管内落下防止装置において、前記各ストッパー部の基側が、前記本体フレームに設けられた軸支部に回動可能に保持され、該各ストッパー部は、前記軸支部を中心に揺動可能であり、前記本体フレームが前記管路の軸方向に沿って下流側から上流側に向かって移動する際に、初期固定位置から前記本体フレームの背面側に向かって揺動し、該本体フレームの半径方向外側に突出する先側の突出量が減少することを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項4】
請求項3記載の管内落下防止装置において、前記各ストッパー部の基側に、該各ストッパー部の揺動を隣り合う他の前記ストッパー部に伝達する揺動伝達部を備えたことを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項5】
請求項4記載の管内落下防止装置において、いずれか1つの前記ストッパー部に連結され、前記各ストッパー部をそれぞれの前記軸支部を中心に揺動させ、前記各ストッパー部の前記初期固定位置を調整する初期位置調整用駆動部を備えたことを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1記載の管内落下防止装置において、前記本体フレームに、換気用送風機が取付けられていることを特徴とする管内落下防止装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1記載の管内落下防止装置において、前記本体フレーム及び前記カバー部に、前記管路の底部内側に設置される階段状仮設足場の位置に対応して切り欠きが形成されていることを特徴とする管内落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に傾斜して配置される管路の内部での作業時に用いられる管内落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水力発電所における水圧管路等のように、水が流れる管路は複数の管体が連結され傾斜して配置されているため、管路の内部で、隣り合う管体の接合やそれぞれの管体内面の塗装等の作業が行われる際には、管路(管体)の内部に足場が組まれ、作業者はその足場上を移動して作業を行っている。例えば、特許文献1の水圧管路更新方法においても、水圧管路が設置される傾斜面上で、輪切り状態の新規鉄管(管体)が順次接続されており、傾斜配置された鉄管内で鉄管同士の溶接作業が発生するため、従来と同様に、鉄管内に仮設の作業足場が設置される。管路の内部での作業に際して用いられる管内作業用足場として、例えば、特許文献2には、梯子部と梯子部に連結された内面バンドを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2020-206911号
【文献】特開2020-169522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2では、内面バンドは、周方向外側に向けて付勢された環状部材であり、この内面バンドが管部材(管体)の内面に当接することによって、内面バンドと連結された梯子部が管部材内部の一定の位置に固定されるものであって、摩擦力のみに頼った固定であるため、固定の確実性及び安定性に欠けるという課題がある。また、足場が確実に固定されたとしても、作業者並びに使用される機材及び工具等の落下を防止することはできず、安全性に欠けるという課題もある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、管路の内部をスムーズに移動することができ、所望の位置に簡単かつ確実に固定可能で、管路の内部で作業する作業者並びに管路の内部で使用される機材及び工具等が管路の下流側に落下することを防止する安全性に優れた管内落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る管内落下防止装置は、傾斜して配置される管路の内部での作業時に、作業位置より下流側の位置で前記管路の内部に着脱可能に固定される管内落下防止装置であって、
本体フレームと、該本体フレームの半径方向外側の円周上に配置され前記管路の内周面に接地する複数の移動輪と、前記本体フレームに放射状に取付けられ、先側が該本体フレームの半径方向外側に突出して前記管路の内周面に当接する複数のストッパー部と、使用時に前記管路の上流側となる前記本体フレームの正面側に取付けられたカバー部と、前記本体フレームの正面側に取付けられ、一端部が前記管路の上流側に固定される吊り下げ兼移動用連結材の他端部が連結される複数の連結具とを備える。
【0006】
本発明に係る管内落下防止装置において、前記本体フレームの半径方向外側に突出する前記各ストッパー部の先側の突出量が可変であることが好ましい。
【0007】
本発明に係る管内落下防止装置において、前記各ストッパー部の基側が、前記本体フレームに設けられた軸支部に回動可能に保持され、該各ストッパー部は、前記軸支部を中心に揺動可能であり、前記本体フレームが前記管路の軸方向に沿って下流側から上流側に向かって移動する際に、初期固定位置から前記本体フレームの背面側に向かって揺動し、該本体フレームの半径方向外側に突出する先側の突出量が減少することがさらに好ましい。
【0008】
本発明に係る管内落下防止装置において、前記各ストッパー部の基側に、該各ストッパー部の揺動を隣り合う他の前記ストッパー部に伝達する揺動伝達部を備えることができる。
【0009】
本発明に係る管内落下防止装置において、いずれか1つの前記ストッパー部に連結され、前記各ストッパー部をそれぞれの前記軸支部を中心に揺動させ、前記各ストッパー部の前記初期固定位置を調整する初期位置調整用駆動部を備えてもよい。
【0010】
本発明に係る管内落下防止装置において、前記本体フレームに、換気用送風機が取付けられることが好ましい。
【0011】
本発明に係る管内落下防止装置において、前記本体フレーム及び前記カバー部に、前記管路の底部内側に設置される階段状仮設足場の位置に対応して切り欠きが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る管内落下防止装置は、本体フレームの半径方向外側の円周上に配置され管路の内周面に接地する複数の移動輪を備えるので、管路の軸方向への移動をスムーズに行うことができる。また、本発明に係る管内落下防止装置は、先側が本体フレームの半径方向外側に突出して管路の内周面に当接する複数のストッパー部と、本体フレームの正面側に取付けられ、一端部が管路の上流側に連結される吊り下げ兼移動用連結材の他端部が連結される複数の連結具とを備えるので、管路の軸方向及び周方向への移動が防止され、管路への固定の確実性及び安定性に優れると共に、必要時には管路の軸方向に容易に移動させて所望位置に固定することができ、省力性に優れる。さらに、本発明に係る管内落下防止装置は、使用時に管路の上流側となる本体フレームの正面側に取付けられたカバー部を備えるので、管路の内部で作業する作業者並びに管路の内部で使用される機材及び工具等が管路の下流側に落下することを防止することができ、安全性に優れる。
【0013】
本発明に係る管内落下防止装置において、本体フレームの半径方向外側に突出する各ストッパー部の先側の突出量が可変である場合、管路の内径に応じて、各ストッパー部の先側の突出量を調整し、先側を管路の内周面に当接させて、本体フレームを確実に固定することができる。
【0014】
本発明に係る管内落下防止装置において、各ストッパー部の基側が、本体フレームに設けられた軸支部に回動可能に保持され、各ストッパー部が、軸支部を中心に揺動可能であり、本体フレームが管路の軸方向に沿って下流側から上流側に向かって移動する際に、初期固定位置から本体フレームの背面側に向かって揺動し、本体フレームの半径方向外側に突出する先側の突出量が減少する場合、本体フレームを管路の軸方向に沿って上流側に引っ張るだけで、各ストッパー部による固定を自動的に解除して、本体フレームを容易に移動させることができ、本体フレームを移動させた後は、再び各ストッパー部を初期固定位置に戻して、本体フレームを簡単かつ確実に固定することができる。
【0015】
本発明に係る管内落下防止装置において、各ストッパー部の基側に、各ストッパー部の揺動を隣り合う他のストッパー部に伝達する揺動伝達部を備える場合、複数のストッパー部を連動させて同時に揺動させることができ、本体フレームを短時間で確実に固定することができる。
【0016】
本発明に係る管内落下防止装置において、いずれか1つのストッパー部に連結され、各ストッパー部をそれぞれの軸支部を中心に揺動させ、各ストッパー部の初期固定位置を調整する初期位置調整用駆動部を備える場合、1つの初期位置調整用駆動部の駆動だけで、複数のストッパー部の初期固定位置が管路の内径に対応して簡単に調整される。
【0017】
本発明に係る管内落下防止装置において、本体フレームに、換気用送風機が取付けられている場合、管路の内部の換気が促進されて作業環境の安全性が高まる。
【0018】
本発明に係る管内落下防止装置において、本体フレーム及びカバー部に、管路の底部内側に設置される階段状仮設足場の位置に対応して切り欠きが形成されている場合、管内落下防止装置は、管路の軸方向に移動しても、階段状仮設足場に干渉することがなく、管路の内部での軸方向の取付け位置に制約を受けず、作業者の近傍にも取付けが可能で安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る管内落下防止装置の正面図である。
図2】同管内落下防止装置のカバー部の一部を省略した正面図である。
図3】同管内落下防止装置の側面図である。
図4】同管内落下防止装置のカバー部の一部を省略した正面側斜視図である。
図5】同管内落下防止装置の使用状態を示す部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図4に示す本発明の一実施の形態に係る管内落下防止装置10は、図5に示す水力発電所の水圧管路等のように主に傾斜して配置される管路11の内部での作業時に、その作業位置より下流側で管路11の内部に着脱可能に固定されて、管路11の内部で作業する作業者並びに管路11の内部で使用される機材及び工具等が管路11の下流側に落下することを防止するために用いられる。ここで、管路11は、図5に示すように、複数の管体11aが連結されたものである。
図1図4に示すように、管内落下防止装置10は、正面視して外形が円形状に形成された本体フレーム12を有し、本体フレーム12の半径方向外側の円周上には、管路11(管体11a)の内周面13に接地する複数(ここでは前後にそれぞれ円周方向に4つずつ(計8つ))の移動輪14(図2参照)が配置されている。また、管内落下防止装置10は、本体フレーム12に放射状に取付けられ、先側が本体フレーム12の半径方向外側に突出して管路11の内周面13に当接する複数(ここでは4つ)のストッパー部15と、使用時に管路11の上流側となる本体フレーム12の正面側に取付けられたカバー部16を備えている。更に、管内落下防止装置10は、本体フレーム12の正面側に取付けられ、一端部が管路11の上流側(ここでは最も上流側に位置する管体11aの上流側端部)に連結される吊り下げ兼移動用連結材18(図4図5参照)の他端部が連結される複数(ここでは4つ)の連結具19を備えている。なお、図2図4では、説明の都合上、カバー部16の一部(網目)を省略している。
【0021】
各ストッパー部15は、平行に配置された2本のアーム20の基側が連結軸21で連結された構造となっている。そして、各ストッパー部15の基側の連結軸21の両端部が、本体フレーム12に設けられた軸支部22に回動可能に保持されることにより、各ストッパー部15は、軸支部22(連結軸21)を中心に揺動可能となっている。従って、本体フレーム12の半径方向外側に突出する各ストッパー部15(アーム20)の先側の突出量は可変である。そして、各アーム20の先端には管路11の内周面13に当接する当接部23が回動可能に取付けられており、当接部23の表面には合成ゴム製の滑り止め24が貼着されている。管路11の内径に応じて、各ストッパー部15を揺動させ、本体フレーム12の半径方向外側への各ストッパー部15の先側の突出量を変化させると共に、当接部23を回動させて滑り止め24の表面を内周面13に密着させることにより、本体フレーム12が管路11に確実に固定される。
【0022】
各ストッパー部15は、それぞれの軸支部22を中心に、個別に(独立して)揺動可能でもよいが、本実施の形態では、各ストッパー部15の基側に、各ストッパー部15の揺動を隣り合う他の(両隣の)ストッパー部15に伝達する揺動伝達部25が設けられている。具体的には、隣り合うストッパー部15の基側で直角に交差する連結軸21の端部同士が互いに噛み合う2つのかさ歯車26(図3参照)を介して順次、連結され、4本の連結軸21の回動が同期して、全てのストッパー部15が連動して揺動する構造となっている。以上のように、本実施の形態では、互いに噛み合う2つのかさ歯車が揺動伝達部として機能するが、揺動伝達部の構造はこれに限定されず、適宜、選択される。なお、本実施の形態では、2本のアーム20の要所が補強材27で連結されているが、補強材の数及び配置は、適宜、選択され、補強材が省略されることもある。また、ストッパー部のアームは1本でもよい。
【0023】
ここで、管内落下防止装置10は、本体フレーム12に取付けられ、1つのストッパー部15に連結される電動シリンダー(初期位置調整用駆動部の一例)28を備えている。電動シリンダー28のロッド29の先端が、1つのストッパー部15の一方のアーム20に連結されているので、電動シリンダー28を駆動してロッド29(図3参照)を摺動(進退)させるだけで、ストッパー部15をその軸支部22(連結軸21)を中心に揺動させることができる。そして、先に説明したように、各ストッパー部15の揺動は、揺動伝達部25によって隣り合う他のストッパー部15に伝達されるので、各ストッパー部15(全てのストッパー部15)をそれぞれの軸支部22を中心に揺動させ、まとめて初期固定位置を調整することができる。電動シリンダー28は、本体フレーム12を管路11に固定する際に、管路11の内径に対応させて各ストッパー部15の初期固定位置を調整する以外に、本体フレーム12を管路11内で移動させる際に、各ストッパー部15を揺動させて各ストッパー部15による本体フレーム12の固定を解除することもできる。
初期位置調整用駆動部は、軸支部22を中心にストッパー部15を揺動させることができればよく、その構造及び配置等は、適宜、選択される。例えば、モータの駆動軸をストッパー部の連結軸に連結して連結軸を回動させることにより、ストッパー部を揺動させてもよい。なお、揺動伝達部が省略され、各ストッパー部が個別に揺動可能となっている場合は、各ストッパー部に初期位置調整用駆動部が連結されてもよい。
【0024】
管内落下防止装置10の使用中は、吊り下げ兼移動用連結材18の一端部が管路11の上流側に連結され、他端部が本体フレーム12の正面側の連結具19に連結されるので、管内落下防止装置10は吊り下げ兼移動用連結材18で吊り下げられるようにして所定の位置に保持される。従って、作業者や機材等が管内落下防止装置10(カバー部16)の上に落下して荷重が加わっても、管内落下防止装置10が傾いたり、管路11の内部を移動(落下)したりすることがなく、作業者や機材等の落下が防止される。
カバー部16としてはエキスパンドメタル又は金属製の網体等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
なお、各ストッパー部15は、図3の矢印aで示すように、本体フレーム12が管路11(管体11a)の軸方向に沿って下流側から上流側に向かって移動する際に、図3の矢印bで示すように、初期固定位置から本体フレーム12の背面側に向かって揺動し、本体フレーム12の半径方向外側に突出する先側の突出量が減少する構造でもよい。従って、作業者が管路11の下流側から上流側に移動して作業を行う際に、吊り下げ兼移動用連結材18で本体フレーム12を引っ張って、管路11の軸方向に沿って下流側から上流側に向かって移動させるだけでストッパー部15による固定が自動的に解除され、本体フレーム12の移動後には、ストッパー部15が初期固定位置に復帰して再び本体フレーム12が管路11に固定される。
【0025】
吊り下げ兼移動用連結材18としては、ワイヤー又はチェーン等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではなく、管内落下防止装置10、作業者及び機材等の重量を考慮して、適宜、選択される。
本実施の形態では、移動輪14、ストッパー部15及び連結具19が正面から見てそれぞれ円周方向4箇所に等角度(90度)間隔で配置されているが、これらの数及び配置は適宜、選択される。特に、固定時の安定性の面からは、それぞれが3箇所以上、等角度間隔で配置されることが好ましいが、それぞれの配置によっては2箇所でもよいし、等角度間隔で配置されなくてもよい。
本体フレーム12には、換気用送風機30が取付けられており、管路11の上流側から下流側に送風されて管路11の内部の換気が促進されることにより、管内落下防止装置10の上流側で作業する作業者の安全が確保される。本実施の形態では、本体フレーム12の中心部に1つの換気用送風機30が取付けられているが、換気用送風機の数及び配置は、適宜、選択される。
【0026】
足掛かりのない管路11の内部で作業が行われる場合、図5に示すように、管路11の底部内側に階段状仮設足場32が設置される。この階段状仮設足場32も管内落下防止装置10と同様に、管路11の上流側(図示せず)からワイヤー又はチェーン等の吊り下げ部材33で吊り下げられている。このとき、図1に示すように、本体フレーム12及びカバー部16に、階段状仮設足場32の位置に対応して切り欠き34が形成されることにより、管内落下防止装置10は階段状仮設足場32を跨ぐように設置可能となる。従って、作業者が作業場所を移動する際に、階段状仮設足場32を移動させることなく、管内落下防止装置10のみを移動させることも可能で施工性に優れる。
なお、図5中、管路11の一部はトンネル35で覆われている。また、管路11の一部(ここでは下流端)には、管体11aの外周をコンクリートで覆って固定する固定台36が設けられ、管路11の長手方向の要所は、複数の小支台37により支持されている。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
管内落下防止装置を構成する部品のうち、特に指定していない部品の材質としてはステンレス等の金属が好適に用いられるが、各部に必要な強度及び耐久性等を考慮して、各種の材質を適宜、選択することができ、部分的に合成樹脂(強化プラスチックを含む)を用いることもできる。
また、本体フレームの形状、構造及び大きさは、適宜、選択される。
上記実施の形態では、水力発電所の水圧管路に管内落下防止装置が設置される場合について説明したが、この管内落下防止装置は各種の管路の内部で作業を行う際に使用され、鉛直に配置された管路に対しても設置可能である。
なお、管内落下防止装置は、管路の内部の作業者の作業位置よりも下流側に設置されていればよい。従って、作業対象の管体に限らず、作業対象の管体の下流側に連結されている他の管体に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10:管内落下防止装置、11:管路、11a:管体、12:本体フレーム、13:内周面、14:移動輪、15:ストッパー部、16:カバー部、18:吊り下げ兼移動用連結材、19:連結具、20:アーム、21:連結軸、22:軸支部、23:当接部、24:滑り止め、25:揺動伝達部、26:かさ歯車、27:補強材、28:電動シリンダー(初期位置調整用駆動部の一例)、29:ロッド、30:換気用送風機、32:階段状仮設足場、33:吊り下げ部材、34:切り欠き、35:トンネル、36:固定台、37:小支台
図1
図2
図3
図4
図5