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7635263エアロゾル発生物品及び喫煙物品を識別するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品及び喫煙物品を識別するための装置
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20250217BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20250217BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20250217BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20250217BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20250217BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20250217BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24D3/17
A24D3/04
A24F40/40
A24F40/51
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022572795
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021064721
(87)【国際公開番号】W WO2021249835
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】20179616.6
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デベルグ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮宏
(72)【発明者】
【氏名】ピラトヴィチ, ゴジェゴジ アレクサンダー
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-506894(JP,A)
【文献】国際公開第2019/185747(WO,A1)
【文献】特表2017-501682(JP,A)
【文献】特表2013-534163(JP,A)
【文献】国際公開第2020/109404(WO,A1)
【文献】特表2014-530736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0325055(US,A1)
【文献】特表2012-513750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24D 1/02
A24D 3/17
A24D 3/04
A24F 40/40
A24F 40/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピース部分(1'')に取り付けられる消耗品部分(1')を含むエアロゾル発生物品(1)であって、
前記マウスピース部分(1'')は、少なくとも1つの内管(2)と包装(40)とを含み、前記内管は、前記包装(40)の内側に配置され、
前記マウスピース部分(1'')は、前記内管(2)の周及び/又は長手方向に沿って配置される、少なくとも前記内管(2)の壁における長さにわたって延在する複数(20、20'、20'')の光透過開口(201~216、220~228)を含む、符号化されたデータを表す機械可読パターンを含む、
エアロゾル発生物品(1)。
【請求項2】
前記管(2)及び/又は前記包装(40)は、光散乱性材料で作成される、請求項1に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項3】
前記内管(2)及び前記包装(40)は、異なる材料で作成され、且つ異なる光散乱特性を有する、請求項2に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項4】
前記管(2)及び前記包装(40)は、少なくとも部分的に紙で作成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの光吸収層(30)が前記内管(2)に配置され、前記吸収層(30)は、前記光透過開口(201~216、220~228)と位置合わせされる貫通開口(201'~207')を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項6】
前記包装(40)及び/又は前記管(2)は、少なくとも2つの層で作成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項7】
前記層(2、40)の少なくとも1つの少なくとも一部は、ポリ乳酸(PLA)、セルロース紙、デンプン及びそれらの組み合わせで作成される、請求項6に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項8】
前記光透過開口(201~216、220~228)は、前記内管(2)の周上に配置された少なくともN個の平行なアレイ(20、20'、20'')に従って配置され、Nは2以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項9】
前記N個のアレイの少なくとも2つは、それらの光透過開口(201~216、220~228)間にM個の異なる離隔量を有し、Mは2以上である、請求項8に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項10】
前記N個のアレイの少なくとも2つは、前記少なくとも2つのアレイによって形成される平面に対して直交する同じ仮想線上に位置合わせされない光透過開口を含む、請求項8又は9に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)と、電源部分、及び外側本体部(110)に配置される空洞(102)を含むエアロゾル発生装置(100)と、を含むエアロゾル生成システムであって、前記空洞(102)は、空洞軸を画定し、前記外側本体部においてアクセス可能な開口を有し、及び前記エアロゾル発生物品(1)を受けるように構成され、
前記エアロゾル発生装置(100)は、前記空洞(102)の側方に配置された少なくとも1つの光学的光源(310)を含む少なくとも1つの照明システム(300)をさらに含み、
前記エアロゾル発生装置(100)は、前記光透過開口(201~216、220~228)のアレイ(20)を透過した透過光(350)によって提供される情報を読み取るための、少なくとも2つの検出器(401~415)を含む光学読取りシステム(400)をさらに含む、
エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記検出器(401~414)の少なくとも1つは、前記検出器(401~414)上に投影される光ビーム(351~353、353'~354')の最大直径よりも狭い最大断面を有する、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
2つよりも多くの光透過開口(201~216、220~228)から、及び/又は光透過開口の2つよりも多くのアレイ(20、20'、20'')からの光が前記光学読取りシステム(400)によって検出可能であるように、前記検出器(401~414)の角度開口が選択される、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記光学読取りシステム(400)は、前記光ビーム(350)の空間周波数(f)及び/又は少なくとも1つの光学位相(η)を検出するように構成される、請求項12又は13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記検出器(400~414)のアレイは、前記空洞軸に対して画定される異なる角度分離量を有する少なくとも3つの検出器を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコの分野に関し、特に再構成タバコ及びエアロゾル発生物品に関する。本発明は、喫煙装置、特に電気加熱式eリキッドシステム又は電気加熱式エアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル発生消耗品をベースにした電子シガレットの人気が高まっている。主に、以下の2つのタイプ:リキッド気化器、及び加熱式タバコ吸入装置が存在する。加熱式タバコ吸入装置は、「加熱非燃焼式」システム(HNB:heat-not-burn)と称する。それらは、エアロゾル形成体、風味材料及び多くの場合にニコチンを含むリキッド装填物の加熱から吸入可能なエアロゾルを送達する電子シガレットと比較して、より本物のタバコフレーバーを提供する。HNBシステムの作動原理は、エアロゾル形成基材であって、加熱中に蒸発すると共に、タバコ材料からニコチン及びフレーバー成分を抽出する蒸気を作り出すエアロゾル形成基材(グリセリン及び/又はプロピレングリコール等)を含むタバコ材料を加熱することである。タバコ基材は、従来のシガレットの通常の燃焼温度よりも低い200~350℃に加熱される。吸入装置は、典型的には、ロッド形状の消耗品を受けるように構成される手持ち式の加熱器である。
【0003】
製品に関する情報の認識は、医薬品の分野など、多くの分野で重要になっている。医療用送達装置に挿入された薬物リザーバの符号化特徴(coding feature)を識別するためのコード認識システムの例が、文献米国特許出願公開第2013/0221097A1号明細書に開示されている。この文献は、光学的手段、又は電気的若しくは磁気的手段、又は静電容量の測定によって検出され得る、薬物リザーバに配設されるコードの検出の一般的な原理を説明している。米国特許出願公開第2013/0221097A1号明細書に記載の医療用送達システム及び方法は、コードを配置しなければならないカートリッジを要するため、本明細書に記載の喫煙物品の分野に適合されない。さらに、米国特許出願公開第2013/0221097A1号明細書は、包装を含む喫煙物品に対して使用され又は適合され得るコード認識システム又は方法の詳細を提供していない。
【0004】
eリキッド又はHNB物品であるエアロゾル発生物品の不正取引は問題であり、なぜなら、とりわけ偽造物品は、劣悪な品質を有するかもしれず、制御された量のエアロゾルを送達することを保証できないか、又は特に専用のエアロゾル発生システムに適さない可能性があるからである。エアロゾル発生消耗品が真正のものであるかどうかを識別するために、物品に関する情報を含むコード又は等価なマーキングが、特定の装置での使用中又は使用前に検出されるように物品の外面上に配置され得る。これにより、消耗品の真正性を確認し、否定的な判定の場合、消耗品が使用される加熱システムの電源を切るか又は正しく調整するなど、適切な制御を提供することが可能になる。
【0005】
さらに、エアロゾル発生条件を適合させる目的のために、消耗品を他の物品と区別する必要性もあり得る。例えば、物品の範囲内の特定の消耗品は、異なる成分(例えば、異なるタバコブレンド、形成剤、ニコチンレベルなど)を含む場合があるため、消費者の経験を最適化するために装置に対する異なるパラメータ設定を必要とする。
【0006】
HNB物品などの消耗品上のコードの正確な認証を行うために、認識確率は、好適な物品が拒否されないように非常に高くなければならない。しかしながら、既存の指標は、物品の外面に配置された古典的な1次元又は2次元バーコードなどのコードに依存し、特定の光学機器を使用することなく、例えば人間の目によりコードを単純に視覚化することにより、容易にコピーすることができる。さらに、バーコードは、それらに含まれ得る情報の密度が低いことにより制約される。
【0007】
認証可能なエアロゾル発生物品を提供するための様々な試みが先行技術において既に提案されている。
【0008】
国際公開第2019185747号パンフレットは、物品の表面上に配置され、物品に関連するエンコードされたパラメータを示す指標(indicium)を含む物品を含む電子シガレットを開示している。電子シガレットは、物品を識別し又は認識するために指標を感知するセンサ配置も含む。物品上に指標を適用することが追加のステップを構成するという事実は製造プロセスを複雑にし、また、エアロゾル発生装置に必要とされる加熱器の近くなどの厳しい環境におけるインクの安定性に関する問題が存在する。
【0009】
米国特許出願公開第20160302488A1号明細書では、喫煙物品の外面に指標を含む喫煙物品が説明されている。指標は、1次元/2次元バーコードの形態であり得る。このコードは、識別可能な分光シグネチャを含むが、スプレーによる層の塗布が必要であり、分光器を必要とする。また、スペクトルによって生成されるシグネチャは、1ppm~1000ppmであり得る濃度に依存し、その精度を制御することは、困難である。分光シグネチャに基づくタガント(taggant)は、分光測定及び解釈並びに校正の問題にも関連するため、タガントをあまり信頼できなくする場合があり、そのようなタガントの安定性に関連する問題が存在し得る。製造中にスプレー層を加えることは、化学物質を制御されたやり方で取り扱い塗布することを要するため、プロセスをかなりの程度で複雑にする。
【0010】
米国特許出願公開第2015128969号明細書は、エアロゾル発生装置の喫煙物品のカートリッジとして具現化されたマウスピースが2層チップラップを使用して包装されることを論じている。2層チップラップの外層は、マウスピース及び喫煙物品の特性を識別するための指標を含む。外層は、接着剤ラベルの形態であってよい。2層チップラップの外層は、マウスピース及び喫煙物品の特性を識別するための指標を含む。指標は、フレーバー及び製品の出所の識別などの情報を提供する。指標が物品の層上に適用される必要があるという事実は、追加のステップを構成し、且つ製造プロセスを複雑でより高価なものにする。適用された指標は、容易に観察できるため、容易に識別され及び複製されることもあり得る。
【発明の概要】
【0011】
したがって、HNB、吸入物品及び喫煙物品などのエアロゾル発生物品の認証を可能にするための改良された技術が必要とされている。先行技術の全ての指標のマーキングよりもはるかにシンプルであり、さらに直接可視であるべきではない識別方法が必要とされている。より堅牢であり、熱などによる変質又は損傷を受けにくい識別の解決策も必要とされている。
【0012】
本発明の発明者らは、消耗品上又は消耗品内に付加された又は組み込まれた指標を使用する必要がなく、さらに光源及び検出装置などの光学的手段を使用しなければ直接視認することができない認証方法及び識別システムを提供することにより、上述の課題に対する解決策を見出した。
【0013】
提案される解決策は、物品の内管に実現される開口に基づく。開口は、読取り可能な識別コードを構成するようにさらに配置される。これにより、その消費時に消耗品を認識することができる、識別コードとして定義された固有の利用可能な基準(reference)を提供することを可能にする。さらに、この方法により、エアロゾル発生消耗品の安価で極めて安全な個別認識を提供することを可能にする。
【0014】
より詳細には、本発明は、マウスピース部分に取り付けられる消耗品部分を含むエアロゾル発生物品によって達成される。マウスピース部分は、符号化されたデータを表す機械可読パターンを含む。マウスピース部分は、少なくとも1つの内管を含み、且つ内管表面及び外管表面を有する。内管は、包装の内側に配置される。機械可読パターンは、少なくとも当該内管の壁における長さにわたって延在し、且つ好ましくは当該内管の周に沿って配置された複数の光透過開口を含む。代替的に又は追加的に、複数の開口は、内管の長手方向に沿って延在する。さらに、上記包装が光散乱性材料で作成されてもよい。
【0015】
有利な実施形態では、開口は、その上で入射光を回折する小さい開口、例えば2mm~50μm、好ましくは1mm~65μm、最も好ましくは500μm~100μmの最大断面寸法又は直径を有する開口であってもよい。開口は、レーザによって製造され得る。マイクロレーザによって実現される最小穴直径は、典型的には、0.070mmである。マクロレーザによれば、最小直径は、典型的には、0.160mmである。変形例において、開口の配列が記号、画像又は文字などのシンボルを表してもよい。
【0016】
内管は、紙、ポリマー又はそれらの組み合わせで作成され得る。内管は、好ましくは、包装の厚さよりも大きい厚さを有する。内管は、消耗品のエアロゾル発生部分とフィルタ部分との間に配置され得る。内管は、エアロゾル発生部分とフィルタ部分又はマウス端部との間でスペーサを形成し、そのサイズは、蒸気がそれを通して循環するときに蒸気の温度が低下することを可能にするように決定される。内管は、中空であってもよく、又は軽いメッシュ材料、不織布材料、ハニカム材料若しくはオープンセル材料などの多孔質充填材で充填されてもよい。充填材を挿入することにより、管状部材内の蒸気との接触面を増大させて、管の長さをより短くすることが可能になる。エアロゾル発生材料は、ギャザーシート、ストランド、ストリップ、粉末、スポンジ又は発泡体など、任意の適切な形態の再構成タバコなどのタバコベース材料であってよい。
【0017】
内管は、光散乱性材料で作成される包装の内側に配置される。好ましくは、包装は、紙で作成されることが望ましい。紙は、エアロゾル発生装置における検出器システムに対する光源の位置決めにおける大きい柔軟性を提供することを可能にする高散乱性材料である。
【0018】
一実施形態では、上記内管は、光散乱性材料で作成される。変形例では、その管は、光学的不透明材料又は部分的な光透過を有する材料で作成されてもよい。内管に配置される不透明層を使用することにより、半透明又は透明な材料と比較して、識別コードの検出信号のコントラストが増大する。
【0019】
一実施形態では、上記管及び包装は、異なる材料で作成され、且つ異なる光散乱特性を有する。異なる材料を使用することにより、より大きい設計自由度を提供し、識別コードの検出信頼性を向上させることが可能になる。
【0020】
一実施形態では、上記管及び/又は上記包装は、少なくとも部分的に紙で作成され、且つ好ましくは異なる厚さを有する。
【0021】
一実施形態では、貫通開口を有する少なくとも1つの光吸収層が内管に配置される。吸収層の開口は、上記光透過開口と位置合わせされる。光透過開口は、任意の断面形状、好ましくは円筒形状の断面を有し得る。消耗品の内管の全周上に複数の光透過開口が配置されることが好ましく、これにより、装置における消耗品の角度配向に依存せずに、関連する識別コードを検出することが可能になる。
【0022】
一実施形態では、上記包装及び/又は上記管は、少なくとも2つの層で作成される。包装の少なくとも1つの層は、光拡散層である。変形例において、散乱層が上記内管と上記包装との間に配置されてもよく、又は包装の内層であってもよい。内管と包装との間の散乱層により、より高い散乱効果を提供することが可能になる。散乱層は、青色光などの特定の波長における散乱効果を高めるように設計されてもよい。有利な実施形態では、上記内管及び/又は上記包装上に光学フィルタ層が配置されてもよい。光吸収フィルタなどの光学フィルタ層を配置することにより、開口内を通過し及び開口同士の間を通過する光のコントラストを向上させることが可能になる。
【0023】
一実施形態では、上記包装及び/又は内管層の少なくとも1つの少なくとも一部は、ポリ乳酸(PLA)、セルロース紙、デンプン及びそれらの組み合わせで作成される。
【0024】
有利な配置では、内管は、例えば、UV光の照射時に発光する蛍光基材を含む。そのような場合、開口によって提供される光ビームは、可視性がはるかに低いため、包装によって散乱された実質的に均一な光ビーム上に与えられた暗い領域としてそれらの存在を検出することを可能にし得る。そのような実施形態では、強度分布における暗い領域によって穴(holes)が検出される。
【0025】
一実施形態では、上記開口は、上記内管の周及び/又は軸方向長さ上に配置される少なくともN個の平行なアレイに従って配置され、Nは2以上である。
【0026】
一実施形態では、上記N個のアレイの少なくとも2つは、アレイの開口間にM個の異なる分離距離を有し、Mは2以上である。
【0027】
一実施形態では、N個のアレイは、可変的な距離の間隔で分布される。
【0028】
一実施形態では、N個のアレイの少なくとも第1のアレイは、N個のアレイの第2のアレイと比較して異なる形状及び/又はサイズの開口を有する。
【0029】
一実施形態では、上記N個のアレイの少なくとも2つは、上記少なくとも2つのアレイによって形成される平面に対して直交する同じ仮想線上に位置合わせされない開口を含む。実施形態では、開口は、湾曲した形状を有してもよく、又は円錐形の形状を有してもよい。上記開口の形状は、内管の厚みに沿って変化してもよい。
【0030】
第2の態様では、本発明は、説明される通りのエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを含むエアロゾル発生システムによって達成される。エアロゾル発生装置は、電源部分、及び外側本体部に配置される空洞を含み、当該空洞は、空洞軸を画定し、外側本体部においてアクセス可能な開口を有し、及びエアロゾル発生物品を受けるように構成される。
【0031】
エアロゾル発生装置は、上記空洞の側方に配置された少なくとも1つの光学的光源を含む少なくとも1つの照明システムをさらに含む。
【0032】
エアロゾル発生装置は、上記開口のアレイによる透過光によって提供される情報を読み取るための、少なくとも2つの検出器を含む光学読取りシステムをさらに含む。
【0033】
一実施形態では、上記検出器の少なくとも1つは、上記検出器に入射する投影光ビームの最大直径よりも狭い横方向寸法を有する。検出器に衝突する光ビームの直径よりも小さい寸法を有する複数の検出器を使用することにより、開口によって提供される隠されたコードの重要な解像度及び高い検出確率を有する検出方式を提供することを可能にする。
【0034】
一実施形態では、2つよりも多く、好ましくは5つよりも多く、より好ましくは10個よりも多く、さらにより好ましくは20個よりも多くの開口から、及び/又は開口の2つよりも多くのアレイからの光が上記光学読取りシステムによって検出可能であるように、検出器の角度開口が選択される。
【0035】
一実施形態では、上記検出器システムは、透過光ビームの空間周波数及び/又は少なくとも1つの光学位相を検出するように構成される。強度信号を検出してそれらを周波数に関連する信号へ変換することにより、シンプルで非常に信頼性の高い検出方式を提供することが可能になる。
【0036】
一実施形態では、上記検出器のアレイは、上記空洞軸に対して画定される異なる角度分離量(angular separations)を有する少なくとも3つの検出器を含む。
【0037】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されるようにさらに定義される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】開口を含む内管及び光拡散性包装を含む、本発明のエアロゾル発生物品の長手方向断面の概略図を示す。
図2図1の実施形態のエアロゾル発生物品の横断方向断面を示す。
図3図3a~図3bは、本発明による消耗品の光学効果を示しており、即ち、内管における開口の配置で構成される識別コードは、物品の一部を横切る光ビームによって開口が照明されなければ、物品の外側から視認又は検出することができない。
図4】少なくとも2つの層を含む包装を有するエアロゾル発生物品を示す。
図5】内管において斜めに配向された開口を有する物品を示す。
図6】内管の内側に配置された吸収層を含み、吸収層が複数の貫通穴を有する、本発明の物品の横方向断面を示す。
図7】少なくとも3つの異なる開口のアレイをその壁に有する内管部材を含む消耗品の実施形態を示す。
図8】内管の壁の厚さの一部である深さを有する開口を有する内管を示す。
図9】内管の壁の厚さの一部である深さを有する開口を有する内管を示す。
図10】散乱光によって内管の開口を照明する照明システムと、光検出器のアレイとを含むエアロゾル発生装置の構成を示す。
図11】内管の貫通穴の照明並びに内管及び内管に配置された包装を通過する複数の光ビームを示す。この図は、検出器アレイの感知面の前に画定された虚像平面において遮断された投影光ビームの断面及び強度プロファイルをさらに示す。
図12】光源と、消耗品の反対側に配置された光検出器のアレイとを含むエアロゾル発生装置の構成を示す。この図は、内管を通過し、包装を透過する散乱光をさらに示す。
図13】光源及び光検出器のアレイが消耗品の軸に対して90°~180°の角度で配置されるエアロゾル発生装置の構成を示す。この図は、内管を通過し、包装を透過する散乱光をさらに示す。
図14】検出器アレイの感知面において遮断された投影光ビームに対する検出器のアレイの位置を示す。
図15図14の配置などの検出器の配置によって得られる典型的なフーリエ変換信号を示す。
図16図16a~図16bは、消耗品の内管の様々な穴の配置を示しており、穴の配置が検出可能且つ読取り可能なコードを構成する。
図17図17a~図17cは、穴アレイの長さの観点での相対的な変位を提示する穴アレイを含む穴配置を示す。
図18】本発明の物品の内管の複数の開口の情報を検出及び復号するための照明及び検出システムを含むエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムを示す。
図19】本発明の物品の内管の複数の穴の情報を検出及び復号するための照明及び画像化システムを含むエアロゾル発生装置を示す。この図は、包装の外面の一部の画像を提供するように構成された画像化システムによって提供される、包装の外面のレベルにおける発光された光ビームの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を、特定の実施形態に関して、添付図面を参照して説明するが、本発明は、それに限定されない。説明する図面は、概略的なものにすぎず、非限定的である。図面において、いくつかの要素のサイズは、例示目的のために誇張され、縮尺通りに描かれない場合がある。寸法及び相対的な寸法は、本発明の実施に合わせた実際の縮小に対応しない。
【0040】
本発明について、タバコベースの消耗品に関連して以下の例で説明するが、本発明の範囲は、タバコベースの消耗品に限定されると解釈されるものではなく、加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成することが可能なエアロゾル発生基材を含む、喫煙物品、加熱非燃焼式タバコ、eリキッドカートリッジ及びカトマイザなど、任意のエアロゾル発生消耗品を包含するものとする。本発明の1つ又は複数のエアロゾル発生物品1は、本明細書において、消耗品1又は消耗物品としても定義される。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル発生材料」とは、加熱時にエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる材料をいう。本明細書で説明されるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生材料から発生するエアロゾルは、可視的であっても不可視的であってもよく、蒸気(例えば、室温で通常液体又は固体である気体状態の物質の微粒子)並びに気体及び凝縮した蒸気の液滴を含み得る。エアロゾル発生材料は、ギャザーシート、細断物、スポンジ、発泡体など、任意の適切な形態の再構成タバコなどのタバコベース材料であり得る。エアロゾル発生材料は、例えば、タバコ、エアロゾル形成剤、結合剤、香味剤、ニコチン及びそれらの組み合わせなどのエアロゾル発生基材の使用に基づくことが好ましい。エアロゾル形成基材は、安定した支持体内に提供され得る。そのような支持体は、粉末、顆粒、小片、シート又は発泡体の形態であり得る。
【0042】
製造されたエアロゾル発生消耗品1は、仮想挿入軸Zを画定し、任意の規則的又は不規則な形状の断面を有することができ、例えば長手方向軸に直交する平面において画定される楕円形又は円形の断面を有することができる。物品は、上記仮想挿入軸Zに直交する横方向断面の平面X-Yを画定する(図1)。長手方向断面は、X-Z平面又はY-Z平面において画定される。
【0043】
本明細書における「包装(wrapper)」という用語は、光散乱又は拡散管であって、内管及び場合により1回分のエアロゾル発生材料を含む物品の部分も保護する1つ若しくは複数の任意の層又は管として広く定義され、且つそれらを取り扱うことが可能な巻かれたシート又は層である。包装は、エアロゾル発生材料と接触し得る内面を有し、エアロゾル発生材料から離れた外面を有する。包装は、好ましくは、セルロース紙(厚紙を含む)及び/又はセルロースアセテートなどのセルロースベース材料を含み得る。包装は、生分解性ポリマーで作成されてもよく、又はガラス若しくはセラミックで作成されてもよい。包装は、多孔質材料であってもよく、平滑な又は粗い外面を有してもよく、可撓性材料又は硬質材料であってもよい。本明細書で定義される包装は、内管の少なくとも一部を覆い、またエアロゾル発生消耗品1の他の部材を覆い得る。包装は、内管と接触し得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0044】
本明細書における「光の拡散(light diffusing)」という用語は、層が透明な光学プレートのように透明ではなくなるように、光拡散層に衝突する光ビームが層の組成によって散乱されるという意味で光の拡散(diffusion)又は散乱(scattering)を意味する。より正確には、本明細書で使用される光拡散層は、人間の目によって又はカメラを使用する直視によってシースルーとなることを許さず、観察者又はカメラの側方に配設される光源による照明のみに依拠する。別の言い方をすれば、本明細書における「光拡散又は散乱層」は、一片の紙の効果と同様に、反射光のみを使用して、図3aに示されるように層が直視では不透明であることを意味する。さらにより正確には、光拡散包装は、包装を通して見ることができないか、又は包装の内側に配置された内管の開口の観察若しくは検出を図示した図3bに示されるように、包装の逆光若しくは側光を使用しなければ、要素若しくは層の存在を直接観察することを可能にしない。本発明では、内管の壁における開口は、外壁によって覆われるため、通常の照明では可視ではなく、したがって「隠し(covert)」機能であると認定されてよく、隠蔽された識別コードを構成する。
【0045】
ここで、「可視的」又は「検出可能」という用語は、観察され又は検出される部材が特定の波長範囲、例えば可視波長範囲において観察され得ることを意味する。紫外線、可視光又は赤外線波長範囲であり得るいかなる波長領域の制限も存在せず、但し、その波長範囲において内管及び内管上に配置された包装に照明光を提供する光源を使用しなければ本発明の対象物である管の開口を観察し及び検出することができないという限りにおいて、である。本発明の効果は、散乱光による、開口を含む内管の照明に依拠するため、光源の位置は重要ではなく、さらに詳細に説明するように、それは消耗品の周及び/又は軸方向長さの周りの空間4内のいずれの箇所にも配置することができる。
【0046】
本発明の消耗品の内管における開口群は、以下の2つの効果により視認又は検出が可能になる。
- 外壁の厚さが十分に薄いため、散乱光が内管及び内管を取り囲む包装を通過することができ、
- 包装層が入射光のための拡散器として機能するため、さらに詳細に説明するように、照明光源の角度配向が重要でなくなる。内管は、さらに詳細に説明するように、部分的な透明層又は拡散層であり得る。
【0047】
「内管(inner tube)」という用語は、エアロゾル発生消耗品における管状部材である。内管は、光拡散部材、好ましくは、前述のような包装によって覆われる。内側管状部材は、包装の厚さよりも大きい厚さの紙又はポリマー管であり得る。管状部材は、長手方向において、消耗品のエアロゾル発生部分とフィルタ部分との間に配置され得る。管状部材は、その中を循環する蒸気の温度を冷却する機能を有し得る。管状部材は、中空であってもよく、又は軽いメッシュ材料、不織布材料、ハニカム材料若しくはオープンセル材料などの多孔質充填材で充填されてもよい。管は、長手方向のシームにおいて接着されたロール状の材料シートから形成されてもよく、又は押出成形などの他の技術によって形成されてもよい。充填材を挿入することにより、管状部材内の接触面を増大させて冷却効果を高めることができる。エアロゾル発生材料は、ギャザーシート、ストランド、ストリップ、粉末、スポンジ、発泡体など、任意の適切な形態の再構成タバコなどのタバコベース材料であり得る。内側管状部材は、任意の断面形状又はその管壁の厚さと管の直径との間に任意の比率を有し得る。内管は、不均一な直径を有してもよく、例えば円錐形状を有してもよい。内管は、異なる直径又は異なる外形若しくは内形を有する2つの異なる管状部材などの不連続な部分で作成されてもよい。
【0048】
管状部材は、包装のように光拡散管であることが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい。さらに詳細に説明するように、開口が回折効果を生み出して、消耗品の部分を横切る照明によって開口を検出することが可能になるため、内管は、光吸収材料で作成されてもよく、又はさらに透明であってもよい。
【0049】
本明細書において、「光」という用語は、電磁スペクトルの遠赤外部分の限界である、好ましくは20μmより小さい波長を有する光ビームを含む。
【0050】
本明細書で使用される「穴(hole)」及び「開口(apertures)」という用語は、貫通穴であってもよく、又は管部材料の壁に配置された部分的な穴若しくは段差であってもよい。開口は、ミリメートルサイズの開口であってもよく、又はマイクロメートルサイズの開口であってもよい。
【0051】
より詳細には、本発明は、マウスピース部分に取り付けられる消耗品部分を含むエアロゾル発生物品によって達成される。マウスピース部分は、少なくとも1つの内管2を含み、内管表面2b及び外管表面2aを有する。図1及び図2に示されるように、内管2は、少なくとも当該内管の壁における長さにわたって延在し、図2に示されるように、好ましくは当該内管の周に沿って配置される光透過開口201~216の集合体20を含む。
【0052】
内管2を覆う包装40は、単一の層であってもよく、又は図3に示されるように少なくとも2つの層40a、40bから構成されてもよい。これらの層41、42の1つは、当該内管2だけでなく、エアロゾル発生物品の他の部材を覆い得る。例えば、図1では、包装は、マウスピース1''及び消耗品部分1'の一部を覆う。
【0053】
実施形態では、複数の開口20は、様々な形状及び/又は配向を有し得る。図5は、長手方向の投影が物品1の中心軸Zと交差しない貫通開口221~228を含む内管40の実施形態を示している。
【0054】
実施形態では、外側包装40は、内管2の外側表面2aと接触する内側表面40bを有する。変形例において、少なくとも1つの追加の層が内管2と包装40との間に配置されてもよい。そのような追加の層は、接着剤層、シーム層、接合層又はスペーサ層であり得る。図示されていないそのような追加の層は、入射光に対して少なくとも部分的に透明であり、光拡散層であってもよく、光吸収特性を有する層であってもよい。
【0055】
有利な実施形態では、開口は、その上で入射光を回折する非常に小さい開口であってもよく、例えば2mm~50μm、好ましくは1mm~65μm、最も好ましくは500μm~100μmに含まれる最大断面寸法又は直径を有する開口であってもよい。開口は、レーザによって製造されてもよい。開口の深さは、全厚さを通して行われない場合、典型的には100~800μmであり得るが、100μmより小さくてもよい。
【0056】
内側管状部材2は、包装の厚さよりも大きい厚さの紙又はポリマー管であり得る。管状部材は、消耗品のエアロゾル発生部分とフィルタ部分との間に配置され得る。管状部材は、その中を循環する蒸気の温度を冷却する機能を有し得る。管状部材は、中空であってもよく、又は軽いメッシュ材料、不織布材料、ハニカム材料若しくはオープンセル材料などの多孔質充填材で充填されてもよい。充填材を挿入することにより、管状部材内の接触面を増大させて冷却効果を高めることができる。エアロゾル発生材料は、ギャザーシート、ストランド、ストリップ、粉末、スポンジ又は発泡体など、任意の適切な形態の再構成タバコなどのタバコベース材料であり得る。
【0057】
内管2は、光散乱性材料で作成される包装40の内側に配置される。好ましくは、包装は、紙又は厚紙で作成される。
【0058】
一実施形態では、上記内管2は、光散乱性材料で作成される。変形例では、内管2は、光学的不透明材料又は部分的な光透過を有する材料で作成されてもよい。
【0059】
一実施形態では、内管2及び包装40は、異なる材料で作成され、且つ異なる光散乱特性を有する。
【0060】
一実施形態では、管2及び/又は包装40は、少なくとも部分的に紙で作成され、且つ好ましくは異なる厚さを有する。
【0061】
包装40及び内管2は、以下の典型的な寸法を有し得る。物品の外周は、16mm~25mm、好ましくは17mm~22mmに含まれ得る。内管の内周は、10mm~20mmであり得る。内管の厚さは、0.2~1.5mm、好ましくは0.3~1mmであってよく、包装の厚さは、50~250ミクロン、好ましくは60~120ミクロンであってよい。それらは、紙で作成され得る。包装のための紙のグラム数は、約15~80g/mであってよい。内管のための紙のグラム数は、約50~180g/mであってよい。
【0062】
開口は、円形状の開口であってもよく、矩形状の開口などの他の形状を有してもよい。開口アレイ20、20'、20''の開口は、少なくとも部分的に円錐形の開口であってもよい。
【0063】
図6に示される実施形態では、内管2は、貫通開口201'~211'を有する少なくとも1つの光吸収層30を含む。そのような吸収層30の開口は、光透過開口201~216、220~216の集合体20と位置合わせされる。吸収層30の開口201'~211'は、好ましくは、貫通開口である。吸収層30の開口201'~211'は、内管2の開口201~216、220~216よりも広くても又は小さくてもよい。
【0064】
吸収層30は、内管に配置される別個の層であってもよく、或いはインク層などの堆積層又は完全に不透明であるか、又は上記開口の存在、及び/若しくは形状、及び/若しくは配置を検出するために使用される光の波長に対して部分的な透過を有する任意の層のいずれかであってもよい。
【0065】
一実施形態では、内管2は、少なくとも2つの層(図示せず)で作成される。内管2の少なくとも1つの層は、光拡散層であり得る。
【0066】
一実施形態では、上記包装及び/又は内管層の少なくとも1つの少なくとも一部は、ポリ乳酸(PLA)又は厚紙で作成される。
【0067】
有利な配置では、内管2は、例えば、UV光の照射時に発光する蛍光基材を含んでもよい。これにより、そのような実施例における開口201~216、220~216が蛍光基材を含まないことで、検出器に向けられる透過光ビームにおける大規模な差を実現することが可能になる。そのような場合、開口201~216、220~216によって提供される光ビームは、可視性がはるかに低くなるかもしれず、その周囲がはるかに多くの光強度を提供するため、その存在を検出することを可能にする。例えば、紫外線光源で、物品1を通して内管2を照射することができ、可視領域において2次光ビームを提供することができる。開口は、201~216、220~216である。そのような実施形態(図示せず)では、包装40によって提供される散乱光の強度分布における暗い領域により検出され得る。
【0068】
図16a、図16b及び図17a~図17cに示される実施形態では、開口201~216、220~216の集合体20、20'、20''は、上記内管の周上に配置される少なくともN個の平行なアレイに従って配置され、Nは2以上である。
【0069】
一実施形態では、上記N個のアレイの少なくとも2つは、開口201~216、220~216間にM個の異なる離隔量(separation)を有し、Mは2以上である。例えば、図16bは、4列の開口が、2つの異なる分離距離d1、d2に従って配置され得る複数の開口を含む配置を示しており、ここで、Nは4に等しく、Mは2に等しい。
【0070】
図17a~図17cに示される有利な実施形態では、上記N個のアレイの少なくとも2つは、当該少なくとも2つのアレイによって形成される平面に直交する同じ仮想線上に位置合わせされない開口201~216、220~216を含む。不整列(unalignment)のレベルは、所定の分離距離の割合fとして識別され得る開口のアレイ間の位相を定義する。例えば、図17b及び図17cでは、位相は、開口の第1の列の開口201~216、220~216の分離距離d1の1/3に等しい。
【0071】
図示されていない実施形態において、開口201~216、220~216は、例えば、正弦曲線又はヘリコイド曲線など、内管の周上に画定される曲線に沿って配置されてもよい。
【0072】
有利な実施形態では、図7に示されるように、開口20、20'、20''のアレイは、異なるタイプの開口を含み得る。例えば、第1及び第2の複数の開口20、20'は、円形断面を有する開口であってもよく、第3の複数の開口20''は、矩形断面又は他の多角形断面を有する開口であってもよい。
【0073】
第2の態様では、本発明は、エアロゾル発生装置100と、説明される通りのエアロゾル発生物品1及び上記エアロゾル発生装置100を含むエアロゾル発生システムとによって達成される。エアロゾル発生装置100は、外側本体部に配置された、電源部分(図示せず)と、外側本体部においてアクセス可能である開口を有し、且つ説明されるようなエアロゾル発生物品1を受けるように構成された空洞102とを含む。図18は、上記エアロゾル発生装置100と、上記エアロゾル発生装置100内へのその挿入位置にある上記エアロゾル発生物品とを含む、本発明の典型的なエアロゾル発生システムに関する部分図を示している。
【0074】
エアロゾル発生装置100は、少なくとも1つの光ビーム320を提供する少なくとも1つの光学的光源310を含む少なくとも1つの照明システム300と、空洞102の好ましくは対向し合う側に配置される検出システム400とを含む。
【0075】
図10及び図12は、照明システム300と、開口201~216、220~216の集合体20、20'、20''による透過光によって提供される情報を読み取るための光検出器401~414のアレイ400とを含むエアロゾル発生装置100の構成を示す。照明システム300及び検出器システム400は、装置100内の様々な場所に配置されてよい。例えば、図10及び図12は、少なくとも1つの発光システム300が検出器システム400の反対側に配置される好ましい構成を示す。
【0076】
図12は、光340が包装40内に進んでいることを示している。その光の一部は、開口201~216、220~216によって透過し、別の一部は、内管2の、当該開口間にある他の壁部によって透過する。
【0077】
有利な実施形態では、検出システム400の上記検出器402~414の少なくとも1つは、検出器401~414のアレイ上の投影光ビーム351~353、351'~354'の最大直径より小さい横方向寸法を有する。
【0078】
照明システム300は、発光体などの直接光源であり得る少なくとも1つの照明源310を含む。光源310は、光導波路の先端部又は発光要素から離れて配置されたエネルギー源若しくは光源によって照明される蛍光材料を含む光学要素の先端など、光学要素の先端部(ここでは図示せず)であってもよい。発光システム300は、好ましくは、任意の紫外線、可視光若しくは赤外線光源又はそのような光源の組み合わせであり得る光源310を含む。エアロゾル発生装置100において利用可能なスペースは、非常に限られるため、光源310は、好ましくは、LED、SLED又は半導体光源などの半導体光源である。
【0079】
変形例では、本発明における光源310は、赤外線光源であってもよい。光源は、エアロゾル発生装置100の加熱器によって生成されてもよく、又は別個の光源であってもよい。
【0080】
図11は、内管2の貫通開口201~216、220~228の照明及び光透過並びに内管及び内管に配置された包装を通過する複数の光ビームの詳細図を示している。図11は、包装2から検出器アレイに送達される複数の光ビーム350の光コーンC1~C3の断面をさらに示している。出射光コーンC1~C3は、発散光コーンであるため、検出器システム400における透過光ビーム350の断面351~353、351'~353'は、包装の外面40aに対する検出器システム400の距離に依存する。図11は、検出器アレイの前に画定された仮想画像平面402における強度変化I(θ)を示している。仮想画像平面は、平面又は曲面であってよく、後者が図13の実施形態において示されている。好ましい実施形態では、上記強度変化I(θ)の最大強度は、開口201~216、220~228を透過した光ビームによって提供され、最小強度は、内管2及び包装の壁を通過した散乱光によって提供される。仮想画像平面402は、検出器アレイの感光面において画定され得るが、検出器アレイ401~414の前に距離を置いて配置されてもよい。
【0081】
実施形態では、遮断された光強度I(θ)のコントラストを改善し、また異なる透過光ビーム間のクロストークを低減するために、不透明材料で作成されたピンホール又は視野角制限開口のアレイが検出器アレイの前に配置されてもよい。そのような実施形態では、図示されていないが、仮想画像平面402は、ピンホール又は視野角制限開口のアレイの平面である。
【0082】
有利な実施形態では、図11に示されるものに対して相補的な光強度分布(図示せず)が可能である。例えば、内管2は、例えば、UV光の照射時に発光する蛍光基材を含み得る。そのような場合、開口201~216、220~228によって提供される光ビームは、可視性がはるかに低いため、包装によって散乱された実質的に均一な光ビーム上に与えられた暗い領域としてそれらの存在を検出することを可能にし得る。そのような実施形態の開口は、次いで、強度分布における暗い領域によって検出される。この効果は、検出器システム400の前に配置された光学フィルタを使用することによって大幅に強化され得る。例えば、UVバンドパスフィルタが使用されてもよく、この場合、開口によって提供される光のみが検出されて、大きいコントラストを有する強度信号が提供される。検出器401~414の前に可視光吸収フィルタが使用されてもよい。そのような場合、開口201~216、220~228は、検出器401~414に光を透過しないが、包装により検出器システム400に向かって散乱された可視光によって提供される、検出された強度信号における落ち込み(dips)によって検出可能である。
【0083】
検出器アレイ400に衝突する光ビームの形状及びコントラスト並びに強度の分解能は、所望の光学効果の機能において適合され得る。
【0084】
測定される光強度I(θ)が、以下のパラメータの1つ又はいくつかを適合させることによって最適化されてもよい。
-包装40と検出器アレイとの間の最小の距離を使用すること、
-角度位置θに応じた光の変動を正確に特性化する目的で、小さい距離だけ離隔される多数のセンサを使用すること(例えば、湾曲したCCD又は湾曲した検出器アレイであり得る、リニアCCDを使用すること)、
-検出器アレイ401~402の平面内の正確な位置において光を測定する目的で、非常に小さい検出領域Dを伴うセンサ要素群を使用すること(図13)、
-例えば蛍光若しくは燐光材料又は検出器アレイに配置された色若しくは干渉フィルタによって組み合わされ得る特定の光吸収特性を有する材料を使用することにより、光信号のコントラストを高める専用の材料を使用すること。
【0085】
有利な構成において、検出器アレイ401~415によって遮断される光ビーム351~353、351'~354'の幅が、包装40上でのそれらの射出場所に応じて適合されてもよい。例えば、穴又は開口201~216、220~216のサイズ、検出器アレイに対する間隔の距離を調整するか、又は内管の部分吸収材料を用いるか、又は特定の光散乱特性を有する紙を使用することによって、開口201~216により提供される投影される光ビーム351~353の断面が、開口201~216、220~216を透過しない散乱される光ビーム351'~354'の断面とは異なってもよい。断面サイズにおける差は、少なくとも2倍以上、さらに5倍以上であってもよい。さらに説明する図13は、検出器アレイシステム400によって遮断される光ビーム351~355、351'~355'の断面が重なり合う別の例を示している。
【0086】
センサ401~414の数が少ない(例えば4つの個別のセンサ401~415を使用する)場合、開口によって提供される光ビーム351~356の測定される光強度と、内管2の残りの表面によって提供される光351'~355'との間の差を最大化するために、光検出面に沿ってそれらセンサが最適な位置に実装されてもよい。
【0087】
ここで、検出器401~414のいくつかの例示的な配置について説明する。
【0088】
例えば、図14が示している状況において、dは、検出器アレイの光感知面と交差している光の2つの連続する最大値間の距離である。2つの光センサのみが使用される場合、検出器平面におけるそれぞれの位置D1、D2は、D2-D1=d/2となるようにする必要がある。しかしながら、偶然にもセンサの位置が明るい領域と暗い領域との境界にある場合、両方のセンサ間の強度差は、小さくなる。これを回避するために、追加のセンサが使用され得る。
【0089】
4つのセンサが使用される場合、第3及び第4のセンサの位置であるD3及びD4の位置は、D3-D2=d/4及びD4-D3=d/2となるようにする必要がある。
【0090】
6つ以上のセンサを最適に配置する場合にも同じ論理が適用される。
【0091】
しかしながら、センサの数を3つに減らすことが可能である。最適に配置されると、1周期にわたる強度変化を検出し、穴開け又は構造化パターンの存在を確認することが可能になる。この場合、3つのセンサは、D2-D1=d/2及びD3-D2=d/4となるように配置される。I(x)を位置xの関数における光強度とし、あるいはI(θ)が角度の関数における光強度を表すとすると(図13)、Max(I(D2)-I(D1)、I(D3)-I(D2))>Tであるときに肯定的な検出がなされ、ここでTは、検出装置(即ちエアロゾル発生装置)にハードコーディングされるか、又は他のローカルな若しくはリモートの入力に基づいて検出装置によって生成される閾値である。
【0092】
また、3つのセンサのグループを2つ使用することも可能であり、各グループは、距離d及びd'において変調を検出するようにそれぞれ最適化され得る。この場合、第1のグループは、D2-D1=d/2及びD3-D2=d/4となるように、第2のグループは、D2'-D1'=d'/2及びD3'-D2'=d'/4となるように距離が設定される。
【0093】
また、多数のセンサ401~414、例えば10個よりも多く、20個よりも多くのセンサが使用されてもよい。明るい領域及び暗い領域の数の少なくとも2倍という多数のセンサを使用することにより、信号処理アプローチを使用して信頼性の高い検出を行うことができる。I(Xn)が、検出器平面で画定された均一にサンプリングされる位置Xnにおいて測定される光強度である場合、識別コード又は信号の検出のために周波数変換Fを使用することができる。Fは、任意の変換されたドメイン、特にフーリエ又はDCT(離散コサイン変換)のような周波数変換であり得る。周波数変換信号Fの最大値は、明るい領域の間隔に対応する周波数1/dに位置する。したがって、有利な検出方法は、残余の周波数変換値に対するF(1/d)の信号対雑音比を測定して、予め定義される閾値と比較することを含む。
【0094】
変形例において、相補的な光学構成に対して同じ原理が適用されてもよく、その場合、開口によって提供される光ビームは周囲の散乱光よりも低い光強度を有する。
【0095】
有利な実施形態において、検出器アレイが異なる形状を有する複数の検出器を含んでもよく、検出器アレイが湾曲した基材上に配置されてもよい。
【0096】
本発明の作用は、散乱光による内管2の照明に依拠することから、光源310の位置は重要ではなく、さらに詳細に述べるように、消耗品の周上のいずれの箇所にも配置することができる。
【0097】
変形例では、図13に示されるように、光源は、検出器システム400に対してある角度をもって配置されてもよい。
【0098】
一実施形態では、これらの検出器の空間光受容角として画定される検出器402~415の角度開口は、2つよりも多く、好ましくは5つよりも多く、より好ましくは10個よりも多く、さらにより好ましくは20個よりも多くの開口201~216、220~228から、及び/又は開口201~216、220~228の2つよりも多くのアレイ20、20'、20''からの光が上記光学読取りシステム400によって検出可能であるように選択される。
【0099】
上記アプローチのさらなる複雑な態様では、透過した強度パターンが消耗品のシリアル化又は識別のためにさらに使用され得る消耗品のエンコードを表すことになるように、穿孔(perforations)が不均一な間隔を有する。この複雑な態様では、このエンコードを正しくサンプリングするために、より多くのセンサが必要とされる。
【0100】
開口201~216、220~228によって提供される符号化された情報のいくつかの例をここで説明する。
【0101】
図16aは、4ラインのコードを使用して16個の異なる値を符号化することを可能にする2値符号化の例を示す。図16bは、距離d又は2×dだけ離れた穴のラインを使用する(例えば、上述のように3つのセンサの2つのグループを使用する)3値符号化を示す。これにより、3=81個の異なる値を符号化することが可能になる。より一般的には、穴のラインがn1個あり、各ラインがn2個の異なる間隔を有する場合、コードの個数は、(n2+1)n1に等しくなる。
【0102】
一実施形態では、検出器システム400は、上記光ビームの空間周波数及び/又は少なくとも1つの光学位相(η)を検出するように構成される。
【0103】
一実施形態では、上記検出器のアレイは、上記空洞軸に対して画定される異なる角度分離量を有する少なくとも3つの検出器を含む。
【0104】
例えば、2Dセンサアレイを使用することにより、各ラインにセンサのいくつかのグループを追加することによって開口201~216、220~228の2つのライン間の位相を検出することも可能であり得る。例えば、ケース(a)において2つのラインの位相は0に等しく、ケース(b)においてはd/3であり、ケース(c)においては2d/3である。これにより、3つの異なる値を符号化することが可能になる。十分な数のセンサを使用すれば、任意の数の位相に一般化することができる。
【0105】
図17a~図17cに示されるように、異なる間隔値dと、異なる位相値との両方の変化を組み合わせることにより、組み合わせの数をさらに増大させることが可能である。
【0106】
上記で説明した開口201~216、220~228によって引き起こされるものと同様の強度変化は、以下のような代替プロセスによっても生成され得ることをここで強調しておく。
-穴を伴ってベタ塗りされる複数色の印刷、色の中に開口あり。
-電子透かしのような技術、即ち紙の厚さを変動させるアプローチ。
【0107】
さらに、軸方向にシフトされ得る較正センサ400'が図18に示されている。較正センサ400'の読取りは、較正信号として機能し、したがって印刷及び電子透かしによって生成されるものなどの代替的な符号化を検出することを可能にする。
【0108】
図19に示される有利な実施形態では、内管2の開口20、20'、20''が包装40の一部を撮像することで検出されてもよい。包装40の外面40aに伝達される光ビームは、異なる照明領域41~44、41'~43'を提供する。撮像システムの所望の開口Ωに応じて、撮像レンズ450を選択することができる。レンズ450の焦点距離及び画像検出器のサイズは、画像平面600上で撮像されなければならない包装の外面40a上の領域を左右する。レンズ450の焦点距離の選択は、画像平面600における所望の解像度にも依存する。焦点距離は、3mm未満であり得る。図19に示される撮像装置400は、4×4×4mm未満の体積を有する非常に小さい撮像装置であってもよい。実施形態では、そのような非常に小さい撮像装置のアレイが装置100の空洞102に配置され得る。変形例では、凹面鏡が撮像レンズ450の代替として使用されてもよい。これにより、より大きい焦点距離を提供することを可能にするため、視野Ωがより小さくなるが、一方で解像度がより高くなる。光ビームの強度の測定ではなく、撮像システムを使用することは、内管2の表面のうちの少なくとも1つに標識(sign)などがプレスされる構造の場合に、特に有利であり得る。
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