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特許7635375合成物を盛り付けるための装置およびその使用
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  • 特許-合成物を盛り付けるための装置およびその使用 図1
  • 特許-合成物を盛り付けるための装置およびその使用 図2
  • 特許-合成物を盛り付けるための装置およびその使用 図3
  • 特許-合成物を盛り付けるための装置およびその使用 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】合成物を盛り付けるための装置およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/50 20220101AFI20250217BHJP
   B01F 35/92 20220101ALI20250217BHJP
   B01F 25/4314 20220101ALI20250217BHJP
   B01F 33/81 20220101ALI20250217BHJP
   B01F 33/82 20220101ALI20250217BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20250217BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20250217BHJP
   B28B 3/20 20060101ALI20250217BHJP
   B01F 101/28 20220101ALN20250217BHJP
   B01F 23/53 20220101ALN20250217BHJP
【FI】
B01F23/50
B01F35/92
B01F25/4314
B01F33/81
B01F33/82
B05C11/00
B05C5/00 101
B28B3/20
B01F101:28
B01F23/53
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023526473
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021025420
(87)【国際公開番号】W WO2022089779
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】102020006640.2
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523462907
【氏名又は名称】ステッドラー ソシエタス ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユーディト シュヴェマー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルツナー
(72)【発明者】
【氏名】アーサー プライアー
【審査官】田名部 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-094054(JP,A)
【文献】特表2019-517399(JP,A)
【文献】米国特許第02518748(US,A)
【文献】特開2020-144360(JP,A)
【文献】特開昭49-060355(JP,A)
【文献】特開昭53-094355(JP,A)
【文献】米国特許第03954206(US,A)
【文献】国際公開第2022/243360(WO,A1)
【文献】実開平06-025862(JP,U)
【文献】特開2016-019975(JP,A)
【文献】特開平08-206480(JP,A)
【文献】特開2010-139973(JP,A)
【文献】特開2005-279374(JP,A)
【文献】特開2013-188744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F
B28B
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダストリアルクレイを材料として加熱しかつ盛り付けるための盛付け機械出口の搬送ホースの端部側に接続された盛付け装置であって、
材料用の供給領域と、材料用の少なくとも1つの進出領域とを備えたハウジングから少なくとも成っている、
盛付け装置において、
材料用の前記供給領域と材料用の前記進出領域との間に少なくとも1つの混合領域が形成されており、
前記少なくとも1つの混合領域は、少なくとも1つの混合装置を形成されており、
前記少なくとも1つの混合装置は、少なくとも1つのスタティックミキサとして形成されており、
前記供給領域と前記進出領域との間に少なくとも1つの加熱装置が形成されており、前記少なくとも1つの加熱装置によって加熱領域が形成されている
ことを特徴とする、盛付け装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスタティックミキサは、少なくとも1つの混合シーケンスを備えた少なくとも1つの混合ロッドを有することを特徴とする、請求項記載の盛付け装置。
【請求項3】
前記加熱の前記加熱領域と、前記混合領域とは、少なくとも部分的に重なって存在しているかまたは形成されていることを特徴とする、請求項1記載の盛付け装置。
【請求項4】
自動車開発におけるデザインモデルの製造のための、請求項1記載の盛付け装置の使用であって、
前記盛付け装置は、盛付け機械の一部として形成されており、
前記盛付け装置は、手持ち案内式の機器として形成されている、
使用。
【請求項5】
自動車開発におけるデザインモデルの製造のための、請求項1記載の盛付け装置の使用であって、
前記盛付け装置は、盛付け機械の一部として形成されており、
前記盛付け機械は、全自動式の盛付けシステムとして形成されている、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性の合成物および/またはペースト状の合成物を盛り付けるための装置、およびその使用に関する。
【0002】
流動性の合成物および/またはペースト状の合成物を盛り付けるための装置は、原理的に知られている。また、このような装置を有する機械も知られている。
【0003】
例えば自動車デザイン開発においてモデルを製造するためのクレイを処理する機械が知られている。例えば独国実用新案第29720892号明細書および独国特許出願公開第102016109816号明細書には、クレイを調製/加熱し、流動性/ペースト状のクレイを、加熱されたホース内で盛付け場所に搬送する機械が示されていると共に記載されている。
【0004】
クレイは、示された機械では、加熱されて搬送され、これによって、最終的に、加熱された搬送ホースで供給ノズルに搬送され、これによって、供給ノズルから押し出される。
【0005】
この公知の構成では、クレイが不均質に/色別れして供給ノズルから放出されることが欠点として判明しており、これによって、望ましくない品質変化および許容不能な表面現象が生じてしまう。なぜならば、圧力が加えられた/圧送されたクレイの個々の成分が、搬送経路にわたって色別れするからである。この色別れは、粒子の移行および/または相分離とも呼ばれることが多い。
【0006】
さらに、プラスチック工業では、2つの流動性の成分を混合するための混合インサートが組み込まれた供給ノズルが知られている。この供給機器は、処理の場所で互いに混合される準備された成分用の2つの供給部を有しており、形成された特に液状の混合物が、架橋し、流込み型内で硬化する。このような構成は、例えば国際公開第2013/127534号に基づき公知である。このような公知の構成では、こういった機器が、インダストリアルクレイのようなペースト状の合成物を処理するために適していないことを欠点と見なすことができる。なぜならば、このような合成物は、室温では処理することができないからである。
【0007】
したがって、本発明の課題は、前述した欠点を有しておらず、特に処理/盛付けの場所で高い/均質な品質のインダストリアルクレイを提供する、合成物を盛り付けるための装置を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、さらに、高品質のインダストリアルクレイを自動車工業/自動車開発のデザイン過程において使用することができるように構成された装置を提供することである。
【0009】
課題は、請求項1、請求項6および請求項7に含まれた特徴によって解決される。
【0010】
本発明に係る解決手段の有利な構成および改良形態は、その他の請求項に含まれている。
【0011】
驚いたことに、盛付け装置内に組み込まれた混合装置によって、盛付け場所でインダストリアルクレイの成分の均質な混合を保証することができることが判明している。混合装置は、スタティックミキサおよび/またはダイナミックミキサとして形成されていてよい。
【0012】
さらに、盛付け装置内に加熱装置が組み込まれていると有利であることが判明している。これによって、盛付け場所でインダストリアルクレイ用の最適な処理温度が保証される。
【0013】
この事例では、処理温度/盛付け温度は60~80℃である。可能な加熱装置としては、例えば電気式の加熱装置、抵抗加熱装置、ベルト式加熱装置、シリコーン加熱クッションおよび/または加熱カートリッジが挙げられる。
【0014】
本発明をより良好に理解するために、例として、本発明に係る盛付け装置もしくはこのような装置を有する機械によって処理することができる、先行技術によるインダストリアルクレイの配合を記載する。
【0015】
配合例-インダストリアルクレイ(先行技術)
31重量% パラフィンワックスおよびマイクロワックス
5重量% ホワイトオイル
47重量% 充填剤
15重量% 軽量充填剤
2重量% 顔料
【0016】
例から認識できるように、配合は、液状/ワックス状の成分(オイルおよびワックス)と固体の成分(充填剤、顔料)とを有している。先行技術による多くの公知のクレイの配合では、固体の成分の割合は61~70重量%の範囲にあり、液状および/またはペースト状の成分の割合は30~39重量%の範囲にある。
【0017】
クレイの成分は、搬送前で温度調整されていない基本状態では均質に混合されているが、しかしながら、これらの成分は、搬送のために加えられている圧力および加熱された搬送ホースの長さに関連して、盛付け機械での処理中に色別れする。これによって、盛り付けられたクレイの塊の表面における成分の色別れによって、極めて顕著かつ知覚可能なうねり形成現象/マーブリング現象が、記載済みの欠点と共に発生する。
【0018】
うねり形成/マーブリングの現象は、発生する剪断に基づき、特にクレイの表面および表面近傍の領域に特に生じる。なぜならば、運動させられた/搬送されたクレイが、搬送ホースの内側表面で摩擦によって減速させられるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】進出ノズルから進出する断面円形のストランドを示す横断面図である。
図2】ストランドの中心軸線の横断面図である。
図3】本発明に係る盛付け装置の1つの実施形態を示す断面図である。
図4】可塑性の合成物を加熱しかつ盛り付けるための盛付け機械を示す図である。
【0020】
色別れ現象を説明するために、図1および図2を用いる。
【0021】
図1には、進出ノズルから進出する断面円形のストランドの横断面が示してあり、これに対して、図2には、ストランドの中心軸線の横断面が示してある。これらの図から、成分の色別れである濃淡/黒の段階的な変化を認識することができる。剪断に基づくこの現象は、供給ホースの搬送長さおよび供給ホース内での搬送圧の上昇ならびに適用される加熱温度と共に増加する。
【0022】
盛付け装置が混合装置と加熱要素とを備えていると特に有利であることが判明している。この組合せは、それぞれの時点で盛付けの場所においてクレイが最適な温度を有していて、均質に混合されているということを保証する。また、処理されたクレイの表面における色表現および構造は、表面全体にわたって均一であり、品質的に高価値であると知覚できるように形成されていることが明らかである。
【0023】
本発明に係る盛付け装置を図3および図4に基づき詳しく説明する。
【0024】
図3には、本発明に係る盛付け装置1の1つの実施形態が横断面図で示してあり、この盛付け装置1は、実質的にハウジング部分10と、ハウジング部分10の内部に組み込まれた/配置された混合装置16とから成っている。混合装置16は、本実施例では、スタティックミキサを備えた混合装置として形成されている。
【0025】
ハウジング部分10は、一方の端部に材料供給領域/供給領域13を、反対側の端部に進出領域11を有しており、供給領域13には、加熱される供給ホース/搬送ホース(24)に接続するための手段が形成されている。進出領域11には進出ノズル12が保持されていて、この進出ノズル12は、本実施形態では、間隙状の開口を備えた進出ノズル12を有しているものの、進出ノズル12は、断面円形の開口またはその他の幾何学形状を有する開口を備えて形成されていてもよい。
【0026】
供給領域13と進出領域11との間には、いわゆる混合領域15が形成されていて、この混合領域15には、混合装置16が組み込まれている/形成されている。混合装置16は、不動の混合ロッド17を備えたスタティックミキサとして形成されており、本実施形態では、混合領域15は、8つの混合シーケンス171に分割されており、これらのシーケンス171の混合方向は、時計回り方向と反時計回り方向とで交番するように形成されている。これによって、方向転換によってペースト状の材料および/または流動性の材料の最適な混合が保証される。
【0027】
インダストリアルクレイ3が、盛付け装置1内、例えば大きな接触面積を有する混合領域15内で完全に冷却されないかもしくは冷却されず、再び最適な処理温度にもたらされるかまたは保たれるようにするために、供給領域13と進出領域11との間には、加熱装置18が形成されている。加熱装置18は、本実施形態では電気抵抗加熱装置として形成されている。この場合、加熱装置18によって加熱される領域181が、少なくとも部分的に混合領域15と重なっていると有利であることが判明している。
【0028】
盛付け装置のグリップ領域19は、断熱されて形成されており、これによって、使用者が、加熱装置18で発生する熱に対して防護されている。
【0029】
スタティックミキサに対して代替的な混合装置として、駆動されて回転する少なくとも1つの混合軸を備えたダイナミックミキサが形成されていてもよい。ダイナミックミキサの使用によって、混合ホースにおける搬送圧を低減することができ、これによって、さらに、搬送されるクレイの成分の色別れを低減することができる。
【0030】
請求項1記載の本発明に係る盛付け装置は、自動車開発におけるデザインモデルの製造時に使用され、盛付け装置は盛付け機械の一部として形成されており、盛付け装置は手持ち案内式の機器として形成されている。
【0031】
さらに、請求項1記載の本発明に係る盛付け装置は、自動車開発におけるデザインモデルの製造時に使用され、盛付け装置は盛付け機械の一部として形成されていて、盛付け機械は全自動式の盛付けシステムとして形成されている。
【0032】
可塑性の合成物3を加熱しかつ盛り付けるための盛付け機械2は、図4に示してある。盛付け機械2は、注入開口25と搬送ユニット/搬送ステーション21とを備えた少なくとも1つの加熱可能な搬送ステーション21と、処理可能な可塑性の合成物3用の取出しステーション23とを有している。取出しステーション23には、加熱される搬送ホース24が接続されており、この搬送ホース24には、端部側に本発明に係る盛付け装置1が接続されている。
【0033】
盛付け機械2は、原理的には、例えば独国実用新案登録第29720892号明細書および独国特許出願公開第102016109816号明細書に基づき公知である先行技術による設備に相当している。
【0034】
ペースト状の材料および/または流動性の材料用の盛付け装置は、材料用の供給領域と材料用の少なくとも1つの進出領域とを備えたハウジングから少なくとも成っており、材料用の供給領域と材料用の進出領域との間には、少なくとも1つの混合領域が形成されており、少なくとも1つの混合領域は、少なくとも1つの混合装置を形成されている。
【0035】
供給領域と進出領域との間には、少なくとも1つの加熱装置が形成されており、少なくとも1つの加熱装置によって加熱領域が形成されている。
【0036】
少なくとも1つの混合装置は、少なくとも1つのスタティックミキサおよび/または少なくとも1つのダイナミックミキサとして形成されており、少なくとも1つのスタティックミキサは、少なくとも1つの混合シーケンスを備えた少なくとも1つの混合ロッドを有している。
【0037】
加熱の加熱領域と、混合領域とは、少なくとも部分的に重なって存在しているかまたは形成されている。
【0038】
前述した盛付け装置は、盛付け装置が、盛付け機械の一部として形成されていて、盛付け装置が、手持ち案内式の機器として形成されている、自動車開発におけるデザインモデルの製造時に使用される。同じく、前述した盛付け装置は、盛付け装置が、盛付け機械の一部として形成されていて、盛付け機械が、全自動式の盛付けシステムとして形成されている、自動車開発におけるデザインモデルの製造時にも使用される。
【符号の説明】
【0039】
1 盛付け装置
10 ハウジング部分
11 進出領域
12 進出ノズル
13 供給領域
14 ホース接続部
15 混合領域
16 混合装置
17 混合軸/混合ロッド
171 混合シーケンス
18 加熱装置
181 加熱領域
19 グリップ領域/ハンドリング領域
2 盛付け機械
21 搬送ステーション
23 取出しステーション
24 搬送ホース
25 注入開口
3 可塑性の合成物/インダストリアルクレイ
図1
図2
図3
図4