(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】制御装置及びごみクレーンの制御方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20250217BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20250217BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
B66C13/48 C
F23G5/44 B
F23G5/02 D
(21)【出願番号】P 2024122443
(22)【出願日】2024-07-29
【審査請求日】2024-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】郡司 駿
(72)【発明者】
【氏名】岩下 信治
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 稔彦
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 良則
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7474389(JP,B1)
【文献】特許第7161642(JP,B1)
【文献】特開2023-63853(JP,A)
【文献】特開2024-2243(JP,A)
【文献】特許第7511800(JP,B1)
【文献】特許第7515773(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
F23G 5/02;5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりの前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定する手段、
を備える制御装置。
【請求項2】
ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、前記受入元エリアへごみを投入するごみ収集車の渋滞度に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定する手段、
を備える制御装置。
【請求項3】
前記運転モードの自動判定ロジックでは、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が多いほど、前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量が多くなる前記運転モードが対応付けられ、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が少ないほど、前記受入先エリアにおけるごみの状態が均質化されるような前記運転モードが対応付けられている、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記運転モードの自動判定ロジックは、前記受入元エリアでのごみ山高さがオーバフローに近づいていることを示す所定の閾値よりも高い場合、そうでない場合と比較して、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が少なくても、前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量が多くなる前記運転モードが対応付けられている、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりに前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定し、決定した前記運転モードでごみの受入を実行する、
ごみクレーンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレーンの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却設備に運ばれてきたごみは、ごみ収集車からピットの受入元エリアに投下され、撹拌された後にホッパへ投入される。特許文献1には、受入元エリアに堆積したごみ山の高さなどに応じて、クレーンの作業を「投入」、「受入」、「積替」の何れかに切り替える制御が開示されている。特許文献1には、受入元エリアに堆積するごみ山の高さが閾値を超え、オーバフローすることを防ぐ技術については開示が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ごみピットの受入元エリアにおけるごみ山高さのオーバフローを防ぐことができるごみクレーンの制御方法を提供する。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置及びごみクレーンの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の制御装置は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりの前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定する手段、を備える。
【0007】
本開示のごみクレーンの制御方法は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりに前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定し、決定した前記運転モードでごみの受入を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の制御装置及びごみクレーンの制御方法によれば、ごみの受入元エリアのごみ山高さのオーバフローを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のごみ処理プラントの概略図である。
【
図2】実施形態の運転モードについて説明する第1の図である。
【
図3】実施形態の運転モードについて説明する第2の図である。
【
図4】実施形態の運転モード自動切換ロジックについて説明する第1の図である。
【
図5】実施形態の運転モード自動切換の一例を示す第1の図である。
【
図6】実施形態の運転モード自動切換ロジックについて説明する第2の図である。
【
図7】実施形態の運転モード自動切換の一例を示す第2の図である。
【
図8】実施形態の運転モード自動切換ロジックについて説明する第3の図である。
【
図9】実施形態の運転モード自動切換処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示のごみ処理プラントのクレーンの制御方法について、
図1~
図10を参照しながら説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係るごみ処理プラントの概略図である。
図1に示すようにごみ処理プラント100は、クレーンシステム1と、ピット2と、ホッパ3と、プラットフォーム5と、制御装置10と、を備えている。ピット2は、ごみ収集車6が搬送してきたごみを貯留する設備である。
図1は、ピット2を上から見た場合の概略図である。ホッパ3は、不図示の焼却炉へごみを送出するためのごみの投入口である。ホッパ3へのごみの投入はクレーンシステム1により実行される。クレーンシステム1には、ごみの撹拌や搬送等の動作を行うクレーンC1、C2が設けられている。クレーンC1、C2はレールR1、R2上を移動可能に配置されており、クレーンC1がクレーンC2を追い越して紙面の右側へ移動したり、クレーンC2がクレーンC1よりも左側へ移動したり、といった動作を行うことはできない。クレーンシステム1の各種動作は、制御装置10により制御される。制御装置10は、クレーンC1、C2を紙面の左右方向および上下方向と、紙面の手前奥行方向に移動させ、投入、受入、撹拌などの作業を行う。投入、受入、撹拌については後述するが、本実施形態の制御は、主に受入に関係する。プラットフォーム5は、ごみ収集車6が、ピット2へのごみの投入を行うためのエリアである。ごみ収集車6は、ごみを運んでプラットフォーム5へ到着し、ピット2に向けてごみを投下する。投下されたごみは、ピット2の領域2cへ落下し、クレーンC1、C2によって、領域2aまたは領域2bへ運ばれる。領域2cの近くの壁面には、扉4a~4eが設けられており、扉4a~4eが開の場合のみごみ収集車6から領域2cへごみを投入することができる。領域2aと領域2bは、例えば1日ごとにその役割を交代し、例えば、ある日には、領域2aは、ホッパ3a、3bへ投入されるごみを供給する投入元となる役割を担い、領域2bは、ごみ収集車6から投入されたごみを受け入れる役割を担う。この場合の領域2aを投入エリアと呼び、領域2bを受入先エリアと呼ぶ。また、領域2cを受入元エリアと呼ぶ。翌日になると、領域2cへ投入されたごみは領域2aへ運ばれ、領域2bからホッパ3a、3bへごみが投入される。この場合、領域2aが受入先エリア、領域2bが投入エリア、領域2cは変わらず受入元エリアである。
【0011】
以下、紙面の横方向を行、縦方向を列とする。図の例のようにピット2を8行、14列で区切った個々の領域をセルと呼ぶ。例えば、A行、1列目のセルをセル(A、1)のように記載する。
図1に例示するピット2では、領域2aをA~E行、9~13列の5セル×5セル分の範囲とし、領域2bをA~E行、3~7列のセル×5セル分の範囲としているが、これらは一例であって、領域2a、2bの位置や範囲はユーザが任意に設定することができる。
【0012】
(投入)
投入とは、ホッパ3a、3bにごみを投入する作業である。ホッパ3a、3bには、ホッパ内のごみの貯留量を示すごみの高さを計測するセンサが設けられている。ごみ高さがあるレベル以下となると、不図示の焼却炉へ供給するごみの量が不足することになる。この場合、制御装置10は、クレーンC1を制御して、ピット2のごみをホッパ3aへ投入する。ホッパ3bについても同様である。ホッパ内のごみ高さがあるレベル以上となると、それ以上のごみの投入が不要になる。この場合、制御装置10は、ホッパ3a、3bへのごみの投入は行わない。
【0013】
(受入)
受入とは、受入元エリア(領域2c)に投下されたごみを受入先エリア(領域2a又は2b)へ搬送する作業である。ピット2の各セルのごみの高さは管理されている。例えば、各セルのごみの高さを計測するセンサがピット2の壁面、天井、上方の空間などに設けられていて、このセンサによって計測してもよいし、クレーンC1、C2によって搬送されるごみの量などから推定によって求めてもよい。受入元エリア(領域2c)のごみ山の高さが所定の閾値以上となると、ごみ収集車6からのごみの投入に影響する為、速やかにピット2内の他の場所に移動させる必要がある。例えば、セル(H、8)のごみ高さが閾値以上となり、領域2bが受入先エリアの場合、制御装置10は、クレーンC1またはC2をセル(H、8)へ移動させて、セル(H、8)のごみを受入先エリア(領域2b)へ搬送する。この作業を「受入」と呼ぶ。受入の際には、例えば、制御装置10は、領域2bの各セルのごみの高さから、領域2bの各列のごみ高さの平均値を算出し、ごみの高さの平均値が最も低い列を選択して、選択した列の全体にセル(H、8)から搬送したごみを均等に落としていく(ばら撒き)。ごみを落とした後の各セルのごみの高さは計測や計算により求められ、管理される。また、ごみを落とした後の各セルのごみの撹拌状態を表す総合評価点が算出され、セルごとに総合評価点が管理される。総合評価点の計算方法には、任意の方法を適用することができる。例えば、撹拌の回数が多いほど高い総合評価点が付されるような計算式によって計算されてもよい。
【0014】
(撹拌)
撹拌とは、クレーンC1、C2によって、あるセルのごみを掴み上げて、同じセルに落下させるか、又は、他のセルまで搬送して落下させる作業である。領域2a、2bに貯留されるごみは、各セルのごみが均等に燃焼に適した状態となるように撹拌される。撹拌のたびに当該セルの総合評価点が更新される。撹拌は、総合評価点が低いセルから優先して行われ、総合評価点がホッパ3a、3bへの投入が可能な状態であることを示す所定の閾値以上となっているセルに対しては行わなくてもよい。
【0015】
受入元エリアには、ごみ収集車6から次々とごみが投下され、受入を行わなければ、受入元エリアのごみ山の高さがオーバフローしてしまう。しかしながら、単に受入だけを行うと、ごみが焼却炉での燃焼に適さない状態のままとなってしまう。そこで本実施形態では、受入元エリアのごみ山高さのオーバフローを防ぎつつ、受入先エリアのごみの総合評価点を向上できるようにクレーンC1、C2を制御する。より具体的には、受入元エリアのごみ山高さの平均増加量や(ごみ投入量-受入速度))に基づいて、クレーンC1、C2の運転モードを自動的に切り替え、適切に受入を行いつつ、余裕があれば撹拌を行うようにクレーンC1、C2を制御する。
【0016】
(制御装置の機能・構成)
制御装置10は、信号取得部11と、運転モード決定部12と、制御部13と、記憶部14と、を備える。
信号取得部11は、領域2cへ投下されるごみの投入量(t/h)(ごみ投入量と称する。)を含む信号、領域2cから領域2aや領域2bへ搬送されるごみの搬送量(t/h)(受入速度と称する。)を含む信号を取得する。この他にも信号取得部11は、受入元エリア(領域2c)のごみ山高さを含む信号を取得する。例えば、信号取得部11は、ごみ投入量、受入速度を含む信号やごみ山高さを含む信号を1時間ごとに受信し、受信した信号に含まれるごみ投入量や受入速度の情報を記憶部14に記録する。なお、受入速度は、受入の回数(回/h)×1回の受入におけるごみの掴み重量(t/回)で計算することができる。また、信号取得部11は、プラットフォーム5の渋滞度に関する情報(例えば、プラットフォーム5に存在するごみ収集車6の台数など)を含む信号を取得してもよい。
【0017】
運転モード決定部12は、クレーンC1、C2の受入に関する運転モードを決定する。ここで、
図2、
図3を参照して、受入に関する運転モードの一例について説明する。以下に説明するように、各運転モードでは、受入先エリアにおいて、ごみを落下させる範囲や位置が規定される。ごみを落下させる範囲が広ければ、各セルのごみが燃焼に適した状態となるよう均質化される効果が期待でき、ごみを落下させる位置が受入元エリアに近ければ、それだけ多くの回数ごみの搬送が可能となるので受入速度の向上が期待できる。
【0018】
[撹拌受入モード]
撹拌受入モードとは、ごみを掴んでピット2の奥までばら撒きをx回、撹拌をy回という動作を繰り返す運転モードである。撹拌受入モードの場合、
図2に例示するように、クレーンC1又はC2は、例えば、セル(H、11)のごみを掴んで領域2bの6列の各セルに均等に落下させるといったばら撒き動作をx回行い、セル(E、6)のごみを掴んでセル(A、3)に落下させるといった撹拌動作をy回行う。この例におけるセル(H、11)、6列、セル(E、6)、セル(A、3)は一例であって、x回のばら撒き、y回の撹拌には他のセルや列が含まれていてもよい。このことは以下に例示する他の運転モードについても同様である。撹拌受入モードは、ごみの攪拌度が高く、ごみの受入速度が低い運転モードである。
【0019】
[通常受入モード]
通常受入モードとは、ごみを掴んでピット2の奥までばら撒くという動作を繰り返す運転モードである。通常受入モードの場合、
図2に例示するように、クレーンC1又はC2は、例えば、セル(H、11)のごみを掴んで領域2bの6列の各セルに均等に落下させるといったばら撒き動作を繰り返し行う。通常受入モードは、ごみの攪拌度が中~高で、ごみの受入速度が低い運転モードである。
【0020】
[準繁忙モード]
準繁忙モードとは、ごみを掴んで特定の位置で落とすという動作を繰り返す運転モードである。準繁忙モードの場合、
図3に例示するように、クレーンC1又はC2は、ある単位時間に、例えば、セル(H、11)のごみを掴んでセル(D、6)に落下させるといった動作を行う。準繁忙モードは、ごみの攪拌度が中で、ごみの受入速度が中程度の運転モードである。
【0021】
[繁忙モード]
繁忙モードとは、ごみを掴んで近傍のエリアに落とすという動作を繰り返す運転モードである。繁忙モードの場合、
図3に例示するように、クレーンC1又はC2は、ある単位時間に、例えば、セル(H、11)のごみを掴んで領域2aの何れかのセルに落下させるといった動作を行う。繁忙モードは、ごみの攪拌度が低く、ごみの受入速度が高い運転モードである。
【0022】
これらの運転モードを撹拌度(燃焼に適した状態で均質化されている度合い)が高い順に並べると、撹拌受入モード、通常受入モード、準繁忙モード、繁忙モードの順となる。また、これらの運転モードを受入速度が高い順に並べると、繁忙モード、準繁忙モード、通常受入モード、撹拌受入モードの順となる。
【0023】
発明者の試験・研究により、単位時間(例えば、1時間)あたりの(ごみ投入量-受入速度)と、領域2c(受入元エリア)におけるごみ山高さの増加量の平均値は、
図4(a)に示すような線形関係L1にあるとの知見が得られた。
図4(a)の縦軸は「ごみ山高さの平均増加量(m/h)」、横軸は「1時間当たりの(ごみ投入量-受入速度)」を示す。この関係性を用いると、
図4(a)のグラフから10時の「1時間当たりの(ごみ投入量-受入速度)」がx1(t/h)のとき「ごみ山高さの平均増加量(m/h)」は0.5となり、10時のごみ山高さは以下の通り推定できる。
10時のごみ山高さ推定値(m)=9時のごみ山高さ(m)+0.5(m)
運転モード決定部12は、この関係性を用い、運転モードを自動的に切り替え、領域2cのごみ山の高さがオーバフローすることを防止する。
【0024】
制御部13は、運転モード決定部12が決定した運転モードに基づいてクレーンC1、C2を制御する。なお、本実施形態では、クレーンC1、C2の行うべき作業として受入が選択された場合の運転モードの自動切換について説明する。制御部13は、所定の制御ロジックにしたがい受入、撹拌、投入のどの作業を行うかを決定し、受入を行う場合には、本実施形態の運転モードの自動切換機能により選択された運転モードにて受入を行う。
【0025】
記憶部14は、信号取得部11が取得した情報、各セルの総合評価点、1時間あたりの(ごみ投入量-受入速度)とごみ山高さ平均値増加量の関係性を示すグラフ(
図4(a)等)」、運転モード自動判定ロジック(
図4(b)等)、各種の閾値等を記憶する。
【0026】
(運転モードの決定方法)
次に
図4~
図8を参照して、運転モードの決定方法について説明する。
図4(a)に、ごみ山高さの平均増加量と1時間当たりの(ごみ投入量-受入速度)の線形関係L1を示す。
図4(b)に、運転モードの自動判定ロジックを示す。
図4(b)の縦軸は運転モード、横軸はごみ山高さの平均増加量を示す。
図4(b)のグラフは、運転モード自動切替の閾値を表しており、ごみ山高さの平均増加量が、実線で示す上向き線に対応する値となると、受入速度が高い1つ上の運転モードに切り替わり、破線で示す下向き線に対応する値となると、受入速度が低い1つ下の運転モードに切り替わることを示している。自動判定ロジックには閾値境界でのチャタリングを防止するため不感帯が設けられている。なお運転モードの数や閾値等の数値は一例であり、任意に設定することができる。
【0027】
次に、
図5を参照して運転モードの自動切替の一例について説明する。
図5の縦軸は受入元エリア(領域2c)のごみ山の高さ、横軸は時間を示している。運転モード決定部12は、以下の手順で運転モードを決定する。
(1)受入元エリアのごみ山高さを基準とした閾値Th1(
図5)を設け、閾値Th1を上回る場合に運転モード自動切換機能をONとし、閾値Th1以下になった場合、運転モード自動切換機能をOFFとする。
(2)運転モード自動切換機能がONの場合、単位時間(例えば1時間)あたりの(ごみ投入量-受入速度)(t/h)と
図4(a)の線形関係L1を用いて、ごみ山高さ平均値の増加量(m/h)を算出する。次に
図4(b)の自動判定ロジックの閾値を参照して、算出したごみ山高さ平均値の増加量に対応する運転モードを決定する。
【0028】
(昼間の運転モード自動切替)
図5の例では、9時のごみ山の高さは、閾値Th1以下である。したがって、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をOFFとする。運転モード決定部12は、受け入れに関するクレーンC1、C2の動作を所定の運転モードに決定する。
【0029】
10時になると、ごみ山の高さは、閾値Th1を上回っている。したがって、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をONとする。ここで、10時の(ごみ投入量-受入速度)が
図4(a)のx0(t/h)であるとすると、x0に対応するごみ山高さの平均増加量は0.0以下であるから運転モード決定部12は、
図4(b)の自動判定ロジックから運転モードを撹拌受入モードに決定する。
【0030】
11時では、ごみ山の高さは、閾値Th1を上回っている。したがって、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をONとする。ここで、11時の(ごみ投入量-受入速度)が
図4(a)のx2(t/h)であるとすると、x2に対応するごみ山高さの平均増加量は2.0を上回ることから、運転モード決定部12は、
図4(b)の自動判定ロジックを参照して運転モードを繁忙モードに切り替える。
【0031】
12時では、ごみ山の高さは、閾値Th1を上回っている。したがって、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をONとする。ここで、12時の(ごみ投入量-受入速度)が
図4(a)のx3(t/h)であるとすると、x3に対応するごみ山高さの平均増加量は0.0未満であることから運転モード決定部12は、
図4(b)を参照して運転モードを撹拌受入モードに切り替える。これにより、ばら撒きだけではなく撹拌が実行されることになる。13時になっても(ごみ投入量-受入速度)の値に大きな変動がないとすると、引き続き、撹拌受入モードが選択される。
【0032】
14時では、ごみ山の高さは、閾値Th1を上回っている。したがって、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をONとする。また、14時には、ごみ山の高さは、閾値Th2を超えている。閾値Th2は、ごみ山高さがオーバフローに近づいたことを検知するための閾値である。ごみ山高さが閾値Th2を超えると、運転モード決定部12は、
図4(b)とは異なる自動判定ロジックに基づいて運転モードを判定する。
図6に、受入元エリアのごみ山の高さが閾値Th2を超えたときに採用される運転モードの自動判定ロジックの一例を示す。
図6(a)には、
図4(a)と同様の線形関係L1を示すが、不感帯の範囲が
図4(a)とは異なっている。ごみ山の高さが高い(オーバフローが近い)場合、ごみ山高さの平均増加量(m/h)が少なくても上位のモード(受入速度が速いモード)が選択されるように、
図6(b)の自動判定ロジックでは、運転モード判定の閾値が補正されている。例えば、
図4(b)の場合、ごみ山高さの平均増加量が2.0以上でないと繁忙モードが選択されないが、
図6(b)の場合、ごみ山高さの平均増加量が1.5以上で繁忙モードが選択されるように補正されている。これにより、オーバフローが近づくと、オーバフローを回避するために受入速度を向上しようとする人間の判断に近い運転モードに変更することができる。
図4(b)に示す自動判定ロジックから
図6(b)に示す自動判定ロジックへの補正の大小は調整可能である。
【0033】
ここで、14時の(ごみ投入量-受入速度)が
図6(a)のx4であるとすると、x4に対応するごみ山高さの平均増加量は1.5を上回ることから運転モード決定部12は、
図6(b)を参照して運転モードを繁忙モードに切り替える。これにより、受入速度が向上する。
【0034】
次に15時の(ごみ搬入量-受入速度)が
図6(a)のx5であるとすると、x5に対応するごみ山高さの平均増加量は1.5未満ではあるが、1.0を上回ることから不感帯となり、運転モード決定部12は、
図6(b)を参照して運転モードを繁忙モードに維持する。これにより16時まで繁忙モードによる受入が行われる。一例として、16時でごみの投入が完了し、その後17時までメンテナンス期間とする。
【0035】
(夜間の運転モード自動切替)
次に、ごみの投入が行われない夜間(17時以降)の運転モードについて説明する。ごみの投入完了から翌朝までについては、(ごみ投入量-受入速度)が0以下となることから、運転モード決定部12は、
図4(b)を参照して運転モードを撹拌受入モードに決定する。撹拌受入モードは、受入x回につき撹拌をy回行う動作であるが、x回、y回の設定は任意に設定することができる。例えば、ユーザが、ごみ投入完了時の受入エリアにおけるごみ山の高さや曜日などに応じて、x回、y回を制御装置10に設定し、制御部13が、設定されたx、yに基づいて、撹拌受入モードによる受入を行う。
図7に夜間のごみ山高さの推移の一例を示す。
図7の縦軸は受入元エリアのごみ山の高さ、横軸は時間を示している。グラフ71は、投入完了時のごみ山高さが高い場合のごみ山高さの推移を示し、グラフ72は、投入完了時のごみ山高さが低い場合のごみ山高さの推移を示している。ごみ山高さが高い場合、xの回数を多く、yの回数を少なくする。これにより、翌朝のごみ山高さを低くすることができる。また、ごみ山高さが低い場合、yの回数を多くし、撹拌を増やすことで、ごみの状態を燃焼に適した状態にしておくことができる。一般的には、夜間にまず受入元エリアから受入先エリアへの移動散乱(ばら撒き)を行って、朝方になってから撹拌を行うといった動作をすることが多い。この場合、受入先エリアの上層部分のごみは撹拌されるが、夜間の最初の方に移動散乱した比較的内部の層のごみは撹拌されないまま堆積されてしまう。これに対し、本実施形態によれば、撹拌受入モードが選択され、x回のばら撒きとy回の撹拌をセットした動作が夜間を通じて実行されるため、上層だけではなく内部の層のごみも撹拌された状態でごみを堆積することができる。このように、本実施形態の運転モードの自動切換を適用した受入により、クレーンC1、C2の操作者の判断が不要で、最適な運転モードが選択されるため、自動で受入元エリアのオーバフローを防ぎながら、受入先エリアの総合評価点を高めることができる。また、搬入終了~翌朝の夜間については、受入の完了と総合評価点の上昇を両立することができる。
【0036】
(自動判定ロジックの他の例)
図4、
図5では、ごみ山高さ平均増加量に基づいて運転モードを切り替える例を挙げたが、このほかにもプラットフォーム5の渋滞度に応じて1時間あたりのごみ山高さの平均増加量を算出したり、運転モードの自動切替を行ったりしてもよい。
図8(a)に、プラットフォーム5の渋滞度と1時間あたりのごみ山高さの平均増加量(m/h)の関係を示す。
図4(a)、
図5(a)と同様、両者の間には線形関係L2が得られる。プラットフォームの渋滞度は、例えば、プラットフォーム5に存在するごみ収集車6が0台の時には渋滞度は「なし」、1台~3台なら渋滞度は「軽度」、4台~6台なら渋滞度は「中程度」、7台以上ならば「重度」等と基準を決めて、この基準に従って、運転モード決定部12がプラットフォーム5の渋滞度を算出してもよい。運転モード決定部12は、プラットフォーム5の渋滞度と
図8(a)のグラフから1時間あたりのごみ山高さの平均増加量を算出し、算出したごみ山高さの平均増加量と
図4(b)、
図5(b)に例示した自動判定ロジックに基づいて運転モードを決定することができる。また、運転モード決定部12は、プラットフォーム5の渋滞度を算出すると、
図8(b)に例示する自動判定ロジックに基づいて、運転モードを決定してもよい。例えば、渋滞度が軽度の場合、運転モード決定部12は、通常受入モードを選択し、渋滞度が中程度の場合、準繁忙モードを選択する。不感帯については、例えば、運転モードが繁忙モード(7台以上)となって、その状態からプラットフォーム5に存在するごみ収集車6の台数が5台まで減少すると準繁忙モードに遷移し、さらに2台になると通常受入モードに遷移するといったように、プラットフォーム5に存在するごみ収集車6の台数に応じて不感帯を設定するようにしてもよい。なお、本例において渋滞度の区分の数は4つに限定されない。また、
図4(b)、
図5(b)において、1時間あたりのごみ山高さの平均増加量に応じて運転モードを決定することとしたが、
図4(b)、
図5(b)の横軸に、1時間あたりのごみ投入量-受入速度を設定し、1時間あたりのごみ投入量-受入速度と運転モードの関係を定めた自動判定ロジックを用意し、ごみ投入量-受入速度に基づいて、直接的に運転モードを決定するようにしてもよい。
【0037】
(動作)
次に
図9を用いて、運転モードの自動切替処理の流れを説明する。
図9は、実施形態の運転モード自動切換処理の一例を示すフローチャートである。
運転モード決定部12は、以下の処理を単位時間ごとに繰り返す。まず、運転モード決定部12は、受入元エリアのごみ山高さが閾値Th1以下かどうかを判定する(ステップS1)。閾値Th1以下の場合(ステップS1;Yes)、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をOFFとし、受入の運転モードを通常撹拌モードに設定する(ステップS2)。ここで、通常撹拌モードとは、ごみ山高さのオーバフローまで余裕があることから、受入(移動散乱、ばら撒き)だけでなく、撹拌を多めに取り入れた運転モードであってもよい。例えば、通常撹拌モードは、撹拌受入モードと同様の動作であってもよい。
【0038】
閾値Th1を上回る場合(ステップS1;No)、運転モード決定部12は、運転モード自動切換機能をONとする(ステップS3)。次に運転モード決定部12は、直前の単位時間あたりのごみ投入量-受入速度、又は、単位時間あたりのごみ山高さの平均増加量、又は、現在のプラットフォーム5の渋滞度と、
図4(b)等の自動判定ロジックに基づいて、撹拌受入モードを選択するかどうかを判定する(ステップS4)。単位時間あたりのごみ投入量-受入速度等が撹拌受入モードの条件を満たす場合(ステップS4;Yes)、運転モード決定部12は、受入の運転モードを撹拌受入モードに決定する(ステップS5)。
【0039】
撹拌受入モードの条件を満たさない場合(ステップS4;No)、運転モード決定部12は、単位時間あたりのごみ山高さの平均増加量等と
図4(b)等の自動判定ロジックに基づいて、通常受入モードを選択するかどうかを判定する(ステップS6)。単位時間あたりのごみ山高さの平均増加量等が通常受入モードの条件を満たす場合(ステップS6;Yes)、運転モード決定部12は、運転モードを通常受入モードに決定する(ステップS7)。
【0040】
通常受入モードの条件を満たさない場合(ステップS6;No)、運転モード決定部12は、単位時間あたりのごみ山高さの平均増加量等と
図4(b)等の自動判定ロジックに基づいて、準繁忙モードを選択するかどうかを判定する(ステップS8)。単位時間あたりのごみ山高さの平均増加量等が準繁忙モードの条件を満たす場合(ステップS8;Yes)、運転モード決定部12は、運転モードを準繁忙モードに決定し(ステップS9)、条件を満たさない場合には(ステップS8;No)、運転モードを繁忙モードに決定する(ステップS10)。なお、受入エリアのごみ山高さが閾値Th2を超える場合、ステップS4、S6、S8の判定では、
図5(b)の自動判定ロジックを用いることができる。なお、
図9のフローチャートでは、自動切換え時の運転モードとして、撹拌受入モード、通常受入モード、準繁忙モード、繁忙モードの何れかに切り替えることとしたが、運転モードはこの4つに限らず5つ以上の運転モードの何れかに切り替えてもよいし、3つ以下の運転モードの何れかに切り替えるようにしてもよい。
【0041】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、単位時間あたりの(ごみ搬入量―受入速度)に対するごみ山さの平均増加量の関係から、受入の運転モードを自動的に切り替える。これにより、例えば、ごみ山高さと閾値とを比較して閾値を上回る場合に、オーバフロー回避のための動作を行うような制御と比較して、先行して運転モードの切替が可能となり、ごみの受入元エリアのオーバフローを防ぐことができる。さらに受入元エリアのごみ山高さが閾値Th2を超えるような場合には、例えば(ごみ搬入量―受入速度)に対するごみ山さの平均増加量が通常受入モード相当であっても、準繁忙モードや繁忙モードを選択する様な補正を加えることで、より確実にオーバフローを回避することができる。また、ごみ投入完了後から翌朝の期間については、(ごみ搬入量―受入速度)に対するごみ山さの平均増加量が最低になるので、撹拌受入モードにて受入を行う。これにより、ごみ山高さの低減とごみの総合評価点の向上を両立することができる。なお、上記の説明では、単位時間あたりの(ごみ投入量-受入速度)とごみ山高さの平均増加量が線形関係にあるとしたが、これらの関係が単純な線形関係ではなく、多項式で表されるような関係にある場合でも本実施形態を適用することができる。例えば、重回帰、リッジ回帰、ニューラルネットワーク等、入力に対して一定程度関連性のある出力を出す関係にある場合であれば本実施形態を適用することができる。
【0042】
図10は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0043】
なお、制御装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0044】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
<付記>
実施形態に記載の制御装置及びクレーンの制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0046】
(1)第1の態様に係る制御装置は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりの前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定する手段、を備える。
これにより、受入元エリアのごみ山高さのオーバフローを防止することができる。
【0047】
(2)第2の態様に係る制御装置は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、前記受入元エリアへごみを投入するごみ収集車の渋滞度に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定する手段、を備える。
これにより、受入元エリアでのごみ山高さのオーバフローを防止することができる。
【0048】
(3)第3の態様に係る制御装置は、(1)~(2)の制御装置であって、前記運転モードの自動判定ロジックでは、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が多いほど、前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量が多くなる前記運転モードが対応付けられ、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が少ないほど、前記受入先エリアにおけるごみの状態が均質化されるような前記運転モードが対応付けられている。
これによりごみ山高さの増加量が多い場合には、撹拌よりも受入先エリアへの移動を重視して受入を行うことによりオーバフローを未然に防ぎ、ごみ山高さの増加量が少ない場合には、撹拌や広範囲にごみをばらまくことでごみの状態を燃焼に適した状態に均質化することができる。
【0049】
(4)第4の態様に係る制御装置は、(1)~(3)の制御装置であって、前記運転モードの自動判定ロジックは、前記受入元エリアでのごみ山高さがオーバフローに近づいていることを示す所定の閾値よりも高い場合、そうでない場合と比較して、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量が少なくても、前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量が多くなる前記運転モードが対応付けられている。
これにより、より確実に受入元エリアでのごみ山高さのオーバフローを防止することができる。
【0050】
(5)第5の態様に係るごみクレーンの制御方法は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりに前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定し、決定した前記運転モードでごみの受入を実行する。
【0051】
(6)第6の態様に係るごみクレーンの制御方法は、ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、前記受入元エリアへごみを投入するごみ収集車の渋滞度に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定し、決定した前記運転モードでごみの受入を実行する。
【符号の説明】
【0052】
10・・・制御装置
11・・・信号取得部
12・・・運転モード決定部
13・・・制御部
14・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
【要約】
【課題】ごみピットの受入元エリアにおけるごみ山高さのオーバフローを防ぐことができるごみクレーンの制御方法を提供する。
【解決手段】ごみピットにおいてごみが投入されるエリアを受入元エリア、前記受入元エリアからごみを搬送する先を受入先エリア、前記受入元エリアから前記受入先エリアへごみを搬送する動作を受入としたときに、単位時間あたりの前記受入元エリアへのごみの投入量から前記単位時間あたりに前記受入元エリアから前記受入先エリアへのごみの搬送量を減じた値に対応する前記受入元エリアにおけるごみ山高さの増加量と、前記受入元エリアでのごみ山高さの増加量と前記受入において搬送したごみを落下させる前記受入先エリアの位置又は範囲が規定された前記受入の運転モードとを対応付けた前記運転モードの自動判定ロジックと、に基づいて、前記運転モードを決定し、決定した前記運転モードでごみの受入を実行する。
【選択図】
図1