(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20250218BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2024540810
(86)(22)【出願日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2024009078
(87)【国際公開番号】W WO2024190678
(87)【国際公開日】2024-09-19
【審査請求日】2024-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506392090
【氏名又は名称】株式会社テクロス
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【氏名又は名称】松浦 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100180035
【氏名又は名称】生塩 智邦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 悟
(72)【発明者】
【氏名】許沢 佳弘
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-107808(JP,A)
【文献】特開2010-140433(JP,A)
【文献】特表2011-513819(JP,A)
【文献】国際公開第2009/145257(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
WEBサイトにおいて視聴・閲覧可能である医療に関するコンテンツ情報と、該コンテンツ情報を内容に基づき分類するためのタグ情報と、を関連付けて記憶するコンテンツ情報記憶手段と、
ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが視聴・閲覧した前記コンテンツ情報に対応する前記タグ情報と、該タグ情報毎の視聴・閲覧回数と、を関連付けるユーザー行動情報を記憶するユーザー行動情報記憶手段と、
前記ユーザー識別情報と、各前記ユーザーの特定の前記コンテンツ情報に関する視聴・閲覧状況に関する情報を含む複数の属性情報と、を関連付けるユーザー属性情報を記憶するユーザー属性情報記憶手段と、
前記タグ情報毎の視聴・閲覧回数について、前記ユーザーの視聴・閲覧の頻度を表すように正規化する正規化手段と、
正規化後の前記ユーザー行動情報に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子を算出する因子分析処理手段と、
正規化後の前記ユーザー行動情報について、前記ユーザー識別情報毎に、前記所定数の共通因子に基づく因子得点を算出し、最も高い得点となる一の前記共通因子を前記ユーザー識別情報によって識別される前記ユーザーの特徴を表すユーザー特性と判定するユーザー特性判定手段と、
前記ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーの前記複数の属性情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが使用している同じ効果を有する医療に関する複数の製品の複数の使い分け対象に対する使い分けの情報と、を関連付ける製品使い分け情報を記憶する製品使い分け情報記憶手段と、
前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報と、前記ユーザー特性との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記製品使い分け情報に基づいて、多変量解析を適用し、前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報のうちから、所定の製品の使用率について前記ユーザー特性に関連する要因を抽出する要因抽出手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
WEBサイトにおいて視聴・閲覧可能である医療に関するコンテンツ情報と、該コンテンツ情報を内容に基づき分類するためのタグ情報と、を関連付けて記憶するコンテンツ情報記憶手段と、ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが視聴・閲覧した前記コンテンツ情報に対応する前記タグ情報と、該タグ情報毎の視聴・閲覧回数と、を関連付けるユーザー行動情報を記憶するユーザー行動情報記憶手段と、前記ユーザー識別情報と、各前記ユーザーの特定の前記コンテンツ情報に関する視聴・閲覧状況に関する情報を含む複数の属性情報と、を関連付けるユーザー属性情報を記憶するユーザー属性情報記憶手段と、前記ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーの前記複数の属性情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが使用している同じ効果を有する医療に関する複数の製品の複数の使い分け対象に対する使い分けの情報と、を関連付ける製品使い分け情報を記憶する製品使い分け情報記憶手段と、前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報と、
前記ユーザー識別情報によって識別される前記ユーザーの特徴を表すユーザー特性との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、を備えるコンピューターにおける、
正規化手段が、前記タグ情報毎の視聴・閲覧回数について、前記ユーザーの視聴・閲覧の頻度を表すように正規化するステップと、
因子分析処理手段が、正規化後の前記ユーザー行動情報に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子を算出するステップと、
ユーザー特性判定手段が、前記正規化後のユーザー行動情報について、前記ユーザー識別情報毎に、前記所定数の共通因子に基づく因子得点を算出し、最も高い得点となる一の前記共通因子
を前記ユーザー特性と判定するステップと、
要因抽出手段が、前記製品使い分け情報に基づいて、多変量解析を適用し、前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報のうちから、所定の製品の使用率について前記ユーザー特性に関連する要因を抽出するステップと、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
コンピューターに、請求項2に記載の方法を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
医療分野におけるデジタルマーケティングの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業であっても、サービス業であっても、企業活動においてマーケティングは、自社の競争優位性を発揮し維持する上で、非常に重要な活動である。
【0003】
一方、近年、企業における広告や販売の活動は、WEB、インターネット、AI(Artificial Intelligence、人工知能)などのデジタル技術を駆使して行われることも多く、企業のマーケティング活動もデジタル技術を基礎として展開される傾向にある。
【0004】
そのような背景下、様々な業種において、マーケティングに関する技術的提案が盛んに行われており、例えば、特許文献1では、ユーザの各種行動ログを広範に収集し、高精度のアクセス解析を実施する技術が提案され、特許文献2では、学習の効果を好適に把握することが可能な表示を行う情報処理装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、ユーザの特性に応じたWeb広告配信において、広告効果と分析精度を高めるための技術が提案され、特許文献4では、配信情報による広告効果を高めることが可能な、情報配信サーバが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2022-009936号公報
【文献】特開2021-056364号公報
【文献】特許第5878218号公報
【文献】特開2010-178176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、医療分野における顧客の特性が加味されておらず、医療分野におけるマーケティングに適用し難いという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータを生成する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示する情報処理装置の第1の態様は、WEBサイトにおいて視聴・閲覧可能である医療に関するコンテンツ情報と、該コンテンツ情報を内容に基づき分類するためのタグ情報と、を関連付けて記憶するコンテンツ情報記憶手段と、ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが視聴・閲覧した前記コンテンツ情報に対応する前記タグ情報と、該タグ情報毎の視聴・閲覧回数と、を関連付けるユーザー行動情報を記憶するユーザー行動情報記憶手段と、前記ユーザー識別情報と、各前記ユーザーの特定の前記コンテンツ情報に関する視聴・閲覧状況に関する情報を含む属性情報と、を関連付けるユーザー属性情報を記憶するユーザー属性情報記憶手段と、前記タグ情報毎の視聴・閲覧回数について、前記ユーザーの視聴・閲覧の頻度を表すように正規化する正規化手段と、正規化後の前記ユーザー行動情報に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子を算出する因子分析処理手段と、前記正規化後のユーザー行動情報について、前記ユーザー識別情報毎に、前記所定数の共通因子に基づく因子得点を算出し、最も高い得点となる一の前記共通因子を前記ユーザー識別情報によって識別される前記ユーザーの特徴を表すユーザー特性と判定するユーザー特性判定手段と、前記ユーザー属性情報及び前記ユーザー特性を、前記ユーザー識別情報に基づいて統合し、前記特定のコンテンツ情報に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象の多変量解析による要因分析を行うためのユーザー統合情報を生成するユーザー統合情報生成手段と、前記ユーザー統合情報について、前記特定のコンテンツ情報に関し前記ユーザーが深い興味を持っていると推察できる前記所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象に寄与する、前記特定のコンテンツ情報に関する視聴・閲覧状況に関する情報を含む属性情報の項目を多変量解析によって特定する多変量解析処理手段と、前記ユーザー統合情報に基づいて、所定の前記ユーザー特性を備え、かつ、前記多変量解析処理手段によって特定される前記属性情報に関する条件を満たす前記ユーザー識別情報を抽出するユーザー抽出手段と、を有することを特徴とする。
開示する情報処理装置の第2の態様は、WEBサイトにおいて視聴・閲覧可能である医療に関するコンテンツ情報と、該コンテンツ情報を内容に基づき分類するためのタグ情報と、を関連付けて記憶するコンテンツ情報記憶手段と、ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが視聴・閲覧した前記コンテンツ情報に対応する前記タグ情報と、該タグ情報毎の視聴・閲覧回数と、を関連付けるユーザー行動情報を記憶するユーザー行動情報記憶手段と、前記ユーザー識別情報と、各前記ユーザーの特定の前記コンテンツ情報に関する視聴・閲覧状況に関する情報を含む複数の属性情報と、を関連付けるユーザー属性情報を記憶するユーザー属性情報記憶手段と、前記タグ情報毎の視聴・閲覧回数について、前記ユーザーの視聴・閲覧の頻度を表すように正規化する正規化手段と、正規化後の前記ユーザー行動情報に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子を算出する因子分析処理手段と、正規化後の前記ユーザー行動情報について、前記ユーザー識別情報毎に、前記所定数の共通因子に基づく因子得点を算出し、最も高い得点となる一の前記共通因子を前記ユーザー識別情報によって識別される前記ユーザーの特徴を表すユーザー特性と判定するユーザー特性判定手段と、前記ユーザー識別情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーの前記複数の属性情報と、前記ユーザー識別情報で識別されるユーザーが使用している同じ効果を有する医療に関する複数の製品の複数の使い分け対象に対する使い分けの情報と、を関連付ける製品使い分け情報を記憶する製品使い分け情報記憶手段と、前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報と、前記ユーザー特性との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、前記製品使い分け情報に基づいて、多変量解析を適用し、前記複数の使い分け対象及び前記複数の属性情報のうちから、所定の製品の使用率について前記ユーザー特性に関連する要因を抽出する要因抽出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
開示する情報処理装置は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る情報処理装置の概要を説明する図である。
【
図2】本実施の形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係るユーザー行動情報記憶手段の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係るユーザー属性情報記憶手段の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係る因子分析処理手段による処理を説明する図である。
【
図6】本実施の形態に係るユーザー統合情報生成手段の一例を示す図である。
【
図7】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウエア構成例を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係る情報処理装置による処理例(その1)の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本実施の形態に係る情報処理装置による処理例(その2)の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本実施の第2の形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図11】本実施の第2の形態に係る要因抽出手段の一例を示す図である。
【
図12】本実施の第2の形態に係る情報処理装置による処理例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る情報処理装置の動作原理)
【0013】
図1乃至6を用いて、本実施の形態に係る情報処理装置(以下、単に「本装置」という。)100の動作原理について説明する。
図1は、本装置100と他装置との接続関係を示す図であり、
図2は、本装置100の機能ブロック図である。
【0014】
図1で示すように、本装置100は、通信ネットワーク450を介して、ユーザー380が操作するユーザー端末440に接続される。通信ネットワーク450は、有線・無線を問わない。ユーザー端末440は、デスクトップ型・ラップトップ型のパーソナルコンピューターであっても良く、スマートフォンの様な携帯情報端末であっても良い。
【0015】
図2で示すように、本装置100は、コンテンツ情報記憶手段110、ユーザー行動情報記憶手段120、ユーザー属性情報記憶手段130、正規化手段140、因子分析処理手段150、ユーザー特性判定手段160、ユーザー統合情報生成手段170、除外判定手段180、多変量解析処理手段190、ユーザー抽出手段200、第2ユーザー抽出手段210を有する。
【0016】
コンテンツ情報記憶手段110は、WEBサイトにおいて視聴・閲覧可能である医療(特に、循環器内科)に関するコンテンツ情報310と、該コンテンツ情報310を内容に基づき分類するためのタグ情報320と、を関連付けて記憶する。コンテンツ情報310は、文章記事であっても良く、動画記事であっても良い。
【0017】
また、タグ情報320は、例えば、急性冠症候群、不整脈、文献、複雑なPCI(Percutaneous Coronary Intervention)、末梢血管内治療、冠血流予備能、ガイドライン、心不全、虚血性心疾患、画像診断、ライブ、薬物療法、学会、構造的心疾患、海外留学、医療マネジメントなどがあり、循環器内科に関連する内容である。なお、タグ情報320は、変更、追加、削除が可能である。
【0018】
ユーザー行動情報記憶手段120は、ユーザー識別情報390、ユーザー識別情報390で識別されるユーザー380が視聴・閲覧したコンテンツ情報310に対応するタグ情報320、タグ情報320毎の視聴・閲覧回数330、を関連付けるユーザー行動情報400を記憶する。視聴・閲覧回数330は、ユーザー端末440によるアクセス回数であっても良く、また、視聴・閲覧の時間であっても良い。
【0019】
図3は、ユーザー行動情報記憶手段120の一例を示す図である。
図3で示すように、ユーザー行動情報記憶手段120は、例えば、ユーザー識別情報390:11111について、(タグ情報320、視聴・閲覧回数330)=(急性冠症候群、5回)、(不整脈、10回)、…を関連付けるユーザー行動情報390を記憶する。
【0020】
また、ユーザー行動情報記憶手段120は、例えば、ユーザー識別情報390:11115について、(タグ情報320、視聴・閲覧回数330)=(急性冠症候群、0回)、(不整脈、0回)、…を関連付けるユーザー行動情報400を記憶する。
【0021】
ユーザー属性情報記憶手段130は、ユーザー識別情報390、各ユーザー380の特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧状況に関する情報340を含む属性情報350、を関連付けるユーザー属性情報410を記憶する。
【0022】
属性情報350は、例えば、勤務先所在地、年齢、性別、会員種別、メールマガジンの登録状況、学会専門医か否か、学会認定医か否か、イベントへの参加状況、記事(動画記事、文章記事どちらでも良い)の視聴・状況、等に関する情報である。
【0023】
特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧状況に関する情報340とは、特定のコンテンツ情報310の視聴・閲覧の有無、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間・回数等に関する情報である。
【0024】
図4は、ユーザー属性情報記憶手段130の一例を示す図である。
図4で示すように、ユーザー属性情報記憶手段130は、例えば、ユーザー識別情報390:11111について、勤務先所在地:東京(都)、年齢:30(歳)、性別:男、会員種別:有料会員、…、特定のコンテンツ情報310の視聴・閲覧の有無:有、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間:5分0秒、…を関連付けるユーザー属性情報410を記憶する。
【0025】
また、ユーザー属性情報記憶手段130は、例えば、ユーザー識別情報390:11112について、勤務先所在地:神奈川(県)、年齢:35(歳)、性別:女、会員種別:有料会員、…、特定のコンテンツ情報310の視聴・閲覧の有無:無、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間:0秒、…を関連付けるユーザー属性情報410を記憶する。
【0026】
正規化手段140は、ユーザー行動情報記憶手段120に記憶されるタグ情報320毎の視聴・閲覧回数330について、ユーザー380の視聴・閲覧の頻度を表すように正規化する。正規化手段140による正規化の手法は、例えば、視聴・閲覧回数330を全てのコンテンツ情報310の数で除して正規化を行う。
【0027】
図3のユーザー識別情報390:11111について、例えば、全てのコンテンツ情報310の数が500である場合、正規化手段140は、急性冠症候群:5÷500=0.01、不整脈:10÷500=0.02、文献:0÷500=0、複雑なPCI:20÷500=0.04などの正規化を行う。
【0028】
因子分析処理手段150は、正規化後のユーザー行動情報400に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子360を算出する。因子分析処理によって算出される共通因子360の個数は、特に限定しない。
【0029】
図5は、因子分析処理手段150による処理を説明する図であり、因子分析処理によって得られる因子負荷量を模式的に表す図である。
図5では、横方向に共通因子360を取り、縦方向にタグ情報320を取っている。
図5で示すように、因子分析処理手段150は、例えば、5つの共通因子360を算出し、各共通因子360に関する因子負荷量で相対的に大きな値を示すタグ情報320及び医療業界の常識に基づいて、各共通因子360が示す(表す)内容を定義する。
【0030】
ユーザー特性判定手段160は、正規化後のユーザー行動情報400について、ユーザー識別情報390毎に、因子分析処理手段150によって算出される所定数の共通因子360に基づき因子得点370を算出する。そして、ユーザー特性判定手段160は、最も高い得点となる一の共通因子360をユーザー識別情報400によって識別されるユーザー380の特徴を表すユーザー特性420と判定する。
【0031】
図5で示すように、ユーザー特性420は、例えば、「心臓のカテーテル治療に関心を持つ循環器内科医(専門領域):F1」、「虚血性心疾患の治療全般に関心を持つ循環器内科医:F2」、「構造的心疾患の治療全般に関心を持つ循環器内科医::F3」、「循環器総合的に関心を持つ循環器内科医(カテーテルより、薬物療法などに関心を持つ):F4」、「末梢血管内治療に関心を持つ循環器内科医:F5」などの内容である。
【0032】
ユーザー統合情報生成手段170は、正規化後のユーザー行動情報400、ユーザー属性情報410及びユーザー特性420を、ユーザー識別情報390に基づいて統合する。これによって、ユーザー統合情報生成手段170は、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象の多変量解析による要因分析を行うためのユーザー統合情報430を生成する。
【0033】
図6は、ユーザー統合情報生成手段170の一例を示す図である。
図6で示すように、ユーザー統合情報生成手段170は、
図4のユーザー属性情報410とユーザー特性判定手段160が判定するユーザー特性420とを、ユーザー識別情報390に基づき統合する。ユーザー統合情報生成手段170は、例えば、ユーザー識別情報390:11111について、勤務先所在地:東京(都)、年齢:30(歳)、性別:男、会員種別:有料会員、…、ユーザー特性420:F1、を関連付けるユーザー統合情報430を生成する。
【0034】
除外判定手段180は、属性情報350において、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間に関する情報を含む場合、特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧時間の長短に基づいて、各ユーザー属性情報410について、本装置100の処理対象から除外するか否かを判定する。
【0035】
除外判定手段180は、例えば、特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧時間が所定時間よりも短い場合や長い場合、そのユーザー属性情報410について、本装置100の処理対象から除外すると判定する。コンテンツ情報310の視聴・閲覧時間が極端に短かったり長かったりする場合は、ユーザー380が興味を持って、そのコンテンツ情報310を視聴・閲覧していないと判断し、本装置100の処理対象から除外すると判定するものである。除外判定手段180による処理によって、本装置100による分析結果の正確性・信頼性が向上する。
【0036】
図4で示すように、除外判定手段180は、例えば、ユーザー識別情報390が「11111」や「11113」のユーザー属性情報410に関しては、視聴・閲覧時間がそれぞれ「5分」、「5分30秒」なので、本装置100の処理対象とすると判定する。一方、除外判定手段180は、例えば、ユーザー識別情報390が「11115」のユーザー属性情報410に関しては、視聴・閲覧時間が「5秒」と極端に短いので、本装置100の処理対象から除外すると判定する。除外判定手段180による判定の閾値は適宜定めることができる。
【0037】
多変量解析処理手段190は、ユーザー統合情報430について、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象に寄与する属性情報350の項目を多変量解析処理によって特定する。所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象とは、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧したこと、特定のコンテンツ情報310を最後まで視聴・閲覧したこと、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間が所定時間より長いこと、などが想定されるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
図6で示すように、多変量解析処理手段190は、例えば、ユーザー統合情報430に対し多変量解析処理を施し、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧したことに大きく寄与する属性情報350の項目として、会員種別:有料であること、メールマガジン登録状況:有であること、等を特定する。
【0039】
ユーザー抽出手段200は、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、多変量解析処理手段190によって特定される属性情報350に関する条件を満たすユーザー識別情報390を抽出する。この処理によって、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象などを効果的に絞り込むことが可能となる。
【0040】
図6で示すように、例えば、多変量解析処理手段190によって「会員種別:有料であること」が特定され、所定のユーザー特性420が「F1」である場合、ユーザー抽出手段200は、ユーザー識別情報390として「11111」を抽出する。一方で、例えば、多変量解析処理手段190によって「会員種別:有料であること」が特定され、所定のユーザー特性420が「F2」である場合、ユーザー抽出手段200は、ユーザー識別情報390として「11112」を抽出する。
【0041】
第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすユーザー識別情報390を抽出する。所定の視聴・閲覧状況を満たすとは、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧したこと、特定のコンテンツ情報310を最後まで視聴・閲覧したこと、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間が所定時間より長いこと、などが想定されるが、これらに限定されるものではない。この処理によって、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象などを効果的に絞り込むことが可能となる。
【0042】
図6において、例えば、所定の視聴・閲覧状況が「視聴・閲覧をしたこと」、所定のユーザー特性420が「F5」である場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー識別情報390として「11115」を抽出する。
【0043】
図6で示すように、属性情報350が、特定のコンテンツ情報310を閲覧・視聴した時間に関する情報を含む場合を想定する。その場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、特定のコンテンツ情報310を所定時間より長く閲覧・視聴したユーザー380を識別するユーザー識別情報390を抽出する形態としても良い。特定のコンテンツ情報310を長く閲覧・視聴したユーザー380は、特定のコンテンツ情報310に深い興味を持っていると推察され、そのようなユーザー380を、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象とすることによって、効果的なマーケティング活動を行うことができる。
【0044】
図6で示すように、例えば、所定の視聴・閲覧状況が「視聴・閲覧の時間が5分以上」、所定のユーザー特性420が「F1」である場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー識別情報390として「11111」を抽出する。
【0045】
本装置100は、上記のような動作原理に基づいて、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータ430を生成する。
【0046】
また、本装置100は、上記のような動作原理に基づいて、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、反応率の高い顧客候補を的確に抽出することができる。
(本実施の形態に係る情報処理装置のハードウエア構成)
【0047】
図7を用いて、本装置100のハードウエア構成例について説明する。
図7は、本装置100のハードウエア構成の一例を示す図である。
図7で示すように、本装置100は、CPU(Central Processing Unit)510、ROM(Read-Only Memory)520、RAM(Random Access Memory)530、補助記憶装置540、通信I/F550、入力装置560、表示装置570、記憶媒体I/F580を有する。
【0048】
CPU510は、ROM520に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM530に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、本装置100全体を制御する。ROM520は、CPU510が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM530は、CPU510でROM520に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0049】
補助記憶装置540は、基本ソフトウエアであるOS(Operating System)や本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。補助記憶装置540は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどである。
【0050】
通信I/F550は、有線・無線LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワーク430に接続し、通信機能を提供する他装置とデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0051】
入力装置560は、キーボードなど本装置100にデータ入力を行うための装置である。表示装置(出力装置)570は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であり、本装置100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する装置である。記憶媒体I/F580は、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどの記憶媒体590とデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0052】
本装置100が有する各手段は、CPU510が、ROM520又は補助記憶装置540に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良い。また、本装置100が有する各手段は、当該各手段に関する処理をハードウエアとして実現される形態としても良い。また、通信I/F550を介して外部サーバー装置から本発明に係るプログラムを読み込ませたり、記憶媒体I/F580を介して記憶媒体590から本発明に係るプログラムを読み込ませたりして、本装置100に当該プログラムを実行させる形態としても良い。
(本実施の形態に係る情報処理装置による処理例)
(1)本装置100による処理例(その1)
図8を用いて、本装置100による処理例(その1)について説明する。
図8は、本装置100による処理例(その1)の流れを示すフローチャートである。
【0053】
S10で正規化手段140が、ユーザー行動情報記憶手段120に記憶されるタグ情報320毎の視聴・閲覧回数330について、ユーザー380の視聴・閲覧の頻度を表すように正規化する。正規化手段140による正規化の手法は、例えば、視聴・閲覧回数330を全てのコンテンツ情報310の数で除して正規化を行う。
【0054】
図3のユーザー識別情報390:11111について、例えば、全てのコンテンツ情報310の数が500である場合、正規化手段140は、急性冠症候群:5÷500=0.01、不整脈:10÷500=0.02、文献:0÷500=0、複雑なPCI:20÷500=0.04などの正規化を行う。
【0055】
さらに、S10で因子分析処理手段150が、正規化後のユーザー行動情報400に対し因子分析処理を適用し、所定数の共通因子360を算出する。因子分析処理によって算出される共通因子360の個数は、特に限定しない。
【0056】
図5で示すように、因子分析処理手段150は、例えば、5つの共通因子360を算出し、各共通因子360に関する因子負荷量で相対的に大きな値を示すタグ情報320及び医療業界の常識に基づいて、各共通因子360が示す(表す)内容を定義する。
【0057】
S20でユーザー特性判定手段160が、正規化後のユーザー行動情報400について、ユーザー識別情報390毎に、因子分析処理手段150によって算出される所定数の共通因子360に基づき因子得点370を算出する。そして、ユーザー特性判定手段160は、最も高い得点となる一の共通因子360をユーザー識別情報400によって識別されるユーザー380の特徴を表すユーザー特性420と判定する。
【0058】
図5で示すように、ユーザー特性420は、例えば、「心臓のカテーテル治療に関心を持つ循環器内科医(専門領域):F1」、「虚血性心疾患の治療全般に関心を持つ循環器内科医:F2」、「構造的心疾患の治療全般に関心を持つ循環器内科医::F3」、「循環器総合的に関心を持つ循環器内科医(カテーテルより、薬物療法などに関心を持つ):F4」、「末梢血管内治療に関心を持つ循環器内科医:F5」などの内容である。
【0059】
S30でユーザー統合情報生成手段170が、正規化後のユーザー行動情報400、ユーザー属性情報410及びユーザー特性420を、ユーザー識別情報390に基づいて統合する。これによって、ユーザー統合情報生成手段170は、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象の多変量解析による要因分析を行うためのユーザー統合情報430を生成する。
【0060】
図6で示すように、ユーザー統合情報生成手段170は、
図4のユーザー属性情報410とユーザー特性判定手段160が判定するユーザー特性420とを、ユーザー識別情報390に基づき統合する。ユーザー統合情報生成手段170は、例えば、ユーザー識別情報390:11111について、勤務先所在地:東京(都)、年齢:30(歳)、性別:男、会員種別:有料会員、…、ユーザー特性420:F1、を関連付けるユーザー統合情報430を生成する。
【0061】
さらに、S30で除外判定手段180が、属性情報350において、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧した時間に関する情報を含む場合、特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧時間の長短に基づいて、各ユーザー属性情報410について、本装置100の処理対象から除外するか否かを判定する。
【0062】
除外判定手段180は、例えば、特定のコンテンツ情報310に関する視聴・閲覧時間が所定時間よりも短い場合や長い場合、そのユーザー属性情報410について、本装置100の処理対象から除外すると判定する。コンテンツ情報310の視聴・閲覧時間が極端に短かったり長かったりする場合は、ユーザー380が興味を持って、そのコンテンツ情報310を視聴・閲覧していないと判断し、本装置100の処理対象から除外すると判定するものである。除外判定手段180による処理によって、本装置100による分析結果の正確性・信頼性が向上する。
【0063】
図4で示すように、除外判定手段180は、例えば、ユーザー識別情報390が「11111」や「11113」のユーザー属性情報410に関しては、視聴・閲覧時間がそれぞれ「5分」、「5分30秒」なので、本装置100の処理対象とすると判定する。一方、除外判定手段180は、例えば、ユーザー識別情報390が「11115」のユーザー属性情報410に関しては、視聴・閲覧時間が「5秒」と極端に短いので、本装置100の処理対象から除外すると判定する。除外判定手段180による判定の閾値は適宜定めることができる。
【0064】
S40で多変量解析処理手段190が、ユーザー統合情報430について、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすという事象に寄与する属性情報350の項目を多変量解析処理によって特定する。
【0065】
図6で示すように、多変量解析処理手段190は、例えば、ユーザー統合情報430に対し多変量解析処理を施し、特定のコンテンツ情報310を視聴・閲覧したことに大きく寄与する属性情報350の項目として、会員種別:有料であること、メールマガジン登録状況:有であること、等を特定する。
【0066】
S50でユーザー抽出手段200が、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、多変量解析処理手段190によって特定される属性情報350に関する条件を満たすユーザー識別情報390を抽出する。この処理によって、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象などを効果的に絞り込むことが可能となる。
【0067】
図6で示すように、例えば、多変量解析処理手段190によって「会員種別:有料であること」が特定され、所定のユーザー特性420が「F1」である場合、ユーザー抽出手段200は、ユーザー識別情報390として「11111」を抽出する。一方で、例えば、多変量解析処理手段190によって「会員種別:有料であること」が特定され、所定のユーザー特性420が「F2」である場合、ユーザー抽出手段200は、ユーザー識別情報390として「11112」を抽出する。
【0068】
上記のような処理を行うことによって、本装置100は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータ430を生成する。
【0069】
また、上記のような処理を行うことによって、本装置100は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、反応率の高い顧客候補を的確に抽出することができる。
(2)本装置100による処理例(その2)
図9を用いて、本装置100による処理例(その2)について説明する。
図9は、本装置100による処理例(その2)の流れを示すフローチャートである。
【0070】
なお、S110乃至S130は、S10乃至S30における処理と同じなので、ここでは説明を省略する。以下、S110乃至S130(S10乃至S30)における処理が行われた後の処理について説明する。
【0071】
S140で第2ユーザー抽出手段210が、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、特定のコンテンツ情報310に関し所定の視聴・閲覧状況を満たすユーザー識別情報390を抽出する。この処理によって、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象などを効果的に絞り込むことが可能となる。
【0072】
図6において、例えば、所定の視聴・閲覧状況が「視聴・閲覧をしたこと」、所定のユーザー特性420が「F5」である場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー識別情報390として「11115」を抽出する。
【0073】
図6で示すように、属性情報350が、特定のコンテンツ情報310を閲覧・視聴した時間に関する情報を含む場合を想定する。その場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー統合情報430に基づいて、所定のユーザー特性420を備え、かつ、特定のコンテンツ情報310を所定時間より長く閲覧・視聴したユーザー380を識別するユーザー識別情報390を抽出する形態としても良い。特定のコンテンツ情報310を長く閲覧・視聴したユーザー380は、特定のコンテンツ情報310に深い興味を持っていると推察され、そのようなユーザー380を、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象とすることによって、効果的なマーケティング活動を行うことができる。
【0074】
図6で示すように、例えば、所定の視聴・閲覧状況が「視聴・閲覧の時間が5分以上」、所定のユーザー特性420が「F1」である場合、第2ユーザー抽出手段210は、ユーザー識別情報390として「11111」を抽出する。
【0075】
上記のような処理を行うことによって、本装置100は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータ430を生成する。
【0076】
また、上記のような処理を行うことによって、本装置100は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、反応率の高い顧客候補を的確に抽出することができる。
【0077】
次に、本実施の第2の形態に係る情報処理装置について説明する。本実施の第2の形態に係る情報処理装置(以下、単に「本装置」という。)600は、ユーザー特性判定手段160によるユーザー特性の判定後の処理が、本実施の上述した形態(以下、「上記第1の形態」という場合がある。)と相違する。なお、上記第1の形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
(本実施の第2の形態に係る情報処理装置の動作原理)
図10を用いて、本装置600の動作原理について説明する。
図10は、本装置600の機能ブロック図である。
【0079】
本装置600は、上記第1の形態と同様に、通信ネットワーク450を介して、ユーザー380が操作するユーザー端末440に接続される。また、本装置600は、CPU510、ROM520、RAM530、補助記憶装置540、通信I/F550、入力装置560、表示装置570、記憶媒体I/F580を有する。
【0080】
図10で示すように、本装置600は、コンテンツ情報記憶手段110、ユーザー行動情報記憶手段120、ユーザー属性情報記憶手段130、正規化手段140、因子分析処理手段150、ユーザー特性判定手段160、製品使い分け情報記憶手段610、対応関係記憶手段620、要因抽出手段630を有する。
【0081】
製品使い分け情報記憶手段610は、ユーザー識別情報390と、ユーザー識別情報390で識別されるユーザーの複数の属性情報350と、ユーザー識別情報390で識別されるユーザーが使用している同じ効果を有する医療に関する複数の製品の複数の使い分け対象に対する使い分けの情報と、を関連付ける製品使い分け情報を記憶する。医療に関する製品には、医薬品や医療機器が含まれる。なお、以下の説明では、医療に関する製品として「医薬品」を例に説明する。また、以下の説明では、「医療に関する製品」を単に「製品」という場合がある。
【0082】
ユーザーの複数の属性情報350は、ユーザー属性情報記憶手段130に記憶される情報であって、上述した勤務先所在地、年齢、性別、会員種別、メールマガジンの登録状況、学会専門医か否か、学会認定医か否か、イベントへの参加状況、記事の視聴・状況の他に、所定の手術等の実施件数、医療情報提供者(MR)からの情報提供回数、などのユーザーの様々な属性に関する情報を含む。
【0083】
「同じ効果を有する医療に関する複数の製品」とは、例えば、「医薬品」である場合には、製造元である製薬会社や製品名が異なるが、同等の効能・効果、薬効・薬理を有する同種同効薬を意味する。また、「医療機器」である場合には、製造元である製薬会社や医療機器製造販売会社や製品名が異なるが、同等の機能を有する医療機器を意味する。すなわち、「同じ効果」とは、全く同一の効果を意味するものではない。例えば、複数の製薬会社が市場に流通させている複数の直接抗凝固薬(DOAC)は、血液を固める様々な凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管などで血液が滞るために起こる血栓を予防するという「同じ効果]を有する医療に関する複数の製品(医薬品)となる。以下では、医薬品が「直接抗凝固薬」である場合について説明するが、医薬品は「直接抗凝固薬」に限定されるものではなく、「同じ効果を有する複数の医薬品」に該当するものであればよい。
【0084】
「複数の使い分け対象」とは、複数の製品(医薬品)を使い分ける対象(患者)に関する情報である。例えば、直接抗凝固薬(DOAC)においては、複数の使い分け対象は、「慢性腎疾患(CKD)の患者」、「肝臓病の患者」、「糖尿病の患者」、「下肢血行再建後の患者」、「TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)後の患者」、「深部静脈血栓症の患者」、「肺塞栓症の患者」、「出血傾向の高い患者」、「高齢者」、「若年者」、「認知症の患者」などがある。
【0085】
すなわち、「使い分けの情報」は、同じ効果を有する複数の製品を、様々な使い分け対象に対して、ユーザーがどのように使い分けているかの情報である。例えば、ユーザーXは、同じ効果を有する医薬品A,B,Cについて、「出血傾向の高い患者」には医薬品Aを、「下肢血行再建後の患者」には医薬品Bを、「認知症の患者」には医薬品Cを、使用している、などの情報である。「使い分けの情報」は、例えば、コンテンツ情報310を視聴・閲覧可能としているWEBサイトのユーザーに対し、アンケートを実施するなどして、取得することができる。具体的には、アンケート内に、直接抗凝固薬の複数の使い分け対象を予め挙げておき、それぞれの使い分け対象について、複数の製薬会社の直接抗凝固薬のうち、いずれの直接抗凝固薬を使用しているかを、WEBサイトのユーザーに回答してもらう。なお、使い分け対象は、変更、追加、削除が可能である。
【0086】
このように、「製品使い分け情報」は、ユーザー識別情報390と、ユーザーの複数の属性情報350と、複数の製品の複数の使い分け対象に対する使い分けの情報とを、関連付けた(対応付けた)情報である。
【0087】
対応関係記憶手段620は、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350と、ユーザー特性420との対応関係を記憶する。例えば、因子分析処理手段150が因子分析処理を適用する際の所定数の共通因子360は予め特定されており、これらの共通因子360とユーザー特性420とは互いに対応している。このため、対応関係記憶手段620は、これらの共通因子360と、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350の双方との対応関係を予め記憶しておくことによって、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350と、ユーザー特性420との対応関係を記憶しておくことができる。例えば、複数の使い分け対象のうち「下肢血行再建後の患者」には、「末梢血管内治療に関心を持つ循環器内科医:F5」のユーザー特性420が対応付けられる。また、複数の属性情報350に「PCI(経皮的冠動脈形成術(所定の手術))」が含まれる場合には、「心臓のカテーテル治療に関心を持つ循環器内科医(専門領域):F1」のユーザー特性420が対応付けられる。なお、1つの使い分け対象又は属性情報350に対して、複数のユーザー特性420が対応付けられてもよい。
【0088】
要因抽出手段630は、製品使い分け情報に基づいて、多変量解析を適用し、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350のうちから、所定の製品の使用率についてユーザー特性420に関連する要因(以下、「使用率要因」という。)を抽出する。本実施形態では、要因抽出手段630が、決定木分析を適用している例について説明する。なお、多変量解析は、決定木分析に限定されるものではなく、例えば、Cox回帰比例ハザード分析、重回帰分析などであってもよい。
【0089】
本実施形態では、要因抽出手段630は、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350のうちから、ユーザー特性420に関連する使用率要因を抽出する際に、先ず、全てのユーザーを、対象となる製品(例えば「医薬品A」)の使用率が所定の値以上(例えば10%以上)の上位ユーザーと、上記所定の値未満(例えば10%未満)の下位ユーザーとに分ける。そして、要因抽出手段630は、製品使い分け情報に基づいて、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350についての多変量解析を実行し、医薬品Aの使用率について、ユーザー特性420に関連する使用率要因を抽出する。ユーザー特性420に関連する使用率要因とは、医薬品Aの使用率が高いこと(又は低いこと)の要因として、どのようなユーザー特性420が関連しているかを示すものである。なお、上記所定の値は、10%に限定されるものではない。
【0090】
図11は、本実施の第2の形態に係る要因抽出手段の一例を示す図である。
【0091】
図11に示すように、要因抽出手段630は、製品使い分け情報に基づいて、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350についての多変量解析(本実施形態では決定木分析)を適用(実行)し、医薬品Aの使用率について、ユーザー特性420に関連する使用率要因を抽出している。
図11では、医薬品Aにおいて、PCI(経皮的冠動脈形成術)の年間実施件数が多い「ノード2」の上位ユーザーが99人であり、使用率が高いユーザーが多いので、医薬品Aの使用率が高い要因として、「PCIの年間実施件数」抽出される。「PCI」に対応するユーザー特性420は、対応関係記憶手段620に記憶される対応関係には、「心臓のカテーテル治療に関心を持つ循環器内科医(専門領域):F1」が対応付けられている。これにより、医薬品Aの使用率が高いことの要因として、ユーザー特性420(F1)が抽出される。なお、本実施形態では、1つの項目(「PCIの年間実施件数」)についての決定木分析を適用しているが(
図11参照)、更に「ノード1」及び「ノード2」のそれぞれに対して他の項目(使い分け対象及び属性情報350)についての決定木分析を適用してもよい。また、
図11では、「ノード0」から、「PCIの年間実施件数」に基づいて2つのノード(「ノード1」及び「ノード2」)に分岐させているが、これに限定されるものではなく、3つ以上に分岐させてもよい。また、本実施形態では、医薬品Aの使用率が高いことの要因を抽出しているが、医薬品Aの使用率が低いことの要因を抽出してもよい。
【0092】
(本実施の形態に係る情報処理装置による処理例)
図12を用いて、本装置600による処理例について説明する。
図12は、本実施の第2の形態に係る情報処理装置による処理例の流れを示すフローチャートである。なお、S210及びS220は、上記第1の形態のS10及びS20における処理と同じなので、ここでは説明を省略する。以下、S210及びS220(S10及びS20)における処理が行われた後の処理について説明する。
【0093】
S230では、要因抽出手段630が、製品使い分け情報に基づいて、少なくとも決定木分析を適用し、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350のうちから、所定の製品(医薬品)の使用率についてユーザー特性420に関連する使用率要因を抽出する。例えば、
図11に示すように、要因抽出手段630は、医薬品Aの使用率が高いことの要因として、ユーザー特性420(F1)を抽出する。この処理によって、イベントの参加案内を出す対象や広告を出稿する対象となるユーザー層(ユーザー特性420)を効果的に絞り込むことが可能となる。
【0094】
上記のように構成された本装置600では、ユーザー特性判定手段160が正規化後のユーザー行動情報400に基づいてユーザー特性420を判定するので、マーケティング対象としている所定のユーザー層(ユーザー特性420)に、WEBサイトの記事が届いているか(興味を持ってもらっているか)を判定することができる。
【0095】
例えば、製薬会社は、所定のユーザー層(ユーザー特性420)をマーケティング対象とし、当該ユーザー層に向けて営業を行うことがある。具体的には、製薬会社は、上記所定のユーザー層をターゲットとした広告宣伝用の記事(上記所定のユーザー層が興味を持つと思われる記事)をコンテンツ情報310として、WEBサイトに提供することがある。本装置600では、WEBサイトのタグ情報320毎の視聴・閲覧回数330等に基づいてユーザー行動情報400を正規化し、正規化後のユーザー行動情報400に基づいてユーザー特性420を判定する。そして、製薬会社が提供している上記記事のアクセスログ等を確認し、アクセスしているユーザーのユーザー特性420を確認することによって、製薬会社がマーケティング対象としている所定のユーザー層(ユーザー特性420)に、WEBサイトの記事が届いているか(興味を持ってもらっているか)を判定することができる。これにより、ユーザー特性420の判定結果に応じてその記事の内容の変更等を適切に行い、所望のユーザー層(ユーザー特性420)への広告宣伝効果を高めることができる。
【0096】
また、要因抽出手段630は、製品使い分け情報に基づいて、複数の使い分け対象及び複数の属性情報350のうちから、所定の製品の使用率についてユーザー特性420に関連する使用率要因を抽出する。これにより、製品の使用率を向上させる要因となるユーザー層(ユーザー特性420)を抽出することができるので、製薬会社は、マーケティング対象としているユーザー層が、本当に製品の使用率を向上させる要因となるユーザー層であるのかを判定できる。これにより、マーケティング対象を明確にすることができ、マーケティング効率を高めることができる。
【0097】
このように、本実施形態によれば、マーケティング対象となるユーザー層(ユーザー特性420)を明確に絞り込むことができるとともに、その広告宣伝が的確に所望のユーザー層(ユーザー特性420)へ届いているか否かを判定することができる。
【0098】
上記のような処理を行うことによって、本装置600は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、顧客候補の特徴を的確に見出すためのデータを生成することができる。
【0099】
また、上記のような処理を行うことによって、本装置600は、医療分野において実効性のあるマーケティングを実現するために、反応率の高い顧客候補を的確に抽出することができる。
【0100】
なお、上記第1の形態及び上記第2の形態に加えて、他の分析を実行してもよい。例えば、上記第2の形態では、分析対象である製品使い分け情報に、同じ効果を有する複数の製品の「複数の使い分け対象」に対する使い分けの情報を含めている。この「複数の使い分け対象」は、複数の製品を使い分ける対象(患者)に関する情報であるが、他の分析では、複数の製品を使い分けるその他の理由(患者以外の理由)を、製品使い分け情報に含めてもよい。「その他の理由」としては、例えば、「勤務している医院の採用薬だから」、「学術集会で情報を得たから」、「上司・同僚からの意見があったから」などの理由が挙げられる。このように、製品使い分け情報に、上記「その他の理由」を含めた上で、ロジスティック回帰分析等によって、製品の使用率を向上させる要因となる上記「その他の理由」を抽出してもよい。
【0101】
なお、本実施形態では、本装置600に、上記第1の形態のユーザー統合情報生成手段170、除外判定手段180、多変量解析処理手段190、ユーザー抽出手段200、及び第2ユーザー抽出手段210を設けていないが、これらを設けていてもよい。すなわち、本装置600は、上記第1の形態の全ての処理に加えて、要因抽出手段630が実行する処理を行ってもよい。更に、上記第1の形態の全ての処理及び上記第2の形態の要因抽出手段630が実行する処理に加えて、上述した他の分析(上記「その他の理由」を含めた分析)処理を実行してもよい。
【0102】
また、上記第1の形態及び上記第2の形態では、医療の診療科のうち循環器内科についての例を説明したが、診療科は循環器内科に限定されるものではなく、様々な診療科に適用することができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
100,600 情報処理装置
110 コンテンツ情報記憶手段
120 ユーザー行動情報記憶手段
130 ユーザー属性情報記憶手段
140 正規化手段
150 因子分析処理手段
160 ユーザー特性判定手段
170 ユーザー統合情報生成手段
180 除外判定手段
190 多変量解析処理手段
200 ユーザー抽出手段
210 第2ユーザー抽出手段
310 コンテンツ情報
320 タグ情報
330 コンテンツ情報の視聴・閲覧回数
340 視聴・閲覧状況に関する情報
350 属性情報
360 因子分析処理による共通因子
370 共通因子に基づく因子得点
380 ユーザー
390 ユーザー識別情報
400 ユーザー行動情報
410 ユーザー属性情報
420 ユーザー特性
430 ユーザー統合情報
440 ユーザー端末
450 通信ネットワーク
510 CPU
520 ROM
530 RAM
540 補助記憶装置
550 通信インターフェース
560 入力装置
570 出力装置
580 記憶媒体インターフェース
590 記憶媒体
610 製品使い分け情報記憶手段
620 対応関係記憶手段
630 要因抽出手段