IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

<>
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図1
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図2
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図3
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図4
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図5
  • 特許-電気自動車用パワーコンディショナ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】電気自動車用パワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250218BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20250218BHJP
   B60L 53/31 20190101ALI20250218BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/31
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020183396
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022002462
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020105710
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗坂 昌克
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259277(JP,A)
【文献】特開2012-231660(JP,A)
【文献】特開2012-174638(JP,A)
【文献】特開2013-192387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの先端を支持する受け凹部を有するコネクタホルダと、
前記受け凹部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記受け凹部よりも前方に延びた側壁と、前記側壁の上端に設けられた天壁と、前壁と、を有し、
前記前壁は、前記側壁の前端と前記天壁の前端とにより区画された開口を開閉し、
前記カバーは、前記コネクタを収納しない状態で前記前壁が開いているときに斜め上方から前記受け凹部を視認できるように構成されている
電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項2】
前記カバーは、前記コネクタを収納した状態で前記前壁が開いているときに斜め上方から前記コネクタに備えられた操作部が視認できるように構成されている、請求項1に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項3】
前記前壁は、前記天壁に回動可能に支持されている、請求項1又は2に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項4】
前記天壁は、ほぼ水平に延びた水平部を有し、前記前壁が開けられたときに前記前壁は前記水平部とほぼ平行な姿勢で支持される、請求項3に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項5】
前記カバーは、前記電気自動車用パワーコンディショナの筐体の側面に固定され、
前記前壁は、前記筐体の側面と前記側壁の前端と前記天壁の前端とにより区画された開口を開閉する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項6】
前記カバーに前記コネクタを収納し前記前壁が開けられた状態で、前記前壁を閉じることを促すメッセージを発する、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【請求項7】
前記カバーは、少なくともその一部が透視可能な材料で形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気自動車用パワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用パワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、充電装置本体の側面に、給電コネクタを収納するための収納部を備えた電気自動車用充電装置を開示している。収納部は、給電コネクタを挿入する挿入口が前面に露呈している(特許文献1、図2参照)。
特許文献2は、コネクタホルダの前方に前面パネル、後方にケーブルホルダを備えた壁掛け型の充電器具ホルダを開示している。前面パネルに設けられた開口を通じて、充電器具ホルダ内に設けられたコネクタホルダにコネクタが装着される(特許文献2、図10参照)。
【0003】
悪戯の防止を目的とした構造を採り入れた車両用充電装置も提案されている。
特許文献3は、コネクタに対する悪戯を防止できる車両用充電装置を開示している(特許文献3、図3および図4参照)。
特許文献4は、ユーザの作業性を確保しつつ悪戯や不注意による設備棄損を防止する、可動の拘束手段(カバー)が設けられた電気自動車用充電スタンドを開示している(特許文献4、図2および図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-244873
【文献】特開2016-32365
【文献】特許第5842225号
【文献】特開2010-259277
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電気自動車の駆動用の蓄電装置に充電する機能に加えて、電気自動車の蓄電装置から車外の負荷や系統に放電する機能を備えた、電気自動車用パワーコンディショナに対するニーズが高まっている。他方、電気自動車用パワーコンディショナの、ユーザビリティと防水性の両立について、これまで十分な検討がなされてこなかった。
【0006】
本発明の一態様は、ユーザビリティを保ちながらコネクタを風雨から保護できる電気自動車用パワーコンディショナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電気自動車用パワーコンディショナは、コネクタ先端を支持する受け凹部を有するコネクタホルダと、前記受け凹部を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記受け凹部よりも前方に延びた側壁と、前記側壁の上端に設けられた天壁と、前壁と、を有し、前記前壁は、前記側壁の前端と前記天壁の前端とにより区画された開口を開閉し、前記カバーは、前記コネクタを収納しない状態で前記前壁が開いているときに斜め上方から前記受け凹部を視認できるように構成されている。
【0008】
ここで、電気自動車用パワーコンディショナは、電気自動車の蓄電装置に充電する機能と、電気自動車の蓄電装置から車外の負荷や系統に放電する機能とを備えてもよいが、これに限定はされない。電気自動車用パワーコンディショナは、電気自動車の蓄電装置に充電する機能を持つ、いわゆるEV充電器であってもよい。
【0009】
電気自動車は、エンジンを備えない電気自動車であってもよいし、エンジンを併用するプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記態様により、電気自動車用パワーコンディショナのユーザビリティを保ちながら、電気自動車との接点として重要な部品であるコネクタを風雨から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電気自動車用パワーコンディショナを示す斜視図である。
図2】カバーを示す斜視図である。
図3】コネクタを収納しない状態におけるカバーと受け凹部との位置関係を示す概略断面図である。
図4】コネクタが収納された状態を示す概略断面図である。
図5】コネクタが収納され前壁が開けられた状態を示す概略断面図である。
図6】カバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電気自動車用パワーコンディショナは、屋外に設置されることが多いと想定される。電気自動車との接点として重要な部品であるコネクタを風雨から保護することについて、これまで十分な検討がなされてこなかった。
【0013】
コネクタを風雨から保護することに加えて、海に近い地域では、コネクタを塩害から保護することも求められる。
【0014】
本発明者らが考案した電気自動車用パワーコンディショナは、コネクタ先端を支持する受け凹部を有するコネクタホルダと、前記受け凹部を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記受け凹部よりも前方に延びた側壁と、前記側壁の上端に設けられた天壁と、前壁と、を有し、前記前壁は、前記側壁の前端と前記天壁の前端とにより区画された開口を開閉し、前記カバーは、前記コネクタを収納しない状態で前記前壁が開いているときに斜め上方から前記受け凹部を視認できるように構成されている。
【0015】
電気自動車用パワーコンディショナは、ガソリンスタンドの給油機と同様に、筐体の側面に設けた構造物にケーブルとケーブル先端のコネクタを保持あるいは収納させるものが多い。上記構成のカバーは、コネクタホルダの受け凹部を覆うことに特化し、コンパクトなサイズにできる。
【0016】
上記構成のカバーは、シンプルな構造であるため、金属板で形成できる。例えば、耐腐食性と強度に優れたステンレス製の金属板でカバーが形成されてもよい。カバーがコンパクトなサイズであれば、必要とされる金属板の量も少なく、重量とコストの増加を抑制できる。
【0017】
コネクタホルダの受け凹部を覆う何らかの構造物によって、コネクタホルダの受け凹部が視認しにくいと、ユーザが、重いケーブルとコネクタを収納する作業が煩雑になる。上述した特許文献3や特許文献4に開示されている構造では、斜め上方からの仮想直線上に、筐体天壁やカバーが存在する。そのため、コネクタ先端を支持する受け凹部を視認するには、ユーザは、かがんだ姿勢で水平方向正面から見る必要がある。特許文献3や特許文献4の構造において、ユーザがかがまなくて済むように、コネクタ先端を支持する受け凹部の位置を高くする設計が考えられる。しかし、そのような設計では、重いケーブルとコネクタを収納する作業がユーザにとって著しい負担となるため、現実的ではない。
本発明者らが考案した上記構成の電気自動車用パワーコンディショナは、コネクタを収納しない状態でカバーの前壁が開いているときに、斜め上方から受け凹部を視認できるように構成されている。そのため、コネクタホルダの受け凹部を比較的低い位置に設定できる。ユーザはかがんだりする事なく、容易に受け凹部を視認して、体感負担が少ない状態でコネクタを装着できる。こうして、電気自動車用パワーコンディショナのユーザビリティを保ちながら、電気自動車との接点として重要な部品であるコネクタを、カバーによって風雨や塩害から保護することができる。
【0018】
前記カバーは、前記コネクタを収納した状態で前記前壁が開いているときに斜め上方から前記コネクタに備えられた操作部が視認できるように構成されていてもよい。
【0019】
操作部は、例えば、リリースボタンやトリガであってもよいが、これらに限定はされない。上記構成により、コネクタをカバー内に収納するときに加えて、コネクタをカバーから取り出すときのユーザビリティも保たれる。
【0020】
前記前壁は、前記天壁に回動可能に支持されていてもよい。
【0021】
例えば前壁の上端を、回動可能に、天壁の前端に支持させれば、前壁が自然に閉じる方向に重力が作用する。そのため、前壁が意図せず開いてしまうことを防ぐための機構を省略したり簡素化したりできる。
【0022】
前記天壁は、ほぼ水平に延びた水平部を有してもよく、前記前壁が開けられたときに前記前壁は前記水平部とほぼ平行な姿勢で支持されてもよい。
【0023】
上記構成により、前壁を開けたときにユーザはその前壁を支持し続けずにすむ。前壁は自重により、ほぼ水平な姿勢を保つ。
【0024】
前記カバーは、前記電気自動車用パワーコンディショナの筐体の側面に固定されてもよく、前記前壁は、前記筐体の側面と前記側壁の前端と前記天壁の前端とにより区画された開口を開閉してもよい。
【0025】
上記構成により、筐体の側面をカバーの一部として機能させることで、カバーの形成に要する金属板などの材料の量を少なくでき、重量とコストの増加を抑制できる。
【0026】
電気自動車用パワーコンディショナは、前記カバーに前記コネクタを収納し前記前壁が開けられた状態で、前記前壁を閉じることを促すメッセージを発してもよい。
【0027】
上記構成により、カバーの前壁が開けられた状態で電気自動車用パワーコンディショナが放置されて、コネクタが風雨や塩害にさらされるリスクを低くできる。
【0028】
以下、図面を参照しながら、電気自動車用パワーコンディショナの実施形態を説明する。
【0029】
図1に示す電気自動車用パワーコンディショナ10は、筐体内に、電力を変換する充放電ユニットや、冷却用のファンユニットを収納している。筐体の前面10aには、表示画面12と各種操作ボタンとを含む表示パネル11が設けられている。また、前面10aには、メンテナンス時に扉を開くためのハンドル14が設けられている。
【0030】
筐体の側面10b(本実施形態では左側面)には、コネクタホルダ筐体20と、カバー50とが設けられている。図1では、カバー50を破線で示し、カバー50内の構造を示しているが、実際にはカバー50内の構造はこのように視認できない。コネクタホルダ筐体20は、その内部に、受け凹部(後述)を有して、コネクタ15の先端を保持している。コネクタ15は、例えばその上面に、リリースボタン等の操作部16を有している。
【0031】
コネクタ15は、ケーブル13の先端に設けられている。ケーブル13は、筐体の側面10bから外部に延び、コネクタホルダ筐体20等に設けられたケーブルフックに掛け回されてもよい。
地面(電気自動車用パワーコンディショナ10の設置面)から、コネクタホルダ筐体20までの高さは、1メートル(m)程度であってもよい。
【0032】
カバー50は、その後端がコネクタホルダ筐体20に接続されている。例えば、カバー50を耐腐食性と強度に優れたステンレス製の板により形成し、カバー50の後端を、コネクタホルダ筐体20(金属製)に溶接してもよい。代替的に、カバー50とコネクタホルダ筐体20とを金属板により一体的に形成してもよい(それらを単一のカバーとして形成してもよい)。
【0033】
カバー50は、その前端が、電気自動車用パワーコンディショナ10の筐体の前面10aより前方に突出しないように形成されている。カバー50は、コネクタ15の把持部の後端付近(筐体の前面10a付近)までを覆っている。カバー50は、その下辺がほぼ水平方向に延びている。カバー50の下辺は、コネクタホルダ筐体20の下辺の延長線上に延びていてもよい。
【0034】
図2に示すように、カバー50は、側壁50bと、側壁50bの上端に設けられた天壁50cと、前壁50aとを有する。前壁50aは、電気自動車用パワーコンディショナ10の筐体の側面10b(図1参照)と、カバー50の側壁50bの前端と天壁50cの前端と、により区画された開口を開閉する。
【0035】
本実施形態では、前壁50aの上端が、天壁50cの前端に、2個のヒンジ52により回動可能に支持されている。ヒンジ52の数は、2個に限定はされない。前壁50aを天壁50cに回動可能に支持するための手段は、ヒンジ52に限定はされない。
【0036】
前壁50aはその下端に、前壁50aを形成する金属板を折り曲げて形成した、つまみ(タブ)51を有している。このようなつまみ51に代えて、前壁50aに、別体のハンドルが取り付けられてもよい。
【0037】
上述のように、本実施形態のカバー50は、側壁50bの下辺がほぼ水平方向に延びている。側壁50bの上辺は、側壁50bの後端から斜め上方に延びた傾斜部と、傾斜部の前端から側壁50bの前端に至る水平部とを有している。側壁50bの水平部に、天壁50cの水平部50c1が接続されている。側壁50bの傾斜部に、天壁50cの傾斜部50c2が接続されている。傾斜部50c2を設けることで、カバー50のサイズ(体積)をコンパクトにしている。
【0038】
本実施形態のカバー50は、天壁50cが傾斜部50c2を有することで、後方に向かって高さが低くなっているが、カバーの形状はこれに限定はされない。後述する受け凹部が、カバー50の後方に、かつ、側壁50bの下辺からはみ出さない程度にカバー50下側に配置されていれば、カバー50の形状は図2に示すものと異なってもよい。
【0039】
図3は、コネクタを収納しない状態におけるカバー50とコネクタホルダ筐体20とを示す概略断面図である。コネクタホルダ筐体20内には、コネクタの先端を支持するための受け凹部20aが形成されている。受け凹部20aは、水平方向前方に開口している。受け凹部20aには、ゴム等の緩衝材により形成されコネクタ15の先端を受容する弾性ホルダが装着されてもよい。
【0040】
図3に示すように、受け凹部20aは、カバー50の後方に、かつ、側壁50bの下辺からはみ出さない程度にカバー50下側に配置されている。天壁(水平部50c1)の前端は、受け凹部20aよりも十分に高い位置にある。天壁50c1の前端から受け凹部20aに至る仮想直線上に、視界を遮る障害物はない。そのため、ユーザがカバー50の前壁50aを回動させて開けると、又は、前壁50aが開いた状態にあると、図3に一点鎖線で示すように、斜め上方から受け凹部20aを視認できる。ユーザは、かがんだりする事なく、容易に受け凹部20aを視認して、電気自動車(図示せず)から取り外したコネクタを装着できる。
天壁50cの水平部50c1の前端と傾斜部50c2の後端とを繋ぐ仮想直線と、水平方向とのなす角度は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましい。
【0041】
前壁50aは、約270°回動して、天壁の水平部50c1とほぼ並行な姿勢で支持される。前壁50aは自重により、ほぼ水平な姿勢を保つ。そのため、前壁50aを開けたときにユーザは前壁50aを支持し続けずにすむ(手を前壁50aから放すことができる)。
【0042】
図4は、コネクタ15が収納され、前壁50aを閉じた状態を示す概略断面図である。前壁50aには、自然に閉じる方向に重力が作用する。そのため、前壁50aが意図せず開いてしまうことを防ぐための機構(クリップやフック)を省略したり簡素化したりできる。
【0043】
コネクタ15の下端部や、コネクタ15から延びたケーブルは、前壁50aおよび側壁50bの下辺からはみ出していてもよい。他方、受け凹部20aは、前壁50aおよび側壁50bの下辺からはみ出さない。言い換えれば、前壁50aは、閉じられた状態では、その下端(下辺)が受け凹部20aより下方に位置して、受け凹部20aの水平方向前方を完全に覆っている。側壁50bは、下辺が受け凹部20aより下方に位置して、受け凹部20aを常に覆っている。
それぞれの壁の寸法は、例えば、前壁50aの高さは260~280ミリメートル(mm)、天壁50cの水平部50c1の、前端から傾斜部50c2との接続点までの長さは、190~210mmとすることができる。水平部50c1に対する傾斜部50c2の傾斜角は55~65°とすることができる。前述のとおり、地面(電気自動車用パワーコンディショナ10の設置面)から、コネクタホルダ筐体20までの高さ(受け凹部20aの中心までの高さ)は、1m程度とすることができる。前壁50aは、コネクタホルダ筐体20の2倍程度の高さを有する。
【0044】
図示しないが、カバー50は、側壁50bの下端に接続された底壁を有してもよい。底壁は、コネクタ15を収納した際にコネクタ15やケーブルと干渉しない程度に設けられる。
【0045】
図5は、コネクタ15が収納され前壁50aが開けられた状態を示す概略断面図である。天壁50c1の前端からコネクタ15に至る仮想直線上に、視界を遮る障害物はない。ユーザは、斜め上方からコネクタ15に備えられたリリースボタンの操作部16(図1参照)を容易に視認できる。ユーザは、リリースボタンを操作して、コネクタ15を受け凹部20aから取り外すことができる。こうして、コネクタ15をカバー50内に収納するときに加えて、コネクタ15をカバー50から取り出すときのユーザビリティ・操作性も保たれる。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限定はされない。
【0047】
例えば、電気自動車用パワーコンディショナ10は、カバー50にコネクタ15を収納し前壁50aが開けられた状態で、前壁50aを閉じることを促すメッセージを発するように構成されてもよい。前壁50aが開いていることを検知するセンサがカバー50に備えられてもよい。メッセージは、表示パネル11に示すとともに、スピーカーを通じて発話してもよい。こうすることで、カバー50の前壁50aが開けられた状態で電気自動車用パワーコンディショナ10が放置されて、コネクタ15が風雨や塩害にさらされるリスクを低くできる。
【0048】
上述した実施形態では、前壁50aの上端(上辺)を、天壁50cの前端に回動可能に支持させた。代替的に、前壁50aの側辺を、側壁50bの前端に回動可能に支持させてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、カバー50の側壁50bの前端全域と、天壁50cの前端全域と、により区画された開口を、前壁50aで開閉した。代替的に、カバー50の側壁50bの前端の一部と、天壁50cの前端の一部と、により区画された開口を、前壁50aで開閉してもよい。前壁50aが、開閉可能部と、固定部とを有してもよい。受け凹部20aやコネクタ操作部16の視認性が確保できる範囲で、前壁50aによって開閉する開口の位置と開口面積を設定してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、コネクタホルダ筐体20内に受け凹部20aを形成(コネクタホルダ筐体20がコネクタホルダに相当)した。代替的に、コネクタホルダ筐体20を省略し、カバー50内の後方かつ下側に、受け凹部20aを有する弾性ホルダや金属製ホルダを設置(弾性ホルダや金属製ホルダがコネクタホルダに相当)してもよい。受け凹部20aは、弾性板や金属板に形成された開口であってもよい(つまり、底部を有しない受け凹部であってもよい)。
【0051】
上述した実施形態では、カバー50を、透視不可能な金属板で形成した。代替的に、カバー50の一部が、透視可能な材料で形成されてもよい。以下、前壁が透視可能な材料で形成される場合を説明するが、この形態に限定はされない。
【0052】
図6に示すカバー50は、前壁60が、透視部55を有している。透視部55は、例えば、透明な樹脂板であってもよいし、可撓性を有する透明な樹脂シートであってもよい。透視部55が、透明な樹脂板で形成される場合、その上端(上辺)が天壁50cに回動可能に支持されてもよい。代替的に、透視部55がカーテンのように水平方向にスライドしてもよい。透視部55は、その下側に、意図せず透視部55が開いてしまうことを防ぐストッパー57を有してもよい。ストッパー57は、例えば、金属製の錘であってもよいし、側壁50bや側面10bに吸着する磁石であってもよい。
【0053】
透視部55が、可撓性を有する透明な樹脂シートで形成される場合、透視部55の上端(上辺)が、クリップ56等を介して天壁50cに支持されてもよい。代替的に、透視部55が部分的に弾性変形しながらカーテンのように水平方向にスライドしてもよい。ユーザは、可撓性を有する透視部55を必要な範囲でめくって(弾性変形させて)、収納されているコネクタ15を取り出す。ユーザが透視部55を放すと、透視部55はストッパー57の作用により自然にカバー50の開口を閉じる。
【0054】
前壁60は、上述した実施形態と同様に、閉じられた状態では、その下端(下辺)が受け凹部20aより下方に位置して、受け凹部20aの水平方向前方を覆う。
【0055】
図6に示すカバー50によれば、コネクタ15を収納しない状態で前壁60が閉じているときに、ユーザが透視部55を通して斜め上方から受け凹部20aを視認できる。言い換えれば、前壁60が開いているときに加えて、前壁60が閉じているときにも、ユーザが透視部55を通して斜め上方から受け凹部20aを視認できる。また、カバー50がコネクタ15を収納した状態で前壁60が閉じているときは、ユーザは、透視部55を通して斜め上方からコネクタ15に備えられた操作部16(図1参照)を視認できる。常に内部を透視できるため、コネクタ15をカバー50内に収納するときと、コネクタ15をカバー50から取り出すときのユーザビリティ・操作性が保たれる。
【0056】
カバー50が、内部構造表示部を有して、ユーザが受け凹部20aやコネクタ15の操作部16を含む内部の構造を視認できる場合、カバー50の前壁を開閉しない構造を採用してもよい。内部構造表示部は、図6に示したような透視部55であってもよい。
【0057】
例えばユーザは、透視部55を通して受け凹部20aやコネクタ15の操作部16を視認しながら、カバー50の底に形成された開口を介して、コネクタ15を着脱できる。代替的に、ユーザは、透視部を通して受け凹部20aやコネクタ15の操作部16を視認しながら、側壁50bや天壁50cに備えられた開口や開閉扉を介して、コネクタ15を着脱してもよい。
【0058】
内部構造表示部は、透視部55に代えて、鏡を用いて構成されてもよいし、撮像部を用いて構成されてもよい。
【0059】
このように前壁を開閉しない構造を採用すれば、カバー50の前壁が開けられた状態で電気自動車用パワーコンディショナ10が放置されて、コネクタ15が風雨や塩害にさらされるリスクを低くできる。
【符号の説明】
【0060】
10 電気自動車用パワーコンディショナ
15 コネクタ
20 コネクタホルダ筐体
20a 受け凹部
50 カバー
55 透視部(内部構造表示部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6