(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 89/10 20250101AFI20250218BHJP
H10D 84/85 20250101ALI20250218BHJP
H10D 89/00 20250101ALI20250218BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20250218BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20250218BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
H01L21/82 L
H01L27/092
H01L27/04 D
H01L21/88 Z
(21)【出願番号】P 2021006440
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】武野 紘宜
(72)【発明者】
【氏名】岡本 淳
(72)【発明者】
【氏名】日野 寿雄
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0042668(US,A1)
【文献】特開2020-004763(JP,A)
【文献】特開2020-155505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 21/8238
H01L 23/522
H01L 27/04
H01L 27/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層に形成され、平面視で第1方向に延在
し、第1の電圧が供給される第1電源線と、
前記第1配線層に形成され、前記第1方向に延在
し、第2の電圧が供給される第2電源線と、
前記第1配線層の1つ上の配線層である第2配線層に形成され、平面視で前記第1方向とは異なる第2方向に延在し、前記第1電源線と接続
し、前記第1の電圧が供給される第3電源線と、
前記第2配線層に形成され、前記第2方向に延在し、前記第2電源線と接続
し、前記第2の電圧が供給される第4電源線と、
前記第1配線層に形成され
、第3の電圧が供給される第5電源線と、
前記第1電源線と前記第5電源線との間に設けられたトランジスタを有する第1電源スイッチ回路とを有し、
前記トランジスタは、前記第3電源線または前記第4電源線の少なくともいずれかと平面視で重なって位置し、
前記第1電源スイッチ回路は、
前記第2配線層に形成され、前記トランジスタのソース領域および前記第5電源線に電気的に接続し、前記第2方向に延在し、前記トランジスタ上であって平面視で前記第3電源線および前記第4電源線と重なら
ず、前記第3の電圧が供給される第1配線と、
前記第2配線層に形成され、前記トランジスタのドレイン領域および前記第3電源線に電気的に接続し、前記第2方向に延在し、前記トランジスタ上であって平面視で前記第3電源線および前記第4電源線と重なら
ず、前記第1の電圧が供給される第2配線と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1電源スイッチ回路は、前記トランジスタ上で前記第1方向に延在し、前記ドレイン領域および前記第2配線と電気的に接続する第3配線を有し、
前記トランジスタ上で、前記第3電源線と前記第3配線がビアを介して接続される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4電源線は、前記トランジスタ上でビアを介して前記第2電源線に接続される
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3電源線および前記第4電源線をそれぞれ複数有し、
前記第1電源スイッチ回路を複数有し、
前記第3電源線および前記第4電源線は、前記第1方向において第1のピッチで繰り返し配置され、
前記複数の第1電源スイッチ回路は、前記第3電源線および前記第4電源線の少なくともいずれかと平面視で重なる前記トランジスタの位置が互いに同じである
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電源線、前記第2電源線、前記第3電源線、前記第4電源線および前記第1電源スイッチ回路を有し、論理回路が配置された第1領域を有し、
前記第1領域内において、前記第1電源スイッチ回路の配置頻度が、他の部分と比べて前記第1電源スイッチ回路の配置頻度の高い部分を有する
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1領域と隣接して、前記論理回路と異なる機能回路を有する第2領域を有し、
前記配置頻度の高い部分は、前記第2領域と隣接する
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1領域に配置され、前記第3電源線および前記第4電源線が平面視で重ならないトランジスタを含む第2電源スイッチ回路を有する
請求項5または請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記トランジスタは、finFETである
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トランジスタは、前記第1方向に配列される複数の前記ソース領域と、前記第1方向に配列される複数の前記ドレイン領域と、を有し、
複数の前記ソース領域にそれぞれ対応して設けられる複数の前記第1配線と、
複数の前記ドレイン領域にそれぞれ対応して設けられる複数の前記第2配線と、を有する
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トランジスタと重なる前記第3電源線または前記第4電源線の少なくともいずれかは、前記第1方向で、交互に配置された前記第1配線と前記第2配線の複数の群の間に位置する
請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のリーク電流を削減するために、電源線と複数の回路ブロックの各々の電源線である仮想電源線との間に、回路ブロックの動作時にオンする電源スイッチ回路を設ける手法が知られている。例えば、電源スイッチ回路の電源供給能力を高くするために、電源スイッチ回路で使用されるトランジスタのサイズは、回路ブロック内の論理回路で使用されるセルトランジスタのサイズに比べて大きく設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第10141336号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0244900号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0214377号明細書
【文献】特開2018-190760号公報
【文献】国際公開第2017/208887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランジスタサイズが大きくなることで、電源スイッチ回路のレイアウトサイズが大きくなると、電源スイッチ回路は、所定のピッチで配置される電源配線の間に収まらなくなる。この場合、電源スイッチ回路は、所定のピッチで配置される電源配線を跨いで配置される。また、仮想電源電圧を使用して動作する回路ブロックに十分な電源電圧を供給するため、電源スイッチ回路と回路ブロックとの間に配線される仮想電源線は、半導体基板に近い金属配線層を使用して形成されることが好ましい。
【0005】
しかしながら、電源スイッチ回路と回路ブロックとの間に配線される仮想電源線を、半導体基板に近い金属配線層を使用して形成する場合、電源スイッチ回路において半導体基板に近い金属配線層を使用して形成される配線が、仮想電源線と競合するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、仮想電源線などの電源線が半導体基板に近い金属配線層を使用して形成される場合に、電源線と同じ層に配置される電源スイッチ回路内の配線との競合を避けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、半導体装置は、第1配線層に形成され、平面視で第1方向に延在し、第1の電圧が供給される第1電源線と、前記第1配線層に形成され、前記第1方向に延在し、第2の電圧が供給される第2電源線と、前記第1配線層の1つ上の配線層である第2配線層に形成され、平面視で前記第1方向とは異なる第2方向に延在し、前記第1電源線と接続し、前記第1の電圧が供給される第3電源線と、前記第2配線層に形成され、前記第2方向に延在し、前記第2電源線と接続し、前記第2の電圧が供給される第4電源線と、前記第1配線層に形成され、第3の電圧が供給される第5電源線と、前記第1電源線と前記第5電源線との間に設けられたトランジスタを有する第1電源スイッチ回路とを有し、前記トランジスタは、前記第3電源線または前記第4電源線の少なくともいずれかと平面視で重なって位置し、前記第1電源スイッチ回路は、前記第2配線層に形成され、前記トランジスタのソース領域および前記第5電源線に電気的に接続し、前記第2方向に延在し、前記トランジスタ上であって平面視で前記第3電源線および前記第4電源線と重ならず、前記第3の電圧が供給される第1配線と、前記第2配線層に形成され、前記トランジスタのドレイン領域および前記第3電源線に電気的に接続し、前記第2方向に延在し、前記トランジスタ上であって平面視で前記第3電源線および前記第4電源線と重ならず、前記第1の電圧が供給される第2配線と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、第1電源線が半導体基板に近い金属配線層を使用して形成される場合に、第1電源線と電源スイッチ回路内の配線との競合を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す図である。
【
図2】
図1の電源スイッチ回路の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2の電源スイッチ回路の電源配線のレイアウトの一例を示す図である。
【
図4】
図3のレイアウトからM1層の配線と、M0、M1層間のビアを除いたレイアウトを示す図である。
【
図5】
図3および
図4のpチャネルトランジスタの構造の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図3のY1-Y1'線に沿う断面を示す図である。
【
図7】第2の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路の電源配線のレイアウトの一例を示す図である。
【
図8】第3の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路の電源配線のレイアウトの一例を示す図である。
【
図9】第4の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路の電源配線のレイアウトの一例を示す図である。
【
図10】第5の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す図である。
【
図11】第6の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す図である。
【
図12】
図11の電源スイッチ回路PSW2の電源配線のレイアウトの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す。
図1に示す半導体装置100は、例えば、少なくとも1つのパワードメインPDを有する。パワードメインPD内には、図示しない複数のスタンダードセルが配置されるスタンダードセル領域SCAが設けられる。特に限定されないが、半導体装置100に搭載されるトランジスタは、finFETである。finFETについては、
図5で説明する。スタンダードセル領域SCAは、論理回路を配置可能な第1領域の一例である。
【0012】
スタンダードセル領域SCAの周囲には、網掛けのパターンで示されるエンドキャップECAPが配置される。エンドキャップECAPは、図示しないダミーゲート電極またはダミートランジスタを有する。また、スタンダードセル領域SCAには、
図1の横方向であるX方向に延在する仮想電源線VVDD01bと接地線VSS01cとが、
図1の縦方向であるY方向に間隔H1を置いて交互に配置される。X方向は、第1方向の一例であり、Y方向は、X方向の交差方向である第2方向の一例である。
【0013】
さらに、スタンダードセル領域SCAには、Y方向に延在する仮想電源線VVDD11bと接地線VSS11cとが、X方向に間隔W1を置いて交互に配置される。
図1では、仮想電源線VVDD01b、11bは、実線で示され、接地線VSS01c、11cは、破線で示される。
【0014】
例えば、X方向に延在する仮想電源線VVDD01bおよび接地線VSS01cは、半導体基板に最も近い金属配線層であるM0層を使用して形成される。Y方向に延在する仮想電源線VVDD11bおよび接地線VSS11cは、M0層の直上に設けられる金属配線層であるM1層を使用して形成される。M0層は、第1配線層の一例であり、M1層は、第2配線層の一例である。仮想電源線VVDD01bは、第1電源線の一例であり、接地線VSS01cは、第2電源線の一例である。仮想電源線VVDD11bは、第3電源線の一例であり、接地線VSS11cは、第4電源線の一例である。
【0015】
なお、配線層等を区別することなく電源線VDDを説明する場合、単に電源線VDDまたは配線VDDと称する。配線層等を区別することなく仮想電源線VVDDを説明する場合、単に仮想電源線VVDDまたは配線VVDDと称する。配線層等を区別することなく接地線VSSを説明する場合、単に接地線VSSまたは電源線VSSと称する。
【0016】
X方向とY方向とにそれぞれ延在する仮想電源線VVDD01b、VVDD11bは、交差部分でビアを介して互いに接続される。同様に、X方向とY方向とにそれぞれ延在する接地線VSS01c、VSS11cは、交差部分でビアを介して互いに接続される。そして、スタンダードセル領域SCAには、メッシュ状の仮想電源線VVDDとメッシュ状の接地線VSSとが設けられる。なお、仮想電源線VVDDに電源を供給する図示しない電源線VDDは、M1層より上層の複数の配線層を使用して設けられる。電源線VDDは、第3電源線の一例ある。
【0017】
スタンダードセル領域SCAには、複数の電源スイッチ回路PSW1が間隔を置いて配置される。例えば、各電源スイッチ回路PSW1は、X方向に延在する2本の仮想電源線VVDD01bとY方向に延在する2本の接地線VSS11cとに囲まれる領域に配置可能なレイアウトサイズに設計される。
【0018】
換言すれば、各電源スイッチ回路PSW1は、X方向に延在する2本の仮想電源線VVDD01bの間に配置される1本の接地線VSS01cを跨いで、X方向に延在する2本の仮想電源線VVDD01bの間に配置されるダブルハイトセル(2ハイトセル)である。また、各電源スイッチ回路PSW1は、例えば、Y方向に延在する2本の接地線VSS11cの間に配置される1本の仮想電源線VVDD11bを跨いで、Y方向に延在する2本の接地線VSS11cの間に配置される。なお、電源スイッチ回路PSW1が配置される領域には、スタンダードセルが配置されない。
【0019】
電源スイッチ回路PSW1を間隔H1および間隔W1より大きいサイズに設計することで、各電源スイッチ回路PSW1によるスタンダートセルへの電源電圧VVDDの供給能力を大きくすることができる。但し、電源スイッチ回路PSW1のX方向のサイズを間隔W1より大きいサイズに設計する場合、電源スイッチ回路PSW1は、平面視でY方向に延在するM1層の仮想電源線VVDD11bまたは接地線VSS11cと重なる。同様に、電源スイッチ回路PSW1のY方向のサイズを間隔H1より大きいサイズに設計する場合、電源スイッチ回路PSW1は、平面視でX方向に延在するM0層の接地線VSS01cまたは仮想電源線VVDD01bと重なる。
【0020】
図3で説明するように、電源スイッチ回路PSW1の内部配線は、M0層だけでなくM1層を使用して形成される。このため、電源スイッチ回路PSW1内のM1層の内部配線と、M1層の電源配線VVDD11bとが競合しないためのレイアウトの工夫が必要になる。特に、電源スイッチ回路PSW1内のM1層の配線が、トランジスタにおいてゲート電極を挟んで交互に配置されるソース電極とドレイン電極とに接続される場合、M1層の電源配線VVDD11bとの競合を避けてM1層の配線を形成する必要がある。レイアウトの工夫については、
図3および
図4で説明する。
【0021】
図1に示すように、各電源スイッチ回路PSW1は、X方向に並ぶ仮想電源線VVDD01b(または接地線VSS01c)の配線ピッチの2倍のピッチでX方向に配置される。また、各電源スイッチ回路PSW1は、Y方向に並ぶ仮想電源線VVDD11b(または接地線VSS11c)の配線ピッチの4倍のピッチでY方向に配置される。
【0022】
すなわち、スタンダードセル領域SCA内に配置される複数の電源スイッチ回路PSW1は、仮想電源線VVDD11bおよび接地線VSS01cの少なくともいずれかと平面視で重なるトランジスタ(例えば、
図3に示すpチャネルトランジスタPT)の位置が互いに同じである。なお、電源スイッチ回路PSW1は、X方向およびY方向のそれぞれにおいて、仮想電源線VVDD(または接地線VSS)の配線ピッチの3倍、6倍等の整数倍のピッチで配置してもよい。
【0023】
配置ピッチを整数倍とすることで、全ての電源スイッチ回路PSW1において、電源スイッチ回路PSW1に対する仮想電源線VVDD01b、11bおよび接地線VSS01c、11cの位置関係を同じにすることができる。この結果、VVDD01b、11bおよび接地線VSS01c、11cの少なくともいずれかを跨ぐ電源スイッチ回路PSW1のレイアウトデータを共通にすることができ、電源スイッチ回路PSW1のレイアウト設計を容易にすることができる。
【0024】
さらに、電源スイッチ回路PSW1のX方向のサイズは、間隔W1の2倍に限定されない。同様に、電源スイッチ回路PSW1のY方向のサイズは、間隔H1の2倍に限定されない。なお、
図1では、電源スイッチ回路PSW1は、千鳥状のパターンで配置されるが、配置のパターンは、
図1に限定されない。
【0025】
図2は、
図1の電源スイッチ回路PSW1の一例を示す。電源スイッチ回路PSW1は、pチャネルトランジスタPTおよび電源スイッチ制御回路PCNT1を有する。なお、pチャネルトランジスタPTは、実際には、並列接続された複数のトランジスタを含む。
【0026】
pチャネルトランジスタPTのソースは、例えば、外部電源VDDが供給される電源線VDDに接続され、pチャネルトランジスタのドレインは、スタンダードセルの仮想電源線VVDDに接続される。pチャネルトランジスタPTのゲート電極は、電源スイッチ制御回路PCNT1の出力に接続される。なお、電源スイッチ回路PSW1は、pチャネルトランジスタPTの代わりにnチャネルトランジスタを有してもよい。この場合、nチャネルトランジスタのソースは接地線VSSに接続され、ドレインはスタンダードセルの各論理回路に接続し、接地電圧を供給する仮想接地線に接続される。
【0027】
電源スイッチ制御回路PCNT1は、常時動作するために電源線VDDおよび接地線VSSに接続され、電源制御信号PCNTに基づいて動作する。電源スイッチ制御回路PCNT1は、電源制御信号PCNTがパワードメインPD内の回路を動作させるアクティブモードを示す場合、pチャネルトランジスタPTのゲート電極に接地電圧VSSを供給する。これにより、pチャネルトランジスタPTはオンし、電源線VDDと仮想電源線VVDDとが相互に接続される。
【0028】
電源スイッチ制御回路PCNT1は、電源制御信号PCNTがパワーダウンモードを示す場合、pチャネルトランジスタPTのゲート電極に電源電圧VDDを供給する。これにより、pチャネルトランジスタPTはオフし、電源線VDDと仮想電源線VVDDとの接続が遮断される。このように、pチャネルトランジスタPTは、電源制御信号PCNTに基づいて動作し、電源線VDDを仮想電源線VVDDに接続する電源スイッチとして機能する。
【0029】
pチャネルトランジスタPTは、アクティブモード中にオンし、電源線VDDを仮想電源線VVDDに接続する。これにより、パワードメインPD内のスタンダードセルは、アクティブモード中、仮想電源線VVDDを介して電源電圧VDDを受けて動作する。一方、pチャネルトランジスタPTは、パワーダウンモード中にオフし、電源線VDDと仮想電源線VVDDとの接続を遮断する。これにより、パワードメインPD内のスタンダードセルは、パワーダウンモード中、電源電圧VDDの供給が停止され、動作を停止する。
【0030】
図3は、
図2の電源スイッチ回路PSW1の電源配線のレイアウトの一例を示す。なお、
図3では、
図2の電源スイッチ制御回路PCNT1の記載は省略する。
【0031】
以下では、電源スイッチ回路PSW1の外部から配線される仮想電源線VVDD01b、VVDD11bおよび接地線VSS01c、VSS11cは、電源線VVDD、VSSとも称する。電源スイッチ回路PSW1内に閉じている仮想電源線VVDD02b、VVDD12bおよび電源線VDD02a、VDD12aは、それぞれ配線VVDD02b、VVDD12b、VDD02a、VDD12aとも称する。
図1で説明したように、X方向に延在する2本の電源線VVDD01bおよび1本の電源線VSS01cは、M0層を使用して形成される。Y方向に延在する2本の電源線VSS11cと1本の電源線VVDD11bは、M1層を使用して形成される。
【0032】
電源スイッチ回路PSW1は、X方向に延在する複数のフィンとY方向に延在する複数のゲート電極Gとを有する複数のpチャネルトランジスタPTを有する。複数のフィンは、Y方向に間隔を置いて配置される。複数のゲート電極Gは、X方向に間隔を置いて配列される。複数のゲート電極Gの配置領域のX方向の両側には、ダミーゲート電極DMYGが配置される。
【0033】
各ゲート電極Gは、
図2に示したpチャネルトランジスタPTのゲート電極であり、ビアを介して、M0層に形成される信号線SIGに接続される。信号線SIGは、図示しない配線またはビア等を介して、
図2に示した電源スイッチ制御回路PCNT1の出力に接続される。
【0034】
pチャネルトランジスタPTにおいて、互いに隣接する2本のゲート電極Gの間には、ソース領域Sまたはドレイン領域Dが形成される。ソース領域Sおよびドレイン領域Dは、ゲート電極Gを挟んで交互に形成される。各ソース領域Sは、LI(ローカルインターコネクト)層において各ソース領域S上にY方向に延在するローカル配線VDDLIaに電気的に接続される。各ドレイン領域Dは、LI層において各ドレイン領域D上にY方向に延在するローカル配線VVDDLIbに電気的に接続される。LI層は、半導体基板とM0層との間に設けられる配線層である。
【0035】
なお、finFETでは、ソース領域Sおよびドレイン領域Dは、それぞれフィンに形成される。このため、ローカル配線VDDLIaは、ソース領域Sとして機能するフィンに接続され、ローカル配線VVDDLIbは、ドレイン領域Dとして機能するフィンに接続される。
【0036】
LI層でY方向に延在するローカル配線VDDLIaは、pチャネルトランジスタPT上でX方向に延在するM0層の配線VDD02aにビアを介して接続され、さらに、ソース領域S上でY方向に延在するM1層の配線VDD12aにビアを介して接続される。ソース領域S上でY方向に延在するM1層の配線VDD12aは、第1配線の一例である。図中に三角印で示すビアは、L1層とM0層との間に設けられるビアと、M0層とM1層との間に設けられるビアの両方を示し、平面視で重なる位置に設けられる。
【0037】
各ソース領域Sのローカル配線VDDLIa上にM1層の配線VDD12aを配置して相互に接続することで、Y方向に延在するソース領域Sの抵抗を下げることができ、電源電圧VDDの供給を強化させることができる。また、ローカル配線VDDLIaをM0層の配線VDD02aを介して相互に接続することで、各ソース領域Sに、十分な電源電圧VDDを効率よく供給することができる。
【0038】
M0層の配線VDD02aおよびM1層の配線VDD12aの一方または両方は、図示しないビアを介して、M1層より上層の配線層に形成されるメッシュ状の電源線VDDに接続される。例えば、配線VDD02aまたは配線VDD12aを電源線VDDに接続するビアは、ソース領域S上に三角印で示すビアと平面視で同じ位置に形成されてもよい。あるいは、配線VDD02aを電源線VDDに接続するビアは、M0層の配線VDD02aを
図3に対してさらにX方向に延在させた位置にM1層の配線VDD12aとともに形成されてよく、M1層の配線VDD12aを
図3に対してさらにY方向に延在させた位置に形成されてよい。
【0039】
LI層でY方向に延在するローカル配線VVDDLIbは、pチャネルトランジスタPT上でX方向に延在するM0層の配線VVDD02bにビアを介して接続され、さらに、ドレイン領域D上でY方向に延在するM1層の配線VVDD12bにビアを介して接続される。ドレイン領域D上でY方向に延在するM1層の配線VVDD12bは、第2配線の一例である。
【0040】
各ドレイン領域Dのローカル配線VVDDLIb上にM1層の配線VVDD12bを配置して相互に接続することで、Y方向に延在するドレイン領域Dの抵抗を下げることができ、電源電圧VVDDの供給を強化させることができる。また、ローカル配線VVDDLIbをM0層の配線VVDD02bを介して相互に接続することで、各ドレイン領域Dから十分な電源電圧VVDDを効率よく出力することができる。
【0041】
図3において、M1層の電源線VVDD11bは、pチャネルトランジスタPTにおいて、例えば、X方向の中央に位置するソース領域S上に形成される。M1層の電源線VVDD11bは、pチャネルトランジスタPTの各ドレイン領域Dからローカル配線VVDDLIbおよびM0層の電源線VVDD02bを介して供給される電源電圧VVDDをスタンダードセルに供給する。なお、M1層の電源線VVDD11bは、ソース領域S上以外の場所に配置されてもよい。
【0042】
M1層の電源線VVDD11bをpチャネルトランジスタPTのX方向の中央に配置することで、6つのドレイン領域DとM1層の電源線VVDD11bまでとの距離の差を低減させることができる。これにより、各ドレイン領域DとM1層の電源線VVDD11bまでの寄生抵抗のばらつきを低減させることができ、電源電圧VVDDをスタンダードセルに効率よく供給することができる。なお、M1層の電源線VVDD11bは1本に限られず、複数本の群として配置されてもよい。この場合、複数のM1層の電源線VVDD11bの群が、pチャネルトランジスタPTのX方向の中央に位置してもよい。
【0043】
一方、M1層の電源線VVDD11bとの競合を避けるため、M1層の電源線VVDD11bに対向するソース領域S上には、M1層の配線VDD12aは形成されない。しかしながら、M1層の電源線VVDD11bに対向するソース領域S上のローカル配線VDDLIaは、ビアを介してX方向に延在するM0層の配線VDD02aとM1層の電源線VDD12aとに順次接続され、さらに、M1層より上層の電源線VDDに接続される。
【0044】
このため、電源スイッチ回路PSW1のサイズが大きく、M1層の電源線VVDD11bが電源スイッチ回路PSW1を跨いで配線される場合にも、M1層の電源線VVDD112bの下方に位置するソース領域Sに所望の電源電圧VDDを供給することができる。換言すれば、電源スイッチ回路PSW1への電源電圧VDDの供給能力を低下させることなく、電源スイッチ回路PSW1からスタンダードセルへ十分な電源電圧VVDDを供給することができる。
【0045】
図4は、
図3のレイアウトからM1層の配線と、M0、M1層間のビアを除いたレイアウトを示す。各ソース領域Sと電気的に接続されるLI層のローカル配線VDDLIaは、ビアを介して、X方向に延在するM0層の2本の配線VDD02aに接続される。各ドレイン領域Dと電気的に接続されるLI層のローカル配線VVDDLIbは、ビアを介して、X方向に延在するM0層の2本の配線VVDD02bに接続される。これにより、M1層の電源線VVDD11b(
図3)が電源スイッチ回路PSW1上でY方向に配線される場合にも、ソース領域S、ゲート電極Gおよびドレイン領域Dの繰り返し構造および繰り返し間隔を維持して、pチャネルトランジスタPTを形成することができる。
【0046】
図5は、
図3および
図4のpチャネルトランジスタPTの構造の一例を示す。pチャネルトランジスタPTは、半導体基板上に設けられたX方向に延在するフィンと、フィンを跨いでY方向に延在するゲート電極Gとを有する。
図5の例では、pチャネルトランジスタPTは、8本のフィンと10本のゲート電極Gとを有する。フィンとゲート電極Gとの間には、ゲート絶縁膜が形成され、ゲート絶縁膜で覆われるフィンの表面部分にpチャネルトランジスタPTのチャネルが形成される。なお、フィンの数は8本以外でもよく、ゲート電極Gの数は10本以外でもよい。
【0047】
そして、ソース領域Sとドレイン領域Dとが、フィンにおけるゲート電極Gの両側にそれぞれ設けられる。図示を省略しているが、各ソース領域および各ドレイン領域Dには、ゲート電極Gの延在方向に沿うローカル配線VDDおよびローカル配線VVDDがそれぞれ設けられる。なお、
図5において、ソース領域Sとドレイン領域Dとが入れ替えられてもよい。
【0048】
図6は、
図3のY1-Y1'線に沿う断面を示す。フィンは、半導体基板上に形成されたSTI(Shallow Trench Isolation)等の素子分離絶縁膜中に形成される。素子分離絶縁膜上に突出するフィンの上部は、
図6に示す断面では、ローカル配線VVDDLIbで覆われる。
図6に示す断面では、ローカル配線VVDDLIbは、ビアを介して、M0層に形成された2本の電源線VVDD01bおよび配線VVDD02bに接続される。
【0049】
図6に示す断面では、M0層の配線VVDD02bは、ビアを介して、M1層に形成された配線VVDD12bに接続される。各ローカル配線VVDDLIbは層間絶縁膜中に形成される。ローカル配線VVDDLIb上の層間絶縁膜には、各ビア、M0層の電源線VVDD01b、配線VDD02a、VVDD02b、電源線VSS01cおよび信号線SIGが形成される。M0層上の層間絶縁膜には、M1層の電源線VVDD12bが形成される。
【0050】
以上、この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1のサイズが大きく、M1層の電源線VVDD11bが電源スイッチ回路PSW1を跨いで配線される場合にも、M1層の電源線VVDD11bの下方に位置するソース領域Sに所望の電源電圧VDDを供給することができる。換言すれば、電源スイッチ回路PSW1への電源電圧VDDの供給能力を低下させることなく、電源スイッチ回路PSW1からスタンダードセルへ十分な電源電圧VVDDを供給することができる。
【0051】
また、M1層の電源線VVDD11bが電源スイッチ回路PSW1のY方向に配線される場合にも、ソース領域S、ゲート電極Gおよびドレイン領域Dの繰り返し構造および繰り返し間隔を維持して、pチャネルトランジスタPTを形成することができる。この際、例えば、M1層の電源線VVDD11bをpチャネルトランジスタPTのX方向の中央に配置することで、6つのドレイン領域DとM1層の電源線VVDD11bまでとの距離の差を低減させることができる。これにより、各ドレイン領域DとM1層の電源線VVDD11bまでの寄生抵抗のばらつきを低減させることができ、電源電圧VVDDをスタンダードセルに効率よく供給することができる。
【0052】
電源スイッチ回路PSW1の配置ピッチは、電源線VSS01cまたは電源線VSS11cの配線ピッチ、または、仮想電源線VVDD01bまたはVVDD11bの配線ピッチの整数倍に設計される。これにより、全ての電源スイッチ回路PSW1において、電源スイッチ回路PSW1に対する仮想電源線VVDD01b、VVDD11bおよび電源線VSS01c、VSS11cの位置関係を同じにすることができる。この結果、仮想電源線VVDD01b、VVDD11bおよび電源線VSS01c、VSS11cの少なくとも一方を跨ぐ電源スイッチ回路PSW1のレイアウトデータを共通にすることができ、電源スイッチ回路PSW1のレイアウト設計を容易にすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路のレイアウトの一例を示す。
図3と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置のレイアウトは、
図1の半導体装置100のレイアウトと同様である。すなわち、
図7に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置は、パワードメインPD内に複数のスタンダードセルが配置されるスタンダードセル領域SCAを有し、電源スイッチ回路PSW1は、スタンダードセル領域SCA内に配置される。
【0054】
この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1のX方向の中央部分にY方向に沿って配置されるM1層の電源線VVDD11bは、菱形で示すビアを介してX方向に延在するM0層の配線VVDD02bに接続される。これにより、pチャネルトランジスタPTのドレイン領域Dから出力される電源電圧VVDDは、X方向に延在するM0層の電源線VVDD02bだけでなく、X方向に延在するM0層の配線VVDD02bを介してM1層の電源線VVDD11bに供給される。この結果、スタンダードセルへの電源電圧VVDDの供給能力を、
図3の電源スイッチ回路PSW1に比べて向上することができる。なお、
図7のレイアウトからM1層の配線と、M0、M1層間のビアを除いたレイアウトは、
図4と同じである。
【0055】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、M1層の電源線VVDD11bが電源スイッチ回路PSW1を跨いで配線される場合にも、電源スイッチ回路PSW1への電源電圧VDDの供給能力を低下させることなく、電源スイッチ回路PSW1から十分な電源電圧VVDDを出力することができる。また、この実施形態では、M1層の電源線VVDD11bがビアを介してM0層の配線VVDD02bに接続されるため、スタンダードセルへの電源電圧VVDDの供給能力をさらに向上することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路のレイアウトの一例を示す。
図3および
図7と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置のレイアウトは、
図1の半導体装置100のレイアウトと同様である。すなわち、
図8に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置は、パワードメインPD内に複数のスタンダードセルが配置されるスタンダードセル領域SCAを有し、電源スイッチ回路PSW1は、スタンダードセル領域SCA内に配置される。
【0057】
この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1上に、Y方向に延在するM1層の電源線VVDD11bに加えて、Y方向に延在するM1層の電源線VSS11cがpチャネルトランジスタPT上に配線される。M1層において配線VVDD12bまたは配線VDD12aは、pチャネルトランジスタPT上の電源線VSS11cを避けた位置に配置される。電源線VSS11cの下方に位置するローカル配線VVDDLIbは、ビアを介してX方向に延在する配線VVDD02bに接続される。配線VVDD02bは、pチャネルトランジスタPT上でY方向に延在する配線VVDD12bに接続される。
【0058】
配線VVDD12bは、電源線VVDD01bおよび電源線VVDD11bに電気的に接続される。換言すれば、電源線VSS11cの下方に位置するローカル配線VVDDLIbは、電源線VVDD01bおよび電源線VVDD11bに電気的に接続される。電源線VSS01cは、M0層とM1層とを接続するビアを介して、pチャネルトランジスタPT上の電源線VSS11cと、平面視でpチャネルトランジスタPTと重ならない位置に配置される電源線VSS11cとに接続される。
【0059】
例えば、電源スイッチ回路PSW1が大規模になった場合、Y方向に延在する複数の電源線または接地線が電源スイッチ回路PSW1と重なって配置されることがある。そのような場合に、本実施形態のように電源スイッチ回路PSW1内の配線VDD12aまたは配線VVDD12bを配置しない領域を設けることで、電源スイッチ回路PSW1のpチャネルトランジスタPTと重なる位置に追加で電源線VSS11cを配置することができる。
【0060】
この実施形態においても、
図7と同様に、電源スイッチ回路PSW1のX方向の中央部分に配置されるM1層の電源線VVDD11bは、菱形で示すビアを介してX方向に延在するM0層の配線VVDD02bに接続される。なお、
図8のレイアウトからM1層の配線と、M0、M1層間のビアを除いたレイアウトは、
図4と同じである。
【0061】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1上にM1層の電源線VSS11cが配線されるため、電源電圧VSSが供給されるメッシュ状の電源線VSSの電源抵抗を下げることができる。これにより、電源線VSSを介してスタンダードセルから引き抜かれる電源電圧VSSの引き抜き能力を向上することができる。
【0062】
また、電源スイッチ回路PSW1上でM1層の電源線VSSが配線される場合にも、電源線VSSの下方に位置するドレイン領域Dへ電源電圧VVDDを確実に供給することができる。この結果、スタンダードセルへの電源電圧VVDDの供給能力を低下させることなく、電源電圧VSSの引き抜き能力を向上することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態における半導体装置の電源スイッチ回路のレイアウトの一例を示す。
図3、
図7および
図8と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置のレイアウトは、
図1の半導体装置100のレイアウトと同様である。すなわち、
図9に示す電源スイッチ回路PSW1を有する半導体装置は、パワードメインPD内に複数のスタンダードセルが配置されるスタンダードセル領域SCAを有し、電源スイッチ回路PSW1は、スタンダードセル領域SCA内に配置される。
【0064】
この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1上に、Y方向に延在し、X方向において電源スイッチ回路PSW1の中央部分に位置するM1層の電源線VVDD11bに加えて、pチャネルトランジスタPT上に、Y方向に延在するM1層の別の電源線VVDD11bと、Y方向に延在するM1層の電源線VSS11cとが配線される。M1層において配線VVDD12b又は配線VDD12aは、pチャネルトランジスタPT上の別の電源線VVDD11bおよび電源線VSS11cを避けた位置に配置される。
【0065】
電源線VSS11cの下方に位置するローカル配線VVDDLIbは、ビアを介してX方向に延在する配線VVDD02bに接続される。配線VVDD02bは、pチャネルトランジスタPT上でY方向に延在する配線VVDD12bに接続される。配線VVDD12bは、電源線VVDD01bおよび電源線VVDD11bに電気的に接続される。別の電源線VVDD11bの下方に位置するローカル配線VDDLIaは、ビアを介してX方向に延在する配線VDD02aに接続される。配線VDD02aは、pチャネルトランジスタPT上でY方向に延在する配線VDD12aに接続される。配線VVDD12aには、例えばM1層より上の層の配線を介して電源電圧VDDが供給される。
【0066】
図3および
図8と同様に、M1層の電源線VVDD11bまたは電源線VSS11cと重なって位置するローカル配線VDDLIaは、ビアを介してX方向に延在するM0層の配線VDD02aに接続される。また、M1層の電源線VVDD11bまたは電源線VSS11cと重なって位置する配線VVDDLIbは、ビアを介して、X方向に延在するM0層の配線VVDD02bと、Y方向に延在するM1層の配線VVDD12bとに接続される。配線VVDD12bは、電源線VVDD01bおよび電源線VVDD11bに電気的に接続される。なお、
図9のレイアウトからM1層の配線と、M0、M1層間のビアを除いたレイアウトは、
図4と同じである。
【0067】
M1層の複数の電源線VVDD11bを電源スイッチ回路PSW1上に配線することで、電源電圧VVDDが供給されるメッシュ状の電源線の電源抵抗を下げることができる。これにより、M1層の電源線VVDD11bを介してスタンダードセルへ供給する電源電圧VVDDの供給能力を、
図3の電源スイッチ回路PSW1に比べて向上することができる。
【0068】
さらに、M1層の電源線VVDD11bをpチャネルトランジスタPT上に配線することで、スタンダードセルへ供給する電源電圧VVDDの供給能力を高くすることができる。なお、電源スイッチ回路PSW1のX方向のサイズが大きくなるほど、電源スイッチ回路PSW1上を跨ぐM1層の電源線VVDD11b、VSS11cの数は増加する傾向にある。この場合にも、
図9に示すレイアウト手法を適用することで、スタンダードセルへの電源電圧VVDDの供給能力を向上することができ、スタンダードセルから電源電圧VSSの引き抜き能力を向上することができる。
【0069】
なお、
図9の例ではX方向に沿って、電源線VSS11c、電源線VVDD11b、電源線VVDD11b、電源線VSS11c、電源線VSS11cの順に各電源線が配置されているが、これに限定されない。例えば、電源線VSS11cまたは複数の電源線VSS11cの群と、電源線VVDD11bまたは複数の電源線VVDD11bの群とが、X方向に沿って交互に配置されていてもよい。これは、第3の実施形態においても同様である。
【0070】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、M1層の複数の電源線VVDDを電源スイッチ回路PSW1上に配線することで、メッシュ状の電源線VVDDの電源抵抗を下げることができる。これにより、M1層の電源線VVDDを介してスタンダードセルへ供給する電源電圧VVDDの供給能力を、上述した実施形態に比べて向上することができる。また、M1層の電源線VVDD11bをpチャネルトランジスタPT上に配線することで、スタンダードセルへ供給する電源電圧VVDDの供給能力をさらに向上することができる。
【0071】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す。
図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図10に示す半導体装置102は、パワードメインPD内において、スタンダードセル領域SCAを囲むエンドキャップECAPの周囲にサイズの大きいRAM(Random Access Memory)1とサイズが小さいRAM2とがそれぞれ配置される複数の周辺領域PAを有する。RAM1およびRAM2は、所定の機能を有する機能回路の一例である。周辺領域PAは、第2領域の一例である。
【0072】
スタンダードセル領域SCAには、複数の電源スイッチ回路PSW1が間隔を置いて配置される。
図1と同様に、各電源スイッチ回路PSW1は、X方向に並ぶ仮想電源線VVDD(または接地線VSS)の配線ピッチの2倍のピッチでX方向に配置される。また、各電源スイッチ回路PSW1は、Y方向に並ぶ仮想電源線VVDD(または接地線VSS)の配線ピッチの4倍のピッチでY方向に配置される。
【0073】
但し、この実施形態では、スタンダードセル領域SCAにおいて、RAM1に近い領域には、上記所定のピッチよりも小さいピッチで、所定数の電源スイッチ回路PSW1が配置される。すなわち、スタンダードセル領域SCAにおいて、RAM1が配置される周辺領域PAに隣接する領域での電源スイッチ回路PSW1の配置頻度は、他の領域での電源スイッチ回路PSW1の配置頻度に比べて高い。スタンダードセル領域SCAにおけるRAM1の近くに、電源スイッチ回路PSW1を配置することで、パワードメインPD内に配置されるRAM1への電源電圧VVDDの供給能力を向上することができる。
【0074】
なお、スタンダードセル領域SCA周辺にRAM1などの機能回路が配置されていない場合であっても、この実施形態のように、電源スイッチ回路PSW1の配置頻度を高いものとしてもよい。具体的には、例えば、スタンダードセル領域SCA内の隅の領域において、スタンダードセル領域SCA内の内側の領域に比べて電源スイッチ回路PSW1の配置頻度を高いものとしてもよい。
【0075】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、電源電圧VVDDの必要量に応じて、電源スイッチ回路PSW1の配置頻度を変えることで、適切な電源電圧VVDDを所定の回路に供給することができる。さらに、スタンダードセル領域SCAの外側の周辺領域PAに配置されるRAM1等の機能回路にも、適切な電源電圧VVDDを供給することができる。
【0076】
(第6の実施形態)
図11は、第6の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す。
図1および
図10と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11に示す半導体装置104は、パワードメインPD内において、X方向のRAM2側の端に、レイアウトサイズが電源スイッチ回路PSW1より小さい複数の電源スイッチ回路PSW2が配置される。電源スイッチ回路PSW2を除く構成は、
図10と同様である。電源スイッチ回路PSW2は、第2電源スイッチ回路の一例である。
【0077】
電源スイッチ回路PSW2は、X方向のサイズが間隔W1の1つ分以下であるとする。このため、電源スイッチ回路PSW2を、Y方向に延在する電源線VVDD11b、VSS11cと平面視で重ならない位置に配置することができる。したがって、pチャネルトランジスタPT上のM1層の配線VVD12aおよび配線VVDD12bと、Y方向に延在する電源線VVDD11b、VSS11cとの競合は発生しない。
【0078】
また、スタンダードセル領域SCA内に電源スイッチ回路PSW1を配置するスペースがない場合にも、RAM2の近くに電源スイッチ回路PSW2を配置することができる。特に、スタンダードセル領域SCA内の周辺部に電源スイッチ回路PSW2を配置することができる。この結果、例えば、パワードメインPD内に配置されるRAM2への電源電圧VVDDの供給能力を向上することができる。
【0079】
図12は、
図11の電源スイッチ回路PSW2の電源配線のレイアウトの一例を示す。
図3と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、
図12では、電源スイッチ回路PSW2のゲート電極Gに接続される信号線SIGに出力する制御電圧を生成する電源スイッチ制御回路の記載は省略する。電源スイッチ回路PSW2の動作を制御する電源スイッチ制御回路の機能および動作は、
図2に示した電源スイッチ制御回路PCNT1の機能および動作と同様である。また、
図12の例において、左側にY方向に延在する電源線VSS11cが配線され、右側にY方向に延在する電源線VVDD11bが配線されているが、これに限定されない。
【0080】
電源スイッチ回路PSW2は、X方向に延在する8つのフィンと、Y方向に延在する4本のゲート電極Gとを有する複数のpチャネルトランジスタPTを有する。4本のゲート電極Gの配置領域のX方向の両側には、ダミーゲート電極DMYGが配置される。
【0081】
電源スイッチ回路PSW2は、10本のゲート電極Gを有するpチャネルトランジスタPTの代わりに4本のゲート電極Gを有するpチャネルトランジスタPTが配置されることを除き、
図3の電源スイッチ回路PSW1と同様である。すなわち、pチャネルトランジスタPTにおいて、ゲート電極G、ソース領域Sおよびドレイン領域Dに接続される配線およびビアは、
図3と同様である。電源スイッチ回路PSW2は、電源線VVDD、VSSとの位置関係が同じになるように配置される。これにより、電源スイッチ回路PSW2のレイアウトデータを共通にすることができ、電源スイッチ回路PSW1のレイアウト設計を容易にすることができる。
【0082】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、電源スイッチ回路PSW1よりもサイズが小さい電源スイッチ回路PSW2により、電源スイッチ回路PSW1が配置できないスタンダードセル領域SCA内の周辺部に電源スイッチ回路PSW2を配置することができる。この結果、例えば、パワードメインPD内に配置されるRAM2への電源電圧VVDDの供給能力を向上することができる。
【0083】
なお、上述した実施形態は、finFETを有する電源スイッチ回路PSW1、PSW2に適用する例を述べたが、プレーナ型トランジスタ、ナノワイヤトランジスタ、ナノシートトランジスタ、フォークシートトランジスタ、CFET(Complementary FET)、縦型ナノワイヤトランジスタなどを有する電源スイッチ回路に適用されてもよい。
【0084】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0085】
100、102、104 半導体装置
D ドレイン領域
ECAP エンドキャップ
G ゲート電極
H1 間隔
PA 周辺領域
PCNT 電源制御信号
PCNT1 電源スイッチ制御回路
PD パワードメイン
PSW1、PSW2 電源スイッチ回路
PT pチャネルトランジスタ
S ソース領域
SCA スタンダードセル領域
SIG 信号線
VDD 電源線
VSS 電源線(接地線)
VVDD 仮想電源線
W1 間隔