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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】商品収納装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/36 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
G07F11/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021022784
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124888
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜野 剛宏
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0183216(US,A1)
【文献】特開2021-009458(JP,A)
【文献】実開昭59-020388(JP,U)
【文献】特開平06-290338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って延在する商品収納通路に、該商品収納通路の延在方向に沿って螺旋状に巻回される態様で構成されたスパイラルを備え、
前記スパイラルが中心軸回りに回転する場合に、該スパイラルの各ピッチ間に拘束された商品を漸次前方に向けて搬出して最前の商品を払い出す商品収納装置であって、
前記スパイラルの内部を挿通する態様で前後方向に沿って延在し、かつ前記スパイラルの各ピッチ間に拘束された商品を上面に載置させる商品ガイドを備え、
前記商品ガイドは、前端部が前記商品収納通路の底面を構成するベースの前端部分に取り付けられるとともに下面の一部が前記スパイラルの一部と摺接可能となる態様で該スパイラルの一部に載置された状態で設置され、かつ後端部の下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜していることを特徴とする商品収納装置。
【請求項2】
前記商品ガイドは、少なくとも前記後端部の下面が低摩擦材料により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の商品収納装置。
【請求項3】
前記低摩擦材料は、樹脂材であることを特徴とする請求項2に記載の商品収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品収納装置に関し、より詳細には、商品の販売を行う自動販売機に適用される商品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の販売を行う自動販売機には、商品収容庫の商品ラックに収納された商品を搬送トレイに繰り出した後、搬送トレイによって搬送して所定の商品取出領域に払い出すようにしたものがある。商品取出領域は、商品取出口を介して商品収容庫の外部に連通された空間であり、利用者が商品取出口から手を差し入れれば、購入した商品の取り出しが可能である。
【0003】
通常、この種の自動販売機では、前面を構成する前面扉の一部がガラス等の透明な面板によって構成されており、商品収容庫の商品ラックに収納された商品を外部から視認して選択することが可能であり、更に、商品ラックから繰り出された購入商品が搬送トレイによって商品取出領域まで搬送される状態を観察することができる。このように商品収容庫の内部が視認可能な自動販売機によれば、利用者の購買意欲を高めることができる等の利点がある。
【0004】
このような自動販売機における商品ラックは、複数の商品コラムが左右に並設されて構成されている。商品ラックを構成する各商品コラムは、前後方向に沿って延在する商品収納通路を有しており、スパイラル及び商品ガイドを備えて構成されている。
【0005】
スパイラルは、商品収納通路の延在方向、すなわち前後方向に沿って螺旋状に巻回される態様で構成されている。このスパイラルは、伝達機構を介して駆動源であるモータより駆動力が伝達された場合に、中心軸回りに回転するものである。
【0006】
商品ガイドは、例えば板金等により構成されるもので、前後方向が長手方向となる長尺状部材である。この商品ガイドは、スパイラルの内部を貫通する態様で前後方向に沿って延在し、前端部が商品収納通路の底面を構成するベースの前端部分に取り付けられ、後端部が上記伝達機構に構成された中空部を貫通する取付金に取り付けられている。かかる商品ガイドは、上面に商品を載置させるものである。
【0007】
そのような構成を有する商品コラムでは、常態においてはスパイラルの各ピッチ間に商品を拘束しており、スパイラルが回転する場合には各ピッチ間に拘束された商品を漸次前方に向けて搬出して最前の商品を払い出すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6443459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記商品コラムにおいては、収納対象となる商品の形態によっては各ピッチ間に拘束される商品を商品ガイドの上面に載置させずにベースに載置させることが望ましい場合もあり、かかる場合に商品ガイドを取り外すことが好ましい。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に提案されている商品コラムでは、商品ガイドの前端部がベースの前端部分に取り付けられるとともに、後端部が取付金に取り付けられていたので、商品ガイドだけを取り外すことができず、利便性に優れたものとはいえなかった。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品ガイドだけを着脱させることにより利便性の向上を図ることができる商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る商品収納装置は、前後方向に沿って延在する商品収納通路に、該商品収納通路の延在方向に沿って螺旋状に巻回される態様で構成されたスパイラルを備え、前記スパイラルが中心軸回りに回転する場合に、該スパイラルの各ピッチ間に拘束された商品を漸次前方に向けて搬出して最前の商品を払い出す商品収納装置であって、前記スパイラルの内部を挿通する態様で前後方向に沿って延在し、かつ上面に商品を載置させる商品ガイドを備え、前記商品ガイドは、前端部が前記商品収納通路の底面を構成するベースの前端部分に取り付けられる一方、後端部が前記スパイラルの一部と摺接可能となる態様で該スパイラルの一部に載置された状態で設置されたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記商品ガイドは、少なくとも前記後端部の下面が低摩擦材料により構成されたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記低摩擦材料は、樹脂材であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記商品ガイドは、前記後端部の下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スパイラルの内部を挿通する態様で前後方向に沿って延在し、かつ上面に商品を載置させる商品ガイドは、前端部が商品収納通路の底面を構成するベースの前端部分に取り付けられる一方、後端部がスパイラルの一部と摺接可能となる態様で該スパイラルの一部に載置された状態で設置されているので、前端部をベースの前端部分から通り外すことにより、商品ガイドを離脱させることができる。しかも、スパイラルが装着された状態で、該スパイラルの内部を挿通させて商品ガイドを設置することができ、これにより、スパイラルを取り外すことなく商品ガイドを着脱させることができる。よって、商品ガイドだけを着脱させることにより利便性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機の外観構成を示す正面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機の内部構造を模式的に示す断面側面図である。
図3図3は、図1及び図2に示した1つの商品ラックを示す斜視図である。
図4図4は、図3に示した商品ラックの要部を示す分解斜視図である。
図5図5は、図3に示した商品ラックの要部を示す斜視図である。
図6図6は、図4に示した駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図7図7は、商品コラムの構成要素である駆動ユニット、伝達部材及びスパイラルの分解斜視図である。
図8図8は、図3及び図5に示した商品ガイドを示す斜視図である。
図9図9は、図3及び図5に示した商品ガイドを示す分解斜視図である。
図10図10は、図8及び図9に示した商品ガイドを取り付ける状態を示す斜視図である。
図11図11は、図5に示した商品コラムの縦断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態である商品コラムの変形例を示す縦断面図である。
図13図13は、図12に示した商品ガイドを示す斜視図である。
図14図14は、図12に示した商品ガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機を示すものであり、図1は、自動販売機の外観構成を示す正面図であり、図2は、自動販売機の内部構造を模式的に示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機1は、例えば店舗等に設置されるものであり、装置本体である本体キャビネット10を備えている。
【0020】
本体キャビネット10は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)10aを有した直方状の筐体であり、内部に商品収容庫11を有している。商品収容庫11は、断熱材に囲繞されて断熱構造を有した室であり、商品ラック13が上下方向に沿って複数段設けられている。これら商品ラック13は、それぞれ商品収容庫11の両側に立設された図示せぬラック支持側板の間に架設されており、商品を収納するものである。
【0021】
上記商品収容庫11には、蒸発器14aが設けられている。蒸発器14aは、商品収容庫11の下方域に画成された機械室12に配設された圧縮機14bや凝縮器14c、膨張機構14dと冷媒を循環させる冷媒回路14を構成しており、自身の図示せぬ冷媒通路を通過する冷媒と、自身の周囲を通過する商品収容庫11の内部の空気とを熱交換させて該空気を冷却させるものである。
【0022】
蒸発器14aの周囲で冷却された空気は、庫内送風ファン15が駆動することにより、商品収容庫11の背面に設置された背面ダクト16の吸込口16aより通風路16bに吸い込まれ、この通風路16bを通過した後に各吹出口16cから吹き出されることにより、商品ラック13に収納された商品を冷却することになる。
【0023】
商品収容庫11における上記商品ラック13の前方域には、その両側に左右一対となる態様で搬送レール17aが配設されており、これら搬送レール17a間を搬送トレイ17bが図示せぬ搬送機構により上下方向に沿って移動可能に配設されている。つまり、搬送レール17a間には、搬送トレイ17bを通過させるための搬送通路17が形成されている。この搬送通路17は、機械室12の前方域まで延在しており、該機械室12の前方域となる最下位置が商品取出領域18となっている。
【0024】
上記本体キャビネット10の前面開口10aは、前面扉20により開閉される。前面扉20は、前面開口10aを閉塞するのに十分な大きさを有した扉体であり、本体キャビネット10の前方側の左側縁部に揺動可能に設けられている。
【0025】
この前面扉20は、断熱構造を有するものであり、外部より内部の視認を可能にする断熱性のガラス板21aが装着された窓部21を備えているとともに、窓部21の下方部に矩形状の商品取出口22が形成されている。
【0026】
この商品取出口22は、搬送トレイ17bにより商品取出領域18まで搬送された商品を、利用者が取り出すための開口であり、商品取出扉23により開閉されるものである。
【0027】
また前面扉20は、窓部21の右方部に、商品選択部24、硬貨投入口25、紙幣挿入口26、カードリーダ27、硬貨返却口28等が設けられている。
【0028】
商品選択部24は、押釦テンキーや表示器等を有しており、利用者が商品を選択するためのものである。硬貨投入口25は、硬貨を投入する開口である。紙幣挿入口26は、紙幣を挿入するための開口である。
【0029】
カードリーダ27は、いわゆる電子マネーと称される金額情報が格納された記録媒体が所定の通信可能領域に保持される場合に、該記録媒体との間で金銭に関するデータの送受信を行うものである。硬貨返却口28は、投入された硬貨の返却、あるいは釣銭等を返却するための開口である。
【0030】
図3は、図1及び図2に示した1つの商品ラック13を示す斜視図である。尚、図1及び図2に示した複数の商品ラック13はいずれも同様の構成を有しているので、以下においては、1つの商品ラック13について説明し、その他の商品ラック13の説明は割愛する。
【0031】
ここで例示する商品ラック13は、ベース30と、仕切板40と、複数の商品コラム(商品収納装置)50とを備えて構成されている。
【0032】
ベース30は、板金等により構成されるもので、ベース枠体31とベース板32とを備えて構成されている。ベース枠体31は、図4にも示すように、前枠部311、後枠部312及び左右一対の側枠部313,314を四周枠組みすることによって構成された矩形状を成しており、図示せぬ矩形開口を有している。
【0033】
前枠部311は、左右方向が長手方向となる長尺状部材であり、ベース30の前端部分を構成している。後枠部312は、左右方向が長手方向となる長尺状部材であり、上方に向けて突出した平板状部材でもある。左側の側枠部(以下、左側枠部ともいう)313は、前枠部311の左端部分と後枠部312の左端部分とを連結する態様で前後方向に沿って延在しており、前後方向に沿って延在する左壁部313aが取り付けられている。右側の側枠部(以下、右側枠部ともいう)314は、前枠部311の右端部分と後枠部312の右端部分とを連結する態様で前後方向に沿って延在しており、前後方向に沿って延在する右壁部314aが取り付けられている。
【0034】
ベース板32は、上記矩形開口を閉塞する態様でベース枠体31に載置されている。このベース板32には、図4に示したように、前後方向に沿って延在する複数の凹部321が左右に並設されており、互いに隣接する凹部321の相互間は平面状を成した平面部322となっている。
【0035】
仕切板40は、複数設けられており、それぞれが板金等により構成された長尺板状部材である。これら仕切板40は、下端部に形成された下端係止片41がベース板32の平面部322に形成された下方係止孔322a(図5参照)に挿入されるとともに、後端部に形成された後端係止片42がベース枠体31の後枠部312に形成された後方係止孔312a(図5参照)に挿入され、かつ下端部に形成された取付代43が取付ピン44を介してベース板32に取り付けられることにより、図4に示したように、自身の長手方向が前後方向に一致する態様でベース30に固定支持されている。
【0036】
このようにして、ベース30に複数の仕切板40が固定支持されることにより、互いに隣接する仕切板40の相互間、左壁部313aとこれに隣接する最も左方の仕切板40との間、並びに右壁部314aとこれに隣接する最も右方の仕切板40との間には、前後方向に沿って延在する商品収納通路45が画成されている。そして、ベース板32が各商品収納通路45の底面を構成し、特にベース板32の複数の凹部321がそれぞれ商品収納通路45の底部を構成している。尚、上記後枠部312において、各商品収納通路45の後面となる部分には、円形状の連結孔312bが形成されている。
【0037】
複数の商品コラム50は、それぞれ商品収納通路45に対応して設けられており、図5に示すように、駆動ユニット51(図4参照)と、伝達部材53と、スパイラル55と、商品ガイド60とを備えて構成されている。
【0038】
尚、商品ラック13に並設される複数の商品コラム50は、スパイラル55の回転方向等が異なることもあるが、基本構成は同一であるので、以下においては、図5に示した商品コラム50について説明し、その他の商品コラム50の説明については割愛する。
【0039】
駆動ユニット51は、図4に示したように、後枠部312に取り付けられるものである。図6は、図4に示した駆動ユニット51の構成を示す分解斜視図である。この図6に示すように、駆動ユニット51は、前後一対の駆動ケース511a,511bの内部に、モータ512、出力ギア513、搬出検知スイッチ514が収納されて構成されている。
【0040】
モータ512は、図示せぬ制御部から与えらえる駆動指令により駆動する駆動源である。出力ギア513は、略円環状の形態を成しており、外周縁部分に第1出力歯部513aが形成されているとともに内周縁部分に第2出力歯部513bが形成されている。この出力ギア513は、第2出力歯部513bが駆動ケース511a,511bに形成された貫通孔511cの内面から露出する態様で駆動ケース511a,511bの内部に収納されている。ここで貫通孔511cは、駆動ケース511a,511bの略中央部分において前後方向に沿って延在するものである。
【0041】
上記出力ギア513は、上記モータ512と連係ギアユニット515を介して連係されている。連係ギアユニット515は、モータ512の出力軸512aに噛合された第1連係ギア515aと、第1連係ギア515aに噛合された第2連係ギア515bとを備えている。出力ギア513は、第1出力歯部513aが第2連係ギア515bに噛合することで自身の中心軸回りに回転可能である。尚、出力ギア513は、中心軸が駆動ケース511a,511bの貫通孔511cの中心軸と一致するように該駆動ケース511a,511bに収納されている。
【0042】
搬出検知スイッチ514は、出力ギア513の右方側に位置するよう駆動ケース511a,511bに収納されている。この搬出検知スイッチ514は、図示せぬ搬出接触子が設けられている。この搬出接触子は、図示せぬ付勢手段により付勢されてその待機姿勢が決められている。搬出検知スイッチ514は、搬出接触子が何ら押圧されずに待機姿勢となる場合には、電気的に接続された上記制御部にロー信号を与える一方、搬出接触子が出力ギア513に形成された図示せぬ突部に押圧されることにより付勢手段の付勢力に抗して変位する場合には、制御部にハイ信号を与えるものである。つまり、搬出検知スイッチ514は、搬出接触子が出力ギア513の突部に当接可能な位置に配設されている。
【0043】
そのような構成を有する駆動ユニット51は、駆動ケース511a,511bに形成された複数の係合片52が、後枠部312に形成された係合孔312cにそれぞれ挿入されることにより、後枠部312に係合されて取り付けられている。この場合に、駆動ケース511a,511bの貫通孔511cと後枠部312の連結孔312bとが一致する態様で駆動ユニット51が後枠部312に取り付けられ、出力ギア513の第2出力歯部513bが連結孔312bを介して前方より露出されている。
【0044】
図7は、商品コラム50の構成要素である駆動ユニット51、伝達部材53及びスパイラル55の分解斜視図である。かかる図7を適宜用いて伝達部材53及びスパイラル55について説明する。
【0045】
伝達部材53は、伝達基部531と、第1伝達軸部532と、第2伝達軸部533とが一体的に形成されて構成されている。伝達基部531は、有底円筒状の形態を成しており、その底部分531aの中心部分には貫通孔部(図示せず)が形成されている。
【0046】
第1伝達軸部532は、伝達基部531の底部分531aの後面より後方に向けて突出する態様で形成された円筒状部分である。この第1伝達軸部532は、駆動ケース511a,511bの貫通孔511cに挿通可能な外径を有しており、その内部は貫通孔部に連通している。また第1伝達軸部532の後端部分には、互いに対向する部分に噛合片532aが形成されている。これら噛合片532aの各端部には、噛合突起532bが形成されており、出力ギア513の第2出力歯部513bの一部と噛合している。これにより伝達部材53は、出力ギア513と一体的に自身の中心軸回りに回転可能なものである。ここで、伝達部材53の中心軸は、駆動ケース511a,511bの貫通孔511cの中心軸、並びに出力ギア513の中心軸と一致している。
【0047】
第2伝達軸部533は、伝達基部531の底部分531aの前面より前方に向けて突出する態様で形成されており、その内部が貫通孔部に連通している。つまり、第2伝達軸部533の内部は、伝達基部531の貫通孔部及び第1伝達軸部532の内部とともに中空部を構成している。尚、第2伝達軸部533の中心軸は、第1伝達軸部532の中心軸と一致しており、伝達部材53の中心軸に一致している。
【0048】
スパイラル55は、例えば金属製の棒状体が前後方向に沿って螺旋状に巻回されることで形成されたものである。このようなスパイラル55は、中心軸が伝達部材53の中心軸(出力ギア513の中心軸)と一致する態様で、後端部が伝達部材53の伝達基部531に連結されており、伝達部材53と一体的に回転可能なものである。
【0049】
かかるスパイラル55は、中心軸回りに回転することにより、各ピッチ間に拘束される商品を漸次前方に向けて搬出するとともに、最前のピッチ間に拘束された商品を払い出すものである。
【0050】
ところで、上記搬出検知スイッチ514は、搬出接触子が出力ギア513に設けられた突部に当接されることで出力ギア513の回転を検知するものであるが、出力ギア513と伝達部材53は一体的に回転するものであり、更にスパイラル55が伝達部材53と一体的に回転するものであるので、結果的に搬出検知スイッチ514は、スパイラル55の回転を検知するものである。
【0051】
図8及び図9は、それぞれ図3及び図5に示した商品ガイド60を示すものであり、図8は斜視図、図9は分解斜視図である。これら図8及び図9に示すように、商品ガイド60は、ガイド本体部61と、ガイドカバー部62とを備えて構成してある。
【0052】
ガイド本体部61は、例えば板金等を屈曲加工等して形成された前後方向が長手方向となる長尺状部材である。このようなガイド本体部61は、基部611と、左側部612と、右側部613と、後面部614と、前端部615とが一体的に成形されて構成されている。
【0053】
基部611は、前後方向に沿って延在する水平延在部分である。左側部612は、基部611の左側縁部分より下方に向けて延在する部分であり、その延在端部612aが右方に屈曲されてガイド本体部61の下面の一部を構成している。右側部613は、基部611の右側縁部分より下方に向けて延在する部分であり、その延在端部613aが左方に屈曲されてガイド本体部61の下面の一部を構成している。
【0054】
これら左側部612と右側部613とは、左右一対の関係にあり、基部611からの下方への延在長さが一致している。また左側部612及び右側部613は、それぞれ後端部において、下方への延在長さが後方に向かうに連れて漸次小さくなっている。つまり、左側部612及び右側部613は、後端部の延在端部612a,613aが後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜している。
【0055】
後面部614は、基部611の後端部分より下方に向けて延在する部分であり、支持孔614aが形成されている。前端部615は、基部611の前端部分に連続して設けられた部分である。この前端部615は、前端傾斜部6151と、前面構成部6152と、前端係止部6153とを備えている。
【0056】
前端傾斜部6151は、基部611の前端部分より前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する部分である。前面構成部6152は、前端傾斜部6151の延在端部より下方に向けて延在した後に後方に向けて延在する部分である。前端係止部6153は、前面構成部6152の延在端部より下方に向けて延在する部分であり、取付用貫通孔6153aが形成されている。
【0057】
このような構成を有するガイド本体部61は、左側部612の一部と、右側部613の一部とにより下面が形成されているが、該左側部612の延在端部612aと、該右側部613の延在端部613aとの相互間に下面開口61aが形成されている。
【0058】
ガイドカバー部62は、例えばポリエチレン等の樹脂材により形成された前後方向が長手方向となる長尺シート状部材である。このガイドカバー部62は、ガイド本体部61の下面開口61aを閉塞する態様で該ガイド本体部61の下面を構成する左側部612の延在端部612aと右側部613の延在端部613aに接着剤等により接着されて接合されている。またガイドカバー部62の後端部621は、上方に屈曲されて支持用貫通孔621aが形成されており、上記後面部614を被覆して、支持用貫通孔621aを後方より貫通する支持ピン63が支持孔614aに挿入してガイド本体部61に支持されている。
【0059】
これにより、商品ガイド60は、ガイドカバー部62により下面及び後面が構成されており、後端部60aの下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜している。
【0060】
そして、商品ガイド60は、図10に示すように、前方よりスパイラル55の内部を挿通した状態で、取付用貫通孔6153aを前方より貫通するガイド取付ピン65が前枠部311に形成された取付孔311aに挿入して取り付けられることにより、スパイラル55の内部に設置される。
【0061】
そのような商品ガイド60は、図11に示すように、前端部615が商品収納通路45の底面を構成するベース30の前端部分(前枠部311)に取り付けられる一方、後端部60aがスパイラル55の一部と摺接可能となる態様で該スパイラル55の一部に載置された状態で設置され、基部611の上面にスパイラル55の各ピッチ間に拘束される商品を載置させることができる。
【0062】
以上のような構成を有する商品コラム50においては、利用者により商品選択部24を通じて当該商品コラム50の商品が選択され、かつ所望の金銭の投入、あるいは所定の金銭処理(減算処理)がなされたことを条件として、制御部によりモータ512が駆動し、出力ギア513及び伝達部材53の回転によりスパイラル55が回転し、これによりスパイラル55の各ピッチ間に拘束された商品は前方に向けて搬出され、最前のピッチ間に拘束された商品は前方に向けて払い出される。この商品コラム50より払い出された商品は、搬送トレイ17bに受容され、搬送トレイ17bにより商品取出領域18まで搬送されて、商品取出口22を通じて取り出し可能な状態となる。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施の形態である商品コラム50によれば、スパイラル55の内部を挿通する態様で前後方向に沿って延在し、かつ上面に商品を載置させる商品ガイド60は、前端部615が前枠部311に取り付けられる一方、後端部60aがスパイラル55の一部と摺接可能となる態様で該スパイラル55の一部に載置された状態で設置されているので、前端部615を前枠部311から通り外すことにより、商品ガイド60を離脱させることができる。しかも、スパイラル55が装着された状態で、該スパイラル55の内部を挿通させて商品ガイド60を設置することができ、これにより、スパイラル55を取り外すことなく商品ガイド60を着脱させることができる。よって、商品ガイド60だけを着脱させることにより利便性の向上を図ることができる。
【0064】
また上記商品コラム50によれば、商品ガイド60の下面が樹脂材により形成されたガイドカバー部62により構成されているので、スパイラル55と摺接する際の摩擦力を低減することにより摺動抵抗を低減化させることができ、スパイラル55による払い出しを良好なものとすることができる。特に、商品ガイド60の後端部60aの下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜しているので、モータ512に近接するスパイラル55の後方部分との摺動抵抗の低減化をより図ることができ、モータ512の負荷をより低減させることができる。
【0065】
更に上記商品コラム50によれば、上面に載置される商品の自重によりスパイラル55の一部を上方より押さえつけることができ、回転時のスパイラル55のがたつきを抑制し、前方への搬出姿勢を安定させることができる。
【0066】
図12は、本発明の実施の形態である商品コラム50の変形例を示す縦断面図である。尚、上述した図1図11に示した本発明の実施の形態である商品コラム50と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。ここで例示する商品コラム50′は、駆動ユニット51と、伝達部材53と、スパイラル55と、商品ガイド70とを備えて構成されている。
【0067】
商品ガイド70は、図12及び図13に示すように、ガイド上面部71とガイド下面部72とを備えて構成されている。ガイド上面部71は、例えばポリエチレン等の樹脂材により形成された前後方向が長手方向となる長尺シート状部材である。このようなガイド上面部71は、上面基部711と上面前端部712とが一体的に成形されて構成されている。
【0068】
上面基部711は、前後方向に沿って延在する水平延在部分である。上面前端部712は、上面基部711の前端部分に連続して設けられた部分である。この上面前端部712は、板金部材74に沿って形成されており、前端傾斜部7121と、前面構成部7122と、前端係止部7123とを備えている。
【0069】
前端傾斜部7121は、上面基部711の前端部分より前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する部分である。前面構成部7122は、前端傾斜部7121の延在端部より下方に向けて延在した後に後方に向けて延在する部分である。前端係止部7123は、前面構成部7122の延在端部より下方に向けて延在する部分であり、取付用貫通孔7123aが形成されている。
【0070】
ガイド下面部72は、例えばポリエチレン等の樹脂材により形成された前後方向が長手方向となる長尺シート状部材である。このガイド下面部72は、例えば発泡ポリエチレン等の樹脂材により構成された略直方状のクッション材73を介して、ガイド上面部71の上面基部711の下面に接合されており、商品ガイド70の下面を構成している。かかるガイド下面部72の後端部72aは、後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜している。
【0071】
これにより、商品ガイド70は、上面及び下面が樹脂材により構成されており、後端部の下面をなすガイド下面部72の後端部72aが後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜している。
【0072】
そして、商品ガイド70は、前方よりスパイラル55の内部を挿通した状態で、取付用貫通孔7123aを前方より貫通するガイド取付ピン75が前枠部311に形成された取付孔311aに挿入して取り付けられることにより、スパイラル55の内部に設置される。
【0073】
そのような商品ガイド70は、図12に示したように、上面前端部712が商品収納通路45の底面を構成するベース30の前端部分(前枠部311)に取り付けられる一方、後端部がスパイラル55の一部と摺接可能となる態様で該スパイラル55の一部に載置された状態で設置され、上面基部711の上面にスパイラル55の各ピッチ間に拘束される商品を載置させることができる。
【0074】
以上のような構成を有する商品コラム50′においては、利用者により商品選択部24を通じて当該商品コラム50′の商品が選択され、かつ所望の金銭の投入、あるいは所定の金銭処理(減算処理)がなされたことを条件として、制御部によりモータ512が駆動し、出力ギア513及び伝達部材53の回転によりスパイラル55が回転し、これによりスパイラル55の各ピッチ間に拘束された商品は前方に向けて搬出され、最前のピッチ間に拘束された商品は前方に向けて払い出される。この商品コラム50′より払い出された商品は、搬送トレイ17bに受容され、搬送トレイ17bにより商品取出領域18まで搬送されて、商品取出口22を通じて取り出し可能な状態となる。
【0075】
以上説明したように、上記商品コラム50′によれば、スパイラル55の内部を挿通する態様で前後方向に沿って延在し、かつ上面に商品を載置させる商品ガイド70は、上面前端部712が前枠部311に取り付けられる一方、後端部がスパイラル55の一部と摺接可能となる態様で該スパイラル55の一部に載置された状態で設置されているので、上面前端部712を前枠部311から通り外すことにより、商品ガイド70を離脱させることができる。しかも、スパイラル55が装着された状態で、該スパイラル55の内部を挿通した状態で商品ガイド70を設置することができ、これにより、スパイラル55を取り外すことなく商品ガイド70を着脱させることができる。よって、商品ガイド70だけを着脱させることにより利便性の向上を図ることができる。
【0076】
また上記商品コラム50′によれば、商品ガイド70の上面及び下面が樹脂材により形成されているので、スパイラル55と摺接する際の摩擦力を低減することにより摺動抵抗を低減化させることができ、スパイラル55による払い出しを良好なものとすることができる。特に、商品ガイド70の後端部の下面(ガイド下面部72の後端部72a)が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜しているので、モータ512に近接するスパイラル55の後方部分との摺動抵抗の低減化をより図ることができ、モータ512の負荷をより低減させることができる。
【0077】
更に上記商品コラム50′によれば、上面に載置される商品の自重によりスパイラル55の一部を上方より押さえつけることができ、回転時のスパイラル55のがたつきを抑制し、前方への搬出姿勢を安定させることができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0079】
上述した実施の形態では、商品ガイド60,70の後端部60a等の下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜していたが、本発明においては、商品ガイドの後端部の下面が後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜していなくてもよい。
【0080】
上述した実施の形態では、商品ガイド60の後端部60aの下面が樹脂材により構成されていたが、本発明においては、少なくとも後端部の下面が、樹脂材だけでなく、例えば潤滑塗装鋼板により構成されていてもよいし、潤滑コーティングされたものであってもよく、低摩擦材料により構成されていてもよい。
【0081】
上述した実施の形態では、商品ガイド60,70の後端部60a等を含む下面が樹脂材等の低摩擦材料により構成されていたが、本発明においては、スパイラルが、潤滑塗装鋼板により構成されていてもよいし、表面が潤滑コーティングされたものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…自動販売機、10…本体キャビネット、11…商品収容庫、13…商品ラック、20…前面扉、30…ベース、31…ベース枠体、311…前枠部、312…後枠部、313,314…側枠部、32…ベース板、40…仕切板、45…商品収納通路、50…商品コラム(商品収納装置)、51…駆動ユニット、53…伝達部材、55…スパイラル、60…商品ガイド、60a…後端部、61…ガイド本体部、611…基部、612…左側部、613…右側部、614…後面部、615…前端部、62…ガイドカバー部。
図1
図2
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