(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】管理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20250218BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20250218BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20250218BHJP
【FI】
G06Q10/20
A61H1/02 R
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2021121382
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】河田 則彦
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-112337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0128769(US,A1)
【文献】特開2019-105457(JP,A)
【文献】特開平06-156965(JP,A)
【文献】特開2012-025495(JP,A)
【文献】特開2018-156201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A61H 1/02
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が歩行訓練を行うための歩行訓練装置を管理する管理システムであって、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出する状態検出部と、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するタイミング判定部と
を含
み、
前記状態検出部は、前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重であり、
前記既定の荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加え得る荷重以上である、
管理システム。
【請求項2】
利用者が歩行訓練を行うための歩行訓練装置を管理する管理システムであって、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出する状態検出部と、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するタイミング判定部と
を含み、
前記状態検出部は、前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び前記利用者が転倒時に前記歩行訓練装置に加えた荷重に基づく積算荷重であり、
前記歩行訓練装置に加えた荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加えた荷重である、
管理システム。
【請求項3】
前記閾値は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具の耐久性に基づく値である、請求項1
又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
利用者が歩行訓練を行うための歩行訓練装置を管理する管理システムであって、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出する状態検出部と、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するタイミング判定部と
を含み、
前記状態検出部は、前記歩行訓練装置を使用中の前記利用者の撮影画像を用いて、前記利用者の姿勢の変化に基づいて前記負荷状態を検出する、
管理システム。
【請求項5】
前記状態検出部は、前記利用者の荷重を計測する荷重計測装置が出力した前記利用者の荷重の変化に基づいて前記負荷状態を検出する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記歩行訓練装置は、前記利用者に装着された接続器具を介して前記利用者を上方から支持する支持装置を備え、
前記状態検出部は、前記利用者が前記接続器具を介して前記支持装置に加えた荷重に基づいて前記負荷状態を検出する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
利用者が歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出し、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出し、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定
し、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重であり、
前記既定の荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加え得る荷重以上である、
方法。
【請求項8】
コンピュータが、
利用者が歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出し、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出し、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定し、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び前記利用者が転倒時に前記歩行訓練装置に加えた荷重に基づく積算荷重であり、
前記歩行訓練装置に加えた荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加えた荷重である、
方法。
【請求項9】
コンピュータが、
歩行訓練装置を使用中の
利用者の撮影画像を用いて、前記利用者の姿勢の変化に基づいて
、前記利用者が前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出
し、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出し、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定し、
方法。
【請求項10】
コンピュータに対し、
利用者が歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出するステップと、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出するステップと、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出するステップと、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するステップとを実行させ
、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重であり、
前記既定の荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加え得る荷重以上である、
プログラム。
【請求項11】
コンピュータに対し、
利用者が歩行訓練装置の使用中に前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出するステップと、
前記利用者が前記歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出するステップと、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出するステップと、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するステップとを実行させ、
前記評価値は、前記利用者の転倒回数及び前記利用者が転倒時に前記歩行訓練装置に加えた荷重に基づく積算荷重であり、
前記歩行訓練装置に加えた荷重は、前記利用者と前記歩行訓練装置とを接続する接続器具に前記利用者が加えた荷重である、プログラム。
【請求項12】
コンピュータに対し、
歩行訓練装置を使用中の利用者の撮影画像を用いて、前記利用者の姿勢の変化に基づいて、前記利用者が前記歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出するステップと、
前記利用者による前記歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出するステップと、
前記評価値が、前記歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、前記歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するステップとを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行訓練装置の管理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下肢麻痺等のリハビリテーションを目的として患者の歩行訓練を行うための種々の歩行訓練装置が提案されている。例えば、特許文献1は、歩行訓練装置が装着された利用者の歩容動作中の足裏に掛かる荷重中心位置に基づいて、利用者の脚部の振出し開始を判定する歩行訓練装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、利用者が歩行訓練装置を用いて歩行訓練を行う場合、利用者は、歩行訓練装置と利用者とを繋ぐベルトや装具等の接続器具が装着され、接続器具によって上方から支持される。このような接続器具には、利用者が歩行訓練を行う際に負荷が加わり、接続器具が破損や劣化する可能性がある。したがって、利用者が歩行訓練装置に与えた負荷に基づいて、歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングを把握することが必要とされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する歩行訓練装置は、そのような課題を解決することを目的として創作されたものではないため、利用者が歩行訓練装置に与えた負荷に基づいて歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングを判定できないという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、利用者が歩行訓練装置に与えた負荷に基づいて歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングを判定可能な管理システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る利用者が歩行訓練を行うための歩行訓練装置を管理する管理システムは、
利用者が歩行訓練装置の使用中に歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出する状態検出部と、
利用者による歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
評価値が、歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するタイミング判定部とを含む。
【0008】
状態検出部は、利用者が歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
評価値は、利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重とし得る。
【0009】
既定の荷重は、利用者と歩行訓練装置とを接続する接続器具に利用者が加え得る荷重以上とし得る。
【0010】
状態検出部は、利用者が歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
評価値は、利用者の転倒回数及び利用者が転倒時に歩行訓練装置に加えた荷重に基づく積算荷重とし得る。
【0011】
歩行訓練装置に加えた荷重は、利用者と歩行訓練装置とを接続する接続器具に利用者が加えた荷重とし得る。
【0012】
状態検出部は、利用者が歩行訓練装置の使用中に転倒したことを検出し、
評価値は、利用者の転倒回数とし得る。
【0013】
閾値は、利用者と歩行訓練装置とを接続する接続器具の耐久性に基づく値とし得る。
【0014】
状態検出部は、歩行訓練装置を使用中の利用者の撮影画像を用いて、利用者の姿勢の変化に基づいて負荷状態を検出することができる。
【0015】
状態検出部は、利用者の荷重を計測する荷重計測装置が出力した利用者の荷重の変化に基づいて負荷状態を検出することができる。
【0016】
歩行訓練装置は、利用者に装着された接続器具を介して利用者を上方から支持する支持装置を備え、
状態検出部は、利用者が接続器具を介して支持装置に加えた荷重に基づいて負荷状態を検出することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る方法は、コンピュータが、
利用者が歩行訓練装置の使用中に歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出し、
利用者による歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出し、
評価値が、歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定する。
【0018】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに対し、
利用者が歩行訓練装置の使用中に歩行訓練装置に負荷を与える負荷状態を検出するステップと、
利用者による歩行訓練装置への負荷を評価するための評価値を算出するステップと、
評価値が、歩行訓練装置に関連付けられた閾値以上である場合、歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、利用者が歩行訓練装置に与えた負荷に基づいて歩行訓練装置のメンテナンスのタイミングを判定可能な管理システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一態様に係る管理システムを示す図である。
【
図2】本発明の一態様に係る歩行訓練装置を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一態様に係る歩行補助装置の一例を示す側面図である。
【
図4】本発明の一態様に係る歩行補助装置の底部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一態様に係る歩行訓練装置の構成を示す図である。
【
図6】本発明の一態様に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図7】本発明の一態様に係る管理装置が保持する管理情報の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一態様に係る歩行訓練装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一態様に係る管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の一態様に係る管理システムについて説明する。
図1は、本発明の一態様に係る管理システム1を示す図である。管理システム1は、歩行訓練装置10を管理するためのシステムである。管理システム1は、歩行訓練装置10と、管理装置20と、通知先装置30とを含む。歩行訓練装置10、管理装置20及び通知先装置30は、ネットワーク40を介して相互にデータ通信を行うことができる。
【0022】
歩行訓練装置10は、利用者が歩行訓練を行うための装置である。歩行訓練装置10は、病院やリハビリ施設等の場所に設置され得る。歩行訓練装置10は、歩行訓練装置10に関するログ情報を管理装置20に提供する。歩行訓練装置10の詳細については、
図2~
図5を参照して説明する。
【0023】
管理装置20は、歩行訓練装置10を管理するための装置である。管理装置20は、歩行訓練装置10のメーカ等に設置され得る。管理装置20は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングを判定する。管理装置20は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した場合、その旨の通知を通知先装置30に送信する。管理装置20の詳細については、
図6を参照して説明する。
【0024】
通知先装置30は、管理装置20から歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した旨の通知を受信する装置である。通知先装置30は、歩行訓練装置10のメンテナンスを行う会社等に設置され得る。
【0025】
図2は、本発明の一態様に係る歩行訓練装置10を示す斜視図である。歩行訓練装置10は、本体11と、制御装置12(図示せず)と、トレッドミル13と、懸垂免荷装置14と、カメラユニット15と、荷重計測装置161(図示せず)を備える。
【0026】
本体11は、歩行訓練装置10の支持構造体である。制御装置12は、歩行訓練装置10の全体制御を行う装置である。トレッドミル13は、利用者が歩行する装置であり、利用者の歩調に合わせて周動する周動部材を備える。
【0027】
懸垂免荷装置14は、接続器具を介して、利用者を上方から支持するための支持装置である。接続器具には、装具及びベルトが含まれる。装具は、利用者の腰等の体部に装着される。ベルトは、一端が装具に接続され、他端が懸垂免荷装置14に接続される。懸垂免荷装置14は、このように接続されたベルト及び装具を介して、利用者を上方から支持する。
【0028】
カメラユニット15は、利用者を撮影するためのイメージセンサを含む。カメラユニット15は、歩行訓練装置10を使用中の利用者を撮影可能な位置に設置される。
【0029】
図3は、本発明の一態様に係る歩行補助装置16の一例を示す側面図である。歩行補助装置16は、利用者の脚部に装着され、利用者の歩行を補助するための装置である。歩行補助装置16は、底部160を備える。底部160の上面には、利用者の足が乗せられる。
【0030】
図4は、歩行補助装置16の底部160を示す斜視図である。底部160には、荷重計測装置161が設けられる。荷重計測装置161は、歩行補助装置16を装着した利用者が、歩行訓練装置10の使用中に歩行訓練装置10に加えた荷重を計測するための装置である。荷重計測装置161の具体例として、例えば、底部160に対して垂直方向に加わる荷重を検出する荷重センサ等が挙げられる。
【0031】
なお、荷重計測装置161の数及び位置は、
図4に示す例に限られず、任意の数の荷重計測装置161を底部160の任意の位置に設置することができる。また、トレッドミル13の直下に荷重計測装置161を設置して、歩行訓練装置10の使用中に利用者が歩行訓練装置10に加えた荷重を計測してもよい。
【0032】
図5は、歩行訓練装置10の構成を示す図である。歩行訓練装置10は、制御装置12と、荷重計測装置161と、動作情報生成装置17とを含む。
【0033】
動作情報生成装置17は、利用者の動作を示す動作情報を取得する装置である。動作情報生成装置17の具体例としては、例えば、イメージセンサ等が挙げられる。イメージセンサは、歩行訓練装置10を使用中の利用者を撮影して撮影画像を生成し、当該撮影画像を出力する。撮影画像は、動作情報に相当する。
【0034】
制御装置12は、歩行訓練装置10の全体制御を行う装置である。制御装置12は、プロセッサ120と、通信インタフェース(I/F)130と、記憶装置140とを備える。
【0035】
通信インタフェース130は、制御装置12と他の装置との間でデータ通信を行う装置である。通信インタフェース130は、荷重計測装置161及び動作情報生成装置17とデータ通信を行うことができる。また、通信インタフェース130は、ネットワーク40を介して管理装置20及び通知先装置30とデータ通信を行うことができる。記憶装置140は、制御装置12が処理するプログラム等の種々の情報が保存される装置である。
【0036】
プロセッサ120は、記憶装置140からプログラムを読み出して実行する装置である。プロセッサ120の具体例としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等が挙げられる。プロセッサ120が実行するプログラムは、状態検出部121と、評価値算出部122と、ログ送信部123とを含む。なお、これらのプログラムを、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路が実行してもよい。制御装置12、プロセッサ120及び集積回路は、コンピュータに相当する。
【0037】
状態検出部121は、動作情報生成装置17が生成した動作情報を用いて、歩行訓練装置10を使用中の利用者が歩行訓練装置10に負荷を与え得る負荷状態を検出するプログラムである。この負荷状態には、例えば、利用者の転倒が含まれる。したがって、状態検出部121は、歩行訓練装置10の使用中の利用者が転倒したことを検出し得る。状態検出部121、状態検出部121を実装したプロセッサ120及び制御装置12が、状態検出部に相当する。また、プロセッサ120及び制御装置12は、コンピュータに相当する。
【0038】
状態検出部121は、歩行訓練装置10を使用中の利用者の撮影画像を用いて、利用者の姿勢の変化に基づいて負荷状態を検出することができる。例えば、状態検出部121は、利用者の撮影画像を解析し、歩行中の利用者の姿勢が転倒時の利用者の姿勢に変化した場合、利用者が転倒したと判定することができる。
【0039】
また、状態検出部121は、荷重計測装置161が出力した利用者の荷重の変化に基づいて負荷状態を検出することができる。例えば、状態検出部121は、荷重計測装置161が出力した利用者の荷重を解析し、利用者の荷重が急激に減少した場合に、利用者が転倒したと判定することができる。より詳細には、単位時間当たりの利用者の荷重の減少幅が既定の閾値を超えた場合、状態検出部121は、利用者が転倒したと判定することができる。既定の閾値は、利用者が転倒した際に想定される荷重の減少幅に基づいて定めることができる。
【0040】
さらに、状態検出部は、利用者が懸垂免荷装置14に加えた荷重に基づいて負荷状態を検出することができる。例えば、状態検出部121は、懸垂免荷装置14が計測した利用者の荷重を解析し、利用者の荷重が急激に増加した場合に、利用者が転倒したと判定することができる。より詳細には、単位時間当たりの利用者の荷重の増加が既定の閾値を超えた場合、状態検出部121は、利用者が転倒したと判定することができる。既定の閾値は、利用者が転倒した際に想定される荷重の増加に基づいて定めることができる。
【0041】
評価値算出部122は、利用者による歩行訓練装置10への負荷を評価するための評価値を算出するプログラムである。本実施形態では、利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重を、評価値として採用する。評価値算出部122、評価値算出部122を実装したプロセッサ120、及び当該プロセッサ120を備えた制御装置12が評価値算出部に相当する。
【0042】
既定の荷重は、利用者と歩行訓練装置10とを接続する接続器具(ベルトや装具等)に利用者が加え得る荷重以上の値を採用することが好ましい。具体的には、既定の荷重は、歩行補助装置16を装着した状態の利用者の体重に基づいて定めることができる。転倒時には、歩行補助装置16を装着した状態の利用者の体重以上の荷重が接続器具にかかるため、歩行補助装置16を装着した状態の利用者の体重の数倍の荷重を採用することが好ましい。例えば、歩行補助装置16を装着した状態の利用者の体重が105kgである場合、その4倍強の約4200Nを既定の荷重として採用することができる。評価値算出部122は、状態検出部121が利用者の転倒を検出すると、既定の荷重を積算し、その積算荷重を評価値として算出する。
【0043】
ログ送信部123は、歩行訓練装置10に関するログ情報を管理装置20に送信するプログラムである。ログ情報には、歩行訓練装置10の識別情報と、評価値算出部122が算出した評価値が含まれる。
【0044】
図6は、管理装置20の構成を示す図である。管理装置20は、プロセッサ21と、通信インタフェース22と、記憶装置23とを備える。
【0045】
通信インタフェース22は、管理装置20と他の装置との間でデータ通信を行う装置である。通信インタフェース22は、ネットワーク40を介して、歩行訓練装置10及び通知先装置30とデータ通信を行うことができる。
【0046】
記憶装置23は、プロセッサ21が処理するプログラムやデータテーブル等の種々の情報が保存される装置である。
図7は、記憶装置23に保存されるデータテーブルの一例を示す図である。
図7に示すデータテーブルは、管理システム1に含まれる歩行訓練装置10に関する情報が登録される。
【0047】
具体的には、データテーブルは、歩行訓練装置10の識別情報と、歩行訓練装置10に割り当てられた閾値と、通知先情報とが登録される。閾値は、接続器具の耐久性に基づく値である。閾値は、接続器具の耐久試験によって得られた破損や劣化、ほつれ等の程度に基づいて定めることができる。例えば、閾値は、上記既定の荷重の数十倍~数百倍等とすることができる。閾値は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングを判定する際に使用される。
【0048】
通知先情報は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した旨の通知の宛先を示す情報である。例えば、通知先情報として、歩行訓練装置10のメンテナンスを行う事業者の連絡先等を採用することができる。
【0049】
プロセッサ21は、記憶装置23からプログラムを読み出して実行する装置である。プロセッサ21の具体例としては、CPUやMPU等の種々のプロセッサが含まれる。プロセッサ21が実行するプログラムには、タイミング判定部210と、通知部211とを含む。なお、これらのプログラムを、FPGAやASIC等の集積回路が実行してもよい。管理装置20、プロセッサ21及び集積回路は、コンピュータに相当する。
【0050】
タイミング判定部210は、利用者による歩行訓練装置10への負荷を評価するための評価値が、当該歩行訓練装置10に関連付けられた閾値以上である場合、当該歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来したと判定するプログラムである。本実施形態では、タイミング判定部210は、利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重と、歩行訓練装置10に関連付けられた閾値とを比較し、積算荷重が閾値以上である場合、当該歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来したと判定する。タイミング判定部210、タイミング判定部210を実装したプロセッサ21、及び当該プロセッサ21を備えた管理装置20が、タイミング判定部に相当する。
【0051】
通知部211は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した旨を通知先装置30に通知するプログラムである。
【0052】
図8は、歩行訓練装置10が実行する処理を示すフローチャートである。歩行訓練装置10は、
図8の処理を繰り返し実行することができる。
【0053】
ステップS101では、動作情報生成装置17が、歩行訓練装置10を使用中の利用者の動作情報を生成する。ステップS102では、制御装置12の状態検出部121が、動作情報生成装置17の生成した動作情報を用いて、負荷状態を検出したか否か判定する。負荷状態を検出していない場合(NO)、
図8の処理が終了する。一方、負荷状態を検出
した場合(YES)、ステップS103に処理が分岐する。ステップS103では、制御装置12の評価値算出部122が評価値を算出し、
図8の処理が終了する。
【0054】
図9は、管理装置20が実行する処理を示すフローチャートである。管理装置20は、歩行訓練装置10からログ情報を受信すると、
図9に処理を実行することができる。
【0055】
ステップS201では、管理装置20のタイミング判定部210が、受信したログ情報に含まれる歩行訓練装置10の識別情報に関連付けられた閾値を、記憶装置23から取得する。ステップS202では、タイミング判定部210は、受信したログ情報に含まれる評価値が、取得した閾値以上であるか否か判定する。評価値が閾値未満である場合(NO)、
図9の処理は終了する。一方、評価値が閾値以上である場合(YES)、ステップS203で通知部211が、ログ情報を送信した歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した旨を通知先装置30に通知し、
図9の処理が終了する。
【0056】
上述した実施形態では、状態検出部121が、利用者が歩行訓練装置10の使用中に転倒したことを検出する。次いで、評価値算出部122が、利用者による歩行訓練装置10への負荷を評価するための評価値を算出する。そして、評価値が、歩行訓練装置10に関連付けられた閾値以上である場合、タイミング判定部210が、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来したと判定する。これにより、タイミング判定部210は、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングを判定することができる。
【0057】
また、上述した実施形態では、状態検出部121は、利用者が歩行訓練装置10の使用中に転倒したことを検出する。評価値は、利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重である。これにより、タイミング判定部210は、利用者の転倒回数及び既定の荷重に基づく積算荷重に基づいて、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来したと判定できる。
【0058】
さらに、既定の荷重は、利用者と歩行訓練装置10とを接続する接続器具に利用者が加え得る荷重以上である。これにより、タイミング判定部210は、利用者が接続器具に加え得る荷重に基づいて、歩行訓練装置10の接続器具のメンテナンスのタイミングが到来したと判定できる。
【0059】
さらに、閾値は、接続器具の耐久性に基づく値である。これにより、タイミング判定部210は、接続器具の耐久性に基づいて、接続器具のメンテナンスのタイミングが到来したと判定できる。
【0060】
さらに、状態検出部121は、歩行訓練装置10を使用中の利用者の撮影画像を用いて、利用者の姿勢の変化に基づいて利用者の転倒を検出することができる。これにより、状態検出部121は、利用者の姿勢の変化に基づいて利用者の転倒を検出でき、利用者が転倒したことを正確に検出することができる。
【0061】
さらに、状態検出部121は、利用者の荷重を計測する荷重計測装置161が出力した利用者の荷重の変化に基づいて利用者の転倒を検出することができる。この検出手段と、歩行訓練装置10を使用中の利用者の撮影画像に基づく利用者の転倒の検出手段の双方を用いることにより、利用者の転倒の検出精度を高めることができる。
【0062】
さらに、状態検出部は、利用者に装着された接続器具を介して利用者を支持する懸垂免荷装置14に加えた荷重に基づいて利用者の転倒を検出することができる。これにより、利用者の転倒の検出精度を高めることができる。
【0063】
他の実施形態では、評価値として、利用者の転倒回数及び利用者が転倒時に歩行訓練装置10に加えた荷重に基づく積算荷重を採用することができる。利用者が転倒時に歩行訓練装置10に加えた荷重は、懸垂免荷装置14が計測することができる。また、利用者が転倒時に歩行訓練装置10に加えた荷重は、利用者の既知の体重から、荷重計測装置161が計測した荷重を減算することによって算出できる。利用者が転倒時に歩行訓練装置10に加えた荷重は、利用者と歩行訓練装置10とを接続する接続器具に利用者が加えた荷重とすることが好ましい。
【0064】
これにより、タイミング判定部210は、実際に利用者が転倒時に歩行訓練装置10に加えた荷重に基づいて、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングを判定することができる。
【0065】
また、他の実施形態では、評価値として、利用者の転倒回数を採用することができる。この場合、歩行訓練装置10は、歩行訓練装置10の識別情報及び利用者の転倒回数を、ログ情報として管理装置20に送信する。歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングの判定に用いられる閾値は、接続器具の耐久性に基づく利用者の転倒回数を採用することができる。接続器具の耐久性に基づく利用者の転倒回数は、接続器具の耐久試験によって得られる。
【0066】
さらに、他の実施形態では、歩行訓練装置10が管理装置20の機能を実行してもよい。具体的には、歩行訓練装置10が、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングを判定し、歩行訓練装置10のメンテナンスのタイミングが到来した場合、その旨の通知を通知先装置30に送信することができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 管理システム
10 歩行訓練装置
11 本体
12 制御装置
13 トレッドミル
14 懸垂免荷装置
15 カメラユニット
16 歩行補助装置
17 動作情報生成装置
20 管理装置
21 プロセッサ
22 通信インタフェース
23 記憶装置
30 通知先装置
40 ネットワーク
120 プロセッサ
121 状態検出部
122 評価値算出部
123 ログ送信部
130 通信インタフェース
140 記憶装置
160 底部
161 荷重計測装置
210 タイミング判定部
211 通知部