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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20250218BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250218BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q50/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021132846
(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公開番号】P2023027619
(43)【公開日】2023-03-02
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義
(72)【発明者】
【氏名】山田 健一
(72)【発明者】
【氏名】前田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】岡田 強志
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-271727(JP,A)
【文献】特表2017-524195(JP,A)
【文献】特開2021-039432(JP,A)
【文献】特開2004-083233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0410442(US,A1)
【文献】特開2019-096201(JP,A)
【文献】特開2020-113086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、
複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、
前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数のユーザ端末に対して、前記第一の地点に前記車両が派遣されることを通知することと、
を実行する制御部を有
前記制御部は、前記複数のユーザ端末から、前記物品の預け入れを希望するエリアを示す前記位置情報を取得し、
前記制御部は、前記複数のユーザを地理的位置に基づいてグルーピングし、得られたグループごとに、グループを代表する地点として前記第一の地点を決定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数のユーザ端末から、前記物品を預け入れる希望日時に関する情報を取得し、地理的位置と、希望日時の双方が所定の範囲内にある複数のユーザをグルーピングする、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、同一のグループに属するユーザ端末に対して、前記第一の地点、および、前記車両の前記第一の地点への到着日時を通知する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両を前記第一の地点に派遣する指令を生成する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の区画を有する格納装置を搭載した複数の前記車両の中から、前記第一の地点に派遣する車両を決定する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のユーザ端末から、預け入れる物品のサイズに関する情報を含
む物品データをさらに取得する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一の地点において前記複数のユーザから預け入れられる複数の物品を、前記複数の区画に全て格納可能な前記格納装置を搭載した車両を前記第一の地点に派遣すると決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記格納装置が有する複数の区画のそれぞれを施解錠するための認証情報を前記複数のユーザ端末のそれぞれに送信する、
請求項からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記車両は、複数の所定の地点において、預け入れられた物品を展示するショーケース車両である、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記預け入れられた物品の引き取りを希望する第二のユーザがいる場合に、前記物品の譲受に関する所定の手続きを行う、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数のユーザのそれぞれが所有している物品を推定し、
前記推定の結果に基づいて、前記車両による前記物品の展示を提案するデータを対応するユーザ端末に送信する、
請求項または10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両によって展示されている一以上の物品のリストを生成する、
請求項から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記車両によって展示されている一以上の物品のリストを生成し、前記車両の運行スケジュールとともに公開する、
請求項から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記運行スケジュールは、前記預け入れられた物品を展示する複数の地点と、各地点における停車期間と、を含む、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記リストは、前記複数のユーザのそれぞれから提供された各物品の画像を含む、
請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、
複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、
前記車両を前記第一の地点に派遣する指令を生成することと、
を実行する制御部を有
前記制御部は、前記複数のユーザ端末から、前記物品の預け入れを希望するエリアを示す前記位置情報を取得し、
前記制御部は、前記複数のユーザを地理的位置に基づいてグルーピングし、得られたグループごとに、グループを代表する地点として前記第一の地点を決定する、情報処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、複数の区画を有する格納装置を搭載した複数の前記車両の中から、前記第一の地点に派遣する車両を決定する、
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記複数のユーザ端末から、預け入れる物品のサイズに関する情報を含む物品データをさらに取得する、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記第一の地点において前記複数のユーザから預け入れられる複数の物品を、前記複数の区画に全て格納可能な前記格納装置を搭載した車両を前記第一の地点に派遣すると決定する、
請求項18に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両による物品の預かりサービスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途向けに設計された自動運転車を派遣することでサービスを提供する試みがなされている。例えば、特許文献1には、コインロッカーを搭載した自動運転車を運行することで、様々な場所で荷物の預け入れおよび引き取りが可能なシステムに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-096201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両による物品の預かりサービスの利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様は、車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数のユーザ端末に対して、前記第一の地点に前記車両が派遣されることを通知することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
また、本開示の第二の態様は、車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、前記車両を前記第一の地点に派遣する指令を生成することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0007】
また、他の態様として、上記の情報処理装置が実行する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両による物品の預かりサービスの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る車両システムの全体構成図。
図2】第一の実施形態に係る格納装置の外観を示した図。
図3】サーバ装置のシステム構成を示した図。
図4A】記憶部に記憶される車両データの例。
図4B】記憶部に記憶される運行計画データの例。
図4C】記憶部に記憶される格納装置データの例。
図4D】記憶部に記憶される物品データの例。
図5】ユーザ端末のシステム構成を示した図。
図6】車両および格納装置のシステム構成を示した図。
図7A】システムに含まれる構成要素が実行する処理のフロー図。
図7B】システムに含まれる構成要素が実行する処理のフロー図。
図8A】出品リクエストを生成するユーザ端末によって提供される画面の例。
図8B】ユーザ端末から送信される出品リクエストの例。
図9】出品リクエストをグループ化する処理の例。
図10】運行計画を受信した車両が行う処理のフローチャート。
図11】ユーザから物品を預かる際に車両が行う処理のフロー図。
図12】サーバ装置が生成する物品リストの例。
図13】ユーザに物品を引き渡す際に車両が行う処理のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態に係る情報処理装置は、物品の保管を行う格納装置を搭載して走行する車両を管理する装置である。格納装置は、独立して施錠が可能な複数の区画を有し、各区画に物品を格納可能なロッカー型の装置である。車両に搭載された格納装置は、移動ロッカーとも呼ばれる。格納装置を搭載した車両を運行することで、ユーザが希望する地点にロッカーを移動させ、物品の出し入れを行わせることができる。
【0011】
車両は、移動するコインロッカーとして機能させることもできるし、物品の引き渡し場所として機能させることもできる。例えば、第一のユーザが、車両に物品を預け入れ、当該物品を必要とする第二のユーザが当該物品を引き取るといったこともできる。また、預け入れられた物品を不特定多数のユーザに見てもらい、希望するユーザに引き渡すこともできる。すなわち、当該車両は、不用品のリサイクルや、物品の販売を行うレンタルショーケースとして機能させることもできる。
【0012】
実施形態に係る格納装置は、車両に搭載されているため、所定の拠点を巡回させることができる。これにより、より人目につきやすい場所にショーケースを配置することができる。さらに、物品の預け入れを希望するユーザがいる場合、当該ユーザの自宅等に車両を派遣することで、当該ユーザの利便性を高めることができる。
【0013】
一方、車両をレンタルショーケースとして機能させる場合、可能な限り、当該車両を人通りの多い場所に留め置くことが好ましい。車両が走行していると、ショーケースとしての機能を発揮できないためである。
すなわち、ユーザの利便性を高めると、人目に付きにくくなるというトレードオフの問題が発生する。
本開示に係る情報処理装置は、この問題を解決する。
【0014】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数のユーザ端末に対して、前記第一の地点に前記車両が派遣されることを通知することと、を実行する制御部を有する。
【0015】
本開示に係る車両は、複数のユーザから物品を預かる機能を有する車両である。当該車両は、自律走行車両などであってもよい。なお、物品を預け入れるユーザと、当該物品を取り出すユーザは別の人物であってもよい。例えば、第二のユーザに物品を引き渡すために、第一のユーザが当該物品を格納装置に格納することや、販売のための物品を格納装置に格納することも「預け入れ」に含まれる。
【0016】
第一の地点は、複数のユーザが車両への物品の預け入れを行う地点である。情報処理装
置は、例えば、近隣に位置する複数のユーザをグルーピングした結果に基づいて、第一の地点を決定する。第一の地点は、例えば、アクセス性がよく、人目につきやすい場所とすることができる。車両を第一の地点に駐車し、近隣に位置する複数のユーザに、預け入れる物品を持参してもらうことで、前述した問題を解決することができる。
【0017】
また、本開示の別態様に係る情報処理装置は、車両への物品の預け入れを希望する複数のユーザに関連付いた複数のユーザ端末から位置情報を取得することと、複数の前記位置情報に基づいて、前記複数のユーザが前記物品を前記車両に預け入れる地点である第一の地点を決定することと、前記車両を前記第一の地点に派遣する指令を生成することと、を実行する制御部を有する。
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両システムは、自律走行を行う一台以上の車両300と、当該車両300の制御を行うサーバ装置100と、一台以上のユーザ端末200と、を含んで構成される。
【0020】
車両300は、格納装置400を搭載した自律走行車両である。
格納装置400は、複数の区画を有し、それぞれの区画に物品を収納することができるロッカー型の装置である。図2に、格納装置400の外観を示す。図示したように、格納装置400は、複数の扉によってそれぞれの区画にアクセスできるよう構成される。なお、外部から内容物を確認できるよう、扉は透明であってもよい。システムのユーザは、格納装置400に設けられたインタフェースを介して、指定された区画の解錠操作を行うことができる。格納装置400は、車両300の車室内に搭載される。
以下、格納装置400を、ショーケースとも称する。
【0021】
車両300は、搭載されたショーケースを用いて、所定のユーザに対して、物品を預かるサービス(以下、預かりサービス)を提供する。
なお、物品は、販売目的のものであってもよい。例えば、ショーケースに、不用品やハンドメイド品などの物品を預け入れ、譲受を希望する他のユーザに対して当該物品を譲り渡すこともできる。
なお、車両300は、必ずしも無人車両である必要はない。例えば、保安要員などが乗車していてもよい。また、車両300は、必ずしも完全なる自律走行が可能な車両でなくてもよい。例えば、状況に応じて人が運転ないし運転の補助を行う車両であってもよい。
【0022】
サーバ装置100は、車両300の運行を管理する装置である。
前述した通り、車両300はショーケースとしての役割を持つ格納装置400を搭載して自律移動することができる。サーバ装置100は、車両300を派遣する地点を決定し、当該車両300に対して運行を指示する。これにより、様々な場所で物品の展示を行うことができる。また、サーバ装置100は、物品の預け入れを行うユーザが所持するユーザ端末200から要請を受けた場合に、車両300の割り当てを行い、当該車両300に対して、当該ユーザから物品を預かるための運行を指示する。これにより、ユーザは、居所の近くにおいて物品の預け入れを行うことができる。
【0023】
サーバ装置100、ユーザ端末200、および、車両300は、ネットワークによって相互に接続される。ネットワークには、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されて
もよい。また、ネットワークは、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0024】
次に、サーバ装置100の詳細について説明する。
図3は、サーバ装置100のシステム構成を示した図である。サーバ装置100は、制御部101、記憶部102、および、通信部103を含んで構成される。
【0025】
サーバ装置100は、一般的なコンピュータにより構成される。すなわち、サーバ装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータである。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、サーバ装置100は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0026】
制御部101は、サーバ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、車両管理部1011と、計画生成部1012と、指令部1013の3つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、補助記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0027】
車両管理部1011は、車両300に関する情報を収集し、記憶部102に構築されたデータベースを更新する。具体的には、車両管理部1011は、複数の車両300と周期的に通信を行い、車両300に関する情報、および、当該車両300に搭載されている格納装置400に関する情報を収集する。収集した情報は、後述するデータベースに反映される。
【0028】
計画生成部1012は、車両300の運行計画を生成する。運行計画とは、車両300に対して実行すべきタスクを指示するデータである。
タスクとして、例えば、ユーザから物品を預かるタスクや、所定の地点においてショーケースの展示を行うタスク等が例示できる。個々のタスクには、目標地点、到着日時、出発日時が関連付いている。
計画生成部1012が、複数のタスクを組み合わせた運行計画を生成し、車両300が、当該運行計画に従ってタスクを順に完了させることで、所定のサービスを提供することができる。
計画生成部1012は、車両300に対して、ユーザから預かった物品を複数の拠点において展示させるための運行(以下、展示運行)と、展示する物品をユーザから預かるための運行(以下、集荷運行)のいずれかを指示する。
【0029】
指令部1013は、生成された運行計画を対象の車両300に送信することで、当該車両300に対して運行を指示する。車両300は、サーバ装置100から送信された運行計画に従って自律走行を行い、ユーザに対してサービスの提供を行う。
【0030】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0031】
さらに、記憶部102は、車両データ102A、運行計画データ102B、格納装置データ102C、および、物品データ102Dを記憶する。
【0032】
車両データ102Aは、サーバ装置100の管理下にある複数の車両300のステータスを記録するデータである。
図4Aは、車両データ102Aの例である。車両データ102Aは、車両の識別子、更新日時、ステータス情報を含む。ステータス情報は、車両300の現在の状態を表すデータが格納されるフィールドである。具体的には、車両300の現在位置、車両300が現在までに完了したタスクに関する情報、これから行うタスクに関する情報、車両300のバッテリ残量や走行可能距離、車両300の予定経路に関する情報などが格納される。
車両データ102Aは、車両300から送信されるデータ(以下、ステータスデータ)によって周期的に更新される。
【0033】
運行計画データ102Bは、計画生成部1012が生成した運行計画を記録するデータである。
図4Bは、運行計画データ102Bの例である。運行計画データ102Bは、車両300ごとに定義され、タスクの種類、目標地点、到着日時、出発日時などが記録される。車両300は、サーバ装置100から送信された運行計画に含まれるタスクを順に実行していくことで、ユーザに対してサービスを提供する。
【0034】
図示した例では、V001という識別子を持つ車両が、
(1)12時から13時まで地点Aにおいて物品を預かるために停車し、
(2)15時から16時まで地点Bにおいて物品を預かるために停車し、
(3)17時から18時まで地点Cにおいてショーケースの展示を行う旨が表されている。
【0035】
格納装置データ102Cは、対象の車両300に搭載された格納装置400の状態が記録されたデータである。
図4Cは、格納装置データ102Cの例である。格納装置データ102Cは、車両300ごとに定義され、格納装置400が有している複数の区画についての情報(区画のサイズ、占有状態(利用中であるか否か)、物品を出品したユーザの識別子、割り当てられた物品の識別子など)が記録される。
格納装置データ102Cは、車両300から送信されるステータスデータに基づいて更新される。
【0036】
物品データ102Dは、個々の物品の詳細を表すデータである。物品データには、物品の識別子、物品を出品したユーザの識別子、物品の名称、物品の説明文、希望価格、画像データ、サイズに関する情報等が含まれる。物品データ102Dは、物品を預け入れるためのリクエストに基づいて生成される。なお、物品データ102Dには、配車の希望に関するデータが付加されていてもよい。
【0037】
なお、記憶部102には、車両300が走行する道路ネットワークに関するデータ(道路地図データ。例えば、複数の道路セグメントの定義と、各道路セグメントの位置情報および接続関係など)が記憶されていてもよい。道路地図データには、車両300の駐車または停車が可能なエリアについての情報が含まれていてもよい。道路地図データは、車両300の目標地点を決定する際に使用される。
【0038】
これらのデータを記憶するデータベースは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、記憶装置に記憶されるデータを管理するこ
とで構築される。本実施形態において利用されるデータベースは、例えばリレーショナルデータベースである。
【0039】
通信部103は、サーバ装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。
【0040】
次に、ユーザ端末200について説明する。
ユーザ端末200は、物品の預け入れを行うユーザが所持するコンピュータである。ユーザは、ユーザ端末200を介してサーバ装置100にアクセスし、物品の預け入れをリクエストすることができる。ユーザ端末200は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、個人情報端末等である。
【0041】
図5は、ユーザ端末200のシステム構成を示した図である。
ユーザ端末200は、制御部201、記憶部202、通信部203、および入出力部204を含んで構成される。
【0042】
制御部201は、ユーザ端末200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができ
る。
制御部201は、サーバ装置100にアクセスしてインタラクションを行う機能を実行する。当該機能は、ユーザ端末200で動作するウェブブラウザや、専用のアプリケーションソフトウェアによって実現されてもよい。
【0043】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部201で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部201によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
【0044】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。
また、記憶部202には、物品の預け入れ/引き渡し時にユーザの認証を行うための認証情報が記憶される。
【0045】
通信部203は、ユーザ端末200をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部203は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、サーバ装置100と通信可能に構成される。
【0046】
入出力部204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
また、入出力部204は、格納装置400との間で認証情報を交換するためのさらなる手段を有していてもよい。例えば、二次元バーコードを読み取るためのカメラ、無線伝送を行うための近距離通信手段などを有していてもよい。
【0047】
次に、車両300、および、車両300に搭載された格納装置400について説明する。
車両300は、サーバ装置100の制御下において自律走行する車両プラットフォームである。具体的には、サーバ装置100から送信された運行計画に基づいて走行経路を決定し、車両の周辺をセンシングしながら適切な方法で道路上を走行する。また、移動先において、預かりサービスに関する所定のタスク(物品の預かりやショーケースの展示等)を実行する。
【0048】
図6は、車両300および格納装置400のシステム構成を示した図である。
車両300は、制御装置301、センサ302、通信部303、駆動部304、位置情報取得部305、および、格納装置400を含んで構成される。車両300および格納装置400は、バッテリから供給される電力で動作する。
【0049】
制御装置301は、後述するセンサ302から取得した情報に基づいて、車両300の制御を行うコンピュータである。制御装置301は、例えば、CPUおよび記憶装置を有するコンピュータによって構成される。
【0050】
制御装置301は、機能モジュールとして、経路生成部3011、走行制御部3012、および、タスク制御部3013を有している。各機能モジュールは、ROM(Read Only Memory)等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)
によって実行することで実現してもよい。
【0051】
経路生成部3011は、サーバ装置100から送信された運行計画に基づいて、自車両の走行経路を生成する。経路生成部3011は、運行計画で指定された複数の地点を、指定されたスケジュールで巡回できるよう、走行経路を生成する。経路の生成は、予め記憶された地図データを参照することで行ってもよいし、外部のサービスを利用して行ってもよい。
【0052】
走行制御部3012は、第一に、センサ302が取得したデータに基づいて、車両周辺の環境を検出し、環境データを生成する。検出の対象は、例えば、車線の数や位置、自車両の周辺に存在する車両の数や位置、自車両の周辺に存在する障害物(例えば歩行者、自転車、構造物、建築物など)の数や位置、道路の構造、道路標識などであるが、これらに限られない。自律的な走行を行うために必要なものであれば、検出の対象はどのようなものであってもよい。
【0053】
さらに、走行制御部3012は、第二に、経路生成部3011が生成した経路と、生成した環境データ、ならびに、後述する位置情報取得部305が取得した自車両の位置情報に基づいて、自車両の走行を制御する。例えば、所定の経路に沿って走行し、かつ、自車両を中心とする所定の安全領域内に障害物が進入しないように自車両を走行させる。車両を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。
【0054】
タスク制御部3013は、車両300が実行するタスクを制御する。タスクとは、格納装置400を用いてユーザに預かりサービスを提供するためのタスクであり、典型的には、「ユーザから物品を預かるタスク」および「ショーケースを展示するタスク」である。なお、タスク制御部3013は、これらに付随するタスクを実行してもよい。タスク制御部3013は、例えば、ユーザを呼び出すタスク、ユーザを認証するタスク、ユーザからの申し出に応じて物品の引き渡し(および決済)を行うタスクなどを実行してもよい。
【0055】
また、タスク制御部3013は、サーバ装置100に対して周期的に自己のステータス
を表すデータ(以下、ステータスデータ)を送信する。
ステータスデータには、例えば、以下のような情報が含まれる。
・車両300の識別子
・車両300の現在位置
・現在までに完了したタスクに関する情報
・残りのタスクに関する情報
・現在のバッテリ残量(SOC)または走行可能距離
・予定している運行経路(運行中である場合)
・格納装置400に格納されている物品に関する情報
サーバ装置100(車両管理部1011)は、受信したステータスデータに基づいて、車両データ102Aおよび格納装置データ102Cを更新する。
【0056】
センサ302は、車両周辺のセンシングを行う手段であり、典型的にはカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、レーダなどを含んで構成される。センサ302が取得した情報は、制御装置301に送信される。センサ302は、自律走行を行うためのセンサを含んで構成される。センサ302は、車両300に設けられたカメラを含んでもよい。例えば、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いた撮影
装置を含むことができる。
【0057】
通信部303は、車両300をネットワークに接続するための通信手段である。本実施形態では、3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを利用して、ネットワーク経由で他の装置(例えばサーバ装置100)と通信を行うことができる。なお、通信部303は、他の車両と車々間通信を行うための通信手段をさらに有していてもよい。
【0058】
駆動部304は、走行制御部3012が生成した指令に基づいて、車両300を走行させる手段である。駆動部304は、例えば、車輪を駆動するためのモータやインバータ、ブレーキ、ステアリング機構、二次電池等を含んで構成される。
【0059】
位置情報取得部305は、車両300の現在位置を取得する手段であり、典型的にはGPSアンテナ、GPSモジュールなどを含んで構成される。位置情報取得部305が取得した情報は、制御装置301に送信される。
【0060】
格納装置400は、複数の区画を有し、それぞれの区画に物品を収納することができるロッカー型の装置である。図2を参照して説明したように、格納装置400は、複数の扉によってそれぞれ独立した区画にアクセスできるよう構成される。格納装置400は、制御装置301と接続されており、その動作(ユーザの認証や施解錠など)は、制御装置301(タスク制御部3013)によって制御される。
格納装置400は、入出力部を有しており、当該入出力部を用いてユーザとインタラクションを行うことができる。入出力部は、典型的には、タッチパネル、液晶ディスプレイ、キーボード等を含んで構成される。
【0061】
次に、本実施形態に係る車両システムが預かりサービスを提供する方法について説明する。ここでは、車両300から収集したデータに基づいて、サーバ装置100が有するデータベースを更新するフェーズ(第一のフェーズ)と、ショーケースへの物品の預け入れをリクエストするデータをユーザ端末200から受信するフェーズ(第二のフェーズ)について説明する。図7Aは、第一および第二のフェーズに対応するフロー図である。図7Aに示した処理は、随時実行される。
【0062】
車両300は、運行中において、周期的にステータスデータを生成し、サーバ装置10
0に送信する。ステータスデータには、車両300の状態のほか、現在までに完了したタスクに関する情報や、格納装置400に格納されている物品に関する情報などが含まれる。
ステータスデータを受信したサーバ装置100(車両管理部1011)は、受信したステータスデータに基づいて車両データ102Aおよび格納装置データ102Cを更新する(ステップS11)。
【0063】
譲受人を募るため、物品のショーケースへの預け入れ(出品と称する)を希望するユーザが、ユーザ端末200を介して、出品物に関する情報を入力すると(ステップS21)、ユーザ端末200は、当該情報に基づいて出品リクエストを生成し、サーバ装置100に送信する。出品リクエストには、出品物に関する情報(物品情報)と、配車リクエストが含まれる。図8Aは、出品リクエストの生成時にユーザ端末200によって提示される画面の例であり、図8Bは、生成される出品リクエストの一例である。出品物に関する情報には、物品の名称、説明文、希望価格、画像データなどが含まれる。また、配車リクエストには、希望エリアおよび希望時間帯が含まれる。
サーバ装置100は、受信した出品リクエストを一時的に記憶する。
【0064】
一方、サーバ装置100は、所定の周期ごとに、一時的に記憶した出品リクエストを参照して、車両300の運行計画を生成し、車両300に対して運行を指示する。この処理を第三のフェーズと称する。
図7Bは、第三のフェーズに対応するフロー図である。
【0065】
まず、ステップS31で、展示運行を指示すべき車両があるか否かを判定する。例えば、新規の出品リクエストが無く、かつ、ユーザから物品を預かっている車両300がある場合、処理はステップS32に遷移し、当該車両300を、展示運行を指示する車両として決定する。
ステップS33では、所定のスケジュールで所定の地点を巡回してショーケースの展示を行う運行計画を生成し、決定された車両300に送信する。所定の地点やスケジュールは、サーバ装置100によって予め定められていてもよい。
【0066】
ステップS31で、展示運行を指示すべき車両が無いと判定された場合、処理はステップS34へ遷移する。
ステップS34では、一時的に記憶している出品リクエストがあるか否かを判定する。ここで、未処理の出品リクエストがある場合、処理はステップS35へ遷移する。未処理の出品リクエストがない場合、処理は終了する。
【0067】
ステップS35~S39は、車両300に対して集荷運行を指示するための処理である。
ステップS35では、ユーザが車両300に物品を預け入れる地点、および、当該地点に車両300を停車させる時間帯を決定する。
出品リクエストを送信したユーザが複数いる場合、計画生成部1012は、当該複数のユーザのそれぞれに対応する位置情報をグルーピングし、グループに対して目標地点を設定する。例えば、図9に示したように、所定の範囲内に位置する複数のユーザ(ユーザA~Dの4名)が出品リクエストを送信した場合、4名をグルーピングし、グループを代表する地点Eを目標地点として設定する。各ユーザは、目標地点まで物品を持参し、当該物品の預け入れを行う。
【0068】
グルーピングは、地理的距離に基づいて行うことができる。例えば、所定の範囲内に位置する複数のユーザが、同一のグループに属するようにグルーピングを実行してもよい。グルーピングの結果、グループが2つ以上生成されてもよい。
なお、グルーピングは、希望時間帯に基づいて行ってもよい。例えば、希望時間帯が重複している複数のユーザが、同一のグループに属するようにグルーピングを実行してもよい。この場合、車両300が停車する時間帯は、ユーザが希望する時間帯を満たすように決定される。図9に示した例では、4名のユーザの希望を満たすよう、停車時間帯が「17時30分から18時」に決定される。
【0069】
このように、出品リクエストを送信した複数のユーザをグルーピングし、車両300を派遣する地点を一箇所に決定することで、複数のユーザから物品を引き取るコストを抑制することができる。さらに、停車中においてショーケースの展示を行うことが可能になる。
【0070】
ステップS36では、計画生成部1012が、ユーザの元へ派遣する車両300を決定する。ユーザの元へ派遣される車両300は、車両データ102A、および、格納装置データ102Cを参照することで決定される。具体的には、ステップS35で決定された地点に、決定された時間帯に派遣可能、かつ、全ての物品を格納できる格納装置400を有している車両300が、派遣対象として決定される。
【0071】
ステップS37では、複数のユーザのそれぞれに対して区画を割り当てる。区画の割り当ては、出品リクエストに含まれる出品物のサイズ情報、および、格納装置データ102Cを参照することで行うことができる。これにより、物品に適合するサイズの区画が割り当てられる。本ステップが完了すると、ユーザ端末200に対して、車両300が派遣される地点、および、車両300が停車する時間帯を通知するデータが送信される。
なお、本ステップにおいて、サーバ装置100は、ユーザ端末200に対して、割り当てられた区画を施解錠するための認証情報を送信してもよい。
【0072】
なお、ステップS35~S37の処理において、車両の割り当てや区画の割り当てに失敗した場合、その旨をユーザ端末200に通知し、再度の出品リクエストの送信を依頼するようにしてもよい。
【0073】
次に、ステップS38で、計画生成部1012が、車両300に対応する運行計画を生成ないし更新する。ここで、対象の車両300が待機中である場合、計画生成部1012は、当該車両300に対応する新たな運行計画を生成する。対象の車両300が運行中である場合、すなわち、当該車両300の運行計画が既に生成されている場合、新たなタスクを運行計画に追加する。車両300に対応する運行計画は、当該車両300に送信される。
【0074】
ステップS39では、車両300(制御装置301)が運行計画を受信する。制御装置301は、受信した運行計画に従って、移動およびタスクを実行する。
【0075】
図10は、運行計画を受信した車両300が行う処理のフローチャートである。当該処理は、車両300がサーバ装置100から運行計画を受信した場合に開始される。
まず、ステップS41で、車両300(経路生成部3011)が、受信した運行計画に基づいて、未処理のタスクを実行するための走行経路を生成する。
【0076】
ステップS42では、走行制御部3012が、生成した経路に従って、目標地点(すなわち、サーバ装置100によって指定された地点)への走行を開始させる。
【0077】
車両300が目標地点に接近すると(ステップS43)、走行制御部3012が、近傍にて停車が可能な場所を探して停車し、タスクを実行する(ステップS44)。タスクとは、ユーザから物品を預かるタスク、または、ショーケースを展示するタスクのいずれか
である。
【0078】
タスクが完了すると、走行制御部3012が、運行計画に従って、次の目標地点の有無を判定し(ステップS45)、次の目標地点がある場合、運行を継続する。次の目標地点が無い場合(運行計画に含まれるタスクを全て完了した場合)、拠点へ帰還する。
【0079】
次に、車両300によって実行されるタスクが、ユーザから物品を預かるタスクであった場合に、ステップS44で実行される処理の詳細について説明する。
図11は、ユーザが物品の預け入れを行う際に実行される処理のフロー図である。図示した処理は、物品の預け入れを行うユーザを乗車させるために車両300が駐車したタイミングで、タスク制御部3013によって開始される。
【0080】
まず、ステップS51において、ユーザの認証を行う。
所定の地点に駐車された車両300の元へユーザが到着すると、格納装置400が、入出力部を介して第一の認証情報を取得し、予め記憶された第二の認証情報との照合を行う。第一の認証情報は、キーボードやタッチパネルを介して文字データとして取得してもよいし、カメラやスキャナを介して画像データとして取得してもよい。また、無線通信を介してユーザ端末200から取得してもよい。照合に成功した場合、処理はステップS52へ遷移する。照合に失敗した場合、処理は終了する。
【0081】
ユーザの認証が完了すると、ステップS52で、物品の預かりを行う。本ステップでは、ユーザに割り当てられた区画のロックを解除し、物品を収納させる。収納が完了すると、当該区画を施錠する。
【0082】
ステップS53では、ステータスデータを生成し、サーバ装置100へ送信する。ステータスデータは、格納装置400に格納されている物品に関する情報、例えば、複数の区画の占有状態、物品の識別子、物品を出品したユーザの識別子等を含む。ステータスデータを受信したサーバ装置100は、当該データを格納装置データ102Cに反映させる(ステップS54)。処理が完了すると、ユーザ端末200に完了通知が送信される。
【0083】
ステップS55では、サーバ装置100が、車両300に預け入れられている物品のリストを生成し、インターネット上に公開する。本ステップでは、物品データ102Dに基づいて、物品の名称、説明文、希望価格、画像データなどを含むリストを生成する。図12は、公開される情報の例である。図示したように、リストには、車両300の運行予定に関する情報を含ませてもよい。これにより、閲覧者は、当該物品を搭載した車両300の現在位置や、今後の運行予定(巡回する地点や巡回スケジュール)を知ることができる。これらの情報は、所定のウェブページからアクセス可能としてもよい。
【0084】
次に、車両300によって実行されるタスクが、ショーケースの展示を行うタスクであった場合に、ステップS44で実行される処理の詳細について説明する。図13は、ショーケースの展示中に実行される処理のフロー図である。
【0085】
まず、ステップS61で、預け入れられた物品の引き取りを希望するユーザがいるか否かを判定する。例えば、格納装置400が有する入出力部を介して、物品の引き取りリクエストが入力された場合、本ステップは肯定判定となる。本ステップで否定判定となった場合、ショーケースの展示が継続される。
【0086】
格納装置400が有する入出力部を介して、物品の引き取りを行う意思表示をしたユーザ(以下、第二ユーザ)がいる場合、処理はステップS62へ遷移する。
【0087】
ステップS62では、物品の代金を決済する処理を行う。決済額は、出品データにて指定された金額である。決済は、オンラインによるカード決済であってもよい。本ステップでは、第二ユーザが所持する携帯端末を利用して代金のオンライン決済を行ってもよい。この場合、決済が完了したタイミングで、対象の物品が格納されている区画を解錠するための認証情報を、当該携帯端末に送信してもよい。なお、本ステップでは、代金の決済以外に、物品の譲受に関する所定の処理を実行してもよい。
【0088】
次に、ステップS63で、格納装置400の、指定された物品に関連付いた区画を解錠し、物品の引き取りを行わせる。区画の解錠は、例えば、第二ユーザが所持する携帯端末に送信された認証情報を用いて行ってもよい。
ステップS64では、ステップS53と同様のステータスデータを生成し、サーバ装置100へ送信する。
【0089】
ステップS65では、サーバ装置100が、受信したステータスデータに基づいて格納装置データ102Cを更新する。
【0090】
以上説明したように、第一の実施形態によると、所定の拠点を巡回する車両300をリサイクルショップとして機能させることができる。また、ユーザが物品の預け入れを行う際、車両300を当該ユーザの近くまで移動させることができ、利便性を高めることができる。さらに、複数のユーザをグルーピングし、物品の受け入れを一箇所で行うため、集荷コストを削減することができ、ショーケースの展示時間を伸ばすことができる。
【0091】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、出品リクエストを送信したユーザ、すなわち、物品を売却する意思があるユーザに対して車両300を派遣した。
これに対し、第二の実施形態は、所定の物品を所有しているユーザに対して、当該物品のショーケースへの出品を提案する実施形態である。
【0092】
第二の実施形態では、ユーザ端末200が、ステップS21で物品情報を入力する際に、下書きの保存が可能に構成される。下書きは、次回以降のタイミングで呼び出すことができる。
また、第二の実施形態では、下書きが保存されたタイミングで、物品情報と位置情報をユーザ端末200からサーバ装置100に送信し、サーバ装置100がこれを保存する。物品情報は、入力可能な情報のうちの一部(例えば、物品の名称のみ)であってもよい。
【0093】
サーバ装置100は、保存された位置情報と、随時生成される車両300の運行計画とを比較し、下書きを保存したユーザの近傍に派遣される車両300があるか否かを判定する。例えば、ショーケースの展示や、他のユーザによる物品の預け入れのため、車両300がユーザの近傍にやってくるタイミングがある場合、サーバ装置100は、対応するユーザ端末200に通知を送信し、車両300が近くに来るタイミングがある旨を通知する。さらに、サーバ装置100は、当該車両が到着するタイミングまでに出品リクエストを送信するよう、ユーザに促してもよい。
これにより、ショーケースへの物品の出品を促すことが可能になる。
【0094】
なお、本実施形態では、保存された下書きの有無に基づいて、所定の物品を所有しているユーザがいることを判定したが、これ以外の方法によって、物品の所有の有無を判定してもよい。例えば、ユーザ端末200によって撮影された写真と位置情報を収集し、これらのデータに基づいて、ユーザの自宅に所定の物品があることを判定してもよい。さらに、物品の購入履歴に基づいて、当該ユーザが所定の物品を所有していることを判定してもよい。さらに、物品の種別に基づいて、出品の提案有無を決定、ないし、付加的な処理を
実行してもよい。例えば、中古市場で人気のある物品を所有しているユーザがいる場合、より優先的に車両300の派遣を提案するようにしてもよい。さらに、所定の車両300についての既存の運行計画を変更し、より優先的に当該車両300を派遣するようにしてもよい。
【0095】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0096】
また、実施形態の説明では、ショーケースによって物品の販売を行う形態を示したが、本開示に係る情報処理装置は他の形態に適用することもできる。例えば、不用品の買い取りサービス、廃品回収サービス、集荷サービスなど、複数のユーザから物品を集める形態のサービスに適用することもできる。
【0097】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0098】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0099】
100・・・サーバ装置
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103,203,303・・・通信部
204・・・入出力部
200・・・ユーザ端末
300・・・車両
301・・・制御装置
302・・・センサ
304・・・駆動部
305・・・位置情報取得部
400・・・格納装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13