(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20250218BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20250218BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q30/0207 328
(21)【出願番号】P 2021139369
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 行成
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕彦
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-064119(JP,A)
【文献】特開2018-206178(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076094(WO,A1)
【文献】特開2019-074926(JP,A)
【文献】特開2021-114116(JP,A)
【文献】特開2021-086242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、
前記車両の周辺に位置する仮想管理者に前記サポート事案の対応の依頼を行うことと、を実行する制御部、
を備え
、
前記制御部は、
前記サポート事案の対応を実施した仮想管理者に対して、所定のインセンティブを付与し、
前記制御部は、前記サポート事案の対応を実施した仮想管理者が、前記所定のサービスに登録している個人ユーザであるか又は前記所定のサービスと提携している事業者のスタッフであるかに応じて、前記所定のインセンティブを決定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記仮想管理者は、前記所定のサービスに登録しているユーザ又は提携している事業者の店舗のスタッフである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両は、自律走行車両であり、人が乗車していない状態で走行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車両及び前記仮想管理者が使用する端末のそれぞれの位置情報に基づいて、前記車両の周辺に位置する仮想管理者を特定し、
前記特定された仮想管理者が使用する端末に前記サポート事案の対応の依頼を送信する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記サポート事案の種類に応じた属性に合致する仮想管理者をさらに特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記サポート事案がユーザからの依頼によって発生しており、前記ユーザの希望条件を受け付けている場合に、前記希望条件を満たす属性の仮想管理者をさらに特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記サポート事案の種類に応じた値のインセンティブを付与する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記所定のサービスに登録する第1のユーザの端末から、前記第1のユーザを前記仮想管理者としても登録することを示す情報を受信し、
前記第1のユーザを前記仮想管理者として記憶部に登録する、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記車両は、ロッカーを積載し、前記所定のサービスとして前記ロッカーに収納された荷物を運ぶサービスに供される車両であり、
前記サポート事案は、前記ロッカーの扉の閉め忘れ、前記車両内のごみの置き忘れ、前記車両の充電不足、前記荷物の積み下ろし、及び、前記荷物の所定の場所までの運搬のいずれかである、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、
前記車両の周辺に位置する仮想管理者に前記サポート事案の対応の依頼を行うことと、を実行
し、
前記コンピュータが、
前記サポート事案の対応を実施した仮想管理者に対して、所定のインセンティブを付与し、
前記コンピュータが、前記サポート事案の対応を実施した仮想管理者が、前記所定のサービスに登録している個人ユーザであるか又は前記所定のサービスと提携している事業者のスタッフであるかに応じて、前記所定のインセンティブを決定する、情報処理方法。
【請求項11】
前記仮想管理者は、前記所定のサービスに登録しているユーザ又は提携している事業者の店舗のスタッフである、
請求項
10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記車両は、自律走行車両であり、人が乗車していない状態で走行する、
請求項
10又は
11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、
前記車両及び前記仮想管理者が使用する端末のそれぞれの位置情報に基づいて、前記車両の周辺に位置する仮想管理者を特定し、
前記特定された仮想管理者が使用する端末に前記サポート事案の対応の依頼を送信する、
請求項
10から
12のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、
前記サポート事案の種類に応じた属性に合致する仮想管理者をさらに特定する、
請求項
13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記サポート事案がユーザからの依頼によって発生しており、前記ユーザの希望条件を受け付けている場合に、前記希望条件を満たす属性の仮想管理者をさらに特定する、
請求項
13に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、
前記所定のサービスに登録する第1のユーザの端末から、前記第1のユーザを前記仮想管理者としても登録することを示す情報を受信し、
前記第1のユーザを前記仮想管理者として記憶部に登録する、
請求項
10から
15のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記車両は、ロッカーを積載し、前記所定のサービスとして前記ロッカーに収納された荷物を運ぶサービスに供される車両であり、
前記サポート事案は、前記ロッカーの扉の閉め忘れ、前記車両内のごみの置き忘れ、前記車両の充電不足、前記荷物の積み下ろし、及び、前記荷物の所定の場所までの運搬のいずれかである、
請求項
10から
16のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカーに関するユーザの利用要求に基づいて、ユーザが利用するロッカーを決定し、決定されたロッカーを備える自動運転車両をユーザに配車するロッカー管理システムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、所定のサービスを提供する無人走行車両において発生したサポート事案に迅速に対応可能な情報処理装置、及び、情報処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、
前記車両の周辺に位置する仮想管理者に前記サポート事案の対応の依頼を行うことと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータが、
所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、
前記車両の周辺に位置する仮想管理者に前記サポート事案の対応の依頼を行うことと、
を実行する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、所定のサービスを提供する無人走行車両において発生したサポート事案に迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る移動ロッカーシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、センタサーバ、ユーザ端末、及び、車両のハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は、センタサーバ、ユーザ端末、車両、及び、店舗端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ユーザ情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図5】
図5は、仮想管理者端末情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図6】
図6は、インセンティブ情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図7】
図7は、履歴情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図8】
図8は、サービス情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図9】
図9は、ユーザ端末のユーザ登録画面の一例である。
【
図10】
図10は、ユーザ端末のサポート対応依頼画面の一例である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る車両の処理のフローチャートの一例である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るセンタサーバの処理のフローチャートの一例である。
【
図13】
図13は、ユーザ端末の、ユーザ登録処理のフローチャートの一例である。
【
図14】
図14は、ユーザ端末の、サポート対応依頼を受信した場合の処理のフローチャートの一例である。
【
図15】
図15は、第1実施形態における、仮想管理者による車両のサポート事案の対応のシーケンスの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態の変形例における実施者選択処理のフローチャートである。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る車両の処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ロッカーを積載した車両の移動によって、ユーザによって指定された場所で当該ロッカーへの荷物の預け入れ又は取り出し可能な荷物の一時預かりサービスを提供するシステムがある。車両に積載されて移動可能なロッカーを、以下、移動ロッカーと称する。移動ロッカーによる荷物の一時預かりサービスを、以下、移動ロッカーサービスと称する。
【0010】
移動ロッカーサービスに用いられる車両は、無人で自律走行可能な車両が想定される。車両にスタッフが乗車していないため、例えば、車両内で異常が発生した場合には、車両を管理するセンタに戻る必要がある。例えば、ロッカーの扉の閉め忘れ、車両内のごみの置き忘れ、及び、車両内の汚れ等の比較的軽微な異常である場合には、専門の知識及び技術、及び、特殊な道具等がなくとも、対応可能である。
【0011】
そこで、本開示の態様の一つでは、移動ロッカーサービスに登録しているユーザから、車両の軽微なメンテナンスを担当してもらう仮想の管理者を募集し、各所に車両の管理者が点在するシステムを構築する。車両において、例えば、軽微な異常のようなサポート事案が発生した場合には、周囲に存在する仮想管理者として登録しているユーザに当該サポート事案の対応を依頼し、サポート事案を解決してもらう。これによって、例えば、センタに戻る手間を省くことができ、移動ロッカーサービスに用いられる車両の稼働率を向上させることができる。なお、ユーザを仮想管理者として点在させるシステムは、移動ロッカーサービスに限定されず、車両が用いられるあらゆるサービスに適用可能である。
【0012】
本開示の態様の一つは、所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、当該車両の周辺に位置する仮想管理者にサポート事案の対応の依頼を行うことと、を実行する制御部、を備える情報処理装置である。情報処理装置は、例えば、車両を制御するサーバ、又は、車両に搭載されているコンピュータである。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。
【0013】
サポート事案は、例えば、車両内のごみの置き忘れ、車両内の清掃等である。車両が電力で走行する電気自動車である場合には、サポート事案には、充電のサポートも含まれる。所定のサービスが、例えば、移動ロッカーサービスである場合には、サポート事案には、ロッカーの扉の閉め忘れ、荷物の積み下ろしのサポート、及び、荷物の所定の場所までの運搬も含まれる。なお、車両3のサポート事案は、これらに限定されない。
【0014】
仮想管理者は、所定のサービス又は車両のメンテナンスに従事する者以外で、所定の差ビスに用いられる車両に関して発生するサポート事案の対応を担う者である。仮想管理者の他に、例えば、サポータ、又は、ヘルパーとも称される。仮想管理者は、所定のサービスに登録しているユーザ又は提携している事業者の店舗のスタッフである。所定のサービスに登録しているユーザは、仮想管理者として登録するか否かを選択してもよい。
【0015】
制御部は、車両及び仮想管理者が使用する端末のそれぞれの位置情報に基づいて、車両の周辺に位置する仮想管理者を特定し、特定した仮想管理者へサポート事案の対応の依頼を行ってもよい。仮想管理者へのサポート事案の対応の依頼は、例えば、情報処理装置がサーバである場合には、仮想管理者が使用する端末へサポート事案の対応の依頼を送信することで行われてもよい。ただし、これに限られず、情報処理装置が車両に搭載されているコンピュータである場合には、例えば、車両に備えられているスピーカからサポート事案の対応の依頼を行う音声を出力し、周囲に存在する仮想管理者に報知してもよい。
【0016】
本開示の態様の一つによれば、車両に発生したサポート事案を周辺に存在する仮想管理者に依頼することで、当該サポート事案により迅速に対応することができる。例えば、軽微な異常のメンテナンスの対応である場合には、迅速に、且つ、無駄な走行をせずに解決することができ、車両の稼働率を向上させることができる。また、車両に発生したサポート事案が荷物の積み下ろし又は車両から所定の場所までの運搬である場合には、周辺の仮想管理者に対応を依頼することで、車両にスタッフが乗車していなくてもユーザにサービス利用についてサポートを提供することができる。
【0017】
本開示の態様の一つにおいて、制御部は、車両の周辺に存在する仮想管理者の中から、サポート事案の種類に応じた属性に合致する仮想管理者をさらに特定するようにしてもよい。例えば、サポート事案の種類が荷物の積み下ろし又は運搬である場合には、荷物が大きかったり重かったりする場合には、女性では対応することが難しいことがあり、男性の仮想管理者の方が適任である。したがって、本開示の態様の一つによれば、サポート事案の種類に対して適性の高い属性の仮想管理者にサポート事案の対応を依頼することができ、サポート事案の対応をスムーズに行わせることができる。
【0018】
本開示の態様の一つにおいて、制御部は、サポート事案がユーザからの依頼によって発生しており、ユーザの希望条件を受け付けている場合に、希望条件を満たす属性の仮想管理者をさらに特定するようにしてもよい。これによって、サポートを依頼するユーザの希望に応じた仮想管理者にサポート事案の対応を依頼することができる。
【0019】
本開示の態様の一つにおいて、制御部は、サポート事案の対応を実施した仮想管理者に対して、所定のインセンティブを付与するようにしてもよい。インセンティブの値又は内容は、サポート事案の種類に応じた値であってもよいし、サポート事案の対応を実施した仮想管理者が個人ユーザであるか又は所定のサービスと提携している事業者のスタッフであるかに応じて決定されてもよい。これによって、サポート事案の対応の実施を促進することができる。また、これによって、仮想管理者として登録するモチベーションを高めることができ、仮想管理者を増やすことができる。
【0020】
本開示は、他の態様の一つとして、コンピュータが実行する情報処理方法としても特定可能である。当該情報処理方法は、所定のサービスを提供する車両に関して人手を要するサポート事案の発生を検出することと、車両の周辺に位置する仮想管理者に前記サポート事案の対応の依頼を行うことと、を含む。
【0021】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示
であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る移動ロッカーシステム100のシステム構成の一例を示す図である。移動ロッカーシステム100は、車両にコインロッカーを搭載して走行させることで、移動式のコインロッカーを提供するシステムである。ユーザは、指定場所においてロッカーに荷物を預け、所定期間当該荷物を保管してもらい、指定場所において当該荷物をロッカーから取り出すことができる。荷物を預け入れる場所と荷物を取り出す場所とは異なっていてもよい。ユーザには、例えば、荷物を預かった時間長、及び、荷物を預け入れる場所と荷物を取り出す場所との距離等に応じて、利用料金が課される。
【0023】
移動ロッカーシステム100は、センタサーバ1と、ロッカー4と、ロッカー4を積載する車両3と、サービスに登録しているユーザのユーザ端末2と、サービスと提携している事業者の店舗で使用されている店舗端末5と、を含む。なお、移動ロッカーシステム100は、ユーザ端末2、車両3、ロッカー4、及び、店舗端末5をそれぞれ複数含むが、
図1では便宜上、それぞれ1台ずつ示されている。
【0024】
ロッカー4は、1つの筐体に複数の収納部を備える。ロッカー4に備えられる各収納部は、それぞれ、扉を備え、施解錠可能となっている。
【0025】
移動ロッカーサービスでは、原則として、ロッカー4に荷物を預け入れるユーザとロッカーから荷物を取り出すユーザとは同一人物であることが想定される。ただし、ロッカーに荷物を預け入れたユーザが、他のユーザにロッカー4の電子錠の認証情報又は物理鍵を受け渡して、荷物の取り出しを依頼することも可能である。
【0026】
車両3は、自律走行車両とする。また、車両3には、スタッフは乗車せず、ユーザがロッカー4に荷物を預け入れたり取り出したりする以外は無人の状態で走行する。また、第1実施形態では、車両3は、充電池の電力をエネルギー源とする電気自動車であることを想定する。ただし、これに限定されず、車両3は、ガソリンをエネルギー源とするエンジン駆動の自動車、及び、電力とガソリンをエネルギー源とするハイブリッド自動車等であってもよい。第1実施形態では、車両3は、それぞれの担当エリアを走行しているものとする。また、車両3は、サービス利用の要求が発生に応じて走行するオンデマンド方式で走行してもよいし、所定ルートを巡回していてもよい。第1実施形態では、車両3はオンデマンド方式で走行することを想定する。
【0027】
ユーザ端末2は、移動ロッカーシステム100のサービスに登録しているユーザが利用する端末である。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、PC(Personal Computer)等である。ユーザ端末2には、移動ロッカーシステム100の
サービスを利用するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0028】
店舗端末5は、例えば、PC、タブレット端末、及び、POS(Point Of Sales)端末等である。店舗端末5には、移動ロッカーシステム100に係る処理を実行するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。第1実施形態では、店舗端末5は、店舗の敷地内で使用される端末であることを想定する。
【0029】
ユーザ端末2、車両3、及び、店舗端末5は、ネットワークN1に接続しており、ネットワークN1を通じて、センタサーバ1と通信を行う。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆ネットワークである。車両3は、例えば、通信機能を備える装置を搭載しており、当該装置によって、ネットワークN1に接続し、センタサーバ1と通信可能である。
【0030】
センタサーバ1は、移動ロッカーシステム100を管理するサーバである。ユーザは、移動ロッカーシステム100のサービスを利用する場合に、ユーザ端末2のアプリケーションプログラムを通じて、ロッカー使用依頼をセンタサーバ1へ送信する。ロッカー使用依頼とともに、ユーザによって指定される、荷物を預け入れる場所と日時、及び、荷物を取り出す場所と日時の情報もセンタサーバ1へ送信される。
【0031】
センタサーバ1は、ユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信すると、指定された日時に指定された場所へ向かう車両3と、荷物を収容するロッカー4の収納部とを決定する。ロッカー4には電子錠が採用されている場合には、センタサーバ1はロッカー4の認証情報をユーザ端末2へ通知する。その後、ユーザは、指定場所において車両3と落ち合い、車両3に乗り込んでロッカー4に荷物を収納し、センタサーバ1から受信した認証情報を用いてロッカー4を施錠する。荷物を取り出す場合には、ユーザは、予め指定した場所で車両3と落ち合い、車両3に乗り込んでセンタサーバ1から受信した認証情報を用いて移動ロッカー4を解錠し、ロッカー4から荷物を取り出す。
【0032】
第1実施形態では、ユーザ端末2のユーザ及び店舗端末5を備える店舗の事業者は、移動ロッカーシステム100の仮想管理者として登録されている。仮想管理者とは、車両3に関するサポート事案の対応を行うことを立候補している者である。サポート事案には、例えば、ロッカー4の扉の閉め忘れ、及び、車両3内のごみの置き忘れ、充電不足等の軽微な異常、車両3への荷物の積み下ろしのサポート、及び、車両3から所定の場所への荷物の運搬等がある。なお、サポート事案は、これらに限定されない。通常、車両3に関するメンテナンスは、移動ロッカーシステム100の管理者が行うが、上記のサポート事案のように特殊な技能、設備、及び、道具等を必要としない事案については、仮想管理者に実施する権限が与えれている。仮想管理者は、サポータ、又は、ヘルパーとも称される。サポート事案の対応を実行した仮想管理者には、所定のインセンティブが付与される。
【0033】
センタサーバ1は、車両3にサポート事案が発生したことを検出すると、車両3から所定の距離の範囲内に存在する仮想管理者を特定し、特定した仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5へサポート対応依頼を送信する。サポート事案は、例えば、車両3からの通知、ユーザ端末2からの依頼、及び、センタサーバ1による車両3の監視によって、発生が検出される。
【0034】
サポート依頼を受信した仮想管理者が車両3のサポート事案の対応を行う。サポート事案がロッカー4の扉の閉め忘れである場合には、その対応は、例えば、閉め忘れられたロッカー4の扉を閉めることである。サポート事案が車両3内のごみの置き忘れである場合には、その対応は、例えば、車両3内のごみを取り除いて廃棄することである。サポート事案が充電不足である場合には、その対応は、例えば、車両3に充電ステーションを提供する、又は/及び、車両3の充電コードをコンセントにさす等のサポートである。サポート事案が車両3への荷物の積み下ろしのサポートである場合には、その対応は、車両3へ荷物を積む又は車両3から荷物を下すことである。サポート事案が車両3から所定の場所への荷物の運搬である場合には、例えば、車両3から所定の場所への荷物を運搬することである。
【0035】
これによって、車両3が無人の状態で運行する場合でも人手が必要な場合には、周囲の仮想管理者の手を借りることができる。例えば、軽微な異常であれば車両3は整備場等へ移動しなくても解決することができ、車両3の稼働率を向上させることができる。また、ユーザがサポートを必要とする場合には仮想管理者を呼び出せばよいので、移動ロッカーサービスの利便性を向上させることができる。また、車両3にスタッフを乗車させなくともよいため、人件費を削減することができる。
【0036】
図2は、センタサーバ1、ユーザ端末2、及び、車両3のハードウェア構成の一例である。センタサーバ1は、例えば、サーバ専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータである。センタサーバ1は、ハードウェア構成として、CPU 101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を備える。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。センタサーバ1は、「情報処理装置」の一例である。
【0037】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、移動ロッカーシステム100の制御プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムがある。
【0038】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0039】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOS、及び、その他様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「制御部」の一例である。
【0040】
通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)等である。通信部104は、例えば、有線でLAN(Local Area Network)等のアクセスネットワークに接続し、当該アクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。ただし。通信部104は、有線によってネットワークに接続する回路に限定されず、例えば、WiFi又は移動体通信方式等の無線通信方式に従った無線通信回路であってもよい。
【0041】
次に、ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、又は、PC等である。ユーザ端末2は、ハードウェア構成として、CPU 201、メモリ202、外部記憶装置203、無線通信部204、タッチパネルディスプレイ205、及び、位置取得センサ206を備える。ただし、
図2では、ユーザ端末2のハードウェア構成として、第1実施形態に係る処理を行うハードウェア構成要素が抽出して示されており、ユーザ端末2に含まれるハードウェア構成要素は
図2に示される要素に限定されない。
【0042】
CPU 201、メモリ202、及び、外部記憶装置203は、それぞれ、CPU 101、メモリ102、及び、外部記憶装置103と同様である。ただし、外部記憶装置203として採用される記憶装置(ストレージ)は、例えば、フラッシュメモリである。外部記憶装置203として、SDカード等の可搬記録媒体が含まれてもよい。外部記憶装置203には、OS等に加えて、移動ロッカーシステム100のサービスを利用するためのアプリケーションプログラムも保持されている。
【0043】
無線通信部204は、例えば、5G(5th Generation)、6G、4G、及び、LTE(Long Term Evolution)等の移動体通信方式、WiMAX、及び、WiFi等の無線通信
方式に従った無線通信回路である。無線通信部204は、無線通信によってネットワークN1に接続し、センタサーバ1との通信を可能にする。
【0044】
タッチパネルディスプレイ205は、CPU 201からの指示に従って画像を出力し、ユーザから入力された信号をCPU 201へ出力する。位置取得センサ206は、ユーザ端末2の現在位置を示す位置情報を取得するセンサである、位置取得センサ206は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機である。位置取得センサ206
によって取得される位置情報は、例えば、緯度及び経度である。ただし、位置取得センサ206はGPS受信機に限定されず、位置取得センサ206によって取得される位置情報も緯度及び経度に限定されない。位置取得センサ206によって取得された位置情報は、CPU 201へ出力される。
【0045】
車両3は、データ通信装置310、タッチパネルディスプレイ320、センサ330、及び、スピーカ340を備える。ただし、
図3では、移動ロッカーシステム100に係る処理に関係するハードウェア構成要素が抽出されて示されており、車両3のハードウェア構成は
図3に示されるものに限定されない。
【0046】
データ通信装置310、タッチパネルディスプレイ320、センサ330、及び、スピーカ340は、例えば、車内イーサネット(登録商標)、又は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークによって互いに接続されている。
【0047】
タッチパネルディスプレイ320は、例えば、車両3の内部に備えられている。第1実施形態では、タッチパネルディスプレイ320は、ユーザが荷物の積み下ろしや所定の場所までの荷物の運搬等のサポート依頼を行う場合のユーザ操作の入力装置として使用される。また、第1実施形態では、タッチパネルディスプレイ320は、サポート事案の対応の完了のユーザ操作の入力装置として使用される。タッチパネルディスプレイ320は、第1実施形態では、データ通信装置310からの指示に従って画面を表示し、入力されたユーザ操作をデータ通信装置310へ出力する。
【0048】
センサ330は、車両3内の状態を監視するセンサである。例えば、センサ330は、カメラ、及び、ロッカー4の扉の開閉を検知するセンサ等である。センサ330は、複数備えられてもよい。また、センサ330は、複数種類のセンサを含んでもよい。センサ330は、例えば、ロッカー4の扉の閉め忘れ、及び、ごみの置き忘れ等の車両3内の軽微な異常を検出するために用いられる。センサ330の検知値は、データ通信装置310へ出力される。センサ330の検知値は、例えば、センサ330がカメラである場合には撮像画像であり、センサ330がロッカー4の扉の開閉を検知するセンサである場合には扉が開けられた又は閉められたことを示す情報である。
【0049】
スピーカ340は、例えば、車両3の外部に向けて設置されている。スピーカ340は、第1実施形態では、データ通信装置310から音声データの入力を受けて、音声を出力する。
【0050】
データ通信装置310は、ハードウェア構成として、CPU 301、メモリ302、外部記憶装置303、無線通信部304、及び、位置取得センサ305を備える。CPU
301、メモリ302、及び、外部記憶装置303は、それぞれ、CPU 101、メモリ102、及び、外部記憶装置103と同様である。ただし、外部記憶装置303には、移動ロッカーシステム100の処理を実行するための車両3用の制御プログラムが格納されている。無線通信部304及び位置取得センサ305は、それぞれ、無線通信部204及び位置取得センサ206と同様である。車両3のセンタサーバ1との通信は、実際には、データ通信装置310が担うが、以下、便宜上、車両3が通信の主体として表現する。すなわち、車両3が送信する又は受信すると表記される場合には、実際には、データ通信装置310が送信又は受信している。
【0051】
なお、店舗端末5のハードウェア構成は、例えば、ユーザ端末2と類似する。すなわち、店舗端末5は、CPU、メモリ、外部記憶装置、及び、タッチパネルディスプレイを備える。また、店舗端末5は、装置の種類によって、通信部又は無線通信部のいずれかを備える。また、店舗端末5は、位置取得センサを備えてもよい。ただし、店舗端末5は、据え置き型の装置であってもよいので、この場合には、店舗端末5は位置取得センサを備えていなくてもよい。また、第1実施形態では、店舗端末5は店舗の敷地内で使用される端末であることを想定しており、店舗の位置情報で店舗端末5の位置情報は代替されることとする。したがって、第1実施形態では、店舗端末5は位置取得センサを備えていなくてもよく、位置取得センサを備えていても使用されない。
【0052】
なお、
図2に示されるセンタサーバ1、ユーザ端末2、及び、車両3のハードウェア構成は一例であって、センタサーバ1、ユーザ端末2、及び、車両3のハードウェア構成は
図2に示されるものに限定されない。例えば、ユーザ端末2は、
図2に示されるハードウェア構成要素の他に、マイクロフォン、スピーカ、カメラ、及び、GPS(Global Positioning System)等の位置センサ等もハードウェア構成として含む。
【0053】
図3は、センタサーバ1、ユーザ端末2、車両3、及び、店舗端末5の機能構成の一例を示す図である。センタサーバ1は、機能構成要素として、制御部11、仮想管理者端末情報DB 12、インセンティブ情報DB 13、履歴情報DB 14、サービス情報DB 15、及び、ユーザ情報DB 16を備える。制御部11の処理は、CPU 101が移動ロッカーシステム100の制御プログラムを実行することによって達成される。なお、以下、ユーザ端末2と表記される場合には、仮想管理者として登録しているユーザのユーザ端末を示し、仮想管理者の端末としての処理について説明される。移動ロッカーサービスを利用する一般のユーザのユーザ端末の処理については、単に「ユーザ端末」と表記される。
【0054】
制御部11は、車両3に係るサポート事案の発生を検出し、車両3の周辺に存在する仮想管理者にサポート事案の対応の依頼を行う。まず、制御部11は、車両3及びユーザ端末2から、それぞれ、所定の周期で位置情報を受信しており、それぞれの位置を監視している。
【0055】
制御部11は、例えば、ユーザ端末又は車両3から、サポート事案の対応を依頼するサポート依頼を受信することでサポート事案の発生を検出する。サポート依頼とともに、送信元のユーザ端末又は車両3の識別情報及び位置情報、及び、サポート事案に係る情報も受信される。サポート事案に係る情報は、例えば、サポート事案の種類を示す情報、及び、サポート事案の詳細情報である。サポート事案の種類には、例えば、ロッカー4の扉の閉め忘れ、ごみの置き忘れ、充電不足、荷物の積み下ろし、及び、荷物の運搬等がある。サポート事案の種類を示す情報は、例えば、フラグ、コード、又は、キーワードである。
【0056】
サポート事案の詳細情報に含まれる情報は、サポート事案の種類に応じて変わる。サポート事案がロッカー4の扉の閉め忘れである場合には、サポート事案の詳細情報は、例えば、該当するロッカー4の収納部の、識別情報又は/及びロッカー4における位置を示す情報である。サポート事案がごみの置き忘れである場合には、サポート事案の詳細情報は、例えば、対象のごみを示す情報である。対象のごみを示す情報は、例えば、対象のごみの種類及びサイズ等を示す情報、又は/及び、撮像範囲に対象のごみが含まれる車両3の内部の撮像画像である。
【0057】
サポート事案が充電不足である場合には、サポート事案の詳細情報は、例えば、現在の電池残量等である。サポート事案が荷物の積み下ろしである場合には、サポートの詳細情
報は、例えば、サービス識別情報、及び、荷物のサイズである。サポート事案が荷物の運搬である場合には、サポートの詳細情報は、例えば、サービス識別情報、荷物のサイズ、及び、運搬先の位置情報である。サービス識別情報は、移動ロッカーサービスにおいて、移動ロッカーを使用する1サービスに割り当てられる識別情報である。
【0058】
サポート事案の発生は、ユーザ端末又は車両3からのサポート依頼の受信によって検出されることに限定されず、制御部11によって検出されてもよい。例えば、車両3がセンサ330の検知値を所定の周期でセンタサーバ1へ送信し、制御部11はセンサ330の検知値に基づいて車両3のサポート事案の発生を検出してもよい。
【0059】
制御部11は、サポート事案の発生を検出した場合には、車両3の位置情報と、仮想管理者として登録されているユーザ端末2及び店舗端末5の位置情報とに基づいて、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5を特定する。仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5を特定する範囲は、例えば、車両3から所定の距離以内の範囲、又は、車両3と同じ区画等であり、移動ロッカーシステム100の管理者によって設定される。仮想管理者として登録されているユーザ端末2及び店舗端末5の情報は、後述の仮想管理者端末情報DB 12を参照することで取得される。
【0060】
制御部11は、特定した仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5へ、サポート対応依頼を送信する。サポート対応依頼とともに、対象の車両の識別情報、対象の車両3の位置情報、サポート事案の種類を示す情報、サポート事案の対応の内容を示す情報、付与されるインセンティブに関する情報、及び、サポートの詳細情報等も送信される。サポート対応依頼とともに送信される、サポート事案の種類を示す情報、及び、サポートの詳細情報は、ユーザ端末又は車両3からのサポート依頼とともに受信されたサポート事案の種類を示す情報、及び、サポートの詳細情報と同じ内容である。ただし、サポート対応依頼とともに送信されるサポート事案の種類を示す情報は、例えば、メッセージ形式である。
【0061】
制御部11は、サポート対応依頼に対して、ユーザ端末2又は店舗端末5から承諾を示す応答を受信する。制御部11は、承諾を示す応答の送信元であるユーザ端末2又は店舗端末5の仮想管理者をサポート事案の対応の実施者として選択し、当該ユーザ端末2又は店舗端末5へ正式依頼を送信する。これによって、車両3のサポート事案の依頼が成立する。制御部11は、対象の車両3へ、サポート事案の対応が実施されることを通知するために、サポート対応情報を送信する。サポート対応情報には、例えば、サポート事案の種類、実施者の識別情報、及び、上述のサポート事案の詳細情報が含まれる。
【0062】
なお、制御部11は、サポート対応依頼を、車両3から所定の範囲に存在する複数の仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5に送信してもよい。複数の仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5から承諾の応答を受信した場合には、例えば、制御部11は、最も早く受信した承諾を示す応答の送信元のユーザ端末2又は店舗端末5の仮想管理者をサポート事案の対応の実施者として選択してもよい。または、制御部11は、受信した承諾を示す応答の送信元のユーザ端末2又は店舗端末5の中から、ユーザ端末2よりも店舗端末5の仮想管理者を優先してサポート事案の対応の実施者として選択してもよい。
【0063】
制御部11は、例えば、車両3、及び、サポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5、の双方から、サポート事案の対応の完了を示すサポート対応完了通知を受信した場合に、対象のサポート事案の対応の完了を判定する。車両3からのサポート対応完了通知は、例えば、車両3に備えられるタッチパネルディスプレイ320からサポート事案の対応の実施者によって入力される。ただし、これに限定されず、制御部11は、例えば、車両3、及び、サポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5、のいずれか一方からサポート対応完了通知を受信した場合に、対象のサポート事案の対応の完
了を判定してもよい。
【0064】
制御部11は、サポート事案の対応の実施者に対して、例えば、サポート事案の種類に応じて、インセンティブを付与する。付与されるインセンティブは、例えば、移動ロッカーシステム100において使用可能なポイント、移動ロッカーサービスの割引クーポン、電子マネー、又は、現金等である。制御部11は、例えば、個人のユーザと事業者とで、付与するインセンティブの種類を変えてもよい。例えば、制御部11は、個人のユーザには、インセンティブとして、ポイント又はクーポンを付与する。例えば、制御部11は、事業者には、インセンティブとして、料金を支払ってもよい。制御部11は、例えば、事業者には、当該事業者の複数の店舗のそれぞれ、又は、全店舗分まとめて、履歴情報からサポート事案の対応の実績を集計して、所定期間分の料金を支払う。
【0065】
仮想管理者端末情報DB 12、インセンティブ情報DB 13、履歴情報DB 14、サービス情報DB 15、及び、ユーザ情報DB 16は、センタサーバ1の外部記憶装置103の記憶領域に作成される。仮想管理者端末情報DB 12は、仮想管理者が使用する端末に関する情報を保持する。インセンティブ情報DB 13は、サポート事案の種類ごとに付与されるインセンティブに関する情報を保持する。履歴情報DB 14は、サポート事案の対応のイベントについて履歴情報を保持する。サービス情報DB 15は、移動ロッカーシステム100において依頼されたサービスに関する情報を保持する。ユーザ情報DB 16は、移動ロッカーシステム100に登録しているユーザ及び移動ロッカーシステム100と提携する事業者に関する情報を保持する。仮想管理者端末情報DB
12、インセンティブ情報DB 13、履歴情報DB 14、サービス情報DB 15、及び、ユーザ情報DB 16のそれぞれに保持される情報の詳細は、後述される。
【0066】
次に、車両3は、機能構成として、制御部31を備える。制御部31の処理は、データ通信装置310のCPU 301が移動ロッカーシステム100の車両3用の制御プログラムを実行することによって達成される。
【0067】
制御部31は、センサ330の検知値を所定の周期で取得し、センサ330の検知値を解析することで、例えば、ロッカー4の扉の閉め忘れ、及び、車両3内のごみの置き忘れ等の軽微な異常を検知する。なお、制御部31が検知する軽微な異常は、予め検知条件が設定されており、センサ330の検知値が当該検知条件を満たす場合に、制御部31は、軽微な異常を検知する。
【0068】
また、制御部31は、車両3に備えられる充電池の充電を管理するECU(Electronic
Control Unit)から、充電池の残電力量の不足の通知を受ける。充電池の残電力量の不
足を、充電不足と称する。充電不足の通知は、例えば、残電力量が所定の閾値以下となった場合に発生する。また、制御部31は、タッチパネルディスプレイ320から、サポート依頼のユーザ操作の入力を受け付ける。サポート依頼のユーザ操作では、サポート事案の種類を示す情報と、サポート事案の詳細情報とが入力される。
【0069】
制御部31は、軽微な異常を検知した場合、充電不足の通知を受けた場合、及び、サポート依頼のユーザ操作の入力を受け付けた場合に、サポート事案の発生を検出し、センタサーバ1へサポート依頼を送信する。サポート依頼とともに、車両3の識別情報及び位置情報、サポート事案の種類を示す情報、及び、上述のサポート事案の詳細情報も送信される。
【0070】
制御部31は、自身がサポート依頼を送信した場合、又は、ユーザ端末から車両3に関するサポート依頼がセンタサーバ1へ送信された場合に、センタサーバ1から、上述のサポート対応情報を受信する。制御部31は、サポート対応情報を受信すると、タッチパネ
ルディスプレイ320にサポート対応情報を含むサポート完了入力画面を表示する。サポート完了入力画面から、サポート事案の対応の完了が入力されると、制御部31は、サポート対応完了通知をセンタサーバ1へ送信する。
【0071】
次に、ユーザ端末2は、機能構成として、制御部21を備える。制御部21の処理は、CPU 201が移動ロッカーシステム100のサービスを利用するためのアプリケーションプログラムを実行することによって達成される。制御部21は、ユーザ登録のユーザ操作の入力を受けると、ユーザ登録要求をセンタサーバ1へ送信する。ユーザ登録要求とともに、例えば、ユーザ名、パスワード、ユーザ端末2の識別情報、及び、仮想管理者として登録するか否かを示す情報も送信される。
【0072】
制御部21は、センタサーバ1から、サポート対応依頼を受信すると、ユーザにサポート対応依頼があったことを通知する。通知方法は、例えば、プッシュ通知等である。制御部21は、サポート対応依頼に関する情報を含む、後述のサポート対応依頼画面をタッチパネルディスプレイ205に表示する。タッチパネルディスプレイ205を通じて、承諾を示すユーザ操作又は拒否を示すユーザ操作が入力された場合には、制御部21は、センタサーバ1へ、承諾を示す応答又は拒否を示す応答を送信する。制御部21は、センタサーバ1から正式依頼を受信すると、実施者として正式にサポート事案の対応の依頼を受けたことを、例えば、タッチパネルディスプレイ205へ出力する。制御部21は、サポート事案の対応の完了を示すユーザ操作が入力されると、サポート対応完了通知をセンタサーバ1へ送信する。なお、センタサーバ1への応答では、ユーザ端末2の識別情報も送信される。
【0073】
次に、店舗端末5は、機能構成要素として、制御部51を備える。制御部51は、店舗端末5のCPUが外部記憶装置に保持される移動ロッカーシステム100の店舗端末5用のプログラムを実行することによって達成される。制御部51は、制御部21と同様に、センタサーバ1からサポート対応依頼を受信すると、仮想管理者として行動する店舗のスタッフに音声等で通知し、例えば、タッチパネルディスプレイにサポート対応依頼画面を表示する。制御部51は、承諾を示すユーザ操作又は拒否を示すユーザ操作が入力された場合に、センタサーバ1へ、承諾を示す応答又は拒否を示す応答を送信する。制御部51は、センタサーバ1から正式依頼を受信すると、実施者として正式にサポート事案の対応の依頼を受けたことを、例えば、タッチパネルディスプレイへ出力する。制御部51は、サポート事案の対応の完了を示すユーザ操作が入力されると、サポート対応完了通知をセンタサーバ1へ送信する。なお、センタサーバ1への応答では、店舗端末5の識別情報も送信される。
【0074】
図4は、ユーザ情報DB 16に保持される情報の一例である。ユーザ情報DB 16には、移動ロッカーシステム100に登録しているユーザ又は移動ロッカーシステム100と提携している事業者に関する情報が保持される。移動ロッカーシステム100の1レコードには、ユーザID、個人/事業者、仮想管理者、性別、年代、及び、インセンティブのフィールドが含まれている。
【0075】
ユーザIDのフィールドには、ユーザの識別情報が格納される。ユーザの識別情報は、移動ロッカーシステム100においてユニークに割り当てられる。個人/事業者のフィールドには、ユーザが個人ユーザであるか、又は、事業者であるかを示す情報が格納される。ユーザが個人ユーザであるか、又は、事業者であるかを示す情報は、例えば、フラグ、コード、又は、キーワードのいずれかである。
【0076】
仮想管理者のフィールドには、ユーザが仮想管理者であるか否かを示す情報が格納される。ユーザが仮想管理者であるか否かを判定する情報は、例えば、フラグ、コード、又は
、キーワードである。性別及び年代のフィールドには、それぞれ、ユーザの性別を示す情報及び年代を示す情報が格納される。ユーザの性別を示す情報及び年代を示す情報は、例えば、フラグ、コード、又は、キーワードのいずれかである。性別及び年代のフィールドは、個人/事業者のフィールドに個人ユーザであることを示す情報が格納されている場合に値が格納される。個人/事業者のフィールドに事業者であることを示す情報が格納されている場合には、性別及び年代のフィールドは空となる。
【0077】
インセンティブのフィールドには、ユーザが保持するインセンティブを情報が格納される。インセンティブは、個人ユーザには、例えば、移動ロッカーシステム100で使用可能なポイント及びクーポンが付与される。事業者には、第1実施形態では、インセンティブとして、料金が支払われる。事業者には、その契約に応じて、インセンティブが支払われない場合もある。
【0078】
ユーザ情報DB 16のレコードは、例えば、ユーザ端末2からユーザ登録要求を受信した場合、及び、事業者と提携の契約が成立した場合に登録される。仮想管理者として登録するか否かは、ユーザによって選択される。ユーザ情報DB 16に保持される情報は、
図4に示される情報に限定されない。
【0079】
図5は、仮想管理者端末情報DB 12に保持される情報の一例である。仮想管理者端末情報DB 12には、仮想管理者が使用する端末に関する情報が保持されている。仮想管理者端末情報DB 12の1レコードは、仮想管理者が使用する1台の端末に対応する。仮想管理者端末情報DB 12の1レコードには、端末ID、ユーザID、店舗ID、及び、位置情報のフィールドが含まれる。
【0080】
端末IDのフィールドには、ユーザ端末2又は店舗端末5の識別情報が格納される。ユーザ端末2及び店舗端末5の識別情報は、例えば、移動ロッカーシステム100においてユニークに割り当てられてもよいし、ユーザ端末2及び店舗端末5にあらかじめ固有に割り当てられている端末識別情報であってもよい。ユーザIDのフィールドには、ユーザ端末2又は店舗端末5のユーザの識別情報が格納される。
【0081】
店舗IDのフィールドには、店舗端末5が使用される店舗の識別情報が格納される。店舗の識別情報は、事業者によって各店舗に割り当てられているものであってもよいし、移動ロッカーシステム100でユニークに割り当てられるものであってもよい。店舗IDのフィールドは、個人ユーザのユーザ端末2である場合には空となる。
【0082】
位置情報のフィールドには、ユーザ端末2及び店舗端末5の位置を示す情報が格納される。位置情報のフィールドは、ユーザ端末2の場合には、ユーザ端末2から所定の周期で位置情報が受信される度に制御部11によって更新される。位置情報のフィールドには、店舗端末5の場合には、店舗端末5が使用される店舗の位置情報が格納される。
【0083】
仮想管理者端末情報DB 12のレコードは、例えば、ユーザ端末2からユーザ登録要求を受信した場合、及び、事業者と提携の契約が成立した後、店舗端末5から端末登録要求を受信した場合に、制御部11によって、登録される。店舗端末5からの端末登録要求とともに、ユーザの識別情報、店舗の識別情報、端末の識別情報、及び、店舗の位置情報も受信される仮想管理者端末情報DB 12に保持される情報は、
図5に示される情報に限定されない。
【0084】
図6は、インセンティブ情報DB 13に保持される情報の一例である。インセンティブ情報DB 13は、サポート事案の種類とインセンティブとの対応付けを保持する。インセンティブ情報DB 13の1レコードには、インシデントID、サポート内容、及び
、インセンティブのフィールドが含まれている。
【0085】
インシデントIDのフィールドには、サポート事案を識別する識別情報が格納される。サポート内容のフィールドには、インシデントIDに対応するサポート事案の種類を示す情報が格納される。サポート事案の種類を示す情報は、フラグ、コード、又は、キーワードのいずれかである。
【0086】
インセンティブのフィールドには、サポート事案の対応を実施した仮想管理者に付与されるインセンティブの情報が格納される。
図6に示されるインセンティブ情報DB 13は、第1実施形態では、個人のユーザに対してインセンティブが付与される場合に、制御部11によって参照される。ただし、個人のユーザにも事業者にも同じインセンティブが付与される場合には、同じインセンティブ情報DB 13が共用されてもよい。なお、インセンティブ情報DB 13に保持される情報は、
図6に示されるものに限定されない。
【0087】
図7は、履歴情報DB 14に保持される情報の一例である。履歴情報DB 14は、サポート事案の対応に関する履歴情報を保持する。履歴情報DB 14の1レコードには、タイムスタンプ、ユーザID、個人/事業者、及び、サポート内容のフィールドが含まれている。
【0088】
タイムスタンプのフィールドには、例えば、当該レコードが登録された日時が格納される。タイムスタンプフィールドの値は、サポート事案の対応を実施した仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5、または、対象の車両3からサポート対応完了通知を受信した日時であってもよい。
【0089】
ユーザIDのフィールドには、サポート事案の対応を実施した仮想管理者であるユーザの識別情報が格納される。個人/事業者のフィールドには、サポート事案の対応を実施した仮想管理者であるユーザが個人ユーザであるか、又は、事業者であるかを示す情報が格納される。サポート内容のフィールドには、サポート事案の種類を示す情報が格納される。
【0090】
履歴情報DB 14のレコードは、第1実施形態では、サポート事案の対応を実施した仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5と、対象の車両3との双方からのサポート対応完了通知の受信が完了した場合に、制御部11によって作成され登録される。履歴情報DB 14は、例えば、所定期間における、各事業者サポート事案の対応についての料金を算出する場合に、制御部11によって算出される。事業者への料金は、例えば、事業者ごとに、サポート事案の種類別で、実施回数を集計し、実施回数に応じた料金を算出し、全種類で合計することで算出される。
【0091】
なお、履歴情報DB 14に保持される情報は
図7に示されるものに限定されない。例えば、履歴情報DB 14には、サポート対象の車両の識別情報や、サポート事案の詳細情報が含まれてもよい。
【0092】
図8は、サービス情報DB 15に保持される情報の一例である。サービス情報DB 15は、サービス情報を保持する。
図8に示されるサービス情報DB 15の1レコードは、1つのロッカー使用依頼に対して提供されるサービスのサービス情報である。
図8に示されるサービス情報DB 15の1レコードには、サービスID、ユーザID、ロッカーID、預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所のフィールドが含まれる。
【0093】
サービスIDのフィールドには、サービスの識別情報が格納される。サービスの識別情報は、ユーザ端末から受信したロッカー使用依頼について、サービス提供が成立した場合
に、制御部11によって割り当てられる。ユーザIDのフィールドには、ユーザの識別情報が格納される。ロッカーIDのフィールドには、当該サービスに割り当てられたロッカー4の収納部の識別情報が格納される。
【0094】
預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所のフィールドには、それぞれ、預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所を示す情報が格納される。預入場所及び取出場所を示す情報は、例えば、住所、緯度及び経度、及び、ランドマーク名等である。預入日時及び取出日時は、例えば、年月日時分で示される。
【0095】
制御部11は、ユーザ端末からロッカー使用依頼を受信し、サービスの提供が成立した場合に、サービス情報DB 15にレコードを追加する。レコードが追加されるとともに、制御部11は、成立したサービスに識別情報を割り当て、サービスIDのフィールドに格納する。また、ロッカーIDのフィールドには、制御部11によって割り当てられたロッカー4の収納部の識別情報が格納される。また、ユーザID、預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所のフィールドには、制御部11によって、それぞれ、ロッカー使用依頼とともにユーザ端末から受信された、ユーザの識別情報、預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所が格納される。なお、サービス情報DB 15に保持される情報は
図8に示される情報に限定されない。
【0096】
図9は、ユーザ端末2のユーザ登録画面の一例である。ユーザ登録画面は、ユーザに関する情報を入力し、移動ロッカーシステム100にユーザ登録を行う画面である。ユーザ登録画面は、例えば、移動ロッカーシステム100のサービスを利用するためのアプリケーションプログラムのメニューからユーザ登録を選択すると表示される。
【0097】
図9に示されるユーザ登録画面には、ユーザ名、パスワード、性別、年代、登録地域、及び、決済方法の入力欄と、仮想管理者として登録することを選択するチェックボックスと、ユーザ登録のボタンと、キャンセルボタンとが含まれている。ユーザ登録のボタンが選択されると、ユーザ登録要求の操作がユーザ端末2へ入力され、制御部21は、センタサーバ1へ、ユーザ登録要求が送信される。
【0098】
ユーザ登録要求とともに、ユーザ登録画面で入力された、ユーザ名、パスワード、性別、年代、登録地域、及び、決済方法に関する情報もセンタサーバ1へ送信される。ユーザ登録画面において、仮想管理者として登録することを選択するチェックボックスにチェックが入っている場合には、ユーザ登録要求とともに、仮想管理者として登録することを示す情報もセンタサーバ1へ送信される。仮想管理者として登録することを選択するチェックボックスにチェックが入っていない場合には、ユーザ登録要求とともに、仮想管理者として登録しないことを示す情報もセンタサーバ1へ送信される。なお、
図9に示されるユーザ登録画面は一例であり、ユーザ登録画面の構成は
図9に示される例に限定されない。
【0099】
図10は、ユーザ端末2のサポート対応依頼画面の一例である。サポート対応依頼画面は、車両3のサポート事案の対応の実施を承諾するか否について応答を入力する画面である。サポート対応依頼画面は、センタサーバ1からサポート対応依頼が受信された場合に表示される。すなわち、サポート対応依頼画面は、ユーザ端末2のユーザが仮想管理者として登録しており、且つ、ユーザ端末2がサポート事案の対応を要する車両3から所定の範囲に存在している場合に表示される。
【0100】
図10に示されるサポート対応依頼画面では、サポート事案の種類を示す情報と、サポート事案の対応内容を示す情報と、対象の車両3の識別情報と、付与されるインセンティブに関する情報と、対象の車両3内の撮像画像、対象車両3の位置情報を示す表示欄と、承諾のボタンと、拒否のボタンとが含まれている。これらの情報は、サポート対応依頼と
ともにセンタサーバ1から受信される。
【0101】
図10に示される例では、サポート事案の種類を示す情報として、「車両内のごみの置き忘れ」というメッセージが表示されている。サポート事案の対応の内容を示す情報として、「車両内のごみの撤去をお願いします。」というメッセージが表示されている。対象の車両3の情報として、「車両識別情報:CA001」が表示されている。付与されるインセンティブに関する情報として、「付与ポイント:100pt」が表示されている。
【0102】
図10に示される例の対象の車両3内の撮像画像は、サポート事案の種類がごみの置き忘れである場合のサポートの詳細情報に含まれる情報の一つである。
図10に示される例において、車両の位置情報は、例えば、センタサーバ1からは緯度及び経度として通知され、ユーザ端末2において、視覚的に理解しやすいように地図上でユーザ端末2の現在位置とともに示されている。
【0103】
承諾のボタンが選択されると、制御部21は、センタサーバ1へ、承諾を示す応答を送信する。拒否のボタンが選択されると、制御部21は、センタサーバ1へ、拒否を示す応答を送信する。承諾を示す応答又は拒否を示す応答とともに、制御部21は、ユーザ端末2の識別情報、及び、ユーザの識別情報もセンタサーバ1へ送信する。なお、サポート対応依頼画面の構成は
図10に示される例に限定されない。
【0104】
<処理の流れ>
図11は、第1実施形態に係る車両3の処理のフローチャートの一例である。
図11に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図11に示される処理の実行主体は、データ通信装置310のCPU 301であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0105】
OP101では、制御部31は、サポート事案が発生したか否かを判定する。サポート事案は、例えば、軽微な異常を検知した場合、充電不足の通知を受けた場合、及び、サポート依頼のユーザ操作の入力を受け付けた場合に、発生が検出される。サポート事案が発生した場合には(OP101:YES)、処理がOP102へ進む。サポート事案が発生していない場合には(OP101:NO)、処理がOP103へ進む。
【0106】
OP102では、制御部31は、センタサーバ1へ、サポート依頼を送信する。サポート依頼とともに、例えば、車両3の識別情報及び位置情報、及び、サポート事案の種類を示す情報、及び、サポート事案の詳細情報も送信される。
【0107】
OP103では、制御部31は、センタサーバ1からサポート対応情報を受信した否かを判定する。サポート対応情報は、ユーザ端末又は車両3からサポート依頼が発生した場合にセンタサーバ1から車両3へ送信される。サポート対応情報には、例えば、サポート事案の種類を示す情報、実施者の識別情報、及び、サポート事案の詳細情報が含まれる。センタサーバ1からサポート対応情報が受信された場合には(OP103:YES)、処理がOP105へ進む。
【0108】
センタサーバ1からサポート対応情報を受信していない場合、又は、サポート依頼送信から所定時間経過してもセンタサーバ1からサポート対応情報が受信されない場合には(OP103:NO)、
図11に示される処理が終了する。
【0109】
OP105では、制御部31は、サポート対応完了のユーザ操作が入力されるか否かを判定する。サポート対応完了のユーザ操作は、サポート事案の対応の実施者であるユーザ(仮想管理者)によって入力される。サポート対応完了のユーザ操作が入力された場合に
は(OP105:YES)、処理がOP106へ進み、制御部31は、センタサーバ1へ、サポート対応完了通知を送信する。サポート対応完了のユーザ操作が入力されていない場合には(OP105:NO)、制御部31は、サポート対応完了のユーザ操作が入力されるまで待機状態となる。
【0110】
OP107では、制御部31は、センタサーバ1から、応答を受信したか否かを判定する。センタサーバ1から応答が受信された場合には(OP107:YES)、
図11に示される処理が終了する。センタサーバ1から応答が受信されていない場合には(OP107:NO)、制御部31は、センタサーバ1から応答を受信するまで待機状態となる。
【0111】
図12は、第1実施形態に係るセンタサーバ1の処理のフローチャートの一例である。
図12に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図12に示される処理の実行主体は、CPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0112】
OP201では、制御部11は、ユーザ端末又は車両3から、サポート依頼を受信したか否かを判定する。サポート依頼とともに、例えば、車両3の識別情報及び位置情報、及び、サポート事案の種類を示す情報、及び、サポート事案の詳細情報も受信される。サポート依頼が受信された場合には(OP201:YES)、処理がOP202へ進む。サポート依頼が受信されていない場合には(OP201:NO)、
図12に示される処理が終了する。
【0113】
OP202では、制御部11は、仮想管理者端末情報DB 12を参照して、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5を特定する。OP203では、制御部11は、OP202で特定したユーザ端末2又は店舗端末5へサポート対応依頼を送信する。サポート対応依頼とともに、例えば、対象の車両3の識別情報、対象の車両3の位置情報、サポート事案の種類を示す情報、サポート事案の対応の内容を示す情報、付与されるインセンティブに関する情報、及び、サポートの詳細情報等も送信される。
【0114】
OP204では、制御部11は、サポート対応依頼に対する承諾を示す応答を、OP203で送信されたサポート対応依頼の送信先であるユーザ端末2又は店舗端末5から受信した否かを判定する。サポート対応依頼に対する承諾を示す応答が受信された場合には(OP204:YES)、処理がOP205へ進む。サポート対応依頼に対する承諾を示す応答が受信されない、すなわち、拒否を示す応答が受信された場合には(OP204:NO)、
図12に示される処理が終了する。OP202において複数のユーザ端末2又は店舗端末5が特定され、OP203において複数のユーザ端末2又は店舗端末5へサポート対応依頼が送信された場合には、少なくとも1台のユーザ端末2又は店舗端末5から承諾を示す応答が受信された場合には、OP204は肯定判定となる。反対に、1台のユーザ端末2または店舗端末5のいずれからも承諾を示す応答が受信されない場合には、OP204は否定判定となる。
【0115】
OP205では、制御部11は、受信した承諾を示す応答の送信元であるユーザ端末2又は店舗端末5のユーザ(仮想管理者)をサポート事案の対応の実施者として決定し、当該ユーザ端末2又は店舗端末5へ正式依頼を送信する。なお、複数のユーザ端末2又は店舗端末5から承諾を示す応答が受信されている場合には、制御部11は、当該複数のユーザ端末2又は店舗端末5の中から、ランダムに又は所定の条件を満たすユーザ端末2又は店舗端末5のユーザをサポート事案の対応の実施者として決定する。所定の条件は、例えば、最初に受信された承諾を示す応答の送信元であること、又は、店舗端末5を優先すること、等である。また、OP205では、制御部11は、車両3へサポート対応情報を送信する。
【0116】
OP206では、制御部11は、車両3からサポート対応完了通知を受信したか否かを判定する。車両3からサポート対応完了通知が受信された場合には(OP206:YES)、処理がOP207へ進む。車両3からサポート対応完了通知が受信されない場合には(OP206:NO)、制御部11は車両3からサポート対応完了通知が受信されるまで待機状態となる。
【0117】
OP207では、制御部11は、サポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5からサポート対応完了通知を受信したか否かを判定する。サポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5からサポート対応完了通知が受信された場合には(OP207:YES)、処理がOP208へ進む。サポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5からサポート対応完了通知が受信されない場合には(OP207:NO)、制御部11はサポート対応完了通知が受信されるまで待機状態となる。
【0118】
OP208では、制御部11は、車両3及びサポート事案の対応の実施者のユーザ端末2又は店舗端末5へ応答を送信する。また、制御部11は、履歴情報DB 14に履歴情報を記録する。OP209では、制御部11は、インセンティブ情報DB 13を参照して、サポート事案の対応の実施者に対して、サポート事案の種類に応じてインセンティブを付与し、ユーザ情報DB 16の該当のユーザ情報を更新する。なお、OP209の処理は、サポート事案の対応の実施者が個人ユーザである場合に実施される。その後、
図12に示される処理が終了する。
【0119】
図13及び
図14は、それぞれ、第1実施形態に係るユーザ端末2の処理のフローチャートの一例である。
図13及び
図14の処理は、それぞれ、所定の周期で繰り返し実行される。
図13及び
図14に示される処理の実行主体は、CPU 201であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0120】
図13は、ユーザ端末2の、ユーザ登録処理のフローチャートの一例である。OP301では、制御部21は、タッチパネルディスプレイ205を通じて、ユーザ登録要求のユーザ操作が入力されたか否かを判定する。ユーザ登録要求のユーザ操作が入力された場合には(OP301:YES)、処理がOP302へ進む。ユーザ登録要求のユーザ操作が入力され邸内場合には(OP301:NO)、
図13に示される処理が終了する。
【0121】
OP302では、制御部21は、センタサーバ1へ、ユーザ登録要求を送信する。ユーザ登録要求とともに、例えば、ユーザ名、パスワード、ユーザ端末2の識別情報、及び、仮想管理者として登録するか否かを示す情報も送信される。
【0122】
OP303では、制御部21は、センタサーバ1からユーザ登録要求に対する応答が受信されたか否かを判定する。センタサーバ1から応答が受信されることで、ユーザ端末2のユーザが移動ロッカーシステム100に登録されたことが示される。センタサーバ1からユーザ登録要求に対する応答が受信された場合には(OP303:YES)、
図12に示される処理が終了する。センタサーバ1からユーザ登録要求に対する応答が受信されていない場合には(OP303:NO)、制御部21は、センタサーバ1から応答が受信されるまで待機状態となる。
【0123】
図14は、ユーザ端末2の、サポート対応依頼を受信した場合の処理のフローチャートの一例である。OP401では、制御部21は、センタサーバ1から、サポート対応依頼を受信したか否かを判定する。センタサーバ1からサポート対応依頼が受信された場合には(OP401:YES)、処理がOP402へ進む。センタサーバ1からサポート対応依頼が受信されていない場合には(OP401:NO)、
図14に示される処理が終了す
る。
【0124】
OP402では、制御部21は、タッチパネルディスプレイ205にサポート対応依頼画面を表示する。OP403では、制御部21は、タッチパネルディスプレイ205を通じて、承諾を示す応答のユーザ操作が入力されたか否かを判定する。承諾を示す応答のユーザ操作が入力された場合には(OP403:YES)、処理がOP404へ進み、OP404では、制御部21は、センタサーバ1へ承諾を示す応答を送信する。拒否を示す応答のユーザ操作が入力された場合には(OP403:NO)、処理がOP405へ進み、OP405では、制御部21は、センタサーバ1へ拒否を示す応答を送信する。その後、
図14に示される処理が終了する。
【0125】
OP406では、制御部21は、センタサーバ1から正式依頼を受信したか否かを判定する。センタサーバ1から正式依頼が受信された場合には(OP406:YES)、処理がOP407へ進む。例えば、所定時間経過してもセンタサーバ1から正式依頼が受信されない場合には(OP406:NO)、
図14に示される処理が終了する。
【0126】
OP407では、制御部21は、サポート対応完了のユーザ操作が入力されたか否かを判定する。サポート対応完了のユーザ操作が入力された場合には(OP407:YES)、処理がOP408へ進み、OP408では、制御部21は、センタサーバ1へ、サポート対応完了通知を送信する。サポート対応完了のユーザ操作が入力されていない場合には(OP407:NO)、制御部21はサポート対応完了のユーザ操作が入力されるまで待機状態となる。
【0127】
OP409では、制御部21は、センタサーバ1から応答を受信したか否かを判定する。センタサーバ1から応答が受信された場合には(OP409:YES)、
図14に示される処理が終了する。センタサーバ1から応答が受信されていない場合には(OP409:NO)、制御部21はセンタサーバ1から応答を受信するまで待機状態となる。
【0128】
なお、
図11-
図14に示される処理は、それぞれ一例であって、実施の形態に応じて、適宜処理を追加、置換、及び、削除することが可能である。
【0129】
図15は、第1実施形態における、仮想管理者による車両3のサポート事案の対応のシーケンスの一例を示す図である。
図15では、車両3に軽微な異常が発生し、車両3の周囲の仮想管理者に当該軽微な異常について対応してもらうまでの処理のシーケンスが示されている。
【0130】
S11では、車両3は、例えば、ロッカー4の扉の閉め忘れのような軽微な異常を検出する(
図11のOP101:YES)。S12では、車両3は、センタサーバ1へ、サポート依頼を送信する(
図11のOP102)。S12で送信されるサポート依頼とともに、車両3の識別情報と位置情報、ロッカー4の扉の閉め忘れを示す情報、及び、該当するロッカー4の収納部の識別情報又は/及びロッカー4における位置を示す情報も送信される。ロッカー4の扉の閉め忘れを示す情報は、サポート事案の種類を示す情報に該当する。該当するロッカー4の収納部の識別情報又は/及びロッカー4における位置を示す情報は、サポート事案の詳細情報に該当する。
【0131】
S13では、センタサーバ1は、車両3からサポート依頼を受信し(
図12のOP201:YES)、車両3から所定の範囲に存在する仮想管理者の端末として、ユーザ端末2を特定する(
図12のOP202)。S14では、センタサーバ1は、ユーザ端末2へサポート対応依頼を送信する(
図12のOP203)。S14では、サポート対応依頼とともに、車両3の識別情報及び位置情報、ロッカー4の扉の閉め忘れを示す情報、該当する
ロッカー4の収納部の識別情報又は/及びロッカー4における位置を示す情報、及び、付与されるインセンティブに関する情報も送信される。
【0132】
S15では、ユーザ端末2はセンタサーバ1からサポート対応依頼を受信し(
図14のOP401:YES)、サポート対応依頼画面を表示し(
図14のOP402)、承諾を示す応答のユーザ操作の入力を受け(
図14のOP403:YES)、センタサーバ1へ承諾を示す応答を送信する(
図14のOP404)。S16では、センタサーバ1は、ユーザ端末2から承諾を示す応答を受信し(
図12のOP204:YES)、ユーザ端末2へ正式依頼を送信する(
図12のOP205)。S17では、センタサーバ1は、サポート対応情報を車両3へ送信する。
【0133】
S21では、ユーザ端末2のユーザである仮想管理者が車両3へ乗り込み、例えば、閉め忘れられていたロッカー4の扉を閉める等の対応の処理を行う。S22では、ユーザ端末2のユーザである仮想管理者がユーザ端末2と車両3とにサポート対応完了のユーザ操作を入力する(
図11のOP105:YES、
図14のOP407)。S23では、車両3はセンタサーバ1へサポート対応完了通知を送信する(
図11のOP106)。S24では、ユーザ端末2はセンタサーバ1へサポート対応完了通知を送信する(
図14のOP408)。
【0134】
S25では、センタサーバ1は、ユーザ端末2と車両3との双方からサポート対応完了通知を受信しているので(
図12のOP206:YES,OP207:YES)、ユーザ端末2及び車両3へ応答を送信する(
図12のOP208)。S26では、センタサーバ1は、ユーザ端末2のユーザに、ロッカー4の扉の閉め忘れの対応についてインセンティブを付与する(
図12のOP209)。
【0135】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、車両3のサポート事案に対応可能な仮想管理者をユーザや事業者が担うことによって、車両3の管理者を点在させることができる。これによって、車両3のサポート事案が発生した場合でも、車両3の周辺で仮想管理者によって当該サポート事案の対応が行われる。したがって、第1実施形態によれば、車両3のサポート事案により迅速に対応することができる。
【0136】
例えば、車両3のサポート事案が軽微な異常である場合には、車両3はセンタ等に戻ることなく当該異常を解決することができ、稼働率を向上させることができる。また、例えば、車両3のサポート事案が荷物の積み下ろしのサポートや車両3から所定の場所までの運搬等である場合には、移動ロッカーサービスを利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0137】
また、第1実施形態では、車両3のサポート事案の対応を実施した仮想管理者にはインセンティブが付与されるので、仮想管理者として登録することを促すことができる。また、インセンティブは、個人のユーザであるか事業者であるかに応じて、付与される種類又はタイミング等が異なるので、仮想管理者にとって都合のよいインセンティブを付与することができる。
【0138】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態では、車両3のサポート事案の対応の実施者として、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者が選択される。これに加えて、第1実施形態の変形例では、仮想管理者の属性も考慮して車両3のサポート事案の実施者の選択が行われる。
【0139】
例えば、荷物が大きかったり重かったりする場合には、女性では、荷物の積み下ろし及
び運搬が難しいことがある。また、移動ロッカーサービスを利用するユーザが荷物の積み下ろしや運搬を仮想管理者に依頼する場合には、当該ユーザと当該仮想管理者とが顔を合わせることになる。荷物の運搬を依頼する場合には、例えば、自宅まで荷物を運んでもらったりすることもある。そのため、例えば、荷物の積み下ろしや運搬を依頼するユーザが、サポート事案の対応の実施者に対して、例えば、男性よりも女性の方がよい、及び、若い人の方が良いというような、属性について希望条件がある場合がある。
【0140】
第1実施形態の変形例では、制御部11は、車両3のサポート事案が荷物の積み下ろし又は配送であり、当該荷物のサイズが所定サイズ以上である場合には、実施者として男性の仮想管理者を選択する。また、制御部11は、サポート事案の対応を依頼するユーザからの実施者についての希望条件を受け付け、希望条件に合致する仮想管理者を実施者として選択する。なお、ユーザがサポート依頼の発信元となるのは、サポート事案の種類が、荷物の積み下ろし、及び、車両3から所定の場所までの荷物の運搬の場合である。
【0141】
図16は、第1実施形態の変形例における実施者選択処理のフローチャートである。
図16に示される処理は、例えば、
図12のOP202の処理に代えて実行される処理である。すなわち、
図16に示される処理は、制御部11が、ユーザ端末又は車両3からサポート依頼を受信した後に(
図12のOP201)、開始される。
【0142】
OP501では、制御部11は、仮想管理者端末情報DB 12を参照して、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者の端末である、ユーザ端末2又は店舗端末5を特定する。OP502では、制御部11は、車両3のサポート事案の対応の実施者について希望条件が有るか否かを判定する。実施者についての希望条件は、例えば、サポート依頼の送信元であるユーザによって、ユーザ端末又は車両3に入力され、サポート依頼とともにセンタサーバ1へ送信される。実施者についての希望条件には、例えば、性別、及び、年代等の属性の指定が含まれる。
【0143】
実施者について希望条件が有る場合には(OP502:YES)、処理がOP503へ進む。OP503では、制御部11は、OP501で特定された仮想管理者の端末であるユーザ端末2及び店舗端末5の中から、ユーザ情報DB 16を参照して、希望条件に合致する仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5を抽出する。その後、処理が
図12のOP203へ進む。この場合には、車両3から所定の範囲内に存在し、且つ、希望条件に合致する仮想管理者の中から車両3のサポート事案の対応の実施者が選択される。なお、事業者には、性別及び年代等の属性がないため、希望条件に含まれる性別や年代を満たすものとして扱われるようにしてもよい。
【0144】
実施者について希望条件がない場合には(OP502:NO)、処理がOP504へ進む。OP504では、制御部11は、車両3のサポート事案の種類が荷物の積み下ろし又は車両3から所定の場所への運搬であるか否かを判定する。車両3のサポート事案の種類が荷物の積み下ろし又は車両3から所定の場所への運搬のいずれでもない場合には(OP504:NO)、処理が
図12のOP203へ進む。この場合には、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者の中から車両3のサポート事案の対応の実施者が選択される。
【0145】
OP505では、制御部11は、積み下ろし又は運搬の対象の荷物のサイズが所定のサイズ以上であるか否かを判定する。荷物のサイズは、例えば、荷物の幅、高さ、及び、奥行きの3辺の合計長で段階分けされてもよい。荷物のサイズは、サポート依頼の送信元であるユーザによって、ユーザ端末又は車両3に入力され、サポート依頼とともにセンタサーバ1へ送信される。
【0146】
積み下ろし又は運搬の対象の荷物のサイズが所定のサイズ以上である場合には(OP5
05:YES)、処理がOP506へ進む。OP506では、制御部11は、ユーザ情報DB 16を参照して、OP501で特定された仮想管理者の中から、男性の仮想管理者を抽出する。その後、処理が
図12のOP203へ進む。この場合には、車両3から所定の範囲内に存在する男性の仮想管理者の中から車両3のサポート事案の対応の実施者が選択される。
【0147】
積み下ろし又は運搬の対象の荷物のサイズが所定のサイズ未満である場合には(OP505:NO)、処理が
図12のOP203へ進む。この場合には、車両3から所定の範囲内に存在する仮想管理者の中から車両3のサポート事案の対応の実施者が選択される。
【0148】
第1実施形態の変形例によれば、車両3のサポート事案の対応の実施者として、荷物のサイズ及びサポート依頼を行ったユーザからの希望条件に応じた属性の仮想管理者を選択することができる。例えば、車両3のサポート事案が荷物の積み下ろし又は配送である場合には、荷物のサイズが大きい場合には男性の仮想管理者が実施者として選択されるので、積み下ろし又は運搬をスムーズに実施することができる。例えば、サポート依頼を行うユーザからサポート事案の対応の実施者について希望条件がある場合には、希望条件に合致する仮想管理者を実施者として選択することができ、移動ロッカーサービスの利便性を高めることができる。
【0149】
<第2実施形態>
第1実施形態では、車両3の周辺に存在する仮想管理者のユーザ端末2又は店舗端末5にセンタサーバ1からサポート対応依頼が送信される。第2実施形態では、これに代えて、車両3の周辺に仮想管理者が存在する場合には、車両3がサポート対応依頼を示すメッセージの音声を出力することで、周囲の仮想管理者にサポート対応の依頼を報知する。第2実施形態では、システム構成、各装置のハードウェア構成及び機能構成は、第1実施形態と同様である。
【0150】
図17は、第2実施形態に係る車両3の処理のフローチャートの一例である。
図17に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図17に示される処理の実行主体は、データ通信装置310のCPU 310であるが、便宜上、車両3の機能構成要素を主体として説明する。
図17に示される処理は、第2実施形態において、第1実施形態の
図11に示される処理の代わりに実行される。
【0151】
OP601では、制御部31は、サポート事案が発生したか否かを判定する。サポート事案は、例えば、軽微な異常を検知した場合、充電不足の通知を受けた場合、及び、サポート依頼のユーザ操作の入力を受け付けた場合に、発生が検出される。また、第2実施形態では、ユーザ端末からサポート依頼がセンタサーバ1へ送信され、当該サポート依頼に車両3が合致する場合には、センタサーバ1から車両3へサポート依頼が送信される。したがって、第2実施形態では、センタサーバ1からサポート依頼を受信した場合にも、制御部31は、サポート事案が発生したことを検出する。
【0152】
サポート事案が発生した場合には(OP601:YES)、処理がOP602へ進む。サポート事案が発生していない場合には(OP601:NO)、
図17に示される処理が終了する。
【0153】
OP602では、制御部31は、センタサーバ1へ、仮想管理者の特定依頼を送信する。仮想管理者の特定依頼は、車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユーザ端末2または店舗端末5が存在するか否かの判定の依頼である。仮想管理者の特定依頼とともに、例えば、車両3の識別情報及び位置情報も送信される。仮想管理者の特定依頼の応答として、センタサーバ1からは、車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユ
ーザ端末2又は店舗端末5が存在するか否かを示す情報が受信される。ただし、これに限定されず、センタサーバ1からは、例えば、車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユーザ端末2又は店舗端末5の識別情報等も受信されてもよい。
【0154】
OP603では、制御部31は、車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユーザ端末2又は店舗端末5が存在するか否かを判定する。OP603の判定は、センタサーバ1からの仮想管理者の特定依頼に対する応答に基づいて行われる。車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユーザ端末2又は店舗端末5が存在する場合には(OP603:YES)、処理がOP604へ進む。車両3から所定の範囲内に仮想管理者の端末であるユーザ端末2又は店舗端末5が存在しない場合には(OP603:NO)、
図17に示される処理が終了する。
【0155】
OP604では、制御部31は、スピーカ340から、車両3のサポート事案の対応を依頼する音声メッセージを出力する。スピーカ340から出力されるサポート事案の対応を依頼する音声メッセージは、例えば、“サポートをお願いします”等である。ただし、これに限られず、制御部31は、単にスピーカ340からアラーム音を出力するのであってもよい。スピーカ340からの音声の出力は、例えば、承諾の応答が入力されるまで、所定時間継続される。
【0156】
車両3の周囲に存在する仮想管理者が車両3から出力される音声に気づき、サポート事案の対応を承諾する場合には、例えば、当該仮想管理者が車両3のタッチパネルディスプレイ320から承諾を示す応答と自身の識別情報とを入力する。このとき、タッチパネルディスプレイ320には、例えば、サポート対応依頼画面のようなサポート事案の種類等の情報を含む画面が表示されていてもよい。
【0157】
OP605では、制御部31は、例えば、タッチパネルディスプレイ320を通じて、承諾を示す応答のユーザ操作が入力されたか否かを判定する。承諾を示す応答のユーザ操作が入力された場合には(OP605:YES)、処理がOP606へ進む。承諾を示す応答のユーザ操作が所定時間経過しても入力されない場合には(OP605:NO)、
図17に示される処理が終了する。
【0158】
OP606では、制御部31は、サポート対応完了のユーザ操作が入力されるか否かを判定する。サポート対応完了のユーザ操作は、サポート事案の対応の実施者であるユーザ(仮想管理者)によって入力される。サポート対応完了のユーザ操作が入力された場合には(OP606:YES)、処理がOP607へ進み、制御部31は、センタサーバ1へ、サポート対応完了通知を送信する。これによって、センタサーバ1において、車両3のサポート事案の対応の履歴情報が記録される。サポート対応完了のユーザ操作が入力されていない場合には(OP606:NO)、制御部31は、サポート対応完了のユーザ操作が入力されるまで待機状態となる。
【0159】
OP608では、制御部31は、センタサーバ1から、応答を受信したか否かを判定する。センタサーバ1から応答が受信された場合には(OP608:YES)、
図17に示される処理が終了する。センタサーバ1から応答が受信されていない場合には(OP608:NO)、制御部31は、センタサーバ1から応答を受信するまで待機状態となる。
【0160】
第2実施形態では、車両3が音声を出力してサポート事案の対応の依頼を周囲に報知することで、周囲に存在する仮想管理者によりダイレクトにサポート事案の発生を知らせることができる。これによって、より迅速にサポート事案に対応することができる。第2実施形態に係る車両3のデータ通信装置301は、「情報処理装置」の一例である。
【0161】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0162】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0163】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0164】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0165】
1・・センタサーバ
2・・ユーザ端末
3・・車両
4・・ロッカー
5・・店舗端末
11、21、31・・制御部
12・・仮想管理者端末情報データベース
13・・インセンティブ情報データベース
14・・履歴情報データベース
15・・サービス情報データベース
16・・ユーザ情報データベース
100・・移動ロッカーシステム
101、201・・CPU
102、202・・メモリ
103、203・・外部記憶装置
104・・通信部
204・・無線通信部