(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20250218BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20250218BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022023618
(22)【出願日】2022-02-18
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮太
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 洋充
(72)【発明者】
【氏名】中川 智久
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184202(JP,A)
【文献】特開2020-024739(JP,A)
【文献】特開2002-236811(JP,A)
【文献】特開2007-316781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からサーバに入力された情報に基づいて、ユーザを少なくとも一つの食品店のうち所定の食品店まで案内するナビゲーションシステムにおいて、
前記ユーザの位置情報および前記ユーザから入力された所望の食品を含む前記ユーザの情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記少なくとも一つの食品店の所在地、および、前記少なくとも一つの食品店から登録された早期に消費すべき食品に関する情報を含む前記食品店の情報を取得する店舗情報取得部と、
前記少なくとも一つの食品店から登録された前記早期に消費すべき食品から、前記ユーザから入力された前記所望の食品に一致する食品を照合する食品情報照合部と、
前記所望の食品に一致する前記早期に消費すべき食品に関する情報、および、前記所望の食品に一致する前記早期に消費すべき食品を登録した前記少なくとも一つの食品店の情報を前記ユーザ端末に通知する店舗情報通知部と、
前記ユーザの位置情報に基づいて取得した前記ユーザの現在位置から、前記ユーザに通知した前記少なくとも一つの食品店のうち前記ユーザが選択した食品店である前記所定の食品店までの経路を設定する経路設定部と、
前記経路設定部で設定した前記ユーザの現在位置から前記所定の食品店までの経路を前記ユーザに案内する経路案内部とを
備えたナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目的地までユーザを案内するナビゲーションシステムに関し、特に、現在地からユーザが所望する食品を取り扱っている場所までの経路を案内するナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、本来食べられる食品であるのに捨ててしまうことによる損失である食品ロス(フードロス)を削減するための取り組みが行われている。食品ロスは、単に食糧資源が無駄になるだけでなく、食品を廃棄することによって発生するゴミの処理に多くのコストが掛かることや、可燃ごみとして燃やすことにより多量の温室効果ガスの排出および可燃ごみの焼却後に発生する灰の埋め立てなどによる環境への負荷につながっている。そのため、各個人で食品ロスが発生しないように取り組むだけでなく、事業者に対して事業活動を伴って発生するいわゆる事業系食品ロスを削減するような取り組みやシステムを作ることが求められている。
【0003】
そのようなシステムの一例として、特許文献1には、飲食店を訪れた顧客のオーダーしたメニューに応じてポイントを付与するように構成されたポイント付与システムが開示されている。特許文献1に記載のポイント付与システムは、オーダリング端末、ポイント算出端末およびポイント付与端末を備えている。オーダリング端末は、メニューごとに付与されるポイントがディスプレイに表示されるように構成されており、顧客がメニューをオーダーする際に付与されるポイントを参考にしながらオーダーすることができる。オーダリング端末によって顧客がオーダーしたメニューがポイント算出端末に送信され、メニューに応じたポイント算出の処理が行われる。ポイント算出端末では、各メニューで消費される各食材の消費量、消費される食材の在庫量、および消費される食材の消費期限などに応じてポイントの割り当てや付与率が設定されたポイントテーブルに基づいて付与するポイントを決定する。そして、その決定したポイントがポイント付与端末を介して顧客の提示するポイントカード等に付与されるように構成されている。特許文献1によれば、顧客に付与されるポイントは、消費期限が迫っている食材や食材の使用量および在庫量が多い食材に対して多くなるように設定されている。このような構成により、消費期限が迫った食材や、在庫が多く残りそうな食材を効果的に消費できるので、食材の廃棄ロスを削減することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、付与されるポイントの高いメニューをオーダリング端末に表示しており、さらにそのオーダリング端末は飲食店等の客席に設置されている。そのため、顧客は飲食店まで出向くとともに、オーダリング端末の表示を確認するまで付与されるポイントの高い食材やメニューを把握することができない。また、顧客が飲食店等に訪れたとしても、飲食店等において消費期限の近い食材や在庫量、消費量の多い食材が、顧客にとって苦手であったりアレルギであったりして食べられない場合がある。そのような場合には、顧客は食品ロスの削減に直接つながりにくいメニューをオーダーせざるを得ず、食品ロスを削減する機会の損失につながる可能性がある。さらには、来店した顧客がオーダリング端末からメニューを見て注文するというシステムであるため、このシステムを導入できる事業者は限定的になってしまい、例えばスーパーマーケットやキッチンカーなどではこのシステムを導入することができないので、食品ロスを削減する効果も限定的になるおそれがある。
【0006】
また、飲食店等が特許文献1に記載のシステムを導入しているか否かを顧客自身で調べなければならない。そのため、新たな顧客がこのシステムを導入している飲食店を訪れるには、顧客自ら調査する必要があり、またそのような飲食店を見つけたとしても、店舗の所在地や経路を自ら調査しなければならない。そして、店舗の所在地や経路を詳細に検索した結果、店舗が遠かったり、立地的に出向きにくい場所だったりすると、顧客が店舗に出向くことを断念する場合もある。すなわち、このような顧客側の煩わしさなどから、上記のような取り組みを行っている飲食店等において新たな顧客の来店につながりにくくなるおそれがあり、ひいては食品ロス削減の機会やきっかけを損失してしまう可能性があった。
【0007】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、ユーザを所望する食品を取り扱う店舗へ案内するとともに、食品ロスの削減を促進することが可能なナビゲーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するために、ユーザ端末からサーバに入力された情報に基づいて、ユーザを少なくとも一つの食品店のうち所定の食品店まで案内するナビゲーションシステムにおいて、前記ユーザの位置情報および前記ユーザから入力された所望の食品を含む前記ユーザの情報を取得するユーザー情報取得部と、前記少なくとも一つの食品店の所在地、および、前記少なくとも一つの食品店から登録された早期に消費すべき食品に関する情報を含む前記食品店の情報を取得する店舗情報取得部と、前記少なくとも一つの食品店から登録された前記早期に消費すべき食品から、前記ユーザから入力された前記所望の食品に一致する食品を照合する食品情報照合部と、前記所望の食品に一致する前記早期に消費すべき食品に関する情報、および、前記所望の食品に一致する前記早期に消費すべき食品を登録した前記少なくとも一つの食品店の情報を前記ユーザ端末に通知する店舗情報通知部と、前記ユーザの位置情報に基づいて取得した前記ユーザの現在位置から、前記ユーザに通知した前記少なくとも一つの食品店のうち前記ユーザが選択した食品店である前記所定の食品店までの経路を設定する経路設定部と、前記経路設定部で設定した前記ユーザの現在位置から前記所定の食品店までの経路を前記ユーザに案内する経路案内部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このナビゲーションシステムによれば、食品や食材、料理などを取り扱う食品店において、消費期限や在庫量などの要因により早期に消費すべきであると判断された食品をサーバに登録する。そして、ユーザがユーザ端末から所望する食品を入力すると、サーバにおいて所望する食品が早期に消費すべき食品として登録されていることを照合する。その結果、一致する食品があった場合にはその食品に関する消費期限などの情報、および、その食品を登録している食品店に関する所在地などの情報をユーザ端末に通知する。通知された食品店から一つをユーザが選択すると、ユーザの現在位置からユーザの選択した食品店までの経路を設定し、ユーザ端末に表示するように構成されている。したがって、ユーザは、ユーザ端末から食品名や商品名を入力することにより、食品店を訪れることなくそれらの食品や商品が廃棄される可能性のある食品店を事前に知ることが出来る。そのため、ユーザ自身が食品ロスに関する取り組みについて食品店を調査する必要であったり、ユーザが食品店に出向いたにも関わらず食品ロスを削減する機会を損失したりすることを回避もしくは減らすことができる。また、ユーザが出向いたことのない食品店であっても、食品店に関する所在地を含む情報がユーザ端末に通知されるので、ユーザが自ら店舗に関するそれらの情報や経路などを調査する必要性を減らすことができ、初めて出向く店舗であってもユーザの負担を低減することができる。言い換えれば、ユーザのニーズに合致した食品や食品店の情報をユーザが容易に受け取ることができるので、効率的に食品ロスを低減することができる。さらには、食品ロスの発生する可能性のある店舗や廃棄される食品の量などもユーザ端末に通知されるので、ユーザが食品ロスを知る機会の増加につながり、食品ロスの削減をより促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の実施形態におけるナビゲーションシステムの構成を示すための模式図である。
【
図2】この発明の実施形態におけるナビゲーションシステムで実行される処理のプロセスを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明を具体化した場合の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。
【0012】
先ず、この発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1の構成の一例について、
図1および
図2を用いて説明する。この実施形態におけるナビゲーションシステム1は、
図1に示すように、主に、食品店を含む複数の店舗2で操作される店舗端末3、複数の車両4に搭載されるカーナビゲーション5、およびサーバ6によって構成されている。これらは、互いに図示しないネットワークを通じて通信可能に接続され、相互にデータの送受信が可能に構成されている。なお、ここでいうネットワークとは、例えば、インターネット等の公衆通信網や、広域情報通信網であるWAN[Wide Area Network]や、携帯電話等の電話通信網または無線通信網やその他の通信網などの、従来知られている通信網であってよい。
【0013】
店舗端末3は、サーバ6に管理あるいは登録されており、例えば、図示しない通信部、制御部、記憶部、入出力部などを備えた適宜の端末装置である。この店舗端末3はこのナビゲーションシステム1に専用の端末であってもよいし、あるいは所定のアプリケーションをインストールしたスマートデバイス(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等)を含む情報処理装置であってもよい。店舗端末3では、店舗2における食品や食材、料理など(以下、単に食品と記す場合がある)などを入力することができる。具体的には、例えばスーパーマーケットであれば具体的な食品名や商品名、内容量、産地、値段、在庫量および割引情報などの情報が含まれる。あるいは、飲食店等であれば具体的な料理名、使用されている食品や食材、値段、アレルギ情報、および割引情報などの情報が含まれる。これらの情報は、店舗2の従業者が店舗端末3を操作することによって登録することに限らず、店舗2の食品を管理するアプリケーションなどと連動させることにより、食品に関する情報を自動的に入力するように構成されていても良い。なお、ここでいう店舗2とは、食品や食材、取り扱うスーパーマーケットや飲食店、青果店などであるが、建物に限定されるものではなく、例えばキッチンカーや、屋台などの移動式で食品や料理を販売するものや、食品製造業の工場等などであってもよい。
【0014】
カーナビゲーション5は、車両4に搭載されており、地図データや施設情報のデータを内蔵し、目的地や現在位置周辺の施設などの情報を検索したり、図示しない表示部によって地図上に表示したりする機能により、ユーザ7を目的地へ案内するように構成されている。また、カーナビゲーション5は、店舗端末3と同様にサーバ6に管理あるいは登録されていて、例えば、図示しない通信部、制御部、記憶部、入力部、出力部などを備えた適宜の端末装置である。このカーナビゲーション5は、サーバ6との間で例えばDCM[Date Communication Module]を介してデータ通信を行うように構成されている。また、カーナビゲーション5には、複数の衛星が送信する信号を受信し、その信号に基づいて現在位置を推定するGPS(Global Positioning System : 全地球測位システム)などの自己位置推定機能が搭載されている。上記の機能に加えて、このカーナビゲーション5は、ユーザ7である運転者あるいは搭乗者の所望する食品などを入力することができるように構成されている。具体的には、ユーザ7の所望する食品、商品名、および料理名などであり、料理名を入力する際には、アレルギ等で食べられない食品などを入力することができる。そして、これらの情報は、通信部等を介してサーバ6に送信されるように構成されている。
【0015】
また、カーナビゲーション5は、サーバ6においてユーザ7が入力した食品と一致する食品があった場合に、その食品を取り扱う店舗2に関する情報をサーバ6から受信することができるように構成されている。すなわち、サーバ6から送信される所望の食品を登録している店舗2の所在地等の情報、およびその店舗2が登録した所望の食品に関する消費期限や在庫量、値段などの情報をカーナビゲーション5が受信して表示する。そして、受信した複数の店舗2および食品に関する情報に基づき、所定のユーザインターフェースを介してユーザ7が一つの店舗2を選択することで、その選択した店舗2がサーバ6に送信されるように構成されている。
【0016】
また、カーナビゲーション5には、従来知られている、路車協調システムによる運転支援システムを受けることが可能な電子料金収受システム(図示なし)が搭載、あるいはカーナビゲーション5と車両4に搭載された電子料金収受システムとが連動するように構成されている。電子料金収受システムは、高速道路上を中心に設置されたITSスポット(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)と主に専用狭域通信であるDSRC(登録商標)通信(Dedicated Short Range Communication:スポット通信)を用いた双方向通信によって、広範囲の渋滞情報や規制情報の提供や安全運転支援などを受け取ったり、高速道路料金の支払いをしたりするだけでなく、電子料金収受システムを介して飲食店等への決済にも利用することができるように構成されている。
【0017】
なお、このカーナビゲーション5の通信機能は、自身が直接サーバ6と通信する機能を有していなくてもよい。その場合には、カーナビゲーション5と通信可能で、かつ所定のアプリケーションなどのソフトウェアをインストールした他の携帯端末によって、サーバ6との通信が実行されてもよい。その場合には、ユーザ7は、他の携帯端末を利用してサーバ6に食品に関する情報を入力するとともに、一致する食品に関する情報およびその食品を取り扱っている店舗2の情報などをその携帯端末で受信する。そして、受信した結果および店舗2の所在地に基づいてカーナビゲーション5にユーザ7が目的地等を入力する、あるいは、カーナビゲーション3がその携帯端末からデータを受信することにより、カーナビゲーション3におけるディスプレイなどの出力装置に経路が表示されるように構成されていても良い。また、カーナビゲーション5が、例えばT-connect(登録商標)などの通信サポートサービスと連携して上述したような通信機能を有するように構成されていても良い。なお、このカーナビゲーション5がこの発明の実施形態におけるユーザ端末に相当する。
【0018】
また、このカーナビゲーション5が搭載される車両4は、既存の一般的な車両4(エンジン車両、電気自動車、水素自動車、ハイブリッド車両、燃料電池車などの車両)であってよい。また、運転者が運転操作することにより目的地まで走行する手動運転の車両4に限らず、運転者の運転操作には依存せずに、運転操作を自動制御することによって目的地まで走行する自動運転車両であってもよい。
【0019】
サーバ6は、サービスを提供するコンピュータであり、種々の指令を受け取ると、それに基づいて情報や処理結果を提供する機能を有する。具体的には、サーバ6は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、SSD、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を含んで構成されている。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、OS(オペレーティングシステム)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されており、それらの格納されたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の目的に合致した各機能を実現するように構成されている。サーバ6は、ユーザ情報取得部8と、店舗情報取得部9と、食品情報照合部10と、店舗情報通知部11と、経路設定部12と、設定店舗通知部13とをそれぞれサーバ6内の適宜の装置に備えている。
【0020】
ユーザ情報取得部8は、上記のカーナビゲーション5を介して運転者や搭乗者などのユーザ7から食品名や商品名、料理名が入力されたことの信号を受信すると、ユーザ7に関する情報を取得する。ユーザ7に関する情報とは、例えば、入力された食品や食材、料理などの所望する食品に関する情報だけでなく、GPSの情報からユーザ7が乗車している車両4の位置情報に基づく現在位置などを取得する。あるいは、料理名が入力されたことにより、飲食店等への予約などが必要になる場合があるので、名前やニックネームなどの情報を取得しても良い。また、このナビゲーションシステム1を過去に利用したことのあるユーザ7である場合には、サーバ6の記憶部(図示なし)から以前に利用した店舗2や購入した食品などの過去の利用履歴を取得しても良い。
【0021】
店舗情報取得部9は、店舗端末3を介して登録された店舗2における早期に消費すべき食品、およびそれらの食品に関する情報を取得する。ここでいう早期に消費すべき食品とは、消費期限や賞味期限が迫っていたり、店舗2における在庫量が多くて廃棄となる可能性が高かったり、あるいは、工場等で加工した食品の切れ端やいわゆる規格外であることにより廃棄されたりする食品のことである。店舗情報取得部9は、このような早期に消費すべき食品に関する、具体的な食品名や商品名および、その内容量、産地、値段、在庫量、割引情報などの情報や、あるいは、料理名および、その料理に使用されている食品や食材、値段、アレルギ情報、および割引情報などの情報を取得する。これらの情報に加えて、スーパーマーケットであれば店舗名、所在地、営業時間、電話番号、支払方法および駐車場の有無などの店舗2の基本的な情報を取得してもよい。あるいは、飲食店等であれば、さらに席数や禁煙・喫煙に関する情報なども取得してよい。
【0022】
また、店舗情報取得部9は、設定店舗通知部13よりユーザ7に案内した店舗2および食品に関する情報を受信した場合には、店舗情報取得部9内で記憶している該当する食品の在庫量を減らして管理する。さらに、必要に応じてユーザ7に案内した店舗2の店舗端末3にユーザ7を案内したことを図示しない通知部を介して通知する。通知する内容は、例えば、ユーザ7の注文した食品や、経路設定部12で算出されたユーザ7の到着時間等のユーザ情報などであってよい。
【0023】
食品情報照合部10は、ユーザ情報取得部8で取得したユーザ7が所望する食品に関する情報および、店舗情報取得部9で取得した店舗2から登録された早期に消費すべき食品に関する情報を取得して、それらが一致することを照合する。ユーザ7が所望する食品と合致する食品が登録されていれば、その食品に関する情報を併せて取得する。また、具体的な料理名が入力された場合には、その所定の料理を登録している店舗2を探すだけでなく、所定の料理を作るのに必要な食材が揃う店舗等を一致する店舗2として照合することとしてもよい。なお、その場合には、例えば生鮮食材に関しては早期に消費すべき食品を一つでも登録している店舗2を一致する店舗として照合し、他の食材については必ずしも早期に消費すべき食品でなくてもよい。
【0024】
店舗情報通知部11は、食品情報照合部10で照合および取得したユーザ7の所望する食品に一致する食品に関する情報、および、そのユーザ7の所望する食品を登録している少なくとも一つの店舗2に関する情報をユーザ7に通知する。すなわち、ユーザ7の所望する食品を登録している店舗2が複数ある場合には、その複数の店舗2の所在地などの情報および各店舗2で登録されている食品の消費期限や在庫量、値段等の情報を取得してユーザ7のカーナビゲーション5に送信するように構成されている。
【0025】
経路設定部12は、店舗情報通知部11からカーナビゲーション5に通知された、所望の食品を登録している複数の店舗2から、ユーザ7が選択した所定の店舗2までの経路を取得する。まず、経路設定部12は、店舗情報取得部9で取得した所定の店舗2の所在地などの情報および、ユーザ情報取得部8で取得したユーザ7が乗車する車両4の現在位置に関する情報を取得する。そして、図示しない記憶部に格納されている地図データや施設情報を取得し、例えばダイクストラ法等を用いて車両4の現在位置から所定の店舗2の所在地までの最適経路あるいは最短経路を探索する。さらに、所定の条件に基づいてその最短経路を走行した場合の所要時間を算出すると共に、例えば路側機などのインフラ設備から道路情報および渋滞情報などを取得して、最終的な車両4の現在位置から所定の店舗2までの所要時間を算出するように構成されている。
【0026】
設定店舗通知部13は、この発明の実施形態における経路案内部に相当し、経路設定部12によって設定した経路をカーナビゲーション5に送信するように構成されている。また、ユーザ7が選択した所定の店舗2を案内した店舗2として設定するとともに、必要に応じて店舗情報取得部9に、その所定の店舗2や食品等の情報を送信するように構成されている。カーナビゲーション5および店舗情報取得部9への情報の送信が完了したら、ユーザ7に案内した所定の店舗2および食品に関する情報をユーザ情報取得部8に送信して、ユーザ7の情報に紐づけるように構成されている。
【0027】
次に、このナビゲーションシステム1において、店舗端末3からサーバ6に食品が登録され、また、カーナビゲーション5からサーバ6にユーザ7の所望する食品が入力されて、ユーザ7が所定の店舗2へ移動してユーザ7が食品を受け取るまでの一連の流れについて
図2を用いて説明する。
【0028】
まず、店舗2の従業者による店舗端末3の操作によって、あるいは店舗端末3と連携された店舗2の在庫を管理する所定のアプリケーションによって、店舗端末3からサーバ6に食品に関する情報が登録される。すなわち、上述したように、スーパーマーケットや飲食店等において早期に消費すべき食品が登録されるとともに、その食品に関する具体的な食品名や商品名、内容量、産地、値段、在庫量、割引情報、料理に使用されている食品や食材およびアレルギ情報などの情報がサーバ6の店舗情報取得部9に登録される。なお、店舗2に関する所在地や営業時間といった基本的な情報は、サーバ6の記憶部に予め格納されていてもよい。
【0029】
また、ユーザ7は、所定のユーザインターフェースを利用してカーナビゲーション5に所望する食品を入力する。その際入力する内容は、食品名や食材名、あるいは料理名等である。入力した情報は、サーバ6のユーザ情報取得部8に送信される。なお、その際に、カーナビゲーション5でどの程度の範囲で店舗2を検索するかを設定することができてもよい。例えば、現在地や特定の駅から半径3km以内などの距離であったり、具体的な市町村名の範囲内であったり、あるいは、他の都道府県を指定したりすることができてもよい。
【0030】
店舗情報取得部9で取得した早期に消費すべき食品に関する情報、およびユーザ情報取得部8で取得したユーザ7が入力した食品に関する情報が食品情報照合部10に伝達される。食品情報照合部10では、それらの情報に基づき、ユーザ7の指定した範囲内において、店舗情報取得部9にて取得した情報からユーザ7が入力した所望の食品に一致する食品を検索する。その結果、店舗情報取得部9に一致する食品がある場合には、食品に関する消費期限などの情報およびその食品を登録している店舗2に関する所在地などの情報を取得する。具体的な料理名がカーナビゲーション5より入力された場合には、その料理を登録している店舗2だけでなく、その料理を調理するために必要な食材等に一致する食品を登録している店舗2を店舗情報取得部9から検索してもよい。また、一致する食品を多く登録している店舗2、すなわち、料理に必要な食材等で早期に消費すべき食品を多く登録している店舗2を優先的に一致する店舗2として判断するよう構成されていてもよい。なお、ユーザ7の所望する食品に一致する食品がない場合には、類似した商品を提示することとしてもよい。
【0031】
食品情報照合部10で照合した結果、指定された範囲内でユーザ7の所望する食品を登録している店舗2があった場合には、店舗情報通知部11がその食品に関する情報およびその食品を登録している店舗2を取得し、ユーザ7のカーナビゲーション5に通知する。その際に、ユーザ7が所望する食品を登録している店舗2が複数あった場合には、それらのすべてをカーナビゲーション5に通知する。その場合には、消費期限(賞味期限)や在庫量等に基づいて表示順を自動的に並び替えるように構成されていても良い。ユーザ7は、カーナビゲーション5に表示された食品に関する消費期限や在庫量、値段等の情報や、店舗2に関する所在地や営業時間等の情報などから、出向く所定の店舗2を選択し、カーナビゲーション5にその店舗2に行く旨を入力する。なお、その際に、同時に支払いを済ませるように構成されていてもよい。すなわち、上述したようなカーナビゲーション5に連動した電子料金収受システムを利用し、サーバ6を介して、あるいはいわゆるオンライン決済を利用して店舗2に直接料金を支払うように構成されていても良い。また、ユーザ7側の都合により店舗2へ直ちに向かうことができない場合には、予約時間等をカーナビゲーション5の表示部に表示し、所定のユーザインターフェースを介して入力することでサーバ6に通知できるように構成されていても良い。
【0032】
カーナビゲーション5よりユーザ7の選択した所定の店舗2が選択されたら、経路設定部12によってユーザ7の車両4の現在位置から所定の店舗2までの経路を設定する。経路の設定は、サーバ6の記憶部に格納されている地図データや施設情報を取得し、上述したような方法により最適な経路を設定するとともに、所要時間を算出する。なお、ユーザ7の車両4から所定の店舗2までの経路の探索は、カーナビゲーション5で実行することとしてもよい。
【0033】
そして、設定店舗通知部13から経路設定部12で設定された経路をユーザ7のカーナビゲーション5に送信する。また、必要に応じて、店舗情報取得部9にユーザ7が選択した店舗2および食品等の情報を送信するように構成されている。特に、上述した電子料金収受システムなどを使用してユーザ7から店舗2への支払いが済んでいる場合には、店舗情報取得部で取得した所定の店舗2について、ユーザ7が注文した食品の量に応じて在庫量を減らすように管理する。なお、カーナビゲーション5および店舗情報取得部9への情報の送信が完了したら、ユーザ7に案内した店舗2および食品をユーザ情報取得部8におけるそのユーザ7の情報に紐づけるように構成されている。
【0034】
ユーザ7は、車両4のカーナビゲーション5に表示された経路およびその案内にしたがって、自身が選択した所定の店舗2まで移動して、食品の受け取りに向かう。その際に、決済が済んでいれば、店舗2より次回以降に利用できる割引券などをカーナビゲーション5に送信してもよい。
【0035】
このナビゲーションシステム1によれば、食品や食材、料理などを取り扱う店舗2において、消費期限や在庫量などの要因により廃棄される可能性のある食品、つまり早期に消費すべき食品が店舗端末3から店舗情報取得部9に登録される。そして、ユーザ7が所望する食品を入力すると、店舗情報取得部9で所望する食品が早期に消費すべき食品として登録されていることを照合する。その結果、一致する食品があった場合にはその食品に関する消費期限などの情報およびその食品を登録している店舗2に関する所在地などの情報をカーナビゲーション5に通知する。通知された店舗2から一つをユーザ7が選択すると、経路設定部12は、ユーザ7の現在位置からユーザ7の選択した店舗2までの経路を設定し、カーナビゲーション5に通知するように構成されている。したがって、ユーザ7は、カーナビゲーション5から食品名や商品名を入力することにより、店舗2を訪れることなく入力した食品が廃棄される可能性のある店舗2をリアルタイムで事前に知ることが出来る。そのため、ユーザ7自身が食品ロスに関する取り組みについて店舗2を調査する必要であったり、ユーザ7が店舗2に出向いたにも関わらず食品ロスを削減する機会を損失したりすることを回避もしくは減らすことができる。言い換えれば、ユーザ7のニーズに合致した食品や食品店の情報をユーザ7が容易に受け取ることができるので、効率的に食品ロスを低減することができる。また、ユーザ7が出向いたことのない店舗2であっても、カーナビゲーション5に店舗2に関する所在地を含む情報が通知されるので、ユーザ7が自ら店舗2に関するそれらの情報や経路などを調査する必要性を減らすことができ、ユーザ7の負担を低減することができる。さらには、食品名や商品名を入力することで食品ロスの発生する可能性のある店舗2や廃棄される食品の量などもカーナビゲーション5に通知されるので、ユーザ7が食品ロスを知る機会の増加につながり、食品ロスの削減をより促進することができる。
【0036】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。例えば、カーナビゲーション5に表示される食品が、人工知能(AI)に基づく機械学習によって決定することとしてもよい。例えば、以前にこのナビゲーションシステム1を利用したユーザ7に関する住所などの基本的な登録情報や、利用した食品や料理、検索を実行した場所、利用した時間や店舗2を含む履歴などから、ディープラーニング等の機械学習によって判別された類似する食品や以前利用した店舗2と類似した店舗2、または以前利用した店舗2と類似したジャンルの店舗2などを表示するように構成されていても良い。あるいは、基本的な登録情報や利用履歴が類似した他のユーザ7に関する多数のデータを学習させ、検索する前にユーザ7が興味を持ちそうな食品や店舗2などをカーナビゲーション5に表示するように構成されていてもよい。さらに、カーナビゲーション5に表示する食品の情報についても、ユーザ7本人だけでなく、複数のユーザの閲覧履歴等に基づいて、ユーザ7が店舗2を選定する際に特に必要とする情報を判別し、その情報をユーザ7が見やすいように表示するように構成されていても良い。また、それらのデータは、サーバ6に記憶されているものに限らず、外部のデータセンター等のサーバ(図示せず)に蓄積されかつ随時更新されているいわゆるビッグデータなどから取得することとしてもよい。
【0037】
また、上記で説明したナビゲーションシステム1では、ユーザ7が車両4に搭載されたカーナビゲーション5を利用することとしているが、このようなカーナビゲーション5に限らず、例えばユーザ7の所有する適宜の端末装置であってもよい。その場合には、端末装置は、GPSや基地局を利用した自己位置推定機能を有していて、ナビゲーションシステム1に専用のものや、あるいは、所定のアプリケーションをインストールしたスマートデバイス(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等)を含む情報処理装置などであってもよい。その場合には、経路設定部12で設定するユーザ7の自己位置推定機能に基づく現在位置から所定の店舗2までの経路について、ユーザ7が徒歩や自転車などで出向く場合の経路も案内するように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ナビゲーションシステム
2 店舗(食品店)
3 店舗端末
4 車両
5 カーナビゲーション(ユーザ端末)
6 サーバ
7 ユーザ
8 ユーザ情報取得部
9 店舗情報取得部
10 食品情報照合部
11 店舗情報通知部
12 経路設定部
13 設定店舗通知部(経路案内部)