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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両および車両システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/035 20120101AFI20250218BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20250218BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B60W50/035
B60W60/00
G08G1/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022063054
(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公開番号】P2023153660
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東松 信幸
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-330637(JP,A)
【文献】特開2015-042523(JP,A)
【文献】特開2017-019392(JP,A)
【文献】特開2019-171971(JP,A)
【文献】特開2021-174022(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0229737(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0181760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0327173(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0012954(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/00-60/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの補助センサおよび少なくとも1つの補助アクチュエータを含む補助車両と通信可能に構成された車両であって、
前記車両の外部環境の情報を取得する少なくとも1つの搭載センサと、
前記車両の走行に用いられる少なくとも1つの搭載アクチュエータと、
前記搭載センサからの入力を用いて前記搭載アクチュエータの駆動を制御する制御部と、
前記補助車両と通信する通信機と、を備え
前記搭載センサは複数設けられており、
複数の前記搭載センサは、前記車両の前方の外部環境から第1情報を取得する第1搭載センサと、前記車両の後方の外部環境から第2情報を取得する第2搭載センサとを含み、
前記補助センサは複数設けられており、
複数の前記補助センサは、前記補助車両の前方の外部環境から前記第1情報を取得する第1補助センサと、前記補助車両の後方の外部環境から前記第2情報を取得する第2補助センサとを含み、
前記制御部は、
前記搭載センサの異常を検知すると前記補助センサからの入力に基づいて前記搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、
前記搭載アクチュエータの異常を検知すると前記補助アクチュエータを用いて走行する第2代替制御と、のうち少なくとも前記第1代替制御を実施し、
前記第1搭載センサの異常を検知すると、前記第1補助センサを用いて、前記搭載アクチュエータの駆動を制御し、
前記第2搭載センサの異常を検知すると、前記第2補助センサを用いて、前記搭載アクチュエータの駆動を制御し、
前記第1搭載センサに異常が生じた場合は、前記補助車両に、前記車両の前方を走行する要求を送信し、
前記第2搭載センサに異常が生じた場合は、前記補助車両に、前記車両の後方を走行する要求を送信する、車両。
【請求項2】
前記補助車両は、前記補助センサからの入力を用いて前記補助アクチュエータの駆動を制御する補助制御部を備え、
記制御部および前記補助制御部のうちいずれか一方を用いて、前記第1代替制御および前記第2代替制御のうち少なくとも前記第1代替制御を行う、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第1搭載センサおよび前記第2搭載センサは、前記車両よりも前方に位置する外部環境の情報を取得するように形成されており、前記第1搭載センサの検知距離は、前記第2搭載センサの検知距離よりも長く、
前記第1補助センサおよび前記第2補助センサは、前記補助車両よりも前方に位置する外部環境の情報を取得するように形成されており、前記第1補助センサの検知距離は、前記第2補助センサの検知距離よりも長い、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
記補助車両が連結される連結部をさらに備え、
前記搭載アクチュエータは複数設けられており、
複数の前記搭載アクチュエータは、前記車両が走行するための第1機能を発揮する第1搭載アクチュエータと、前記車両が走行するための第2機能を発揮する第2搭載アクチュエータとを含み、
前記補助アクチュエータは複数設けられており、
複数の前記搭載アクチュエータは、前記補助車両が走行するための前記第1機能を発揮する第1補助アクチュエータと、前記補助車両が走行するための前記第2機能を発揮する第2補助アクチュエータとを含み、
前記第1搭載アクチュエータの異常を検知すると、前記補助車両が連結された状態において前記第1補助アクチュエータを用いて走行する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項5】
前輪と後輪とを含む車輪と、前記車輪を上方に移動させる移動装置とをさらに備え、
前記連結部は、前記車両の前方部分に設けられた第1連結部と、前記車両の後方部分に設けられた第2連結部とを含み、
前記前輪の異常が検知されると、前記移動装置を用いて、前記補助車両が連結された状態で前記前輪を上方に移動させるとともに、前記第1連結部に前記補助車両を連結させる要求を前記補助車両に送信し、
前記後輪の異常が検知されると、前記移動装置を用いて、前記補助車両が連結された状態で前記後輪を上方に移動させるとともに、前記第2連結部に前記補助車両を連結させる要求を前記補助車両に送信する、請求項に記載の車両。
【請求項6】
少なくとも1つの補助センサおよび少なくとも1つの補助アクチュエータを含む補助車両と、
前記補助車両と通信可能に構成された車両とを備えた車両システムであって、
前記車両は、
前記車両の外部環境の情報を取得する少なくとも1つの搭載センサと、
前記車両の走行に用いられる少なくとも1つの搭載アクチュエータと、
前記搭載センサからの入力を用いて前記搭載アクチュエータの駆動を制御する車両制御装置と、
前記補助車両と通信する通信機と、を備え、
前記搭載センサは複数設けられており、
複数の前記搭載センサは、前記車両の前方の外部環境から第1情報を取得する第1搭載センサと、前記車両の後方の外部環境から第2情報を取得する第2搭載センサとを含み、
前記補助センサは複数設けられており、
複数の前記補助センサは、前記補助車両の前方の外部環境から前記第1情報を取得する第1補助センサと、前記補助車両の後方の外部環境から前記第2情報を取得する第2補助センサとを含み、
前記車両制御装置は、
前記搭載センサの異常を検知すると前記補助センサからの入力に基づいて前記搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、
前記搭載アクチュエータの異常を検知すると前記補助アクチュエータを用いて走行する第2代替制御とのうち少なくとも前記第1代替制御を実施し、
前記第1搭載センサの異常を検知すると、前記第1補助センサを用いて、前記搭載アクチュエータの駆動を制御し、
前記第2搭載センサの異常を検知すると、前記第2補助センサを用いて、前記搭載アクチュエータの駆動を制御し、
前記車両は、
前記第1搭載センサに異常が生じた場合は、前記補助車両に、前記車両の前方を走行する要求を送信し、
前記第2搭載センサに異常が生じた場合は、前記補助車両に、前記車両の後方を走行する要求を送信する、車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両および車両システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転可能な車両について各種提案されており、たとえば、特開2019-171971号公報には、牽引車両を牽引する車両に着目した自動運転車両について提案されている。特開2019-171971号公報に記載された牽引車両は、被牽引車両を牽引した状態と、被牽引車両を牽引していない状態とで、自動運転モードを切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-171971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特開2019-171971号公報には、自動運転車両に異常が発生した場合において、自車のみでは自動運転や運転支援を実施できなくなった場合について検討されていない。
【0005】
そこで、本願の開示者等は、自車のみでは自動運転や運転支援を継続できないような異常が発生したとしても、当該車両が自動運転や運転支援を継続することができる車両制御装置、車両および車両システムを検討した。
【0006】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、自車のみでは自動運転や運転支援を継続できないような異常が発生したとしても、当該車両が自動運転や運転支援を継続することができる車両制御装置、車両および車両システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の局面に従う車両制御装置は、少なくとも1つの補助センサおよび少なくとも1つの補助アクチュエータを含む補助車両を用いて走行可能な車両に搭載された車両制御装置である。車両は、車両の外部環境の情報を取得する少なくとも1つの搭載センサと、車両の走行に用いられる少なくとも1つの搭載アクチュエータと、搭載センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する搭載制御部と、補助車両と通信する通信機と、を備える。そして、車両制御装置は、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータの駆動を制御して車両を走行させる第2代替制御と、の少なくとも一方の制御を行う。
【0008】
上記第1の局面に従う車両制御装置は、上記のように、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータの駆動を制御して車両を走行させる第2代替制御と、の少なくとも一方の制御を行う。これにより、搭載センサまたは搭載アクチュエータの異常により車両が自車のみでは自動運転や運転支援を継続できない場合にも、第1代替制御または第2代替制御によって補助車両の補助センサまたは補助アクチュエータを利用することにより、車両は自動運転や運転支援を継続することができる。
【0009】
上記第1の局面に従う車両制御装置において、好ましくは、補助車両は、補助センサからの入力を用いて補助アクチュエータの駆動を制御する補助制御部を備え、車両制御装置は、搭載制御部および補助制御部のうちいずれか一方を用いて、第1代替制御および第2代替制御の少なくとも一方の制御を行う。このように構成すれば、車両に設けられている搭載制御部および補助車両に設けられている補助制御部を利用して第1代替制御および第2代替制御の少なくとも一方の制御を容易に行うことができる。
【0010】
上記第1の局面に従う車両制御装置において、好ましくは、搭載センサは複数設けられており、複数の搭載センサは、外部環境から第1情報を取得する第1搭載センサと、外部環境から第2情報を取得する第2搭載センサとを含み、補助センサは複数設けられており、複数の補助センサは、外部環境から第1情報を取得する第1補助センサと、外部環境から第2情報を取得する第2補助センサとを含み、第1搭載センサの異常を検知すると、第1補助センサを用いて、搭載アクチュエータの駆動を制御する。このように構成すれば、第1搭載センサの異常により車両が自車のみでは自動運転や運転支援を継続できない場合にも、補助車両の補助センサを利用することにより、車両は自動運転や運転支援を継続することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1搭載センサおよび第2搭載センサは、車両よりも前方に位置する外部環境の情報を取得するように形成されており、第1搭載センサの検知距離は、第2搭載センサの検知距離よりも長く、第1補助センサおよび第2補助センサは、補助車両よりも前方に位置する外部環境の情報を取得するように形成されており、第1補助センサの検知距離は、第2補助センサの検知距離よりも長い。このように構成すれば、車両のうち検知距離が比較的長い第1搭載センサの異常時に、補助車両のうち検知距離が比較的長い第1補助センサを利用することができる。これにより、車両は自動運転や運転支援を容易に継続することができる。
【0012】
上記第1の局面に従う車両制御装置において、好ましくは、車両は、前記補助車両が連結される連結部をさらに備え、搭載アクチュエータは複数設けられており、複数の搭載アクチュエータは、車両が走行するための第1機能を発揮する第1搭載アクチュエータと、車両が走行するための第2機能を発揮する第2搭載アクチュエータとを含み、補助アクチュエータは複数設けられており、複数の搭載アクチュエータは、補助車両が走行するための第1機能を発揮する第1補助アクチュエータと、補助車両が走行するための第2機能を発揮する第2補助アクチュエータとを含み、第1搭載アクチュエータの異常を検知すると、補助車両が連結された状態において第1補助アクチュエータを用いて走行する。このように構成すれば、第1搭載アクチュエータの異常により車両が自車のみでは自動運転や運転支援を継続できない場合にも、補助車両の第1補助アクチュエータを利用することにより、車両は自動運転や運転支援を継続することができる。また、車両と補助車両とが連結されているので、第1補助アクチュエータを用いた車両の自動運転および運転支援を容易化することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、車両は、車輪と、車輪を上方に移動させる移動装置とをさらに備え、車輪の異常が検知されると、移動装置を用いて、補助車両が連結された状態で車輪を上方に移動させる。このように構成すれば、異常な車輪を地面から離間させることができる。その結果、第1補助アクチュエータを用いた車両の自動運転および運転支援をより容易化することができる。
【0014】
本開示の第2の局面に従う車両は、少なくとも1つの補助センサおよび少なくとも1つの補助アクチュエータを含む補助車両と通信可能に構成された車両であって、車両の外部環境の情報を取得する少なくとも1つの搭載センサと、車両の走行に用いられる少なくとも1つの搭載アクチュエータと、搭載センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する制御部と、補助車両と通信する通信機と、を備え、制御部は、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力に基づいて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータを用いて走行する第2代替制御と、の少なくとも一方を実施する。
【0015】
上記第2の局面に従う車両では、上記のように、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータの駆動を制御して車両を走行させる第2代替制御と、の少なくとも一方の制御が行われる。これにより、搭載センサまたは搭載アクチュエータの異常により自車のみでは自動運転や運転支援を継続できない場合にも、第1代替制御または第2代替制御によって補助車両の補助センサまたは補助アクチュエータを利用することにより自動運転や運転支援を継続することが可能な車両を提供することができる。
【0016】
本開示の第3の局面に従う車両システムは、少なくとも1つの補助センサおよび少なくとも1つの補助アクチュエータを含む補助車両と、補助車両と通信可能に構成された車両とを備えた車両システムであって、車両は、車両の外部環境の情報を取得する少なくとも1つの搭載センサと、車両の走行に用いられる少なくとも1つの搭載アクチュエータと、搭載センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する車両制御装置と、補助車両と通信する通信機と、を備え、車両制御装置は、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力に基づいて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータを用いて走行する第2代替制御と、の少なくとも一方を実施する。
【0017】
上記第3の局面に従う車両システムでは、上記のように、搭載センサの異常を検知すると補助センサからの入力を用いて搭載アクチュエータの駆動を制御する第1代替制御と、搭載アクチュエータの異常を検知すると補助アクチュエータの駆動を制御して車両を走行させる第2代替制御と、の少なくとも一方の制御が行われる。これにより、搭載センサまたは搭載アクチュエータの異常により車両が自車のみでは自動運転や運転支援を継続できない場合にも、第1代替制御または第2代替制御によって補助車両の補助センサまたは補助アクチュエータを利用することにより車両が自動運転や運転支援を継続することが可能な車両システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る車両制御装置、車両および車両システムによれば、自車のみでは自動運転や運転支援を継続できないような異常が発生したとしても、当該車両が自動運転や運転支援を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態による車両システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による車両の構成を示す図である。
図3】一実施形態による車両の各センサの検知領域を示す図である。
図4】一実施形態による補助車両の各センサの検知領域を示す図である。
図5】一実施形態による補助車両の構成を示す図である。
図6】一実施形態による補助車両の前方レーザを用いて車両を走行させる状態を示す図である。
図7】一実施形態による補助車両の後方カメラを用いて車両を走行させる状態を示す図である。
図8】一実施形態による補助車両の油圧ブレーキを用いて車両を走行させる状態を示す図である。
図9】一実施形態による車両の前輪を退避させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図9を用いて、本実施形態に係る車両システム1および制御装置11について説明する。図1図9に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る車両システム1を模式的に示す模式図である。車両システム1は、車両2と、補助車両3と、を備える。車両2は、自動運転走行または運転支援走行が実施可能な車両である。
【0022】
車両2は、運転支援システム100と、通信装置10と、制御装置11と、報知装置12とを備える。車両2は、一対の前輪30と、一対の後輪31とを含む。車両2は、通信装置10を通して補助車両3およびサーバ4と通信することができる。報知装置12は、車両2の各種情報を運転手などに報知するための装置である。報知装置12は、たとえば、各種の情報を表示する表示部13を含む。なお、通信装置10および制御装置11は、それぞれ、本開示の「通信機」および「車両制御装置」の一例である。また、前輪30および後輪31は、本開示の「車輪」の一例である。
【0023】
補助車両3は、車両2に故障が生じた際に車両2の走行を補助する車両である。なお、この図1に示す例においては、補助車両3は、複数台配置されている。
【0024】
補助車両3は、運転支援システム100Aと、通信装置10Aと、制御装置11Aと、報知装置12Aとを備える。補助車両3は、一対の前輪30Aと、一対の後輪31Aとを含む。報知装置12Aは各種の情報を表示する表示部13Aを含む。補助車両3は、通信装置10Aを通して車両2およびサーバ4と通信することができる。
【0025】
サーバ4は、複数の補助車両3のスケジュール管理をする。ここで、車両2において、車両2に搭載されたセンサなどに異常が発生して、自動運転走行または運転支援走行ができなくなる場合がある。この際、運転手の操作によって、車両2からサーバ4に要求信号RS1が送信される。サーバ4は、要求信号RS1を受信すると、要求信号RS1に含まれる車両2の位置情報などに基づいて、補助車両3を車両2に向かわせる。
【0026】
補助車両3は、車両2が位置している場所に到着すると、車両2と連携して車両2が自動運転走行または運転支援走行可能な状態にして、車両2を走行させる。
【0027】
補助車両3は、車両2と同様に運転支援システム100Aを備えており、車両2に近似する構成を備えている。そこで、車両2の構成について主に説明する。
【0028】
図2は、車両2の構成を模式的に示すブロック図である。車両2は、運転支援システム100と、制御装置11と、アクチュエータシステム300と、操作装置400とを含む。なお、アクチュエータシステム300は、本開示の「搭載アクチュエータ」の一例である。
【0029】
運転支援システム100は、実装されるアプリケーションを実行することにより、車両2の操舵制御、駆動制御および制動制御のうちの少なくともいずれかを含む車両2の運転を支援するための様々な機能を実現するように構成される。運転支援システム100は、複数のアプリケーションを含む。運転支援システム100において実装されるアプリケーションとしては、たとえば、自動運転システム(AD:Autonomous Driving System)の機能を実現するアプリケーション、自動駐車システムの機能を実現するアプリケーション、および、先端運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assist System)の機能を実現するアプリケーション(以下、ADASアプリケーションと記載する)などを含む。
【0030】
ADASアプリケーションとしては、追従走行(ACC(Adaptive Cruise Control)など)の機能を実現するアプリケーションと、ASL(Auto Speed Limiter)の機能を実現するアプリケーションと、車線維持支援(LKA(Lane Keeping Assist)の機能を実現するアプリケーションと、LTA(Lane Tracing Assist)など)の機能を実現するアプリケーションと、衝突被害軽減ブレーキ(AEB(Autonomous Emergency Braking)の機能を実現するアプリケーションと、PCS(Pre-Crash Safety)など)の機能を実現するアプリケーションと、車線逸脱警報(LDW(Lane Departure Warning)の機能を実現するアプリケーションと、LDA(Lane Departure Alert)など)の機能を実現するアプリケーションとのうちの少なくともいずれかが含まれる。
【0031】
図2に示す運転支援システム100においては、たとえば、AEB102と、LKA104と、ACC106と、自動駐車108とをアプリケーションとして含む場合が一例として示されている。運転支援システム100は、各種アプリケーションと、センサ群110とを含む。なお、センサ群110は、本開示の「搭載センサ」の一例である。
【0032】
この運転支援システム100に含まれる各アプリケーションは、センサ群110から取得(入力)する車両周囲状況の情報やドライバの支援要求等に基づいて、行動計画の要求を運動マネージャ200に対して出力する。運動マネージャ200は、センサ群110からの入力を用いてアクチュエータシステム300の駆動を制御する。ここで、行動計画とは、車両2の前後加減速度と、車両2の走行経路の目標曲率などを含むものである。
【0033】
センサ群110は、車両2の外部環境の各種情報を取得するための機器である。センサ群110は、前方カメラ120と、後方カメラ121と、前方LiDAR130と、後方LiDAR131と、側方LiDAR132と、側方LiDAR133と、前方レーザ140と、後方レーザ141と、側方レーザ142と、側方レーザ143と、位置検出装置150とを含む。なお、前方カメラ120および前方LiDAR130は、ぞれぞれ、本開示の「第1搭載センサ」および「第2搭載センサ」の一例である。
【0034】
前方カメラ120は、車両2の前方の画像を取得する。後方カメラ121は、車両2の後方の画像を取得する。前方カメラ120は、たとえば、白線や標識および周囲の環境の画像を取得する。前方カメラ120は、撮像した画像データID20を運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。後方カメラ121も撮像した画像データID21を運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。
【0035】
LiDARは、レーザ光(赤外線などの光)をパルス状に照射し、対象物に反射して戻ってくるまでの時間によって距離を計測するための距離および位置関係の情報を取得する装置である。前方LiDAR130は、車両2の前方の情報を取得する。後方LiDAR131は、車両2の後方の情報を取得する。側方LiDAR132および側方LiDAR133の各々は、車両2の側方の情報を取得する。前方LiDAR130は、取得した点群データPD30を運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。後方LiDAR131、側方LiDAR132、および、側方LiDAR133は、それぞれ、点群データPD31、PD32、および、PD33を各アプリケーションに送信する。
【0036】
レーザは、たとえば、周波数30GHz~300GHzの電波を発射し、その反射波を検出して、対象物との間の距離を検出する装置である。前方レーザ140は、車両2の前方に位置する他の車両などとの距離を測定する。後方レーザ141は、車両2の後方に位置する車両などの距離を測定する。側方レーザ142および側方レーザ143の各々は、車両2の側方に位置する他の車両などとの距離を測定する。
【0037】
前方レーザ140、後方レーザ141、側方レーザ142、および、側方レーザ143は、それぞれ、取得した距離データDD40、DD41、DD42、および、DD43を運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。
【0038】
図3は、センサ群110の各センサの検知範囲などを模式的に示す平面図である。検知領域R20は、前方カメラ120の検知領域を示す。検知領域R21は、後方カメラ121の検知領域を示す。
【0039】
検知領域R30、R31、R32、および、R33は、それぞれ、前方LiDAR130、後方LiDAR131、側方LiDAR132、および、側方LiDAR133の検知領域を示す。
【0040】
検知領域R40、R41、R42、および、R43は、それぞれ、前方レーザ140、後方レーザ141、側方レーザ142、および、側方レーザ143の検知領域を示す。
【0041】
ここで、検知距離L20は、車両2の前方方向における前方カメラ120の検知距離を示す。また、検知距離L30は、車両2の前方方向における前方LiDAR130の検知距離を示す。本実施形態においては、検知距離L20は、検知距離L30よりも長い。
【0042】
図4は、センサ群110Aの各センサの検知範囲などを模式的に示す平面図である。検知領域R20Aは、前方カメラ120Aの検知領域を示す。検知領域R21Aは、後方カメラ121Aの検知領域を示す。
【0043】
検知領域R30A、R31A、R32A、および、R33Aは、それぞれ、前方LiDAR130A、後方LiDAR131A、側方LiDAR132A、および、側方LiDAR133Aの検知領域を示す。
【0044】
検知領域R40A、R41A、R42A、および、R43Aは、それぞれ、前方レーザ140A、後方レーザ141A、側方レーザ142A、および、側方レーザ143Aの検知領域を示す。
【0045】
ここで、検知距離L20Aは、補助車両3の前方方向における前方カメラ120Aの検知距離を示す。また、検知距離L30は、補助車両3の前方方向における前方LiDAR130Aの検知距離を示す。本実施形態においては、検知距離L20Aは、検知距離L30Aよりも長い。
【0046】
図2において、位置検出装置150は、たとえば、地球の軌道上を周回する複数の衛星から受信する情報を用いて車両2の位置を検出するGPS(Global Positioning System)などによって構成される。
【0047】
運転支援システム100に設けられたAEB102などの各アプリケーションは、センサ群110の少なくとも1つのセンサから入力される情報を取得する。各アプリケーションは、たとえば、センサ群110によって取得された車両2の外部の情報に基づいて、車両2の周囲にある他の車両、障害物あるいは人を認識可能とする。さらに、各アプリケーションは、スイッチ等のユーザインタフェース(図示せず)を経由したドライバの支援要求を取得する。
【0048】
操作装置400は、たとえば、シフトレンジを変更するためのシフトレバーやブレーキペダル等の運転者であるユーザが操作する操作部材を含む。
【0049】
アクチュエータシステム300は、複数種類のアクチュエータシステムを含む。アクチュエータシステム300は、たとえば、パワートレインシステム302と、ブレーキシステム304と、ステアリングシステム306と、センサ群308とを含む。なお、ブレーキシステム304は、本開示の「第1搭載アクチュエータ」の一例である。また、パワートレインシステム302、ステアリングシステム306、および、センサ群308の各々は、本開示の「第2搭載アクチュエータ」の一例である。
【0050】
パワートレインシステム302は、車両2の駆動輪に駆動力を発生させることが可能なパワートレインアクチュエータと、パワートレインアクチュエータの動作を制御するパワートレインECU(Electronic Control Unit)とを含む。
【0051】
パワートレインアクチュエータは、たとえば、内燃機関と、トランスミッションと、駆動源とを含む。駆動源は、モータジェネレータと、蓄電装置と、PUC(Power Control Unit)とを含む。PCUはインバータおよびコンバータを含む。
【0052】
パワートレインECUは、各パワートレインアクチュエータの駆動を制御する。パワートレインECUは、たとえば、内燃機関ECU、PCUECU、および、蓄電装置ECUなどを含む。
【0053】
ブレーキシステム304は、油圧ブレーキ32(図8参照)および油圧ブレーキ33(図8参照)と、ブレーキECU34(図8参照)とを含む。油圧ブレーキ32は、前輪30に設けられている。油圧ブレーキ33は、後輪31に設けられている。ブレーキECU34は、油圧ブレーキ32および油圧ブレーキ33の駆動を制御する。
【0054】
ステアリングシステム306は、たとえば、車両2の操舵輪(たとえば、前輪30)の舵角を変化可能な操舵装置と、操舵装置の動作を制御するECU(いずれも図示せず)とを含む。操舵装置は、たとえば、操作量に応じて舵角を変化させるステアリングホイールと、ステアリングホイールの操作とは別にアクチュエータにより舵角の調整が可能な電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)とを含む。操舵装置の動作を制御するECUは、EPSのアクチュエータの動作を制御する。センサ群308は、タイヤ圧センサ45(図9参照)、タイヤ圧センサ46(図9参照)、車両2の前後方向の車体加速度を検出する前後Gセンサ(図示せず)、車両2の左右方向の車体加速度を検出する横Gセンサ(図示せず)、および、車輪速を検出する車輪速センサ(図示せず)などを含む。
【0055】
図2に示すように、制御装置11は、運動マネージャ200と、判定部201とを含む。判定部201は、センサ群110の各センサが検知した各種情報を取得し、取得した情報に基づいて各センサに発生した異常を検知する。運動マネージャ200は、受付部202と、調停部204と、算出部206と、分配部208とを含む。上記のように構成された車両2が走行する際における各部材の動作について説明する。なお、運動マネージャ200は、本開示の「搭載制御部」の一例である。
【0056】
受付部202は、運転支援システム100のアプリケーションから要求信号PLN1を受信する。要求信号PLN1は、たとえば、ACC106の要求信号PLN1-2と、AEB102の要求信号PLN1-6と、LKA104の要求信号PLN1-11とを含む。要求信号PLN1-2は、車両2の目標加速度を示す要求値(行動計画)などを含む。要求信号PLN1-6は、車両2の目標加速度を示す要求値(行動計画)、および、停車保持要求(行動計画)などを含む。要求信号PLN1-11は、車両2の走行経路の目標曲率を示す要求値(行動計画)を示す情報を含む。
【0057】
調停部204は、要求信号PLN1に含まれる各種の要求値(行動計画)を調停する。たとえば、調停部204は、要求信号PLN1-2と、要求信号PLN1-6とに含まれる車両2の目標加速度を調停する。調停の処理としては、所定の選択基準に基づいて複数の要求値(行動計画)の中から1つの要求値を選択することが一例として挙げられる。また、調停の処理としては、複数の要求値に基づいて新たな要求値を設定することも他の例として挙げられる。なお、調停部204は、アクチュエータシステム300から受信する所定の情報をさらに加えて、複数の要求値の要求を調停してもよい。
【0058】
算出部206は、たとえば、調停された要求値に基づいて、車両2に求められる運動要求値を算出する。なお、調停された要求値が車両2の正の加速度である場合には、運動要求値は駆動力および駆動トルクなどである。
【0059】
分配部208は、算出部206によって算出された運動要求値をアクチュエータシステム300の少なくとも一つのアクチュエータシステムに分配(送信)する。たとえば、調停された要求値が車両2の正の加速度である場合には、分配部208は、パワートレインシステム302に対してのみに運動要求値を分配する。この図2に示す例においては、分配部208は、アクチュエータシステム300に、要求信号ACL1、BRK1、および、STR1を送信する。
【0060】
要求信号ACL1は、たとえば、駆動トルクまたは駆動力の要求値に関する情報や、要求されているシフトレンジの情報(以下に説明する目標シフトレンジおよび認識シフトレンジについての情報を含む)などを含む。
【0061】
要求信号BRK1は、たとえば、制動トルクの要求値に関する情報、および、制動の実施タイミングについての情報(即時実施か否か等)等を含む。
【0062】
要求信号STR1は、たとえば、目標(要求)舵角、目標舵角が有効であるか否かについての情報、および、ステアリングホイールの操作の支援トルクの上下限トルクに関する情報等を含む。
【0063】
パワートレインシステム302、ブレーキシステム304およびステアリングシステム306は、受信した運動要求値を満たすように駆動する。そして、アクチュエータシステム300は、各アクチュエータの状態を示す応答信号ACL2、BRK2、STR2、および、VSS2を運動マネージャ200に送信する。
【0064】
応答信号ACL2は、パワートレインシステム302から運動マネージャ200に送信される。応答信号ACL2は、パワートレインシステム302の状態を示す信号である。応答信号ACL2には、たとえば、アクセルペダルの操作に関する情報や、パワートレインシステム302の実駆動トルクあるいは実駆動力に関する情報や、実シフトレンジ情報(以下に説明する現在シフトレンジについての情報を含む)や、駆動トルクの上下限についての情報や、駆動力の上下限についての情報や、パワートレインシステム302の信頼性についての情報等が含まれる。
【0065】
応答信号BRK2は、ブレーキシステム304から送信される信号であり、ブレーキシステム304の状態を示す信号である。応答信号BRK2には、たとえば、ブレーキペダルの操作に関する情報や、ドライバが要求する制動トルクに関する情報や、調停後の制動トルクの要求値に関する情報や、調停後の実制動トルクに関する情報や、ブレーキシステム304の信頼性に関する情報等が含まれる。
【0066】
応答信号STR2は、ステアリングシステム306から送信される信号であり、ステアリングシステム306の状態を示す信号である。ステアリングシステム306には、たとえば、ステアリングシステム306の信頼性に関する情報や、ドライバがステアリングホイールを把持しているかについての情報や、ステアリングホイールを操作するトルクに関する情報や、ステアリングホイールの回転角に関する情報等が含まれる。
【0067】
応答信号VSS2は、センサ群308から送信される信号である。応答信号VSS2は、たとえば、前後Gセンサの検出値と、横Gセンサの検出値と、各車輪の車輪速センサの検出値と、ヨーレートセンサの検出値と、各センサの信頼性に関する情報とを含む。
【0068】
運動マネージャ200は、アクチュエータシステム300から受信した各種情報を含む応答信号PLN2を運転支援システム100に送信する。
【0069】
運転支援システム100の各アプリケーションは、受信した応答信号PLN2に基づいて要求信号PLN1を更新する。
【0070】
このようにして、車両2は、運転支援システム100の各アプリケーションからの走行支援に基づいて走行する。
【0071】
判定部201は、車両2の起動中において、センサ群110の各センサが取得した情報を取得する。判定部201は、前方カメラ120および後方カメラ121から、それぞれ、画像データID20および画像データID21を取得する。判定部201は、前方LiDAR130、後方LiDAR131、側方LiDAR132、および、側方LiDAR133から、それぞれ、点群データPD30、PD31、PD32、および、PD33を取得する。判定部201は、前方レーザ140、後方レーザ141、側方レーザ142、および、側方レーザ143から、それぞれ、距離データDD40、DD41、DD42、および、DD43を取得する。
【0072】
判定部201は、各センサから入力される各種データに基づいて、各センサに異常が生じたか否かを判断する。
【0073】
判定部201は、センサ群110のいずれかのセンサから所定期間に亘ってデータの入力がない場合には、当該センサに異常が生じたものと判断する。また、判定部201は、入力された各データに基づいて、当該データを出力したセンサの異常の有無を判断する。なお、判定部201は、入力された各センサからのデータを比較することで、各センサの異常の有無を判断するようにしてもよい。
【0074】
たとえば、判定部201は、前方カメラ120から入力された画像データID20が所定期間内に入力されない場合には、前方カメラ120に異常が生じたと判断するように構成されていてもよい。
【0075】
たとえば、判定部201は、画像データID20の欠損領域が所定範囲以上である場合には、前方カメラ120に異常が発生したと判断するように構成されていてもよい。この場合には、たとえば、前方カメラ120のレンズに異物が付着した場合や、前方カメラ120の光学素子が損傷したことなどが考えられる。
【0076】
たとえば、判定部201は、画像データID20に基づいて算出される前方車両との距離と、点群データPD30に基づいて算出される前方車両との距離と、距離データDD40に基づいて算出される前方車両との距離とに基づいて、前方カメラ120、前方LiDAR130および前方レーザ140の異常の有無を判定する。
【0077】
判定部201は、センサ群110のいずれかのセンサに異常が発生した場合に、運動マネージャ200および報知装置12に異常信号ASを送信する。この異常信号ASには、センサ群110のいずれのセンサで異常が発生したかを特定する情報が含まれる。
【0078】
運動マネージャ200は、異常信号ASを受信すると、所定期間内に、運転支援システム100との間の通信、および、アクチュエータシステム300との間の通信の各々を停止する。これにより、車両2は、運転手によって操作される通常走行が可能である一方で、運転支援システム100に基づく自動運転走行および走行支援走行が不可能になる。
【0079】
報知装置12は、異常信号ASを受信すると、所定期間経過後に、自動運転走行および走行支援走行が不可能になることを報知する。さらに、報知装置12は、補助車両3が運転支援システム100を用いて自動運転走行または運転支援走行をしている場合には、運転制御が運転手に戻されることを報知する。
【0080】
報知装置12は、異常信号ASを受信してから所定期間経過後、表示部13に補助要求ボタン20を表示する。
【0081】
運転手が補助要求ボタン20を押すと、図1において、車両2からサーバ4に要求信号RS1が送信される。要求信号RS1には、車両2を特定する情報と、車両2の位置情報と、車両2に生じた異常情報とを含む。異常情報には、車両2において異常が生じたセンサまたはアクチュエータを特定する情報が含まれる。
【0082】
図5は、補助車両3を示すブロック図である。なお、補助車両3の各構成は、車両2の構成と実質的に同じである。そこで、車両2の構成に相当する構成については、近似する符号(たとえば、車両2の符号に「A」を追加)を付してその説明を省略する。
【0083】
補助車両3は、運転支援システム100Aと、センサ群110Aと、運動マネージャ200Aと、判定部201Aと、アクチュエータシステム300Aと、操作装置400Aを備える。なお、運動マネージャ200Aおよびアクチュエータシステム300Aは、それぞれ、本開示の「補助制御部」および「補助アクチュエータ」の一例である。また、センサ群110Aは、本開示の「補助センサ」の一例である。
【0084】
運転支援システム100Aは、AEB102Aと、LKA104Aと、ACC106Aと、自動駐車108Aとを含む。
【0085】
センサ群110Aは、補助車両3の外部環境の各種情報を取得するための機器である。センサ群110Aは、前方カメラ120Aと、後方カメラ121Aと、前方LiDAR130Aと、後方LiDAR131Aと、側方LiDAR132Aと,側方LiDAR133Aと、前方レーザ140Aと、後方レーザ141Aと、側方レーザ142Aと、側方レーザ143Aと、位置検出装置150Aとを含む。運動マネージャ200Aは、受付部202Aと、調停部204Aと、算出部206Aと、分配部208Aとを含む。アクチュエータシステム300Aは、パワートレインシステム302Aと、ブレーキシステム304Aと、ステアリングシステム306Aと、センサ群308Aとを含む。なお、前方カメラ120Aおよび前方LiDAR130Aは、それぞれ、本開示の「第1補助センサ」および「第2補助センサ」の一例である。また、ブレーキシステム304Aは、本開示の「第1補助アクチュエータ」の一例である。また、パワートレインシステム302A、ステアリングシステム306A、および、センサ群308Aの各々は、本開示の「第2補助アクチュエータ」の一例である。
【0086】
そして、補助車両3が運転支援システム100Aの各アプリケーションに基づいて走行する際には、運転支援システム100Aは、運動マネージャ200Aに要求信号PLN1Aを送信する。
【0087】
運動マネージャ200Aは、アクチュエータシステム300Aに要求信号ACL1A、BRK1A、および、STR1Aを送信する。アクチュエータシステム300Aは、運動マネージャ200Aに応答信号ACL2A、BRK2A、STR2A、および、VSS2Aを送信する。運動マネージャ200Aは、応答信号PLN2Aを運転支援システム100Aに送信する。
【0088】
(センサの異常時の制御)
上記のように構成された車両システム1において、車両2の前方レーザ140に異常が発生したとする。判定部201(図2参照)は、前方レーザ140の異常を検知すると、異常信号ASを報知装置12に送信する。報知装置12は、異常信号ASを受信してから所定期間経過後に表示部13に補助要求ボタン20(図2参照)を表示する。運転手が補助要求ボタン20を押すと、要求信号RS1(図1参照)がサーバ4に送信される。サーバ4は、要求信号RS1を受信すると、要求信号RS1に含まれる車両2の位置情報などに基づいて、補助車両3を車両2に向かわせる。
【0089】
補助車両3は、車両2が位置する場所に到着すると、車両2と協調して、車両2が自動運転走行または運転支援走行可能な状態にする。
【0090】
図6は、車両2が、補助車両3と協調することにより自動運転走行または運転支援走行可能な状態を示す図である。補助車両3は、車両2と協調して走行する前に、車両2との通信を確立する。車両2は、補助車両3との通信が確立すると、運動マネージャ200と運転支援システム100との間の通信停止状態が解除される。
【0091】
図6に示すように、車両2が補助車両3と協調して自動運転走行または運転支援走行する際には、補助車両3は車両2の前方を走行する。
【0092】
運転支援システム100において車両2の前方領域の情報を取得するセンサに異常が生じた場合に、車両2は補助車両3に、車両2の前方を走行する走行要求DR1を送信する。その一方で、車両2の後方領域の情報を取得するセンサに異常が生じた場合には、車両2は、補助車両3に走行要求DR2(図7参照)を送信する。
【0093】
補助車両3は、車両2から走行要求DR1を受信すると、車両2の前方を走行するように制御される。走行要求DR1には、車両2のうち、異常が発生したセンサまたはアクチュエータを特定する情報が含まれる。本実施形態においては、走行要求DR1は、前方レーザ140に異常が生じたことを示す情報を含む。
【0094】
補助車両3は、走行要求DR1において特定されたセンサと同じ機能を発揮するセンサのデータを車両2に送信する。本実施形態においては、補助車両3、前方レーザ140Aの距離データDD40Aを車両2に送信する。したがって、車両2の通信装置10は、センサ群110Aの各センサのうち、故障した前方レーザ140に対応する前方レーザ140Aからの距離データDD40Aを取得する。
【0095】
そして、車両2の通信装置10は、取得した距離データDD40Aを運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。運転支援システム100の各アプリケーションは、取得した距離データDD40Aと、センサ群110からの各種データとに基づいて、運動マネージャ200への要求値(要求信号PLN10)を算出する。具体的には、運転支援システム100の各アプリケーションは、距離データDD40Aと、画像データID20および21と、点群データPD30~PD33と、距離データDD40~DD42とに基づいて、上記要求値を算出する。
【0096】
そして、運転支援システム100は、要求信号PLN10を運動マネージャ200に入力する。運動マネージャ200は、入力された要求信号PLN10に基づいて、要求信号ACL10と、要求信号BRK10と、要求信号STR10とを算出して、各要求信号をアクチュエータシステム300に入力する。そして、アクチュエータシステム300は、運動マネージャ200に応答信号ACL20、BRK20、STR20、および、VSS20を送信する。運動マネージャ200は、受信した上記応答信号に基づき、応答信号PLN20を運転支援システム100に送信する。
【0097】
このようにして、車両2は、補助車両3から取得したデータ(DD40A)を用いて、自動運転走行または運転支援走行が可能となる。
【0098】
なお、運転支援システム100の各アプリケーションは、取得した距離データDD40Aを補正した後、運動マネージャ200への要求値を算出するようにしてもよい。たとえば、各アプリケーションは、補助車両3および車両2の間の距離に基づいて、距離データDD40Aを補正した補正データを用いて、要求値を算出してもよい。
【0099】
このように、本実施形態に係る車両システム1においては、車両2は、センサ群110の一部である前方カメラ120に異常が生じた際に補助車両3の前方カメラ120Aからの入力を用いることにより、自動運転走行または運転支援走行を実施可能である。
【0100】
また、本実施形態においては、車両2は、補助車両3の駆動を制御する。たとえば、車両2は、補助車両3の駆動を制御するために、補助車両3から画像データID20AおよびID21Aと、点群データPD30A~PD33Aと、距離データDD40A~DD43Aとを受信する。
【0101】
車両2の運転支援システム100は、画像データID20AおよびID21Aと、点群データPD30A~PD33Aと、距離データDD40A~DD43Aとに基づいて、補助車両3の運転支援システム100Aへの要求値を算出する。
【0102】
車両2は補助車両3に、要求信号ACL1B、BRK1B、および、STR1Bを送信する。補助車両3の通信装置10Aは、要求信号ACL1B、BRK1B、および、STR1Bを受信すると、補助車両3のアクチュエータシステム300Aに送信する。
【0103】
アクチュエータシステム300Aは、受信した要求信号ACL1B、BRK1B、および、STR1Bに基づいて駆動する。そして、アクチュエータシステム300Aは、通信装置10Aを通して、応答信号ACL2B、BRK2B、STR2B、および、VSS2Bを運動マネージャ200に送信する。
【0104】
運動マネージャ200は、受信した応答信号ACL2B、BRK2B、STR2B、および、VSS2Bを受信すると、運転支援システム100に応答信号PLN20Bを送信する。
【0105】
このように、本実施形態に係る車両システム1においては、補助車両3が車両2の走行を補助する際に、車両2が補助車両3の駆動を制御することができる。これにより、車両2は、車両2および補助車両3の隊列走行などを良好に制御することができる。
【0106】
図7は、車両2の後方領域の情報を取得するセンサが故障した際において、補助車両3が車両2を補助しながら走行する状況を示す図である。
【0107】
この図7に示す例においては、車両2の後方カメラ121に異常が生じた場合について説明する。
【0108】
車両2は、補助車両3との通信が確立すると、補助車両3に走行要求DR2を送信する。補助車両3は、走行要求DR2を受信すると、車両2の後方を走行するように制御される。走行要求DR2は、故障したセンサを特定する情報を含む。図7に示す例においては、走行要求DR2は、後方カメラ121が故障したことを示す情報を含む。
【0109】
補助車両3は、走行要求DR2を受信すると、車両2に後方カメラ121Aの画像データID21Aを送信する。
【0110】
通信装置10は、受信した画像データID21Aを運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。なお、センサ群110は、運転支援システム100に画像データID20と、点群データPD30~PD33と、距離データDD40~DD43とを送信する。
【0111】
運転支援システム100の各アプリケーションは、画像データID20と、ID21Aと、点群データPD30~PD33と、距離データDD40~DD43とに基づいて、運動マネージャ200へ要求値(要求信号PLN11)を算出する。そして、運転支援システム100は、運動マネージャ200に、要求信号PLN11を送信する。運動マネージャ200は、要求信号PLN11に基づいて、要求信号ACL11、BRK11、および、STR11を算出してアクチュエータシステム300に送信する。
【0112】
アクチュエータシステム300は、運動マネージャ200に応答信号ACL21、BRK21、STR21、および、VSS21を運動マネージャ200に送信する。運動マネージャ200は、受信した上記応答信号に基づき、応答信号PLN21を運転支援システム100に送信する。このようにして、車両2は補助車両3のセンサ(後方カメラ121A)のデータを用いて、自動運転走行または運転支援走行が可能となる。
【0113】
なお、図6および図7に示す例では、それぞれ、前方レーザ140および後方カメラ121が異常である場合を例に示したが、本開示はこれに限られない。その他のセンサが異常である場合にも同様の制御が行われてよい。
【0114】
(アクチュエータの異常時の制御)
図8に示すように、車両2は、補助車両3と連結する連結部35および連結部36を備える。連結部35は、車両2の前方側に設けられている。連結部36は、車両2の後方側に設けられている。
【0115】
図8に示す例では、補助車両3は、車両2の油圧ブレーキ33に異常が生じた状態において、車両2の走行を補助している。なお、補助車両3は、連結部36に接続された接続部材37によって連結部36に連結されており、車両2の後方に位置している。
【0116】
車両2は、補助車両3を用いて走行する前に補助車両3との通信を確立する。そして、車両2は、補助車両3に走行要求DR3を送信する。この走行要求DR3は、接続部材37によって補助車両3に連結されることを要求する要求信号と、異常が発生したアクチュエータを特定する情報と、補助車両3に要求するデータを特定する情報とを含む。
【0117】
図8に示す例では、走行要求DR3は、油圧ブレーキ33に故障が生じたことを示す情報を含む。また、走行要求DR3は、補助車両3から画像データID21Aと、点群データPD31Aと、距離データDD41Aとを要求する情報とを含む。
【0118】
そして、補助車両3は、連結部36に連結されたことを検知すると、画像データID21Aと、点群データPD31Aと、距離データDD41Aとを車両2に送信する。
【0119】
通信装置10は、補助車両3から受信された画像データID21A、点群データPD31A、および、距離データDD41Aを、運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。なお、センサ群110の各センサからのデータも、運転支援システム100の各アプリケーションに送信される。
【0120】
車両2の運転支援システム100は、画像データID21Aと、点群データPD31Aと、距離データDD41Aと、センサ群110の各種データとに基づいて運動マネージャ200への要求値(要求信号PLN12)を算出する。具体的には、運転支援システム100は、画像データID21Aと、点群データPD31Aと、距離データDD41Aと、画像データID20と、点群データPD(30、32、33)と、距離データDD(40、42、43)とに基づいて、上記要求値を算出する。そして、運転支援システム100は、要求信号PLN12を運動マネージャ200に入力する。
【0121】
運動マネージャ200は、要求信号PLN12に基づいて、要求信号ACL12と、要求信号BRK12と、要求信号STR12とを算出して、各要求信号をアクチュエータシステム300に入力する。そして、アクチュエータシステム300は、運動マネージャ200に応答信号ACL22、BRK22、STR22、および、VSS22を送信する。運動マネージャ200は、受信した上記応答信号に基づき、応答信号PLN22を運転支援システム100に送信する。
【0122】
なお、図8に示す例においても、車両2は、補助車両3の駆動を制御する。これにより、車両2の油圧ブレーキ33が駆動しない状態であっても、補助車両3の油圧ブレーキ32Aおよび33Aの少なくとも一方を駆動させることで、車両2を減速または停止させることができる。
【0123】
具体的には、車両2の通信装置10は、センサ群110Aからの各種データを取得し、取得した各種データを運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。運転支援システム100(運動マネージャ200)は、センサ群110Aからの各種データに基づいて、要求信号ACL11B、BRK11B、および、STR11Bを算出してアクチュエータシステム300Aに送信する。
【0124】
ここで、運転支援システム100(運動マネージャ200)は、車両2を減速または停止させる必要がある場合には、補助車両3の油圧ブレーキ33Aを駆動させる。具体的には、運転支援システム100(運動マネージャ200)は、要求信号BRK11Bを用いて、油圧ブレーキ32Aおよび33Aの少なくとも一方の制動力を増加させる。また、補助車両3のパワートレインシステム302Aの駆動力を低下させる場合には、要求信号ACL11Bを用いて、パワートレインシステム302Aの駆動力を低下させてもよい。
【0125】
そして、アクチュエータシステム300Aは、通信装置10Aを通して、応答信号ACL12B、BRK12B、STR12B、および、VSS12Bを運動マネージャ200に送信する。運動マネージャ200は、受信した応答信号ACL12B、BRK12B、STR12B、および、VSS12Bを受信すると、運転支援システム100に応答信号PLN22Bを送信する。
【0126】
このような車両システムによれば、車両2の油圧ブレーキ33に異常を生じたとしても、補助車両3からのデータおよび補助車両3の油圧ブレーキなど用いることで、車両2は自動運転走行または運転支援走行が可能である。
【0127】
また、上記の例においては、補助車両3を車両2の後方に配置して、車両2および補助車両3が走行する例について説明したが、車両2の前方を補助車両3に走行させてもよい。また、油圧ブレーキ32が異常の場合にも、同様の制御が行われてもよい。また、油圧ブレーキ(ブレーキシステム)以外の車両2の所定のアクチュエータが異常な場合に、上記所定のアクチュエータと同じ機能を有する補助車両3のアクチュエータを用いて上記と同様の補助制御が行われてもよい。
【0128】
また、図9に示すように、アクチュエータシステム300のセンサ群308(図2参照)は、タイヤ圧センサ45および46を含む。タイヤ圧センサ45は、前輪30の空気圧を測定する。タイヤ圧センサ46は、後輪31の空気圧を測定する。
【0129】
また、車両2は、昇降装置40および昇降装置41をさらに備える。昇降装置40は、前輪30を昇降させる装置である。昇降装置41は、後輪31を昇降させる装置である。なお、昇降装置40および41は、本開示の「移動装置」の一例である。
【0130】
昇降装置40は、一対の前輪30を互いに独立して昇降させることが可能である。また、昇降装置41は、一対の後輪31を互いに独立して昇降させることが可能である。なお、一対の前輪30は、昇降装置40により互いに連動して昇降されてもよい。また、一対の後輪31は、昇降装置41により互いに連動して昇降されてもよい。
【0131】
タイヤ圧センサ45および46の各々は、測定された空気圧を制御装置11に送信する。制御装置11は、各タイヤの空気圧が所定値以下であると判断すると、タイヤ圧が所定値以下である旨を示す警告と、自動運転走行および運転支援走行を所定時間経過後に停止する旨の通知とを、表示部13に表示させる。また、表示部13に表示する警告には、停車するようにユーザに推奨する旨の通知を含んでいてもよい。
【0132】
この図9に示す例では、前輪30の空気圧が所定値よりも低くなっているとする。車両2は、補助車両3との通信が確立した後、走行要求DR4を補助車両3に送信する。走行要求DR4には、前輪30の空気圧が低いことを示す情報と、補助車両3を連結部35に連結することを要求する信号とを含む。補助車両3は、走行要求DR4を受信すると、接続部材37により車両2を連結部35に連結する。
【0133】
なお、車両2は、後輪31の空気圧が所定値以下であると判断した場合に、後輪31の空気圧が低いことを示す情報と、補助車両3を連結部36に連結することを要求する信号とを含む走行要求DR4を補助車両3に送信する。
【0134】
車両2は、補助車両3が連結部35に連結されたことを検知すると、制御装置11(図2参照)により昇降装置40を駆動させて前輪30を上昇させる。これにより、前輪30の少なくとも一部が車両2の内部に収納される。そして、前輪30は、地面から浮いた状態となる。
【0135】
なお、補助車両3が車両2に連結された状態においては、前輪30を上昇させたとしても、車両2は、補助車両3によって支えられることで走行可能な状態となる。
【0136】
上記の車両システム1によれば、車両2の前輪30の空気圧が低くなった状態においても、車両2は補助車両3に連結された状態で走行可能な状態となる。
【0137】
なお、この場合、車両2の運動マネージャ200は、補助車両3のアクチュエータシステム300Aを制御して、補助車両3の走行(駆動力、制動力、および、操舵角等)を制御してもよい。
【0138】
また、図9に示す例では、走行要求DR4は、前輪30の空気圧が低いことを示す情報と、補助車両3から画像データID20Aと、点群データPD30Aと、距離データDD40Aとを要求する情報とを含む。
【0139】
そして、補助車両3は、連結部35に連結されたことを検知すると、画像データID20Aと、点群データPD30Aと、距離データDD40Aとを車両2に送信する。
【0140】
通信装置10は、補助車両3から受信された画像データID20A、点群データPD30A、および、距離データDD40Aを、運転支援システム100の各アプリケーションに送信する。なお、センサ群110の各センサからのデータも、運転支援システム100の各アプリケーションに送信される。
【0141】
車両2の運転支援システム100は、画像データID20Aと、点群データPD30Aと、距離データDD40Aと、センサ群110の各種データとに基づいて運動マネージャ200への要求値(要求信号PLN13)を算出する。具体的には、運転支援システム100は、画像データID20Aと、点群データPD30Aと、距離データDD40Aと、画像データID21と、点群データPD(31~33)と、距離データDD(41~43)とに基づいて、上記要求値を算出する。そして、運転支援システム100は、要求信号PLN13を運動マネージャ200に入力する
【0142】
そして、運動マネージャ200は、アクチュエータシステム300に、要求信号ACL13、BRK13、および、STR13を送信する。そして、アクチュエータシステム300は、運動マネージャ200に応答信号ACL23、BRK23、STR23、および、VSS23を送信する。運動マネージャ200は、受信した上記応答信号に基づき、応答信号PLN23を運転支援システム100に送信する。
【0143】
また、上記の例においては、補助車両3を前輪30が故障した車両2の前方に配置する例について説明したが、後輪31が故障した車両2の後方を補助車両3に走行させてもよい。この場合、昇降装置41により後輪31が上昇される。
【0144】
なお、上記実施形態では、車両2に備えられる制御装置11が、補助車両3のセンサおよびアクチュエータを用いて車両2の走行を補助する例を示したが、本開示はこれに限られない。上記補助を行う制御装置が、補助車両3に備えられていてもよいし、車両2および補助車両3の外部に設けられていてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、車両2の運動マネージャ200が、車両2のセンサの異常時に補助車両3の各センサからの入力を用いてアクチュエータシステム300を制御する例、および、車両2のアクチュエータの異常時にアクチュエータシステム300Aを制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。補助車両3の運動マネージャ200Aが、上記の各制御を行ってもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、車両2のセンサの異常時に補助車両3の各センサからの入力を用いてアクチュエータシステム300を制御する例、および、車両2のアクチュエータの異常時にアクチュエータシステム300Aを制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。上記2つの例のうちいずれか一方のみが行われてもよい。
【0147】
また、上記実施形態では、車両2のセンサの異常時に補助車両3の各センサを用いて車両2を走行させる場合に、車両2と補助車両3とが連結されていない例を示したが、本開示はこれに限られない。車両2と補助車両3とが連結されていてもよい。また、車両2のアクチュエータの異常時にアクチュエータシステム300Aを用いて車両2を走行させる場合に、車両2と補助車両3とが連結されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0148】
2 車両,3 補助車両,10 通信装置(通信機),11 制御装置(車両制御装置),30 前輪(車輪),31 後輪(車輪),35、36 連結部,40、41 昇降装置(移動装置),110 センサ群(搭載センサ),110A センサ群(補助センサ),120 前方カメラ(第1搭載センサ),120A 前方カメラ(第1補助センサ),130 前方LiDAR(第2搭載センサ),130A 前方LiDAR(第2補助センサ),200 運動マネージャ(搭載制御部)200A 運動マネージャ(補助制御部),300 アクチュエータシステム(搭載アクチュエータ),302 パワートレインシステム(第2搭載アクチュエータ),302A パワートレインシステム(第2補助アクチュエータ),304 ブレーキシステム(第1搭載アクチュエータ),304A ブレーキシステム(第1補助アクチュエータ),306 ステアリングシステム(第2搭載アクチュエータ),306A ステアリングシステム(第2補助アクチュエータ),308 センサ群(第2搭載アクチュエータ),308A センサ群(第2補助アクチュエータ)。
図1
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図9