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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】焼結クーラー脱輪検出装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/00 20060101AFI20250218BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20250218BHJP
   C22B 1/26 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
F27B21/00 B
F27D21/00 A
C22B1/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022079435
(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公開番号】P2023167899
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】祇園 弘貴
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202747792(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106949741(CN,A)
【文献】実開昭61-006196(JP,U)
【文献】特開昭47-015305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00
F27D 21/00
C22B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結クーラーに用いられるトラフ台車の車輪がレールから脱輪していることを検出する焼結クーラー脱輪検出装置において、
脱輪したトラフ台車の車輪が当接する位置に配置されるブレードを有し、鉛直方向に伸長する回転軸回りに回転可能なストライカと、
前記ブレードが前記脱輪した車輪と当接して前記ストライカが回転軸回りに回転された状態で前記ストライカによって作動されて脱輪検出信号を出力する検出器と、を備え
前記検出器がリミットスイッチであり、前記ストライカは、前記リミットスイッチの検知レバーに当接され且つリミットスイッチの内部に設けられたリターンスプリングによって、前記脱輪したトラフ台車の車輪が当接する位置に前記ブレードが付勢されるように構成されたことを特徴とする焼結クーラー脱輪検出装置。
【請求項2】
前記ブレードは、鉛直な両面を有する板部材で構成され且つ上部がトラフ台車の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されていることを特徴とする請求項に記載の焼結クーラー脱輪検出装置。
【請求項3】
前記ブレードは、前記脱輪した車輪が当接する当接部が前記レールの伸長方向と直交する方向に対して前記トラフ台車の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結クーラー脱輪検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結クーラーのトラフ台車の脱輪を検出する焼結クーラー脱輪検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄業では、焼結プロセスによって粉鉱石と呼ばれる粒径5mm以下の安価な鉄鉱石を塊成化して焼結鉱を生産している。強度や還元性の高い良質な焼結鉱を生産し、高炉原料として用いることで、炉内の通気性の確保や、還元剤であるコークスの使用比率を低減することができ、高炉の安定操業、生産性の向上、CO2排出量の削減につながる。焼結機で焼結された焼結鉱は赤熱状態にあり、そのまま高炉に装入すると、例えばシュートが熱損耗するなどの障害がある。そこで、焼結鉱は、焼結クーラーで冷却されてから高炉に装入される。
焼結クーラーでは、円環状のレール上に多数のトラフ台車が無端状に一連に搭載され、そのままレール上を数珠繋ぎ状態で移動される。このレール上の一か所に設けられた装入口からトラフ台車上のトラフに焼結鉱が装入され、レール上を移動している間に、トラフの下方から上方に吹き抜けられる空気で焼結鉱が冷却され、装入口の手前の排出口では、その位置にあるトラフ台車のトラフが傾斜されて、トラフ上の冷却された焼結鉱が排出される。一連に数珠繋ぎ状態で移動されるトラフ台車の車輪が脱輪すると、操業に大きな支障をきたす。そこで、下記特許文献1に記載されるようなトラフ台車の脱輪検出装置が必要とされる。
【0003】
下記特許文献1の従来技術として挙げられる焼結クーラー脱輪検出装置では、レール上を移動するトラフ台車の車輪の対向する位置にリミットスイッチが配設され、このリミットスイッチの検知バーが車輪側に向けて突き出すように構成されている。この焼結クーラー脱輪検出装置では、車輪がレール上から外れると、車輪が検知バーに衝突し、その検知バーの移動でリミットスイッチが作動して車輪の脱輪が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭61-6196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の焼結クーラー脱輪検出装置では、リミットスイッチの検知バーが車輪側に向けて突き出すように配置されているだけであることから、脱輪した車輪が検知バーに衝突すると、検知バーが折損するおそれがある。検知バーが折損すると、脱輪検出装置として機能しない、すなわち故障しているので、検知バーを交換するなどして装置を修理する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トラフ台車の脱輪を確実に検出することができると共に、脱輪した車輪が衝突しても故障しにくい焼結クーラー脱輪検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る焼結クーラー脱輪検出装置は、焼結クーラーに用いられるトラフ台車の車輪がレールから脱輪していることを検出する焼結クーラー脱輪検出装置において、脱輪したトラフ台車の車輪が当接する位置に配置されるブレードを有し、鉛直方向に伸長する回転軸回りに回転可能なストライカと、ブレードが脱輪した車輪と当接してストライカが回転軸回りに回転された状態でストライカによって作動されて脱輪検出信号を出力する検出器と、を備えたことを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、前記検出器がリミットスイッチであり、前記ストライカは、前記リミットスイッチの検知レバーに当接され且つリミットスイッチの内部に設けられたリターンスプリングによって、前記脱輪したトラフ台車の車輪が当接する位置に前記ブレードが付勢されるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
本発明の更なる態様は、前記ブレードは、鉛直な両面を有する板部材で構成され且つ上部がトラフ台車の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されていることを特徴とする。
本発明の更なる態様は、前記ブレードは、前記脱輪した車輪が当接する当接部が前記レールの伸長方向と直交する方向に対して前記トラフ台車の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の焼結クーラー脱輪検出装置によれば、脱輪したトラフ台車の車輪がストライカのブレードに当接すると、ストライカは鉛直向きの回転軸回りに回転しながら検出器を作動し、検出器から脱輪検出信号が出力されるので、トラフ台車の脱輪を確実に検出することができると共に、脱輪した車輪がストライカのブレードに衝突してもストライカが回転することで、その衝撃を吸収・緩和することができ、その結果、ストライカの折損が防止されることから故障しにくい焼結クーラー脱輪検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の脱輪検出装置が適用された焼結クーラーの一実施形態を模式的に示す概略平面図である。
図2図1の焼結クーラーに用いられるトラフ台車の概略構成断面図である。
図3図1の焼結クーラーに設けられた脱輪検出装置の三面図である。
図4図3の脱輪検出装置の作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の焼結クーラー脱輪検出装置の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
図1は、この実施形態の脱輪検出装置1が適用された焼結クーラー2を極めて模式的に示す概略平面図である。この実施形態では、焼結クーラー2の領域において、2本のレール3が円環状で且つ無端状に敷設され、このレール3上に、例えば図2に示すようなトラフ台車4が多数、無端状に一連に(隙間なく)搭載されている。これら多数のトラフ台車4は、図示しない駆動源により、例えば図1のレール3上を反時計回り方向に移動され、その移動中に焼結鉱5が冷却される。すなわち、この円環状のレール3上に焼結クーラー2が構成されている。この円環状の焼結クーラー2には、図の右方に焼結鉱5の装入口6が設けられ、そのトラフ台車移動方向手前に冷却済みの焼結鉱5の排出口7が設けられている。
【0012】
図2に示すトラフ台車4は、焼結鉱5を収容するトラフ8が上部に設けられ、その下方には、車輪軸挿入部9を介して、図の左右両端部に車輪10が回転自在に設けられている。これらの車輪10がレール3上に搭載され、レール3の敷設方向にトラフ台車4が移動される。焼結クーラー2では、図1の装入口6で、図示しない焼結機から赤熱状態の焼結鉱5がトラフ台車4のトラフ8に装入される。トラフ8は、底面8aの下方から上方に風が吹き抜けられるように構成されており、トラフ8の上部と下部を凡そ気密に閉塞した状態で下方から上方に冷却空気が吹き抜けられ、これによりトラフ8に収容されている焼結鉱5が冷却される。排出口7に移動されたトラフ台車4では、トラフ台車4ごと傾斜させるか、若しくはトラフ8のみを傾斜させて内部の冷却済みの焼結鉱5が排出される。
【0013】
トラフ台車4の車輪10には、図2に示すように、2本のレール3の外側部分に、脱輪防止用のフランジ11が設けられているが、それでも車輪10がレール3から脱輪するおそれがある。そこで、この焼結クーラー2には、図1の平面図における上部、すなわち装入口6から円環状のレール3の反時計回り方向1/4回転位置と、下部、すなわち円環状のレール3の排出口7の手前1/4回転位置において、円環状の2本のレール3の径方向外側と内側、すなわちレール3の敷設方向の両側に脱輪検出装置1を配設した。なお、この脱輪検出装置1の配置例は、あくまでも一例であり、例えば、上記特許文献1に記載されるように、円環状のレール3に対して、所定間隔で配置するようなレイアウトも可能である。
【0014】
図3は、この実施形態の脱輪検出装置1の三面図であり、図3aは正面図、図3bは左側面図、図3cは上面図である。この脱輪検出装置1は、上面が長方形な門型の架台12上に設置されており、上面の長手方向が円環状のレール3の法線方向に一致するように架台12が設置されている。この架台12の上面のレール3側の部分には、脱輪を検知する検知器としてリミットスイッチ13が搭載されている。リミットスイッチ13は、本体の図3bにおける右側面に検知レバー14が設けられており、この例では、検知レバー14は本体から上方向きに設定され、その上端部には、レール敷設方向と平行な回転軸14a回りに回転自在にローラ15が取付けられている。このリミットスイッチ13では、検知レバー14の下端部を本体に回動自在に取付けるための支持軸16回りに図3aの状態から検知レバー14を時計回り方向にも反時計回り方向にも回転させることができる。周知のように、この検知レバー14は、リミットスイッチ13の本体の内部に設けられた図示しないリターンスプリングによって設定状態、すなわち、常態位置である上向きの状態に付勢されている。したがって、前述のように検知レバー14を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させても、リターンスプリングの付勢力によって図3aの状態に復元する。このリミットスイッチ13の出力は、図示しない焼結クーラー2の制御装置に入力され、後述する脱輪検出信号が出力されたら焼結クーラー2が停止されるように構成されている。なお、リミットスイッチ13の脱輪検出信号出力線(電線ケーブル)は図示を省略している。
【0015】
架台12の上面のレール3側端部には、鉛直方向上向きに回転軸部材17が立設されている。この回転軸部材17が、後述するストライカ18の鉛直向き、すなわち鉛直方向に伸長する回転軸を構成する。この実施形態では、直径の比較的小さい円柱形状の金属製丸棒部材が回転軸部材17として用いられ、架台12の上面のレール3側端部のうち、リミットスイッチ13の検知レバー14がある側と反対側の端部から鉛直方向上向きに立設されている。
この回転軸部材17にリミットスイッチ13の検知レバー14を操作するストライカ18が鉛直回転軸回りに回転自在に取付けられている。このストライカ18は、折曲加工された2つの金属製板部材を接合して構成されており、これに回転軸部材17が比較的緊密に嵌入するキャップ部材19が接合され、このキャップ部材19を回転軸部材17の上部に被せてストライカ18が回転軸部材17に回転自在に結合(係合)されている。このストライカ18は、脱輪したトラフ台車4の車輪10が当接するブレード20と、リミットスイッチ13の検知レバー14を操作する操作部21を備える。
【0016】
ブレード20は、回転軸部材17に被嵌されるキャップ部材19の部分からレール3側に向けて延伸される部材であり、キャップ部材19が取付けられている取付部22、脱輪したトラフ台車4の車輪10が当接する当接部24、取付部22と当接部24を連結する連結部23を有する。ブレード20の取付部22、連結部23、当接部24は、一連の金属製板材を折曲加工して形成されており、取付部22が円環状のレール3の法線方向に延展され、当接部24は、取付部22よりもトラフ台車4の移動方向先方の位置から更にトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜して延展され、連結部23は取付部22と当接部24を連結するように延展されている。これら取付部22、連結部23、当接部24は、何れも下部は両面が鉛直になるように配置構成されると共に、何れも上部はトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されている。なお、ブレード20の下部のうち、トラフ台車4の移動方向先方側の鉛直面には、薄い金属製角パイプが補強部材25としてブレード20の延伸方向に向けて一連に接合されている。また、このブレード20の平面視形状は、これに限定されるものではない。
【0017】
操作部21は、ブレード20の連結部23からリミットスイッチ13の検知レバー14側に延展する上下面が水平な金属製板部材を折曲加工して構成される。この操作部21は、ブレード20の連結部23の下面に接合され、その接合部には、両面が鉛直で且つ円環状のレール3の法線方向に延展する金属製板部材からなるリブ部材26が両者にまたがるように接合されている。また、操作部21の延展方向先端部21a、すなわちリミットスイッチ13の検知レバー14側の端部はやや斜め上方に傾斜され、その先端部21aは、リミットスイッチ13の検知レバー14に取付けられているローラ15の上面に当接している。
【0018】
図3a、図3cには、脱輪したトラフ台車4の車輪10を二点鎖線で示す。上記のような構成を有する脱輪検出装置1では、図に示すように、脱輪した車輪10がトラフ台車4と共に移動されると、車輪10はブレード20の当接部24に当接する。このように脱輪した車輪10がブレード20に当接すると、ブレード20は、当接部24がレール3から離間するように、操作部21と共に、回転軸部材17が構成する鉛直向きの回転軸回りに回転する。このとき、操作部21の上向き傾斜先端部21aはリミットスイッチ13の検知レバー14に取付けられているローラ15の上面に当接しているので、この上向き先端部21aがリミットスイッチ13の検知レバー14を図3aの左方に押し、これに伴って検知レバー14は支持軸16回りに反時計回り方向に回転され、リミットスイッチ13の内部の図示しない接点が当接されて脱輪検出信号が出力される。前述のように、脱輪検出信号が焼結クーラー2の制御装置に入力されると、焼結クーラー2が停止される。
【0019】
このストライカ18は、図3に示す常態時、操作部21の上向き傾斜先端部21aの下面がリミットスイッチ13の検知レバー14に当接されており、この検知レバー14にはリミットスイッチ13の内部のリターンスプリングの付勢力が作用しているので、この付勢力によってブレード20の当接部24がレール3に接近するように付勢され、これによりブレード20の当接部24は脱輪した車輪10が当接する位置に保持されている。この設定位置にすることによって、車輪10が脱輪しなければ、すなわちレール3上の正規軌道を車輪10が移動している場合には、ブレード20の当接部24に車輪10は当接することがない。なお、レール3の近傍には、リミットスイッチ13の内部のリターンスプリングの付勢力によってブレード20の当接部24がレール3に接近しすぎないように、金属製丸棒材からなるストッパ27が立設されている。しかしながら、ストライカ18のブレード20の当接部24がレール3に接近しすぎた場合に、レール3上を正規軌道で移動する車輪10、例えばフランジ11が当接部24に押当して図3cの設定位置、すなわち常態位置に押し返されることが期待される場合には、このストッパ27は不要である。
【0020】
図4は、脱輪した車輪10がブレード20の当接部24に当接する状態を模式的に示したものであり、図3bと同様に、装置の左側面図である。この実施形態では、前述のように、当接部24を含むブレード20の上部がトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されているので、ブレード20に車輪10が上方から衝突するような場合でも、その衝突の運動エネルギーがトラフ台車4の移動方向、すなわちストライカ18の回転方向に分散され、これによりストライカ18を回転させることができることから、衝突に伴う衝撃が吸収・緩和され、ブレード20の折損が防止される。このブレード20の上部の傾斜角度は、水平から135°、角度範囲は125°~145°に設定した。
【0021】
更に、この実施の形態では、脱輪した車輪10が当接するブレード20の当接部24が、円環状のレール3の法線方向、すなわちレール3の伸長方向と直交する方向に対してトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜されている。もし、ブレード20の当接部24がレール3の伸長方向と直交する方向に延展するか、又はトラフ台車4の移動方向後方に向けて傾斜しているような場合には、脱輪した車輪10がトラフ台車4の移動方向に衝突するような場合に、その衝撃によってブレード20が折損してしまうおそれがある。これに対し、ブレード20の当接部24をレール3の伸長方向と直交する方向に対してトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜させておくことで、トラフ台車4の移動方向に衝突する際の衝突エネルギーの一部をストライカ18の回転方向に分散させることができ、これにより衝突に伴う衝撃が吸収・緩和され、ブレード20の折損が防止される。この当接部24のレール3に対する傾斜角度は、脱輪した車輪10が当接する位置における円環状のレール3の接線方向に対して45°、角度範囲で30°~60°に設定した。
【0022】
このように、この実施形態の焼結クーラー脱輪検出装置では、脱輪したトラフ台車4の車輪10がストライカ18のブレード20に当接すると、車輪10はトラフ台車4の移動方向、すなわち水平方向にブレード20に当接するので、ストライカ18は鉛直向きの回転軸回りに回転しながらリミットスイッチ(検出器)13を作動し、そのリミットスイッチ13から脱輪検出信号が出力される。したがって、トラフ台車4の脱輪を確実に検出することができると共に、脱輪した車輪10がストライカ18のブレード20に衝突してもストライカ18が回転することで、その衝撃を吸収・緩和することができ、その結果、ストライカ18の折損が防止されることから故障しにくい焼結クーラー脱輪検出装置が提供される。
【0023】
また、ストライカ18はリミットスイッチ13の検知レバー14に当接され且つリミットスイッチ13の内部に設けられたリターンスプリングによってブレード20が脱輪したトラフ台車4の車輪10が当接する位置に付勢される構成としたため、ストライカ18を脱輪した車輪10と当接する位置に復元・保持する機構が不要となり、その分だけ、構成が簡潔で、コストも低廉化することができる。
また、ブレード20を鉛直な両面を有する板部材で構成し、その上部をトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜させたことにより、ブレード20に車輪10が上方から衝突するような場合でも、その衝突の運動エネルギーをストライカ18の回転方向に分散してストライカ18を回転させることができ、その結果、衝突に伴う衝撃が吸収・緩和され、ブレード20の折損が防止される。
【0024】
また、脱輪した車輪10が当接するブレード20の当接部24をレール3の伸長方向と直交する方向に対してトラフ台車4の移動方向先方に向けて斜めに傾斜させたことにより、車輪10が当接部24にトラフ台車4の移動方向に衝突する際の衝突エネルギーの一部をストライカ18の回転方向に分散させることができ、これにより衝突に伴う衝撃が吸収・緩和され、ブレード20の折損が防止される。
以上、実施形態に係る焼結クーラー脱輪検出装置について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、脱輪検出信号を出力する検出器にリミットスイッチ13を用いたが、リミットスイッチに代えて、例えば光電スイッチなどを用いることも可能である。しかし、前述のように、リミットスイッチ13のリターンスプリングの付勢力をストライカ18の復元力として用いることで、構成を容易化し、コストを低廉化することができるというメリットがある。
【符号の説明】
【0025】
1 脱輪検出装置
2 焼結クーラー
3 レール
4 トラフ台車
10 車輪
13 リミットスイッチ(検出器)
14 検知レバー
17 回転軸部材(回転軸)
18 ストライカ
20 ブレード
24 当接部
図1
図2
図3
図4