(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20250218BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20250218BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
(21)【出願番号】P 2022211402
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 健太
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-157244(JP,A)
【文献】特開2019-039831(JP,A)
【文献】特開2018-173534(JP,A)
【文献】国際公開第2016/110728(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関する情報を表し、かつ、互いに更新のタイミングが異なる第1の地図及び第2の地図を記憶する記憶部と、
車両の進行方向において前記第1の地図に表された前記車両が走行中の道路に関する情報と前記第2の地図に表された前記車両が走行中の道路に関する情報とが互いに乖離する乖離区間を検出する乖離区間検出部と、
前記車両の進行方向において前記車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、前記乖離区間以外の区間について前記第1の地図に基づいて前記車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、一方、前記乖離区間について、前記第1の地図と前記第2の地図のうち、前記乖離区間における前記道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて前記走行予定経路を生成する経路生成部と、
前記走行予定経路に沿って前記車両が走行するように前記車両を制御する制御部と、
を有する車両制御装置。
【請求項2】
前記第1の地図に表された前記道路に関する情報の精度は前記第2の地図に表された前記道路に関する情報の精度よりも高く、前記第2の地図の更新頻度は前記第1の地図の更新頻度よりも高い、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記経路生成部は、前記乖離区間について生成された前記走行予定経路と、前記乖離区間の前後の区間について生成された前記走行予定経路とを所定の曲線で接続する、請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記経路生成部は、前記乖離区間の最も前記車両の現在位置に近い側の開始地点よりも所定のオフセット距離だけ前記車両の現在位置に近い地点から、前記第1の地図と前記第2の地図のうち、前記乖離区間における前記道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて前記走行予定経路を生成する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記乖離区間検出部は、互いの距離が所定の距離閾値未満となる二つの前記乖離区間が検出された場合、当該二つの乖離区間を含む連続する区間を一つの乖離区間とする、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
車両制御装置が、車両の進行方向において第1の地図に表された車両が走行中の道路に関する情報と、前記第1の地図と更新のタイミングが異なる第2の地図に表された前記車両が走行中の道路に関する情報とが互いに乖離する乖離区間を検出し、
前記車両制御装置が、前記車両の進行方向において前記車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、前記乖離区間以外の区間について前記第1の地図に基づいて前記車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、
前記車両制御装置が、前記乖離区間について、前記第1の地図と前記第2の地図のうち、前記乖離区間における前記道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて前記走行予定経路を生成し、
前記車両制御装置が、前記走行予定経路に沿って前記車両が走行するように前記車両を制御する、
ことを含む車両制御方法。
【請求項7】
車両の進行方向において第1の地図に表された車両が走行中の道路に関する情報と、前記第1の地図と更新のタイミングが異なる第2の地図に表された前記車両が走行中の道路に関する情報とが互いに乖離する乖離区間を検出し、
前記車両の進行方向において前記車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、前記乖離区間以外の区間について前記第1の地図に基づいて前記車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、
前記乖離区間について、前記第1の地図と前記第2の地図のうち、前記乖離区間における前記道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて前記走行予定経路を生成し、
前記走行予定経路に沿って前記車両が走行するように前記車両を制御する、
ことを前記車両に搭載されたプロセッサに実行させるための車両制御用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報を参照して、車両の自動運転制御を実行し、あるいは車両のドライバの運転支援を実行する技術が研究されている。しかし、車両の走行中において、車両が地図情報のないエリアに進入することで地図情報が利用できなくなることがある。そこで、地図情報に基づく走行経路から他の走行経路に切り替える技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示された走行支援装置は、自車両の周囲の地図情報に基づいて第1走行経路を生成し、かつ、検出した自車両の周囲環境に基づいて第2走行経路を生成する。この走行支援装置は、自車両が第1走行経路に沿って走行している間に、自車両の前方の第1走行経路が生成されなくなることを検出した場合、第1走行経路から第2走行経路への切り替えが必要であると判定する。そしてこの走行支援装置は、切り替えが必要であると判定された場合、第1走行経路から第2走行経路に遷移するように自車両を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両が走行する予定の経路(以下、単に走行予定経路と呼ぶ)の生成に利用される地図情報が、最新の道路状況を表していないことがある。例えば、地図情報が生成または更新された後においてその地図情報に表されている何れかの道路区間において工事が行われることによって、地図情報に表されているその道路区間の情報と実際のその道路区間の情報との間に乖離が生じることがある。このような場合、地図情報に基づいて生成された走行予定経路がその道路区間における車線に沿ったものとならず、その結果として、走行予定経路に沿って車両を走行させると、車両がふらつき、あるいは、車両が車線から逸脱しそうになるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、車両が走行中の車線から逸脱するような走行予定経路が誤って生成されることを抑制することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、道路に関する情報を表し、かつ、互いに更新のタイミングが異なる第1の地図及び第2の地図を記憶する記憶部と、車両の進行方向において第1の地図に表された車両が走行中の道路に関する情報と第2の地図に表された車両が走行中の道路に関する情報とが互いに乖離する乖離区間を検出する乖離区間検出部と、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、乖離区間以外の区間について第1の地図に基づいて車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、一方、乖離区間について、第1の地図と第2の地図のうち、乖離区間における道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成する経路生成部と、生成された走行予定経路に沿って車両が走行するように車両を制御する制御部とを有する。
【0008】
この車両制御装置において、第1の地図に表された道路の情報の精度は第2の地図に表された道路の情報の精度よりも高く、第2の地図の更新頻度は第1の地図の更新頻度よりも高いことが好ましい。
【0009】
また、この車両制御装置において、経路生成部は、乖離区間について生成された走行予定経路と、乖離区間の前後の区間について生成された走行予定経路とを所定の曲線で接続することが好ましい。
【0010】
あるいは、この車両制御装置において、経路生成部は、乖離区間の最も車両の現在位置に近い側の開始地点よりも所定のオフセット距離だけ車両の現在位置に近い地点から、第1の地図と第2の地図のうち、乖離区間における道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成することが好ましい。
【0011】
さらに、この車両制御装置において、乖離区間検出部は、互いの距離が所定の距離閾値未満となる二つの乖離区間が検出された場合、その二つの乖離区間を含む連続する区間を一つの乖離区間とすることが好ましい。
【0012】
他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法は、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先に位置する所定の道路区間について第1の地図に表された情報と、第1の地図と更新のタイミングが異なる第2の地図に表された情報とが互いに乖離する乖離区間を検出し、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、乖離区間以外の区間について第1の地図に基づいて車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、乖離区間について、第1の地図と第2の地図のうち、乖離区間における車両が走行中の道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成し、生成された走行予定経路に沿って車両が走行するように車両を制御する、ことを含む。
【0013】
さらに他の実施形態によれば、車両制御用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御用コンピュータプログラムは、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先に位置する所定の道路区間について第1の地図に表された情報と、第1の地図と更新のタイミングが異なる第2の地図に表された情報とが互いに乖離する乖離区間を検出し、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先までの区間のうち、乖離区間以外の区間について第1の地図に基づいて車両が走行する予定の走行予定経路を生成し、乖離区間について、第1の地図と第2の地図のうち、乖離区間における車両が走行中の道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成し、生成された走行予定経路に沿って車両が走行するように車両を制御する、ことを車両に搭載されたプロセッサに実行させるための命令を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両制御装置は、車両が走行中の車線から逸脱するような走行予定経路が誤って生成されることを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。
【
図2】車両制御装置の一つの実施形態である電子制御装置のハードウェア構成図である。
【
図3】車両制御処理に関する、電子制御装置のプロセッサの機能ブロック図である。
【
図4】(a)及び(b)は、二つの地図の乖離度と乖離区間の関係の一例を示す概念図である。
【
図5】変形例による乖離区間の検出の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、車両制御装置及び車両制御装置上で実行される車両制御方法ならびに車両制御用コンピュータプログラムについて説明する。この車両制御装置は、更新のタイミングが互いに異なる二つの地図の何れかを利用して走行予定経路を生成し、生成した走行予定経路に沿って車両を走行させる。より具体的に、この車両制御装置は、車両の進行方向において車両の現在位置から所定距離先までの区間において、二つの地図のそれぞれに表された、車両が走行中の道路に関する情報が互いに乖離する乖離区間を検出する。そしてこの車両制御装置は、乖離区間以外の道路区間について、二つの地図のうち、標準的に利用される方の地図に基づいて走行予定経路を生成する。一方、乖離区間について、この車両制御装置は、二つの地図のうち、乖離区間における道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成する。
【0017】
本実施形態では、二つの地図のそれぞれには、道路に関する情報として、車線区画線などの道路標示、縁石、道路標識、道路沿いの看板などの地物の種類を表す情報及びそれらの地物の位置を表す情報といった走行予定経路の生成に利用される情報が含まれる。
【0018】
また、二つの地図のうち、それらの地図に表される道路に関する情報の精度が高い方の地図が標準的に利用される地図(以下、第1の地図と呼ぶ)に設定されることが好ましい。これにより、車両が走行中の車線に適切に沿った走行予定経路が生成される可能性が高くなる。なお、地図に表される道路またはその道路の周囲に設けられた地物の位置の誤差が少ないほど、あるいは、その地物の種類及び有無が確かであるほど、地図に表される道路に関する情報の精度は高いものとする。したがって、第1の地図と他方の地図(以下、第2の地図と呼ぶ)のそれぞれが最後に更新された後に何ら変更が無い道路区間について、その道路区間の地物の位置の精度及び地物の種類及び有無の確からしさは、第2の地図よりも第1の地図の方が高いことが好ましい。ただし、二つの地図のそれぞれの道路の情報の精度は同じでもよい。さらに、本実施形態における、地図の更新のタイミングとは、地図に表される道路に関する情報が更新されたタイミングのことをいう。例えば、地図を管理し、あるいは車両に地図を配信する地図サーバが第1の地図の所定の道路区間についての情報を第1の日時に更新した場合、その第1の日時が更新のタイミングとなる。
【0019】
一方、第2の地図の更新頻度は、第1の地図の更新頻度よりも高いことが好ましい。これにより、例えば、第1の地図が最後に更新された後に所定の道路区間について何らかの工事が行われたために第1の地図がその所定の道路区間について正確な情報を表していない場合でも、その所定の道路区間の工事が行われたときよりも第2の地図が最後に更新されたタイミングが後であることがある。そのため、所定の道路区間について、第2の地図が正確な情報を表していることがある。そこで、車両制御装置は、第1及び第2の地図を場合に応じて使い分けることで、車両が走行中の車線から逸脱せずに走行を継続できる適切な走行予定経路を生成することができる。
【0020】
図1は、車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。また
図2は、車両制御装置の一つの実施形態である電子制御装置のハードウェア構成図である。本実施形態では、車両10に搭載され、かつ、車両10を制御する車両制御システム1は、カメラ2と、GPS受信機3と、無線通信端末4と、ストレージ装置5と、車両制御装置の一例である電子制御装置(ECU)6とを有する。カメラ2、GPS受信機3、無線通信端末4及びストレージ装置5とECU6とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。なお、車両制御システム1は、LiDARあるいはレーダといった、車両10から車両10の周囲に存在する物体までの距離を測定する測距センサ(図示せず)をさらに有していてもよい。また、車両制御システム1は、目的地までのルートを検索するためのナビゲーション装置(図示せず)をさらに有していてもよい。
【0021】
カメラ2は、車両10の周囲を表すセンサ信号を生成するセンサの一例であり、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系を有する。そしてカメラ2は、例えば、車両10の前方を向くように、例えば、車両10の車室内に取り付けられる。カメラ2は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとに車両10の前方領域を撮影し、その前方領域が写った画像を生成する。カメラ2により得られた画像は、センサ信号の一例である。なお、車両10には、撮影方向または焦点距離が異なる複数のカメラが設けられてもよい。
【0022】
カメラ2は、画像を生成する度に、その生成した画像を、車内ネットワークを介してECU6へ出力する。
【0023】
GPS受信機3は、所定の周期ごとにGPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両10の自己位置を測位する。そしてGPS受信機3は、所定の周期ごとに、GPS信号に基づく車両10の自己位置の測位結果を表す測位情報を、車内ネットワークを介してECU6へ出力する。なお、車両10は、GPS受信機の代わりに、他の衛星測位システムによる衛星からの測位信号を受信して車両10の自己位置を測位する受信機を有していてもよい。
【0024】
無線通信端末4は、所定の移動通信規格に準拠して、無線基地局との間で無線通信する。無線通信端末4は、地図サーバから、無線基地局を介して、第1の地図または第2の地図を表す地図情報、または、第1の地図あるいは第2の地図の更新情報を受信する。そして無線通信端末4は、受信した地図情報または更新情報を、車内ネットワークを介してストレージ装置5へ出力する。
【0025】
ストレージ装置5は、記憶部の一例であり、例えば、ハードディスク装置、不揮発性の半導体メモリ、または光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。そしてストレージ装置5は、第1の地図及び第2の地図と、第1の地図及び第2の地図のそれぞれについて、その地図に表される個々の道路区間について、その道路区間についての情報が最後に更新された日時を表す更新情報を記憶する。
【0026】
さらに、ストレージ装置5は、第1の地図または第2の地図の更新処理、及び、ECU6からの地図の読出し要求に関する処理などを実行するためのプロセッサを有する。ストレージ装置5は、例えば、車両10が所定距離だけ移動する度に、無線通信端末4を介して地図サーバへ、第1の地図及び第2の地図の取得要求を車両10の現在位置とともに送信する。そしてストレージ装置5は、地図サーバから無線通信端末4を介して車両10の現在位置の周囲の所定の領域についての第1の地図及び第2の地図を含む地図情報を受信し、受信した地図情報に含まれる第1の地図及び第2の地図を保存する。また、ストレージ装置5は、無線通信端末4を介して第1の地図または第2の地図の更新情報を受信すると、その更新情報を保存する。さらに、ストレージ装置5は、ECU6からの地図の読出し要求を受信すると、記憶している第1の地図及び第2の地図から、車両10の現在位置を含み、上記の所定の領域よりも相対的に狭い範囲を切り出して、車内ネットワークを介してECU6へ出力する。
【0027】
ECU6は、車両10を自動運転制御する。本実施形態では、ECU6は、第1の地図または第2の地図に基づいて走行予定経路を生成し、生成した走行予定経路に沿って車両10を走行させるよう、車両10を自動運転制御する。
【0028】
図2に示されるように、ECU6は、通信インターフェース21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信インターフェース21、メモリ22及びプロセッサ23は、それぞれ、別個の回路として構成されてもよく、あるいは、一つの集積回路として一体的に構成されてもよい。
【0029】
通信インターフェース21は、ECU6を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信インターフェース21は、カメラ2から画像を受信する度に、受信した画像をプロセッサ23へわたす。また、通信インターフェース21は、GPS受信機3から測位情報を受信する度に、その測位情報をプロセッサ23へわたす。さらに、通信インターフェース21は、ストレージ装置5から読み込んだ第1及び第2の地図と更新情報とをプロセッサ23へわたす。
【0030】
メモリ22は、記憶部の他の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される車両制御処理において使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ22は、カメラ2から受けとった車両10の周囲の画像、GPS受信機3から受け取った車両10の測位情報、ストレージ装置5から読み込んだ第1及び第2の地図と更新情報とを記憶する。さらに、メモリ22は、カメラ2の焦点距離、撮影方向及び取り付け位置などのパラメータ、及び、地物などの検出に利用される、物体検出用の識別器を特定するための各種パラメータを記憶する。さらにまた、メモリ22は、車両制御処理の途中で生成される各種のデータを一時的に記憶する。
【0031】
プロセッサ23は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。そしてプロセッサ23は、所定の周期ごとに、車両10に対する車両制御処理を実行する。
【0032】
図3は、車両制御処理に関する、プロセッサ23の機能ブロック図である。プロセッサ23は、乖離区間検出部31と、経路生成部32と、制御部33とを有する。プロセッサ23が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ23が有するこれらの各部は、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0033】
乖離区間検出部31は、車両10の進行方向において車両10の現在位置から所定距離先までの区間において、第1の地図に表された、車両10が走行中の道路に関する情報と第2の地図に表されたその情報とが乖離する乖離区間を検出する。
【0034】
そのために、乖離区間検出部31は、最新の測位情報で示される車両10の位置を、車両10の現在位置とする。また、乖離区間検出部31は、直近の複数回の測位情報で示される車両10の位置の変化に基づいて、あるいは、車両10に搭載された方位センサ(図示せず)からECU6が受信した、車両10の方位を示すセンサ信号に基づいて、車両10の進行方向を特定する。さらに、乖離区間検出部31は、第1の地図及び第2の地図のうち、現時点において走行予定経路の生成に利用している地図を参照して、車両10の現在位置を含む道路を、車両10が走行中の道路として特定する。
【0035】
乖離区間検出部31は、車両10の現在位置から車両10の進行方向に沿って所定距離先までの区間において、第1の間隔(例えば、数100m~1km)ごとにサンプリング地点を設定する。そして乖離区間検出部31は、個々のサンプリング地点ごとに、そのサンプリング地点において第1の地図に表されている車両10が走行中の道路またはその周囲の地物(例えば、車線区画線、縁石、ガードレールあるいは道路標識)の位置と、第2の地図に表されている対応する地物の位置との距離を乖離度として算出する。なお、上記の例における車線区画線のように道路に沿って連続する地物を乖離度の算出に使用する場合には、乖離区間検出部31は、着目するサンプリング地点における第1の地図に表された地物の位置に対して、第2の地図に表された対応する地物の最も近い位置までの距離を乖離度として算出すればよい。なお、乖離区間検出部31は、着目するサンプリング地点における第1の地図に表された複数の地物のそれぞれの位置と、第2の地図に表された対応する地物の位置との距離の平均値を乖離度として算出してもよい。
【0036】
乖離区間検出部31は、個々のサンプリング地点について算出した乖離度を所定の閾値と比較する。そして乖離区間検出部31は、乖離度が所定の閾値以上となるサンプリング地点を特定する。乖離区間検出部31は、乖離度が所定の閾値以上となるサンプリング地点の前後において、第1の間隔よりも狭い第2の間隔(例えば、数10m~100m)ごとに、サンプリング地点を再設定する。そして乖離区間検出部31は、上記と同様に、再設定した個々のサンプリング地点について、第1の地図と第2の地図との乖離度を算出する。乖離区間検出部31は、再設定した個々のサンプリング地点のうち、乖離度が所定の閾値以上となるサンプリング地点を特定する。そして乖離区間検出部31は、乖離度が所定の閾値以上となるサンプリング地点のうち、車両10に最も近いサンプリング地点の一つ手前側のサンプリング地点から、乖離度が所定の閾値以上となるサンプリング地点のうち、車両10から最も離れた含むサンプリング地点の一つ先のサンプリング地点までの区間を、乖離区間として検出する。なお、乖離区間検出部31は、上記の処理を繰り返すことで複数の乖離区間を検出してもよい。
【0037】
図4(a)及び
図4(b)は、二つの地図の乖離度と乖離区間の関係の一例を示す概念図である。なお、
図4(a)において、車両10は誇張して表示されている。
図4(a)に示されるように、車両10が走行中の道路において、車両10の現在位置Pから第1の間隔ごとにサンプリング地点S
i(i=1,2,...,m)が設定される。そしてサンプリング地点S
iごとに、第1の地図に表される車線区画線401と第2の地図に表される対応する車線区画線402間の乖離度D
iが算出される。この例では、サンプリング地点S
Bにおいて、乖離度D
Bが所定の閾値Th以上となっている。
【0038】
そこで、
図4(b)に示されるように、サンプリング地点S
Bの前後において、第2の間隔ごとにサンプリング地点S
j(j=B-n,B-(n-1),..,B-1,B,B+1,...,B+n)が再設定される。そしてサンプリング地点S
jごとに、第1の地図に表される車線区画線401と第2の地図に表される対応する車線区画線402間の乖離度D
jが算出される。この例では、サンプリング地点S
B-aからサンプリング地点S
B+bの区間において、乖離度D
jが所定の閾値Th以上となっている。そこで、サンプリング地点S
B-aの一つ手前側のサンプリング地点S
B-a-1からサンプリング地点S
B+bの一つ先のサンプリング地点S
B+b+1までの区間が乖離区間Aとして特定される。
【0039】
なお、乖離区間検出部31は、第1の地図と第2の地図とで、車線の数、あるいは車線区画線の数が異なるサンプリング地点について、所定の閾値以上の乖離度を設定してもよい。また、乖離区間検出部31は、第1の地図と第2の地図とで、車線区画線の種類が異なるサンプリング地点についても、所定の閾値以上の乖離度を設定してもよい。さらに、乖離区間検出部31は、第1の地図と第2の地図とで、道路標識あるいはガードレールといった所定の地物の有無が異なる地点を、所定の閾値以上の乖離度を持つサンプリング地点として設定してもよい。
【0040】
変形例によれば、乖離区間検出部31は、車両10の進行方向に沿って車両10の現在位置に近い方から順に、所定の間隔(例えば、数10m~100m)の地点ごとに上記の実施形態と同様に乖離度を算出してもよい。そして乖離区間検出部31は、最初に乖離度が第1の閾値(例えば、上記の所定の閾値と同じ閾値)以上となった地点を、乖離区間の開始地点とする。乖離区間検出部31は、乖離区間の開始地点よりも車両10から離れた地点のうち、最初に乖離度が第2の閾値未満となる地点を、乖離区間の終了地点とする。なお、乖離区間の開始地点を特定するための上記の第1の閾値よりも、乖離区間の終了地点を特定するための第2の閾値は低く設定されてもよい。これにより、頻繁に乖離区間とその他の区間とが切り替わるように乖離区間が設定されること、あるいは、乖離区間の終了地点が誤検出されることが抑制される。なお、上記の各閾値は、第2の地図に表される個々の地物の位置の誤差の平均値、中央値あるいは最頻値よりも大きい値に設定されることが好ましい。これにより、第1の地図が表す道路に関する情報と第2の地図が表す道路に関する情報とに実質的に相違が無い地点が乖離区間に誤って含まれることが防止される。
【0041】
また、連続する二つの乖離区間の間の距離が所定の距離閾値(例えば、数100m~1km)未満である場合、乖離区間検出部31は、それら二つの乖離区間を含む連続する一つの区間を、改めて一つの乖離区間として設定してもよい。同様に、三つ以上の乖離区間について、それらの乖離区間のうちの連続する二つの乖離区間のそれぞれの距離が距離閾値未満であれば、乖離区間検出部31は、それら三つ以上の乖離区間を含む連続する一つの区間を、改めて一つの乖離区間として設定してもよい。これにより、走行予定経路の生成に利用される地図が頻繁に切り替わることが防止されるので、不自然な走行予定経路が生成されることが防止される。その結果として、車両10が不自然な挙動を示すことが防止されるので、ドライバに無用な不安感を与えることが防止される。
【0042】
図5は、この変形例による乖離区間の検出の一例を示す概念図である。
図5に示される例では、車両10が走行中の道路上の個々の地点における乖離度に基づいて、5個の乖離区間501~505が検出されている。ただし、乖離区間501と乖離区間502間の距離d
12は所定の距離閾値Thd未満となっている。同様に、乖離区間502と乖離区間503間の距離d
23、及び、乖離区間503と乖離区間504間の距離d
34も、所定の距離閾値Thd未満となっている。一方、乖離区間504と乖離区間505間の距離d
45は、所定の距離閾値Thd以上である。そこで、乖離区間501の開始地点から乖離区間504の終了地点までの区間510が改めて乖離区間として検出される。ただし、乖離区間505は、乖離区間510とは別個の乖離区間としてそのまま維持される。
【0043】
乖離区間検出部31は、検出した乖離区間の開始地点及び終了地点を、経路生成部32へ通知する。
【0044】
経路生成部32は、第1の地図または第2の地図に基づいて、車両10の現在位置から所定距離先までの走行予定経路を生成する。本実施形態では、経路生成部32は、乖離区間については第1の地図と第2の地図のうち、最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成する。一方、経路生成部32は、乖離区間以外の区間については、第1の地図に基づいて走行予定経路を生成する。
【0045】
経路生成部32は、先ず、車両10が走行中の車線(以下、自車線)を検出する。そのために、経路生成部32は、カメラ2により生成された、車両10の周囲を表す画像(以下、単に画像と呼ぶことが有る)と、第1の地図と第2の地図のうち、車両10の現在位置において走行予定経路の生成に用いられる方の地図とを照合することで自車線を検出する。例えば、経路生成部32は、車両10の位置及び姿勢を仮定して、画像から検出された道路上または道路周囲の地物を地図上に投影するか、あるいは、地図に表された車両10の周囲の道路上または道路周囲の地物を画像上に投影する。なお、道路上または道路周囲の地物は、例えば、車線区画線あるいは停止線といった道路標示、あるいは縁石とすることができる。そして経路生成部32は、画像から検出された地物と地図上に表された地物とが最も一致するときの車両10の位置及び姿勢を、車両10の実際の自己位置として推定し、地図上でその自己位置を含む車線を自車線として検出する。
【0046】
経路生成部32は、仮定される車両10の位置及び姿勢の初期値と、焦点距離、設置高さ、及び、撮影方向といった、カメラ2のパラメータとを用いて、地図上または画像上で地物が投影される位置を決定すればよい。なお、車両10の位置及び姿勢の初期値として、GPS受信機3により測位された車両10の最新の位置、あるいは、前回の自車線検出時に推定された車両10の位置及び姿勢を、オドメトリ情報を用いて補正した位置が利用される。そして経路生成部32は、画像から検出された道路上または道路周囲の地物と地図上に表された対応する地物との一致度合(例えば、対応する地物同士の距離の2乗和の逆数)を算出する。
【0047】
経路生成部32は、仮定される車両10の位置及び姿勢を変更しながら上記の処理を繰り返す。そして経路生成部32は、一致度合が最大となるときの仮定された位置及び姿勢を、車両10の実際の自己位置として推定すればよい。そして経路生成部32は、地図を参照して、車両10の自己位置が含まれる車線を自車線として特定すればよい。
【0048】
なお、経路生成部32は、例えば、検出対象となる地物を画像から検出するように予め学習された識別器に画像を入力することで、その地物を検出すればよい。経路生成部32は、そのような識別器として、Single Shot MultiBox Detector、または、Faster R-CNNといった、コンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)型のアーキテクチャを持つディープニューラルネットワーク(DNN)を用いることができる。あるいは、経路生成部32は、そのような識別器として、Vision Transformerといった、self attention network(SAN)型のアーキテクチャを有するDNNを用いてもよい。
【0049】
経路生成部32は、自車線を検出すると、地図に表される自車線を区画する、自車線の左右それぞれの車線区画線の中心を通る線を走行予定経路として生成する。
【0050】
さらに、経路生成部32は、乖離区間とその前後の区間において、走行予定経路の生成に利用される地図が切り替わる場合、すなわち、乖離区間において第2の地図が走行予定経路の生成に用いられる場合、乖離区間について生成した走行予定経路と、その前後の区間において生成した走行予定経路とを所定の曲線で接続する。その際、経路生成部32は、乖離区間とその前の区間との境界を中心とする前後数10m程度の区間の走行予定経路をその所定の曲線で生成すればよい。同様に、経路生成部32は、乖離区間とその後の区間との境界を中心とする前後数10m程度の区間の走行予定経路をその所定の曲線で生成すればよい。なお、経路生成部32は、所定の曲線として、シグモイド関数またはスプライン関数で表される曲線を使用することができる。あるいは、経路生成部32は、所定の曲線として、クロソイド曲線を使用してもよい。
【0051】
経路生成部32は、生成した走行予定経路を制御部33へ通知する。
【0052】
制御部33は、経路生成部32から受け取った走行予定経路に沿って車両10を走行させるよう、車両10の各部を制御する。そのために、制御部33は、所定の周期ごとに車両10の位置を測定し、測定した車両10の位置と走行予定経路とを比較する。なお、制御部33は、経路生成部32において説明したのと同様に、カメラ2により得られた画像と、走行予定経路の生成に利用する地図とを照合することで、車両10の正確な位置を測定すればよい。そして制御部33は、測定した車両10の位置が走行予定経路上であれば、走行予定経路に沿って車両10が進むように車両10の操舵角を決定し、決定した操舵角となるよう、車両10のステアリングを制御する。また、測定した車両10の位置が走行予定経路から離れていれば、制御部33は、車両10が走行予定経路に近付くように車両10の操舵角を決定し、決定した操舵角となるよう、車両10のステアリングを制御する。
【0053】
また、制御部33は、車両10とその前方を走行する他の車両との車間距離が一定の距離以上に保たれるように、車両10の加減速度を設定する。そのために、制御部33は、カメラ2により得られた画像、あるいは、測距センサ(図示せず)により得られた測距信号を、他の車両を検出するように予め学習された識別器に入力することで、他の車両を検出する。そして制御部33は、画像上での他の車両のサイズ、あるいは、他の車両が表された領域の下端の位置に基づいて、あるいは、検出された他の車両への方位における、測距信号に示される距離に基づいて、車両10と他の車両との距離を推定する。車両10と他の車両間の車間距離が所定の距離閾値未満になると、制御部33は、車両10を減速させるよう、車両10の加減速度を設定する。一方、車両10と他の車両間の車間距離が所定の距離閾値以上であれば、制御部33は、車両10の速度を一定に保ち、あるいは、車両10が走行中の道路の制限速度またはドライバにより設定された目標速度に近付くように、車両10の加減速度を設定する。そして制御部33は、設定した加減速度に従ってアクセル開度またはブレーキ量を設定する。制御部33は、設定されたアクセル開度に従って燃料噴射量を求め、その燃料噴射量に応じた制御信号を車両10のエンジンの燃料噴射装置へ出力する。あるいは、制御部33は、設定されたアクセル開度に従ってモータへ供給される電力量を求め、その電力量がモータへ供給されるようにモータの駆動回路を制御する。あるいはまた、制御部33は、設定されたブレーキ量に応じた制御信号を車両10のブレーキへ出力する。
【0054】
図6は、プロセッサ23により実行される、車両制御処理の動作フローチャートである。プロセッサ23は、車両10が所定距離だけ走行する度に、あるいは、所定の時間が経過する度に、以下の動作フローチャートに従って車両制御処理を実行すればよい。
【0055】
プロセッサ23の乖離区間検出部31は、車両10の進行方向において車両10の現在位置から所定距離先までの区間において、第1の地図に表された、車両10が走行中の道路に関する情報と第2の地図に表されたその情報とが乖離する乖離区間を検出する(ステップS101)。また、プロセッサ23の経路生成部32は、乖離区間については第1の地図と第2の地図のうち、最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成する(ステップS102)。一方、経路生成部32は、乖離区間以外の区間について、第1の地図に基づいて走行予定経路を生成する(ステップS103)。さらに、経路生成部32は、乖離区間とその前後の区間において、走行予定経路の生成に利用される地図が切り替わるか否か判定する(ステップS104)。走行予定経路の生成に利用される地図が切り替わる場合(ステップS104-Yes)、経路生成部32は、乖離区間について生成した走行予定経路と、その前後の区間において生成した走行予定経路とを所定の曲線で接続する(ステップS105)。
【0056】
走行予定経路の生成に利用される地図が切り替わらない場合(ステップS104-No)、あるいは、ステップS105の後、プロセッサ23の制御部33は、生成された走行予定経路に沿って車両10が走行するように車両10を制御する(ステップS106)。そしてプロセッサ23は、車両制御処理を終了する。
【0057】
以上に説明してきたように、この車両制御装置は、更新のタイミングが互いに異なる二つの地図情報の何れかを利用して走行予定経路を生成し、生成した走行予定経路に沿って車両を走行させる。特に、この車両制御装置は、乖離区間について、二つの地図のうち、乖離区間における道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成する。そのため、この車両制御装置は、実際の道路の情報を表している可能性が高い方の地図に基づいて走行予定経路を生成できる。したがって、この車両制御装置は、車両が走行中の車線から逸脱するような走行予定経路が誤って生成されることを抑制できる。
【0058】
変形例によれば、経路生成部32は、乖離区間よりも所定のオフセット距離(例えば、数100m)手前の位置から、第1の地図と第2の地図のうち、乖離区間における道路に関する情報が最後に更新されたタイミングからの経過時間が短い方の地図に基づいて走行予定経路を生成するようにしてもよい。これにより、経路生成部32は、走行予定経路の生成に利用する地図の切り替えにある程度の時間を要する場合でも、乖離区間において自車線から逸脱することがないような適切な走行予定経路を生成することができる。
【0059】
他の変形例によれば、地図サーバが乖離区間検出部31による処理と同様の処理を実行することで、乖離区間を検出してもよい。この場合、地図サーバは、車両10へ第1の地図及び第2の地図を配信する際に、第1の地図及び第2の地図に表される領域内に含まれる乖離区間を特定する乖離区間情報も配信すればよい。この場合、ストレージ装置5は、無線通信端末4を介して受信した乖離区間情報も記憶する。そして乖離区間検出部31は、乖離区間情報を参照することで、車両10の現在位置から車両10の進行方向に沿って所定距離以内に存在する乖離区間を特定すればよい。この変形例によれば、ECU6のプロセッサ23の演算負荷が軽減される。
【0060】
上記の実施形態または変形例による、ECU6のプロセッサ23の機能を実現するコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【0061】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 車両制御システム
10 車両
2 カメラ
3 GPS受信機
4 無線通信端末
5 ストレージ装置
6 電子制御装置(ECU)
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
31 乖離区間検出部
32 経路生成部
33 制御部