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特許7635790通信装置、通信制御方法、プログラム、及び光通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】通信装置、通信制御方法、プログラム、及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/073 20130101AFI20250218BHJP
【FI】
H04B10/073
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022576943
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2021002464
(87)【国際公開番号】W WO2022157981
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋平
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227452(JP,A)
【文献】特開2007-318750(JP,A)
【文献】特開2005-110211(JP,A)
【文献】特開2018-011218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0226727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する取得手段と、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定する推定手段と、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する決定手段と、を備える通信装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記第1累積分布関数において、前記累積確率が所定範囲内となる領域における傾きを算出し、前記領域における前記第2累積分布関数を、前記平均値及び前記傾きに基づく直線に近似し、
前記決定手段は、前記直線を用いて、前記基準品質値を決定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存する第1パラメータが変更された場合、前記第1パラメータが変更された後の前記傾きを算出し、前記第1パラメータが変更された後の前記平均値を算出し、
前記決定手段は、前記第1パラメータが変更された後の前記平均値と、前記第1パラメータが変更された後の前記傾きと、に基づいて、前記第1パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存しない第2パラメータが変更された場合、前記第2パラメータが変更される前の前記平均値と、前記第2パラメータが変更される前の前記基準品質値を示す第1基準品質値との差分をマージン値として算出し、前記第2パラメータが変更された後の前記平均値を示す第1平均値を算出し、
前記決定手段は、前記第1平均値と、前記マージン値とに基づいて、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存しない第2パラメータが変更された場合、前記第2パラメータが変更された後の前記平均値を示す第1平均値と、前記第2パラメータが変更される前の前記平均値を示す第2平均値との差分を算出し、
前記決定手段は、前記第2パラメータが変更される前の前記基準品質値を示す第1基準品質値と、前記差分とに基づいて、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記決定手段は、
前記第1平均値が前記第2平均値よりも大きい場合、前記第1基準品質値に、前記差分を加算した値を、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値として決定し、
前記第1平均値が前記第2平均値よりも小さい場合、前記第1基準品質値から、前記差分を減算した値を、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値として決定する、請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記パラメータが変更された後の前記基準品質値が所要品質値を満たすように、前記パラメータを変更する制御手段をさらに備える、請求項3又は6に記載の通信装置。
【請求項8】
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、通信制御方法。
【請求項9】
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、処理をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項10】
第1通信装置と、前記第1通信装置と光通信路を介して接続する第2通信装置とを含み、
前記第1通信装置は、
前記光通信路における通信品質情報を所定回数以上計測することにより、所定数以上の計測値を取得し、
前記第2通信装置は、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、通信制御方法、非一時的なコンピュータ可読媒体、及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、海底ケーブルを介して通信を行う光通信システムは、一般的に強力な誤り訂正処理が行われるため、陸上系通信システムと比較して信号誤りが極めて小さい。このように、光通信システムは、一般的に、送受信されるデータの誤り率が極めて小さい、いわゆるエラーフリー通信をエンドユーザに提供可能なシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/037245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、光通信システムにおいて、通信インフラを管理する通信事業者が多様化してきている。そのため、通信事業者によっては、許容可能な通信品質を、エラーフリー通信における通信品質よりも低くして、通信インフラの通信容量を確保することを望むことも想定される。このように、通信インフラを管理する通信事業者の多様化により、通信品質だけでなく、通信容量も考慮する必要性が出てきた。
【0005】
ここで、通信インフラにおける通信容量を確保するためには、通信設定を変更する必要がある。一方で、通信設定を変更する場合、通信容量だけでなく、通信品質も考慮する必要がある。そのため、通信事業者は、通信設定の変更前後の通信品質状況を把握した上で通信設定を変更する。しかしながら、光通信路における通信品質状況は常に一定ではないため、通信品質状況を把握するためには多くの検証時間が必要となる。したがって、通信事業者は、光通信路における通信品質状況を容易に把握できない可能性があり得る。
【0006】
本開示の目的の1つは、上記課題を解決するためになされたものであり、通信品質状況を容易に把握することが可能な通信装置、通信制御方法、非一時的なコンピュータ可読媒体、及び光通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる通信装置は、
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する取得手段と、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定する推定手段と、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する決定手段と、を備える。
【0008】
本開示にかかる通信制御方法は、
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する。
【0009】
本開示にかかる非一時的なコンピュータ可読媒体は、
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0010】
本開示にかかる光通信システムは、
第1通信装置と、前記第1通信装置と光通信路を介して接続する第2通信装置とを含み、
前記第1通信装置は、
前記光通信路における通信品質情報を所定回数以上計測することにより、所定数以上の計測値を取得し、
前記第2通信装置は、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、通信品質状況を容易に把握することが可能な通信装置、通信制御方法、非一時的なコンピュータ可読媒体、及び光通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる通信装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる通信装置の動作例を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかる光通信システムの構成例を示す図である。
図4】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作概要を示す図である。
図5】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作概要を示す図である。
図6】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作概要を示す図である。
図7】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態3にかかる光通信システムの構成例を示す図である。
図11】通信装置等のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
(実施の形態に至る検討)
まず、実施の形態を説明する前に実施の形態に至る検討について説明する。
長距離光通信ケーブルを経由するインターネットトラヒックは、急激に増加してきている。そのため、インターネットトラヒックを処理するために、各種技術が発展している。例えば、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)、WDM(Wavelength Division Multiplexing)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、FEC(Forward Error Correction)、DSP(Digital Signal Processor)及び低ロス光ファイバ等が挙げられる。このような各種技術の発展により、光通信システムの通信容量は、インターネットトラヒックの増加に伴って大容量になっている。
【0015】
また、多くのユーザに対して通信サービスを提供するため、光通信ネットワークは大規模になってきており、多くのデータを効率よく多重化させるため高機能になってきている。光通信においても、光ファイバ中の光通信信号の周波数資源を効率よく活用することは課題である。そのため、将来のための光通信方式として、光通信信号周波数資源を短い時間に区切る分割する通信方式が検討されている。当該通信方式として、光パススイッチ、又は光パケットスイッチ等と称される通信方式が挙げられる。また、基幹通信網に対して、非常に高い信頼性と、通信信号品質とが要求されている。そのため、現在の基幹通信網は、非常に高い稼働率及び非常に低い通信信号エラー率を達成している。
【0016】
ここで、上述したように、近年、光通信システムにおいて、光通信路を管理する通信事業者が多様化してきている。通信事業者の多様化に伴い、光通信路における通信設定が変更される機会も増えつつある。光通信路の通信設定が変更されると、通信設定の変更に伴う影響度が大きいため、通信事業者は、慎重な検証を行った上で通信設定を変更する。
【0017】
しかしながら、商用ネットワークを介して多数ユーザのデータが送受信されるため、通信事業者は、一般的に短い時間である、商用ネットワークのメンテナンス時間に検証を行っている。光ファイバ中の光通信信号の通信品質は、一般的に一定ではなく変動するため、通信事業者は、十分に長い時間をかけて計測を行うことで光通信信号の品質を特定する。このように、光通信ネットワークでは、周波数資源効率の観点から短い時間粒度で光通信信号の制御が求められる。そこで、本開示では、通信品質を特定するために必要な時間よりも短い時間に計測された計測値を用いて、通信事業者が、光通信路の通信品質を把握する構成を実現する。
【0018】
(実施の形態1)
図1を用いて、実施の形態1にかかる通信装置1の構成例について説明する。図1は、実施の形態1にかかる通信装置の構成例を示すブロック図である。通信装置1は、光通信システムを構成する通信装置である。通信装置1は、例えば、光伝送装置でもよく、光通信システムの監視及び制御を行うネットワーク監視装置でもよい。通信装置1は、取得部2と、推定部3と、決定部4とを備える。
【0019】
取得部2は、光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。取得部2は、光通信路における通信品質情報を、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行うことで所定数以上の計測値を取得してもよい。もしくは、取得部2は、他の通信装置(不図示)が、光通信路における通信品質情報を、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行うことで取得した所定数以上の計測値を、他の通信装置から受信することで所定数以上の計測値を取得してもよい。所定の計測時間は、例えば、1秒以上の任意の時間に設定されてもよい。また、所定回数は、例えば、10回以上の任意の回数に設定されてもよい。
【0020】
通信品質情報は、誤り訂正前の誤り率を示すBER(Bit Error Rate)でもよく、光品質値を示すQ値でもよい。BERは、光通信路を送信される光通信信号から生成されるデータユニットに含まれるビットに基づくBERでもよく、光通信信号から生成されるデータユニットの復元率に基づくBERでもよい。
【0021】
推定部3は、取得部2が取得した計測値の平均値を算出する。また、推定部3は、取得部2が取得した計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第1累積分布関数を生成する。推定部3は、取得部2が取得した計測値を用いて、通信品質情報の値と、累積密度との関係を表す累積分布を生成する。推定部3は、生成した累積分布に対して、例えば、最小二乗法等を用いて近似曲線を求めることで第1累積分布関数を生成する。
【0022】
推定部3は、算出した平均値と、生成した第1累積分布関数とに基づいて、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第2累積分布関数を推定する。換言すると、推定部3は、平均値と、第1累積分布関数とに基づいて、取得部2が計測値を取得するために要した合計計測時間よりも長い合計計測時間で計測値を取得した場合の計測値に基づき生成される、通信品質情報の累積分布関数を推定する。
【0023】
決定部4は、第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる通信品質情報の値を基準品質値として決定する。基準品質値は、光通信路の通信品質状況を評価するための基準となる品質値であり、通信事業者が要求する所要通信品質値を満たしているか否かを評価するために用いられる品質値である。所要品質値は、光通信路において、通信が確立出来なくなってしまう通信品質情報の閾値である。
【0024】
次に、図2を用いて、実施の形態1にかかる通信装置1の動作例について説明する。図2は、実施の形態1にかかる通信装置の動作例を示すフローチャートである。
取得部2は、光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する(ステップS1)。
取得部2は、光通信路における通信品質情報を、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行うことで所定数以上の計測値を取得してもよい。もしくは、取得部2は、他の通信装置(不図示)が、光通信路における通信品質情報を、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行うことで取得した所定数以上の計測値を、他の通信装置から受信することで所定数以上の計測値を取得してもよい。
【0025】
推定部3は、取得部2が取得した所定数以上の計測値の平均値を算出する(ステップS2)。
推定部3は、取得部2が取得した計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第1累積分布関数を生成する(ステップS3)。
推定部3は、取得部2が取得した計測値を用いて、通信品質情報の値と、累積密度との関係を表す累積分布を生成する。推定部3は、生成した累積分布に対して、例えば、最小二乗法等を用いて近似曲線を求めることで第1累積分布関数を生成する。
【0026】
推定部3は、算出した平均値と、生成した第1累積分布関数とに基づいて、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第2累積分布関数を推定する(ステップS4)。
決定部4は、第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる通信品質情報の値を基準品質値として決定する(ステップS5)。
【0027】
推定部3は、光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値に基づいて、取得された計測値の平均値を算出し、第1累積分布関数を生成する。推定部3は、算出した平均値と、生成した第1累積分布関数とに基づいて、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の通信品質情報の第2累積分布関数を推定する。決定部4は、第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる品質値を示す基準品質値を決定する。このように、通信装置1は、通信品質情報の計測値に基づいて、実際に計測された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の基準品質値を決定できる。そのため、通信事業者は、通信装置1を用いることで、多数の計測値を取得することなく、多数の計測値が取得された場合の基準品質値を決定できる。換言すると、通信事業者は、通信装置1を用いることで、短い合計計測時間に取得された計測値に基づいて、実際に計測した合計計測時間よりも長い合計計測時間に取得されることが予測される計測値の基準品質値を決定できる。したがって、実施の形態1にかかる通信装置1によれば、通信事業者は、通信品質状況を容易に把握することができる。
【0028】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1を詳細にした実施の形態である。
<光通信システムの構成例>
図3を用いて、実施の形態2にかかる光通信システム100の構成例について説明する。図3は、実施の形態2にかかる光通信システムの構成例を示す図である。光通信システム100は、端末装置10及び40と、光伝送装置20及び30とを備える。
【0029】
端末装置10及び40は、例えば、陸上に設けられる通信装置である。端末装置10は、例えば、エンドユーザが管理するエンドユーザ端末でもよく、エンドユーザ端末と、光伝送装置20との間に設けられた中継装置等でもよい。端末装置40は、例えば、エンドユーザが管理するエンドユーザ端末でもよく、エンドユーザ端末と、光伝送装置30との間に設けられた中継装置等でもよい。なお、以降の説明では、端末装置10及び40は、エンドユーザ端末であるとして説明する。
【0030】
端末装置10は、通信路P1を介して光伝送装置20と接続し、通信路P1を介して光伝送装置20と通信する。端末装置40は、通信路P3を介して光伝送装置30と接続し、通信路P3を介して光伝送装置30と通信する。通信路P1及びP3は、例えば、アクセス回線である。
【0031】
光伝送装置20及び30は、光通信路P2を介して互いに接続し、光通信路P2を介して通信を行う。光通信路P2は、例えば、光ファイバ等の海底に配置された光ケーブルにより構成される。光伝送装置20及び30は、それぞれ、光通信路P2を介して送受信される光通信信号を、通信路P1及びP3を介して送受信される電気信号に変換する。光伝送装置20及び30は、それぞれ、通信路P1及びP3を介して送受信される電気信号を、光通信路P2を介して送受信される光通信信号に変換する。
【0032】
光伝送装置20及び30は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式に対応し、光通信路P2を送受信されるデータを、複数の波長帯に構成される複数の通信チャネルを介して、対向する光伝送装置に送信する。各通信チャネルは、光スペクトラムと称されてもよい。
【0033】
光伝送装置20は、端末装置10から送信されるデータを、光通信路P2及び光伝送装置30を介して端末装置40に送信する。光伝送装置30は、端末装置40から送信されるデータを、光通信路P2及び光伝送装置20を介して端末装置10に送信する。
【0034】
<光伝送装置の構成例>
次に、光伝送装置20及び30の構成例について説明する。まず、光伝送装置20の構成例を説明する前に、光伝送装置30の構成例を説明し、その後、光伝送装置30の構成例を説明する。
【0035】
光伝送装置30は、通信部31と、計測部32とを備える。
通信部31は、端末装置40と通信を行い、光伝送装置20と通信を行う。通信部31は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置20から受信し、光通信信号に含まれるビット列に基づいてデータユニットを復元する。通信部31は、データユニットから通信フレームを取り出して、通信路P3を介して端末装置40に送信する。通信部31は、通信路P3を介して、通信フレームを端末装置40から受信する。通信部31は、受信した通信フレームをデータユニットに格納し、データユニットを光通信信号に変換する。通信部31は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置20に送信する。
【0036】
通信部31は、光伝送装置20から取得要求を受信し、取得要求を受信したことを計測部32に通知(送信)する。取得要求は、光伝送装置20からの要求であって、光伝送装置20が、計測部32に対して、光通信路P2における通信品質情報の計測を行うことを要求するメッセージである。通信部31は、計測部32が取得した複数の計測値を、光通信路P2を介して光伝送装置20に送信する。
【0037】
計測部32は、取得要求が受信された場合、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、光伝送装置20からの取得要求を受信する毎に、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行い、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0038】
計測部32は、所定の計測時間、光通信路における通信品質情報を計測し、1つの計測値を取得する。所定の計測時間は、例えば、1秒以上の任意の時間に設定された計測時間である。計測部32は、所定数以上の計測値が取得されるまで、所定の計測時間の計測を、所定回数以上行う。所定回数は、例えば、10回以上の任意の回数に設定された回数である。所定回数は多いほど、精度が良い結果となるため、例えば、500回以上が好ましいが、回数が多くなるほど、合計計測時間が長くなってしまうため、精度及び合計計測時間とを考慮して決定される。
【0039】
通信品質情報は、誤り訂正前の誤り率を示すBERでもよく、光品質値を示すQ値でもよい。BERは、光通信路を送信される光通信信号から生成されるデータユニットに含まれるビットに基づくBERでもよく、光通信信号から生成されるデータユニットの復元率に基づくBERでもよい。
【0040】
通信品質情報が、光通信路を送信される光通信信号から生成されるデータユニットに含まれるビットに基づくBERである場合、計測部32は、通信部31が復元したデータユニットに含まれるビット列を複数回計測する。計測部32は、計測したビット列のBERを算出し、算出したBERを計測値として取得してもよい。
【0041】
通信品質情報が、光通信信号から生成されるデータユニットの復元率に基づくBERである場合、計測部32は、通信部31がデータユニットの復元を試行した試行数と、通信部31がデータユニットの復元の成功数又は失敗数とを計測する。計測部32は、試行数と、成功数又は失敗数とに基づいてBERを算出し、算出したBERを計測値として取得する。
【0042】
通信品質情報が、Q値である場合、上記したBERを対数化することで、Q値を算出可能であるため、計測部32は、BERを算出し、算出したBERを対数化して、Q値を算出する。なお、計測部32は、光通信路P2を介して送受信される光通信信号の信号値(0及び1)のそれぞれの確率分布と、復調信号レベルとを計測してもよい。計測部32は、光通信信号値が1及び0のそれぞれの確率分布の分散と、復調信号レベルの差分値とに基づいて、Q値を算出し、算出したQ値を計測値として取得してもよい。
【0043】
次に、光伝送装置20について説明する。光伝送装置20は、実施の形態1にかかる通信装置1に対応する。光伝送装置20は、通信部21と、取得部22と、累積分布推定部23と、通信品質決定部24と、制御部25と、記憶部26とを備える。
【0044】
通信部21は、端末装置10と通信を行い、光伝送装置30と通信を行う。通信部21は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置30から受信し、光通信信号に含まれるビット列に基づいてデータユニットを復元する。通信部21は、データユニットから通信フレームを取り出して、通信路P1を介して端末装置10に送信する。通信部21は、通信路P1を介して、通信フレームを端末装置10から受信する。通信部21は、受信した通信フレームをデータユニットに格納し、データユニットを光通信信号に変換する。通信部21は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置30に送信する。
【0045】
通信部21は、品質状況確認要求、及びパラメータ調整要求を受信する。品質状況確認要求は、例えば、光通信路P2を管理する通信事業者から、光通信路P2における現在の通信品質状況を確認する要求である。パラメータ調整要求は、例えば、光通信路P2を管理する通信事業者から、光通信路P2における通信品質状況を踏まえて、光通信路P2における通信設定に関連するパラメータを調整する要求である。通信部21は、例えば、上記通信事業者から、ネットワーク監視装置(不図示)を介して、品質状況確認要求、及びパラメータ調整要求を受信する。通信部21は、品質状況確認要求及びパラメータ調整要求を、累積分布推定部23及び通信品質決定部24に送信する。また、通信部21は、パラメータ調整要求を、制御部25に送信する。
【0046】
通信部21は、品質状況確認要求を受信すると、取得要求を通信部31に送信する。通信部21は、パラメータ調整要求を受信すると、取得要求を通信部31に送信する。また、通信部21が、パラメータ調整要求を受信した場合、後述する制御部25は、光通信路P2における通信品質状況を踏まえて、パラメータを変更する。通信部21は、制御部25がパラメータを変更する毎に、取得要求を通信部31に送信する。
【0047】
通信部21は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、光通信路P2を介して通信部31から受信する。通信部21は、受信した所定数以上の計測値を取得部22に出力する。
【0048】
取得部22は、実施の形態1における取得部2に対応する。取得部22は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。取得部22は、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、通信部21を介して取得する。
【0049】
累積分布推定部23は、実施の形態1における推定部3に対応する。累積分布推定部23は、品質状況確認要求に応じて、所定数以上の計測値が取得された場合、取得された計測値の平均値を算出し、取得された計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第1累積分布関数を生成する。累積分布推定部23は、算出した平均値と、生成した第1累積分布関数とに基づいて、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第2累積分布関数を推定する。第1累積分布関数は、取得された計測値に基づく関数であるため既知であるが、第2累積分布関数は、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得されたと仮定した場合の累積分布関数であるため未知である。そのため、累積分布推定部23は、算出した平均値と、既知の第1累積分布関数とに基づいて、未知の第2累積分布関数を推定する。
【0050】
具体的には、累積分布推定部23は、品質状況確認要求に応じて、所定数以上の計測値が取得された場合、取得された計測値の平均値を算出する。累積分布推定部23は、品質状況確認要求に応じて、所定数以上の計測値が取得された場合、取得された所定数以上の計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第1累積分布関数を生成する。累積分布推定部23は、取得された計測値に基づいて、横軸を通信品質情報の値とし、縦軸を累積確率とする累積分布を生成する。累積分布推定部23は、生成した累積分布としてプロットされた点に対して、例えば、最小二乗法等を用いて近似曲線を求めることで第1累積分布関数を生成する。
【0051】
累積分布推定部23は、第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。光通信路P2において送信される光通信信号に関する通信品質情報の値のヒストグラムは、ガウス分布に従うことが予測される。そのため、第1累積分布関数のうち、例えば、累積確率が0.1~0.9となる領域が、累積確率の変化が急峻な領域となる。したがって、累積分布推定部23は、例えば、累積確率が0.1~0.9となる領域等、第1累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。
【0052】
累積分布推定部23は、第1累積分布関数において、例えば、累積確率が0.5となる点における傾きを、累積確率の変化が急峻な領域における傾きとして算出してもよい。もしくは、累積分布推定部23は、第1累積分布関数を満たす点のうち、例えば、累積確率が0.1~0.9等の所定範囲内の累積確率となる複数の点を選択し、選択した点における傾きに基づいて、累積確率の変化が急峻な領域における傾きとして算出してもよい。累積分布推定部23は、選択した複数の点における傾きを算出し、算出した傾きの平均値、中央値、最小値又は最大値を算出し、算出した値を累積確率の変化が急峻な領域における傾きとして算出してもよい。累積分布推定部23は、算出した、平均値及び傾きを、記憶部26に格納する。
【0053】
累積分布推定部23は、第2累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における第2累積分布関数を、平均値及び傾きに基づく直線に近似することで、第2累積分布関数を推定する。累積分布推定部23は、算出した平均値を、累積確率が0.5となる点の通信品質情報の値とする点を通り、算出した傾きが、直線の傾きになる直線を決定する。累積分布推定部23は、第2累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における第2累積分布関数を、決定した直線に近似することで、第2累積分布関数を推定する。
【0054】
累積分布推定部23は、パラメータ調整要求を通信部21から受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更していない場合、品質状況確認要求と同様の処理を行う。また、累積分布推定部23は、パラメータ調整要求を通信部21から受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更した場合、変更されたパラメータに応じた処理を行う。
【0055】
通信品質情報の値の分散が、パラメータの値に依存する分散非類似パラメータを制御部25が変更した場合、累積分布推定部23は、品質状況確認要求と同様の処理を行う。具体的には、累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された場合、累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された後に取得された計測値に基づく第1累積分布関数を生成する。累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された後に取得された計測値に基づく第1累積分布関数の累積確率が急峻な領域における傾きを算出する。累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された後に取得された計測値の平均値を算出する。累積分布推定部23は、累積確率が0.5となる通信品質情報の値を、算出した平均値とする点を通り、算出した傾きを傾きとする直線を決定する。累積分布推定部23は、決定した直線を、第2累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における第2累積分布関数に近似する。累積分布推定部23は、算出した平均値及び傾きを、制御部25が変更したパラメータ名、及び変更前後のパラメータ値とともに、記憶部26に格納する。
【0056】
分散非類似パラメータは、例えば、光通信路P2における変調方式、及び光通信路P2における通信チャネルのガードバンドを含み得る。例えば、変調方式がQPSK(Quadra phase-shift keying)のときの累積分布関数における累積確率が0から100までの通信品質情報の値の範囲は、16QAM(quadrature amplitude modulation)の場合も狭くなることが想定される。このように、変調方式の次数が変更される場合、通信品質情報の値の分散は異なることが想定される。また、光通信路P2における各通信チャネルのガードバンドが広がるように変更されると、変調方式と同様に、累積密度関数の累積密度が0から100までの通信品質情報の値の範囲も狭くなることが想定される。そのため、累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された場合は、分散非類似パラメータが変更された後に取得された計測値の平均値を算出する。累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された後に取得された計測値に基づく第1累積分布関数の累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。
【0057】
なお、変調方式の次数は、変調方式の多値度と称されてもよい。また、パラメータの変更前後で、通信品質情報の値の分散が類似しないということは、パラメータの変更前後で累積分布関数が相似しない関係を意味するため、分散非類似パラメータは、累積分布関数が相似しないパラメータと称されてもよい。
【0058】
一方、通信品質情報の値の分散が、パラメータの値に依存しない分散類似パラメータを制御部25が変更した場合、累積分布推定部23は、パラメータ変更前の平均値と、パラメータが変更される前に決定された基準品質値との差分をマージン値として算出する。累積分布推定部23は、分散類似パラメータが変更された後に取得された計測値の平均値を算出する。基準品質値は、第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる通信品質情報の値であり、後述する通信品質決定部24が決定する値である。
【0059】
分散類似パラメータが変更された場合、第2累積分布関数に近似した直線の傾きは、分散類似パラメータの変更前後で同一である。そのため、累積分布推定部23は、パラメータ変更後の第2累積分布関数に近似する直線を決定せず、分散類似パラメータの変更前後の当該直線のシフト量をマージン値として算出する。累積分布推定部23は、算出した、平均値及びマージン値を、制御部25が変更したパラメータ名、及び変更前後の値とともに、記憶部26に格納する。なお、マージン値は、分散類似パラメータが変更された場合でも変更されないため、累積分布推定部23は、分散類似パラメータが変更される場合、マージン値を1回のみ算出してもよい。
【0060】
分散類似パラメータは、例えば、光通信路P2における光送信出力、及び光通信路P2における通信チャネル数等である。なお、パラメータの変更前後で分散が類似するということは、パラメータの変更前後で累積分布関数が相似である関係を意味するため、分散類似パラメータは、累積分布関数が相似するパラメータと称されてもよい。
【0061】
通信品質決定部24は、実施の形態1における決定部4に対応する。品質状況確認要求に応じて、所定数以上の計測値が取得された場合、通信品質決定部24は、第2累積分布関数を近似した直線を用いて、累積確率が所定値となる通信品質情報の値を基準品質値として決定する。通信品質決定部24は、算出された平均値及び傾きに基づく直線上に、基準品質値が存在するとみなして、当該直線上の点であって、累積確率が所定値となる点の通信品質情報の値を基準品質値として決定する。通信品質決定部24は、決定した基準品質値を、当該基準品質値を算出するために使用した平均値及び傾きと関連付けて記憶部26に格納する。
【0062】
通信品質決定部24は、パラメータ調整要求を通信部21から受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更していない場合、品質状況確認要求と同様の処理を行う。また、通信品質決定部24は、パラメータ調整要求を通信部21から受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更した場合、変更されたパラメータに応じた処理を行う。
【0063】
分散非類似パラメータを制御部25が変更した場合、通信品質決定部24は、品質状況確認要求と同様の処理を行う。具体的には、第2累積分布関数に近似された直線を用いて、累積確率が所定値となる通信品質情報の値を基準品質値として決定する。通信品質決定部24は、算出された平均値及び傾きに基づく直線上の点であって、累積確率が所定値となる点の通信品質情報の値を基準品質値として決定する。通信品質決定部24は、パラメータ変更後の基準品質値を、制御部25が変更したパラメータ名、及び変更前後の値と関連付けて記憶部26に格納する。
【0064】
一方、分散類似パラメータを制御部25が変更した場合、通信品質決定部24は、分散類似パラメータ変更後の平均値と、マージン値とに基づいて、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値を決定する。通信品質決定部24は、分散類似パラメータ変更された後の平均値からマージン値を減算した値を、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値として決定する。分散類似パラメータが変更された場合、第2累積分布関数に近似した直線の傾きは同一となる。そのため、通信品質決定部24は、分散類似パラメータの変更後の平均値から、マージン値を減算することで、パラメータ変更後の基準品質値を決定する。通信品質決定部24は、パラメータ変更後の基準品質値を、制御部25が変更したパラメータ名、及び変更前後の値と関連付けて記憶部26に格納する。
【0065】
制御部25は、パラメータ調整要求を受信した場合、光通信路P2におけるパラメータであって、光通信路P2における通信設定に関連するパラメータを変更する。制御部25は、パラメータが変更された後の基準品質値が所要品質値を満たすようにパラメータを変更する。所要品質値は、光通信路P2において、通信が確立出来なくなってしまう通信品質情報の閾値であり、誤り訂正後のエラー率を示すFER(Frame Error Rate)が所定値となる通信品質情報の値である。
【0066】
制御部25は、通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定することで、通信品質決定部24が決定した基準品質値が所要品質値を満たしているか否かを判定する。制御部25は、基準品質値が所要品質値を満たしている場合、基準品質値が低くなるようにパラメータを変更する。制御部25は、基準品質値が所要品質値を満たしていない場合、基準品質値が高くなるようにパラメータを変更する。制御部25は、パラメータを変更した場合、通信部21、累積分布推定部23、及び通信品質決定部24に変更したパラメータ名、及び変更前後のパラメータ値を送信する。
【0067】
制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしている場合であって、変調方式を変更する場合、変調方式の次数が増加するように変調方式を変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式がQPSKである場合、変調方式の次数を増加し、変調方式を8QAMに変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式が8QAMである場合、変調方式の次数を増加し、変調方式を16QAMに変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式が16QAMである場合、変調方式の次数を増加し、変調方式を32QAMに変更する。
【0068】
一方、制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしていない場合であって、変調方式を変更する場合、変調方式の次数が減少するように変調方式を変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式が32QAMである場合、変調方式の次数を減少し、変調方式を16QAMに変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式が16QAMである場合、変調方式の次数を減少し、変調方式を8QAMに変更する。制御部25は、パラメータ変更前の変調方式が8QAMである場合、変調方式の次数を減少し、変調方式をQPSKに変更する。
【0069】
制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしている場合であって、ガードバンドを変更する場合、ガードバンドが現在の値よりも狭くなるようにガードバンドを変更する。換言すると、制御部25は、各通信チャネルのガードバンドに対して、ガードバンドを現在よりも狭くし、隣接する通信チャネルとの干渉が大きくなるが、各通信チャネルの帯域幅が広がるように、ガードバンドを変更する。
【0070】
一方、制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしていない場合であって、ガードバンドを変更する場合、ガードバンドが現在の値よりも広くなるようにガードバンドを変更する。換言すると、制御部25は、各通信チャネルのガードバンドに対して、ガードバンドを現在よりも広くし、隣接する通信チャネルとの干渉が小さくなるが、各通信チャネルの帯域幅が狭くなるように、ガードバンドを変更する。
【0071】
制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしている場合であって、光通信路P2における光送信出力を変更する場合、光送信出力が現在の値よりも小さくなるように光送信出力を変更する。換言すると、制御部25は、基準品質値は低くなるが、消費電力も下がるように光送信出力を変更する。
【0072】
一方、制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしていない場合であって、光通信路P2における光送信出力を変更する場合、光送信出力が現在の値よりも大きくなるように光送信出力を変更する。換言すると、制御部25は、消費電力は上がるが、基準品質値が高くなるように光送信出力を変更する。
【0073】
制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしている場合であって、光通信路P2における通信チャネル数を変更する場合、通信チャネル数が現在の値よりも増えるように通信チャネル数を変更する。換言すると、制御部25は、基準品質値は低くなるが、通信容量が増加するように通信チャネル数を変更する。
【0074】
一方、制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値が所要品質値を満たしていない場合であって、光通信路P2における通信チャネル数を変更する場合、通信チャネル数が現在の値よりも減少するように通信チャネル数を変更する。換言すると、制御部25は、通信容量は減少するが、基準品質値が高くなるように通信チャネル数を変更する。
【0075】
記憶部26は、累積分布推定部23及び通信品質決定部24の制御に応じて、算出した、平均値、傾き、マージン値、基準品質値、変更したパラメータ名、及び変更前後の値を記憶する。
【0076】
<光伝送装置の動作例>
次に、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例について説明する。まず、図4図6を用いて、実施の形態2にかかる光伝送装置20の動作概要について説明する。図4図6は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作概要を示す図である。
【0077】
<品質状況確認要求受信時の動作概要>
図4及び図5を用いて、品質状況確認要求を通信部21が受信した場合の光伝送装置20の動作概要について説明する。通信部21が、品質状況確認要求を受信した場合、通信部21は、取得要求を通信部31に送信する。通信部21は、計測部32が取得した所定数の計測値を、通信部31を介して受信し、受信した計測値を取得部22に送信する。取得部22が、計測値を取得した場合、累積分布推定部23は、取得した計測値に基づいて、通信品質情報についての累積分布を生成する。図4は、累積分布推定部23が、生成した累積分布を示している。図4に示すように、横軸は、通信品質情報の一例であるQ値の値であり、縦軸は、累積確率を表している。累積分布推定部23は、取得された計測値に基づいて、通信品質情報であるQ値の値と、累積確率との関係を図4に示したグラフにプロットする。図4に示す点は、累積分布推定部23がプロットした、Q値と、累積確率との関係を表す点である。累積分布推定部23は、累積分布としてプロットした点に対して、例えば、最小二乗法等を用いて近似曲線を求めることで第1累積分布関数を示す曲線L1を生成する。累積分布推定部23は、取得した計測値の平均値Qaveを算出するとともに、第1累積分布関数のうち、例えば、累積確率が0.1~0.9となる領域等、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。
【0078】
次に、図5に示すように、累積分布推定部23は、累積確率が0.5となるQ値の値が、算出した平均値Qaveとなる点P1を通り、算出した傾きを、直線の傾きとする直線L3を決定する。累積分布推定部23は、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく第2累積分布関数を示す曲線L2において、累積確率の変化が急峻な領域における第2累積分布関数を、直線L3に近似する。点線L2は、第2累積分布関数を表す曲線であり、取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得されたと仮定した場合の累積分布関数を示す曲線である。累積分布推定部23は、点線L2のうち、例えば、累積確率が0.1~0.9の領域等、累積確率の変化が急峻な領域を、直線L3を近似直線として決定する。つまり、累積分布推定部23は、未知の第2累積分布関数を示す曲線L2を、既知の直線L3で近似することで、第2累積分布関数を推定する。通信品質決定部24は、直線L3において、累積確率が所定値となる通信品質情報の値であるQwERRを基準品質値として決定する。
【0079】
制御部25は、基準品質値QwERRが、所要品質値を表すFL(FER Limit)を満たしている場合、基準品質値QwERRが低くなるようにパラメータを変更する。また、制御部25は、パラメータ変更前の基準品質値QwERRが所要品質値FLを満たしていない場合、基準品質値QwERRが高くなるようにパラメータを変更する。
【0080】
<パラメータ調整要求時、かつパラメータ変更前の動作概要>
次に、パラメータ調整要求を通信部21が受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更していない場合、光伝送装置20は、品質状況確認要求受信時の動作と同様の動作を行う。つまり、パラメータ調整要求を通信部21から受信した場合であって、制御部25がパラメータを変更していない場合、光伝送装置20は、図4及び図5を用いて説明した動作を行う。
【0081】
<パラメータ調整要求時、かつ分散非類似パラメータ変更時の動作概要>
次に、パラメータ調整要求を通信部21が受信した場合であって、制御部25が分散非類似パラメータを変更した場合、光伝送装置20は、品質状況確認要求受信時の動作と同様の動作を行う。つまり、制御部25が分散非類似パラメータを変更した場合、光伝送装置20は、図4及び図5を用いて説明した動作を行う。
【0082】
<パラメータ調整要求時、かつ分散類似パラメータ変更時の動作概要>
次に、図6を用いて、パラメータ調整要求を通信部21が受信した場合であって、制御部25が分散類似パラメータを変更した場合の光伝送装置20の動作概要について説明する。
【0083】
まず、累積分布推定部23が、分散類似パラメータ変更前の計測値に基づいて、平均値Qave1を算出し、第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出したとする。この場合、累積分布推定部23は、累積確率が0.5となるQ値の値が、算出した平均値Qave1となる点P21を通り、算出した傾きを、直線の傾きとする直線L31を決定する。そして、通信品質決定部24が、直線L31を用いて、基準品質値QwERR1を決定する。なお、図6のうち、曲線L21は、分散類似パラメータ変更前の計測値に基づく、第2累積分布関数を表しており、累積分布推定部23が直線L31で近似した第2累積分布関数を表している。
【0084】
次に、制御部25が、分散類似パラメータを変更した場合、累積分布推定部23は、パラメータ変更後に取得された計測値の平均値を算出する。また、累積分布推定部23は、分散類似パラメータが変更される前に算出した平均値Qave1と、基準品質値QwERR1との差分をマージン値Marginとして算出する。通信品質決定部24は、分散類似パラメータが変更された後に算出した平均値Qave2からマージン値Marginを減算した値を、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値QwERR2として決定する。なお、累積分布推定部23は、マージン値Marginを1回決定すると、分散類似パラメータが複数回変更された場合でも、決定したマージン値Marginを使用できる。そのため、累積分布推定部23は、マージン値Marginを1回のみ決定してもよい。
【0085】
ここで、分散類似パラメータを変更された場合、累積分布推定部23は、分散非類似パラメータが変更された場合と同様に、第2累積分布関数を近似した直線L32を決定することも可能である。しかし、分散類似パラメータは、パラメータ変更前後で通信品質情報の値の分散は同一である。つまり、パラメータ変更前の第2累積分布関数を近似した直線L31の傾きと、パラメータ変更後の第2累積分布関数を近似した直線L32の傾きとは同一である。そのため、累積分布推定部23は、分散類似パラメータが変更された場合、パラメータ変更後の第2累積分布関数を近似した直線L32の傾きを算出せず、マージン値Marginを算出する。そして、通信品質決定部24は、分散類似パラメータが変更された後に算出した平均値Qave2からマージン値Marginを減算した値を、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値QwERR2として決定する。このように、通信品質決定部24は、分散類似パラメータが変更された場合、パラメータ変更前後の近似直線である直線L31と直線L32とのシフト量を表すマージン値を用いることで、基準品質値QwERR2を即時に決定可能とする。また、通信品質決定部24は、分散類似パラメータが変更された場合、パラメータ変更後の近似直線である直線L32を算出しなくても、パラメータ変更後の平均値と、マージン値とを用いて、減算処理をするだけで基準品質値QwERR2を即時に決定できる。したがって、通信品質決定部24は、分散非類似パラメータが変更された場合よりも演算量を削減できる。
【0086】
<動作例1(品質状況確認要求受信時の動作例)>
次に、図7を用いて、品質状況確認要求受信時の光伝送装置20の動作例について説明する。図7は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。
【0087】
通信部21は、品質状況確認要求を受信する(ステップS11)。
通信部21は、例えば、ネットワーク監視装置(不図示)から品質状況確認要求を受信する。通信部21は、品質状況確認要求を受信した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0088】
取得部22は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS12)。
通信部21は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、光通信路P2を介して通信部31から受信する。取得部22は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。
【0089】
累積分布推定部23は、取得された計測値の平均値を算出する(ステップS13)。
累積分布推定部23は、第1累積分布関数を生成する(ステップS14)。
累積分布推定部23は、取得された所定数以上の計測値に基づく、通信品質情報の累積分布関数を示す第1累積分布関数を生成する。累積分布推定部23は、取得された計測値に基づいて、横軸を通信品質情報の品質値とし、縦軸を累積確率とする累積分布を生成する。累積分布推定部23は、生成した累積分布としてプロットされた点に対して、例えば、最小二乗法等を用いて近似曲線を求めることで第1累積分布関数を生成する。
【0090】
累積分布推定部23は、第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する(ステップS15)。
累積分布推定部23は、第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。累積分布推定部23は、例えば、累積確率が0.1~0.9となる領域等、第1累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出する。
【0091】
累積分布推定部23は、算出した平均値、及び算出した傾きに基づく直線を決定する(ステップS16)。
累積分布推定部23は、算出した平均値を、累積確率が0.5となる通信品質情報の値とする点を通り、算出した傾きが、直線の傾きになる直線を決定する。累積分布推定部23は、第2累積分布関数のうち、累積確率の変化が急峻な領域における第2累積分布関数を、決定した直線に近似することで、第2累積分布関数を推定する。
【0092】
通信品質決定部24は、決定した直線を用いて、基準品質値を決定する(ステップS17)。
通信品質決定部24は、ステップS15において決定された直線上に、基準品質値が存在するとみなして、当該直線上の点であって、累積確率が所定値となる点の通信品質情報の値を基準品質値として決定する。
【0093】
<動作例2(パラメータ調整要求受信時の動作例)>
次に、図8を用いて、パラメータ調整要求受信時の光伝送装置20の動作例について説明する。図8は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。具体的には、図8は、光伝送装置20が、パラメータ調整要求を受信し、パラメータ変更前の基準品質値を決定し、その後、分散非類似パラメータ及び分散類似パラメータを変更したときの動作例を示すフローチャートである。
【0094】
なお、図8の動作のうち、図7と共通する動作については、図7を参照しつつ、適宜説明を割愛する。図8の動作例が実行される前の状態は、基準品質値が所要品質値を満たす状態であることとする。また、分散非類似パラメータは、光通信路P2における変調方式であり、分散類似パラメータは、光通信路P2における光送信出力であることとして説明するが、一例であるためこれに限定されない。図8は、2つのパラメータが変更される場合の動作例であるが、変更されるパラメータの数は、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0095】
まず、通信部21は、パラメータ調整要求を受信する(ステップS21)。
通信部21は、例えば、ネットワーク監視装置(不図示)からパラメータ調整要求を受信する。通信部21は、パラメータ調整要求を受信した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0096】
光伝送装置20は、品質状況確認動作を行う(ステップS22)。
品質状況確認動作は、図7に示すフローチャートのうち、ステップS12~S17の動作である。取得部22は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部23は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部24は、ステップS17を実行する。
【0097】
次に、制御部25は、分散非類似パラメータである、光通信路P2における変調方式の次数を増加する(ステップS23)。
制御部25は、変調方式を変更する前の変調方式がQPSKである場合、変調方式を8QAMに変更する。制御部25は、変調方式を変更する前の変調方式が8QAMである場合、変調方式を16QAMに変更する。制御部25は、変調方式を変更する前の変調方式が16QAMである場合、変調方式を32QAMに変更する。つまり、制御部25は、変調方式の次数を1つ増加することで、基準品質値は悪化するが、通信容量を増加させる制御を実行する。なお、変調方式を変更する前の変調方式が32QAMである場合、光伝送装置20は、ステップS24及びS25をスキップし、ステップS26を実行してもよい。
【0098】
光伝送装置20は、品質状況確認動作を行う(ステップS24)。
取得部22は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部23は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部24は、ステップS17を実行する。
【0099】
制御部25は、通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS25)。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS25のYES)、光伝送装置20は、ステップS23以降の動作を実行する。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS25のNO)、制御部25は、変調方式の次数を1つ減少し、基準品質値が所要品質値を満たす変調方式に変更する(ステップS26)。つまり、制御部25は、変調方式の次数を1つ減少することで、通信容量は減少するが、基準品質値が回復する制御を実行する。
【0100】
次に、制御部25は、分散類似パラメータである、光通信路P2における光送信出力を減少する(ステップS27)。
制御部25は、光送信出力を、例えば、1mW減少する制御を実行する。つまり、制御部25は、光送信出力を下げることで、基準品質値は悪化するが、通信容量を増加させる制御を実行する。通信部21は、制御部25が光送信出力を変更した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0101】
取得部22は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS28)。
通信部21は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、光通信路P2を介して通信部31から受信する。取得部22は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。
【0102】
累積分布推定部23は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値を算出し、光送信出力が変更される前の平均値と、光送信出力が変更される前の基準品質値との差分をマージン値として算出する(ステップS29)。なお、マージン値は、分散類似パラメータが変更された場合でも変更されないため、累積分布推定部23は、ステップS29を最初に実行する場合のみ、マージン値を算出し、2回目以降にステップS29を実行する場合、マージン値を算出しなくてもよい。
【0103】
通信品質決定部24は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、光送信出力が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS30)。
【0104】
制御部25は、通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS31)。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS31のYES)、光伝送装置20は、ステップS27以降の動作を実行する。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS31のNO)、制御部25は、光送信出力を、例えば、1mW増加する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす光送信出力に変更する(ステップS32)。つまり、制御部25は、光送信出力を上げることで、通信容量は減少するが、基準品質値を回復する制御を実行する。そして、光伝送装置20は、処理を終了する。
【0105】
<動作例3(パラメータ調整要求受信時の動作例)>
次に、図9を用いて、パラメータ調整要求受信時の光伝送装置20の動作例について説明する。図9は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。具体的には、図9は、光伝送装置20が、パラメータ調整要求を受信し、パラメータ変更前の基準品質値を決定し、その後、2つの分散類似パラメータを変更したときの動作例を示すフローチャートである。
【0106】
なお、図9の動作のうち、図7と共通する動作については、図7を参照しつつ、適宜説明を割愛する。図9の動作例が実行される前の状態は、基準品質値が所要品質値を満たす状態であることとする。また、第1分散類似パラメータは、光通信路P2における通信チャネル数であり、第2分散類似パラメータは、光通信路P2における光送信出力であることとして説明するが、一例であるためこれに限定されない。図9は、2つのパラメータが変更される場合の動作例であるが、変更されるパラメータは、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0107】
まず、通信部21は、パラメータ調整要求を受信する(ステップS41)。
通信部21は、例えば、ネットワーク監視装置(不図示)からパラメータ調整要求を受信する。通信部21は、パラメータ調整要求を受信した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0108】
光伝送装置20は、品質状況確認動作を行う(ステップS42)。
品質状況確認動作は、図7に示すフローチャートのうち、ステップS12~S17の動作である。取得部22は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部23は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部24は、ステップS17を実行する。
【0109】
次に、制御部25は、第1分散類似パラメータである、光通信路P2における通信チャネル数を増加する(ステップS43)。
制御部25は、光通信路P2における通信チャネル数を、1つ増加する制御を実行する。つまり、制御部25は、通信チャネル数を増加することで、基準品質値は悪化するが、通信容量を増加させる制御を実行する。通信部21は、制御部25が通信チャネル数を変更した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0110】
取得部22は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS44)。
通信部21は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、光通信路P2を介して通信部31から受信する。取得部22は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。
【0111】
累積分布推定部23は、通信チャネル数が変更された後に取得された計測値の平均値を算出し、通信チャネル数が変更される前の平均値と、通信チャネル数が変更される前の基準品質値との差分をマージン値として算出する(ステップS45)。なお、マージン値は、分散類似パラメータが変更された場合でも変更されないため、累積分布推定部23は、ステップS45を最初に実行する場合のみ、マージン値を算出し、2回目以降にステップS45を実行する場合、マージン値を算出しない。
【0112】
通信品質決定部24は、通信チャネル数が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、通信チャネル数が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS46)。
【0113】
制御部25は、通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS47)。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS47のYES)、光伝送装置20は、ステップS43以降の動作を実行する。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS47のNO)、制御部25は、通信チャネル数を1つ減少する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす通信チャネル数に変更する(ステップS32)。つまり、制御部25は、通信チャネル数を1つ減少することで、通信容量は減少するが、基準品質値を回復する制御を実行する。
【0114】
次に、制御部25は、第2分散類似パラメータである、光通信路P2における光送信出力を減少する(ステップS49)。
制御部25は、光送信出力を、例えば、1mW減少する制御を実行する。つまり、制御部25は、光送信出力を下げることで、基準品質値は悪化するが、通信容量を増加させる制御を実行する。通信部21は、制御部25が光送信出力を変更した場合、取得要求を通信部31に送信する。光伝送装置30の通信部31は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部31を介して、光伝送装置20に送信する。
【0115】
取得部22は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS50)。
通信部21は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、光通信路P2を介して通信部31から受信する。取得部22は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する。
【0116】
累積分布推定部23は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値を算出する(ステップS51)。なお、累積分布推定部23は、ステップS45を最初に実行したタイミングでマージン値を算出しているため、ステップS51では、累積分布推定部23は、マージン値を算出しない。
【0117】
通信品質決定部24は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、光送信出力が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS52)。
【0118】
制御部25は、通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS53)。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS53のYES)、光伝送装置20は、ステップS49以降の動作を実行する。
通信品質決定部24が決定した基準品質値が所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS53のNO)、制御部25は、光送信出力を、例えば、1mW増加する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす光送信出力に変更する(ステップS54)。つまり、制御部25は、光送信出力を上げることで、通信容量は減少するが、基準品質値を回復する制御を実行する。そして、光伝送装置20は、処理を終了する。
【0119】
以上のように、光伝送装置20は、実施の形態1と同様に、通信品質情報の計測値に基づいて、実際に計測された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の基準品質値を決定できる。そのため、通信事業者は、光伝送装置20を用いることで、多数の計測値を取得することなく、多数の計測値が取得された場合の基準品質値を決定できる。換言すると、通信事業者は、光伝送装置20を用いることで、短い合計計測時間に取得された計測値に基づいて、実際に計測した合計計測時間よりも長い合計計測時間に取得されることが予測される計測値の基準品質値を決定できる。したがって、実施の形態2にかかる光伝送装置20によれば、通信事業者は、通信品質状況を容易に把握することができる。
【0120】
また、制御部25は、通信品質情報の計測値に基づき決定した基準品質値を用いて、基準品質値が所要品質値を満たすように、光通信路P2における、通信設定に関するパラメータを制御する。累積分布推定部23及び通信品質決定部24は、多数の計測値を取得することなく、多数の計測値が取得された場合の基準品質値を決定でき、制御部25は、決定された基準品質値を用いて、通信設定に関するパラメータが最適値となるように制御できる。すなわち、通信事業者は、光伝送装置20を用いることで、多数の計測値を取得することなく、最適なパラメータ値を決定できる。したがって、実施の形態2にかかる光伝送装置20によれば、通信事業者は、最適なパラメータ値を即時に決定できる。
【0121】
さらに、制御部25が、分散類似パラメータを変更した場合、累積分布推定部23は、当該パラメータが変更された後に取得された計測値の平均値と、マージン値とを算出する。そして、通信品質決定部24は、算出した平均値と、マージン値とに基づいて、分散類似パラメータ変更後の基準品質値を決定できる。換言すると、累積分布推定部23は、第2累積分布関数を、取得された計測値の平均値、及び第1累積分布関数における傾きに基づく直線で近似しなくても、分散類似パラメータ変更後の基準品質値を決定できる。したがって、実施の形態2にかかる光伝送装置20によれば、分散類似パラメータが変更された場合、通信品質状況を即時かつ容易に把握することができる。
【0122】
(変形例)
分散類似パラメータが変更された場合、累積分布推定部23は、マージン値を算出せずに、パラメータ変更後に取得された計測値の平均値を示す第1平均値と、パラメータ変更前に取得された計測値の平均値を示す第2平均値と、の差分を算出してもよい。そして、通信品質決定部24は、分散類似パラメータが変更される前の基準品質値を示す第1基準品質値と、上記差分とに基づいて、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値を決定してもよい。通信品質決定部24は、第1平均値が第2平均値よりも大きい場合、第1基準品質値に、上記差分を加算した値を、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値として決定してもよい。また、通信品質決定部24は、第1平均値が第2平均値よりも小さい場合、第1基準品質値から、上記差分を減算した値を、分散類似パラメータが変更された後の基準品質値として決定してもよい。このように、実施の形態2を変形しても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0123】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態2における光伝送装置20が実施した処理をネットワーク監視装置が実施する実施の形態である。
【0124】
<光通信システムの構成例>
図10を用いて、実施の形態3にかかる光通信システム200の構成例について説明する。図10は、実施の形態3にかかる光通信システムの構成例を示す図である。光通信システム200は、端末装置10と、ネットワーク監視装置50と、光伝送装置60及び70と、を備える。
【0125】
光通信システム200は、実施の形態2にかかる光通信システム100に、ネットワーク監視装置50が追加された構成である。また、光通信システム200は、実施の形態2にかかる光通信システム100における光伝送装置20及び30が、それぞれ光伝送装置60及び70に置き換わった構成である。なお、端末装置10及び40の構成は、基本的に実施の形態2と同様であるため適宜説明を割愛する。
【0126】
ネットワーク監視装置50は、光通信システム200のネットワーク全体を監視する装置である。ネットワーク監視装置50は、NMS(Network Management System)と称されてもよい。ネットワーク監視装置50は、ネットワークNを介して、光伝送装置60及び70と接続されており、光伝送装置60及び70と通信を行う。ネットワーク監視装置50は、光伝送装置60及び70を監視し、ネットワークNを介して、光伝送装置60及び70を制御する。
【0127】
<ネットワーク監視装置の構成例>
次に、ネットワーク監視装置50の構成例について説明する。ネットワーク監視装置50は、通信部51と、取得部52と、累積分布推定部53と、通信品質決定部54と、制御部55と、記憶部56とを備える。取得部52、累積分布推定部53、通信品質決定部54、制御部55、及び記憶部56は、それぞれ、実施の形態2における、取得部22、累積分布推定部23、通信品質決定部24、制御部25及び記憶部56と基本的に同様の構成である。そのため、取得部52、累積分布推定部53、通信品質決定部54、制御部55及び記憶部56の構成例について、実施の形態2と同様である説明については適宜割愛する。
【0128】
通信部51は、品質状況確認要求、及びパラメータ調整要求を受信する。通信部51は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置を備えるように構成され、光通信路P2を保守管理する運用者が、入力装置を用いて入力した、品質状況確認要求、及びパラメータ調整要求を受信(入力)する。通信部51は、品質状況確認要求及びパラメータ調整要求を累積分布推定部53及び通信品質決定部54に送信する。また、通信部51は、パラメータ調整要求を、制御部55に送信する。
【0129】
通信部51は、品質状況確認要求を受信すると、取得要求を、ネットワークNを介して光伝送装置70の通信部71に送信する。通信部51は、パラメータ調整要求を受信すると、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。また、通信部51が、パラメータ調整要求を受信した場合、制御部55は、光通信路P2における通信品質状況を踏まえて、パラメータを変更する。通信部51は、制御部55がパラメータを変更する毎に、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。
【0130】
通信部51は、取得要求を送信後、計測部32が取得した所定数以上の計測値を、ネットワークNを介して通信部71から受信する。通信部51は、受信した所定数以上の計測値を取得部52に出力する。
【0131】
取得部52は、光通信路P2における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を、通信部51及び71を介して計測部32から取得する。
累積分布推定部53は、実施の形態2にかかる累積分布推定部23と同様の構成をしており、実施の形態2にかかる累積分布推定部23が行う処理を実行する。
通信品質決定部54は、実施の形態2にかかる通信品質決定部24と同様の構成をしており、実施の形態2にかかる通信品質決定部24が行う処理を実行する。
【0132】
制御部55は、実施の形態2にかかる制御部25と基本的に同様の構成をしている。制御部55は、パラメータ調整要求を受信した場合、光通信路P2におけるパラメータであって、光通信路P2における通信設定に関連するパラメータを、光伝送装置60の制御部62を介して変更する。制御部55は、変更するパラメータ名、及び変更後のパラメータ値を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62にパラメータの変更を実行させることでパラメータを変更する。制御部55は、パラメータが変更された後の基準品質値が所要品質値を満たすようにパラメータを変更する。
【0133】
記憶部56は、実施の形態2にかかる記憶部26と同様の構成をしており、実施の形態2にかかる記憶部26が行う処理を実行する。
【0134】
<光伝送装置の構成例>
次に、光伝送装置60の構成例について説明する。光伝送装置60は、通信部61と、制御部62とを備える。
【0135】
通信部61は、実施の形態2にかかる通信部21と基本的に同様の構成をしている。通信部61は、端末装置10と通信を行い、光伝送装置70と通信を行う。通信部61は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置70から受信し、光通信信号に含まれるビット列に基づいてデータユニットを復元する。通信部61は、データユニットから通信フレームを取り出して、通信路P1を介して端末装置10に送信する。通信部61は、通信路P1を介して、通信フレームを端末装置10から受信する。通信部61は、受信した通信フレームをデータユニットに格納し、データユニットを光通信信号に変換する。通信部61は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置70に送信する。
【0136】
通信部61は、制御部55が変更するパラメータ名、及び変更後のパラメータ値を、通信部51を介して制御部55から受信し、パラメータ名、及び変更後のパラメータ値を制御部62に送信する。
【0137】
制御部62は、制御部55の制御に応じて、光通信路P2におけるパラメータであって、通信設定に関連するパラメータを変更する。制御部62は、制御部55が変更するパラメータ名、及び変更後のパラメータ値を、通信部61を介して受信する。制御部62は、受信したパラメータ名を、変更後のパラメータ値に変更する。
【0138】
光伝送装置70は、通信部71と、計測部32とを備える。なお、計測部32の構成は、実施の形態2と同様であるため、説明を割愛する。
通信部71は、実施の形態2にかかる通信部31と基本的に同様の構成をしている。通信部71は、端末装置40と通信を行い、光伝送装置60と通信を行う。通信部71は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置60から受信し、光通信信号に含まれるビット列に基づいてデータユニットを復元する。通信部71は、データユニットから通信フレームを取り出して、通信路P3を介して端末装置40に送信する。通信部71は、通信路P3を介して、通信フレームを端末装置40から受信する。通信部71は、受信した通信フレームをデータユニットに格納し、データユニットを光通信信号に変換する。通信部71は、光通信路P2を介して、光通信信号を光伝送装置60に送信する。
【0139】
通信部71は、取得要求を、ネットワークNを介してネットワーク監視装置50から受信し、取得要求を受信したことを計測部32に通知(送信)する。通信部71は、計測部32が取得した複数の計測値を、ネットワークNを介してネットワーク監視装置50に送信する。
【0140】
<ネットワーク監視装置の動作例>
次に、ネットワーク監視装置50の動作例について説明する。ネットワーク監視装置50は、実施の形態2にかかる光伝送装置20が実行する動作と同様の動作を実行する。そのため、図7図9を参照して、適宜説明を割愛しながら、ネットワーク監視装置50の動作例を説明する。
【0141】
<動作例1(品質状況確認要求受信時の動作例)>
次に、図7を参照して、品質状況確認要求が受信(入力)された場合のネットワーク監視装置50の動作例について説明する。
【0142】
通信部51は、品質状況確認要求を受信する(ステップS11)。
通信部51は、光通信路P2を保守管理する運用者が、入力装置を用いて入力した、品質状況確認要求を受信(入力)する。通信部51は、品質状況確認要求を受信した場合、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。光伝送装置70の通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介して、ネットワーク監視装置50に送信する。
【0143】
取得部52は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS12)。
累積分布推定部53は、取得された計測値の平均値を算出し(ステップS13)、第1累積分布関数を生成する(ステップS14)。
【0144】
累積分布推定部53は、第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出し(ステップS15)、算出した平均値、及び算出した傾きに基づく直線を決定する(ステップS16)。
通信品質決定部54は、決定した直線を用いて、基準品質値を決定する(ステップS17)。
【0145】
<動作例2(パラメータ調整要求受信時の動作例)>
次に、図8を参照して、パラメータ調整要求を受信した場合のネットワーク監視装置50の動作例について説明する。図8を参照して、ネットワーク監視装置50が、パラメータ調整要求を受信し、パラメータ変更前の基準品質値を決定し、その後、分散非類似パラメータ及び分散類似パラメータを変更したときの動作例を示すフローチャートである。図8の動作のうち、図7と共通する動作については、図7を参照しつつ、適宜説明を割愛する。本実施の形態においても、図8の動作例が実行される前の状態は、基準品質値が所要品質値を満たす状態であり、分散非類似パラメータは変調方式であり、分散類似パラメータは光送信出力であることとして説明する。なお、本実施の形態においても、変更されるパラメータの数は2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0146】
まず、通信部51は、パラメータ調整要求を受信する(ステップS21)。
通信部51は、光通信路P2を保守管理する運用者が、入力装置を用いて入力した、パラメータ調整要求を受信(入力)する。通信部51は、パラメータ調整要求を受信した場合、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。光伝送装置70の通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介してネットワーク監視装置50に送信する。
【0147】
ネットワーク監視装置50は、品質状況確認動作を行う(ステップS22)。
取得部52は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部53は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部54は、ステップS17を実行する。
【0148】
次に、制御部55は、分散非類似パラメータである、光通信路P2における変調方式の次数を増加する(ステップS23)。
制御部55は、変調方式を変更する前の変調方式がQPSKである場合、変調方式を8QAMに変更する。制御部25は、変調方式を変更する前の変調方式が8QAMである場合、変調方式を16QAMに変更する。制御部25は、変調方式を変更する前の変調方式が16QAMである場合、変調方式を32QAMに変更する。制御部55は、変更するパラメータ名が変調方式であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の変調方式を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に変調方式の変更を実行させることで変調方式を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が変調方式であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の変調方式を受信し、変調方式を、変更後の変調方式に変更する。なお、変調方式を変更する前の変調方式が32QAMである場合、ネットワーク監視装置50は、ステップS24及びS25をスキップし、ステップS26を実行してもよい。
【0149】
ネットワーク監視装置50は、品質状況確認動作を行う(ステップS24)。
取得部52は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部53は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部54は、ステップS17を実行する。
【0150】
制御部55は、通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS25)。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS25のYES)、ネットワーク監視装置50は、ステップS23以降の動作を実行する。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS25のNO)、制御部55は、変調方式の次数を1つ減少し、基準品質値が所要品質値を満たす変調方式に変更する(ステップS26)。制御部55は、変更するパラメータ名が変調方式であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の変調方式を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に変調方式の変更を実行させることで変調方式を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が変調方式であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の変調方式を受信し、変調方式を、変更後の変調方式に変更する。
【0151】
次に、制御部55は、分散類似パラメータである、光通信路P2における光送信出力を減少する(ステップS27)。
制御部55は、光送信出力を、例えば、1mW減少する制御を実行する。制御部55は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の光送信出力の値を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に光送信出力の変更を実行させることで光送信出力を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後の光送信出力の値を受信し、光送信出力の値を、変更後の光送信出力の値に変更する。通信部51は、制御部55が光送信出力を変更した場合、取得要求を通信部71に送信する。通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介して、ネットワーク監視装置50に送信する。
【0152】
取得部52は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS28)。
累積分布推定部53は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値を算出し、光送信出力が変更される前の平均値と、光送信出力が変更される前の基準品質値との差分をマージン値として算出する(ステップS29)。なお、累積分布推定部53は、ステップS29を最初に実行する場合のみ、マージン値を算出し、2回目以降にステップS29を実行する場合、マージン値を算出しなくてもよい。
【0153】
通信品質決定部54は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、光送信出力が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS30)。
【0154】
制御部55は、通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS31)。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS31のYES)、ネットワーク監視装置50は、ステップS27以降の動作を実行する。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS31のNO)、制御部55は、光送信出力を、例えば、1mW増加する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす光送信出力に変更する(ステップS32)。制御部55は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後の光送信出力の値を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に光送信出力の変更を実行させることで光送信出力を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後の光送信出力の値を受信し、光送信出力の値を、変更後の光送信出力の値に変更する。そして、ネットワーク監視装置50は、処理を終了する。
【0155】
<動作例3(パラメータ調整要求受信時の動作例)>
次に、図9を参照して、パラメータ調整要求を受信した場合のネットワーク監視装置50の動作例について説明する。図9を参照して、ネットワーク監視装置50が、パラメータ調整要求を受信し、パラメータ変更前の基準品質値を決定し、その後、2つの分散類似パラメータを変更したときの動作例を示すフローチャートである。図9の動作のうち、図7と共通する動作については、図7を参照しつつ、適宜説明を割愛する。図9の動作例が実行される前の状態は、基準品質値が所要品質値を満たす状態であることとする。また、第1分散類似パラメータは、光通信路P2における通信チャネル数であり、第2分散類似パラメータは、光通信路P2における光送信出力であることとして説明する。図9は、2つのパラメータが変更される場合の動作例であるが、変更されるパラメータは、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0156】
まず、通信部51は、パラメータ調整要求を受信する(ステップS41)。
通信部51は、光通信路P2を保守管理する運用者が、入力装置を用いて入力した、パラメータ調整要求を受信(入力)する。通信部51は、パラメータ調整要求を受信した場合、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。光伝送装置70の通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介してネットワーク監視装置50に送信する。
【0157】
ネットワーク監視装置50は、品質状況確認動作を行う(ステップS42)。
取得部52は、図7に示すステップS12を実行し、累積分布推定部53は、図7に示すステップS13~S16を実行し、通信品質決定部54は、ステップS17を実行する。
【0158】
次に、制御部55は、第1分散類似パラメータである、光通信路P2における通信チャネル数を増加する(ステップS43)。
制御部55は、光通信路P2における通信チャネル数を、1つ増加する制御を実行する。制御部55は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の通信チャネル数を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に通信チャネル数の変更を実行させることで通信チャネル数を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後の通信チャネル数を受信し、通信チャネル数を、変更後の通信チャネル数に変更する。通信部51は、制御部55が通信チャネル数を変更した場合、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。光伝送装置70の通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介して、ネットワーク監視装置50に送信する。
【0159】
取得部52は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS44)。
累積分布推定部53は、通信チャネル数が変更された後に取得された計測値の平均値を算出し、通信チャネル数が変更される前の平均値と、通信チャネル数が変更される前の基準品質値との差分をマージン値として算出する(ステップS45)。なお、累積分布推定部53は、ステップS45を最初に実行する場合のみ、マージン値を算出し、2回目以降にステップS45を実行する場合は、マージン値を算出しなくてもよい。
【0160】
通信品質決定部54は、通信チャネル数が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、通信チャネル数が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS46)。
【0161】
制御部55は、通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS47)。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS47のYES)、ネットワーク監視装置50は、ステップS43以降の動作を実行する。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS47のNO)、制御部55は、通信チャネル数を1つ減少する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす通信チャネル数に変更する(ステップS32)。
制御部55は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後の通信チャネル数を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に通信チャネル数の変更を実行させることで通信チャネル数を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後の通信チャネル数を受信し、通信チャネル数を、変更後の通信チャネル数に変更する。
【0162】
制御部55は、第2分散類似パラメータである、光通信路P2における光送信出力を減少する(ステップS49)。
制御部25は、光送信出力を、例えば、1mW減少する制御を実行する。制御部55は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後のパラメータ値である変更後の通信チャネル数を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に通信チャネル数の変更を実行させることで通信チャネル数を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が通信チャネル数であること、及び変更後の通信チャネル数を受信し、通信チャネル数を、変更後の通信チャネル数に変更する。通信部51は、制御部55が光送信出力を変更した場合、取得要求を、ネットワークNを介して通信部71に送信する。通信部71は、取得要求を受信し、計測部32に取得要求を送信する。計測部32は、光通信路P2における通信品質情報について計測し、所定数以上の計測値を取得する。計測部32は、取得した所定数以上の計測値を、通信部71を介して、ネットワーク監視装置50に送信する。
【0163】
取得部52は、所定数以上の計測値を取得する(ステップS50)。
累積分布推定部53は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値を算出する(ステップS51)。
通信品質決定部54は、光送信出力が変更された後に取得された計測値の平均値から、マージン値を減算した値を、光送信出力が変更された後の基準品質値として決定する(ステップS52)。
【0164】
制御部55は、通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS53)。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が、所要品質値よりも大きい値である場合(ステップS53のYES)、ネットワーク監視装置50は、ステップS49以降の動作を実行する。
通信品質決定部54が決定した基準品質値が所要品質値よりも大きい値ではない場合(ステップS53のNO)、制御部55は、光送信出力を、例えば、1mW増加する制御を実行し、基準品質値が所要品質値を満たす光送信出力に変更する(ステップS54)。制御部55は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後の光送信出力の値を、通信部51及び61を介して制御部62に送信し、制御部62に光送信出力の変更を実行させることで光送信出力を変更する。制御部62は、変更するパラメータ名が光送信出力であること、及び変更後の光送信出力の値を受信し、光送信出力の値を、変更後の光送信出力の値に変更する。そして、ネットワーク監視装置50は、処理を終了する。
【0165】
以上のように、ネットワーク監視装置50が、実施の形態2にかかる光伝送装置20が備える構成を備え、実施の形態2にかかる光伝送装置20が実行する動作を実行しても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0166】
(他の実施の形態)
図11は、上述した実施の形態において説明した通信装置1、光伝送装置20、30、60、70、及びネットワーク監視装置50(以下、通信装置1等と称する)のハードウェア構成例を示すブロック図である。図11を参照すると、通信装置1等は、ネットワーク・インターフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワーク・インターフェース1201は、光伝送装置、端末装置、ネットワーク監視装置等、光通信システムに含まれる他の通信装置と通信するために使用される。
【0167】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された通信装置1等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0168】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/O (Input / Output)インタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0169】
図11の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された通信装置1等の処理を行うことができる。
【0170】
図11を用いて説明したように、通信装置1等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1または複数のプログラムを実行する。
【0171】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光通信信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0172】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施の形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0173】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得する取得手段と、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定する推定手段と、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する決定手段と、を備える通信装置。
(付記2)
前記推定手段は、前記第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出し、累積確率の変化が急峻な領域における前記第2累積分布関数を、前記平均値及び前記傾きに基づく直線に近似し、
前記決定手段は、前記直線を用いて、前記基準品質値を決定する、付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存する第1パラメータが変更された場合、前記第1パラメータが変更された後の前記傾きを算出し、前記第1パラメータが変更された後の前記平均値を算出し、
前記決定手段は、前記第1パラメータが変更された後の前記平均値と、前記第1パラメータが変更された後の前記傾きと、に基づいて、前記第1パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記第1パラメータは、前記光通信路において使用される変調方式、及び前記光通信路の通信チャネルのガードバンドのうち、少なくとも1つを含む、付記3に記載の通信装置。
(付記5)
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存しない第2パラメータが変更された場合、前記第2パラメータが変更される前の前記平均値と、前記第2パラメータが変更される前の前記基準品質値を示す第1基準品質値との差分をマージン値として算出し、前記第2パラメータが変更された後の前記平均値を示す第1平均値を算出し、
前記決定手段は、前記第1平均値と、前記マージン値とに基づいて、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、付記1~4のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記6)
前記決定手段は、前記第1平均値から前記マージン値を減算した値を、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値として決定する、付記5に記載の通信装置。
(付記7)
前記推定手段は、前記光通信路におけるパラメータであって、前記通信品質情報の値の分散が、前記パラメータの値に依存しない第2パラメータが変更された場合、前記第2パラメータが変更された後の前記平均値を示す第1平均値と、前記第2パラメータが変更される前の前記平均値を示す第2平均値との差分を算出し、
前記決定手段は、前記第2パラメータが変更される前の前記基準品質値を示す第1基準品質値と、前記差分とに基づいて、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値を決定する、付記1~6のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記8)
前記決定手段は、
前記第1平均値が前記第2平均値よりも大きい場合、前記第1基準品質値に、前記差分を加算した値を、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値として決定し、
前記第1平均値が前記第2平均値よりも小さい場合、前記第1基準品質値から、前記差分を減算した値を、前記第2パラメータが変更された後の前記基準品質値として決定する、付記7に記載の通信装置。
(付記9)
前記第2パラメータは、前記光通信路における、光送信出力、及び通信チャネル数のうち、少なくとも1つを含む、付記5~8のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記10)
前記パラメータが変更された後の前記基準品質値が所要品質値を満たすように、前記パラメータを変更する制御手段をさらに備える、付記3~9のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記11)
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、通信制御方法。
(付記12)
光通信路における通信品質情報について計測された所定数以上の計測値を取得し、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記13)
第1通信装置と、前記第1通信装置と光通信路を介して接続する第2通信装置とを含み、
前記第1通信装置は、
前記光通信路における通信品質情報を所定回数以上計測することにより、所定数以上の計測値を取得し、
前記第2通信装置は、
前記取得された計測値の平均値を算出し、前記取得された計測値に基づく、前記通信品質情報の第1累積分布関数を生成し、前記平均値と、前記第1累積分布関数とに基づいて、前記取得された計測値の数よりも多くの計測値が取得された場合の当該計測値に基づく、前記通信品質情報の第2累積分布関数を推定し、
前記第2累積分布関数において、累積確率が所定値となる前記通信品質情報の値を基準品質値として決定する、光通信システム。
(付記14)
前記第2通信装置は、
前記第1累積分布関数において、累積確率の変化が急峻な領域における傾きを算出し、累積確率の変化が急峻な領域における前記第2累積分布関数を、前記平均値及び前記傾きに基づく直線に近似し、
前記直線を用いて、前記基準品質値を決定する、付記13に記載の光通信システム。
【符号の説明】
【0174】
1 通信装置
2、22、52 取得部
3 推定部
4 決定部
10、40 端末装置
20、30、60、70 光伝送装置
21、31、51、61、71 通信部
23、53 累積分布推定部
24、54 通信品質決定部
25、55 制御部
26、56 記憶部
32 計測部
50 ネットワーク監視装置
100、200 光通信システム
P1、P3 通信路
P2 光通信路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11