(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】複合電子部品
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20250218BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20250218BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20250218BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250218BHJP
【FI】
H01L25/00 Z
H01L25/08 Y
(21)【出願番号】P 2023545488
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2022031824
(87)【国際公開番号】W WO2023032774
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021140762
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】大和 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】舟木 達弥
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 祥明
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-064169(JP,A)
【文献】特開2018-107370(JP,A)
【文献】特開2010-027899(JP,A)
【文献】特開2004-304159(JP,A)
【文献】特開2012-151154(JP,A)
【文献】特開2007-067370(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130746(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051956(US,A1)
【文献】特開2002-118198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を含む回路層が複数積層された複合電子部品であって、
第1の回路層と、
第2の回路層と、
前記第1の回路層と前記第2の回路層との間に配置され、主成分がセラミックである本体を貫通して一方側の主面と他方側の主面にそれぞれ露出したビア電極を複数有するセラミック電子部品と、
前記第1の回路層と前記第2の回路層との間において、少なくとも前記セラミック電子部品を覆って設けられている封止樹脂と、
を備え、
前記複数の電子部品において、前記第1の回路層に含まれている電子部品と、前記第2の回路層に含まれている電子部品とは、互いの電極が向かい合うように対向配置され、
前記第1の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品と、前記第2の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品との間は、前記セラミック電子部品の前記ビア電極によって電気的に接続されて
おり、
前記第1の回路層と前記セラミック電子部品との間、及び、前記第2の回路層と前記セラミック電子部品との間には、配線が設けられ、
前記第1の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品の電極と前記ビア電極との間、及び、前記第2の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品の電極と前記ビア電極との間は、前記配線によって電気的に接続されている、複合電子部品。
【請求項2】
前記セラミック電子部品は、誘電体層と内部電極とが交互に複数積層された積層セラミックコンデンサであって、
前記ビア電極は、複数の前記内部電極のうちの一部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の複合電子部品。
【請求項3】
前記セラミック電子部品は、前記ビア電極を3個以上有することを特徴とする請求項
1に記載の複合電子部品。
【請求項4】
前記セラミック電子部品は、前記ビア電極を9個以上有することを特徴とする請求項
1に記載の複合電子部品。
【請求項5】
前記セラミック電子部品は、マトリクス状に配置された複数の前記ビア電極を有することを特徴とする請求項
1に記載の複合電子部品。
【請求項6】
前記セラミック電子部品の厚みは、30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の複合電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回路層が積層された複合電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品や配線などを含む回路層が複数積層された複合電子部品が知られている。
【0003】
そのような複合電子部品の1つとして、特許文献1には、
図7に示すように、第1の半導体パッケージ(第1の回路層)201、第2の半導体パッケージ(第2の回路層)202、および、第3の半導体パッケージ(第3の回路層)203の3つの半導体パッケージが積層されたパッケージオンパッケージ装置200が開示されている。それぞれの半導体パッケージ201、202、203は、パッケージ基板210に半導体チップ220が実装されており、半導体チップ220の周囲を樹脂230によって覆った構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のパッケージオンパッケージ装置200では、第1の半導体パッケージ201と第2の半導体パッケージ202との間、および、第2の半導体パッケージ202と第3の半導体パッケージ203との間の電気的な接続をそれぞれ、はんだバンプ240によって行っているので、接続抵抗が低いとは言えず、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、積層される複数の回路層間の接続抵抗を低減することができる複合電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の複合電子部品は、電子部品を含む回路層が複数積層された複合電子部品であって、
第1の回路層と、
第2の回路層と、
前記第1の回路層と前記第2の回路層との間に配置され、主成分がセラミックである本体を貫通して一方側の主面と他方側の主面にそれぞれ露出したビア電極を複数有するセラミック電子部品と、
前記第1の回路層と前記第2の回路層との間において、少なくとも前記セラミック電子部品を覆って設けられている封止樹脂と、
を備え、
前記第1の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品と、前記第2の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品との間は、前記セラミック電子部品の前記ビア電極によって電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複合電子部品によれば、第1の回路層と第2の回路層との間に、本体を貫通して一方側の主面と他方側の主面にそれぞれ露出したビア電極を複数有するセラミック電子部品が配置されており、第1の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品と、第2の回路層に含まれる少なくとも1つの電子部品との間は、セラミック電子部品のビア電極によって電気的に接続されている。すなわち、はんだバンプを用いずに、セラミック電子部品のビア電極によって電気的な接続を行うので、接続抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態における複合電子部品の模式的な構成を示す断面図である。
【
図2】セラミック電子部品の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図2に示すセラミック電子部品のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】(a)~(e)は、一実施形態における複合電子部品の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図5】(a)~(d)は、
図4(e)に続いて、一実施形態における複合電子部品の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図6】複合電子部品を150℃から25℃まで冷却したときの変形度合いをシミュレーションにより調べた結果を示す図であり、(a)は、一実施形態における複合電子部品の斜視図を、(b)は、2つの回路層の間にセラミック電子部品が配置されていない比較用の複合電子部品の斜視図を、(c)は、一実施形態における複合電子部品の断面図を、(d)は、比較用の複合電子部品の断面図をそれぞれ示す。
【
図7】特許文献1に記載のパッケージオンパッケージ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。本発明の複合電子部品は、電子部品を含む回路層が複数積層された構造を有する。
【0011】
図1は、一実施形態における複合電子部品100の模式的な構成を示す断面図である。一実施形態における複合電子部品100は、第1の回路層10と、第2の回路層20と、第1の回路層10と第2の回路層20との間に配置されたセラミック電子部品30と、第1の回路層10と第2の回路層20との間において、少なくともセラミック電子部品30を覆って設けられている封止樹脂40とを備えている。すなわち、本実施形態における複合電子部品100は、第1の回路層10、セラミック電子部品30、および、第2の回路層20が順に積層された三層構造を有する。
【0012】
第1の回路層10および第2の回路層20にはそれぞれ、配線および電子部品が含まれている。具体的には、第1の回路層10には、第1の配線11と、第1の電子部品12とが含まれている。また、第2の回路層20には、第2の配線21と、第2の電子部品22とが含まれている。
図1では、2つの第1の電子部品12を示しているが、第1の回路層10に含まれる第1の電子部品12の数に特に制約はない。同様に、
図1では、1つの第2の電子部品22を示しているが、第2の回路層20に含まれる第2の電子部品22の数に特に制約はない。
【0013】
本実施形態では、第1の回路層10に第1の絶縁樹脂13が含まれている。第1の絶縁樹脂13は、第1の電子部品12とセラミック電子部品30との間に位置する。第1の絶縁樹脂13は、絶縁性を有する樹脂であって、例えば、ポリイミド樹脂である。第1の絶縁樹脂13の厚みは、例えば、5μmである。
【0014】
本実施形態において、第2の回路層20には、第2の絶縁樹脂23が含まれている。第2の絶縁樹脂23は、第2の電子部品22とセラミック電子部品30との間に位置する。第2の絶縁樹脂23は、絶縁性を有する樹脂であって、例えば、ポリイミド樹脂である。第2の絶縁樹脂23の厚みは、例えば、5μmである。
【0015】
第1の配線11は、第1の電子部品12とセラミック電子部品30とを電気的に接続するための配線であって、第1の絶縁樹脂13の内部に設けられている。ただし、一部の第1の配線11が第1の絶縁樹脂13の表面に設けられていてもよい。第1の配線11の材質は、導電性を有するものであれば任意のものでよく、例えば、Cuである。
【0016】
第2の配線21は、第2の電子部品22とセラミック電子部品30とを電気的に接続するための配線であって、第2の絶縁樹脂23の内部に設けられている。ただし、一部の第2の配線21が第2の絶縁樹脂23の表面に設けられていてもよい。第2の配線21の材質は、導電性を有するものであれば任意のものでよく、例えば、Cuである。
【0017】
なお、第1の回路層10に複数の第1の電子部品12が含まれている場合、第1の回路層10に、第1の電子部品12同士を電気的に接続する配線が含まれていてもよい。同様に、第2の回路層20に複数の第2の電子部品22が含まれている場合、第2の回路層20に、第2の電子部品22同士を電気的に接続する配線が含まれていてもよい。
【0018】
第1の電子部品12および第2の電子部品22の種類に特に制約はない。第1の電子部品12および第2の電子部品22は、例えば、CPUなどのロジックICや、ROMやRAMなどのメモリICなどの半導体デバイスである。
【0019】
第1の電子部品12は、第1の絶縁樹脂13と接して配置されており、複数の第1の電極12aを有する。第1の配線11は、第1の電子部品12の第1の電極12aと、後述するセラミック電子部品30のビア電極32とを電気的に接続する。
【0020】
第2の電子部品22は、第2の絶縁樹脂23と接して配置されており、複数の第2の電極22aを有する。第2の配線21は、第2の電子部品22の第2の電極22aと、後述するセラミック電子部品30のビア電極32とを電気的に接続する。
【0021】
なお、第1の電子部品12の中には、例えば、第1の電極12aが第1の絶縁樹脂13を貫通して、セラミック電子部品30のビア電極32と直接当接するものが含まれていてもよい。同様に、第2の電子部品22の中には、第2の電極22aが第2の絶縁樹脂23を貫通して、セラミック電子部品30のビア電極32と直接当接するものが含まれていてもよい。
【0022】
セラミック電子部品30は、主成分がセラミックである本体31を貫通して一方側の主面である第1の主面31aと、他方側の主面である第2の主面31bにそれぞれ露出したビア電極32を複数有する(
図3)。より詳細には、セラミック電子部品30は、ビア電極32を3個以上有しており、本実施形態では、ビア電極32を9個以上有している。
図1では、1つのセラミック電子部品30を示しているが、2つ以上のセラミック電子部品30を設けるようにしてもよい。本実施形態において、セラミック電子部品30は、積層セラミックコンデンサである。
【0023】
図2は、セラミック電子部品30の構成を模式的に示す平面図である。また、
図3は、
図2に示すセラミック電子部品30のIII-III線に沿った断面図である。
【0024】
セラミック電子部品30の本体31は、複数の誘電体層33と、複数の第1の内部電極34と、複数の第2の内部電極35とが積層された構造を有する。より詳細には、セラミック電子部品30の本体31は、誘電体層33を介して第1の内部電極34と第2の内部電極35とが交互に複数積層された構造を有する。
【0025】
誘電体層33は、主成分がセラミックである任意の材料からなり、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、SrZrO3、または、CaZrO3などを主成分とするセラミック材料からなる。これらの主成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分が添加されていてもよい。
【0026】
セラミック電子部品30の形状は任意であり、例えば、全体として直方体の形状である。全体として直方体の形状とは、例えば、直方体の角部や稜線部が丸みを帯びている形状や、直方体の表面に凹凸が存在する形状のように、完全な直方体の形状ではないが、6つの外表面を有し、全体として直方体ととらえることができる形状のことである。
【0027】
セラミック電子部品30の寸法も任意であるが、例えば、長さ方向の寸法を0.3mm以上3.0mm以下、幅方向の寸法を0.3mm以上3.0mm以下、厚みを30μm以上100μm以下とすることができる。
【0028】
第1の内部電極34および第2の内部電極35の材質は任意であり、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Pt、Fe、Ti、Cr、SnまたはAuなどの金属、またはそれらの金属を含む合金などを含有している。第1の内部電極34および第2の内部電極35は、共材として、誘電体層33に含まれる誘電体セラミックと同じセラミック材料を含んでいてもよい。その場合、第1の内部電極34および第2の内部電極35に含まれる共材の割合は、例えば、20vol%以下である。
【0029】
第1の内部電極34および第2の内部電極35の厚さは任意であるが、例えば、0.3μm以上1.0μm以下程度とすることができる。第1の内部電極34および第2の内部電極35の層数は任意であるが、両方を併せて、例えば、10層以上150層以下程度とすることができる。後述するように、第1の内部電極34および第2の内部電極35はそれぞれ、複数のビア電極32のうちの少なくとも1つと電気的に接続されているが、複数のビア電極32のいずれにも電気的に接続されていない内部電極が本体31に含まれていてもよい。
【0030】
第1の内部電極34には、後述する第2のビア電極32bを挿通させるために、複数の第1の貫通孔34aが形成されている。第2の内部電極35には、後述する第1のビア電極32aを挿通させるために、複数の第2の貫通孔35aが形成されている。
【0031】
ビア電極32には、第1のビア電極32aと第2のビア電極32bが含まれる。ビア電極32は、複数の内部電極34,35のうちの一部と電気的に接続されている。具体的には、第1のビア電極32aは、複数の第1の内部電極34と電気的に接続されており、第2のビア電極32bは、複数の第2の内部電極35と電気的に接続されている。
【0032】
本実施形態では、複数の第1のビア電極32aおよび複数の第2のビア電極32bがマトリクス状に設けられている。より詳細には、
図2に示すように、第1のビア電極32aと第2のビア電極32bを合わせて25個のビア電極32が5行5列の配列で規則正しく配置されている。
図2に示すように、第1のビア電極32aと第2のビア電極32bは、行方向および列方向にそれぞれ交互に配置されている。
【0033】
図3に示すように、第1のビア電極32aは、セラミック電子部品30の本体31の内部に位置する第1のビア導体321aと、セラミック電子部品30の本体31の表面に位置する第1の外部電極322aとを有する。1つの第1のビア導体321aに対して、第1の外部電極322aは、本体31の第1の主面31aおよび第2の主面31bにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0034】
図3に示すように、第2のビア電極32bは、セラミック電子部品30の本体31の内部に位置する第2のビア導体321bと、セラミック電子部品30の本体31の表面に位置する第2の外部電極322bとを有する。1つの第2のビア導体321bに対して、第2の外部電極322bは、本体31の第1の主面31aおよび第2の主面31bにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0035】
第1のビア導体321aは、誘電体層33、第1の内部電極34および第2の内部電極35の積層方向Tに延伸する態様で本体31の内部に設けられている。第1のビア導体321aは、第2の内部電極35に形成されている第2の貫通孔35aを挿通しており、これにより、第1のビア電極32aは、第2の内部電極35とは絶縁されている。
【0036】
第2のビア導体321bは、積層方向Tに延伸する態様で本体31の内部に設けられている。第2のビア導体321bは、第1の内部電極34に形成されている第1の貫通孔34aを挿通しており、これにより、第2のビア電極32bは、第1の内部電極34とは絶縁されている。
【0037】
第1のビア導体321aおよび第2のビア導体321bの材質は任意であり、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Pt、Fe、Ti、Cr、SnまたはAuなどの金属、またはそれらの金属を含む合金などを含有している。
【0038】
第1のビア導体321aおよび第2のビア導体321bの形状は任意であるが、例えば、円柱状である。その場合の第1のビア導体321aおよび第2のビア導体321bの直径は、例えば、30μm以上150μm以下程度とすることができる。また、隣り合う第1のビア導体321aおよび第2のビア導体321bとの間の距離、より詳しくは、第1のビア導体321aの中心と第2のビア導体321bの中心との間の距離は、例えば、50μm以上500μm以下程度である。
【0039】
第1の外部電極322aは、本体31の第1の主面31aおよび第2の主面31bのそれぞれにおいて、積層方向Tに見たときに複数の第1のビア導体321aとそれぞれ重なる位置に設けられ、第1のビア導体321aと直接接続されている。また、第2の外部電極322bは、本体31の第1の主面31aおよび第2の主面31bのそれぞれにおいて、積層方向Tに見たときに複数の第2のビア導体321bとそれぞれ重なる位置に設けられ、第2のビア導体321bと直接接続されている。第1の外部電極322aと第2の外部電極322bとは、互いに離間して配置されている。
【0040】
第1の外部電極322aおよび第2の外部電極322bの材質は任意であり、例えば、Cuである。ただし、Cuに代えて、Ni、Ag、Pd、Pt、Fe、Ti、Cr、SnまたはAuなどの金属、またはそれらの金属を含む合金などを用いてもよい。また、第1の外部電極322aおよび第2の外部電極322bは、表面にめっき処理が施されていてもよい。めっきは、Cu、Ni、Ag、Pd、Pt、Fe、Ti、Cr、SnまたはAuなどの金属、またはそれらの金属を含む合金などを用いて行うことができる。めっきは、単層としてもよいし、複数層としてもよい。
【0041】
第1の回路層10に含まれる少なくとも1つの第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる少なくとも1つの第2の電子部品22との間は、セラミック電子部品30のビア電極32によって電気的に接続されている。すなわち、本実施形態におけるセラミック電子部品30は、複合電子部品100を構成する積層セラミックコンデンサとして機能するとともに、第1の回路層10に含まれる少なくとも1つの第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる少なくとも1つの第2の電子部品22との間を電気的に接続する接続部材としても機能する。本実施形態では、第1の回路層10に含まれる全ての第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる全ての第2の電子部品22との間が、セラミック電子部品30のビア電極32によって電気的に接続されている。
【0042】
上述したように、封止樹脂40は、少なくともセラミック電子部品30を覆って配置されている。本実施形態において、封止樹脂40は、第1の回路層10と第2の回路層20との間の空間領域のうち、セラミック電子部品30以外の空間領域に設けられている。さらに、本実施形態において、封止樹脂40は、第1の回路層10に含まれる第1の電子部品12および第2の回路層20に含まれる第2の電子部品22を覆う態様で設けられている。
【0043】
ただし、第1の回路層10に含まれる第1の電子部品12、および、第2の回路層20に含まれる第2の電子部品22の中には、封止樹脂40によって完全に覆われておらず、表面の一部が露出しているものが含まれていてもよい。
【0044】
封止樹脂40の種類に特に制約はなく、例えば、シリカフィラーを含むエポキシ樹脂を用いることができる。
【0045】
上述したように、本実施形態における複合電子部品100では、第1の回路層10に含まれる少なくとも1つの第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる少なくとも1つの第2の電子部品22との間は、セラミック電子部品30のビア電極32によって電気的に接続されている。すなわち、第1の回路層10と第2の回路層20との間の電気的な接続を行うために、はんだバンプは用いられていない。また、本実施形態における複合電子部品100では、第1の回路層10および第2の回路層20の内部においても、はんだは用いられていない。
【0046】
本実施形態における複合電子部品100の製造方法の一例を、
図4および
図5を参照しながら説明する。
【0047】
最初に、シリコンガラスなどのキャリアウェハ50の上に、第1の電子部品12を設ける(
図4(a))。第1の電子部品12は、例えば、構成材料を複数の層状に積層することによって形成することが可能である。
【0048】
続いて、第1の電子部品12を覆うように、封止樹脂40を設ける(
図4(b))。例えば、所定の型の内部に、第1の電子部品12を設けたキャリアウェハ50を配置し、型の内部に封止樹脂40を流し込んで硬化させる。
【0049】
続いて、第1の電子部品12の表面が露出するように、封止樹脂40の表面を削る(
図4(c))。
【0050】
続いて、第1の電子部品12の第1の電極12aと接続する第1の配線11を設けるとともに、露出した第1の電子部品12を覆うように、第1の絶縁樹脂13を設ける(
図4(d))。ここでは、
図4(d)に示すように、キャリアウェハ50とは反対側の表面全体を覆うように第1の絶縁樹脂13を設ける。第1の配線11のうち、鉛直方向に延伸する部分は、第1の絶縁樹脂13にビアを設け、第1の配線11を構成する材料を充填することによって形成することができる。これにより、第1の回路層10が形成される。
【0051】
続いて、第1の絶縁樹脂13の上に、セラミック電子部品30を設ける(
図4(e))。ここでは、第1の絶縁樹脂13の表面に露出している第1の配線11と、セラミック電子部品30のビア電極32とが当接するように、セラミック電子部品30を配置する。
【0052】
続いて、セラミック電子部品30を覆うように封止樹脂40を設ける(
図5(a))。
【0053】
続いて、セラミック電子部品30の表面が露出するように、封止樹脂40の表面を削った後、セラミック電子部品30のビア電極32と接続する第2の配線21を設けるとともに、第2の絶縁樹脂23を設ける(
図5(b))。
【0054】
続いて、第2の絶縁樹脂23の上に、第2の電子部品22を設けた後、第2の電子部品22を覆うように、封止樹脂40を設ける(
図5(c))。ここでは、第2の絶縁樹脂23の表面に露出している第2の配線21と、第2の電子部品22の第2の電極22aとが当接するように、第2の電子部品22を設ける。
【0055】
続いて、キャリアウェハ50を取り除き、キャリアウェハ50が配置されていた位置に封止樹脂40を設ける(
図5(d))。
【0056】
上述した方法により、複合電子部品100を製造することができる。ただし、複合電子部品100の製造方法が上述した製造方法に限定されることはない。
【0057】
一実施形態における複合電子部品100によれば、第1の回路層10と第2の回路層20との間に、主成分がセラミックである本体31を貫通して一方側の主面と他方側の主面にそれぞれ露出したビア電極32を複数有するセラミック電子部品30が配置されており、第1の回路層10に含まれる少なくとも1つの第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる少なくとも1つの第2の電子部品22との間は、セラミック電子部品30のビア電極32によって電気的に接続されている。そのような構成により、第1の回路層10と第2の回路層20との間を、はんだバンプにより接続する構成と比べて、接続抵抗を低減することができ、接続信頼性が向上する。
【0058】
ここで、複数の回路層間をはんだバンプによって接続する場合、複数のはんだバンプを設ける領域が必要となり、全体のサイズが大きくなる。これに対して、本実施形態における複合電子部品100では、積層セラミックコンデンサのように、複合電子部品100を構成するために必要なセラミック電子部品30を用いて電気的な接続を行うので、はんだバンプを設ける必要がない。これにより、複合電子部品100を小型化することができる。
【0059】
また、本実施形態における複合電子部品100では、第1の回路層10と第2の回路層20の間に配置されているセラミック電子部品30は、3個以上、好ましくは、9個以上のビア電極32を有している。これにより、第1の回路層10に含まれる第1の電子部品12と、第2の回路層20に含まれる第2の電子部品22とを電気的に接続する際の接続抵抗をさらに低減することができる。
【0060】
また、本実施形態における複合電子部品100において、セラミック電子部品30は、マトリクス状に配置された複数のビア電極32を有するので、ビア電極32と接続する第1の配線11および第2の配線21の配置設計が容易となる。
【0061】
また、本実施形態における複合電子部品100では、第1の回路層10と第2の回路層20との間にセラミック電子部品30が配置されているので、セラミック電子部品30が配置されていない構成と比べて、複合電子部品100の反り等の変形を抑制することができる。このことを、以下で説明する。
【0062】
一実施形態における複合電子部品100と、比較用の複合電子部品とを用意し、温度変化に起因する変形度合いを調べた。用意した複合電子部品100は、第1の回路層10と第2の回路層20との間に5つのセラミック電子部品30が設けられている。一方、比較用の複合電子部品では、2つの回路層の間にセラミック電子部品は設けられておらず、封止樹脂が設けられている。
【0063】
具体的には、150℃のときに無応力であるものとし、25℃まで冷却したときの複合電子部品の変形度合いをシミュレーションにより調べた。シミュレーション結果を
図6に示す。
図6(a)および(c)は、一実施形態における複合電子部品100のシミュレーション結果を、
図6(b)および(d)は、比較用の複合電子部品のシミュレーション結果を示す。
図6(a)および(b)は、複合電子部品の斜視図であり、
図6(c)および(d)は、複合電子部品の断面図である。
【0064】
図6に示すように、第1の回路層10と第2の回路層20との間にセラミック電子部品30が配置されている複合電子部品100では、2つの回路層の間にセラミック電子部品が配置されていない比較用の複合電子部品と比べて、変形が小さい。すなわち、封止樹脂40と比べて線膨張係数の小さいセラミックを主成分とする本体31を有するセラミック電子部品30を備えていることにより、一実施形態における複合電子部品100は、温度が変化したときの変形度合いが小さくなる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態では、セラミック電子部品30が積層セラミックコンデンサであるものとして説明したが、セラミック電子部品30が積層セラミックコンデンサに限定されることはなく、主成分がセラミックである本体を貫通して一方側の主面と他方側の主面にそれぞれ露出したビア電極を複数有する構成のものであればよい。
【0066】
一実施形態における複合電子部品100は、第1の回路層10、セラミック電子部品30、および、第2の回路層20が順に積層された三層構造を有しているが、四層以上積層された構造を有していてもよい。その場合も、積層方向に隣り合う回路層の間に、複数のビア電極32を有するセラミック電子部品30を配置し、回路層に含まれる電子部品同士をビア電極32によって電気的に接続すればよい。
【符号の説明】
【0067】
10 第1の回路層
11 第1の配線
12 第1の電子部品
13 第1の絶縁樹脂
20 第2の回路層
21 第2の配線
22 第2の電子部品
23 第2の絶縁樹脂
30 セラミック電子部品
31 セラミック電子部品の本体
32 ビア電極
32a 第1のビア電極
32b 第2のビア電極
33 誘電体層
34 第1の内部電極
35 第2の内部電極
40 封止樹脂
50 キャリアウェハ
100 複合電子部品
321a 第1のビア導体
321b 第2のビア導体
322a 第1の外部電極
322b 第2の外部電極