(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
H01F17/04 F
(21)【出願番号】P 2024553422
(86)(22)【出願日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2024017746
【審査請求日】2024-09-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100149696
【氏名又は名称】田中 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100233261
【氏名又は名称】常藤 加菜
(72)【発明者】
【氏名】田中 慶
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-173203(JP,A)
【文献】特開2016-4874(JP,A)
【文献】特開平7-106148(JP,A)
【文献】特開2007-96181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で環状に形成されたコアと、
前記コアの一部の周囲に当該一部の延在方向を巻軸方向として巻回された一または二以上の複数のコイルと、
前記コイルと電気的に接続する接続端子と、
前記コアおよび前記コイルの上方に配置されるカバーと、を有
するコイル部品であって、
前記カバーは、
前記コアおよび前記コイルの上方を覆う天面部と、
前記天面部から前記コアの側面に沿って下方に向けて延び、前記コアに向けて突出する爪部を有する脚部と、を含み、
前記カバーは、前記爪部が前記コアの係合部に係合して前記コアに取付けられており、
前記コアは、当該コアの上面の外縁部に下方に窪んで形成され
て側面によって画成された凹部を備えており、
前記カバーの一部である挿入部が
、前記凹部の前記側面によって前記巻軸方向または前記コイル部品の幅方向における当該挿入部の位置ずれを規制可能に当該凹部に収容されている、コイル部品。
【請求項2】
前記挿入部の下面は、前記凹部の底面と接触しており、
前記爪部における前記係合部と対向する係合面と、前記コアの前記係合部と、は、上下方向において離間している、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記挿入部は、前記天面部から下方に向けて突出する挿入突部であり、
前記コイル部品の幅方向における前記挿入突部の寸法は、前記幅方向における前記脚部の寸法よりも大きい、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記挿入突部は前記巻軸方向における前記カバーの端部に形成されており、
前記カバーは、前記巻軸方向における前記カバーの中央側において前記天面部から下方に延びて前記環状の前記コアに挿入される仕切部を含み、
前記仕切部と前記挿入突部とは、前記巻軸方向において離間しており、
前記コアの一部は、前記巻軸方向において前記仕切部と前記挿入突部との間に挿入されている、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記凹部は、
前記巻軸方向における外側および上方に開口しており、
前記巻軸方向における内側に起立する
前記側面である第一側面、および前記コイル部品の幅方向における両外側に起立する
前記側面である第二側面によって画成されており、
前記挿入突部は、前記第一側面および前記第二側面によって前記巻軸方向および前記コイル部品の前記幅方向の位置ずれを規制可能に前記凹部に収容されており、
前記挿入突部と、前記第一側面および前記第二側面のそれぞれは互いに離間しており、
前記挿入突部と前記第一側面との離間距離は、前記挿入突部と前記第二側面との離間距離よりも大きい、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記接続端子は、前記コアの前記巻軸方向の一端部に取付けられており、
前記接続端子は、
前記コアの上面に沿って前記コイルの一端部と接続する接続部と、
前記接続部から続いて前記コアの側面に沿う起立部と、
前記起立部から続いて前記コアの下面に沿う実装部と、を含み、
前記起立部には、前記コアに向けて突出する突出部である端子突部が設けられており、
前記端子突部は、前記コアにおいて前記起立部に対向する側面に形成されて上下方向に延在する凹溝に挿入されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
上下方向における前記端子突部の寸法は、前記コイル部品の幅方向における前記端子突部の寸法よりも大きい、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記巻軸方向における前記天面部の端部には、前記巻軸方向における内向きに窪む切欠きが形成されており、
前記コイル部品を平面視したとき、前記切欠きから前記接続部が露出している、請求項6または7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記挿入部は、前記脚部の基端部から前記コイル部品の幅方向における内向きに突出する挿入突部であり、
前記凹部は前記コイル部品の幅方向の外向きおよび上方に向けて開口しており、
前記挿入突部が前記凹部に収容されている、請求項1に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品には、環状に形成されたコアを含むコイル部品であって、当該コアの上方がカバーに覆われているコイル部品がある。この種の技術に関し、下記特許文献1には、カバー(60)を有するコモンドチョークコイル(1)が開示されている。当該コモンドチョークコイル(1)では、コア(10)の上方をカバー(60)における平板状の蓋部(61)が覆っている。カバー(60)の裏面には凸部分(76)が形成されている。当該凸部分(76)はコア(10)の上面(第1の側面(16))に当接する。また、カバー(60)は、先端に係止爪(68)が設けられた脚部(66,67)を有する。当該係止爪(68)は、コア(10)における係止受け部(27)にかかる。
また、特許文献1の
図9および
図10に図示されるように、二つの凸部分(76)の間には仕切り部(78)が形成されている。コア(10)の鍔部(15)には、巻軸方向の内側に溝部(24)が形成されている。仕切り部(78)は溝部(24)に差し込まれる。これにより、コア(10)へのカバー(60)の取付けが行われるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコア(10)は環状に形成されており、このような環状のコアの中央側(内縁側)に溝部等の切欠きを設けた場合、当該切欠きが磁束に影響を与え、所望のインダクタンスが得られないという問題が生じる。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、コアに対するカバーの位置決めが容易でありつつも、所望のインダクタンスを得ることが可能であるコイル部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコイル部品は、平面視で環状に形成されたコアと、前記コアの一部の周囲に当該一部の延在方向を巻軸方向として巻回された一または二以上の複数のコイルと、前記コイルと電気的に接続する接続端子と、前記コアおよび前記コイルの上方に配置されるカバーと、を有するコイル部品であって、前記カバーは、前記コアおよび前記コイルの上方を覆う天面部と、前記天面部から前記コアの側面に沿って下方に向けて延び、前記コアに向けて突出する爪部を有する脚部と、を含み、前記カバーは、前記爪部が前記コアの係合部に係合して前記コアに取付けられており、前記コアは、当該コアの上面の外縁部に下方に窪んで形成されて側面によって画成された凹部を備えており、前記カバーの一部である挿入部が、前記凹部の前記側面によって前記巻軸方向または前記コイル部品の幅方向における当該挿入部の位置ずれを規制可能に当該凹部に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
環状のコアにおいてはコアの内縁側に磁束が集中して発生している。本発明のコイル部品では、環状のコアの上面の外縁部にカバーの挿入部が収容される凹部が形成されている。これにより、環状のコアの内縁側の一部に凹部または溝部等が形成される場合に比べて、当該凹部がコアに発生した磁束に与える影響が小さい。
一方、コアの一部である挿入部が、コアに形成された凹部に収容されることによって、カバーをコアにとりつける際にコアに対してカバーの位置決めをすることができる。
これにより、コアに対するカバーの位置決めが容易でありつつも、所望のインダクタンスを得ることが可能であるコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかるコイル部品の一例を示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態にかかるコイル部品の分解斜視図である。
【
図3】第一実施形態にかかるコイル部品の上面図である。
【
図4】第一実施形態にかかるコイル部品の正面図である。
【
図5】第一実施形態にかかるコイル部品の底面図である。
【
図6】第一実施形態にかかるコイル部品の右面図である。
【
図7】
図7は
図3中のコイル部品の前方側の一部にかかる一点鎖線VIIに沿う断面を矢線VII-VIIの方向に見た断面図である。
【
図8】
図8は
図7中のコイル部品の前方側の一部にかかる一点鎖線VIIIに沿う断面を矢線VIII-VIIIの方向に見た断面図である。
【
図9】
図9(a)は、
図3中の一点鎖線IXaに沿う断面を矢線IXa-IXaの方向に見た断面図である。具体的には、前後方向において端子突部の突出端と凹溝の底面との間に位置する断面である。
図9(b)は
図4中の一点鎖線IXbに沿う断面を矢線IXb-IXbの方向に見た断面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態にかかるコイル部品の一例を示す正面図である。
【
図11】第二実施形態にかかるコイル部品の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコイル部品の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図面において、対応する構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものであり、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。特に、本実施形態における上下方向は、コイル部品を実装する実装基板の表面に対して直交する方向であり、当該方向における実装基板に近接する向きが下向き、当該下向きの反対の向きが上向きである。上下方向は鉛直方向に限られない。本実施形態において、前後方向は後述する巻軸方向に一致する。左右方向はコイル部品の幅方向に一致する。上下方向はコイル部品の厚さ方向またはコイル部品の高さ方向に一致する。
また、本発明でいう平面とは、平面を目標として物理的に形成した形状を意味しており、当然ながら幾何学的に完全な平面であることは要しない。
【0012】
<第一実施形態>
(コイル部品)
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるコイル部品1の一例を示す斜視図である。
【0013】
はじめに、本実施形態のコイル部品1の概要について説明する。
コイル部品1は、コア10と、一または二以上の複数のコイル20と、一または二以上の複数の接続端子30と、カバー40と、を有する。コア10は、平面視で環状に形成されている。コイル20は、コア10の一部の周囲に当該一部の延在方向を巻軸方向として巻回されている。接続端子30は、コイル20と電気的に接続している。カバー40は、コア10およびコイル20の上方に配置されている。
カバー40は、天面部42と脚部44とを含む。天面部42は、コア10およびコイル20の上方を覆っている。脚部44は、天面部42からコア10の側面に沿って下方に向けて延びている。また、脚部44は爪部46を有する。爪部46は、脚部44の一部からコア10に向けて突出している。カバー40は、爪部46がコア10の係合部12に係合してコア10に取付けられている。
コア10は、当該コア10の上面の外縁部に凹部14を備えている。凹部14は、コア10の当該上面が下方に窪んで形成されている。カバー40の一部である挿入部48は、当該凹部14に収容されている。
環状のコア10においてはコア10の内縁側に磁束が集中して発生している。上述した構成を有するコイル部品1では、環状のコア10の上面の外縁部にカバー40の挿入部48が収容される凹部14が形成されている。これにより、環状のコアの内縁側の一部に凹部または溝部等が形成される場合に比べて、当該凹部14がコア10に発生した磁束に与える影響が小さい。環状のコア10において外縁側の一部に比べて内縁側の一部に密な磁束が発生しているためである。
一方、コア10の一部である挿入部48が、コア10に形成された凹部14に収容されることによって、カバー40をコア10にとりつける際にコア10に対してカバー40の位置決めをすることができる。具体的には、コイル部品1の組み立て工程において、カバー40をコア10の上方から取付けるとき、まずカバー40の挿入部48がコア10の凹部14に挿入され、当該挿入がされると脚部44の爪部46とコア10の係合部12とが係合する。脚部44の爪部46とコア10の係合部12とが係合すると、カバー40とコア10との位置関係が固定される。このようにカバー40とコア10との位置関係が固定される前に、カバー40の挿入部48がコア10の凹部14に挿入されてコア10に対するカバー40の位置決めがなされる。これによって、カバー40をコア10に対する所望の位置に固定することができる。
また、挿入部48が凹部14に収容されることによって後述する巻軸方向またはコイル部品1の幅方向においてコア10に対してカバー40の位置決めをすることができる。巻軸方向にカバー40の位置決めができることにより、カバー40がコア10に対して巻軸方向にずれて巻軸方向におけるコイル部品1の寸法が不測に大きくなってしまうことが抑制される。また、コイル部品1の幅方向にカバー40の位置決めができることにより、脚部44の破損や変形が発生することが抑制される。
これにより、コア10に対するカバー40の位置決めが容易でありつつも、所望のインダクタンスを得ることが可能であるコイル部品1を提供することができる。
【0014】
次に、本実施形態のコイル部品1について詳細に説明する。
コイル部品1は、コイル20を含む部品であって、電子回路の一部を構成可能な部品である。コイル部品1としてコモンドチョークコイル等を含むインダクタ、トランスまたはアンテナが例示される。
コイル部品1は後述する接続端子を実装基板に接地させて当該実装基板に実装される。
【0015】
コイル部品1はコア10を有する。コア10は磁性材料を含んで形成された磁性体である。
図5に図示されるように、平面視したときのコア10の形状は環状である。ここで平面視とは、コイル部品1を上下方向のいずれか一方側から(特に上方から)見ることである。コア10の形状が環状であるとは、コア10を形成する磁性体が周回するように形成されていることをいう。ここで平面視におけるコア10の形状は、円形(輪っか形状)であってもよく、本実施形態のように矩形の環状であってもよい。コイル部品1において、コア10の環状の中心側(コイル部品1の内部側)には中空部18が形成されている。
なお、環状のコア10は、一の磁性体のみで一体的に形成されていてもよく、複数の磁性体が組み合わされて形成されていてもよい。例えば、後述する巻軸部10aおよび鍔部10bが分割されていてもよい。
【0016】
図2に図示されるように、本実施形態におけるコア10は、巻軸部10aおよび鍔部10bを含む。巻軸部10aは、コア10の一部であり、後述するコイル20が巻回されている一部である。鍔部10bは、コア10の一部であり、巻軸部10aに巻回されるコイル20の巻き緩みを抑制する一部である。
本実施形態では、平面視で矩形かつ環状のコア10において、当該矩形の一辺および当該一辺に対向する(平行する)一辺が巻軸部10aであり、二辺が鍔部10bである。すなわち、巻軸部10aは、矩形かつ環状のコア10のうち、前後方向に延在する一部である。鍔部10bは、矩形かつ環状のコア10のうち、左右方向に延在する一部である。
鍔部10bは、巻軸部10aの延在方向(巻軸方向)に交差する方向(直交する方向)の少なくとも一方向において巻軸部10aよりも突出している。これによって、コイル20の巻き緩みが鍔部10bによって抑制される。具体的に本実施形態では、
図5に図示されるように、鍔部10bは、一の巻軸部10aよりも左右方向のそれぞれに突出している。また、
図6に図示されるように、鍔部10bは巻軸部10aよりも下方に突出している。一方、
図2に図示されるように、本実施形態では巻軸部10aの上面および鍔部10bの上面は面一である。
【0017】
コイル部品1は一または複数のコイル20を有する。本実施形態においてコイル部品1は二つのコイル20を有する。コイル20は、導電性材料で形成された部材である。コイル20はコア10の巻軸部10aの周囲に巻回されている。具体的には、コイル20は所定の方向(本実施形態では前後方向)を巻軸方向として巻軸部10aに巻回されている。以下、コイル20の巻軸方向を単に巻軸方向と呼ぶ場合がある。
コア10に巻回されているコイル20とは、コイルワイヤ等の導電性材料がコア10を巻芯として当該巻芯に巻き付けられて製造されたコイルだけでなく、巻芯であるコア10の周囲に単に螺旋状に配置されているコイルも含まれる。すなわち、コイル20は、導電性材料を予め螺旋状に形成しておき、当該螺旋状の内部に後から巻芯たるコア10を挿入して形成されてもよい。
【0018】
本実施形態におけるコイル20は銅等の金属で形成されたコイルワイヤによって形成されている。
図2に図示されるように、コイル20は螺旋状に形成された巻回部20a、および巻回部20aから引き出されたコイルワイヤの端部である引出部20bを含む。コイル20は、引出部20bにおいて後述する接続端子30の接続部32に電気的に接続している。
【0019】
図2に図示されるように、接続端子30は、コイル20と電気的に接続する部材であり、コイル部品1が実装基板に実装された際には当該実装基板上の電子回路に電気的に接続する部材である。本実施形態において、コイル部品1は四つの接続端子30を有する。四つの接続端子30のそれぞれは、二つのコイル20を形成するそれぞれのコイルワイヤの両端部に接続している。
接続端子30は導電性材料で形成されている。本実施形態の接続端子30は、平板の導電性材料(金属板)が折曲げられて形成されている。具体的には、接続端子30は、複数の略板状部分(後述する接続部32、起立部34および実装部36)と、当該複数の略板状部分の間に位置して当該板状部分よりも小さな曲率半径を有する折曲げ部と、を含む。
【0020】
図1に図示されるように、接続端子30は、コア10の巻軸方向の一端部に取付けられている。具体的には、接続端子30はコア10の鍔部10bに取付けられている。本実施形態において、接続端子30はコア10に接着剤によって固定されて取付けられている。具体的には、接続端子30の後述する起立部34の内主面34b(
図2参照)とコア10の前面または背面との間に接着剤が配置されている。接着剤は接続端子30における他の部分とコア10との間に配置されていてもよい。また、接続端子30は、接着の他に係合、嵌合、溶接またはその他の方法によってコア10に取付けられていてよい。
【0021】
図2に図示されるように、接続端子30は、接続部32と起立部34と実装部36とを含む。
接続部32は、コア10の上面に沿ってコイル20の一端部(引出部20b)と接続している。具体的には、接続部32と引出部20bとは、
図4に図示されるように、半田50によって接合されている。より具体的には、接続部32はコア10の上面に沿う一部と当該一部に対して交差して延在する加締め部32aを含む。引出部20bは、加締め部32aおよび接続部32の一部によって加締められた上で、半田50によって接続部32に接合される。本実施形態では、引出部20bおよび加締め部32aは半田50の内部に埋設されているが、これに限られない。引出部20bの一部および加締め部32aの一部(特に先端部)が半田50の外部に露出していてもよい。
なお、
図1,2,6から11においては、半田50の図示を省略している。また、
図3および
図4においては半田50の外形を点線にて図示している。また、
図1から3,7,9(a)から11において引出部20bを加締める前の状態の加締め部32aが図示されている。当該状態において加締め部32aは上下方向に起立している。
起立部34は、接続部32から続いてコア10の側面(前面または背面)に沿っている。起立部34が接続部32から続いているとは、起立部34と接続部32とが一体形成されており、起立部34が折曲げ部を挟んで接続部32と隣接していることをいう。
実装部36は、起立部34から続いてコア10の下面に沿っている。実装部36が起立部34から続いているとは、実装部36と起立部34とが一体形成されており、実装部36が折曲げ部を挟んで起立部34と隣接していることをいう。実装部36は、接続端子30において実装基板と接続する一部である。具体的には、実装部36がコイル部品1における最下端に位置していることにより、コイル部品1を実装基板に載置すると接続端子30(実装部36)は実装基板上の電子回路と電気的に接続可能となる。
【0022】
カバー40は、コイル部品1においてコア10の少なくとも一部およびコイル20の少なくとも一部の上方に配置された部材である。カバー40によってコア10およびコイル20が保護される。また、カバー40が後述する平坦な天面部を有することで、マウンターによりコイル部品1を吸着して移動させることができる。
本実施形態においてカバー40は樹脂製である。
カバー40は天面部42を含む。天面部42は、コイル20およびコア10の上方を覆っている部材である。換言すると、天面部42の少なくとも一部は、コイル20の少なくとも一部およびコア10の少なくとも一部と、上下方向において重複している。
【0023】
カバー40は脚部44を含む。脚部44は天面部42から下方に延びている。本実施形態にでは、脚部44(垂下部47)は板状部材である。具体的には、板状の脚部44の厚み寸法すなわち左右方向における脚部44(後述する垂下部47)の寸法(後述する幅寸法L3でもある)は、前後方向および上下方向における脚部44(垂下部47)の寸法に比べて小さい。これにより、脚部44(特に垂下部47)は左右方向に撓むことが可能である。
本実施形態において、天面部42には後述する切欠きが形成されている。脚部44は、天面部42における切欠きが形成されている位置から下方に向けて延びている。このように脚部44の基端部に切欠き41が形成されていることで、脚部44の可撓性が担保される。本実施形態では、前後方向における天面部42の中央部から下方に向けて側面部45が延びて形成されている。前後方向における側面部45の端部に脚部44が形成されている。そのため、コア10にカバー40を取付ける過程において、側面部45が捩れるようにして脚部44が左右方向外側に広がる。
本実施形態において、脚部44は天面部42と一体的に形成されてコア10の側面に沿っている。本実施形態においてカバー40は、四本の脚部44を含む。当該四本の脚部は、コア10(鍔部10b)の左側面および右側面のそれぞれの前端部および後端部に沿っている。換言すれば、コア10の前端部および後端部(前側の鍔部10bおよび後側の鍔部10b)のそれぞれは、二つで一対の脚部44、44によって挟まれている。ここで、一対の脚部44は、コア10を左右方向に挟持していてもよい。すなわち、脚部44はコア10を左右方向における内向きに付勢していてもよい。これに代えて、脚部44はコア10と左右方向に離間していてもよく、または単に当接していてもよい。
また、脚部44は爪部46を有する。爪部46は、脚部44の一部からコア10に向けて突出している。具体的には、脚部44は天面部42から下方に延びる垂下部47を有する。爪部46は脚部44の一部であり、当該垂下部47からコア10に向けて突出する一部である。本実施形態において、爪部46は、コア10の左側面または右側面に向けて、左右方向における内向きに突出する。
本実施形態において、爪部46は垂下部47の先端部に形成されているが、爪部46は上下方向における垂下部47の中途部に形成されていてもよい。
【0024】
爪部46(爪部46を含む脚部44の先端部)はコア10の一部(係合部12)に係合している。具体的には、コア10の側面(左側面または右側面)は爪部46の突出方向(左右方向における内向き)に窪んでおり、コア10の側面には係合部12が形成されている。係合部12とは、爪部46が係合する一部である。本実施形態において、係合部12はコア10の側面において窪んで形成された切欠きであり、特に当該切欠きにおいて下方を向く面である。爪部46は係合部12と上下方向に重複して配置されており、爪部46は係合部12と係合している。
ただし、ここで爪部46がコア10の係合部12に係合しているとは、爪部46が常に係合部12に接触して係合部12に掛かっている状態に限られない。爪部46は、後述するように自然状態においてコア10の係合部12と離間していてもよい。そして、カバー40を把持等して上方に持ち上げてコイル部品1を持ち上げた際に、爪部46が係合部12に接触して係合部12に掛かっている状態となってもよい。
【0025】
図1に図示されるように、本実施形態において、巻軸方向における天面部42の端部(前端部または後端部)には、巻軸方向における内向き(後ろ向きまたは前向き)に窪む切欠き41が形成されている。
本実施形態における切欠き41は、天面部42において、左右方向において脚部44の基端部から天面部42の中央部にまで形成されている。また、本実施形態における切欠き41の深さ(前後方向における寸法)は、前後方向における脚部44の寸法よりも大きい。すなわち、切欠き41は、前後方向において脚部44よりも天面部42の中心側まで切り欠かれて形成されている。
【0026】
図1に図示されるように、コア10には凹部14が形成されている。凹部14は、後述する挿入部48が収容される空間(中空部)である。
凹部14は、コア10の上面の外縁部が下方に窪んで形成されている。コア10の上面の外縁部とは、環状のコア10の上面における外縁近傍の部分である。より具体的には、コア10の上面の外縁部とは、環状のコア10の当該上面における環状のコア10の外縁と内縁との中心よりも当該外縁側の一部である。
本実施形態における凹部14は、当該外縁部のうち、コア10の角部(コア10の上面と側面とが交差する角部)に形成されている。具体的には、後段で詳述するように、本実施形態における凹部14は、コア10の角部に形成された、上方と側方が開口した凹部である。換言すれば、凹部14は、前後方向の少なくとも一方、および左右方向の少なくとも一方において、後述する挿入部48の位置ずれを規制可能な側面により画成されている。本実施形態では、凹部14は後述する第一側面14aおよび第二側面14bによって画成されている。第一側面14aは挿入部48の巻軸方向内向き(前向きまたは後ろ向き)への位置ずれを規制可能である。また、第二側面14bは挿入部48の左右方向それぞれへの位置ずれを規制可能である。
これに代えて、凹部14は、外縁部のうち、コア10の上面の外縁から若干内縁側に寄った位置に形成されていてもよい。すなわち、凹部14は上方にのみ開口して側方を全てコア10に囲まれた空間であってもよい。
【0027】
図8に図示されるように、本実施形態において、凹部14は環状のコア10の内縁まで形成されていない。より具体的には、凹部14は環状のコア10の内縁部11には非形成である。また、本実施形態では、巻軸方向(前後方向)における凹部14の寸法L10は、環状のコア10の径方向における寸法L11(本実施形態では前後方向における鍔部10bの寸法)の半分以下である。これにより、コア10の内縁部11に発生する磁束に凹部14が与える影響が小さいため、所望のインダクタンスを得やすくなる。
【0028】
また、
図4に図示されるように、凹部14の深さ寸法(上下方向における凹部14の寸法)は、上下方向におけるコア10(鍔部10b)の寸法の半分以下である。好ましくは、凹部14の深さ寸法は、上下方向におけるコア10の寸法の三分の一以下である。これによって、上下方向におけるコア10の中心部に発生する磁束に凹部14が与える影響が小さくなり、所望のインダクタンスを得やすくなる。本実施形態において、凹部14の深さ寸法は後述する高さ寸法L9に一致する。
【0029】
図1に図示されるように、本実施形態において、凹部14は、巻軸方向におけるコア10の端部(角部)であり左右方向の中央部である一部に形成されている。すなわち、上述したように本実施形態において凹部14は、巻軸方向における外側、および上方に開口している。また、
図8に図示されるように、凹部14は、第一側面14a、第二側面14bおよび底面(凹部底面14c(
図7参照))によって画成されている。第一側面14aは、凹部14から見て巻軸方向における内側で起立している。第二側面14bは、凹部14から見て、コイル部品1の幅方向における両外側に起立している。本実施形態において、第一側面14aおよび第二側面14bはそれぞれ挿入部48の側面に沿う平坦な面であるがこれに限られない。凹部14を画成する側面は曲面であってもよい。
【0030】
また、
図8に図示されるように、本実施形態において、挿入部48(挿入突部48x)と、第一側面14aおよび第二側面14bのそれぞれは互いに離間している。換言すれば、挿入部48と第一側面14aおよび第二側面14bのそれぞれとの間には、隙間が存在している。
本実施形態に代えて、挿入部48(その側面)は、第一側面14aおよび第二側面14bのそれぞれと接触(当接または圧接)していてもよい。
【0031】
挿入部48は、カバー40の一部であり、コア10の凹部14に収容される一部である。
本実施形態において、挿入部48は、カバー40における挿入部48以外の他の一部と一体的に形成されている。具体的には、挿入部48は天面部42と一体的に形成されている。また、後述する第二実施形態においては脚部44と一体的に形成されている。これに代えて、挿入部48は、カバー40における挿入部48以外の他の一部とは別部材として形成されており、当該他の一部に接着または係合等の手段により取付けられていてもよい。
【0032】
本実施形態において、
図4に図示されるように、挿入部48は、天面部42から下方に向けて突出する挿入突部48xである。具体的には、挿入部48は、カバー40における一部であり、天面部42の裏面から下方に向けて突出している一部である。
本実施形態において挿入突部48xの横断面の形状は矩形であるが、これに限られず、円形または多角形等であってもよい。
【0033】
本実施形態において、
図1に図示されるように、挿入突部48xは巻軸方向におけるカバー40の端部に形成されている。より具体的には、天面部42の裏面における巻軸方向の端部(前端部または後端部)から挿入突部48xは突出している。
また、本実施形態において、
図4に図示されるように、挿入突部48xは左右方向における天面部42の中央部から突出して形成されている。言い換えると、左右方向に並んで形成された二つの切欠き41、41の間の天面部42の一部から挿入突部48xは突出している。そのため、
図4に図示されるように、左右方向において挿入突部48xは二つの接続部32、32の間に挟まれて配置されている。言い換えると、左右方向において挿入突部48xは二つのコイル20、20(引出部20b、20b)の間に挟まれて配置されている。
【0034】
挿入部48(挿入突部48x)は、凹部14に収容されている。ここで挿入部48が凹部14に収容されるとは、凹部14の空間の少なくとも一部に挿入部48が配置されることである。後述するが、本実施形態のように、挿入部48の一部(先端部)のみが凹部14に収容されてもよく、挿入部48の略全部が凹部14に収容されてもよい。
【0035】
ここで、カバー40をコア10に取付ける工程について説明する。コイル部品1の製造過程において、カバー40はコア10に取付けられる。カバー40をコア10に取付ける状態において、当該コア10にはコイル20および接続端子30が取付けられ、半田50によりコイル20および接続端子30が接続されていることが好ましい。
カバー40はコア10に向けてコア10の上方から取付けられる。すなわち、コア10に対してカバー40が上方から下方へと真っ直ぐ下りてくるようにしてカバー40は取付けられる。カバー40がコア10に向けて下ろされると、まず脚部44(特に爪部46)がコア10(特にその側面)に接触する。脚部44はコア10の側面に接触することにより、脚部44はコア10から付勢されて左右方向外向きに広がる。すなわち、脚部44は垂下部47の基端部(上端部)を支点にして爪部46およびその近傍がコア10によって左右方向外向きに付勢されるため、脚部44は撓んで広がる。
さらにカバー40が下方に下ろされると、挿入部48(挿入突部48x)が、当該挿入部48の下端側から凹部14に挿入され始める。このときカバー40とコア10との位置関係がずれており挿入部48を凹部14に挿入できない場合には、カバー40またはコア10の位置を適宜調整してもよい。
挿入部48が凹部14に挿入されることにより、凹部14を画成する側面によって巻軸方向の少なくとも一方および左右方向の少なくとも一方への挿入部48の位置ずれが規制される。
さらにカバー40が下方に下ろされると、爪部46がコア10の係合部12に係合してカバー40のコア10への取付けが完了する。すなわち、爪部46の係合部12への係合は、挿入部48が凹部14に収容された状態で行われる。これにより、上述したようにコア10に対するカバー40の位置決めを容易に行うことができる。
【0036】
図4に図示されるように、本実施形態において、カバー40における挿入部48(挿入突部48x)の下面(挿入部下面48a)は、凹部底面14cと接触している。具体的には、凹部底面14cに挿入突部48xが載置されており、凹部底面14cは挿入部48を支持している。すなわち、カバー40の自重の少なくとも一部が凹部底面14cにかかっている。本実施形態においては、自然状態においてカバー40は二つの凹部14のそれぞれの凹部底面14cにのみ載置されており、カバー40の自重の全てが凹部底面14cにかかっている。ここで自然状態とは、カバー40を持ち上げる等しておらず、カバー40に力を加えていない状態である。
また、爪部46における係合面46aと、コア10の係合部12と、は上下方向において離間している。すなわち当該係合面46aと係合部12との間には隙間が存在している。爪部46における係合面46aは、爪部46の表面のうち、係合部12と対向する一部である。本実施形態において、係合面46aは、係合部12と上下方向に対向している面である。すなわち、係合面46aは爪部46における上面である。なお、本実施形態において爪部46における係合面46aおよびコア10の係合部12(コア10の表面のうち下方を向く面)はいずれも左右方向および前後方向に延在しており、係合面46aと係合部12とは平行している。これに代えて、爪部46の係合面46aとコア10の係合部12とは完全に平行していなくてもよい。爪部46の係合面46aは、コア10の係合部12に対して傾いて延在していてもよい。すなわち、爪部46の係合面46aは隙間を介してコア10の係合部12と向かい合っていればよい。
上述のように爪部46がコア10と離間していることで、爪部46がコア10を傷つけることを抑制することができる。一方、挿入部48の下面(挿入部下面48a)と凹部14の底面(凹部底面14c)とを接触させておくことで、挿入部下面48aと凹部底面14cとの間に摩擦力が生じ、当該摩擦によってカバー40がコア10に対して横ずれすることが抑制される。
【0037】
本実施形態において、爪部46の係合面46aとコア10の係合部12との上下方向における離間距離D1は、上下方向における凹部14の寸法(深さ寸法)よりも小さい。カバー40を把持または吸着等してコイル部品1を上方に持ち上げたとき、カバー40はコア10に対して上方に位置ずれする。具体的には、挿入部48(挿入部下面48a)が凹部底面14cから離間し、爪部46における係合面46aがコア10(係合部12)と接触する。離間距離D1が凹部14の深さ寸法よりも小さいことにより、上述のようにコイル部品1を上方に持ち上げたときも挿入部48が凹部14から抜けることが抑制される。
【0038】
また、爪部46の係合面46aとコア10の係合部12との上下方向における離間距離D1は、上下方向における爪部46の寸法(厚さ寸法L1)よりも小さいことが好ましい。爪部46の厚さ寸法L1は、上下方向における爪部46の寸法のうち最も小さい値である。本実施形態では、爪部46の厚さ寸法L1は爪部46の先端における厚さ寸法である。
上記構成により、上述したようにコイル部品1を上方に持ち上げたときに爪部46がコア10に衝突することによる爪部46への衝撃によって爪部46が破損することが抑制される。
【0039】
爪部46の係合面46aとコア10の係合部12との上下方向における離間距離D1は、零より大きい。爪部46の係合面46aとコア10の係合部12との上下方向における離間距離D1は、後述する挿入部48と第一側面14aとの離間距離D6よりも大きくてもよい。また、爪部46の係合面46aとコア10の係合部12との上下方向における離間距離D1は、挿入部48と第二側面14bとの離間距離D5よりも大きくてもよい。これにより、カバー40がコア10に対して回転するように位置ずれした場合にも、爪部46がコア10に接触することが良好に抑制される。
これに代えて、離間距離D1は、当該離間距離D6または離間距離D5よりも小さくてもよい。
【0040】
本実施形態において、コイル部品1の幅方向(左右方向)における挿入突部48xの寸法(幅寸法L2)は、コイル部品1の幅方向(左右方向)における脚部44(垂下部47)の寸法(幅寸法L3)よりも大きい。ここで、脚部44の幅寸法L3とは、左右方向における垂下部47の寸法である。
上記構成により、挿入突部48xが凹部14に収容されているときにコア10に対してカバー40が幅方向にずれて挿入突部48xに応力がかかっても、挿入突部48xの幅寸法L2が大きいために当該応力を挿入突部48xが十分に受けることができる。言い換えれば、当該応力によって脚部44(特に垂下部47)に変形または折れ等の破損が生じることが抑制される。
【0041】
一方、
図6および
図7に図示されるように、本実施形態において、巻軸方向(前後方向)における挿入突部48xの寸法(寸法L4)は、巻軸方向(前後方向)における脚部44(垂下部47)の寸法(寸法L5)よりも小さい。このように挿入突部48xの幅寸法L2が脚部44の幅寸法L3よりも大きい上で、挿入突部48xの寸法L4が脚部44の寸法L5よりも小さいことにより、挿入突部48xは剛直である一方で脚部44は可撓性を有するカバー40が実現できる。具体的には、上記構成により、挿入突部48xの横断面の形状は正円または正方形により近い形状となる。すなわち、挿入突部48xの横断面において、前後方向における挿入突部48xの寸法は、左右方向における挿入突部48xの寸法に近い値となる。結果、挿入突部48xは左右方向または前後方向に撓みにくい剛性を有することができる。一方、上記構成により、脚部44(垂下部47)は挿入突部48xに比べて薄い板状の形状を有することができる。これにより、脚部44は左右方向に良好に撓むことが可能となる。
【0042】
図7に図示されるように、カバー40は、仕切部43を含む。仕切部43は、巻軸方向におけるカバー40の中央側において天面部42(その裏面)から下方に延びている。具体的には、仕切部43は、前後方向および上下方向に延在する板状の部材である。仕切部43は天面部42に一体的に形成されているが、天面部42と別部材であってもよい。
また、
図5に図示されるように、仕切部43は、環状のコア10に挿入されている。環状のコア10に挿入されているとは、環状のコア10の中空部18にコア10が挿入されていることである。仕切部43は、環状のコア10の中空部18を貫通してコイル20よりも下方において終端していてもよく、上下方向における中空部18の中途において終端していてもよい。本実施形態において、仕切部43は、コイル20の中心軸(巻軸)よりも下方において終端しており、コイル20(巻回部20a)の最下端よりも上方において終端している。また、本実施形態の仕切部43は巻軸部10aの最下端よりも上方において終端している。
【0043】
図7に図示されるように、本実施形態において、仕切部43と挿入突部48xとは、巻軸方向(前後方向)において離間している。すなわち、仕切部43および挿入突部48xのそれぞれは、天面部42の裏面において互いに離間した位置から下方に突出している。本実施形態において、仕切部43および挿入突部48xは天面部42によってのみ繋がっており、仕切部43の全体および挿入突部48xの全体が前後方向において離間している。
本実施形態において、コア10の一部(内縁部11)は、巻軸方向において仕切部43と挿入突部48xとの間に挿入されている。内縁部11は、前後方向において仕切部43と挿入突部48xとの間に挟まれたコア10の一部である。換言すると、内縁部11は環状のコア10において凹部14よりも内縁側の一部(特にその上端部)であり、鍔部10bのうち巻軸方向の内側に位置する部分である。
コア10の一部が挿入突部48xと仕切部43とに挟まれていることで、カバー40がコア10に対して巻軸方向に位置ずれすることが良好に抑制される。
【0044】
本実施形態において、内縁部11は仕切部43と挿入突部48xとに挟まれた上で、仕切部43は前後方向において内縁部11と離間している。これにより、仕切部43および挿入突部48xによりカバー40のコア10に対する位置ずれを抑制しつつ、環状のコア10の中空部18に配置される仕切部43が、コア10の内縁部11に接触して当該内縁部11を傷つけることが抑制される。結果、当該内縁部11に傷等の凹みが生じてコア10を流れる磁束に影響が生じることが抑制され、所望のインダクタンスが得やすくなる。
【0045】
図8に図示されるように、本実施形態において、挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6は、挿入突部48xと第二側面14bとの離間距離D5よりも大きい。このように挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6を大きくとることにより、カバー40がコア10に対して所定の範囲で巻軸方向に移動することが可能である。結果、挿入突部48xまたは仕切部43がコア10に接触してコア10を流れる磁束に影響を与えることを抑制し、所望のインダクタンスが得やすくなる。具体的には、第一側面14aは、凹部14を画成する側面のうちコア10の内縁側に位置する側面である。そのため、挿入突部48xがコア10の第一側面14aに衝突すれば、挿入突部48xがコア10の第二側面14bに衝突する場合に比べて、コア10のより内縁側の一部に傷等の凹みが生じうる。この場合、第一側面14aと挿入突部48xとの離間距離D6を十分大きく取ることで、このような凹みが生じることを抑制して所望のインダクタンスを得ることが可能である。また、本実施形態においてコア10の中空部18には仕切部43が挿入されている。挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6を十分にとることにより、仕切部43がコア10の内縁部11に衝突することを抑制しながら仕切部43を環状のコア10に挿入することができる。これにより、仕切部43によって内縁部11に傷等の凹みが生じることが抑制され、所望のインダクタンスを得ることができる。
【0046】
挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6は、挿入突部48xと第一側面14aとの巻軸方向(前後方向)における離間距離である。なお、カバー40がコア10に対して前後方向にずれて位置している場合には、以下のように離間距離D6を算出してもよい。具体的には、カバー40の前側に形成された挿入突部48xと当該挿入突部48xを収容する凹部14の第一側面14aとの距離と、カバー40の後側に形成された挿入突部48xと当該挿入突部48xを収容する凹部14の第一側面14aとの距離と、が異なる場合には、両者の平均値を離間距離D6としてもよい。
挿入突部48xと第二側面14bとの離間距離D5は、挿入突部48xと第二側面14bとの左右方向における離間距離である。なお、挿入突部48xが凹部14内において左側または右側にずれて位置している場合は、離間距離D5は以下のように算出してもよい。すなわち、挿入突部48xと当該挿入突部48xを収容する凹部14の左側を画成する第二側面14bとの離間距離と、当該挿入突部48xと当該挿入突部48xを収容する凹部14の右側を画成する第二側面14bとの離間距離と、が異なる場合には、その平均値を離間距離D5としてもよい。
【0047】
本実施形態において、挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6は、内縁部11と仕切部43との離間距離D7よりも大きい。これにより、挿入突部48xが凹部14の内部において巻軸方向に移動する余地が確保され、仕切部43を環状のコア10に挿入する際に仕切部43が内縁部11に接触しないようにカバー40のコア10に対する位置を調整可能である。結果、仕切部43により内縁部11に傷等の凹みが生じにくくなり、所望のインダクタンスを得やすくなる。
また、本実施形態において、挿入突部48xと第二側面14bとの離間距離D5は、内縁部11と仕切部43との離間距離D7よりも大きい。
【0048】
本実施形態に代えて、挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6は、挿入突部48xと第二側面14bとの離間距離D5と等しいか、それよりも小さくてもよい。
また、本実施形態に代えて、挿入突部48xと第一側面14aとの離間距離D6は、内縁部11と仕切部43との離間距離D7と等しいか、またはそれよりも小さくてもよい。
また、本実施形態に代えて、挿入突部48xと第二側面14bとの離間距離D5は、内縁部11と仕切部43との離間距離D7と等しいか、またはそれよりも大きくてもよい。
【0049】
図4に図示されるように、本実施形態において、上下方向における挿入部48(挿入突部48x)の突出端(下端)から爪部46の係合面46a(特に爪部46の先端)までの寸法(高さ寸法L6)は、上下方向における凹部14の開口端からコア10の係合部12までの寸法(高さ寸法L7)よりも小さい。凹部14の開口端は、本実施形態において凹部14の上端であり、コア10の上面に一致する。これにより、コア10の上方からカバー40をコア10に取付ける際に、挿入部48の下端が凹部14に挿入された後に爪部46がコア10に係合するという順番で当該取付けを行うことができる。結果、爪部46とコア10の係合前にカバー40の位置決めを行うことができる。
【0050】
図4に図示されるように、本実施形態において、挿入突部48xの突出長さL8は、挿入突部48xの突出端から爪部46の係合面46aまでの寸法(高さ寸法L6)よりも大きい。挿入突部48xの突出長さL8とは、天面部42の裏面から、挿入突部48xの突出端までの上下方向における長さ寸法である。
挿入突部48xの突出端から爪部46までの高さ寸法L6よりも挿入突部48xの突出長さL8が大きいことにより、爪部46がコア10に係合するまでの間に挿入突部48xが確実に凹部14に挿入される。特に本実施形態においては、後述するように上下方向におけるコア10と天面部42との離間距離D8が大きい。当該離間距離D8が大きくても、上述の構成により、爪部46のコア10への係合前に挿入突部48xを凹部14に挿入させることができる。
【0051】
図4に図示されるように、本実施形態では、コア10と天面部42との離間距離D8は、挿入突部48xにおいて自然状態で凹部14に収容されている一部(先端部)の高さ寸法L9よりも大きい。言い換えると、コア10と天面部42との離間距離D8は、凹部14の深さ寸法(上下方向の寸法)よりも大きい。すなわち、本実施形態においては挿入突部48xにおける基端部の十分な長さ領域が凹部14から露出しており、挿入突部48xの先端部のみが凹部14に収容されている。
カバー40がコア10に対して不測に左右方向に横ずれした場合に、挿入突部48xがコア10(特に凹部14を画成する第二側面14b)に応力を与える。本実施形態では挿入突部48xの先端部の一部のみが凹部14内に収容されているため、挿入突部48xの大半が凹部14に収容されている場合に比べて、当該一部のみがコア10に与える応力は小さくなる。これにより、コア10に傷等の凹みが生じてコア10内に発生する磁束に影響が生じることを抑制でき、所望のインダクタンスを得やすくなる。
また、コア10と天面部42との離間距離D8が凹部14に収容されている挿入突部48xの高さ寸法L9よりも大きいことにより、本実施形態では挿入突部48xの突出長さL8は十分大きく、当該挿入突部48xの先端側の一部が凹部14に収容されている。これにより、挿入突部48xは上述したように剛直でありながらも、若干の可撓性を有することができる。そのため、カバー40がコア10に対して不測に横ずれした場合も挿入突部48xが若干撓ることができ、挿入突部48xが不測にコア10に衝突してコア10に与える応力を緩和することができる。
【0052】
図2に図示されるように、本実施形態において、起立部34には、端子突部34aが設けられている。端子突部34aは、起立部34の内主面34bからコア10に向けて突出する突出部である。起立部34の内主面34bとは、板状の起立部34の二つの主面のうち、コア10の側面に対向する主面である。本実施形態において端子突部34aは、前後方向における内向きに突出している。
また、
図9(b)に図示されるように、本実施形態において端子突部34aは起立部34が変形することで形成されている。具体的には、起立部34の端子突部34aを形成する一部がコア10に向かう方向に凹凸が形成されることで端子突部34aが形成されている。そのため、起立部34の外主面(内主面34bに対向する主面)には凹部が形成されている。
【0053】
図2に図示されるように、本実施形態において、コア10には起立部34に対向する側面(前面または背面)に凹溝16が形成されている。当該凹溝16は上下方向に延在している。
図9(b)に図示されるように、端子突部34aは、当該凹溝16に挿入されている。言い換えると、端子突部34aは凹溝16に嵌合している。
端子突部34aが凹溝16に挿入されていることにより、接続端子30とコア10との位置決めを容易に行うことができる。また、製造されたコイル部品1において接続端子30がコア10における適切でない位置に配置されていると端子突部34aによって接続端子30がコア10から離間する。そのため、そのような不良なコイル部品1を検出することが容易となる。
また、本実施形態のように凹溝16が上下方向に延在していることにより、内主面34bに塗られる等して内主面34bとコア10との間に配置された接着剤(図示しない)は凹溝内に溜まることが可能である。これにより、接着剤が接続端子30とコア10との間の空間から当該空間の外部に流れ出すことを抑制できる。また、凹溝16内の表面積分、コア10と接続端子30とが接着剤により接着する面積が増加するため、コア10と接続端子30とを良好に接着可能となる。
【0054】
本実施形態において、
図9(a)に図示されるように、端子突部34aの突出方向(前後方向)から見た端子突部34aの面積は、当該突出方向から見た凹溝16の面積よりも小さい。そのため、端子突部34aが凹溝16に挿入されたとき、凹溝16には端子突部34aが挿入されていない領域である非挿入領域16aが存在する。言い換えると、非挿入領域16aは端子突部34aの突出方向から見て凹溝16内において端子突部34aと重複していない領域である。これにより、当該非挿入領域16aに接着剤が溜まることができる。なお、端子突部34aの突出方向から見て凹溝16内において端子突部34aと重複する領域を挿入領域16bと呼ぶ場合がある。
【0055】
本実施形態において、
図9(a)および
図9(b)に図示されるように、端子突部34aは、凹溝16における上端部に挿入されており、凹溝16の下端部には非挿入である。換言すれば、端子突部34aが凹溝16に挿入された状態において、凹溝16は端子突部34aから端子突部34aより下方に延びている。本実施形態においては、凹溝16はコア10の下端まで延びている。さらに換言すれば、本実施形態では、
図9(a)に図示されるように、端子突部34aの突出方向から見て凹溝16内において挿入領域16bの下方に非挿入領域16aが位置している。
これによって、接着剤の粘性が高い場合等、接着剤が端子突部34a近傍に不測に溜まってしまった場合であっても、接着剤は端子突部34a近傍に溜まることなく、端子突部34aから下方の非挿入領域16aに流入することができる。特に、接着剤の自重により、当該接着剤は端子突部34a近傍から非挿入領域16aに流入できる。
【0056】
本実施形態に代えて、端子突部34aが凹溝16に嵌合した状態において、凹溝16は端子突部34aから端子突部34aの上方まで延びていてもよい。また、凹溝16は端子突部34aからコア10の上端まで延びていてもよい。
また、本実施形態に代えて、端子突部34aが凹溝16に嵌合した状態において、凹溝16は端子突部34aから端子突部34aの上方および下方の両方に向けて延びていてもよい。さらには、凹溝16はコア10の上端から下端まで延在していてもよい。
【0057】
図9(b)に図示されるように、本実施形態において、端子突部34aの突出高さ(前後方向における寸法)は、凹溝16の深さ(端子突部34aの突出方向における凹溝16の寸法)よりも小さい。そのため、端子突部34aが凹溝16に嵌合した状態において端子突部34aの突出端は凹溝16の底面(前方または後方を向く面)と離間している。これによって、接続端子30(特に起立部34の内主面34b)がコア10の側面に面接触でき、接続端子30は接着剤によってコア10に良好に取付けられる。
【0058】
本実施形態において、
図9(a)に図示されるように、上下方向における端子突部34aの寸法は、コイル部品1の幅方向における端子突部34aの寸法よりも大きい。具体的には、本実施形態における端子突部34aの突出方向から見た端子突部34aの形状は、上下方向を長手方向とした略楕円である。
端子突部34aが上下方向に長尺の形状を有していることにより、前後方向に見たとき凹溝16内において端子突部34aは回転しにくい。そのため、接続端子30をコア10に取付ける際に接続端子30がコア10に対して回転するように位置ずれすることを規制できる。結果、実装部36の主面が実装基板に対して平行になるよう配置されやすく、コイル部品1を良好に実装基板に接地させることが可能なコイル部品1を製造することができる。
【0059】
また、
図9(b)に図示されるように、本実施形態において、端子突部34aの上端部はコア10と非接触である。言い換えると、端子突部34aの側面において上側を向く一部はコア10と非接触である。さらに言い換えれば、端子突部34aが凹溝16に嵌合した状態において、端子突部34aの上方には空間(隙間)が生じている。
具体的には、凹溝16がコア10の上面まで延在せずに凹溝16の上端がコア10の側面の中央部に位置する本実施形態においては、凹溝16を画成する側面(特に上側側面)と端子突部34aとが離間している。本実施形態に代えて凹溝16がコア10の上面まで延在している場合でも端子突部34aはコア10と非接触であると言える。
端子突部34aの上端部はコア10と非接触であることにより、接続端子30をコア10に取付けるとき、実装部36がコア10の下面に面接触するように接続端子30の位置を上下方向に修正することができる。これにより、コイル部品1を良好に実装基板に接地させることが可能なコイル部品1を製造することができる。
【0060】
図3に図示されるように、本実施形態において、コイル部品1を平面視したとき、切欠き41から接続部32が露出している。言い換えると、接続部32の少なくとも一部の上方にはカバー40(天面部42)が非配置である。ここでコイル部品1を平面視したとき切欠き41から接続部32が露出しているとは、コイル部品1を平面視したとき当該接続部32がカバー40によって覆われていないことを意味する。例えば、コイル部品1を平面視したときに接続部32が半田50等他の部材によって接続部32が直接視認できない場合でも接続部32がカバー40によって覆われていなければ、切欠き41から接続部32が露出しているといえる。
本実施形態においては、接続部32のうちコイル20(引出部20b)と接続している一部が切欠き41から露出している。より具体的には、接続部32のうち加締め部32aが切欠き41から露出している。
上述のように、コイル部品1を平面視したときに切欠き41から接続部32が露出していることにより、太径の巻線の引出部20b、接続部32(加締め部32a)または半田50、あるいはこれらの組み合わせによる盛り上がりによってカバー40がコア10に取付けにくくなることを抑制できる。
【0061】
<第二実施形態>
図10は本実施形態にかかるコイル部品1の一例を示す正面図である。
はじめに、本実施形態のコイル部品1の概要について説明する。
【0062】
本実施形態のコイル部品1は、第一実施形態と同様、カバー40の一部である挿入部48は、当該凹部14に収容されている。
【0063】
次に、本実施形態のコイル部品1について詳細に説明する。
図10に図示されるように、本実施形態の挿入部48は、カバー40における脚部44に設けられている点で、第一実施形態と相違する。
具体的には、挿入部48は、脚部44の基端部からコイル部品1の幅方向(左右方向)における内向きに突出する挿入突部48yである。
凹部14はコイル部品1の幅方向の外向きおよび上方に向けて開口している。当該挿入突部48yが凹部14に収容されている。
上記構成により、脚部44自体に挿入突部48yが設けられているため脚部44の位置決めが良好に行える。
【0064】
図10に図示されるように、本実施形態において、脚部44(垂下部47)においてコア10の側面と対向する面(主面)から挿入突部48yが突出している。
挿入突部48yが脚部44の基端部に形成されているとは、上下方向における脚部44(垂下部47)の中央よりも上方にオフセットした位置に挿入突部48yが形成されていることをいう。挿入突部48yは脚部44の最も上端側に設けられていてもよく、上下方向における脚部44(垂下部47)の中央よりも若干上方にずれた位置に設けられていてもよい。
また、本実施形態において、上下方向において脚部44の中途部に挿入突部48yは形成されている。換言すれば、挿入突部48yは天面部42と上下方向において離間している。これによって、挿入突部48yが天面部42と上下方向に隣接して一体形成されている場合に比べて、脚部44が十分な可撓性を有することができる。
【0065】
図10に図示されるように、凹部14は左右方向の一方および上方において開口している。換言すれば、
図11に図示されるように、凹部14は、下方、左右方向の一方、および上下方向の両方をコア10の表面に画成されている。
図10に図示されるように、挿入突部48y(その下面)は凹部14の底面に接触している。挿入突部48y(その側面)は、凹部14の左右方向のいずれか一方を画成する側面から離間している。
また、
図11に図示されるように、挿入突部48y(その側面)は、凹部14の上下方向を画成する側面から離間している。
【0066】
図10に図示されるように、本実施形態において、挿入突部48yが凹部14に嵌合しているとき、挿入突部48yの上端部は凹部14から当該凹部14の上方へ突出するように露出している。これによって、前後方向から見て、挿入突部48yが凹部14に嵌合していることを目視で確認可能である。
本実施形態に代えて、挿入突部48yの上端部は、凹部14から凹部14の上方へ非突出でもよい。すなわち、挿入突部48yの上端部は凹部14の内部に収容されていてもよい。
【0067】
図11に図示されるように、本実施形態において前後方向における挿入突部48yの寸法は、前後方向における脚部44(垂下部47)の寸法よりも小さいが、これに限られない。本実施形態において前後方向における挿入突部48yの寸法は、前後方向における脚部44(垂下部47)の寸法と等しくてもよい。
【0068】
図11に図示されるように、本実施形態における挿入突部48yは四つの脚部44のそれぞれに設けられているが、これに限られない。挿入突部48yは、四つの脚部44のうち一部の脚部44にのみ設けられてもよい。例えば、挿入突部48yは四つの脚部44のうち対角線上に位置する二つの脚部44にのみ設けられてもよい。
【0069】
図11に図示されるように、本実施形態において、天面部42の前端部および後端部にはそれぞれ二つの切欠き41が設けられているが、天面部42の前端部および後端部のそれぞれに一の切欠き41のみを設けてもよい。すなわち、
図11において左右方向に並ぶ二つの切欠き41に挟まれた一部の天面部42が切り欠かれて切欠き41の一部となっていてもよい。
【0070】
本実施形態におけるコイル部品1は、第一実施形態と同様に以下の特徴を有する。
挿入突部48yの下面は凹部底面14cと接触しており、爪部46の係合面46aと係合部12とは離間している。
コイル部品1の幅方向における挿入突部48xの寸法は、幅方向における脚部44の寸法よりも大きい。
起立部34には端子突部34aが設けられており、端子突部34aはコア10における当該凹溝16に挿入されている。
上下方向における端子突部34aの寸法は、コイル部品1の幅方向における端子突部34aの寸法よりも大きい。
コイル部品1を平面視したとき、切欠き41から接続部32が露出している。
【0071】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0072】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)平面視で環状に形成されたコアと、
前記コアの一部の周囲に当該一部の延在方向を巻軸方向として巻回された一または二以上の複数のコイルと、
前記コイルと電気的に接続する接続端子と、
前記コアおよび前記コイルの上方に配置されるカバーと、を有し、
前記カバーは、
前記コアおよび前記コイルの上方を覆う天面部と、
前記天面部から前記コアの側面に沿って下方に向けて延び、前記コアに向けて突出する爪部を有する脚部と、を含み、
前記カバーは、前記爪部が前記コアの係合部に係合して前記コアに取付けられており、
前記コアは、当該コアの上面の外縁部に下方に窪んで形成された凹部を備えており、
前記カバーの一部である挿入部が当該凹部に収容されている、コイル部品。
(2)前記挿入部の下面は、前記凹部の底面と接触しており、
前記爪部における前記係合部と対向する係合面と、前記コアの前記係合部と、は、上下方向において離間している、(1)に記載のコイル部品。
(2-1)爪部の係合面とコアの係合部との上下方向における離間距離は、上下方向における凹部の寸法(深さ寸法)よりも小さい、(2)に記載のコイル部品。
(2-2)爪部の係合面とコアの係合部との上下方向における離間距離は、爪部の上下方向の寸法(厚さ寸法)よりも小さい、(2)に記載のコイル部品。
(3)前記挿入部は、前記天面部から下方に向けて突出する挿入突部であり、
前記コイル部品の幅方向における前記挿入突部の寸法は、前記幅方向における前記脚部の寸法よりも大きい、(1)または(2)に記載のコイル部品。
(3-1)巻軸方向における挿入突部の寸法は、巻軸方向における脚部の寸法よりも小さい、(3)に記載のコイル部品。
(4)前記挿入突部は前記巻軸方向における前記カバーの端部に形成されており、
前記カバーは、前記巻軸方向における前記カバーの中央側において前記天面部から下方に延びて前記環状の前記コアに挿入される仕切部を含み、
前記仕切部と前記挿入突部とは、前記巻軸方向において離間しており、
前記コアの一部は、前記巻軸方向において前記仕切部と前記挿入突部との間に挿入されている、(3)に記載のコイル部品。
(4-1)仕切部は前後方向においてコアの一部と離間している、(4)に記載のコイル部品。
(5)前記凹部は、
前記巻軸方向における外側および上方に開口しており、
前記巻軸方向における内側に起立する第一側面、および前記コイル部品の幅方向における両外側に起立する第二側面によって画成されており、
前記挿入突部と、前記第一側面および前記第二側面のそれぞれは互いに離間しており、
前記挿入突部と前記第一側面との離間距離は、前記挿入突部と前記第二側面との離間距離よりも大きい、(4)に記載のコイル部品。
(5-1)挿入突部と第一側面との離間距離は、内縁部と仕切部との離間距離よりも大きい、(5)に記載のコイル部品。
(6)前記接続端子は、前記コアの前記巻軸方向の一端部に取付けられており、
前記接続端子は、
前記コアの上面に沿って前記コイルの一端部と接続する接続部と、
前記接続部から続いて前記コアの側面に沿う起立部と、
前記起立部から続いて前記コアの下面に沿う実装部と、を含み、
前記起立部には、前記コアに向けて突出する突出部である端子突部が設けられており、
前記端子突部は、前記コアにおいて前記起立部に対向する側面に形成されて上下方向に延在する凹溝に挿入されている、(1)から(5)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(6-1)端子突部の突出方向から見た端子突部の面積は、当該突出方向から見た凹溝の面積よりも小さい、(6)に記載のコイル部品。
(6-2)端子突部は、凹溝における上端部に挿入されており、凹溝の下端部には非挿入である、(6)に記載のコイル部品。
(6-3)端子突部の上端部はコアと非接触である、(6)に記載のコイル部品。
(7)上下方向における前記端子突部の寸法は、前記コイル部品の幅方向における前記端子突部の寸法よりも大きい、(6)に記載のコイル部品。
(8)前記巻軸方向における前記天面部の端部には、前記巻軸方向における内向きに窪む切欠きが形成されており、
前記コイル部品を平面視したとき、前記切欠きから前記接続部が露出している、(6)または(7)に記載のコイル部品。
(9)前記挿入部は、前記脚部の基端部から前記コイル部品の幅方向における内向きに突出する挿入突部であり、
前記凹部は前記コイル部品の幅方向の外向きおよび上方に向けて開口しており、
前記挿入突部が前記凹部に収容されている、(1)に記載のコイル部品。
(9-1)挿入突部は天面部と上下方向において離間している、(9)に記載のコイル部品。
(9-2)挿入突部が凹部に嵌合しており、挿入突部の上端部は凹部から露出している、(9)に記載のコイル部品
(10)上下方向における挿入部の突出端から爪部の係合面までの寸法は、上下方向におけるコアの上面からコアの係合部までの寸法よりも小さい、(1)に記載のコイル部品。
(11)上下方向におけるコアと天面部との離間距離は、挿入突部において自然状態で凹部に収容されている一部の高さ寸法よりも大きい、(1)に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0073】
1 コイル部品
10 コア
10a 巻軸部
10b 鍔部
11 内縁部
12 係合部
14 凹部
14a 第一側面
14b 第二側面
14c 凹部底面
16 凹溝
16a 非挿入領域
16b 挿入領域
18 中空部
20 コイル
20a 巻回部
20b 引出部
30 接続端子
32 接続部
32a 加締め部
34 起立部
34a 端子突部
34b 内主面
36 実装部
40 カバー
41 切欠き
42 天面部
43 仕切部
44 脚部
45 側面部
46 爪部
46a 係合面
47 垂下部
48 挿入部
48a 挿入部下面
48x 挿入突部
48y 挿入突部
50 半田
【要約】
カバー(40)は、天面部(42)と脚部(44)とを含む。天面部(42)は、コア(10)およびコイル(20)の上方を覆っている。脚部(44)は、天面部(42)からコア(10)の側面に沿って下方に向けて延びている。脚部(44)は爪部(46)を有する。爪部(46)は、脚部(44)の一部からコア(10)に向けて突出している。カバー(40)は、爪部(46)がコア(10)の係合部(12)に係合してコア(10)に取付けられている。コア(10)は、当該コア(10)の上面の外縁部に凹部(14)を備えている。凹部(14)は、コア(10)の当該上面が下方に窪んで形成されている。カバー(40)の一部である挿入部(48)は、当該凹部(14)に収容されている。