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特許7635952情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250218BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2024203912
(22)【出願日】2024-11-22
【審査請求日】2024-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520026342
【氏名又は名称】シェルパ・アンド・カンパニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳
(72)【発明者】
【氏名】小田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】神田 峻介
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-033409(JP,A)
【文献】特開2024-032071(JP,A)
【文献】特開2024-164473(JP,A)
【文献】特許第7520331(JP,B1)
【文献】濱田 祐馬,大規模言語モデルを活用したESG評価,人工知能学会第二種研究会資料 第32回金融情報学研究会 [online] ,日本,人工知能学会,2024年02月27日,pp.45-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付ける受付手順と、
前記受付手順において受け付けられた質問指定情報に基づいて、前記所定の団体が開示する開示情報と、前記質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順と、
前記情報取得手順において取得した開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力手順と、
前記機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報を前記ユーザ端末に出力する情報出力手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項2】
前記質問の回答形式に関する情報は、質問を識別するための識別子に関する情報を含み、
当該質問を識別するための識別子に関する情報には、質問ごとに、1つ以上の回答形式、他の質問との間における依存関係、及び、回答の入力形式に関するタグ情報が付与されている、
請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記質問に関する情報が示す質問は、
質問の本文と、当該質問に対する回答を補助するための回答補助文とを含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記情報入力手順では、前記開示情報と、前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを入力指示として前記機械学習モデルへ入力する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記入力指示は、
前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、それぞれ複数含み、かつ、複数の質問に関する情報が示すそれぞれの質問と、他の質問との間における依存関係に関する情報を含む、
請求項4に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記入力指示は、質問に対する回答の入力形式に関する情報を含む、
請求項4に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記機械学習モデルは複数あり、
前記情報入力手順では、
前記開示情報と、前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、所定の条件に応じて複数の機械学習モデルのうちのいずれかに入力する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記情報入力手順では、
前記質問の回答形式に関する情報が示す回答形式に、自然文による回答が含まれる場合、質問に回答する旨を指示するプロンプトであって、前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを含むプロンプトを生成し、生成したプロンプトと、前記開示情報とを大規模言語モデルに入力し、
前記質問の回答形式に関する情報が示す回答形式に、自然文による回答が含まれない場合、前記開示情報と、前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、大規模言語モデル以外の機械学習モデルに入力する、
請求項7記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記プロンプトは、
質問に対する適切な回答が前記開示情報に存在しない場合、適切な回答が前記開示情報に存在しないことを示す旨、又は、前記回答を示す情報が示す回答に対する補足を前記ユーザ端末のユーザに促す旨を前記大規模言語モデルに出力させる指示を含む、
請求項8記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
前記情報取得手順では、
前記質問に関する情報が示す質問に基づき、前記データベースに保存された前記開示情報から、当該質問に関する開示情報を検索するための検索クエリを生成し、生成した検索クエリを用いて前記データベースを検索することにより、検索クエリに該当する開示情報を取得し、
前記情報入力手順では、前記取得した開示情報と、前記質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを入力指示として前記機械学習モデルへ入力する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記情報取得手順では、
検索クエリを用いて前記データベースから取得する前記開示情報の上限数を任意に設定可能である、
請求項10記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記情報出力手順では、
前記機械学習モデルから取得した回答に関する情報を、所定のプログラムにおいて表示できるように加工した上で出力する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項13】
前記情報出力手順では、
前記機械学習モデルから取得した回答に関する情報のフォーマットが、当該回答の入力箇所に関する指示が記載された形式となるように、当該回答に関する情報を加工する、
請求項12記載の情報処理プログラム。
【請求項14】
前記情報出力手順において出力する情報は、
質問に対する回答の根拠となる情報が前記開示情報内のどこにあるかを示す所在情報を含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項15】
質問の回答形式が、複数の選択肢から所定の選択肢を選択させる形式である場合、
前記所在情報は、前記選択の理由を説明可能な前記開示情報の所在を示す情報である、
請求項14記載の情報処理プログラム。
【請求項16】
前記受付手順では、前記質問指定情報として、ESG評価機関の名称を特定可能な質問指定情報を受け付け、
前記情報取得手順では、前記受付手順において受け付けた質問指定情報に基づいて、前記所定の団体が開示する開示情報と、前記名称のESG評価機関による質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項17】
前記情報出力手順では、
前記回答に関する情報を前記ユーザ端末に出力する際、当該回答に関する情報が示す回答に対して前記ユーザ端末からの入力を受け付け可能な態様で出力する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項18】
ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた質問指定情報に基づいて、前記所定の団体が開示する開示情報と、前記質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力部と、
前記機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報を前記ユーザ端末に出力する情報出力部と、
を含む情報処理装置。
【請求項19】
情報処理装置による情報処理方法であって、
受付部が、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付け、
情報取得部が、前記受付部により受け付けられた質問指定情報に基づいて、前記所定の団体が開示する開示情報と、前記質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得し、
情報入力部が、前記情報取得部により取得された開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力し、
情報出力部が、前記機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報を前記ユーザ端末に出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業などの団体が持続的に成長するために不可欠な経営方針として、ESG経営が世界的に注目され、その導入に取り組む団体も増えている。また、世界各国又は地域において、その域内での活動に関与する団体に対して、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字)の観点からの開示基準に沿った開示を求める各種の開示制度が策定されてきている。また、組織がESGに配慮した活動を行っているかを評価するESG評価機関も存在する。このようにESGは、SDGs(Sustainable Development Goals)と同様に注目されるようになっている。また、用語としては、上記の「ESG経営」のほか、「ESG投資」、「ESGレポート」、「ESGアナリティクス」、等のESGを含む熟語の形を含め、一般に普及して使われるようになっている。
【0003】
ESG評価機関は、企業などの団体のESGに関する情報を集め、集めた情報に基づいて企業などの団体がESGに配慮した活動を行っているかを評価する。ESG評価機関は、これらの団体のESGに関する情報を集めることを目的として、これらの団体に対して質問を送付することがある。一般に、ESG評価機関が団体に送付する質問は、各評価機関によって質問形式及び質問内容が異なっている。そのため、各団体がこれらの質問に回答するためには、各団体の担当者が各質問の質問形式及び質問内容を理解し、質問への回答を目視で探した上で、回答を作成する必要がある。
【0004】
ところで、例えば特許文献1には、ESGへの応用は示されていないが、公営ギャンブルに関する質問を受け付け、RAG(Retrieval Augmented Generation)の仕組みを用いて質問に関連するデータを取得し、受け付けた質問と取得したデータと学習済モデルとを用いて質問に対する回答を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7550329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される技術のように、学習済モデルを用いて質問に対する回答を自動生成し、生成した回答をユーザに提供することを可能にする技術は従来から存在する。しかしながら、従来技術では、複数のESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問のような、様々な形式で記載される質問に対して、回答の生成を支援することは困難であった。
【0007】
本開示技術は、上記の課題を解決するためのものであり、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができる情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示技術に係る情報処理プログラムは、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付ける受付手順と、受付手順において受け付けた質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順と、情報取得手順において取得した開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力手順と、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報をユーザ端末に出力する情報出力手順と、をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示技術に係る情報処理プログラムは、上記の技術的特徴を有し、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示技術に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本開示技術における質問の本文及び回答補助文を含む質問の一例を示す図である。
図3】本開示技術における、複数の選択肢から適切な選択肢を選択させる形式の質問の一例を示す図である。
図4】本開示技術における質問情報の一例を示す図である。
図5】本開示技術における質問形式情報の一例を示す図である。
図6】本開示技術に係る情報処理装置の動作例及び各情報の流れを説明するための図である。
図7】本開示技術における実験に用いた質問、及び回答として示された選択肢の一例を示す図である。
図8】本開示技術における実験において情報取得部により生成されたプロンプトの一例を示す図である。
図9】本開示技術における実験において大規模言語モデルから出力された回答の一例を示す図である。
図10】本開示技術に係る情報処理装置のハードウエア構成を示す図である。
図11】本開示技術に係る情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本開示技術において用いられるいくつかの重要な用語が、以下のとおり定義される。
【0012】
《ESG評価項目》
ESG評価項目は、ESG評価機関のそれぞれによって記載表現が異なる評価項目であっても、共通する概念又は考え方が認められる場合に、それら共通する概念又は考え方が認められる評価項目を一つの同じ項目であるとして定義した、ESGに関する項目である。
ESG評価項目には、例えば、ESG分類、コード(番号)、大分類、及び小分類の4項目が含まれる。
ESG評価項目におけるESG分類とは、各データが、Environment(環境)、Social(社会)、又はGovernance(企業統治)のうち、いずれに分類されるかを示すものであり、ESG分類を表す符号としては、例えば、「E」、「S」、及び「G」等の文字が用いられる。
ESG評価項目におけるコード(番号)は、小分類のそれぞれを区別するためのものであり、それぞれの小分類には異なるコードが付与される。小分類を区別するこれらのコードは、「分類コード」とも称される。
ESG評価項目における大分類及び小分類は、ESGに関する情報を示すデータがそれぞれどのような内容のものであるかを人が理解しやすいような名称を文字で表現したものであり、これら大分類及び小分類の名称としては、ESG評価機関のそれぞれが用いるESGに関する評価項目を、一般化又は標準化した表現が用いられる。大分類は、例えば、「環境全般」、「気候変動」、「水」、「資源循環」、「生物多様性」、「サプライヤー(環境)」、「環境の機会・インパクト」、「人権」、「労働慣行」、「ダイバーシティ」、「人材育成」、「従業員の安全衛生」、「コーポレートシチズンシップ」、「製品品質・製品安全」、「コーポレートガバナンス」、「リスクマネジメント」、「情報セキュリティ・プライバシー」、等が挙げられる。また、小分類は、例えば、「環境全般」に属するものとして、「環境マネジメントに関する方針」、「気候変動」に属するものとして、「気候変動に対処する方針」、「エネルギー消費の削減に関する方針」、「カーボンプライシング」、等が挙げられる。
【0013】
《所定の団体》
所定の団体は、ESG評価機関に対してESGに関する情報を提供することにより、ESG評価機関による評価を受ける団体である。所定の団体には、例えば企業、政府機関、非営利団体、業界団体、又は学術機関等が含まれる。これらの団体が提供する、ESGに関する情報は、例えば企業などのESG評価の参考になるとともに、当該企業などの社会全体における環境及び社会への取り組みを理解するための重要な要素となる。
【0014】
《開示資料・開示情報》
開示資料は、各団体が自団体のESGに関する実態を開示した資料である。開示資料には、例えば、統合報告書、コーポレートガバナンス報告書、等が含まれる。
また、開示情報は、ESGの観点からの開示基準に沿った開示を求める各種の開示制度に対して、当該開示制度が規定するそれぞれの指標に対応する情報として各団体が開示しているものをいう。つまり、開示情報は、開示資料に開示された内容のうち、ESG評価項目(例えばその小分類)のいずれかに対応する箇所に記載された情報といえる。
【0015】
実施の形態1.
実施の形態1は、本開示技術を情報処理装置100として実現した場合を示したものである。
図1は、本開示技術に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。情報処理システムは、図1に示すように、情報処理装置100及びユーザ端末UTが、インターネットを介して接続されたシステムである。
なお、図1においては、3台のユーザ端末UTが示されているが、ユーザ端末UTの数は1以上の任意の台数であってよい。また、図1においては、情報処理装置100及びユーザ端末UTがインターネットを介して接続されているが、この接続にはインターネットに限らず、任意の電気通信回線が用いられてもよい。
【0016】
《情報処理装置100》
情報処理装置100は、ユーザが所属する所定の団体が、ESG評価機関による質問に対して回答を作成する際の回答作成作業を、RAGの仕組みを用いて支援するものであって、受付部110と、情報取得部120と、情報入力部130と、情報出力部140とを含む。以下の説明では、説明を具体的にするため、ユーザが所属する所定の団体は企業であるものとする。また、情報処理装置100は、開示情報データベース150と、質問情報データベース160とを含む。なお、情報処理装置100は、この構成に限定されるものではなく、開示情報データベース150と、質問情報データベース160とは、情報処理装置100から通信接続可能な外部装置が備えてもよい。
情報処理装置100は、本開示技術に係るサービス、すなわち、ユーザが所属する企業がESG評価機関による質問に対して回答を作成する際の回答作成作業を、RAGの仕組みを用いて支援するサービス(以下「回答作成支援サービス」という。)を、ユーザに提供するものである。
情報処理装置100は、例えば、サーバ、又はユーザが使用する端末、等の任意のコンピュータである。
ここで、回答作成支援サービスの提供は、例えば、SaaS(Software as a Service)の形態で行われてもよい。この場合、情報処理装置100は、回答作成支援サービスの提供事業者(以下「サービス提供事業者」という。)によって所有又は管理される。
本明細書においては、本開示技術に係る情報処理装置100が、例えば、サービス提供事業者によって所有又は管理されるサーバである場合について、詳細を明らかにする。
【0017】
《開示情報データベース》
開示情報データベース150は、ユーザが所属する企業の開示情報を保持する。開示情報データベース150が保持する開示情報は、ESG評価項目に関連する、当該企業のESGに関する情報である。
開示情報データベース150が保持する開示情報は、1以上の企業の開示情報である。各企業の開示情報は、例えば、クローリング(Crawling)によって取得される。クローリングとは、クローラーと呼ばれるプログラムが複数のWebサイトを定期的に巡回し、情報を取得し保存する周知の技術である。
【0018】
ここでは、例えば、まず、情報処理装置100が、サービス提供事業者によって予め指定された、複数の企業のWebサイトを、定期的に巡回することによって、当該複数の企業の開示情報を取得する。情報処理装置100は、取得した企業の開示情報を、予め光学的文字認識(OCR;Optical Character Recognition)によりテキストデータに変換した上で、変換したテキストデータを所定の範囲ごとに分割し、分割した範囲ごとにテキストデータをベクトルに変換する。そして、情報処理装置100は、変換により得られたベクトルを、開示情報を開示している企業を特定する情報(以下「企業特定情報」という。)と紐づけして、開示情報データベース150に保存する。
企業特定情報は、例えば、企業の正式名称、企業の略称、又は企業に特有のID若しくはコード等である。以下、企業特定情報は、企業の正式名称又は略称等の企業名であるものとする。
開示情報がPDF形式により作成されている場合は、開示情報にテキストデータがすでに存在していることもある。その場合、情報処理装置100は、上述した光学的文字認識(OCR)による開示情報のテキストデータへの変換が不要な場合もあり得る。なお、情報処理装置100が取得する複数の企業の開示情報は、HTML形式により作成されていてもよい。
情報処理装置100は、前述のテキストデータを所定の範囲ごとに分割する場合、例えば、ページ単位、段落単位、又は文字数単位で分割することができる。テキストデータを文字数単位で分割する場合、情報処理装置100は、例えば最大400字などの任意の文字数を分割の単位として設定することができる。また、この場合、情報処理装置100は、分割した範囲の前後において、例えば100字などの任意の文字数分だけ文字が重複するように、テキストデータを分割してもよい。
【0019】
《質問情報データベース》
質問情報データベース160は、ESG評価機関が企業を評価する際に用いる質問に関する情報(以下「質問情報」という。)を保持する。なお、以下の説明では、説明を具体的にするため、ESG評価機関が企業を評価する際に用いる質問は、例えば、ESG評価機関から企業に対して送付される質問であるものとする。質問情報データベース160は、サービス提供事業者により、ユーザが所属する企業ごとに作成され、管理されている。
例えば、サービス提供事業者は、予め企業に対し、ESG評価機関からどのような質問が送付されたかを、例えばエクセルなどの所定のデータ形式のファイルにより回答する旨依頼する。サービス提供事業者は、この依頼に対して企業から返信されてきたファイルを、情報処理装置100を用いて読み取り、読み取ったファイルに含まれる質問情報を質問情報データベース160に保存する。
なお、質問情報は、例えばサービス提供事業者により、質問の記述内容が一般化された上で、質問情報データベース160に保存されてもよい。また、質問情報は、例えばサービス提供事業者により、複数の質問の間で質問の文体が統一された上で、質問情報データベース160に保存されてもよい。
【0020】
また、質問情報が示す質問は、予め質問の本文と、当該質問に対する回答を補助するための回答補助文とに分けられた上で、質問情報データベース160に保存されてもよい。
図2に、質問の本文及び回答補助文を含む質問の一例を示す。通常、ESG評価機関から企業に送付される質問は、1問につき複数の文章から構成されている。
そのうち、例えば質問の先頭部分に記載されている、質問の大まかな概要を説明した文章を、質問の本文とし、この本文に続いて記載されている、当該質問に対する回答を補助するための文章を、回答補助文とすることができる。回答補助文は、例えば、質問の本文が具体的にどのような内容を質問しているか、あるいは、具体的にどのような内容を回答すればよいか、などを説明している。図2の例では、符号201が付された「Material Issues for..」が質問の本文であり、符号202が付された「Does your company..」が回答補助文である。
なお、質問情報が示す質問が、複数の選択肢から適切な選択肢を選択させる形式の質問である場合、質問情報には、回答として示された選択肢に関する情報が含まれていてもよい。
【0021】
図3に、複数の選択肢から適切な選択肢を選択させる形式の質問の一例を示す。図3において、符号301が付された「Climate Governance」が質問の本文であり、符号302が付された「Is your ..」が回答補助文である。また、符号303が付されたチェックボックス付きの各文章が、企業が選択する選択肢である。例えば、企業の担当者は、質問の本文及び回答補助文を読み、質問の回答として適切な選択肢を、チェックボックスをオンにすることにより選択する。ここでは、選択肢303は、レベルごとにインデント(字下げ)して表示されている。企業の担当者は、同一のレベルにある選択肢のうち、回答として適切な選択肢をレベルごとに1つ以上選択することができる。
なお、図3では、質問に選択肢303のみが含まれている例を示しているが、質問によっては、選択肢303に加えて、選択肢303に対応する自由記述欄が含まれていてもよい。この場合、企業の担当者は、例えば所定の選択肢を選択した上で、当該選択肢に対応する自由記述欄に任意の回答事項を記述することができる。
【0022】
図4に、質問情報データベース160に保持される質問情報の一例を示す。図4において、質問情報が示す質問は、図3において例示した質問と同様に、質問の本文と、回答補助文と、複数の選択肢とを含んで構成されている。ただし、図4における質問の内容は、図3における質問の内容とは異なっている。
図4において、符号401が付された「Material Issues..」が質問の本文であり、符号402が付された「Does your company..」が回答補助文である。また、符号403が付された表が、企業が選択する選択肢を表形式に整理したものである。このように、質問情報は、質問ごとに、質問の本文401と、回答補助文402と、選択肢に関する表403とに分けられた上で、質問情報データベース160に保存され得る。
【0023】
また、質問情報データベース160は、質問の回答形式に関する情報(以下「質問形式情報」という。)を保持する。質問形式情報は、質問を識別するための識別子に関する情報(以下「質問識別情報」という。)を含む。質問を識別するための識別子は、質問を一意に識別することが可能な識別子であり、例えば「DJSI(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス);Q1」、「DJSI;Q2」などのように、ESG評価機関の名称と質問番号との組み合わせにより構成される。
また、質問識別情報には、質問ごとに、1つ以上の回答形式、他の質問との間における依存関係、及び、回答の入力形式に関するタグ情報が付与されている。
図5に、質問情報データベース160に保持される質問形式情報の一例を示す。
図5において、符号501が付された列は、上述した質問識別情報を示しており、符号502が付された列は、上述したタグ情報を示している。タグ情報502に含まれる「回答形式」は、質問に対する回答形式を示している。回答形式は、例えば、「自由記述」、「YES/NO」、「複数選択式」、及び「表形式」などである。
また、タグ情報502に含まれる「回答形式2」は、質問に対する第2の回答形式を示している。例えば、DJSIから送付されたQ3及びQ4は、まず「複数選択式」により回答した後に、「選択後自由記述」により回答することを示している。このように、質問には、複数の異なる回答形式により回答する必要があるものもある。ここでは、第2の回答形式までを例示しているが、質問によっては「回答形式3(第3の回答形式)」以降が設けられてもよい。
【0024】
タグ情報502に含まれる「依存関係」は、質問の依存関係を示しており、例えば、ある質問と、他の質問との間における依存関係を示している。例えば、DJSIから送付されたQ3は、同じくDJSIから送付されたQ2に対する回答が「YES」の場合に回答する必要があり、DJSIから送付されたQ4は、同じくDJSIから送付されたQ2に対する回答が「NO」の場合に回答する必要があることを示している。
また、タグ情報302に含まれる「入力形式」は、質問に対する回答の入力形式を示している。入力形式は、例えば、「自然文入力」、「ボタン」、「チェックボックス」、及び「数値入力」などである。
上記のように構成された質問形式情報は、例えばサービス提供事業者、又は企業に所属するユーザにより生成される。また、上記のように構成された質問情報データベース160は、上述のように、例えばサービス提供事業者により、ユーザが所属する企業ごとに作成され、管理されている。一方、ユーザは、ユーザ端末UTからインターネット経由でサーバである情報処理装置100にアクセスし、自社の質問情報データベース160に保持されている質問情報及び質問形式情報を適宜編集することができる。
【0025】
《受付部110》
受付部110は、ユーザ端末UTから、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な情報(以下「質問指定情報」という。)を受け付ける。
ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、情報処理装置100にアクセスし、ユーザ端末UTが有する不図示のディスプレイに、回答作成支援サービスを利用するための画面を表示させることができる。当該画面は、例えば、回答作成支援サービスがSaaSの形態で提供される場合、ブラウザ上に表示される。当該画面には、例えば、質問指定ウィンドウが表示可能である。
ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、この質問指定ウィンドウに、任意の質問に回答する旨を入力することができる。ユーザが、質問指定ウィンドウに、任意の質問に回答する旨を入力すると、ユーザ端末UTは、ユーザにより指定された質問を特定可能な情報(質問指定情報)を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する。
【0026】
例えば、ユーザは、ESG評価機関である「DJSI」から送付された質問「Q1」について回答する場合、ユーザ端末UTを操作して、「DJSIによるQ1について回答する」旨を質問指定ウィンドウに入力する。ユーザ端末UTは、ユーザにより上記の旨が質問指定ウィンドウに入力されると、ESG評価機関が「DJSI」であり、質問番号が「Q1」である旨を示す質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する。この場合、ユーザによりESG評価機関として指定された「DJSI」と、質問番号として指定された「Q1」とにより特定される質問が、「ユーザにより指定された質問」である。
情報処理装置100の受付部110は、ユーザ端末UTから送信された質問指定情報を受け付ける。受付部110は、ユーザ端末UTから送信された質問指定情報を受け付けると、受け付けた質問指定情報を情報取得部120に出力する。なお、質問指定情報には、当該質問指定情報を送信したユーザが所属する企業を特定する情報(企業特定情報)も含まれる。
【0027】
《情報取得部120》
情報取得部120は、受付部110から質問指定情報を取得する。情報取得部120は、受付部110から質問指定情報を取得すると、取得した質問指定情報に基づいて、ユーザが指定した質問が具体的に何であるかを特定する。
また、情報取得部120は、受付部110から質問指定情報を取得すると、取得した質問指定情報に含まれる企業特定情報に基づいて、当該質問指定情報を送信したユーザが所属する企業を特定する。
そして、情報取得部120は、特定した企業が管理する質問情報データベース160を検索し、当該質問情報データベース160から、ユーザが指定した質問に関する情報(質問情報)を取得する。また、情報取得部120は、質問形式情報を質問情報データベース160から取得する。なお、情報取得部120は、質問形式情報を質問情報データベース160から取得する際、図5に例示した質問形式情報の全体を取得してもよいし、ESG評価機関単位で質問形式情報を部分的に取得してもよいし、質問単位で質問形式情報を部分的に取得してもよい。
【0028】
次いで、情報取得部120は、開示情報データベース150に保持されている、複数の企業の開示情報から、上記で特定した質問に回答するために必要な開示情報を検索する。
例えば、情報取得部120は、質問情報データベース160から取得した質問情報に含まれる、質問の本文及び回答補助文を示すテキストデータに基づいて、当該質問に回答するために必要な開示情報を検索するための検索クエリを生成する。情報取得部120は、検索クエリを生成すると、生成した検索クエリに基づいて開示情報データベース150をベクトル検索し、検索結果として、質問に回答するために必要な開示情報を取得する。
なお、情報取得部120は、開示情報データベース150を検索する際の検索条件として、生成した検索クエリに基づいて開示情報データベース150から取得する開示情報の上限数を任意に設定してもよい。例えば、情報取得部120は、検索結果として、検索クエリに合致する割合が高い開示情報を上位10個まで取得する、などのように、取得する開示情報の上限数を検索条件として設定してもよい。
情報取得部120は、上述のように、質問情報データベース160から質問情報と質問形式情報とを取得し、開示情報データベース150から、質問に回答するために必要な開示情報を取得すると、取得したこれらの情報を情報入力部130に出力する。なお、以下の説明では、説明を簡単にするため、開示情報データベース150から取得された、質問に回答するために必要な開示情報を「特定開示情報」という。
【0029】
《情報入力部130》
情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得する。情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得すると、取得したこれらの情報を機械学習モデルへ入力する。なお、質問情報が示す質問は、図2に例示したように、質問の本文と、当該質問に対する回答を補助するための回答補助文とに分けられている。
機械学習モデルは、例えば、人工ニューラルネットワークによって構成されてもよく、複数あってもよい。また、機械学習モデルが複数ある場合、機械学習モデルは大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を含んでいてもよい。
情報入力部130は、情報取得部120から取得した質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を入力指示とし、所定の条件に応じて、当該入力指示を複数の機械学習モデルのうちのいずれかに入力する。なお、入力指示は、質問情報と、質問形式情報とを、それぞれ複数含んでいてもよい。また、入力指示は、質問形式情報として、複数の質問情報が示すそれぞれの質問と、他の質問との間における依存関係に関する情報を含んでいてもよい。
【0030】
例えば、情報入力部130は、質問形式情報に含まれるタグ情報が示す質問への回答形式、もしくは回答の入力形式が、自然言語(自然文)により回答又は入力する形式である場合、プロンプトを生成し、生成したプロンプトを、特定開示情報とともに大規模言語モデル(LLM)へ入力する。この場合のプロンプトには、質問情報、及び質問形式情報が含まれている。また、この場合のプロンプトには、質問形式情報が示す回答形式にしたがって、質問情報が示す質問に回答する旨を指示する内容が含まれる。
なお、プロンプトに特定開示情報を含められる場合は、情報入力部130はプロンプトのみを大規模言語モデルに入力すればよい。
また、当該プロンプトには、質問に対する適切な回答が特定開示情報に存在しない場合、あるいは、特定開示情報を参照しても質問に適切に回答できない場合に、適切な回答が特定開示情報に存在しないことを示す旨、あるいは特定開示情報を参照しても質問に適切に回答できないことを示す旨を、大規模言語モデルに出力させる旨の指示が含まれていてもよい。また、当該プロンプトには、質問の回答形式が、複数の選択肢から所定の選択肢を選択させる形式である場合、選択の理由を説明可能な特定開示情報の所在を示す情報を、所在情報として大規模言語モデルに出力させる旨の指示が含まれていてもよい。
また、情報入力部130は、質問形式情報に含まれるタグ情報が示す質問への回答形式、もしくは回答の入力形式が、例えば選択式など、自然言語により回答又は入力する形式でない場合、上述した入力指示をLLMではない機械学習モデルへ入力してもよい。この場合の機械学習モデルは、入力として上述した入力指示(質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報)を与えられた場合に、回答として適切な数値もしくはYES/NOを回答として出力するよう学習された機械学習モデルである。
【0031】
大規模言語モデルを含む機械学習モデルは、外部サーバが備えてもよいし、情報処理装置100が備えてもよい。
また、大規模言語モデルとしては、例えば、外部サーバがサービスとして提供する既存の大規模言語モデルが利用されてもよい。この場合、情報処理装置100は、API(Application Programming Interface)連携によって、大規模言語モデルに対してプロンプトを入力し、また、大規模言語モデルから、入力に対する応答を取得することができる。
機械学習モデルは、与えられた質問情報、質問形式情報及び特定開示情報に基づいて、質問に対する回答に関する情報(以下「回答情報」という。)を生成し、生成した回答情報を情報処理装置100に出力する。
【0032】
《情報出力部140》
情報出力部140は、機械学習モデルから回答情報を取得する。情報出力部140は、機械学習モデルから回答情報を取得すると、取得した回答情報を所定のプログラムで表示できるように、当該回答情報に対して所定の加工処理を行う。
例えば、情報出力部140は、機械学習モデルから取得した回答情報を所定のプログラムで表示できるように、当該回答情報のフォーマットを適切なフォーマットに変換する処理を行う。所定のプログラムとは、例えばESG評価機関により指定された回答入力用のWebページ、又は、情報処理装置100及びユーザ端末UT上で動作するエクセルなどのプログラムである。
例えば、ユーザは、ESG評価機関によっては、ユーザ端末UTを用いて、回答情報が示す回答を、コピーアンドペーストなどの手作業により、エクセルなどのプログラムに入力する必要がある場合がある。そのような場合、情報出力部140は、回答情報のフォーマットが、例えば各回答の入力箇所に関する指示が記載された表形式となるように、回答情報を加工する。これにより、ユーザは、各回答をプログラムのどこに入力すればよいかを容易に把握することができ、ユーザの作業負担の軽減につながる。
情報出力部140は、質問形式情報に含まれるタグ情報に基づいて、回答情報に対してどのような加工を行えばよいかを判断してもよい。例えば、情報出力部140は、タグ情報に含まれる「回答形式」が「表形式」であれば、上述のように、回答情報のフォーマットを表形式のフォーマットへ変換するようにしてもよい。
または、情報出力部140は、ESG評価機関と、当該ESG評価機関に対する回答の際に使用されるプログラム又はWebページに関する情報とを対応付けたテーブルを、不図示の記憶部などに予め保持しておき、当該テーブルを参照して、回答情報の加工を行うようにしてもよい。
情報出力部140は、上述のようにして加工した回答情報を、ユーザ端末UTへ出力する。
【0033】
ユーザ端末UTは、情報出力部140から加工後の回答情報を取得する。ユーザ端末UTは、情報出力部140から加工後の回答情報を取得すると、取得した回答情報が示す回答を、ユーザ端末UTが有するディスプレイに表示させる。例えば、ユーザ端末UTは、ディスプレイに表示されている、回答作成支援サービスを利用するための画面に、回答を表示させる。
【0034】
次に、情報処理システムにおける情報処理装置100の動作例及び各情報の流れについて、図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、事前に、ユーザが所属する企業に対して、複数のESG評価機関から質問が送付されており、サービス提供事業者により、企業ごとの質問情報データベース160が構築されているものとする。また、以下の説明では、事前に、サービス提供事業者及び情報処理装置100により、開示情報データベース150が構築されているものとする。
まず、ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、上述した質問指定ウィンドウに、任意の質問に回答する旨を入力する。ユーザが、質問指定ウィンドウに、任意の質問に回答する旨を入力すると、ユーザ端末UTは、質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する(図6の符号(1))。
次に、情報処理装置100では、受付部110が、ユーザ端末UTから送信された質問指定情報を受け付ける(図6の符号(2))。受付部110は、ユーザ端末UTから質問指定情報を受け付けると、受け付けた質問指定情報を情報取得部120に出力する。
次に、情報取得部120は、受付部110から質問指定情報を取得する。情報取得部120は、受付部110から取得した質問指定情報に含まれる企業特定情報に基づいて、当該質問指定情報を送信したユーザが所属する企業を特定し、特定した企業が管理する質問情報データベース160から、ユーザが指定した質問に関する質問情報を取得する。また、情報取得部120は、質問形式情報を質問情報データベース160から取得する(図6の符号(3))。
次に、情報取得部120は、開示情報データベース150に保存されている、複数の企業の開示情報から、質問に回答するために必要な開示情報(特定開示情報)を検索し、検索結果として、特定開示情報を取得する(図6の符号(4))。情報取得部120は、取得した質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を情報入力部130に出力する。
次に、情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得する。情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得すると、取得したこれらの情報を入力指示として機械学習モデル300へ入力する(図6の符号(5))。なお、機械学習モデル300が大規模言語モデルである場合、質問情報及び質問形式情報を含むプロンプトと特定開示情報、あるいは、質問情報と質問形式情報と特定開示情報とを含むプロンプトが、大規模言語モデルに入力される。
次に、機械学習モデル300は、入力指示として与えられた質問情報、質問形式情報及び特定開示情報に基づいて、質問に対する回答に関する情報(回答情報)を生成し、生成した回答情報を情報処理装置100に出力する(図6の符号(6))。
次に、情報処理装置100では、情報出力部140が、機械学習モデル300から回答情報を取得する。情報出力部140は、機械学習モデル300から回答情報を取得すると、当該取得した回答情報を所定のプログラムで表示できるように、当該回答情報に対して所定の加工処理を行い、加工後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する(図6の符号(7))。
以上の符号(1)~(7)で説明したように、情報処理装置100は動作し、各情報が送受信される。ここでは、符号(3)~(7)により、RAGの仕組みが実現されている。
【0035】
なお、上記の例では、情報処理装置100は、機械学習モデル300との間で情報の送受信を1回行う例を示した。しかしながら、情報処理装置100は、機械学習モデル300として大規模言語モデルを用いる場合、大規模言語モデルとの間で情報の送受信を複数回行うようにしてもよい(マルチターン)。例えば、情報処理装置100は、1回目のターンでは、情報入力部130が上述のようにしてプロンプトを生成し、生成したプロンプトを大規模言語モデルへ入力する。そして、情報出力部140は、大規模言語モデルから回答情報を取得する。
2回目のターンでは、情報入力部130は、大規模言語モデルに対して、1回目に生成された回答情報が示す回答の蓋然性又は成否を問う内容を記述したプロンプトを生成し、生成したプロンプトを大規模言語モデルへ入力する。そして、情報出力部140は、大規模言語モデルから出力された回答の蓋然性又は成否に関する情報を取得し、取得した情報をユーザ端末UTへ出力する。この場合、ユーザは、質問に対する回答の作成作業が容易になるだけでなく、当該回答の蓋然性又は成否についても容易に理解することができ、当該回答の蓋然性又は成否に応じて適宜回答を修正することができる。
【0036】
また、情報出力部140は、図6の符号(7)において、加工後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する際、複数の回答情報を、回答候補としてユーザ端末UTへ出力してもよい。例えば、情報処理装置100は、加工後の回答情報をユーザ端末UTへ出力した後、当該回答情報に対するユーザからのフィードバックを収集し、収集したフィードバックに関する情報を、ログとして不図示の記憶部に予め保持しておく。ユーザからのフィードバックには、例えば、当該回答情報に対して考えられる、修正後の回答情報、あるいは、他の回答情報などが含まれる。
そして、情報出力部140は、図6の符号(7)において、加工後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する際、当該記憶部に保持されているログを参照し、当該ログに基づいて複数の回答情報を生成し、生成したこれらの回答情報を回答候補としてユーザ端末UTへ出力する。この場合、情報処理装置100は、1度に複数の回答候補をユーザに提示することができるとともに、ユーザ端末UTとの間での情報の送受信の回数を抑制することができ、通信量の削減につながる。
また、情報処理装置100は、ユーザによる回答修正機能を備えていてもよい。例えば、情報処理装置100は、図6の符号(7)において、情報出力部140により加工後の回答情報をユーザ端末UTに出力する前に、ユーザ端末UTを介して、ユーザから回答情報の修正を受け付けるようにしてもよい。そして、情報出力部140は、ユーザによる修正後の回答情報をユーザ端末UTに出力するようにしてもよい。この場合、ユーザは、回答情報を取得する前に、情報処理装置100上で予め回答情報を修正することができ、回答作成作業の効率向上につながる。
また、情報処理装置100は、ユーザから回答情報の修正を受け付けた場合、修正された回答情報を、機械学習モデル300の再学習データとして使用してもよい。この場合、機械学習モデル300は、ユーザの意図がより反映された精度の高い回答情報を出力することができるようになり、情報処理装置100は、機械学習モデル300から、ユーザの意図がより反映された精度の高い回答情報を得ることができる。
また、情報出力部140は、図6の符号(7)において、加工後の回答情報をユーザ端末UTに出力する際、回答の根拠となる情報が特定開示情報のどこにあるかを示す所在情報を、回答情報に含めて出力してもよい。例えば、情報出力部140は、質問の回答形式が、複数の選択肢から所定の選択肢を選択させる形式である場合、選択の理由を説明可能な特定開示情報の所在を示す情報を所在情報とし、この所在情報を回答情報に含めて、ユーザ端末UTへ出力してもよい。この場合、ユーザは、回答における選択の理由を容易に理解することができる。
【0037】
《実験結果》
本開示技術の発明者は、ESG評価機関による具体的な質問を用いて、情報処理装置100がどの程度の回答情報を生成することができるかについての実験を行った。実験では、ESG評価機関がDJSIである場合において、ある企業がDJSIの2023年の質問に回答するケースを想定した。また、実験では、当該ある企業が、持続可能な活動に関するデータ及び情報をまとめた2023年の報告書(Sustainability Data Book)を、当該企業の特定開示情報として使用し、質問情報、及び質問形式情報を含むプロンプトと、特定開示情報とを大規模言語モデルに与えることにより、回答を生成した。
また、当該企業の特定開示情報を使用するに際しては、本開示技術の発明者は、情報処理装置100を用いて、上述した報告書を予め光学的文字認識(OCR)によりテキストデータに変換した上で、変換したテキストデータを最大400字ごとに分割し、分割した範囲ごとにテキストデータをベクトルに変換した。ここでは、分割した範囲の前後において、最大100字までの文字の重複を許容した。そして、本開示技術の発明者は、情報処理装置100を用いて、変換により得られたベクトルを、当該企業の企業特定情報と紐づけして、開示情報データベース150に保存した。
また、実験では、情報取得部120は、質問情報が示す質問の本文及び回答補助文を検索クエリとして生成し、生成した検索クエリを用いて、開示情報データベース150を検索し、検索結果として特定開示情報を取得した。ここでは、情報取得部120は、検索結果として、検索クエリに合致する割合が高い特定開示情報を上位10個まで取得し、取得した特定開示情報を連結した。そして、情報入力部130は、情報取得部120により連結された特定開示情報を大規模言語モデルに入力した。
【0038】
実験において使用された実際の質問、及び回答として示された選択肢の一例を図7に示す。
図7において、符号701は質問の本文を示しており、符号702は回答補助文を示している。また、符号703は回答として示された選択肢を示している。情報取得部120は、質問の本文701及び回答補助文702を検索クエリとして生成し、生成した検索クエリを用いて、開示情報データベース150を検索し、検索結果として特定開示情報を取得した。ここでの特定開示情報は、質問の本文701及び回答補助文702を含む質問に回答するために必要な開示情報である。
次に、情報入力部130により生成されたプロンプトの一例を図8に示す。
図8において、符号801は、プロンプトに埋め込まれた質問の本文(図7の符号701)及び回答補助文(図7の符号702)である。また、符号802は、プロンプトに埋め込まれた選択肢(図7の符号703)である。ここでは、3つの選択肢に対して、1~3の番号が付されている。
情報入力部130は、このように生成されたプロンプトと、特定開示情報とを、大規模言語モデルに入力した。これらの入力に対し、大規模言語モデルから回答情報が出力された。大規模言語モデルから出力された回答情報が示す回答の一例を図9に示す。
図9では、符号901に示すように、回答の選択肢として「1」が選択されている。また、符号902には、「1」を選択した根拠として、選択の理由を説明可能な特定開示情報の所在を示す所在情報が示されている。そして、情報処理装置100は、大規模言語モデルから出力された回答情報が示す回答を、本開示技術の発明者に提示した。
このように、情報処理装置100は、回答として「1」の選択肢を選択した。一方、本開示技術の発明者が、企業に確認したところ、企業の実際の回答も「1」であった。このように、情報処理装置100は、上述のような処理を行うことにより、企業の実際の回答と同一の回答を選択することができた。
また、ここでは詳しい説明を省略するが、本開示技術の発明者は、上記とは別の質問として、回答形式が多肢選択式である質問について、同様の実験を行った。その結果、情報処理装置100は、実際に企業が回答として選択した選択肢のうち、1つだけを選び損じたものの、それ以外の選択肢は実際の企業の回答と同様に選択した。この例からも、情報処理装置100は、実際の企業の回答にきわめて近い回答をユーザに提示することができたといえる。
【0039】
なお、実施の形態1に示す情報処理装置100は、少なくとも、情報取得部120と、情報入力部130と、情報出力部140とを備えていればよく、受付部110は省略されていてもよい。情報処理装置100において、受付部110が省略される場合、受付部110の機能は、例えば情報取得部120により実現されてもよい。
【0040】
《変形例》
次に、実施の形態1に係る情報処理装置100の変形例について説明する。
なお、変形例においても、情報処理装置100の主な動作例及び各情報の流れは、実施の形態1で参照した図6で説明したものと同様である。そのため、以下の説明では、図6を参照しながら情報処理装置100の変形例について説明する。
【0041】
実施の形態1では、受付部110は、ユーザ端末UTから、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な情報(質問指定情報)を受け付ける例について説明した。また、上記の例では、例えば、ユーザが、ESG評価機関である「DJSI」から送信された質問「Q1」について回答する場合、ユーザ端末UTを操作して、「DJSIによるQ1について回答する」旨を質問指定ウィンドウに入力し、ユーザ端末UTは、ユーザにより上記の旨が質問指定ウィンドウに入力されると、ESG評価機関が「DJSI」であり、質問番号が「Q1」である旨を特定可能な質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する例について説明した。
変形例では、受付部110は、ユーザ端末UTから、質問指定情報として、ESG評価機関の名称を特定可能な情報、もしくはESG評価機関の名称を含む具体的な質問の内容を特定可能な情報を受け付けるようにしてもよい。
【0042】
この場合、ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、例えばESG評価機関の名称として「DJSI」と質問指定ウィンドウに入力する。ユーザ端末UTは、ユーザにより上記「DJSI」が質問指定ウィンドウに入力されると、ESG評価機関の名称が「DJSI」である旨を特定可能な質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する(図6の符号(1))。
または、ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、例えば回答を行う質問の具体的な内容を質問指定ウィンドウに直接入力するか、あるいは質問の具体的な内容が記述された所定のファイルをユーザ端末UTに保存した上で、ユーザ端末UTにおける当該ファイルの保存先を質問指定ウィンドウに入力する。ユーザ端末UTは、ユーザにより質問の具体的な内容が質問指定ウィンドウに入力されるか、あるいは質問の具体的な内容が記述されたファイルの保存先が質問指定ウィンドウに入力されると、入力された内容に基づいて、具体的な質問の内容を特定可能な質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する。
【0043】
または、ユーザは、ユーザ端末UTを操作して、ESG評価機関の名称、あるいは質問の具体的な内容を、例えば質問指定ウィンドウに表示されたプルダウンメニューから選択することにより指定してもよい。ユーザ端末UTは、ユーザにより、プルダウンメニューからESG評価機関の名称、あるいは質問の具体的な内容が選択されると、選択された内容に基づいて、ESG評価機関の名称を特定可能な質問指定情報、あるいは具体的な質問の内容を特定可能な質問指定情報を生成し、生成した質問指定情報を情報処理装置100に送信する。
プルダウンメニューは、ユーザが所定の位置を押下すると複数の選択肢を含む一覧メニューが表示されるもので、例えばESG評価機関の名称、あるいは質問の具体的な内容を選択肢としてそれぞれ複数表示する態様のものであればよい。
このようなプルダウンメニューは、例えば情報処理装置100により、以下のようにして提供されてもよい。例えば、情報処理装置100が質問情報データベース160を備えている場合、情報処理装置100は、当該質問情報データベース160に保持されている質問情報に基づいて、当該質問情報に含まれているESG評価機関の名称の一覧、あるいは質問の具体的な内容の一覧を抽出する。そして、情報処理装置100は、抽出したESG評価機関の名称の一覧、あるいは質問の具体的な内容の一覧に基づいて、これらの一覧により構成された選択肢から任意のひとつを選択可能な一覧メニューを含むプルダウンメニューを生成し、生成したプルダウンメニューを質問指定ウィンドウに表示することにより、プルダウンメニューをユーザに提供すればよい。
なお、質問情報データベース160が、情報処理装置100から通信接続可能な外部装置に備えられている場合も、情報処理装置100は上記と同様にして、質問情報データベース160に保持されている質問情報に基づいてプルダウンメニューを生成し、生成したプルダウンメニューを質問指定ウィンドウに表示することにより、プルダウンメニューをユーザに提供すればよい。
【0044】
次に、情報処理装置100では、受付部110が、ユーザ端末UTから送信された質問指定情報を受け付ける(図6の符号(2))。受付部110は、ユーザ端末UTから質問指定情報を受け付けると、受け付けた質問指定情報を情報取得部120に出力する。
次に、情報取得部120は、受付部110から質問指定情報を取得する。情報取得部120は、質問指定情報から、ESG評価機関の名称を特定可能な場合、受付部110から取得した質問指定情報に含まれる企業特定情報に基づいて、当該質問指定情報を送信したユーザが所属する企業を特定する。そして、情報取得部120は、特定した企業が管理する質問情報データベース160から、質問指定情報により特定される名称のESG評価機関による質問に関する質問情報を取得する。
一方、質問指定情報から、ESG評価機関の名称を含む具体的な質問の内容を特定可能な場合、情報取得部120は、受付部110から取得した質問指定情報に含まれる企業特定情報に基づいて、当該質問指定情報を送信したユーザが所属する企業を特定し、特定した企業が管理する質問情報データベース160から、質問指定情報により特定される具体的な質問の内容に関する質問情報を取得する。
なお、情報取得部120は、質問指定情報により特定される具体的な質問の内容がきわめて詳細であり、質問情報データベース160に保存されている質問情報を取得せずとも、質問指定情報により特定される具体的な質問の内容が、質問情報に代替し得ると判断される場合は、質問情報データベース160からの質問情報の取得を省略してもよい。
【0045】
次に、情報取得部120は、質問形式情報を質問情報データベース160から取得する(図6の符号(3))。質問指定情報から、ESG評価機関の名称を特定可能な場合、情報取得部120は、質問形式情報を当該ESG評価機関単位で質問情報データベース160から取得してもよい。また、質問指定情報から、具体的な質問の内容を特定可能な場合、情報取得部120は、質問形式情報を当該質問単位で質問情報データベース160から取得してもよい。
次に、情報取得部120は、開示情報データベース150に保存されている、複数の企業の開示情報から、質問に回答するために必要な開示情報(特定開示情報)を検索し、検索結果として、特定開示情報を取得する(図6の符号(4))。情報取得部120は、取得した質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を情報入力部130に出力する。
次に、情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得する。情報入力部130は、情報取得部120から、質問情報、質問形式情報、及び特定開示情報を取得すると、取得したこれらの情報を入力指示として機械学習モデル300へ入力する(図6の符号(5))。なお、機械学習モデル300が大規模言語モデルである場合、質問情報及び質問形式情報を含むプロンプトと特定開示情報、あるいは、質問情報と質問形式情報と特定開示情報とを含むプロンプトが、大規模言語モデルに入力される。
【0046】
なお、場合によっては、図6の符号(4)において、情報取得部120は、開示情報データベース150から、質問に回答するために必要な特定開示情報を取得できなかった場合、あるいは、取得はできたが情報量が十分でなかった場合が想定される。それらの場合において、機械学習モデル300が大規模言語モデルである場合、情報入力部130は、企業のユーザに対して「質問に回答するために必要な開示情報が不足しているため、回答が不十分な可能性があります。必要に応じて、回答を補うための入力を行ってください。」といったメッセージを大規模言語モデルに出力させる旨の指示をプロンプトに含め、このプロンプトを大規模言語モデルに入力してもよい。
【0047】
次に、機械学習モデル300は、入力指示として与えられた質問情報、質問形式情報及び特定開示情報に基づいて、質問に対する回答に関する情報(回答情報)を生成し、生成した回答情報を情報処理装置100に出力する(図6の符号(6))。なお、機械学習モデル300は、回答情報の生成に際し、回答の根拠となった特定開示情報の該当箇所を示す情報を、回答情報に含めて生成してもよい。特定開示情報の該当箇所は、例えば、特定開示情報において回答に該当する記載部分、または当該記載部分のページ番号などであればよい。
また、機械学習モデル300が大規模言語モデルである場合において、当該大規模言語モデルに上述したプロンプトが入力された場合、大規模言語モデルは、回答情報の生成に際し、「質問に回答するために必要な開示情報が不足しているため、回答が不十分な可能性があります。必要に応じて、回答を補うための入力を行ってください。」といったメッセージを示す情報を、回答情報に含めて生成してもよい。
【0048】
次に、情報処理装置100では、情報出力部140が、機械学習モデル300から回答情報を取得する。情報出力部140は、機械学習モデル300から回答情報を取得すると、当該取得した回答情報を所定のプログラムで表示できるように、当該回答情報に対して所定の加工処理を行い、加工後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する(図6の符号(7))。
なお、情報出力部140は、機械学習モデル300から取得した回答情報が示す回答の回答形式が、質問形式情報において指定された回答形式でない場合、機械学習モデル300から取得した回答情報が示す回答の回答形式が、質問形式情報において指定された回答形式と合致するように、回答形式を修正した上で、回答情報をユーザ端末UTへ出力してもよい。
また、情報出力部140は、上記加工後の回答情報、または回答形式修正後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する際、当該回答情報が示す回答に対して、ユーザがユーザ端末UTからの入力を受け付け可能な態様で、回答情報を出力してもよい。これは、回答情報が示す回答が、必ずしもユーザの所望する回答であるかどうかは分からないため、ユーザの側に、回答に対する入力(編集)の余地を残すためである。
【0049】
この場合において、ユーザがユーザ端末UTを用いて、回答に対して何らかの入力を行った場合、ユーザ端末UTは、回答に対して入力された内容を示す情報(以下「追加入力情報」という。)を、情報処理装置100に送信するとよい。
情報処理装置100では、受付部110が、ユーザ端末UTから送信された追加入力情報を受け付け、受け付けた追加入力情報を、例えば不図示の追加入力情報データベースに保存させる。追加入力情報データベースは、情報処理装置100が備えてもよいし、情報処理装置100から通信接続可能な外部装置が備えてもよい。追加入力情報データベースに保存された追加入力情報は、当該追加入力情報に関連する質問と同一の質問又は類似する質問に対して、情報出力部140が次回以降に回答情報を出力する際に利用される。
例えば、情報出力部140は、上記加工後の回答情報、または回答形式修正後の回答情報をユーザ端末UTへ出力する際、追加入力情報データベースを参照し、出力しようとする回答情報に関連する追加入力情報が追加入力情報データベースに保存されていれば、当該追加入力情報の内容を、出力予定の回答情報に反映させた上で、回答情報をユーザ端末UTに出力する。例えば、情報出力部140は、出力しようとする回答情報に関連する追加入力情報が追加入力情報データベースに保存されていれば、追加入力情報データベースに保存されている追加入力情報に基づいて、出力しようとする回答情報を修正し、修正後の回答情報を出力してもよいし、追加入力情報データベースに保存されている追加入力情報を、出力しようとする回答情報とともに出力してもよい。これにより、情報出力部140は、ユーザの所望する回答により近い回答をユーザに提示することができる。
【0050】
なお、上記のような処理は、回答情報が、「質問に回答するために必要な開示情報が不足しているため、回答が不十分な可能性があります。必要に応じて、回答を補うための入力を行ってください。」といったメッセージを示す情報を含む場合についても同様である。この場合、ユーザは、上記のメッセージをユーザ端末UT上で確認し、必要があれば、ユーザ端末UTを用いて、回答に対して何らかの入力を行うことが想定される。その場合でも、ユーザ端末UTは、回答に対して入力された内容を示す情報(追加入力情報)を、情報処理装置100に送信し、情報処理装置100では、受付部110が、ユーザ端末UTから送信された追加入力情報を受け付け、受け付けた追加入力情報を、不図示の追加入力情報データベースに保存させればよい。以下、情報出力部140は、上記と同様にして、次回以降に回答情報を出力する際に追加入力情報を利用することにより、ユーザの所望する回答により近い回答をユーザに提示することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態1の変形例において説明した情報処理装置100の各部による機能は、当該変形例においてのみ実現されるものではなく、実施の形態1において説明した情報処理装置100の各部による機能と選択的に組み合わせることが可能である。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2は、本開示技術を、情報処理プログラムとして実現した場合を示したものである。特に明記する場合を除き、実施の形態2では、実施の形態1で用いられた符号と同じものが使用される。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
実施の形態2の情報処理プログラムは、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付ける受付手順と、受付手順において受け付けた質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順と、情報取得手順において取得した開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力手順と、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報をユーザ端末に出力する情報出力手順と、をコンピュータに実行させる。
【0053】
図10は、本開示技術に係る情報処理装置100のハードウエア構成200を示す図である。図10に示されるとおり、情報処理装置100のハードウエア構成200は、通信インタフェース210と、入出力インタフェース220と、プロセッサ230と、メモリ240と、を含む。
【0054】
図11は、本開示技術に係る情報処理プログラムにより実現される情報処理方法を、処理手順として示すフローチャートである。図11に示されるとおり、情報処理プログラムにより実現される情報処理方法には、受付手順ST110と、情報取得手順ST120と、情報入力手順ST130と、情報出力手順ST140と、が含まれる。
各処理手順に付されている番号は、その処理手順を実行する主体の符号と対応している。例えば、受付手順ST110は受付部110により、情報取得手順ST120は情報取得部120により、情報入力手順ST130は情報入力部130により、情報出力手順ST140は情報出力部140により、それぞれ実行される。
図11に示されるとおり、受付手順ST110、情報取得手順ST120、情報入力手順ST130、及び情報出力手順ST140は、ループ処理の中に含まれている。
【0055】
実施の形態2に係る情報処理プログラムにより実現される情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法である。
この情報処理方法において、ループが開始されると、まず、受付部110が、ユーザ端末UTから送信された質問指定情報を受け付ける受付手順(ST110)を実行する。そして、情報取得部120が、受付手順において受け付けられた質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、ESG評価機関が当該団体を評価する際に用いる質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順(ST120)を実行する。そして、情報入力部130が、情報取得手順で取得された開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力手順(ST130)を実行する。さらに、情報出力部140が、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報を出力する情報出力手順(ST140)を実行する。なお、図11は、ループ処理としての例を示したが、本開示技術はこれに限定されない。
【0056】
本開示技術に係る情報処理装置100の受付部110、情報取得部120、情報入力部130、及び情報出力部140の各機能は、処理回路により実現される。すなわち情報処理装置100は、受付手順ST110と、情報取得手順ST120と、情報入力手順ST130と、情報出力手順ST140と、を実行するための処理回路を備える。処理回路は、メモリ240に格納される情報処理プログラムを実行するプロセッサ230(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPとも称される)である。
【0057】
受付部110、情報取得部120、情報入力部130、及び情報出力部140の各機能は、ソフトウエア、ファームウエア、又はソフトウエアとファームウエアとの組合せにより実現される。ソフトウエア及びファームウエアは、情報処理プログラムとして記述され、メモリ240に格納される。処理回路は、メモリ240に記憶された情報処理プログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、情報処理装置100は、処理回路により実行されるときに、受付手順ST110、情報取得手順ST120、情報入力手順ST130、及び情報出力手順ST140が結果的に実行されることになる情報処理プログラムを格納するためのメモリ240を備える。また、これらの情報処理プログラムは、受付部110、情報取得部120、情報入力部130、及び情報出力部140の手順又は方法をコンピュータに実行させるものである、ともいえる。ここで、メモリ240は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよい。また、メモリ240は、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等のディスクを備える態様であってもよい。さらにメモリ240は、HDD又はSSDの態様であってもよい。
【0058】
なお、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、少なくとも、情報取得手順ST120、情報入力手順ST130、及び情報出力手順ST140をコンピュータに実行させるものであればよく、受付手順ST110は、任意に付加される手順である。受付手順ST110が省略される場合、当該受付手順ST110における処理は、例えば情報取得手順ST120において実施されてもよい。
【0059】
以上のように、実施の形態2に係る情報処理プログラムは、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末UTから受け付ける受付手順と、受付手順において受け付けた質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順ST120と、情報取得手順において取得した開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力手順ST130と、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報をユーザ端末UTに出力する情報出力手順ST140と、をコンピュータに実行させるためのものである。
したがって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができる。
【0060】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、質問の回答形式に関する情報は、質問を識別するための識別子に関する情報を含み、当該質問を識別するための識別子に関する情報には、質問ごとに、1つ以上の回答形式、他の質問との間における依存関係、及び、回答の入力形式に関するタグ情報が付与されていてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザに対して、質問ごとに、回答形式、他の質問との間における依存関係、及び、回答の入力形式が適切に考慮された回答を提示することができる。
【0061】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、質問に関する情報が示す質問は、質問の本文と、当該質問に対する回答を補助するための回答補助文とを含んでいてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、質問に対する回答に関する情報をより高精度に生成することができるとともに、ユーザに対して、質問に対する精度の高い回答を提示することができる。
【0062】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報入力手順ST130では、開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを入力指示として機械学習モデルへ入力してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、質問に対する回答に関する情報を、質問の回答形式を考慮して機械学習モデルに生成させることができるとともに、ユーザに対して、質問の回答形式を考慮した精度の高い回答を提示することができる。
【0063】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、入力指示は、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、それぞれ複数含み、かつ、複数の質問に関する情報が示すそれぞれの質問と、他の質問との間における依存関係に関する情報を含んでいてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、複数の質問に対し、質問ごとに、回答形式、及び他の質問との間における依存関係が適切に考慮された回答に関する情報を機械学習モデルに生成させることができるとともに、ユーザに対して、質問ごとに、回答形式、及び他の質問との間における依存関係が適切に考慮された回答を提示することができる。
【0064】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、入力指示は、質問に対する回答の入力形式に関する情報を含んでいてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、質問に対する回答に関する情報を、回答の入力形式を考慮して機械学習モデルに生成させることができるとともに、ユーザに対して、回答の入力形式を考慮した精度の高い回答を提示することができる。
【0065】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、機械学習モデルは複数あり、情報入力手順ST130では、開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、所定の条件に応じて複数の機械学習モデルのうちのいずれかに入力してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、所定の条件に応じた適切な機械学習モデルを選択して使用することができる。また、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、ユーザに対して、所定の条件に応じた精度の高い回答を提示することができる。
【0066】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報入力手順ST130では、質問の回答形式に関する情報が示す回答形式に、自然文による回答が含まれる場合、質問に回答する旨を指示するプロンプトであって、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを含むプロンプトを生成し、生成したプロンプトと、開示情報とを大規模言語モデルに入力し、質問の回答形式に関する情報が示す回答形式に、自然文による回答が含まれない場合、開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを、大規模言語モデル以外の機械学習モデルに入力してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、回答形式に、自然文による回答が含まれるか否かに応じて、適切な機械学習モデルを選択して使用することができる。また、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、ユーザに対して、回答形式に、自然文による回答が含まれるか否かに応じて、精度の高い回答を提示することができる。
【0067】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、プロンプトは、質問に対する適切な回答が開示情報に存在しない場合、適切な回答が開示情報に存在しないことを示す旨、又は、回答を示す情報が示す回答に対する補足をユーザ端末のユーザに促す旨を大規模言語モデルに出力させる指示を含んでいてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザに対して、質問に対する適切な回答が開示情報に存在しない場合、適切な回答が開示情報に存在しないことを示す旨を通知することができる。
【0068】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報取得手順ST120では、質問に関する情報が示す質問に基づき、データベースに保存された開示情報から、当該質問に関する開示情報を検索するための検索クエリを生成し、生成した検索クエリを用いてデータベースを検索することにより、検索クエリに該当する開示情報を取得し、情報入力手順ST130では、取得した開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを入力指示として機械学習モデルへ入力してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、質問に関連する開示情報を特定開示情報として適切に取得することができ、取得した特定開示情報を入力指示として機械学習モデルへ入力することができる。
また、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、ユーザに対して、特定開示情報に基づく適切な回答を提示することができる。
【0069】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報取得手順ST120では、検索クエリを用いてデータベースから取得する開示情報の上限数を任意に設定可能である。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、取得する特定開示情報の過度な増大を抑制することができる。
【0070】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報出力手順ST140では、機械学習モデルから取得した回答に関する情報を、所定のプログラムにおいて表示できるように加工した上で出力してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、回答に関する情報を所定のプログラムにおいて表示可能とすることができる。
【0071】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報出力手順ST140では、機械学習モデルから取得した回答に関する情報のフォーマットが、当該回答の入力箇所に関する指示が記載された形式となるように、当該回答に関する情報を加工してもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、例えば、ユーザがユーザ端末UTを用いて、回答に関する情報が示す回答を、コピーアンドペーストなどの手作業により、所定のプログラムに入力する必要がある場合において、ユーザの作業負担が軽減される。
【0072】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報出力手順ST140において出力する情報は、質問に対する回答の根拠となる情報が開示情報内のどこにあるかを示す所在情報を含んでいてもよい。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザに対して、質問に対する回答の根拠となる情報が開示情報内のどこにあるかを提示することができる。また、ユーザは、質問に対する回答の根拠となる情報が開示情報内のどこにあるかを容易に把握することができる。
【0073】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、質問の回答形式が、複数の選択肢から所定の選択肢を選択させる形式である場合、所在情報は、選択の理由を説明可能な開示情報の所在を示す情報である。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザに対して、質問に対する選択肢の選択の根拠となる情報が開示情報内のどこにあるかを提示することができる。また、ユーザは、質問に対する選択肢の選択の根拠となる情報が開示情報内のどこにあるかを容易に把握することができる。
【0074】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、受付手順ST110では、質問指定情報として、ESG評価機関の名称を特定可能な質問指定情報を受け付け、情報取得手順ST120では、受付手順ST110において受け付けた質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、上記名称のESG評価機関による質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザによるESG評価機関の名称に基づく質問の指定を可能とすることができる。
【0075】
また、実施の形態2に係る情報処理プログラムにおいて、情報出力手順ST140では、回答に関する情報をユーザ端末UTに出力する際、当該回答に関する情報が示す回答に対してユーザ端末UTからの入力を受け付け可能な態様で出力する。
これによって、実施の形態2に示す情報処理プログラムは、コンピュータに所定の手順を実行させて、ユーザに対して、回答に対する入力の余地を残した形で、回答に関する情報を出力することができる。
【0076】
実施の形態1に係る情報処理装置100は、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末UTから受け付ける受付部110と、受付部110により受け付けられた質問指定情報に基づいて、所定の団体の開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得部120と、情報取得部120により取得された開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力する情報入力部130と、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報をユーザ端末UTに出力する情報出力部140と、を含む。
したがって、実施の形態1に示す情報処理装置100は、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができる。
【0077】
実施の形態1に係る情報処理方法は、情報処理装置による情報処理方法であって、受付部110が、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末UTから受け付け、情報取得部120が、受付部110により受け付けられた質問指定情報に基づいて、所定の団体の開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得し、情報入力部130が、情報取得部120により取得された開示情報と、質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とを機械学習モデルへ入力し、情報出力部140が、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報を取得し、当該取得した回答に関する情報をユーザ端末UTに出力する。情報処理装置100が上記方法を実行することにより、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 情報処理装置、110 受付部、120 情報取得部、130 情報入力部、140 情報出力部、150 開示情報データベース、160 質問情報データベース、200 ハードウエア構成、201 質問の本文、202 回答補助文、210 通信インタフェース、220 入出力インタフェース、230 プロセッサ、240 メモリ、300 機械学習モデル、301 質問の本文、302 回答補助文、303 選択肢、401 質問の本文、402 回答補助文、403 選択肢の表、501 質問識別情報、502 タグ情報、701 質問の本文、702 回答補助文、801 プロンプトに埋め込まれた質問の本文及び回答補助文、802 プロンプトに埋め込まれた選択肢、901 回答の選択肢、902 選択の根拠、UT ユーザ端末。
【要約】
【課題】 ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問に対する回答の作成を支援することができる情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】 本開示技術に係る情報処理プログラムは、ESG評価機関が所定の団体の評価に用いる質問であって、回答を行う質問としてユーザにより指定された質問を特定可能な質問指定情報をユーザ端末から受け付ける受付手順(ST110)と、質問指定情報に基づいて、所定の団体が開示する開示情報と、質問指定情報により特定される質問に関する情報と、当該質問の回答形式に関する情報とをデータベースから取得する情報取得手順(ST120)と、取得した各情報を機械学習モデルへ入力する情報入力手順(ST130)と、機械学習モデルから出力された、質問に対する回答に関する情報をユーザ端末に出力する情報出力手順(ST140)とをコンピュータに実行させる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11