(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】障子の施錠装置
(51)【国際特許分類】
E05C 1/04 20060101AFI20250218BHJP
E05C 1/06 20060101ALI20250218BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
E05C1/04 E
E05C1/06 B
E05B65/06 H
(21)【出願番号】P 2021014248
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501433619
【氏名又は名称】中西産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】村松 道浩
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博之
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6823142(JP,B1)
【文献】特開2018-104947(JP,A)
【文献】特開平06-294244(JP,A)
【文献】米国特許第05927767(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/04 - 1/06
E05C 3/08
E05C 9/00 - 9/02
E05B 5/00, 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子の施錠装置において、上記スライドバーはスライドガイドに挿通され、スライドガイドはスライドバーに弾性的な摩擦作用をもって接触する合成樹脂製の樹脂ガイドを具備していることを特徴とする障子の施錠装置。
【請求項2】
上記スライドガイドは、ガイドカバーと該ガイドカバー内に装着される樹脂ガイドを有し、該樹脂ガイドは、スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触するようスライドバーの側面に向けて突出する合成樹脂製の板状体で構成され、該樹脂ガイドを金属製のガイドカバーの内面に固定した請求項1に記載の障子の施錠装置。
【請求項3】
上記ガイドカバーは両側に側壁を有する断面コ字状に形成され、上記樹脂ガイドは上記側壁に沿って延びる作用部を有し、該作用部の外方にはガイドカバーの側壁の内面にあたって作用部を内側に撓ませるよう圧接突起が設けられている請求項2に記載の障子の施錠装置。
【請求項4】
上記樹脂ガイドには、ガイドカバーに設けた掛け止め孔に係合可能な掛け止め爪が形成されており、該掛け止め爪を掛け止め
孔に係合させる際、上記作用部が内方に撓みながら上記圧接突起が側壁の端縁を越えて側壁の内側に入り込むことを特徴とする請求項3に記載の障子の施錠装置。
【請求項5】
上記樹脂ガイドに設けた掛け止め爪は、傾斜面を介してガイド
カバーの掛け止め孔に係合する請求項4に記載の障子の施錠装置。
【請求項6】
上記スライドガイドは、合成樹脂材料で形成され、スライドバーに接する内面が、該スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触する樹脂ガイドとして形成されている請求項1に記載の障子の施錠装置。
【請求項7】
窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子施錠装置において、上記スライドバーはスライドガイドに挿通され、スライドガイド若しくはスライドバーには、スライドバー若しくはスライドガイド側に弾性的な摩擦作用をもって接触する摺接突起が設けられている障子の施錠装置。
【請求項8】
上記スライドバー若しくはスライドガイドには、スライドバーが所定位置に移動したとき摺接突起が嵌入するよう係止溝が設けられている請求項7に記載の障子の施錠装置。
【請求項9】
窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子施錠装置において、上記スライドバーの施錠方向の移動端の近傍に該スライドバーを弾性的に保持するようばね性を持ったフリクション発生装置を設けた請求項1に記載の障子の施錠装置。
【請求項10】
上記ロックピンには外周に合成樹脂製のカラーが装着されている請求項1から9のいずれかに記載の障子の施錠装置。
【請求項11】
上記スライドバーには、スライドバーが窓枠に接しないよう合成樹脂製の樹脂ブロックが設けられている上記請求項1から10のいずれかに記載の障子の施錠装置。
【請求項12】
上記請求項1から11のいずれかに記載の障子の施錠装置を備えた障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ハンドルを介してスライドバーを移動させ、ロックピンと係止片により障子を施錠できるようにした障子の施錠装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
窓枠と障子にロックピンと該ロックピンに係合可能な係止片を設け、障子を閉鎖したときロックピン若しくは係止片を移動させて施錠するようにした障子の施錠装置が知られている (例えば特許文献1参照)。窓枠には、縦枠に沿って上下動可能に若しくは横枠に沿って水平動可能にスライドバーが設けられ、上下動する場合には、スライドバーの上方部分にロックピン若しくは係止片を設け、このスライドバーの下方部分に操作ハンドルのクランクを連結してある。上下動するスライドバーでは、操作ハンドルを回動すると、クランクを介してスライドバーが縦枠に沿って上下動し、ロックピンと係止片が係合して施錠し障子を閉鎖位置に引き寄せたり、係合が外れて解錠し障子を開放可能にすることができる。一般に、スライドバーは、スライドガイドにガイドされて直線往復運動するが、このスライドガイドやスライドバーは、通常、金属材料で形成され、かつ直線動を滑らかにするためスライドガイドとスライドバーの接触面間には十分なクリアランスが設けられている。そのため、障子の施錠、解錠の途中で操作ハンドルから手が離れると、上下動式のスライドバーでは、操作ハンドルの抵抗に打ち勝って、自重でスライドバーが落下したり、水平動式のスライドバーでは左右に移動してしまうことがある。上下動式の場合は、スライドバーの落下により、金属製部品間の衝突音が大きく、故障の原因にもなっていた。
【0003】
上記スライドバーと操作ハンドルは、操作ハンドルにより回転するクランクに係合孔を設け、この係合孔をスライドバーに設けた接続ピンに係合して連結され、操作ハンドルによりクランクを回転すると、係合孔及び接続ピンを介してスライドバーが上下動等するように構成されている。そして、施錠位置では接続ピンと係合孔の接触位置がデッドとなるように係合孔の形状を定めてスライドバーをロックし解錠方向に移動しないようにしている(例えば特許文献1 段落0017参照)。実際には、解錠時にスライドバーとクランクが交差する角度と、施錠時にスライドバーが交差する角度により、上記係合孔の形状が異なることになり、その都度設計する必要がある。いずれにしても、デッドポイントに接続ピンが入り込むと、デッドポイントから脱出させるために、大きな力が必要であるので、無理なく脱出させることができるよう、一般的には上記係合孔は、略ハート型の形状に作られていることが多い。しかし、それでも解錠操作の際に、操作ハンドルを回転するために大きな力が必要だったり、回転操作にひっかかりが生じたりして、滑らかな操作ができないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-104947号公報(段落0015、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、操作ハンドルによりスライドバーを移動させてロックピンと係止片を係合、離脱し、施錠、解錠できるようにした障子の施錠装置において、操作ハンドルから手を離してもスライドバーが勝手に移動しないようにでき、操作ハンドルにより回転されるクランクに設ける係合孔の形状も特殊な形状にしなくても円滑に操作できるようにした障子の施錠装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子の施錠装置において、上記スライドバーはスライドガイドに挿通され、スライドガイドはスライドバーに弾性的な摩擦作用をもって接触する合成樹脂製の樹脂ガイドを具備していることを特徴とする障子の施錠装置が提供される。
【0007】
上記スライドガイドは、ガイドカバーと樹脂ガイドを有し、樹脂ガイドは、スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触するようスライドバーの側面に向けて突出する合成樹脂製の板状体で構成され、該樹脂ガイドを、金属製のガイドカバーの内面に固定した上記障子の施錠装置が提供される。
【0008】
上記スライドガイドは樹脂材料で形成され、スライドバーに接する内面が、該スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触する樹脂ガイドとして形成されている上記障子の施錠装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子施錠装置において、スライドバーの移動を案内するスライドガイド若しくはスライドバーに、先端に摺接突起を有する弾性的な樹脂ガイドを設け、該摺接突起を弾性的な摩擦作用をもってスライドバー若しくはスライドガイドに接触させたことを特徴とする障子の施錠装置が提供され、好ましくは上記スライドバー若しくはスライドガイドの所定位置には、例えばスライドバーが施錠位置に位置したとき及び解錠位置に位置したとき摺接突起が嵌入する係止溝が、スライドバー若しくはスライドガイドに設けられている上記障子の施錠装置が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子施錠装置において、上記スライドバーの施錠方向の移動端の近傍に該スライドバーを弾性的に保持するようばね性を持ったフリクション発生装置を設けた障子の施錠装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のように構成され、スライドガイドにスライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触する樹脂ガイドを設けたから、スライドバーの移動を摩擦的に拘束することができ、操作ハンドルから手を離してもスライドバーが自重で落下したり、勝手に移動しないようにでき、衝突音の発生や故障を少なくすることができる。したがって、スライドバーを施錠位置に保持できるので、従来のようにスライドバーの接続ピンに係合するクランクの係合孔の形状は、従来のような特殊な形状にする必要がなく、例えば略楕円形等の形状に形成することもでき、構造が簡単で係合孔の設計も容易である。
【0012】
また、上記樹脂ガイドを、スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用で接触するようスライドバーの側面に向けて突出する樹脂製の板状体に形成し、これを金属製のガイドカバーの内面に固定してスライドガイドを構成すると、スライドガイドの強度を保持して安定状態でスライドバーのガイドを行うことができる。
【0013】
さらに、上記スライドバーに接するスライドガイドの内面が、スライドバーの側面に弾性的な摩擦作用をもって接触するようスライドガイド自体を合成樹脂材料で形成すると、内面がそのままスライドバーの移動に摩擦的な拘束力を与える樹脂ガイドとなり、製造が簡単で、経済的に得ることができる。
【0014】
上記スライドガイド若しくはスライドバーに、先端に摺接突起を有する弾性的な樹脂ガイドを設け、この樹脂ガイドを弾性的な摩擦作用をもってスライドバー若しくはスライドガイドに接触させると、スライドバーの移動に摩擦的な拘束力を与えることができ、かつ所定位置に、例えば施錠位置に係止溝を設けて摺接突起が嵌入するようにすると、スライドバーを確実に施錠位置に保持して、自重による落下を防止できる。また、解錠位置にも係止溝を設けて摺接突起が嵌入するようにすると、スライドバーを解錠位置に保持することができる。
【0015】
また、窓枠に沿って設けたスライドバーを操作ハンドルにより直線往復運動させ、該スライドバーに設けたロックピン若しくは係止片を障子に設けた係止片若しくはロックピンに係合、離脱して施錠、解錠する障子施錠装置において、上記スライドバーの施錠方向の移動端の近傍に該スライドバーを弾性的に保持するようばね性を有するフリクション発生装置を設けると、施錠方向の移動端でスライドバーを弾性的な摩擦作用でその位置に保持することができ、既存のスライドバーにも組み込むことができるので、後付けが可能であり、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】障子に設けた係止片と、窓枠に設けたスライドバー、スライドガイド及び操作ハンドルとの対応関係を示す説明図。
【
図2】スライドガイド部分を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)ロックピン部分を断面して示す拡大説明図。
【
図3】ガイドカバーを示し、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)側面図、(D)は底面図。
【
図4】樹脂ガイドを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)背面図、(D)は断面図、(E)は中央部分の断面図及びその一部の拡大説明図。
【
図5】スライドバーと樹脂ガイドの関係を示す説明図。
【
図6】他の実施例を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)平面図。
【
図7】
図6に示す実施例のスライドバーと樹脂ガイドの関係示す説明図。
【
図8】さらに他の実施例を示し、(A)は正面図、(B)は一部の拡大説明図。
【
図9】フリクション発生装置の一実施例を示す斜視図。
【
図10】フリクション発生装置の他の実施例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る障子の施錠装置は、障子1に対応して設けられた窓枠にスライドバー2を移動可能に設け、操作ハンドル3のクランク4を介して直線往復運動させ、該スライドバー2に設けたロックピン5若しくは係止片6を障子1に設けた係止片6若しくはロックピン5に係合、離脱して施錠、解錠するよう構成されている。
図1に示す実施例では、上記ロックピン5はスライドバー2に固定され、係止片6が障子1に固定されている。係止片6はロックピン5方向に開口する受溝7を有する掛止部8を有し、ロックピン5は障子を閉鎖したとき該掛止部8の開口に入り込む位置にある。そして、閉鎖位置で上記スライドバー2を、ロックピン5が掛止部8の受溝7に入り込む方向に、
図1においては、上方に移動させると係止片6とロックピン5が係合し、障子1を施錠することができる。スライドバー2を逆方向に、
図1においては下方に移動させると、ロックピン5は掛止部8の開口に戻り、解錠位置になって障子を開放することができる。なお、上記係止片6の掛止部8の受溝7が延びる方向により、スライドバーを降下させて施錠し、上昇させてロックを解除することもある。上記スライドバー2は、スライドガイド9に案内されて直進往復運動する。スライドガイドは、
図1においては1つのスライドガイドが示されているが、スライドバーの長さに応じて複数のスライドガイドが設けられる。
【0018】
上記スライドバー2は、アルミ材料等の金属材料で形成され、
図2(C)の説明図に示すように、両側に延びる側辺部10と、側辺部10間に広がる空間部11と、空間部11の上方で起立面12を介して両側辺部10を連絡する天面部13を有する断面略縁付きサラ状に形成されている。該スライドバー2の一端側には、接続ピン14が固定され、該接続ピン14にはクランク4に設けた係合孔15が係合し、上述のように、クランク4は操作ハンドル3により回転される。上記天面部13には、長溝16が形成されており、該長溝16にはスライドガイド9に設けたガイドピン17が挿通される。またスライドガイド9の平面部18に設けた開口部19から突出するように上記ロックピン5がスライドバー2に設けられている。
図2(A)、(B)を参照し、該ロックピン5はロックピンベース20に固定され、該ロックピンベース20をスライドバーの天面部13に載置し、スライドバー2の裏面側の空間部11に摺動ブロック21をあてがって上記ロックピン5に連絡するブロック取付軸22を貫通して固定してロックピン5と摺動ブロック21を一体化し、さらに、上記ロックピンベース20をねじ及びナット等の止具23によりスライドバー2に固定してある。上記接続ピン14及びロックピン5をスライドバー2に固定する方法としては種々に構成することができる。なお、上記ロックピン5の外周には、係止片6との金属同志の滑り接触を回避するため、合成樹脂製のカラー45を装着してある。また上記摺動ブロック21は、スライドバー2の側辺部10の下面よりも少し下方に突出するよう合成樹脂材料で形成され、窓枠の表面から少し浮かせた状態にスライドバー2を保持して直接窓枠に摺接しないようにしてある。
【0019】
図1に示す上記スライドガイド9は、両端が開口する断面略コ字状に形成され、アルミ材料等の金属製のガイドカバー24と、その内面に固定される合成樹脂製の樹脂ガイド25で構成されている。ガイドカバー24は、
図3に示すように、平面部18の両側に側壁26を有するほぼ断面コ字状に形成され、上下端には樹脂ガイド25の抜け止め用の屈曲片27が形成され、側壁26の端部側には掛け止め孔28が形成されている。また、上記平面部18には上記ロックピン5が挿通する上記開口部19が形成され、該開口部19の両端には上記ロックピン5及び止具23の移動に支障を生じないよう、逃げ孔29が形成され、開口部の上下方向にはねじ(図示略)を通してスライドガイド9を窓枠に固定するための取付孔30が形成されている。
【0020】
図4等を参照し、樹脂ガイド25は、ポリアセタール樹脂等の合成樹脂材料で板状体に形成され、端部側には、上記ガイドカバー24の平面部18と側壁26の内側にほぼ内接する形状の取付部31が形成され、該取付部31には上記ガイドピン17が突設され、かつ上記ガイドカバー24の取付孔30に連通する孔32が形成されている。上記両端の取付部31の中程は、上記ロックピン5が開口部19を通して外方に突出するよう開口されており、該開口の両側には、上記ガイドカバー24の側壁26に沿って、上記ロックピンベース20の端縁が摺動若しくは摺接可能な摺接面33が形成されている。該摺接面33とガイドカバー24の平面部18の内面間には、ロックピンベース20が自由に移動できる空間が形成されている。上記摺接面の両側には上記スライドバー2の起立面12及び側辺部10を囲んで上記ガイド
カバー24の側壁26沿って延びる作用部34が形成されている。なお、上記ロックピンベース20と摺動ブロック21を連結した際、ロックピンベース20とスライドバー2の天面部13間で摺接面33を強く挟着しないよう上記起立面12の高さを定めてある。
【0021】
上記樹脂ガイド25の側面には、上記ガイドカバー24に形成した掛け止め孔28に対応する位置に掛け止め爪35が形成されており、該掛け止め爪35は、ガイドカバー24の裏面側から樹脂ガイド25をガイドカバー内に装着するとき、滑り込みながら容易に掛け止め孔28に係合するよう傾斜面36を介して上記取付部31の縁部に連接されている。また、上記掛け止め爪35に隣接して、樹脂ガイド25の中間部側には、略矩形状の圧接突起37が形成されている。該圧接突起37は、上記掛け止め爪35よりも少し少なく突出するよう上記作用部34の外面に形成されている。上記樹脂ガイド25をガイドカバー24に装着するとき、掛け止め爪35がガイドカバー24の側壁26に当って内側に押されることにより、樹脂ガイド25の作用部34が内方に変形、すなわち撓んで、圧接突起37はガイドカバー24の側壁26の端縁を乗り越えて内側に入り込み、該側壁26に引っかからずに側壁の内側に位置するようにしてある。なお、図に示す実施例では、上記掛け止め爪や圧接突起は、合計4箇所に設けてあるが、これらは適宜箇所に適数設けることができる。
【0022】
上記のようにして、樹脂ガイド25をガイドカバー24に装着すると、掛け止め爪35がガイドカバー24の掛け止め孔28に入り込んで樹脂ガイド25はガイドカバー24に確実に固定される。このとき、圧接突起37はガイドカバー24の側壁26の内側に当接するから、樹脂ガイド25の作用部34は、樹脂ガイド25の仮想中心線方向に(内方に)弾性的に撓む。したがって、作用部34間に位置するスライドバー2は、弾性的な摩擦作用を持って作用部34に接する。
【0023】
上記のように、樹脂ガイド25をガイドカバー24の内面に固定することにより、
図5に示すように樹脂ガイド25の作用部34が樹脂ガイド25の両側から内方に湾曲して撓むので、作用部34間に挟まれたスライドバー2の側面に弾性的な摩擦作用をあたえてスライドバー2の移動に摩擦的な拘束力を与えることができる。したがって、操作ハンドル3から手を離してもスライドバー2が自重で落下したり、勝手に移動することを防止できる。
【0024】
上記実施例では、ロックピン5をスライドバー2に設け、係止片6を障子1に設け、スライドガイド9の平面部の下方で、すなわちスライドガイド9の内側でスライドバー2が移動するようにしたが、係止片6をスライドバー2に設け、スライドバー2がスライドガイド9の平面部の上方に位置するように構成することもできる。さらに、スライドガイドを、ガイドカバーと、ガイドカバーに固定した合成樹脂製の板状体の樹脂ガイドで構成してあるが、スライドガイド自体を合成樹脂製とすることもできる。
図6は、そのような実施例を示し、スライドバー2は、接続ピン14と、長溝16を有し、受溝7及び掛止部8を有する断面略L字状の係止片6がねじ38により固定されている。図示を省略した障子側には、上記係止片6に係合可能なロックピン(図示略)が設けられている。上記長溝16には窓枠に固定された段付きのガイドピン39が挿通しており、スライドバー2は該ガイドピン39の段部面上を摺動し、ガイドピン39の両側にはスライドバー2の両側を囲むように側壁40を有するスライドガイド41が形成されている。該スライドガイド41は、全体が合成樹脂材料で形成され、側壁40の中間部分は、両端部に比べて内側に、すなわち仮想中心線方向に湾曲し、スライドバーを挟着できる樹脂ガイド42を形成されている。
【0025】
上記の構成により、
図7に示すように、側壁40間に挟まれたスライドバー2は、樹脂ガイド42で挟着され、弾性的な摩擦作用をもって樹脂ガイドに接触し、これによりスライドバー2の移動は摩擦的に拘束され、自重で落下したり、移動しないようにできる。
【0026】
図6に示す実施例では合成樹脂製のスライドガイド41の側壁を湾曲させてスライドバー2の移動に摩擦的な拘束力を与える樹脂ガイド42としたが、スライドガイド41にばね性を有する側壁を形成してその一部を樹脂ガイドとすることもできる。
図8は、そのような一実施例を示し、スライドガイド41に形成したばね性を有する合成樹脂製の樹脂ガイド46の先端に、弾性的な摩擦作用をもってスライドバー2の側面に接触するよう摺接突起47を形成してある。そして、好ましくは、スライドバー2の所定位置に、例えば施錠方向に移動してスライドバーが施錠位置にあるとき、上記摺接突起47が嵌入するようスライドバー2に係止溝48を設けておくと、スライドバー2の移動中に弾性的な摩擦作用を与えることができるとともに施錠時に上記摺接突起47が係止溝48に嵌入してスライドバー2を確実に施錠位置に保持することができ、自重による落下を防止することができる。なお、スライドバーが解錠位置にあるときに摺接突起47が嵌入するよう解錠方向側にも係止溝49を設けてもよい。また
図8のa側又はb側の片側のみに、スライドガイドに摺接突起を設け、スライドバーに係止溝を形成してもよいし、スライドバー側に摺接突起を設けてその先端が弾性的な摩擦作用でスライドガイドに接触してスライドバーの移動に摩擦的な拘束力を与えるようにしてもよい(図示略)。
【0027】
スライドガイド2に樹脂ガイド25等を設けずに、スライドバーの移動に摩擦的な拘束力を与えることもできる。そのためには、スライドバーの施錠方向の移動端の近傍に、該スライドバー2を弾性的に保持するようばね性を持ったフリクション発生装置を設け、スライドバーに弾性的な摩擦作用を与えればよい。フリクション発生装置としては、金属材料や合成樹脂材料でばね性を持ったキャッチャ-を構成し、例えば
図9に示すように、ばね性を有する略弧状の圧接片43を、スライドバー2の施錠方向の移動端の近傍の側方に固定し、スライドバー2の天面部13に弾性的に接触させればよい。また、
図10に示すようにスライドバー2の施錠方向からスライドバーの長手方向に、ばね性を有する略弧状の圧接片44を固定して先端をスライドバー2の天面部13に弾性的に接触させればよい。このようにすれば、スライドバーが施錠位置に近づいたとき、圧接片43、44がスライドバー2を弾性的に押圧するので、スライドバーの移動に摩擦的な拘束力を与えることができ、スライドバーが自重で落下したり、勝手に移動しないようにできる。
【符号の説明】
【0028】
2 スライドバー
3 操作ハンドル
4 クランク
5 ロックピン
6 係止片
9 スライドガイド
14 接続ピン
20 ロックピンベース
21 摺動ブロック
24 ガイドカバー
25 樹脂ガイド
26 側壁
28 掛け止め孔
34 作用部
35 掛け止め爪
37 圧接突起