(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】バッテリー寿命予測装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20250218BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250218BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
G01R31/392
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2022567853
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2021010476
(87)【国際公開番号】W WO2022035152
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101865
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ス・ビン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・チュル・アン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ホン・ハン
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0115937(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0044415(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0028183(KR,A)
【文献】RUBENBAUER, Hubert; HENNINGER, Stefan,“Definitions and reference values for battery systems in electrical power grids”,2017年,https://www.ees.tf.fau.de/files/2017/10/20170509Battery_Henninger.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H02J 7/00
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力パターンデータを格納する格納部、
前記電力パターンデータに基づいて、バッテリーの充放電に関する目標パラメータ値を有するように前記バッテリーの寿命予測のためのテストパターンを生成するパターン生成部、及び
前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測する寿命予測部
を
含み、
前記複数の電力パターンデータは、一定時間単位で繰り返されるパターンである
バッテリー寿命予測装置。
【請求項2】
前記目標パラメータ値は、使用者により入力された値である、請求項1に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項3】
前記目標パラメータ値は、最大SOE、最小SOE、最初のSO
E及び最終SO
Eのうち少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項4】
前記パターン生成部は、生成されたテストパターンのパラメータ値と前記目標パラメータ値の差が予め設定された基準値未満となるまで前記テストパターンを繰り返して生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項5】
複数の電力パターンデータを格納する格納部、
前記電力パターンデータのスケールを変更してバッテリーの寿命予測のためのテストパターンを生成するパターン生成部、及び
前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測する寿命予測部
を
含み、
前記複数の電力パターンデータは、一定時間単位で繰り返されるパターンである
バッテリー寿命予測装置。
【請求項6】
前記パターン生成部は、前記電力パターンデータ
を区間別に分割し、前記区間別に電力値を調整することにより前記テストパターンを生成する、請求項5に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項7】
前記パターン生成部は、前記テストパターンが目標パラメータ値を有することを可能にするために、分割された前記区間のそれぞれに対してスケーリング値を乗じることにより前記テストパターンを生成する、請求項6に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項8】
前記電力パターンデータは、電力系統で実際に用いられる電力パターンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項9】
前記電力系統で実際に用いられる電力パターンは
、周波数調整電力パターンを含む、請求項8に記載のバッテリー寿命予測装置。
【請求項10】
複数の電力パターンデータのうち少なくとも1つの電力パターンデータを抽出するステップ、
抽出された前記電力パターンデータに基づいて、バッテリーの充放電に関する目標パラメータ値を有するように前記バッテリーの寿命予測のためのテストパターンを生成するステップ、及び
前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測するステップ
を
含み、
前記複数の電力パターンデータは、一定時間単位で繰り返されるパターンである
バッテリー寿命予測方法。
【請求項11】
複数の電力パターンデータのうち少なくとも1つの電力パターンデータを抽出するステップ、
抽出された前記電力パターンデータのスケールを変更してバッテリーの寿命予測のためのテストパターンを生成するステップ、及び
前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測するステップ
を
含み、
前記複数の電力パターンデータは、一定時間単位で繰り返されるパターンである
バッテリー寿命予測方法。
【請求項12】
前記テストパターンを生成するステップは、前記電力パターンデータを区間別に分割し、且つ前記区間別に電力値を調整することにより前記テストパターンを生成するステップを含む、請求項11に記載のバッテリー寿命予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2020年8月13日に出願された韓国特許出願第10-2020-0101865号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、バッテリーの充放電テスト用パターンを生成してバッテリー寿命を予測するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、二次電池に対する研究と開発が活発に行われている。ここで、二次電池は、充放電が可能な電池であって、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などと、最近のリチウムイオン電池を全て含む意味である。二次電池のうちリチウムイオン電池は、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などに比べてエネルギー密度が遥かに高いという長所がある。また、リチウムイオン電池は、小型、軽量に製作することができるので、移動機器の電源として用いられる。さらに、リチウムイオン電池は、電気自動車の電源に使用の範囲が拡張され、次世代のエネルギー貯蔵媒体として注目を受けている。
【0004】
また、二次電池は、一般的に複数個のバッテリーセルが直列及び/又は並列に連結されたバッテリーモジュールを含むバッテリーパックとして用いられる。そして、バッテリーパックは、バッテリー管理システムにより状態及び動作が管理及び制御される。
【0005】
一方、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)の場合、充放電サイクルを介したバッテリー残存率の予測時に同一のサイクルを繰り返す形態でテストを進めるので、同一でないサイクルを混用する実際の現場に対して適用するには正確度が落ちるという問題点があった。例えば、このような従来の方式では、バッテリー電圧が3Vから4.2Vである範囲でそれぞれCP-rateを変更しながら残存率テストを進め、これから導出されたデータを用いて実際のサイトの残存率(寿命)を予測する方式を用いていた。
【0006】
しかし、実際の現場では、CP-rateがリアルタイムで変更されながら充放電を行うので、同一のサイクルを繰り返す従来のようなテストに基づいた残存率データを混用して算出された予想残存率は、実際の現場で用いられるパターンに基づいた実際の残存率とはその差が大きくならざるを得なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような課題を解決するために考案されたものであって、実際の現場で用いる電力パターンデータに基づいて使用者が望むパラメータ値を有するようにテスト用パターンを生成することにより、実際の現場と類似した電力パターンを介して充放電テストを行うことができるので、実際の現場のバッテリー残存率予測の正確度を向上させることができるバッテリー寿命予測装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置は、実際の現場で用いられる複数の電力パターンデータを格納する格納部、前記電力パターンデータに基づいてバッテリー寿命予測のためのテストパターンを生成するパターン生成部、及び前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測する寿命予測部を含むことができる。
【0009】
本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測方法は、実際の現場で用いられる複数の電力パターンデータのうち少なくとも1つの電力パターンデータを抽出するステップ、抽出された前記電力パターンデータに基づいてバッテリー寿命予測のためのテストパターンを生成するステップ、及び前記テストパターンに基づいて前記バッテリーの残存寿命を予測するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバッテリー寿命予測装置及び方法によると、実際の現場で用いる電力パターンデータに基づいて使用者が望むパラメータ値を有するようにテスト用パターンを生成することにより、実際の現場と類似した電力パターンを介して充放電テストを行うことができるので、実際の現場のバッテリー残存率予測の正確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一般的なバッテリーパックの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置で用いられる実際のPNNLパターンデータを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置で実際に生成されたテストパターンのパラメータ値とターゲットパラメータ値を例示的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置により生成されたテストパターンとパワーヒストグラムを例示的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るバッテリーバッテリー寿命予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しつつ、本発明の多様な実施形態について詳細に説明する。本文書において、図上の同一の構成要素については同一の参照符号を使用し、同一の構成要素に対する重複された説明は省略する。
【0013】
本文書に開示されている本発明の多様な実施形態について、特定の構造的又は機能的説明は、ただ本発明の実施形態を説明するための目的として例示されたものであって、本発明の多様な実施形態は様々な形態に実施されてよく、本文書に説明された実施形態に限定されるものとして解釈されてはならない。
【0014】
多様な実施形態で用いられた「第1」、「第2」、「第一」又は「第二」などの表現は、多様な構成要素を順序及び/又は重要度に関係なく修飾することができ、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素として命名されてよく、類似に、第2構成要素も第1構成要素に変えて命名されてよい。
【0015】
本文書で用いられた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、他の実施形態の範囲を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現を含むことができる。
【0016】
技術的又は科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有することができる。一般的に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一又は類似の意味を有するものと解釈されてよく、本文書で明らかに定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。場合によって、本文書で定義された用語であっても、本発明の実施形態を排除するように解釈されてはならない。
【0017】
図1は、一般的なバッテリーパックの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーラック1と上位システムに含まれている上位制御器2とを含むバッテリー制御システムを概略的に示す。
【0019】
図1に示されているように、バッテリーラック1は、1つ以上のバッテリーセルからなり、充放電可能なバッテリーモジュール10と、バッテリーモジュール10の(+)端子側又は(-)端子側に直列に連結されてバッテリーモジュール10の充放電電流の流れを制御するためのスイッチング部14と、バッテリーラック1の電圧、電流、温度などをモニタリングすることで、過充電及び過放電などを防止するように制御管理するバッテリー管理システム20(例えば、MBMS)とを含む。このとき、バッテリーラック1には、バッテリーモジュール10、センサ12、スイッチング部14及びバッテリー管理システム20が複数個備えられてよい。
【0020】
ここで、スイッチング部14は、複数のバッテリーモジュール10の充電又は放電に対する電流の流れを制御するための半導体スイッチング素子であって、例えば、バッテリーラック1の仕様により少なくとも1つのMOSFETやリレー、マグネチック接触器などが用いられてよい。
【0021】
また、バッテリー管理システム20は、バッテリーラック1の電圧、電流、温度などをモニタリングするために、半導体スイッチング素子のゲート、ソース及びドレインなどの電圧及び電流を測定するか計算することができる。また、バッテリー管理システム20は、半導体スイッチング素子に隣接して設けられたセンサ12を用いてバッテリーラック1の電流、電圧、温度などを測定することができる。
【0022】
バッテリー管理システム20は、前述した各種パラメータを測定した値の入力を受けるインターフェースであって、複数の端子と、これら端子と連結されて入力を受けた値の処理を行う回路などを含むことができる。また、バッテリー管理システム20は、スイッチング部14、例えば、MOSFETのON/OFFを制御することもでき、バッテリーモジュール10に連結されてバッテリーモジュール10それぞれの状態を監視することができる。
【0023】
一方、本発明のバッテリー管理システム20では、以下で後述するように、実際の現場における電力パターンデータに基づいてバッテリーの残存率(寿命)予測のためのテストパターンを生成することができる。また、このようなテストパターンに基づいてバッテリーの残存寿命を予測することができる。
【0024】
上位制御器2は、バッテリー管理システム20にバッテリーモジュール10に対する制御信号を伝送することができる。これによって、バッテリー管理システム20は、上位制御器から印加される信号に基づいて動作が制御され得るはずである。一方、本発明のバッテリーセルは、ESS(Energy Storage System)に用いられるバッテリーモジュール10に含まれた構成であってよい。そして、このような場合、上位制御器2は、ESS制御器であってよい。但し、バッテリーラック1は、このような用途に限定されるものではない。
【0025】
このようなバッテリーラック1の構成及びバッテリー管理システム20の構成は公知の構成なので、より具体的な説明は省略する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置200は、格納部210、パターン生成部220及び寿命予測部230を含むことができる。
【0028】
格納部210は、実際の現場で用いられる複数の電力パターンデータを格納することができる。このとき、格納部210に格納された電力パターンデータは、電力系統で実際に用いられる電力パターンを含むことができる。例えば、電力系統で実際に用いられる電力パターンは、周波数調整(Frequency Regulation、FR)電力パターンであって、PNNL(Pacific Northwest National Laboratory)パターンを含むことができる。
【0029】
パターン生成部220は、格納部210に格納された電力パターンデータに基づいてバッテリー寿命予測のためのテストパターンを生成することができる。この場合、パターン生成部220は、バッテリーの充放電に関する目標パラメータ値を有するようにテストパターンを生成することができる。このとき、目標パラメータ値は、使用者により入力された値であってよく、例えば、目標パラメータ値は、電力パターンデータの全区間(例えば、24時間)における最大/最小SOE(state of energy)、最初/最終SOE及び平均CP(充放電の強さ)を含むことができる。しかし、目標パラメータ値がこれに制限されるものではなく、その他にもバッテリーの充放電パターンを定義するための幾多のパラメータ値が用いられてよい。
【0030】
また、パターン生成部220は、生成されたテストパターンのパラメータ値と目標パラメータ値の差が予め設定された基準値未満となるまでテストパターンを繰り返して生成することができる。このとき、基準値は、使用者により任意に設定されてよい。
【0031】
パターン生成部220は、電力パターンデータのスケールを変更してテストパターンを生成することができる。具体的に、パターン生成部220は、電力パターンデータを区間別に分割し、各区間別に電力値を調整することによりテストパターンを生成することができる。例えば、パターン生成部220は、電力パターンデータにおいて類似したパターンが表れる区間別に分割することができる。また、テストパターンが目標パラメータ値を有することを可能にするために、分割された区間のそれぞれに対してスケーリング値を乗じることによりテストパターンを生成することができる。
【0032】
寿命予測部230は、テストパターンに基づいてバッテリーの残存寿命を予測することができる。例えば、パターン生成部220で生成されたテストパターンと当該パターンに関する数値が寿命予測部230に入力されると、寿命予測部230では、既設定されたアルゴリズムによりバッテリーの充放電テストを進め、バッテリーの残存寿命を予測することができる。
【0033】
一方、
図2には示していないが、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置200は、入力部を含むことができる。よって、使用者は、入力部を介して望む目標パラメータ値などを直接設定することができる。例えば、入力部は、キーボード、タッチパッド、マウスなどを含むことができる。
【0034】
また、
図2では、実際の現場で用いられる複数の電力パターンデータを格納部210に格納するものとして説明したが、本発明がこれに制限されるものではなく、このような電力パターンデータは、外部サーバーのデータベースに格納されていてよい。このような場合、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置200は、通信部(図示せず)を備え、通信部を介して電力パターンデータを外部サーバーから受信し、これに基づいてテストパターンを生成することができる。
【0035】
このように、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置によると、実際の現場で用いる電力パターンデータに基づいて使用者が望むパラメータ値を有するようにテスト用パターンを生成することにより、実際の現場と類似した電力パターンを介して充放電テストを行うことができるので、実際の現場の残存率予測の正確度を向上させることができる。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置で用いられる実際のPNNLパターンデータを示す図である。
図3を参照すると、x軸は時間(時/分/秒)であり、y軸はSOE(%)を示し得る。
【0037】
図3のPNNLパターンは、実際にヨーロッパの電力市場で用いられる電力パターンである。ここで、PNNLパターンは、24時間バッテリーなどの電源装置で充放電がなされることを示す電力パターンであってよい。
図3に示したように、実際に現場で用いられるPNNLパターンは、一定時間単位で繰り返される形態で表れ得る。
【0038】
一方、
図3のPNNLパターンは例示的なものであり、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置で用いられるPNNLパターンが、
図3に示したものに制限されるのではない。また、PNNLパターン以外にも、実際の電力市場で用いられる多様な電力パターンデータが用いられてよい。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置で実際に生成されたテストパターンのパラメータ値とターゲットパラメータ値とを例示的に示す図である。
【0040】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置において、サンプリング時間を4秒としてテストパターンを生成したことを示している。また、
図4に示したように、目標パラメータは、最大/最小SOE、最初/最終SOE及び平均CPに対して算出されてよい。
【0041】
図4において、正規化(Normalized)値とスケール変更(Scale-changed)値は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置においてテストパターンを生成するために用いられる計算用数値である。また、
図4を参照すると、目標パラメータ値は、最大/最小SOEがそれぞれ80%、20%であり、最初/最終SOEはそれぞれ50%であり、平均CPの場合、0.5000(1/hr)であることが分かる。このような目標パラメータ値は、使用者により直接入力されてよい。
【0042】
一方、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置によってこのような目標パラメータ値となるように生成されたテストパターンのパラメータ値は、
図4に示したように、最大/最小SOEがそれぞれ82.08%、20.44%であり、最初/最終SOEがそれぞれ50、50.05%であり、平均CPが0.5091(1/hr)であることが分かる。
【0043】
このとき、生成されたテストパターンのパラメータ値のそれぞれが目標パラメータ値に対して事前に設定された基準範囲に含まれる場合は、当該テストパターンをバッテリーの残存寿命の算出に用いることができる。しかし、生成されたテストパターンのパラメータ値のうちの1つ以上が、目標パラメータ値に対して事前に設定された基準範囲を逸脱する場合は、当該基準範囲に含まれるまで繰り返しテストパターンを生成することができる。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置により生成されたテストパターンとパワーヒストグラムを例示的に示す図である。
【0045】
図5において、上段グラフは、生成されたテストパターンを示すグラフであって、x軸は時間(時/分/秒)を示し、y軸はSOE(%)を示す。また、
図5の下段グラフは、生成されたテストパターンに対するパワーヒストグラムであって、x軸はSOEの範囲を示し、y軸はSOEの大きさのそれぞれに対するデータの数を示す。このとき、
図5の各テストパターンは、
図3のPNNLパターンデータを用いて生成されたものである。
【0046】
図5に示したように、
図3の同一のPNNLパターンデータを用いたとしても、多様なテストパターンが生成され得ることが分かる。すなわち、
図3のPNNLパターンデータを類似のパターンに応じて幾多の区間に分割した後、それぞれの区間に対して目標パラメータ値を有するようにスケーリング(例えば、各区間の電力値に特定の数値を繰り返し乗じる)を行うことによりテストパターンの形態を多様に示すことができる。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測方法を示すフローチャートである。
【0048】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測方法においては、先ず予め格納された複数の電力パターンデータのうち少なくとも1つの電力パターンデータを抽出する(S610)。このとき、複数の電力パターンデータは、前述した格納部又は外部サーバーに格納されていてよい。また、電力パターンデータは、電力系統で実際に用いられる電力パターンを含むことができる。例えば、電力系統で実際に用いられる電力パターンは、周波数調整(FR)電力パターンであって、PNNLパターンを含むことができる。
【0049】
そして、抽出された前記電力パターンデータに基づいてバッテリー寿命予測のためのテストパターンを生成する(S620)。この場合、ステップS620では、バッテリーの充放電に関する目標パラメータ値を有するようにテストパターンを生成することができる。このとき、目標パラメータ値は、使用者により入力された値であってよく、例えば、目標パラメータ値は、最大/最小SOE、最初/最終SOE及び平均CPを含むことができる。
【0050】
また、ステップS620では、電力パターンデータのスケールを変更してテストパターンを生成することができる。具体的に、電力パターンデータを区間別に分割し、各区間別に電力値を調整することによりテストパターンを生成することができる。例えば、テストパターンが目標パラメータ値を有することを可能にするために、分割された区間のそれぞれに対してスケーリング値を乗じることによりテストパターンを生成することができる。
【0051】
次に、ステップS630では、生成されたテストパターンのパラメータと目標パラメータの差が基準値未満であるか否かを判断する(S630)。もし生成されたテストパターンのパラメータと目標パラメータの差が基準値以上(NO)である場合、ステップS620に戻る。すなわち、生成されたテストパターンのパラメータ値と目標パラメータ値の差が予め設定された基準値未満となるまでテストパターンを繰り返し生成することができる。
【0052】
一方、生成されたテストパターンのパラメータと目標パラメータの差が基準値未満である場合(YES)は、生成されたテストパターンに基づいてバッテリーの残存寿命を予測する(S640)。例えば、ステップS620で生成されたテストパターンと当該パターンに関する数値の値が入力されると、既設定されたアルゴリズムによりバッテリーの充放電テストを進め、バッテリーの残存寿命を予測することができる。
【0053】
このように、本発明のバッテリー寿命予測方法によると、実際の現場で用いる電力パターンデータに基づいて使用者が望むパラメータ値を有するようにテスト用パターンを生成することにより、実際の現場と類似した電力パターンを介して充放電テストを行うことができるので、実際の現場のバッテリー残存率予測の正確度を向上させることができる。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0055】
図7を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー寿命予測装置700は、MCU710、メモリ720、入出力I/F730及び通信I/F740を含むことができる。
【0056】
MCU710は、メモリ720に格納されている各種プログラム(例えば、テストパターン生成プログラム、バッテリー寿命予測プログラムなど)を実行させ、このようなプログラムを介してバッテリーのテストパターンを生成して寿命を予測するための各種データを処理し、前述した
図2の機能を行うようにするプロセッサであってよい。
【0057】
メモリ720は、バッテリーのテストパターンの生成、寿命予測などに関する各種プログラムを格納することができる。また、メモリ720は、実際の現場で用いられる電力パターンデータ(例えば、PNNLデータ)、テストパターンデータなどの各種データを格納することができる。
【0058】
このようなメモリ720は、必要に応じて複数個設けられてもよい。メモリ720は、揮発性メモリであってよく、非揮発性メモリであってもよい。揮発性メモリとしてのメモリ720は、RAM、DRAM、SRAMなどが用いられてよい。非揮発性メモリとしてのメモリ720は、ROM、PROM、EAROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリなどが用いられてよい。前記列挙したメモリ720の例は、単に例示に過ぎず、これらの例に限定されるものではない。
【0059】
入出力I/F730は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置(図示せず)とディスプレイ(図示せず)などの出力装置とMCU710との間を連結してデータを送受信することができるようにするインターフェースを提供することができる。
【0060】
通信I/F740は、サーバーと各種データを送受信することができる構成であって、有線又は無線通信を支援することができる各種装置であってよい。例えば、通信I/F740を介して別途に設けられた外部サーバーから、電力パターンデータやテストパターンの生成とバッテリー寿命予測のためのプログラムや各種データなどを送受信することができる。
【0061】
このように、本発明の一実施形態に係るコンピュータープログラムはメモリ720に記録され、MCU710によって処理されることにより、例えば、
図2に示した各機能ブロックを行うモジュールとして具現されてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するか、結合して動作するものと説明されたからといって、本発明が必ずしもこれらの実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的の範囲内であれば、その全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作することもできる。
【0063】
また、以上で記載された「含む」、「構成する」又は「有する」などの用語は、特に反対される記載がない限り、当該構成要素が内在し得ることを意味するものなので、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得るものと解釈されるべきである。技術的又は科学的な用語を含む全ての用語は、異なるように定義されない限り、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。辞典に定義されている用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されるべきであり、本発明で明らかに定義しない限り、理想的かつ過度に形式的な意味に解釈されない。
【0064】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0065】
1 バッテリーラック
2 上位制御器
10 バッテリーモジュール
12 センサ
14 スイッチング部
20 バッテリー管理システム
200 バッテリー寿命予測装置
210 格納部
220 パターン生成部
230 寿命予測部
S620 ステップ
S630 ステップ
700 バッテリー寿命予測装置
710 MCU
720 メモリ
730 入出力I/F
740 通信I/F