(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 10/658 20140101AFI20250218BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20250218BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20250218BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250218BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20250218BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20250218BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250218BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M50/204 401H
(21)【出願番号】P 2022576517
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2022002309
(87)【国際公開番号】W WO2022186518
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0029158
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チュン
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129449(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0038310(KR,A)
【文献】特開2013-196851(JP,A)
【文献】特開2015-090750(JP,A)
【文献】特表2014-504440(JP,A)
【文献】特開2012-094370(JP,A)
【文献】特開2017-111900(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159527(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/658
H01M 10/6551
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6554
H01M 10/6556
H01M 50/204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールが互いに離隔するように装着されているパックフレーム、および
前記電池モジュールの下面と前記パックフレームの底面の間に位置する断熱部材を含む電池パックであって、
前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンクを含み、
前記モジュールフレームの底部が前記ヒートシンクの上部プレートを構成し、
前記モジュールフレームの底部が前記ヒートシンク内に供給される冷媒と接触し、
前記ヒートシンクは、
前記モジュールフレームの底部と結合し、陥没部が形成されている下部プレートと、
前記陥没部と前記モジュールフレームの底部との間に冷媒が流動する冷却流路と、
前記冷却流路の全領域にわたって形成された突出パターンと
を含
み、前記突出パターンが、前記冷却流路内における冷媒の流動を制限している、電池パック。
【請求項2】
前記複数の電池モジュールのうちの互いに隣接した電池モジュールの下部にそれぞれ位置した前記断熱部材は互いに離隔している、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記複数の電池モジュールのうちの一つの電池モジュールの下部に位置した前記断熱部材と、他の電池モジュールの下部に位置した前記断熱部材は互いに離隔している、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面に沿って延在している、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面と異なる大きさを有し、前記電池モジュールの下面より大きい大きさを有する、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面と同一の大きさを有する、請求項4に記載の電池パック。
【請求項7】
前記断熱部材は、前記ヒートシンクの大きさと異なる大きさを有し、前記ヒートシンクの大きさより大きい大きさを有する、請求項4に記載の電池パック。
【請求項8】
前記断熱部材は、前記ヒートシンクと同一な大きさを有する、請求項4に記載の電池パック。
【請求項9】
前記断熱部材は、EPP(Expanded Poly Propylene)フォーム(foam)からなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年3月5日付韓国特許出願第10-2021-0029158号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものであって、より具体的には、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最少化する電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は携帯用機器だけでなく電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から環境に優しいおよびエネルギー効率性向上のための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
一般に、リチウム二次電池は外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内装されている円筒型または角型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池に分類することができる。
【0006】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量二次電池構造に対する必要性が高まるにつれて、複数の二次電池が直列または並列に連結された電池モジュールを集合させた中大型モジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。このような電池モジュールは複数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、複数の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0007】
特に、電池パックは複数の電池モジュールが組み合わせられた構造からなっているため、一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱する場合には電池パックの安全性と作動効率が問題になることがある。特に走行距離向上のために電池パック容量は次第に増加する傾向にあり、それにつれてパック内部エネルギーも増加する中で強化される安全性基準を満足し車両および運転者の安全性確保のための構造の設計が必要である。このために特に内部の熱暴走などを未然に防止し、発生してもその被害を最少化することができる構造の必要性が台頭している。
【0008】
図1は、従来の電池パックの断面図である。
図2は、
図1の点線領域を簡略に示した図である。
【0009】
図1を参照すれば、従来の電池パック10で、複数の電池モジュール11がパックハウジング40に装着され、複数の電池モジュール11がパックハウジング40に位置した冷却プレート20上に装着される。より具体的に、
図2を参照すれば、互いに隣接した電池モジュール11がパックハウジング40に装着され、パックハウジング40の下部に付着されている冷却プレート20上に共に配置することができる。
【0010】
ここで、
図1および
図2を参照すれば、互いに隣接した電池モジュール11のうちの一部の電池モジュール11内で過電圧、過電流、または過発熱などの異常現象(CE)が発生することがある。この時、従来の電池パック10は異常現象(CE)が発生した電池モジュール11の熱は冷却プレート20に伝達されることになって、他の電池モジュール11に熱伝播が発生することがある。特に、一般に冷却プレート20は冷却性能のために熱伝導度の高いアルミニウム(Al)からなっていて、冷却プレート20による熱伝播がより速く発生することになる。これによって、異常現象(CE)が発生していない他の電池モジュール11に対しても熱暴走が発生することがあり、同一の冷却プレート20上に位置した他の電池モジュール11に対しても連鎖的な熱暴走が発生する問題がある。
【0011】
これにより、従来の電池パック10と異なり、隣接した電池モジュール11の間の熱伝播を防止して、連鎖的な熱暴走が発生することを防止する電池パックおよびこれを含むデバイスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最少化する電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【0013】
本発明が解決しようとする課題が上述の課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池モジュールが互いに離隔するように装着されているパックフレーム、および前記電池モジュールの下面と前記パックフレームの底面の間に位置する断熱部材を含み、前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンクを含み、前記モジュールフレームの底部が前記ヒートシンクの上部プレートを構成し、前記モジュールフレームの底部が前記ヒートシンク内に供給される冷媒と接触する。
【0015】
前記複数の電池モジュールのうちの互いに隣接した電池モジュールの下部にそれぞれ位置した前記断熱部材は互いに離隔していてもよい。
【0016】
前記複数の電池モジュールのうちの一つの電池モジュールの下部に位置した前記断熱部材と、他の電池モジュールの下部に位置した前記断熱部材は互いに離隔していてもよい。
【0017】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面に沿って延在していてもよい。
【0018】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面と異なる大きさを有し、前記電池モジュールの下面より大きい大きさを有することができる。
【0019】
前記断熱部材は、前記電池モジュールの下面と同一な大きさを有することができる。
【0020】
前記断熱部材は、前記ヒートシンクの大きさと異なる大きさを有し、前記ヒートシンクの大きさより大きい大きさを有することができる。
【0021】
前記断熱部材は、前記ヒートシンクと同一な大きさを有することができる。
【0022】
前記断熱部材は、EPP(Expanded PolyPropylene)フォーム(foam)からなり得る。
【0023】
前記ヒートシンクは前記モジュールフレームの底部と結合し、陥没部が形成されている下部プレートを含み、前記陥没部と前記モジュールフレームの底部の間に冷媒が流動することになる。
【0024】
前記陥没部に突出パターンが形成されていてもよい。
【0025】
本発明の他の一実施形態によるデバイスは前述の電池パックを含む。
【発明の効果】
【0026】
実施形態によれば、本発明は、それぞれの電池モジュールはモジュールフレームの底部に位置するヒートシンクを含み、電池モジュールの下面とパックフレームの底面の間に位置する断熱部材を含んで、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最少化する電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【0027】
本発明の効果が上述の効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】本発明の一実施形態による電池パックの分解斜視図である。
【
図5】
図3の電池パックに含まれる電池モジュールの斜視図である。
【
図7】
図5の電池モジュールの下面を示す斜視図である。
【
図8】
図4のA-A’軸に沿って切断した断面を簡略に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0031】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面において様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0032】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0033】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0034】
以下、本発明の実施形態による電池パックについて説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態による電池パックの分解斜視図である。
図4は、
図3の電池パックの上面図である。
【0036】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池モジュールが互いに離隔するように装着されているパックフレーム、および前記電池モジュールの下面と前記パックフレームの底面の間に位置する断熱部材を含む。
【0037】
パックフレーム410は複数の電池モジュール100が装着される下部ハウジングであってもよく、パックフレーム410に結合して電池モジュール100の上部を覆う上部カバー(図示せず)をさらに含むことができる。但し、以下では説明の便宜のために上部カバー(図示せず)が省略されて説明されるが、本実施形態の電池パック1000は一般に使用される上部カバー(図示せず)が共に結合されていると仮定して説明することができる。
【0038】
パックフレーム410は、複数の電池モジュール100が配置される底面と、底面の縁から上部に向かって延在した側壁を含んで構成されてもよい。パックフレーム410には電池モジュール100の上部を覆う上部カバー(図示せず)が結合されて内部の電装を保護することができる。この時、パックフレーム410内部には電池モジュール100と共にBMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムを装着することができる。
【0039】
一例として、パックフレーム410は、スチールまたはアルミニウム材質からなり得る。より好ましくは、パックフレーム410はアルミニウム材質に比べて相対的に低い熱伝導度を有するスチール材質からなって、パックフレーム410を通じて隣接した電池モジュール100間の熱エネルギーが伝達される水準を低めることができる。但し、これに限定されるのではなく、十分な剛性を有する物質であればパックフレーム410に適用可能である。
【0040】
断熱部材250は電池モジュール100の下部に配置することができる。より具体的に、複数の電池モジュール100で、断熱部材250はそれぞれの電池モジュール100の下部に配置することができる。即ち、本実施形態による電池パック1000で、パックフレーム410に装着される電池モジュール100の下部にそれぞれ断熱部材250が配置されていてもよい。即ち、それぞれの電池モジュール100が個別的にあるいは独立的に断熱部材250上に配置されてもよい。
【0041】
また、複数の電池モジュール100のうちの互いに隣接した電池モジュール100の下部にそれぞれ位置した断熱部材250は互いに離隔していてもよい。言い換えれば、一つの電池モジュール100の下部に配置されている断熱部材250は隣接した他の電池モジュール100の下部に配置されている断熱部材250と離隔していてもよい。
【0042】
これにより、従来の電池パック10(
図1)と異なり、それぞれの電池モジュール100が互いに離隔している断熱部材250上に位置して、一部の電池モジュール100で発生する過電圧、過電流、または過発熱などの異常現象(CE)による熱が断熱部材250に一部伝達されても、断熱部材250に伝達された熱が隣接した他の電池モジュール100に直接的に伝達されないことになる。
【0043】
断熱部材250は、電池モジュール100の下面とパックフレーム410の底面の間に配置することができる。言い換えれば、本実施形態で、パックフレーム410、断熱部材250および電池モジュール100順に積層されている構造を有することができる。
【0044】
断熱部材250は電池モジュール100の下面に沿って延在していてもよい。より具体的に、断熱部材250はヒートシンク200(
図6)の下面に沿って延在していてもよい。
【0045】
一例として、断熱部材250は電池モジュール100の下面と異なる大きさを有し、電池モジュール100の下面より大きい大きさを有することができる。他の例として、断熱部材250は電池モジュール100の下面と同一な大きさを有することができる。
【0046】
一例として、断熱部材250は電池モジュール100の下面に位置したヒートシンク200(
図6)の大きさと異なる大きさを有し、ヒートシンク200(
図6)の大きさより大きい大きさを有することができる。他の一例として、断熱部材250はヒートシンク200(
図6)と同一な大きさを有することができる。
【0047】
これにより、電池モジュール100の下面、即ち、ヒートシンク200(
図6)に対する断熱部材250の接触面積を十分に確保して、ヒートシンク200(
図6)からパックフレーム410に伝達される熱を効果的に遮断することができる。
【0048】
一例として、断熱部材250は、EPP(Expanded PolyPropylene)フォーム(foam)などの発泡材からなり得る。但し、断熱部材250はこれに限定されず、断熱性に優れた素材であれば適用可能である。
【0049】
これにより、以上の構成によって、断熱部材250は電池モジュール100の下面、即ち、ヒートシンク200(
図6)とパックフレーム410が互いに直接接するのを防止することができる。即ち、電池モジュール100から伝達された熱がパックフレーム410に直ちに伝達されるのを防止することができ、パックフレーム410外部で発生した熱が電池モジュール100に伝達されるのを防止することができる。
【0050】
図5は、
図3の電池パックに含まれる電池モジュールの斜視図である。
図6は、
図5の電池モジュールの分解斜視図である。
図7は、
図5の電池モジュールの下面を示す斜視図である。
【0051】
図5および
図6を参照すれば、本実施形態による電池パック1000に含まれる複数の電池モジュール100は、複数の電池セル111が積層された電池セル積層体112、および電池セル積層体112を収納するモジュールフレーム114、およびモジュールフレーム114の底部に位置するヒートシンク200を含む。
【0052】
電池セル111はパウチ型電池セルであるのが好ましい。一例として、電池セル111は、電極組立体を樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチケースに収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して製造することができる。このような電池セル111は長方形のシート型構造に形成することができる。このような電池セル111は複数個で構成することができ、複数の電池セル111は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体112を形成する。
【0053】
モジュールフレーム114は、上部カバー115およびU字型フレーム116を含むことができる。ここで、U字型フレーム116は、底部と、前記底部の両端部から上向に延在した二つの側面部を含むことができる。この時、前記底部は電池セル積層体112の下面をカバーすることができ、前記側面部は電池セル積層体112の側面をカバーすることができる。上部カバー115とU字型フレーム116は互いに対応する角部位が接触した状態で溶接などによって結合されて、電池セル積層体112の上下左右をカバーする構造を形成することができる。このために、上部カバー115とU字型フレーム116は所定の強度を有する金属材質からなり得る。但し、モジュールフレーム114はこれに限定されるのではなく、上下面および両側面が一体化した金属板材形態のモノフレームであってもよい。
【0054】
エンドプレート120は、モジュールフレーム114の開放された第1側(x軸方向)と第2側(x軸反対方向)に位置して、電池セル積層体112の前後面をカバーするように形成することができる。これにより、エンドプレート120は外部の衝撃から電池セル積層体112およびその他の電装品を物理的に保護することができる。
【0055】
一方、具体的に図示していないが、電池セル積層体112とエンドプレート120の間にはバスバーが装着されるバスバーフレームおよび電気的絶縁のための絶縁カバーなどを配置することができる。
【0056】
図5~
図7を参照すれば、本実施形態によるモジュールフレーム114は、モジュールフレーム114の底部、即ち、U字型フレーム116の底部が延在してエンドプレート120を過ぎるように形成されたモジュールフレーム突出部116aを含むことができる。この時、モジュールフレーム突出部116aの上面部と連結される冷却ポート150によって流入および排出される冷媒が、モジュールフレーム突出部116aを通じてヒートシンク200に供給およびヒートシンク200から排出されることになる。
【0057】
具体的に、本実施形態による冷却ポート150は、ヒートシンク200に冷媒を供給する冷媒注入ポートとヒートシンク200から冷媒を排出する冷媒排出ポートを含む。モジュールフレーム突出部116aはモジュールフレーム114の一側で互いに離隔して位置する第1モジュールフレーム突出部と第2モジュールフレーム突出部を含むことができ、前記冷媒注入ポートは前記第1モジュールフレーム突出部上に配置され、前記冷媒排出ポートは前記第2モジュールフレーム突出部上に配置される。
【0058】
以下では、
図5~
図7を参照して、本実施形態によるヒートシンクについて具体的に説明する。
【0059】
モジュールフレーム114の底部はヒートシンク200の上部プレートを構成することができ、モジュールフレーム114の底部がヒートシンク200内に供給される冷媒と接触することになる。
【0060】
ヒートシンク200は、モジュールフレーム114の下部に配置することができる。より具体的に、ヒートシンク200は、ヒートシンク200の骨格を形成しモジュールフレーム114の底部と溶接などで直接結合する下部プレート210および冷媒が流動する経路である陥没部240を含むことができる。
【0061】
ヒートシンク200は、ヒートシンク200の一辺からモジュールフレーム突出部116aが位置した部分に突出したヒートシンク突出部200Pを含むことができる。ここで、ヒートシンク突出部200Pとモジュールフレーム突出部116aは互いに溶接などの方法で直接結合することができる。
【0062】
ヒートシンク200の陥没部240は、下部プレート210が下側に陥没形成された部分に該当する。陥没部240は冷媒流路が伸びる方向を基準にして垂直にxz平面に切断した断面がU字型管であってもよく、前記U字型管の開放された上側にモジュールフレーム114の底部が配置されてもよい。ヒートシンク200がモジュールフレーム114の底部と接しながら、陥没部240とモジュールフレーム114の底部の間の空間が、冷媒が流動する領域、即ち、冷媒の流路となる。これにより、モジュールフレーム114の底部が前記冷媒と直接接触することになる。
【0063】
ヒートシンク200の陥没部240の製造方法に特別な制限はないが、板状型のヒートシンク200に対して陥没形成された構造を備えることによって、上側が開放されたU字型陥没部240を形成することができる。
【0064】
このような陥没部240は、ヒートシンク突出部200Pのうちの一つから他の一つにつながっていてもよい。冷却ポート150のうちの前記冷媒注入ポートを通じて供給された冷媒は、モジュールフレーム突出部116aとヒートシンク突出部200Pの間を経て陥没部240とモジュールフレーム114の底部の間の空間に最初流入する。その後、冷媒は陥没部240に沿って移動し、他のモジュールフレーム突出部116aとヒートシンク突出部200Pの間を経て冷却ポート150のうちの前記冷媒排出ポートを通じて排出される。
【0065】
また、モジュールフレーム114の底部は、ヒートシンク200中の陥没部240が形成されていない下部プレート210部分と溶接によって接合できる。本実施形態は、モジュールフレーム114の底部とヒートシンク200の冷却一体型構造を通じて、前述の冷却性能向上だけでなくモジュールフレーム114に収容された電池セル積層体112の荷重を支持し電池モジュール100の剛性を補強する効果を有することができる。それだけでなく、下部プレート210とモジュールフレーム114の底部は溶接結合などで密封されることによって、下部プレート210内側に形成された陥没部240で冷媒が漏洩なく流動することになる。
【0066】
効果的な冷却のために、
図6および
図7に示されているように、モジュールフレーム114の底部に対応する全領域にわたって陥没部240が形成されることが好ましい。このために、陥没部240は少なくとも一回曲げられて一側から他側につながっていてもよい。特に、モジュールフレーム114の底部に対応する全領域にわたって陥没部240が形成されるために、陥没部240は数回曲げられることが好ましい。モジュールフレーム114の底部に対応する全領域にわたって形成された冷媒流路の開始点から終了点まで冷媒が移動することによって、電池セル積層体112の全領域に対する効率的な冷却が行われることになる。一方、前記冷媒は冷却のための媒介物であって、特別な制限はないが、冷却水であってもよい。
【0067】
一方、
図5および
図6を再び参照すれば、本実施形態によるヒートシンク200の陥没部240には突出パターン240Dを形成することができる。
【0068】
本実施形態による電池セル積層体112のように積層される電池セルの個数が従来に比べて多く増加する大面積電池モジュールの場合、冷媒流路の幅がさらに広く形成されて温度偏差がさらに激しいことがある。特に、大面積電池モジュールでは、従来一つの電池モジュール内に大略12個~24個の電池セルが積層された場合に対比して、大略32個~48個の電池セルが一つの電池モジュール内に積層されている場合を含むことができる。このような場合、本実施形態による突出パターン240Dは冷却流路の幅を実質的に縮小させる効果を発生させて圧力降下を最少化し同時に冷媒流路幅間の温度偏差を減らすことができる。したがって、均一な冷却効果を実現することができる。
【0069】
図1および2に示された従来の電池パックは、互いに隣接した電池モジュール11がパックハウジング40に装着され、パックハウジング40の下部に付着されている冷却プレート20上に共に位置して、一部の電池モジュール11で発生した熱が冷却プレート20に伝達される。これにより、一部の電池モジュール11で熱暴走によって発生した熱が冷却プレート20を通じて他の電池モジュール11に伝達される熱伝播が発生する危険がある。
【0070】
反面、本実施形態による電池パック1000はそれぞれの電池モジュール100がモジュールフレーム114とヒートシンク200の冷却一体型構造を実現して、一部の電池モジュール100のヒートシンク200に伝達された熱が他の電池モジュール100のヒートシンク200に伝達されるのを防止することができる。これにより、一部の電池モジュール100で発生する過電圧、過電流、または過発熱などの異常現象(CE)による熱がヒートシンク200に一部伝達されても、隣接した電池モジュール100に熱伝播が発生する危険を防止することができる。
【0071】
これと共に、前述の冷却一体型構造を有する電池モジュール100は個別的に冷却されて、それぞれの電池モジュール100に対する冷却効率がさらに上昇できる。また、ヒートシンク200がモジュールフレーム114の底部と一体化した構造を通じて電池モジュール100および電池モジュール100が装着された電池パック1000上の空間活用率をより向上させることができる。また、不必要な冷却構造の除去によって電池モジュール100の高さが減少して、原価節減が可能であり、空間活用度を高めることができる。さらに、電池モジュール100がコンパクトに配置されるので、電池モジュール100を複数含む電池パック1000の容量や出力を増大させることができる。
【0072】
図3および
図4を参照すれば、本発明の他の一実施形態によれば、電池セル積層体112の前後面に位置するエンドプレート120のうちのいずれか一側には、電池モジュール100内部と連通して内側で発生する火炎乃至熱を放出することができるベンティングゲート121を含む。電池パック1000内で、このようなベンティングゲート121は電池パック1000の外側に向かうように配置され、好ましくは、
図3に示されているように電池パック1000で第1方向(x軸方向)の両端部の方に向かって外側を向くように配置されてもよい。
【0073】
また、複数の電池モジュール100の縁に沿って配置されたベンティング誘導フレーム300をさらに含むことができる。より具体的に、複数の電池モジュール100とベンティング誘導フレーム300は、パックフレーム410内に装着することができる。
【0074】
一例として、パックフレーム410の一側壁には少なくとも一つの破裂部500が形成されていて、内部で発生した熱または火炎を外側に排出することができる。本実施形態では、一対の水平ビーム320のいずれか一側にのみ二つの破裂部500が形成されたことを例示したが、これに限定されず、他側の水平ビーム320にも破裂部500が備えられるか、または垂直ビーム310に備えられてもよく、必要によって適切にその位置および個数を選択することができる。
【0075】
また、複数の電池モジュール100全体の縁に沿ってはベンティング誘導フレーム300を配置することができる。ベンティング誘導フレーム300は電池パック1000の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延在した一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320を含むことができ、これらは全体として連通し得るように形成される。
【0076】
以上の構成によって、垂直ビーム310と水平ビーム320からなる四角形状のベンティング誘導フレーム300の内部で通路が全体に連通するように形成され、このような通路は電池モジュール100のベンティングゲート121および破裂部500と連通して、電池モジュール100から熱暴走などが発生する場合、発熱および火炎を外側に誘導して周辺電池モジュールへの影響を最少化することができる。この時、発生した高圧のベンティングガスに含まれている火炎は、ベンティング誘導フレーム300内部の経路を通過しながら全て燃焼してより安全な状態で外部に排出できる。また、このようなベンティング誘導フレーム300は熱暴走発生時でない平常時には、電池モジュール100を安定的に支持する支持フレームとして作用して、電池パック1000の安定性を向上させることができる。
【0077】
以下、電池パック内の一部の電池モジュールで過電圧、過電流または過発熱などのイッシュが発生した場合の熱伝播経路について具体的に説明する。
【0078】
図8は、
図4のA-A’軸に沿って切断した断面を簡略に示した図である。
【0079】
図4および
図8を参照すれば、本実施形態の電池パック1000で、一部の電池モジュール100でセルイベント(CE)が発生することがある。ここで、セルイベント(CE)は電池モジュール100内で過電圧、過電流または過発熱などの異常現象が発生して、電池モジュール100が高温およびガス発生が発生するのを意味することができる。
【0080】
ここで、セルイベント(CE)が発生した電池モジュール100内で発生した熱は、電池モジュール100に含まれているヒートシンク200および断熱部材250を経る熱エネルギー移動経路を通じて伝達される。
【0081】
より具体的に、セルイベント(CE)が発生した電池モジュール100で発生した熱は、先ずヒートシンク200に伝達される。先に説明した通り、モジュールフレーム114の底部とヒートシンク200の冷却一体型構造を通じて、電池モジュール100はそれぞれヒートシンク200が個別的に含まれて、電池セル積層体112からヒートシンク200に伝達された熱は他の隣接した電池モジュール100に伝達されない。
【0082】
これにより、本実施形態によれば、電池モジュール100の冷却一体型構造によって、複数の電池モジュール100のうちの一部の電池モジュール100でセルイベント(CE)が発生しても、隣接した電池モジュール100に熱伝播されるのを防止することができる。
【0083】
これと共に、電池モジュール100のヒートシンク200に伝達された熱のうちの一部は断熱部材250に伝達される。ここで、断熱部材250は電池モジュール100のヒートシンク200から伝達された熱のうちの一部を遮断しながら、電池モジュール100で発生した熱がパックフレーム410に直接伝達されるのを防止することができる。即ち、複数の電池モジュール100のうちの一部の電池モジュール100でセルイベント(CE)が発生して比較的に多くの熱エネルギーが発生しても、断熱部材250を通じてパックフレーム410に伝達される熱エネルギーを最少化させ、隣接した電池モジュール100の温度上昇も最少化することができる。
【0084】
また、先に説明した通り、電池モジュール100の下部に個別的に断熱部材250が互いに離隔して配置されることによって、セルイベント(CE)が発生した電池モジュールの断熱部材250に伝達された熱が直接的に他の電池モジュール100に伝達されない。より具体的に、セルイベント(CE)が発生した電池モジュール100の断熱部材250に伝達された熱のうちの一部はパックフレーム410に伝達され、パックフレーム410に伝達された熱のうちの一部が他の隣接した電池モジュール100の断熱部材250に伝達されることになる。
【0085】
これにより、他の隣接した電池モジュール100にセルイベント(CE)の発生した電池モジュール100で発生した熱のうちの一部が伝達されても、他の隣接した電池モジュール100の断熱部材250によってパックフレーム410から伝達される熱を効果的に遮断することができる。
【0086】
これにより、以上の熱伝播経路を有する本実施形態は、複数の電池モジュール100のうちの一部の電池モジュール100でセルイベント(CE)が発生しても、隣接した他の電池モジュール100に熱が伝播するのを効果的に防止することができ、これによる連鎖的な熱暴走現象も防止することができる。
【0087】
前述の電池パックは多様なデバイスに適用することができる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用することができるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0088】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0089】
100:電池モジュール
200:ヒートシンク
250:断熱部材
300:ベンティング誘導フレーム
410:パックフレーム