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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ズボン
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
A41D1/06 A
A41D1/06 E
A41D1/06 B
A41D1/06 501Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023047998
(22)【出願日】2023-03-24
(65)【公開番号】P2024136764
(43)【公開日】2024-10-04
【審査請求日】2023-04-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502420081
【氏名又は名称】双葉商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桑原 頌子
(72)【発明者】
【氏名】中谷 孝子
(72)【発明者】
【氏名】村尾 仁美
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-015714(JP,U)
【文献】特開2008-266839(JP,A)
【文献】特開2002-105712(JP,A)
【文献】特開2017-089034(JP,A)
【文献】特開2017-002435(JP,A)
【文献】特開2008-174854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボンであって、
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃を接合する一対の接合布とを備え、
前記前身頃は、前記ズボンの前側上端縁と前記ズボンの前ウエスト部とを含み、
前記後身頃は、前記ズボンの後側上端縁と前記ズボンの後ウエスト部とを含み、
前記前側上端縁は、前記ズボンの幅方向における一対の第1端を有し、
前記後側上端縁は、前記ズボンの幅方向における一対の第2端を有し、
前記前側上端縁に沿うように仮想線を引いたときに、前記後側上端縁が前記仮想線よりも上方に位置するように構成され、
前記前身頃は、前記一対の第1端のそれぞれから下方に延びる一対の前側端縁部を含み、
前記後身頃は、前記一対の第2端のそれぞれから下方に延びる一対の後側端縁部を含み、
前記前側端縁部は、前記ズボンの脇線に沿って且つ前記後側端縁部から分岐するように前記第1端にまで延びる第1分岐部を有し、
前記後側端縁部は、前記前側端縁部から分岐するように且つ前記ズボンの脇線に対して後方に傾斜しながら前記第2端にまで延びる第2分岐部を有し、
前記接合布は、前記前ウエスト部及び前記後ウエスト部よりも高い伸縮性を有し、前記前側上端縁の前記第1端と前記後側上端縁の前記第2端とを接合する傾斜上端縁を有し、前記前ウエスト部及び前記後ウエスト部よりも下方に先細りしながら延びており
前記接合布は、表側の第1布部と前記第1布部に裏側から重なり合う第2布部とで構成される二重構造を含み、前記第1布部及び前記第2布部の両方が前記第1分岐部及び前記第2分岐部に接合されている、ズボン。
【請求項2】
前記接合布は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布よりも高い伸縮性を有する、請求項1に記載のズボン。
【請求項3】
前記後ウエスト部の裏面には、前記ズボンのずれ落ちを抑制するための滑り止め部が形成されている、請求項1又は2に記載のズボン。
【請求項4】
記滑り止め部は、前記後ウエスト部の長さ方向に沿って延びる線状であり、前記前ウエスト部に対向するように配されている、請求項3に記載のズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の腰部等の不用意な露出を抑制可能に構成されたズボンが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、着用者を正面から被覆する前身頃と、着用者を背面から被覆する後身頃とを備え、後身頃の上端縁が前身頃の上端縁よりも上方に位置するズボンが記載されている。すなわち、特許文献1のズボンでは、後身頃が、前身頃の上端縁よりも上方に位置し得る延出部分を有する。そして、特許文献1のズボンによれば、着用者が前屈の姿勢をとって腰部が後身頃から離れる方向に移動した場合であっても、前記延出部分によって腰部の露出を抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3673872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のズボンは、前記延出部分における一対の側端縁部がいずれの部分にも接合されていないため、該延在部分が後側に倒れる等して着用者から離反し易く、それによって、着用者の腰部を露出させるおそれがある。
【0006】
また、特許文献1のズボンは、前身頃と後身頃との境界部分に不自然な段差が形成されており、言い換えれば、ズボンの上端縁がいびつな形状を有するものとなっているため、着用者の見栄えを悪くするおそれがある。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、着用者の腰部の不用意な露出を抑制することができるとともに、着用者の見栄えを損ねることのないズボンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るズボンは、
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃を接合する一対の接合布とを備え、
前記前身頃は、前記ズボンの前側上端縁を含み、
前記後身頃は、前記ズボンの後側上端縁を含み、
前記前側上端縁は、前記ズボンの幅方向における一対の端を有し、
前記後側上端縁は、前記ズボンの幅方向における一対の端を有し、
前記前側上端縁に沿うように仮想線を引いたときに、前記後側上端縁が前記仮想線よりも上方に位置するように構成され、
前記接合布は、前記前側上端縁の前記端と前記後側上端縁の前記端とを接合する傾斜上端縁を有する。
【0009】
かかる構成によれば、後身頃の後側上端縁が前記仮想線よりも上方に位置するように構成されており且つ前側上端縁及び後側上端縁のそれぞれの端が接合布における傾斜上端縁で接合されているため、着用者の腰部の不用意な露出を抑制することができる。また、前身頃の前側上端縁と後身頃の後側上端縁とが接合布の傾斜上端縁を介して接合されていることによって、ズボンの上端縁における不自然さが抑制されるため、着用者の見栄えを損ねないようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係るズボンは、好ましくは、
前記接合布は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布よりも高い伸縮性を有する。
【0011】
かかる構成によれば、接合布が前身頃及び後身頃よりも高い伸縮性を有するため、着用者が着用しようとする際には左右方向等に伸びて着用を容易なものとすることができる。この一方で、着用中には接合布の収縮力が着用者に作用するため、着用者にフィットし易すく、ずれ落ちを抑制することができる。しかも、接合布は、上記のごとく前身頃と後身頃との間に配されており、これによって、着用者の骨盤形状に追従して伸縮しフィットするとともに、着用者への締め付けによる不快感を低減することができる。
【0012】
また、本発明に係るズボンは、好ましくは、
前記後身頃は、前記ズボンの後ウエスト部を含み、
前記後ウエスト部の裏面には、前記ズボンのずれ落ちを抑制するための滑り止め部が形成されている。
【0013】
かかる構成によれば、滑り止め部によって、着用者の腰部等の不用意な露出をさらに抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係るズボンは、好ましくは、
前記前身頃は、前記ズボンの前ウエスト部を含み、
前記滑り止め部は、前記後ウエスト部の長さ方向に沿って延びる線状であり、前記前ウエスト部に対向するように配されている。
【0015】
着用者がズボンのウエスト部により締め付けられると、後ウエスト部のうちの前ウエスト部との対向領域が着用者に対して比較的強い締め付け力を作用させる。よって、上記構成によれば、滑り止め部が前ウエスト部に対向するように配されていること、すなわち、後ウエスト部における前記対向領域であって上記のような強い締め付け力を作用させる前記対向領域に滑り止め部が形成されているため、ズボンのウエスト部を着用者の腰回りに係止させやすくなり、着用者の腰部等の不用意な露出をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の通り、本発明によれば、着用者の腰部の不用意な露出を抑制することができるともに、着用者の見栄えを損ねることのないズボンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係るズボンの正面図である。
図2図1のズボンの背面図である。
図3図1のズボンの左側面図である。
図4図1のズボンの接合布及びその近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るズボンについて説明する。なお、以下では、本実施形態のズボンの幅方向又は左右方向を幅方向D1、幅方向D1に直交する丈方向を上下方向D2と称する。また、ズボンの前側から後側に向かう方向及び後側から前側に向かう方向を合わせて前後方向D3と称する。
【0019】
図1~3に示されるように、本実施形態のズボン1は、着用者を正面から被覆する前身頃10と、着用者を背面から被覆する後身頃20と、股上において前身頃10と後身頃20とを接合する一対の接合布30とを備えている。
【0020】
また、本実施形態のズボン1は、着用者の腰回りに支持させるウエスト部1wを備えている。ウエスト部1wは、ズボン1の上端縁1tを含む。また、ウエスト部1wは、ベルトを支持するための複数のベルトループ1bを有する。
【0021】
図1及び図3に示すように、本実施形態の前身頃10は、着用者を腰回りから足首近傍にかけて被覆し得るように形成されている。本実施形態の前身頃10は、ウエスト部1wの前側部分を形成する帯状の前ウエスト部11を含む。また、前身頃10は、ズボン1の上端縁1tの前側部分を形成する前側上端縁12を含む。前側上端縁12は、幅方向D1における一対の端121を有する。
【0022】
図2及び図3に示すように、本実施形態の後身頃20は、着用者を腰回りから足首にかけて被覆し得るように形成されている。本実施形態の後身頃20は、ウエスト部1wの後側部分を形成する帯状の後ウエスト部21を含む。また、後身頃20は、ズボン1の上端縁1tの後側部分を形成する後側上端縁22を含む。後側上端縁22は、幅方向D1における一対の端221を有する。後ウエスト部21は、前ウエスト部11よりも短く形成されている。より詳しくは、後ウエスト部21及び両接合布30の合計幅と、前ウエスト部11の幅とが対応した大きさとなっている。
【0023】
本実施形態の後身頃20は、最も幅広の部分からズボン1の上端縁1t(後側上端縁22)に向かうにつれて幅が小さくなるように形成されている。これによって、着用者の腰部をスマートに見せることができる。
【0024】
そして、図3及び図4に示すように、本実施形態のズボン1は、前ウエスト部11の幅方向D1における中央部(前側中央部)と、後ウエスト部21の幅方向D1における中央部(前記前側中央部に対向する後側中央部)とを把持して目視にて生地が伸びない程度に前後方向D3に引っ張り緊張させた状態(たるみのない状態)で前側上端縁12に沿うように仮想線Lを引いたときに、後側上端縁22が仮想線Lよりも上方に位置するように構成されている。前記状態において、後側上端縁22の最下部位と仮想線Lとの間隔は、1cm以上7cm以下であり、好ましくは2cm以上5cm以下である。
【0025】
次に、図3に示すように、前身頃10は、一対の端121から下方に延びる一対の側端縁部13を有する。また、後身頃20は、一対の端221から下方に延びる一対の側端縁部23を有する。そして、ズボン1の股下においては、前身頃10の側端縁部13と後身頃20の側端縁部23とはズボン1の脇線1sを形成するように互いに接合されている。一方、ズボン1の股上においては、前身頃10の側端縁部13と後身頃20の側端縁部23とは前後方向D3に離反している。より具体的には、前身頃10の側端縁部13は、後身頃20の側端縁部23から分岐するように且つズボン1の脇線1sに沿って延びる第1分岐部131を有する。また、後身頃20の側端縁部23は、前身頃10の側端縁部13から分岐するように且つズボン1の脇線1sに対して後方に傾斜して延びる第2分岐部231を有する。
【0026】
そして、本実施形態の接合布30は、上記のごとく股上部分に形成された第1分岐部131と第2分岐部231との間の領域を埋めるように三角形状に形成されている。また、本実施形態の接合布30は、ズボン1の脇線1sと重なり得る位置に配されている。これによって、接合布30は、着用時には着用者の骨盤付近に配されることとなる。
【0027】
本実施形態の接合布30は、少なくともウエスト部1wよりも高い伸縮性を有する。好ましくは、前記接合布は、前身頃10及び後身頃20を構成する布よりも高い伸縮性を有する。より具体的には、幅方向D1に引っ張ったときに、本実施形態の接合布30は、ウエスト部1w(好ましくは前身頃10及び後身頃20)よりも高い伸縮性を示す。また、上下方向D2に引っ張ったときにも、本実施形態の接合布30は、前身頃10及び後身頃20よりも高い伸縮性を示す。そして、着用者がしゃがんだりしたときのように着用者の臀部等の部位によって後身頃20が後方に引っ張られた場合に、高伸縮性の接合布30がウエスト部1wを幅方向D1に伸縮させるように機能し易くなる。これによって、着用者の腹部等に対する締め付けを抑制しつつ、ウエスト部1wを着用者にフィットさせることができる。加えて、接合布30は、骨盤付近に配され得るため、ウエスト部1wの締め付けによる着用者の不快感を軽減させることができる。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の接合布30は、ズボン1の上端縁1tを形成する上端縁部31と、上端縁部31における前側の第1端部311から下方に延びる第1側端縁部32と、上端縁部31における後側の第2端部312から下方に延びる第2側端縁部33とを有する。
【0029】
図4に示すように、上端縁部31の第1端部311は、前身頃10の前側上端縁12における端121に接合されている。また、上端縁部31の第2端部312は、後身頃20の後側上端縁22における端221に接合されている。そして、上端縁部31は、前側上端縁12における端121から後側上端縁22における端221に向かうにつれて上方に傾斜している。これによって、上端縁部31は、後方に向かって上方傾斜する傾斜上端縁313を有するものとなっている。かかる傾斜上端縁313によって、ズボン1の上端縁1tは、前側から後側に向かって徐々に高さが変わる連続的な形状を有するものとなり、いびつな印象をできるだけ与えないようにすることができる。
【0030】
本実施形態の接合布30は、折り返された1枚の布で構成されている。すなわち、接合布30は、折り返しによって形成された折り返し端縁部たる上端縁部31と、上端縁部31を介して一方側に延びる第1布部であってズボン1の表面(着用時に視認され得る面)を構成する第1布部と、上端縁部31を介して他方側に延びる第2布部であってズボン1の裏面(着用時に着用者に接する面)を構成する第2布部とを有する。前記第1布部及び前記第2布部のぞれぞれの形状は対応したものとなっている。
【0031】
上端縁部31は、他の部分と接合されておらず、且つ、端部処理のための縫い目のない部分である。これによって、接合布30は、該上端縁部31においても高い伸縮性を示すため、ウエスト部1wを着用者にフィットさせる機能、及び、ウエスト部1wによる着用者への不快な締め付け緩和の機能に優れるものとなる。
【0032】
一方、第1側端縁部32は、前身頃10の側端縁部13における第1分岐部131に接合されている。また、第2側端縁部33は、後身頃20の側端縁部23における第2分岐部231に接合されている。
【0033】
図4に示すように、第1側端縁部32と第2側端縁部33とは、上端縁部31から下方に向かうにつれて近づくように形成されており、着用者の臀部又は大腿部を被覆する部分で交点Xを形成している。すなわち、本実施形態の接合布30は、上端縁部31から交点Xに向かうにつれて先細りとなるように延びている。さらに言い換えれば、本実施形態の接合布30は、交点Xから上端縁部31に向かうにつれて拡幅するように延びている。このように、接合布30が交点Xにまで延在していることによって、着用者の腰回りから臀部又は大腿部にわたってズボン1をフィットさせ易くなる。また、接合布30は、上記の先細りによって、上端縁部31近傍において伸びる量が最も大きく、且つ、交点X近傍において伸びる量が最も小さくなっている。これによって、ズボン1のウエスト部1wにおける周長の調節機能に優れるとともに、ズボン1における着用者の臀部又は大腿部近傍を被覆する部分における伸びる量が比較的小さくなって着用者の当該部分をスマートに見せることができる。
【0034】
交点Xにおける第1側端縁部32と第2側端縁部33とで形成される第1交差角度θaは、12°以上25°以下であることが好ましい。本実施形態の第1交差角度θaは、前身頃10における第1分岐部131と後身頃20における第2分岐部231との交差角度と言い換えることができる。また、脇線1s(具体的には第1分岐部131)と傾斜上端縁313とで形成される第2交差角度θbは、105°以上125°以上であることが好ましい。また、第2分岐部231と傾斜上端縁313とで形成される第3交差角度θcは、45°以上65°以下であることが好ましい。さらに、仮想線Lに対する傾斜上端縁313の傾斜角度θdは、15°以上35°以下であることが好ましい。これによって、ズボン1は、十分な面積を有する接合布30を備えるものとなるため、着用者が着用しようとする際には幅方向D1に伸びて着用を容易なものとすることができるとともに、着用中には接合布30が収縮するよう作用し続けるため、着用者にフィットし易いものとすることができる。さらに、ズボン1の上端縁1tにおける不自然さを抑制することができる。
【0035】
図1に示すように、本実施形態のズボン1は、着用者からのずれ落ちを抑制するために、後ウエスト部21の裏面に滑り止め部1fを有する。滑り止め部1fは、前身頃10及び後身頃20を構成する生地よりも高い密着性(皮膚やシャツに対する密着性)を有する部材によって構成されている。本実施形態の滑り止め部1fは、後ウエスト部21の長さ方向(すなわち幅方向D1)に沿って延びる線状である。より具体的には、本実施形態の滑り止め部1fは、後ウエスト部21の裏面に接着された滑り止めテープで構成されている。
【0036】
本実施形態の滑り止め部1fは、前ウエスト部11に対向するように配されている。より具体的には、滑り止め部1fは、後ウエスト部21における仮想線Lよりも下方の部分において前ウエスト部11に対向するように配されている。そして、着用者がズボン1のウエスト部1wにより締め付けられると、後ウエスト部21のうちの前ウエスト部11との対向領域が着用者に対して比較的強い締め付け力を作用させる。よって、滑り止め部1fが前ウエスト部11に対向するように配されていること、すなわち、後ウエスト部21における前ウエスト部11の対向領域であって上記のような強い締め付け力を作用させる対向領域に滑り止め部1fが形成されていることによって、ズボン1のウエスト部1wを着用者の腰回りに係止させやすくなる。そして延いては、着用者の腰部等の不用意な露出や、着用者とウエスト部1wとの間からのシャツのはみ出しを抑制することができる。本実施形態のズボン1では、上記締付けはベルトループ1bに通されたベルトによって行われる。なお、上記締付けは、ベルトによるものに限らず、例えば、ウエスト部1wの周長を調節するための調節機構等によって行われてもよい。
【0037】
本実施形態の複数のベルトループ1bは、ベルトによる上記締付けをさらに効果的なものとするために、前後方向D3においてベルトが滑り止め部1fに重なる位置でベルトを支持し得るように構成されている。
【0038】
以上のとおりの本実施形態のズボン1によれば、後身頃20の後側上端縁22が仮想線Lよりも上方に位置するように構成されているため、着用者の腰部及び下着の不用意な露出を抑制することができる。また、前身頃10の前側上端縁12と後身頃20の後側上端縁22とが接合布30の傾斜上端縁313を介して接合されていることによって、ズボン1の上端縁1tにおける不自然さが抑制されるため、着用者の見栄えを損ねないようにすることができる。
【0039】
なお、本発明に係るズボンは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係るズボンは、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係るズボンは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1:ズボン、1w:ウエスト部、1t:上端縁、1b:ベルトループ、1f:滑り止め部、10:前身頃、11:前ウエスト部、12:前側上端縁、121:端、13:側端縁部、131:第1分岐部、20:後身頃、21:後ウエスト部、22:後側上端縁、221:端、23:側端縁部、231:第2分岐部、30:接合布、31:上端縁部、311:第1端部、312:第2端部、313:傾斜上端縁、32:第1側端縁部、33:第2側端縁部、L:仮想線、X:交点、θa:第1交差角度、θb:第2交差角度、θc:第3交差角度、θd:傾斜角度、D1:幅方向、D2:上下方向、D3:前後方向
図1
図2
図3
図4