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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】健康靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20250218BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
A41B11/00 J
A41B11/00 B
A61H39/04 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023083474
(22)【出願日】2023-05-19
(65)【公開番号】P2024166992
(43)【公開日】2024-11-29
【審査請求日】2023-05-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593201693
【氏名又は名称】松岡 敏彦
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】松岡 敏彦
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-038410(JP,U)
【文献】中国実用新案第218650341(CN,U)
【文献】実開平04-100207(JP,U)
【文献】特開2018-086259(JP,A)
【文献】登録実用新案第3165090(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第114947244(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足に装着される靴下本体と、
装着者の足裏対応部分を除いて足の踵骨の背面側及び該踵骨に接続されるアキレス腱周辺のみを押圧するように該靴下本体内側の踵部から足首部の後部側にかけた範囲にのみ設けられた複数の押圧部と、を備えたことを特徴とする健康靴下。
【請求項2】
押圧部は、互いに所定の間隔をあけて並設されるドット状の突起部材を含むことを特徴とする請求項1記載の健康靴下。
【請求項3】
押圧部は、互いに所定の間隔をあけて並設される波線状部材を含むことを特徴とする請求項1記載の健康靴下。
【請求項4】
複数の押圧部が表面に固定されるベースシート体を含み、
該ベースシート体が靴下本体の内側の踵部から足首部の後部側に跨って取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の健康靴下。
【請求項5】
複数の押圧部は、靴下本体の内側に直接的に固定されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の健康靴下。
【請求項6】
靴下本体は伸縮性素材からなり、素材の伸縮力により押圧部を押圧作用させることを特徴とする請求項1記載の健康靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に装着することにより、例えば、肩こりや腰痛の緩和、健康維持等を期待できる健康靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
身体に不調をきたした際に病院に行くまでもない場合など、マッサージや整体、人体のツボ(経穴)の刺激等により体調改善や健康維持を図ることがある。例えば、ツボの刺激の場合、整体等に比べて自身で比較的簡単に行えることから、家庭や職場でツボを刺激して身体の各部位の痛みや不調の緩和・改善、血行促進、疲労回復等を図ることも行われている。
【0003】
例えば、足裏には多くのツボがあるとされており、足裏のツボを簡易に刺激するための技術も種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来より、足に履いて歩くことにより足裏のツボを刺激するように、サンダルや靴の中敷きに多数の突起物を設けた健康サンダルや健康シューズが知られている。
【0004】
このような健康サンダルや健康シューズは、該サンダルや靴を脱いだ状態では足裏のツボを刺激することができない欠点がある。これに対し、特許文献1には、サンダルや靴を脱いだ状態でも足裏を刺激することができるように、靴下の内側底部の足のツボにあたる複数の部位に突起状の指圧具を設けたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-237914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の健康サンダルや健康シューズや特許文献1の靴下は、足裏のツボを刺激することに着目して設けられたものである。しかしながら、足裏は体重がかかる部位であることから、ツボ刺激により足裏に痛みや違和感が生じる場合も多い。その結果、長時間使用し続けることができず十分なツボ刺激効果を得ることができなかったり、足裏のツボを刺激すること自体が苦手で使用できないといった問題があり、使用者を選ぶものであり、実用性が低いものであった。そこで、本出願人は、足裏のツボの押圧とは別の観点から、日常的に装着しながら簡易に体調改善や健康維持等を期待できる新たな健康具を開発した。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、装着時の違和感が少ないので日常的に使用でき、アキレス腱周辺を押圧することにより、肩こりや腰痛の緩和、健康維持等を期待できる健康靴下を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、足に装着される靴下本体と、装着者の足の足裏対応部分を除いて踵骨の背面側及び該踵骨に接続されるアキレス腱周辺のみを押圧するように該靴下本体内側の踵部から足首部の後部側にかけた範囲にのみ設けられた複数の押圧部と、を備えた健康靴下から構成される。
【0009】
また、押圧部は、互いに所定の間隔をあけて並設されるドット状の突起部材を含むこととしてもよい。
【0010】
また、押圧部は、互いに所定の間隔をあけて並設される波線状部材を含むとしてもよい。
【0011】
また、複数の押圧部が表面に固定されるベースシート体を含み、該ベースシート体が靴下本体の内側の踵部から足首部の後部側に跨って取り付けられることとしてもよい。
【0012】
また、複数の押圧部は、靴下本体の内側に直接的に固定されたこととしてもよい。
【0013】
また、靴下本体は伸縮性素材からなり、素材の伸縮力により押圧部を押圧作用させることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の健康靴下によれば、足に装着される靴下本体と、該靴下本体内側の踵部から足首部の後部側に取り付けられ、装着者の足の踵骨とアキレス腱の周辺を押圧するように設けられた複数の押圧部と、を備えた構成であることから、筋や筋肉、骨等の身体の各部位につながるアキレス腱周辺を押圧部で押圧することにより、肩こり・腰痛の緩和、筋肉や筋あるいは関節等の硬直・拘縮の緩和、冷え性や不眠の緩和、身体バランスの復帰等の健康改善効果を期待できる。また、靴下を装着した際の違和感も少なく、日常的に装着して使用しながら、体調改善や健康維持等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る健康靴下の一部を切り欠いて示した概略説明図である。
図2図1の健康靴下を背面側から見た説明図である。
図3図1の健康靴下を製作する際の一例を示す説明図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る健康靴下の一部を切り欠いて示した概略説明図である。
図5図4の健康靴下を背面側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照しつつ本発明の健康靴下の実施形態について説明する。本発明に係る健康靴下は、靴下として足に装着しながらアキレス腱周辺を押圧することにより、健康維持や体調改善、身体のバランスの復帰等を期待できる健康靴下である。
【0017】
図1ないし図3は、本発明の健康靴下の第1の実施形態を示している。図1図2図3に示すように、本実施形態に係る健康靴下10は、靴下本体12と、靴下本体12の内側に設けられた複数の押圧部14と、を備えている。
【0018】
靴下本体12は、靴を履く際や足を保温する際等に足に装着される靴下である。図1図2に示すように、本実施形態では、靴下本体12は、例えば、従来周知の靴下であり、口ゴム部16と、レッグ部18と、フット部20と、を含むソックスタイプで構成されている。靴下本体12は、例えば、全体の生地素材が伸縮性があるナイロン繊維やポリウレタン糸等の伸縮性素材で形成されている。なお、靴下本体12は、ソックスタイプに限らず、例えば、ストッキング型やタイツ型で構成してもよい。
【0019】
複数の押圧部14は、装着者の足の踵骨及びアキレス腱(踵骨腱)の周辺を押圧するアキレス腱周辺の押圧手段である。図1図2図3に示すように、本実施形態では、押圧部14は、装着者の足の踵骨とアキレス腱の周辺を押圧するように、該靴下本体12内側の踵部22からレッグ部18の足首部24の後部側に設けられている。押圧部14は、ツボを刺激する目的ではなく、足に装着した状態でさらには歩行で足を動かした際等に作用する踵骨からアキレス腱にかけてのマッサージ状の押圧効果を目的とした構成であるので、ツボの位置を考慮することなく、アキレス腱に対応した範囲のみに互いに所定の間隔をあけて多数配置される。
【0020】
具体的には、本実施形態では、複数の押圧部14は、例えば、それぞれゴムやシリコン等の弾力性がある素材からなり、略半円球状で形成され、靴下本体の生地内面から所定の高さで内向きに突設するドット状の突起部材26からなる。図3にも示すように、突起部材26からなる押圧部14は、例えば、後述のようにベースシート体28を介して靴下本体12の内側の踵部22近傍に固定されている。押圧部14は、それぞれ2~3mm程度の突出高さに設定されている。さらに複数の押圧部14は、互いに4~5mm程度の間隙で行列状に並設され、比較的規則的な凹凸の繰り返しを形成している。なお、複数の押圧部14は、アキレス腱周辺を押圧できる構成であればランダムな配置としてもよい。なお、図では、説明のために概略で表しているため、実際の押圧部14のサイズや個数とは異なって示している。
【0021】
複数の押圧部14が取り付けられるベースシート体28は、例えば、綿、ナイロン、ポリエステル等の素材からなる。ベースシート体28は、例えば、四角形状に形成されており、表面側に複数の押圧部14が突起部材自身の素材の溶着又は接着剤等で固定されている。ベースシート体28は、裏面側を靴下本体12の踵部22からレッグ部の足首部24の後方側に跨るように当着されて、該靴下本体12の内側に縫着等により固定されている。このようにベースシート体28に複数の押圧部14を取り付けて、靴下本体12に固定した構造であることから、例えば、事前に平らな状態のベースシート体28に複数の押圧部14の固定作業を行って、既製の靴下本体12に取り付けることができ、簡単に健康靴下10を製造することができる。なお、靴下本体12の内側に直接に複数の押圧部14を固定することとしてもよい。
【0022】
本実施形態では、複数の押圧部14は、ツボ等を刺激するものではなくアキレス腱周辺を押圧することによって肩こりや腰痛の緩和、身体のゆがみの矯正、健康維持等を図ることに着目して構成したものである。よって、複数の押圧部14が設けられる範囲は、例えば、靴下本体12を装着した装着者の踵骨からアキレス腱の下部側にかけた範囲(踵骨及びアキレス腱の真後ろ部分とその左右両側にある程度広がった範囲)となる。例えば、成人が装着するサイズの靴下本体12の場合には、複数の押圧部14は、踵骨及びアキレス腱の背面の中心線から左右両側に3~4cm程度、全体として6~8cm程度の左右幅の範囲で、かつ踵骨の背面側の下端から上方に7~8cm程度の高さ幅の範囲に対応する部分に設けられる。すなわち、押圧部14は、押圧対象となるアキレス腱周辺部位のみに対応して靴下本体12の踵部から足首部の後方側部分のみに設けられており、装着者の足裏や足の甲、脛等に対応する部分には設けられていないこととなる。よって、健康靴下10を装着した際に装着感もよく、日常的に装着して健康維持効果等を期待することができる。なお、押圧部14の突出高さや間隔は、任意に設定してもよい。また、複数の押圧部14の形状は、長丸状や棒状、十字状、長い線状等、その他任意の形状でもよい。
【0023】
本実施形態の健康靴下10は、このように構成されているので、該健康靴下10を装着した装着者は、靴下本体12の生地素材の伸縮力により複数の押圧部14が装着者の踵骨からアキレス腱周辺が押圧される。さらに、装着者が健康靴下10を履いた状態で歩いたり、足を動かしたりすることで、複数の押圧部14も多少の動きが生じ、さらに装着者の踵骨からアキレス腱周辺が押圧される。人体は、例えば浅層バックラインの概念にもあるように、踵骨に接続されているアキレス腱は、足の裏からつま先に接続されるとともに、身体の背面側を上方側に向けてふくらはぎ部、大腿部、臀部、腰部、背中部、首部、頭部、さらに頭頂部から顔面の目の上まで、筋肉や筋膜、腱、靭帯を介してライン状に接続されている。すなわち、人体の背面側では、趾骨の底面、足底筋膜、踵骨、アキレス腱、腓腹筋、大腿骨頭、ハムストリングス、坐骨結節、仙結節靱帯、仙骨、腰仙椎筋膜、脊柱起立筋、後頭下筋、後頭骨稜、帽状腱膜、前頭筋、眼窩隆起等の筋肉、筋膜、腱、靭帯等でライン状に接続され、身体の姿勢や動きに応じて一体的に連動しながら機能している。例えば、身体に疲労がたまると、アキレス腱等にも疲労がたまり、アキレス腱等が硬くなり、それに関連して関節等も硬く締まってくる。アキレス腱周辺を押圧して疲労等を取り除くことにより、該アキレス腱に前述のようにライン状に接続している各筋肉、筋、腱、靭帯等に作用させることができる結果、肩こりや腰痛等の緩和・改善、体調不良の改善、身体の姿勢やバランスの改善、健康維持等を期待できる。また、このような人体の背面側の筋肉、筋、腱等は、姿勢にも深く関わりがあり、疲労を緩和・解消することにより、身体のゆがみの矯正にも効果が期待できる。したがって、健康靴下10を足に装着して日常生活を送るだけで、アキレス腱周辺が適度に押圧される結果、肩こりや腰痛の緩和、身体のゆがみの矯正、半身不随の患者の筋拘縮の緩和、筋肉や筋・関節の硬直や拘縮の緩和、冷え性や不眠の緩和、その他の体調不良の緩和・改善、健康維持等の効果を期待することができる。
【0024】
次に図4図5を参照しつつ本発明の健康靴下の第2の実施形態について説明する。上記実施形態と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態に係る健康靴下10-2は、上記実施形態同様に、靴下本体12と、複数の押圧部14と、を備えている。
【0025】
図4図5に示すように、本実施形態では、押圧部14の形状が第1実施形態とは異なっている。押圧部14は、例えば、ゴム、シリコン等の弾性素材から形成された波線状部材30からなる。波線状部材30からなる押圧部14は、それぞれ横方向に長く形成されるとともに靴下本体の生地内面から所定の高さで内向きに突設される線状突起部材であり、互いに上下に所定の間隔をあけて並設される。複数の押圧部14は、例えば、靴下本体12の内側の踵部22からレッグ部の足首部の後方側の範囲に、靴下本体12の生地に直接固定されている。押圧部14は、それぞれ突出高さが2~3mm程度に設定されている。また複数の押圧部14は、上下の間隔が、4~5mm程度に設定されている。なお、波線状部材30からなる押圧部14は、前記実施形態のように、ベースシート体を介して靴下本体12に取り付けることとしてもよい。波線状部材30からなる押圧部14は、例えば、それぞれ縦方向や斜め方向に長く配置することとしてもよい。また、押圧部は、波線状部材とドット状の突起部材の両方を混在させて設置することとしてもよい。
【0026】
本実施形態でも前記実施形態同様に、日常的に健康靴下を足に装着することで、アキレス腱周辺を押圧することができ、肩こりや腰痛の緩和、身体のゆがみの矯正、その他の体調不良の緩和・改善、健康維持等の効果を期待することができる。
【0027】
以上説明した本発明の健康靴下は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 健康靴下
12 靴下本体
14 押圧部
26 ドット状の突起部材
28 ベースシート体
30 波線状部材
図1
図2
図3
図4
図5