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  • 特許-バルブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
F16K31/122
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023538289
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2022020127
(87)【国際公開番号】W WO2023007907
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2021125167
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-185677(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成される流路ブロックと、
前記流路を開閉する弁体と、
ケースと、前記ケースに収容され、流体流路が形成されるピストンと、前記ピストンと一体に軸方向に移動することにより前記弁体を開位置又は閉位置に移動させるステムと、前記ケースと前記ピストンとによって取り囲まれる流体導入室と、駆動流体を前記流体流路を介して前記流体導入室に供給する継手と、を有するアクチュエータと、を備え、
前記継手は、前記ピストンと隙間なく連結して設けられる、
バルブ装置。
【請求項2】
前記継手は、前記ピストン及び前記ステムと一体に前記軸方向に移動する際に前記ケースと摺接しない、
請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記ケースの一端には、貫通孔が形成され、
前記継手の外周面と前記貫通孔の内周面との間には、クリアランスが形成される、
請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記継手は、前記ピストン及び前記ステムと一体に前記軸方向に移動する際に前記ケースからはみ出ない、
請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記ケースは、
キャップと、
前記キャップ及び前記流路ブロックの両方に連結されるボンネットと、を有し、
前記ステムは、全体が前記ボンネットに収容される、
請求項1に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
JP2012-26544Aには、流路が形成される流路ブロックと、流路を開閉する弁体と、ケースと、ケースに収容されるピストンと、ピストンと一体に軸方向に移動することにより弁体を開位置又は閉位置に移動させるステムと、駆動エアをピストンに供給する継手であって、ケースの頂壁に取り付けられるワンタッチ継手と、を有するアクチュエータと、を備えるバルブ装置が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、JP2012-26544Aに記載のバルブ装置では、ピストンが流路ブロックから離間する方向へ移動する際に継手とピストンとの間に供給される駆動エアの圧力がピストンの上端において下方へ作用するため、ピストンの上方への移動を阻害するおそれがある。特に、小型バルブ装置では、ピストンが流路ブロックから離間する方向へ移動する際に継手とピストンとの間に供給される駆動エアの圧力による悪影響が顕著となってしまう。
【0004】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、ピストンが流路ブロックから離間する方向へ移動する際に継手とピストンとの間に供給される駆動流体の圧力による悪影響を抑制できるバルブ装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、流路が形成される流路ブロックと、前記流路を開閉する弁体と、ケースと、前記ケースに収容され、流体流路が形成されるピストンと、前記ピストンと一体に軸方向に移動することにより前記弁体を開位置又は閉位置に移動させるステムと、前記ケースと前記ピストンとによって取り囲まれる流体導入室と、駆動流体を前記流体流路を介して前記流体導入室に供給する継手と、を有するアクチュエータと、を備え、前記継手は、前記ピストンと隙間なく連結して設けられる。
【0006】
この態様によれば、ピストンが流路ブロックから離間する方向へ移動する際に継手とピストンとの間に供給される駆動流体の圧力による悪影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態に係るバルブ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0009】
(バルブ装置の構成)
まず、図1を参照しながら本実施形態に係るバルブ装置1について説明する。図1は、バルブ装置1を示す断面図である。図1において、ワンタッチ継手65を非断面で示している。
【0010】
本実施形態に係るバルブ装置1は、半導体の製造に用いられる流体制御装置(図示しない)に設けられる。流体制御装置は、ALD(Atomic Layer Deposition/すなわち、原子層堆積)法によって半導体ウェハ等の基板に所定の薄膜を形成する薄膜生成工程に用いられる。
【0011】
図1に示すように、バルブ装置1は、流路ブロック2、弁体としてのダイヤフラム3、弁体押さえとしてのダイヤフラム押さえ4、スペーサ5及びアクチュエータ6を備える。バルブ装置1は、駆動流体としての駆動エアをアクチュエータ6に供給することによりダイヤフラム3の開閉を行うエアオペレートバルブである。
【0012】
流路ブロック2は、流路としての流体流入流路21、流体流出流路22及びアクチュエータ6を構成するケース61のボンネット612(後述する)が収容される凹部23を有する。
【0013】
流体流入流路21の一端としての上端及び流体流出流路22の一端としての上端は、凹部23を介して連通する。流体流入流路21の一端の周縁には、円環状の弁座24が設けられる。流路ブロック2は、凹部23を形成する周壁231を備える。周壁231の内周面には、ボンネット612に螺合する雌ねじ232が形成される。
【0014】
ダイヤフラム3は、弁座24から離間又は弁座24に押圧されて流体流入流路21を開閉するためのシート状の弁体である。ダイヤフラム3は、流路側とアクチュエータ6側とを隔てる隔膜部材である。また、ダイヤフラム3は、自然状態においてアクチュエータ6側(図1の上側)に向かって隆起する円弧状に形成され、例えば、ニッケル合金薄板等からなる。通常、ダイヤフラム3は、ダイヤフラム押さえ4によって弁座24に押さえられる。
【0015】
ダイヤフラム押さえ4は、ダイヤフラム3を弁座24に押さえるための円柱状の押さえ部材である。ダイヤフラム押さえ4は、ボンネット612に収容される。ダイヤフラム押さえ4は、一端としての上端がアクチュエータ6を構成するステム64(後述する)と当接されるとともに、他端としての下端がダイヤフラム3と対向する。
【0016】
スペーサ5は、ダイヤフラム3の外周縁を押さえるための円環状の押さえアダプタである。スペーサ5は、流路ブロック2の凹部23の底面とボンネット612の下端との間に設けられる。ダイヤフラム3の外周縁は、スペーサ5と凹部23の底面との間で保持され、ボンネット612を周壁231の雌ねじ232にねじ込むことにより固定される。スペーサ5の内周側には、ダイヤフラム3と接触するダイヤフラム押さえ4の下端が挿通される。
【0017】
アクチュエータ6は、ボンネット612の第2収容室612f(後述する)に収容されたダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を弁座24に押圧又は離間させることにより、流体流入流路21と流体流出流路22とを遮断又は連通させる。アクチュエータ6は、ケース61、ピストン62、コイルばね63、ステム64及び継手としてのワンタッチ継手65を有する。なお、本実施形態では、ステム64は、ピストン62とは異なる部品として説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ピストン62の一部としてもよい。
【0018】
ケース61は、ピストン62、コイルばね63、ステム64及びワンタッチ継手65を収容するための枠部材である。ケース61は、流路ブロック2の上方に設けられる。また、ケース61は、上ケースとしての略有底円筒状のキャップ611と、ねじ螺合によってキャップ611に連結される下ケースとしてのボンネット612と、を有する。
【0019】
キャップ611は、円筒状の周壁611aと、周壁611aの一端としての上端に設けられる円板状の頂壁611bと、を有する。
【0020】
周壁611aの他端側としての下端側の外周面には、ボンネット612に螺合する雄ねじ611cが形成される。ケース61の一端としての頂壁611bの中央には、ステム64の軸方向(図1の上下方向)に貫通する貫通孔611dが形成される。貫通孔611dには、駆動エア供給制御部(図示しない)とワンタッチ継手65とを連結するための可撓性チューブ(図示しない)が挿通される。
【0021】
頂壁611bには、貫通孔611dを取り囲むようにコイルばね63の一端としての上端を保持する保持面としての円環面611eが形成される。コイルばね63は、上端が円環面611eに当接するとともに他端としての下端がピストン62に当接するように圧縮状態で円環面611eとピストン62との間に形成されるばね収容空間66に収容される。
【0022】
頂壁611bには、貫通孔611dと干渉しないようにキャップ611を回転させる回転治具が係合する一対の係合穴611fが形成される。
【0023】
ボンネット612は、ねじ螺合によってキャップ611及び流路ブロック2の両方に連結されるものである。ボンネット612は、円筒状の周壁612aと、周壁612aの下端に設けられるボンネット本体612bと、を有する。
【0024】
周壁612aの一端側としての上端側の内周面には、雄ねじ611cに螺合する雌ねじ612cが形成される。周壁612aの他端側としての下端側の内周面には、第1シール材としてのOリング67の外周面が当接する当接面612dが形成される。
【0025】
ボンネット本体612bの一端としての上端の中央部分には、第2シール材としてのOリング68を収容する第1収容室612eが形成される。そして、Oリング68が第1収容室612eに収容された状態において、第1収容室612eの内周面とOリング68の外周面とは、当接する。ボンネット本体612bの他端としての下端の中央部分には、ダイヤフラム押さえ4を収容する第2収容室612fが形成される。ボンネット本体612bには、第1収容室612eと第2収容室612fとを連通するとともにステム64が挿通される挿通孔612gが形成される。
【0026】
また、ボンネット本体612bの下端側の外周面には、周壁231の雌ねじ232に螺合する雄ねじ612hが設けられる。さらに、ボンネット本体612bには、挿通孔612gと外部とを連通するエア抜き孔612iがステム64の径方向に沿って形成される。
【0027】
ピストン62は、円板状のピストン本体621と、ピストン本体621の一端としての上端に設けられる連結部622と、連結部622及びピストン本体621に形成される流体流路としてのエア流路623と、を有する。
【0028】
ピストン本体621は、摺接面としての外周面がOリング67の内周面と摺接する。ピストン本体621の上端側には、ピストン本体621の外周面から突出する円環状のフランジ621aが設けられる。フランジ621aとボンネット本体612bの上端面との間には、Oリング67が収容される。
【0029】
ピストン本体621の一端面としての上端面の中央部分には、ピストン本体621の上端面から突出する筒状(具体的には、円筒状)の連結部622が設けられる。ピストン本体621の上端面には、連結部622を取り囲むようにコイルばね63の下端を保持する保持面としての円環面621bが形成される。連結部622の内周面には、ワンタッチ継手65の雄ねじ652a(後述する)に螺合する雌ねじ622aが形成される。
【0030】
エア流路623は、駆動エアを後述する流体導入室としてのエア導入室69に導入するための流路である。エア流路623は、上下方向に(すなわち、ステム64の軸方向)沿って延在するように連結部622及びピストン本体621に形成される軸方向流路623aと、軸方向流路623aとエア導入室69とを連通するようにピストン本体621及びステム64に形成される連通流路623bと、を有する。
【0031】
軸方向流路623aは、雌ねじ622aの下端と接続され、先端がピストン本体621に入り込むように形成される。連通流路623bは、軸方向流路623aの先端とエア導入室69とを連通するようにステム64の軸方向に対して傾斜して形成される。
【0032】
ステム64は、ピストン62と一体に軸方向に移動することによりダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を開位置又は閉位置に移動させるステムである。ピストン本体621の他端面としての下端面の中央部分には、ピストン本体621の下端面から突出するステム64が設けられる。本実施形態では、ステム64は、ピストン62と一体形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ピストン62と別体形成されてもよい。
【0033】
ステム64は、第1収容室612e及び挿通孔612gを順に挿通し、先端が第2収容室612fに入り込むように形成される。ステム64は、摺接面としての外周面がOリング68の内周面と摺接する。ステム64の先端には、ダイヤフラム押さえ4が当接される。これにより、ダイヤフラム押さえ4は、ステム64と一体に軸方向に移動することができる。
【0034】
エア導入室69は、ボンネット612、ピストン本体621、ステム64、Oリング67及びOリング68により取り囲まれる領域である。
【0035】
ワンタッチ継手65は、可撓性チューブとピストン62の連結部622とを連結するための継手である。ワンタッチ継手65は、ピストン62の連結部622と連結して設けられる。これにより、ケース61のキャップ611にワンタッチ継手65を連結させるための連結構造を設ける必要がないため、キャップ611の構造の簡素化を図ることができる。
【0036】
また、ワンタッチ継手65は、筒状(具体的には、円筒状)の継手本体651と、継手本体651の他端としての下端に設けられる筒状(具体的には、円筒状)の螺合部652と、継手本体651及び螺合部652の内周側に形成される継手流路653と、を有する。螺合部652の外周面には、連結部622の雌ねじ622aに螺合する雄ねじ652aが形成される。螺合部652は、外径が継手本体651の外径よりも小さい。継手流路653は、両端がそれぞれ可撓性チューブの流路及びピストン62のエア流路623(具体的には、軸方向流路623a)と連通する。
【0037】
継手本体651の一端としての上端と可撓性チューブの先端との連結箇所は、シーリングされる。そして、螺合部652の雄ねじ652aを連結部622の雌ねじ622aに螺合させることにより、ワンタッチ継手65がピストン62の連結部622と連結される。これにより、ワンタッチ継手65とピストン62との間に存在する隙間をなくすことができるため、ピストン62が流路ブロック2から離間して上方へ移動する際にワンタッチ継手65とピストン62との間に供給される駆動エアの圧力による悪影響を抑制することができる。
【0038】
また、ピストン62とキャップ611との間、及び、キャップ611の貫通孔611dとワンタッチ継手65との間をそれぞれシーリングする必要がなく、ピストン62の先端とキャップ611との間、及び、貫通孔611dとワンタッチ継手65との間をそれぞれシーリングするための構造(具体的には、Oリングを含む)をなくすことができる。この結果、キャップ611の構造の簡素化をより図ることができる。
【0039】
さらに、螺合部652の外周側に位置する継手本体651の下端の環状面(円環状面)には、環状(円環状)のシール材が設けられることが好ましい。これにより、ワンタッチ継手65とピストン62の連結部622とが雄ねじ652aと雌ねじ622aとの螺合によって連結された状態において、シール材を連結部622の先端面に当接させることで、継手本体651の下端と連結部622の先端との連結箇所をシーリングすることができる。
【0040】
本実施形態では、ワンタッチ継手65は、雄ねじ652aと雌ねじ622aとの螺合によってピストン62の連結部622と連結されているが、これに限定されるものではなく、例えば、嵌合又は接着等によってピストン62の連結部622と連結されてもよい。
【0041】
継手本体651は、外径が貫通孔611dの内径よりも小さい。すなわち、継手本体651の外周面と貫通孔611dの内周面との間には、クリアランスが形成される。これにより、ワンタッチ継手65は、ピストン62及びステム64と一体に軸方向に移動する際に貫通孔611dに入り込むものの、貫通孔611dと摺接しないため、ワンタッチ継手65と貫通孔611dとの摺接による摺接抵抗を抑制することができる。この結果、アクチュエータ6の応答性を向上させることができる。すなわち、ダイヤフラム3の開弁又は閉弁の時間を短縮させることができる。
【0042】
クリアランスは、コイルばね63を収容するばね収容空間66と外部とを連通する。これにより、ばね収容空間66と外部とを連通するエア抜き孔を形成する必要がないため、キャップ611の構造の簡素化をさらに図ることができる。
【0043】
継手本体651は、ピストン62及びステム64と一体に軸方向に移動する際にキャップ611の頂壁611bからはみ出ない。これにより、ワンタッチ継手65がケース61からはみ出るようにケース61の頂壁611bに取り付けられたバルブ装置に比べ、軸方向におけるバルブ装置1の小型化を図ることができる。
【0044】
(バルブ装置の動作)
次に、バルブ装置1の動作について説明する。
【0045】
駆動エア供給制御部が駆動エアをバルブ装置1のアクチュエータ6に供給する場合、駆動エアは、順に可撓性チューブ、ワンタッチ継手65の継手流路653及びピストン62のエア流路623を経由してエア導入室69に導入される。
【0046】
これにより、エア導入室69の容積が増大するように、ピストン62は、コイルばね63の付勢力に抗してワンタッチ継手65、ステム64と一体に上方へ移動する。そして、ダイヤフラム3は、自身の復元力によってダイヤフラム押さえ4とともに上昇することで弁座24から離間する。すなわち、ダイヤフラム3は、ピストン62、ワンタッチ継手65、ステム64及びダイヤフラム押さえ4の上昇によって流体流入流路21を開放する。このため、気化されたプロセスガス等の流体は、流体流入流路21から弁座24とダイヤフラム3との間に形成される隙間を経由して流体流出流路22に供給される。
【0047】
一方、駆動エア供給制御部が駆動エアをバルブ装置1のアクチュエータ6に供給しない場合、ピストン62は、コイルばね63の付勢力によってステム64と一体に下方へ移動する。そして、ダイヤフラム3は、ステム64の下方移動によってダイヤフラム押さえ4を介して弁座24に押圧される。すなわち、ダイヤフラム3は、ピストン62、ワンタッチ継手65、ステム64及びダイヤフラム押さえ4の移動によって流体流入流路21を閉塞する。このため、気化されたプロセスガス等の流体は、流体流入流路21から流体流出流路22に供給されない。
【0048】
エア導入室69の容積は、ピストン62、ワンタッチ継手65、ステム64及びダイヤフラム押さえ4の移動によって減少する。このとき、エア導入室69のエアは、順にエア流路623、継手流路653及び可撓性チューブを経由して駆動エア供給制御部に導出される。
【0049】
このように、駆動エア供給制御部は、バルブ装置1のアクチュエータ6への駆動エアの供給を制御することにより、弁座24に対するダイヤフラム3の開閉を切り替えることができる。したがって、このようなバルブ装置1によれば、流体流入流路21から流体流出流路22への流体供給の制御が可能となる。なお、本実施形態では、バルブ装置1は、常時閉(ノーマル・クローズ)のバルブ装置からなっているが、これに限定されるものではなく、例えば、常時開(ノーマル・オープン)のバルブ装置からなってもよい。
【0050】
(作用効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係るバルブ装置1は、流体流入流路21及び流体流出流路22が形成される流路ブロック2と、流体流入流路21と流体流出流路22との間を開閉するダイヤフラム3と、ケース61と、ケース61に収容され、エア流路623が形成されるピストン62と、ピストン62と一体に軸方向に移動することによりダイヤフラム3を開位置又は閉位置に移動させるステム64と、ケース61とピストン62とによって取り囲まれるエア導入室69と、エア流体をエア流路623を介してエア導入室69に供給するワンタッチ継手65と、を有するアクチュエータ6と、を備え、ワンタッチ継手65は、ピストン62と連結して設けられる。
【0052】
この構成によれば、ワンタッチ継手65とピストン62との間に存在する隙間をなくすことができるため、ピストン62が流路ブロック2から離間する方向へ移動する際にワンタッチ継手65とピストン62との間に供給される駆動エアの圧力による悪影響を抑制することができる。
【0053】
また、ピストン62とキャップ611との間、及び、キャップ611とワンタッチ継手65との間をそれぞれシーリングする必要がなく、ピストン62の先端とキャップ611との間、及び、キャップ611とワンタッチ継手65との間をそれぞれシーリングするための構造(具体的には、Oリングを含む)をなくすことができる。この結果、ケース61を構成するキャップ611の構造の簡素化をより図ることができる。
【0054】
本実施形態では、ワンタッチ継手65は、ピストン62及びステム64と一体に軸方向に移動する際にケース61と摺接しない。
【0055】
また、本実施形態では、ケース61の流路ブロック2とは反対である側の一端としてのキャップ611の頂壁611bには、貫通孔611dが形成され、ワンタッチ継手65の外周面と貫通孔611dの内周面との間には、クリアランスが形成される。
【0056】
これらの構成によれば、ワンタッチ継手65は、ピストン62及びステム64と一体に軸方向に移動する際に貫通孔611dに入り込むものの、貫通孔611dと摺接しないため、ワンタッチ継手65と貫通孔611dとの摺接による摺接抵抗を抑制することができる。この結果、アクチュエータ6の応答性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、ワンタッチ継手65は、ピストン62及びステム64と一体に軸方向に移動する際にケース61からはみ出ない。
【0058】
この構成によれば、ワンタッチ継手65がケース61からはみ出るようにケース61の頂壁611bに取り付けられたバルブ装置に比べ、軸方向におけるバルブ装置1の小型化を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ケース61は、キャップ611と、キャップ611及び流路ブロック2の両方に連結されるボンネット612と、を有し、ステム64は、全体がボンネット612に収容される。
【0060】
この構成によれば、流路ブロック2と連結されるボンネット612を、ケース61を構成する下ケースとして、ケース61を構成する上ケースとしてのキャップ611と連結させることで、下ケースとボンネット612との一体化を図ることができるため、バルブ装置1を構成する部品の簡素化を図ることができる。
【0061】
また、ステム64全体がボンネット612に収容されるため、軸方向におけるバルブ装置1の小型化をより図ることができる。そして、小型化が図られたバルブ装置1では、ピストン62が流路ブロック2から離間する方向へ移動する際にワンタッチ継手65とピストン62との間に供給される駆動エアの圧力によって顕著となった悪影響を抑制することができる。
【0062】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0063】
本願は2021年7月30日に日本国特許庁に出願された特願2021-125167に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 バルブ装置
2 流体ブロック
3 ダイヤフラム(弁体)
6 アクチュエータ
21 流体流入流路(流路)
22 流体流出流路(流路)
61 ケース
62 ピストン
64 ステム
65 ワンタッチ継手(継手)
69 エア導入室(流体導入室)
611 キャップ
612 ボンネット
611d 貫通孔
623 エア流路(流体流路)
図1