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特許7636065融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ
<図1>
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図1
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図2
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図3
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図4
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図5
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図6A
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図6B
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図7
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図8
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図9
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図10
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図11
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図12
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図13
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図14
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図15
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図16
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図17
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図18
  • 特許-融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ 図19
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
G02B6/255
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023512556
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014661
(87)【国際公開番号】W WO2022215175
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆治
(72)【発明者】
【氏名】大木 一芳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴弘
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/124218(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/009371(WO,A1)
【文献】特開2005-146755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0238298(US,A1)
【文献】国際公開第2019/142652(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24-6/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを融着接続する融着機構、及び、外部機器と通信する通信部を含み前記融着機構の動作を制御する制御部を有する融着接続機と、
前記融着接続機と通信可能な第1情報端末と、
前記第1情報端末と通信可能なサーバと、を備え、
前記融着接続機の前記制御部は、使用前に前記融着機構の動作をロック設定することが可能なように構成されており、
前記第1情報端末は、前記ロック設定を一時的に解除するためのロック解除情報を前記サーバから取得すると共に、前記ロック解除情報を含むロック解除指示信号を前記融着接続機に送信し、
前記融着接続機の前記制御部は、前記受信したロック解除指示信号に含まれる前記ロック解除情報が適正であるか否かを判定し、適正である場合には前記融着機構のロック設定を一時的に解除して前記融着機構を動作可能とし、
前記サーバから前記第1情報端末に送信される前記ロック解除情報は、前記融着機構の動作を一時的に行うことができる利用期間情報を含み、
前記ロック設定を解除できる期間は、作業者が前記融着接続機を利用できる期間であり、前記期間の経過後に前記融着機構のロック解除は無効とされ、前記融着機構の動作が再度ロック設定される、融着接続システム。
【請求項2】
前記第1情報端末は、前記ロック解除情報の取得要求を、前記第1情報端末の端末識別情報及び前記第1情報端末の使用者情報の少なくとも一方と共に前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記第1情報端末から受信した前記取得要求に含まれる前記端末識別情報又は前記使用者情報に対応する前記ロック解除情報を前記第1情報端末に送信する、
請求項1に記載の融着接続システム。
【請求項3】
前記第1情報端末は、前記サーバから前記ロック解除情報を取得した際に、前記ロック解除情報に含まれるロック解除用の解除パスワード情報を表示させないと共に、前記ロック解除情報に紐付いている前記融着接続機の接続機識別情報を表示させる、
請求項1または請求項2に記載の融着接続システム。
【請求項4】
前記融着接続機の動作をロック設定するためのロック情報を含むロック設定指示信号を前記融着接続機に送信するための第2情報端末を更に備え、
前記第2情報端末は、前記サーバから前記ロック情報を取得する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の融着接続システム。
【請求項5】
前記第2情報端末は、前記ロック設定指示信号を前記融着接続機に送信する際、前記第2情報端末の時刻情報を併せて送信する、
請求項4に記載の融着接続システム。
【請求項6】
前記ロック情報は、前記融着接続機の動作のロック設定を解除するための解除パスワード情報を含む、
請求項4または請求項5に記載の融着接続システム。
【請求項7】
前記ロック情報は、前記融着接続機の動作のロック設定を開始するロック開始日情報、及び、前記融着接続機の動作のロック設定を継続するロック周期情報の少なくとも一方の情報を更に含む、
請求項6に記載の融着接続システム。
【請求項8】
前記第2情報端末は、前記ロック設定指示信号を前記融着接続機に送信した後、前記融着接続機から前記融着機構の動作のロック設定が完了した旨の完了通知を受領した場合、前記融着接続機におけるロックの設定実施情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ロックの設定実施情報を格納部に格納する、
請求項4から請求項7の何れか一項に記載の融着接続システム。
【請求項9】
前記ロックの設定実施情報は、前記融着接続機のロック設定を行った前記第2情報端末の識別番号、前記第2情報端末の使用者情報、前記ロック設定の実施日時情報、前記ロック設定の実施位置情報、及び、前記ロック設定の実施結果情報の少なくとも1つの情報を含む、
請求項8に記載の融着接続システム。
【請求項10】
前記第2情報端末は、前記ロック設定指示信号による前記融着接続機のロック設定をクリアするロック設定解除情報を前記サーバから取得し、前記ロック設定解除情報を含むロック設定解除指示信号を前記融着接続機に送信する、
請求項4から請求項9の何れか一項に記載の融着接続システム。
【請求項11】
前記第2情報端末は、前記ロック設定解除指示信号を前記融着接続機に送信した後、前記融着接続機から前記融着機構の動作ロック設定をクリアした旨の完了通知を受領した場合、前記融着接続機におけるロック設定をクリアしたロック設定解除実施情報を前記サーバに送信する、
請求項10に記載の融着接続システム。
【請求項12】
前記サーバは、前記融着接続機の動作をロック設定するためのロック情報に含まれる解除パスワード情報、前記第1情報端末の使用者情報、前記第2情報端末の使用者情報、前記融着接続機の時刻情報、前記融着接続機のロック設定を一時的に解除する利用期間情報、ロック設定を一時的に解除された前記融着接続機が再びロック状態とされるロック周期情報のうち少なくとも2つの情報が紐付けられて格納される格納部を有する、
請求項4から請求項11の何れか一項に記載の融着接続システム。
【請求項13】
前記第1情報端末は、前記ロック解除指示信号を前記融着接続機に送信した後、前記融着接続機から前記融着機構の動作のロック設定の一時的な解除が完了した旨の完了通知を受領した場合、前記融着接続機におけるロック解除実施情報を前記サーバに送信する、
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の融着接続システム。
【請求項14】
前記ロック解除実施情報は、前記融着接続機の一時的なロック解除を行った前記第1情報端末の識別番号、前記第1情報端末の使用者情報、前記ロック解除の実施日時情報、前記ロック解除の実施位置情報、及び、前記ロック解除の結果情報の少なくとも1つの情報を含む、
請求項13に記載の融着接続システム。
【請求項15】
光ファイバを融着接続する融着機構と、外部機器と通信する通信部を含み前記融着機構の動作を制御する制御部とを有する融着接続機の動作を前記融着接続機と通信可能な第1情報端末で制御する動作制御方法であって、
前記融着機構の動作がロック設定された前記融着接続機の前記ロック設定を解除するためのロック解除情報を、サーバから前記第1情報端末が取得する工程と、
前記サーバから取得した前記ロック解除情報を含むロック解除指示信号を前記第1情報端末が前記融着接続機に送信する工程と、
前記制御部において、前記受信したロック解除指示信号に含まれるロック解除情報が適正であるか否かを判定する工程と、を備え、
前記判定する工程で適正であると判定された場合、前記制御部によるロック設定を解除して前記融着機構を一時的に動作可能とし、
前記サーバから前記第1情報端末に送信される前記ロック解除情報は、前記融着機構の動作を一時的に行うことができる利用期間情報を含み、
前記ロック設定を解除できる期間は、作業者が前記融着接続機を利用できる期間であり、前記期間の経過後に前記融着機構のロック解除は無効とされ、前記融着機構の動作が再度ロック設定される、融着接続機の動作制御方法。
【請求項16】
前記融着接続機の前記融着機構の動作をロック設定するロック情報含むロック設定指示信号を第2情報端末から前記融着接続機に送信する工程と、
前記融着接続機の前記制御部が前記受信したロック設定指示信号に含まれる前記ロック情報に基づいて前記融着機構の動作をロック設定する工程と、
を更に備える、請求項15に記載の融着接続機の動作制御方法。
【請求項17】
複数の融着接続機の識別情報と、前記複数の融着接続機それぞれの動作ロック設定を解除するロック解除情報と、前記複数の融着接続機それぞれのロック設定解除を要求できる作業者情報とを紐付けて格納する格納部と、
前記複数の融着接続機の内の少なくとも1つの融着接続機のロック解除情報の取得要求を外部の情報端末から受信する通信部と、
前記受信した取得要求に含まれる作業者情報が前記格納部に格納されている前記ロック解除情報が要求されている融着接続機に紐付けられた作業者情報に合致しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記通信部は、前記受信した取得要求に含まれる作業者情報が前記格納されている作業者情報に合致していると前記判定部によって判定された場合、前記融着接続機に紐付けられたロック解除情報を前記外部の情報端末に送信し、
前記ロック解除情報は、前記融着接続機の動作を一時的に行うことができる利用期間情報を含む、サーバ。
【請求項18】
前記格納部は、前記複数の融着接続機それぞれの動作をロック設定するロック周期情報と、前記ロック設定を一時的に解除して使用可能とする使用期間の期間情報とを、前記識別情報に紐付けて格納する、
請求項17に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及び、サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、融着接続機の盗難を検知する盗難検知システム及び盗難検知方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-224076号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の融着接続システムは、光ファイバを融着接続する融着機構、及び、外部機器と通信する通信部を含み融着機構の動作を制御する制御部を有する融着接続機と、融着接続機と通信可能な第1情報端末と、第1情報端末と通信可能なサーバと、を備える。融着接続機の制御部は、使用前に融着機構の動作をロック設定することが可能なように構成されている。第1情報端末は、当該ロック設定を一時的に解除するためのロック解除情報をサーバから取得すると共に、ロック解除情報を含むロック解除指示信号を融着接続機に送信する。融着接続機の制御部は、受信したロック解除指示信号に含まれるロック解除情報が適正であるか否かを判定し、適正である場合には融着機構のロック設定を一時的に解除して融着機構を動作可能とする。
【0005】
本開示の融着接続機の動作制御方法は、光ファイバを融着接続する融着機構と、外部機器と通信する通信部を含み融着機構の動作を制御する制御部とを有する融着接続機の動作を融着接続機と通信可能な第1情報端末で制御する動作制御方法である。この動作制御方法は、融着機構の動作がロック設定された融着接続機の当該ロック設定を解除するためのロック解除情報を、サーバから第1情報端末が取得する工程と、サーバから取得したロック解除情報を含むロック解除指示信号を第1情報端末が融着接続機に送信する工程と、制御部において、受信したロック解除指示信号に含まれるロック解除情報が適正であるか否かを判定する工程と、を備える。判定する工程で適正であると判定された場合、制御部によるロック設定を解除して融着機構を一時的に動作可能とする。
【0006】
本開示のサーバは、複数の融着接続機の識別情報と複数の融着接続機それぞれの動作ロック設定を解除するロック解除情報と複数の融着接続機それぞれのロック設定解除を要求できる作業者情報とを紐付けて格納する格納部と、複数の融着接続機の内の少なくとも1つの融着接続機のロック解除情報の取得要求を外部の情報端末から受信する通信部と、受信した取得要求に含まれる作業者情報が格納部に格納されている当該ロック解除情報が要求されている融着接続機に紐付けられた作業者情報に合致しているか否かを判定する判定部と、を備える。通信部は、受信した取得要求に含まれる作業者情報が格納されている作業者情報に合致していると判定部によって判定された場合、当該融着接続機に紐付けられたロック解除情報を外部の情報端末に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る融着接続システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、風防カバーが閉じている状態の融着接続機の外観を示す。
図3図3は、風防カバーが開けられて内部構造が見える状態の融着接続機の外観を示す。
図4図4は、融着接続機(制御部)の機能的な構成を示すブロック図である。
図5図5は、融着接続機のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6A図6Aは、管理者用の情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図6B図6Bは、作業者用の情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図7図7は、各情報端末に共通のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、サーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図9図9は、サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図10図10は、管理者用の情報端末を用いて行う融着接続機の動作ロック処理を示すシーケンス図である。
図11図11は、作業者用の情報端末を用いて行う融着接続機の一時的な動作ロックの解除処理を示すシーケンス図である。
図12図12は、管理者用の情報端末を用いて行う融着接続機の動作ロック設定のクリア(解除)処理を示すシーケンス図である。
図13図13は、融着接続機を管理及び使用するための各種情報をサーバに登録するための処理を示すフローチャートである。
図14図14は、図10に示す動作ロック処理を行う場合の管理者用の情報端末における操作画面の一例を示す図である。
図15図15は、図11に示す動作ロックの一時的な解除処理を行う場合の作業者用の情報端末における操作画面の一例を示す図である。
図16図16は、複数の融着接続機の識別番号(シリアル番号)をサーバに登録するための登録画面の一例を示す図である。
図17図17は、各融着接続機のロック設定の解除パスワード、管理者情報、タイムゾーン、利用期間、ロック周期、及び作業者情報をサーバに登録するための登録画面の一例を示す図である。
図18図18は、互いに紐付けられてサーバに登録される、管理者情報と作業者情報とチーム情報との一例を示す図である。
図19図19は、互いに紐付けられてサーバに登録される、各融着接続機の識別情報(シリアル番号)、各融着接続機のロック設定の解除パスワード、管理者情報、タイムゾーン、利用期間、ロック周期、及び利用可能な作業者情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示が解決しようとする課題]
融着接続機は、例えば光ファイバを敷設する現場において使用される。敷設現場では、融着接続機の使用者(作業者)は、光ファイバの融着作業以外の作業も行うため、融着接続機から離れることがあり、この際に融着接続機が盗難にあってしまうことがある。特許文献1の装置は、融着接続機の盗難を抑止するシステムを開示しているが、更なる改良が望まれている。
【0009】
そこで、本開示は、融着接続機の盗難を抑止することができる、融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及びサーバを提供することを目的とする。
【0010】
[本開示の効果]
本開示によれば、融着接続機の盗難を抑止することができる。
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る融着接続システムは、光ファイバを融着接続する融着機構、及び、外部機器と通信する通信部を含み融着機構の動作を制御する制御部を有する融着接続機と、融着接続機と通信可能な第1情報端末と、第1情報端末と通信可能なサーバと、を備える。融着接続機の制御部は、使用前に融着機構の動作をロック設定することが可能なように構成されている。第1情報端末は、当該ロック設定を一時的に解除するためのロック解除情報をサーバから取得すると共に、ロック解除情報を含むロック解除指示信号を融着接続機に送信する。融着接続機の制御部は、受信したロック解除指示信号に含まれるロック解除情報が適正であるか否かを判定し、適正である場合には融着機構のロック設定を一時的に解除して融着機構を動作可能とする。
【0012】
上記の融着接続システムでは、融着接続機の融着機構は使用前には動作がロック設定されており、第1情報端末からのロック解除指示信号により当該ロック設定が解除されて、融着接続機を使用することができる。即ち、この融着接続システムでは、盗難があった場合の対策に主眼を置いた従来とは異なり、融着接続機は、当初から動作ロックがかかった状態であり、使用時に当該動作ロックを第1情報端末で一時的(所定の期間)解除して使用するようになっている。しかも、第1情報端末はロック解除信号に用いられるロック解除情報をサーバから受信する。このため、仮に融着接続機が盗難された場合であっても、サーバや第1情報端末がないとその融着接続機がロックされたままで使用することはできず、結果として、融着接続機の盗難が抑止されることになる。更に、サーバからロック解除情報を取得するため、融着接続機の作業者がロック解除情報を保有して管理する必要がない。
【0013】
上記の融着接続システムにおいて、第1情報端末は、ロック解除情報の取得要求を、当該第1情報端末の識別情報及び第1情報端末の使用者情報の少なくとも一方と共にサーバに送信してもよく、サーバは、第1情報端末から受信した取得要求に含まれる識別情報又は使用者情報に対応するロック解除情報を第1情報端末に送信してもよい。この場合、融着接続機の動作ロックを解除するロック解除情報をサーバ側にて管理することができるため、融着接続機の盗難をより抑制することができる。
【0014】
上記の融着接続システムにおいて、第1情報端末は、サーバからロック解除情報を取得した際に、ロック解除情報に含まれるロック解除用の解除パスワード情報を表示させないと共に、ロック解除情報に紐付いている融着接続機の識別情報を表示させてもよい。この場合、第1情報端末が盗難等されて使用されたとしても、ロックされた融着接続機のロック解除用の解除パスワード情報を盗難者が容易に知ることができず、融着接続機が一旦ロックされてサーバへの接続ができなくなるとロック解除ができなくなり、融着接続機の盗難をより抑制することができる。
【0015】
上記の融着接続システムは、融着接続機の動作をロック設定するためのロック情報を含むロック設定指示信号を融着接続機に送信するための第2情報端末を更に備えてもよく、第2情報端末は、サーバからロック情報を取得してもよい。この場合、融着接続機の管理者が、作業者が使用する第1情報端末と異なる第2情報端末を使用して、融着接続機の動作ロック設定をすることができるため、融着接続機の盗難防止の管理をより行いやすくなる。
【0016】
上記の融着接続システムにおいて、第2情報端末は、ロック設定指示信号を融着接続機に送信する際に、第2情報端末の時刻情報を併せて送信してもよい。この場合、融着接続機の時刻を管理者が使用する第2情報端末の時刻に同期させることができ、管理者による融着接続機の管理をより確実に行い易くなる。
【0017】
上記の融着接続システムにおいて、ロック情報は、融着接続機の動作のロック設定を解除するための解除パスワード情報を含んでもよい。この場合において、ロック情報は、融着接続機の動作のロック設定を開始するロック開始日情報、及び、融着接続機の動作のロック設定を継続するロック周期情報の少なくとも一方の情報を更に含んでもよい。これにより、融着接続機の動作のロック設定をより細かく制御することができる。
【0018】
上記の融着接続システムにおいて、第2情報端末は、ロック設定指示信号を融着接続機に送信した後、融着接続機から融着機構の動作のロック設定が完了した旨の完了通知を受領した場合、当該融着接続機におけるロックの設定実施情報をサーバに送信してもよく、サーバは、ロックの設定実施情報を格納部に格納してもよい。この場合において、ロックの設定実施情報は、融着接続機のロックを行った第2情報端末の識別番号、当該第2情報端末の使用者情報、当該ロック設定の実施日時情報、当該ロック設定の実施位置情報、及び、当該ロック設定の実施結果情報の少なくとも1つの情報を含んでもよい。これにより、融着接続機の動作のロック設定の情報をサーバで一元管理することができ、管理者による融着接続機の管理をより確実なものとすることができる。
【0019】
上記の融着接続システムにおいて、第2情報端末は、ロック設定指示信号による融着接続機のロック設定をクリアするロック設定解除情報をサーバから取得し、ロック設定解除情報を含むロック設定解除指示信号を融着接続機に送信してもよい。この場合、融着接続機をメンテナンス等する際に、融着接続機の動作のロック設定をまとめて解除することが可能となる。
【0020】
上記の融着接続システムにおいて、第2情報端末は、ロック設定解除指示信号を融着接続機に送信した後、融着接続機から融着機構の動作ロック設定をクリアした旨の完了通知を受領した場合、当該融着接続機におけるロック設定をクリアしたロック設定解除実施情報をサーバに送信してもよい。これにより、融着接続機の動作のロック設定をクリアとした解除情報をサーバで一元管理することができ、管理者による融着接続機の管理をより確実なものとすることができる。
【0021】
上記の融着接続システムにおいて、サーバから第1情報端末に送信されるロック解除情報は、融着機構の動作を一時的に行うことができる利用期間情報を含んでもよい。この場合、融着接続機の動作のロック設定を解除する利用期間を調整しやすくなる。
【0022】
上記の融着接続システムにおいて、第1情報端末は、ロック解除指示信号を融着接続機に送信した後、融着接続機から融着機構の動作のロック設定の一時的な解除が完了した旨の完了通知を受領した場合、当該融着接続機におけるロック解除実施情報をサーバに送信してもよい。この場合において、ロック解除実施情報は、融着接続機の一時的なロック解除を行った第1情報端末の識別番号、当該第1情報端末の使用者情報、当該ロック解除の実施日時情報、当該ロック解除の実施位置情報、及び、当該ロック解除の結果情報の少なくとも1つの情報を含んでもよい。これにより、融着接続機の動作のロック設定の解除情報をサーバで一元管理することができ、管理者による融着接続機の管理をより確実なものとすることができる。
【0023】
上記の融着接続システムにおいて、サーバは、融着接続機の動作をロック設定するためのロック情報に含まれる解除パスワード情報、第1情報端末の使用者情報、第2情報端末の使用者情報、融着接続機の時刻情報、融着接続機のロック設定を一時的に解除する利用期間情報、一時的に解除された融着接続機が再びロック状態とされるロック周期情報のうち少なくとも2つの情報が紐付けられて格納される格納部を有してもよい。この場合、サーバによって、融着接続機の動作ロック設定及び動作ロック設定の解除を一元管理することが可能となり、管理者により融着接続機の管理をより確実なものとすることができる。
【0024】
一実施形態に係る融着接続機の動作制御方法は、光ファイバを融着接続する融着機構と、外部機器と通信する通信部を含み融着機構の動作を制御する制御部とを有する融着接続機の動作を融着接続機と通信可能な第1情報端末で制御する動作制御方法である。この動作制御方法は、融着機構の動作がロック設定された融着接続機の当該ロック設定を解除するためのロック解除情報を、サーバから第1情報端末が取得する工程と、サーバから取得したロック解除情報を含むロック解除指示信号を第1情報端末が融着接続機に送信する工程と、制御部において、受信したロック解除指示信号に含まれるロック解除情報が適正であるか否かを判定する工程と、を備える。判定する工程で適正であると判定された場合、制御部によるロック設定を解除して融着機構を一時的に動作可能とする。
【0025】
上記の融着接続機の動作制御方法では、上述した融着接続システムと同様に、融着接続機の融着機構は使用前には動作がロック設定されており、第1情報端末からのロック解除指示信号により当該ロック設定が解除されて、融着接続機を使用することができる。よって、この動作制御方法によれば、仮に融着接続機が盗難された場合であっても、その融着接続機を使用することはできず、結果として、融着接続機の盗難が抑止されることになる。なお、この動作制御方法において、上述した融着接続システムの何れかの構成において行われる動作を適宜行ってもよい。
【0026】
上記の動作制御方法は、融着接続機の融着機構の動作をロック設定するロック情報を含むロック設定指示信号を第2情報端末から融着接続機に送信する工程と、融着接続機の制御部が受信したロック設定指示信号に含まれるロック情報に基づいて融着機構の動作をロック設定する工程と、を更に備えてもよい。この場合、管理者が使用する第2情報端末によって融着接続機をより確実にロック設定することができる。
【0027】
一実施形態に係るサーバは、複数の融着接続機の識別情報と複数の融着接続機それぞれの動作ロック設定を解除するロック解除情報と複数の融着接続機それぞれのロック設定解除を要求できる作業者情報とを紐付けて格納する格納部と、複数の融着接続機の内の少なくとも1つの融着接続機のロック解除情報の取得要求を外部の情報端末から受信する通信部と、受信した取得要求に含まれる作業者情報が格納部に格納されている当該ロック解除情報が要求されている融着接続機に紐付けられた作業者情報に合致しているか否かを判定する判定部と、を備える。通信部は、受信した取得要求に含まれる作業者情報が格納されている作業者情報に合致していると判定部によって判定された場合、当該融着接続機に紐付けられたロック解除情報を外部の情報端末に送信する。このサーバにより、上述した融着接続システム及び融着接続機の動作制御方法と同様に、融着接続機の盗難を抑止することができる。
【0028】
上記のサーバにおいて、格納部は、複数の融着接続機それぞれの動作をロック設定するロック周期情報と、当該ロック設定を一時的に解除して使用可能とする使用期間の期間情報とを、識別情報に紐付けて格納してもよい。この場合、融着接続機の動作のロック設定をより細かく制御することができる。
【0029】
なお、上記の融着接続システム、融着接続機の動作制御方法、及びサーバはそれぞれの一部を適宜、組み合わせて構成してもよい。また、融着接続システムの一部の構成(例えば、融着接続機、第1情報端末、第2情報端末)、又は当該構成による方法等を実施形態の一例として規定してもよい。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態に係る融着接続システム、融着接続機、情報端末、サーバ、及び融着接続機の動作制御方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図1は、本開示の一実施形態に係る融着接続システム1の構成を概略的に示す図である。この融着接続システム1は、融着接続機10と、情報端末20(第2情報端末)と、情報端末30(第1情報端末)と、サーバ40とを備える。融着接続機10は、光ファイバの融着接続を行う装置である。情報端末20は、融着接続機10を使用管理する管理者が扱うものである。情報端末20は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末、または通信可能なパソコン等の固定通信端末である。情報端末30は、融着接続機10を使用する作業者が所持するものである。情報端末30は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末である。融着接続機10は、例えば無線接続により情報端末20,30と通信可能に構成されている。なお、図1には、1つの融着接続機10と、対応する1つずつの情報端末20,30とが示されているが、これに限定されるものではなく、融着接続システム1は、複数の融着接続機10とそれぞれに対応する複数の情報端末20,30とを備えて構成することができる。以下では、主に1組の融着接続機10と情報端末20,30とについて説明するが、他の融着接続機10等も同様の構成を備えている。
【0032】
サーバ40は、複数の融着接続機10と複数の融着接続機10を管理する管理者及び使用する使用者との関係を統括する管理サーバであって、通信網60を介して情報端末20,30と通信可能なコンピュータから構成される。通信網60は、例えばインターネットである。サーバ40は地球上の或る地域に所在し、融着接続機10及び情報端末20,30は、サーバ40の所在地域とは異なる別の地域(国等)に所在してもよいし、同じ地域(国等)に所在してもよい。なお、管理者は、サーバ40に格納されている各種の管理データを確認及び必要な情報の登録/更新のために、PC等の情報端末50を用いてもよい。
【0033】
図2及び図3は、融着接続機10の外観を示す斜視図である。図2は風防カバーが閉じている状態の外観を示し、図3は風防カバーが開けられて融着接続機10の内部構造が見える状態の外観を示す。融着接続機10は、光ファイバ同士を融着接続するための装置であり、図2及び図3に示すように、箱状の筐体2を備えている。この筐体2の上部には、光ファイバ同士を融着するための融着部3(融着機構)と、融着部3で融着された光ファイバの融着接続部に被せられたファイバ補強スリーブを加熱収縮させる加熱器4(融着機構)とが設けられている。融着接続機10は、筐体2の内部に配置された図示しないカメラによって撮像された光ファイバ同士の融着接続状況を表示するモニタ5を備えている。さらに、融着接続機10は、融着部3への風の進入を防止するための風防カバー6を備えている。
【0034】
融着部3は、一対の光ファイバホルダ3aを載置可能なホルダ載置部と、一対のファイバ位置決め部3bと、一対の放電電極3cとを有する融着機構である。融着対象の光ファイバそれぞれは光ファイバホルダ3aに保持固定され、当該光ファイバホルダはそれぞれホルダ載置部に載置固定される。ファイバ位置決め部3bは、光ファイバホルダ3a同士の間に配置され、光ファイバホルダ3aのそれぞれに保持された光ファイバの先端部を位置決めする。放電電極3cは、ファイバ位置決め部3b同士の間に配置され、アーク放電によって光ファイバの先端同士を融着するための電極である。
【0035】
風防カバー6は、融着部3を開閉自在に覆うように筐体2に連結されている。風防カバー6の側面6aのそれぞれには、融着部3へ(すなわち光ファイバホルダ3aのそれぞれへ)光ファイバを導入するための導入口6bが形成されている。
【0036】
図4は、融着接続機10の機能的な構成を示すブロック図である。図5は、融着接続機10のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、融着接続機10の制御部は、機能的には、通信部11、時刻同期処理部12、ロック設定部13、ロック解除部14、及び情報格納部15を備える。融着接続機10は、図5に示すように、その制御部として、CPU10a、RAM10b、ROM10c、入力装置10d、無線通信モジュール10e、補助記憶装置10f、及び出力装置10g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、融着接続機10の各機能が実現される。また、融着接続機10は、制御部以外としては、各種の融着接続機構10hを含む。
【0037】
通信部11は、情報端末20及び情報端末30との間で通信を行う部分である。通信部11は、例えば、IEEE802.11(登録商標:Wi-Fi)若しくはIEEE802.15.1(登録商標:Bluetooth)に準拠した無線通信を情報端末20及び情報端末30との間で行う。通信部11は、このような無線を行う無線モジュールを制御する。
【0038】
時刻同期処理部12は、管理者用の情報端末20から無線送信される時刻情報に融着接続機10の内部時刻を同期させる部分である。時刻同期処理部12は、通信部11を介して情報端末20から情報端末20の時刻情報を受信すると、受信した時刻情報を融着接続機10の内部クロックに適用する処理を行う。同期された時刻情報は例えば融着接続機10のモニタ5に表示させることもできる。時刻同期処理部12は、時刻同期処理が終了した場合、通信部11を介して時刻同期処理が実施された旨の完了報告を情報端末20に送信してもよい。
【0039】
ロック設定部13は、管理者用の情報端末20から無線送信されるパスコード設定コマンド(ロック設定指示信号)に基づいて、融着接続機10の動作処理をロック設定する部分である。パスコード設定コマンドには、例えば、融着接続機10の動作処理をロックするロック開始日、ロック解除するための解除パスワード、融着接続機10の動作処理をロックするロック周期(例えば、起動毎、1日毎、1週間毎又は1月毎等)等の情報が含まれている。ロック設定部13は、パスコード設定コマンドを情報端末20から受信すると、ロック開始日及びロック周期といった情報に基づいて融着接続機10の動作のロック設定を行う。ロック設定部13によるロック設定により、融着接続機10は、ロック開始日以降、所定の周期で動作ロックされることになる。ロック設定部13によるロック設定は、使用者が主に使用する情報端末30等から送信されるロック解除コマンド(ロック設定解除指示信号)に含まれる解除パスワードがパスコード設定コマンドに含まれる解除パスワードと一致するとロック解除部14により判定されることにより、解除され得る。ロック設定部13は、融着接続機10の動作ロック設定が完了した後又は完了させるため、一度、融着接続機10を電源OFF又は再起動させる処理を行わせてもよい。ロック設定部13は、融着接続機10の動作ロック設定が完了した場合、通信部11を介して動作ロック設定が実施された旨の完了報告を情報端末20に送信してもよい。
【0040】
また、ロック設定部13は、上述した融着接続機10の動作ロック処理の設定をクリア(解除)する部分でもある。ロック設定部13は、管理者用の情報端末20からロック設定解除コマンド(ロック設定解除指示信号)を受信すると、既に設定されている融着接続機10の動作ロック処理の設定自体をクリア(解除)する処理を行う。この処理により、融着接続機10は、ロック処理がされていない初期状態に戻る。ロック設定部13は、融着接続機10の動作ロック処理の設定クリアが完了した後又は完了させるため、一度、融着接続機10を電源OFF又は再起動させる処理を行わせてもよい。ロック設定部13は、融着接続機10の動作ロック処理の設定クリアが完了した場合、通信部11を介して動作ロック処理の設定クリアが実施された旨の完了報告を情報端末20に送信してもよい。
【0041】
ロック解除部14は、作業者用の情報端末30から無線送信されるロック解除コマンド(ロック設定解除指示信号)に基づいて、動作ロックされている融着接続機10の動作のロック設定を所定期間(即ち一時的に)解除する部分である。ロック解除コマンドには、融着接続機10の動作のロック設定を一時的に解除するための解除パスワード、及び、融着接続機10の動作ロックを解除できる期間(利用期間)等の情報が含まれている。ロック解除部14は、ロック解除コマンドを作業者用の情報端末30から受信すると、ロック解除コマンドに含まれる解除パスワードがロック設定コマンドに含まれる解除パスワードに一致するか否かの判定を行う。パスワードが一致する場合、ロック解除部14はロック設定部13によって設定された融着接続機10の動作ロックを所定の期間解除する。パスワードが一致しない場合、ロック解除部14は、一致しない旨の情報を例えばモニタ-5等に表示して作業者に報知する。ロック解除部14は、融着接続機10の動作ロックの解除処理が完了した場合、通信部11を介してロック解除処理が実施された旨の完了報告を情報端末30に送信してもよい。ロック解除部14によって解除されたロック設定は、所定の利用期間が経過すると、再度、ロック設定に戻るように構成されている。
【0042】
情報格納部15は、融着接続機10で行わる光ファイバ同士の融着データ、上述したロック設定/解除用の解除パスワード、融着接続機10の時刻、シリアル番号(識別情報)等の各種情報を格納する部分である。情報格納部15は、時刻同期処理部12、ロック設定部13及びロック解除部14からの要求に応じて必要な情報を出力したり、受け取って記憶する。
【0043】
図6A及び図6Bは、情報端末20及び情報端末30の機能的な構成を示すブロック図である。図7は、各情報端末20,30に共通のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、情報端末50も図7と同様のハードウェア構成を備えている。図6Aに示すように、管理者用の情報端末20は、通信部21、時刻同期指示部22、ロック設定部23、位置取得部24、ロック設定クリア部25、及び情報格納部26を備える。図6Bに示すように、作業者用の情報端末30は、通信部31、ロック解除部32、位置取得部33、及び情報格納部34を備える。図7に示すように、情報端末20,30は、CPU20a、RAM20b、ROM20c、入力装置20d、通信モジュール20e、補助記憶装置20f、及び出力装置20g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。情報端末20及び30は、これらの構成要素がプログラム等により動作することによって、図6A及び図6Bに示す各機能を実現する。
【0044】
情報端末20において、通信部21は、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどの通信モジュール20eから構成される。通信部21は、無線LANにより融着接続機10との間で無線通信により各種信号や情報の送受信を行う。通信部21は、融着接続機10の無線規格に対応する、例えばIEEE802.11若しくはIEEE802.15.1に準拠した通信を行う。融着接続機10との間で無線通信を行うことができれば、他の帯域や通信規格が用いられてもよい。加えて、通信部21は、インターネット等の通信網60を介して、サーバ40との間で各種信号及び情報の送受信を行う。そのために、通信部21は上述した無線LANモジュールを兼用してもよく、或いは別の通信モジュール(4G又は5G等の移動通信モジュール等)を備えてもよい。
【0045】
時刻同期指示部22は、管理者用の情報端末20で動作処理をロック設定する融着接続機10の時刻を情報端末20等の基準となる時刻に同期させるための部分である。時刻同期指示部22は、ロック設定部23による融着接続機10のロック処理指示を行う前に、例えば基準時刻となる情報端末20の時刻を融着接続機10に送信する。時刻同期指示部22は、基準時刻として、サーバ40で設定されている時刻を用いてもよい。
【0046】
ロック設定部23は、管理者用の情報端末20によって、管理している融着接続機10の動作をロック設定させる部分である。ロック設定部23は、管理者の操作によりロック設定を行う旨の入力を受け付けると、サーバ40に登録されている、当該管理者が管理しているロック設定対象の融着接続機10の一覧情報をサーバ40から取得する。この一覧情報には、各融着接続機10のシリアル番号、融着接続機10の動作処理をロックした場合の解除パスワード、融着接続機10の動作をロックする周期等の情報が含まれる。動作をロックする周期は、動作ロック処理がされた融着接続機10のロックが解除パスワードにより一時的に解除された場合に再度ロックを掛けるための周期であり、例えば、融着接続機10の再起動毎、1日毎、1週間毎、1月毎等が設定されている。ロック設定部23は、一覧情報をサーバ40から受け取ると、融着接続機10のシリアル番号の一覧を情報端末20のディスプレイに表示し、ロック設定を行う融着接続機10を選択可能な状態とする(例えば図14を参照)。ロック設定部23は、選択可能とされた一覧から選択された融着接続機10に対して、パスコード設定コマンドを送信する。パスコード設定コマンドには、上述したように、ロック開始日、解除パスワード、ロック周期等の情報が含まれている。なお、ロック設定部23は、パスコード設定コマンドと併せて、電源OFFコマンドを融着接続機10に送信してもよい。
【0047】
また、ロック設定部23は、ロック設定を指示した融着接続機10からロック設定を完了した旨の情報を取得すると、ロック設定実施情報を生成する。ロック設定実施情報には、ロック設定を行った実施者(管理者)、実施日時、位置情報、ロック設定の結果、情報端末20の各種情報(ブランド名、モデル名、OSのバージョン情報、アプリのバージョン情報、端末固有のID(UUID)等)が含まれており、これらの情報がロック設定された融着接続機10のシリアル番号に紐付けられる。ロック設定部23は、融着接続機10のシリアル番号を含むロック実施情報をサーバ40にアップロードする。サーバ40では、受け取ったロック実施情報に基づいて管理データを更新する。
【0048】
位置取得部24は、情報端末20の位置情報をGPS又は基地局等のデータから取得する部分である。位置取得部24は、ロック設定部23等からの要求に基づいて情報端末20の位置情報を取得し、ロック設定部23等に提供する。位置取得部24は、所定周期で位置情報を取得して、情報格納部26に記憶させておいてもよい。
【0049】
ロック設定クリア部25は、管理者用の情報端末20によって、管理している融着接続機10の動作ロック設定をクリア(解除)させる部分である。ロック設定クリア部25は、管理者の操作によりロック設定をクリアする旨の入力を受け付けると、サーバ40に登録されている、当該管理者が管理しているロック設定対象の融着接続機10の一覧情報をサーバ40から取得する。この一覧情報には、各融着接続機10のシリアル番号等が含まれており、融着接続機10の動作処理をロック設定した場合の解除パスワードが含まれていてもよい。ロック設定クリア部25は、一覧情報をサーバ40から受け取ると、融着接続機10のシリアル番号の一覧を情報端末20のディスプレイに表示し、ロック設定のクリア処理を行う融着接続機10を選択可能な状態とする。ロック設定クリア部25は、選択可能とされた一覧から選択された融着接続機10に対して、ロック設定解除コマンドを送信する。ロック設定解除コマンドには、融着接続機10のロック設定を解除するための情報が含まれている。なお、ロック設定クリア部25は、ロック設定解除コマンドと併せて、電源OFFコマンドを融着接続機10に送信してもよい。
【0050】
また、ロック設定クリア部25は、ロック設定のクリア処理を指示した融着接続機10からロック設定の解除を完了した旨の情報を取得すると、ロック設定解除実施情報を生成する。ロック設定解除実施情報には、ロック設定の解除を行った実施者(管理者)、実施日時、位置情報、ロック設定解除の結果、情報端末20の各種情報(ブランド名、モデル名、OSのバージョン情報、アプリのバージョン情報、端末固有のID(UUID)等)が含まれており、これらの情報がロック設定解除された融着接続機10のシリアル番号に紐付けられる。ロック設定クリア部25は、融着接続機10のシリアル番号を含むロック設定解除実施情報をサーバ40にアップロードする。サーバ40では、受け取ったロック設定解除実施情報に基づいて管理データを更新する。
【0051】
情報格納部26は、上述した各種の情報を記憶する部分である。情報格納部26は、ロック設定情報等を一時的に格納してもよい。
【0052】
情報端末30において、通信部31は、通信部21と同様に、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどの通信モジュール20eから構成される。通信部31は、無線LANにより融着接続機10との間で無線通信により各種信号及び情報の送受信を行う。通信部31は、融着接続機10の無線規格に対応する。融着接続機10との間で無線通信を行うことができれば、他の帯域や通信規格が用いられてもよい。加えて、通信部31は、インターネット等の通信網60を介して、サーバ40との間で各種信号及び情報の送受信を行う。そのために、通信部31は上述した無線LANモジュールを兼用してもよく、或いは別の通信モジュール(4G又は5G等の移動通信モジュール等)を備えてもよい。
【0053】
ロック解除部32は、作業者用の情報端末30によって、動作ロックされている融着接続機10の動作ロックを解除させる部分である。ロック解除部32は、作業者の操作によりロック解除処理を行う旨の入力を受け付けると、サーバ40に登録されている、当該作業者が使用可能な融着接続機10の一覧情報をサーバ40から取得する。このロック解除可能な融着接続機の一覧情報には、各融着接続機10のシリアル番号、融着接続機10の動作処理をロック設定した場合の解除パスワード、融着接続機10の動作ロックを解除できる期間(利用期間)等の情報が含まれる。動作ロック設定を解除できる期間は、作業者がその融着接続機10を利用することができる期間であり、この期間の経過後には、融着接続機10のロック解除は無効とされ、再度、融着接続機10の動作がロックされる。ロック解除部32は、一覧情報をサーバ40から受け取ると、融着接続機10のシリアル番号の一覧を情報端末30のディスプレイに表示し、ロック解除を行う融着接続機10を選択可能な状態とする(例えば図15を参照)。ロック解除部32は、選択可能とされた一覧から選択された融着接続機10に対して、ロック解除コマンドを送信する。ロック解除コマンドには、上述したように、融着接続機10の動作ロックを解除するための解除パスワード、及び、融着接続機10の動作ロックを解除できる期間(利用期間)等の情報が含まれている。
【0054】
また、ロック解除部32は、ロック解除を指示した融着接続機10からロック解除を完了した旨の情報を取得すると、ロック解除実施情報を生成する。ロック解除実施情報には、ロック解除を行った実施者(作業者)、実施日時、位置情報、ロック解除の結果、情報端末30の各種情報(ブランド名、モデル名、OSのバージョン情報、アプリのバージョン情報、端末固有のID(UUID)等)が含まれており、これらの情報がロック解除された融着接続機10のシリアル番号に紐付けられる。ロック解除部32は、融着接続機10のシリアル番号を含むロック解除実施情報をサーバ40にアップロードする。サーバ40では、受け取ったロック解除実施情報に基づいて管理データを更新する。
【0055】
位置取得部33は、情報端末30の位置情報をGPS又は通信の基地局等のデータから取得する部分である。位置取得部33は、ロック解除部32等からの要求に基づいて情報端末30の位置情報を取得し、ロック解除部32等に提供する。位置取得部33は、所定周期で位置情報を取得して、情報格納部34に記憶させておいてもよい。
【0056】
情報格納部34は、上述した各種の情報を記憶する部分である。情報格納部34は、ロック解除実施情報等を一時的に格納してもよい。
【0057】
図8は、サーバ40の機能的な構成を示すブロック図である。図9は、サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。図9に示すように、サーバ40は、機能的には、通信部41、データ登録部42、ロック設定部43、ロック解除部44、及び情報格納部45を備える。サーバ40は、図9に示すように、その制御部として、CPU40a、RAM40b、ROM40c、通信モジュール40d、及び補助記憶装置40e等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、サーバ40の各機能が実現される。
【0058】
通信部41は、インターネット等の通信網60を介して、情報端末20,30との間で各種信号及び情報の送受信を行う部分である。
【0059】
データ登録部42は、管理者によって融着接続機10に関連する管理情報を登録処理する部分である。登録される管理情報には、融着接続機10を使用又は所有する会社情報(名前、電話番号、住所、タイムゾーン等)や代表管理者情報(名前、E-mailアドレス、管理者アカウントID/パスワード等)等の組織情報、融着接続機10を使って作業を行う作業者情報(氏名、作業者アカウント/パスワード等)や作業チーム情報(チーム名称、所属する使用者等)等の使用者情報、管理される融着接続機10接続機情報(シリアル番号等)が含まれる。
【0060】
ロック設定部43は、管理者によって、各融着接続機10のシリアル番号に紐付けられる形で、各融着接続機10のロック設定情報を登録する部分である。ロック設定情報には、融着接続機10の動作ロック設定を解除するための解除パスワード、管理者情報、基準時刻(タイムゾーン等)、融着接続機10の利用期間(ロック解除期間)やロック周期、ロック設定された融着接続機10を解除可能な作業者情報等のロック設定情報が含まれる。ロック設定部43は、例えば、図17に示す入力インターフェイスを情報端末50(パーソナルコンピュータ等)のディスプレイに表示させて、管理者による入力を促すように構成されている。ロック設定部43は、このような入力画面を介して管理者によって入力されたロック設定情報を各融着接続機10のシリアル番号に紐付けて情報格納部45に記憶し、管理データ(データベース)として管理する(図19に示されるDBの例を参照)。
【0061】
ロック設定部43は、管理者用の情報端末20から、融着接続機10の動作ロックの設定対象の融着接続機の一覧情報の取得要求があった場合、当該一覧情報を通信網60を介して情報端末20に送信する部分である。ロック設定部43は、融着接続機10の動作ロックの設定が情報端末20側で終了した場合には、情報端末20から、ロック設定実施情報を取得する。また、ロック設定部43は、管理者用の情報端末20から、ロック設定されている融着接続機10のロック設定をクリアする際の融着接続機の一覧情報の取得要求があった場合、当該一覧情報を通信網60を介して情報端末20に送信する。ロック設定部43は、融着接続機10のロック設定が解除された場合には、情報端末20から、ロック設定解除実施情報を取得する。ロック設定部43は、情報端末20からロック設定実施情報またはロック設定解除実施情報を取得した場合には、これらの情報に基づいて、上述した管理データ(データベース)の情報を更新する。
【0062】
ロック解除部44は、作業者用の情報端末30から、ロック設定されている融着接続機10の動作ロックを一時解除するためのロック解除可能な融着接続機の一覧情報の取得要求があった場合、当該一覧情報を通信網60を介して情報端末30に送信する部分である。ロック解除部44は、融着接続機10の動作ロック設定の解除処理が情報端末30側で終了した場合には、情報端末30から、ロック解除実施情報を取得する。ロック解除部44は、情報端末30からロック解除実施情報を取得した場合には、これらの情報に基づいて、上述したデータベースの情報を更新する。このようなロック設定部43及びロック解除部44による更新により、管理者が管理している各融着接続機10の動作ロックの最新状況(動作ロック中、動作ロックの一時的な解除中、動作ロック設定の解除中等)を一覧データとして格納や表示することができ、管理者は管理している各融着接続機10のロック状況をリアルタイムに確認することができる。
【0063】
情報格納部45は、上述した各種の情報(管理情報やロック設定情報等)をデータベースとして記憶している部分である。情報格納部45は、要求に応じて必要な情報をデータ登録部42、ロック設定部43、ロック解除部44に提供する。
【0064】
次に、図10図11及び図12を参照して、情報端末20,30及びサーバ40による融着接続機10の動作ロックの設定、ロック設定の一時解除、及び、ロック設定のクリア処理(動作制御方法)について説明する。図10は、管理者用の情報端末20を用いて行う融着接続機10の動作ロック処理を示すシーケンス図である。図11は、作業者用の情報端末30を用いて行う融着接続機10の一時的な動作ロックの解除処理を示すシーケンス図である。図12は、管理者用の情報端末20を用いて行う融着接続機10の動作ロック設定のクリア処理を示すシーケンス図である。
【0065】
図10に示すように、融着接続機10の動作のロック設定を行う場合には、まず、融着接続機10と無線接続可能な範囲に位置している情報端末20からサーバ40に対して、当該管理者が管理するロック設定対象の融着接続機の一覧情報の取得要求を行う(ステップS1)。この取得要求を受けたサーバ40は、そのロック設定対象の融着接続機の一覧情報を情報端末20にダウンロードする(ステップS2)。一覧情報を取得した情報端末20では、この一覧情報に基づいて、ロック対象の融着接続機の識別番号を表示する(ステップS3)。この表示の際、ロック対象の融着接続機を一台ずつ表示してもよいし(図14を参照)、まとめて表示してもよい。その後、管理者によるロック設定の対象が選択されると、情報端末20は当該入力を受け付けて、一覧情報に含まれる解除パスワードやロック周期等の情報を含むパスコード設定コマンドを生成する(ステップS4)。
【0066】
続いて、パスコード設定コマンドを生成した情報端末20では、まず、融着接続機10の時刻同期を取るため、情報端末20の時刻情報をその融着接続機10に送信する(ステップS5)。情報端末20の時刻情報を受け取った融着接続機10では、当該時刻情報に基づいて内部の時刻を同期させる。その後、情報端末20は、管理者によって選択された融着接続機10に対して、パスコード設定コマンドと電源OFFコマンドとを送信する(ステップS6)。電源OFFコマンドは、パスコード設定コマンドにより融着接続機10が動作のロック設定を行う際に必要とされる再起動等を指示する信号である。パスコード設定コマンド及び電源OFFコマンドを受け取った融着接続機10は、パスコード設定コマンドに含まれる解除パスワード及びロック周期等の設定処理を行うと共に、融着接続機10の動作をロック設定する(ステップS7)。
【0067】
続いて、ロック設定が完了した融着接続機10は、ロック設定が完了した旨の完了通知を情報端末20に対して行う(ステップS8)。完了通知を受信した情報端末20は、この完了通知に含まれる情報や情報端末20内に格納している情報も含めて、当該融着接続機10のロック設定の実施情報(ロック設定実施情報)を生成する。その後、情報端末20は、サーバ40に生成したロック設定実施情報をアップロードし、サーバ40は、管理データを更新する(ステップS9)。上述したステップS1からS9に係る処理を、ロック設定が必要な融着接続機10すべてに対して行う。なお、このロック設定は、順番に行ってもよいし、一括して行ってもよい。以上により、融着接続機10は、作業現場での使用に供される前に管理者により動作のロック設定が為される。
【0068】
次に、図11に示すように、使用前にロック設定されている融着接続機10のロック設定を一時的に解除する場合には、まず、融着接続機10と無線接続可能な範囲に位置している作業者用の情報端末30からサーバ40に対して、当該作業者が解除可能な融着接続機の一覧情報の取得要求をサーバ40に対して行う(ステップS11)。各作業者が解除可能な融着接続機は、管理者によって予め設定されている。この取得要求には、例えば、情報端末30の端末識別情報又は使用する作業者情報等を含めて送信してもよい。この取得要求を受けたサーバ40は、この端末識別情報又は作業者情報等を用いて、そのロック設定解除の対象の融着接続機の一覧情報を情報端末30にダウンロードする(ステップS12)。一覧情報を取得した情報端末30では、この一覧情報に基づいて、ロック解除対象の融着接続機の識別番号を表示する(ステップS13)。この表示の際、ロック解除対象の融着接続機を一台ずつ表示してもよいし(図15を参照)、まとめて表示してもよい。その後、作業者によるロック設定解除の対象が選択されると、情報端末30は当該入力を受け付けて、一覧情報に含まれる解除パスワードや利用期間等の情報を含むロック解除コマンドを生成する(ステップS14)。
【0069】
続いて、ロック解除コマンドを生成した情報端末30では、作業者によって選択された融着接続機10に対して、ロック解除コマンドを送信する(ステップS15)。ロック解除コマンドを受け取った融着接続機10は、ロック解除コマンドに含まれる解除パスワードとパスコード設定コマンドに含まれていた解除パスワードとを照合し、一致すると判定した場合、融着接続機10のロック設定を一時的に解除する(ステップS16)。この解除は一時的なものであり、例えば、ロック解除コマンドに含まれる利用期間等の情報に基づいて、解除期間が設定される。
【0070】
続いて、ロック解除設定が完了した融着接続機10は、ロック解除設定が完了した旨の完了通知を情報端末30に対して行う(ステップS17)。完了通知を受信した情報端末30は、この完了通知に含まれる情報や情報端末30内に格納している情報も含めて、当該融着接続機10のロック設定解除の実施情報(ロック解除実施情報)を生成する。その後、情報端末30は、サーバ40に生成したロック解除実施情報をアップロードし、サーバ40は、管理データを更新する(ステップS18)。上述したステップS11からS18に係る処理を、ロック設定の解除が必要な融着接続機10すべてに対して行う。なお、このロック設定の解除は、順番に行ってもよいし、一括して行ってもよい。以上により、予めロック設定されている融着接続機10のロック設定を一時的に解除し、作業現場において融着接続機10を使用することができる。なお、ロック設定が一時的に解除された融着接続機10は、所定の利用期間(1日、1週間等)が経過すると、再度、ロック設定される。
【0071】
次に、図12に示すように、ロック設定された融着接続機10のロック設定をクリア(解除)する場合には、まず、融着接続機10と無線接続可能な範囲に位置している管理者用の情報端末20からサーバ40に対して、当該管理者がロック設定をクリア(解除)可能な融着接続機の一覧情報の取得要求をサーバ40に対して行う(ステップS21)。この取得要求を受けたサーバ40は、そのロック設定クリア対象の融着接続機の一覧情報を情報端末20にダウンロードする(ステップS22)。一覧情報を取得した情報端末20では、この一覧情報に基づいて、ロック設定クリア対象の融着接続機の識別番号を表示する(ステップS23)。この表示の際、ロック設定クリア対象の融着接続機を一台ずつ表示してもよいし、まとめて表示してもよい。その後、管理者によるロック設定クリアの対象が選択されると、情報端末20は当該入力を受け付けて、一覧情報に含まれる解除パスワード等の情報を含むロック設定解除コマンドを生成する(ステップS24)。ロック設定解除コマンドに含まれる情報は、ロック設定されている融着接続機10のロック設定をクリアするための情報であればよく、解除パスワード以外の特別な設定クリアを指示する情報であってもよい。
【0072】
続いて、ロック設定解除コマンドを生成した情報端末20では、管理者によって選択された融着接続機10に対して、ロック設定解除コマンドを送信する(ステップS25)。この際、設定クリア処理のための電源OFFコマンドを一緒に送信してもよい。ロック設定解除コマンドを受け取った融着接続機10は、ロック設定解除コマンドに含まれる解除パスワード等を用いてロック設定の解除処理を行う(ステップS26)。この設定解除処理は、解除パスワード同士の照合であってもよいし、他の特別な照合処理であってもよい。融着接続機10がロック設定のクリア処理が適正であると判定した場合、融着接続機10のロック設定をクリア処理する。このクリア処理は、ロック設定を一旦、完全に消去するものであり、これにより融着接続機10は初期の状態に戻る。なお、クリア処理をされた融着接続機10は、図10に示すロック設定処理を再度行うことにより、ロック設定を行うことができる。
【0073】
続いて、ロック設定のクリア処理が完了した融着接続機10は、ロック設定のクリア処理が完了した旨の完了通知を情報端末20に対して行う(ステップS27)。完了通知を受信した情報端末20は、この完了通知に含まれる情報や情報端末20内に格納している情報も含めて、当該融着接続機10のロック設定クリアの実施情報(ロック設定解除実施情報)を生成する。その後、情報端末20は、サーバ40に生成したロック設定解除実施情報をアップロードし、サーバ40は、管理データを更新する(ステップS28)。上述したステップS21からS28に係る処理を、ロック設定のクリア処理が必要な融着接続機10すべてに対して行う。なお、このロック設定のクリア処理は、順番に行ってもよいし、一括して行ってもよい。以上により、ロック設定されている融着接続機10のロック設定をクリアし、初期状態の戻すことができる。融着接続機10をメンテナンス等する場合、このような初期状態に戻して行う。
【0074】
次に、図13図16及び図17を参照して、サーバ40に、融着接続機10の管理者、作業者、動作のロック設定処理等の情報を事前に登録する方法について説明する。図13は、融着接続機を管理及び使用するための各種情報をサーバに登録するための処理を示すフローチャートである。図16は、複数の融着接続機の識別番号(シリアル番号)をサーバに登録するための登録画面の一例を示す図である。図17は、各融着接続機のロック設定の解除パスワード、管理者情報、タイムゾーン、利用期間、ロック周期、及び作業者情報をサーバに登録するための登録画面の一例を示す図である。図18は、互いに紐付けられてサーバに登録される、管理者情報と作業者情報とチーム情報との関係を示す管理データの一例を示す図である。図19は、互いに紐付けられてサーバに登録される、各融着接続機の識別情報(シリアル番号)、各融着接続機のロック設定の解除パスワード、管理者情報、タイムゾーン、利用期間、ロック周期、及び利用可能な作業者情報が紐付けられた管理データの一例を示す図である。
【0075】
図13に示すように、融着接続機10の管理者は、管理者情報をサーバ40に登録する(ステップS31)。また、同様に、使用者情報、チーム情報、管理する融着接続機10等の情報を登録する(ステップS32,ステップS33,ステップS34)。融着接続機10の登録では、例えば、図16に示すような入力画面に各融着接続機10のシリアル番号を入力して記憶(セーブ)することにより、サーバ40に情報が格納される。ステップS31からステップS34で登録される管理情報には、融着接続機10を使用又は所有する会社情報(名前、電話番号、住所、タイムゾーン等)や代表管理者情報(名前、E-mailアドレス、管理者アカウントID/パスワード等)等の組織情報、融着接続機10を使って作業を行う作業者情報(氏名、作業者アカウント/パスワード等)や作業チーム情報(チーム名称、所属する使用者等)等の使用者情報、管理される融着接続機10接続機情報(シリアル番号等)が含まれる。
【0076】
続いて、基本的な管理情報が入力されると、例えば、図17に示す入力画面を表示し、各融着接続機10毎に解除パスワード、管理者、タイムゾーン(基準時刻)、利用期間、ロック周期、作業者等の情報の入力を管理者に対して促す。これらの情報が入力され記憶されることにより、サーバ40に各融着接続機10のロック設定情報が格納される。この後、融着接続機10の利用可否の設定を行う(ステップS36)。利用不可とした場合、作業者用の情報端末30等の情報端末から融着接続機10へのロック解除コマンドの送信を禁止する処理がなされ、融着接続機10の使用が不可とされる。一方、利用を可とした場合、融着接続機10の使用が可能となる。以上、ステップS31からステップS36に係る処理を行うことにより、図18に示すような、管理者、作業者及びチーム等の関係を紐付けた管理データがサーバ40内に生成されて管理される。また、図19に示すような、各融着接続機のシリアル番号に紐付けられた融着接続機のロック設定の関連情報(解除パスワード、管理者、タイムゾーン、利用期間、ロック周期、利用可能な利用者名等)がサーバ40内に生成されて管理される。このような情報は、サーバ40から情報端末20,30等に提供され、前述した融着接続機10の動作のロック設定やその一時的な解除/設定クリア等の各処理に用いられ、また、各処理が終了した際には、必要な更新処理が行われる。
【0077】
以上、本実施形態に係る融着接続システムによれば、融着接続機10の融着機構は使用前には動作がロック設定されており、作業者が使用する情報端末30からのロック解除コマンドにより当該ロック設定が解除されて、融着接続機10を使用することができる。即ち、この融着接続システム1では、融着接続機10は、当初から動作ロックがかかった状態であり、使用時に当該動作ロックを情報端末30で一時的(所定の期間)解除して使用するようになっている。しかも、情報端末30はロック解除に用いられるロック解除情報(解除パスワード)をサーバ40から受信する。このため、仮に融着接続機10が盗難された場合であっても、サーバ40への接続や情報端末30がないとその融着接続機10がロックされたままで使用することはできず、結果として、融着接続機の盗難が抑止されることになる。なお、解除パスワードは、情報端末30でロック解除する都度にサーバ40から取得してもよいし、電波状態の悪い場合に備え、予め数個の解除パスワードを情報端末30内に格納できるようにしておいてもよい。この場合、電波状況が悪い作業現場でも数日等の作業が可能となり、作業効率を阻害しない。
【0078】
本実施形態では、情報端末30は、ロック解除情報(解除パスワード)の取得要求を、情報端末30の識別情報及び情報端末30の作業者情報の少なくとも一方と共にサーバ40に送信してもよく、サーバ40は、情報端末30から受信した取得要求に含まれる識別情報又は作業者情報に対応するロック解除情報(解除パスワード)を情報端末30に送信する。この場合、融着接続機10の動作ロックを解除するロック解除情報をサーバ40側にて管理することができるため、融着接続機の盗難をより抑制することができる。また、適切な情報端末30にのみ、必要な解除パスワードを提供することが可能となる。
【0079】
本実施形態では、情報端末30は、サーバ40からロック解除情報を取得した際に、ロック解除情報に含まれるロック解除用の解除パスワード情報を情報端末30で表示させないと共に、ロック解除情報に紐付いている融着接続機10の識別情報を情報端末で表示させている。この場合、情報端末30が盗難等されて使用されたとしても、ロックされた融着接続機10のロック解除用の解除パスワード情報を盗難者が容易に知ることができず、融着接続機10が所定時間を過ぎて一旦ロックされると解除できなくなり、融着接続機10の盗難をより抑制することができる。
【0080】
本実施形態は、融着接続機10の動作をロック設定するためのロック情報を含むパスコード設定コマンド(ロック設定指示信号)を融着接続機10に送信するための情報端末20を更に備えている。情報端末20は、管理者用の情報端末であり、サーバ40からロック設定を行うための情報を取得する。この場合、融着接続機10の管理者が、作業者が使用する情報端末30と異なる情報端末20を使用して、融着接続機10の動作ロック設定をすることができるため、融着接続機の盗難防止の管理をより行いやすくなる。
【0081】
本実施形態では、情報端末20は、パスコード設定コマンドを融着接続機10に送信する際に、情報端末20の時刻情報を併せて送信する。この場合、融着接続機10の時刻を管理者が使用する情報端末20の時刻に同期させることができ、管理者による融着接続機10の時間管理をより確実に行い易くなる。
【0082】
本実施形態では、パスコード設定コマンドに含まれるロック情報は、融着接続機の動作のロック設定を解除するための解除パスワード情報を含んでいる。また、ロック情報は、融着接続機の動作のロック設定を開始するロック開始日情報、及び、融着接続機の動作のロック設定を継続するロック周期情報の少なくとも一方の情報を更に含んでいる。これにより、融着接続機の動作のロック設定をより細かく制御することができる。
【0083】
本実施形態では、情報端末20は、パスコード設定コマンドを融着接続機10に送信した後、融着接続機10から融着機構の動作のロック設定が完了した旨の完了通知を受領した場合、当該融着接続機10におけるロックの設定実施情報をサーバ40に送信する。サーバ40は、ロックの設定実施情報を格納部に格納する。ロックの設定実施情報は、融着接続機のロックを行った情報端末20の識別番号、情報端末20の使用者情報、ロック設定の実施日時情報、ロック設定の実施位置情報、及び、ロック設定の実施結果情報の少なくとも1つの情報を含む。これにより、融着接続機の動作のロック設定の情報をサーバ40で一元管理することができ、管理者により融着接続機10の管理をより確実なものとすることができる。
【0084】
本実施形態では、情報端末20は、パスコード設定コマンドによる融着接続機10のロック設定をクリアするロック設定解除情報をサーバ40から取得し、ロック設定解除情報を含むロック設定解除コマンドを融着接続機10に送信する。この場合、融着接続機10をメンテナンス等する際に、融着接続機10の動作のロック設定をまとめて解除することが可能となる。
【0085】
本実施形態では、情報端末20は、ロック設定解除コマンドを融着接続機10に送信した後、融着接続機10から融着機構の動作ロック設定をクリアした旨の完了通知を受領した場合、融着接続機10におけるロック設定をクリアしたロック設定解除実施情報をサーバ40に送信する。これにより、融着接続機10の動作のロック設定をクリアとした解除情報をサーバ40で一元管理することができ、管理者による融着接続機10の管理をより確実なものとすることができる。
【0086】
本実施形態では、サーバ40から情報端末30に送信されるロック解除情報は、融着機構の動作を一時的に行うことができる利用期間情報を含んでいる。これにより、融着接続機10の動作のロック設定を解除する利用期間を調整しやすくなる。
【0087】
本実施形態では、情報端末30は、ロック解除コマンドを融着接続機10に送信した後、融着接続機10から融着機構の動作のロック設定の一時的な解除が完了した旨の完了通知を受領した場合、融着接続機10におけるロック解除実施情報をサーバ40に送信する。ロック解除実施情報は、融着接続機10の一時的なロック解除を行った情報端末30の識別番号、情報端末30の使用者情報、ロック解除の実施日時情報、ロック解除の実施位置情報、及び、ロック解除の結果情報の少なくとも1つの情報を含んでいる。これにより、融着接続機10の動作のロック設定の解除情報をサーバ40で一元管理することができ、管理者による融着接続機10の管理をより確実なものとすることができる。
【0088】
本実施形態では、サーバ40は、融着接続機10の動作をロック設定するためのロック情報に含まれる解除パスワード情報、情報端末30の使用者情報、情報端末20の使用者情報、融着接続機10の時刻情報、融着接続機10のロック設定を一時的に解除する利用期間情報、一時的に解除された融着接続機10が再びロック状態とされるロック周期情報のうち少なくとも2つの情報が紐付けられて格納される格納部を有している。これにより、サーバ40によって、融着接続機10の動作ロック設定及び動作ロック設定の解除、クリア処理を一元管理することが可能となり、管理者により融着接続機10の管理(盗難防止等)をより確実なものとすることができる。
【0089】
以上、本実施形態に係る融着接続システム、融着接続装置、情報端末、サーバ、融着接続機の動作制御方法等について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1…融着接続システム
2…筐体
3…融着部(融着機構)
3a…光ファイバホルダ
3b…ファイバ位置決め部
3c…放電電極
4…加熱器(融着機構)
5…モニタ
6…風防カバー
6a…側面
6b…導入口
10…融着接続機
11…通信部
12…時刻同期処理部
13…ロック設定部
14…ロック解除部
15…情報格納部
20…情報端末(第2情報端末)
21…通信部
22…時刻同期指示部
23…ロック設定部
24…位置取得部
25…ロック設定クリア部
26…情報格納部
30…情報端末(第1情報端末)
31…通信部
32…ロック解除部
33…位置取得部
34…情報格納部
40…サーバ
41…通信部
42…データ登録部
43…ロック設定部
44…ロック解除部
45…情報格納部
50…情報端末
60…通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
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図19