(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ショベルの管理装置、管理システム、ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20250218BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20250218BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20250218BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 Q
E02F9/24 B
G05B23/02 R
(21)【出願番号】P 2021057893
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 方土
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特許第6039696(JP,B2)
【文献】特開2019-121052(JP,A)
【文献】特開2015-088078(JP,A)
【文献】特開2015-063864(JP,A)
【文献】特開2012-149510(JP,A)
【文献】特開2001-098586(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013911(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/111515(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/125979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
E02F 9/20
E02F 9/24
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中のショベルの動作情報を取得する情報取得部と、
前記動作情報を用いて算出された異常度に応じて、
次に前記ショベルに前記規定動作
を行わせるタイミングが、予め決められた期間よりも短くなるように変更する変更部と、
前記タイミングが変更されたことを示す通知を出力する出力部と、を有するショベルの管理装置。
【請求項2】
前記変更部は、
前記異常度が、前記ショベルの異常の有無を判定するために参照される閾値以下である場合において、前記異常度に応じて、
次に前記ショベルに前記規定動作
を行わせるタイミングが、予め決められた期間よりも短くなるように変更する、請求項1記載のショベルの管理装置。
【請求項3】
前記変更部は、
過去の前記動作情報を用いて算出された異常度
に対する、前記情報取得部により取得された前記動作情報を用いて算出された異常度
の増加比が一定の値以上である場合に、次に前記ショベルに前記規定動作を行わせるタイミング
が、予め決められた期間よりも短くなるように変更する、請求項1又は2記載のショベルの管理装置。
【請求項4】
前記通知は、
前記ショベルの表示装置に表示される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベルの管理装置。
【請求項5】
前記通知は、
前記ショベルの表示装置において、前記ショベルの後方画像と共に表示される、請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベルの管理装置。
【請求項6】
前記通知は、
前記ショベルの表示装置において、前記ショベルの俯瞰画像と共に表示される、請求項1乃至5の何れか一項に記載のショベルの管理装置。
【請求項7】
ショベルと、ショベルの管理装置とを含むショベルの管理システムであって、
前記管理装置は、
予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中のショベルの動作情報を取得する情報取得部と、
前記動作情報を用いて算出される異常度に応じて、
次に前記ショベルに前記規定動作
を行わせるタイミングが、予め決められた期間よりも短くなるように変更する変更部と、
前記タイミングが変更されたことを示す通知を前記ショベルの表示装置へ出力する出力部と、を有するショベルの管理システム。
【請求項8】
予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中の動作情報を収集して管理装置へ送信する送信部と、
前記管理装置から、前記動作情報を用いて算出された異常度に基づき、
次に前記規定動作
を行わせるタイミングを、予め決められた期間よりも短くなるように変更したことを示す通知を受信する受信部と、
前記タイミングが変更されたことを示す通知を表示装置に表示させる表示制御部と、を有するショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルの管理装置、管理システム、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショベルがある規定動作を行っている間に取得した物理量の検出値に基づいて、ショベルの異常の有無を判定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、ショベルの規定動作を行う時期については特定されていない。しかしながら、ショベルの状態の変化の仕方は、類似した作業を行っている場合であっても、ショベルの使用環境に応じて異なる。このため、異常を予知するためには、規定動作を行う時期をショベルの状態に応じて変更することが好ましい。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、適切な時期に規定動作を行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルの管理装置は、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中のショベルの動作情報を取得する情報取得部と、前記動作情報を用いて算出された異常度に応じて、次に前記ショベルに前記規定動作を行わせるタイミングが、予め決められた期間よりも短くなるように変更する変更部と、前記タイミングが変更されたことを示す通知を出力する出力部と、を有する。
【0007】
本発明の実施形態に係るショベルの管理システムは、ショベルと、ショベルの管理装置とを含むショベルの管理システムであって、前記管理装置は、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中のショベルの動作情報を取得する情報取得部と、前記動作情報を用いて算出される異常度に応じて、次に前記ショベルに前記規定動作を行わせるタイミングが、予め決められた期間よりも短くなるように変更する変更部と、前記タイミングが変更されたことを示す通知を前記ショベルの表示装置へ出力する出力部と、を有する。
【0008】
本発明の実施形態に係るショベルは、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である規定動作中の動作情報を収集して管理装置へ送信する送信部と、前記管理装置から、前記動作情報を用いて算出された異常度に基づき、次に前記規定動作を行わせるタイミングを、予め決められた期間よりも短くなるように変更したことを示す通知を受信する受信部と、前記タイミングが変更されたことを示す通知を表示装置に表示させる表示制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
適切な時期に規定動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ショベルの管理システムの一例を示す概要図である。
【
図2】ショベルの管理システムの一例を示す構成図である。
【
図3】管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】診断部の処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図7】診断部の処理を説明する第二のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、ショベルの管理システムの一例を示す概要図である。
【0012】
本実施形態のショベルの管理システムSYSは、ショベル100と、管理装置300と、ショベル100の支援装置400とを含む。ショベルの管理システムSYSにおいて、ショベル100と管理装置300と支援装置400とは、互いにネットワークを介して通信を行う。管理装置300はショベル100を管理する。支援装置400は、ショベル100の作業を支援する。以下の説明では、ショベルの管理システムSYSを、管理システムSYSと呼ぶ。
【0013】
本実施形態のショベル100は、作業機械の一例である。ショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント(作業装置)としてのブーム4、アーム5、及び、バケット6と、キャビン10を備える。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A、1B(
図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0015】
上部旋回体3は、旋回用油圧モータ2A(
図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0016】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及び、バケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0017】
キャビン10は、オペレータ(作業員)が搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0018】
ショベル100は、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、上空の通信衛星を利用する衛星通信網、インターネット等を含む所定の通信ネットワークNWを通じて、管理装置300と相互に通信を行うことができる。
【0019】
また、本実施形態の管理装置300は、ショベル100から、規定動作を行ったときの稼働データを取得する。
【0020】
規定動作とは、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である。したがって、規定動作は、第一の規定姿勢から開始し、第二の規定姿勢となったときに終了する動作である。第一の規定姿勢と第二の規定姿勢は、それぞれが異なる姿勢であっても良いし、同一の姿勢であっても良い。つまり、規定動作は、ある規定姿勢から他の規定姿勢へ姿勢を変える動作であっても良いし、ある規定姿勢から所定の動作をして、再びある規定姿勢に戻る動作であっても良い。
【0021】
稼働データは、後述する状態検出装置S1から出力される各種の検出情報、ショベル100に設定された各種の設定条件を示す設定条件情報、ショベル100を特定するための機番等を含む。検出情報には、例えば、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等の動作要素の作業時の動作軌跡等が含まれる。
【0022】
ショベル100は、規定動作を行っている最中の稼働データを取得すると、取得した稼働データを管理装置300に送信(アップロード)する。
【0023】
管理システムSYSにおいて、管理装置300は、規定動作中の稼働データを受信すると、稼働データに基づき、ショベル100の異常度を算出する。そして、管理装置300は、過去に算出した異常度との関係に基づき、次にショベル100に規定動作を行わせるタイミング(時期)を決定し、決定された時期をショベル100に通知する。
【0024】
尚、
図1の例では、管理システムSYSに含まれるショベル100は1台としたが、これに限定されない。管理システムSYSに含まれるショベル100の台数は任意であって良く、管理装置300と通信が可能なショベル100は全て管理システムSYSに含まれてもよい。
【0025】
また、本実施形態の管理装置300は、ショベル100と地理的に離れた位置に設置される情報処理装置である。管理装置300は、例えば、ショベル100が作業する作業現場外に設けられる管理センタ等に設置され、一又は複数のサーバコンピュータ等を中心に構成されるサーバ装置である。この場合、サーバ装置は、管理システムSYSを運用する事業者或いは当該事業者に関連する関連事業者が運営する自社サーバであってもよいし、クラウドサーバであってもよい。
【0026】
本実施形態の支援装置400は、例えば、スマートフォンやタブレット型等の可搬型の端末装置であってよい。支援装置400は、例えば、ショベル100のメンテナンスの開始日と、メンテナンスの完了日等を含む情報が入力されると、入力された情報を管理装置300に送信してもよい。
【0027】
次に、
図2を参照して、本実施形態の管理システムSYSについて、さらに説明する。
図2は、ショベルの管理システムの一例を示す構成図である。
【0028】
尚、図中において、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0029】
本実施形態のショベル100の油圧アクチュエータを油圧駆動する油圧駆動系は、エンジン11と、メインポンプ14と、レギュレータ14aと、コントロールバルブ17を含む。また、ショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0030】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するエンジン制御装置(ECU:Engine Control Unit)74による制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0031】
レギュレータ14aは、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ14aは、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。
【0032】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御の下、レギュレータ14aにより斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御されうる。
【0033】
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給する。
【0034】
具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁を含む。例えば、コントロールバルブ17は、ブーム4(ブームシリンダ7)に対応する制御弁を含む。また、例えば、コントロールバルブ17は、アーム5(アームシリンダ8)に対応する制御弁を含む。
【0035】
また、例えば、コントロールバルブ17は、バケット6(バケットシリンダ9)に対応する制御弁を含む。また、例えば、コントロールバルブ17は、上部旋回体3(旋回用油圧モータ2A)に対応する制御弁を含む。また、例えば、コントロールバルブ17には、下部走行体1の右側のクローラ及び左側のクローラのそれぞれに対応する右走行制御弁及び左走行制御弁が含まれる。
【0036】
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、操作バルブ31を含む。
【0037】
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26及び操作バルブ31にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0038】
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1A,1B、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26は、その二次側のパイロットラインがコントロールバルブ17にそれぞれ接続される。
【0039】
これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット圧が入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
【0040】
操作バルブ31は、コントローラ30からの制御指令(例えば、制御電流)に応じて、パイロットライン25の流路面積を調整する。これにより、操作バルブ31は、パイロットポンプ15から供給される一次側のパイロット圧を元圧として、二次側のパイロットラインに制御指令に対応するパイロット圧を出力することができる。
【0041】
操作バルブ31は、その二次側ポートが、コントロールバルブ17のそれぞれの油圧アクチュエータに対応する制御弁の左右のパイロットポートに接続され、コントローラ30からの制御指令に応じたパイロット圧を制御弁のパイロットポートに作用させる。これにより、コントローラ30は、オペレータにより操作装置26が操作されていない場合であっても、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、操作バルブ31を介して、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給させ、油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0042】
尚、操作バルブ31に加えて、油圧アクチュエータ内に発生する過剰な油圧を作動油タンクにリリーフする電磁リリーフ弁が設けられてもよい。これにより、オペレータによる操作装置26に対する操作量が過剰な場合等において、積極的に、油圧アクチュエータの動作を抑制させることができる。例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のボトム側油室及びロッド側油室のそれぞれの過剰な圧力を作動油タンクにリリーフする電磁リリーフ弁が設けられてよい。
【0043】
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、ECU74と、吐出圧センサ14bと、操作圧センサ15aと、表示装置40と、入力装置42と、撮像装置80と、状態検出装置S1と、通信機器T1を含む。
【0044】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置と、各種入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0045】
例えば、コントローラ30は、オペレータ等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、ECU74に制御指令を出力することより、ECU74を介して、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。
【0046】
また、例えば、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ14aに対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させることにより、いわゆる全馬力制御やネガコン制御を行う。
【0047】
また、例えば、コントローラ30は、ショベル100に関する各種情報を管理装置300にアップロードする機能(以下、「アップロード機能」)を有していてもよい。具体的には、コントローラ30は、ショベル100の所定の種別の作業時における作業パターン実績情報及び環境条件実績情報を、通信機器T1を通じて、管理装置300に送信(アップロード)してよい。
【0048】
コントローラ30は、例えば、補助記憶装置等にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される、アップロード機能に関する機能部として、情報送信部301を含む。
【0049】
また、例えば、コントローラ30は、オペレータによる操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行う。また、コントローラ30は、オペレータによる操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行ってよい。
【0050】
コントローラ30は、例えば、補助記憶装置等にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能部として、情報収集部302と、マシンガイダンス部303、表示制御部304を含む。
【0051】
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、上述したマシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0052】
ECU74は、コントローラ30からの制御指令に応じて、エンジン11の各種アクチュエータ(例えば、燃料噴射装置等)を制御し、エンジン11を設定された目標回転数(設定回転数)で定回転させる(定回転制御)。このとき、ECU74は、エンジン回転数センサ11aにより検出されるエンジン11の回転数に基づき、エンジン11の定回転制御を行う。
【0053】
吐出圧センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧を検出する。吐出圧センサ14bにより検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0054】
操作圧センサ15aは、上述の如く、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの動作要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ15aによる操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0055】
表示装置40は、コントローラ30と接続され、コントローラ30による制御下で、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い位置に設けられ、各種情報画像を表示する。表示装置40は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0056】
入力装置42は、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作を受け付け、操作内容に対応する信号を出力する。例えば、入力装置42は、表示装置40と一体化される。
【0057】
また、本実施形態の入力装置42は、ショベル100のメンテナンスを開始する際に、操作されるスイッチ42aと、メンテナンスが完了した際に操作されるスイッチ42bとを含む。スイッチ42aは、メンテナンス開始スイッチの一例であり、ショベル100のメンテナンスを行う作業員等によって操作される。スイッチ42bは、メンテナンス完了スイッチの一例であり、ショベル100のメンテナンスを行った作業員等によって操作される。
【0058】
なお、本実施形態のスイッチ42aとスイッチ42bとは、例えば、支援装置400のディスプレイに表示されてもよい。その場合、支援装置400の利用者によって、スイッチ42aとスイッチ42bとが操作されてもよい。
【0059】
本実施形態のショベル100は、例えば、スイッチ42aとスイッチ42bとが操作されると、メンテナンスの開始日と完了日とを管理装置300に送信してもよい。
【0060】
また、撮像装置80に撮像された画像から、アクチュエータが動作する前にショベル100から所定範囲内に人が存在すると判断された場合には、オペレータが操作レバーを操作しても、アクチュエータの動作を動作不能、若しくは、微速状態にしてもよい。具体的には、ショベル100から所定範囲内に人が存在すると判断された場合、ゲートロック弁(図示せず)をロック状態にすることでアクチュエータを動作不能にすることができる。電気式の操作レバーの場合には、コントローラ30から操作用制御弁への信号を無効にすることで、アクチュエータを動作不能にすることができる。
【0061】
他の方式の操作レバーを用いる場合も、コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる操作用制御弁を用いる場合には、同様である。アクチュエータの動作を微速にしたい場合には、コントローラ30から操作用制御弁への信号を小さくすることで、アクチュエータを微速状態にすることができる。
【0062】
このように、本実施形態のショベル100では、検出される物体が所定範囲内に存在すると判断されると、操作装置26が操作されてもアクチュエータは駆動されない、若しくは、操作装置26への入力よりも小さい出力で微速駆動を行う。
【0063】
更に、オペレータによる操作装置26(操作レバー)の操作中に、ショベル100から所定範囲内に人が存在すると判断された場合には、オペレータの操作に係わらずアクチュエータの動作を停止、若しくは、減速させてもよい。具体的には、ショベル100から所定範囲内に人が存在すると判断された場合、ゲートロック弁をロック状態にすることでアクチュエータを停止させる。
【0064】
コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる操作用制御弁を用いる場合には、コントローラ30から操作用制御弁への信号を無効、若しくは減速指令を出力することで、アクチュエータを動作不能にすることができる。また、検出された物体がトラックの場合には、停止制御は不要である。
【0065】
検出されたトラックを回避するようにアクチュエータは制御される。このように、検出された物体の種類を容易に認識に基づいて、アクチュエータは制御される。
【0066】
また、コントローラ30は、ショベルから所定範囲内に人が存在すると判断したときの場所、時間、動作内容(走行、旋回等)を記憶する。ここで、コントローラ30がON状態の際に、作業者がメンテナンスを行うためにショベルへ接近するとコントローラ30は人が存在すると判断する。しかしながら、この時の接近は、正常な作業に基づくメンテナンスを行うための接近である。
【0067】
このため、作業者がスイッチ42aを操作することにより、コントローラ30は操作後の作業者の接近がメンテナンスを行うための接近であると判断し、人検知が判断された旨の記録(場所、日時、動作内容等)とメンテナンス時の接近である旨の記録とを対応付けて記憶することができる。言い換えれば、コントローラ30は、コントローラ30がON状態の際に、スイッチ42aの操作を受け付けると、所定範囲内への人の接近を、メンテナンスのための接近と判定する。そして、コントローラ30は、所定範囲内に接近した人を検知した記録を示す情報と、メンテナンスのための人の接近であることを示す情報と、を対応付けてメモリ装置等に記憶する。所定範囲内に接近した人を検知した記録を示す情報とは、人の接近が検知された場所と日時等を含む。
【0068】
ショベル100のコントローラ30は、人検知が判断された旨の記録(場所、日時、動作内容等)とメンテナンス時の接近である旨の記録とを対応付けられた状態で管理装置300へ送信させる。その後、メンテナンス終了時に作業者がスイッチ42bを操作すると、コントローラ30はメンテナンスが終了したと判断し、人検知が判断された旨の記録とメンテナンス時の接近である旨の記録との対応付けも終了する。これにより、管理装置300において人検知が判断された旨の記録(場所、日時等)があっても、人検知と判断された要因がメンテナンスのための接近であることと把握することができる。
【0069】
また、入力装置42は、表示装置40と別に設けられてもよい。入力装置42は、表示装置40のディスプレイに実装されるタッチパネル、操作装置26に含まれるレバーの先端に設けられるノブスイッチ、表示装置40の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグル等を含む。入力装置42に対する操作内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0070】
撮像装置80は、ショベル100の周辺を撮像する。撮像装置80は、ショベル100の前方を撮像するカメラ80F、ショベル100の左方を撮像するカメラ80L、ショベル100の右方を撮像するカメラ80R、及び、ショベル100の後方を撮像するカメラ80Bを含む。
【0071】
カメラ80Fは、例えば、キャビン10の天井、即ち、キャビン10の内部に取り付けられている。また、カメラ80Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。カメラ80Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、カメラ80Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、カメラ80Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0072】
撮像装置80(カメラ80F,80B,80L,80R)は、それぞれ、例えば、非常に広い画角を有する単眼の広角カメラである。また、撮像装置80は、ステレオカメラや距離画像カメラ等であってもよい。撮像装置80によるショベル100の周辺の撮像画像(以下、「周辺画像」)は、コントローラ30に取り込まれる。
【0073】
状態検出装置S1は、ショベル100の各種状態に関する検出情報を出力する。状態検出装置S1から出力される検出情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0074】
例えば、状態検出装置S1は、アタッチメントの姿勢状態や動作状態を検出する。具体的には、状態検出装置S1は、ブーム4、アーム5、及び、バケット6の俯仰角度(以下、それぞれ、「ブーム角度」、「アーム角度」、「バケット角度」)を検出してよい。
【0075】
つまり、状態検出装置S1は、ブーム角度、アーム角度、及びバケット角度のそれぞれを検出するブーム角度センサ、アーム角度センサ、及びバケット角度センサを含んでよい。
【0076】
また、状態検出装置S1は、ブーム4、アーム5、及び、バケット6の加速度、角加速度等を検出してよい。この場合、状態検出装置S1は、例えば、ブーム4、アーム5、及び、バケット6のそれぞれに取付けられる、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含みうる。また、状態検出装置S1は、ブーム4、アーム5、及び、バケット6のそれぞれを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9のシリンダ位置、速度、加速度等を検出するシリンダセンサを含みうる。
【0077】
また、例えば、状態検出装置S1は、機体、つまり、下部走行体1及び上部旋回体3の姿勢状態を検出する。具体的には、状態検出装置S1は、水平面に対する機体の傾斜状態を検出してよい。この場合、状態検出装置S1は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、上部旋回体3の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する傾斜センサを含みうる。
【0078】
また、例えば、状態検出装置S1は、上部旋回体3の旋回状態を検出する。具体的には、状態検出装置S1は、上部旋回体3の旋回角速度や旋回角度を検出する。この場合、状態検出装置S1は、例えば、上部旋回体3に取り付けられるジャイロセンサ、レゾルバ、ロータリエンコーダ等を含みうる。つまり、状態検出装置S1は、上部旋回体3の旋回角度等を検出する旋回角度センサを含んでよい。
【0079】
また、例えば、状態検出装置S1は、アタッチメントを通じてショベル100に作用する力の作用状態を検出する。具体的には、状態検出装置S1は、油圧アクチュエータの作動圧(シリンダ圧)を検出してよい。この場合、状態検出装置S1は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれのロッド側油室及びボトム側油室の圧力を検出する圧力センサを含みうる。
【0080】
また、例えば、状態検出装置S1は、コントロールバルブ17内の制御弁のスプールの変位を検出するセンサを含んでよい。具体的には、状態検出装置S1は、ブームスプールの変位を検出するブームスプール変位センサを含んでよい。また、状態検出装置S1は、アームスプールの変位を検出するアームスプール変位センサを含んでよい。
【0081】
また、状態検出装置S1は、バケットスプールの変位を検出するバケットスプール変位センサを含んでよい。また、状態検出装置S1は、旋回スプールの変位を検出する旋回スプール変位センサを含んでよい。また、状態検出装置S1は、右走行制御弁及び左走行制御弁のそれぞれを構成する右走行スプール及び左走行スプールの変位を検出する右走行スプール変位センサ及び左走行スプール変位センサを含んでよい。
【0082】
また、例えば、状態検出装置S1は、ショベル100の位置や上部旋回体3の向き等を検出する。この場合、状態検出装置S1は、例えば、上部旋回体3に取り付けられるGNSS(Global Navigation Satellite System)コンパス、GNSSセンサ、方位センサ等を含みうる。
【0083】
通信機器T1は、通信ネットワークNWを通じて外部機器と通信を行う。通信機器T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや、衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等である。
【0084】
情報送信部301は、ショベル100の規定動作時における稼働データを、通信機器T1を通じて、管理装置300に送信する。なお、情報送信部301は、規定動作時以外の稼働データを管理装置300に送信してもよい。
【0085】
また、情報送信部301により送信される稼働データには、例えば、撮像装置80により撮像されたショベル100の周辺画像の画像データが含まれてもよい。
【0086】
また、情報送信部301は、例えば、規定動作が行われているか否かを逐次判定し、規定動作が行われていると判定すると、規定動作が行われている期間の稼働データを、規定動作の種類と対応付けて内部メモリ等に記録してもよい。
【0087】
このとき、稼働データは、対象の種別の作業の開始及び終了に関する日時情報、並びに、当該作業時のショベル100の位置情報が含まれてもよい。このとき、日時情報は、例えば、コントローラ30内部の所定の計時手段(例えば、RTC(Real Time Clock))から取得されうる。そして、情報送信部301は、規定動作が完了すると、記録された稼働データを、通信機器T1を通じて、管理装置300に送信する。
【0088】
尚、稼働データには、撮像装置80に代えて、或いは、加えて、ショベル100に搭載される他のセンサにより検出される検出情報が含まれてよい。例えば、ショベル100には、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detecting and Ranging)等の他のセンサが搭載され、環境条件実績情報には、これらの距離センサの検出情報が含まれる態様であってもよい。
【0089】
また、稼働データには、天候情報が含まれてもよい。天候情報は、例えば、状態検出装置S1に含まれうる雨滴感知センサ、照度センサ等の検出情報が含まれうる。
【0090】
また、情報送信部301は、状態検出装置S1の検出情報や撮像装置80によるショベル100の周辺画像を、通信機器T1を通じて、逐次、管理装置300にアップロードしてもよい。この場合、管理装置300は、ショベル100からアップロードされる情報の中から規定動作の期間中の稼働データを抽出してもよい。
【0091】
情報収集部302は、規定動作中の稼働データを取得する。具体的には、情報収集部302は、状態検出装置S1から出力される検出情報と、検出情報から判定される規定動作の種類と、を含む稼働データを取得する。
【0092】
また、情報収集部302は、稼働データを取得した日時を示す情報と、規定動作の種類を示す情報と、規定動作を行ったショベル100を特定するための機体識別番号とを取得する。また、情報収集部302は、稼働データと、日時を示す情報と、規定動作の種類を示す情報とを対応付けて、動作情報として取得してもよい。情報送信部301は、情報収集部302が取得した動作情報を、管理装置300へ送信してもよい。
【0093】
また、実施形態の情報収集部302は、所定の種別の作業を行う場合に、所定の目標指標に関する現在の環境条件に最適の作業パターン(最適作業パターン)を管理装置300から取得する。例えば、情報収集部302は、オペレータによる入力装置42に対する所定操作(以下、「取得要求操作」)に応じて、ショベル100の現在の環境条件に関する情報(以下、「現環境条件情報」)を含む、作業パターンの取得を要求する信号(取得要求信号)を、通信機器T1を通じて、管理装置300に送信する。
【0094】
これにより、管理装置300は、ショベル100の現在の環境条件に合わせた最適な作業パターンをショベル100に提供できる。現環境条件情報には、例えば、撮像装置80によるショベル100の最新の周辺画像が含まれる。
【0095】
マシンガイダンス部303は、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する制御を行う。つまり、マシンガイダンス部303は、オペレータによる操作装置26を通じた各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、並びに、ブーム4、アーム5、及びバケット6を含むアタッチメント)の操作を支援する。
【0096】
例えば、マシンガイダンス部303は、オペレータにより操作装置26を通じてアーム5の操作が行われている場合に、予め規定される目標設計面(以下、単に「設計面」)とバケット6の先端部(例えば、爪先や背面)とが一致するように、ブーム4及びバケット6の少なくとも一つを自動的に動作させてよい。
【0097】
また、マシンガイダンス部303は、併せて、アーム5を操作する操作装置26の操作状態に依らず、アーム5を自動的に動作させてもよい。つまり、マシンガイダンス部303は、オペレータによる操作装置26の操作をトリガにして、予め規定された動作をアタッチメントに行わせてよい。
【0098】
より具体的には、マシンガイダンス部303は、状態検出装置S1、撮像装置80、通信機器T1、及び入力装置42等から各種情報を取得する。また、マシンガイダンス部303は、例えば、取得した情報に基づいてバケット6と設計面との間の距離を算出する。そして、マシンガイダンス部303は、算出したバケット6と設計面との距離等に応じて、操作バルブ31を適宜制御し、油圧アクチュエータに対応する制御弁に作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整することにより、それぞれの油圧アクチュエータを自動的に動作させることができる。
【0099】
操作バルブ31には、例えば、ブーム4(ブームシリンダ7)に対応するブーム比例弁が含まれる。また、操作バルブ31には、例えば、アーム5(アームシリンダ8)に対応するアーム比例弁が含まれる。また、操作バルブ31には、例えば、バケット6(バケットシリンダ9)に対応するバケット比例弁が含まれる。また、操作バルブ31には、例えば、上部旋回体3(旋回用油圧モータ2A)に対応する旋回比例弁が含まれる。また、操作バルブ31には、例えば、下部走行体1の右側のクローラ及び左側のクローラのそれぞれに対応する右走行比例弁及び左走行比例弁が含まれる。
【0100】
マシンガイダンス部303は、例えば、掘削作業を支援するために、操作装置26に対するアーム5の開閉操作に応じて、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させてよい。
【0101】
掘削作業は、設計面に沿ってバケット6の爪先で地面を掘削する作業である。マシンガイダンス部303は、例えば、オペレータが操作装置26に対して手動でアーム5の閉じ方向の操作(以下、「アーム閉じ操作」)を行っている場合に、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9のうちの少なくとも一つを自動的に伸縮させる。
【0102】
また、マシンガイダンス部303は、例えば、法面や水平面の仕上げ作業を支援するためにブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させてもよい。仕上げ作業は、例えば、バケット6の背面を地面に押さえ付けながら設計面に沿ってバケット6を手前に引く作業を含む。
【0103】
マシンガイダンス部303は、例えば、オペレータが操作装置26に対して手動でアーム閉じ操作を行っている場合に、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。これにより、所定の押し付け力でバケット6の背面を完成前の斜面(法面)或いは水平面に押し付けながら、完成後の法面或いは水平面である設計面に沿ってバケット6を移動させることができる。
【0104】
また、マシンガイダンス部303は、上部旋回体3を設計面に正対させるために旋回用油圧モータ2Aを自動的に回転させてもよい。この場合、マシンガイダンス部303は、入力装置42に含まれる所定のスイッチが操作されることにより、上部旋回体3を設計面に正対させてよい。また、マシンガイダンス部303は、所定のスイッチが操作されるだけで、上部旋回体3を設計面に正対させ且つマシンコントロール機能を開始させてもよい。
【0105】
また、例えば、マシンガイダンス部303は、所定の種別の作業(例えば、掘削作業、積込み作業、仕上げ作業等)が行われている場合に、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、アタッチメント、上部旋回体3、及び、下部走行体1の少なくとも一部の動作を、情報収集部302により取得された作業パターン(最適作業パターン)に合わせるように制御する。
【0106】
これにより、オペレータは、ショベル100の操縦に関する習熟度に依らず、ショベル100の動作を、所定の目標指標、例えば、作業の速さの評価が相対的に高くなるように管理装置300から出力される、現在のショベル100の環境条件に最適な作業パターンに合わせることができる。
【0107】
また、マシンガイダンス部303は、最適作業パターンに基づき、ショベル100の動作の制御を行いながら、オペレータに対して、当該最適作業パターンに対応するショベル100の動作を表示装置40に表示させてもよい。例えば、マシンガイダンス部303は、最適作業パターンに基づき、ショベル100の動作の制御を行っている場合、最適作業パターンに対応するシミュレーション結果の動画を表示装置40に表示させる。これにより、オペレータは、実際の作業パターンの内容を表示装置40の動画で確認しながら、作業を進めることができる。
【0108】
表示制御部304は、ショベル100の表示装置40における表示を制御する。
【0109】
本実施形態の管理装置300は、記憶部310、診断部320を有する。記憶部310は、動作情報記憶部330を有する。動作情報記憶部330は、ショベル100から受信した動作情報が格納される。動作情報記憶部330の詳細は後述する。
【0110】
診断部320は、動作情報を参照して、動作情報を送信したショベル100の状態を診断する。具体的には、診断部320は、動作情報に基づきショベル100の異常度を算出し、異常度の変化に応じて次にショベル100が規定動作を行う時期を決定し、ショベル100へ通知する。規定動作を行う時期とは、言い換えれば、ショベル100の状態を診断する時期である。診断部320の詳細は後述する。
【0111】
以下に、本実施形態の管理装置300について、さらに説明する。
図3は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0112】
本実施形態の管理装置300は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置311、出力装置312、ドライブ装置313、補助記憶装置314、メモリ装置315、演算処理装置316及びインタフェース装置317を含むコンピュータである。
【0113】
入力装置311は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置312は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インタフェース装置317は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0114】
管理装置300の有する情報収集部350、データ範囲決定部360、学習部370、異常判定部380を実現するプログラムは、管理装置300を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。プログラムは、例えば、記憶媒体318の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。プログラムを記録した記憶媒体318は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0115】
また、プログラムは、このプログラムを記録した記憶媒体318がドライブ装置313にセットされると、記憶媒体318からドライブ装置313を介して補助記憶装置314にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたプログラムとプログラムは、インタフェース装置317を介して補助記憶装置314にインストールされる。
【0116】
補助記憶装置314は、管理装置300の有する各記憶部等を実現するものであり、管理装置300にインストールされたプログラムを格納すると共に、管理装置300による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置315は、管理装置300の起動時に補助記憶装置314からプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置316はメモリ装置315に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0117】
次に、
図4を参照して、本実施形態の動作情報記憶部330について説明する。
図4は、動作情報記憶部の一例を示す図である。
【0118】
図4は、動作情報記憶部の一例を示す図である。本実施形態の動作情報記憶部330に格納された動作情報は、情報の項目として、機体識別番号、取得日時、稼働データ、補修作業の有無を含み、項目「機体識別番号」と、その他の項目とが対応付けられている。
【0119】
本実施形態の動作情報は、項目「機体識別番号」、「取得日時」、「稼働データ」、「規定動作の種類」の値を含む情報である。本実施形態の動作情報は、ショベル100の情報送信部301によって、通信機器T1を介して送信される情報であり、情報収集部350によって受信されて、動作情報記憶部330に格納される。
【0120】
項目「取得日時」の値は、稼働データを取得した日時を示す。項目「稼働データ」の値は、ショベル100から送信される作業パターン実績情報及び環境条件実績情報を含む情報である。言い換えれば、項目「稼働データ」の値は、状態検出装置S1から出力される各種の検出情報を含む情報であり、ショベル100の動作を示す情報である。
【0121】
項目「規定動作の種類」の値は、ショベル100が行っている規定動作の種類を示す。具体的には、項目「規定動作の種類」の値は、ショベル100から取得した稼働データに基づき判定される規定動作の種類を示す。
【0122】
なお、動作情報記憶部330に格納される動作情報に含まれる情報の項目は、
図4に示す例に限定されない。動作情報には、
図4に示す項目以外の項目が含まれてもよい。具体的には、例えば、動作情報には、後述する診断部320の処理において算出された異常度が含まれてもよい。
【0123】
次に、
図5を参照して、本実施形態の管理装置300の機能について説明する。
図5は、管理装置の機能構成を説明する図である。
【0124】
本実施形態の管理装置300は、記憶部310、診断部320を有し、診断部320は、情報取得部321、特徴量算出部322、異常度算出部323、判定部324、診断時期変更部325、出力部326を有する。
【0125】
情報取得部321は、ショベル100から情報を収集する。具体的には、情報取得部321は、ショベル100の規定動作中に、ショベル100が取得した動作情報を収集する。
【0126】
特徴量算出部322は、情報取得部321が収集した動作情報に含まれる稼働データの特徴量を算出する。本実施形態の特徴量とは、例えば、稼働データに含まれる各種の物理量の変化を示す波形の形状を特徴付ける種々の統計量を意味する。
【0127】
異常度算出部323は、特徴量算出部322により算出された特徴量を用いて異常度を算出する。異常度は、ショベル100の故障の有無(修理の要否)を判定する際に参照される。
【0128】
なお、本実施形態の異常度算出部323は、ショベル100の異常度を出力する異常判定モデルを有する学習部として機能してもよい。
【0129】
この場合、異常度算出部323は、ショベル100の正常時の稼働データと、異常が無いことを示す情報を出力とするデータセットを用いて、入力された稼働データと、ショベル100の異常度とを関連付けた異常判定モデルを生成する。
【0130】
そして、異常度算出部323は、情報取得部321により動作情報が取得されると、動作情報に含まれる稼働データを異常判定モデルに入力し、異常判定モデルから出力される異常度を取得してもよい。本実施形態の異常度とは、ショベル100の異常の有無を示す指標値である。
【0131】
判定部324は、異常度算出部323により取得された異常度が、所定の閾値を超えたか否かを判定する。本実施形態では、異常度が所定の閾値を超えた場合に、異常があるものと判定する。
【0132】
診断時期変更部325は、判定部324により、異常度が所定の閾値を超えない場合における、異常度の変化に応じて、ショベル100に規定動作を実行させる時期を変更する。
【0133】
ショベル100の規定動作を実行させる時期とは、ショベル100の動作の診断を行う時期である。したがって、診断時期変更部325は、言い換えれば、ショベル100の異常度に応じて、ショベル100の動作の診断を行う時期を変更する。診断時期変更部325の処理の詳細は後述する。
【0134】
出力部326は、各種の通知をショベル100の表示装置40に出力する。また、出力部326は、各種の通知を、ショベル100の支援装置400や、管理装置300の出力装置(ディスプレイ)等に出力してもよい。
【0135】
次に、
図6及び
図7を参照して、本実施形態の診断部320の処理について説明する。
図6は、診断部の処理を説明する第一のフローチャートである。
【0136】
診断部320は、情報取得部321により、ショベル100から稼働データを含む動作情報を取得する(ステップS601)。
【0137】
続いて、診断部320は、特徴量算出部322により、取得した稼働データの特徴量を算出する(ステップS602)。
【0138】
続いて、診断部320は、異常度算出部323により、ショベル100の異常度を算出する(ステップS603)。なお、異常度算出部323が異常判定モデルを用いて異常度を取得する場合には、特徴量は算出しなくてもよい。
【0139】
続いて、診断部320は、判定部324により、異常度が所定の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS604)。
【0140】
ステップS604において、異常度が所定の閾値以上である場合、診断部320は、出力部326により、ショベル100の異常が検知されたことを示す通知をショベル100に通知し(ステップS605)、処理を終了する。具体的には、出力部326は、ショベル100の表示装置40や、支援装置400に対し、ショベル100に異常が検知されたことを示す通知を表示させる。
【0141】
ステップS605において、異常度が所定の閾値未満である場合、診断部320は、診断時期変更部325により、ショベル100に規定動作を行わせる時期を変更させる処理を行い(ステップS606)、処理を終了する。ステップS606の処理の詳細は後述する。
【0142】
図7は、診断部の処理を説明する第二のフローチャートである。
図7では、
図6のステップS606における診断時期変更部325の処理の詳細を示している。
【0143】
本実施形態の診断時期変更部325は、ステップS603で算出された異常度と、前回ショベル100が規定動作を行ったときの動作情報を用いて算出された異常度と、を比較し、2つの異常度の割合を算出する(ステップS701)。
【0144】
続いて、診断時期変更部325は、前回算出した異常度に対して、今回算出した異常度の増加比を算出する(ステップS702)。
【0145】
続いて、診断時期変更部325は、次にショベル100に規定動作を行わせる日を特定する(ステップS703)。次にショベル100に規定動作を行わせる日とは、ショベル100の動作の診断の実行日であってよい。
【0146】
具体的には、診断時期変更部325は、例えば、前回算出した異常度に対する、今回算出した異常度の増加比の割合と、次回の規定動作の実行日(ショベル100の動作の診断を行う日)までの期間と、の関係を示す関数や、テーブル等を保持していてよい。本実施形態の診断時期変更部325は、この関数やテーブルを参照して、次回のショベル100の規定動作診断日を特定してもよい。
【0147】
なお、診断時期変更部325が保持する関数やテーブルは、異常度の増加比が大きいほど、次回の診断の実行日までの期間が短くなるように作成されたものであってよい。また、この関数やテーブルは、異常度の増加比が、一定の値以上になると、次回の診断の実行日までの期間を短くするものであってもよい。
【0148】
本実施形態の診断部320は、診断時期変更部325により、次回のショベル100の規定動作診断日が特定されると、出力部326により、ショベル100に対し、ショベル100の動作の診断を行うタイミングが変更されたことを通知し(ステップS704)、処理を終了する。なお、タイミングの変更を知らせる通知は、支援装置400に通知されてもよい。
【0149】
以下に、
図8を参照して、本実施形態の診断時期変更部325の処理について、具体的に説明する。
【0150】
図8は、診断時期変更部の処理を説明する図である。
図8では、例えば、定期的にショベル100の動作の診断が行われている場合を示している。
図8では、横軸が時間を示し、縦軸が異常度を示す。また、
図8の閾値Thは、
図6のステップS604で参照される閾値であり、ショベル100の異常の有無を判定するための閾値である。
【0151】
図8の例では、タイミングT1、T2、T3、T4、T5、T6、T7において、ショベル100の規定動作診断を行っており、各タイミングで算出された異常度は、いずれも閾値Th以下である。規定動作診断とは、管理装置300が、ショベル100の規定動作中に収集された稼働データに基づき、ショベル100の状態の診断する処理を示す。また、以下の説明では、規定動作診断を行う日(規定動作診断処理を実行する日)を、規定動作診断日と表現する場合がある。
【0152】
ここで、タイミングT1で算出された異常度に対する、タイミングT2で算出された異常度の増加比は、一定の値未満である。このため、タイミングT2から、次の規定動作診断日であるタイミングT3までの期間K2は、タイミングT1からタイミングT2までの期間K1と同じである。なお、期間K1は、予め決められた期間である。つまり、期間K1は、定期的にショベル100の規定動作診断を行うために決められた期間である。
【0153】
また、タイミングT2で算出された異常度に対する、タイングT3で算出された異常度の増加比も一定の値未満であり、タイミングT3で算出された異常度に対する、タイミングT4で算出された異常度の増加比も一定の値未満である。
【0154】
このため、タイミングT3からタイミングT4までの期間K3は、タイミングT2からタイミングT3までの期間K2と同じであり、タイミングT4からタイミングT5までの期間K4は、タイミングT3からタイミングT4までの期間K3と同じである。
【0155】
これに対し、タイミングT4で算出された異常度に対する、タイングT5で算出された異常度の増加比は、一定の値以上である。
【0156】
したがって、診断時期変更部325は、タイミングT5の次の規定動作診断日であるタイミングT6までの期間K5を、期間K4よりも短くする。
図8の例では、期間K5は、期間K4と比較して、期間Ka分だけ短くされている。期間Kaは、タイミングT5から、タイミングT5の異常度の増加比が一定の値未満であった場合に、次の規定動作診断日となるタイミングT6′までの期間を短縮した期間である。
【0157】
図8の例では、タイミングT6において算出された異常度が、タイミングT5で算出された異常度よりもさらに増加し、閾値Thに近づいていることがわかる。
【0158】
本実施形態では、このように、異常度が閾値Thに近づくと、出力部326が、管理装置300のディスプレイ等に、異常度が閾値Thに近づいていることを示す通知を表示させてもよい。
【0159】
本実施形態では、このような通知を管理装置300のディスプレイ等に表示させることで、ショベル100の管理者に対し、ショベル100の状態の精査が必要であること把握させることができる。
【0160】
図8の例では、タイミングT6で算出された異常度に基づき、ショベル100の管理者がショベル100の状態を精査し、メンテナンス等の何らかの処置を行ったものとする。このように、本願発明では、診断時期変更部325は、規定動作のタイミングを変更する。その後、作業者は、変更後のタイミングで算出された診断結果(異常度)に基づき、メンテナンス等の何らかの処置が必要かどうかを判断する。
【0161】
この場合、タイミングT6の次の規定動作診断日となるタイミングT7までの期間は、定期的にショベル100の規定動作診断を行うために予め決められた期間に戻されてよい。
【0162】
したがって、
図8では、タイミングT6から、次の規定動作診断日となるタイミングT7までの期間K6は、期間K1と同じ長さとなる。つまり、期間K6は、期間K5と比較して、長い期間となる。また、タイミングT7で算出された異常度は、タイミングT6で算出された異常度よりも大幅に低下し、閾値Thよりも十分に低い値となったことがわかる。
【0163】
このように、本実施形態の診断時期変更部325は、過去の動作情報(稼働データ)を用いて算出された異常度と、情報取得部により取得された動作情報(稼働データ)を用いて算出された異常度との差分に応じて、次にショベル100に規定動作を行わせるタイミングを特定する。
【0164】
このように、本実施形態では、規定動作中のショベル100において収集される動作情報に基づき、規定動作診断日から次の規定動作診断日までの期間を変更できる。言い換えれば、本実施形態では、規定動作中にショベル100において収集された稼働データから算出される異常度に応じて、規定動作診断を行うタイミングを変更できる。
【0165】
このため、本実施形態によれば、規定動作中に収集される稼働データに基づくショベル100の状態の診断を定期的に通知し、ショベル100の稼働時間等に基づいた性能劣化や不具合の予兆を評価することができる。
【0166】
また、本実施形態によれば、規定動作中の動作情報を取得しているため、異常度が増大した段階において、精度の高い動作情報を取得することができる。言い換えれば、本実施形態では、性能劣化や不具合の予兆の現れた段階における詳細な動作情報を取得することができる。
【0167】
このため、本実施形態によれば、ショベル100の作業現場から離れた遠隔地であっても、ショベル100の状態を把握することができ、ショベル100に対して適切な時期に適切な処置を行うことができる。
【0168】
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施形態のショベル100の表示装置40の表示例について説明する。
図9は、メイン画面の一例を示す図である。
【0169】
図9に示す表示装置40は、画像表示部41と、入力装置42とを有する。画像表示部41各種の画像が表示される画面であり、
図9では、画像表示部41にメイン画面が表示されている。このメイン画面は、例えば、ショベル100の稼働中に表示装置40に表示される。入力装置42は、各種のメニュースイッチが含まれる。
【0170】
まず、画像表示部41について説明する。
図9に示されるように、画像表示部41は、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、エアコン運転状態表示領域41m、画像表示領域41n、及びメニュー表示領域41pを含む。
【0171】
走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、回転数モード表示領域41i、及びエアコン運転状態表示領域41mは、ショベル100の設定状態に関する情報である設定状態情報を表示する領域である。燃費表示領域41d、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kは、ショベル100の稼動状態に関する情報である稼動状態情報を表示する領域である。
【0172】
具体的には、日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、生涯平均燃費又は区間平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。
【0173】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。エンジン稼働時間表示領域41fは、エンジン11の累積稼働時間を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。
【0174】
回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像で表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像で表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。
【0175】
エアコン運転状態表示領域41mは、現在の吹出口の位置を表示する吹出口表示領域41m1、現在の運転モードを表示する運転モード表示領域41m2、現在の設定温度を表示する温度表示領域41m3、及び現在の設定風量を表示する風量表示領域41m4を含む。
【0176】
画像表示領域41nは、撮像装置80が撮像した画像を表示する領域である。
図9の例では、画像表示領域41nは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示している。俯瞰画像FVは、例えば、表示制御部304によって生成される仮想視点画像であり、後方カメラS6B、左カメラS6L、及び右カメラS6Rのそれぞれが取得した画像に基づいて生成される。
【0177】
また、俯瞰画像FVの中央部分には、ショベル100に対応するショベル図形GEが配置されている。ショベル100とショベル100の周囲に存在する物体との位置関係をオペレータにより直感的に把握させるためである。後方画像CBTは、ショベル100の後方の空間を映し出す画像であり、カウンタウェイトの画像GCを含む。後方画像CBTは、制御部40aによって生成される実視点画像であり、後方カメラS6Bが取得した画像に基づいて生成される。
【0178】
また、画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2を有する。
図9の例では、俯瞰画像FVを第1画像表示領域41n1に配置し、且つ、後方画像CBTを第2画像表示領域41n2に配置している。但し、画像表示領域41nは、俯瞰画像FVを第2画像表示領域41n2に配置し、且つ、後方画像CBTを第1画像表示領域41n1に配置してもよい。
【0179】
また、
図9の例では、俯瞰画像FVと後方画像CBTとは上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。また、
図8の例では、画像表示領域41nが縦長の領域であるが、画像表示領域41nは横長の領域であってもよい。
【0180】
画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、左側に第1画像表示領域41n1として俯瞰画像FVを配置し、右側に第2画像表示領域41n2として後方画像CBTを配置してもよい。この場合、左右に間隔を空けて配置してもよいし、俯瞰画像FVと後方画像CBTの位置を入れ換えてもよい。
【0181】
さらに、本実施形態では、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2のそれぞれに、アイコン画像41xが表示される。アイコン画像41xは、撮像装置80の位置と上部旋回体3のアタッチメントの向きとの相対的関係を表す画像である。
【0182】
本実施形態のアイコン画像41xは、ショベル100の画像41xMと、ショベル100の前方を示す画像41xF、ショベル100の後方を示す画像41xB、を含む。また、アイコン画像41xは、ショベル100の左側を示す画像41xL、ショベル100の右側を示す画像41xR、キャビン10内を示す画像41xIを含む。
【0183】
画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIは、それぞれが、ショベル100の前方を撮像するカメラS6F、ショベル100の後方を撮像するカメラS6B、ショベル100の左方を撮像するカメラS6L、ショベル100の右方を撮像するカメラS6Rに対応している。また、画像41xIは、キャビン10内部のカメラに対応している。
【0184】
本実施形態では、アイコン画像41xにおいて、各カメラと対応付けられた画像が選択されると、選択された画像と対応するカメラによって撮像された画像データが画像表示領域41nに表示される。
【0185】
図9の例では、第1画像表示領域41n1では、画像41xB、41xL、41xRの表示態様が、画像41xF、画像41xIの表示態様と異なっている。このため、第1画像表示領域41n1には、画像41xB、41xL、41xRのそれぞれと対応するカメラ80B、80L、80Rで撮像された画像データから合成された画像データが示す俯瞰画像が表示されていることがわかる。
【0186】
また、本実施形態の第1画像表示領域41n1には、表示領域45に、規定動作診断を行うタイミングが変更された旨を示すメッセージが表示されている。表示領域45のメッセージは、例えば、
図7のステップS704において、管理装置300から通知を受信すると、表示される。
【0187】
なお、
図9の例では、規定動作診断を行うタイミングが変更された旨と、規定動作診断を行う時期が、メッセージに示されているが、これに限定されない。本実施形態では、例えば、規定動作診断を行うタイミングが変更されたことのみが、メッセージとして表示されていてもよい。この場合、規定動作診断を行うタイミングとなったときに、規定動作の実行を指示するメッセージを、別に表示させてもよい。
【0188】
また、本実施形態の表示制御部304は、ショベル100がアイドリング中(非操作時)となったとき、表示領域45のメッセージを表示させてもよい。また、表示制御部304は、キーオフ時に、表示領域45のメッセージを表示させてもよい。また、本実施形態では、例えば、表示領域45のメッセージを表示させるタイミングが任意に設定されていてもよい。具体的には、例えば、ショベル100の稼働中において、一定間隔毎にメッセージが表示されるように設定されていてもよい。
【0189】
このように、本実施形態では、表示領域45を、第1画像表示領域41n1に表示するようにした。このため、本実施形態によれば、第2画像表示領域41n2に表示された後方画像CBTの視認性を悪化させずに、メッセージを表示させることができる。
【0190】
また、本実施形態では、表示領域45にメッセージを表示させることで、ショベル100のオペレータに対し、規定動作診断を行うタイミングが変更されたことを把握させることができる。つまり、本実施形態では、オペレータに対しても、ショベル100の状態に変化が生じていることを把握させることができる。
【0191】
なお、本実施形態では、表示領域45に表示されるメッセージと同様のメッセージを、支援装置400や、管理装置300のディスプレイ等に表示させてもよい。また、本実施形態では、このメッセージと共に、過去の規定動作診断における異常度の推移を示す情報を表示させてもよい。
【0192】
また、第2画像表示領域41n2では、画像41xBの表示態様が、画像41xF、41xL、41xR、41xIの表示態様と異なっている。このため、第2画像表示領域41n2には、画像41xBと対応するカメラS6Bで撮像された画像データが示す画像が表示されていることがわかる。
【0193】
メニュー表示領域41pは、タブ41p1~41p7を有する。
図8の例では、画像表示部41の最下部に、タブ41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ41p1~41p7には、各種情報を表示するためのアイコン画像が表示される。
【0194】
タブ41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されているアイコン画像がメニュー詳細項目に関連付けされたアイコン画像に切り換わる。
【0195】
また、本実施形態では、タブ41p2~41p7に表示されるメニュー詳細項目に関連付けられたアイコン画像の中に、表示装置40に、ショベル100の状態を診断するための診断メニュー画面を表示させるためのアイコン画像が含まれてもよい。
【0196】
本実施形態の表示制御部304は、このアイコン画像が表示されたタブが選択されると、表示装置40の表示を、画面41から
図10に示す画面41Aへ遷移させてもよい。
【0197】
タブ41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p4が選択されると、後方画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0198】
また、俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0199】
タブ41p5には、画像表示部41に表示されているメイン画面を積み込み作業画面に遷移させるためのアイコン画像が表示されている。オペレータにより、後述するタブ41p5と対応する入力装置42が選択されると、画像表示部41に表示されたメイン画面が積み込み作業画面に遷移する。尚、このとき、画像表示領域41nは継続して表示され、メニュー表示領域41pが、積み込み作業に関する情報を表示させる領域に切り替わる。
【0200】
タブ41p6には、情報化施工に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p6が選択されると、後方画像CBTが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして情報化施工に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0201】
タブ41p7には、クレーンモードに関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p7が選択されると、後方画像CBTがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0202】
タブ41p2、41p3には、アイコン画像が表示されていない。このため、オペレータによりタブ41p2、41p3が操作されても、画像表示部41に表示される画像に変化は生じない。
【0203】
尚、タブ41p1~41p7に表示されるアイコン画像は上記した例に限定されるものではなく、他の情報を表示するためのアイコン画像が表示されていてもよい。
【0204】
次に、入力装置42について説明する。
図9に示されるように、入力装置42は、オペレータによるタブ41p1~41p7の選択、設定入力等が行われる1又は複数のボタン式のスイッチにより構成されている。
【0205】
図9の例では、入力装置42は、上段に配置された7つのスイッチ42a1~42a7と、下段に配置された7つのスイッチ42b1~42b7と、を含む。スイッチ42b1~42b7は、スイッチ42a1~42a7のそれぞれの下方に配置されている。
【0206】
但し、入力装置42のスイッチの数、形態、及び配置は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、ジョグホイール、ジョグスイッチ等により複数のボタン式のスイッチの機能を1つにまとめた形態であってもよいし、入力装置42が表示装置40と別体になっていてもよい。また、画像表示部41と入力装置42が一体となったタッチパネルでタブ41p1~41p7を直接操作する方式でもよい。
【0207】
スイッチ42a1~42a7は、タブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されており、それぞれタブ41p1~41p7を選択するスイッチとして機能する。
【0208】
スイッチ42a1~42a7がそれぞれタブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されているので、オペレータは直感的にタブ41p1~41p7を選択できる。
【0209】
図9では、例えば、スイッチ42a1が操作されるとタブ41p1が選択されて、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されて第1メニューに対応するアイコン画像がタブ41p2~41p7に表示される。また、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されたことに対応して、後方画像CBTの大きさが縮小される。このとき、俯瞰画像FVの大きさは変更されることなく維持されるので、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0210】
また、表示制御部304は、スイッチ42a5が操作されると、タブ41p5が選択されたものとし、メイン画面を積み込み作業画面に遷移させる。
【0211】
具体的には、表示制御部304は、スイッチ42a5が操作されると、画像表示領域41nは維持したまま、メニュー表示領域41pを積み込み作業に関する情報を表示させる作業情報表示領域とする。
【0212】
このように、本実施形態では、積み込み作業画面においても、画像表示領域41nに継続して撮像画像が表示されるため、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化させない。
【0213】
スイッチ42b1は、画像表示領域41nに表示される撮像画像を切り換えるスイッチである。スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されている。
【0214】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されていてもよい。
【0215】
また、表示制御部304は、スイッチ42b1の操作に応じて、アイコン画像41xにおける画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIの表示態様を変更してもよい。
【0216】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像と第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像とが入れ換わるように構成されていてもよい。
【0217】
このように、入力装置42としてのスイッチ42b1は、第1画像表示領域41n1又は第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよいし、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよい。また、第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えるためのスイッチを別に設けてもよい。
【0218】
スイッチ42b2、42b3は、エアコンの風量を調節するスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b2が操作されるとエアコンの風量が小さくなり、スイッチ42b3が操作されるとエアコンの風量が大きくなるように構成されている。
【0219】
スイッチ42b4は、冷房・暖房機能のON・OFFを切り換えるスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b4が操作されるごとに冷房・暖房機能のON・OFFが切り換わるように構成されている。
【0220】
スイッチ42b5、42b6は、エアコンの設定温度を調節するスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b5が操作されると設定温度が低くなり、スイッチ42b6が操作されると設定温度が高くなるように構成されている。
【0221】
スイッチ42b7は、エンジン稼働時間表示領域41fの表示を切り換得るスイッチである。
【0222】
また、スイッチ42a2~42a6、42b2~42b6は、それぞれのスイッチ又はスイッチ近傍に表示された数字を入力可能に構成されている。また、スイッチ42a3、42a4、42a5、42b4は、メニュー画面にカーソルが表示された際、カーソルをそれぞれ左、上、右、下に移動させることが可能に構成されている。
【0223】
尚、スイッチ42a1~42a7、42b1~42b7に与えられる機能は一例であり、他の機能が実行できるように構成されていてもよい。
【0224】
以上に説明したように、画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態で、タブ41p1が選択されると、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示した状態でタブ41p2~41p7に第1メニュー詳細項目が表示される。このため、オペレータは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを確認しながら、第1メニュー詳細項目を確認できる。
【0225】
また、画像表示領域41nには、タブ41p1が選択される前後で大きさが変更されることなく俯瞰画像FVが表示される。オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0226】
図10は、診断メニュー画面の一例を示す図である。
図10に示す画面41Aは、表示装置40に表示された画面41Aの一例を示す。
【0227】
図10に示されるように、画面41Aは、診断メニュー表示部410を有する。診断メニュー表示部410に表示される画像は、表示制御部304によって生成される。
【0228】
診断メニュー表示部410は、診断箇所等に応じた複数の診断項目の一覧を表示する。
図10に示す例では、診断メニュー表示部410には、「総合診断」、「簡易診断」、「エンジン関連」、「油圧関連」、及び「旋回関連」の6つの診断項目の一覧が表示されている。診断項目は、予めコントローラ30のROM等に記憶されている。診断項目の各々は、診断を行うために実行される規定動作が一種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
【0229】
また、画面41Aには、診断メニューの表示を終了する際に用いられる「終了」ボタンが表示されている。オペレータは、画面41Aの中から実行したい診断項目をタッチ操作することにより、任意の診断項目を選択できる。なお、診断項目を選択する方法は、タッチ操作に代えて、例えばボタン操作であってもよい。
【0230】
「総合診断」は、ショベル100の各部が正常であるか否かを総合的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作と対応付けられている。つまり、「総合診断」は、規定動作診断を行うための操作ボタンである。
【0231】
オペレータが「総合診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベル100のエンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作が所定の順番で実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値とが対応付けられる。また、「総合診断」は、上記の規定動作(エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていてもよい。
【0232】
この診断用のデータを収集するための規定動作は、自動で実行されてもよく、それぞれの動作について、診断の規定動作を表示装置にガイダンス表示することで、オペレータによるレバー操作により手動で実行してもよい。
【0233】
「簡易診断」は、ショベル100の各部が正常であるか否かを簡易的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連の一部、油圧関連の一部であって、ショベル100のアタッチメント動作及び旋回動作を含まない規定動作と対応付けられている。オペレータが「簡易診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベル100のエンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作が実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出装置S1の検出値とが対応付けられる。
【0234】
また、「簡易診断」は、上記の規定動作(エンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていても良い。
【0235】
「エンジン関連」は、エンジン11が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。オペレータが「エンジン関連」を選択すると、コントローラ30によって、ショベル100のエンジン関連の規定動作が実行される。
【0236】
「油圧関連」は、油圧システムが正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目であり、例えば、メインポンプ14、パイロットポンプ15等の油圧ポンプ、油圧アクチュエータを診断するための一又は複数の規定動作を含む。
【0237】
「油圧関連」は、例えば、規定動作αとして「アームをストロークエンドまで閉じる(アーム閉じ動作)」、規定動作βとして「アームを閉じた状態で、ブームをストロークエンドまで上げる(ブーム上げ動作)」を含む。また、「油圧関連」は、上記の規定動作(規定動作α,β)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。
【0238】
ここで、ブーム4やアーム5等のアタッチメントに対する規定動作の例を説明する。まず、コントローラ30から操作バルブ31へ指令を出力することで、ブーム4をブーム上げ時のストロークエンドまで回動させる。その後、継続的に負荷を掛ける。つまり、コントロールバルブ17により、ブームシリンダ7へ作動油を流し続ける。この状態において、ブーム4はストロークエンドまで到達しているため、作動油はリリーフ弁からタンクへ吐出する。このように、シリンダのストロークエンドまで到達させることで、継続的に負荷がかかる状態にすることができる。
【0239】
これにより、どのような作業環境であっても、再現性が良く安定した状態で診断用のデータを検出することができる。アーム5やバケット6に対しても、同様である。更に、シリンダのストロークエンドまで到達後に、メインポンプ14のレギュレータ14aを調整すること、若しくは、エンジン回転数を変更することで負荷を変更してもよい。
【0240】
負荷を変更した際におけるブーム4等のアタッチメントのシリンダ圧の変化や、メインポンプ14の吐出圧の変化を検出することで、動的な状態を再現可能となり、診断精度を更に向上させることができる。その結果、油圧回路の診断だけで無く、メインポンプ14やエンジン11を診断することもできる。
【0241】
「旋回関連」は、旋回機構2(旋回用油圧モータ2A、旋回減速機等)が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。「旋回関連」は、例えば、規定動作として「アタッチメントを閉じた状態で旋回する(旋回動作)」を含む。また、「旋回関連」は、上記の規定動作(旋回動作の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。ここで、旋回や走行等の油圧モータを用いる駆動部に対する規定動作の例を説明する。
【0242】
まず、コントローラ30から操作バルブ31へ指令を出力することで、ブーム4等のアタッチメントを所定の姿勢にする。特に、旋回の診断では、旋回負荷がアタッチメントの姿勢変化に基づく旋回慣性モーメントの影響を大きく受けるためである。このため、アタッチメントが所定の姿勢になるようにブーム4、アーム5、バケット6等を駆動する。
【0243】
更に、バケット6もブレーカなどの比較的重いエンドアタッチメントが装着されている場合には、所定のバケット6へ変更するように、オペレータへ音声や画面表示等により報知してもよい。このように、旋回時に発生する慣性モーメントが同一になるように、旋回駆動部を駆動させる前に、アタッチメントの調整を行う。調整完了後、コントローラ30から操作バルブ31へ予め定めた駆動指令を出力することで、旋回動作を実行させる。旋回用油圧モータ2Aを加速、等速、減速させる駆動指令に基づき、旋回用油圧モータ2Aは旋回用の規定動作を実行できる。
【0244】
これにより、旋回用油圧モータ2A、旋回用油圧モータ2A用の油圧回路、旋回減速機の診断を行うことができる。例えば、油圧回路のリリーフ弁へ不具合が生じた場合には旋回加速度が悪くなる。この不具合の場合、旋回用油圧モータ2Aの油圧回路の圧力検出値の変化により把握することができる。
【0245】
なお、上述した実施形態では、管理装置300に診断部320が設けられるものとしたが、これに限定されない。診断部320は、例えば、ショベル100のコントローラ30の機能として、ショベル100に設けられてもよい。
【0246】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0247】
30 コントローラ
40 表示装置
100 ショベル
300 管理装置
310 記憶部
320 診断部
321 情報取得部
322 特徴量算出部
323 異常度算出部
324 判定部
325 診断時期変更部
326 出力部
330 動作情報記憶部
400 支援装置