IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置および検査方法 図1
  • 特許-半導体装置および検査方法 図2
  • 特許-半導体装置および検査方法 図3
  • 特許-半導体装置および検査方法 図4
  • 特許-半導体装置および検査方法 図5
  • 特許-半導体装置および検査方法 図6
  • 特許-半導体装置および検査方法 図7
  • 特許-半導体装置および検査方法 図8
  • 特許-半導体装置および検査方法 図9
  • 特許-半導体装置および検査方法 図10
  • 特許-半導体装置および検査方法 図11
  • 特許-半導体装置および検査方法 図12
  • 特許-半導体装置および検査方法 図13
  • 特許-半導体装置および検査方法 図14
  • 特許-半導体装置および検査方法 図15
  • 特許-半導体装置および検査方法 図16
  • 特許-半導体装置および検査方法 図17
  • 特許-半導体装置および検査方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】半導体装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20250218BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20250218BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
H01L23/50 K
H01L23/28 A
H01L23/48 G
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021014913
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118411
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】舘 毅
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0293543(US,A1)
【文献】特開2019-176034(JP,A)
【文献】特開2020-115524(JP,A)
【文献】特開2017-195344(JP,A)
【文献】特開2011-082535(JP,A)
【文献】特開2013-074264(JP,A)
【文献】特開2016-004877(JP,A)
【文献】特開昭56-110250(JP,A)
【文献】特開2015-035554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0210422(US,A1)
【文献】特開2007-155640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306330(US,A1)
【文献】特開2019-125768(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0073620(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 23/28
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子主面に配置された第1電極および第2電極と、を有する半導体素子と、
前記半導体素子が搭載される第1リードと、
前記第1リードから離間して配置され、かつ、前記第1電極に導通する第2リードと、
前記第1リードおよび前記第2リードから離間して配置され、かつ、前記第2電極に導通する第3リードと、
前記第1ないし第3リードから離間して配置され、かつ、前記第1電極に導通する第4リードと、
前記第1電極と前記第2リードとに接合された複数の第1接続部と、
前記半導体素子を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記封止樹脂は、前記素子主面と同じ側を向く樹脂主面、前記素子裏面と同じ側を向く樹脂裏面、および、前記樹脂主面および前記樹脂裏面につながる樹脂側面を備え、
前記第2リードは、前記封止樹脂から露出する第2リード露出部を備え、
前記第3リードは、前記封止樹脂から露出する第3リード露出部を備え、
前記第4リードは、前記封止樹脂から露出する第4リード露出部を備え、
前記第2リード露出部は、前記第3リード露出部より、前記樹脂主面側に位置する部分を含み、
前記第4リード露出部は、前記第3リード露出部より、前記樹脂主面側に位置する部分を含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2リード露出部は、前記樹脂主面から露出する第2リード頂面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂主面から露出する第4リード頂面を含む、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第2リード端面を含み、
前記第3リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第3リード端面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第4リード端面を含み、
前記第2リード端面および前記第4リード端面と前記樹脂主面との前記厚さ方向の距離は、前記第3リード端面と前記樹脂主面との前記厚さ方向の距離よりも小さい、
請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2リード端面および前記第4リード端面の前記厚さ方向の寸法は、前記第3リード端面の前記厚さ方向の寸法の2倍以上である、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2リード端面および前記第4リード端面の前記厚さ方向の寸法は、前記樹脂側面の前記厚さ方向の寸法の半分以上である、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第2リード裏面を含み、
前記第3リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第3リード裏面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第4リード裏面を含む、
請求項ないしのいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1電極と前記第4リードとに接合された複数の第2接続部をさらに備えている、請求項ないしのいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の第1接続部および前記複数の第2接続部はワイヤである、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子は、トランジスタであり、
前記第2電極はゲート電極である、
請求項ないしのいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子は、窒化物半導体からなる電子走行層をさらに備えている、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1電極はソース電極である、
請求項または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1電極はドレイン電極である、
請求項または10に記載の半導体装置。
【請求項13】
請求項ないし11のいずれかに記載の半導体装置の前記複数の第1接続部の接合状態を、前記半導体装置が回路基板に実装された状態で検査する検査方法であって、
前記第3リードにパルス信号を入力する信号入力工程と、
前記第2リードに対する前記第4リードの電圧であるセンス電圧を検出する電圧検出工程と、
前記パルス信号のターンオフ時の前記センス電圧を閾値電圧と比較する比較工程と、
を備えている検査方法。
【請求項14】
前記電圧検出工程では、前記センス電圧を検出する2個のプローブを、それぞれ、前記第2リード露出部または前記第4リード露出部に接触させる、
請求項13に記載の検査方法。
【請求項15】
ゲート端子、ソース端子、およびセンスソース端子を有する半導体装置の前記ソース端子に接合された複数の第1接続部の接合状態を、前記半導体装置が回路基板に実装された状態で検査する検査方法であって、
前記ゲート端子にパルス信号を入力する信号入力工程と、
前記ソース端子に対する前記センスソース端子の電圧であるセンス電圧を検出する電圧検出工程と、
前記パルス信号のターンオフ時の前記センス電圧を閾値電圧と比較する比較工程と、
を備えている検査方法。
【請求項16】
前記比較工程において、前記センス電圧が前記閾値電圧以下になった場合、前記接合状態が劣化していると判定する、
請求項13ないし15のいずれかに記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を備えた半導体装置は、様々な構成が提案されている。半導体装置の一例として、ダイパッドに搭載された半導体素子がワイヤによってリードに接続され、これらが封止樹脂で覆われた半導体装置がある。近年、半導体装置においては、小型化および大容量化が求められている。これらの実現のためには、半導体装置の高温動作化が必要なので、従来以上にワイヤの接合部に高い信頼性が求められる。半導体装置が回路基板に実装された実使用状態において、ワイヤの接合状態の劣化を検知できれば、当該半導体装置を修理または交換することで、半導体装置が起因となるシステムの故障を未然に防ぐことができる。
【0003】
特許文献1には、半導体装置におけるワイヤの接合状態を抵抗値に基づいて判断する検査方法が開示されている。半導体装置の実使用状態においても、定常状態の電圧変化を監視することで、ワイヤの接合状態の劣化を検知することができる。しかしながら、この場合、半導体装置の自己発熱による温度変化に起因した抵抗の変化が避けられない。温度変化による抵抗の変化を切り分けることが困難なので、接合状態の劣化を検知する精度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-41435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、半導体装置が回路基板に実装された状態において、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる検査方法、および、当該検査方法に適した半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される半導体装置の検査方法は、ゲート端子、ソース端子、およびセンスソース端子を有する半導体装置の前記ソース端子に接合された複数の第1接続部の接合状態を、前記半導体装置が回路基板に実装された状態で検査する検査方法であって、 前記ゲート端子にパルス信号を入力する信号入力工程と、前記ソース端子に対する前記センスソース端子の電圧であるセンス電圧を検出する電圧検出工程と、前記パルス信号のターンオフ時の前記センス電圧を閾値電圧と比較する比較工程とを備えている。
【0007】
本開示によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子主面に配置された第1電極および第2電極と、を有する半導体素子と、前記半導体素子が搭載される第1リードと、前記第1リードから離間して配置され、かつ、前記第1電極に導通する第2リードと、前記第1リードおよび前記第2リードから離間して配置され、かつ、前記第2電極に導通する第3リードと、前記第1電極と前記第2リードとに接合された複数の第1接続部と、前記半導体素子を覆う封止樹脂とを備え、前記封止樹脂は、前記素子主面と同じ側を向く樹脂主面、前記素子裏面と同じ側を向く樹脂裏面、および、前記樹脂主面および前記樹脂裏面につながる樹脂側面を備え、前記第2リードは、前記封止樹脂から露出する第2リード露出部を備え、前記第3リードは、前記封止樹脂から露出する第3リード露出部を備え、前記第2リード露出部は、前記第3リード露出部より、前記樹脂主面側に位置する部分を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる半導体装置の検査方法は、半導体装置が回路基板に実装された状態において、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。また、本開示にかかる半導体装置は、当該検査方法に適している。
【0009】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
図2図1に示す半導体装置の斜視図であって、底面側を上側にした状態の図である。
図3図1に示す半導体装置の平面図である。
図4図1に示す半導体装置の底面図である。
図5図3のV-V線に沿う断面図である。
図6図3のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図3のVII-VII線に沿う断面図である。
図8】回路基板に実装された図1に示す半導体装置の検査方法を説明するための斜視図である。
図9図1に示す半導体装置を示す回路図である。
図10】ターンオフ時のセンス電圧の変化を示すタイムチャートである。
図11】本開示の第2実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
図12図11に示す半導体装置の断面図である。
図13】回路基板に実装された図11に示す半導体装置の検査方法を説明するための斜視図である。
図14】本開示の第3実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
図15図14に示す半導体装置の断面図である。
図16】本開示の第4実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
図17】本開示の第5実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
図18】本開示の第6実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1図7に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A1について説明する。半導体装置A1は、リード1~4、半導体素子6、ワイヤ71~73、および封止樹脂8を備えている。
【0014】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図である。図2は、半導体装置A1を示す斜視図であって、底面側を上側にした状態の図である。図3は、半導体装置A1を示す平面図である。図3においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。図4は、半導体装置A1を示す底面図である。図5は、図3のV-V線に沿う断面図である。図6は、図3のVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図3のVII-VII線に沿う断面図である。
【0015】
これらの図に示す半導体装置A1は、様々な機器の回路基板に表面実装される装置である。なお、半導体装置A1の用途や機能は限定されない。半導体装置A1のパッケージ形式は、DFN(Dual Flatpack No-leaded)である。なお、半導体装置A1のパッケージ形式は、DFNに限定されない。半導体装置A1の厚さ方向視の形状は矩形状である。説明の便宜上、半導体装置A1の厚さ方向(平面視方向)をz方向とし、z方向に直交する半導体装置A1の一方の辺に沿う方向(図3における左右方向)をx方向、z方向およびx方向に直交する方向(図3における上下方向)をy方向とする。また、z方向の一方側(図5および図6における下側)をz1側とし、他方側(図5および図6における上側)をz2側とする。x方向の一方側(図3および図4における左側)をx1側とし、他方側(図3および図4における右側)をx2側とする。y方向の一方側(図3における下側)をy1側とし、他方側(図3における上側)をy2側とする。z方向が本開示の「厚さ方向」に相当する。半導体装置A1の各寸法は特に限定されず、本実施形態においては、たとえばx方向寸法が8mm程度、y方向寸法が8mm程度、z方向寸法が1mm程度である。
【0016】
リード1~4は、半導体素子6と導通している。リード1~4は、たとえば、金属板にエッチング処理や打ち抜き加工等を施すことにより形成されている。リード1~4は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。本実施形態においては、リード1~4が、Cuからなる場合を例に説明する。リード1~4の厚さは特に限定されず、たとえば0.08~0.3mmであり、本実施形態においては0.2mm程度である。
【0017】
図3に示すように、リード1は、半導体装置A1のy方向のy2側の端部に配置され、x方向の全体に広がっている。リード2~4は、半導体装置A1のy方向y1側の端部に、それぞれリード1から離間して、また、x方向に並んで互いに離間して配置されている。リード2は、半導体装置A1のx方向x1側でy方向y1側の角部(図3においては左下の角部)に配置されている。リード3は、半導体装置A1のx方向x2側でy方向y1側の角部(図3においては右下の角部)に配置されている。リード4は、リード2とリード3との間に配置されている。
【0018】
リード1は、半導体素子6を支持し、主面11、裏面12、裏面側凹部13、複数の端子裏面18、複数の端子端面14、および複数の連結端面15を備えている。
【0019】
主面11および裏面12は、z方向において互いに反対側を向いている。主面11は、z方向z2側を向いている。主面11は、半導体素子6が搭載される面である。本実施形態では、主面11の形状は、x方向に長い矩形からy方向y2側およびx方向の両側に突出した部分を有する形状である。y方向y2側の突出した部分は4個あり、x方向に等間隔で並んでおり、いずれも、半導体装置A1のy方向y2側の端縁まで達している。x方向x1側の突出した部分は2個あり、y方向に並んでおり、いずれも、半導体装置A1のx方向x1側の端縁まで達している。x方向x2側の突出した部分は2個あり、y方向に並んでおり、いずれも、半導体装置A1のx方向x2側の端縁まで達している。裏面12は、z方向z1側を向いている。裏面12は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。本実施形態では、裏面12の形状は、x方向に長い矩形状である。
【0020】
裏面側凹部13は、リード1の一部が裏面12から主面11側に凹んだ部分であり、裏面12を囲むように配置されている。リード1のうち裏面側凹部13が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、裏面12が位置する部分の厚さの半分程度である。裏面側凹部13は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。図4に示すように、裏面側凹部13は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8によって覆われている。これにより、リード1が封止樹脂8からz方向のz1側に剥離することが抑制される。
【0021】
複数の端子裏面18は、裏面12のy方向y2側に配置されている。複数の端子裏面18は、z方向z1側を向いており、封止樹脂8から露出している。複数の端子裏面18は、z方向において裏面12と同じ位置にあり、封止樹脂8によって裏面12から離間されている。複数の端子裏面18は、裏面12と同様、ハーフエッチング処理によって裏面側凹部13が形成された際に、エッチングされずに残った部分である。本実施形態では、端子裏面18は4個あり、x方向に等間隔で並んでおり、いずれも、半導体装置A1のy方向y2側の端縁まで達している。
【0022】
複数の端子端面14は、主面11および裏面12に直交し、y方向y2側を向く面である。各端子端面14は、主面11のy方向y2側の突出した部分のいずれかと、いずれかの端子裏面18とにつながっており、封止樹脂8から露出している。端子端面14は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。本実施形態では、端子端面14は4個あり、それぞれが封止樹脂8によって隔てられて、x方向に等間隔で並んでいる。各端子端面14とこれにつながる端子裏面18は、封止樹脂8から露出した端子になる(図4および図6参照)。
【0023】
複数の連結端面15は、主面11および裏面12に直交し、x方向を向く面である。各連結端面15は、主面11と裏面側凹部13とにつながっており、封止樹脂8から露出している。連結端面15は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。本実施形態では、複数の連結端面15は、x方向x1側を向く2個の連結端面15と、x方向x2側を向く2個の連結端面15とを含んでいる。x方向x1側を向く2個の連結端面15は、封止樹脂8によって隔てられて、y方向に並んでいる。x方向x2側を向く2個の連結端面15は、封止樹脂8によって隔てられて、y方向に並んでいる。
【0024】
なお、リード1の形状は上記したものに限定されない。たとえば、端子端面14および端子裏面18はなくてもよいし、端子裏面18が裏面12につながってもよい。また、裏面側凹部13がなくてもよい。
【0025】
リード2は、主面21、裏面22、裏面側凹部23、複数の端子端面24、および連結端面25を備えている。
【0026】
主面21および裏面22は、z方向において互いに反対側を向いている。主面21は、z方向z2側を向いている。主面21は、ワイヤ71が接合される面である。本実施形態では、主面21の形状は、x方向に長い長矩形からy方向y1側に突出した部分を有する形状である。突出した部分は2個あり、x方向に並んでおり、いずれも、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。裏面22は、z方向z1側を向いている。裏面22は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。本実施形態では、裏面22の形状は、y方向y1側が開放するU字形状である。U字形状の各端部は、ともに、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。
【0027】
裏面側凹部23は、リード2の一部が裏面22から主面21側に凹んだ部分であり、裏面22の周囲に配置されている。リード2のうち裏面側凹部23が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、裏面22が位置する部分の厚さの半分程度である。裏面側凹部23は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。図4に示すように、裏面側凹部23は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8によって覆われている。これにより、リード2が封止樹脂8からz方向のz1側に剥離することが抑制される。
【0028】
複数の端子端面24は、主面21および裏面22に直交し、y方向y1側を向く面である。各端子端面24は、主面21の突出した部分のいずれかと、裏面22のU字の両端部のいずれかとにつながっており、封止樹脂8から露出している。端子端面24は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。本実施形態では、端子端面24は2個あり、封止樹脂8によって隔てられて、x方向に並んでいる。各端子端面24とこれにつながる裏面22とは、封止樹脂8から露出した端子になる(図2図4、および図6参照)。
【0029】
連結端面25は、主面21および裏面22に直交し、x方向x1側を向く面である。連結端面25は、主面21と裏面側凹部23とにつながっており、封止樹脂8から露出している。連結端面25は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。
【0030】
また、リード2は、突出部26を備えている。突出部26は、主面21からz方向のz2側に突出した部分である。突出部26は、z方向視において、主面21のy方向y1側寄りで、x方向x1側寄りに位置している。本実施形態では、突出部26は、端子端面24よりy方向y2側に配置されている。突出部26は、半導体装置A1のz方向z2側の端縁まで達し、封止樹脂8から露出している。突出部26は、頂面27を備えている。頂面27は、z方向z2側を向く面であり、封止樹脂8から露出した面である。本実施形態では、突出部26は長矩形の角柱形状であり、頂面27は長矩形状である。本実施形態では、突出部26は、リード2の他の部分と同じ材料からなる角柱形状のピラーを、リード2の主面21の所定位置に固定したものである。なお、突出部26の位置、材料、形状、および形成方法は限定されない。たとえば、突出部26は、金属板からリード1~4を形成する際に、エッチング処理や曲げ加工等を施すことにより形成されてもよいし、めっきにより形成されてもよい。また、突出部26の形状はたとえば円柱形状であってもよい。この場合、頂面27の形状は円形状になる。突出部26の配置位置は、ワイヤ71の接合の妨げにならない位置であればよい。
【0031】
なお、リード2の形状は上記したものに限定されない。たとえば、裏面側凹部23がなくてもよい。
【0032】
リード3は、主面31、裏面32、裏面側凹部33、端子端面34、および連結端面35を備えている。
【0033】
主面31および裏面32は、z方向において互いに反対側を向いている。主面31は、z方向z2側を向いている。主面31は、ワイヤ73が接合される面である。本実施形態では、主面31の形状は、x方向に長い長矩形からy方向y1側に突出した部分を有する形状である。突出した部分は、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。裏面32は、z方向z1側を向いている。裏面32は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。本実施形態では、裏面32の形状は、矩形状である。裏面32は、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。
【0034】
裏面側凹部33は、リード3の一部が裏面32から主面31側に凹んだ部分であり、裏面32の周囲に配置されている。リード3のうち裏面側凹部33が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、裏面32が位置する部分の厚さの半分程度である。裏面側凹部33は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。図4に示すように、裏面側凹部33は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8によって覆われている。これにより、リード3が封止樹脂8からz方向のz1側に剥離することが抑制される。
【0035】
端子端面34は、主面31および裏面32に直交し、y方向y1側を向く面である。端子端面34は、主面31の突出した部分と、裏面22とにつながっており、封止樹脂8から露出している。端子端面34は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。端子端面34と裏面32とは、封止樹脂8から露出した端子になる(図2および図4参照)。
【0036】
連結端面35は、主面31および裏面32に直交し、x方向x2側を向く面である。連結端面35は、主面31と裏面側凹部33とにつながっており、封止樹脂8から露出している。連結端面35は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。
【0037】
なお、リード3の形状は上記したものに限定されない。たとえば、裏面側凹部33がなくてもよい。
【0038】
リード4は、主面41、裏面42、裏面側凹部43、および端子端面44を備えている。
【0039】
主面41および裏面42は、z方向において互いに反対側を向いている。主面41は、z方向z2側を向いている。主面41は、ワイヤ72が接合される面である。本実施形態では、主面41の形状は、矩形からy方向y1側に突出した部分を有する形状である。突出した部分は、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。裏面42は、z方向z1側を向いている。裏面42は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。本実施形態では、裏面42の形状は、矩形状である。裏面42は、半導体装置A1のy方向y1側の端縁まで達している。
【0040】
裏面側凹部43は、リード4の一部が裏面42から主面41側に凹んだ部分であり、裏面42の周囲に配置されている。リード4のうち裏面側凹部43が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、裏面42が位置する部分の厚さの半分程度である。裏面側凹部43は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。図4に示すように、裏面側凹部43は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8によって覆われている。これにより、リード4が封止樹脂8からz方向のz1側に剥離することが抑制される。
【0041】
端子端面44は、主面41および裏面42に直交し、y方向y1側を向く面である。端子端面44は、主面41の突出した部分と、裏面42とにつながっており、封止樹脂8から露出している。端子端面44は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。端子端面44と裏面42とは、封止樹脂8から露出した端子になる(図2および図4参照)。
【0042】
また、リード4は、突出部46を備えている。突出部46は、主面41からz方向のz2側に突出した部分である。突出部46は、z方向視において、主面41のy方向y1側寄りに位置している。本実施形態では、突出部46は、端子端面44よりy方向y2側に配置されている。突出部46は、半導体装置A1のz方向z2側の端縁まで達し、封止樹脂8から露出している。突出部46は、頂面47を備えている。頂面47は、z方向z2側を向く面であり、封止樹脂8から露出した面である。本実施形態では、突出部46は長矩形の角柱形状であり、頂面47は長矩形状である。本実施形態では、突出部46は、リード4の他の部分と同じ材料からなる角柱形状のピラーを、リード4の主面41の所定位置に固定したものである。なお、突出部46の位置、材料、形状、および形成方法は限定されない。たとえば、突出部46は、金属板からリード1~4を形成する際に、エッチング処理や曲げ加工等を施すことにより形成されてもよいし、めっきにより形成されてもよい。また、突出部46の形状はたとえば円柱形状であってもよい。この場合、頂面47の形状は円形状になる。突出部46の配置位置は、ワイヤ72の接合の妨げにならない位置であればよい。
【0043】
なお、リード4の形状は上記したものに限定されない。たとえば、裏面側凹部43がなくてもよい。
【0044】
半導体素子6は、半導体装置A1の電気的機能を発揮する要素である。半導体素子6の種類は特に限定さない。本実施形態では、半導体素子6は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。なお、半導体素子6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)などの他のトランジスタであってもよい。半導体素子6は、素子本体60、電極61、電極62、および電極63を備えている。
【0045】
素子本体60は、z方向視矩形状の板状である。素子本体60は、半導体材料からなり、本実施形態では、Si(シリコン)からなる。なお、素子本体60の材料は限定されず、たとえばSiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガリウムナイトライド)などの他の材料であってもよい。素子本体60は、素子主面6aおよび素子裏面6bを有する。素子主面6aおよび素子裏面6bは、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面6aは、z方向z2側を向いている。素子裏面6bは、z方向z1側を向いている。電極61および電極62は、素子主面6aに配置されている。電極63は、素子裏面6bに配置されている。本実施形態においては、電極61はソース電極であり、電極62はゲート電極であり、電極63はドレイン電極である。
【0046】
半導体素子6は、図5および図6に示すように、接合材79を介して、リード1の主面11の略中央に搭載されている。本実施形態では、接合材79は、導電性の接合材であり、たとえばはんだである。なお、接合材79は、銀ペーストまたは焼結銀接合材などの導電性接合材であってもよい。半導体素子6は、素子裏面6bを接合材79によってリード1の主面11に接合されている。半導体素子6の電極63は、接合材79を介して、リード1に導通接続されている。これにより、リード1は、半導体素子6の電極63(ドレイン電極)に導通接続されて、ドレイン端子として機能する。
【0047】
半導体素子6の電極62は、図3に示すように、ワイヤ73を介して、リード3に導通接続されている。これにより、リード3は、半導体素子6の電極62(ゲート電極)に導通接続されて、ゲート端子として機能する。また、半導体素子6の電極61は、図3に示すように、ワイヤ71を介して、リード2に導通接続されている。これにより、リード2は、半導体素子6の電極61(ソース電極)に導通接続されて、ソース端子として機能する。さらに、半導体素子6の電極61は、図3に示すように、ワイヤ72を介して、リード4にも導通接続されている。これにより、リード4は、半導体素子6の電極61(ソース電極)に導通接続されて、センスソース端子として機能する。センスソース端子は、電極61(ソース電極)の電位を検出するための端子である。
【0048】
ワイヤ71~73は、半導体素子6とリード2~4とを接続し、これらを導通させるものである。ワイヤ71~73は、たとえばCu,Au,Ag,Alなどの金属からなる。なお、ワイヤ71~73の材料は限定されない。図3に示すように、複数のワイヤ71はそれぞれ、半導体素子6の電極61と、リード2の主面21とに接合されている。本実施形態では、電極61は、6本のワイヤ71で、リード1に接続されている。なお、ワイヤ71の数は限定されない。ワイヤ72は、半導体素子6の電極61と、リード4の主面41とに接合されている。本実施形態では、電極61は、1本のワイヤ72で、リード4に接続されている。なお、ワイヤ72の数は限定されない。ワイヤ73は、半導体素子6の電極62と、リード3の主面31とに接合されている。本実施形態では、電極62は、1本のワイヤ73で、リード3に接続されている。なお、ワイヤ73の数は限定されない。
【0049】
封止樹脂8は、各リード1~4の一部ずつと、半導体素子6と、接合材79と、ワイヤ71~73とを覆っている。封止樹脂8は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。なお、封止樹脂8の材料は限定されない。
【0050】
封止樹脂8は、樹脂主面81、樹脂裏面82、および4個の樹脂側面83を有する。樹脂主面81および樹脂裏面82は、z方向において互いに反対側を向いている。樹脂主面81は、z方向z2側を向く面であり、樹脂裏面82は、z方向z1側を向く面である。
【0051】
4個の樹脂側面83は、それぞれ、樹脂主面81および樹脂裏面82に直交し、樹脂主面81および樹脂裏面82をつなぐ面であり、x方向またはy方向の外側を向く面である。各樹脂側面83は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。4個の樹脂側面83は、樹脂側面831、樹脂側面832、樹脂側面833、および樹脂側面834を含んでいる。樹脂側面831および樹脂側面832は、x方向において互いに反対側を向いている。樹脂側面831は、x方向x1側に配置されてx方向x1側を向く面であり、樹脂側面832は、x方向x2側に配置されてx方向x2側を向く面である。樹脂側面833および樹脂側面834は、y方向において互いに反対側を向いている。樹脂側面833は、y方向y1側に配置されてy方向y1側を向く面であり、樹脂側面834は、y方向y2側に配置されてy方向y2側を向く面である。
【0052】
図2および図4に示すように、リード1の裏面12および複数の端子裏面18と、リード2の裏面22と、リード3の裏面32と、リード4の裏面42とは、封止樹脂8の樹脂裏面82から露出し、樹脂裏面82と互いに面一である。また、本実施形態では、図1および図6に示すように、リード2の頂面27と、リード4の頂面47とは、封止樹脂8の樹脂主面81から露出し、樹脂主面81と互いに面一である。なお、頂面27および頂面47は、封止樹脂8の樹脂主面81から露出していればよく、樹脂主面81と互いに面一でなくてもよい。たとえば、リード1の突出部46およびリード4の突出部46が樹脂主面81から突出して、頂面27および頂面47が樹脂主面81よりz方向z2側に位置してもよい。また、頂面27および頂面47が、樹脂主面81よりz方向z1側に位置しており、樹脂主面81に配置された凹部から露出してもよい。
【0053】
また、リード1の、x方向x1側を向く2個の連結端面15およびリード2の連結端面25は、樹脂側面831から露出し、樹脂側面831と互いに面一である。リード1の、x方向x2側を向く2個の連結端面15およびリード3の連結端面35は、樹脂側面832から露出し、樹脂側面832と互いに面一である。リード2の複数の端子端面24、リード3の端子端面34、およびリード4の端子端面44は、樹脂側面833から露出し、樹脂側面833と互いに面一である。リード1の複数の端子端面14は、樹脂側面834から露出し、樹脂側面834と互いに面一である。
【0054】
リード2のうち封止樹脂8から露出する部分が、本開示の「第2リード露出部」に相当し、裏面22、複数の端子端面24、連結端面25、および頂面27が含まれる。リード3のうち封止樹脂8から露出する部分が、本開示の「第3リード露出部」に相当し、裏面32、端子端面34、および連結端面35が含まれる。リード4のうち封止樹脂8から露出する部分が、本開示の「第4リード露出部」に相当し、裏面42、端子端面44、および頂面47が含まれる。リード2の頂面27およびリード4の頂面47は、リード3のうち封止樹脂8から露出する部分(裏面32、端子端面34、および連結端面35)よりz方向z2側に位置する。
【0055】
次に、本実施形態にかかる検査方法について、図8図10を参照して以下に説明する。当該検査方法は、半導体装置A1が回路基板に実装された状態で、半導体装置A1の複数のワイヤ71の接合状態を検査する検査方法である。
【0056】
図8は、回路基板に実装された半導体装置A1の検査方法を説明するための斜視図である。図9は、半導体装置A1を示す回路図である。図10は、ターンオフ時のセンス電圧の変化を示すタイムチャートである。
【0057】
図8に示すように、半導体装置A1は、回路基板91に実装される。半導体装置A1の各端子は、回路基板91に形成された配線92に、はんだによって接合されている。リード2の各端子端面24、リード3の端子端面34、およびリード4の端子端面44と各配線92との間には、それぞれはんだフィレット93が形成されている。各はんだフィレット93は、それぞれ、各端子端面24、端子端面34、および端子端面44の大部分を覆っている。また、半導体装置A1は、各配線92を介して、回路基板91に搭載された各電子部品に接続されている。図9に示すように、リード3(ゲート端子)は、ゲートドライバ99の出力端子に接続されており、ゲートドライバ99から制御信号(パルス信号)が入力可能である。また、リード1(ドレイン端子)は、電源に導通接続されており、電源電圧が印加される。リード2(ソース端子)は、グランド接続されている。図9においては、複数のワイヤ71が、インダクタとして示されている。
【0058】
本実施形態にかかる検査方法では、2個のプローブ95によって、リード2(ソース端子)に対するリード4(センスソース端子)の電圧であるセンス電圧Vss(図9参照)を検出する。図8に示すように、各端子端面24および端子端面44は、それぞれはんだフィレット93によって覆われているので、各プローブ95を直接接触させることは困難である。本実施形態では、2個のプローブ95の一方をリード2の頂面27に接触させ、他方をリード4の頂面47に接触させている。これにより、センス電圧Vssを精度よく検出できる。
【0059】
本実施形態にかかる検査方法では、ゲートドライバ99からリード3に制御信号(パルス信号)を入力して(信号入力工程)、センス電圧Vssを検出し(電圧検出工程)、制御信号(パルス信号)のターンオフ時のセンス電圧Vssのピーク電圧に応じて、複数のワイヤ71の接合状態を判定する。
【0060】
図10(a)は、リード2に対するリード1の電圧Vds(図9参照)と、リード1およびリード2を流れる電流Idとの時間変化を示している。図10(b)は、センス電圧Vssの時間変化を示している。制御信号(パルス信号)のターンオフ時には、電圧Vdsが増加し、電流Idが減少する。このとき、電流Idの減少により、インダクタとしての複数のワイヤ71が接続された電極61とリード2との間に逆起電力が発生する。これにより、図10(b)に示すように、センス電圧Vssには、負の方向にピークがあらわれる。
【0061】
半導体素子6の電極61とリード2とに接合している複数のワイヤ71のいずれかが劣化によりオープン状態になると、複数のワイヤ71の全体としてのインダクタンスが大きくなる。また、オープン状態までならなくても、ワイヤ71の接続状態が劣化すれば、正常な状態と比較して、インダクタンスが大きくなる。したがって、ターンオフ時に発生する逆起電力が大きくなるので、センス電圧Vssのピークの大きさが大きくなる。図10(b)における波形Vss1は、ワイヤ71が6本とも正常に接続している場合のセンス電圧Vssの波形を示している。波形Vss2は、ワイヤ71が1本オープン状態になり、5本だけが正常に接続している場合のセンス電圧Vssの波形を示している。波形Vss3は、ワイヤ71が2本オープン状態になり、4本だけが正常に接続している場合のセンス電圧Vssの波形を示している。本実施形態にかかる検査方法では、図10(b)に示すように、ワイヤ71が6本とも正常に接続している場合にセンス電圧Vssが超えることのない電圧を閾値電圧V0として設定する。そして、制御信号(パルス信号)のターンオフ時のセンス電圧Vssが閾値電圧V0を超えた場合(閾値電圧V0以下になった場合)に、ワイヤ71の接合状態が劣化していると判定する(比較工程)。一方、センス電圧Vssが閾値電圧V0を超えない場合(閾値電圧V0以下にならない場合)に、ワイヤ71の接合状態は正常であると判定する。なお、比較工程は、1回のターンオフ時の比較で判定してもよいし、数回のターンオフ時の比較で判定してもよい。たとえば、5回のターンオフ時の比較で、1回でもセンス電圧Vssが閾値電圧V0を超えた場合には劣化していると判定し、5回ともセンス電圧Vssが閾値電圧V0を超えなかった場合には正常であると判定してもよい。
【0062】
本実施形態にかかる検査方法は、ゲートドライバ99を起動させる起動部、センス電圧Vssを検出する検出部、および、検出されたセンス電圧Vssと閾値電圧V0とを比較する比較部を備えた検出装置を用いて実行されてもよい。また、本実施形態にかかる検査方法は、作業者の手作業で実行されてもよい。また、電圧検出工程で検出したセンス電圧Vssの波形をオシロスコープなどに表示して、表示された波形が閾値電圧V0を超えているか否かを目視により判定してもよい。なお、本実施形態では、回路基板91に搭載されたゲートドライバ99から半導体装置A1に制御信号を入力する場合について説明したが、これに限られず、半導体装置A1には、回路基板91の外部からパルス信号が入力されてもよい。
【0063】
次に、半導体装置A1および検査方法の作用効果について説明する。
【0064】
本実施形態にかかる検査方法は、ゲートドライバ99からリード3に制御信号(パルス信号)を入力して、センス電圧Vssを検出し、制御信号(パルス信号)のターンオフ時のセンス電圧Vssのピーク電圧に応じて、複数のワイヤ71の接合状態を判定する。当該検査方法によると、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A1の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0065】
本実施形態にかかる半導体装置A1は、樹脂主面81から露出する、リード2の頂面27およびリード4の頂面47を備えている。したがって、半導体装置A1が回路基板91に実装された状態で、リード2の各端子端面24およびリード4の端子端面44がはんだフィレット93によって覆われていても、各プローブ95を頂面27および頂面47に接触させることができる。これにより、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。
【0066】
本実施形態において、突出部26(46)は、端子端面24(44)よりy方向y2側に配置されているので、y1側の側面は封止樹脂8によって覆われており、樹脂側面833から露出していない。つまり、半導体装置A1の製造工程における切断工程において、突出部26(46)はダイシングされる位置にない。したがって、ダイシングが容易である。
【0067】
なお、本実施形態では、半導体装置A1の検査を行う場合について説明したが、これに限られない。本実施形態にかかる検査方法は、半導体装置A1以外の、頂面27および頂面47が露出していない従来の半導体装置に対しても用いることができる。従来の半導体装置を回路基板91に実装した状態で検査する場合は、各プローブ95をリード2(またはリード4)に導通する配線92や、リード2(またはリード4)に形成されたはんだフィレット93に接触させて、センス電圧Vssを検出してもよい。ただし、この場合、配線92やはんだフィレット93のインダクタンス成分も含まれた状態でセンス電圧Vssが検出されるので、リード2(頂面27)およびリード4(頂面47)に各プローブ95を直接接触させた場合と比較して、検出精度が低下する。この場合でも、半導体装置の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、ワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0068】
また、本実施形態では、半導体素子6とリード2~4とがそれぞれワイヤ71~73によって接続されている場合について説明したが、これに限られない。半導体素子6とリード2~4とは、それぞれ金属板(クリップ)などの導電性を有する他の接続部によって接続されてもよい。
【0069】
図11図18は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0070】
〔第2実施形態〕
図11図13に基づき、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置A2について説明する。図11は、半導体装置A2を示す斜視図であり、図1に対応する図である。図12は、半導体装置A2を示す断面図であり、図6に対応する図である。図13は、回路基板91に実装された半導体装置A2の検査方法を説明するための斜視図であり、図8に対応する図である。本実施形態にかかる半導体装置A2は、リード2およびリード4の形状が、第1実施形態にかかる半導体装置A1と異なる。
【0071】
本実施形態にかかるリード2は、突出部26の配置位置およびz方向の寸法が、第1実施形態にかかるリード2と異なる。本実施形態では、図12に示すように、突出部26が、よりy方向y1側に配置され、主面21のy方向y1側の端縁に達している。そして、突出部26のy1側の面が、樹脂側面833から露出して、樹脂側面833と面一になっており、x1側の端子端面24の一部になっている。本実施形態では、2個の端子端面24を区別するために、x1側の端子端面24を端子端面24aとし、x2側の端子端面24を端子端面24bとする。本実施形態にかかる突出部26は、金属板(リードフレーム)のリード2になる部分と、ダイシングにより除去される部分とにまたがるようにピラーを固定し、製造工程における切断工程でダイシングされることで形成される。また、本実施形態では、図12に示すように、突出部26のz方向の寸法が、第1実施形態にかかる突出部26より小さくなっており、突出部26のz方向z2側を向く面が樹脂主面81から露出していない。つまり、突出部26は、頂面27を備えていない。
【0072】
本実施形態にかかるリード4は、突出部46の配置位置およびz方向の寸法が、第1実施形態にかかるリード4と異なる。本実施形態では、突出部46が、よりy方向y1側に配置され、主面41のy方向y1側の端縁に達している。そして、突出部46のy1側の面が、樹脂側面833から露出して、樹脂側面833と面一になっており、端子端面44の一部になっている。本実施形態にかかる突出部46は、金属板(リードフレーム)のリード4になる部分と、ダイシングにより除去される部分とにまたがるようにピラーを固定し、製造工程における切断工程でダイシングされることで形成される。また、本実施形態では、突出部46のz方向の寸法が、第1実施形態にかかる突出部46より小さくなっており、突出部46のz方向z2側を向く面が樹脂主面81から露出していない。つまり、突出部46は、頂面47を備えていない。
【0073】
図11に示すように、リード2の端子端面24aおよびリード4の端子端面44と樹脂主面81とのz方向の距離は、リード3の端子端面34と樹脂主面81とのz方向の距離よりも小さい。本実施形態では、リード2の端子端面24aおよびリード4の端子端面44のz方向の寸法T1は、リード2の端子端面24bおよびリード3の端子端面34のz方向の寸法T2の2倍以上である。また、本実施形態では、寸法T1は、樹脂側面833のz方向の寸法T3の半分以上である。なお、寸法T1は限定されず、端子端面24aおよび端子端面44にはんだフィレット93が形成された場合でも、プローブ95を接触させるための露出部分が残る大きさであればよい。リード2の端子端面24aおよびリード4の端子端面44は、リード3のうち封止樹脂8から露出する部分(裏面32、端子端面34、および連結端面35)よりz方向z2側に位置する部分を含んでいる。端子端面24aが、本開示の「第2リード端面」に相当する。また、端子端面44が、本開示の「第4リード端面」に相当する。また、端子端面34が、本開示の「第3リード端面」に相当する。
【0074】
図13に示すように、半導体装置A2は、回路基板91に実装される。半導体装置A2の各端子は、回路基板91に形成された配線92に、はんだによって接合されている。リード2の端子端面24a,24b、リード3の端子端面34、およびリード4の端子端面44と各配線92との間には、それぞれはんだフィレット93が形成されている。端子端面24bおよび端子端面34は、それぞれはんだフィレット93によって大部分が覆われている。一方、端子端面24aおよび端子端面44は、それぞれはんだフィレット93によって一部が覆われているが、はんだフィレット93から露出する部分がある。本実施形態にかかる検査方法では、各プローブ95をそれぞれはんだフィレット93から露出する部分に接触させて、センス電圧Vssを検出する。
【0075】
本実施形態においても、検査方法において、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A2の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0076】
また、本実施形態にかかる半導体装置A2は、リード2の端子端面24aおよびリード4の端子端面44がz方向z2側に広がっており、はんだフィレット93から露出する部分がある。したがって、半導体装置A2が回路基板91に実装された状態であっても、各プローブ95を、端子端面24aおよび端子端面44のはんだフィレット93から露出した部分に接触させることができる。これにより、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。
【0077】
〔第3実施形態〕
図14図15に基づき、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置A3について説明する。図14は、半導体装置A3を示す斜視図であり、図1に対応する図である。図15は、半導体装置A3を示す断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態にかかる半導体装置A3は、リード2およびリード4の形状が、第1実施形態にかかる半導体装置A1と異なる。
【0078】
本実施形態にかかるリード2は、突出部26の配置位置が、第1実施形態にかかるリード2と異なる。本実施形態では、図15に示すように、突出部26が、よりy方向y1側に配置され、主面21のy方向y1側の端縁に達している。そして、突出部26のy1側の面が、樹脂側面833から露出して、樹脂側面833と面一になっており、x1側の端子端面24の一部になっている。本実施形態では、2個の端子端面24を区別するために、x1側の端子端面24を端子端面24aとし、x2側の端子端面24を端子端面24bとする。本実施形態にかかる突出部26は、金属板(リードフレーム)のリード2になる部分と、ダイシングにより除去される部分とにまたがるようにピラーを固定し、製造工程における切断工程でダイシングされることで形成される。
【0079】
本実施形態にかかるリード4は、突出部46の配置位置が、第1実施形態にかかるリード4と異なる。本実施形態では、突出部46が、よりy方向y1側に配置され、主面41のy方向y1側の端縁に達している。そして、突出部46のy1側の面が、樹脂側面833から露出して、樹脂側面833と面一になっており、端子端面44の一部になっている。本実施形態にかかる突出部46は、金属板(リードフレーム)のリード4になる部分と、ダイシングにより除去される部分とにまたがるようにピラーを固定し、製造工程における切断工程でダイシングされることで形成される。
【0080】
本実施形態にかかる検査方法では、各プローブ95を、頂面27および頂面47に接触させてもよいし、端子端面24aおよび端子端面44のはんだフィレット93から露出する部分に接触させてもよい。
【0081】
本実施形態においても、検査方法において、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A3の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0082】
また、本実施形態にかかる半導体装置A3は、端子端面24aおよび端子端面44がz方向z2側に広がっており、はんだフィレット93から露出する部分がある。また、半導体装置A3は、樹脂主面81から露出する頂面27および頂面47を備えている。したがって、半導体装置A2が回路基板91に実装された状態であっても、各プローブ95を、端子端面24aおよび端子端面44のはんだフィレット93から露出した部分、または、頂面27および頂面47に接触させることができる。これにより、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。
【0083】
〔第4実施形態〕
図16に基づき、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置A4について説明する。図16は、半導体装置A4を示す平面図であり、図3に対応する図である。図16においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態にかかる半導体装置A4は、リード2が2個の部材に分かれている点で、第1実施形態にかかる半導体装置A1と異なる。
【0084】
本実施形態にかかる半導体装置A4は、リード2に代えて、リード2aおよびリード2bを備えている。リード2aおよびリード2bは、リード2をx方向に2個の部材に分けたものであり、リード2aがx方向x1側に配置され、リード2bがx方向x2側に配置されている。リード2aおよびリード2bは、それぞれ、主面21、裏面22、裏面側凹部23、および端子端面24を備えている。リード2aは、さらに連結端面25を備えている。また、リード2aおよびリード2bは、それぞれが、突出部26を備えている。各突出部26は、第1実施形態にかかる突出部26と同様であり、頂面27を備えている。
【0085】
本実施形態では、複数のワイヤ71のうち、リード2aに接合するものをワイヤ71aとし、リード2bに接合するものをワイヤ71bとする。本実施形態では、ワイヤ71aおよびワイヤ71bはともに3本ずつである。
【0086】
以下では、第1実施形態で説明した、制御信号(パルス信号)のターンオフ時のセンス電圧Vssのピーク電圧に応じて複数のワイヤ71の接合状態を判定する検査方法を「第1の検査方法」とする。本実施形態では、第1の検査方法において、各プローブ95をリード2aの頂面27とリード4の頂面47とに接触させることで、複数のワイヤ71aの接合状態を検査できる。また、各プローブ95をリード2bの頂面27とリード4の頂面47とに接触させることで、複数のワイヤ71bの接合状態を検査できる。さらに、本実施形態では、各プローブ95をリード2aの頂面27とリード2bの頂面27とに接触させて、第2の検査方法を行うことができる。第2の検査方法では、2個のプローブ95の間に電圧を印加して、流れる電流を検出することで、リード2a、複数のワイヤ71a、電極61、複数のワイヤ71b、およびリード2bからなる通電経路の抵抗値を検出する。複数のワイヤ71aおよび複数のワイヤ71bのうちのいずれかが劣化すると、当該通電経路の抵抗値が増加する。これにより、半導体装置A4が回路基板91に実装された状態で、複数のワイヤ71aおよび複数のワイヤ71bの接合状態の劣化を検知できる。
【0087】
本実施形態では、リード2aまたはリード2bが本開示の「第2リード」に相当すると考えることができる。また、リード2aおよびリード2bの一方が本開示の「第2リード」に相当し、他方が本開示の「第4リード」に相当すると考えることもできる。
【0088】
本実施形態においても、第1の検査方法において、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A4の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。さらに、第2の検査方法において、検査のために流す電流は小さくてもよく、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A4の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0089】
また、本実施形態にかかる半導体装置A4は、樹脂主面81から露出する、リード2aの頂面27、リード2bの頂面27、およびリード4の頂面47を備えている。したがって、半導体装置A4が回路基板91に実装された状態で、リード2aの端子端面24、リード2bの端子端面24、およびリード4の端子端面44がはんだフィレット93によって覆われていても、各プローブ95を各頂面27および頂面47に接触させることができる。これにより、第1の検査方法において、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。また、第2の検査方法においても、はんだフィレット93の影響を受けずに、通電経路の抵抗値を精度よく検出できる。また、本実施形態において、突出部26(46)は、端子端面24(44)よりy方向y2側に配置されているので、半導体装置A6の製造工程における切断工程において、突出部26(46)はダイシングされる位置にない。したがって、ダイシングが容易である。
【0090】
〔第5実施形態〕
図17に基づき、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置A5について説明する。図17は、半導体装置A5を示す平面図であり、図3に対応する図である。図17においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態にかかる半導体装置A5は、半導体素子6の種類が異なる点と、さらにリード5を備えている点で、第1実施形態にかかる半導体装置A1と異なる。
【0091】
本実施形態にかかるリード1は、端子端面14および端子裏面18を備えておらず、半導体装置A5において、y方向の中央よりy1側に寄って配置されている。本実施形態にかかる半導体装置A5は、リード5をさらに備えている。リード5は、リード1から離間して、半導体装置A5のy方向y2側の端部に配置されている。リード5は、半導体装置A5のx方向の全体に広がっている。リード5は、主面51、裏面52、裏面側凹部53、複数の端子端面54、および複数の連結端面55を備えている。
【0092】
主面51および裏面52は、z方向において互いに反対側を向いている。主面51は、z方向z2側を向いている。主面51は、ワイヤ74が接合される面である。ワイヤ74は、ワイヤ71~73と同様のものである。本実施形態では、主面51の形状は、x方向に長い長矩形からy方向y2側に突出した部分を有する形状である。突出した部分は4個あり、x方向に並んでおり、いずれも、半導体装置A5のy方向y2側の端縁まで達している。裏面52は、z方向z1側を向いている。裏面52は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。本実施形態では、裏面52の形状は、x方向に長い長矩形からy方向y2側に突出した部分を有する形状である。突出した部分は4個あり、x方向に並んでおり、いずれも、半導体装置A5のy方向y2側の端縁まで達している。
【0093】
裏面側凹部53は、リード5の一部が裏面52から主面51側に凹んだ部分であり、裏面52の周囲に配置されている。リード5のうち裏面側凹部53が位置する部分の厚さ(z方向の寸法)は、裏面52が位置する部分の厚さの半分程度である。裏面側凹部53は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。裏面側凹部53は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8によって覆われている。これにより、リード5が封止樹脂8からz方向のz1側に剥離することが抑制される。
【0094】
複数の端子端面54は、主面51および裏面52に直交し、y方向y2側を向く面である。各端子端面54は、主面51の突出した部分のいずれかと、裏面52の突出した部分のいずれかとにつながっており、封止樹脂8から露出している。端子端面54は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。本実施形態では、端子端面54は4個あり、それぞれが封止樹脂8によって隔てられて、x方向に等間隔で並んでいる。各端子端面54とこれにつながる裏面52とは、封止樹脂8から露出した端子になる。
【0095】
複数の連結端面55は、主面51および裏面52に直交し、x方向を向く面である。各連結端面55は、主面51と裏面側凹部53とにつながっており、封止樹脂8から露出している。本実施形態では、連結端面55はx方向x1側とx2側とにそれぞれ1個ずつ配置されている。連結端面55は、製造工程における切断工程でのダイシングにより形成される。なお、リード5の形状は上記したものに限定されない。たとえば、裏面側凹部53がなくてもよい。
【0096】
本実施形態にかかる半導体素子6は、窒化物半導体を用いた半導体素子であり、窒化ガリウム(GaN)を用いたHEMTである。素子本体60は、たとえばSiの基板に、バッファ層、電子走行層を構成するGaN層、電子供給層を構成するAlGaN層、p型GaN層、およびたとえばSiN膜からなる保護膜を積層したものである。GaN層のAlGaN層との界面に近い位置に発生する二次元電子ガス(2DEG:2 Dimensional Electron Gas)が通電経路に用いられる。本実施形態にかかる半導体素子6においては、電極61、電極62、および電極63が素子主面6aに配置されている。本実施形態では、電極61、電極62、および電極63は、それぞれ複数の部分に分かれて配置されている。なお、電極61、電極62、および電極63の配置のレイアウトは限定されない。本実施形態においては、電極61はソース電極であり、電極62はゲート電極であり、電極63はドレイン電極である。
【0097】
電極62は、ワイヤ73を介して、リード3に導通接続されている。これにより、リード3は、電極62(ゲート電極)に導通接続されて、ゲート端子として機能する。また、半導体素子6の電極61は、ワイヤ71を介して、リード2に導通接続されている。これにより、リード2は、半導体素子6の電極61(ソース電極)に導通接続されて、ソース端子として機能する。また、半導体素子6の電極61は、ワイヤ72を介して、リード4にも導通接続されている。これにより、リード4は、半導体素子6の電極61(ソース電極)に導通接続されて、センスソース端子として機能する。さらに、電極63は、ワイヤ74を介して、リード5に導通接続されている。これにより、リード5は、電極63(ドレイン電極)に導通接続されて、ドレイン端子として機能する。
【0098】
本実施形態においても、第1の検査方法において、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A5の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0099】
また、本実施形態においても、半導体装置A5は、樹脂主面81から露出する頂面27および頂面47を備えている。したがって、半導体装置A5が回路基板91に実装された状態で、リード2の各端子端面24およびリード4の端子端面44がはんだフィレット93によって覆われていても、各プローブ95を頂面27および頂面47に接触させることができる。これにより、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。また、本実施形態において、突出部26(46)は、端子端面24(44)よりy方向y2側に配置されているので、半導体装置A5の製造工程における切断工程において、突出部26(46)はダイシングされる位置にない。したがって、ダイシングが容易である。
【0100】
〔第6実施形態〕
図18に基づき、本開示の第6実施形態にかかる半導体装置A6について説明する。図18は、半導体装置A6を示す平面図であり、図3に対応する図である。図18においては、理解の便宜上、封止樹脂8を透過して、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態にかかる半導体装置A6は、リード5が4個の部材に分かれている点で、第5実施形態にかかる半導体装置A5と異なる。
【0101】
本実施形態にかかる半導体装置A6は、リード5に代えて、リード5a、リード5b、リード5c、およびリード5dを備えている。リード5a、リード5b、リード5c、およびリード5dは、リード5をx方向に4個の部材に分けたものであり、この順でx方向x1側からx2側に並んでいる。リード5a、リード5b、リード5c、およびリード5dは、それぞれ、主面51、裏面52、裏面側凹部53、および端子端面54を備えている。リード5aおよびリード5dは、さらに連結端面55を備えている。また、リード5a、リード5b、リード5c、およびリード5dは、それぞれが、突出部56を備えている。
【0102】
突出部56は、主面51からz方向のz2側に突出した部分である。突出部56は、z方向視において、主面51のy方向y2側寄りに位置している。本実施形態では、突出部56は、端子端面54よりy方向y1側に配置されている。突出部56は、半導体装置A6のz方向z2側の端縁まで達し、封止樹脂8から露出している。突出部56は、頂面57を備えている。頂面57は、z方向z2側を向く面であり、封止樹脂8から露出した面である。本実施形態では、突出部56は長矩形の角柱形状であり、頂面57は長矩形状である。なお、各突出部56の位置、材料、形状、および形成方法は限定されない。各突出部56の配置位置は、ワイヤ74の接合の妨げにならない位置であればよい。
【0103】
本実施形態では、複数のワイヤ74のうち、リード5aに接合するものをワイヤ74aとし、リード5bに接合するものをワイヤ74bとし、リード5cに接合するものをワイヤ74cとし、リード5dに接合するものをワイヤ74dとする。本実施形態では、ワイヤ74a~74dはいずれも2本ずつである。
【0104】
本実施形態では、第2の検査方法によって、ワイヤ74a~74dの接合状態の劣化を検知できる。各プローブ95をリード5aの頂面57とリード5bの頂面57とに接触させて、第2の検査方法を行うことで、複数のワイヤ74aおよび複数のワイヤ74bの接合状態の劣化を検知できる。同様に、各プローブ95をリード5cの頂面57とリード5dの頂面57とに接触させて、第2の検査方法を行うことで、複数のワイヤ74cおよび複数のワイヤ74dの接合状態の劣化を検知できる。
【0105】
本実施形態では、リード5a、リード5b、リード5c、およびリード5dのいずれかが本開示の「第2リード」に相当し、他のいずれかが本開示の「第4リード」に相当すると考えることもできる。この場合、電極63が本開示の「第1電極」に相当する。
【0106】
本実施形態においても、第1の検査方法において、制御信号のターンオフ時のセンス電圧Vssの変化で判定できるので、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A6の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。また、第2の検査方法において、検査のために流す電流は小さくてもよく、定常状態の電圧変化で判定する場合のように、大きな電流を長時間通電する必要が無い。したがって、半導体装置A6の自己発熱による温度変化の影響を受けることなく、高い精度でワイヤの接合状態の劣化を検知できる。
【0107】
また、本実施形態にかかる半導体装置A6は、樹脂主面81から露出する、リード2の頂面27、リード4の頂面47、リード5aの頂面57、リード5bの頂面57、リード5cの頂面57、およびリード5dの頂面57を備えている。したがって、半導体装置A6が回路基板91に実装された状態で、リード2の各端子端面24およびリード4の端子端面44がはんだフィレット93によって覆われていても、各プローブ95を各頂面27および頂面47に接触させることができる。これにより、第1の検査方法において、はんだフィレット93の影響を受けずに、センス電圧Vssを精度よく検出できる。また、リード5aの端子端面54、リード5bの端子端面54、リード5cの端子端面54、およびリード5dの端子端面54がはんだフィレット93によって覆われていても、各プローブ95を各頂面57のいずれかに接触させることができる。これにより、第2の検査方法において、はんだフィレット93の影響を受けずに、通電経路の抵抗値を精度よく検出できる。また、本実施形態において、突出部26(46)は、端子端面24(44)よりy方向y2側に配置されているので、半導体装置A6の製造工程における切断工程において、突出部26(46)はダイシングされる位置にない。また、各突出部56は、各端子端面54よりy方向y1側に配置されているので、半導体装置A6の製造工程における切断工程において、各突出部56はダイシングされる位置にない。したがって、ダイシングが容易である。
【0108】
本開示にかかる半導体装置および検査方法は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示にかかる半導体装置の各部の具体的な構成、および、本開示の検査方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
【0109】
〔付記1〕
厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子主面に配置された第1電極および第2電極と、を有する半導体素子と、
前記半導体素子が搭載される第1リードと、
前記第1リードから離間して配置され、かつ、前記第1電極に導通する第2リードと、
前記第1リードおよび前記第2リードから離間して配置され、かつ、前記第2電極に導通する第3リードと、
前記第1電極と前記第2リードとに接合された複数の第1接続部と、
前記半導体素子を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記封止樹脂は、前記素子主面と同じ側を向く樹脂主面、前記素子裏面と同じ側を向く樹脂裏面、および、前記樹脂主面および前記樹脂裏面につながる樹脂側面を備え、
前記第2リードは、前記封止樹脂から露出する第2リード露出部を備え、
前記第3リードは、前記封止樹脂から露出する第3リード露出部を備え、
前記第2リード露出部は、前記第3リード露出部より、前記樹脂主面側に位置する部分を含む、
半導体装置。
〔付記2〕
前記第1ないし第3リードから離間して配置され、かつ、前記第1電極に導通する第4リードをさらに備え、
前記第4リードは、前記封止樹脂から露出する第4リード露出部を備え、
前記第4リード露出部は、前記第3リード露出部より、前記樹脂主面側に位置する部分を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
前記第2リード露出部は、前記樹脂主面から露出する第2リード頂面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂主面から露出する第4リード頂面を含む、
請求項2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
前記第2リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第2リード端面を含み、
前記第3リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第3リード端面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂側面から露出する第4リード端面を含み、
前記第2リード端面および前記第4リード端面と前記樹脂主面との前記厚さ方向の距離は、前記第3リード端面と前記樹脂主面との前記厚さ方向の距離よりも小さい、
請求項2または3に記載の半導体装置。
〔付記5〕
前記第2リード端面および前記第4リード端面の前記厚さ方向の寸法は、前記第3リード端面の前記厚さ方向の寸法の2倍以上である、
請求項4に記載の半導体装置。
〔付記6〕
前記第2リード端面および前記第4リード端面の前記厚さ方向の寸法は、前記樹脂側面の前記厚さ方向の寸法の半分以上である、
請求項4に記載の半導体装置。
〔付記7〕
前記第2リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第2リード裏面を含み、
前記第3リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第3リード裏面を含み、
前記第4リード露出部は、前記樹脂裏面から露出する第4リード裏面を含む、
付記2ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記8〕
前記第1電極と前記第4リードとに接合された複数の第2接続部をさらに備えている、
付記2ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9〕
前記複数の第1接続部および前記複数の第2接続部はワイヤである、
付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記半導体素子は、トランジスタであり、
前記第2電極はゲート電極である、
請求項2ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記半導体素子は、窒化物半導体からなる電子走行層をさらに備えている、
請求項10に記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記第1電極はソース電極である、
請求項10または11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記第1電極はドレイン電極である、
請求項10または11に記載の半導体装置。
〔付記14〕
請求項2ないし12のいずれかに記載の半導体装置の前記複数の第1接続部の接合状態を、前記半導体装置が回路基板に実装された状態で検査する検査方法であって、
前記第3リードにパルス信号を入力する信号入力工程と、
前記第2リードに対する前記第4リードの電圧であるセンス電圧を検出する電圧検出工程と、
前記パルス信号のターンオフ時の前記センス電圧を閾値電圧と比較する比較工程と、
を備えている検査方法。
〔付記15〕
前記電圧検出工程で前記センス電圧を検出する2個のプローブは、それぞれ、前記第2リード露出部または前記第4リード露出部に接触される、
請求項14に記載の検査方法。
〔付記16〕
ゲート端子、ソース端子、およびセンスソース端子を有する半導体装置の前記ソース端子に接合された複数の第1接続部の接合状態を、前記半導体装置が回路基板に実装された状態で検査する検査方法であって、
前記ゲート端子にパルス信号を入力する信号入力工程と、
前記ソース端子に対する前記センスソース端子の電圧であるセンス電圧を検出する電圧検出工程と、
前記パルス信号のターンオフ時の前記センス電圧を閾値電圧と比較する比較工程と、
を備えている検査方法。
〔付記17〕
前記比較工程において、前記センス電圧が前記閾値電圧以下になった場合、前記接合状態が劣化していると判定する、
請求項14ないし16のいずれかに記載の検査方法。
【符号の説明】
【0110】
A1~A6:半導体装置
1 :リード
11 :主面
12 :裏面
13 :裏面側凹部
14 :端子端面
15 :連結端面
18 :端子裏面
2,2a,2b:リード
21 :主面
22 :裏面
23 :裏面側凹部
24,24a,24b:端子端面
25 :連結端面
26 :突出部
27 :頂面
3 :リード
31 :主面
32 :裏面
33 :裏面側凹部
34 :端子端面
35 :連結端面
4 :リード
41 :主面
42 :裏面
43 :裏面側凹部
44 :端子端面
46 :突出部
47 :頂面
5,5a,5b,5c,5d:リード
51 :主面
52 :裏面
53 :裏面側凹部
54 :端子端面
55 :連結端面
56 :突出部
57 :頂面
6 :半導体素子
60 :素子本体
6a :素子主面
6b :素子裏面
61,62,63:電極
71,71a,71b,72,73,74,74a,74b,74c,74d:ワイヤ
79 :接合材
8 :封止樹脂
81 :樹脂主面
82 :樹脂裏面
83,831,832,833,834:樹脂側面
91 :回路基板
92 :配線
93 :はんだフィレット
95 :プローブ
99 :ゲートドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18