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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】加温システムおよび熱源ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 30/02 20060101AFI20250218BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20250218BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20250218BHJP
   F24D 3/18 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
F25B30/02 H
F25B1/00 399Y
F25B1/00 361D
F25B1/00 371F
F24H15/375
F24D3/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021035138
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135376
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邊 智明
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-083607(JP,A)
【文献】特開2009-041860(JP,A)
【文献】特開2016-166715(JP,A)
【文献】特開2014-224620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F24H 4/00- 4/02
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、第一熱交換器と、絞り装置と、送風ファンと、前記送風ファンによって屋外空気が通風される第二熱交換器と、からなる冷凍サイクルと、
加温対象の利用側機器と、
前記冷凍サイクルの前記第一熱交換器と前記利用側機器とを接続して熱媒体を循環させる環状の媒体流路と、
前記第一熱交換器における前記熱媒体の出口側温度を検出する出口温度センサーと、
前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量を検出する流量検出部と、
外気温度を検出する外気温度センサーと、
前記流量検出部により検出された前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量および前記外気温度センサーにより検出された前記外気温度に基づいて前記熱媒体の前記第一熱交換器における出口側温度の上限値を設定し、前記出口側温度の前記上限値に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御することで前記圧縮機の吐出圧力が上限値を超えることを防止する制御部と、を備え、
前記外気温度に基づき前記出口側温度の前記上限値を補正する補正値を決定し、
前記流量の下限値をR1、前記R1における補正係数をα1、
前記流量の定格値をR2、前記R2における補正係数をα2、
前記流量の上限値をR3、前記R3における補正係数をα3、とするとき、
α1=α2×R2÷R1、
α2=1、
α3=α2×R2÷R3、とし、
前記出口側温度の前記上限値は、設定温度を前記α1、前記α2、前記α3、および前記補正値に基づいて補正して設定される加温システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記出口温度センサーで検出される出口側温度が前記設定された出口側温度の上限値を超えないように前記圧縮機の運転周波数を制御する、請求項1に記載の加温システム。
【請求項3】
前記第一熱交換器における前記熱媒体の入口側温度を検出する入口温度センサーを更に備え、
前記制御部は、
前記設定温度および前記入口温度センサーが検出する入口側温度に応じて、前記圧縮機の運転周波数を決定する請求項に記載の加温システム。
【請求項4】
圧縮機と、第一熱交換器と、絞り装置と、送風ファンと、前記送風ファンによって屋外空気が通風される第二熱交換器と、からなる冷凍サイクルと、
前記冷凍サイクルの前記第一熱交換器と利用側機器とを接続して熱媒体を循環させる環状の媒体流路に接続するための配管継手と、
前記第一熱交換器における前記熱媒体の出口側温度を検出する出口温度センサーと、
前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量を検出する流量検出部と、
外気温度を検出する外気温度センサーと、
前記流量検出部により検出された前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量および前記外気温度センサーにより検出された前記外気温度に基づいて前記熱媒体の前記第一熱交換器における出口側温度の上限値を設定し、前記出口側温度の前記上限値に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御することで前記圧縮機の吐出圧力が上限値を超えることを防止する制御部と、を備え、
前記外気温度に基づき前記出口側温度の前記上限値を補正する補正値を決定し、
前記流量の下限値をR1、前記R1における補正係数をα1、
前記流量の定格値をR2、前記R2における補正係数をα2、
前記流量の上限値をR3、前記R3における補正係数をα3、とするとき、
α1=α2×R2÷R1、
α2=1、
α3=α2×R2÷R3、とし、
前記出口側温度の前記上限値は、設定温度を前記α1、前記α2、前記α3、および前記補正値に基づいて補正して設定される熱源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温システムおよび熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
※例示が単数の場合は「など」、例示が複数の場合は「等」の標記に統一しております。
ヒートポンプ式冷凍サイクルを用いて温水を発生させるヒートポンプ式熱源機を用いた加温システムが知られている。給湯装置や床暖房等の加温システムは、加温対象である負荷に対して温水などの熱媒体を供給して暖房などの加温を行なう。ここで、水を加熱する手段として、外気などの空気を熱源としたヒートポンプ式熱源機である熱源ユニットが用いられる。
【0003】
例えば、加温システムは、圧縮機、水熱交換器、膨張弁、および空気熱交換器を接続する環状の冷媒流路を有するヒートポンプサイクルと、給湯用の温水を貯える貯湯タンクと、水熱交換器と貯湯タンクとを接続する温水流路と、を備えている。加温システムは、冷媒流路の出口側の冷媒温度と温水流路の入口側の温水温度との差が目標温度差よりも小さくなると、膨張弁を開く方向に制御し、冷媒流路の出口側の冷媒温度と温水流路の入口側の温水温度との差が目標温度差よりも大きくなると、膨張弁を閉じる方向に制御する。
【0004】
但し、この加温システムは、冷媒流路の出口側の冷媒温度と流体流路の入口側の流体温度との温度差が目標温度差よりも小さく、膨張弁を開く方向に制御する際に、給湯用流体の目標給湯温度が確保されるように、ヒートポンプサイクルの高圧側冷媒圧力を所定の冷媒圧力以上に維持する制御を行う。この制御により、加温システムは、ヒートポンプサイクルの高圧側冷媒圧力を所定の冷媒圧力以上に維持し、給湯用流体の目標給湯温度を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-206805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の加温システムは、外気温度が高くなるにつれ、目標給湯温度の上限値を低く設定することで、圧縮機の吐出圧力が使用圧力範囲を逸脱しないように規制していた。
【0007】
しかしながら、このような加温システムでは、循環流量が多い場合、冷媒流路の出口側の冷媒温度と流体流路の入口側の流体温度との温度差が小さくなる。そのため、目標出口側温度到達時の入口水温、および圧縮機の吐出圧力が高くなり、圧縮機の吐出圧力が使用圧力範囲を逸脱してしまう場合があった。この場合、圧縮機にかかる負荷が大きくなるため、圧縮機が故障したり、圧縮機の寿命が低下したりする虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、適切に目標出口側温度の上限値を規制することにより、圧縮機の吐出圧力が上限値を超えないように制御でき、圧縮機の故障や寿命低下を抑制することで、信頼性を向上できる加温システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る加温システムは、圧縮機と、第一熱交換器と、絞り装置と、送風ファンと、前記送風ファンによって屋外空気が通風される第二熱交換器と、からなる冷凍サイクルと、加温対象の利用側機器と、前記冷凍サイクルの前記第一熱交換器と前記利用側機器とを接続して熱媒体を循環させる環状の媒体流路と、前記第一熱交換器における前記熱媒体の出口側温度を検出する出口温度センサーと、前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量を検出する流量検出部と、外気温度を検出する外気温度センサーと、前記流量検出部により検出された前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量および前記外気温度センサーにより検出された前記外気温度に基づいて前記熱媒体の前記第一熱交換器における出口側温度の上限値を設定し、前記出口側温度の前記上限値に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御することで前記圧縮機の吐出圧力が上限値を超えることを防止する制御部と、を備え、前記外気温度に基づき前記出口側温度の前記上限値を補正する補正値を決定し、前記流量の下限値をR1、前記R1における補正係数をα1、前記流量の定格値をR2、前記R2における補正係数をα2、前記流量の上限値をR3、前記R3における補正係数をα3、とするとき、α1=α2×R2÷R1、α2=1、α3=α2×R2÷R3、とし、前記出口側温度の前記上限値は、設定温度を前記α1、前記α2、前記α3、および前記補正値に基づいて補正して基づいて設定される。
【0010】
また、本発明の実施形態に係る熱源ユニットは、圧縮機と、第一熱交換器と、絞り装置と、送風ファンと、前記送風ファンによって屋外空気が通風される第二熱交換器と、からなる冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの前記第一熱交換器と利用側機器とを接続して熱媒体を循環させる環状の媒体流路に接続するための配管継手と、前記第一熱交換器における前記熱媒体の出口側温度を検出する出口温度センサーと、前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量を検出する流量検出部と、外気温度を検出する外気温度センサーと、前記流量検出部により検出された前記媒体流路を循環する前記熱媒体の流量および前記外気温度センサーにより検出された前記外気温度に基づいて前記熱媒体の前記第一熱交換器における出口側温度の上限値を設定し、前記出口側温度の前記上限値に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御することで前記圧縮機の吐出圧力が上限値を超えることを防止する制御部と、を備え、前記外気温度に基づき前記出口側温度の前記上限値を補正する補正値を決定し、前記流量の下限値をR1、前記R1における補正係数をα1、前記流量の定格値をR2、前記R2における補正係数をα2、前記流量の上限値をR3、前記R3における補正係数をα3、とするとき、α1=α2×R2÷R1、α2=1、α3=α2×R2÷R3、とし、前記出口側温度の前記上限値は、設定温度を前記α1、前記α2、前記α3、および前記補正値に基づいて補正して基づいて設定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る加温システムの冷凍サイクルを示す系統図。
図2図1の加温システムにおける制御部を概略的に示すブロック図。
図3】外気温度と出口側温度の上限規制との関係を示すグラフ。
図4】循環流量と補正係数との関係を示すグラフ。
図5】加温システムの制御処理を示すフローチャート。
図6】加温システムの変形例における制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、保護回路および電気機器の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係る加温システムの冷凍サイクル回路を示す系統図である。
【0014】
図2は、図1の加温システムにおける制御部を概略的に示すブロック図である。
【0015】
図3は、外気温度と出口側温度の上限規制との関係を示すグラフである。
【0016】
図4は、循環流量と補正係数との関係を示すグラフである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の加温システムは、ヒートポンプ式の温水生成装置1である。温水生成装置1は、大別すると、冷媒と室外の空気(外気)との間で熱交換を行うと共に、機外から供給される水と冷媒との間で熱交換を行う熱源ユニット2と、当該熱源ユニット2に接続される床暖房装置などの負荷ユニット3である利用側熱交換器31と、を備えている。また、温水生成装置1は、ユーザーによる操作を受け付ける入力装置としてのコントローラー29と、当該コントローラー29の操作に基づいて熱源ユニット2および負荷ユニット3を制御する制御部5と、を備えている。コントローラー29は、液晶などで構成された表示部を備え、この表示部に設定内容や運転状態を表示するようになっている。コントローラー29は、ユーザーが所望する温水の設定温度を設定する。
【0018】
熱源ユニット2は、圧縮機21、四方弁22、第一熱交換器(この場合、水熱交換器)として機能する凝縮器23、絞り装置としての膨張弁24、および第二熱交換器(この場合、空気熱交換器)として機能する蒸発器25が冷媒配管28により順次接続されて、冷媒が循環する冷凍サイクル20を有する。蒸発器25には、送風ファン26と、外気温度(TO)を検出する外気温度センサー11と、が設けられている。圧縮機21は、高圧容器に圧縮機構と、この圧縮機構を駆動するDCブラシレスモーターと、が内蔵されて構成されている。圧縮機21のDCブラシレスモーターは、商用交流電源から電力を受ける三相インバーター装置51の出力により可変速駆動される。
【0019】
温水生成装置1において冷凍サイクル20は、冷媒配管28により接続された圧縮機21、四方弁22、凝縮器23、膨張弁24、蒸発器25、および四方弁22を、冷媒が環状に順次循環するよう構成されている。
【0020】
負荷ユニット3は、利用側機器31と、循環ポンプ33と、を備える。また、温水生成装置1は、熱源ユニット2内の水熱交換器として機能する凝縮器23と、負荷ユニット3の利用側機器31とが熱媒体としての水を循環させる環状の媒体流路32で接続されている。負荷ユニット3側の媒体流路32には可変速回転する循環ポンプ33が設けられ、この循環ポンプ33の作用で、凝縮器23と利用側機器31との間で水を循環させ、凝縮器23で冷媒と水とを熱交換させ、加熱した湯を利用側機器31へ供給する。加熱された湯は、利用側機器31としての暖房装置などの、例えば床暖房システムを流通して熱源ユニット2内の凝縮器23に返送される。すなわち、水は熱源ユニット2と、利用側機器31である暖房装置の放熱器などの外部の放熱装置との間を循環する。なお、媒体流路32には、配管継手35、36が設けられており、これら配管継手35、36を介して熱源ユニット2と負荷ユニット3とが着脱可能となっている。熱媒体としては、一般的に水が適切であるが、凍結防止を考慮して不凍液を用いることも可能である。
【0021】
媒体流路32の凝縮器23における入口側には、熱媒体としての水の入口側温度(TWI)を検出する入口温度センサー12が設けられている。また、媒体流路32の凝縮器23における出口側には、熱媒体としての水の出口側温度(TWO)を検出する出口温度センサー13が設けられている。さらに、熱源ユニット2内の媒体流路32には、当該媒体流路32を循環する熱媒体としての水の流量(循環流量R)を検出する流量検出部である流量計27が設けられている。なお、水の循環流量Rとしては、流量計27によって検出された流量を用いることに限らず、循環ポンプ33の回転数に対応して予め記憶された流量を用いても良いし、手動入力で設定した流量を用いても良いし、推定した流量で運転し変化が生じたら補正するようにしても良い。なお、流量計27は、負荷ユニット3側の媒体流路32の途中に設けても良い。同様に循環ポンプ33の配置も、負荷ユニット3側でも熱源ユニット2内の媒体流路32のいずれの位置でも良い。
【0022】
図2に示すように、制御部5は、コントローラー29の操作に基づき、熱源ユニット2および負荷ユニット3の運転を制御する。すなわち、制御部5は、コントローラー29を介したユーザーの操作(運転入力操作や温度設定操作等)に基づいて、圧縮機21、インバーター装置51、四方弁22、膨張弁24、および送風ファン26等の動作を制御する。また、制御部5は、少なくとも外気温度センサー11、入口温度センサー12、および出口温度センサー13等の各種センサーによる各種検出値、または流量計27による検出値のうちの一つ以上に基づいて、圧縮機21、四方弁22、膨張弁24、および送風ファン26のうちの少なくとも圧縮機21または送風ファン26の動作を制御する。
【0023】
本実施形態の制御部5は、不図示のプロセッサ(CPU)、メモリおよびその周辺回路などのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。
【0024】
ここで、圧縮機21は、冷媒を圧縮して高温高圧状態として吐出する。冷媒を圧縮して昇圧し、高温高圧状態で吐出する。圧縮機21は、公知のインバーター制御によって運転周波数を変更可能である。圧縮機21の回転数を上げることで、高温部分へ移動する熱量が増加し、回転数を下げることで、高温部分へ移動する熱量が低下する。また、本実施形態に用いられる冷媒は、R410AまたはR32等である。さらに、膨張弁24は、例えば電子膨張弁(Pulse Motor Valve:PMV)であり、その開度を調節できる。膨張弁24は、凝縮器23と蒸発器25との間の冷媒配管28に直列に配置され、冷媒を減圧して低温低圧状態とする。
【0025】
蒸発器25は、その近傍に設置された送風ファン26から送風される空気と冷媒との間で熱交換を行う。外気温度センサー11は、正確な外気温度(以下、これを外気温とも称す。)を検出するために、送風ファン26による送風方向において蒸発器25の上流側に設置される。
【0026】
なお、冷凍サイクル20は、水を加熱する運転中に四方弁22によって冷媒配管28における冷媒の流通方向を切替えることで、除霜運転を実施する。除霜運転を実施する際、温水生成装置1は、四方弁22を反転させて冷凍サイクル20に水を湯に加熱する冷媒の流れと逆向きの冷媒の流れを生じさせる。すなわち、冷媒を圧縮機、四方弁22、第二熱交換器25、膨張弁24、第一熱交換器23、四方弁22、および圧縮機21の順に流通させる。この除霜運転中は、第二熱交換器25は凝縮器として機能し、表面に付着した霜を溶解し、第一熱交換器23は蒸発器として機能する。
【0027】
また、除霜運転が不要な温暖地域向けとして、冷凍サイクル20は、四方弁22を備えない水の加熱専用のものとしても良い。この場合、圧縮機21の吐出側は冷媒配管28を介して凝縮器23に接続され、圧縮機21の吸込側は冷媒配管28を介して蒸発器25に接続される。
【0028】
このように構成された温水生成装置1では、媒体流路32を循環する熱媒体の温度がユーザーの設定する設定温度となるように、制御部5がインバーター装置51の出力周波数を制御して、圧縮機21の回転数を上げ下げすることで、利用側機器31へ供給される水(湯)の加熱量を制御する。
【0029】
ここで、温水生成装置1では、外気温が高くなるにつれ圧縮機21の吐出圧力が高くなる。そのため、外気温が高くなるほど媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の上限を低く設定する必要がある。そのため、外気温と熱媒体の循環流量によって出口側温度の上限値が設定される。外気温に基づき出口側温度の上限値を補正する補正値△Tが決定され、熱媒体の循環流量に基づき補正係数αが設定される。この補正値△Tと補正係数αの2つのパラメータによって出口側温度の上限値が設定される。
【0030】
外気温と、媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の上限値を補正する補正値ΔTとの関係は、横軸に外気温、縦軸に補正値ΔTを表す図3のようになる。例えば、外気温が40℃であるP4では、補正値ΔTが-1.0となる。そして、補正係数αが1である定格循環流量において、出口側温度の目標値となる上限値は、出口側温度の上限値=設定温度+ΔTによって求められる。よって、外気温が40℃の場合、出口側温度の上限値は、設定温度より1℃低くなるように設定を補正する必要がある。なお、図3中のP1~P6間は、直線で補間される。なお、外気温が図3中のP2点よりも低い場合には、吐出温度が保護を必要とする温度まで上昇することがないため、補正値ΔTは「0」のままである。
【0031】
温水生成装置1では、水の循環流量が少ないと媒体流路32の凝縮器23における入口側温度と出口側温度との温度差が大きくなる一方、水の循環流量が多いと媒体流路32の凝縮器23における入口側温度と出口側温度との温度差が小さくなる。そのため、水の循環流量が少ない場合には、凝縮器23における出口側温度の上限値の規制を大きく、すなわち上限値を低くする必要がある一方、水の循環流量が多い場合には、凝縮器23における出口側温度の上限値の規制を小さく、すなわち上限値を高くすることができる。
【0032】
循環流量Rと、媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の上限値の補正係数αとの関係は、横軸に循環流量R、縦軸に補正係数αを表す図4のようになる。下限値の循環流量をR1、定格循環流量値をR2、上限値の循環流量をR3、およびそれぞれの循環流量R1~R3の補正係数をα1、α2、α3とすると、α1=α2×R2÷R1、α3=α2×R2÷R3となる。なお、定格値の循環流量R2の場合の補正係数α2=1とする。そして、循環流量Rを考慮した凝縮器23における出口側温度の上限値は、「出口側温度の上限値=設定温度+ΔT×α」とする。なお、図4中のP2~P4間はP2~P4を通る近似曲線で補間される。
【0033】
このように、本実施形態の温水生成装置1では、媒体流路32における水の循環流量Rに応じて、ユーザーが設定する設定温度に対する出口側温度の上限値を目標に周波数を制御する。つまり、本実施形態の温水生成装置1では、媒体流路32における水の循環流量Rを考慮して、凝縮器23における出口側温度の上限値を補正し、当該補正した上限値を凝縮器23における出口側温度の目標値として、制御部5がインバーター装置51を制御して圧縮機21の運転周波数を制御する。この結果、凝縮器23の出口側温度は、出口側温度の上限値を超えることがないように制御される。すなわち、凝縮器23の出口側温度が出口側温度の上限値を超えれば、すぐに圧縮機21の運転周波数を低減することによって、凝縮器23の出口側温度が出口側温度の上限値以下に制御される。
【0034】
次に、本実施形態の温水生成装置1における制御部5による圧縮機21の制御動作について説明する。
【0035】
図5は、加温システムの制御処理を示すフローチャートである。
【0036】
図6は、加温システムの変形例における制御処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、フローチャートにおける各「ステップ」については、「ST」と表記する。
【0037】
図5に示すように、まず、制御部5は、コントローラー29から運転の開始に係る信号が入力されたか否かを判断し(ST1)、運転の開始に係る信号が入力されるまで待機する(ST1:No)。そして、運転の開始に係る信号が入力された場合(ST1:Yes)、制御部5は、媒体流路32の凝縮器23における入口側温度が設定温度よりも低いか否か判断し(ST2)、当該入口側温度が設定温度よりも高ければ、熱媒体の加熱は不要であるため、設定温度よりも低くなるまで待機する(ST2:No)。そして、制御部5は、凝縮器23における入口側温度が設定温度よりも低い場合(ST2:Yes)、圧縮機21の運転を開始させ熱媒体の加熱を開始する(ST3)、外気温度センサー11により外気温を取得する(ST4)。
【0038】
次に、制御部5は、取得した外気温に基づいて図3に示したように、外気温に応じた媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の補正値ΔTを算出する(ST5)。続いて、制御部5は、流量計27によって媒体流路32における水の循環流量Rを取得する(ST6)。
【0039】
次いで、制御部5は、図4に示したような媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の上限値の補正係数αを算出する(ST7)。
【0040】
続いて、設定温度に基づく媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の目標とする上限値である、設定温度+ΔT×α、を算出する(ST8)。
【0041】
次に、制御部5は、出口温度センサー13により検出された現在の出口側温度が出口側温度の上限値よりも高いか否かを判断し(ST10)、現在の出口側温度が上限値よりも高い場合(ST10:Yes)、圧縮機21の運転周波数を下げ(ST11)、圧縮機21が過負荷になることを防止する。一方、制御部5は、現在の出口側温度が上限値よりも低い場合(T10:No)、圧縮機21の負荷に余裕があることから、圧縮機21の運転周波数を上げて循環する熱媒体の温度を更に上昇させる(ST12)。すなわち、制御部5は、取得した外気温を加味して媒体流路32の凝縮器23における出口側温度の上限値を設定し、出口温度センサー13で検出される出口側温度が、設定された上限値となるように、圧縮機21の運転周波数を上げ下げして制御する。
【0042】
次いで、制御部5は、媒体流路32の凝縮器23における入口側温度が設定温度以上であるか否か判断し(ST13)、当該入口側温度が設定温度以上になるまで、これらST1~ST12のルーチンを繰り返し(ST13:No)、媒体流路32の凝縮器23における入口側温度が設定温度以上になると(ST13:Yes)、熱媒体の温度が十分に上昇し、これ以上運転すると熱媒体の温度が上がり過ぎてしまうため、圧縮機21の運転を停止し(ST14)、ST1へ戻る。つまり、制御部5は、設定温度および入口温度センサー12が検出する入口側温度に応じて、圧縮機21の運転周波数を決定する。
【0043】
なお、本実施形態の温水生成装置1において、制御部5による圧縮機21の運転制御は、前述した手順に限ることはない。例えば、図5との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、制御部5は、設定温度に対する圧縮機21の目標周波数を算出する(ST20)。ここで、図5に示した実施形態では、出口側温度が上限値を超えないように制御するためのST11とST12において、圧縮機21の運転周波数を決定した。これに対し、図6に示す変形例においては、まずは設定温度と入口温度センサー12で検出された入口側温度との差に基づき圧縮機の目標周波数を算出する。この算出においては、PI制御、PID制御を用いることができる。算出された目標周波数を実際の運転周波数とするか否かが、ST21で決定される。ST21では、出口温度センサー13により検出された現在の出口側温度が出口側温度の上限値よりも高いか否かが判断される。このとき、現在の出口側温度が上限値よりも高い場合(ST21:Yes)、制御部5は、圧縮機21の運転周波数をその時点の運転周波数よりも下げる(ST22)。一方、現在の出口側温度が上限値よりも低い場合(ST21:No)、運転周波数を制限する必要はないため、前段のST20で算出した目標周波数で圧縮機21の運転を制御する(ST23)。すなわち、制御部5は、出口温度センサーで検出される出口側温度が、設定された出口側温度の上限値を超えないように、圧縮機21の運転周波数を制御する。この方式では、出口側温度が上限値よりも低い場合は、設定温度と入口側温度との差に基づき算出された圧縮機の目標周波数で運転されるため、圧縮機の運転周波数の安定性が高くなる。
【0044】
このように、温水生成装置1は、循環流量Rに応じて設定された出口側温度の上限値を超えないように、設定温度と出口側温度とを比較し、出口側温度が上限を超えそうになった場合、圧縮機21の運転周波数を下げる保護的な制御を行う。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態の温水生成装置1および熱源ユニットによれば、制御部5は、媒体流路32の凝縮器23における水などの熱媒体の流量に基づいて設定される上限値を凝縮器23の出口側温度が超えないように圧縮機21の周波数を制御することにより、圧縮機21の吐出圧力が上限値を超えないように、すなわち、圧縮機21の使用圧力範囲を逸脱することのないように制御でき、圧縮機21の故障や寿命低下を抑制することで、温水生成装置1および熱源ユニットの信頼性を向上させることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…温水生成装置、2…熱源ユニット、3…負荷ユニット、5…制御部、11…外気温度センサー、12…入口温度センサー、13…出口温度センサー、20…冷凍サイクル、21…圧縮機、22…四方弁、23…凝縮器(第一熱交換器、水熱交換器)、24…膨張弁、25…蒸発器(第二熱交換器、空気熱交換器)、26…送風ファン、27…流量計、28…冷媒配管、29…コントローラー、31…利用側機器、32…媒体流路、33…循環ポンプ、51…インバーター装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6