(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】衛生用シート収納容器及び衛生用シート収納容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 25/52 20060101AFI20250218BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20250218BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B65D25/52 D
B65D83/08 A
A47K7/00 H
A47K7/00 D
A47K7/00 J
(21)【出願番号】P 2021124251
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 達也
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-009352(JP,U)
【文献】特開2021-102481(JP,A)
【文献】実開昭49-128660(JP,U)
【文献】米国特許第04171047(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/52
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口し、薬液が含侵されたロール状の衛生用シートを内部に収納する有底円筒形の容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体と、
前記蓋体の略中央部に備えられ、前記容器本体の内部に収納された前記衛生用シートを取り出す際に抵抗を掛ける取出孔を備えた取出部と、を備え、
前記ロール状の衛生用シートは、円心に上端から下端に連通する空間部を有し、円心側から取り出され、
前記容器本体は、内側底面の中央に、未使用状態の前記ロール状の衛生用シートの前記空間部の直径よりも水平方向の長さが長く前記ロール状の衛生用シートを支持する支持部を前記内側底面よりも上方に有する突起を備え
、
前記突起は、柱体の上に錐体を重ねた形状又は柱体の上に錐台を重ねた形状であることを特徴とする衛生用シート収納容器。
【請求項2】
請求項
1に記載の衛生用シート収納容器の製造方法において、
前記容器本体内に前記ロール状の衛生用シートを前記支持部に支持させた状態で前記容器本体内の前記ロール状の衛生用シートに対し、上方から薬液を塗布する薬液塗布工程を有することを特徴とする衛生用シート収納容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用シート収納容器及び衛生用シート収納容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、あるいは人体などを拭くための、薬液が含浸された衛生用シートを収納する衛生用シート収納容器として、開口部を有する容器本体の内部にロール状の衛生用シートを収納したものが知られている。かかる衛生用シート収納容器は、容器本体の開口部を覆うように取り付けられる蓋体に設けられた孔部に、取出孔を有する取出部を備え、当該取出孔によりミシン目が設けられた衛生用シートに抵抗を掛けて切り離す構成のものが知られている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
このような衛生用シート収納容器に収納される衛生用シートには、製造工程において薬液が含浸される。具体的には、衛生用シート収納容器にロール状の衛生用シートを入れた後、上方のノズルから薬液が塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-192962号公報
【文献】特許第5850521号公報
【文献】特開2020-050421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した薬液塗布の工程においては、ロール状の衛生用シートの上端から下端にかけて薬液が含侵されていくが、ロールの円心部には隙間があることから薬液が通り、ロールの円心側からも含浸され、さらに、含侵しきれなかった薬液が衛生用シート収納容器の底面に溜まり、底面側からも含浸される。これにより、ロール状の衛生用シートの円心側は含浸過多となり、初期状態におけるロール状の衛生用シートの円心部と外円部とで薬液含浸量に大きな差が生じてしまう。これは、ロール状の衛生用シートに薬液を含侵させた後に衛生用シート収納容器に収納したとしても同様の問題は生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたことで、初期状態におけるロール状の衛生用シートの円心側の含浸過多を防ぎ、ロール内の含浸量差を減らすことができる衛生用シート収納容器及び衛生用シート収納容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の衛生用シート収納容器は、
上面が開口し、薬液が含侵されたロール状の衛生用シートを内部に収納する有底円筒形の容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体と、
前記蓋体の略中央部に備えられ、前記容器本体の内部に収納された前記衛生用シートを取り出す際に抵抗を掛ける取出孔を備えた取出部と、を備え、
前記ロール状の衛生用シートは、円心に上端から下端に連通する空間部を有し、円心側から取り出され、
前記容器本体は、内側底面の中央に、未使用状態の前記ロール状の衛生用シートの前記空間部の直径よりも水平方向の長さが長く前記ロール状の衛生用シートを支持する支持部を前記内側底面よりも上方に有する突起を備え、
前記突起は、柱体の上に錐体を重ねた形状又は柱体の上に錐台を重ねた形状であることを特徴とする。
【0007】
本発明の衛生用シート収納容器の製造方法は、
上記の衛生用シート収納容器の製造方法において、
前記容器本体内に前記ロール状の衛生用シートを前記支持部に支持させた状態で前記容器本体内の前記ロール状の衛生用シートに対し、上方から薬液を塗布する薬液塗布工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期状態におけるロール状の衛生用シートの円心側の含浸過多を防ぎ、ロール内の含浸量差を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る衛生用シート収納容器の上面部の斜視図である。
【
図3】実施形態に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【
図4】実施形態に係る衛生用シート収納容器内の衛生用シートに薬液を塗布している工程を示す斜視図である。
【
図5】薬液の含浸からロールが落下するまでの流れを示す図である。
【
図6】実施形態の変形例に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【
図7】実施形態の変形例に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【
図8】実施形態の変形例に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【
図9】実施形態の変形例に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【
図10】実施形態の変形例に係る衛生用シート収納容器の底面部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態である衛生用シート収納容器の具体的な態様について、
図1から
図10に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、
図1から
図10に示すように、X軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、衛生用シート収納容器100において、衛生用シートPのシートが取り出される側を上、その反対側を下、衛生用シート収納容器100の平面視における手前側を前、その反対側を後、容器の前面を正面視した状態における右手側を右、容器の前面を正面視した状態における左手側を左とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0011】
[全体構成]
衛生用シート収納容器100は、
図1に示すように、衛生用シートPを内部に収納する容器本体1と、開口部を覆うように容器本体1に着脱自在に取り付けられる蓋体2と、蓋体2に取り付けられる取出部3と、を備えて構成されている。
蓋体2が、容器本体1に対して着脱自在に構成されているため、容器本体1から蓋体2を取り外した状態で、容器本体1の内部に衛生用シートPを収納したり、取り出したりすることができる。
【0012】
[衛生用シート]
衛生用シートPは、薬液が含侵されたロール状の衛生用シートであり、例えば、ロール状に巻かれたウェットシートやウェットティッシュ等のロールペーパーであり、Z軸方向(高さ方向)に沿った軸心にロール状に巻かれた状態で容器本体1に収納されている。
また、衛生用シートPには、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目が施されており、そのミシン目に沿って切り離されたシートを、ユーザが使用するようになっている。
また、シートはロールの円心側から引き出される。
また、ロール状の衛生用シートは、円心に上端から下端に連通する空間部Sを有する。
【0013】
[容器本体]
容器本体1は、
図1から
図3に示すように、衛生用シートPを収納するための容器であり、有底円筒形に形成され、上面には開口部が設けられている。また、側面の上端部の外面側には、
図2に示すように、周方向に沿って雄ネジ部11が設けられている。また、内側底面には、
図3に示すように、突起12が設けられている。
【0014】
容器本体1は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等を用いて、射出成形、二色成形、ブロー成形等により一体的に形成されている。
容器本体1は、平面視において、好ましくは直径60mm~200mm、より好ましくは65mm~110mmの円形となり、Z軸方向(高さ方向)に、好ましくは175mm~200mm、より好ましくは175mm~185mm、各面の厚みが、好ましくは0.05mm~10.00mm、より好ましくは0.10mm~5.00mmの円筒形状に形成されている。
【0015】
(突起)
突起12は、
図3に示すように、容器本体1の内側底面の中央に備えられ、円柱形状をしている。その直径は、未使用状態のロール状の衛生用シートPの空間部Sの直径より大きい。そのため、未使用状態のロール状の衛生用シートPは、突起12の上に乗ることとなり、突起12の上面は、ロール状の衛生用シートPを支持する支持部として機能する。Z軸方向の高さは、突起12の上にロール状の衛生用シートPが乗った場合、ロール状の衛生用シートPが衛生用シート収納容器100に収まる高さであれはよい。
【0016】
[蓋体]
蓋体2は、
図1及び
図2に示すように、蓋体本体21と、小蓋22と、から構成されている。
【0017】
(蓋体本体)
蓋体本体21は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等を用いて、射出成形、二色成形、ブロー成形等により一体的に形成されており、下面が開放された円筒形状をなし、天面部21aと、側面部21bと、天面部21aの平面視内周側に下方に向けて凹状に形成される凹部21cと、孔部21dと、凹部21c内において孔部21dを囲むように円筒形状に立設された本体側壁部21eと、を備えている。
蓋体本体21は、平面視において、好ましくは直径60mm~200mm、より好ましくは、65mm~110mmの円形となり、Z軸方向(高さ方向)に、好ましくは15mm~50mm、より好ましくは33mm~45mm、各面の厚みが、好ましくは0.05mm~10.00mm、より好ましくは、0.10mm~5.00mmの円筒形状に形成されている。
【0018】
(天面部)
天面部21aは、
図1及び
図2に示すように、円筒形状に形成された蓋体本体21の上面のうち、凹部21c以外の外周側の部分である。
【0019】
(側面部)
側面部21bは、
図1及び
図2に示すように、円筒形状に形成された蓋体本体21の側面を形成する部分である。
側面部21bの下端部の内面側には、容器本体1の雄ネジ部11と螺合する雌ネジ部211が設けられている。これによって、
図2に示すように容器本体1と蓋体2は、雄ネジ部11と雌ネジ部211を介した着脱自在な連結構造をとり、容器本体1から蓋体2を取り外すことが可能となっている。
【0020】
(凹部)
凹部21cは、閉塞時の小蓋22と平面視における形状が略一致し、小蓋22を嵌めることができるように形成されている。また、凹部21cは、前端部が平面視において小蓋22よりも大きく、小蓋22が嵌め込まれた状態でも若干の隙間が残るように形成されている。これによって、当該隙間を利用して小蓋22に指を掛けることが可能となる。
【0021】
(孔部)
孔部21dは、蓋体本体21の平面視略中央に平面視円形に形成された、容器本体1の内部に通じる孔であり、平面視において、取出部3より僅かに小さく形成され、後述のように孔部21dには取出部3が固定される。
【0022】
(本体側壁部)
本体側壁部21eは、孔部21dの周囲を囲むように、凹部21c内において、円筒形状に上方に向けて延出するように形成されている。本体側壁部21eは、外径が小蓋22に形成される小蓋側壁部22aの内径と同一か、ごく僅かに小さくなるように形成されている。
【0023】
(小蓋)
小蓋22は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等を用いて、射出成形、二色成形、ブロー成形等により一体的に形成され、閉塞時における下面から突出した小蓋側壁部22aを備える。小蓋22は、閉塞時の平面視における形状が凹部21cと略一致し、閉塞時に凹部21cに嵌めることができるように形成されている。
【0024】
(小蓋側壁部)
小蓋側壁部22aは、小蓋22の閉塞時において下方に向けて延出する円筒形状に形成されている。また、小蓋側壁部22aは、内径が本体側壁部21eの外径と同一か、ごく僅かに大きくなるように形成されている。また、この小蓋側壁部22aは小蓋22の閉塞時において、凹部21cの上面と接触するようになっている。これによって、小蓋22の閉塞時に、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとが嵌合し、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとで囲まれた空間、ひいては当該空間と孔部21dを介して繋がる容器本体1の内部の気密性を保つことができる。
【0025】
なお、本実施形態では、本体側壁部21eと小蓋側壁部22aとを嵌合させることによって、容器本体1の内部の気密性を保つように構成されているが、容器本体1の内部の気密性を保つことができれば、上記と異なる構成とすることも可能である。
【0026】
[取出部]
取出部3は、平面視において円形となる略円柱状に形成された弾性変形可能な部材である。
具体的に、取出部3は、平面視中央部に形成された内部底面3aを有する凹部31と、側面に形成された括れ部32と、凹部31(内部底面3a)の平面視略中央に形成された取出孔33と、を備えている。
また、取出部3における括れ部32よりも下のZ軸方向の厚み(内部底面3aと下面3bの間の寸法)R1は、1.0mm~5.0mm、好ましくは1.5mm~3.0mmとなるように形成されている。
【0027】
(凹部)
凹部31は、取出部3の上面において、周縁部を残して、平面視円形状に下方に向けて
凹状となるように形成されている。また、凹部31は、その内部底面3aが平面となるように形成されている。
また、凹部31は、その内部底面3aが平面となるように形成されている。
【0028】
(括れ部)
括れ部32は、取出部3の側面の上下方向略中央部を周方向に沿って周回するようにして、平面視において取出部3の直径の20分の1以上、10分の1以下の深さとなるように径方向に凹んだ溝状に形成される。上記のように取出部3は、平面視において孔部21dより僅かに大きく形成されているため、この括れ部32に孔部21dの縁を嵌め込むことによって、取出部3を蓋体本体21に固定することが可能となる。
【0029】
(取出孔)
取出孔33は、容器本体1の内部に収納された衛生用シートPを取り出すための孔である。
取出孔33は、下面3b側から挿通されたシートを、その先端が取出部3の上面(凹部31の内部底面3a)から突出した状態として保持する。
シートの先端が取出部3の上面から突出した状態であるとき、その突出量としては、5mm~39mm、好ましくは13mm~20mmである。突出量が5mm以上であることで、一般的なユーザの手指で摘みやすく、取り出し作業を容易に行うことができる。また、突出量が39mm以下であることで、蓋体2の閉塞時に蓋体2からシートの端部が飛び出さない。
【0030】
また、取出孔33は、取出部3の平面視略中央に2本の直線が十字状に交差した切り込み部により形成される。
【0031】
上記した取出部3は、孔部21d内に挿入できると共に、衛生用シート収納容器100の使用時において、蓋体本体21から外れないものである必要があり、かつ、取出孔33に指でシートを押し込むことができる必要があることから、一定の弾力性を有する材料を用いて形成されている必要がある。具体的には、硬度が50から70であることが望ましく、具体的には、例えば、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等のエラストマーを用いることができ、射出成型により形成される。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメーター)によって測定されたものである。
【0032】
(薬液の含浸方法)
本実施形態に係る衛生用シート収納容器100に収納されたロール状の衛生用シートPへの薬液塗布工程においては、例えば、
図4に示すように、ノズル式噴射装置を用いたノズル式噴射方式が用いられる。薬液が衛生用シートPに対して好適に噴射されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴射距離、噴射圧力、噴射角度、および噴射液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0033】
(薬液)
また、本発明において衛生用シートPに塗布する薬液としては、特に水系のものが望ましく、例えば、香料、湿潤剤、柔軟剤、平滑剤、消臭剤などを例示することができる。
香料としては、例えば、メントール、ミント、ラベンダー、ローズマリーなどのハーブ系の香り成分、バラの香り成分、柑橘系の香り成分、ヒノキの香り成分など天然系の香料、あるいは合成系の香料などから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、ペンタエリスリット等の多価アルコールなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
柔軟剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、アミン塩、アミン、界面活性剤などから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
平滑剤としては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコン、ポリエーテルシリコンオイルなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
消臭剤としては、ヒバ、ヒノキ、杉等の木材抽出物、カミツレ、ササ、ヨモギ、茶、シソ等の植物抽出物などの各種精油などから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0034】
[発明の効果]
図4に示したようなノズル式噴射方式による薬液塗布工程において、ロール状の衛生用シートPの円心には空間部Sがあることから薬液が通る(
図5:ステップ1)。しかしながら、突起12があることで、ロール状の衛生用シートPは底面から浮いた状態となるため、含浸しきれなかった薬液は底面に溜まる(
図5:ステップ2)。そのため、薬液塗布工程において、底面側からも含浸されることを防ぐことができ、初期状態におけるロール状の衛生用シートPの円心部の含浸過多を防ぎ、円心部と外円部の薬液含浸量の差を軽減することができる。
【0035】
また、ロール状の衛生用シートPを中央から使用していくにつれ、ロール状の衛生用シートPの空間部Sの直径が、突起12の上面の直径よりも大きくなる。すると、ロール状の衛生用シートPが底面に落ちることとなる(
図5:ステップ3)。そのため、底面に溜まっていた薬液にロール状の衛生用シートPが触れることとなり、含浸される。そのため、使用中に、ロール状の衛生用シートPは含浸されることとなり、ロール状の衛生用シートPの既に使用された円心部とこれから使用する外円部の薬液含浸量の差を軽減することができる。
【0036】
[変形例]
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0037】
例えば、
図6や
図7に示すように、突起12A,12Bは柱体を複数積み重ねた形状でもよい。
図6に示すように、突起12Aは、底面側の柱体の直径の方が大きい段差のある柱体であり、ロール状の衛生用シートPを中央から使用していくにつれ、段階的に落ちることとなる。この場合、1段目及び2段目の柱体の上面が支持部として機能する。
図7に示すように、突起12Bの直径が上面側から小、大、小であり、未使用状態のロール状の衛生用シートPの空間部Sの直径よりも、小さい柱体の直径が小さい場合、2段目の柱体の上面が支持部として機能する。この場合、上面側の1段目の柱体により、ロール状の衛生用シートPが水平方向に動くことを抑制でき、ロール状の衛生用シートPを安定して支持できることとなる。
【0038】
例えば、
図8に示すように、突起12Cは錐体でもよい。この場合、ロール状の衛生用シートPを中央から使用していくにつれ、徐々に落ちることとなる。そして、錐体の側面が支持部として機能する。
【0039】
例えば、
図9に示すように、突起12Dは錐台でもよい。この場合、ロール状の衛生用シートPを中央から使用していくにつれ、徐々に落ちることとなる。そして、錐台の側面が支持部として機能する。
【0040】
例えば、
図10に示すように、突起12Eは、柱体の上に錐体を重ねた形状でもよい。なお、錐台を重ねてもよい。この場合、錐体や錐台の側面が支持部として機能する。
【0041】
また、突起12は、中空でも中実でもよい。
【0042】
また、突起12は、
図3、
図6から
図10に示した円柱体、円錐体、円錐台に限られず、角柱体、角錐体、角錐台でもよい。
【0043】
また、衛生用シート収納容器100の形状としては、必ずしも円筒形状でなくともよく、例えば、平面視において五角形、六角形等となる角柱状に形成されていてもよい。
また、取出部3は蓋体2に着脱自在であっても、固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
100 衛生用シート収納容器
1 容器本体
12 突起
2 蓋体
3 取出部
33 取出孔
P 衛生用シート
S 空間部